2023年1月15日 06:00
「60歳の患者に不妊治療したらバカにされる」と医師に言われ…日本最高齢出産女性が明かす秘話
「レノ」と名付けた。
■息子に弟妹を残してあげたいと思い、2人目妊娠の道を模索し続けたが……
さらに出産から9カ月が過ぎた’02年春のこと。影山さんは、鷲見さんにある相談をしていた。
「2人目を欲しいと思いました。1人目は彼のため、2人目はレノのため。レノに弟妹を残してあげたかったんです」
実際に医療機関などに相談もしたが、超高齢出産の壁は以前にも増して高くなっていた。
「私の60歳出産は、日本の不妊治療に風穴を開けたのではなく、バッシングも大きかったですから、逆に先生方を追い込んで、旧態依然の状態に戻してしまったのではないかと感じました」
その後も3年以上、医療機関に働きかけ、2人目妊娠の道を模索し続けたが、その時点で、卵子提供についてだけでも国と医師会では意見の相違があり、先へ進めなかった。厚生労働省の検討中の見解のなかでも、「加齢により妊娠できない夫婦は対象とならない」という文言があり、これに影山さんは当てはまるのだった。
当時の影山さんの深い苦悩を、鷲見さんはこう振り返る。
「彼女の気持ちもわかりましたが、もし『自分の命と引き換えにでも』と考えているなら、それは違うと思いました。