2021年6月4日 07:00
佐藤健が他者と一線を画す理由「プレッシャーについて考えたことがない」
それが、アクションチームがつくったアクションムービーのようなものを見せてもらったときでした。あそこで、自分の目指すべきものを提示してもらった感覚になった。そして、自分のやるべきことも見えた。僕のやることは、このムービーにあるような動きを身につけること。そうとわかれば、あとはひたすら練習に打ち込むだけ。自分にできるかなんて恐怖心は関係ないんです」
不要なものに心をとらわれない。その精神は、よく研ぎ込まれた刀のように美しい。演技アプローチも、確かなロジックが土台となっている。
「『The Beginning』に関しては、今までの剣心とはアプローチがまったく違っていて。今回は最も力を抜いた状態で現場にいました。これまではずっと少年ジャンプの漫画原作ということもあって、キャラクターをリアルな人間として落とし込むことを大切にしてはいるものの、ある種のエンタメ感、漫画感を意識していたんですね。でも、今回は違う。『The Beginning』では、そういった漫画感を一切意識していませんでした」
では、佐藤健は何に心を置いて『The Beginning』の人斬り時代の剣心を生きたのか。答えは、時代劇においても生身の人間でいる、という精神だ。