2021年9月13日 11:00
教師からの性暴力を顔出しで訴え…「どうか被害者を責めないで」
過去をふり返り、何度も自問自答するなかで気持ちが固まっていく。裁判傍聴から7カ月後、石田さんは札幌に戻り、教師Aを呼び出す。教育委員会への申し立てに先立ち、証拠となる音声データを集めるためだった。
■いまもあの教員が学校で生徒に接している。その情景を想像して黙っていられなくなった
「先生、覚えてます?」
「玄関でキスした。忘れるわけがありません」
年末の居酒屋にやってきた教師Aは、石田さんの緊張を笑い飛ばすように饒舌だったという。
「いつかあなたが、『私の人生を狂わせた』と言ってくるんじゃないかと思ってました。教育委員会にバレたら、俺は免職、クビだから。
『僕はこの人を幸せにするから、この仕事を続けさせてください』と言うつもりだった」
石田さんが、その場面を振り返る。
「教員は、自分に都合のいいというか、こちらをなめたようなことばかりベラベラと話しました。私は、裁判について調べ始めてすぐに、刑事事件では7年という時効があって難しいけれど、地方公務員の教員の懲戒処分に関しては時効がないことを知り、かつてあった事実を証明するために、教員との会話を録りました」
このときの録音記録を持参し、16年2月、石田さんは札幌市の教育委員会へ、教師Aの適切な処分を求めて申し立てを行う。