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いよいよ気温も日差しも強くなり、より日焼け止めが欠かせない今日この頃。最近では、体の中から日焼けをケアするサプリや、「飲む日焼け止め」も注目されています。でも、これらだけで日焼けは防げるものなのでしょうか? タレントの田中みな実さんが紹介したことで話題のビタミンCサプリなどについて、クリニックフォア監修医兼ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科専門医・圓山尚(えんやまたかし)先生に聞きました。■田中みな実らの発信で注目、リポソーム化ビタミンCの評価は?──田中みな実さんや美容系インフルエンサーが注目したことで、リポソーム化ビタミンCのサプリが流行っています。従来のビタミンCのサプリとは何が違うのですか。「ビタミンCをリポソームというカプセルに閉じ込めたサプリです。ビタミンCは水溶性のため、摂取しても体外に排出されやすいのですが、脂溶性のリポソーム化することによって体の中でゆっくり溶け出し、吸収率を高める効果があるのが、従来のビタミンCのサプリとの違いです。ビタミンCの血中濃度を長時間安定的に保てるため、ビタミンC本来の抗酸化作用が期待できるのがメリットとされています」──わりと最近話題になったもののようですが、先生の評価はいかがですか?「理論上はとても効果があると思います。ただ一方で、医師の間では“別にリポ化(リポソーム化)しなくてもビタミンC含有量の多いサプリを服用すればいいのでは?”という意見もありますね。最近はビタミンCが2000、3000mgと高配合されたサプリもありますし、どちらを選択したほうがいいかはまだ決着がついていない状況です」──リポソーム化ビタミンCには、なにかリスクはあるのでしょうか。「強いて言うならば味ですね。かなりクセのある味なので、一般的にはジュース等に溶かして飲むように案内されています。中には直飲みされる猛者もいらっしゃいますが、僕もあの味は苦手です(笑)。ただ基本的にはビタミンCなので、副作用等は特にありません」──これからの季節は日焼けが気になります。日焼け対策として、リポソーム化ビタミンCは効果がありますか?「対策というよりも、日焼けによって受けた肌のダメージを修復する効果を期待するものです。日焼けを防ぐために飲むものではありません」──最近は「飲む日焼け止め」をうたった商品がドラッグストアでも増えています。どのような成分が入っているのでしょうか。「主に抗酸化作用のある植物由来ポリフェノールを主成分としたものが多いですね。ただし飲む日焼け止めだけで完全に日焼けが防げるわけではなく、紫外線を浴びた後のシミや肌老化を防ぐ効果がメインというものが多いでしょう。もともと飲む日焼け止めは海外から話題になったこともあり、FDA(アメリカ食品医薬品局)からは『過信してはいけない』という注意喚起も出されています。紫外線をカバーするためには、必ず塗る日焼け止めを使用することが推奨されていますね」──どの程度の効果が期待できるのでしょうか。「一般的な飲む日焼け止めのSPF(紫外線防御効果)は1.5ほどです。塗る日焼け止めであればSPF50+のものもありますし、この数字だけでも効果の違いはわかるはずです。そういう意味では、『飲まないよりはまし』という程度でしょう。ただ、併用することで紫外線によるダメージを防ぐとともに内側からのケアも期待できるため、アリだと思います」──基本的な日焼けのリスクを教えてください。「紫外線によって肌の内部の細胞が傷つき、酸化ストレスがかかるのが日焼けのリスクです。酸化とは簡単に言えば細胞が錆びるということで、シワやシミ、たるみなどあらゆる肌トラブルの原因になります」──日焼けによる肌ダメージの回復には、リポソーム化ビタミンCや「飲む日焼け止め」のほかにどんなものがおすすめですか?「ビタミンCに合わせてビタミンEを摂るのがいいでしょう。この2つのビタミンは抗酸化ネットワークの代表的な組み合わせで、互いの抗酸化物質が連携して相乗効果を発揮します。ただし炎症などを伴う日焼けは、塗り薬や飲み薬などによる治療が必要な場合もあります。日焼けの症状が強い場合は、サプリだけで治そうとせず、早めに皮膚科を受診することをおすすめします」【監修】圓山 尚(えんやまたかし)ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。現在はクリニックフォア監修医と永福スキンクリニック(現ナチュラルスキンクリニック)の院長を務め、”美のかかりつけ医”として活動している。(文:児玉澄子)
2025年05月08日美容系インフルエンサーや著名人がSNSで発信し、話題となっている美容内服薬。飲むだけで、シミやそばかす、肝斑などにテキメンに効果があるとして興味を持つ人が増えています。ただ一部では、「特定の薬の供給不足が懸念される」という意見も。また内服薬だけに、リスクも心配なところです。美容内服薬を正しく服薬するためのアドバイスを、クリニックフォア監修医兼ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科専門医・圓山尚(えんやまたかし)先生に聞きました。■ビタミン系やトラネキサム酸が人気、一方で「美容目的で発信しないで」の声も──そもそも、美容内服薬とはどういうものですか?「明確な定義は存在しないのですが、昨今話題となっている美容内服薬はいわゆる処方薬。医療用医薬品のカテゴリーに入るものだと思われます。医師が診断のもと処方する位置付けになっており、市販はされていません」──今、特に人気の美容内服薬は?「成分としては、ビタミンCやビタミンEといったシミ、そばかすの緩和や美白をうたったものが人気です。また最近は肝斑の治療に効果のあるトラネキサム酸も、かなり話題になっていますね」──肌に塗る美容液や外用薬と比較しても、高い効果が期待できるのでしょうか。「皮膚の表面ではなく体の中から作用するので、内服薬だからこそ期待できる効果はあります。コラーゲン生成を促進する真皮層や、さらに皮膚の深い層にまでアプローチできるのは内服薬ならではと言えるでしょう」──一方で、著名人やインフルエンサーが飲んでいる美容内服薬が、「ほかの病気の薬でもあるし、薬不足に拍車がかかるから美容目的で発信しないでほしい」と批判されたこともありました。「おそらく、肝斑などのシミ治療に使われるトラネキサム酸のことですね。トラネキサム酸は抗炎症作用があるので、喉の痛みにもよく効き、風邪薬にも入っているものが多いです。実際、コロナが流行した時期には供給不足が起きたこともあります。体調不良でつらい患者さんにまずは薬が行き届くよう、公益性を重んじたいところですね。クリニックフォアでは、適切な患者様への処方を優先するため、国内正規代理店と連携し、出荷調整がかかっている場合は自費の患者さまへの処方を制限するなどの対応をしています。肝斑やシミに有効な選択肢は外用薬など他にもあるので、トラネキサム酸にこだわることなく、医師に相談いただければと思います」──美容内服薬は市販されていないとのことでしたが、最近はネット通販や個人輸入でも簡単に買えるものがあるようです。リスクはないのでしょうか。「お薬には副作用やアレルギーといったリスクが伴います。僕自身、大学病院にいた頃に、重篤な薬疹を起こした患者を診たことがあります。安いからという理由で、個人輸入のサイトでお薬を購入される方も稀にいらっしゃいますが、国内ではお薬やサプリメントに使用されていない添加物が含まれていたり、あるいは成分が全くの偽物だったりするケースもあるようなので、SNSで見かけたり、口コミが良かったとしても、慎重になっていただきたいですね」──そのほか、自己診断でお薬を使うリスクにはどんなことが考えられますか?「別のお薬を飲んでいる場合は、併用できないお薬もあります。たとえばトラネキサム酸は血を固める方向に作用するので、飲み合わせによっては血栓症のリスクもあります」──なるほど。便利だからとネット通販や個人輸入するのも怖いですね。お医者さんから処方してもらう際にも、普段飲んでいる薬をきちんと申告することが大事だということですね。「そうですね。また既往歴や妊娠・授乳の有無などもきちんとお話ししていただきたいです。中には『正直に申告したら他のクリニックでは処方してくれなかった』と、隠す方もいるんです。処方は医師が適切な診断をした上で行うもの。(医療ではなく)美容が目的だからと、カジュアルにお薬を飲むのはおすすめできません」──ただ、処方のためだけに何度もクリニックに足を運ぶのは面倒です。まとめて処方してもらうことはできるのでしょうか?「保険診療の場合は処方できる量にも制限があるため、お出しできても1~2週間ほどでしょうか。また、ビタミン剤については原則自費処方とされています。自由診療の場合、医学的に問題がないと医師が判断すれば、半年や1年分まとめて処方することも可能です」──最後に、美容内服薬に興味を持っている方に、お伝えしたいことはありますか。「ネットの情報だけで『この薬が効く』と自己判断し、服薬するのはリスクも伴います。ただのシミだと思っていたものが皮膚ガンだったというケースも診たことがありますし、肌トラブルの原因は実に多様。原因や症状によっても治療の選択肢は異なるので、何かしら肌トラブルを抱えていたら、まずはクリニックで相談していただくことをお勧めしたいですね」【監修】圓山 尚(えんやまたかし)ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。現在はクリニックフォア監修医と永福スキンクリニック(現ナチュラルスキンクリニック)の院長を務め、”美のかかりつけ医”として活動している。(文:児玉澄子)
2025年04月30日