2024年4月25日 15:15
新しい強誘電体の開発に向けて~高圧合成とマテリアルズ・インフォマティクスの協同~
同型のチタン酸バリウム並びにニオブ酸カリウムは強誘電体ですが、誘電特性と結晶構造が密接に関係していることが知られています。
そこで今回、ペロブスカイト型ニオブ酸ルビジウムの温度変化による構造変化をマイナス268℃からプラス800℃までの広い範囲でX線回折法を用いで調べました。その結果、室温以下では構造変化はないものの[2]、220℃以上で正方晶ペロブスカイトに、300℃以上でより縦に伸びた形の第2正方晶ペロブスカイトに変化し、420℃以上では、ペロブスカイトでない常圧相へと戻りました。この一連の相転移は、第一原理計算から予測された構造安定性でよく説明でき、特に、第2正方晶は、負の圧力(熱膨張に相当)を与えた計算から得られた結晶構造と一致しました。今回得られた高圧相は、ニオブ酸カリウムと同等の強度の第2高調波発生が観察されることから、極性を有する構造であることが確認され比較的高い比誘電率も得られました。
誘電率に関しては、理論計算から予想されるように、今後試料密度を高めることでニオブ酸カリウムと同等あるいは、それ以上の値が得られることが期待されます。今回、5研究機関がそれぞれの強みを生かして共同研究を行ったことにより、材料特性を総合的に評価できたことに大きな価値があります。