RNA合成酵素は遺伝子発現に抑制的にも作用することを発見
本研究は、日本学術振興会科学研究費補助金の支援を受けました。研究成果は英国の国際誌「Microbial Genomics」(電子版)2021年11月17日付に掲載されました。
■ 研究成果のポイント
●大腸菌のRNAポリメラーゼRpoNホロ酵素のゲノム上結合領域および標的プロモーターや標的遺伝子群の網羅的な同定に成功した。また、RpoNホロ酵素は転写の開始にエンハンサーと呼ばれる補助因子を必要としており、エンハンサーNtrCにより結合が補助される標的遺伝子群の同定にも成功した。
●標的遺伝子群の多くは、定説通りに窒素欠乏によりRpoNホロ酵素およびNtrCによって発現が誘導されたが、それに対して、いくつかの標的遺伝子は抑制されることを見出した。
●RpoNホロ酵素およびNtrCによる抑制化は、細胞増殖のための遺伝子発現に必要なRpoDホロ酵素と拮抗することにより引き起こされていることを実証した。
●これらの結果から、RNAポリメラーゼRpoNホロ酵素が遺伝子発現に抑制的に作用することが明らかとなり、このプロモーターを「repressive promoter (抑圧的プロモーター)」と命名することを提案した。