2024年5月6日 12:00
『関心領域』思考欠如の恐ろしさ……。アウシュビッツ強制収容所の隣で暮らす家族【おとなの映画ガイド】
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カンヌ国際映画祭グランプリ受賞、今年の米アカデミー賞でも国際長編映画賞と音響賞に輝いた『関心領域』が5月24日(金) から全国公開される。「ぴあ」の水先案内人が選ぶ「5月公開のこれからみたい映画」ベストテンでも、1位になった作品だ。第二次世界大戦中のアウシュビッツ強制収容所を扱ったものなのだが、この切り口、この描き方は前代未聞。
『関心領域』
ポーランド南部のオシフィエンチムに作られたアウシュビッツ強制収容所を取り囲む40平方キロメートルの地域は、ナチス親衛隊(SS)に「関心領域」と呼ばれていたそうだ。婉曲的な表現だが、つまり、ユダヤ人の殺戮が繰り返し行われていた収容所の存在する場所を指している。収容されたユダヤ人のほとんどはガス室で殺され、焼却された。被害者数は100万人以上という。
この映画には収容所内部の様子はでてこない。