2023年5月11日 11:33
【『ラストマン』感想3話】福山雅治・大泉洋、バディの進化と物語の深化
だった。
羽鳥が演じる人気刑事ドラマシリーズの大ファンだという皆実は、半ば呆れる心太朗を連れて嬉々として羽鳥のもとに事情聴取に向かう。
国民的人気俳優の気さくな対応と演技へのストイックな取り組みに感心する二人だったが、羽鳥は犯人ではないという皆実の見立てをよそに、羽鳥が犯行を自供したことで事件は意外な展開へと転がっていく。
国民的スターとその妻、共演者の女優、ドラマのプロデューサー。
それぞれに隠したいことが絡み合って殺人の真実を覆い隠す複雑な過程を、皆実と心太朗は一つ一つ要素を拾いながら解き明かしていく。今回もっとも興味深いのは、皆実が心太朗に対して捜査の中では多くを語らず、心太朗自身の判断を期待しながら行動を共にしていたことである。
むしろ「私のバディは、そんな(ネタを共有する)必要はないはずですが」と突き放し、心太朗も自分の能力を証明すべく受けて立つ。
一方で、皆実は彼特有の視覚以外をフルに活用した捜査の様子を逐一、心太朗に見せている。材料は提供しつつ、それを心太朗がどう調理していくのかを見るように。
皆実のその様子には、自分が選んだ相棒をただの『添え物』にはしたくないという願い、対等な相棒と充実した日々を過ごしたいという願いが見えるようだ。