2022年9月28日 03:40
「若い読者から『この主人公、大嫌い』と言われたことが。世代間ギャップですかね(笑)」 #窪美澄さん 2
『夜に星を放つ』は穏やかな一冊
――改めて振り返ってみると、『夜に星を放つ』はどのような一冊に仕上がったと捉えていらっしゃるのでしょうか?
窪さん私のこれまでの本と比べると、穏やかな一冊に仕上がったように思います。というのも、収録されている作品を執筆している時期に、割と重めの連載を抱えていたんですね。だから、この本の短編に関しては穏やかなものを書こうと心に決めていたんです。
――受賞時のインタビューで「短編を書くのに苦労している」という主旨のことをおっしゃっています。例えば、どのようなご苦労があるのでしょうか?
窪さん短編は短い作品なので、簡単に書けると思われがちなんですね。でも実際は、長編と同じくらい気をつかうんです。
短編は400字詰め原稿用紙で50枚~60枚程度のボリュームなのですが、この中で物語を始めて終わらせるというのは、難しい点の一つです。それに、枚数に制限があるので、登場人物の心理や生活ぶりなどを詳細に書き込むことができないんですね。
どこまで情報をそぎ落としていくか、というのも難しい点です。
――年表のようなものを作ったりもするのでしょうか?
窪さん短編の場合は、年表を作ることはないですね。