ひとり旅を続けて10年、約150カ国も訪れたという、旅ライター・旅写真家の黒水綾乃さん。一年の半分をひとり海外で過ごし、「ひとり旅はさみしいものではない」と明るく語った彼女ですが、実は既婚者。半年はひとり旅、もう半年は居住地である台湾で、旦那さんとふたり、夫婦生活を送っているそうですが、結婚しても「ひとり旅」をすることは可能なんでしょうか。決断した理由と、ひとりで、夫婦で過ごす秘訣を伺いました。結婚後の、半分ひとり半分ふたりの生活中央:黒水綾乃さん――ご結婚されてからも、半分ひとり旅、半分旦那さんと生活しているとのことですが、なぜ「ひとり旅」を選んだのか、またどんな工夫をしていますか?旦那はメーカーに勤める駐在員です。現在いる台湾は日本より少し休暇は多いですが、旦那と長期の旅に出るのはもちろん不可能。なので、年に二回ほど行きやすい欧米諸国などを一緒に旅行しています。「ひとりで旅なんて…」とよく言われますが、結婚前からこんな生活をしていたし、こんな私を受け入れてくれた人なので、ふつうの感覚ではないとは思いますよ(苦笑)。とはいえ、最初からそんな生活だったわけではないです。私にはひとり旅で世界一周をしたいという夢があったので、子どもを産む前に叶えたいと旦那に打診したんです。何度も話し合い、旦那は聞き入れてくれて、ついに実現しました。その後、数年間紆余曲折を経て、私たちは子どもを作らない選択をしました。お互い夢があって、それを実現させようと決めたからです。私の今の夢は、世界250ヶ国を訪ねて、それを一冊の本にまとめること。全世界訪問し、世界中の人に読んでもらいたいと思っています。その夢に近づくために、毎年10ヶ国以上を訪問して写真を撮る計画なので、半年はひとり旅をすることになりました。ただ、やっぱり旦那に会いたいし、彼もそう思ってくれているので、3ヶ月以上の長い旅はせず、一度は帰ってくる約束をしています。――お互いの夢を叶えるため、そして、納得した約束をしていて素敵だなと思いました。では、旦那さんと一緒にいるときは、どんな生活を送っているのですか?旦那の料理はまずいですが(苦笑)、お互い独身時代も長かったので、家事はなんでもできます。ふたりで過ごす半年間は、お互いの仕事以外はほとんど一緒に行動しています。平日は一緒にごはんを食べ、お笑いDVDを見たり、週末は台湾国内を食べ歩いたり散歩したり。ふたりでいる時に別行動というのはほとんどないです。なので、友人や親が日本から来ても、旦那を誘って一緒にでかけます。こうやって書くととても仲がいい夫婦みたいですが、、週に二度はケンカしてますし、昔は殴り合いのケンカもしていました(笑)。逆にひとり旅をしているときは、連絡は必要最低限に。ネットがない環境にいたり、時差が大きかったりするので、安否確認(?)としてスカイプにメッセージを残すくらいです。ネットが充実した環境にいるときは、お互いの近況を語ったりとゆっくり話していますこれらは”工夫”ということではなく、私たちにとって自然な流れ。これらでうまくバランスをとれているかどうか分かりませんが、おかげさまで結婚生活も早6年になりました。ひとり旅の最大のミッションを叶えるために――旦那さんと過ごす時間を、とても大切にされてると感じました。では「ひとり旅」を続けて、何か変化してことはありますか。リラックスして旅ができるようになったことでしょうか。若かりし頃は「こうせねばいけない」「こうあらねばならない」と自分で自分を縛り付けていたと思います。さらに年齢も経験を重ねたので、情報収集力や危険察知能力があがり、イヤな経験をすることも少なくなってきましたしね。ひとり旅での私の最大のミッションは、現地の人との触れ合うことです。若いときは話しかける勇気もなかったし怖がっていたけど、今は大阪のおばちゃんみたいに(笑)気軽に話しかけられるようになりましたよ。力まずに、現地の空気を楽しめるようになったのは大きいですね。その結果、旅の密度が濃くなりましたし、なかなか見れない、触れられない体験や楽しみが増えました。よくバックパッカーや旅人が、旅をすればするほど新鮮さがなくなって飽きてくると言いますが、私は全く思いません。つまらないと感じれば、より僻地に行き、違う経験をすればいいだけ。今より10年後のほうが旅を楽しめていると思いますし、私は歳をとることに一ミリも抵抗はないので、実年齢や旅の経験値をあげ、毎日を楽しくしたいと思っています。――最後に「ひとり旅」で気をつけたほうがいいことを教えてください。現地の方と知り合えたり、現地の文化に触れ合いやすいことは、ひとり旅でしか得られない経験です。私もそこに魅了されています。だからこそ、意識して気をつけてもらいたいのは、やはり女性のひとり旅は危険度が増す、ということ。私は人生で2回襲われそうになり、1回は強奪未遂を経験しました。もちろん私の不注意が原因ですが、襲われそうになったときは「女が一人」というのが多分に関係していると思いました。とにかく女のひとり旅は警戒が最重要です。でも、自分のルールをしっかり決めて、事前準備と注意を働かせ、警戒を怠らなければ防ぐことができます。また、現地の言葉や風習を予習して人に迷惑をかけないよう配慮することも、日頃から取り組んでいます。text /SOLO編集部特集「さみしさは敵か」の記事はこちら!・世界150カ国で言われた「ひとり旅ってさみしくない?」に私が出した答え/黒水綾乃さんインタビュー・美しいさみしさの奥にあるグロテスクな本音と向き合う/紫原明子
2017年01月30日趣味を楽しんでいるときに、「そんな趣味やめちゃいなよ?」などとカレに否定的なことを言われた経験はありませんか?こんにちは、ライターのともしどです。カレに趣味を否定されたらイヤな気持ちになりますよね。「何も迷惑はかけていないのに、なんで悪く言われなくちゃいけないの?」と、モヤッとした気分になってしまうはずです。そこで今回は、カレがあなたの趣味を否定する理由についてリサーチしてきました!■1.俺と同じ価値観を持ってほしいから「好きな人とは趣味も共有したいので、彼女がまったく違う趣味を持っていたら、否定しちゃうことがあるかもしれません。価値観が合わないと思うのがイヤで・・・。」(大学生/20歳/男性)男女の仲において、「価値観の一致」は大切です。とくに、趣味には「好み(価値観)」がよく表れるものなので、それがかけ離れていると男性は否定したくなってしまうのだとか。とはいえ、趣味は本来、「自分が楽しむためのもの」なので、価値観を一致させるためのものではありません。カレに趣味を否定されたときには、趣味とはちがうカレとの共通点を伝えてあげましょう。■2.悪い趣味から救ってあげたいから「趣味には、暗い気持ちになっちゃったり、人間性が危うくなってしまうものもありますよね。彼女がそういう趣味を持っていたら心配になるので否定しちゃいます。」(営業/25歳/男性)こちらのコメントをしてくれた男性いわく、「健全な趣味なら特に口は挟まない」とのことです。趣味が原因で彼女が精神的に落ち込んでいたり、よくない方向に向かっているとしたら、彼氏の立場としては心配になるのだとか。たとえば、過度なタバコやギャンブルなどが当てはまるでしょう。この場合には「好きなんだから仕方ない」などと一蹴せずに、カレの気持ちを汲んで、しっかりと「私は大丈夫!」と伝えてあげてください。■3.先入観から判断しているから「自分が触れたことのない趣味だと、どうしても先入観だけで判断しちゃいますよね。それで彼女の趣味を否定しちゃうことがありました。」(美容師/23歳/男性)自分で体験したことがない物事は、先入観で判断するしかありません。また、「わからないこと」には不安を抱きやすいものです。先入観から勝手に趣味を否定されているときには、「面白さ」や「楽しさ」をしっかりとカレに説明して、理解してもらいましょう。きっと、わかってくれるはずです。■4.元カノと同じ趣味だから「彼女の趣味が元カノとかぶっていると、元カノのことを思い出しちゃうんです。それがイヤで、彼女の趣味を変えようとしたことがあります。」(SE/26歳/男性)こんな風に元カノの存在を思い出されるのはイヤですよね。とはいえ、カレとの付き合いが長くなって関係が深まれば、カレは次第に元カノの存在を思い出さなくなっていくはずなので、気にしないようにしましょう。■5.もっと会いたいから「彼女が趣味に熱中していて、あまり会ってくれなくなるのがイヤですね。少なくとも週に1回は会いたいので・・・。」(飲食業/24歳/男性)忙しい日々を過ごしていると、自分のために使える時間が限られるものです。カレに会いたいという気持ちはあっても、「他にやりたいこともあるのでカレと会う時間が少なくなっている」女性も多いのではないでしょうか。そんなあなたの態度にカレはちょっと嫉妬をしてしまっているのかもしれません。上手く時間の使い方のバランスを取りながら、カレと会う時間もしっかりと確保してあげれば、きっとカレは喜んでくれると思いますよ。■おわりに「趣味が合わない」ことが原因で別れた経験のある男女は多いようです。しかし、カレと趣味が合わずに「価値観がちがうのかも」と思ってしまったとしても、それを別れる原因にしてしまわないでください。「趣味」と「男女の価値観」の一致は、別物です。もしもカレに趣味を否定されたときには、しっかりとコミュニケーションを取り、あなたの趣味の素晴らしさを伝えましょう。そうすればきっと、カレが理解を示してくれるようになるはずですよ。(ともしど/ライター)(ハウコレ編集部)
2017年01月25日第6回:ないものねだりを利用する「家にいるのも飽きてしまいました。どう過ごしたらいいのか分かりません」という読者投稿をいただいて、自分の過ごし方について考えてみた。私は、家に居ると外に出かけたくなってしまい、外に出ると家に帰りたくなってしまう。今度の休みはあれを食べに行こう、あの展示を見に行こうと外出欲が出ても、いざ休日になってある程度用事を済ませてしまうと、家にいる自分を想像してしまう。適当なおつまみを作ってベランダで昼からお酒を飲んだり、ずっと見たいと思っていた映画を部屋で見たり、作り置きを作って平日の楽しみにしたり。誰かと飲みに行くにしても、昔だったらオール明けにふらふらと始発に乗る感じが好きだったが、今は少なくとも終電で帰り、家の布団で寝ることの幸福感のほうが勝ってしまっている。“家が飽きたなら外に出よう”という単純な回答には聞き飽きたものだが、要は、ないものねだりをうまく利用するということだ。「描けない時は何もしない。すると自然と描きたくなる」と某ジブリ作品でも言っているように、煮詰まってたことからあえて遠ざかると、自然とその物事に戻ってしまうもの。家で楽しく過ごしたい人は、外に出てみるのが近道かもしれない。Design&Text/つめをぬるひとこの連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。
2017年01月23日「ひとり純喫茶」をご覧下さっている皆さま、新年はもう純喫茶に行かれましたか?私は元旦に新宿三丁目にある、24時間営業の「珈琲貴族 エジンバラ」を訪問しました。こちらの名物は、店員さんが珈琲とミルクを高い位置から注いでくれるカフェ・オレ。カップに到着するまでの時間、空気を含んでミルクがやわらかくなる効果があると聞きますが、何よりもその圧倒的なパフォーマンスを見ているだけで楽しいのです。純喫茶へ行く理由はいくつか挙げられますが、人によって様々だと思います。例えば、店内のインテリアや建築に興味がある方、美味しいメニューや珈琲を求める方、個性あふれるマスターたちとの会話がお目当ての方…。色々な要素が組み合わさって楽しいひとときは成り立つもので、私もその時々の気分によって訪れる店を決めています。1700軒訪れた中で、初めて出会った「仏像のある純喫茶」さて、そんな私が新年早々に選んだのは、念願だった「店内の様子がかなり特殊である」純喫茶。大阪で暮らす知人たちから話を聞いて以来、気になって仕方がなかった「篝(かがり)」です。「かがり」とは、かがり火を焚く時に使用する“鉄製のカゴ”を指し、こちらの天井にも吊るされています。さらに、このお店を表す最も強烈なキーワードが「店内の至るところに仏像がある」ということ。全国1700軒ほどの純喫茶を訪れ、数えきれないほど個性的な店と出会いましたが、仏像があるお店は初めてでした。大阪の新大阪から御堂筋線でなんば駅へ行き、そこから千日前線に乗り換えて玉川駅へ。駅から少し歩き、商店街に入ると目当ての「篝」が見えてきます。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年01月20日職場の理想郷がここに…!by Mariya Tyutina先日、夢のようなゲストハウスに泊まりました。札幌にある、割と新しい宿です。おしゃれな内装に惹かれて予約しました。行ってみるとそこでは、70年代少女マンガに登場する男子みたいなスラリスラリと細身の男子たち3~4人が、キャッキャ働いていました。そのキャッキャぶりはまるで韓流ドラマでも見ているかのようです。青春ドラマ☆ゲストハウスって感じ。みんな宿に住みつつ仕事をしていて、就業時間とか関係なく、ずっとそこらをウロウロしています。そして手の空いた人がサッと誰かの手伝いに入ります。和久井が到着したときのチェックイン作業も、就業中の男子が電話対応中だったため、非番の男子がこなしてくれました。これイヤイヤやってたら完全にサービス残業のブラック企業です。昼間、宿に戻ってみたら、全員でお掃除の最中でした。「トイレ掃除した?」「まだ」「じゃあ俺トイレやっとくわ」「じゃあ俺は昼飯作るついでにキッチンやっとく」などと、それぞれが自分で仕事を見つけて、必要なことを率先してこなしていきます。職場の理想郷って感じです。昼や夜などの食事の時間になると、料理の得意な男子が「ラーメン作るけど食べる人~!」などと言って買い出しに行き、ちゃっちゃとご飯を作り始めます。夜にラウンジで仕事をしていたら、「豚汁食べます?」とか「ワイン飲みます?」とかいろいろサーブしてくれました。なんなら食事になんか出掛けなければよかった!その日、爽やか男子たちが新人女子を採用したようでした。一生懸命研修を行っています。まだ学生で敬語もうまく使えない女子。たどたどしい言葉遣いに男子たちは萌え萌えのようで「可愛いなあ!」を連呼しています。そのうち男子の誰かと恋が芽生えそうです。奥の部屋では、非番のスタッフが英語の勉強をしています。テキストを読んだり、文法をチェックしたりしています。ゲストハウスには外国からのお客様も多いので、実用英語を使えるスタッフが多いんです。「この場合はこう言う」なんて女子に教えているようでした。キラキラ光る若者の爽やかな世界ゲストハウスのスタッフたちはたいていみな旅好きですが、男子のひとりは、旅先で知り合った女子を追いかけて北海道まで来て、そのまま住みついているのだそうです。人生は自由なんだなあ。愉快な仲間と、楽しい仕事を、住み込みで。ごはんをみんなで分け合い、なんの天国ですかここは。この宿には、薄汚いものがひとつもありません。あるのはキラキラ光る若者と爽やかな風だけ。とまあ、目の前で青春☆ドラマが繰り広げられていたわけですが、その時和久井は、旅先で書くのをすっかり忘れていた原稿に必死に取り組んでおりました。SOLOの姉妹サイト「AM」 からの依頼の原稿で、「ラブグッズを使って彼とのエッチをもっと楽しく!」 という感じのヤツです。「グッズで締まりをよくしました」とか「彼があっという間に……」とかピー音ガンガン入りそうな体験投稿を読みあさり「これだ」というものをピックアップして文章を成型します。爽やか男子たちを横目にしながら、これほど自分が薄汚れてしまったと痛感した日はありません。その男子たちが、ラウンジでパチパチパソコンのキーを叩いている和久井のところへ来て、「お仕事ですか?」「なにをされてるんですか?」と無邪気に無垢な瞳で尋ねてきます。「ああ、女子のあそこの締まりをよくするラブグッズを使って、彼をビンビンにさせる体験談を書いているんですよ。なんかもう、トロットロみたいよ。どう? きみも」……いや、ないない。言えません。肉欲のカケラもなさそうなこの爽やか世界に、エロウィルスを投下したら末代まで祟られそうです。「いろんなこと書いてるライターです」とお茶を濁したわけですが、その「いろんなこと」のうちのひとつとして、今回君たちのことを書かせてもらいました。いつまでも青春☆ドラマハウスでいてください。まぶしすぎるけど隣で見てみます。Text/和久井香菜子
2017年01月18日第5回:人がいるから一人になれる今回は「新婚ですが、夫とは部屋は完全に分けている一人好き」という読者投稿より、イメージした爪をつくった。誰かと一緒に過ごす時間もあるけど、一人の時間も好きだと綴られていた。一人の時間に焦点を当てた映画や音楽は多いが、私が印象に残っている作品で「誰かと一緒にいながら一人」を表したものがある。『EDEN』という映画だ。これは、90年代のエレクトロやダンスミュージックシーンに翻弄されていくDJの話で、DAFTPUNK結成当初が描かれていることでも話題となった。以前観て印象的だったのは、主人公がほとんど「一人でいない」ということだ。時系列が移るにつれて、主人公はその立場や環境が次第に変化していき、やりたい音楽と流行の差が徐々に広がるのを感じ葛藤していく。そんな彼の傍には常に仲間や恋人、家族がいるにも関わらず、どこか孤独感を漂わせており、周囲から孤立していく様子がハッキリと分かるのだ。そして、たった一人になるラストのシーン。彼はようやく、それまでの自分を顧み、先を見据えることができたのだ。堕落の結果「一人になってしまった」ように見えるが、実は、やっと「一人になれた」という、ほんの少し希望を含んだような終わり方が私は好きだ。孤独は、周囲に人がいる、あるいは居た、という事実が前提にある。だからこそ一人でいることを意識する。今回の読者投稿は「こんな私って変ですか?」という文で締められていたが、むしろ誰かと一緒にいるからこそ一人の時間を欲し、大事にしたいと思ってしまうのではないか。Design&Text/つめをぬるひとこの連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。
2017年01月09日あけましておめでとうございます。昨年も『ひとり純喫茶』をご覧頂き、本当にありがとうございました。2015年11月から連載をはじめて早いもので1年あまり経ちました。こうして純喫茶のことを綴る場所があるというのは大変ありがたいことです。今年度も引き続きよろしくお願い致します。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2017年01月06日思わず赴きたくなる「旅テロ」漫画『乙嫁語り』(森 薫/エンターブレイン)1巻(最新9巻)舞台は19世紀後半。中央アジア周辺の女性たちを描いた作品です。綿密に描かれた家屋や衣装の柄、そして活き活きとした彼らの生活っぷり。読んでいるうちに、自分もすっかり作品の中に入り込んでしまいます。数年前、2カ月ほどトルコで生活をしていたのですが、『乙嫁語り』を読んでいると、その時の記憶が蘇ってきます。特に、家の軒先で近所の人たちが集まってわいわいおしゃべりをしている様子を読むと、小さなホテルに泊まりに行ったときのことを思い出します。みんなで仲良くチャイを飲み、誰に聞いてもなんとなくみんなが応えてくれるので、誰がホテルのスタッフか、最後までわかりませんでした。5分喋れば「友達」、半日一緒にいれば「家族」だと言い出す人たちです。家に誰かを呼んでもてなすことにとてもオープンで、よくお宅に泊めてもらいました。作中でも、主人公であるイギリス人のヘンリー・スミスさんが、いろんなお宅で世話になっています。「ちょっと懐かしい感じがする異文化」に触れられるトルコと日本はもともとモンゴルあたりから広がった、同一民族という説があるらしいです。言語もちょっとだけ似ているし、お茶を好み、白米を食べ、木の家に住んでいるなどの共通点があります。『乙嫁語り』が旅テロに加えて飯テロになるのが、みんなで市場に行き、買い食いをするシーン。ここらのくだりを読むと、トルコのバザールを思い出します。香辛料などの食材をはじめ、コスメやストール、じゅうたん、ランプといったお土産的な商品まで、これらを扱う小さな商店が一カ所に集められ、ありとあらゆるものが売られていました。こうしたバザールは、シルクロードから渡ってきたものを売る場所だったと聞いていますが、日本にも、こうした市場が今でも残っていますよね。アーケードと言うには古くて昭和的で、床はいつでもびしょびしょのコンクリート打ちっ放し。おなかが空いているときに買い物に行くと、ついいらないお総菜まで買ってしまう……それこそ飯テロがいっぱいある場所です。アジアって「ちょっと懐かしい感じがする異文化」って感じがしますよね。作品には、遊牧民族もたくさん出てきます。いつか行ってみたいモンゴルの草原での生活にも近いんだろうな、なんて想像しています。女性たちは嫁入り前にたくさんの布に刺繍を施して、お嫁入り道具を作るのですって。マンガの絵からでも充分に伝わるその美しさに、つい刺繍も始めたくなります。って、今度は刺繍テロ? いや、たぶん針と糸を買ったところで満足する予感がしますけど。強烈な旅テロ作品ですが、登場する20歳の花嫁エミルと、12歳の花婿カルルクさんもステキです。カルルクさん、たった12歳なのにたいへんデキた少年で、完全に犯罪になりそうですが、私も結婚して欲しいです。少年テロ。先日、最新刊が出たのでまた1巻から読み直してトリップしています。ああ、モンゴルでもウズベキスタンでも、トルコでもいい、『乙嫁語り』を彷彿とさせるどこかに行きたい!Text/和久井香菜子
2017年01月04日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。これぞ、厄除けごはん!by 太田みお縁起の良い桃を、牛乳寒天と合わせたデザートです。魔を除ける「赤色」のいちごも添えてさらに運気アップ!【材料】白桃(缶詰)1玉分苺 適宜牛乳 100ml水 150ml粉寒天 2g砂糖 30g1. 小鍋に水と粉寒天を入れ、よくかき混ぜる。火をつけて、2分ほど沸騰させる。お砂糖を加えて煮とかす。2. 火を止めて、牛乳を入れて混ぜたら、バットやタッパーなどの容器に流し入れて、冷蔵庫で固める。3. 切り分けた桃や苺とともに、固まった牛乳寒天も切り分けて盛りつける。食事以外にできる「厄除け」さあ、厄除けごはんを食べて、さらに運気をあげたいあなたのために、厄除けまめ知識です。★ 水まわりと玄関を清潔に保とう!まず、悪い気が入ってこないように、玄関は清潔にすっきりと保つことがとても大切。そして、家の中は、特に水まわりの清潔を保つこと。トイレ、風呂場、洗面台、台所、排水溝や換気扇は掃除を怠らないようにしましょう。これから迎える新しい年が、皆様にとって素晴らしい年となりますように、お祈りしております。Text/太田みお
2016年12月28日第4回:「好き」の距離感今回いただいた「アイドルの追っかけをしています。趣味って基本『おひとりさま』って感じですが、そこから出会える仲間もいたり。」という読者投稿。たしかに、趣味は一人で楽しむことが多い。多趣味ではない私が、自分の趣味を挙げるとすればライブに行くこと。昔から音楽が好きで、多い時は月1でライブハウスへ足を運んだ。現在その頻度は減ったが、ライブに行く時は、ほぼ一人だ。一人で行くのは気楽だ。好きな時に移動できて、好きな時にドリンク交換に行ける。それに、SNSが発展した今、同じ会場にいた人の投稿を見ていると、不思議と一人で行った感じがしない。同じ場所にいた他人と楽しさを共有したような気分になる。そしてそこで感じるのは、好きなものに対して堂々としていることの気持ち良さだ。趣味や嗜好で「本当は好きなのに、そんなに好きじゃないフリをする」という現象に、私は痒くなる。本当はすごく詳しいのに「そんなに詳しくないけどね」と言いながら、内輪では知識を投げ合っている。自分の好きなものを恥じるなよ。堂々と「いや、私は好きだよ」と言えば良いじゃないか!と、熱くなってしまったが、逆に好きなものを周囲に押し付けたり、興味のない知識をおおっぴろげに披露されたりするのも結構うんざりするもので、「ブレないこと」と「空気を読むこと」の境界線をはかるのは簡単じゃない。人や場に合わせてうまくやらなきゃいけない時もある。そうやって「好き」の距離感を見ながら、楽しめるようになってからが本領。一人でライブに行って、誰にも邪魔されず、誰の邪魔もせず、好きなものを好きだと自覚できる時間。そこで人に会ったり会わなかったり、余韻に浸ってラーメン屋に寄ったり、浸りすぎて脇目もふらず家に帰ったり。趣味の醍醐味って人の深みに近い。Design&Text/つめをぬるひとこの連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。
2016年12月26日2016年も終わりに近付き、色々と慌ただしくなる時期ですが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか?忙しいながらも、クリスマスに冬休み、大晦日、元旦と行事も目白押しな楽しい季節でもあります。街のいたる場所では木々が煌びやかな照明でデコレーションされ、思わず寒さに首をすくめ、下を向いて歩きがちな冬の景色を鮮やかに彩ります。有名な観光スポットに出掛けるも良しですが、人気の場所は混雑しているのが難点です。そんな「人混みは苦手、でもクリスマス気分は味わいたい」という方におすすめしたいのは、あたたかい珈琲を頂きながらクリスマスツリーを眺めることのできる「純喫茶 ヒスイ」です。「昭和」を味わえる、美術館のような趣き場所は和歌山県和歌山市駅周辺。私は大阪のなんば駅から南海電鉄の特急サザンに揺られて向かいました。のんびりした街並みを散策するも一興ですが、「建築物としても素晴らしい」という事前情報を頂いていたので、つい早足になって向かってしまいました。緑色の文字で「純喫茶 ヒスイ」と書かれた看板と、まるで洋館のような外観は期待を裏切りませんでした。入口には“自家製生ケーキ付”とコーヒーセットを知らせるボードが。メニューサンプルは色の濃いガラスの向こう側にあり、ぼんやりとしか見えないところも魅力的です。扉を開けて中に入ると、まず視界に入るのは可愛く飾り付けられたクリスマスツリー。隣には貴重な大型のコーヒーミルが並べられています。現在は開放されていませんが、かつては多くの人で賑わったであろう二階へ上がるための階段が。手摺の美しい鉄細工や大きなシャンデリアに目を奪われながら奥へ進むと、思わず言葉を失ってしまうほどの豪華な吹き抜けが現れます。一階席がある右側と、数段下がった半地下の座席がある左側。一本足の椅子は橙色と黒色の2種類があり、座る場所によって見える景色が違うので、どの席にしようかしばし迷ってしまいました。吹き抜け部分にはまるで神殿のような柱が立っていて、頭上には大きな輝くシャンデリアが。ぐるりと360度うっとりする美しさで、時間が止まって、しばらくここに閉じ込められてしまいたいと思うほど。「もともとあった建物を改装したのではなくて、この店を始めるために一から作った。大阪の心斎橋にあった好きだった純喫茶を真似してね」とは、ご高齢ながらもお元気そうなマスターのお言葉。尋常ではないこだわりを感じられる数々の細工が施されたこの素晴らしい空間を、たった珈琲一杯の値段で味わえるなんて…。やはり純喫茶は素晴らしい“昭和美術館”である、と今までに何百回、何千回と感じた思いをまたもや噛み締めるのでした。Text/難波里奈
2016年12月23日ひとり旅なんて、何が楽しいの?by JÉSHOOTS「ひとり旅なんて、何が楽しいの?」と言われたことがあります。したことがない人に説明するのは難しいですが、一口で言えば、おひとり旅と誰かと行く旅は、お寿司とフルコースくらい違います。なんならお寿司とテニスくらい別物かもしれない。私が初めてひとり旅をしたのは、26歳の時です。2週間ほどアメリカの西海岸を回りました。離婚したばかりだったので、まさにセンチメンタル・ジャーニー。今思えば、ぜんぜん旅に慣れていなくて、無事の帰還に感謝、くらいの内容でした。目が腫れて病院に駆け込んだり、怪しげなクラブに連れて行かれて這々の体で帰ってきたり。でもこれが、おひとり旅に目覚めたきっかけとなりました。旅に出るって、普段目にすることのない景色や、予想もつかない常識、文化に触れることだと思います。そうした驚きを目の当たりにしたとき、誰かと一緒なら「すごいね!」「びっくりだよね」と感想を述べ合いますよね。でもひとりだと、それができない。感動を言葉にせずにグッとこらえていると、その風景がじわじわと身体の中に染みこんできます。感動の波が、全身を駆け巡っていくんです。これを声に出して会話にしてしまうと、話す、聞くということに神経を奪われて身体の表面をスッと通り抜けていってしまいます。1人で行動していると、自然に思考が外へ外へと向くようです。旅先の出会いも格段に増えます。普段、人見知りなんで知らない人に声をかけたりとかまずしないんですが、おひとり旅中なら違います。吉野山でなんどかすれ違った人の顔を覚えていて、ふもとのお茶屋さんで「よく会いますね」とか言って一緒にお茶したり。京都霊山護国神社で出会った男子から「運命だ」とか言われたこともあります。そう、うっかりすると新しい出会いまでついてくるかもしれないんです。何かが終わったとき「おひとり旅」のチャンス好きな場所には誰にも気兼ねせずにいつまでも浸っていられるし、物事の吸収具合がぜんぜん違うように思います。例えるなら、友達と一緒に楽しく勉強はできるけど、研究するのには向かない、みたいな。おひとり旅は、自分を研究する旅なんです。以前、探偵の方が言っていたのですが、夫の不倫に悩む妻の相談を受けるとき、ひとり旅を勧めたりするそうです。夫の浮気で頭がいっぱいになって視野が狭くなっていると、よくない対応ばかりしてしまうんだそう。いったん現実から逃れておひとり旅に出ると「ああ、自分のこんなところがいけなかったな」なんて反省したりするんですって。これ、すごくよくわかります。離婚直後の初めてのおひとり旅、見るもの聞くものすべてが新鮮で驚きの連続なのに、誰ともその感動を分かち合えない(SNSとかなかった時代なんで)。グッと飲み込んでいたら、いろんなことを考えて、感極まっちゃってずっとメソメソ泣いていました。反省も、したかもしれない(よく覚えてないけど)。まあ、浮気中の夫は、妻のおひとり旅の最中に大喜びで逢瀬を楽しんじゃうらしいので、行くタイミングは要注意らしいですが。失恋すると、大きな柱を失ったような気持ちになります。身体がぐにゃぐにゃになって、どこへも行けないような気がする……そういう時こそ、おひとり旅です。卒業旅行をするように、何かが終わったとき、終わりそうになって行き詰まってしまったとき、どこでもいいから、ふらりと旅に出てみましょう。新しい出会いかもしれないし、自分の知らなかったことに気付くかもしれない。きっと何かが見つかります。Text/和久井香菜子
2016年12月21日「分かったような分かんないような」作品:つめをぬるひと好きな映画で、「みんな寂しいんだよ。だから『寂しい』って言うのなんて意味ない」というセリフがある。これは「周りも辛いんだからあなたも我慢しなさい」という押しつけではなくて、「さみしい」というごく当たり前の感情に振り回されるなんて、というニュアンスがある。そのセリフに対して相手は「分かったような分かんないような」と返す。さみしさに深入りしすぎて「どうして自分だけ」みたいになってしまうこと(「この世で自分が一番可哀想」が一番可哀想に見えない仕組み)や、逆に、何事もなかったように無理矢理スッキリ楽しいフリをすること(SNSでコメントしようがなく「とりあえずいいね」をさせてしまう現象)は、周囲の反応を困らせ、さらにさみしさを増長させているように見える。冒頭の映画のセリフは、そのどちらでもない。さみしさを肯定も否定もせず、ごく当たり前に誰もが持ってる感情として扱う。「どうせ帰れっつっても帰らないんでしょ」と、しばらくそのへんで好きにさせておけば、「さみしさ」は知らないうちに帰ってる。そういう付き合い方もある。そして、実際はそう、うまくいかないこともあるのが現実。たしかに、分かったような分かんないような。Design&Text/つめをぬるひと※連載「誰に見せるでもない爪」より、出張コラムです。特集「さみしさは敵か」もあわせてご覧ください!・美しいさみしさの奥にあるグロテスクな本音と向き合う・閉じこもってた3年…認められると人ってこんなに変われるんだ!/『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』作者・永田カビさん
2016年12月19日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。by 太田みお【4cm型11個分】冷凍パイシート 2枚りんご 1個バター 30g砂糖 大さじ2シナモン 小さじ1レモン汁 大さじ11. りんごは8等分にして皮をむいて芯をとり、小さな面をスライスしていく。2. 鍋にりんご、バター、シナモン、砂糖、レモン汁を入れて、火にかけ混ぜながら、水分が出てりんごが柔らかくくたっとするまで煮る。3. 冷凍パイシートはラップで挟んで綿棒でのばし、最適な大きさに切り抜き、焼き型に敷く。そのなかに2のりんごのフィリングをスプーンで入れる。4. 200℃のオーブンで15分焼いてできあがり。Text/太田みお
2016年12月14日第3回:寂しさで賑わいを見せる「結婚期間を終えて『おひとりさま』になってから1年が経った」という読者投稿をいただいた。私は結婚をしたことはないが、今年の夏頃まで1年半ほど「おひとりさま」の時期があった。その最初のクリスマス。仕事を終えた私は、帰りに駅前のコンビニに寄った。そこにあった小さめのクリスマスケーキを見て、素直に美味しそうだと思った。昨今のコンビニスイーツはどれも目を引くものが多く、侮れない。尚かつ、クリスマス。つい気分が上がり、ケーキ買おう! ついでにチキンも! と、後先考えずにクリスマスの定番品を買って帰宅。しかし、わくわくしたのも束の間。私はそれらを食しながら気付いてしまった。あ、分かった! これ寂しい! やってしまった! あーすごいすごい! 寂しい!こうハッキリ寂しいと分かると、可笑しく思えてくるもので、「寂しい」という感情が部屋の装飾になったような、滑稽な気持ちになった。そこから学んだことは、寂しい時は寂しいとハッキリ認めてしまうことだ。その1年はいろんなことをやらかしたが、無かったことにするべきではない。というよりも、自分の中ではどうやったって無かったことにはならない。周囲に声を荒げて言う必要もないが、認めるということを忘れてはいけない。素直にケーキを買っちゃう自分のことも、寂しいと認めた上で労ってあげるのが大事で(ここが大事。寂しくない、平気だ、と自分に嘘をついたんじゃ不健康極まりない)、そんな自分に最適なご褒美をあげられるのもまた、自分だ。もうすぐクリスマス。なんでもない普通の日として過ごすのも良いが、自分にご褒美をあげる日として過ごすのも良いのではないか。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年12月12日皆さんが純喫茶で過ごす時間は、だいたいどのくらいでしょうか?長居するように思われる私ですが、実は平均して30分程です。店内にいる時は、たいてい何もせずひたすらぼんやりして過ごすことが多いので、一杯の珈琲をゆっくりと飲み干した頃合いで、自然に立ち上がり店内を後にすることが常です。しかし、それは「ある場合」を除いてのこと。というのは、好みの漫画が本棚に多数並んでいた時は、つい時間を忘れて過ごしてしまうこともしばしば。例えば、ここのところ頻繁に足を運んでいる、練馬駅にある「アンデス」などがそうです。地下鉄大江戸線から、地上にあがってすぐ目の前。30秒もかからずに行けるので、雨の日や風の日にも心強い存在です。一面が広い窓に囲まれている、二階にある店内には、日中は光が差し込み、夜も信号の灯りに照らされた通行人たちを眺めることができる、開放的な空間です。窓と反対側の壁をぐるりと囲む棚には、漫画や雑誌、小説など様々なジャンルの本が天井に届くほど高く積まれています。まるでここは大人の図書館のようで、好きな漫画を片っ端から読んでも通い続けたくなる楽しみがあるのです。私が好んで読むのは、純喫茶の定番である「ゴルゴ13」や「黄昏流星群」「人間交差点」など。豊富なメニューの中には、東京ではなかなかお目にかかれない“鉄板ナポリタン”もあるので、空腹時に訪れたいところです。ただし、混雑する昼時は鉄板が足りなくなるため、普通のお皿で提供されるのでご注意を。他にも気になるメニュー名として「日焼けパフェ」に「シェフマリオ」などが。通常のチョコレートパフェは白いバニラのアイスクリームが乗っていますが、日焼けパフェにはいったいどんなアイスクリームが…?何が出てくるのかは、注文してからのお楽しみに。「アンデス」という店名から分かるように山登りがお好きだというマスター。「ここでガツンと儲けて、いつかはアンデスへ旅をしたいってずっと思っていてね。でもきっとずっとここで働くのだろうなあ」と冗談を交えながら、優しい顔で笑います。実はこちらの鉄板ナポリタンを有名にしたのは、漫画家のあだち充先生。今でもたまにいらっしゃるそうで、店内にはお店宛に描かれた絵も飾られています。絵の横には『コーヒーとナポリタンは注文すれば出て来たが、作品のアイデアは「アンデス」のメニューに無かった…』と思わずくすりと笑ってしまう一言。訪れた時には探してみることをお薦めします。Text/難波里奈
2016年12月09日育児に仕事にと忙しい毎日を送るママたちですが、1人で楽しむ趣味はあるのでしょうか。調査をしたところ、隙間時間を上手に使って趣味を楽しんでいるのがわかりました。中には、ママらしからぬ趣味を楽しんでいる人も。やはりたまには息抜きが必要ですよね。Q.1人で楽しむ趣味、ある?1.ある 62.1%2.ない 28.9%3.わからない・どちらとも言えない 8.9%60%以上の人がなんらかの趣味があることがわかりました。子どもが小さいうちは趣味どころじゃないという人もいるようです。さらに働いていると自分の時間はどんどん削られていくことに。■出産後ハンドメイドに目覚める人が急増中保育園や幼稚園などに通うようになると、子どもの巾着袋や手さげバッグを作る機会があります。それを機に手作りにハマる人が急増中。作ったものは実際に使えるので一石二鳥になります。さらに没頭できることでストレス発散や達成感を味わえます。プチ稼ぎにつながることも。「ハンドメイドです。今は息子の冬の帽子を作っています。先日は娘のピアノ発表会の衣装を作りました。買うと高いので、作ると安上がりだし、何より楽しいです」(北海道 40代女性)「編み物してます。子育てもパートの仕事も家事も忙しいのですが、悩み事や考え事をせずに没頭できる趣味があってよかったと思っています」(埼玉県 40代女性)「ミシンが趣味になりました!子供の服を作り始めて、中古のロックミシンも購入。布代もかかるけど、出来上がったときの達成感がすごくいい!」(埼玉県 30代女性)「トールペイントとエコクラフト。子供たちを寝かせてから夜中にしていました。今は教室を開いています」(神奈川県 40代女性)■ちょっとした不摂生が楽しい!ママといえば、子どものために早起きして朝昼晩のご飯を準備したりと規則正しい生活をしていることが多いです。だからこそ、不摂生だったりちょっとジャンクだったりするものに癒されることも。「ひとり酒」(宮崎県 40代女性)「深夜のカラオケフリータイム。数百円でドリンク飲み放題、持ち込み自由なので定額でストレス発散」(千葉県 40代女性)「ネットカフェで過ごす。家にいると皿洗いや片付けをはじめてしまうからダメ。狭いブースは思いのほかくつろげます。食べ物も冷凍食品を温めただけだとしても、他人が用意してくれる食事のありがたみは大きいです」(神奈川県 30代女性)■自分の時間がなさすぎて大爆発趣味をする時間とまではいかなくても、自分の時間すらないとやはりイライラが大爆発してしまいます。爆発する前に、夫や祖父母に協力してもらってひとり時間の確保をしましょう。「つい先日、このことで夫婦ゲンカをしました。子ども3人、パートもしていて私には自分の時間なんて皆無です。先日息子の1人が骨折、通院やら習い事の送迎が増えて私のスケジュールはそれこそ分刻みに。それでも生活スタイルを変えない旦那についに大噴火してやりました」(千葉県 40代女性)Q.1人で楽しむ趣味、ある?アンケート回答数:5218件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2016年12月02日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。(c)太田みお余ったハーブを束ねる。コツは、長いものを奥に、短いものを手前に。今回は、ローズマリー、タイム、そして家にあったドライフラワーを少しアクセントに加えました。束ねたら、麻ひもやリボンできつめに縛り、根元の茎の長さをはさみで切りそろえればできあがり。
2016年11月30日第2回:「飽き」からの脱却先日、髪を切ったときのはなし。ここ数年はボブで過ごしているので、また昔みたいに伸ばしてみようと思っていた。「肩あたりで我慢できなくなるんですけどね」と美容師に軽口をたたいたその数分後、「すみません、やっぱりそこ切っちゃっていいです」と言ってしまったのだ。結局ボブ。我慢する気がない。やっぱりこれが好き。某サランラップのCMさながらに店を後にした。その日、私は無性にパスタが食べたくて、どこでもいいから食べられるお店を探していたのに、気づいたらうどん屋に入っていた。うどんが好きで、年がら年中食べているにも関わらずに、だ。さらに食後は大満足しちゃって、もうパスタのことなどどうでもよくなっていた。この”うどんマインド“から脱却するために、私は衝動的にぶどうを買った。「美味しい。なんでもっと早く食べなかったんだろう」普段、家であまりフルーツを食べない私にとって、朝から一粒一粒ぶどうを食べるこの幸福感は、些細なようで大きい発見だった。しかし、後日スーパーに行ったら、旬は終わって値上がりしており、脳内の旬も終了した。「飽き」は安心感の裏返しでもあるので、脱却するにはそれなりの意志が必要だ。気持ちがあるうちにやっておかないと機会を逃すし、自分にとって何が一番しっくりくるかを再認識することもできる。ひとえに「一つのものが好き」と言っても、変化を望まずあーだこーだと文句を垂れている人より、好きなものの範疇外を知っている人のほうが、言動に説得力がある。飽きから脱却するための意志や芯の強さを感じるからだろうか。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年11月28日ひとり焼肉が楽しめるお店『ニクアザブ』のおひとりさま人気の秘訣は、お肉一切れからでも注文できるシステムや、店員さんたちとのトークと焼肉を楽しめるカウンターにあり。半分の量を半額で頼むこともでき、平日は5時まで営業していて0時以降の入店も可能なので、女性ひとりでも仕事帰りにふらりと立ち寄れるのが◎です。その居心地の良さから、最近では女性の常連客も多いのだとか。一切冷凍なし、新鮮なA4ランク以上の黒毛和牛もちろん、お肉にも並々ならぬこだわりがあります。なんとA4ランク以上の黒毛和牛がメイン! 日本中のブランド肉が集まる芝浦市場から毎日仕入れる新鮮なホルモンも必食です。一切冷凍していないさばかれたばかりのお肉が届くので、さっとあぶるだけでOKなお肉もあり、ジューシーでフレッシュな肉汁の滴りをたっぷり堪能できます。さらに、スタッフが開発したタレも要チェック! 10種類以上に及ぶタレは素材や味付けにこだわり抜いた一級品です。これだけ味にバリエーションがあれば、どんなお肉を食べても飽きません。味の変化を楽しみながら、最高の焼肉時間を過ごしましょう!取材・文/萩原かおり店舗情報店名:ニクアザブ 六本木店TEL・予約:03-5411-2929住所:東京都港区六本木4−10−7 2Fアクセス:都営大江戸線・東京メトロ日比谷線「六本木」駅出口6から50m営業時間:平日 18:00~翌5:00(L.O.翌4:30)日祝 18:00〜翌3:00(L.O.翌2:30)定休日:年中無休
2016年11月26日「いつも純喫茶では何を注文しますか?」「必ず食べるメニューを教えて下さい」という質問をたまにいただきます。だいたいの場合、店の看板メニューともいえる珈琲は注文しますが、食べ物のメニューに関してはその日の気分によってまちまちです。ケチャップたっぷりの熱々ナポリタンやマスターこだわりのスパイシーなカレー、ふんわり卵で巻かれたオムライス、冷たいアイスクリームと美しい色合いのソーダ水を交互に楽しむクリームソーダ、レトロな飾り付けにうっとりときめくプリンアラモードなどなど。純喫茶へ行く度にどちらを食べようか迷ってしまうので、胃袋がいくつあっても足りない…と思ってしまうほど。そんな豊富な純喫茶メニューに迷ってしまった時、よく注文していたのは「ホットケーキ」です。誰もが幼い頃に一度は食べたことのあるような、懐かしく親しみのある味。そして、運ばれてきた時の見た目になんともいえない幸せな気持ちになるところも、私が心惹かれるだけでなく、多くの人から人気がある秘密ではないでしょうか。綺麗なまんまるも、少しいびつな形も愛おしい…。今回は、誰かと一緒に分け合って食べたくなる、ホットケーキのある店を紹介します。錦糸町の南口から歩くこと数分。夜になるとネオンが輝き出す街並みの一角にあり、長い間近隣の人たちを癒してきたであろう純喫茶「ニット」です。今ではすっかり名物になった、驚くほど分厚くて美しいホットケーキを求めて、遠方からもたくさんの人がやって来るそうです。注文してから運ばれてくるまで約20分。もし誰かと一緒ならば、銀色のトレイで提供される太麺を使用した、ナポリタンも一緒にいかがでしょうか。他に、少し変わったメニューとして、かに雑炊やおにぎりセットなどもあります。表面カリッと中はふわふわ、美しいホットケーキ白いシャツと黒いパンツの制服に身を包み、素敵な声でもてなして下さる感じの良いボーイさん。彼が運んでくれるホットケーキは本当に美しくて、何度見ても思わず感嘆の声をあげてしまうほど。セルクル(形)に入れられてじっくり焼かれたホットケーキは、表面はカリッとしていて、その厚さにも関わらず中はふんわり。最初はバターだけで味わい、その後にシロップ(こちらでは透明のもの)を好きなだけ染み込ませて。焼き立てのホットケーキみたいに艶やかで、素敵な洋服をお召しのママさんは、品があっていつもにこやか。閉店間際にはレジにいらっしゃることも多いので、ホットケーキやナポリタンの美味しさの秘密について、伺ってみるのはいかがでしょうか?Text/難波里奈
2016年11月25日手に届きそうで届かない…眩しすぎる少年(c)Unsplash少女マンガは、めちゃくちゃおおざっぱに分類すると、「胸キュン恋愛系」と「そうじゃない系」に分かれます(ホントにおおざっぱだった!)。そうじゃない系には、ドロドロ、ノンフィクション、ミステリ、問題提起などがありますね。胸キュン恋愛系は、もう最初っから“くっつく”ことがわかってる男女がヤキモキしながら、女子が2ページに1回キュンキュンしたり、単行本1冊ほとんど泣いてたりする、そんな感じ。10ページ使って、ぽつりぽつりとポエムを詠んだりすることも。人気タレントを起用して映画になるのもこのタイプが多いです。少女漫画が好きな人でも、この「胸キュン恋愛系」と「そうじゃない系」とに分かれるように思います。しかも、胸キュン系が好きだった純粋な女子も、そのうち「あ、こりゃファンタジーなんだな」とか気付いたりして、そうじゃない系好きに移行したりします。ところがこの『溺れるナイフ』は「胸キュン恋愛系」でもありながら「そうじゃない系」の要素もたくさんあるんです。人間のどろっとした暗く汚い部分もありながら、でもドロドロ系というほど徹底してもいなくて、全体としてはポップです。適度に笑いもあって、暗くもキュンキュンにもなりすぎない。退廃的で、少女マンガにしては暴力シーンが多い。読んでいると、心がザクザクと切り刻まれるような思いがします。そしてラスト。たった一言のセリフで幕を閉じるのですが、それだけでいろんな想像をかき立てられます。たった一言で、人間の20年、30年が表現できるなんて。『溺れるナイフ』というタイトルもいいですよね。ナイフとは、夏芽のことなのか、コウちゃんのことなのか。確かに、ナイフは水につけたら溺れそうです。鋭利なナイフも、水の中なら怖くないかもしれない。コウちゃんに溺れて無力化してしまう夏芽のことなのか、世間という海に溺れているコウちゃんのことなのか。もしこのタイトルが「田舎で出会ったコウちゃんを好きになった」とか「大好きなコウちゃんはなかなか振り向かない」といったタイトルだったら、もっと中身はわかりやすかったはずです。タイトルからして「うぅむ」とうならせられます。『溺れるナイフ』はすごい作品なんです。ほんとうに。Text/和久井香菜子
2016年11月22日働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。(c)太田みお↑今回使った調味料。国産の材料を使った天然醸造の醤油や、圧搾しぼりのごま油、自然の塩など、選べるならばこだわりたいところです。
2016年11月16日なんとなく爪を塗ったら「つめさん」になった転機と転機の間。誰かと出会い別れてから、また、出会うまでの間。その間に生じる一人の時間は「自分のためだけの時間」とは限らない。私は前職をやめた次の日に、それまで全く興味のなかった「爪に色を塗る」ということをはじめた。その後、今の会社で働きながら、あくまで趣味としてつけ爪を作るようになり、とりあえず分かりやすいから、というだけで「つめをぬるひと」という名前をつけた。その後、一人になるタイミングがあって、より一層自分の活動と向き合うことになった。ただただ、やりたいことに奔走した数年間。人に爪を塗る企画を開催したり、Dommune(ライブストリーミングサイト)の番組内容を爪に描く“Dommune爪”をはじめたり。その奔走がなければ、今現在の活動や、周囲にいる人には会えなかった。「初回だから自己紹介にしたほうがいいだろうか」と、さっそく駄文を書いてしまっているこのコラムだって、その奔走がなければなかったお話。転機と転機の間に生じる一人の時間は、自分のためだけのように見えて、実は意外なところで次の転機に作用し、誰かと共有する時間になることがある。少なくとも、なんとなくはじめた爪塗りで、「つめさん」と呼ばれるようになった人は実在する。この連載では、爪作家である私が、読者のみなさんが「どんなおひとりさまか?」をヒントに爪をつくります。あなたのエピソードを添えて、送ってください。Design&Text/つめをぬるひと
2016年11月14日好きなものがなくなってしまうことは、とても寂しいことです。もちろん純喫茶もその例外ではなく、「閉店」を知る瞬間は幾度となくやりきれない気持ちに。閉店の理由はいくつかあり、例えば、店主の高齢化、建物の老朽化、後継者の不在、お客さんの減少など…。どんなにその純喫茶を好きでいても、店主が下した「閉店」という決心はなかなか変えられるものではありません。それならば、せめて営業している時に少しでも多く足を運び、「珈琲、美味しかったです」「ここのサンドイッチが食べたくて一日を頑張れました」「今日もお元気そうで何よりです」など、マスターやママと言葉を交わしたい。そして、お店を続けて下さっていることへの感謝とその店が好きだという気持ちを素直に伝えられたならと思いました。そんな思いを込めて、今回はぜひ皆さんに訪れて頂きたい純喫茶を紹介します。日本を代表する金融商品取引所として、日本経済の成長に貢献してきた東京証券取引所。近くには、かつてスーツ姿のサラリーマンたちがひとときの憩いを求めてひっきりなしにやってくる純喫茶がありました。場所は兜町。東証の向かいで今も営業を続けている「may」という店です。時代の流れとともに技術が発達し、作業がコンピュータ化された結果、今ではmayの扉を開ける人もめっきり少なくなってしまったそうです。かつては、決して広くない店内に4人の女性アルバイトが忙しく働き、毎日やってくる常連客の顔と好きな席を把握しては、切り盛りしていたのだとか。前の賑わいはなくなりましたが、昭和の時代に、働くサラリーマンたちを見守り続けてきた老舗は今も訪れる人たちをほっとさせる空間です。歴史を感じるあたたかみのある店内と、カウンターの奥にいらっしゃる白い髭をたくわえた穏やかなマスターとやさしいママが出迎えてくれます。店の扉を開けて、すぐ注目してほしいのは、入口近くの左側の棚にある給水器。年月を重ね、鈍く光る銀色の大きな容器はどこか懐かしく、思わず見とれてしまいます。カウンター後ろの棚には、長い間大事にされてきた食器たちが美しく並べられています。こちらでぜひ注文して頂きたいのは「チャンポン」というメニュー。その昔、まだカフェオレというものが一般的でなかった頃からこの界隈で親しまれていた、珈琲を牛乳で割ったものです。細長いカップも珍しく、ぽってりとした手触りが癖になります。窓の向こう側に流れていたという川に思いを馳せながら、マスターとの会話を楽しみ、ゆっくりと過ごしてみるのはいかがでしょうか。営業は11/30(水)まで。訪れた方へ素敵な時間をお約束します。Text/難波里奈
2016年11月11日皆さんは何かを集めることがお好きでしょうか?私は年を経るごとに物を集めることは少なくなりましたが、かれこれ10年ほど、訪れた純喫茶の思い出を『純喫茶コレクション』というブログにマイペースに綴っています。ブログを開設する際に「訪問した喫茶店の記録を自分のために、後から見返して色々なことを思い出せるように、まとめていこう。タイトルは、『喫茶店コレクション』でも良いけれど、特別な思いを込めて『純喫茶コレクション』にしよう」と考えたのでした。ブログ名にある『純喫茶』は、一般的に言われる「アルコールを出さず珈琲を出すことを生業としている喫茶店」という解釈に加えて、私の考えるゆるやかな定義の「昭和の時代から今に至るまで、長い間たくさんの人たちに愛されている喫茶店」という意味を含め、「私は『純』粋に『喫茶』店が大好きである」という強い気持ちを込めて名付けました。このブログでは、純喫茶の内装、そこで食べたもの、マスターとの会話など訪問した時の記録を主に残していますが、実は形として残るものも集めていて、今もとても大切にしています。それは「マッチ」です。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2016年10月28日あっという間に2016年も残り数か月となりましたが、皆さまは年初に目標を立てていましたか?私は自分に対して「1日1純喫茶」を課しました。こちらは文字通り、「必ず1日に1軒以上どちらかの純喫茶に寄る」ことを指します。現在までは無事に遂行しており、この記事がアップされる頃には恐らく、340軒程訪問済みとなっているはずです。毎日飽きもせず、様々な純喫茶を巡って過ごしているのですが、平日は会社員ゆえの制限時間があるため、基本的には業務後の夜にしか出掛けられません。本当は遠くの街へ赴き、気分転換をしたいと思っても、翌日のことを考えるとせいぜい片道1時間以内の移動が現実的です。幸い職場のある駅はどの方面にもアクセスが良いため、毎朝満員電車に揺られながら頭の中で路線図を広げて、帰り道に寄る純喫茶を考えることがささやかな楽しみです。今回は平日に行ける場所の中で、最も現実逃避の気分が味わえる浅草の純喫茶のことを。浅草は独特の雰囲気があるためか、地下から地上に出ると、空気が紅く染まったような錯覚を覚えます。平日でも観光客たちで賑わう雷門を通り過ぎて、歩くこと数分。「純喫茶マウンテン」という店が見えてきます。店名に「純喫茶」と付けられているのが今では貴重で嬉しくなります。難波里奈『純喫茶、あの味』難波さんの新刊『純喫茶、あの味』にご興味がある方はこちらから!
2016年10月14日合コンなどでは必ずといっていいほど、趣味の話題があがります。趣味によってはあならの魅力をもっと見せられますし、気になる彼と共通の趣味があれば一緒に出かける口実になるため、大事なポイントでもあるのです。では、男性が好む女性の趣味とはどんなものなのでしょうか。■1.定番中の定番!「料理」モテる女性の趣味として定番中の定番なのが「料理」です。料理が趣味と聞いて嫌な顔をする男性はほぼいないといえます。家庭的なイメージが沸いて好印象ですし、「手料理を食べてみたいなあ~」と大いに期待してしまうでしょう。また、料理をする女性は単純にかわいらしく見えるので、さらにポイントアップになります。ただし料理が趣味といっても上手くなければあまり効果はありません。料理が下手だとせっかくの好印象を下げることになってしまうためです。■2.ライブにも誘いやすい「音楽」音楽が趣味の場合、音楽好きの男性から見ればそれだけでポイントが高いものです。もし音楽のジャンルや好きなアーティストが一緒ならそれだけでかなり親近感を持たれますし、ライブなどのイベントに誘ってもらえる確率も高くなります。あなたに気がある男性からすれば、デートの誘い文句にできるため好都合でしょう。ただし、ひとくちに音楽といっても、そのジャンルはさまざま。まったく違うジャンルのファン同士だとあまり盛り上がらないので、当たりはずれは大きいといえます。■3.知性を感じさせる「読書」読書が趣味の女性は、知性があって大人びた女性だと思われてモテやすいです。静かに読書をしている女性の姿には気品を感じるものですし、そこに女性らしさを感じる男性も多いもの。ですから、本を読むしぐさ自体も人気なのです。また、おだやかでおとなしい印象もあってか、男性は本を読む女性を見ると守ってあげたいと思うこともあるのだとか。読書が趣味の男性となら、本の話題で盛り上がることもできますから、仲よくなるきっかけづくりも簡単です。まずは、よく読まれている人気作を押さえておくといいでしょう。■4.活発さにキュン!「旅行」女性の趣味の中で男性から特にモテるのが旅行です。これから付き合うことになったとき、旅行が趣味ならふたりで出かける機会も多くなりますから、自分たちの時間をより濃密に過ごすことができますよね。男性も、そんなふたりの姿をつい想像してしまうんだとか。また、そのアクティブさから活発で明るい女性という印象づけもできますし、旅行先でさまざまな経験を積んでいることから、視野が広くおおらかな人というイメージにもなります。彼に“ふたりの旅行イメージ”を想像させられると良いですね。■モテる女性の趣味もいろいろこのように、男性が好きな女性の趣味には一貫した特徴はなく、いろいろなジャンルに分かれています。中でもポイントは、「女性らしさ、女性の性格の良さを感じるもの」や「一緒に出かける口実になるもの」であるといえるでしょう。(なな/ライター)(ハウコレ編集部)
2016年10月04日「一番美味しい〇〇がある純喫茶を教えてください」このような活動をしていると、多く聞かれる質問の1つです。「この方にとって美味しいものとはどのようなものだろう?」と考え、あらゆる純喫茶のメニューを次々に思い浮かべていくのは楽しいと同時にとても悩ましいことです。味覚というのは千差万別で、私がいくら美味しいと思っていても一緒に食べたり飲んだりしている人が同じように感激しているかどうかは、本当のところ分からないのですから。しかし、分からないのであればせめて自分が自信を持って美味しいと思える店を薦めてみて、残念ながらそちらが好みでなかったなら、また違う店を薦めてみれば良いのだ、と思うようになりました。例えば、東京の美味しい珈琲について尋ねられた時には、まっさきにこの店をお知らせすることにしています。名前は「神田伯剌西爾」。といっても所在地は神保町です。書泉グランデというとても好きな書店の横道にあり、橙色のひさしを掲げ、階段を降りた地下にある店です。店内は2つの空間に分かれ、入口から見て右側は禁煙席、左側は喫煙席となっています。右側の個室のような空間は、曜日や時間帯によって貸切ができるのも嬉しいところ。左側の広めの空間には囲炉裏もあり、どこか和の懐かしい雰囲気を感じながら、淹れたての美味しい珈琲をいただけます。「珈琲は好きだけれど、そんなに詳しいわけではない…」そんな方は多いと思いますが 私もそうで、初めて入る純喫茶ではだいたい「ブレンドコーヒー」を注文します。こちらのメニュー表は、豆の名前の横に苦味と酸味の目安が分かりやすく記されているため、好みの味を選びやすいのですが、酸味があまり得意ではなく苦味と甘みのある味をお好みでしたら、是非一度「ペルーチャンチャマイヨ」というまるで呪文のように片仮名が並んだ珈琲を飲んでいただきたいです。こちらを薦めるとほとんどの方が「美味しい」と気に入ってくれる、私も大好きな珈琲です。珈琲だけでは口さみしい時のために、美味しいケーキも充実しています。私が良く注文するのは、「サンマルク」か「コニャックショコラ」。どちらも程良い甘さで珈琲が進んでしまうので、思わずお代わりをしたくなります。ついついあたたかい珈琲ばかり注文してしまうのですが、こちらのアイスコーヒーには通常のガムシロップの他に、コーヒー専用の茶色いシロップの2種類のシロップが提供されます。他ではあまりない珍しいものですので、冷たいものを飲みたい気分の時には、ぜひアイスコーヒーもいかがでしょうか?Text/難波里奈
2016年09月30日以前、イベントでご一緒したホットケーキ研究家のトミヤマユキコさん(著作に『パンケーキ・ノート』等)が興味深い話をして下さいました。それは「ホットケーキの美味しい店は、火加減の上手な店だから、タマゴサンドなどの卵を使用した料理も美味しいところが多い」という話。聞いた瞬間に「なるほど!」と思わず膝を打ったものでした。確かに言われてみると、今まで訪れたホットケーキを名物とする店では、タマゴサンドも同じように人気メニューであるとマスターたちから聞いたことがあったのを思い出したのです。例えば、休日になると開店前から行列が出来る人気店、東京・平井の「ワンモア」。「カク1!」「マル2!」(※「カク」はフレンチトースト、「マル」はホットケーキを指します)など威勢の良い注文の声がひっきりなしに飛び交い、その暗号のような言葉の間に「タマゴサンド1!」という注文も多く挟まれていたのです。また、メニューにホットケーキはありませんが、ジャンボで美味しいプリンが有名な虎の門「ヘッケルン」もマスターの気まぐれによって食べることが出来る幻のメニュー、ふわふわ熱々のオムレツサンドも夢のように美味しいのです。今回ご紹介する大阪・東梅田にある「サンシャイン」も例外ではありませんでした。駅構内を出ることなくたどり着ける純喫茶は、雨の日や暑い夏に重宝します。東梅田駅の改札からすぐ、しかし初めての方には少し分かりにくい場所にあるにも関わらず、常に満席が続く人気店です。ご家族で営業されていて、扉を開けた瞬間に「いらっしゃーい」とにこやかに迎えて下さるアットホームな雰囲気にほっとします。空いている席に腰掛け、名物のホットケーキを食べようと決めながらも何となくメニューを眺めていたところ、視界に入り気になってしまったオムそばに注文を変更しました。この時、冒頭のトミヤマさんの言葉がぱっと浮かんだのでした。「これも美味しいに違いない」。期待しながら待つこと数分。ボリュームのある焼きそばをくるりと包んでいる卵焼きは、向こう側がうっすらと見える程の絶妙な薄さ。当たり前のように運ばれてきた皿の中に見えたのは1日にたくさんの卵を焼き続けているからこそ出来る職人の技。その卵の薄さは焼きそばの香ばしさを邪魔せず、黙々と口に運んでしまう美味しさのバランスを作り出しているのです。そして、最初は断念したはずのホットケーキですが、せっかくの旅先で食べずに帰るのはもったいないと自分に言い訳をして、結局ふわふわの分厚いホットケーキも注文し、大満足で店を出るのでした。Text/難波里奈
2016年09月16日