LITALICO発達ナビがお届けする新着記事一覧 (1/138)
小学校の運動会の練習はさぼってばかりUpload By かなしろにゃんこ。発達障害がある息子のリュウ太は小学生の頃から運動が苦手でした。運動会当日はイベントを楽しむものの、運動会の練習は大嫌いで、学童期は練習に参加せずに体育館の裏で一休みしてしまうこともしばしば……。みんなが日中の暑い中で練習をしているのに、体育館裏に置いてある運動用のネットの上で昼寝をしていたのです。「運動会の練習に参加したくない」と言い、教室でさぼっていることもありました。走ったり、踊ったりするのが苦手Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太が運動がキライな理由には、ボディイメージが弱く、体がうまく動かせないことがあります。走るときも足がもつれてしまったり、走ってもみんなより遅くて「走りたくない!」と機嫌が悪くなり怒り出すこともありました。自分では頑張っているのに周りの子のようにできないことでイライラしているようでした。特にダンスは難しいようで、踊りの順番を覚えながらリズムと共に体を弾ませるのは難しかったと言います。「みんなと合わせていくことができない」と感じてしまい「自分は運動が苦手」という意識が芽生えていったのかもしれません。クラス担任の先生には「リュウ太くんが練習に参加したがりません」と毎年5月になると報告を受けるのでした。ただ、私自身は、運動会の当日にリュウ太がダンスで遅れをとっていても踊りを間違えていても、大勢の中の一人でそんなに気にならないものだな~と感じていて、「運動会に参加するだけでもヨシとしよう!」と考えることができました。高学年になると少しずつ変化がUpload By かなしろにゃんこ。そんなリュウ太ですが、高学年の時には組体操にも参加するようになり、周りに合わせていけるようになりました。花形競技である組体操に参加できていることが私にはとてもうれしいことでした。小学5年生になってようやく息や力を合わせて周りと協力できるようになったんだな〜と感じたのです。中学生になると、体育祭を全力で楽しめるように小学校時代の運動会をそのように過ごしたリュウ太は、中学生になってテニス部に入部すると少しずつ変わってきました。毎日の素振りやランニングなどの地道な練習を真面目にやっていたわけではないのですが、運動への苦手意識がなくなるとともに体に力がついてきたようでした。Upload By かなしろにゃんこ。中学3年生の体育祭を夫婦で参観した時にはリレー中のリュウ太を見て、いつもは息子のことを褒めない夫が「一番いいフォームで走れている」と言いました。私も親ばかではありますが「速く走れている!」と思いました。Upload By かなしろにゃんこ。中学3年生の時のリュウ太はパソコン部に所属していました。部活対抗リレーという各々が所属する部活動のユニフォームを着用して走る競技があり、リュウ太は先生から壊れたキーボードを貸してもらって、学ランを着てキーボードを叩きながら走るというパフォーマンスもしていました。速く走ることよりも面白くする競技のようで、部活対抗リレーはみんなが笑ってみていました。そこには小学校時代に「運動会ヤダ!」と言っていた息子の姿はなく、みんなとワイワイ楽しんでいる姿がありました。Upload By かなしろにゃんこ。後日、「体育祭の時にリレーのフォームをお父さんが褒めていたよ」と伝えると、父親からの言葉にとても喜んでいました。息子の体育祭を参観したのは、それが最後でした。最後にいい思い出ができて良かったです。人は少しずつ成長する、本当だな〜と思った出来事でした。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)発達障害のあるお子さんにとって、小学校での運動会や卒業式の練習は、長時間にわたることも多く、うまくできなかったり、注意を受けたり、体力的な負担から参加が難しく感じられる場面も少なくないと思います。ただ、高学年になると、行事そのものに慣れてきて見通しも立てやすくなり、低学年の頃ほど心理的なストレスを感じにくくなるかもしれません。また、中学生になると、行事の練習時間も短くなり、「体育祭」のように楽しみながら参加できるイベントに変わることもあり、それが参加しやすさにつながっているのではないでしょうか。親御さんにとっても、行事が子どもの成長を感じられる機会になってきたことは、とても喜ばしいことですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年05月11日子どもの発達障害の疑問に答える!専門家が分かりやすく解説『子どもの発達障害がよくわかる本』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、25年以上にわたり子どもたちの心と向き合ってきた児童精神科医、てんねんDr.が、子どもの発達障害に関して保護者が抱く100の疑問に明快に答える一冊です。SNSで多くの支持を集める著者が、発達障害の全体像から細やかな疑問まで、ポイントを押さえて分かりやすく解説しています。よくある疑問がコンパクトにまとめられ、「親が気をつけたいポイント」「知っておきたいポイント」「もっとくわしく知りたい!」に分けてあり、自身のニーズに合わせて読み進めることができます。本書は、児童精神科とはどんな場所かという基本的な情報から始まり、発達障害、診断、周囲の支援、将来の見通し、トラブルへの対処法、著者からのメッセージへと続きます。児童精神科医として、長年親子に寄り添ってきたてんねんDr.の「発達障害はグラデーション」という視点や、成長の可能性、頑張る保護者への温かい思いが込められた本書。子どもの発達について「もしかして?」と感じた時、あなたの心を励まし、確かな知識と安心感を届けてくれるでしょう。「気になる子」の成長を学校全体で支える!『子ども主体ではじめよう!学校全体で取り組む多層型SST 気になる子が複数いる学級・学校が変わる』Upload By 発達ナビBOOKガイドSST(ソーシャルスキルトレーニング)は多くの学校で実施されていますが、大人の都合や、マジョリティにとっての「正しさ」をSSTの対象となる子どもに押しつけてしまう場面が起きがちではないでしょうか。これまで、対人関係の困難の原因は「その子自身のスキル不足」にあると捉えられてきました。しかし本書の著者である野口晃菜さんは、従来のSSTのあり方を見つめ直し、子どもたちを主体としたSSTにアップデートすることを提唱しています。「対人関係における困難さの要因は、その子のみでなく、その子とその子を取り巻く環境の相互作用の中にあるのではないか」と考えているからです。本書では、SSTを実施する際に大人が陥りやすい「3つの罠」を詳しく説明しています。また、周囲の人とお互いに気持ちよく過ごすためのソーシャルスキルは、一部の子どもたちだけに必要なものではありません。本書が示唆するのは、学校全体で取り組む「多層型SST」という視点です。すべての子どもを対象とした第1層のSSTと、個別のニーズに応じた第2層のSSTを組み合わせることで、「気になる子」を含むすべての子どもたちが、それぞれの力を伸ばせる環境づくりを目指していくというものです。「なぜ本人主体なのか」「導入のステップ」「具体的な支援」「効果的なアイデア」「実践の振り返り」などが解説され、さまざまな学校現場での実践事例も紹介されています。「うちのクラスには、少し支援が必要な子がいる」「もっと一人ひとりの気持ちに寄り添いたいけれど、何から始めればいいのだろう……」もし、そうした思いを抱える先生がいらっしゃったら、本書がきっと日々の実践におけるヒントを与えてくれるはずです。学童期から成人まで、教え子の人生に伴走してきた教師による30年間の家族の記録。『たすく自閉スペクトラム症の子と家族の物語』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、ASD(自閉スペクトラム症)の「たすく」君と、彼を育てる家族の30年間を綴った実話です。たすく君の幼少期から、双子の妹の結婚まで、4人家族が経験してきた日々の葛藤と、そこから見出した希望の光を丁寧に描き出しています。本書の著者である郡司竜平さんは、たすく君が小学校1年生の時に在籍していた特別支援学級の担任の先生でした。学童期という限られた時間の中で子どもたちと関わる教師や支援者にとって、その後の人生を長期にわたって見守る機会はほとんどありません。しかし郡司さんは、教師と生徒という関係を越えてたすく君と向き合う中で、彼の幼少期から青年期までの成長を見守ってきました。その成長の軌跡を伝えることで、子どもたちの将来を思い描きながら、今どのように関わっていくべきか考えることの大切さを教えてくれます。30歳になったたすく君は、グループホームで暮らしながら、社会福祉法人で働いています。たすく君と家族の物語は、今まさに子育てに向き合っている保護者の方、教員や支援者の方にとっても、日々の心の支えとなるのではないでしょうか。発達が気になる子どもと家族に寄り添う『発達が気になる幼児が療育センターを受診するとき 子どもの育ちと発達のみかた・かかわりかた』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、長年にわたり発達が気になる子どもと保護者の支援に携わってきた医師である著者・宮地泰士さんによる療育センターの受診ガイドです。療育センターとはどんな場所か、受診のきっかけ、初診の内容、発達障害の基礎知識、診断までの流れなどが、架空の事例「ケースレポート」を交えながら、専門家の温かいメッセージとともに分かりやすく解説されています。また、幼児期によくある言葉の遅れ、多動、癇癪、生活習慣の課題、就学先の選び方などの相談事例を通して、子ども特有の注意点や対応のヒントを探ることもできます。おなじみの名作から発達障害児支援のヒントを読み解くコラムも散りばめられ、療育センターで行われている具体的な支援についても詳しく解説。療育を勧められた保護者、園や学校の先生、支援者など、さまざまな立場の人々に確かな道筋を示してくれるでしょう。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年05月10日放課後等デイサービスの決定までに感じたことUpload By かさはらあやこ息子の就学に向けて、放課後等デイサービス(以降、放デイ)のことは年中になったぐらいの頃から頭の片隅にありましたが、本格的に気にし始めたのは年長の終わり頃でした。療育手帳A判定・知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子にとって、学校が終わったあとに安心して過ごせる場所と、私にとっても息子と離れて仕事をしたり休息をしたりする時間が必要なのは明らかでした。社会福祉士さんと相談をしながら進めていく中で、当初は「利用できないか、利用できたとしても週1回しか利用できないかもしれない」と言われていました。住んでいる自治体には当時、放デイが2つしかなく、そのうち1つは満員。重度の受け入れはしておらず、必然的に選択肢は1つだけでした。利用できたとしても週1回、ということは残りの日は13時半や14時に学校へ迎えに行き、自宅で過ごすことになります。学校がある日はまだしも、夏休みや冬休みなどの長期休みを考えたとき、どうやって過ごせばいいのか想像もつかず、頭の中が真っ白になり、しばらく憂鬱な気持ちが消えませんでした。もちろん、これはわが家だけの問題ではなく地域全体の制度や支援の限界もあると分かっていました。私だけが苦しいわけではないので、「なんとかしてください」とわがままを言うこともできず、どうにもならない現実に、悔しくて、悲しくて、何日も涙が止まりませんでした。放デイを探す上で大切にしたことUpload By かさはらあやこ選択肢が1つとはいえ、週1回でも通えるならと実際に見学へ行きました。本来であれば、利用している子どもたちの様子や、先生たちがどんな雰囲気で子どもたちに接しているかを見たり、支援の方針はどうか、どういう療育を行うのか、息子が安心して過ごせるかを一番に考えるのだろうと思います。当時の余裕がない私は、自分が1日でも休息できるならどんな場所でもと考えていました。ですが、見学時の先生たちはとても温かく、責任者の先生は息子の様子をしっかり見てくれて、私の話に親身に耳を傾け「大丈夫、この子は必ず成長します!お母さん、気になることや困ったことがあったら、なんでも言ってくださいね」と寄り添ってくれたことで、ここに通いたいという気持ちになりました。特別支援学級や、特別支援学校、さまざまなタイプの子どもたちが通っていたので、最初は「息子が馴染めるだろうか」という不安がありましたが、心配をよそに通い始めた息子はすぐに馴染み、学校が休みの日なども朝から楽しみにしている様子で送迎の車に喜んで乗って出発していき、機嫌よく帰ってきます。現在は週3回、下校時から17時までの利用(学校がお休みの日は9時から17時)ですが、それでも本当に助かっています。障害児育児をしていると、将来のことについてなど考えることが多く鬱々しくなりがちなのですが、放デイのおかげで気持ちに余裕ができリフレッシュすることで前向きに生活することができています。何より息子自身が楽しんでいるのが一番うれしいことです。また、先生たちが本当に素晴らしく、学校と家庭での様子をしっかり把握した上で息子にとってより良い支援を考えてくれます。例えば、オムツのサイズが合わずに漏れなどで悩んでいると息子にぴったりのサイズのものを探してくれたり、排泄について悩んでいるとトイトレを積極的に取り組んでくれたり。絵カードや写真などの視覚支援も学校の先生と同じタイミングで開始してくれるなど、しっかりと息子を見て接してくれていると感じることができます。次から次へと、おもちゃを散らかして遊ぶだけだった息子。「お片付けだよ!」と声を掛けると、おもちゃ箱におもちゃを片付けられるようになりました。家庭での困りごとを学校や放デイの先生と相談しながら取り組んだり、放デイでできるようになったことを家庭でもできるよう頑張ったり、そうした連携の大切さを改めて実感しています。もっと選択肢が増えてほしいUpload By かさはらあやこ週3回通えているだけでもありがたいのですが、自治体によっては週5回や土日の利用が可能なところもあります。そうした環境と比べると、やはり「もう少し選択肢があれば」と感じることがあります。例えば、放デイがない日は14時にお迎えに行き、自宅で過ごします。息子にとっては安心できる環境ですが、妹は習いごとに通うにも希望する習い事ではなく曜日や時間帯が合う習い事を選ぶしかなかったり、付き添いができないため友人に送迎をお願いしたり、家族の予定はかなり制限されてしまいます。また、転勤でこの町に来る人にとっては、そもそも放デイを利用できるのかどうかが大きな問題になりますし、慣れない土地で頼れる人も少ないなか、放課後の居場所が確保できない不安は計り知れません。この地域では、通いたいと希望して見学など早めに動いていたとしても、転勤族の調整などで年長の3月後半くらいまでは通えるかどうかが分からない状態が続くこともあり、それも課題の1つだと感じています。もちろん、すぐに増やすのは難しいことも理解していますが、それでも必要としている家庭がもっと安心して利用できる環境になってほしいと願わずにはいられません。執筆/かさはらあやこ(監修:鈴木先生より)自治体によって放課後等デイサービスに差があるのは今の日本社会における問題だと思っています。障がいに対するサポートに差があってはならないのです。まして療育手帳Aという重度の知的発達症のあるお子さんには手厚いサポートが必要です。例えば、主治医から指示書を出して看護師などが自宅を訪問し看護を行う「訪問看護」もあります。最近は神経発達症や知的発達症のお子さんも見られる事業所が増えてきていますので、一度住んでいる自治体に相談してみてはいかがでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月09日「多動・衝動性」と「親への愛着のなさ」に悩まされるわが家の一人息子おとは、軽度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)で、特別支援学級(知的固定級)に通う小学4年生です。おとが歩き出した時期は比較的遅く、1歳3か月のことでした。外出する際に私が手を繋ごうとしても、おとは嫌がって何度も私の手を振りほどき、手を繋いでくれませんでした。「危ないから手をつなぐよ」と何度声掛けしても、私の声はおとには届きません。仕方なく私はおとの手首を掴みます。しかし、気になる対象物を発見すると、おとは自分の手首を掴む私の手さえも勢いよく振りほどいて、対象物に猛ダッシュ、脱走しようとします。この「脱走」は、おとの気になる物が走行中の車である場合や、車道の向こう側にある物の場合もあり、本当に危険でした。Upload By ほかかほ先ほど「脱走」と書きましたが、この脱走の様子は、小さい子どもがテクテクかわいらしく走っていくような感じではありません。おとは自分の手をドリルのように回転させて私の手を器用にふりほどき、その後は何かにとりつかれたかのようなものすごい勢いと速さで、前のめりに、しかも左右に曲がりながらドリフトのような独特な走り方をするため、大変捕まえにくいことが特徴でした。なぜ手を繋がないのか?母の考察と4つの対策私は、おとが私と手を繋がない理由を3つ推測しました。1つ目は感覚過敏で、敏感な手のひらに私の手が触れる感覚が嫌だから。2つ目は、おとは人よりも物に対して凄まじい興味があったので、家の外にあるさまざまな対象物に惹かれてそれに夢中になっていたから。3つ目は、親への愛着が薄かったから。多くの定型発達児が抱く「親が近くにいないと怖い・不安」という感情は、当時のおとからは一切感じられませんでした。それを踏まえ、私は思いました。「このままでは、おとはいつか事故に遭ってしまう。命が危険だ」と。そこで私はおとと家の外を歩く時の対策を4つ考えました。Upload By ほかかほ対策その1バギーまずはおとに道を歩かせないようにしようと考え、家にあるバギーを使いました。おとはバギーにすんなり乗りこみますが、大人しく座っているわけではありません。バギーの上で左右に大きく揺れて感覚刺激を求めるため、私も支えきれず、何度も転倒していました。また私がバギーを押して移動して動いている時は良いのですが、止まると刺激がなくなるため、バギーのベルトを自力で外して脱走していました。そうこうしているうちにバギーは壊れました。対策その2抱っこ紐抱っこ紐はバギーに比べて目線が高くなるため、視覚優位のおとにとっては楽しそうでした。しかし飽きてくるとおとは身体を大きく反らせて抱っこ紐を出ようとし、そのまま頭から地面に落ちそうになることが何度かあり危険でした。また公園などで一度抱っこ紐から出してしまうとなかなか再度入ってはくれません。さらにおとは体重が重かったため、抱っこ紐の中でおとが無茶な動きをすると私の身体への負担は大きく、長時間の使用で私の肩や腰がきつくなるというデメリットもありました。そのため抱っこ紐は短時間の使用やおとが疲れて静かな時の移動に向いているアイテムでした。このような出来事が続いたあたりで、私は「おとは身体への強い刺激を求めている」ということになんとなく気づきました。対策その3子ども乗せ電動自転車子ども乗せ電動自転車はおとの特性に悩んで購入したわけではなく、当時住んでいた場所が街中だったため、車よりも小回りの利く自転車があると便利だなと思い購入しました。想定外でしたが、この電動自転車による刺激がおとにはとても合っていたらしく、うれしそうに静かに乗っていました。しかし自転車から降りたあとが問題でした。私がおとを乗せたまま自転車から降り、カギをかけたり荷物を降ろそうとすると、おとは刺激を求めて左右に揺れたりジャンプして自転車が倒れそうになります。そのためおとを先に自転車から降ろすのですが、そうすると脱走します。なので当時、自転車に載せられるコンパクトな簡易バギーを購入し、自転車を止めたらサッとバギーを広げ、そこにおとを乗せていました。簡易的なのでグラグラ揺れるバギーでしたが、感覚刺激を求めているおとにとっては揺れたほうが良いので、このバギーは重宝して、壊れるまで大活躍しました。対策その4迷子紐(子ども用ハーネス)上記に登場したバギー・抱っこ紐・自転車は「道を歩かせない」という点においては重宝するのですが、好奇心旺盛なおとからは「道を歩きたい」という意思を感じる時がしばしばありました。しかし道を歩かせるとやはり私の手を振りほどいて脱走してしまう。どうしたものかと考え、迷子紐(子ども用ハーネス)の購入を検討するようになりましたが、ここで私は悩みました。なぜ迷子紐の購入を迷ったか当時あるテレビ番組を見ていたところ、その番組内で迷子紐が討論の対象になり「賛成派」「反対派」が意見を繰り広げていました。反対派の人たちは「ペットじゃないんだから」「かわいそう」「あり得ない」「迷子紐じゃなくて、手を繋いであげようよ!」といった意見を主張していました。そして討論はうやむやに終わり、次のコーナーに移っていきました。これを見て私は「反対派」の主張の背景には、「発達特性や障害のある子に対する無知」とともに「子どもの尊厳に対する意識の高さからくる正義感」があるのではないかと感じました。それは仕方ないことなのですが、私が迷子紐をおとに使うことで、無知で正義感を持った人が何か言ってきたり、嫌な目で見てくるのではないか……と怖くなったのです。Upload By ほかかほ「迷子紐に文句を言ってくる人がおとの命を守ってくれるわけではない」そう思い、私は迷子紐を購入しました。街中で嫌な目で見られたり不思議そうにされることはありましたが、迷子紐は本当に使って良かったと思うアイテムです。手を繋ぐのは嫌がっていた当時のおとも、何種類か試したあとに気に入った迷子紐は、その後も嫌がらずに使用してくれました。おとと交通量の多い道を歩く時、お会計などでどうしてもおとの手を離さなけばならない時など、迷子紐によっておとは遠くへ走っていけなくなり、安全になりました。そして私も心に余裕が生まれました。特性の推移と現在Upload By ほかかほおとの場合、1歳半~2歳頃をピークに多動や衝動的な行動は徐々に減っていき、3~5歳頃には私と手を繋いで歩けるようになりました。しかしまだたまに私の手を振りほどいて脱走していたため、状況に応じて迷子紐を使用していました。迷子紐はコンパクトなので携帯しやすい点も良かったです。年長の夏頃になると、おとは私の手を振りほどいてどこかに行ってしまうことはなくなっていました。そしてその頃から、親への愛着や保育園や学校の先生に対する信頼感が、徐々におとから感じられるようになってきました。私の姿が見えないと不安を口にするようになり、少しずつ私に甘えるようになりました。保育園では分からないことがあると先生を頼り、不安な時は先生のそばにいたがるようになりました。小学校入学後は勝手に教室から出ていくことは一度もなく、先生を信頼している様子でした。おとが小学校2年生の時、私はおとから初めて「ママが大好き」と言われ、それ以降おとは私にたくさん甘えるようになりました。これまで私がいくら愛情表現をしてもおとからの反応は乏しかったのですが、自分の愛情はちゃんとおとに伝わっていたんだな……と、報われた思いがしました。障害や発達特性は十人十色ですが、子どもの命を守り、楽しく毎日を送るために、また親の気持ちのためにも、困りごとに対してさまざまなアプローチをしてみることは大切なことだと感じた一連の出来事でした。また子どもの反応が乏しくても、「親の愛情は子どもには伝わっているんだ」ということも感じた体験でした。執筆/かほ(監修:鈴木先生より)かほ様の愛情と努力が実って良かったですね。ただ、当時は必死だったと思います。迷子紐やバギーの対症療法以外に、身体への強い刺激を弱める方法としては、リハビリのOT(作業療法)で行う感覚統合訓練や外来での投薬という方法があります。これらは小児科医やかかりつけ医のセンス(知識と経験)の違いで保護者へのアドバイスが異なってきます。発達が専門の医者にとっては常識なのですが、学会でこのような症例が報告されると、必ずと言っていいほど感覚統合訓練や投薬の質問が出てきます。エビデンスがあるからです。ほかには、当クリニックでやっているようなMT(音楽療法)も情緒の安定や自己コントロールへの効果が期待されます。もし病院へ行く時間がない場合は、近所の公園の遊具やアスレチックで遊ばせることで多少なりとも「多動・衝動性」を抑えることが可能かと思われます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月08日ASD(自閉スペクトラム症)娘のお小遣い事情広汎性発達障害(ASD/自閉スペクトラム症)の娘は、中学2年生。娘は小学4年生から、お手伝いをしてスタンプをため、お小遣いを稼いでいました。その後、小学5年生の頃から頂いたお年玉の一部やお小遣いを定期的に娘に渡すことにし、スタンプをためるお小遣いシステムは止めましたが、お手伝い自体はそのまま続けてもらいました。そして、中学生になり、スマートフォンを持ったのですが……中学生になりスマートフォンを購入。使用ルールを設ける代わりに……スマートフォン購入時、私たちは使用ルールを特に設けませんでした。その代わりに、スマートフォン利用の仕組みについて話しました。Upload By SAKURAスマートフォンは購入したあとも、毎月使用料がかかり、お金が発生していること。娘はアルバイトをしていないため、自分で払うことはできないので、私たちがお金を払うことを話しました。そして、Upload By SAKURAお手伝いをしっかりすることがスマートフォンを持つ条件だと話しました。それからお手伝いは続けていたのですが、だんだんと……Upload By SAKURAお手伝いを嫌がったり…さぼるようになりました。時にはそんな気分にもなるだろうと、1、2回は様子を見ていたのですが、「さぼれる!」と思った娘は、そこからずるずるお手伝いから逃げるようになりました。これでは最初の約束が守られていないと思った私は、娘に話をしました。Upload By SAKURA娘は条件を忘れていたわけではありませんでしたが、めんどくさいという気持ちがどうしても勝ってしまうようでした。それでもスマートフォンを手放したくない娘。しかし、約束は約束。そこで私はこんなふうに話しました。Upload By SAKURA私は娘のことを話した時、よく「そんなことわざわざ教えなくても勝手に学ぶよ」と言われることがあります。しかし、「勝手に学ぶ」というのは、娘には通用しません。何も言われていない状況から何かを読み取ったり、自分で考えて行動することは苦手なのです。言わなくてもいいことも、言葉にして伝えることが必要なのです。私は常日頃から、「家があって、好きなものが食べられるのは、パパとママが一生懸命働いているから」ということを子どもたちに話しています。いつも通り生活ができることのありがたさを子どもたちにも理解し、働くということがどういうことか考えてほしいと思っているからです。Upload By SAKURAもちろん、親に恩義を感じさせるような威圧的な言い方はしませんし、時にはふざけた言い方もします。Upload By SAKURA働くというのは大変なこと、しかし働くことで生活ができます。もちろん例外があることも話しました。Upload By SAKURAASD(自閉スペクトラム症)のある娘は物事の見通しを立てるのが苦手です。私たちは、何事に関しても娘がこの先経験するであろうことは、その時が来る何年も前から話して聞かせ、イメージさせるようにしています。小学生になったら……中学生になったら……高校生になったら……大人になったら……働くようになったら……事前に話すことで、少しでも知識や精神面に関して準備ができればいいと思っているからです。娘がこの先、アルバイトをするかどうかは分かりませんが、アルバイトの一般的な常識は、自分の経験談を話したりしています。Upload By SAKURAスマートフォンの月額を私たちに払ってもらうため、今、娘がやっているお手伝いは、仕事のシミュレーションです。働いたら(お手伝いをしたら)、その分お金がもらえる(スマートフォンの月額にあてる)。体調が悪い時は、仕事(お手伝い)は休んでもいい。めんどくさくても、やらなければならない時もある。娘が大人になるまでに過ごす今は、準備期間ととらえ、いろんな学びを無理させずに楽しみながら……嫌な時は諭しながら……経験させたいと思っています。執筆/SAKURA(監修:室伏先生より)スマートフォンを持つことを単なる娯楽や便利な道具としてではなく、「お金を稼ぐことの大切さ」や「責任を伴うもの」として伝える機会にされたこと、またスマホの月額支払いを“仕事のシミュレーション”として捉えた工夫は非常に意義深く、家庭内でのリアルな学びの場をつくる素晴らしい実践だと感じました。こうした取り組みは、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんにとって抽象的で理解しづらい「将来像」や「仕事をするということ」を、具体的に実感できる貴重な経験になります。今後も娘さんが、成功体験を積みながら、生活に必要な力、自立に向かう力を蓄えていけるよう、心から応援しています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月07日通常学級・特別支援学級間の転籍や特別支援学校への転校の手続き方法は?専門家が転籍・転校の悩みにも回答!小学校入学前に就学相談などで通常学級、特別支援学級、特別支援学校などお子さまに合った就学先を決められたと思います。しかし、実際に入学したり学年が上がるにつれて「今のわが子にはこの在籍クラスで合っているの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。学習の困難や人間関係、環境などの理由から通常学級から特別支援学級へ、またその逆に特別支援学級から通常学級にクラスを移ることを「転籍」といいます。転籍や転校によって子どもの困り事が減ることも多くあります。このコラムでは、通常学級と特別支援学級間の「転籍」や、特別支援学級と特別支援学校間の「転校」の仕組み、専門家のコメントなどを紹介します。通常学級での支援は・通常学級での合理的配慮(通常学級に在籍しつつ個別の教育支援計画などを元に合理的配慮を受ける)・通級指導教室(特性や障害などによって授業に困難がある場合、困りごとに合わせて特定の時間だけ個別の指導を行う学級)の2種類があります。特別支援学級は学習や生活における困難を克服するための教育を行う学級となっており、発達障害の場合は知的障害の併存の有無にあわせて、「知的障害特別支援学級」「自閉症・情緒障害特別支援学級」から選択するのが一般的です。特別支援学校は心身に障害のある児童・生徒が通う学校で、幼稚部(一部の学校)・小学部・中学部・高等部があります。障害のある児童・生徒の自立を促すために必要な教育を受けることができるのが大きな特徴です。小中学校在籍時に「通常学級から特別支援学級(またはその逆)への転籍」「特別支援学級から特別支援学校(またはその逆)への転校」は可能です。転籍・転校を希望する場合にはまず、担任や特別支援教育コーディネーターに相談します。学校側は子ども本人や保護者の意向など聞き取りを行い、校内の就学支援委員会で検討がなされます。その後、市町村の教育委員会にその結果を報告し、教育委員会では子ども本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、専門家などの見解、学校や地域の状況などさまざまな観点から転籍を決定します。最終的に都道府県(もしくは政令指定都市)の教育委員会で決定がなされます。Upload By 発達障害のキホン転籍も転校も手順はほぼ一緒ですが、特別支援学級・特別支援学校間の転校の場合は通う場所自体が変わることになるので、学校見学や体験などを行い、より慎重な判断が必要とされます。※自治体によって転籍・転校の手続き内容は違います。まずは担任や特別支援教育コーディネーターに確認をしてみましょう「転籍・転校」したことある?悩みや決め手などは?発達ナビ内アンケート結果発達ナビ内でのみんなのアンケートにて「【通常学級?特別支援学級?特別支援学校?】お子さまの転籍・転校のエピソードをお聞かせください!」を実施しました。Upload By 発達障害のキホン転籍、転校をした方は約38%と一番多く、転籍、転校を考えたことがある・考えている(約35%)、転籍、転校を考えたことはない(約28%)と続きます。実際に転籍・転校をした、考えたことのある方は7割以上いる結果となりました。アンケートに寄せられたコメントをいくつかご紹介いたします。・転籍、転校をした(略)コロナ禍での突然の休校で、息子はパニックに陥り、癇癪や昼夜逆転、家庭内暴力がひどく出るようになりました。担当医とも相談し、児童精神科に9ヶ月間入院することに。小六の9月から、元の小学校に戻りました。コロナ禍以降の学校の様子は様変わりしていました。その環境の変化についていけず、息子は荒れてしまいました。また、院内学級では殆ど勉強する時間が無かったため、学習についていけず。毎日、学校で癇癪を起こし、私のところに連絡。早退する日々でした。中学進学を前に、小中学校と相談員、スクールカウンセラー、私達両親と面談。「中学では、更に環境の変化が激しく、常に担任が見守れる体制ではない(通常級)。支援級ならば、少人数制で担任が対応しやすいため、転籍してみては?」と勧められました。息子と私とで、中学の支援級を見学。息子は「静かな環境で、勉強を頑張りたい」との意向。中学からは支援級に転籍しました。(略)・転籍、転校をした通常学級で小学校入学。色々と困難さが出てきて、先生から検査をした方が…って勧められ検査をし自閉症スペクトラム障害・聴覚過敏・極度の偏食と診断。学校の配慮で支援級も通えるように。支援級では興奮することも無く穏やかに過ごせているって先生から話がありました。(略)※引用部分は読者の方からいただいた表記のまま記載をしております。※自閉症スペクトラム障害は、現在はASD(自閉スペクトラム症)と呼ばれるようになりました。※通常学級に在籍のまま特別支援学級に一時的に通えるようになる場合もありますが、学校の状況や判断によります。・転籍、転校を考えたことがある・考えているうちはADHD不注意型とSLD(書字と計算)の診断がついてる通常級の小6ですが、転籍するべきかどうかは毎年考えてます。今は放デイでの取り組みや服薬の甲斐もあり生活面での困りごとはほぼ改善してるので、転籍するとしたら学習面でどうにもならなくなった時かなと。転籍・転校の悩みについて専門家が回答!ここからは転籍、転校に関するお悩みを鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授の井上 雅彦先生に回答いただきます。Q:通常学級在籍で通級指導教室にも通う小4男子です。高学年になり勉強が難しくなり、算数などで解けない問題が増えてきました。宿題などもかなり時間がかかっていたので相談し減らしてもらいました。ですが、やはり通級だけでは厳しそうに思えます。息子に特別支援学級への転籍を持ち掛けたら「嫌だ!」の一点張り。息子の意思を尊重したいとは思っていますが、親はどこまで介入してよいのでしょうか。A:高学年になってからの転籍の場合、本人が特別支援学級での学びについてどのように理解し、受け止めているかが本人の意思決定の鍵になります。まず、本人に体験入級をしてもらい、感想を聞いたり、親子でメリット、デメリットなどについて話し合いをする中で納得して入級するのが良いとおもいます。Upload By 発達障害のキホンQ:年長で中度の知的障害のある子どもがいます。小学校の就学先を特別支援学級と特別支援学校で悩んでいます。教育委員会の方からは「保護者の希望するほうで大丈夫ですよ」と言われました。もしこの先転校をする場合、特別支援学級から特別支援学校に行く場合と特別支援学校から特別支援学級に行く場合のそれぞれのメリット、デメリットなどが知りたいです。A:特別支援学級から特別支援学校への転校は多いですが、特別支援学校から特別支援学級への転校はそれに比べると少ない傾向です。特別支援学級は通常学級との交流の機会が頻繁にあること、特別支援学校はより専門性の高い教育内容が得られることが特徴です。転校の方向性についての一般的なメリット、デメリットというよりもどちらの学校をスタートラインに考えるとその子どもに合っているかを重視すると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンQ:発達障害グレーゾーンの年長娘がいます。特別支援学級か、通常学級にするか迷っています。特別支援学級なら手厚い支援が受けられると思いますが、通常学級で頑張ることで伸びる部分もあるのではないかと思い……どちらでスタートしたほうが良いのでしょうか?A:本人やご家族の希望があるのでどちらが良いとは一概には言えませんが、高学年になり特別支援学級に転籍する場合、特別支援学級に対する本人のイメージなどから転籍に対してネガティブな感情が生じる場合もあります。入学当時から特別支援学級で学ぶことに対して、マイナスイメージを持たないようにしておくことが大切です。Upload By 発達障害のキホン転籍や転校など気になることがあれば、担任の先生や特別支援教育コーディネーターに相談をしてみましょう発達ナビでの「転籍・転校」アンケートでは、転籍・転校をした方、転籍・転校を考えている方は合わせて約7割ほどいる結果となりました。学習面、生活面、お子さんの希望など転籍や転校を考えるきっかけはさまざまですが、お子さんにとってより良い環境を整えるために、気になることなどあれば担任の先生や特別支援教育コーディネーターなどに聞いてみると良いでしょう。ここからは転籍や転校に関するコラムをご紹介します。さまざまなエピソードはお悩み解決の参考になるかもしれません。ぜひご覧ください。転籍・転校関連コラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年05月06日「発達障害当事者と非当事者の溝」とは?オールマイノリティプロジェクト代表 大島郁葉先生インタビュー発達障害の当事者が社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現を目指すAll Minorities Project(オールマイノリティプロジェクト)。2025年5月17日より、ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウムが開催されます。今回は、本プロジェクトの代表である千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 大島郁葉先生のインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビ編集部(以下――)オールマイノリティプロジェクト 2025年ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウムの開催、おめでとうございます!今回のテーマ「修復の練習:当事者と非当事者の溝を埋める」についてお伺いします。大島先生は研究者・支援者としての立場から、発達障害当事者の方と関わる機会が多いと思いますが、「発達障害当事者と非当事者の溝」とは、具体的にはどんなことがあげられるでしょうか?また、「修復の練習」という言葉に込められた思いを教えていただけますか?大島郁葉先生(以下大島先生):ご質問ありがとうございます。「発達障害当事者と非当事者の溝」とは、当事者性の差異について述べています。発達障害を頭で理解していることと、発達障害の方がその体験に基づきアイデンティティとして理解している感覚は、大きな温度差があるように思うからです。私は、当事者と非当事者の温度差があるという事実をお互いに認識したほうが、当事者の方とより率直な話し合いができるように思っています。また、非当事者がより謙虚な気持ちになって、当事者の体験に耳を傾けるきっかけにもなると思っています。「修復の練習」というタイトルは、本展示会のキュレーターである金澤韻さん(かなざわ こだま)さんが考案したものです。金澤韻さん(かなざわ こだま)さんプロフィール何か分かり合えないことがあって誤解を招いても修復可能性があるのだということを示したのだと思います。また、修復できなくてもそれはそれで構わないと私は思っています。多様性というのはそんなに楽しいものではなく、各々が努力を強いられることでもあるので、誰とでも無理してまで仲良くする必要はないし、距離をとったり、連絡を絶ったりする方法もあるのかなと思います。みんなで仲良くなろうという小学校教育の呪いのようなものを私たちは引きずらなくていいのかなと思っております。「修復の練習」シンポジウム、聴講のおすすめポイントは?――本シンポジウムには、精神科医の本田秀夫先生(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室教授)、当事者研究者の仲田真理子先生(筑波大学人間系助教)、和田恵先生(福島大学人間発達文化類講師)が登壇されるとのことで、どんなお話が聞けるのか大変楽しみです。第0部「イントロダクション」、第1部「私たちの身近にある分断と修復」、第2部「社会の中の修復を取り巻く課題」、第3部「修復の練習」という構成になっていますが、聴講のポイントや、どのような方に聴講をおすすめするか教えていただけますか?大島先生:ありがとうございます。私は司会なのですが、仲田先生と和田先生は研究者でもありますが当事者の立場でもあるので、かなりリアルな話が聴けるのではないでしょうか。この中にも出てきますが、発達障害のある人が無理をしない生活や価値観とはどんなものか、どうすれば自分の自然体を受け入れられるか、何を大事にして、何を捨ててきたか、社会的な価値観とのせめぎ合い……といった、濃い体験談がありますので、ぜひどのパートも楽しみに聴いていただけますとうれしいです。京都の古民家を貸し切り、第一線で活躍するキュレーターによる現代美術展としての楽しみ方も――今回はシンポジウムの開催と共に、現地参加イベントとして京都の古民家で展覧会が行われるそうですね。展覧会の見どころや、特にこだわった点などがあれば教えてください。大島先生:今回は現代美術の第一線でご活躍されているキュレーターの方をお呼びして企画していただいたので、美術展としてのクオリティの高さは担保されていると思います。また、東京ばかりではなく、京都にしたのは、一軒家を貸し切りで展示スペースとすることができて、ゆっくりとしたスペースで展示が可能なこと、その他、魅力的な美術の展示が多方で行われていること、いつも東京である必要がないから、などの理由があります。この展覧会では、オールマイノリティプロジェクトで紹介してきた漫画の描きおろしなどもありますのでご覧いただけますと幸いです。Upload By 発達ナビ編集部――最後に、「発達ナビ」をご覧いただいている皆さまへメッセージをお願いします。大島先生:発達ナビをご覧の皆様は、当事者の方や、当事者のご家族の方も多くいらっしゃるかと思います。世の中には発達障害のままではまずいからこうしなさい、こういう学習方法があります、といった不安を煽る方法でトレーニングをさせたがる支援施設が割とあると思います。発達障害との付き合い方は、少なくともそのような欠陥モデルで捉えない支援者を見つけることが第一歩ではないかと思っています。よい支援者に巡り合い、よくよく自分の特性について理解し、どんな生活が皆さんや皆さんのご家族がたのしくて幸せになるか、ということを一緒に考えていけることを祈っております。「修復の練習」の対談は、そのような皆様の良いヒントになり得ると思いますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。おわりに発達障害当事者やその家族(マイノリティ)として、日々の生活の中で孤独や生きづらさを感じることがあるかもしれません。非当事者(マジョリティ)中心に形成されてきたこの社会で、発達障害当事者が心地よく生きていくためには何が大切なのか、本シンポジウムを通じて思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。【詳細】オールマイノリティプロジェクト2025年ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウム開催日程:2025年5月17日(土)~2025年6月1日(日)・シンポジウム視聴方法:オンデマンド配信・ビジュアル展覧会「修復の練習」入場料:無料場所:The Terminal KYOTO(京都府京都市下京区新町通仏光寺下ル 岩戸山町424)(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年05月05日暗闇の中で1945年の広島の暮らしを体験する1989年にドイツで誕生した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、光を完全に遮断した空間で、視覚に頼らず人と出会い、対話を重ねる体験型プログラム。世界約50か国で800万人以上が参加してきたこのプロジェクトが、今年2025年の夏、被爆80年を迎える広島にやってきます。舞台となるのは、爆心地からわずか380メートルの場所に今も残る「旧日本銀行広島支店」。1945年の8月6日原爆投下後もすぐ銀行業務を再開し、市民の復興を支えた希望の象徴とも言える建物です。今回の体験は、視覚障害のある案内人とともに、参加者が8人ずつチームとなって、暗闇の中で1945年の広島の暮らしを体験する、というもの。その後、光のインスタレーションを経て、「平和とは何か」について語り合う対話の時間が設けられます。Upload By 発達ナビニュースまったく目が見えない状態だからこそ、「人を信じる」「声をかけ合う」「手を差し伸べる」という、シンプルで本質的なコミュニケーションが生まれるのです。「暗闇」の可能性──それは「怖い」ではなく「希望」Upload By 発達ナビニュース4月17日、広島市役所で行われた記者会見に登壇した案内人・川端美樹氏、通称“ミキティ”さんは広島出身。子どもの頃から視覚障害があり、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で20年以上アテンドを務めています。「私はずっと“視力が落ちる=できないことが増える”と思っていたんです。でも暗闇の中で人を案内する立場になったとき、これは“できることがある”って気づいた。不便ではあるけれど、不自由ではないと実感しました」彼女が語るエピソードの中には、子どもたちの可能性を感じさせるものも。「暗闇の中では、子どもたちの順応がとても早く、大人をサポートする場面も多いんです。普段“守られる側”と思われがちな存在が、頼れる存在に変わる。一緒にいたお母さまが子どもにはとても可能性があって、たくましいということに気づかれたりすることもあります」また、広島市 市民局 文化スポーツ部 文化振興課 尾高 直浩氏も「真っ暗な中での対話は、地位や肩書きのない、まっさらな関係を生み出す。“対等な対話こそが平和の本質”という理念に、心から共感した」と語りました。夏休みにおすすめ!平和を感じる旅へ──イベントへの参加方法とクラウドファンディング案内【広島・東京開催】この特別な体験平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」は、2025年8月に広島で開催されます。参加は無料で、7月1日から予約受付が開始され、10日間の会期中、計約600名が体験できる見込みです。また、2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)の間は、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」でも同時開催します。チケットを購入する際、備考欄があるので、お子さまが参加するにあたって心配なことがあれば、相談が可能です。また、このイベントを運営するにあたり、クラウドファンディングを実施中。2025年6月30日まで支援を募集中です。支援者には著名人との対話イベントなどの限定リターンも用意されています。ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介氏は語ります。「今回のテーマは“人はどんなときも人を信じきることができるか”。80年前のあの時、旧日銀の吉川智慧丸支店長が重傷を負っている身もいとわず、営業室に出て、常に『預金者に不安を与えてはならぬ、早く処理してあげよ』と市民の申告通りに現金を払い出した──そして、平時になって残高と比べると殆ど差はなかったのです。そんな信頼の奇跡が起きた場所で、“対話”の力をもう一度、信じてほしい」子どもも大人も、障害の有無も関係なく、誰もが「自分でいていい」と感じられる90分。ぜひこの夏、暗闇だからこそ見える“光”を体験してみてください。開催概要■平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」会期2025年8月2日(土)~11日(月・祝) 10日間会場旧日本銀行広島支店(広島県広島市中区袋町5-21)体験者数約640名体験料金無料ご予約方法専用のWebサイトより、事前お申込み※ご体験には事前予約が必要です。ご予約は、2025年7月上旬に開始予定です。■東京での開催概要多くの方にこの体験を届けるため、東京での同時開催も予定しています。会期2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)会場ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®️」(東京・竹芝)体験者人数約3,000名体験料金(税込)大人:3,850円中高生・大学・専門学生・大学院生:2,750円小学生:1,650円※クリックすると発達ナビのWebサイトから『平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」』のWebサイトに遷移します。※クリックすると発達ナビのWebサイトから『クラウドファンディング純度100%の暗闇で平和を語る。ダイアログ・イン・ザ・ダーク@広島』のWebサイトに遷移します。
2025年05月05日「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章・アキラ編スタート!その他、放デイや勉強のつまずきなど4月に公開したさまざまなエピソードを紹介!大人気だった「マンガ発達障害の子どもと私たち」の新章・アキラ編がスタート!1歳半健診の「経過観察」を楽観視していた保護者の方が「自閉症」という言葉を知った出来事とは……?その他10か所に断られた放デイ探し奮闘記、勉強のつまずきに対する配慮や学校との連携、発達ナビでの「勉強のつまずき」アンケート結果などさまざまなエピソードを紹介しています。発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。新たにアキラ編がスタート!5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたアキラくん。思い返すと1歳の頃から発語の遅れ、クレーン現象、呼んでも返事がない、ベビーカーの拒否などの兆候がありましたが、初めての子育てということもあり「そんなものなのかな」と気づかなかったとのことでした。しかし1歳半健診にて、周りの子の成長に驚き!保健師さんから「様子見ですね」と言われますが……「様子見」って一体どういうこと!?1歳半健診での「様子見」=「経過観察」を「様子を見ておけばいいのか」とそのままの言葉で受け取ってしまったM子さん。その後保健センターからの電話で受診を勧められましたが、診察の予約はなんと半年後!その間に少しでも言葉を増やそうと民間の知育教室(習い事)に通うことを決めましたが、アキラくんを見た先生から気になる言葉を聞きました。家に帰って調べてみるとそこには「自閉スペクトラム症」の文字が……!?就学前から探し始めた放課後等デイサービスでしたが、なんと候補だった10か所全てほぼ満員で門前払い状態!候補がすべて「空きがない」「いつ空くか分からないけれど待つしかない」という状態だったので、入学に合わせて放課後等デイサービスに通うことは断念せざるを得ませんでした。しかし学校に慣れた1年後、再び探し始め……。放課後等デイサービスを探すポイントなど、参考になりそうです。小学校に入学後宿題、学習の壁に直面したADHD(注意欠如多動症)の息子さん。スモールステップでできることを積み上げていこうと、できること、できないことを見極める作業は驚きの連続で……!?特につまずきのあった国語と算数をどのようにサポートしていったのかの具体的な手立てや、学校との連携の様子など、現在中学2年生になった息子さんの様子と共に振り返って頂きました。小学校1年生の6月頃、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた娘さん。幼稚園時代は外でのびのびと遊んでいましたが、小学校へ入学するとすぐ「国語」で大きくつまずいてしまいます。文字を書こうとすると手が震えるようになった娘さんの様子を見て担任の先生に相談することにしました。宿題を減らそうと提案する先生に対して「みんなと違うことをしていいの?ズルになってしまう」と娘さんは泣き出してしまいます。そんな娘さんに先生がかけた言葉は……。発達ナビでは、会員のみなさまに『【勉強などのつまずきアンケート】どの科目でつまずいた?体育、算数、国語などへの取り組み、どう工夫した?』を実施、64名から回答をいただきました。苦手な教科やそれに対する気づき、支援・合理的配慮の実施、そしてその後の変化までをたどった具体的なお話も満載です。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月04日「こんな子に育ってくれたらいいな……」親のエゴで習わせ始めたリトミックでいきなり出鼻をくじかれる(汗)コチ丸が保育園の年少に上がる前、私は早くも「何か習い事はできないかな」と考えていました。最初に体験教室に連れて行ったのはリトミックでした。私自身、幼稚園の頃からピアノを20年くらい習っており、その後もバンド活動をしたり、好きなアーティストのライブに通っていたりと、音楽は私の中で生活と切っては切れないもので、音楽が好きな子になると良いなぁという親の勝手なエゴと安易な考えからでした(笑)。同時にリトミックなら「周りの友だちとも協調性ができるのではないかな」と、期待もありました。私自身が幼稚園〜中学生頃まで場面緘黙で学校では一切口をきけず、友だちをつくることができなかったという経験があり、わが子には、早いうちから人との関わりに慣れてほしいという願いもありました。実際に教室に行ってみると、コチ丸は私の横から頑なに離れることなく、1か月間あった体験教室は一度も友だちの輪に入ることなく終了しました(汗)。その後、精神的な強さや礼儀の大切さが身につきそうな柔道はどうかと思い、そちらにも体験教室に行ってみましたが、やはり1か月、コチ丸は私の隣から離れることはなく、ずっと泣き通しの地獄絵図のような時間を親子で過ごすのみ……。柔道も続けることはあきらめ、習い事への淡い夢は、私の中でそっと幕を下ろしました。Upload By あき当時まだ、コチ丸は発達障害の診断も受けておらず、「じっとできない子」という程度にしか捉えていなかった私には、思い通りにいかなかったこの習い事への挫折はなかなか大きなものでした。1か月もあれば、スタートがコチ丸と同じような状態でも、大体の子は少しずつ輪の中に入っていくのですが、コチ丸の頑固さといったら……。でも周りの変化に敏感なコチ丸にしてみたら、知らない環境に突然入れられて、苦痛で仕方なかったことと思います。もう少し後だったら、本人の意思も聞かず、私の希望だけで決めるなんてことはしないのですが、当時はやっぱり、初めての子育てに「こんなふうに育ってくれたらいいな」という夢もあったんだと思います。今となってはそんなことに必死だったなんて……と過去の自分を笑い飛ばせますが、当時は理想と現実とのギャップに相当疲弊していました。自分の意思で始めた剣道。レールに収まるのはやっぱり苦手……その後、コチ丸は小学生になり、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。ちょうどその頃、コチ丸が「剣道を習いたい」と自発的に言い出しました。学校にも行かなくなりつつあった頃だったので、何か外との接点が持てることがあればと思い、当時通っていた小学校の体育館を借りて、練習を行っている道場に通い始めました。同級生の子も何人か習っていたので、ちょっとやってみるか……と言う軽い気持ちで始めてみました。保育園の頃のように周りに馴染めないということもなく、友だちもすぐでき、自分がやりたいと始めたことだったので最初は楽しそうにやっていました。が、入った後に知ったのですが、そこは全国大会を目指しているような、かなり本気な道場だったのでした(大汗)。先生も厳しく、親同士の上下関係、体調が悪くても休みづらい稽古……。もともと体育会系でもなかった私ですがコチ丸の意思があるなら、と気合いだけで続けておりました。しかし、先に根をあげたのはコチ丸のほうでした(笑)。毎回習い事の始まる頃になるとお腹が痛くなりはじめ、行きたくないと言い出すのですが、先に書いた通り、体調が悪くても休みづらい道場。週4回の練習のたびに「今日は体調が悪くて……」と連絡をすることが苦痛で仕方なかったです。コチ丸は剣を持つことは好きでしたが、ガチガチに決められたプログラムの中で教えてもらうことやバテバテになるほどやりたいわけではないようでした。何万円もかけて防具を一式買い揃えましたが、1年も経たないうちに終了しました。私も、強い言葉で生徒たちの自尊心を傷つけるような昔ながらの指導法に違和感を持っていたので、私たち親子にとってはすぐ辞めて正解だったのかなと思っています。自由人な2人にはガチガチに固められたプログラムや上下関係のキツさは合わなかったんだと思います(笑)。Upload By あきそのほかにも、習い事の定番ですが、小2の頃からスイミングも習い始めました。こちらは4年ほど続け、大きく何かが変わったということもないのですが、級が上がればそれなりにうれしかったようですし、泳げるようになったのは良かったのではないかなと思っています。学校を休んでいても、スイミングで週1回は必ず体を動かすことができたので、運動にもなっていたと思います。好きなことをとことん!先生との相性もマッチして、自分の人生を生きていくための武器に!剣道をやめてしばらく経ち、次にコチ丸が習いたいと言い出したのはドラムでした。小学校の先生から、音楽の時間に「コチ丸くんはリズム感もあるしドラムをやったら?」と言われたらしく「やってみたい!」という本人の希望から始まったものでした。ドラムを始めたのはコチ丸が小6の時で、その頃にはほぼ小学校には行っていませんでした。私としては、剣道と同じく外への接点を持ってほしいという思いもありましたが、それ以上に音楽は世界共通のものなので、どこにでも持っていける武器になるという期待もありました。コチ丸はドラムを中学卒業まで習いました。何が良かったかと振り返ると、一番は先生との相性だと思います。先生はとても穏やかな方で、音楽の趣味もコチ丸とあっていたので「次何やる?」と言われた時にコチ丸の持ってくるマニアック(笑)な曲にも対応してくれ、練習を怠っても怒ることもなく、穏やかにその時やれることを教えてくれていたようです。好きなことを好きなように、無理なく。自分の興味関心を黙々と追求するコチ丸には合っていたのかもしれません。Upload By あきそして、そこそこドラムが叩けるようになってくると、どんどん夢中になって、自分でスタジオを借りて練習するまでになりました。中学では軽音楽部に入り、先輩たちに混じって活躍しました。勉強は本当にできませんでしたが、ドラムという趣味と特技を一つ持ったおかげで、コチ丸は小学校の時から失いつつあった自信を取り戻し、自分が周囲に必要とされる存在だと思えるようになり、自己肯定感も上がりました。高校に入って北海道に行くためにドラムを習うことは辞めましたが、ドラムは学校まで送り(送料……汗)、今でも文化祭の時期になると大活躍しています。Upload By あき執筆/あき(監修:藤井先生より)あきさんがコチ丸さんのために良かれと始めた習い事は、年齢が幼いこともあり、長続きしなかったようですが、それがあったからこそ、コチ丸さんが自分で好きな習い事にたどり着けたような気がします。社会性を少しでも身につけさせたいとチーム競技の習い事に入れたり、体力をつけるために運動をと思っても、それはお子さんの気持ちがあってこそのことです。また、指導にあたる先生の方針と、親御さんが習い事に求めること、お子さんが習い事で求めることがなるべく同じ方向を向いているのが望ましいと思います。ドラムを通じて、文化祭で活躍するまでに成長された姿がとても良いと思いながら読みました。ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月03日初めての知能検査の結果はIQ52。軽度知的障害と診断され、療育手帳を取得Upload By プクティ長男が知的障害(知的発達症)の診断を受けたのは幼稚園年中の時でした。年少の最後の親子面談で、担任の先生から集団行動を取れないことを指摘され、療育を勧められたことがきっかけでした。長男が幼稚園に入る3歳までは自宅保育で育てていて、集団行動をとる機会もなかったためか、特に育てにくさを感じたことはありませんでした。3歳児健診でも指摘はなかったので、面談で療育の話をされた時には非常に驚き、ショックも大きかったです。その後、発達支援センターに療育の相談をする中で、長男は知能検査を受けることになりました。検査は臨床心理士の方と息子の一対一で行われましたが、検査に集中できていない様子が隣の部屋で待機していても感じとれました。集中すればもっと理解力も高いはず……と検査結果をすぐに受け入れることはできませんでした。Upload By プクティしかし、その後医師から軽度知的障害(知的発達症)の診断を受け、療育手帳を発行してもらってからは徐々に受け入れられるようになりました。療育手帳を持っていることで支援を受けられる安心感が得られたり、公共機関などでも優遇していただけたり、助かったことも多くありました。就学相談でぶつかった新たな壁。学ぶ環境を選ぶために受けた再検査Upload By プクティところが、長男が年長になり就学相談を受けると、今度は別の問題に直面しました。私たちが住んでいる自治体では、療育手帳をもっている子どもは自閉症・情緒障害特別支援学級に入ることができず、長男の場合は知的障害特別支援学級か通常学級の二択となると告げられたのです(入級の基準は自治体によって異なります)。私たち両親は、こだわりの強さや見通し不安、感覚過敏などの特性がある長男には、自閉症・情緒障害特別支援学級の環境が合っていると考えていました。療育に通っていたことで成長した部分も多くあるし、理解力は確実に高まっていると感じていたので、もう一度知能検査を受けることを決断しました。2度目の知能検査の結果は……Upload By プクティ2度目の知能検査の結果、IQ100と数値は大きく変わっていました。そのため、就学先として知的障害特別支援学級の選択肢がなくなり、代わりに自閉症・情緒障害支援学級を選べる可能性が出てきました。就学相談では、IQの数値から通常学級を勧められましたが、大急ぎで準備した療育先の意見書や「ASD(自閉スペクトラム症)の疑いあり」の診断書を提出したことが功を奏したのか、自閉症・情緒障害特別支援学級への就学が決定しました。Upload By プクティこの4月で自閉症・情緒障害特別支援学級の2年生となった長男。担任の先生から学校での様子を聞くかぎり、もし通常学級に進学していたら、集中できず集団授業についていくことは難しかったように思います。特別支援学級の環境がとても合っているようで、今は勉強の遅れもなく、本人に合ったペースで学校生活を楽しく送ることができています。結果として、長男は知的障害(知的発達症)の診断基準から外れたために、療育手帳は返納することになりました。今まで受けられていた支援が受けられなくなってしまう心配もありましたが、日々着実に成長してくれていることがうれしく、今後も長男に合った道で負担なく進んでいってくれたらいいなと考えています。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)プクティさん、お子さんの診断から就学までの経過を共有くださり、ありがとうございました。同じような経験をされているご家庭にも大きな励みになる内容だと感じました。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんでは、言葉の発達がゆっくりであることが多く、3~4歳頃の知能検査では言語能力の影響を強く受け、IQが実際の知的能力を反映しきれないことがあります。とくに、知能検査は言語能力への依存度が高い検査が多いため、言語が未発達な時期には“知的障害(知的発達症)”の診断となり、その後言語能力がキャッチアップしてくると、IQが知的障害(知的発達症)の基準を満たさなくなることも決して珍しくありません。知能検査は同じ検査を繰り返す場合には、検査内容を覚えていると能力が正しく結果に反映されないため、ある程度の間隔をあけて行う必要があり(例えば2年以上など)、頻繁に再検査をする必要もありませんが、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんで言語能力が伸びている場合には、就学前に再度検査を行うことが望ましいです。今回、就学前に言語能力の伸びをふまえて再検査を受けられたこと、そしてその結果をもとにより適切な学級を選択されたご判断、療育先の意見書や医師の診断書を丁寧に揃えて対応されたご努力は、本当に素晴らしいです。現在の学級環境がお子さんに合っており、楽しく通学できているという事実が何よりの成果ですね。今後も、お子さんが適切な支援を受けながら、ご自身の特性やペースに合わせて楽しく学んでいけますように、応援しております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月02日春は子どもたちが荒れやすい?春は、わが家の子どもたちが荒れやすい季節。3人全員が発達の特性があるわが家の子どもたち。中2の長女「姉子」はASD(自閉スペクトラム症)、知的ボーダー、場面緘黙、小5の長男「ハジュ」はASD、ADHD(注意欠如多動症)、小3の次女「にの」は発達グレー。なかでもハジュは環境の変化にとても敏感なタイプ。進級だけでもドキドキなのに、担任の先生も変わって、クラスの雰囲気も少し変わって……。そんななか、ハジュのテンションはなぜか爆上がり。多動が強くなり、夜中も寝ぼけて家の中をウロウロしたり、寝言なのに「起きてるの?」というレベルで喋っていたり。姉子も似たような感じで、楽しそうに笑っていたかと思えば次の瞬間涙がポロポロ。にのは、少し手が当たった、のような些細なことでもへそを曲げて叫んだり周りに当たり散らす……いやもうカオス。荒れるのは、その子のせいじゃないでも、これって「その子のせい」ではないのです。春は子どもにとって想像以上にストレスフルな季節。前置きが長くなりましたが、だからこそ家族や学校でその荒波を乗り越える準備をしておくことが大事だと思うのです。まずは先生との連携強化わが家が毎年この季節にやっているのは、まず先生との連携強化。特別支援学級に通うハジュには、学校から「実態把握シート(※)」という書類が配られるので、そこに子どもの困りごとや家庭での様子をほぼ埋まるくらいびっしりと書き込みます。「いま興味があること」「不安定になるサイン」「今年度の目標」などを、なるべく具体的に。新しい先生にとっても、子どもの情報はあればあるだけありがたいはず。保護者としても事前に知っておいてもらえるだけで、安心感が全然違います。(※)自治体によって名称が異なりますUpload By スパ山それから、もう一つ大事なのが「頼れる人」をつくっておくこと。担任の先生でもいいしスクールカウンセラーの先生でもOK。「この人に相談すれば大丈夫」という存在があるだけで親も子もすごく心強い。特にわが家の子どもたちのようなタイプは、気持ちの安定がとても重要なので、安心できる大人の存在は本当に貴重なのです。Upload By スパ山できないことより、できたことに拍手を家ではとにかく「発散」と「受け止め」を意識。どうしてもつい、「前はできてたのに、またダメだった」とか「約束したのに守れなかった」など「できなかったこと」に目が行きがちです。でもこれは……そう「春のせい」!そう思うだけで私はちょっと気が楽になります。できなかったことよりも、できたことに注目して、「今朝自分で靴下はけたね」とか「帰ってきてちょっと休憩できたね」とか、ほんの小さなことでもOKだと思います。もし何もできなかったとしても、「大丈夫、大丈夫、春はそういうものだからさ」と声をかけて受け止めてあげる。それだけでも子どもにとっては安心につながると思います。Upload By スパ山うまくいかなくてもいいもちろん、親だってこの時期疲れます。子どもたちのペースに合わせて、ルーティンが崩れないように見通しを立ててあげて、声かけをして……って本当に大変だと思います。でも私の経験上、ここで頑張っておくと一年間がすごく過ごしやすくなります。そしてみんなに伝えたいのは、「ひとりじゃないよ」ということ。春のスタートダッシュに出遅れても大丈夫。荒れてもいい。うまくいかなくてもいい。このコラムが、そんな春のバタバタの中で「ああ、うちだけじゃないんだ」と思えるきっかけになっていたらうれしいです。Upload By スパ山執筆/スパ山(監修:初川先生より)春に大切なことのお話をありがとうございます。変化の多い春。変化に苦手な子は多くいますが、変化の気配を感じる段階(時期でいうと、例えば年が明けたころ)から、なんかそわそわしたり、いずれ来る別れの時期を恐れたりとどうにも調子が狂うことがあるように感じます。今年はそこに寒暖差も加わって、体調を管理することも難儀な春でした。大人も子どもたちも本当にお疲れ様です、疲れましたねとねぎらいたいところです。ASD(自閉スペクトラム症)など変化を好まない、安定こそ安心と感じやすい方々にとっては、春は鬼門です。「春のせい」はあながち間違っておらず、苦手な状況にしばらくいたら、それはいつも通りのパフォーマンスが発揮できなくても何もおかしくはありません。そんな中で、スパ山さんに今回ご紹介いただいたような工夫や心持ちはとても参考になることと思います。できることをする。そして、いつもよりも小さな目盛りで子どものできていることを探し、自分もお子さんも地に足をつけていく(イメージ)。クラスや担任、あるいは学校や職場といった年度替わりで変化した事柄に一気に慣れようとしなくても大丈夫です。徐々に慣れていけばいい。しかしながら、1年かけて慣れてきた結果である3学期ごろのパフォーマンスや、やりやすさを、つい、人はすぐに求めようとしてしまいますね。春は、これまで冬の間静かに寒さを耐えてきた植物が芽吹き、花が一斉に咲き始める時期でもあります。疲れやすい“変化の時期”ながら、周りを見渡し、花々の美しさ、芽吹く緑のみずみずしさを意図的に探すなどして、ふっと肩の力を抜く心がけをしていきたいものですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月01日赤ちゃんの頃から感覚過敏や激しい人見知りなど、気になるところはあった。でも目が合うし、よく笑っている。だから発達障害ではないと思っていたけれど……!?たーちゃんが赤ちゃんの頃は、・何かを身に着けることが苦手・人見知りや場所見知りが激しい・落ち着きがないなどが気になって、よくインターネットで検索をしていました。「以上のような行動をとる赤ちゃんは発達障害かも?」という記事も見つけ、心配になったこともありました。さらに、インターネットの記事でASD(自閉スペクトラム症)の赤ちゃんの特徴として・目線が合わない・笑わないという点も見かけました。しかし、1歳頃のたーちゃんには、この二点は当てはまらなかったのです。まだ診断を受けたり児童発達支援に通ったりすることが難しい年齢ということもあり、「ASD(自閉スペクトラム症)の特徴全てに当てはまらないなら、思い過ごしだ」と考えるようにしていました。Upload By みかみかん目が合うといっても、ほかの子とは違う?少しずつ増えていく違和感。ほかの子の目が合うは、じっと見つめて、表情豊かだった発達に気になるところはあるけれど、決定打らしいものはなく支援に繋がったり受診をしたりすることもなく、支援センターや児童館に通いながら自宅保育を続けていました。しかし、そこである日、あることに気がつきます。たーちゃんは目が合う。……けれど、ほかのお子さんのように興味深そうにじっと大人の顔を覗き込んだり表情を窺ったりすることはない、ということに。たーちゃんの目が合うは、ぼうっとこちらを見ている、たまたま顔があったからなんとなく見ている。そのように感じられました。大人の顔を見ていても、何かを考えたり表情を読み取ったりはしていないような表情だな、とほかのお子さんと比べて思ってしまいました。言葉で説明するのも難しいような、ちょっとした違和感です。Upload By みかみかん発達障害なの?違うの?揺れ動く気持ち……目が合うという点も怪しく感じてきたのと時を同じくして、発達で気になるところが徐々に目立ってきました。しかし、たーちゃんのことを知っている友人や知人に話しても、「え?たーちゃんが発達障害?気にしすぎじゃない?」とばかり言われていました。「私が気にし過ぎなのかな……?」「いや、保護者の私が気にしないと。自分の勘も大切にしよう」「でも、私の杞憂だといいな……」と、私の気持ちは波のように揺れ動いていました。バイバイしない、クレーン現象、意味のある単語が出ない……。わが子がASD(自閉スペクトラム症)かもしれない。でも、受容できない。発達を気にしながらも日々を過ごしていた1歳頃のある日。ショックなことが起こります。エレベーターでたまたま乗り合わせたご年配の方が、抱っこ紐の中の息子に笑いかけ、手を振っていました。しかし、その頃の息子はまだバイバイができませんでした。すると……「これくらいの子なら、バイバイくらいできなきゃ」と会って1分もしないその方から言われてしまったのです。うすうす勘づいていた、「発達障害かもしれない」という事実をドンと突きつけられた気持ちでした。失礼な人だとも思いましたが、怒るよりまずショックが勝ってしまいました。Upload By みかみかんさらに、たーちゃんは意味のある単語がなかなか出てきませんでした。1歳半で発語はワンワンのみ。いよいよ焦ってきた私は、たくさん本を読んだり、二人きりでもなるべく話しかけたり、たーちゃんの言葉を引き出そうとしていました。例えば、お菓子がほしいのだろうな、ということは表情や身振りで分かっていても、「何がほしいの?」と聞いてみたりもして。何も答えられないたーちゃんに、「お菓子ちょうだい、だね」などと根気強く教えていました。しかし、ある日。同じような状況で初めて、たーちゃんが私の手を取ってお菓子のほうへ持っていったのです。クレーン現象。発達関係の記事で何度も見かけていた言葉が、すぐ私の頭をよぎりました。それが発達障害に関係なく幼児にはよくある行動だと分かっていても、「あぁ、やっぱり発達障害なんだ」とまたもやショックを受けてしまいました。Upload By みかみかんその後、2歳半で診断を受けて……。インターネットの記事を鵜呑みにするのではなく、保護者目線で気になるところを大事にしてほしい。結局、たーちゃんは2歳半で発達外来を受診し、知的障害(知的発達症)のないASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。その頃はすでに私の心構えができていたので、「やっぱり発達障害だったんだ。間違ってなかった」と安堵に近い気持ちでした。赤ちゃんの頃はまだ私の心の準備ができていなくて、「目が合うし、よく笑うからASD(自閉スペクトラム症)じゃない」と自分に言い聞かせていたのかもしれません。1年かけて、ゆっくりとたーちゃんの特性を受容していったのだと思います。「発達障害の赤ちゃんによく見られる特徴」などが、よくインターネットの記事にあります。しかし、全てはあてはまらない=発達障害ではないと決められるものではなく、逆に、全てあてはまっても発達障害ではないお子さんもいらっしゃるかと思います。また、保護者目線で気になるなと思ったところは大事にしてほしいなと思います。一番近くでお子さんを見ているからこそ気がつく、些細なことが大切だったりするかもしれません。そして、やはり心配なところがあるならば専門の方に診てもらうのがよいとは思いますが、保護者の方の心の準備が整ってからでもいいと、私は思います。執筆/みかみかん(監修:初川先生より)たーちゃん乳幼児期における発達障害かどうかで揺れ動く思い、そして診断を受けての思いのシェアをありがとうございます。今はさまざまな情報がネットで目に入りやすい時代なので、項目を見てあてはまる・あてはまらないと一喜一憂する方もいらっしゃることと思います。最後にみかみかんさんが書かれていたように、保護者目線で(つまり日々お子さんと接している保護者としての勘どころとして)ちょっとした違和感がある場合、それを大事にしていただきたいなと感じます。発達障害かどうかそのものが大事というよりも、お子さんの育ちはそれぞれ個人差がありますが、それにしても何かがゆっくりであったり、できないことがある場合、感覚的な過敏や鈍麻がある場合、子育てにおいて保護者が悩んだり、お子さんが集団生活に入るにあたってつらさを感じたりするかもしれません。発達障害という診断が出たり、あるいはそうかもしれないと感じて支援機関につながったりする中で、そうした特性を持つお子さんにとって、成長促進的な関わりや環境調整を知ることができたり、そうしたお子さんとコミュニケーションを取るコツを体得しやすくなったりすることと思います。受診や診断に至ることには心のハードルを感じる場合も多いと思います。違和感を持ちながら、あるいは不安を感じながらも、日々の子育ては続いていくもの。子育てにおいて、そうした保護者の方の違和感や不安をきっかけに、そうしたものを一緒に抱えてくださる機関や支援者とつながれる機会になるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月01日発達障害の子どもの「勉強のつまずき」アンケート結果は?発達ナビでは、2025年1月「勉強などのつまずき」に関するアンケートを会員の皆さまに実施し、64名からご回答をいただきました。アンケート結果はこちらです。Upload By ユーザー体験談算数(数学)…36%国語…28%理科(生活)…3%社会(生活)…0%体育 …11%図工(美術)…5%英語 …6%その他 …11%一番多かったのは算数(数学)。36%の方がつまずいたと答えられました。続いて、28%の国語、11%の方が体育と回答しています。「工夫をして計算しよう」が鬼門中の鬼門問題文の意味が理解できなかったり、自己流解釈してしまうので解けずにパニック。(解説すれば解ける)応用力がないので「工夫をして計算しよう」が鬼門中の鬼門。計算は数をこなせば慣れると思っていたので、何度も繰り返し解かせていましたが、すぐ気が散り間違いも増えました。逆に1〜3問だけ集中して解くということにしたら終わりが見えるので頑張ってくれてます。「は」と「わ」、「ば」と「ぱ」の読み間違いが……息子は、筆圧が弱く、又、文字のバランスが悪くて困りました。音読も、行を飛ばしたり、「は」と「わ」を間違えて読んだり、「ば」と「ぱ」等の読み間違いが多かったです。注意すると癇癪を起こし…。本当に親子で疲弊していました。支援級になってからは、クラスでは使用出来なかった、読み上げのタブレット等を使い大分軽減しましたが…。空間把握が苦手で筆算のケタがずれてしまう空間把握が苦手で、かけ算・わり算の桁数が増えた時に筆算のケタを縦に揃えて書くのが難しかったので、家では大きいマスに計算記号や線を予め書きこんでおくなどの支援をしていました。また、ワークは最初の方の問題だけ答えを薄く書いてあげると(子どもはなぞるだけ)、やり始めの敷居を下げることができるようでした。九九の6の段~9の段がまともに使えるようになってきたのは、小5の後半(つい最近)です。現在は引き算は指を使わなくても暗算できる、割り算は割る数が1ケタなら解ける、かけ算は2桁の暗算もまあまあいけるくらいにはなりました。そのため、図形の面積や角度、単位あたりの量の計算のような具体性が高い単元については、思ったよりも追いついてきてるかなという印象です。アルファベットは鏡文字に英語だけはどうにもなりません。アルファベットも鏡文字で書いたりします。LDだろうと言われているのに、先生には「勉強不足」と言われてしまいます。個別指導の塾を勧めても、何がどうあってもイヤだと言って行きません。お医者さんには「今は翻訳ソフトとかあって困らないから、英語は捨てていい」と言われました。教科書、問題集だけでは理解できないので、AIにわからないところを聞いて一生懸命勉強しています。皆さんお子さまがどこにつまずいているのか、しっかり理解され支援している様子が伺われました。次章では、寄せられたエピソードをもとにした体験談をご紹介します。ひらがな、漢字、書字への困難……配慮の具体例も。3家庭の体験談をご紹介小学1年生の5月の終わり、音読宿題で娘さんが「あ」が読めないことに気づいたハツネさん。「これは『あ』だよ」と教えても、「分からないよ!」とパニックになる様子に「これはなにかあるかも」と不安を感じ……。それから診断、支援につながるまでと学校で対応してもらう合理的配慮について具体的に教えていただきました。6歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたなのさんの息子さんは、漢字を読むのは得意な一方、書くことや文章の読解に困りがありました。小学校2年生頃から、たくさん漢字の練習しても翌日には全部忘れてしまい、「思い出そうとしてもはっきり思い出せない!書けない!」と大泣きしたことも。覚えられない理由は「認知の偏り」ではないかと気づかれ、息子さんにあった学び方を導入、学校でも合理的配慮を求めて……。そして、中学生になった現在の学びについても教えていただきました。小学校入学後のGW明け頃から手の震えや字が書けなくなるようになった投稿者の娘さん。泣きながら宿題に取り組む娘の姿に、保護者も胸を痛めていました。担任の先生と連携し、宿題を減らそうとしたら、「みんなと違うことをしていいの?ズルになってしまう」娘さんは泣いてしまって……。この体験談では、小、中、高、そして大学合格にいたるまでの国語への取り組みの変化を共有いただきました。お子さん一人ひとりのペースで、無理のない学びの形を今回ご紹介した体験談は、「困りごと」があっても、支援や配慮、そして何より周囲の理解があれば、子どもたちは自分らしく学びを進めていけることを教えてくれました。大切なのは勉強につまずいたとき「なぜつまずいているのか」を丁寧に見ていくことなのかもしれませんね。焦らず、比べず、お子さんのペースで進んでいけますように。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月30日なんとなく始めた卓球部、中学生活はまさかの理由で遅刻を連発Upload By もっつんタクは中学校から卓球部に入部しました。なんとなく面白そうという軽い気持ちで入部を決めたようです。今まで触ったこともない卓球をいきなり始めると聞いた時はびっくりしましたが、顧問の先生が特別支援にも精通したベテランの先生だったこともありタクの挑戦を応援しようと考えました。タクが中学校になる頃、数年習っていたダンス教室を突然辞めることになり熱中できるものがなくなっていたという背景があったので、身体を動かせる運動部に入りたいんだろうなぁと思いました。そんなタクは卓球にのめり込むのがとても早かったです。ラケットを握るとすぐに夢中になり、練習を重ねるごとにどんどん上達していきました。コツをつかむとさらに楽しくなり、放課後の時間があっという間に過ぎていきます。家に帰ってからもラケットを手放さず、夜遅くまで壁打ちをしていました。コンコンと響く音がなかなか止まらず、「もう遅いからやめてね」と何度声をかけたことか。そんな変化の中で心配なことも出てきました。帰宅時間が遅くなることで、一人での寄り道が増えたのです。特に気になったのは「道端での石拾い」。タクは昔からキレイな石や面白い形の石を見つけるのが好きで、部活帰りに立ち止まっては夢中になって石を集めていました。部活の疲れを忘れてしまうほど熱中してしまい、気づけば日が暮れかけていることも。「ちゃんと帰れるかな?事故にあってないかな?誰かの敷地内で石拾いしてないかな?」と親としては心配が尽きませんでした。さらに朝の登校時間にも影響が出始めました。ある日、先生から「タクくんが遅刻しました」と連絡があり、理由を聞くと「校庭で石を拾っていて、気づいたらチャイムが鳴っていた」とのこと。卓球への情熱と同じくらい、石拾いへの情熱も衰えてはいなかったようです。熱中できるものが見つかるのはうれしいけれど、好きな事には時間を忘れて夢中になりすぎてしまうタク。親としては「部活と日常生活のバランス、大丈夫かな?」と、少し気がかりな部分もありました。その後、石拾いが収まるようにいろいろと対策をしてみました。校庭の砂利は希少石が含まれている可能性か限りなく低いことや、化粧砂利に使われている種類を実際に図鑑で調べたり、市街地で自然の化石が見つけられないことを説明し納得させるようにしました。日々の石探しは少しずつ減らしていき、そのかわりに天然石採掘で有名な観光地に家族旅行を計画したり、石の博物館に連れていき好奇心を満たしてあげられるようにしました。思春期の友達トラブルに困惑……親としてできることUpload By もっつん卓球部に入ってすぐ、タクの実力はぐんぐん伸びていきました。努力の成果が目に見えて分かるのはうれしいこと。でも、その急成長が思わぬトラブルを引き起こしました。ある日タクが「最近、部活がちょっと嫌だなぁ」とぼそっとこぼしました。詳しく聞くと、一緒に練習していた友達がタクの上達を快く思わず嫉妬から無視をしたり、わざとラリーを途中でやめたりしてくるというのです。先生の目の届かないところで起きる静かな対立。中学生という多感な時期だからこそ生まれる、複雑な人間関係でした。「なんでそんなことするんだろう?」とタクは戸惑っていました。勝ち負けにこだわるスポーツの世界ではライバル心が生まれるのは当然。でもタク自身は「卓球が楽しいからやっているだけ」。そんな純粋な気持ちでいるからこそ、友達の態度が理解できず、どう接したらいいのか悩んでいました。私もすぐに解決策を見つけてあげることはできませんでした。無理に「気にしないで」と言うのも違う気がしたし、親が介入する問題でもない。でも一つだけできることがありました。それは、タクの気持ちに寄り添うこと。「それは嫌だったね」「そりゃモヤモヤするよね」とタクの話に同調しながら、時には「私だったらこう言い返すけどなー!」なんて冗談を交えたり。「そういうの、あるよね」「でもさ、タクが頑張ってる証拠でもあるよね」そんな風に話しているうちに、タクも少し気持ちが軽くなったようでした。部活の中のトラブルは、どうしても避けられないもの。それでも一人で抱え込まずに家で話してくれて良かったなと思いました。人との距離感が近いタク……でもそれが長所になるスポーツという場所Upload By もっつん運動部に入ると他校との試合や合同練習があり、小学校との違いを感じました。遠征のたびに「ユニフォームを忘れた!」「シューズを忘れた!」と、私は振り回されっぱなし。準備の大切さを何度伝えてもなかなかうまくいきません。その頃は私自身も発達障害と診断されていて日々苦労の連続でした。それでも顧問の先生がサポートしてくださり、なんとか乗り越えることができました。具体的には、試合の日程の連絡は口頭だけではなくタクにメモを取るよう指示してくれたり、直接電話で連絡してくれたり本当に感謝ばかりの日々でした。本番に弱いタクは、緊張からミスを連発し試合にはなかなか勝つことができませんでした。でも、試合後の合同練習では良い意味で目立っていました。顧問の先生は「どんどん他校の生徒と練習試合しておいで」と声をかけていましたが、ほとんどの子が遠慮して動きませんでした。そんな中、タクは持ち前の人懐っこさで初対面の子たちにもどんどん声をかけ、たくさんの試合をこなしていました。その事は他校の顧問の先生からも褒めていただいて、親として誇らしい気持ちになりました。特別支援学級に在籍していることを知らない他校の生徒たちは、タクのことを特別視することなく自然に接してくれていたようです。タク自身も純粋に卓球を楽しみながら、いつの間にか仲間を増やしていました。中学校生活では、実は細かいトラブルもたくさんありました。それでも部活という存在のおかげでタクは良い汗をかき、充実した3年間を過ごせたのではないかと思います。中学校と放課後等デイサービスを卒業して、これから……Upload By もっつんタクの中学校生活は決して平坦なものではありませんでした。友達とのトラブルに悩み問題行動が出たり、児童相談所にお世話になった時期もあったり。親として、どうすればいいのか悩むことが何度もありました。それでも、部活という存在はタクにとって大きな支えになったように思います。練習を重ねるうちに、ただ「楽しい」だけではなく「もっと強くなりたい」「勝ちたい」という気持ちも育っていきました。試合で悔しい思いをすることもありましたが、その分成長を実感できる場にもなっていました。中3の夏に部活を引退するまでの間、卓球に熱中する日々を過ごして心も成長できたんじゃないかと思います。引退した後のタクは部活が無くなってしまってしばらくは落ち着かない様子でしたが、休日に友達と市民体育館で卓球をしたり近所をランニングすることでフラストレーションを発散しました。タクにとって身体を動かす事はこの先もずっと必要なんだと思っています。また、タクは放課後等デイサービスでも卓球を楽しんでいました。そこでは特性を理解してくれる大人がそばにいて、安心できる環境の中でプレーすることができました。ただわが家は放課後等デイサービスの利用は中学生までで高校からはその場がなくなるため、タクが自然体で周りとうまく生活していけるか心配な面もあります。高校でも卓球を続けるつもりのタク。技術を磨くことももちろんですが、それ以上に「自分らしくいられる場所」としてこれからも楽しく取り組んでいけたらと思います。発達障害のある子の学生生活は、親子で一緒に悩みながら進んでいくもの。タクなりのペースで、これからも自分の道を歩んでいってくれることを願っています。執筆/もっつん(監修:森先生より)もっつんさん、お子さんが部活動での経験を通じて大きく成長した体験談をありがとうございます。保護者として寄り添いながら支えてこられたのですね。お子さんがお友達とのトラブルで悩んでいるときに、家族が解決策を示すことはなかなか難しいかと思います。それでも、ただ気持ちを聞いて共感したり寄り添ってくれる家族がいる、というだけでもお子さんの気持ちは軽くなるはずです。さて、発達障害の傾向がある方は、特定の興味や活動に極端に没頭する傾向があり、ルーティンからの逸脱にストレスを感じやすいことが知られています。日常生活に一定のルーティンやスケジュールを設けることで、変化によるストレスを軽減できます。部活の後や学校から帰宅後の時間を決めて、石拾いや卓球の練習を計画的に行うことも、ストレスの軽減につながったのかもしれません。また、身体を動かすことはストレス発散や感情調整に非常に重要です。運動はドーパミンの分泌を促し、ADHD(注意欠如多動症)の症状を軽減する効果もあります。お子さんのケースでは、部活動がまさにそのようなポジティブな影響を与えたのではないかと考えられます。これからの高校生活も、卓球を通じて「自分らしくいられる場所」を見つけ、さらなる成長を遂げられることを願っています。お子さんの個性や強みを活かしながら、これからもご家族で力を合わせて、素敵な毎日を過ごしてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月29日北海道放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ぶりす厚別は、2025年4月に北海道札幌市で開所した事業所です。プログラムを通して、社会生活や集団活動において必要となるソーシャルスキルを向上させる支援を提供しています。子どもたちの「できた!」を大切にし、自己肯定感を高める中で、喜びや楽しさ、やってみたいという気持ちを成功体験と共に育てる取り組みを行っています。個々の成長段階や特性に応じて、タブレットやパソコン、プログラミング教材を使い、無理なく苦手を克服していく支援を提供。一日の終わりに「今日はとっても楽しかった!」「こんなことができた!」など、ご家族と笑顔あふれる幸せな会話ができるようにサポートする事業所です。北海道の放課後等デイサービスをもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報てらぴぁぽけっと春日部駅前教室では、ABA(応用行動分析)の科学的な考え方に基づいた支援を行っています。お友だちと楽しく遊ぶこと、発語が正しくできることなどさまざまな目標に対して、どんなことが必要になるのかを見つけレッスンを提供しています。スタッフは意欲的な方が多く、日々学びを深めながら、各分野の専門家が真剣に意見を出し合い一人ひとりのお子さんに寄り添った発達支援を行っています。お子さんの今に真摯に向き合うだけでなく、小学校入学、大学入学、社会人になったときを見据えたサポートが特徴です。事業所は春日部駅から近く、車での来所も可能とのことです。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報くるぅと西千葉校は西千葉駅から徒歩1分の距離にある事業所です。一人ひとりの個性や強みを見極め、自信を持って取り組めるプログラム内容を作成し、楽しみながら取り組める支援を提供しています。児童福祉業界での経験が豊富な職員が多く、保育士資格、社会福祉士の資格を持った方が在籍されています。マンツーマンでのレッスンをメインとし、お子さんの発達に合わせた1時間単位の発達支援を提供しています。体験レッスン随時受付中のためぜひお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス南船橋教室は2025年4月に開所した事業所で、南船橋駅から徒歩7分の距離にあります。お子さんの自発的な取り組みを大切に、自ら能力を発揮できるようサポートしています。『できないことをなくす』のではなく『できることを伸ばす』ことで自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組む姿を目指し、支援を行っているそうです。スタッフは全員が有資格者で、お子さんの発達過程に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供しています。毎月ペアレントトレーニングを実施するなど、保護者支援にも力を入れている事業所です。無料体験受付中のためぜひお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。千葉県の児童発達支援をもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報【英語、ダンスレッスン、リトミック】を主体としたプログラムを提供されています。プロの講師による英語やダンス・リトミックのレッスンを開催しており、英語を使ったゲームやアクティビティを通じて自然に英語を身につけることができるほか、リトミックでは音楽に合わせて身体を動かしながらリズム感や集中力を養い、身体機能や認知機能を楽しくサポートしています。お子さんが安心して過ごせる環境づくりを大切にされており、リラックスしながら楽しく過ごせる「第2の居場所」として一人ひとりの成長を支えています。Upload By 発達ナビ施設情報ヒトツナは人との繋がりをテーマにした事業所です。集団の中の相互の育ちを支える発達支援を基盤とし、一人ひとりの課題にあった関わりや、それぞれの立場での社会参加を支援しています。個々の困りに応じて適切にアセスメントし、環境調整をしながらステップを踏んで、成功体験を積んでいきます。他者とのポジティブな関わりのなかで生まれる「こうなりたい!」「これがやりたい!」の気持ちを何よりも大切にし、お子さんの成長に伴走する教室です。事業所見学は随時受け付け中とのことですので、ぜひお問合せしてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報ここっと。ohanaは、2025年5月開所予定の事業所です。日々の支援や、イベントへの参加を通じて、集団活動に必要なスキルを向上できるような支援を行っています。作業療法士、理学療法士、幼稚園教諭、教員など専門的な知識を持ったスタッフが多く在籍しており、それぞれの資格を活かした視点で支援内容を考え、適切なサポートを行っています。作業療法、運動プログラム、ライフスキルトレーニングなど、お子さんのニーズに合わせた支援を提供しています。現在見学会も実施しているそうです。気になる方は、ぜひお問合せ下さい。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援エンジェルPlusでは、英語、ダンス、リトミックを主体としている事業所で、専門の講師を招き週5回レッスンを行っています。お子さんが安心して過ごせる環境づくりを大切にしており、園が終わったあと、リラックスしながら楽しく過ごせる「第2の居場所」として一人ひとりの成長をサポートしています。経験豊富なスタッフが、教育現場や特別支援教室で培ったノウハウを活かしお子さんの成長と笑顔を大切にしている事業所です。気になる方はぜひお問合せしてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報ここっと。ohanaは2025年5月1日開所予定の児童発達支援事業所です。片づけが苦手、授業に集中できない、お友だちとのコミュニケーションに不安がある等、学校での困りごとに対してサポートしていきます。就学準備や身辺自立に向けた支援のほか、お子さんのニーズに合わせた支援を可能な限り提供していきたいとお考えです。専門的な知識を持った職員が多く在籍する予定で、それぞれの資格を活かした支援内容を考えられているほか、宿題補助や読み書きのサポートなど、保護者と一緒にお子さんの成長を見守る、心強い存在となりそうです。大阪府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報まめの木は、2014年にスタートした児童発達支援事業所です。基本的には年齢別の小集団クラスで支援を行っていますが、必要に応じて個別での課題ができるような空間づくりをされています。同年齢だからこそ生まれる「言語表現への意欲」「社会性の育ち」「自己肯定感やレジリエンスの向上」を大切にし、質の高いプログラムを提供するため全国のYMCA発達支援事業との合同研修・連携を定期的に行っています。またお子さんが通う園や学校等に支援員が訪問する「保育所等訪問支援」も実施されており、園や学校等とも連携しながら集団生活をサポートしていただくことが可能です。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年04月28日保育園生活は順調!?保健センターからの経過観察の電話、言葉が増えない息子を知育教室に通わせ始め……私が「自閉症(ASD/自閉スペクトラム症)」という言葉を知った日発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。アキラ編第2話です。現在5歳のアキラくんは最近ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。1歳半健診のときに「経過観察」となったアキラくん。M子さんは「様子を見ておけばいいのか」と言葉通りに受け取ってしまいました。保育園入園後も言葉が増えないので知育教室に通わせることに決めましたが……。Upload By ユーザー体験談1歳半健診のときに経過観察となり、保健センターの人から「2歳くらいになったら電話します」と言われたアキラくん。その後、電話がかかってきましたが……Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談発語の遅れが気になって知育教室へ。私が成長だと思っていたわが子との意思の疎通は「クレーン現象」だったの?発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編の第2話目はいかがだったでしょうか。アキラくんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。1歳半健診で「経過観察」となったアキラくん。保健センターからの電話で受診を勧められましたが、診察の予約はなんと半年後!その間に少しでも言葉を増やそうと民間の知育教室(習い事)に通うことを決めました。体験の時は楽しそうに過ごしていたアキラくんですが、いざ通い始めるとギャン泣きで大パニックに……。見かねた先生と面談をし、普段の生活の様子を伝えると「クレーン現象ですね」と言われます。帰宅後、クレーン現象をスマートフォンで調べてみると、発達障害、ASD(自閉スペクトラム症)の記事がたくさん出てきて……「もしかして息子はASD(自閉スペクトラム症)なの?」と気づかされます。晴天の霹靂からの次回第3話「受給者証って何?申請と療育のはじまり」。続きもぜひご覧ください。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(井上先生コメント)保育園に入ってお子さんの発達の遅れが分かるようになり、保健センターからも受診を勧められるが予約は半年後になると知らされ、親御さんもどうして良いかわからない不安な時期を過ごされたと思います。自治体によっても気づきから診断や支援の開始までの時間は異なりますが、この不安な時期をどのように埋めるかが行政的な課題となっています。親御さんに対する子育ての悩みを相談できる場所や専門家はおられると思いますが、その情報が直接伝わりにくいということも課題です。最近では一部の地域ではありますがペアレントプログラムやペアレントトレーニングなどのプログラムが受けられるところが広がってきています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月27日小2から徐々に始まった登校しぶり、小3で本格化わが家の長男あーは、幼稚園年少の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。小学校では入学当初から特別支援学級に在籍し、1年生の間は順調に、何の問題もなく毎日学校に行っていました。しかし、2年生に上がった頃から、たまに「行きたくないなあ……」ということがあり、3年生のコロナ禍を経て本格的に加速しました。そう、あーくんの「登校しぶり」です。その日は突然やってきました。毎朝6時半には起きてくる規則正しいあーが布団から出てこないのです。聞けば、「お腹が痛い」「頭が痛い」。そんな素振りなかったよね!?と熱を測っても平熱だし、あちこち痛いという割には元気そう……。ということでどうにかなだめておだてて、その日はなんとか登校しました。登校しぶりの理由は?時には付き添い登校も……あーの様子が気になって、先生ともやりとりしたけれど、特に学校でのトラブルがあるわけではないらしく……。理由は分からないけれど、なんだか気分が乗らない……という状態でした。そのため、一度学校に行くぞ!という気持ちになれば、きっと大丈夫だろうと思ったので、学校に行きたくないなあ……。という日は「あーの好きなおやつを手づくりしようね」とか、「放課後、好きなDVD借りに行こうね」などと小さなごほうびを用意して、とにかく「学校に行く軌道に乗せる」ように頑張っていました。それでも行けない……という日は、私がクラスまで付き添って連れて行くこともありました。道すがら、とぼとぼ歩くあーの小さな手を引きながら「今はこれで誤魔化されてくれているけど、そのうち本格的に学校に行けなくなる日が来そうだなあ……」とぼんやり思ったものです。Upload By よいこ息子の「今日は学校に行けない」サインに、絶望の淵に立たされた気持ちにあーの「行けない日」は顔と声ですぐに分かります。どんよりとした顔と、低くて小さな「お腹痛いなあ」「頭痛いなあ」「学校行けるかなあ」の声。これを見ると「ああ、今日は『行けない日』か……」と冗談じゃなく絶望の淵に立たされた気持ちになりました。そこからあーの気が変わるように話し合い、という名の説得のお時間。その合間に、下の子の登園準備もしなくてはいけません。でも、ここで手を抜くと何かが終わってしまう気がして、あーとの時間に全神経を注いでいました。Upload By よいこ子どものケアと仕事との板挟み。夫の何気ない言葉が心につき刺さり……もちろん、仕方なく学校を休ませる日もありました。あーが小学生の間は私も仕事を休まなければならず、勤務先に休みの連絡をする度に、私自身が薄く削り取られるような気持ちになりました。夫は言いました。「最悪、仕事辞めてもらわなきゃならなくなるかもしれない。」そんなことは言われなくても分かっている。私の扶養内のパート勤務より、子どものケアを優先するべきだということ。今日だって、当たり前のように夫ではなく私が休んでいる。仕事が忙しいことは分かっているのに休んでいる……。今の職場は、転勤族の妻である私が自分で見つけた、「お母さん」以外でいられる唯一の場所なのです。その場所を奪われる苦しみは、 私の立場に立つことがない夫には理解できないでしょう。ゲームや動画を楽しみ、休みを満喫するあーの傍らで、その日は涙が止まりませんでした……。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:室伏先生より)あーくんの登校しぶりに向き合ってこられた日々、そしてその時によいこさんが感じておられたお気持ちを、こうして丁寧に言葉にしてくださったことに、心からの敬意と感謝をお伝えしたいです。登校を嫌がっているお子さんを説得することは、よいこさんにとっても大きな心のご負担だったことと思います。朝の慌ただしい時間の中で、無理に連れて行くのではなく、丁寧にお話し合いを重ねられたご様子からは、お子さんへの深い愛情と、並々ならぬ忍耐と努力が伝わってきます。登校しぶりや不登校にどう向き合えばよいか、迷いの連続だったこととお察しします。また、お母様がお仕事を休まなくてはならない、あるいは続けることが難しくなるというのも、とても大きな課題です。「お母さん」である以前に、「一人の自分」として大切にしてきた居場所が揺らぐことの喪失感や苦しみは、多くの方が共感されることと思います。近年では、不登校は「問題行動」ではなく、「多様な学びのひとつ」として捉えられるようになってきました。たとえば、適応指導教室(お子さんの状況や学習内容などは在籍校と共有され、出席は在籍校への出席扱いとなる)や、フリースクール/オルタナティブスクール(法的な出席扱いとなるかはスクールによるため確認が必要、中には通信制のコースを選択できるスクールも)、NPOやボランティア団体が運営する居場所など、学校とは異なる形で学びやつながりを提供する場も増えています。もちろん、習い事などもこれらの学びの場の一つになります。学校とは違う環境で、お子さんの安心や自信を取り戻す支援が行われています。短時間であっても毎日でなくても構いません、さまざまな形で社会と繋がりを維持しておくことは、お子さんの健やかな成長、発達において重要です。また、お子さんが「学校だけがすべてじゃない」と感じられる場所が見つかると、回復の糸口になることがあります。毎日、葛藤を抱えながらもお子さんに寄り添う保護者の皆さんが、孤立せずに支え合える仕組みもとても大切です。自治体の相談窓口や、当事者同士の「親の会」などで悩みを共有したり、情報を得たりすることが、心の支えになることもあります。子どものために頑張っている保護者の方々が、ご自身の心も大切にできるような社会であってほしいと、心から願っております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月26日「コンテストって、出た方がよかったのかな?」うちの娘、ASD(自閉スペクトラム症)と睡眠障害があるいっちゃん(18歳)が、ふと「コンテストって、何歳までに何級を取らないといけないとか、あったのかな?」と言い出しました。最近流行っているフィギュアスケートのアニメで、オリンピックを目指す少女とそのコーチの成長を描いたストーリーを見ていたときのことです。娘は昔、ピアノを習っていました。3歳から始め、5歳のときには講師の先生の勧めでピアノ教室の専門課程へ。絶対音感があり、音楽に向いていると褒められて、娘もピアノ教室のある日は前日から楽しみにしていました。専門課程では、教室でできるだけ早くピアノのグレードを上げ、コンテストで優秀な成績を修めることが求められます。しかし、娘は「コンテストには出たくない」「課題曲よりも好きな曲を弾きたい」というスタンスでした。先生方も柔軟に娘の意思を汲み、良いところを伸ばすようにメソッドを超えて指導してくれましたが、校外のコンテストとなると特例を押し通すわけにはいきません。将来、特にクラシックでプロの演奏家を目指すには、遅くとも10歳までにコンテストに出場して賞レースに加わるのが望ましいとされていたのです。コンテストに出ることを強要しなかった私先生方は娘に何度もコンテストについて説明し、「いっちゃんにコンテストに出るよう説得してください!会場に連れてきてくれたら、私たちが雰囲気で持って行きますから!」とも言ってくれました。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)があり、同学年の子どもより情緒的にかなり遅れがあった娘。だまし討ちのようなことをして、ピアノやピアノ教室を嫌いになったら……と心配しました。私は「どうしてもプロになってほしいわけではないし、娘が理解できるようになってからでいいだろう」と考え、そのままにしていました。結果、娘は小学校6年生で一度もオフィシャルタイトルを取らないままピアノ教室を退会しました。ところが今になって、「コンテストって、出ておいた方が良かったのかな?」などと言い出したのです。私は心の中で昭和の漫画のようにズッコケました。Upload By 寺島ヒロでも、やはりと思いました。あのときの娘は、本当に「分かっていなかった」のだと。コンテストに出なかった娘なりの理由とは?「何か説明されたとは思うけど、まっっったく憶えてない!ピアノ教室の演奏会って、いつも出ても表彰されるのは一番年長のお姉さんばかりじゃない。だったら、眠いの我慢して遠くまで行ってまで出る意味ないと思って」と、娘は言います。まさかの、コンテストと所属する音楽教室内のイベントとの区別もついていなかったのです。そのお姉さんは卒業するお祝いをもらっていたのですよ……。また、現在でもそうですが、いっちゃんは「こうすればこれが得られる」のような一往復の考え方までは理解できるものの、「こうすればこれを得られて、これが得られれば次にあれを取れる資格になって……」のようなフローチャート的な考え方になると、「分からーん」となり倒れ伏してしまいます。Upload By 寺島ヒロお兄ちゃんのタケル(ASD・大学院生)も、大学の履修登録で「どの科目を取っておけば来年必修科目が取れるのか」を意識しながら登録する科目を選ぶことができず、結局4年間、履修登録をうまくできませんでした。もしかしたら、二人ともこのあたりが認知的な穴なのかもしれません。当時の娘も、先生の話は一応聞いていた。しかし、それが「今この級を取らないと、将来こういうチャンスにつながるよ」という意味だとは理解できていなかったのだと思います。娘には「理解のサポート」が必要だったのかも私も「分かってなさそうだな」と思いつつ、「まあピアノは本人が好きでやってることだから、本人の意志で嫌と言うなら出なくても良いか」とあまり深刻に考えてはいませんでした。たとえば、紙に図を描いて「今ここにいて、この先こうなるよ」と見せる。「コンテストに出るかどうかは自由だけど、出たらこんな経験ができるよ」と選択肢を丁寧に説明する。そんな工夫をしていたら、また違った結果になっていたのかもと思います。うちの子どもたちを見ていても、発達障害のある人は、「選ばなかった」のではなく「選べなかった」ことも多いのではないかと思います。「視野が狭い」などと言われることもありますが、それは本人にはどうしようもないことなのです。だからこそ、対面で説明するのが一番良いに決まってると思いこまず、本人が理解できる方法を模索するのが大事なのかなと思います。小学校6年生でピアノ教室はやめてしまった娘ですが、今でもピアノは毎日のように弾いています。好きなゲームの音楽を耳コピしてストリートピアノで弾いたり、ボーカロイド曲をつくって絵も描いて動画を制作し、動画配信サイトで発表したりもしています。気持ちの赴くままに道なき道で表現を続ける娘をこれからも見守っていきたいと思っています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)娘さんの、ピアノコンクールの話題を通して、説明したつもりでも当時は分かっていなかったのかもしれなかったというエピソードを書いてくださりありがとうございます。見通しや、目的・意義といったものは、形があるものでないため、口頭で説明するだけでは、頭の中にイメージを描きにくく、周囲は繰り返し話して説明したつもりでも本人に伝わっていなかったというようなことはよくあります。寺島さんがご指摘していただいているように、目的や意義、参加した場合と参加しない場合のメリットデメリットなどを、絵やフロー図、表、4コマ漫画、などで見える形式にして伝えることで、本人の理解を助けることになるかもしれません。とはいえ、コンクールに出場するにはストイックに練習したり、シビアな結果に涙したりということもあり、理解できるように丁寧に伝えていたとしても、娘さんはその道は選ばなかったかもしれないですよね。今でも毎日楽しくピアノを弾けていて、気持ちの赴くままに道なき道で表現を続けられているというのは、何より素敵だと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月25日幼稚園入園後の不安定な時期を乗り越え、次の課題は「こだわり」1歳半で初めての言葉が出た次男かー。その後言葉がなかなか増えず、児童発達支援を利用することにしましたが、人との関わりを増やしてあげたいと思い、幼稚園の満3歳児クラスに入園しました。幼稚園入園後、環境の変化から荒れることが増えたかーでしたが、じっくりと母子二人きりの時間を過ごすことで、落ち着きを取り戻してきたように見えました。しかしそんなある日、児童発達支援での面談で、先生からあることを告げられます。「かーくん、こだわりが結構あるようです」と。話を聞いてみると、それはスケジュールへのこだわりでした。かーが通っていた児童発達支援では、その日何をするのかが分かりやすいように、支援内容が書かれた小さなカードが、スケジュールの流れに沿って貼られていました。児童発達支援にすっかり慣れてきたかーは、そのスケジュール表で一日の大まかな予定を把握していたようで、いつもと違う流れになっていると泣いたり、怒ったりするようになったのです。家でも見られていた順番へのこだわり。どう対応する?そういえば……と、私も家での出来事で思い当たることがありました。それはお風呂に入る順番です。いつもは長男、三男、次男の順で入っていることが多いのですが、ある日長男のりーが体調不良でお風呂に入れないことがありました。すると……Upload By かし りりあかーは「NOーーーーー」と大激怒(かーは、いつの間にか「違う」という意味で、なぜか英語のNOを言えるようになっていました)。なんとかなだめお風呂に入ってもらいましたが、かーのお風呂の順番へのこだわりは、日増しに激しくなっていったのです。Upload By かし りりあ私は児童発達支援の先生に、かーの家での様子についても話し、スケジュールへのこだわりが強まることで、今後かー本人が苦しくなるのが心配だということを伝えました。先生方も同じように考えてくれていて、こだわりを崩していくように取り組んでいくことになりました。家庭と児童発達支援で連携!こだわり崩し大作戦家で起きているお風呂の順番へのこだわりについては、すぐに対応していきました。夫とも協力して、毎日きょうだいをランダムで入れるようにしてみたのです。Upload By かし りりあかーは最初こそ怒っていましたが、お風呂に入ってしまえばケロッとしていたので、入れるまでの辛抱……と自分に言い聞かせながら(長男、三男には我慢をしてもらい)続けていきました。すると、お風呂の順番に対してのこだわりはなくなってきました。児童発達支援でも、スケジュールは直前に違うものに差し替えたり、本人が複数の選択肢から選べるようにしてもらったりと、こだわりに繋がりにくい工夫をしていただいています。スケジュールに関してはまだまだこだわりがあり、調子が悪い日には切り替えに30分ほど時間がかかることもあります。そのため、あえてスケジュールを固定しない試みは、今後も継続していこうと思っています。最近家でもスケジュール表を使うようになったので、児童発達支援と同じような対応を試しているところです。かーのこだわりが少しでも減っていくように寄り添っていきたいと思います。自分の思いの伝え方と共に、「ま、いっか」で切り替えられる練習をもう一つのこだわりへの工夫として、かーとは「ま、いっか」で気持ちが切り替えられるように取り組んでいます。最近、自分の思うとおりにいかないと「チョットチガウ」と言うようになりました。対応できることならその後どうしたいのか、何をしてほしいのか言い方の練習をしながら、かーの思いを受け入れられるのですが、どうしても私たちも時間がないときや、譲れない場合もあるので、そんなときはかーは泣いたり怒ったりと気持ちの変化が大きいです。そういうときには一緒に「ま、いっか」と言って、少しでも早く気持ちが切り替えられるようにハグをしたり、手を握って落ち着かせていきます。Upload By かし りりあ気持ちが切り替えられたときにはすぐにほめて次につながるように。なかなか切り替えられないときには少し離れて様子を見ています。毎回毎回うまくいく、ということはありません。ですが何か月か経った後、ゆっくりでも少しずつでも前に進んでいるのかなという実感があります。私たちの対応でかーの将来の困りごとが減っていってくれればいいなあと思いながら過ごしています。執筆/かしりりあ(監修:藤井先生より)かしりりあさんが次男かーさんに寄り添いつつも、少しずつこだわりを緩める工夫をされてきたエピソード、試行錯誤されながら、少しずつ進んでいる実感があるという話に励まされる方も多くいると思います。「ま、いっか」と言う言葉はとても大切ですよね。私の外来でも、少しずつこだわりを緩める言葉として「ま、いっか」と言う切り替えスイッチを入れる練習をお伝えしています。すぐには緩まなくても、少しずつ前に進んでいけますよね。また、自分の思い通りにならないときに、「チョットチガウ」と言うかーさんの言葉も良い表現だと思いました。泣いたりもあるかもしれないし、怒りも伴っているかもしれないけれど、言葉で「チョットチガウ」って言えたら、「そうか、自分の思いとは違うんだね」って、「ま、いっか」と切り替えるための言葉掛けができますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年04月24日1周年を迎えたLITALICO発達特性検査LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。2024年4月のリリース後、2025年4月10日時点でチケット購入数が2616件にのぼるなど、1年間で多くの保護者の方に受検いただきました。この記事では、LITALICO発達特性検査の1年間の取り組みや機能改善などについてご紹介します。より使いやすく負担を減らす機能・サービス改善LITALICO発達特性検査では、2024年4月に検査サービスをスタートして以降、ユーザーの皆さまからの声を受けて機能やサービスの改善を行いました。ここでは、受検者の方の負担を減らし、より使いやすくするために行った機能改善から、トピックをご紹介します。LITALICO発達特性検査の検査結果では、家庭向けと園や学校などの外部でのサポートに関する具体的なヒントがレポートとして得られます。相談や、具体的な合理的配慮の依頼の際にプリントしてを持参し、園や学校での共有に活用いただいたという方も多いようです。レポートは、検査での回答や困りごとに応じて量や内容が異なりますが、40ページから100ページ以上になる場合もあります。利用者の方からは「学校に持参し見せるために、学校向けの内容だけを印刷したい」「あまりたくさんの量を一度に共有すると園や学校の負担になるかもしれない」「外部向けの共有は必要ないので、家庭向けだけのレポートが欲しい」などの意見が寄せられました。こうした声を受け、家庭用と園・学校、支援機関といった外部でのサポート用のPDFがそれぞれダウンロードできるようになり、用途に合わせて閲覧や共有がしやすくなりました。過去に受検いただいた方も、マイページからPDFをダウンロードできます。ぜひ、園や学校の先生に、検査結果のレポートをお見せする際にご活用ください。LITALICO発達特性検査は何度も受検できるサービスです。困りごとの現れ方が変わった時や入学・進級や年齢が上がったなどで改めて現時点のお子さまの状況や対応方法を知りたい場合にも活用いただけます。複数回の受検をした場合に変化が見やすくなるよう、前回の検査結果もグラフに表示される機能改善を行いました。グラフや検査結果はマイページからいつでも閲覧やダウンロードが可能です。また過去に受検された場合も、この機能をご利用いただけます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部再受検については、以下の記事で詳しくご紹介しています。併せてご覧ください。メディアや記事での紹介LITALICO発達特性検査について、インターネットのメディアや新聞などでも取り上げていただきました。今回はwebでお読みいただける記事をご紹介します。日本経済新聞朝日新聞 Edu A※クリックすると、発達ナビのWebサイトからほかのWebサイトに遷移します。イベント・学会への参加LITALICO発達特性検査について行ったイベントへの参加や、研究開発に関して、学会での成果発表の取り組みについてご紹介します。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部2024年10月12・13日に東京ポートシティ竹芝で開催された「ニューロダイバーシティプロジェクトみんなの脳世界2024〜超多様〜」に出展しました。多様性やニューロダイバーシティをテーマにしたイベントで、会場には2日間で延べ16,252人の来場者が訪れました。LITALICO発達特性検査では、「お子さまを特性から理解する:LITALICO発達特性検査(株式会社LITALICO)」と題し、検査の紹介やブックレットの配布を行いました。イベント開催に併せてLITALICO発達特性検査についてのインタビューも公開いただきました。ニューロダイバーシティプロジェクト日本発達障害学会第59回研究大会で「包括的神経発達症特性質問紙の妥当性・信頼性に関する研究」という題でポスター発表を行いました。LITALICO発達特性検査を構成する尺度の開発において、量的な検討を行った研究について発表しました。日本発達障害学会第59回研究大会Upload By LITALICO発達特性検査 編集部日本認知・行動療法学会 第50回記念大会にて、「尺度開発における質的研究アプローチ」という題で、LITALICO発達特性検査を構成する尺度の開発プロセスについて発表しました。認知的インタビューという方法を通じて、実際に利用する保護者の方の意見を尺度に反映させることの重要性について検討した研究です。日本認知・行動療法学会 第50回記念大会発表の概要と資料は以下でもご確認いただけます。日本認知・行動療法学会 第50回記念大会での発表の概要日本認知・行動療法学会 第50回記念大会での発表の資料※クリックすると、発達ナビのWebサイトからほかのWebサイトに遷移します。今後もLITALICO発達特性検査では、研究開発を進め、論文なども発表していく予定です。2024年7月には発達ナビ会員の皆さま向けのオンラインセミナーを開催しました。セミナーでは検査のプロダクト開発も担当した作業療法士の野田遥が講師を務め、困りごとと、お子さまの特性をどのように読み解き、解決に向けて取り組めばいいのかをテーマにレクチャーを行いました。家庭ではなかなか対応方法が難しいという声も多くある「癇癪」を中心に、「なぜ」に着目して、その要因ごとに解決方法を探っていくという、LITALICO発達特性検査でも大事にしている考え方について、分かりやすく実践的に解説しました。セミナーの内容は、以下の記事で詳しくレポートしています。ぜひお読みください。発達ナビでのサポート情報やコラムLITALICO発達特性検査の活用方法や、使い方などをサポートする情報や、専門家の方のインタビューを発達ナビで発信しています。以下の記事でもまとめて紹介がありますので、ぜひお読みください。発達特性検査編集部LITALICO発達特性検査を受検された方向けのサポート情報もご紹介しています。使い方や検査についての疑問に答えるQ&A形式の記事や、周りとの連携方法についてなどさまざまなテーマがあります。検査結果をより活用いただくため、ぜひお読みください。発達特性検査 活用サポートこれからも、お子さまの困りごと理解と解決のツールとして。LITALICO発達特性検査にご期待ください!LITALICO発達特性検査はおかげさまで多くの方にご利用いただき、1周年を迎えることができました。受検いただいた保護者の方とお子さま、周囲の方にとって、特性や困りごとの理解や対応方法のヒントを助けるツールとして、活用いただければ幸いです。また、開発や改善にお力添えいただいた専門家、保護者のみなさまに改めてお礼を申し上げます。これからも、オンラインでいつでもどこでも受検できる検査として、多くの方に利用いただけるサービスを目指し、さまざまな取り組みや、研究開発やサービス改善を行っていきます。また、多様な場面で、検査の仕組みや検査結果の活用の可能性を広げていければと考えています。ぜひこれからのLITALICO発達特性検査にご期待ください!
2025年04月23日小学校に入学後宿題、学習の壁に直面したADHD(注意欠如多動症)の息子現在14歳の息子は、穏やかで人懐っこく、人に好かれるタイプです。記憶力が弱くじっとしているのが苦手で、時間の感覚を忘れてしまったり、慌て過ぎて注意散漫になったりすることがよくあります。好きなものには強い集中力を発揮しますが、基本的には忘れんぼうADHD(注意欠如多動症)の診断は小学校1年生、3年生から通級指導教室に通っています。そんな息子は国語と算数に特につまずきがあり、小学校に入学すると宿題や学習の壁に直面するようになりました。まずはスモールステップでできることを積み上げていこうと、息子のできること、できないことを見極める作業は驚きの連続でした。「まさかこうするのが難しいの?」「そんな事あるかな?」から始まって、やってみたら「やっぱりそうだったんだ」ということの繰り返し。このような作業を続け気になっていたつまずきを解消したあとは、目に見えてできる事が増え、本人も「できないばかりじゃないんだ」と自信をつけていったように見えます。そんなわが家の取り組みがどなたかの参考になればうれしいです。よかれと思って使ったイラスト入りのあいうえお表が裏目に⁉くっつき言葉も苦手で……。やった対策2点!ひらがなの学習は、年中の頃からお風呂にイラスト入りの「あいうえお表」を貼って読む練習を始めていました。読めるようになってから書く練習を始めたのですが、息子は書くことをとても嫌がるのです。ご褒美をあげてなんとかなぞることはしてくれましたが、その様子が気になっていました。小学校入学後、初めて国語の宿題がでました。一緒に宿題をやってみようとしたのですが、息子は座ったまま固まってしまい……。(どうしたんだろう?なににつまずいているんだろう?)と焦りながら、つまずきの理由を探そうと私は教科書の『あ』を指さして読んでと言いました。すると息子は『あり』と答えました。そこで初めて『あいうえお表』に書かれているイラストをインプットしてしまったことに気が付きました。そこから「文字そのもの」と「意味がある言葉」を切り離すのに苦労しました。Upload By ユーザー体験談私がやったやり方は、音が分かれていることに気づいてもらう方法です。まずは「あーーり」と伸ばして発音してもらう練習をしました。扇風機の前で「あー」と言って遊ぶことで、音を引き伸ばす感覚を身につけ、そこから「あいうえお表」を指しながら一音ずつ分解する方法を取りました。「あー」伸ばしているところで止め、「『あ』は『あ』だけなんだよ。じゃあ、次は『い』は?」と50音やりました。終わる頃に、息子自身が「同じ仕組みなの?」と気付き、ひらがなの読みがスムーズになりました。「お」「を」、「わ」「は」、「え」「へ」といった同じ音で使い方が違う「くっつき言葉」も苦手でしたが、大好きな乗り物を使って練習しました。マグネットにトラックのイラストを貼って宿題のプリントにあった主語を、トラックがひっぱるコンテナにそのあとの言葉(形容詞など)を載せます。それらをくっつけるには連結部品として「くっつき言葉」を選んでもらうという方法をとりました。やがて電車のおもちゃに主語などを載せるようにし、「先頭車両と客車の間に、くっつき言葉の乗った貨車を足して下さい~」と遊びながらやるようになりました。初めはお気に入りの電車のおもちゃにお勉強がくっついているからか不機嫌でしたが、宿題プリントが終わったらプラレールを好きなように遊んでいいという約束で向き合ってくれていました。するとやがて理解できるようになり「やらなくても分かるから大丈夫!」自分で宿題を仕上げるようになりました。「じっと見ることが苦手」だと分かった息子。漢字対策として利用したグッズ入学後、眼球運動の検査をする機会があり、そこで「じっと見ることが苦手」ということが分かりました。これが漢字を正しく覚えられない原因の一つかもしれないと思い、通っていた発達支援施設の先生と相談をし、輪ゴムを使って図形や模様を作る学習ボードを利用しました。輪ゴムの色が何色かあり、重なるところがあります。どっちの輪ゴムが下になっているかな?と注意を促しながら、よく見る練習をしました。続けていくうちに、漢字の線が何本とか、止め、ハネに注意するようになったかと思います。また、漢字カルタなどゲーム形式で学ぶことで楽しみながら覚える工夫もしました。こうした積み重ねにより、少しずつ漢字を書くことに対する抵抗が減ってきたように思います。算数対策にやったスモールステップ。1週間で効果が出始めて……!息子は算数も苦手でした。1年生の夏休み明けぐらいにWISC検査をしたところ、短期記憶が低めであることが分かったため、まずは記憶のトレーニングができればと、家で神経衰弱をするようにしました。最初は3ペア(6枚)でスタート。最初は全然覚えられませんでしたが、1週間後にはすぐに終わるようになり、徐々に枚数を増やしていきました。「4枚増えただけでちょっと難しくなるねー」といいながらやりました。カードが増えていくほど正解率は下がりますが、8ペアくらいでやるようになった頃あたりから、くり上がりの計算がスムーズになったり、生活面でも、次の日の準備だったり、自分の生活リズムを声掛け無しでできるようになっていったなと記憶してます。最終的にはトランプ全部を使って遊ぶまでになりました。この練習のおかげで、繰り上がりの計算がスムーズになり、生活面でも次の日の準備やスケジュール管理が少しずつできるようになりました。先生からの謝罪と、息子用の宿題プリントの誕生宿題の取り組みも工夫しました。書くこと自体にエネルギーを使ってしまうため、計算問題は私が代わりに書いて、息子は計算に集中できるようにしました。また、2年生になると宿題が増え、毎日20問こなすのは難しくなったため1日3問や5問に分け、遅れた分は週末に取り戻す方法を取りました。ですが宿題をやるのに毎日2時間以上かかるのです。本人が頑張りたい気持ちと集中できない葛藤から日付が変わる0時すぎてから寝ることもあり、このままではパンクしてしまうと2年生の1学期の終わりの面談で先生に相談をすることにしました。Upload By ユーザー体験談先生曰く「20分程度で終わる見込みで宿題を出している」と教えてくれました。私は20分なら息子は国語、算数合わせて7問くらいしか解けませんと伝え「もし、時間があれば発達支援の先生と会っていただけないでしょうか」とお願いしてみたのですが、先生は前向きな感じではありませんでした。残念な気持ちになりながらも(先生も忙しいから……)となんとか自分を納得させ夏休みを過ごしましたが、2学期、先生から謝罪の言葉とともに、毎日7問〜10問程度の息子用の宿題のプリントを用意いただけることになりました。このおかげで息子も少しずつ達成感を得ながら取り組めるようになり、先生には感謝しかありません。ちなみに、テストはまったく気にしませんでした。テストでの結果よりも、日々のスモールステップを優先させ続けました。「もうやりたくない。逃げてもいい?」「面倒くさいからやる……」息子の頑張りと、中学生になった今息子から「もうやりたくない。逃げてもいい?」と聞かれた事もあります。そんなときは「いいよ」と答え、「逃げ道にもこんな道があるよ」と前向きな提案をするよう心掛けました。例えば、言葉の意味が分かれば、特段生活するうえで問題ないし、漢字が書けなくてもタブレットですぐ見つけられる、むしろ、漢字が書ける書けないなんて将来を見たらなんの問題もない!という調子です。ですが、「今、漢字を辞めるということに納得できているなら、お母さんは先生と話するよ」というと、「面倒くさいからやる……」と息子が頑張っていました。中学2年生になった今は、塾にも通っています。スモールステップを積み重ねた結果、学習の遅れを取り戻すことができました。ADHD(注意欠如多動症)の特性は先生にも伝え、特に切り替えが苦手でスケジュール管理が難しいことを共有し、提出物の一覧を作ってもらったり、通級指導教室で一緒にスケジュールの確認をしてもらうといったサポートを受けています。自分が子どもだった時の事も思い出しながら、『息子の中の好きなものを壊さない様に』を大切にしてきましたが、失敗もたくさんしたなぁ……と反省もあります。感情的に怒ってばかりの時、「お母さんは、僕がこれをできるようになったらニコニコになる?」と聞かれてハッとしました。その後発達支援施設でペアトレを受けて学び、そのおかげで感情的に怒ることはほとんどなくなりました。これからも、息子の好奇心を潰さないように関わることを大切にしながら、成長を見守っていきたいと思います。エピソード提供/かたっぽイラスト/keiko(監修:森先生より)お子さんの学習の壁を乗り越えた体験談をありがとうございます!「できること」「できないこと」を見極め、日々試行錯誤しながら向き合ってスモールステップで対策を積み重ねてきたのですね。お子さんが自信をつけながら学習の遅れを取り戻し前向きに頑張っていることは、きっと多くの方にとって励みになるはずです。発達障害の傾向があるお子さんには、「記憶をすることに困難がある」「じっとしていられない」「好きなものには集中できるが、それ以外では注意が散漫」といった傾向がみられることがあります。ワーキングメモリ(短期記憶)が弱かったり、視覚処理に課題があると、漢字の細部を捉えるのが苦手だったり、文字と意味を切り離して理解することが難しいことがあります。視覚情報と意味づけが混ざりやすいこともありますので、お母さんが「あいうえお表」のイラストで混乱に気づき、音を分解する練習を取り入れたのは、的確なアプローチです。アプリなどを活用し、音声付きで漢字を学ぶと、視覚と聴覚の両方で記憶が定着しやすくなりますよ。さて、お子さんが「もうやりたくない」と感じるのは脳の疲労が関係しています。お母さんが「逃げてもいい」と受け止めつつ前向きな提案をしたのは、感情を安定させ、やる気を引き出す素晴らしい対応ですね。疲れたときは「5分休憩」を挟むルールを設け、その間に好きな音楽を聴く、軽く体を動かすなど、「リセット時間」を意識的に取ると集中力が回復します。発達障害の傾向のあるお子さんには、環境調整が大変重要です。学校の先生や支援者に「視覚的なスケジュール表」を作ってもらうようお願いすると良いでしょう。色分けやアイコンを使うと、見やすさがアップします。また、スマートフォンのリマインダー機能を活用し、提出物の締め切りや塾の予定を音声通知で確認する習慣をつけると、切り替えが苦手でも対応しやすくなります。「好奇心を潰さない」ことを大切にされている姿勢は、お子さんにとって最高の支えです。興味や好きなものを活かすことは脳のドーパミン(やる気ホルモン)を増やし、学習や生活のモチベーションにつながります。これからもお子さんのペースに寄り添いながら、成功を一緒に喜ぶ時間を積み重ねられるよう、応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月23日新生活が始まる春は、準備に追われる春でもありますUpload By 丸山さとこ神経発達症がある息子のコウは、この春から高校生になります。制服姿のコウを見ると、「ほんの少し前まで保育園に通っていたのにもう高校生?」と成長の速さに驚きます。春から新生活が始まるということは『新生活の準備』も始めなくてはならないということです。コウと同じく神経発達症があり環境の変化に弱くミスが多い私としては、非常にドキドキする時期でもあります。コウ本人は新しい環境への期待もあり「高校生活楽しみだな~!」と言いながらせっせと入学準備をしていますが、新入生出校日に登校した際に早速用具の名前の書き忘れが発覚していました。隣の席の生徒にネームペンを借りて事なきを得られたそうですが、親子ともどもミスを防ぎきれないまま高校生活のスタートを切りそうな予感がしています。もうじき高校生になる今は自分で教科書類に記名をしているコウですが、小学校入学前は字を書けなかったので、名前シールを一緒に貼ってもらいました。保育園や療育園で登園シールなどを貼った経験もあってか、意外なほど丁寧に貼ってくれて助かりました。算数セットなどの細かい物に名前シールを貼る作業が面倒になった私が「入学に向けて一緒に準備しない?」とコウを誘ったのがきっかけでしたが、入学準備を一緒に行うことで、入学に向けてコウの気持ちの準備もできたようです。Upload By 丸山さとこ私はかなり怠惰な性格なので、いつも子育てに関するいろいろなことを「面倒だな……」と思いつつしぶしぶ取り組んで日々を過ごしています。保護者として褒められたことではないだろうと思いますが、それが結果として子どもにさまざまな体験の機会を与えていると言えなくもないのかもしれません。マメな保護者はマメさを生かして、怠けがちな親は怠け心を生かして子どもと接していくと、無理が少なくてよいのかもしれませんね。保護者にしかできないこと……それは学用品の購入と、合理的配慮の相談!このように、これまで小中高の入学準備において名前書きやシール貼りはコウと分担してきた私ですが、学用品の購入だけは資金を出す私が全てを担う必要があります。小学校入学前にケース買いしておいた消しゴムや鉛筆は大変役に立ちました。わが家は給食袋も傘も水筒も多めに用意しておきました。Upload By 丸山さとこコウは忘れ物や失くし物がとても多かったため、「先生方から『予備があると思うことでコウ君に油断が生まれて忘れ物が増えるんですよ!』と言われてしまうかもしれないな……」と少しドキドキしていたのですが、幸いそのようなご指摘を受けることはないまま義務教育の9年間を終えました。また、義務教育の9年間の中では、困りごとや合理的配慮について先生と話し合うことも必要でした。話し合いの機会を設けていただいてもなかなか落としどころが見つからないこともありましたが、「できるだけ学校と保護者が対立的にならずに合理的配慮について話し合えたらいいな」と考えていました。そうした相談の中でご対応いただいたこともあれば、「もう〇年生ですから」などの理由により難しかったこともありました。特に中学生になってからは、個別のサポートは実現しがたい状況がありました。『内申にとってプラスになるようなサポートを一人の生徒だけに特別に行うことは難しい』という理由があったからです。Upload By 丸山さとこそれでも、先生方からは声掛けなどの形で可能な限りのサポートをしていただきました。特に担任の先生からは、ほかの教科担当の先生に提出物の状況を聞いてコウに伝えたりするなど、かなりマメな声掛けをしていただいていました。コウにとっては声掛けだけで忘れ物を減らすことは難しく、結果としては状況の改善には至りませんでしたが、『マメに気にかけてもらっている』『先生方が内申点のことを心配してくれている』ということはコウにもしっかり伝わっていました。コウの先生方への信頼は厚く、「この中学校に入ってよかったな~。僕、先生にはずっと恵まれてるよね!有難いことだよね」と感謝を口にすることもしばしばでした。小学校と中学校、合理的配慮はどう違う?先生との面談のコツや持ち物、友達トラブル対処法も【連載ライターさんに聞いてみた!】過去の積み重ねを少しずつ今に生かしながら入学前の準備の中には、持ち物への記名などのスタンダードな準備のほか、筆記用具をケース買いしたり、就学前相談や個別の面談の予約をしたりするなどのさまざまな『その子どもにとって必要な準備』があるのだろうと思います。コウの場合は、『授業という形式で勉強すること』や『困ったときに人に伝える練習』や『周りを見て同じことをする練習』も必要でした。見通しを持ちやすくし不安を軽減するために、事前に校内の下見が必要な子どももいますね。現在のコウはまだ全ての準備を独力で行うことは難しいようです。それでも彼なりにウキウキと『新しい学校生活への準備』を行っているのを見て、私も伴走しつつ一歩引いて見守っていきたいなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)コウくんの新生活準備にまつわる工夫や思いのシェアをありがとうございます。コウくん、いよいよ高校生ですね(感慨深いです!)。さて、さとこさんがされてきたように、準備そのものにお子さんも関わって、本人の心の準備をすることはとても良い工夫ですね。準備を保護者任せにしてもらうと、本人からすると突然新しい生活が始まったように感じられるかもしれないので、一緒に新生活の準備をするのはよいと思います。ただ、本人の得意不得意もあるため無理やりさせてもよくはなく、シール貼りのような得意な作業があれば一緒に、そうでない場合あるいは制服を着てみる、最後持ち物をバッグに入れるところだけでも良いかもしれません。さとこさんが書かれていたように、保護者ができることは学用品の購入あるいは手続きといった大人でないと難しいこと。そして、困りごとや合理的配慮についての話し合いです。合理的配慮をお願いしたいという形で面談を申し込むと、学校側に構えられてしまって対立的になってしまう場合もあります(要求を伝える会だと誤解されてしまうため)。本来はそうではなくて、どんなお子さんなのか、どんな場面で困りがちなのか、これまでの学校生活の中で先生方にしていただいていた支援や合理的配慮はどんなものであったか、それについて新しい学校でもどのくらいお願いできるかを、建設的に(つまり対立せずに)調整するために話し合うということです。お子さん本人が自分の困りごとを言語化できたり、直接先生と話せる場合はお子さんも一緒に面談するのも良いと思います(余談ですが、大学進学の段階では基本的にはその話し合いを本人が務める場合が多いです。自分の得意不得意や困り感を自分の言葉で説明できるようになることも中長期的には視野に入れたいところです)。新しい生活が始まるからこそ、これまでよりももう少し自力で頑張ってみたい、特別な声かけは要らないと考えるお子さんもいるように思います。その場合でも、何も知らせないというのではなく、その段階にあることを学校には知らせておくことをおすすめします。本人が頑張ると言っているので見守っていてほしいが、こんな状況で苦戦しがちなので何卒よろしくと伝えておくと、先生方も目を配りやすくなります。変化の多い時期は、大人も子どももわくわくする半面、なかなかに負荷がかかるので疲れやすい時期でもありますね。わくわくしたり、興奮気味だと勢いで頑張れそうな気配も感じるかもしれませんが、できればいつもより休養を多くとったり、休日にはできるだけ予定を入れないようにしたりして、ほっと一息肩の力を抜く時間も確保したいところです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年04月22日1つ上の学年の友だち・ヒロシくんとの出会い1つ上の学年の友だちヒロシくんとの出会いはスバルが小学1年生の時でした。私も一緒にいたので鮮明に覚えています。1年生の時は保護者同伴で登下校していたのですが、帰りの会が終わってスバルと2人で廊下を歩いていると少し大きめの虫が飛んできました。驚き私の後ろに逃げたスバルに声をかけてきたのがヒロシくんです。「その昆虫の話、しようか?」私はその一言で察しました。彼は昆虫博士に違いないと。特別支援学級の先輩でもあるヒロシくんはそのまま「せっかくだからぼくのおすすめポイントを紹介してあげる」と言ってスバルの手を引き、外へ出て行きました。スバルは大喜びでついて行きましたが、私は「おすすめポイント」という響きに嫌な予感がしていました。なぜなら彼は昆虫博士でスバルは虫が苦手だからです。私の予感は的中し、ヒロシくんは次々と昆虫の生息スポットを案内してくれました。プランターの下にはダンゴムシがいたし、ウサギ小屋の後ろには長い名前の幼虫がいました。一つひとつ紹介しながらスバルに「触ってごらん」と声をかけてくれましたが、スバルは青い顔をして首を横に振っていました。校舎の壁の小さなひび割れの暗闇に手を突っ込んで「運が良ければ特別な昆虫に会えるよ。スバルくんも手を入れてみる?」と聞かれたところでスバルに限界がきて「ぼくは宿題がありますので……」と言って帰宅しました。Upload By 星あかり余談ですが、この時はじめてスバルが建前を使って人からの誘いを断るのを見ました。基本的に思ったことをそのまま口にするタイプのスバルが成長する瞬間に立ち会ったとも言えます。ヒロシくんとスバルが一緒に遊ぶようになるまでそんな印象的な出会いを果たした2人ですが、この時私は「昆虫博士のヒロシくんと虫が苦手なスバルは仲良くならないだろう」と思っていました。ところが2人はたびたび一緒に遊ぶようになりました。ヒロシくんの昼休みの過ごし方は一貫して昆虫観察なのですが、スバルがそれに参加するようになったのです。最初は同じ特別支援学級の同級生と遊ぶことが多かったスバルですが、それぞれが交流級でできた友だちと遊ぶ機会が増えバラバラで遊ぶ日も増えました。スバルにも交流級の友だちはいましたが、DCD(発達性協調運動症)による不器用さで球技を苦手とするスバルはドッジボールが大流行している交流級の遊びには入らないことを自ら決めたのです。「みんなそうしているから、自分も交流級で遊ばないと!」と焦っていた時期もありましたが、無理をすると疲れるという真理にたどり着き、自分が難しいと感じる遊びには参加しなくなりました。そのため同級生たちがみんな交流級での遊びにでかけてしまった時、スバルは1人で散歩をしていました。それは親からすると胸がギュッとなるような話ですが、スバルにとっては楽しい遊びでした。外を散歩をしているといろいろな場所で昆虫観察をするヒロシくんと出会いました。最初はすれ違うだけの存在でしたが、いつしか2人は一緒に……というよりはスバルがついて回るようになりました。ヒロシくんは昆虫の観察をしながら解説をし、スバルは聞いているようでほとんど聞き流して散歩をしているようでした。それでもそんな生活を続けているうちに、昆虫が苦手なスバルはてんとう虫を手に乗せることができるようになりました。ぎゅーっと限界まで腕を伸ばして、できるだけ自分から遠ざけるポーズで自慢げに見せてくれました。それから5年、同じクラスになったり離れたり、お互い別の友だちと遊ぶ期間があったりしながら一緒にいて安心できる友だちとして関係を築いてきました。最後の1年、2人の関係は……スバルが5年生になった最後の1年は特に波長の合う1年だったようで、毎日一緒に遊んでいました。お互いに距離感の近い2人だったので文字通りベッタリ遊んでいました。あまりにもベッタリだったので私と先生は「ヒロシくんが卒業したらどうなっちゃうの!?」と心配し交流級での人脈づくりや、特別支援学級内の同級生や後輩との遊びを勧めたりもしました。スバルも「確かに」と感じ、交流級に出かけ遊びに混ざったりしたようですが、結局気を張らなくて良い安心できる場所に戻ってくるのでした。そしてこの春ヒロシくんは卒業しました。3学期になってからはヒロシくんの卒業が寂しすぎてチックが悪化するほどでした。ヒロシくんが卒業したらどうなっちゃうの!?と心配でたまりませんでしたが、お別れの日にぽろりぽろりと泣いたきり、案外けろっとしています。Upload By 星あかりそういえばスバルはそういう子でした。気の合う子がいれば、四六時中その子とくっついているし、気の合う子がいなければ無理して人の輪に入らずに1人で楽しく過ごしてきたのでした。そして4月、新年度が始まりました。「今までの傾向から新しいクラスメイトと先生はこのメンバーになるに違いない」という私の予想を大きく外れ、これからどんな生活が始まるのか想像できないメンバーが揃いました。この中の誰かと仲を深めるのかもしれないし、1人遊びを極めるのかもしれないし、ドキドキ未知数の1年のスタートです。執筆/星あかり(監修:新美先生より)1学年上のお友だちとの出会いと別れの素敵なエピソードを聞かせてくださりありがとうございます。初めて「建前を使ってお断り」するほどスバル君にとって苦手な「虫」が大好きなヒロシ君なのに、なんだかんだとそこまで仲良くなれたのは、ヒロシ君自身と波長が相当合っていたのでしょう。学年が異なっても仲良くなれるお友だちっていいですよね。卒業での別れは寂しいですが、1年後、スバルくんにとって未知の中学校に入るときには、ヒロシ君の存在が心強く頼りになるのかもしれないですね。発達の偏りのあるお子さんの友だち付き合いは一般的な感覚とは異なることもありますが、ご本人の感じ方・付き合い方を尊重して支えていくことが大切と思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月21日就学・進路の大調査!発達特性のある子どもの就学先は?【未就学・小学校低学年編】2024年12月20日から2025年2月28日に、LITALICO発達ナビでは「就学・進学アンケート」を行い、発達障害のある子どもの保護者283名の声が寄せられました。アンケートへのたくさんのご回答、ありがとうございました。通常学級に通っている中で、特別な支援が必要だと考えられるお子さんの割合は2022年の文部科学省のデータで8.8%という結果も出ており特別支援の必要性も年々と高まっているのが現実です。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について|文部科学省発達障害のあるお子さんは一般的に就学相談で以下のような就学先を選択します。Upload By 発達ナビ編集部このコラムでは発達障害や特性のあるお子さんの選んだ進路、トラブル、悩み、進路先の合理的配慮など……アンケートの回答と併せて「就学・進学」にまつわる質問や思いなどもご紹介いたします。今回は「未就学・小学校低学年編」のアンケート結果になります。実際の経験談やデータは、就学先の検討をされているご家庭の皆さんの参考にもなるはずです。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」コラムや会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:283名の回答を集計しました。(調査期間:2024年12月20日から2025年2月28日)※設問によっては283名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。就学・進学アンケート お子さんについてアンケートの結果、男の子が71%、女の子が27%と、男の子の保護者の方の回答が多い結果となりました。Upload By 発達ナビ編集部年齢については未就学児のお子さんが20%、小学生のお子さんが34%、中学生のお子さんが19%、高校生のお子さんが16%、18歳以上のお子さんが11%という結果になりました。Upload By 発達ナビ編集部診断名についてはASD(自閉スペクトラム症)が176名、それに続きADHD(注意欠如多動症)が105名となっています。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)など併存していることがデータから読み取れます。Upload By 発達ナビ編集部障害者手帳は「療育手帳」「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。持っていない方151人に対して、持っている方は129人という結果になりました。一番多いのは療育手帳で73人の方が所持しています。また、昔持っていたが返還した、という方も3名いらっしゃいました。Upload By 発達ナビ編集部就学相談、いつからした?就学に向けて不安なことは?【未就学児のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは未就学のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。就学先は、多くの未就学児の保護者の方が不安を感じたり、悩むのではないでしょうか。現在考えている在籍クラスについては自閉症・情緒障害特別支援学級が43%と一番多い結果となりました。続いて通常学級+通級指導教室(17%)、特別支援学校(17%)、通常学級(11%)、知的障害特別支援学級(9%)となっています。Upload By 発達ナビ編集部・年長4月から。・年長の5月に説明会→その後夏までに個別相談、見学、体験を済ませた。・年長時の6月頃に直接小学校に電話してアポ取りして訪問しました。・自閉症・情緒障害特別支援学級希望本人が2つの教室を行き来することに納得してくれるか不安。・知的障害特別支援学級希望小学校ではどこまで支援体制を整えてもらえるのか。・通常学級+通級指導教室希望全てが不安です。恐らく通常学級+通級指導教室になるのではと思いますが、自閉症・情緒障害特別支援学級のほうが良いのか、放課後等デイサービスもどうするか迷っています。就学相談エピソードや進路決定の決め手は?【小学校に通っているお子さんのいる保護者の回答/小学校1.2.3年生保護者のコメント】ここからは小学校に通っているお子さんのいる保護者の方の回答と、その中から小学校1.2.3年生のお子さんのいる保護者より寄せられたコメントをピックアップしてご紹介します。現在小学校在籍中のお子さんのいる保護者が選んだのは、自閉症・情緒障害特別支援学級(27%)が一番多い結果となりました。その後通常学級(24%)、通常学級+通級指導教室(21%)、知的障害特別支援学級(16%)、特別支援学校(8%)と続きます。就学相談を行い、通常学級、特別支援学級、特別支援学校とそれぞれ見学などを重ね、最終的に在籍クラスを決めた方が多いようです。Upload By 発達ナビ編集部・通常学級通級指導教室の希望を年長の夏頃に教頭先生に出していましたが、教頭先生が忘れていて空きがなく、通級指導教室に通えませんでした。ですが、通級指導教室に通うとなると送迎や授業を抜けなくてはいけなかったり大変だったので、その代わりに担任の先生や、スクールカウンセラーの方や担当医の先生、子育て相談員の方に相談に乗っていただき逆に助かりました。・自閉症・情緒障害特別支援学級夫婦で揃って面談に出向き、心配されること、不安なことを全て吐露してきた。春頃と秋頃に、子どもを連れて、小学校見学に行き、本人に、通常学級と特別支援学級、どちらがいいか尋ねた。・特別支援学校へ就学特別支援学級、特別支援学校どちらがよいか悩ましいと担任の先生にも言われており、保護者としてもどうしてよいのか分かりませんでした。教育委員会の就学相談会では子どもの描いた絵や文字なども見ながら、なるべく多面的に娘の進路を考えようとしてくださってると感じました。なので、特別支援学校判定が出た際、娘にとって一番良い選択肢だと納得できました。・通常学級に就学本人にとってどこが合っているのか悩みました。診断がないので特に支援は受けられないということもあり、思い切って通常学級にしました。・自閉症・情緒障害特別支援学級に就学本人がみんなと違うクラスで落ち込まないか悩みました。・知的障害特別支援学級に就学少しでもできることを増やして自信をつけてほしい、本人の気持ちを最優先にした。実際に決めた就学先については、合っていたと感じた方が67%と一番多い結果になりました。どちらともいえない方は26%、合っていなかったと感じた方は5%でした。合理的配慮などを受けることで安心して通うことができたり、交流学級での体験が良い経験になっていることもあるようです。Upload By 発達ナビ編集部・合っていたと感じる(通常学級)少人数学級なので小回りがきき、子どもがしんどくなった時に「先生、ちょっと休んできます」と申告すると、10分ほど別室で休憩ができたりするので。・合っていたと感じる(自閉症・情緒障害特別支援学級)年を経るごとに、自分の状態に合わせて通常学級と特別支援学級を行き来できるようになった。学校も友だちも勉強も好きでいてくれた。・どちらとも言えない(通常学級)通級指導教室に通っていないので、なんとも言えませんが子どもは子どもでちゃんと成長していっているので、通常学級を選んでよかったです。療育にも通っているので、そちらのサポートはかなり大事だと思っています。就学先の支援や合理的配慮に満足をしている(25%)、おおむね満足している(52%)という結果となり、合わせて77%の方が満足していると回答しています。あまり満足していない(15%)、不満がある(4%)は合計19%と全体の約1/5は課題があるとの結果に。お子さん一人ひとりに合った支援がより一層求められています。Upload By 発達ナビ編集部・満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)1クラス9人に先生2人なので目が行き届いていると感じる。体育の授業で自転車に乗れるようになるまで指導してくれたり、お買い物の仕方など生活に必要な技術を身につけさせてくれるので助かっている。・満足している(特別支援学校)非常に手厚いと感じています。一人ひとりにあった学習内容を考えてくださるので、ゆっくりではありますが確実に成長できていると感じます。・おおむね満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)学校でのことを話さないので、状況が伝わってこない。特別支援学級でのことは連絡帳や先生との話からある程度知れるが、通常学級でのことは分からない。・おおむね満足している(通常学級)担任の先生によって配慮や手厚さが異なる。学校にWISCの結果や配慮事項は共有をお願いしているものの、個人情報すぎて金庫に収納されているらしく、校長等の管理職から担任へ共有されていないことも。結局毎回同じものをお渡しし、説明している。【未就学のお子さんの保護者】就学についての悩みや入学後の合理的配慮について専門家が解説!Q:今後子どもの就学相談を控えています。障害のある子どもの就学先はどのように決定されるのでしょうか。A:就学先決定までの簡単なプロセスを紹介します。まず、アンケートにあるように、年長児になってから園の先生、就学先の学校などと就学に関する支援会議が持たれます。この間、いくつかの学校や学級を見学したり体験入級をしてみたりして情報を集めていきます。いろいろな先生の話を聞いたり、パートナー同士で意見交換をしながら現時点での選択肢を固めて、希望を提出します。自治体での就学支援委員会によって望ましい就学先が決定され、通知されます。もし親の意見と合わない場合は、教育委員会と相談することになります。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:小学校入学後に合理的配慮を受けたいです。就学前に準備したほうがいいものや受けたほうがいい検査などを知りたいです。A:小学校での合理的配慮は主として通常学級で行われることが多いです。具体的にどのような場面で配慮が必要かは入学してからでないと分からない部分もありますが、園や保育所などで個別的な配慮を必要としている場面があれば同様の場面でどのような配慮が必要かを入学前に学校と話をしておいてもよいでしょう。配慮の内容によっては主治医からの診断書や意見書などがあったほうが良い場合もあります。検査などの具体的データがあると配慮も受けやすくなるので学校に相談してみて頂ければと思います。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月20日1歳を過ぎた頃から悩み始めた息子の他害問題トールは小さい頃から人見知りをしない子どもで、保護者から離れると不安になる……というようなこともありませんでした。1歳を過ぎて一人歩きが上手になると、自分が行きたいところに向かってどんどん動き回るようになりました。児童館や公園に行くと、目的のおもちゃや遊具に一目散に走って行き、一人でもくもくと遊ぶ姿がよく見られました。そんな中で、ある時から周りで遊んでいる子たちに手が出ることが増え始めました。未然に防ぐために、わたしも必ずトールの近くについているようにしていたのですが、手が出るタイミングがよく分からず、止めるのが間に合わないこともありました。ほかの子の近くで穏やかに遊んでいると思っていたら、何の前触れもなく急に髪を引っ張ったりするのです。喧嘩になったとか、ほかの子の使っているおもちゃを使いたいとか、そのような理由が見当たらない時にも手が出ていたので、予測するのが難しいなと感じたのを覚えています。Upload By メイほかの子どもとの関わりを経験させたい。けれど……その頃のわたしは、トールを同年代の子たちと交流させなければいけないと思っていて、なんとか児童館や公園に連れて行こうとしていました。実家が遠方なことや、夫も平日は仕事が忙しく、ほとんどトールと顔を合わせることのない生活の中で、毎日わたしとしか関わらずに過ごしていては成長に悪影響なのではと考えていたのです。そのような思いもあり、「今日は何事もなく過ごせるかもしれない」「今日はお友だちができるかもしれない」と自分に言い聞かせながら、なんとか頑張って、遊びに連れて行っているような毎日でした。Upload By メイしかし、トールの他害によって、相手に嫌な思いをさせると同時に、わたし自身も子どものいる場所にトールを連れていくのがどんどんつらくなっていきました。わが子がほかの子を叩いたり引っ掻いたりする姿を見るたびに、わたし自身も胸が締めつけられ、「なぜ叩くんだろう」「なんであの時止められなかったんだろう」と、トールにも自分にもイライラしていました。「同年代の子たちと交流させなければいけない」という考えを捨ててみたらそのうちに、そもそも「人を叩く」という経験をトールに何度もさせているのは、果たして良いことなのか?と、疑問を持つようになりました。そう考えるようになってから、無理にトールをほかの子どものいる場所に連れていくのはやめることにしました。わたしとトールはほとんどの時間を二人だけで過ごしていたので、ほかの子との関係を築くよりも、まずはわたしとトールの関係を大切にしようと、考えが変わっていったのでした。それまでは、ほかの子が当たり前にしていることをトールにも経験させてあげなければ……と、焦っていたのかもしれません。児童館に行くのをやめてからは、ほかの子に対する他害によって気持ちが落ち込むこともなくなり、以前より穏やかな気持ちで過ごせるようになりました。家庭での関わりの中で見えてきた他害の理由出かけるのを控えるようになってからも、トールの他害はなくなったわけではなく、家の中でもわたしや夫に対して叩いたり引っ掻いたりしてくることはありました。しかし、外出先で他人に手が出る時とは違い、家の中だとわたしにも少し余裕があるので、トールの様子を注意深く観察することができました。すると、トールに何か主張がある時だけ手が出ているようだということが分かってきました。そうはいっても、トールのやりたいことを叶えてあげられない時や、楽しんでいることを中断しなければならない状況もどうしてもありますので、そういう時の反発は本当に激しく、噛みつかれたり引っ掻かれたりすることで出血してしまい、なかなか跡が消えなかったこともありました。他害が他人に向かっていない分、気持ちの面では楽になっていましたが、わが子とはいえ日々叩かれたり噛みつかれたりするのはつらいものでした。イライラしたり悲しくなったり、どうしてこの子はこんなことをするんだろうと、考え過ぎて泣いてしまったりもしました。同じ痛みを感じれば分かってくれるだろうか……という考えが浮かんだこともありました。ある時ふと、わたしは今すぐにトールに他害をやめさせる方法を考えているんだと気づきました。そして、「今すぐに解決しようと思うことをやめよう」と、考えるようになりました。それからは、トールの他害に関して感情的になることをやめていたように思います。他害をされたら真顔で「痛いからやめて」と言う、と決めて、そのルールを淡々とこなしていたという状態でした。他害に対して一生懸命向き合ってしまうと毎日がつらかったので、自衛の意味もあったかもしれません。Upload By メイ幼稚園入園後、他害はどうなった?その後、幼稚園に入園してからは、また同年代の子どもたちとの関わりが増えました。最初の頃は先生から他害についての報告を受けることもあり心配していましたが、以前のような理由の分からない他害が頻発するという状況と比べると、ずいぶんと落ち着いてきたようでした。年中の終わり頃には、他害をすることはなくなっていました。トール本人の言葉の発達なども関わっていたのかもしれませんが、幼稚園でほかの子たちと関わる経験を通して、情緒面も少しずつ成長していったのだと思います。Upload By メイ中学生になった今では、あれだけ他害に悩んでいた頃が嘘のように、すっかり落ち着いたトール。学校や家でも手が出たり暴れたりすることはなく、毎日穏やかに過ごしています。(監修:藤井先生より)わが子がほかの子に手を出してしまうから、公園や児童館に連れて行くのがきついという親御さんからの相談はよくあります。そんな親御さんに一人ではないよ、成長とともに少しずつ落ち着くよという温かいメッセージになるコラムでした。ありがとうございます。つい、ほかの方の目が気になり、ちゃんと躾けなくてはと焦る気持ちがあるかもしれません。トールさんとメイさんがゆったり過ごすことで、他害の理由も分かり、「すぐに解決しようとすることをやめよう」と決断できたのは良かったと思います。トールさんのペースに寄り添いながら、少しずつ成長に合わせてほかの子と接しても大丈夫になってきましたね。お子さんのペースで見守るというのは、幼少期には勇気がいるかもしれませんが、ほかの子と足並みを揃えるのではなく、お子さんのペースにあった見守りってどういうことなのかなと振り返ってみていくと良いと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月20日フェリシモ、令和6年度東京都「心のバリアフリー」好事例企業として認定Upload By 発達ナビニュース発達ナビとの商品コラボレーション企画でもおなじみの株式会社フェリシモが、この度「東京都『心のバリアフリー』好事例企業」に認定されました。東京都は、誰もが平等に参加できる社会や環境について考え、必要な行動を続ける「心のバリアフリー」を推進するため、従業員の意識啓発などに取り組む企業等を東京都「心のバリアフリー」サポート企業に登録。その中から特に優れた取組を実施している企業等を「東京都『心のバリアフリー』好事例企業」として決定しています。2003年に発足したフェリシモのC.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)は、だれもがボーダーレスにつながる社会の実現を目指して、障害のある人たちの個性や能力を活かす商品開発に取り組んできました。発達ナビとも、今年に入って第6弾となるコラボレーション企画により、発達障害のある方の暮らしをサポートする3商品が新たに誕生しています。フェリシモは、これまでに120以上の福祉事業所と協業し、障害のある人たちの手仕事やアートをいかした雑貨など300以上の商品を開発・販売。また、商品に「CCPチャレンジド応援基金」を付帯させることで、商品の購入が障害者支援や社会啓発活動に繋がる仕組みを構築してきました。さらに、自治体からの受託によるオリジナル障害者手帳カバーの企画・生産や、顧客の買い物で貯まるポイントを使用したクラウドファンディングにより障害者アート展の開催を実現するなど、これらの取り組みの先進性・独自性が評価された結果となりました。Upload By 発達ナビニュース「ともにしあわせになるしあわせ」を会社のコア・バリューとするフェリシモ。今回の認定によって、その挑戦の舞台はこれからますます広がっていきそうですね。フェリシモC.C.PのWebサイトでは、これまで発売したコラボ商品を販売中ですので、ぜひチェックしてみてください!※クリックすると、発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します。知的・発達障害のある方の障害年金申請について解説!ぜんち共済オンラインセミナー4月26日(土)開催Upload By 発達ナビニュースぜんち共済主催の『知的・発達障害のある方の障害年金申請』についてのオンラインセミナーが4月26日(土)に開催されます。講師を務めるのは、YORISOU社会保険労務士法人 代表の松山純子先生。福祉施設で10年以上勤務されたご経験があり、障害者雇用にも深い知見をお持ちです。本セミナーでは「そもそも障害年金って?」「いくらくらいもらえる?」「働いているともらえないの?」など、障害年金にまつわる疑問について解説いただきます。複雑な障害年金の仕組みを理解することで、将来への不安を少しでも軽くできるかもしれません。事前質問も受付中とのことですので、障害年金申請について知りたい方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。【詳細】日時:2025年4月26日(土)10:00-11:45参加費:無料講師:松山純子視聴方法:YouTubeライブ申込方法:下記URLよりお申し込みください。※4月25日(金)までに申し込みをいただいた方は、アーカイブ配信(一部編集の可能性あり)をご視聴いただけます。主催:ぜんち共済株式会社※クリックすると、発達ナビのWebサイトからぜんち共済株式会社セミナー申し込みフォームWebサイトに遷移します。EXPO2025大阪ウィーク「ビッグ・アイ Dance Project」出演者、ダンス・サポーター大募集中!Upload By 発達ナビニュースUpload By 発達ナビニュース2025年4月13日から、いよいよ開幕した大阪・関西万博。約半年にわたって開催される万博の期間中には、さまざまな関連イベントが企画されています。その一つである「EXPO2025大阪ウィーク『OSAKA JAPAN SDGs Forum(SDGs全国フォーラム2025)(仮称)』」において、国際障害者交流センター ビッグ・アイによる夢のダンスプロジェクトが始動しました。本プロジェクトでは、ダンス経験、障害の有無、国籍、性別、プロ・アマを問わず、「未来にいのちをつなぐ一歩」をテーマにダンスパフォーマンスを披露します。独創性に富んだ作品を生み出し続ける世界的ダンスカンパニー「DAZZLE」、障害のあるダンサーによるダンスユニット「BOTAN」の出演が決定。現在、彼らとともにステージを盛り上げる出演者50名と、出演者に伴走し、舞台の完成を支えるダンス・サポーターを募集中です。大舞台でダンス表現に挑戦したい方、ステージをつくり上げる「仲間」としてサポートしたい方にとっては、またとないチャンスです。ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか?【詳細】『OSAKA JAPAN SDGs Forum(SDGs全国フォーラム2025)(仮称)』オープニングアクト「ビッグ・アイ Dance Project」公演日(本番):2025年9月5日(金)会場: EXPOホール「シャインハット」( 大阪・関西万博 会場内)出演:DAZZLE、BOTAN、公募で集まった出演者稽古・リハーサル:6月~9月(5回程度)場所:国際障害者交流センター ビッグ・アイ(予定)募集締切:2025年5月12日(月)必着※クリックすると、発達ナビのWebサイトから国際障害者交流センター ビッグ・アイのWebサイトに遷移します。SNSフォロワー4.7万人の現役スクールカウンセラーが登壇!東京都自閉症協会主催「発達障害のある子を支える学校と保護者の連携づくり」5月18日(日)開催NPO法人東京都自閉症協会が主催する講演会「発達障害のある子を支える学校と保護者の連携づくり」が、5月18日(日)に開催されます。新学期が始まり、新しい環境でどのように子どもたちの学校生活を支えていけばいいか、お悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。そんな皆さんにとって、本講演会はお悩み解決のきっかけになるかもしれません。登壇されるのは、SNSのフォロワー4.7万人、現役スクールカウンセラーで「発達障害のある子を支える担任と保護者の連携ガイド」の著者でもある西木めい先生。保護者と学校それぞれの立場を知る西木先生ならではの視点で、子どもと関わるうえで大切にしたいこと、共有したい想い、家庭と学校の連携などのお話を聞くことができます。なお、当日は会場だけではなく、オンラインでの参加も可能とのことですので、遠方にお住まいの方もぜひ申し込んでみてはいかがでしょうか。【詳細】日時:2025年5月18日(日)13:30~15:30参加費:【東京都自閉症協会会員】無料/【その他】1,100円(システム利用料込み)会場:福祉財団ビル7階大会議室(JR山手線:大塚駅より徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線:新大塚駅より7分)定員:会場40名/オンライン50名締切:5月6日(火)まで※オンライン参加の場合、チケット購入後にZoomのURLがお知らせされます。※チケット購入後のご返金はできません。Upload By 発達ナビニュース※クリックすると、発達ナビのWebサイトからPeatixのWebサイトに遷移します。アートや文化活動を通じてより健やかな人生を!国立アートリサーチセンターが東京藝術大学等と制作した「文化的処方のはじめの一歩」がWeb公開中Upload By 発達ナビニュース国立アートリサーチセンター(略称:NCAR)は、東京藝術大学が拠点となり、大学、美術館、医療・福祉の組織や自治体など42の産官学と連携する「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点(略称:ART共創拠点)」に参加し、健康の社会的格差を縮める「文化的処方」を推進しています。「文化的処方」とは、健康や幸福によい影響を与えるアートや文化活動、そしてそれらを生かした社会的な取り組みのことです。今回、ART共創拠点の一環としてNCARが制作したガイドブック「文化的処方のはじめの一歩」では、「文化的処方」の定義や5つのケーススタディ、国内外からみた「文化的処方」の動きなど、「はじめの一歩」の実践に繋がる情報やヒントをくわしく紹介。NCARが東京藝術大学と運営するメディア「ああともTODAY」にて公開中です。アートやケアに関心のある方、市民団体、美術関係者や医療・福祉関係者など、さまざまな立場の方にとって参考になる事例が満載の本ガイドブック。誰でもいつでも始めることができるそれぞれの「文化的処方」を、身近なことから始めてみてはいかがでしょうか?※クリックすると、発達ナビのWebサイトから『ああともTODAY』Webサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月19日生まれつき、目の障害を持って産まれた息子。さらに発達の懸念を指摘され……はじめまして、河野りぬと申します。現在、わが家は夫、私、息子、娘の4人家族です。息子は片眼性先天白内障という目の病気で、生後2か月で左目の手術をしました。弱視訓練のため、毎日コンタクトレンズとアイパッチ訓練を続ける日々。幸いにして視力は弱いながら順調に育っていっていた中、幼稚園にあがって集団生活をするようになり、徐々に新たな問題に直面するようになりました。年中に上がる直前に幼稚園の先生から「集団行動についていけていない。指示が通らない」という指摘をされたのです。最初は「そうはいってもまだ幼いのだから様子をみていいのではないか」と考えていました。息子は言動や普段の様子だけを見ているとしっかりしていると感じられる部分があり、さらに少人数で遊んでいる時はなんのトラブルもなかったため、当時は発達の凸凹に気付くことができませんでした。しかし、いよいよ年長に上がる直前になり、とあることが気になりはじめました。Upload By 河野りぬ就学間近なのに……いくら教えても初歩的な学習が入っていかない遊び中心のゆったりとした教育方針の幼稚園に通っていたため、学習については家庭でゆっくり教えればいいや、とのんびり構えていたのですが、就学にそなえて周りの子どもたちが次々と自分の名前を書いたり、数字を数えたり、早い子は足し算なども勉強している中、息子は6歳を目前にして20までの数唱がスムーズにいかず、ひらがなについては1つ2つしか覚えていないような状態でした。全く教えてないのなら納得ですが、少なくとも数唱に関しては毎日お風呂で20数えていたのになかなか覚える事ができませんでした。また、集団行動からは相変わらず逃げ回り、みんながお部屋で集会しているような時でも、部屋の外で座って終わるのを待っていたり、同じように集団行動が苦手なお友だちと別の遊びをしていたりしました。さらに、周りの子たちの遊びがどんどん規模が大きくなり、追いかけっこ、こおりおになど、ルールのある遊びを大人数でする事が多くなっていくと、息子は遊びの場にも入っていけない事が増えていきました。言葉が達者で工作なども得意、興味のあることなら大人が覚えていないような事も覚えていたりするのに、なぜ初歩的な学習や集団行動ができないのだろう、と疑問と焦りが募っていた頃、ついに3歳年下の娘のほうが先に数唱を覚えてしまいました。そんな様子を見て「やはりなにか理由がある。一度病院に行ってみよう」と決意したのです。やっと行った病院で受けた診断はさっそく幼稚園の先生からの紹介状をもらい、運良く空きがあったので早々に児童発達専門の先生に診ていただきました。すると、事前に渡した問診票の回答や紹介状の内容、当日の様子を見て早々に、「ASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)ではないか」という見立てを頂きました。集団行動への参加の難しさや、学習への興味の無さは、ASD(自閉スペクトラム症)特性である「興味の極端さ」「集中力コントロールの不得手(過集中または注意散漫)」「一斉指示の聞き取りの難しさ」などの理由から来るもの。また同時にじっとしていられない多動的な面も見られ、体幹の弱さも見受けられる事から、DCD(発達性協調運動症)やADHD(注意欠如多動症)も併せ持っていると思う……という事でした。私は、息子の困りの全貌がようやっと見えてきて「これから具体的に対策できる!」という前向きな気持ちと、見る人が見ればこんなにすぐ分かる障害を親である自分が見過ごしてきた申し訳なさ、さまざまな障害を併せ持つ息子の行く末を案じる気持ち、など複雑な気持ちがせめぎあう中、診断を受け止めました。Upload By 河野りぬ療育へ通うようになり、小学校は特別支援学級を選択その後、学習や運動プログラムのある療育へ通い始め、学習への向き合い方は少しずつ改善されていったものの、あいかわらず集団活動や場面の切り替えの苦手さが目立ち、情緒不安定な様子が続きました。最初は個別指導、そこから少人数……と規模の大きい活動にチャレンジしていくのですが、たった3人4人の集団規模でも、コンディションによっては部屋に入っていけない、かんたんな活動に参加できないということがあるのです。そういった様子を歯がゆく見守っていた頃、いよいよ就学へ向けての相談が始まりました。予約していたWISC検査を受け、多少の凸凹はみられるものの、なんと息子は数字の上では「正常の範囲」とされたのです。当然、通常学級を希望する前提で話が進みそうになりましたが、「待った」をかけ、一度家庭へ話を持ち帰ることにしました。WISCの検査結果を考慮したとしても、DCD(発達性協調運動症)や弱視の問題、また実際の困りから発達障害があるという判断はありましたし、なにより療育での様子を見ていて通常学級に入るイメージは全く持てませんでした。夫や教育相談員さんとも相談し、わが家は最終的に「特別支援学級」を希望しました。(※特別支援学級への入級基準は地域差があり、学校への事前確認が必要です)特別支援学級での生活、療育を続ける事で得られたものUpload By 河野りぬ現在、息子は1年生も終わりの頃を迎えています。あれだけドタバタとした年長の時期を超えて、今の様子はというと……別人のように穏やかに、順調に学校生活に馴染んでいます。進学した当初こそ、激しい行きしぶりがあり、大号泣で「ぜったい行かない!」などの抵抗が続いて、何が正解か分からなくなった時期もありました。そういった時期、やはり私も息子も苦しみましたし、一朝一夕の解決策もなく、ただ苦しい時間が続くこともありましたが、家族や学校、療育現場の支援員さんが連携して支えてくださり、難しい時期を乗り越える事ができました。2学期になると顔つきが段々と変わってきて「もうお兄さんなんだよ!なんでも聞いて!」というような言葉も聞かれるようになりました。特別支援学級での取り組みや療育を通して、明らかに「自尊心の回復」が見られ、何にでもチャレンジする前向きな心の土台が育まれていったのだと思います。もちろん不安が全くなくなったわけではなく、まだまだ特性に振り回される日常のシーンがあったり、進路の事で悩んだりといった事はあります。ただ、チームで育児していっている感覚が得られ、困難な事があった時に頼る先が、親子ともどもできたなと感じています。いま進級をひかえ、頼もしさも感じるようになった息子の様子を見ながら、夫と「この選択は間違ってなかったね」と振り返っています。これからも困難なことや迷いはあると思いますが、助けを得ながら協力して、あかるく育児していきたいと思っています。執筆/河野りぬ(監修:新美先生より)河野さん、はじめまして。生まれ持っての片眼性先天白内障の手術に引き続いて弱視訓練と続いた中に、就学前にASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)があるということも分かってということで、大変だったことと思います。小学校に上がって、いろいろありつつも順調に学校生活を送り、頼もしく感じられるほどの成長の実感を持って1年生を終えられているとのこと、嬉しいですね。文末の「あかるく育児していきたいと思っています」との河野さんの言葉がとっても素敵だと思いました。河野さんのあかるい子育てについて、これからいろいろ聞かせてもらえるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月18日専門家が一人ひとりの疑問に寄り添う「専門家回答のQ&A」発達ナビのQ&Aは、保護者の皆さん同士で経験や知恵を共有しあえる、相談・交流の場です。経験豊富な保護者の方からのリアルなアドバイスや、共感の声に励まされることも多いのではないでしょうか。そんなQ&Aに「専門家回答のQ&A」がスタートしました。通常のQ&Aとは異なり、保護者の皆さまから事前にお寄せいただいたお悩みアンケートをもとに、専門家に回答いただくものです。次では、現在公開中の専門家Q&Aをご紹介します※お悩みアンケートは不定期での募集を予定しております。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。小4の軽度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)のある息子の独り言が心配です――どう伝えると本人に伝わる?どうサポートすべき?そんな保護者の声に、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生がお答えくださいました。専門家の視点から、親としての声かけや今後の関わり方について、具体的なアドバイスをお届けします。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。ゲームのルールを一緒に決めたのに、こっそり制限を解除して長時間遊んでいた息子。注意すると逆ギレされて……どう対応すればよかった?ADHD(注意欠如多動症)の傾向がある小3のお子さんをもつ保護者の方から寄せられた切実なご相談です。「しつけとしてのペナルティはいいのか?」「怒らずに伝えるにはどうしたら?」──子育てにおける「ルール」についての悩みは、多くのご家庭でも共通ではないでしょうか。このモヤモヤに、専門家がどう答えたのか?対応のヒントが見つかるかもしれません。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。専門家Q&Aでは、今後も皆さまのお悩みにお応えしていく予定です。お悩みアンケートの募集は不定期で行ってまいりますので、募集時はぜひご応募ください。これからも発達ナビでは皆さまに寄り添えるようなコンテンツをお届けしてまいります。ぜひ、発達ナビのQ&Aをチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月17日息子の発達、遅れてる!?5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断。兆候をことごとくスルーしてきた楽天的な私の体験発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。今回から新たにアキラ編がスタートします。M子さんのお子さん、現在5歳のアキラくんは最近ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。思い返すと1歳の頃から兆候はありましたが、保護者の方は初めての子育てということもあり「そんなものなのかな」と気づかず。一体どのような兆候があったのか、その後支援に繋がり診断を受けるまでをマンガで振り返ります。Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談発語の遅れ、クレーン現象、不安を感じやすい、指差ししない……今思うとこれって予兆だったの?発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編がスタートしました。アキラくんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。1歳を過ぎた頃から発語の遅れ、クレーン現象、呼んでも返事がない、ベビーカーの拒否などがありましたが、保護者の方は「初めての育児だし。こんなものかもしれない」と思います。しかし一歳半健診にて、周りの子の成長に驚き!でも「保育園に通っていたり上にきょうだいがいるのかも……」と思い、ヒアリングへ。ヒアリングも特に問題なしと思っていたのもつかの間、保健師さんから「経過観察」と判定されました。「でも、経過観察って母親が様子を見ておいてねって意味だよね?」と特に心配をしなかったM子さんでしたが、この後保育園に入り、だんだんとアキラくんの言葉の遅れが目立つようになってきて……。次回第2話「支援に繋がり、初めて『自閉症(ASD/自閉スペクトラム症)』という言葉を知った私」。続きもぜひご覧ください。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(監修:井上先生より)初めての子育てでは、お子さんの気になる行動はあったとしても、それがASD(自閉スペクトラム症)の症状だとは思わなかったという方は少なくはありません。発達の遅れを心配して不安になることがあってもネットなどの情報でまだ大丈夫かなと安心したり、相談に行くのをためらったり親御さんの気持ちも揺れ動く時期だと思います。近くの子育て支援センターや児童発達支援センターなど身近なところがあれば勇気を出してお話を聞きに行ってみるのも良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月17日