死と向き合った男性が語る「残された時間をどう使うべきなのか」
『あの世へ逝く力』(小林玖仁男著、幻冬舎)は、著者のショッキングな告白からスタートします。
「間質性肺炎」という進行性の難病により、早ければ2年半ほどで死に至ると宣告を受けたというのです。
つまり本書は、死の宣告以来書きつづっていた、自分の心の対話や葛藤、本音を洗いざらいまとめ、あとに続く人たちのために遺したもの。いわば、“死の前に整えたい気持ちの準備書”だといいます。
■「死んだ気になって」の真実とは
人はよく、「死んだ気になって」という表現を使ったり、思ったりするもの。しかし死ぬ身になってから、この「死んだ気」の意味が変わったと著者。
健康な人の「死んだ気になって」は、ガムシャラ、貪欲、足し算、かけ算、プラス発想。もし絶望の淵にいたとしても、死にたいと思っていたとしても、死ぬ気になったらなんでもできるという、みなぎるパワー全開のイメージだというのです。
事実、著者もこのようなプラス軸を駆け抜けてきて、つい最近まで「死んだ気」とはそういうものだと思っていたのだといいます。
ところが死ぬ人の「死んだ気になって」の真実とは、冷静沈着、引き算、マイナス発想、ロスをしない、確実性を求める総決算発想。