2022年6月6日 16:00
売上台帳は手書きでOK…不正受給招くコロナ給付金の“ザルすぎる”審査の実態
詐欺グループに付け込まれるのも仕方がないと言わざるをえない。さらにこの社長は、実際に耳にしたという悪質な手口を明かした。
「あるフリーのコンサルタントは制度を聞いて、毎月の顧問料の支払い間隔を3カ月に変更してもらったそうです。振り込みがない月は“前年同月比の収入が減少”となり、給付対象に。顧問料はのちほど支払ってもらうだけで、実際の収入は減っていないそうです」
’20年4月、当時は自民党政調会長だった岸田文雄首相が衆議院予算委員会で「制度の悪用が懸念される」と現在の状況を“予言”していた。そのうえで「局面が局面だけに、性善説に立った迅速な支給を心がけること」と話している。
その性善説が裏切られてしまった格好だが、経済産業省によると、6月2日の時点で、一連の報道を見た不正受給者が自主的に返還を申し出てきたケースが1万5千440件、約166億円に上るという。
若者が犯罪に手を染めるケースも目立つという。
「公表はしていないが、(不正受給者に)若者が多いというデータはある」とは中小企業庁の担当者。しかし、犯行の代償は大きい。
「不正受給が認定されると、受け取った金額に加えて年3%の延滞金と、元本の20%にあたる加算金をお支払いいただきます。