映画『猿の惑星/キングダム』が5月10日(金) に公開される。このたび、『猿の惑星』シリーズが長きにわたり世界中で愛され続けてきたこと、そしてそんなシリーズの“完全新作”として誕生する本作の壮大さが映し出された特別映像が公開となった。1968年に公開され、映画史に残る名シーンとして親しまれている驚愕のラストシーン、衝撃の世界観と当時は珍しい精巧な猿の特殊メイク、さらに物語に込められた風刺的なメッセージが世界中を魅了したシリーズ1作目の『猿の惑星』。その後オリジナルシリーズとして続編が描かれるほか、2011年からは世界が猿に支配されていく過程を描いたリブートシリーズが誕生。格段に進化した技術を駆使して描かれるリアルな映像やアンディ・サーキスによる猿・シーザーの演技が高く評価されたほか、今回の特別映像でサーキスが「人の心を動かす作品に参加できて光栄だ」と過去に語っているように、猿と人間の間で描かれる深いドラマが評価され、世界中で愛され続けている。そんな偉大なシリーズの完全新作として描かれる本作だが、映像ではウェス・ボール監督が「大好きな映画だから機会に恵まれて幸せだ」と喜びを語りつつ、「猿が築いた世界を見ることができる。人間や世界の未来も」と、人間と猿の立場が逆転したシリーズならではの面白さを言及。「“猿と人間は共存できるか”それがテーマなんだ」と物語の軸を語った。さらに、主人公の若き猿・ノアを演じたオーウェン・ティーグは「過去とのつながりもある」と、完全新作として描かれつつ、過去作を思わせる要素も散りばめられていることを明言した。本作の舞台となるのは、今から300年後の世界。ある重大な秘密を抱えた人間の女性・ノヴァを演じたフレイヤ・アーランが映像内で「人類の日常は崩れ去り、猿に狩られる世界なの」と語る通り、大都会だった人間の世界は荒廃し、高い知能と言語を得た猿たちが巨大な帝国<キングダム>を築こうとしていた。そんな世界において、主人公ノアは猿による完全な支配を目論む独裁者のプロキシマス・シーザーによって、大切な家族と故郷を奪われてしまう。助けに行く旅の途中でノヴァと遭遇し、これまで人間のことを野生動物の一種としか思っていなかったノアは、ノヴァと時間を共にすることで本当の人間、そして過去に猿と共存していた時代があったことを知り、猿による独裁に立ち向かっていく――。ボール監督は本作について「過去作を超えるスケールだ」と並々ならぬ自信を語っている。映画『猿の惑星/キングダム』特別映像<作品情報>『猿の惑星/キングダム』5月10日(金) 公開公式サイト: 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2024年04月23日映画『デッドプール&ウルヴァリン』の新たな予告映像とポスターが公開された。“クソ無責任ヒーロー”であるデッドプールと、“危険な爪野郎”ことウルヴァリンがタッグを組む本作。2月に初公開された予告映像は、24時間の視聴数が3億6,500万回を突破(2月11日時点)し、映画史上ナンバーワンの記録を樹立するなど話題を呼んでいる。今回公開された映像は、デッドプールがウルヴァリンのもとを訪れるシーンから始まる。お得意の過激なジョークをぶちかまし、予測不可能なミッションの鍵を握るウルヴァリンを無理やり連れ出そうとするデッドプール。彼のジョークに対抗しながら重い腰を上げるウルヴァリンだったが、すでにどこか雲行きが怪しい。すぐに互いの逆鱗に触れ、ふたりは1対1で熾烈な争いを始めてしまう。ウルヴァリンに対して「お前は世界の救い方を知ってる」というデッドプールだったが、「俺はヒーローじゃない」と対立してしまうふたり。一触即発の危うい関係の彼らだが、世界の命運を賭けついに共鳴(?!)。異色の名コンビ爆誕の瞬間に期待が高まる。そのバックには、リリース時に大きな物議を醸したマドンナの名曲「Like A Prayer」が流れている。またデッドプールが「第四の壁」を破り、観客に向かって自ら「スローモーションの大アクション」「先が読めないストーリー」などと見どころをアピールする演出や、シリーズではお馴染みのデッドプールとルームメイトのブラインド・アルによるユーモラスな掛け合いシーンも。さらに「コカインほしい」と、デッドプールさえも焦るNGワードで口火を切ると、軽快なテンポで最後には「雪だるまつくろう」といった、前作でも登場していた『アナと雪の女王』のパロディとみられるワードも確認することができる。映画『デッドプール&ウルヴァリン』予告編<作品情報>『デッドプール&ウルヴァリン』7月26日(金) 日米同時公開(C)MARVEL 2024
2024年04月23日「最近、いい目尻のシワができるようになったんですよ」そううれしそうに笑う。人の顔とは、生きてきた証だ。特に年齢を重ねれば重ねるほど、単純なパーツのバランスの良さよりも、生き様や人格が美しさとなって顔に出る。そういう意味でも、彼はきっと今がいちばんいい顔をしている。俳優・鈴木亮平、41歳。4月25日に世界独占配信がスタートするNetflix映画『シティーハンター』で主人公・冴羽獠を演じる。エッチで、おバカで、だけど強くて優しくて、どことなく陰がある。まさに男の美学が凝縮したようなキャラクターだ。そして、そんな冴羽獠を演じた鈴木亮平もまた誰もが憧れずにはいられない人だった。ちゃんと『シティーハンター』を届けるまでが自分の責任単行本累計発行部数5000万部超。まさに“レジェンド”と呼ばれる作品の一角である『シティーハンター』がついに日本で初めて実写化される。子どもの頃から憧れ続けてきたヒーローを演じるにあたって、鈴木亮平は妥協をせず、作品と向き合った。「脚本をつくっていく過程では、少しでも面白くするためにアイデアが飛び交い、いろんな方向に話が進みます。けれど時には、原作ファンから見たときに、それは『シティーハンター』らしくないと思うものもある。そういうときに、意見を言ったり、代案を出したりするのが僕の主な役目でした」たとえば、と鈴木はこんな例を挙げる。「本編冒頭で、獠と槇村はある事件を追いかけています。この事件が、最初は政治家の性的スキャンダルを揉み消すという内容だったんですよ。だけど、シティーハンターはそんな依頼は受けない。シティーハンターが依頼を受けるのは、自分の心が震えたとき。これは原作にも書かれている重要な主人公の哲学です。というふうに、出てくるアイデアが原作のポリシーから外れそうになったときは、もう一度ここ(原作)に戻りましょうとお伝えしていました」原作オタクが脚本会議に参加してきた感じですね、と合いの手を入れると、「そうなんです」と鈴木は陽気に笑い飛ばす。「面倒くさいやつになってしまっていた自覚はあります(笑)。でも僕がやる以上、単に冴羽獠を演じるだけじゃ、役割を果たしきれない。ファンに向けて、ちゃんと『シティーハンター』を届けるまでが自分の責任だと思った。だから、言わなければいけないと思ったことは勇気を持って言おうと決めていましたし、脚本に関わったチームのみなさんも驚くほど真摯に徹底的に向き合ってくださいました」作品が与える影響について俳優も責任を担わなければいけない俳優にとって最もうれしい評価の一つが、「この俳優が出ている作品は面白い」だろう。クレジットに名前があるだけで、「見たい」と思わせる、「面白い」と期待させるだけの信頼は一朝一夕では築けない。積み上げてきた作品が、揺るぎない礎となる。代表作となった『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』や『エゴイスト』、主演だけではなく助演としての存在感も改めて証明した『エルピス-希望、あるいは災い-』、そして近作の『下剋上球児』まで、秀作続き。鈴木亮平は、今や最も次回作が待ち望まれる俳優の一人である。「今は『自分はただの俳優だから』『演じただけだから』では足りない時代になっていると感じています」俳優は、あくまで作品の一部であり、作品の質や社会的意義を担うことはできない、というのが従来の見方だった。だが、作品の顔として観客に認知され、毀誉褒貶を先頭に立って浴びる立場だからこそ、「台本に書いてあったものを演じただけ」では通用しないと鈴木亮平は考えている。「作品が発表されることで、世間にどのような影響を与えるのか。その責任は、俳優もある程度は担わなければいけないんだろうなと思います。もちろん新人の頃にはそんな余裕はありませんし、全ての俳優にそれを求めることは間違っていると思います。ただ、いただく役の重みが増すほど、責任が大きくなっていくことは感じていて。だけど僕はそれをあまり後ろ向きには捉えていないかもしれない。むしろそれだけ俳優の責任が増え、求められることが増えることには良い面もあるんじゃないかと思っています。だから俳優は作品を選ばなければいけないし、自分が参加すると決めた作品に対しては、ただ演じるだけじゃなく、もっと深いところまで関わる覚悟を持つべきなんだろうと感じています」鈴木が『シティーハンター』の脚本開発に参加したのも、自分が主演を務める作品として納得のいくものを観客に届けたいと思ったからだ。「脚本開発では原作ファンとしての視点と同時に、今この時代に世に出る作品としてふさわしいかどうかも話し合いました。獠はああいう性格だから、女性に性的に迫る場面が何度もある。原作が連載されていた当時は問題にならなくても、今読むと違和感のある表現はやっぱりあって。その修正には特に気を配りました。今、僕たちが実写化することで、冴羽獠が嫌われてしまうことだけは絶対にあってはいけないと思ったんです」それは、コンプライアンスによって表現を曲げられたという意味ではない。実際、本編を観ると、驚くほど冴羽獠は冴羽獠のままだ。予告編で披露された“もっこりダンス”もファンの間で大きな反響を呼んだ。賛否の声が沸きやすい人気漫画の実写化も、鈴木亮平の名前があると、なぜかファンも安心してしまう。この絶大なる信頼は、鈴木亮平の深い原作愛、そして作品の担い手としての強い責任感から生まれたものだった。(C)北条司/コアミックス 1985職人ではなく、フィルムメーカーとして「俳優は演技だけやっていればいい、では足りない時代に来ている」――そう鈴木亮平が繰り返すのは、目線の先に海外市場を見据えているからだ。「本来、勉強して自分を広げていくことは、どの仕事でも必要なこと。ですが、これまではなぜか俳優はそういうことをしなくていい、という風潮があったように思います。俳優は演技だけしていればいいんだと自分たちでも聖域化していたような。でもそれだと、自分の制作会社を持ち、自ら主導して映画作りをしている海外の俳優にどんどん差を付けられていってしまう危機感を感じています。今は1年何も学ばなかったら、すぐに置いていかれる時代。僕たちもちゃんと勉強して常に成長していかなくちゃいけない、という思いは自戒を込めていつも心に置いています」(C)北条司/コアミックス 1985ここで鈴木亮平が指す勉強とは、決して役づくりのために何かを学ぶことではない。今求められているのは専門性ではなく、総合的に作品に関わる力だ。「今の映画の現場では、それぞれの部署が職人として与えられた仕事を突き詰めている印象があります。それは素晴らしいことですが、これからはもっと一人ひとりが自分はフィルムメーカーなんだという意識を持つ時代になるんじゃないかと思っています。映画もドラマも、全員が作品づくりに対して意識を高く持つ必要が出てくるんじゃないかなと。たとえば俳優なら自分が出ている作品の資金調達の仕組みについても少しは知るべきだと思うし、企画の立て方、演出術や脚本の書かれ方、照明さんがどういうロジックで光の当て方をデザインしているのか、みたいなことも勉強できる。逆に演出家の方々には、俳優の演技法についても今後さらに深く知っていただいて。そうやってみんながコミュニケーションをとり合い、自分の部署を横断して一つのチームとなることが、結果的に全体の底上げになるんじゃないかと思っています」多彩なフィルモグラフィを誇る鈴木だが、意外にもNetflix作品は初参加。近年、日本作品が週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)にランクインする快挙が続いている。重く閉ざされていた扉は、今、少しずつ、けれど確かに動きはじめている。「今は過渡期で、映像業界のみんなが『このままじゃまずい』と思い、一気に行動に移し始めているのを感じます。少し「幕末感」のようなものを感じると言いますか。海外の列強に飲み込まれないよう、日本をもう一歩前に進めようという気概を上層部から現場までいろんな人が胸に抱いているような。どの立ち位置なのかはわかりませんが、微力ながら僕もまたその流れに貢献できる一人であれたらという思いはあります」自分の滑舌の悪さは、ずっとコンプレックスでした鈴木亮平に寄せられる信頼感の一つに、知性がある。東京外国語大学卒業という経歴もさることながら、そのインテリジェンスを支えているのは、彼の話し方だ。美しい日本語を、落ち着いた口調で操る。だが、実はそんな武器は長らく彼のコンプレックスだった。「やはり俳優をやる以上、よく響く日本語、いわゆる標準語と言われるものをしっかり身につけないといけないと、自分が関西人だからこそ強く思っていました。でも、実は僕は滑舌が絶望的に悪くて。それが長年コンプレックスだったんです」この4月から『世界遺産』の9代目ナレーションに就任。心地よく耳に染み込む語りに早くも絶賛の声が上がっているだけに、滑舌に難を抱えていたというのは意外な告白だった。「ずっとナレーターの仕事もしたいと思っていたからこそ、自分の話し方を直さなくちゃいけないという意識は強かったです。今もやっているのは、外郎売り。特に関西人として気をつけなきゃいけないのは鼻濁音。あとは無声化です。関西圏で育った僕は、どうしても全部有声発音になりやすい。それを無声音で話せるように一生懸命練習しました。このあたりは今も気を抜くと忘れることが多くて。滑舌やイントネーションに関しては今も誤魔化しながらやっているというのが正直なところです」他者が羨む美点も、決して天からのギフトではなく、不断の努力によって磨き上げたもの。最初からダイヤモンドだったわけではない。何度も濁流に揉まれ、石肌を削られ、やがて無二の輝きを放つ天然石のように、彼の中に流れる歳月の蓄積に私たちは美しさを感じ取っているのかもしれない。未熟を理由に何も伝えないのは年長者の甘えかもしれない「俳優という仕事は役との出会いが大きいです。いい方向ばかりとは限りませんが、役から影響を受けて自分の人格が徐々に変わっていっている感覚もあります」中でも大きかったのが、大河ドラマ『西郷どん』で演じた西郷隆盛だった。「あの変革期で西郷さんが行ったことは歴史に残るものだし、政治的にもすごく大きな役目を背負っていました。でも彼が今もこうして愛され続けているのは、それ以上の何かがあったからだと思います。現代の言葉で言うなら、カリスマ。西郷さんを演じたことで、彼の持っていたカリスマ性の1/10くらいは学ばせていただいた気がする。それは今の自分を形成する上でとても大きなものになっています」そう話しながら、「でも、自分はそんなにできた人間じゃないですよ」と困ったように笑って、かぶりを振る。「役とリンクしちゃって、変に祭り上げられている感じがする(笑)。そう『見える』のはありがたいことですけどね、俳優としては。でもあまり立派な人のように思われすぎるのは、ちょっと生きづらい。早く悪役がやりたい(笑)」決して完璧な人格者なんかではない。いつまで経っても、未熟者。だから学び続けるし、努力し続ける。「自分が大人になればなるほど、自分の未熟さも、成熟も同時にわかってきました。ただ最近は、自分が未熟だからといって、後輩に伝えることを怠っちゃいけないなとも思っています。「自分も未熟だから偉そうに言わないでおこう」というのは簡単で。でも業界全体が今後成長するためには、次の世代に自分たちが経験してきたことを伝えていく必要もあって。『教える』なんて偉そうなものじゃなく、ただ伝えて、そこから自由に感じ取ってもらうといいますか。自分の未熟を理由に何も伝えないのは年長者の甘えかもしれないなと思うんです。そういう意味でも、全体で知識を共有して次の世代に伝えていくことは、今とても興味のあることの一つです」Netflixでは、よりクリエイティビティを発揮できる環境づくりを目指してリスペクトトレーニングの導入や、労働環境改善のために1日の撮影時間を原則12時間までとするなど、先進的な試みを行っている。こうしたNetflixとの仕事も、鈴木亮平にとっては新たな刺激となった。「日本でも今では映適という組織がスタートして環境が改善されてきていますし、今後もNetflixのような撮影環境が、日本でもスタンダードになっていけばいいなと思っています。ただし、それをすると撮影日数が増えて予算が大幅に増える。今までつくれたものがつくれなくなって、作品の本数が減ることも覚悟しなくちゃいけない。でもその分、若い世代が入りたいと思える持続可能で健全な業界になる。僕はなるべく健全であることが優先されるべきだと思いますが、今後も日本の現実に合った、より良いルールが作られていくべきだと思います」自分の目先のことだけに拘泥しているのではない。作品全体のことを、ひいてはこの業界の未来のことを第一に考えて、行動する。その視野の広さが、鈴木亮平という人間の大きさにつながっている。ドジは僕の代名詞みたいなものですから鈴木亮平と話していると、その人間力の高さに圧倒されてしまう。だが、そう伝えても、彼はきっとまた困ったように笑うだろう。だから、あえて聞いてみた、鈴木亮平のポンコツなところを。「ポンコツばっかりですよ。まず、すぐ風邪ひくんですよね」待ってましたとばかりに話し出す彼に、「そんなに鍛えているのに……?」と疑いの目を向けると、「出た!」とオーバー気味に笑って、こう続ける。「体を鍛えている人は健康だと思ってるでしょう。関係ないですから。むしろ筋トレして体をいじめた後ほど免疫が下がって風邪をもらいやすいんですよ。筋トレ後は回復が大事なので、ちゃんと寝なきゃいけないのに、仕事が忙しいと寝られなかったり。そしたらもうヒュンッて免疫下がって、すぐ風邪をひきます。基本、全部の菌をもらっていくスタイルです(笑)」自分のダメなところを語るときほど、鈴木亮平はイキイキとしゃべる。出身は兵庫県西宮市。関西人らしいサービス精神の塊みたいな人だ。「あと、ドジは僕の代名詞みたいなものですから。この間も、次に入る映画の方々とお会いして、みんなでご飯でも食べに行きましょうとお店に入ったんです。そして、1品目が出てきて、箸袋から箸を抜こうとした瞬間、勢い余って箸がスパーンッと向こうの方へ飛んでいきました(笑)。まだみなさん緊張されているので、呆気にとられてるんですよ。だから僕から説明しました、『僕はみなさんが思っているようなしっかりした人間ではありません。こんなことを毎日やるのでお見知りおきを』って」そうおかしそうに笑う目元には、豊かなシワが刻まれていた。男の可愛さと色気が同居したシワだ。大人の余裕と包容力。そして、少年のような好奇心と探究心。その両方が鈴木亮平にはある。50歳、60歳になった鈴木亮平はどんな顔をしているだろうか。きっと今よりもさらにいい顔になっているに違いない。たっぷりに刻まれた目尻のシワは、鈴木亮平の生き方そのものを語っていた。取材・文:横川良明撮影:Jumpei Yamadaスタイリスト:丸山晃ヘアメイク:宮田靖士(THYMON Inc.)ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント鈴木さんのサイン入りポラを1名様に!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<作品情報>Netflix映画『シティーハンター』4月25日(木) Netflixにて世界独占配信(C)北条司/コアミックス 1985出演:鈴木亮平森田望智安藤政信華村あすか 水崎綾女 片山萌美 阿見201杉本哲太迫田孝也/木村文乃橋爪功ストーリー新宿東口の伝言板に書かれた「XYZ 妹をさがしてください」というメッセージを受け、相棒の槇村秀幸と共に、有名コスプレイヤーくるみの捜索依頼を請け負った“シティーハンター”こと冴羽獠。その頃新宿では謎の暴力事件が多発し、警視庁の敏腕刑事 野上冴子は手を焼いていた。息の合ったコンビネーションでくるみを追う獠と槇村だったが、捜査の最中、槇村が突然の事件に巻き込まれ死んでしまう。獠が事件現場に駆けつけると、そこにいたのは槇村の妹の槇村香。兄の死の真相を調べてほしいと香は伝言板で獠に依頼するが、香を巻き込みたくない獠は香を避け続ける。しかし香がくるみを発見、保護したことで状況は一変。くるみがコスプレイヤーとして出演するイベントに、獠と香は護衛役として潜入することになった。ステージに登壇するやいなや、一気に注目の的となるくるみ。しかしそんな彼女に視線を送るのは、観客やメディアだけではなかったーー。作品ページ:
2024年04月23日2024年9月中旬から10月上旬に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場<ホール内特設会場>で上演される、KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『リア王の悲劇』の全キャストが発表された。『リア王』には、クォート版『リア王の物語』とフォーリオ版(シェイクスピアによる改訂版)『リア王の悲劇』があり、この折衷版が『リア王』として上演され続けてきたが、今回はこれまでの『リア王』とは異なる河合祥一郎による新訳のフォーリオ版が、日本で初めて舞台化される。演出は、今回初めてシェイクスピア作品に挑む藤田俊太郎が手がける。今回の上演では、時代をキリスト教が入ってくる前の3世紀から5世紀のブリテンに設定。人間としての在り方や尊厳を見つめ直し、特に女性の登場人物たちに新たな視点や解釈を施しながら、リアの生き様を通して人間の本質に迫る。タイトルロールのリア王を木場勝己、リア王の長女ゴネリルを水夏希、次女リーガンを森尾舞、グロスター伯爵の嫡子でありエドマンドの策略により追いやられるエドガーを土井ケイト、追放されながらも姿を変え支え続けるリア王の家臣・ケント伯爵を石母田史朗、グロスター伯爵の私生児であり、エドガーを陥れるエドマンドを章平、リア王の三女コーディーリアとリア王に寄り添い影となる道化の2役を原田真絢、リーガンの夫・コーンウォール公爵を新川將人、ゴネリルの夫・オールバニ公爵を二反田雅澄、ゴネリルの執事を塚本幸男、リア王の家臣であり裏切りの果てに苦悩するグロスター伯爵を伊原剛志が演じる。■演出:藤田俊太郎 コメント(KAATの2024年度ラインアップ発表会より)この度、長塚圭史芸術監督の掲げるシーズンテーマ「某」にて、『リア王の悲劇』の演出を担わせていただきます。時代を超えて支持され愛される文学の最高峰に挑戦できることを心から幸せに思っています。老い、寛容、分断、支配、ルーツ、愛。2024年に問うべき作品の主題を多義的に豊かに、リアの存在・言葉を通して創作したいと考えています。演出するにあたりフォーリオ版での上演、時代を戯曲の設定である3〜5世紀にしました。舞台であるブリテンに、キリスト教の考え方や概念が入る前の、人間としての在り方、尊厳と向き合いたいと思っています。台本の言葉が今を生きる私たちに多くのことを与えてくれると思います。魅力的な人物たち、特に女性の生き様に光を当て、この物語を通して、ジェンダーレスな物事の捉え方と、あらためて女性の価値観を見つめる“眼差し”を大事にしたいと考えています。素晴らしいキャストの皆様、プランナー、スタッフ、カンパニーの皆様と、シェイクスピア作品、演劇の喜びにあふれた仕事をし、お客様にお届けしたいと思っております。なにとぞ宜しくお願い致します。■木場勝己 コメント私は、決してシェイクスピア俳優ではありませんが、1988年の『丘の上のハムレットの馬鹿』に出演したのを皮切りに、『オセロー』『マクベス』『ヘンリー六世』等々、多くのシェイクスピア作品に出演させて頂きました。更にまた、秘法零番館最終公演『ひまわり』では、リア王の台詞を時々口にするアルバイトの父親でした。そして……1993年セゾン劇場公演の『リア王』では道化だった私が、今回は、『リア王の悲劇』のリア王に挑戦することになったというわけです。75才を目前にしての大暴れ!これまで誰も観たことのないリア王をご覧に入れたいと、無謀な夢を見ております。■伊原剛志 コメント実はシェイクスピア作品は20代前半の時に出演したロミオとジュリエットのパリス伯爵以来。シェイクスピア作品は何だか難しいと思ってましたがようやく今の年齢になってシェイクスピアの台詞が少し身体に通ってくる様になったように感じます。今回のグロスター伯爵という役を通してシェイクスピアの世界を存分に楽しんでいきたいと思います。<公演情報>KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『リア王の悲劇』作:W.シェイクスピア翻訳:河合祥一郎演出:藤田俊太郎出演:木場勝己水夏希 森尾舞 土井ケイト 石母田史朗 章平 原田真絢新川將人 二反田雅澄 塚本幸男伊原剛志稲岡良純 入手杏奈 加茂智里 河野顕斗 宮川安利 柳本璃音 山口ルツコ 渡辺翔会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール内特設会場>日程:2024年9月中旬~10月上旬公式サイト:
2024年04月23日石原さとみが主演を務め、 『空白』(2021)、『愛しのアイリーン』(2018) の田恵輔がオリジナル脚本でメガホンをとった映画『ミッシング』が、5月17日(金) に全国公開される。ある日突然いなくなった愛する娘。その帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親とその家族の物語。母親を演じた石原のほか、中村倫也、青木崇高など豪華キャスト陣が集結した。その本作のキャストのひとりとして名を連ねているのが小野花梨。8歳の時にドラマ『嫌われ松子の一生』(2006) で子役としてデビューして以降、着々と出演作を重ね、NHK連続ドラマ小説『カムカムエヴリバディ』(2021) でブレイク。同年公開の映画『プリテンダーズ』(2021) では初の主演を飾り、その翌年には映画『ハケンアニメ』(2022) で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。本作で小野が演じるのは、地元テレビ局の新人記者・三谷(みや)。先輩記者の砂田(中村倫也)、カメラマンの不破(細川岳)と共に、沙織里(石原さとみ)たちの取材を続けるという役どころだ。小野は、「自分と同い年の新人記者という役どころでしたが、向上心はあるけれど、どんな一歩目を踏み出したらいいかもわからないという状況は、とても理解ができるものでした」と共感を覚えたという。また「一生懸命でピュアで真っさらで、まだ何色にも染まりきっていないがゆえの不安定さだったり、失礼さだったり、悪気がない何かを表現できたらいいなと思っていました」と、演じるにあたっての想いも明かした。本作で初めて小野を起用した田監督は、漫画原作のドラマ『鈴木先生』(2011) に出演していたころから、小野に注目していたという。ドラマで小野は、恋愛経験豊富な中学生・河辺彩香役を演じていたが、「トリッキーな役どころだが、原作漫画よりも説得力があり、めちゃくちゃ上手かった!」とその演技に心つかまれ、いつか絶対一緒に作品をやりたい!という思いを抱いたそう。本作の演技については、台詞の言い方ひとつにしても、田からのニュアンスを瞬時にくみ取り反映していたといい、「チューニングの仕方が天才!」とその実力を絶賛している。<作品情報>『ミッシング』2024年5月17日(金) 公開公式HP:「missing」Film Partners
2024年04月23日7月に新国立劇場 中劇場にて、ミュージカル『愛の不時着』が上演されることが決定した。韓国を代表するスタジオドラゴンが制作した『愛の不時着』は、パラグライダー飛行中の事故で北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢ユン・セリと朝鮮人民軍軍人のリ・ジョンヒョクの国境を超えたラブストーリー。2019年12月から韓国で放送開始後、世界で話題となり、4年以上たった今なお根強い人気を博している。2022年9月に韓国でミュージカル化されると、多くの日本上演希望の声を受けて今年2月に日本初上演。今回、異例の速さでの再演となる。主人公リ・ジョンヒョク役には、男性アイドルグループASTROのリードボーカル、ユンサナ。ユン・セリ役には韓国で上演されたミュージカル『愛の不時着』でも同役を演じたキムリョウォン。ク・スンジュン役にはASTROのメインラッパー、ジンジン。ソ・ダン役には女性アイドルグループWeki Mekiのメインボーカルでミュージカル女優としても活躍するチスヨンと、日本初演のキャストが再び集結する。ミュージカル『愛の不時着』出演者■TERRY KIM(総括プロデューサー)コメント初のワールドツアーを東京で無事に終え、ご来場頂けなかった方々より再演を待っているとの話を聞きました。再演を準備している中、フジテレビさんの努力により素晴らしい劇場にて上演することになりました。7月の公演では、前回の公演でお見せできなかった部分や修正が加わる予定です。より完成度の高い作品をお披露目できるよう努力致します。7月公演で初めてミュージカル『愛の不時着』をご覧になる方、2月公演をご覧になりもう一度ご覧いただく方も、忘れられない公演になるよう最善を尽くして準備いたします。本作品のテーマのひとつは「もう一歩だけ」です。全ての人が互いに「もう一歩だけ」近づける人生になれればと願います。<公演情報>ミュージカル『愛の不時着』ミュージカル『愛の不時着』ティザービジュアル■東京公演7月7日(日)~7月21日(日)会場:新国立劇場 中劇場出演:ユンサナ(ASTRO)、キムリョウォン、ジンジン(ASTRO)、チスヨン(Weki Meki)、ホギュ、他(韓国語上演、日本語字幕あり)
2024年04月23日スポーツに造詣が深いきらぼし銀行と中央大学が強力タッグを結成。きらぼし銀行は首都圏を基盤とする銀行だ。「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げ、ブランドスローガン「TOKYOに、つくそう。」のもと、20社を超えるグループの総合力を最大限に発揮して、地域やお客さまの課題解決に取り組んでいる。そして、きらぼし銀行は、スポーツを通じて地域を元気にすること、地域の住民との「つながり」を創出することを目的にスポーツ支援、アスリート支援にも力を入れている。一方の中央大学は、バスケットボール部やサッカー部の一般社団法人を設立、トークンを発行してそこで得た資金を練習設備や寮の環境改善に充てるなど、大学スポーツの新たな運営方法を示す。サッカーのFC東京やラグビーのクボタスピアーズ船橋・東京ベイなど、トップリーグに所属するチームのスポンサーから地域イベントへの協力まで、スポーツに造詣が深い東京きらぼしフィナンシャルグループ(東京きらぼしFG)及びきらぼし銀行と中央大学が「包括連携に関する基本協定」を締結したのは2021年3月のこと。本協定では東京きらぼしFG及びきらぼし銀行と中央大学の人的・知的資源の交流と活用を図り、産学連携のもと教育、研究等の分野において相互に協力し、社会の発展に寄与することを目的としている。中央大学ではソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラムの講座を開講。中央大学商学部の学生が東京都檜原村と連携し、担当講師の指導のもと、きらぼし銀行行員や自治体、地元NPO法人の協力も得て、特産品のゆずワインを活用したボンボンチョコレート「ゆずぼん」を商品開発した。中央大学渡辺岳夫教授渡辺教授は東京きらぼしFGとのかかわりについて、このように語った。「ひとつはソーシャル・アントレプレナーシップ・プログラムです。奥多摩の檜原村・小菅村・丹波山村の3つの村と提携して、学生たちの主体的な地域活性化への取り組みをご支援いただいています。また個別に私のゼミにご支援いただいたり、またきらぼし銀行さんがスポンサードされているAPOLLO PROJECT(アスリートのキャリア支援に取り組む一般社団法人)と本学の体育会系の学生を結び付けた取り組みをさせていただいています。私の授業をハブにして、きらぼし銀行さんと地域をつなぐ活動をしてきました。ベンチャービジネスプロジェクトにも講師を派遣していただいて、実際起業する際の具体的な手続きやコンセプトの作り方を含めてご指導いただいています。そこを経た学生が奥多摩の村の活性化であったり、スポーツビジネスの道を進んだりして3年が経っています」東京きらぼしFGも「バスケットボール部やサッカー部の指導に関わっていらっしゃり、勝敗だけではないスポーツの意義やアスリートのキャリア支援にも積極的に取り組んでいらっしゃる、中央大学におけるスポーツ分野の中心的な方」と渡辺教授の活動に注目していた。きらぼし銀行と中央大学の連携は多岐にわたる。渡辺教授が具体例を挙げながら説明した。「一昨年スポーツ組織と提携して学生がワンマッチを企画する事業があり、きらぼし銀行さんにご協賛いただきました。関東サッカーリーグ1部リーグ所属である東京23FCと提携したのですが、ホームタウン江戸川区の抱える問題として高齢者が多く、自殺率も高いということがありました。我々はただ集客を伸ばすことを目指すのではなく、サッカークラブが根差したホームタウンの課題解決をすることによって、集客に結び付けることを短期的、長期的に目指していければという考えを持っています。では実際に課題を解決しつつ何か集客につなげられるものがあるか考えた時、江戸川区には銭湯が多いことに気付きました。銭湯もスポーツ観戦で高揚することも精神的にいい効果がありますので、銭湯とスタジアムの相互集客を目指しました。高齢者の方が観戦チケットを見せれば、銭湯が一定期間無料になり、付き添いの方は半額にし、その割引資源をきらぼし銀行さんにスポンサードしていただきました」中央大学にとって東京きらぼしFGはスポンサーではなく、パートナーであると渡辺教授は続けた。「檜原村・小菅村・丹波山村のプロジェクトで、『こういう企画で村に役に立ちたい』という学生たちのプレゼンテーションをやるのですが、そこにきらぼし銀行さんに同席いただき、学生たちにフィードバックしていただいてコミットを深めています。時間は合計10時間にも及びますし、出していただいたお金も学生が作る試作品に振り分けています。パートナーなので、お金を出していただいて終わりではなく、『一緒にプロダクトを作り上げていきましょう』ということで、きらぼし銀行さんは巻き込まれてくださっています」きらぼし銀行も渡辺教授の考えに「私たちも中央大学さんと一緒に地域に根差していきたいと考えています。スポンサーではなくパートナーとして地域とつながっていくことが地方金融機関の役割ですから」と同意する。渡辺教授はスポーツビジネスもソーシャルビジネスも課題を特定することが重要だと断言した。「学生が主体的に課題を見付けて、その課題解決に主体的に取り組む。そのプロセスで実行力やリーダーシップを身に付けていくものですが、おおもとの課題のフォーミュレーションが一番難しく一番の本質です。課題を特定するには現地のリサーチが必要であり、分析力も必要ですが、スポーツビジネスもソーシャルビジネスもそこにいくまでが難しい。でもアインシュタインが言うように『問題の特定が問題の解決より重要だ』と。フォーミュレーションをしっかりやる立て付けにソーシャルビジネスもスポーツビジネスもしています。学生は早く解決に向かいたがりますが、はっきり言ってつまらないので脱落する者も出てきます。しかし、そこが大事だと理解した学生はその後のものの見方が変わったりしています」さらに渡辺教授はステークスホルダーや関わる人が多ければ多いほど、課題の特定を困難にさせると言及した。「檜原村のプロジェクトも村の住人がいれば役場の方もいて、きらぼし銀行さん、NPOの方、地域おこし協力隊の方、ハンター製菓さんと相対的な大学の授業よりステークスホルダーが多い中、課題を見付け、同じ方向を見て、課題解決に向かうのはどれほど難しいか。この経験は絶対必要なので、社会へ出るのに役に立つと思います」実際、檜原村の特産品「ゆずぼん」の開発に携わり、今は戸田建設に勤める中央大学OB藤井拓輝氏は渡辺教授の言葉にうなずく。「檜原村のプロジェクトは2年の期間を与えられていたのが大きかったですね。1年だけだとおそらく檜原村が抱える課題を特定し切れず終わっていたと思います。情報がないと課題が見付けられないので、現地訪問や村から受領したデータの分析を通して課題整理に取り組みました。またOEM委託先のハンター製菓さんとの打ち合わせを繰り返しながら、商品企画を行いました。1期目だった私たちは商品を開発するところまでを行い、具体的な商品化とマーケティングは2期目以降の後輩たちに引き継ぎました。ここで学んだ課題整理を行う思考プロセスや0から1を生み出した経験は今の仕事にも活きていると感じています」中央大学OB藤井拓輝氏またきらぼし銀行がぴあスポーツビジネスプログラム(ぴあSBP)のきらぼし銀行枠1名について渡辺教授に相談した際、教授の推薦を受けたのが藤井氏である。渡辺教授に相談した経緯をきらぼし銀行側はこのように振り返った。「東京きらぼしFGのスポーツに関する協賛先・関係先は複数ありますが、『スポーツビジネスを学ぶことに意欲と目的を持っている人に参加してもらいたい』と考えた時、真っ先に浮かんだのが渡辺先生の存在です。スポーツビジネスの講義も展開されている渡辺先生であれば、ぴあSBPの価値にも共感いただけるのではないかと思いご相談したところ、趣旨や東京きらぼしFGの協賛目的にご賛同いただき、すぐに現役のゼミ生やOB/OGにお声掛けをしてくださいました。複数の候補者の中から藤井さんをご推薦いただいたと聞いています」2023年4月から10月にかけてぴあSBPを受講した藤井氏はこのように講義の感想を口にした。「講師の先生方の熱がすごかったです。どの先生方もスポーツが好きでスポーツ業界を良くしたいという思いで仕事と向き合われているのが印象的でした。現場で戦っている方の人柄や熱意、目力に直接触れられたのはすごく刺激になりました。また授業内容ではスポーツマーケティングが印象に残っています。お客さんをいかに楽しませて体験価値を高めるかという視点が個性的なものが多くて面白かったです。特に常任講師の中村武彦氏の『みんながスタジアムにスポーツ観戦を目的で来ているわけではない』というお話は印象に残っています。競馬場で子供が楽しめる環境を作っていたり、野球場でバーベキューシートを設置していたり、さまざまな層をキャッチするためのスポーツマーケティングの視点の持ち方には驚きました。中でもチケット完売最長記録を持つマイナーリーグのデイトン・ドラゴンズの試合の勝ち負けに頼らない集客術の話は衝撃でした」大学時代陸上競技に打ち込み、今も走り続けている藤井氏は陸上界の課題をこう挙げた。「陸上競技のサステナビリティが問題だと感じています。陸上競技は収益化が難しいスポーツであるが故に運営母体の陸連は学校の先生、競技会の運営は先生や生徒をはじめとしたボランティアで成り立っています。また実業団に行った友人からは『走れなくなった時の将来が心配』という話をよく聞きます。他のプロスポーツと違って実業団選手の給料はサラリーマンとほとんど変わりません。その中で他のスポーツと同様にアスリートのセカンドキャリア問題が降りかかるとなると、陸上競技を続けたい学生が生まれにくくなっているのではないかと思います。これらの課題に対して、私は街づくりに関わる社会人として、陸上競技場を街にとってどのように価値あるものにできるか考えていきたいです。現状では陸上競技場は市民に開いた場所ではなく,競技者のための場所になっており,陸上競技場に行くことのない方も多く存在すると思います。スポーツイベントを通して飲食業や宿泊業が盛り上がるように,陸上競技場でも“街に開けた運動場”という価値を生み出すことができれば、陸上競技の運営にもっと企業や住民を巻き込むことができ、将来的に競技を盛り上げていくことができるのではないかと考えています」競技が異なれば成功体験が通じないのは当然、同じ競技であってもカテゴリーが異なれば同じ手法が通用しないなど、ひと口にスポーツビジネスでは括れない難しさと面白さがあると渡辺教授は指摘した。「チームに関わるいろんな関係者の思いを実現する方向で結び付けつつ、一定のマネタイズをしていかないといけないとここ10年ほど強く思っています。戦うディビジョンが違えば手法が異なってきます。Jリーグのクラブ経験者のやり方が地域リーグでは全然通用しない場合があります。前提としてマイナーリーグはアマチュアなので、どうやれば家族のように応援してもらえるか考える必要があります。Jリーグのようにエンターテインメント性を前面に出す施策が通用しません。成功例が当てはまらない難しさはありますが、スポーツビジネスはディビジョンによってガラッとタイプが変わるのが面白さでもあると思います」渡辺教授は興味を持った他の大学に一般社団法人立ち上げの情報をオープンにしている。その心は?「我々が作った一般社団法人の定款は個人の情報の部分を除いて見られますし、ご相談を受ければトークンを含めてご説明しています。我々は同志を増やしたい。大学スポーツは一部を除いてお金がなく、監督もコーチも手弁当でやっています。収益を出して素晴らしいクラブハウスを作りたいわけではありません。学生の努力と我慢の上に成り立っている状況なので、それをゼロにしてあげて、競技に集中できる環境にしたいと思っています。ステップゼロを目指すためには多くの同志が必要なので、うちの監督、コーチには『関心を持ったところにどんどん説明します』と言っています。相談を受けたある大学ではすでに『HPを作りました』と言ってきたので、今度は我々が見習わせていただくというのがいい関係だと思います」渡辺教授は一般社団法人のさらなる可能性を探っていた。「OB/OGが困った時にキャリア支援できるような機能も一般社団法人にあってもいいかなと思います。いろんなOB/OGの力を借りて、プロ以外のキャリアを進む際のお手伝いができればと思っています」東京きらぼしFGは今後もスポーツを通じた地域活性化に取り組んでいく。「大前提に私たちが地域金融機関グループであるということがあります。東京きらぼしFGのスポーツ支援にはいつも地域の存在があります。スポーツを通じて地域のみなさまと喜怒哀楽を共有でき、一体感が生まれます。アスリートがひたむきに努力し、諦めずに前に進む姿勢は地域を元気にしています。東京きらぼしFGはスポーツの力、アスリートの力を信じて、これからもさまざまな地域スポーツチームや地域スポーツイベントを支援しています」また、ぴあSBP第4期が3月30日よりスタート。きらぼし銀行枠にて渡辺教授のゼミのOBである藤井誠氏がスポーツビジネス概論をはじめ、スポーツマーケティングやパートナーシップセールスの概論や事例、スタジアムビジネスとチケッティングの概論・事例・実践などを10月12日(土)にかけて、受講する。
2024年04月23日ゴールデンウィークの恒例となっている〈上野の森バレエホリデイ〉が今年もまた開催される。4月25日(木)から29日(月・祝)の5日間、東京・上野の東京文化会館にて、大ホールでのバレエの公演をはじめ、バレエにまつわるワークショップやトーク、展示、マルシェなど、多彩なイベントが用意され、さまざまな角度からバレエを楽しめる。そのメインの公演として予定されるのが、今年創立60周年を迎える東京バレエ団による『白鳥の湖』と、親子で楽しむ GWファミリー公演「はじめての『白鳥の湖』~楽しいお話と第3幕~」だ。ドラマティックな演出と、ハイレベルの上演で人気を得ている作品だが、今回は新たな主役キャストの登場もあって、大いに注目される。上野の森バレエホリデイ会場の様子東京バレエ団が上演する『白鳥の湖』は、ウラジーミル・ブルメイステル(1904〜1971)の振付によるヴァージョン。悪魔ロットバルトの呪いで白鳥の姿に変えられたオデット姫を、ジークフリート王子が真実の愛を誓うことで救おうとするも、ロットバルトの策略にはまり、オデットそっくりの娘オディールに愛を誓ってしまう──という物語を、より演劇的かつ説得力ある演出で物語る。独特なのは、第3幕。通常なら単なる余興として登場する各国の踊りのダンサーたちは皆、ロットバルトの手先。総掛かりで王子を幻惑せんと、力強い踊りを次々と放っていく圧巻のひと幕だ。東京バレエ団では、斎藤友佳理芸術監督のリードで2016年に初演、その後たびたび上演を重ねてきた。表現力、技術力ともに定評あるソリストたちも、海外公演でも絶賛されるコール・ド・バレエ(群舞)も、ほかではなかなか味わえない充実の舞台を実現、多くの観客を魅了してきた。ひとつ例を挙げるなら、静けさに包まれた夜の湖畔に舞う白鳥たちの姿は、東京バレエ団の舞台でしか経験することのできない美しさだ。Photo: Kiyonori Hasegawaさらに、ファンが熱い眼差しを注ぐのは主演を務めるダンサーだ。26日と28日に主演する沖香菜子と宮川新大は、数々の舞台で主役を務め、より深みある演技が期待されるプリンシパル。27日の中島映理子と生方隆之介は、ともに今回が『白鳥の湖』初主演。フレッシュな感性がどんな舞台をつくり上げるのか楽しみ。29日は榊優美枝と柄本弾。バレエ団の顔ともいえるプリンシパル柄本と、今回のこの舞台で初めて主役を務めるという榊の初顔合わせだ。どのカップルも、それぞれの個性を発揮し、魅力的な舞台を見せてくれるだろう。また28日、29日の12時から上演される、親子で楽しむGWファミリー公演「はじめての『白鳥の湖』〜楽しいお話と第3幕〜」は、ブルメイステル版最大の特徴である第3幕を抜粋で上演。『白鳥の湖』のほかにも、『ドン・キホーテ』、『眠れる森の美女』のファミリー向けヴァージョンでも人気を得ている東京バレエ団だけに、子供にも大人にもわかりやすく、かつ質の高いバレエを楽しませてくれる。バレエ体験は初めてという方、もっとバレエを知りたいという方にとっても最適の舞台だ。文:加藤智子<公演情報>■東京バレエ団 創立60周年記念シリーズ 5ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕4月26日(金)18:30 オデット/オディール:沖香菜子ジークフリート王子:宮川新大4月27日(土)15:00 オデット/オディール:中島映理子ジークフリート王子:生方隆之介4月28日(日)15:00 オデット/オディール:沖香菜子ジークフリート王子:宮川新大4月29日(月・祝)15:00 オデット/オディール:榊優美枝ジークフリート王子:柄本弾指揮:アントン・グリシャニン演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団会場:東京・東京文化会館大ホールチケット情報()公式サイト■親子で楽しむGWファミリー公演「はじめての『白鳥の湖』〜楽しいお話と第3幕〜」【日程・主な出演者】4月28日(日)12:00 オデット/オディール:榊優美枝ジークフリート王子:柄本弾4月29日(月・祝)12:00 オデット/オディール:中島映理子ジークフリート王子:生方隆之介会場:東京・東京文化会館 大ホールチケット情報()公式サイト
2024年04月23日『オッペンハイマー』の日本でのヒットを記念し、4月19日に公開記念トークイベントが実施された。スペシャルゲストには、「現時点での最高傑作かもしれない。史実に基づきつつ、過去作の様々な主題が緻密に、重層的に構成されている」とXに投稿した芥川賞受賞作家の平野啓一郎(『マチネの終わりに』『ある男』『本心』)、日本公開前に『オッペンハイマー』を観るためオーストラリアを訪れ、「核実験の場面の恐怖と迫力だけでなく量子や宇宙のイメージと心理の過剰なカットバックは人間に興味が増してきたノーランの新境地」と語り、既に4回も鑑賞済みのXXCLUB 大島育宙が登壇。ふたりは、クリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』をどう受けとめたのか、イベントレポートをお届けする。上映終了後、興奮冷めやらぬ観客から盛大な拍手で迎えられたふたり。幅広い年代層の男女に『オッペンハイマー』の鑑賞回数を尋ねると、初鑑賞が最多ながら、2回目、3回目でも手があがり、中には4回、5回目という猛者も。映画の感想を問われた平野は、『オッペンハイマー』は「現時点でのノーランの集大成。出世作の『メメント』以降取り組んできた主題が作品のなかでトレースされている」と断言。「ノーランといえば時間についての彼の独自研究のようなことをみなさん思いつくと思います。映画は時間芸術なので始まりと終わりがあります。最後に結果があり、その起点となる原因や動機があり、その因果関係で時間芸術としての物語を成しています。ところがノーランは、『メメント』では結果に対して原因・動機に合理的な因果関係があるのかという疑いを、『インセプション』では、ある動機に基づいて行動するとき、その動機が内発的なものではなく外側から植え付けられたものではないかということを描きました。そのような因果関係に対する彼の懐疑が、『オッペンハイマー』では、原爆に対して僕たちが抱く疑問と非常にうまく重なっていました」。平野啓一郎続いて大島が、「トーンとしては、オッペンハイマーの罪をどれだけ贖罪しても償いきれない罪として描いている。平野さんがお話された原因と結果、時系列の操作という部分にもつながってきますが、作品が円環構造になっている。映画の最初の場面と最後の場面が重なるようになっていて、オッペンハイマーのアップで始まって終わる。オッペンハイマーという人物をこの罪から逃さないぞというような描き方」だと指摘した。原作も読み込んでいるふたりは、原題の「アメリカン・プロメテウス」に触れ、平野が「ノーランはプロメテウスになぞらえるようなオッペンハイマー観を皮肉的な目線で見ている」と指摘。大島は「人間の生活に欠かせない火をもたらしたプロメテウスだが、原爆の開発をそれになぞらえるのは迂闊。そこにノーランが乗っかっているかいないかという視点は重要だがあまり語られていない」と応じた。大島育宙ノーランの全作品を観返したという平野は、「2000年代は敵を悪魔化して戦争を正当化するような言説があったが、『ダークナイト』トリロジーなどを観ていると、ノーランはアメコミのヒーローを使って“悪との戦い”というものを非常にまじめに考えていた監督。どれだけダメな社会に見えてもそれを全滅させてはいけない。バットマンという超法規的な存在が悪と戦うが、最終的には、バットマンがいることでジョーカーのような存在が出てくるから、市民社会が自立的に対処しなければいけないという終わり。そういった“必要悪としての正義”の描き方がある意味でオッペンハイマーにも反映されている。その意味ではノーランはオッペンハイマーに対して懐疑的なところがあるのではという印象を受けました」と、ノーランが描き続けてきたテーマに言及した。イベントの結びには、もう一度観るとしたら注目ポイントはどこかという問いに、平野は「過去作を観ると、あの主題が『オッペンハイマー』に反映されているなという部分も多いので、特に『ダークナイト』トリロジーを観てからだと気が付くことが多いと思います」と強調。大島は「1回目の鑑賞では『なぜこんなに複雑に?』と感じられる方もいるかもしれないが、何度も観ると、丁寧なわかりやすい作り方であるということに気が付く作品。何度も観ることで時系列をシャッフルすることの意味がわかります。劇場でいろいろな形式で観ると感想が変わってくる作品かなと思います」と締めくくった。<作品情報>『オッペンハイマー』公開中公式サイト: Pictures. All Rights Reserved.
2024年04月23日生誕地ロンドンでは『ねずみとり』『レ・ミゼラブル』に次ぐ第3位のロングラン記録を更新しながら今なお上演され続け、ブロードウェイでは昨年惜しまれつつ閉幕したものの歴代1位のロングラン記録を持ち、そしてここ日本では『ライオンキング』『キャッツ』に次ぐ第3位の通算上演回数を誇る世界的メガヒットミュージカル『オペラ座の怪人』。1988年の日本初演以来、全国各地で断続的に上演し続けている劇団四季が、本日4月23日(火)より神奈川・KAAT神奈川劇場にて7年ぶりの横浜公演をスタートさせる。人気の秘密は、パリ・オペラ座の地下に潜む怪人ファントムと歌姫クリスティーヌ、その幼馴染ラウル子爵の三角関係を描いたロマンティックなストーリーと、シャンデリアが“落ちる”などのスペクタクルな仕掛けが多用された豪華絢爛なセット、そしてなんといっても、天才作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーによる美しすぎる音楽にある。有名なミュージカルには、その作品を観たことがなくても耳にしたことのあるナンバーがいくつかはあるものだが、本作はそうしたナンバーの宝庫。パイプオルガンが奏でる不穏な和音から始まる表題曲を筆頭に、ファントムのソロ《ザ・ミュージック・オブ・ザ・ナイト》、クリスティーヌのソロ《スィンク・オブ・ミー》、クリスティーヌとラウルのデュエット《オール・アイ・アスク・オブ・ユー》などなど、まさに全曲が聴きどころだ。劇団四季の公式サイトにはロイド=ウェバーのインタビューが掲載されており、「実際に舞台で上演するにあたり、ポイントだと思われるところはどこでしょう?」との質問に答えて曰く、「この作品において最も重要なのは、ファントム(怪人)を演じる男優のカリスマ性とクリスティーヌを演じる女優の技量でしょう」とのこと。劇団四季は基本的にキャストの事前発表を行わないが、今回は「出演経験者から初参加のキャストまで顔ぶれ豊かなカンパニー」になっていると、同じく公式サイト掲載の稽古場レポートが伝えている。長期公演(8月10日公演分まで発売中)だけに、複数のキャストがお目見えすることも予想され、ファンは何度も足を運ぶことになりそうだ。文:熊田音子<公演情報>劇団四季ミュージカル『オペラ座の怪人』日本語台本:浅利慶太翻訳:安東伸介作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー演出:ハロルド・プリンス2024年4月23日(火)~8月11日(日・祝)会場:神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉公式サイト:
2024年04月23日『Grasshopper vol.23 supported by チケットぴあ』が、5月27日(月) に東京・下北沢CLUB Queで開催されることが決定した。『Grasshopper』は、チケットぴあが注目する次世代音楽シーンを担う若手アーティスト同士による対バンイベント。第23弾となる今回はWOLVEs GROOVY、ゴホウビの2組が出演する。チケットは現在一般発売中。なお過去公演(vol.0~22)の半券を当日会場に持参すると、チケット料金から1,000円分がキャッシュバックされる。<イベント情報>『Grasshopper vol.23 supported by チケットぴあ』5月27日(月) 東京・下北沢CLUB QueOPEN18:30 / START19:00出演:WOLVEs GROOVY、ゴホウビチケット情報:()公式サイト:
2024年04月22日「世界中の毎日をおどらせる」というテーマを掲げて活動を続けているLucky Kilimanjaro (ラッキーキリマンジャロ)。4月24日リリースのデジタルシングル「実感」(C/W「次の朝」)は活動10年目を迎えたラッキリの“今”と“これから”がリアルに刻まれた作品に仕上がっている。4月21日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro YAON DANCERS 2024 supported by ジャックダニエル」、6月から7月にかけて全国ツアー「Lucky Kilimanjaro presents. 自由 “10” に踊ろう TOUR」を開催。新作、ツアーを軸に、ラッキリの現状について熊木幸丸(Vo)に話を聞いた。――4月8日に熊木さんがX(Twitter)にポストした言葉 (俺が歌詞で言ってること大体これ ・いいからやってみよう ・不完全を愛そう ・やり続けよう ・酒が好き ・踊るのはどうですか? ・踊れば良い ・踊ろう ・踊れ ・踊らにゃ損)() がちょっと話題になってましたね。そうですね(笑)。みんなわかってることだと思ってましたけど、意外と反応があって。――「いいからやってみよう」「不完全を愛そう」「やり続けよう」というのは、そのままLucky Kilimanjaroにも当てはまるような気がします。バンドだけじゃなくて、僕の物事に対する普遍的な考え方かもしれないですね。頭で考える範囲でできることって意外とないと思うんです。自分の体感が得られないとその先に行けないですし、まずは動いてみるというのが癖になっているのかもしれません。バンドもいろいろな相互作用のなかで動いていますし、そのなかでいろいろな作品や表現が出来ていく。実際にやってみないとアイデアも生まれないですからね。――ライブも同じですか?そうですね。いい意味で計画通りにはいかないですし、「こうなるだろう」と思っても実際にはまったく違うことが起きたりするので。そのなかで自分の知識や考え方が再編成されて、また次のライブをやって。そうやって少しずつ生物として変化しているような感覚もあります。――なるほど。4月24日にはデジタルシングル「実感」をリリース。春から夏にかけてのツアーに向けた新曲という立ち位置ですか?というより「10周年だね」という話からですね。10周年のスタートとしてどういう曲を出そうか?Lucky Kilimanjaroがこの先10年、さらにみんなと踊るためにどういう態度でいようか?ということを考えて。10周年といっても“ペーペー”だと思ってるんですよ。料理人だったら「これからようやく自分なりのものを生みだしていこう」という時期だと思いますし、バンドを10年やってようやくチュートリアルだなと。――一通りの技術や知識を身に着けた段階だと。はい。バンドとしてこれまでいろいろやってきて、これから何をしていくのか、社会、世間、お客さん、自分に向けてどういう音楽をやっていくのか。そういう領域に入っていくんだと思っています。何て言うか、自分たちの居場所みたいなものは少しずつ作れている感覚があるんです。音楽的な立ち位置、お客さんとのコミュニケーションを含めて、ようやく場所が出来つつあって。そこでさらに楽しむためにはどうするか?より多くの人と続けていくためには?ということも考えていますし、そのなかで僕はどういう音楽を作るんだろう?という。――すごく大きいテーマですね。自分としては割と自然ですし、そこまで気負ってるわけではないんですけどね(笑)。――「実感」には「バンド活動10年目。喜ばしい継続の中でいつまでこの情熱に身を任せられるか、ということを考える」という想いが込められているとのことですが、これも今の熊木さんのテーマなんですか?そうですね。それはバンドのことだけではなくて、「今日、何を食べたいかな」みたいなこともあって。人間って不安定ですし、ずっと同じ状態ではいないじゃないですか。僕がやりたいこと、表現したい音も変わり続けるでしょううし。“踊らせたい”という根本は変わらないにしても、その方法、手段っていうのはずっと変化していますし、今やりたいことはすぐにやらないと。そういうことを書いた曲でもありますね、「実感」は。今の情熱をまるで焦るように入れることと、それを長期的に続けることをどう存在させるか?という。――「実感」はグルーヴ感も歌詞の響きもこれまでのラッキリとは違うという印象がありました。確かにこれまでのLucky Kilimanjaroにはなかった曲だなと思いますね。「今やれるカッコいいことを入れる」という衝動的、刹那的な感覚と「長い時間軸で捉える」ということの両方をサウンドと展開でいかに表現するかを考えながら構成して。そういう音作りは初めてだったんですよ。今をめっちゃ楽しむこと、それを未来までずっと続けること。それが今の僕の音楽的な態度なんだと思います。――なるほど。ライブのことも意識していたんですか?音源のアレンジはほぼ全部僕がやっているので、ライブに向けてどう再構築してくかはこれからですね。制作のときにライブをイメージする瞬間もありますけど、それが縛りになるのはよくないと思っていて。作品は作品、ライブはライブという発想ですね、基本的には。完全に別の曲みたいになるのはアレですけど(笑)、ライブならではの良さを作っていけたらなと。――バンドで演奏することで思ってもみなかった変化が生まれることも?それを含めておもしろいのかなと。そもそも曲を作ってるときも、設計図通りに進めているわけではなくて。リズムの質感やスピード感は頭のなかにありますけど、最終的には違うものになりますし、イメージ通りのものだと楽しくないんですよ(笑)。「自分のなかにあるものだけでできちゃったな」という感じがしますし、それをやっても飽きてしまう気がして。「プラスアルファの何かが自分から生まれた」という喜びがモチベーションのひとつになっているし、それを追い求めることが大事なんだと思います。「実感」もそう。シンセの使い方や置き方も今までとは全然違うし、歌い方、サウンドデザインを含めて、これまでとは違うものができたので。――それを続けることでバンドのイメージも変わっていく、と。そうですね。バンドも人間も生ものですし、変化を味わいながら、それをどう拡張して再編成していくか。そういうところが楽しくてやっているんだと思います。――カップリング曲の「次の朝」についても聞かせてください。“いろんなことがあるけど、必ず次の朝は来る。踊り続けよう”というメッセージは、まさにラッキリの本質だなと。「実感」と同じ時期に書いてるのでテーマはある程度つながっていて。いかに踊り続けるか、「特に理由もなく踊るんでしょ?」という歌詞なんですけど、わざわざ説明することもないのかなって(笑)。――確かに(笑)。次の朝も踊るし、また日々が続く。それ以上のことは特にないんですよ(笑)。最初に話したX(旧Twitter)のポストもそうですけど、(歌詞を通して)そんなにたくさんのことは言ってなくて。要は「踊ろうね」ということをいろいろな角度から歌ってるだけなんです。「次の朝」はその極地というか、「僕らの音楽、こういうことだから」という曲かもしれないですね。――この後はライブが続きます。まずは4月21日に東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「Lucky Kilimanjaro YAON DANCERS 2024 supported by ジャックダニエル」を開催。2021年の4月に日比谷野音でワンマンライブをやらせていただいて。そのときの感覚がすごく残ってるんですよね。コロナ禍だったんですけど、日比谷に集まって、森のなかでみんなで踊った経験がバンドの糧になってる気がして。またあの場所でやりたいとずっと思ってたんです。まさに都会のオアシス的な場所ですし、踊るということがさらにはっきり浮かび上がるというか。――10周年のアニバーサリー的な意味もある?応援してくれてる人たちへの感謝もありつつですけど、さっき言ったように10周年なんてまだまだ新人ですし、野音は「ここから10年、こんなふうにやっていきます」という提案の場でもあると思っていて。6月からのツアー(全国ツアー「Lucky Kilimanjaro presents. 自由 “10” に踊ろう TOUR」)もそうですけど、これまでの総括というより挑戦の方が強いです。今回から導入する機材でたくさんあるんですよ。――メンバーのみなさんとも「サウンドを変えていこう」という話をしてるんですか?そこに関しては常に話をしていて。「もっとこうしたほうがいいよね」という会話はいつもしていますし、自然の流れのなかで変わっていくという感じですね。次のツアーのなかでも変化していくんじゃないかなと。――ステージに立って演奏することに対する意識も時期によって変化している?そうですね。以前はいかに自分たちを見せるかというところが強かったんですけど、だんだんお客さんとの相乗効果が生まれていて。皆さんから受け取るものもたくさんありますし、そういう相互作用のなかでその日の空気を作っていくというか。インタラクティブな楽しさがあると思います、今は。――オーディエンスの“踊りたい”という気持ちも強まってるのかも。それは前提というか、「踊りたくて来てくれてるんでしょ?」という信頼があるんですよね。もちろん「踊ったことがない」「ダンスミュージックをあまり聴いたことがない」という人もいるし、そういう人に向けてどういう音楽を届けるか?ということもずっと考えているんですけど、ライブではみんな自由に踊ってくれているし、それが新しいお客さんにも伝播して。そういう景色を見ることで僕らの演奏も変わってきますからね。――ツアーもめちゃくちゃ楽しみです。この後の10年のビジョン、成し遂げたいことは?正直、ビジョンみたいなものは全然ないんですよね。「こういう音で踊らせたい」「こんな空気を作りたい」というのありますし、そういう意味でやりたいことはたくさんあるんですけど。単純に「今、これおもしろい」ということを続けていれば10年経ってると思ってますね。Text:森朋之Photo:石原敦志ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント★サイン入り色紙を3名様にプレゼント【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<配信情報>Lucky Kilimanjaro デジタルシングル『実感』4月24日(水) 配信リリース【収録曲】1. 実感2. 次の朝<ツアー情報>『Lucky Kilimanjaro presents.自由“10”に踊ろう TOUR』6月8日(土) 大阪・大阪城音楽堂6月14日(金) 北海道・Zepp Sapporo6月16日(日) 宮城・SENDAI PIT6月22日(土) 石川・EIGHT HALL7月6日(土) 広島・CLUB QUATTRO7月7日(日) 福岡・Zepp Fukuoka7月12日(金) 愛知・Zepp Nagoya7月15日(月・祝) 新潟・NIIGATA LOTS7月20日(土) 東京・Zepp DiverCityチケット料金:5,600円『Lucky Kilimanjaro presents. TOUR “YAMAODORI 2024 to 2025”』2025年2月16日(日) 幕張メッセ国際展示場 4・5ホールFC先行受付中チケット料金:7,800円(LKDC先行特別価格[継続割]:7,200円)オフィシャルサイト:
2024年04月22日6月22日(土) から6月30日(日) まで東京・天王洲 銀河劇場、7月6日(土)・7日(日) に大阪・サンケイホールブリーゼにて、『舞台「野球」飛行機雲のホームラン~ Homerun of Contrail』が上演されることが決定した。本作は、2018年夏に上演され、西田大輔による鋭い感性と繊細な表現による作・演出で大きな話題を呼んだ舞台。第2次世界大戦中、“野球”に憧れを抱き、白球を追いかけた少年たちの物語を描く。野球を行うことが困難な戦時中、特攻隊として飛び立つ前の最後の願いとして行った野球試合を描いた本作。2020年新型コロナウイルスにより史上初の甲子園中止が決定した時に、作・演出の西田は「“野球がしたくてもできない”という球児たちの葛藤や無念さ、そして白球に憧れる強い思いというのは、時代背景は違えど、通ずるものがあるのではないか。今だからこそ描ける、舞台『野球』があるかもしれない」との想いで再演を決意した。キャストは、橋本祥平、中村浩大、財津優太郎、西銘駿、健人、大隅勇太、結城伽寿也、大崎捺希、大見拓土、相澤莉多、瀬戸啓太、さらに猪野広樹、傳谷英里香、村田洋二郎、そして川原和久と、新たなキャストが顔を揃える。野球監修を、現在読売ジャイアンツ2軍監督を務め、甲子園通算20勝の戦後最多記録を保持する桑田真澄が担当。また、数々のCMやドラマ、舞台の主題歌に起用されている笹川美和が音楽を務める。■橋本祥平(穂積均 役/会沢商業学校/投手)初演が2018年、当時あまりの反響に各方面からこの作品のお話を色々とお聞きいたしました。今も尚、観劇された皆様の心に残り続けている作品。そして6年の時を経て新たなキャストで再演という形で皆様の前に立たせていただく事、心から光栄に思います。当時舞台上で必死に生きたキャストさんに思いを馳せ、責任を持って穂積 均という役を演じさせていただきます。素晴らしいこの作品を後世に残せる様に、受け取ったバトンをしっかり握りしめて挑ませていただきます。■中村浩大(唐澤静 役/伏ヶ丘商業学校/投手)僕は野球未経験ですが、唐澤静は野球センスにあふれた天才という役なので、しっかりと演じられるよう努めます。共演者の皆様とも一緒に楽しく演じられたら嬉しいです。そしてなにより、観に来てくださる皆様に楽しんでいただけるよう、毎公演大切に演じさせていただきます。この経験が僕の目指す先へ繋がるよう精一杯努める所存でございますので、応援の程よろしくお願いします。■川原和久(遠山貞明 役/海軍中佐)作・演出の西田君は大学の後輩で、昔、彼の劇団の芝居を何本か拝見し、飲みに行ったりはしてましたが、お仕事をするのは初めてです。また他の皆さんも初めましての方が殆どで、しかも皆さんお若い!緊張感もありつつ、4年ぶりの舞台出演を楽しみにしています。多くの方々にお越し頂ければ幸いです。■作・演出:西田大輔また、あの忘れる事のない夏がやってきます。誰よりもただ、野球をやりたかった若者たち。ただ、その彼らに野球をやらせてあげたかった大人たち。今なら当たり前にあることが、何もなかった時代。その人たちがいたからこそ、今があるのだと思います。舞台『野球』全力の汗で、お届けするつもりです。<公演情報>「舞台「野球」飛行機雲のホームラン~ Homerun of Contrail」東京公演:6月22日(土)~30日(日) 天王洲 銀河劇場大阪公演:7月6日(土)~7日(日) サンケイホールブリーゼ作・演出:西田大輔野球監修:桑田真澄音楽:笹川美和■出演橋本祥平中村浩大財津優太郎西銘駿健人大隅勇太結城伽寿也大崎捺希大見拓土相澤莉多瀬戸啓太猪野広樹傳谷英里香村田洋二郎川原和久■料金:全席指定 9,900円(税込)公式HP:
2024年04月22日2023年12月からぴあがスタートした落語の動画配信サービス「ぴあ落語ざんまい」の月間視聴回数ランキングで、「2023年12月」と「2024年2月」に1位を獲得した落語家、三遊亭歌奴。2000演目以上の演目がアップされているサブスクリプションサービスにおいて、会員の皆さまから高い人気を獲得している歌奴師匠のインタビューをお届けします。──新宿末廣亭「2023年3月中席」から収録の許諾をいただいて、取材時(2024年3月)には実に41演目もの高座を動画配信させていただいております。ぴあが動画配信という事業を立ち上げたことをご提案した際に、どんな印象をお持ちになりましたか。普通の寄席を録画してそれを流すというのは、案外あるようでなくて。僕も地方出身者なので、離れたところの人間でも寄席の雰囲気を楽しめるというのはすごく良いなと思った。コロナのときに鈴本さん(鈴本演芸場)とか浅草さん(浅草演芸ホール)が配信をやっていた時期もあって、視聴者の方に集まっていただいた。「ぴあ落語ざんまい」は手軽に観ることができるので、面白いコンテンツだなと思いました。──歌奴師匠は、例えばトリの長い尺のものから、バージョンの違う演目まで多彩なネタを挙げていらっしゃるので「ぴあ落語ざんまい」をご覧いただいている皆さまから人気が高いのではと推測しております。ご自身が視聴回数ランキングで高い人気を獲得されていることをどのように受け止めていらっしゃいますか。いやぁ、なぜランキング1位なんだろう。僕もわからない(笑)。12月は『掛取り』という噺だったので、年末らしいということで。でも演目が詳しくない方は『掛取り』が師走の噺ということも知らない訳で。どうしてなのかがわからないですよね。まあ『掛取り』も『掛取り・トリver.』とか、いろいろなバージョンの題名をつけたので、興味を持っていただいたのかな。──2月の「今週のランキング」では『阿武松』がトップを獲られております。トリのときのネタがランキング1位をいただいているのをみると、長尺、たっぷり時間をかけた噺もお客様は観たいのだなというのはありますね。15分のものじゃなくて、30分くらいあるもの。あとは『阿武松』にしても『御神酒徳利』にしても、皆があまり演らない噺、寄席の高座でも収まり切れない、30分以内では難しいような噺を、僕はよく時間を縮めて演るので、珍しい噺を出しているのもひとつ興味を持ってもらえている理由かもしれませんね。──大分県ご出身の師匠が落語家になられるまでの生い立ち、経緯など教えていただけますでしょうか。中学校に「落語クラブ」があって、2年生のときに初めて文化祭で落語を演ったんです。それがウケて。初めて落語を演って、“これはいいなぁ”と。人前に出て落語を喋るのがすごく快感で。中学生を卒業したら演る処もないんで、中学時代の同級生とふたりで素人の落語会を作って老人ホームの慰問をやったりしていた。そのうち地元のテレビや新聞に取り上げてもらって。“高校生が落語を演っている”というドキュメンタリーの番組があって。ほんとにこの子がなれるか密着取材で着くことになって。“誰に弟子入りしたい?”と問われて、“じゃあ(三代目の三遊亭)圓歌師匠に”と言ったらテレビ局が師匠に連絡してくれたり。それがきっかけで弟子入りしたんです。周りの人がどんどん落語家になるための御膳立てをしてくれたようなもので。気が付いたら高校を卒業してすぐ落語家になってました。──若いうちからいろんな経験をされて落語家になられたのですね。アマチュアで落語をやっていたというのは、ある意味プラスにもなるし、マイナスにもなる。稽古をつけてもらった訳じゃないので、変な癖がついちゃってる。師匠には素人のときに演っていた噺は前座の頃はやるなって釘刺されていました。うちの師匠は江戸っ子だったので、九州・大分出身の僕は言葉をすごく教えてもらいましたね。住み込みの弟子だったので、生の江戸弁を毎日聞かせてもらっていたので、すごく財産になっています。歌奴師匠が思う落語家のいい形とは?──歌奴師匠はどんな落語家になろうと思い描かれたのですか。ご自分の個性をどのように自覚し表現されていったのでしょうか。自覚は結構あとになってからですね。声の調子がいいとか、明るい、体が大きい、みたいなことが良い方に作用するようには演っていたのですけれど。じゃあ“お前の個性は何なんだ”と訊かれたときに自分で答えられない。ようやく真打になってから、例えばお客様に“声がいい”と褒められる。じゃあそれをもっと前に出してみようと思いました。僕は相撲の噺が好きなので、呼び出しさんの声をやったら拍手がくるようになった。じゃあこれを武器にしようかとお客様の意見を聞くようになって。説得力があるらしいと。江戸時代の古典落語に現代的なカタカナ文字を入れてギャグにしたりとか。説得力があるとすぐに元の噺に戻れるんですね。説得力が無いとそれがずるずると悪いほうに下がっていってしまう。僕はそれを戻せる力があるって人から言われて。例えば寄席の流れで、さっき前に出ていた人の落語をちょこっと入れたり。寄席ってそういうのも面白くて。我々もトリに向かってどんどんお客さんを盛り上げて、自分もウケて、そのバトンをあとの演者に譲っていくっていうのが寄席の流れですからね。その流れも壊さないようにやっていきたいなと思っているんです。一見同じ噺をしているようでも、日によってお客様も違いますし、繋いできたバトンによって雰囲気も全然違うので、毎日そのグルーヴの変化は寄席の醍醐味だなぁと感じますね。──ド素人な質問で恐縮ですが、寄席って同じ番組で演目が重複しないじゃないですか。演者さん皆さんですり合わせるんじゃなくて、先に出た方との調整をされるのですか。そうですね。ネタ帳っていう帳面があって、自分の出番の30分くらい前に寄席に行って、前の人がなにをしているのかわからないので。例えば与太郎が出てくる噺だったら与太郎の噺はやらない、とか、自分の持ちネタと今日の気分とお客さんの雰囲気を見て、じゃあこの噺にしよう、と。だいたいふたつくらい候補があって、マクラ喋ってる頃に、ウケ方で、こっちのウケ方だったらこっちやろうとか、どっちやろうか迷いながらあがるときがありますね。──当日、まさに前の方のネタをみて決める、ということは本当に日々の演者さんのチームプレーなのですね。早く来て「このネタ、俺やりたいから」なんて人はいませんからね(笑)。できるだけギリギリに来て、みんな怠け者だから(笑)。だから夜の部のトリが一番たいへんです。ネタがその日ばーっとたくさん出ている中で、自分の自信のある噺をやらなきゃいけない。そりゃ「夜トリ」はたいへんですよ。──新宿末廣亭という会場に関しては思うことはございますか。僕は一番最初に行ったのが中学生のときに末廣亭だった。初高座も末廣亭なので想い出があります。寄席文字が好きで。大師匠のことを大看板っていうんですけど、まさに末廣亭のトリ取ると大きな看板があって、それが大看板っていう語源になっている。こないだ亡くなった寄席文字の橘左近師匠が書いて下さっていて、もうずいぶん前ですけど僕が「看板どうするんですか」って訊いたら、「剥がして捨てる」というからもらいました。落語会をやったときにでも皆様にお見せしたいなと思ってるんです。──歴史を積み上げてきて今に至る「落語」ですが、弟子の育成なども踏まえて、今後の落語の将来について思っていらっしゃることはございますか。だんだん時代が変わってくるので、やりづらくはなると思うんですよね。『妾馬』っていう噺があるんですけど、自分の妹が殿様の愛人になる、妾になるという噺で。これをやったときに女性のお客さんから「なんであんな落語をやるんだ」と言われたことがありました。じゃあ過去にあった悪いことも全部無くしちゃっていいんですかね、と。その時分そういうことがあったけど、そのおかげで今はそういうことはなくなって、嫌な目にあった人はいるけれども、それを伝えていくことによって、今はそういう時代じゃなくて良かったねって、昔のこととしてわかってくれる。そういう心の余裕がだんだん今の世の中なくなってきているんじゃないかと思う。それが自分の弟子世代の心配のひとつで。あと、落語をちょっと壊してやる人がずいぶんと多くなっちゃった。もっと落語というものを信用して欲しい。僕もアドリブでつまんないギャグを入れたりするんですけど、それもウケて、かつ脈々と語り継がれている落語のギャグ、くすぐりもウケなきゃ意味がない。小手先だけで笑わしたって噺の本筋の幹の部分が描かれていないんじゃあ落語はつまらないものになってしまう。だから雰囲気を壊さないように、ちゃんとした幹を残したまんま落語をやって欲しいっていうのは、今でも言いますね。──今は、善悪を匿名という形で正義を振りかざす世の中になってしまい、落語に登場される主人公たちは、“今の正義”で判断したらよくないのかも知れないけれど、それが愛おしくて、自分も頑張って、“評価されるだけが全てじゃない”っていうところで笑える瞬間もあると思うんですよね。与太郎の噺でもそうですけど、ちょっと馬鹿だからってみんなで馬鹿にするんじゃなくて、実は周りでなんとか良いようにしてあげようっていうのが元々の眼目なんですよ。馬鹿にする、だから面白い、じゃなくて。結局なにかしてやろうと思ったら案外与太郎のほうが利口で返り討ちに遭ったみたいな。お客様にはそこだけじゃなくて全体をみていただきたいなと思いますね。入船亭扇遊師匠っていうかたがいらっしゃって、僕ら商売人だから“誰に習った噺だ”っていうのは台詞を聞けばわかるんです。扇遊師匠はほぼ一言半句教わった通りにやる師匠なんですけど、だけど“扇遊師匠の落語”なんですよ。これが一番、落語家のいい形だなって思いますね。ちゃんと先人から教わったものを今度後輩に残していくっていう、それでちゃんと自分の味が出ているという芸人は素晴らしいなと。取材:文=浅野保志(ぴあ)撮影=源賀津己<プロフィール>三遊亭歌奴(さんゆうてい・うたやっこ)1977年3月19日生まれ、大分県出身。1995年3月、三代目三遊亭圓歌に入門。前座名「歌きち」。1999年5月、二ツ目昇進「歌彦」と改名。2008年9月、真打昇進、四代目「三遊亭歌奴」を襲名。<サービス概要>「ぴあ落語ざんまい」「ぴあ落語ざんまい」ビジュアル月額料金:1,089円(税込)■初月無料キャンペーン実施中!※キャンペーンは事前予告なく終了する場合がございます。予めご了承ください。「ぴあ落語ざんまい」はこちら()<関連リンク>ぴあ落語ざんまい三遊亭歌奴 動画一覧()ぴあ落語ざんまい 月間ランキング(2023年12月)()※三遊亭歌奴「掛取り・トリver.」が月間1位!ぴあ落語ざんまい 月間ランキング(2024年2月)()※三遊亭歌奴「阿武松」が月間1位!
2024年04月22日“Pink Moon”は4月の満月を指す。w.o.d.の春の風物詩、『TOUCH THE PINKMOON』も今年で3回目。東京公演はTHE SPELLBOUNDを招いて、昨年に続いて恵比寿LIQUIDROOMでの開催である。彼らの大ファンである3人が昨年、中野雅之をプロデューサーに迎えて「My Generation」を制作したのがいわばイントロダクションになっている。リストバンドを受け取って少し早めに会場に入ると、ロビーには棺桶(My GenerationのMusic Videoに出てくる)やブラウン管テレビのオブジェが並び、フロアはピンクの明かりに照らされていた。月を模ったバルーンが吊るされたDJブースではKen MackayがオープニングDJを務める(サイトウタクヤと中島元良が横から茶々を入れている)。イベント名そのままの演出に気分が高揚した。開演時間の19時ちょうど、THE SPELLBOUNDがステージに登場。小林祐介が「今日は呼んでくれてどうもありがとうございます。よろしくお願いします」という短い挨拶に続けてBOOM BOOM SATELLITESの「KICK IT OUT」のイントロのリフを繰り出すと、フロアは俄かに熱狂した。小林と中野も、サポートドラマーの福田洋子と大井一彌も全身黒ずくめ。昔、鈴木慶一がデヴィッド・ギルモアのライブDVDを見て、やはり黒ずくめの服装に「これは自分を見るんじゃなくて音楽を聴いてくれってことなんだろうね」と話していたのを思い出したが、フロントの2人の色気のあるたたずまいはどうしても目を惹く。ステージ右手のエントランス近くではイラストレーターYUGO.によるライブペインティングが行われていた。「名前を呼んで」「Nowhere」「LOTUS」「はじまり」「なにもかも」「FLOWER」と、同期と生演奏が溶け合った幅も奥行きも十二分の立体的なサウンドスケープに映える小林の柔らかいボーカルとシャープなメロディは、THE SPELLBOUNDの絶対的な強み。フロアに感情の波が広がっていくさまが手に取るようにわかる。もちろん僕も圧倒された。「最後に1曲、サイトウくんと一緒に特別な曲をカバーして終わりにします」とサイトウタクヤを招き入れる。「僕たちにとっても、きっとサイトウくん、w.o.d.にとっても、大事な曲だと思います」とコメントして、ミッシェル・ガン・エレファントの「ダニー・ゴー」。それまでの完成度の高い世界観から一転し、ステージ上の全員が学生のバンドマンに戻ったようなピュアな演奏で締めてくれた。IWAMI TAISHIのDJがさらにフロアを温め、20時10分ごろにお馴染みのヴァニラ・ファッジ「Ticket to Ride」の出囃子に導かれておもむろにw.o.d.が登場する。サイトウのリフが空気を一変させ、2ndアルバム『1994』の開幕曲「0」でスタートだ。Kenのベースが引っ張る「イカロス」、元良のカウントでブルージーな「Kill your idols, Kiss me baby」、今やなつかしい「lala」「1994」と、5曲を立て続けに披露した。「TOUCH THE PINKMOONにようこそ。w.o.d.です」と、ここで初めてサイトウがMC。「うれしい。BOOM BOOM SATELLITESのピック、俺のアンプの上に乗ってるわ」と人懐っこい笑顔を見せる。DJ Ken Mackayを筆頭に、DJ、ライブペイント、フォトグラファー、アートディレクター、映像ディレクターなど所縁のコラボレーターたちを紹介して「めちゃくちゃ自由に遊べて、めちゃくちゃ人に優しいイベントにできたらいいなと思います。今日はいっぱい遊びましょう。よろしく」と語るMCに、サイトウの人柄とw.o.d.のバンド柄がよく出ていた。「馬鹿と虎馬」「モーニング・グローリー」「Mayday」「スコール」に続けて、「今日、歌える人いっぱいおると思うから、歌ってみる?こういうのもやってみたいんすよ」と唱和を促して「オレンジ」を披露する。すべての音に濁音がつくハードロックでシャウトしたかと思うと、こういう詩情豊かな曲もさりげないエモーションを伴って歌えるのがサイトウタクヤの詩人の魂。曲名に合わせたオレンジ基調の照明が印象的だった。「今日、オモロdayなんで」と話し始めると、サイトウの中で俄かに「オモロ」がキーワードに。夏に開催するツーマンツアーの対バン相手を発表して(go!go!vanillas、キタニタツヤ、ハルカミライと、1組ごとに歓声が大きくなっていくのがオモロかった)、「オモロいな~、俺」と自惚れてみせ、元良に「今ウケてたのゲストバンド出したからだよ」と突っ込まれて「そやね」と笑う。こうしたかわいらしいやりとりも彼らの味だ。「楽しいなー。楽しいすか、みなさん。(拍手と歓声に)最高や。毎年やるんで、来年も遊びましょう」と呼びかけて、昨年夏のメジャーデビュー曲「STARS」、一度初期に戻って「Wednesday」「Fullface」、さらにw.o.d.流ダンスミュージック「踊る阿呆に見る阿呆」で押しまくる。「PINKMOONってちょっと特別なイベントで、いちばん自由に遊べる場所かもなって思ってます。毎年遊びましょう。来年もよろしく。ラスト1曲です」と語り、中野雅之プロデュース曲「My Generation」でショーを締めくくった。客出しのBGMはもちろんニック・ドレイクの「Pink Moon」。ドレイクが「ピンクの月がやってくる君たちは誰も堂々としていられないよピンクの月に飲み込まれてしまうんだ」と何やら不吉なニュアンスで歌ったピンクの月に、w.o.d.はみずから手を伸ばしている。共演者たちや観客を「一緒に触ってみいへん?」と誘っている──と考えてみると、ロマンチックで色っぽい彼らのたたずまいにふさわしいタイトルと思えてくる。終演後に3人に感想を尋ねると「楽しかった!」(サイトウ)、「これからもやっていきたいイベントになりました!」(Ken)、「楽しかった!」(元良)とシンプルこの上ないコメント。そりゃそうだろう。リラックスしているように見えたし、両バンドともとにかく音がでかかった!毎年やると言っていたが、規模は大きくなってもならなくてもいいから、仲間たちと一緒に「めちゃくちゃ自由に遊べて、めちゃくちゃ人に優しいイベント」をさらに成長させてもらいたい。文:高岡洋詞写真:小杉歩<公演情報>『w.o.d. presents "TOUCH THE PINKMOON"』4月12日(金) 東京・LIQUIDROOM■出演者・出展者w.o.d. / THE SPELLBOUND [東京公演] / Helsinki Lambda Club [大阪公演] / DJ Ken Mackay(w.o.d.) / DJ IWAMI TAISHI(SUPERFUZZ)[東京公演] / DJ DAWA (FLAKE RECORDS) [大阪公演] / Photographer - Ayumu kosugi / Art Director - Keitaro Terasawa / Video Director - MOTO / Illustrator - YUGO.セットリスト■THE SPELLBOUND1. KICK IT OUT2. 名前を呼んで3. Nowhere4. LOTUS5. はじまり6. なにもかも7. FLOWER8. ダニー・ゴー feat.サイトウタクヤ(w.o.d)■w.o.d.1. 02. イカロス3. Kill your idols, Kiss me baby4. lala5. 19946. 馬鹿と虎馬7. モーニング・グローリー8. Mayday9. スコール10. オレンジ11. STARS12. Wednesday13. Fullface14. 踊る阿呆に見る阿呆15. My Generation<ツアー情報>『w.o.d. presents “スペース・インベーダーズⅥ"』6月29日(土) 愛知・名古屋DIAMOND HALLOPEN 17:00 / START 18:00GUEST:go!go!vanillas7月12日(金) 東京・Zepp DiverCity TOKYOOPEN 18:00 / START 19:00GUEST:キタニタツヤ7月15日(月・祝) 大阪・GORILLA HALLOPEN 17:00 / START 18:00GUEST:ハルカミライ■チケット一般発売(先着):4月27日(土)10:00~()w.o.d.オフィシャルサイト:
2024年04月22日4月19日(金)、20日(土)、21日(日) の全国映画動員ランキングは、先週に引き続き『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(100まんドルのみちしるべ)』が1位を獲得した。2位は、初登場の『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』がランクイン。2022年にTVアニメが放送された原作・金城宗幸、漫画・三宮宏太の人気漫画『ブルーロック』シリーズ初の劇場版。原作の『…-EPISODE 凪-』を基に、無気力に高校生活を送っていた凪誠士郎が、同級生にサッカーの才能を見いだされてセンスを発揮していく。監督は石川俊介。声の出演は島崎信長、内田雄馬、興津和幸、浦和希ら。同じく、初登場の『陰陽師0』は3位スタートとなった。平安時代に活躍した安倍晴明を描いた、夢枕獏の『陰陽師』シリーズを『アンフェア』の佐藤嗣麻子監督が映画化。若き日の安倍晴明が、皇族を襲う怪奇現象解決の依頼をしてきた貴族と反目しながらも、都を巻きこむ陰謀に対峙する。主演は山崎賢人、共演は染谷将太、奈緒、安藤政信、村上虹郎、板垣李光人、北村一輝、小林薫ら。呪術監修は加門七海。『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』が先週と変わらず4位に、『変な家』は、公開6週目でTOP3から陥落し5位となった。そのほかは、先週3位に躍り出た『オッペンハイマー』が再び7位まで転落。『ゴジラ-1.0』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は引き続きTOP10内にランクインしている。今週は『ゴジラxコング 新たなる帝国』『悪は存在しない』『キングオージャーVSドンブラザーズ』『キングオージャーVSキョウリュウジャー』などが封切られる。全国映画動員ランキングトップ10全国映画動員ランキングトップ10(興行通信社調べ)1位『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(100まんドルのみちしるべ)』2位『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』3位『陰陽師0』4位『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』5位『変な家』6位『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』7位『オッペンハイマー』8位『四月になれば彼女は』9位『ゴジラ-1.0』10位『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
2024年04月22日「じゃあちょっと楽しそうな感じで」撮影中、そうオーダーが飛ぶと、佐藤瑠雅がまるで面白いイタズラを思いついたように、目の前にいた坂井翔の背中に飛びつく。身長差16cm。長身の佐藤をおぶる坂井は顔をしかめながら、じゃれたように笑う。その無邪気なやりとりは、ドラマの2人のように尊い。彼らが出演しているのは、放送・配信中のドラマ『彼のいる生活』だ。幼なじみの田中一仁と夏川涼太は大学進学を機に、2人で一緒に暮らすことに。外見も性格も文句なし。一仁のキラキラオーラに呑まれそうになりながらも、疎遠になっていた時間を埋めるように距離を縮めていく夏川。だけど、夏川には一つだけ疑問があった。こんなに完璧に見える一仁なのに、すぐに彼女にフラれてしまうと言う。しかも、フラれるときの決まり文句は「他に誰か好きな人いるでしょ」。一仁の好きな人ってもしかして俺…?じれったくてドキドキが止まらない2人のピュアな恋が始まる――。宮田トヲルの同名コミックをドラマ化した本作で、一途な爽やかモテ男子・田中一仁を演じる佐藤瑠雅と、素直な純朴男子・夏川涼太を演じる坂井翔。初々しい恋がぴったりの2人は一体どんな男の子なんだろうか。くっつくシーンは最初は緊張していました(照)――2話は、夏川が一仁に「俺にキスできる?」と尋ねるところで終了。いよいよキュンが高まってきました…!佐藤いやいや、まだ2話なので序の口です(笑)。坂井そうだね。夏川からすると思わず口に出たって感じだから、演じる側としても普通に「できる?」って聞いた感じで。佐藤そんなドキドキとかはなかったよね。坂井うん。(佐藤を見て)「できる?」佐藤「……おお」。こんな感じです(笑)。――まさか目の前で再現されるとは思いませんでした(笑)。佐藤ここからどんどんキュンも増えていきますし、キュンだけじゃなく、他のキャラとの関わりも増えていくので、より一層楽しんでもらえると思います。坂井今までの夏川は、一仁は自分のことをどう思っているんだろうとアタフタするのがほとんどでしたけど、ここからは駆け引きとか嫉妬とか、より複雑な感情が描かれていくので、ぜひそこに注目してもらえたらうれしいです。――ちなみに、ここまでのシーンの中でこんなことをされたら好きになっちゃうなと思ったシーンはありますか。佐藤引っ越した日に「夜どうする?」って聞いたら、さらっとご飯をつくってくれたじゃないですか。ああいうのはうれしいですよね。不意に覗く自然な優しさに、僕自身もおおっとなるので、きっと一仁も夏川のこういうところがずっと好きなんだろうなと思いました。坂井1話で起きたら一仁がすぐそばにいるシーンがあるんですけど、あそこが初めて夏川と一仁の距離がグッと近づくシーンなんですよね。僕自身も恋愛ドラマが初めてということもあって、くっつくシーンは最初は結構緊張していました(照)。佐藤僕はまったく緊張していなかったです(笑)。それっぽいシーンの1時間前くらいになったら、よく翔くんに「ウィ〜〜〜」ってちょっかいをかけてました。坂井やってたね(笑)。一仁は何でもできるモテ男。瑠雅くんもそんな感じです――お話を聞く限り、2人はあまり性格は似ていなさそう…?佐藤似てないと思います。翔くんはピュアボーイなんで。坂井そんなピュアかなあ。佐藤ピュアです。僕が汚れてるとかじゃないですよ?僕もピュアです。ピュアなんですけど、それ以上に翔くんがピュアだから(笑)。坂井ピュアというか、知らないことが多いんです。佐藤都心でご飯を食べるときも(ビルを見上げるように)「新宿、すご〜い」って言ってて。坂井高い建物が多すぎて。つい上を見ちゃいますね。佐藤電車に乗るときも「どれ乗るの?」って普通に聞いてくる。坂井まだ東京に慣れていなくて。出身が岐阜なんです。東京はキラキラしすぎていて、瑠雅くんに必死でついていってました(笑)。――では、坂井さんから見て、佐藤さんはどんな男の子ですか。坂井苦手な人なんていないんじゃないかというくらい誰とでも仲良く話していて、そこがすごいなって。でも常に元気というわけじゃなく、静かなときは「体調悪いの?」って心配になるくらい静か。佐藤確かにオンオフは激しいかもしれない。坂井でも、そういうときって大体役をつくってるときなんだよね。だから、すごい仕事に対して真摯なんだなと思った。佐藤集中するときは集中するし、カメラの前で「よーい!」って言われる瞬間まで「ウィ〜〜〜」みたいなこともある(笑)。B型なんです。気分屋ですみません(笑)。――お互いが相手役だからこそ引き出されたお芝居というのはありましたか。佐藤翔くんはお芝居に対してもピュアで、そのまんまのお芝居をされるんですよ。かと言って、坂井翔とは違う。ちゃんと夏川涼太という役で来るので、自然と僕の心も動くというか。坂井一仁は何でもできるモテ男なんですけど、普段の瑠雅くんもそんな感じ。現場全体を引っ張ってくれていて。だからこそ、僕も役に入りやすかったんだと思う。佐藤基本的に2人一緒のシーンが多いんですけど、2日くらい夏川のいないシーンの撮影が続いて。久しぶりに夏川に会ったら、すごいリラックスできた。夏川に恋する一仁の気持ちを素で表現できたのは、相手が翔くんだったからだと思う。坂井それは僕も同じです。夏川にとって一仁はいてくれるだけで安心できる存在。僕も瑠雅くんと一緒にいるとリラックスできたので、夏川の気持ちそのまま演じることができた気がします。料理は、ゆで卵くらいしかつくれません――1話で一仁のダメポイントを探すシーンがありました。一緒に過ごしてきた2人だからわかる相手のダメなポイントは?佐藤ダメではないですけど、びっくりしたなというのは、控え室でメイクをしていると、翔くんが急に大声で「でも一仁は!」とか言い出すんです。そんなの、こっちも「呼んだ?」ってなるじゃないですか。そしたら、単に台詞を言ってただけだったりする(笑)。坂井頭の中で読んでるつもりがつい声に出ちゃうんです(照)。佐藤それにしてもあんなデカい声出る?坂井完全に無意識です(笑)。佐藤メイクさん含め、みんな「夏川、声デカいよ」って笑ってました(笑)。坂井瑠雅くんはテストの前とかで僕が緊張していると、よく意味なくじーっとこっちを見てきたりするんですよ。緊張をほぐそうとしてくれるのはわかるんだけど、つい笑っちゃいそうになるので、そこはちょっと勘弁してほしかったです(笑)。佐藤ついやっちゃうんですよね。人が怒られているときとか、その後ろでちょけちゃうタイプです(笑)。――一仁と夏川のルームシェア生活が描かれていますが、2人の家事能力は?佐藤僕は人並みにできるとは思います。1人暮らししてるんで、自炊もするし。XO醤とか、そういう系の調味料もありますし。料理によってはごま油、ネギ油、オリーブオイルといろいろ使い分けて。いつもはごま油を使ってたけど、逆にネギ油を使ったらどうなるだろうとか考えるのも好き。坂井僕は何もできないです。ゆで卵くらいしかつくれない。佐藤今、ライターさんが目の前で「まじか……」って顔してるよ(笑)。――いや、ゆで卵は料理に分類されるのだろうかと……(笑)。坂井実家にいるので、ご飯も炊いたことないです。佐藤ご飯を炊いたことがないのは、さすがにヤバくない?坂井この作品の撮影中は東京に部屋を借りていたんですけど、夜はレトルトのご飯とかですませていたので、今、米を炊けと言われてもどうしていいかわからない。講座を開いてくれないとわからないです。佐藤講座って何だよ(笑)。MBTI診断は主人公(ENFJ型)でした――夏川がソファで寝落ちをしているシーンがありましたが、2人もつい寝落ちすることはありますか?佐藤しますね。寝落ちというか、意図的にソファで寝たいときがあります。昨日もそうだったんですけど、ベッドで寝ようとするけど寝つけなくて、ソファで寝て、起きて「腰痛え!」ってなりながら、またベッドで寝るみたいな。坂井全然その気持ちがわからない。僕はベッドで寝たいです。寝落ちしそうになるときもありますけど、そのときはなんとか自分を奮い立たせてベッドまで行きます。――あ、じゃあ料理はできないけど、生活面でだらしないわけではないんですね。坂井ないと思います。部屋は綺麗にしてる方だと思いますし。佐藤部屋の綺麗さでは負けないよ?取材の前に俺の部屋に来てもらえばよかった!めちゃくちゃ綺麗にしてるから。坂井そうなんだ。でも僕もそこそこ綺麗だと思う。基本的に物が少ない方が好きなんです。だから、わりと部屋の中はスッキリしてるかな。――では最後に。星占いのシーンがありましたが、占いは信じますか。坂井結構気にするかもしれないです。佐藤会話のネタとしては好きですね。MBTI 診断とか。坂井何色だった?佐藤緑。主人公(ENFJ型)だった。翔くんは?坂井僕は紫。確か建築家 (INTJ型)だったかな。当たってるなと思うところもあれば、ちょっと違うなというところもあるけど。佐藤僕は前にやったときも同じ結果だったんですよね。そういう意味では当たってるのかも。あと、占いというか、厄年は気になる。僕も翔くんも今年が前厄なんですよ。だから何かしたほうがいいのかなって。坂井僕は大丈夫。2年前くらいに手相占いをして、24の年で運気が来るって言われたから。10月くらいにいいことが起きるらしくて、今はそれを待ってます。――なるほど。じゃあ、朝、星占いとかは見ない?佐藤見ないですね。坂井見てないです。あ、でも天気予報は見ました!佐藤……ね?こういうところがめっちゃピュアなんです(笑)。取材・文:横川良明撮影:友野雄ヘアメイク:森香織(pretium)、竹山美由紀スタイリスト:津野真吾(impiger)衣装協力:(佐藤)シャツ原宿シカゴ、パンツAMERICAN RAG CIE、その他スタイリスト私物(坂井)コート、ニット共に原宿シカゴ、その他スタイリスト私物ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント佐藤瑠雅×坂井翔のサイン入りポラを2名様に!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!<番組情報>「彼のいる生活」TOKYO MX、ABEMAにて毎週木曜日25:05~25:35放送中、TVer見逃し配信あり、各配信サイトで順次配信中ドラマ公式サイト:宮田トヲル・libre/NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2024年04月22日吉田羊が大きな挑戦をする。きっかけは女性キャストのみで演じた『ジュリアス・シーザー』(21年)だった。そこで出会った演出の森新太郎から、今度はハムレット役をと望まれた。しかも、上演に使われるのは、3種類の原本がある『ハムレット』の戯曲の中の原型と言われているQ1版。通常とは違うハムレットになるのである。話題のドラマに出演し、映像でも大活躍している吉田だが、舞台でしか目撃できない顔がある。この『ハムレットQ1』は見逃せない。「森さんの演出ならば絶対に有り体のものにならない」──ハムレットという有名な役を演じることについてはまずどういうお気持ちでいらっしゃいますか。プレッシャーを感じられることはなかったのでしょうか。難役ではあるなと思いました。でも、同じくシェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』でご一緒した演出の森新太郎さんから、そのとき演じたブルータスとは対極にある役で、また違った顔を見せてほしいと言っていただき、その気持ちに応えて挑戦してみたいと思ったんです。また今回は、Q1版という一般的に上演されているバージョンではない戯曲ですし、森さんの演出ならば絶対に有り体のものにならないという思いもありましたので。「新しいハムレットを見せるぞ」とむしろ燃えました(笑)。──そのQ1と呼ばれる戯曲は、通常の『ハムレット』の半分の長さの凝縮版ですが、どんな印象をお持ちになりましたか。あちこちに刈り込みが入ったことで非常に疾走感があり、ハムレットの感情の流れがシンプルで分かりやすいと感じました。かつ、シンプルになったことにより、復讐のための狂気だと思っていたものが、原動力はひとつではないことも見えてきて。復讐に関連して起こる度重なる不当な仕打ちをもたらす人間たちへの憎しみや悲しみ、絶望も感じられました。ハムレットと言えば「イケメンキャラクターの筆頭」ですが、むしろそんな負の感情を抱えきれずに七転八倒する、不格好な人だなと感じます。また、ハムレットの父親を殺した叔父のクローディアスのキャラクターがとても人間っぽく、兄を殺めてしまった後悔や懺悔をしっかりと見せていたりするのも面白いポイントです。するとハムレットも、身内である叔父に剣を向けることへのためらいも生まれたりするのかな。それは、実際にお芝居をして動いてみないとわからないことではありますが、とにかく稽古でいろいろ試したいと思っています。──とすると、単なる凝縮版ではなく、まさしく新しいハムレットになる。そう思います。森さんがこんなこともおっしゃっていました。通常より上演時間が短くなるメリットのひとつに、取りたいところで十分に間が取れることがあると。だから、シェイクスピア作品はセリフ量が膨大で、タンタンタンと進めていかなければならないことが多いけれども、間を取ることで見え方が違ったり、相手のリアクションが変わったり、その間によってお客さんに「今何を思っているんだろう」と考える余裕が生まれたり、ということが、今回は起こるかもしれません。あのセリフがどう新訳されているのか、ぜひ楽しみにして──セリフに関しては、名セリフが多い作品です。口にしてみたいと楽しみにしていらっしゃったものもありますか。それこそかの有名な「to be,or not to be」は、このお話が決まったときから、「生きるべきか、死ぬべきか」と言う気満々でいました(笑)。ところが、今回の松岡和子さんの日本語訳は違っていて。その新しい訳には、「生死」をハムレットがどう捉えているかのヒントがあるような気がしています。どう訳されているのか、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思います。──どんな作品を目指していくか、演出の森さんとお話されていることはありますか。このQ1版を読んだ感想として、私はまず、ハムレットとガートルードの関係性がシンプルに息子と母親に見えたんです。母親に女性的なものを求めているわけではなくて。その解釈は森さんと一致していて、エディプスコンプレックスを全面に押し出したハムレットにはしたくないね(笑)、という話はしています。──先ほど、「森さんの演出ならば絶対に有り体のものにならない」というふうにおっしゃっていました。前回の『ジュリアス・シーザー』ではどんな稽古をされたのでしょう。一週間の本読み稽古から違いました。セリフ量が膨大なので、先ずはそれを言う「体」を作ってくださる。身体で言えるまで、何度も何度も繰り返し(森さんは100本ノックで有名です)、本を読むだけなのに立ち稽古の後のようにへとへとになりました。なかでも、共演していた松井玲奈さんの身体が、読むうちにみるみる開いて、身体全部で言葉を発していくようになったのは印象的でしたね。森さんは人物造形がとてもお上手で、セリフからその人物の性格や感情を想像し、エピソードを作ってくださるんです。群像劇の中で、ひとり一人に特徴を持たせてひとりとして埋もれる人を作らない。役への愛情が深い方だなと思います。森さんが素敵だなと思うのは、昨日演出したことを「ごめんごめん、違ってた」と謝られて、180度違うことを試してみたりするところ。だから、演じる側も間違えてもいいんだと安心していろいろ試せる。稽古は楽しくも厳しいんです。何度も繰り返し稽古をやってへとへとになったあと通し稽古をして、やっと終わったと思ったら、「あそこのシーンをもう一回やりましょう」と言われたりして(笑)。でも、稽古場では森さんが一番元気でいてくださるので、彼のバイタリティに役者はモチベーションを引っ張り上げていただいてます。前回、本番であの膨大なセリフを飛ばさずに言えたのは、森さんのスパルタ稽古のおかげだったなと思っています。──その森さんとの二度目のタッグで、ここまで挑戦できたらと思われていることはありますか。森さんはどんどん面白い解釈を出してきてくださるので、前回以上にそれを面白がりながら、まずはやってみることを大事にしたいと思います。実際、動いてみて初めてわかることは多いんです。何なら本番中に気づく瞬間もあって(笑)、「あのセリフはこういう意味だよね」と報告したら、「なるほど、そうだね」と解釈が変わっていったり。森さんは、千秋楽のあとにもダメ出しをされるんです。そして「これが良くなることはもうないけどね」と言って帰って行く(笑)。これはシェイクスピアだからなのかわからないですが、本当にいろんな解釈ができるし、掘っても掘っても次から次へと新しい気づきがあるので。今回も発見することをあきらめないでいたいなと思います。──座長としてはどんな稽古場にしたいと思われていますか。この難易度の高い、それも厳しいと有名な森新太郎さんの演出の作品に参加しようという共演の方々はそもそもガッツがおありだと思うので(笑)、作っては壊し作っては壊しを面白がれる座組にできるのではないかと思っています。そのためにも、誰でもアイデアや疑問を口にできる自由度の高い風通しのいい稽古場にしたいですし、森さんもそう望まれているから大丈夫ですが、萎縮したり遠慮したりして作品が小さくなってしまうことがないよう、その環境作りは率先してやっていきたいなと。あと、大事なのはケータリングでしょうか(笑)。おいしいものがあれば人は頑張れますから、ちょこちょこ差し入れをして、それをモチベーションにできたらいいなと思います。女性役との体の距離感を意識したい──前回の『ジュリアス・シーザー』は女性キャストだけで上演されましたが、今回は男女混合の座組の中で、吉田さんは男性役を演じられます。だからこそできるのではないかと思われていることはありますか。まず、前回と同様に、男役を意識した芝居はしたくないと思っています。男性を演じようとすると逆に女性っぽく見えるということを、前回発見できたので。その中で今回意識してみたいなと思うのは、女性役の方との体の距離感です。例えば相手の体に触れることも、同性同士であれば少しハードルが低くなるので、体の距離を縮めたり離れたりすることで、お互いにどんな感情が生まれるのか、いろいろ試してみたいと思っています。──そんなふうに試行錯誤できるのは舞台ならではだと思いますが、ご自身にとって舞台はどんな場所になっていますか。小劇場出身なので、自分にとって舞台はやっぱりホームグラウンド。舞台に立つと、あの匂いに懐かしさと安心感を覚えて、力をもらえるんです。ただ、ここ最近は、それと同時に自分を鍛える場にもなっていて。芝居の勘や身体の使い方などを鍛えるという意味で、定期的に舞台に立ちたいという気持ちもあるんです。やっぱり、「これは無理なんじゃないか」と思うような高い山を自分に課していかないと、すぐダメになると思いますから。それこそ今回も、セリフを覚えるスピードが遅くなったことを感じますし(笑)。でもそこであきらめるのではなく、挑戦し続けて、アップデートしていきたいと思うんです。──舞台に立つたび、鍛えられたという手応えはあるものですか。少なくとも前回の『ジュリアス・シーザー』では、苦手としていたシェイクスピアが楽しめたという手応えがありました。今回は前回以上にセリフ量が膨大なので、これをやり切れたら、「よく頑張った」と褒めてもいいのかなと思いますが、いかんせんまだ始まっていないので、頑張りますとしか言えません(笑)。──凝縮版と言っても、ハムレットの独白はたっぷりありますからね。台本のページをめくってもめくっても喋っているんです(笑)。でも森さん曰く、「ハムレットは復讐を周りに気取られないように狂気を演じるけれど、お客さんには全部話すんだよ。だから独白こそ外へ出せ、お客さんを巻き込め」と。それに、舞台を見慣れていないお客様にとっては、全部喋ってくれるのは助けになると思うんです。だから舞台好きの方はもちろん、初心者の方にも楽しんでいただけるのではないかなと思っています。──『ハムレット』を観たことがない人にも、何度も観ている人にも、どちらにも新たな刺激を与えてくれる作品になりそうですね。そうなるといいなと思います。私自身もすでに、この戯曲からいろんなことを考えさせられています。復讐劇が軸になってはいますけど、憎しみの連鎖や、許すことの難しさも感じるし、「死」がもたらすものは、果たして必ずしもネガティブか? という問いも今生まれています。観てくださる方にも、今回のハムレットから、何か感じていただけたら嬉しいなと思います。取材・文:大内弓子撮影:石阪大輔<公演情報>PARCO PRODUCE 2024『ハムレットQ1』作:ウィリアム・シェイクスピア訳:松岡和子演出:森新太郎出演:吉田 羊飯豊まりえ牧島 輝大鶴佐助広岡由里子吉田栄作ほか【東京公演】2024年5月11日(土)~6月2日(日)会場:PARCO劇場【大阪公演】2024年6月8日(土)・9日(日)会場:森ノ宮ピロティホール【愛知公演】2024年6月15日(土)・16日(日)会場:東海市芸術劇場大ホール【福岡公演】2024年6月22日(土)・23日(日)会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホールチケット情報:()公式サイト:
2024年04月22日草彅剛が誇り高き武士を演じる映画、『碁盤斬り』が5月17日(金) から公開される。『孤狼の血』などでアクション映画に新風を吹き込んだ白石和彌監督が初めて手がける時代劇。古典落語の『柳田格之進』を大胆に脚色し、人情噺を武士の尊厳と親子の情愛が際立つ骨太な復讐ドラマに作り上げた。共演者も清原果耶、國村隼、小泉今日子、市村正親、斎藤工、中川大志と魅力的な顔が並ぶ。気は早いが、今年の日本映画を代表する一本といいたい作品だ。『碁盤斬り』古典落語の『柳田格之進』は、囲碁を巡る人情噺だ。故あって江戸の貧乏長屋で娘のお絹と浪人暮らしをする柳田格之進は、囲碁の仲間である萬屋源兵衛の大金紛失騒ぎに巻き込まれ、あらぬ疑いをかけられる。父の窮状を見かねたお絹が吉原に身をしずめて金を作ることになってしまい、格之進は、その金を萬屋の手代に渡す際に「もし紛失した金がでてきたら、お前と源兵衛の首をもらう」と言い放って去る。そして、ついにその年の暮れ……といったお噺。この名作を、落語家がそれぞれの解釈と演出をほどこして語る。それが愉しみなのだが、正直、毎回、噺の中にどうにも腑に落ちない箇所がいくつかあった。なんでこうなるの?という感覚。映画では、人物設定や大筋は落語と同じ。その上で、主人公である柳田格之進(草彅剛)の人物像を思うさま膨らまして、落語にはなかった別のドラマを作り上げ、重厚な江戸の武士の物語にしている。そのことで、これまで落語で納得できなかった箇所も、なるほど、と氷塊した。例えば、「お絹が吉原に身をしずめて金を作る」なんて部分、そのへん、さらりと演じる落語家もいるのだけれど、武家の娘が何のゆかりもない吉原に自分で身売りするとか、ずいぶん思い切ったことをやるものだ、とちょっと違和感があった。本作の、遊女屋の大女将(小泉今日子)と格之進一家のエピソードを観れば、展開に無理がない。源兵衛(國村隼)と格之進の挿話も秀逸で、大店の主人と貧乏浪人の交誼も納得できるように作られている。源兵衛は碁会所で出会った格之進のその清廉潔白な囲碁の打ち方に感銘を受け、仲良くなり、影響を受けていくのだ。実直な格之進が、彦根藩を追われ、お絹(清原果耶)と江戸で暮らすようになった理由が次第に明らかになり、壮大な復讐ドラマが始まるという展開にも驚かされる。脚本は、加藤正人。拍手!さらに、キャスティングも、絶妙。それぞれがこのストーリーにのまれることなく、持ち味を放つ。まずなんといっても草彅剛だ。清原果耶の父役ときいて、草彅クンで大丈夫なの、と一瞬でも思った自分を恥じる。堂々たる武士であり、父である。穏やかで、物静かなたたずまいの格之進が、次第に復讐の鬼としての相貌に変わっていくのは圧巻。お絹役の清原果耶は、主演の日本台湾合作映画『青春18×2 君へと続く道』も5月に公開と、出演作ラッシュの人気俳優だが、ひたむきに父を信じる、芯の強い凜とした武家の娘も似合っている。萬屋源兵衛の國村隼、その手代役・中川大志、吉原の女将・小泉今日子は、このストーリー展開の要。斎藤工、市村正親は復讐シーンで重要な役を演じる。「ずっと時代劇を作りたかった、その想いがようやく叶った」という白石和彌監督。『凶悪』『孤狼の血』2部作などとは作風は異なるが、見事な風格。京都周辺で行われた撮影、小道具や美術、細部に気配りがほどこされて、観ていると、江戸時代に旅行をしている気分になる。囲碁や将棋は、打ち方に個性や人柄がでるという。この作品は、今までの日本映画のなかでは、囲碁の対局シーンが一番多いそうで、日本棋院が撮影に協力している。局面が画面いっぱいに映しだされることもあり、通がみても、納得がいくものになっていると思う。さらに、日本棋院のサイトによれば、井山裕太王座、藤沢里菜女流本因坊が特別出演しているそうだ。囲碁ファン、落語ファン、時代劇ファンの皆さんも、これは必見ですゾ。文=坂口英明(ぴあ編集部)【ぴあ水先案内から】佐々木俊尚さん(フリージャーナリスト、作家)「……予想以上にすばらしい作品だった。何よりも草彅剛の重厚な演技が凄まじい……」佐々木俊尚さんの水先案内をもっと見る()中川右介さん(作家、編集者)「……全編にわたり、美術がすばらしい。江戸の貧乏長屋、立派な商家、吉原の遊郭などが、見事に再現されている。」中川右介さんの水先案内をもっと見る()(C)2024「碁盤斬り」製作委員会
2024年04月22日佐々木蔵之介が主演を務めるPARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』が、2024年8月6日(火) から9月1日(日) に東京・PARCO劇場で上演されることが決定した。本公演では、佐々木が立ち上げ主宰する演劇ユニットTeam申の第5回本公演として2021年に上演された『君子無朋(くんしにともなし)』以来3年ぶりに、佐々木×阿部修英×東憲司がコラボレーション。実の息子も敵に回し、全世界を敵に回しても、前人未到の道に進もうとした“神聖ローマ皇帝フェデリコ”の実像に迫る。出演者は、フェデリコ役を演じる佐々木をはじめ、フェデリコと対峙する息子ハインリヒ役で、佐々木とは初共演となる上田竜也、イスラム教の聖地エルサレムを奪還すべく十字軍の遠征に執念を燃やす、カトリック最高権威者ローマ教皇グレゴリウス役で六角精児、時空を超え、世界の行く末を見守り続ける常闇の一族の末裔イザベル役で那須凜、フェデリコが唯一心を通わせ、心震わせた心の友イスラムの君主アル・カーミル役で栗原英雄、そのほか田中穂先、石原由宇らが名を連ねた。『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』は、東京公演を上演後、2024年9月に愛知・大阪・福岡公演が予定されている。■作:阿部修英 コメント大国の侵攻?またか。無差別爆撃?またか。AIが進化しても人類は愚かなまま、平和への糸口すら見えぬ今。この物語を描きたかった。中世、誰もが終わると思わなかった戦争「十字軍」に奇跡の平和をもたらした皇帝・フェデリコ。決して聖人ではない。約束は?破れ!愛は?疑え!息子は?敵だ!「破門=人でなし」の烙印を幾度も受けし大罪人。だがそんな神を恐れぬ者にしか平和は築けなかった。クレイジーかつジーニアスな皇帝を演じる佐々木さん。彼に最も苦しめられ、最も苦しめるプリンスに上田さん。豪華出演陣と綴る物語。戦争は人の宿命か?否!宿命に中指を突き立てた者たちのドラマを、今、見てほしいです。■演出:東憲司 コメント破門フェデリコ……この題名を聞いた時、興奮しました。演劇畑とは別の世界で生きている阿部修英氏が描く、皇帝として生れた男とその息子の物語。光と影、夢と狂気…きっと演劇の枠に収まらない作品となる筈です。これは歴史の闇を貪りながら、現代の光を見い出す冒険の旅。佐々木蔵之介さん、上田竜也さん、那須凜さん、栗原英雄さん、六角精児さん、他……魅惑的なキャストと共に、どんな冒険になるのか……今から楽しみです。■佐々木蔵之介 コメントフェデリコって誰?!って聞いたところ、人類史上最も長く続いたキリスト教とイスラムの戦争を、一滴の血も流さず「エルサレム無血開城」で終わらせたリーダー。しかも、クイズと文通で。ローマ教皇に生涯3度も「破門」された王。レッドカードを出されて退場だと3度も言われてるのに、ボール蹴り続けて試合してた無法者。あと、マッドサイエンティストばりの実験や、8カ国語を話し、8角形の謎の城を建てたり、とか。まあ、兎にも角にも破格に天才で狂人で悪魔の様なフェデリコを演じます。脚本の阿部修英さん、演出の東憲司さん、キャストの上田竜也さん始め信頼できる仲間たちと、時代を変え、限界を超え、奇跡を起こした人たちの物語に挑みます!劇場にて、皆さまのご来場をお待ちしております。■上田竜也 コメントハインリヒを演じます上田竜也です。舞台経験豊富な方々に囲まれて良い刺激の中、勉強させていただきながら、この作品を楽しみたいと思っています。そしてどんな現場になるか、それも楽しみです。また新しい世界へファンの方を連れていけると思うので、楽しみに震えて待っていてください。■那須凜 コメント佐々木蔵之介さん演じるフェデリコに仕える女官イザベルを演じます那須凜です。蔵之介さんほど皇帝、キング、が似合う俳優さんは中々いないと思います。勝手に憧れている俳優さんとご一緒できること凄く光栄です。イザベルは「世界全ての書物の記憶を受け継ぐ闇の一族の末裔」という、設定モリモリの人物……!難しいけれどわくわくするような役。屈強な男性陣に負けない強かで賢い女性を演じられるように、精進したいと思います!■栗原英雄 コメント本作へのオファーを頂き企画書(プロット)を読んだ時、これは主人公フェデリコを中心に壮大なドラマになるぞ!とワクワクしました。そして、主演の佐々木蔵之介さん、演出の東憲司さん、脚本の阿部修英さんのチームという事で緊張しました。素晴らしいスタッフキャストの皆さんと力を合わせて作品を創って行けたらと思っております。■田中穂先 コメントきっと、力強く勇気の湧くような作品が立ち上がる予感がします。熟練の素敵なキャストの皆様と共に、体と心を目一杯使って、今作に挑みたいと思います。時代の閉塞感を打ち破り、ひたむきに突き進んだ皇帝フェデリコに導かれながら、作品を作り、そして皆様にお届けできることが楽しみです。劇場でお待ちしております!!■石原由宇 コメント前回『君子無朋』で阿部さん、東さん、蔵之介さんとご一緒させて頂いて、自分の想像を超えた舞台が出来上がったことにビックリしました。今回はその御三方をはじめ、魅力的な方々とご一緒出来るのがとても嬉しいです!舞台で取り上げられる事が珍しいローマ皇帝を描くこの作品は、必ずや観客の皆さんにとって刺激的であり楽しんで頂ける作品になると、今からワクワクが止まりません。劇場でお待ちしております!■六角精児 コメント今回僕が演じる役は、蔵之介さん演じるフェデリコと対立する役柄なので、蔵之介さんの息を感じながらお芝居をしていきたいです。東さんとは15、6年前に一緒にお芝居をしたことがありますが、稽古を重ねるうちに東さんの人柄をどんどん好きになりました。今回も演出を通して東さんの人柄に触れられることが楽しみのひとつです。劇場に足を運んでいただき、実際に人間が演じている芝居を観ると、映画やテレビとはまた違った迫力や深みを感じることができると思います。そのような迫力や深みをたくさん表現していきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。<公演情報>PARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』作:阿部修英演出:東憲司出演:佐々木蔵之介上田竜也那須凜栗原英雄田中穂先石原由宇六角精児ほか【東京公演】日程:2024年8月6日(火)〜9月1日(日)会場:PARCO劇場【愛知公演】日程:2024年9月7日(土)・8日(日)会場:Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール【大阪公演】日程:2024年9月11日(水)〜16日(月・祝)会場:森ノ宮ピロティホール【福岡公演】日程:2024年9月21日(土)・22日(日)会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール公式サイト:
2024年04月22日LOW IQ 01 & MASTER LOWが、ワンマンライブ『LOW IQ 01 & MASTER LOW 25th 01 MAN SHOW』を7月7日(日) に神奈川・川崎CLUB CITTA’で開催することが決定した。ソロ活動開始後、MASTER LOW名義から始まり、複数の名義で活動を続けるLOW IQ 01。ソロ活動25周年を迎え、7年ぶりに「MASTER LOW」としてのワンマンライブが行われる。本公演はロングセットライブを予定しており、25年の楽曲の数々が披露される。チケットは先行受付を4月29日(月・祝) まで実施中。<ライブ情報>LOW IQ 01 & MASTER LOW 25th 01 MAN SHOW7月7日(日) 神奈川・川崎CLUB CITTA’OPEN17:00 / START18:00最速オフィシャル先行:4月29日(月・祝) 23:59まで()特設サイト:
2024年04月22日4月19日から21日の週末にかけて、北米のボックスオフィスでは、先週に続いてアレックス・ガーランド監督の『Civil War』が首位をキープした。主演はキルステン・ダンスト、『プリシラ』のケイリー・スピーニー。2位は新作のホラー映画『Abigail』。3位は『ゴジラxコング新たなる帝国』。4位はガイ・リッチー監督の最新作で戦争アクション映画の『The Ministry of Ungentlemanly Warfare』。観客評価はA-と高い。5位は日本のアニメ『劇場版SPY X FAMILY CODE: White』だった。次の週末は、ルカ・グァダニーノ監督、ゼンデイヤ主演の『チャレンジャーズ』が北米公開される。文=猿渡由紀
2024年04月22日4月19日(金) にミュージカル『アニー』初日前会見とゲネプロが行われ、キャストのコメントが到着した本作は、1924年からアメリカで新聞連載がスタートした漫画『ザ・リトル・オーファン・アニー(小さい孤児アニー)』をもとに、1977年にブロードウェイのアルヴィン劇場(現ニール・サイモン劇場)で誕生したミュージカル。日本では1986年、日本テレビが主催で上演をスタートして以来、39年目を迎える。主役のアニー役は、歌、ダンス、演技など厳しい審査を勝ち進み抜擢された岡田悠李と絢田祐生。大人キャストには、藤本隆宏が2023年度に引き続きウォーバックス役を務め、グレース役には笠松はるが2021年度より4度目の出演。ルースター役は2022年度から財木琢磨が引き続き務め、頼もしいメンバーが再集結。そして初出演となるキャストには須藤理彩がハニガン役を務め、リリー役は天翔愛が演じる。<登壇者 コメント>■岡田悠李サンディと初めて会ったときは懐いてくれるか、ちょっとドキドキしていました。ですが稽古1日目の後半には、「サンディ」と呼ぶと来てくれて、その時にアニーになれてよかったと思いました。夏のツアー公演で楽しみなことは、チームモップの子たちと、一緒に演技できることです。この劇場に来てくださった方々に、いつでも清々しい、そして自分らしいアニーをお届けしたいです。■絢田祐生サンディと仲良くなるために喋ること・なでること・褒めることをとにかくやりました!悠李アニーとは性格が全然違うのもあってか、私が考えるアニーと演じ方が違って驚くことがたくさんあって、見ていて面白かったです。夏のツアーではチームバケツのみんなと演じられるのも楽しみですが、色んな劇場で歌えるのと、どんなホテルに行けるのかが楽しみです!明日が初日で緊張していますが、たくさんの人にハッピーを届けられるように頑張ります!■藤本隆宏いよいよ明日初日を迎えるので、ワクワクしかないです。キャスト一人ひとりが心をひとつにして、初日に向かって素晴らしい『アニー』をお届けできると思います。アニーふたりの圧倒的な声量とハーモニーで、劇場中を包み込みます。夏のツアーについては、以前、呉で水泳の合宿をよく行っていた時期がありまして、第二の故郷の呉で公演を行えることがとても楽しみです。■笠松はる『アニー』の魅力は、最後の瞬間劇場に満ち満ちる多幸感だと思っています。先ほどゲネプロを1回終えましたが、すでに多幸感に溢れていました。このまま更に成長して、皆で元気に千秋楽まで走り抜けたいと思います。東京公演のみですが、昨年とは違って野犬を追いかけるシーンで本物のワンちゃんが登場するので、そこも見所です!夏のツアーでは、呉公演が楽しみです。『アニー』は今年で4年目の参加になりますが、大阪より西は初めてになります。この4年間でアニーを見たことがない地域の皆さんの反応が楽しみです。■財木琢磨今年で出演が3年目になり、『アニー』という素晴らしい作品に関われていることがとても嬉しいです。今回新しい悪役メンバーが加わり、みんなでお客様をドキッと、そしてヒヤッとさせてシーンをかき乱していける存在になりたいと思っています。公演の観劇を待ってくださっている方たちの反応がとても温かく優しい気持ちになれます。はやく皆さんにお届けしたいです。■須藤理彩このカンパニーはとにかく褒めるのが上手で、稽古初日から演出の山田さんもグッドサインを出してくださいました。なんとかそれに甘えないように課題を見つけて挑戦していきました。子供たちもそうですが、失敗を恐れずにチャレンジできる空気がカンパニーにあったので、私も思い切ったお芝居に挑むことができました。今回初参加で未だに私が『アニー』に出ていいのか不安で、初日になったら別の方が「私が本物のハニガンです」と出てきてしまうような気がしています(笑)。それくらい夢心地ですが、一生懸命稽古したので皆さんに届けられるのが楽しみです。■天翔愛明日に向かって前に進もうと、いろいろな世代の方が幸せになれる明るい作品です。今回初めて参加させていただきますが、この作品の魅力を伝えられる1人になりたいと思っています。初日を前にドキドキしていますが、皆さんと一緒に頑張ります。ハニガン、リリー、ルースターの「Easy Street」は、稽古の段階から試行錯誤して苦戦したシーンです。印象に残っているのが、藤本さんや笠松さんが自分の出演シーンではないのに残ってアドバイスをくださり助けてくださったことで、とても思い入れのあるシーンになりました。お客様に楽しんでいただけるシーンとしてお届けできればと思います。<公演情報>丸美屋食品ミュージカル『アニー』演出:山田和也出演:岡田悠李、絢田祐生、藤本隆宏、須藤理彩、笠松はる、財木琢磨、天翔愛 ほか2024年4月20日(土) ~5月7日(火)会場:東京・新国立劇場 中劇場夏のツアー公演:8/4~9/1に呉、大阪、仙台、名古屋にて上演チケット情報:()公式サイト:
2024年04月22日ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』の開幕を控える4月21日(日)、東京・日比谷シャンテ3F「CROSS ROAD」特別展示会会場にて、取材会が行われ、主演の中川晃教をはじめ、相葉裕樹、木内健人、山寺宏一、畠中洋、春野寿美礼が出席。会場に駆けつけたファンに見守られながら、意気込みを語った。物語の舞台は19世紀のヨーロッパ。ヴァイオリニストのニコロ・パガニーニには、悪魔と契約し魂と引き換えに音楽を手に入れたという噂があった。街外れの十字路で悪魔アムドゥスキアスと血の契約を結んだ彼は、100万曲の名曲の演奏と引き換えに、命をすり減らしていくことになる──。今回は2年ぶりの再演となり、中川がアムドゥスキアス役、相葉がパガニーニ役を続投。木内は相葉とダブルキャストで、本作に初参加する。相葉と木内、ふたりのパガニーニの印象を問われた中川は、デビュー作『モーツァルト!』に出演した際、演出家・小池修一郎から言われたという言葉を引用し「例えるなら、赤ワインと白ワイン」と回答。木内が白ワイン、相葉が赤ワインだと説明した。中川晃教中川は、まず、木内について「フレッシュでさわやかな風を感じさせてくれる白ワイン。天才ヴァイオリニストの内側にある、重たいものを深めていく役柄に、今、全力でアプローチしている」と語り、片や、再共演の相葉に関しては「初演から共に作り上げているので、熟成されている赤ワインでどうでしょうか」と評した。そんな中川の言葉を受けて、相葉は「前回もそうでしたが、パガニーニは、アムドゥスキアスに翻弄されていく役で、僕自身もアッキー(中川)さんに、前回も今回も困らせられた。急にチョケたりして(笑)」と苦笑い。「でも、共演回数も増えてきて、対処法も見つけたので、それも含めて楽しめるようになった。具体的な対処法ですか?動揺しないことです!」と不敵な笑みを浮かべた。相葉裕樹一方、木内は「神出鬼没、奇想天外。稽古中から、アッキーさんの引き出しの多さを感じている。何をしてくるか分からないというのもそうですが、僕の感情を常に拾ってくれて、そこから、いろんな球を投げてくれる。本当に神がかっています」と敬意を示した。木内健人山寺は、初演に続き、パガニーニに仕える執事のアルマンドを演じており、「出演者の中では最年長ですが、ミュージカル経験は最も少ない。だから1番ドキドキしてると思います。前にもやったんですけど」と緊張の面持ち。一方、初演では別の役柄を演じた畠中は、今回ダブルキャストでアルマンド役を務めることに。「天下の山寺さんとダブルキャストで臨んでまいります。今も、どうしていいか分からない部分はあるんですが、山寺さんとはまた違ったアルマンドをお見せできればと思っております」と意気込んだ。山寺宏一畠中洋パガニーニの母・テレーザを演じる春野は、「アムドゥスキアスは、所作も言葉も緩急自在で、隙あらば、すっと心に入ってきて、心を乗っ取られるような感じなんです。中川さんは、地でやっているのか、芝居なのか分からない。本当に素晴らしい表現をされている」とその“悪魔的”魅力に惚れ惚れ。取材会を見守るファンに「ちょっと隙があると、心に入ってこられてやられてしまう。皆さんも心して観てください」と“注意”を呼びかけていた。春野寿美礼取材・文・撮影=内田涼<公演情報>ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』原作・脚本・作詞:藤沢文翁作曲:村中俊之編曲:江草啓太演出:末永陽一【出演】音楽の悪魔アムドゥスキアス:中川晃教ニコロ・パガニーニ:相葉裕樹/木内健人(ダブルキャスト)ジプシーの娘 アーシャ:加藤梨里香/有沙瞳(ダブルキャスト)ナポレオン皇帝の娘 エリザ・ボナパルト:元榮菜摘ヴァイオリン教師 コスタ:坂元健児パガニーニに仕える執事 アルマンド:山寺宏一/畠中洋(ダブルキャスト)パガニーニの母 テレーザ:春野寿美礼荒居清香荒川湧太小倉優佳川口大地柴田実奈趙京來德岡明中野亮輔宮田佳奈山﨑感音【公演日程】2024年4月22日(月)~5月12日(日) 東京・シアタークリエ2024年5月17日(金)~19日(日) 大阪・新歌舞伎座2024年5月24日(金)~26日(日) 福岡・博多座【「ぴあ」アプリ限定 割引チケット販売中!】詳細はこちらチケット情報()公式サイト:
2024年04月22日劇場版『トリリオンゲーム』のスーパーティザービジュアルとスーパーティザー映像が公開された。本作は、『マンガ大賞2022』にノミネートされ、累計発行部数180万部を突破した漫画『トリリオンゲーム』(原作:稲垣理一郎・作画:池上遼一)を原作とした連続ドラマの劇場版。“世界一のワガママ男”の天王寺陽(ハル)と、“気弱なパソコンオタク”の平学(ガク)という正反対のふたりがタッグを組んでゼロから起業し、ハッタリと予測不能な作戦で1兆ドル(トリリオンダラー)を稼ぎ、この世のすべてを手に入れようと成り上がるノンストップエンターテインメント。主人公のハルを目黒蓮(Snow Man)、ガクを佐野勇斗が演じる。連続ドラマでは、まだ何者でもないハルとガクが資金ゼロ&事業計画ゼロの状態から起業し、ハッカー大会、ECサイト、花ビジネス、ホストクラブ、スマホゲーム、動画配信サービス、キャッシュレス決済と、あらゆる事業に挑戦し成功を重ねていく姿が描かれた。劇場版では、そんなふたりが日本初のカジノリゾート開発に挑む。スーパーティザービジュアルは、ハルとガクが目の前の大金やカジノチップに顔を埋め、甘い誘惑と思惑が渦巻くダークなカジノの世界に飛び込んだことを感じさせるアートワークに。スーパーティザー映像では、ハルのお馴染みのセリフ「俺らのワガママは世界一だ!」の声と共に、ふたりがロードマップを駆け上がっていく姿のほか、ドラマの最終回から物語が映画に続いていく模様が映し出される。また、劇場版の撮影風景やメイキング映像も公開され、スケールアップしたことを感じさせる映像となっている。<キャスト・スタッフ コメント>■原作:稲垣理一郎『トリリオンゲーム』がいよいよ映画に!自分の原作作品が、映画館の大スクリーンで観られるというのは初めてのことで。ものすごく喜んでおります!ドラマ版の主人公ハルくんは、明るさの奥に闇があって。漫画から抜け出したのかと見まごうほど……、いやむしろ逆に作画の池上先生が、目黒蓮さんを見て描いたんじゃないかと思うようでした。佐野勇斗さんのお芝居も、まるで三枚目かと思えば、メチャクチャカッコ良かったりもするという、まさにガクくん!そして映画版!さっそく撮影見学させていただきました。このシーン、そうやって撮るんだ!という驚きの連続で。全カット、とんでもない情熱と手間がかかっているんですね……。ぼくもシナリオを事前に拝見し、監修させていただいたのですが。映画版ではさらにグレードアップした、彼らの超ワガママな!大暴れゲームが見られるようになっております!完成を、超~~楽しみにしています!■作画:池上遼一『トリリオンゲーム』のドラマ化に続く実写映画化。僕の長い漫画家人生の中で夢のような出来事です。しかも目黒蓮さんと佐野勇斗さんが再び演じてくださるとのこと。本当に嬉しいです。ありがとうございます。おふたりは外見だけではなく、ハルとガクのピュアな魂までもドラマで演じきっておられました。人が人として熱く生きるとはどういうことなのか。映画ではさらに深く演じていただけると期待しております。目黒さんと佐野さんが醸し出すハルとガクの魅力の虜となって、ファンの皆さんと一緒に、劇場で熱く爽やかな感動に満たされることを楽しみにしております。実は先日、映画の撮影現場にお邪魔しました。久しぶりにお会いした、目黒さんがさらに凄みのある雰囲気を出していることに驚きました。輝きが増したような。この第一級のエンターテインメント作品を、是非楽しんでください!よろしく!!■監督:村尾嘉昭またハルとガクにスクリーンで会えると聞いた時は素直に嬉しかったですし、ワクワクしました。"日本初のカジノ"と聞いた時はさらにワクワク!原作にはない完全オリジナルストーリーなので、良い意味で漫画にもドラマ版にもなかった映画らしいふたりの活躍を観て頂ける物語になっています。私自身、初の映画監督でしたが、ハルとガクについていけば大丈夫!と思って、気負わず自由に撮影できました。本当にめちゃくちゃで、格好いいふたりが観れる映画になっています。このビジネス界のヒーローから、夢を持つことの楽しさや、チャレンジ精神、明日への活力が伝わると嬉しいです。■天王寺陽役:目黒蓮2023年にドラマから始まり、この度、トリリオンゲームの映画化が決定しました!トリリオンゲームの物語は僕自身、勇気付けられた大切な作品で、劇場のスクリーンで皆さんにお届けできるのがとても嬉しいです。何より、僕自身もまたハルやガクに会える喜びでいっぱいです。稲垣先生、池上先生の作り上げる型破りなキャラクターやストーリーを演者、スタッフ一同大切に話し合いながら撮影させて頂きました。ドラマより、一層ダイナミックとなった劇場版トリリオンゲームを皆さん楽しみにして頂きたいです。■平学役:佐野勇斗トリリオンゲームの映画化が決まりました!嬉しすぎます!!ハル君と共に、世界一のわがままをぶちかましたいと思います。(僕は振り回されているだけですが……笑)今回は、世界に行っちゃいます。ついに世界進出!そして、個人的には、ガクの恋の行方も注目して頂けたらなと……!稲垣先生、池上先生が生み出し作り上げてくださったこのお話を、キャスト、スタッフで熱い思いを込めて映像化させて頂きました。ドラマを超える熱量とクオリティでお届けしますので、首をながーーくして待っていてください!劇場版『トリリオンゲーム』スーパーティザーPV<作品情報>劇場版『トリリオンゲーム』2025年公開公式サイト: 劇場版『トリリオンゲーム』製作委員会 (C)稲垣理一郎・池上遼一/小学館
2024年04月22日『ガイズ&ドールズ』(1950/ブロードウェイ初演年。以下同じ)や『ハウ・トゥー・サクシード』(1961)などの作詞・作曲を手掛けたフランク・レッサーと、『オン・ザ・タウン』(1944)や『ワンダフル・タウン』(1953)などの演出、『パジャマ・ゲーム』(1954)や『ダム・ヤンキース』(1955)などの脚本・演出を手掛けたジョージ・アボット。今なお上演機会の多い名作ミュージカルを数多く生み出したふたりによるコメディミュージカル『WHERE’S CHARLEY?』(1948)が、本日4月22日(月)より日本青年館ホールにて、『WHERE’S CHARLEY?チャーリーはどこだ!』として上演される。物語の舞台はヴィクトリア朝末期、独身の男女が立会人なしに異性と食事を共にすることが許されなかった時代の英国。ルームメイトのチャーリー(林翔太)とジャック(室龍太)は、名門オックスフォード大学卒業を間近に控え、想いを寄せるエイミー(蘭乃はな)とキティ(敷村珠夕)とのランチを計画する。チャーリーの叔母ドナ(彩乃かなみ)が立会人を務めるはずだったが、彼女が現れなかったため、やむなくチャーリーが女装してドナになりすますことに。そこにジャックの父フランシス(鈴木壮麻)とエイミーの叔父スペッティギュー(福田転球)が現れ、お金目当てでチャーリー扮するドナに言い寄り始めて――?ミュージカル経験豊富な林は、「お話をいただいた時に、大げさじゃなくガッツポーズしたんです。ミュージカルが大好きなので、ブロードウェイミュージカルに携われるのはすごく嬉しいこと。無条件で笑って、楽しんでもらえるような作品づくりをみんなで頑張ってやっていきたい」と笑顔。一方、2回目のミュージカル出演となる室は、「緊張と楽しみが半々な気持ちではあるんですけど、出演させていただくからには全力で楽しみたい」と緊張気味に話す。だがふたりとも、最後には「絶対楽しい作品になる!」と力強くコメント。中屋敷法仁演出のもと、ふたりが実力派共演陣と共に、往年の名作をどう描き出すのかに注目したい。文:熊田音子<公演情報>ブロードウェイミュージカル「WHERE’S CHARLEY? チャーリーはどこだ!」原作:ブランドン・トーマス「チャーリーの叔母さん」作:ジョージ・アボット音楽:フランク・レッサー演出:中屋敷法仁上演台本:勝田安彦訳詞:山内あゆ子音楽監督・編曲:栗山梢出演:チャーリー・ウィカム:林翔太ジャック・チェスニー:室龍太エイミー・スペッティギュー:蘭乃はなキティ・ヴァーダン:敷村珠夕ドナ・ルーシア・ダルヴァドレス:彩乃かなみスペッティギュー:福田転球サー・フランシス・チェスニー:鈴木壮麻【東京公演】2024年4月22日(月)~4月29日(月・祝)会場:日本青年館ホール【大阪公演】2024年5月18日(土)・19日(日)会場:森ノ宮ピロティホールチケット情報:()公式サイト:
2024年04月22日野田秀樹が作・演出を手がける「NODA・MAP」の新作『正三角関係』は、ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』の設定を入口にした花火師一家の物語。花火師の長男を松本潤が、物理学者の次男を永山瑛太が、聖職者の三男を長澤まさみが演じる。中でも松本は、昨年の大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康役として主演を務め、舞台への出演は13年ぶり。本格的な稽古スタートを前に、松本、長澤、永山、野田の4人に、作品にかける想いを語り合ってもらった。モチーフは『カラマーゾフの兄弟』。松本・永山・長澤が三兄弟に――新作『正三角関係』は、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』をモチーフにされているそうですね。野田キャストのことを考えながら読み返していたら、非常にハマるなと思ったんです。まず殺される父親役として、竹中直人さんの顔が浮かんだ。殺され顔というか(笑)。あと松本(潤)とやるなら、バタ臭い役がいいなと以前から思っていて(笑)。で、無神論者でインテリ男の次男は(永山)瑛太。さらに最も心のきれいな人として描かれる三男と、性格的にも真反対な“女”のふた役を、(長澤)まさみちゃんにやってもらおうと。その一家を花火師の話にすることで、いろんなことが融合していくと思ったんです。――松本さんは初、永山さんは『MIWA』(13年)、『逆鱗』(16年)以来3度目、長澤さんは『THE BEE』(21年)以来2度目のNODA・MAPへの参加となります。野田さんが作られる作品の魅力とは?松本ひとつのテーマではなく、いくつかの要素が交錯していくというのが、近年のNODA・MAPの顕著な作り方だと思うんです。ただそれは野田作品の数ある特徴のひとつであって。なんといっても「劇団 夢の遊眠社」時代から続く、身体表現や疾走感のある台詞まわし、そういったものにエネルギーが凝縮されているように感じます。だから観に行く時はその言葉をシャワーのように浴びたいと思いますし、自分もその世界に入りたいと思う。だから今回のお話をいただいた時は、ふたつ返事で「ぜひチャレンジさせてください」とお引き受けしました。永山演じる時も観させてもらう時も、通知表で言う5段階評価のオール5でもいいし、オール1でもいい。そんな気持ちでいられるのが、野田さんの作品だと思います。ものすごく知的な人が深読みしながら観ても楽しめますし、僕みたいに体育だけ5だったみたいな人間でも十分楽しめる。つまり野田さんの作品には、なにか本能に語りかけてくるものがあると思います。長澤観る側としてはいろいろな楽しさがありますよね。人間の躍動感とか、舞台美術で使われる布や紙が、普段とは全然違う見え方をする驚きとか。内容的にはなかなか難解ではありますが、台詞を聞いているだけでも楽しくて。演じる側として参加した『THE BEE』は、野田さんの中でもちょっとタイプの違う作品。だから今回のような大規模な作品に参加出来ることが、改めてとても楽しみだなと思いました。――松本さんはNODA・MAP初参加ですが、おふたりが知り合われたきっかけは?野田もともとは(故十八世中村)勘三郎ですね。松本そうですね。僕が(中村)七之助くんと同級生で、お父さんである勘三郎さんにもかわいがってもらっていたんです。それである日みんなでご飯屋さんに行った時、そこに野田さんもいらっしゃって。野田それと同じころだよね?松本が出ていた、『白夜の女騎士』(06年、野田秀樹作/蜷川幸雄演出)を観に行ったのは。で、『あゝ、荒野』(11年)の時にはさっきの話をしていたと思いますよ。「お前は絶対“バタ臭い”のがいい」って(笑)。松本それはなんとも言えないですけど(笑)、「イメージ出来た」みたいなことを言ってくださったのはよく覚えていますね。――これまでご一緒されてきて、永山さん、長澤さんの役者としての魅力とは?野田やっぱり瑛太がいいのは、正直な言葉として聞こえてくるところですよね。瑛太自身が正直者かどうかはわからないですけど(笑)。僕の数少ない能力として、一度仕事をするとその人の声とかが残る作家で。だから『逆鱗』の時には、当て書きに近いものがあったんじゃないかなと。『THE BEE』のまさみちゃんに関しても、最初の役が凛々しい警官で、次の役がストリッパー。今回のふた役もそれに重ねたわけではないですけど、やっぱり台本を書く時に、自分の中で音とか立ち姿が残っているところがあるんでしょうね。野田のワークショップでも滲み出てしまう、松本の“センター感”――すでにワークショップを実施されたそうですが、その感触や手応えはいかがでしたか?松本瑛太くんは身体表現も発想も、すごく自由だなと思いました。その場を楽しんでいるのがこちらにも伝わってくる感じがして。野田やけくそなんだよね(笑)。永山(笑)。やっぱり一度解放しないと舞台って、特にNODA・MAPさんは出来ないんですよね。松本まさみちゃんはすでにふたつの人格がまったく違っていて、見ていてすごく面白かったです。長澤潤くんはステージ演出などもされているので、表現に対する知識がすごく豊富なイメージがあります。やっぱり頼りがいがありますし、ついて行きたくなるというか。松本いやいや、僕、舞台13年ぶりですよ。もう初めてみたいなものですから(笑)。長澤・永山いやいやいやいや(笑)。長澤瑛太くんは「とにかく楽しいことしようぜ!」っていう、みんなを巻き込むイメージがあります。潤くんもみんなを乗せてくれるところがあるので、このふたりとなら楽しく稽古が進められそうです。永山松潤とは20代前半からドラマで共演したりしていますが、その芯の強さと太さが、僕とは全然違うんですよね。だからどこかで甘えてしまうというか、委ねてしまうところがあって。こないだのワークショップの時も、松潤が動いて発するだけで、ものすごく説得力がある。そこに存在していることの大きさがやっぱり違うっていうか。野田いわゆる“センター感”があるんだよね。松本いや、ないですよ。野田あるんだよ。松本ないですよ(笑)。野田あるんだよ!(笑)永山戦隊もので言ったら、松潤はやっぱり赤レンジャーですよね。僕は青でもない、緑くらいなので(笑)。松本緑もいいよ!永山(笑)。まさみちゃんとも20代前半からいろいろな作品をやらせてもらっていますが、すごく頼れる、同志みたいな存在です。そのワークショップの時も、早回しの動きをするという課題でまさみちゃんに「あれ出来る?」って聞いたら、「出来るじゃないよ。やるんだよ」って。松本なんてカッコいいんだ!長澤……(苦笑)。永山もうなにも言えなくて、結果、ついやり過ぎちゃったんですけど(笑)。野田わかる、わかる、演劇的には「松たか子のひと声」ですね(笑)。永山それ言われたらやるしかない、ですよね。松本それ、稽古場に書いて貼っておこう!一同(笑)。野田ワークショップの時に改めて思いましたけど、この3人だけでなく、やっぱり役者がとてもいいんですよね。松本アンサンブルの方たちのクオリティもものすごく高いですよね。野田高いね。やっぱり長くやってきて、これだけいい役者といいスタッフと仕事が出来て、自分は本当に幸福な人間だなって。それはいつも観に来てくれるお客さんも含めて。松本いい話過ぎて、ちょっと嘘くさいですけど(笑)。野田俺はなに言っても嘘くさいんだよ(笑)。一同(笑)。野田だけどそれは本当のことなんですよね。心では感謝してるんです。取材・文:野上瑠美子撮影:You Ishii<公演情報>NODA・MAP 第27回公演『正三角関係』作・演出:野田秀樹出演:松本潤⻑澤まさみ永山瑛太村岡希美池谷のぶえ小松和重野田秀樹竹中直人秋山遊楽石川詩織兼光ほのか菊沢将憲久保田武人後東ようこ近藤彩香白倉裕二代田正彦八条院蔵人引間文佳間瀬奈都美的場祐太水口早香森田真和吉田朋弘李そじん【東京公演】《6/23(日)チケット一般発売》2024年7月11日(木)~8月25日(日)会場:東京芸術劇場プレイハウス【北九州公演】《6/23(日)チケット一般発売》2024年9月5日(木)~9月11日(日)会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール【大阪公演】《9/1(日)チケット一般発売》2024月9月19日(木)~10月10日(日)会場:SkyシアターMBS【ロンドン公演】10月31日(木)~11月2日(土)会場:サドラーズ・ウェルズ劇場『正三角関係』公式サイト・MAP公式Instagram@nodamap_official()チケット情報:()
2024年04月21日4月20日(土) に東京・EX THEATER ROPPONGIにて行われた、Gacharic Spinのツアー『Gacharic Spin TOUR 2024「Ace」』ファイナル公演のレポートが到着した。「今日、改めて確信いたしました。みんながそこにいてくれているだけで、私たちはここに立つ意味があって、音楽を奏でる意味があって、存在することができています。本当にありがとうございます!」(アンジェリーナ1/3)今年の10月に結成15周年を迎えるGacharic Spin(通称ガチャピン)が、その口火を切るEP『Ace』を2月にリリースした。キャリア的には15周年ではあるが現体制となって5年ということもあり、本作のために書き下ろしたものの中からエース曲を厳選した、まさに現在のバンドの勢いを表したかのように攻めの作品となっている。彼女たちのオフィシャルグッズの中に“止まるな”と書かれたTシャツがあるのだが、それが体現されていると言えよう。そんな強力なアイテムを携えたツアー『Gacharic Spin TOUR 2024「Ace」』のファイナルが熱く滾ったものとなったことは言うまでもない。ソールドアウトとなった会場は開演前からガチャマン(男性ファンの呼称)&ガチャピン子(女性ファンの呼称)の熱気が立ち込めており、客電が落ち、EP『Ace』収録の「オドリオドレ」をサンプリングしたSEが流れると歓喜に満ちた歓声を場内に渦巻かせる。オープニングナンバーはSEからの流れを受けて「オドリオドレ」。アンジェリーナ1/3(Mic Performer / 通称アンジー)の威嚇的なヴォーカルが客席を焚き付け、激しいサウンドでイニシアチブを取り、続く《ずっとベストアンサー繰り返していく/音を止めないよ》とバンドスピリッツを高らかに歌い上げる「BakuBaku」で強固な一体感を築き上げると、FチョッパーKOGA(B)のバキバキのスラップとアンジーのスペイン語でのラップなど歌と楽器陣が拮抗する「ミライ論争」で場内の高揚感を際限なく蹴上げていく。「日に日に熱量が更新されていくような最高の『Ace』ツアーでした。今回、バラードとかの落としゾーンが一切ないセットリストになっていて、ここからはノンストップで、地獄のようなセットリストが続いていきます」(アンジェリーナ1/3)宣戦布告のようなMCを挟み、EP『Ace』より《辛くて悲しいことも全部/人生に投げ込んだら輝くよ》とナーバスな感情に寄り添うリリックのヘヴィーチューン「ストロボシューター」で場内の熱量を一段上に引き上げると、サビではワイパーを誘うもののアンジーの咆哮や各パートが戦闘モードにギアを振り切ったバンドグルーブで観客のテンションを爆発させる「リバースサイコロジー」、疾走感と焦燥感が合わさったようなサウンドの中でTOMO-ZO(G)とはな(Vo / G)のツインギターが駆け巡る「The Come Up Chapter」を投下。それにフロアーはクラップや拳を突き上げて呼応し、ライヴは6曲が終わったところで、もうすでに終盤のような様相を見せている。各メンバーにマイクを回す序盤のブレイクポイントを挟んで、再びコミカルな切り口で人間関係をシニカルに語るガチャピンらしいナンバー「カチカチ山」でアクセルを踏み込む。また、曲中ではながドラムに、ドラムのyuriがステージ上手に出てエレパッドにパートチェンジ。こういう変形スタイルでプレイできるのも、このバンドの面白さだ。その編成のまま楽器陣の超絶プレイが炸裂する「ブラックサバイバル」へ。そんな激アツのサウンドの中で英詞パートをキュートに聴かせるyuriの存在が光っていたのも特筆すべきところだろう。曲間もyuriがエレパッドでつなぎ、はなが再びギターを手にすると、ドラムレスでインディーズ時代のナンバー「僕だけのシンデレラ」を披露。これまで幾度となくプレイされ、その時のバンドの体制によってさまざまなバージョンが存在するわけだが、同曲に限らずバンドの現状によってアレンジが変わるのもガチャピンのライヴの醍醐味である。2024年のグルーブを纏った「僕だけのシンデレラ」も古くからのファンに新鮮に響いたはずだ。そして、TOMO-ZOの圧巻のギターソロをイントロダクションにプレイされたのは、そのTOMO-ZOヴォーカルの新曲「S·w·e·e·t」。アイドルソングのようなラブリーでポップな曲調が、それまで熱気を湛えていた会場を朗らかに和ませた。「前回、EX THEATERでライヴをさせてもらった2021年はコロナが大変な時期だったんですね。なので、座席を半分にしていたんですよ。お客さんの数をね。で、こんなに満ぱんのEX THEATERを初めて見まして、私、すごく胸が熱くなっております。ありがとうございます!ライヴができるのって当たり前じゃないんだなと思って、今日もステージに立たせてもらっています!!」(アンジェリーナ1/3)中盤のMCを挟み、新曲のインストゥルメンタルナンバー「SPEED」へ。アンジーがステージをはけると、KOGAがスラップをキメ、はな×TOMO-ZOのツインギターがスリリングなソロを、オレオレオナ(Key)が鍵盤で流麗な旋律を聴かせ、yuriが刻むタイトなビートの上で息を呑むようなプレイが縦横無尽に繰り広げられる。そして、アンジーが制服姿で再登場し、クールなキラーチューン「MindSet」につなぐ。各パートがバトルするテクニック全開のナンバーに客席が大いに沸き、続くアグレッシブな「レプリカ」でギアがトップに!屈強のバンドグルーブがフロアーの床を大きく揺らすのだった。「シリアスな「レプリカ」からのこのコーナー、Gacharic Spinの幅広さを表しております(笑)。全曲アゲ曲ばかりで自分たちの首を締めたこのツアー、唯一休めるのがこのコーナーだと思います(笑)」(TOMO-ZO)畳み掛けるように攻め立てたブロックの後は、これまでの空気を一転させるTOMO-ZOのMCコーナーでしばしの脱力タイム。その間、アンジーが衣装チェンジを済ませ、THE BACK HORNの菅波栄純提供曲であるオイコールを呼ぶハイボルテージの「超えてゆけ」から怒涛の後半戦に突入!インディーズ時代から起爆剤的に活躍してきたエネルギッシュな「Lock On!!」をアンジー×はな×オレオのトリプルヴォーカルで聴かせ、コロコロと変わる複雑な展開で聴く者を引き込む「ナンマイダ」、各パートが牙を剥くように交錯する容赦ないサウンドの中で《君にはこの歌どんな風に聴こえる?/こんな世界だからこそ此処に立ち続けて歌おう》とウエットなメッセージを投げかける「I wish I」を矢継ぎ早に繰り出し、EP『Ace』のリード曲であり、新しいGacharic Spinの側面を開拓した「Let It Beat」のダイナミックなグルーブで会場を酔わせて本編を締め括る。アンコールの1曲目は「ソールドアウトしてますし、めでたいことをしたいじゃないですか。めちゃくちゃぶち上がる新曲を持ってきました」とのアンジーの言葉から、EP『Ace』からの進化を感じさせる新曲「乱心glow」をプレゼント。はな&アンジーのツインヴォーカルを活かし、リフレーンされる《乱心glow》のフレーズが耳に残る痛烈で痛快なナンバーで再び場内に熱気を呼び寄せる。そして、EP『Ace』のラスト曲でもあるラテンフレーバーを纏ったシンガロングナンバー「Lin-Lin-Lan」で大団円。《出会ってくれてありがとう》《あなたと出会えてよかった よかったの》と歌い、「みんなのおかげで私たちは音楽を続けることができています。本当にありがとー!」と叫び、最後にステージとフロアーの境のないハートフルな熱の塊を場内に作り上げたのだった。最後に客席をバックに記念撮影をして全員笑顔で終幕……と思いきや、ステージ上でオレオが涙顔に。会場にオレオコールが響く中、そんなオレオにマイクが渡り「『Ace』という今の私たちをギュッと詰めた5曲入りのパワーが漲るEPを引っ提げてのツアーも、いったん今日で幕を下ろして……追加公演をやるんですけど、本当にここまで来れて良かった(泣)。短いツアーだったんですけど、各地各地でみんなからパワーがもらえた大事なツアーでした。この勢いでTDCに向けて、15周年に向けて、一丸となって走っていきたいと思っています!今日は本当にありがとうございます!!」とコメント。このカッコ良くキメられない不器用なところがまたGacharic Spinらしく、そこもガチャマン&ガチャピン子たちを惹きつける魅力のひとつだと言える。そして、そんなツアー最終公演のセットリストに並ぶのは最新EP『Ace』と最新アルバム『W』の楽曲が中心。KOGAもMCで前々回の同会場でのライヴ(2016年5月28日の『オレオさんの婚活ツアー’16春 ~新しい出会いを求めて~』)と本公演のセトリが被っている曲が1曲だけだと語っていたが、ライヴでの定番曲的なメジャーデビュー曲「赤裸ライアー」をはじめ、鉄板曲の「WINNER」「ダンガンビート」が外れている。つまり、常に“最新のGacharic Spin”で勝負しているということだ。もちろん、それは日々更新されていく。すでに発表されている『LIVE 2024「Let It Beat」』と題した7月6日(土) の東京・TOKYO DOME CITY HALLでの追加公演で、さらに進化した彼女たちに出会えることは想像に容易い。15周年の節目に、どんなバンドへと変化するのだろうか?これはかなり興味深い。そして、待望の新曲は、この夏のリリースに向け準備中だ。なお、本公演のセットリストは各配信サイトにてプレイリストとして公開されているので、是非聴きに来て欲しい。<公演情報>『Gacharic Spin TOUR 2024「Ace」』4月20日(土) 東京・EX THEATER ROPPONGI【セットリスト】SE01. オドリオドレ02. BakuBaku03. ミライ論争04. ストロボシューター05. リバースサイコロジー06. The Come Up Chapter07. カチカチ山08. ブラックサバイバル09. 僕だけのシンデレラ10. S·w·e·e·t(新曲)11. SPEED[Instrumental](新曲)12. MindSet13. レプリカ14. 超えてゆけ15. Lock On!!16. ナンマイダ17. I wish I18. Let It Beat■ENCORE19. 乱心glow(新曲)20. Lin-Lin-Lan配信リンク:<ライブ情報>Gacharic Spin LIVE 2024『Let It Beat』7月6日(土) 東京 TOKYO DOME CITY HALLGacharic Spin×DOLL$BOXX Zepp TOUR12月08日(日) 東京 Zepp Haneda12月15日(日) 福岡 Zepp Fukuoka12月21日(土) 北海道 Zepp Sapporo12月29日(日) 大阪 Zepp Osaka Bayside2025年1月12日(日) 名古屋 Zepp Nagoyaチケット情報:()公式サイト:
2024年04月21日BABYMETALが3月23日(土)・24日(日) に沖縄・沖縄コンベンションセンター展示棟で開催したワールドツアーのファイナル公演『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43』の模様が、2024年夏にライブフィルムとして公開されることが決定した。BABYMETALは、SU-METAL(Vocal・Dance)、MOAMETAL(Scream・Dance)、MOMOMETAL(Scream・Dance)による新体制として新たなステージに突入して以降、日本を含め25カ国を巡る過去最大規模のワールドツアー『BABYMETAL WORLD TOUR 2023-2024』を敢行。全98公演、フェスやゲストアクト出演を除くヘッドラインツアーでは、累計28万人を超える観客動員を記録した。ライブフィルムでは、多彩な楽曲、唯一無二の世界観、ツアーファイナルならではの演出、そしてワールドツアーでさらなる進化を遂げたBABYMETALのパフォーマンスを観ることができる。併せて、本作の特報映像が公開された。『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43』特報映像<作品情報>『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43』2024年夏公開『BABYMETAL WORLD TOUR 2023 - 2024 TOUR FINAL IN JAPAN LEGEND - 43』告知画像映画公式サイト: Amuse Inc.
2024年04月21日藤沢文翁原作・脚本・作詞、村中俊之作曲、中川晃教主演により2022年に初演されたミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』が2年ぶりに再演される。藤沢と村中は、シアタークリエや帝国劇場などで上演が続けられている音楽朗読劇「VOICARION(ヴォイサリオン)」シリーズのコンビ。ふたりが生み出す、物語と音楽が互いを高め合う作品群は、かねてより“歌わないミュージカル”と評されてきた。そんなふたりが、2012年に朗読劇として初演された『CROSS ROAD ~悪魔のヴァイオリニスト ニコロ・パガニーニ~』を、満を持してミュージカル化したのが本作だ。4月22日(月)にシアタークリエで開幕する再演では、初演時には藤沢自身の演出のもと、演出助手として創作に携わった末永陽一が演出を務める。物語の舞台は、音楽黄金期と謳われる19世紀のヨーロッパ。自分の才能に限界を感じていたヴァイオリニストのニコロ・パガニーニ(相葉裕樹/木内健人)は、街外れの十字路に棲むと言われる音楽の悪魔、アムドゥスキアス(中川)と血の契約を結ぶ。それは命と引き換えに、天才だけが奏でられる最高のメロディーを100万曲演奏できるというもの。彼は自らの命をすり減らしながら、その演奏で世界を熱狂させていく――。出演はほかに、パガニーニの良き理解者となるジプシーの娘アーシャ役の加藤梨里香/有沙瞳、皇帝ナポレオンの妹でアムドゥスキアスによって“ファム・ファタル”としてパガニーニに差し向けられるエリザ役の元榮菜摘、パガニーニのヴァイオリン教師コスタ役の坂元健児、パガニーニの忠実な執事アルマンド役の山寺宏一/畠中洋、パガニーニの母テレーザ役の春野寿美礼ら。中川、相葉、山寺以外は再演からの新キャストで、畠中はコスタ役からアルマンド役への転身となる。初演で村中による難解な楽曲を歌いこなし、まさに音楽の悪魔のようだと評された中川や、本作には朗読劇版から出演する山寺らの魅力はそのままに、新たな演出とキャストによって生まれ変わった舞台が期待できそうだ。文:熊田音子【「ぴあ」アプリ限定 割引チケット販売中!】詳細は下記よりご確認ください。<公演情報>ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』原作・脚本・作詞:藤沢文翁作曲:村中俊之編曲:江草啓太演出:末永陽一出演:音楽の悪魔アムドゥスキアス:中川晃教ニコロ・パガニーニ:相葉裕樹/木内健人(Wキャスト)ジプシーの娘 アーシャ:加藤梨里香/有沙瞳(Wキャスト)ナポレオン皇帝の娘 エリザ・ボナパルト:元榮菜摘ヴァイオリン教師 コスタ:坂元健児パガニーニに仕える執事 アルマンド:山寺宏一/畠中洋(Wキャスト)パガニーニの母 テレーザ:春野寿美礼荒居清香 荒川湧太 小倉優佳 川口大地 柴田実奈 趙京來 德岡明 中野亮輔 宮田佳奈 山﨑感音【東京公演】2024年4月22日(月)~5月12日(日)会場:シアタークリエ【大阪公演】2024年5月17日(金)~5月19日(日)会場:新歌舞伎座【福岡公演】2024年5月24日(金)~5月26日(日)会場:博多座チケット情報:()公式サイト:
2024年04月21日