天羽明惠
「“あのイ・ムジチ”という存在ですよね。光栄ですし楽しみです」
キャリア十分のヴェテランがそう言って目を輝かせるのは素敵なことだ。天羽明惠は日本の声楽界を牽引するトップランナーのひとり。この秋、イタリアの老舗アンサンブル、イ・ムジチ合奏団と共演する(10月2日(水)・サントリーホール)。
「イ・ムジチ合奏団 with 天羽明惠」の公演・チケット情報
イ・ムジチといえば《四季》。誰もが知る有名曲だが、実は、音楽史で忘れられていたこの作品が再発見されたのはなんと20世紀半ばのこと。そしてそれが世界的な人気を獲得するのに大きな役割を果たしたのが、1952年結成のイ・ムジチなのだ。繰り返し録音した彼らの《四季》は、この曲の定番中の定番。
《四季》といえばイ・ムジチ。両者はもはやほとんど同義語といっても過言ではない。
「もちろんメンバーが変わっているとはいえ、60年以上もずっと弾き続けている作品なのに、まるでたったいま生まれてきた音楽であるかのように、いつも新鮮に演奏するのは素晴らしいことですよね」
指揮者なしのアンサンブルとの共演。大事なのは息づかいだという。
「彼らは絶対に私の息を聴いているはず。