2023年5月11日 11:33
【『ラストマン』感想3話】福山雅治・大泉洋、バディの進化と物語の深化
そして初回と2話で、私たちも皆実の捜査の流儀を知りつつある。
鍵に触れる指、玄関の床の違和感、台本の匂いを確かめる仕草、繰り返し差し出されるハンドクリーム。
心太朗と私たち視聴者は、皆実の微妙な表情の変化を見つめつつ、どの要素が犯人に繋がるのかを緊張感とともに考える。
匂いか、触覚か、それとも声か。意外にも皆実が重点的に求めた要素は『チューブの潰し方』であった。
改めて皆実広見という男が見せてくれる、人ひとりを構成する要素の細かさ、複雑さに驚かされる。
ドラマの中で、最終的に事件の種明かしに費やした時間はおよそ10分強。
だがそのボリュームを感じさせない流れるような種明かしで、冒頭から解決まで一切緩めず駆け抜ける構成の見事さに唸った。
回を追うごとに次々と人たらしの本領を発揮する皆実だが、今回は日本のドラマが好きだったり、女優のゴシップに本気でがっかりしたりと、意外とミーハーという愉快な一面を見せてくれた。
それに呆れながらも、相棒として凸凹が噛み合っていく心太朗の様子も楽しい。
とりあえず人前の『シンディー(皆実が心太朗につけた愛称)』呼びは嫌がりつつ、バディ二人ならもう『シンディー』呼びでかまわないようである。