未練や後悔のない人生はあり得る?『うせもの宿』が問う人の生き方
なくしたものを捜しにやってくる者たちの宿
『うせもの宿』
(穂積/小学館 フラワーコミックスアルファ)全3巻
最近、死についてよく考えます。親しかった友人が突然亡くなったのが大きな理由かもしれません。人って死ぬんだ! と思いました。そして、当然のように自分には「老後」があると思っているけれど、実は人っていつ死ぬかわからないんだな、とも。
看護師をしている知り合いは、「いつ死んでもいいように悔いのない人生を歩みたい」と言っていました。「老後の楽しみ」とか「×年後にやろう」なんて思っていても、そんな日は来ないかもしれないのです。今、やりたいことをやらないと、今、大切な人を大事にしないと、死んでなお引きずるようなことになるかもしれない……。
『うせもの宿』は、捜し物をしている人がやってくる宿です。
いろんな人が入れ替わり立ち替わり、宿にやってきます。そして、捜し物を見つけて出て行きます。
なくしてしまったものは、すべてその人にとって大事なものです。どうでもいいものなら、なくしたことにすら気がつかないでしょう。「うせもの」にはその人の人生が詰まっているんです。お客が来るたびに、そこにドラマが生まれます。