踊りに命をかけるのはラテン人だけじゃない?『月影ベイベ』が名作漫画たる所以
祭りに命をかける八尾の人々
『月影ベイベ』(小玉 ユキ/小学館)1巻
和久井は風の盆どころか富山県にも(たぶん)行ったことがないのですが、動画を見る限り、「越中おわら節」の哀愁に満ちた音楽に乗せて、静かな水面を打つようにピシリピシリと振りを合わせて踊る、たいへん静謐な雰囲気の踊りでした。踊り手は笠をかぶっており顔が見えません。それがとても神秘的です。
Wikipediaを読むと、「おわら」の起源は江戸時代。町外に持ち出されていた「町建御墨付文書」というなにやら大事な文書を町民が取り戻したことを大喜びして、やんややんや三日三晩踊り明かしたことから始まったそうです。なんともやんちゃな話で、今の風流なお祭り風景とはだいぶ事情が違うようですな。
八尾地域の子どもたちは子どもの頃から「おわら」を習い、鍛錬を続けているのだとか。
和久井は子どもの頃、運動会で「ソーラン節」やら「御神楽」やら踊らされましたが、ああいう「やらされダンス」ではなく、子どもたちが自ら大人たちの踊る「おわら」をかっこいいと思って習い始めるのだそうです。
『月影ベイベ』は、その独特の雰囲気と、懐かしいような、せつないようなアンニュイなムードがたまらない作品です。