伊勢丹新宿店では、2022年7月13日~26日まで、本館4階 センターパーク/ザ・ステージ#4にて<noguchi/ノグチ>のポップアップストアを開催いたします。伊勢丹新宿店でも長年愛されている<ノグチ>。独立した美しさの探求よりも、普段のコーディネートの一部になるジュエリー。<ノグチ>はその人自身の魅力を引き出せるようなモノづくりを目指しています。今回のポップアップでは、ブランド設立時から愛されている商品から新作まで幅広い商品がそろうほか、デザイナー自らが選び抜いたレアストーンやカラーダイヤを使ったブランド初となるセミオーダーイベントも実施いたします。 豊富な組み合わせでご提案する、期間限定のセミオーダーブランド史上最多の色幅のクッションカットダイヤを3種類のリングの幅との組み合わせで、あなただけのジュエリーをお作りいたします。ブランドのシックかつ重厚でありながらも瑞々しいきらめきはそのままに、それぞれのスタイルに合わせたオーダー形式で<ノグチ>をより身近に、ひとりひとりの肌に添わせて。※リングのカラーはイエローゴールド、ホワイトゴールドからお選びいただけます。また、パライバトルマリンやアレキサンドライト等のレアストーンのセミオーダー商品もご用意。市場では手に入りにくい美しい宝石で彩るリングをご紹介いたします。色、艶、照りにこだわり、デザイナー自ら選び抜いたレアストーンを、エレガントさを物語りつつもカジュアルに纏えるようにお留めいたします。<ノグチ> セミオーダーリング 18万7,000円~ブランド設立時から続くデザインも展開装いを引き立てる<ノグチ>のジュエリーは、大人の女性の感性にフィットするアイテム。ジュエリー。やわらかな凸凹感や穏やかな光沢をまとうアイテムが、いつもの普段着にも上品な雰囲気を添え、コーディネートにも自然に溶けこみます。左:<ノグチ> Melee 30万8,000円、中央:<ノグチ> Solitaire 35万2,000円、右:<ノグチ> Tsubu 15万4,000円<noguchi/ノグチ>POP UP 開催概要会期:2022年7月13日(水)~26日(火)会場:伊勢丹新宿店 本館4階 センターパーク/ザ・ステージ#4※価格はすべて税込です。※イベントの内容は、都合により変更または中止となる場合がございます。予めご了承ください。
2022年07月11日東京都美術館で『イサム・ノグチ発見の道』が開かれています。20世紀を代表する芸術家のひとり、イサム・ノグチ(1904-1988)。彫刻だけでなく舞台美術やプロダクトデザイン、造園や作庭など幅広い分野で活躍した人ですが、その内面には多くの葛藤を抱えていました。彼の作品と生涯をご紹介します。どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 210『イサム・ノグチ発見の道』は、彫刻をはじめデザインの分野でも高く評価された芸術家、イサム・ノグチの大型彫刻や光の彫刻など約90件を紹介する展覧会です。展示構成は「第1章 彫刻の宇宙」、「第2章 かろみの世界」、「第3章 石の庭」と3つのテーマ別に分けられ、章ごとに雰囲気の異なる展示空間が登場。最初のフロアでは、光の彫刻「あかり」150灯による圧巻のインスタレーション作品が出迎えてくれます。展示されている作品は、国内外の美術館や個人コレクションから貸し出されたもので、特に香川県高松市牟礼町にあるイサム・ノグチ庭園美術館からは、同館の開館以降初となる21点もの作品がまとめて出展されています。「彫刻とは何か」を追求し続け、さまざまな葛藤の末に自分の芸術を発見していったノグチ。その芸術活動のエッセンスが凝縮された展覧会です。父には妻子が…イサム・ノグチとは、どんな人だったのでしょう。その人生を振り返ってみます。彼が生まれたのは、アメリカのロサンゼルス。父は詩人の野口米次郎、母はアメリカ人作家で教師のレオニー・ギルモアで、誕生したときすでに父は帰国していました。3歳で母と日本に渡りますが、父にはほかに妻子がいるという複雑な環境。さらに通っていた小学校では、国際児として差別を受けます。日本人としてもアメリカ人としても居場所のないノグチは、孤独感を味わいます。母の方針によりアメリカで教育を受けることになり、14歳で渡米。高校卒業後はコロンビア大学の医学部に進学します。医学生のとき、父の知人で世界的細菌学者の野口英世から芸術家になるよう助言されます。彫刻家の道へ20歳のとき、美術学校の夜間クラスで彫刻を学びはじめると、すぐに才能を認められて大学を中退。医者の道を捨てて彫刻家として活動をはじめます。その後、奨学金を獲得してパリに渡り、著名な彫刻家ブランクーシの助手をしながら石彫を習得。アルベルト・ジャコメッティや藤田嗣治など、当時パリで活躍していた芸術家たちとも交流を深めます。1929年、25歳でアメリカに戻ったあとは、肖像彫刻で収入を得ながら積極的に個展を開催。生活に困窮する時期もありましたが、舞台美術や公園の設計なども手がけ、徐々に成功をおさめていきます。ちなみに、ノグチは若いころから恋愛体質だったようで、31歳のときには著名な画家、ディエゴ・リベラの妻で画家のフリーダ・カーロと大恋愛。しかし、ピストルを持ったリベラに追われて結局カーロと別れた……という逸話も残されています。強制収容所へ…1941年、日本がアメリカと戦争をはじめると、在米の日系人たちは難しい立場に置かれます。ノグチは自ら志願して日系人強制収容所(ボストン戦時強制収容センター)に入所。所内の公園や施設のデザインをしたり、入所者に木工を教えたりします。志願入所にもかかわらず、ノグチが出所しようとしたときには許可がなかなか下りませんでした。「どこにも帰属できない」というノグチの孤独感が、この戦争でさらに深まっていきます。女優と結婚!戦後は抽象的な家具のデザインをはじめるなど、活躍の幅を広げていきます。ノグチは「デザインと彫刻の境目はない」との考えをもっていました。また、日本にも訪れ、建築家の丹下健三や画家の岡本太郎など、さまざまな芸術家と親交。さらに、岐阜に立ち寄ったとき岐阜提灯と出会い、ノグチの有名な照明器具「あかり」の誕生につながります。父親との関係は複雑でしたが、父の祖国である日本の文化はノグチの創造に大きな影響を与えていきます。1951年、女優として活躍していた山口淑子と結婚。日本人でありながら中国人の李香蘭としてデビューし、敗戦時には銃殺刑の危機にさらされるという数奇な人生を歩んでいた山口とノグチの夫婦生活は、世界各地を旅したりフランスに滞在したりと国際色豊かなものでしたが、5年ほどで離婚してしまいます。晩年は各方面で活躍晩年は日米を中心に活躍。日本では、香川県高松市牟礼町にアトリエを構え、地元で代々石屋を営む和泉家の三男、和泉正敏と協働してさまざまな石彫を制作します。アメリカでは、ニューヨークの公共空間に彫刻が常設展示されたり、各大学から名誉博士号を授与されたりするなどいっそう評価が高まり、1985年にはニューヨークにイサム・ノグチ庭園美術館がオープン。83歳のときには、レーガン大統領から国民芸術勲章を授与されました。84歳で心不全により亡くなるまで、彫刻の制作に励んでいたそうです。希望を感じる彫刻子どものころから日米どちらにも帰属できない孤独感に苦しみ、父親との関係も複雑で愛に飢えていたノグチ。さまざまな葛藤を抱えた彼が生み出した作品には、希望と優しさが宿っているように感じられます。特に最後の「第3章 石の庭」では、石本来の美しさとクリエイティブを調和させたノグチ芸術の到達点が展示され、この空間にいるだけで心が洗われるような気持ちになれます。『イサム・ノグチ発見の道』は8月29日まで開催。参考文献:展覧会公式図録『イサム・ノグチ発見の道』取材・文:田代わこInformation会期:~8月29日(日)会場: 東京都美術館企画展示室開室時間: 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)休室日:月曜日※ただし、7月26日(月)、8月2日(月)、8月9日(月・休)は開室観覧料: 日時指定券一般¥1,900、大学生・専門学生¥1,300、高校生以下無料
2021年06月25日20世紀を代表するアーティストイサム・ノグチ。彼は、日本人の父親と米国人の母親を持つち、両国との戦争や、アイデンティティの葛藤に苦しみながらも、生涯に渡って彫刻を追求してきた。彼の足跡をたどる展覧会『イサム・ノグチ発見の道』が8月29日(日)まで開催されている。本展の会場を訪れ、最初に目に入るのはイサム・ノグチが30年以上に渡って取り組んできた光の彫刻、「あかり」を使ったインスタレーション。大小150灯の「あかり」を組み合わせ、15分間隔でゆっくりと点滅を繰り返していく。「あかり」は、ノグチが岐阜県を訪れたときに出会った提灯が発想源となったもの。彼は生涯の間に「あかり」シリーズを200種類以上デザインし、現在も人気の照明として広く流通している。第一章の「あかり」インスタレーション本展ではこの巨大なインスタレーションのほかにも、「あかり」インスタレーションを展示。和紙に通された優しい光が会場を優しく包み込んでいる。第二章の「あかり」インスタレーション展覧会のタイトル「発見の道」は、イサム・ノグチが晩年に制作した石彫作品《発見の道》にちなんだもの。本展では、ノグチが彫刻を始め、独自の石彫に至るまでの長い道のりを3章構成でたどっていくものだ。イサム・ノグチ《発見の道》(1983-84)鹿児島県霧島アートの森蔵(C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713第一章「彫刻の宇宙」は、1940年代から80年代までの主要な作品を「あかり」のインスタレーションとともに展示する。ゆっくりとした光の点滅により、彫刻の見え方が変わっていくところにも注目しよう。イサム・ノグチ《化身》(1947年)(鋳造1972年)イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)(C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713続く第二章「かろみの世界」は、ノグチが作品に取り込もうとした「かろみ(軽み)」に着目した作品が並ぶ。折り紙にインスパイアされ一枚のアルミ板から作り出された彫刻作品や、鮮やかな色の遊具彫刻の数々は、イサム・ノグチが様々な表現に果敢に挑戦していたことを示してくれる。イサム・ノグチ《リス》(1988年)香川県立ミュージアム蔵(C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713参考出品フリーフォームソファ、フリーフォームオットマンちなみに、参考出品されているイサム・ノグチのデザインによるフリーフォームソファとオットマンは、自由に腰掛けることができる。椅子に腰掛け、低い視点から彫刻作品を眺めると、また新しい発見ができるはずだ。そして、最終章「石の庭」は、彼が晩年に精力的に取り組んだ石彫の作品を展示する。ノグチは1964年、香川県牟礼町を訪れ石匠の和泉正敏と、当地の名物である庵治石と出会い、アトリエを構えることとなる。石の持つ美しさを十二分に引き出せる環境のもと、ノグチは石彫作品に精力的に取り組んだ。この章では、これまで彼のアトリエ(イサム家)に設置されていた石彫の一部が初めて美術館で展示される。イサム・ノグチ《無題》(1987)イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)(C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E371イサム・ノグチ《ねじれた柱》(1982-84)イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵(公益財団法人イサム・ノグチ日本財団に永久貸与)(C) 2021 The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum/ARS, NY/JASPAR, Tokyo E3713常に彫刻とは何かを問い続け、果敢に制作に挑んでいったイサム・ノグチ。彼の作り上げた世界を、しっかりと体感してみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『イサム・ノグチ発見の道』4月24日(土)~8月29日(日)、東京都美術館にて開催※日時指定予約制
2021年06月03日20世紀を代表する芸術家イサム・ノグチ。彼の足跡を数々の彫刻や写真、映像などから辿る展覧会「イサム・ノグチ発見の道」が、4月24日(土)から8月29日(日)まで、東京都美術館で開催される。その音声ガイドナビゲーターを務めることになったのが、社会現象を巻き起こしているアニメ「鬼滅の刃」の煉獄杏寿郎役でも知られる、日野聡。そこで音声ガイド収録直後の日野に話を聞いた。ノグチ作品の魅力について、「世界中を渡り歩き、いろいろな経験をされてきた方なので、本当に温かみのある作品が多いなという印象です」と語る日野。さらに「和の要素も多く取り入れつつ作られているので、日本人はよりイサム・ノグチさんの世界に入って行きやすいのではないでしょうか」と続け、「僕個人が非常に気になっているのは、「あかり」という光の彫刻作品です。しかも今回の展覧会では、その中を歩きながら観られる、というのが大きなポイントですよね」と目を輝かせる。そして本展ならではの展示方法がもうひとつ。「ルートが決まっていない、というのもとても面白いなと思いました。観る順番が決まっているわけではなく、自分の観たいところから、自由に楽しむことが出来る。また僕もそのひとりではありましたが、美術館に対してちょっと敷居が高いな、というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思うんです。でもこの展覧会はとても自由に、自然体で楽しんでもらえる空間になっています。ですので、ぜひまったりとした気持ちで、気軽に足を運んでいただければと思います」音声ガイドでは作品の解説はもちろん、ノグチの生い立ちなども紹介。「実際にイサム・ノグチさんと関わってこられた方々が、どう彼を見ていたのか。言葉で表現してくださっているものを、僕が代読させていただいています。そうしてイサム・ノグチさんのお人柄、芸術家としての生きざまに触れることで、僕自身、ものすごくシンパシーを感じて。芸術家の方ってとても高尚な、遠い存在だと思っていましたが、これを機にグッと距離が縮まったような気がします」優しくも芯の強さを感じさせる日野の声は、イサム・ノグチの作品世界に寄り添い、さらに広がりを見せてくれるはずだ。「この音声ガイドを通して、イサム・ノグチさんの芸術家としての在り方、生き方というものを、より多くの方に届けられるよう心がけて収録に臨みました。音声ガイドも併せて、ぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです」取材・文:野上瑠美子
2021年04月21日世界的な芸術家イサム・ノグチの、彫刻家として精髄に迫る展覧会『イサム・ノグチ発見の道』が、4月24日(土)~8月29日(日)まで、東京都美術館にて開催される。その幕開けを前に、オンライン記者会見が行われ、本展の見どころなどが紹介された。彫刻、舞台美術、プロダクトデザインなど、多岐にわたる創作活動は60年にも及んだノグチ。会見では、担当学芸員である中原淳行氏を中心に、3章から成る本展の構成、ポイントとなる作品の紹介、模型を使ったオンラインギャラリーツアーなどが行われた。「第1章 彫刻の宇宙」では、1940年~最晩年となる80年代までの作品を展示。まず目に入るのは、香川県牟礼町の石匠・和泉正敏氏による本格的なサポートが始まった記念碑的作品、《黒い太陽》だ。さらにその先には、ノグチのライフワークであった光の彫刻「あかり」がなんと150灯も吊り下げられ、深呼吸するかのようにゆっくりと点いたり、消えたりを繰り返す。しかもこの「あかり」のインスタレーションは、来館者による撮影も可能。幻想的で“映える”思い出を作ることが出来そうだ。「第2章 かろみの世界」では、“軽さ”をテーマに、折り紙にヒントを得た金属彫刻や、スタンド型の「あかり」などを紹介。またノグチは遊具のデザインにも情熱を傾けており、真紅の遊具彫刻《プレイスカルプチュア》を新規制作し展示する。さらに展示室の一角には、ノグチがデザインしたソファとオットマンが据えられ、ノグチ作品を実際に体感することも出来る。「第3章 石の庭」には、牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館から約10点の石彫を展示。こちらの庭園には、前出した和泉氏と作り上げた晩年の彫刻が多く所蔵されており、和泉氏は「ノグチ先生の石は、すべて命を宿しているように感じます」と語る。ノグチにとって“庭”とは、“小宇宙”に例えられるほど特別な空間。かつての制作拠点であり、彼のエッセンスが凝縮されたこの牟礼の庭園の様子は、展覧会の最後、高精細な映像にて楽しめるようになっている。会見の最後には、ノグチファンのひとりであるサカナクションの山口一郎氏から、「イサム・ノグチの魅力はやはり“体験”。本展のコンセプトも体験ということで非常に楽しみですし、僕もイサム・ノグチの一ファンとして、この展覧会に何度も遊びに行こうと思っています」とのコメントが。同じアーティストである山口氏の言葉は、本展への期待をグッと高めてくれた。会期は2021年4月24日(土)~8月29日(日)で会場は東京都美術館企画展示室で実施。詳細は公式サイトを要確認。取材・文:野上瑠美子
2021年04月01日ロエベ財団と、ロエベ(LOEWE)のクリエイティブ ディレクターであるジョナサン・アンダーソンによる主催で、今年で3回目の開催となるアワード「ロエベ クラフト プライズ2019」のファイナリスト・アーティスト29名による作品展が、東京・赤坂にある草月会館で、6月26日から7月22日まで行われる。現代のクラフトマンシップにおける卓越性、芸術的価値、新しさを称えることを目的として2016年にロエベ ファンデーションによって設立された「ロエベ クラフト プライズ」。今回の全29名のファイナリストは、前年から44%増加した2,500点を超える応募作品の中から、9名の専門家で構成される委員会によって選出された。その内の10名は、日本人がノミネートしており、過去最多数となる。デロス・ウェバー, アメリカ 『Geisha Handbag Series』花こう岩、すす竹 、ラタン、顔料、可変寸法 2016年西川雅典, 日本 『Form of the wind』漆、リネン生地、和紙、錫粉、白金粉、240 x 520 x 850 mm 2018年丹下健三が設計をし1977年に施工した草月会館の1階にあるイサム・ノグチ作の石庭「天国」で行われるファイナリスト作品の展示。その初日の6月26日のオープニングイベントにて、「ロエベ クラフト プライズ2019」のウィナーの結果発表が行われ、優勝者には5万ユーロが授与される。審査員には、ジョナサン・アンダーソンをはじめ、深沢直人、建築家で工業デザイナーのパトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)、エッセイストでロンドン・デザイン・ミュージアム館長のディヤン・スジック(Deyan Sudjic)、ロエベ クラフト プライズ 第2回ウィナーのジェニファー・リー(Jennifer Lee)など、11名で構成される。ロエベ クラフト プライズ審査委員長アナツ・ザバルベアスコアは、「将来コンテンポラリー・クラフトが日常のように語られる時代には、ロエベ ファンデーションのクラフト プライズがそのスキルやレベルの定義となり、クラフトアーティストにとっての指標となることでしょう。第3回ロエベ クラフト プライズの展覧会は、国際レベルのコンテンポラリー・クラフトと、ロエベ ファンデーションが考えるクラフトとは、という姿を証明します」と、選考過程についてコメントしている。【イベント情報】会期:6月26日〜7月22日会場:草月会館住所:東京都港区赤坂7-2-21 1階 草月プラザ 石庭「天国」時間:10:00〜19:00(金曜のみ20時まで)入場無料
2019年06月18日大宮エリーの絵画展「Peace within you(ピース ウィズイン ユー)」が、2019年5月30日(木)から6月15日(土)の期間で、六本木・小山登美夫ギャラリーにて開催される。大宮エリーは、作家業、舞台の作演出、ドラマ・映画監督、映像制作、ラジオのパーソナリティと様々なジャンルの活動を行う人物。絵画制作に関しては2012年からスタートし、これまで東京、青森、福井など様々な地で個展を開催し、好評を博している。「Peace within you」では、大宮の新作ペインティングと、旧作を展示。新作は、香川のイサム・ノグチ庭園美術館にあるノグチの作品『エナジー・ヴォイド』からインスピレーションを得た『イサム・ノグチの手紙』の2点や、瀬戸内の伯方島を描いた『瀬戸内の海、朝5時43分』『瀬戸内の海 夕方5時32分』といった、大宮が2018年に瀬戸内を旅して描いた作品が登場する。なお、絵画展のタイトル「Peace within you」は、『エナジー・ヴォイド』から大宮が感じた、“おだやかで、ちいさな、かけがえのない平和”といったイメージや、友人と宿から瀬戸内海の平らな水面を見て、平和を感じた体験から名づけられたもの。日常の喧噪や慌ただしさで忘れがちな、大切なものを思い出させてくれるような作品が集まる会場にぜひ足を運んでみては。【詳細】絵画展「Peace within you(ピース ウィズイン ユー)」会期:2019年5月30日(木)~6月15日(土)開廊時間:11:00~19:00会場:小山登美夫ギャラリー住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 2階休廊日:日、月曜日および祝日料金:入場無料【問い合わせ先】小山登美夫ギャラリーTEL:03-6434-7225©Ellie Omiya, Courtesy of Tomio Koyama Gallery
2019年05月19日彫刻家のイサム・ノグチと、画家の長谷川三郎、2人の芸術家の交友に焦点を当てた展覧会「イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの」が、2019年1月12日から3月24日まで横浜美術館で開催される。イサム・ノグチ《書》 1957年、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble日米の血を受け継ぎ、洋の東西を越えた世界的視野から芸術を再び人々の生活の中に根付かせようとした彫刻家イサム・ノグチと、画家として戦前日本の抽象美術をリードする一方、理論家として西洋近代美術の潮流と古い日本の芸術文化に通じ、両者の共通項を抽象芸術に見出した長谷川三郎。1950年5月、連合国軍による占領末期の東京でイサム・ノグチと長谷川三郎は出会う。「古い東洋と新しい西洋」の関係に関心を抱いていた2人はすぐさま意気投合し、日本美の本質を見極めるべく、京都、大阪、奈良、伊勢を旅した。同展は、この2人の芸術家の交友に焦点を当て、彼らが何を見、何を考え、何を目指したのかを、ふたりが共に歩んだ1950年代を中心に、ノグチ作品約50点、長谷川作品約70点を通して明らかにしようとするものである。長谷川との旅のあとに制作されたノグチの陶や金属、石の作品、長谷川の墨や拓刷による絵画から、戦後の日本美術が進むべき道を切り拓こうとした彼らのヴィジョンに迫る。イサム・ノグチ《顔皿》 1952年、イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble日本の国公立美術館が所蔵する長谷川の墨、木版、拓刷による代表作が一堂に揃う他、ノグチの石の代表作で、日本で制作され、アメリカで発表された後、長らく門外不出であった《庭の要素》(1958年)や、長谷川の知られざるフォトグラムや渡米後に制作された墨画など、日本初公開作品を多数紹介。絵画、彫刻、版画、写真、墨画など、約120点におよぶ作品を通して、ノグチと長谷川、2人の交友と創作の軌跡を辿る。なお、《庭の要素》(1958年)は、同展にさきがけて2018年11月後半より横浜美術館グランドギャラリーに展示されている。長谷川三郎《無題》 1954年、ティア&マーク・ワッツ・コレクションPhoto: Kevin Nobleまた、ニューヨークのイサム・ノグチ財団・庭園美術館と横浜美術館による共同企画展である同展。出品作の大部分は横浜開催後、ニューヨークのノグチ美術館とサンフランシスコのアジア美術館に巡回されるが、横浜美術館ではこれまで関東地方で紹介される機会の少なかった長谷川三郎の、日本における抽象美術のパイオニアとしての功績を代表する《蝶の軌跡》(1937年)を始めとする抽象作品や写真などを独自に加えて展示。また、近年公開されたノグチの石膏モデル《広島の死者のためのメモリアル》(1951-52年)、同館所蔵のノグチ作品もあわせて紹介する。会期中は、「学芸員によるギャラリートーク」や、「日本美とモダンの接点を求めて・・・展覧会鑑賞と作品制作を通じてノグチと長谷川の神髄に迫る」と題して長谷川が用いた拓本技法による作品制作を体験できるワークショップ、横浜美術館ボランティアが展覧会の見どころをコンパクトに解説する「展覧会・ココがみどころ!」の他、オープニング・リレートークや記念講演会など関連イベントも多数開催予定。また、同展に合わせて2つのカタログが制作される。詳しくは、展覧会ウェブサイトにて。【展覧会情報】イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの会期:2019年1月12日〜3月24日会場:横浜美術館住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1時間:10:00〜18:00(3月2日は20:30まで) ※入館は閉館の30分前まで休館日:木曜日(3月21日は開館)、3月22日料金:一般1,500円(前売1,300円、団体1,400円)、大学・高校生900円(前売700円、団体800円)、中学生600円(前売400円、団体500円)、小学生以下無料、65歳以上1,400円(要証明書、美術館券売所でのみ対応)
2018年12月21日3連休に楽しめるニューなトピックスをまとめてチェック!個性豊かなカレー店が多い「カレーの街」下北沢でカレーフェスが開催、横浜の海辺で100種類のワインとグルメを堪能、イサム・ノグチと岡本太郎の作品を通じて「日本」を再確認etc...連休のお出かけ情報をピックアップしてお届け! ーー今週のお出かけ情報の詳しい内容はこちらからーー
2018年10月05日神奈川の川崎市岡本太郎美術館では、「イサム・ノグチと岡本太郎 ―越境者たちの日本―」を、10月6日から2019年1月14日まで開催する。1954年 イサム・ノグチと岡本太郎 北鎌倉の夢境庵にてイサム・ノグチと岡本太郎は、1950年、日本アヴァンギャルド美術家クラブの主催により東中野のレストラン「モナミ」で開催されたイサム・ノグチの歓迎会において初めて出会った。日米の間で、自己のアイデンティティに関する葛藤と向き合い引き裂かれながらも、彫刻家として世界的に活躍したイサム・ノグチと、青年期の10年間をパリで活躍しながらも大戦の為に日本に戻り、日本の芸術界を異邦人としての眼で見ることができた岡本太郎は、それぞれに欧米で芸術家として活躍し始め、越境者として日本文化を見つめ、新たな表現活動を展開。同世代の2人の個性的な芸術家が日本の美術に触発されて制作した作品は、共に戦後の芸術界に大きな影響を及ぼした。本展は、イサム・ノグチと岡本太郎、世界的に活躍した2人に焦点をあてる展覧会としては初めて開催される。両者それぞれの絵画、彫刻、写真、資料、計約150点を展示し、越境者としての2人が見つめた「日本」をそれぞれの作品を通じて紹介する。関連イベントとして、11月4日の14時から、慶應義塾大学アート・センター教授の渡部葉子を講師に迎えた記念講演会「萬來舎とノグチ・ルーム」、11月25日の14時から、ヴェネツィア・ペギー・グッゲンハイム・コレクション美術館 学芸員のグラジナ・スベリテェを講師に迎えた記念講演会「イサム・ノグチとパリ・ユネスコ庭園(仮題)」を開催。いずれも同館 ガイダンスホールにて、定員70名、無料で行われる。イサム・ノグチと岡本太郎という個性の異なる2人の越境者の作品を通して、「日本」あるいは「日本美」とは何かについて再確認するための機会を、お見逃しなく。【展覧会情報】イサム・ノグチと岡本太郎 ―越境者たちの日本―会期:10月6日〜2019年1月14日会場:川崎市岡本太郎美術館住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)休館日:月曜日(10月8日、12月24日、1月14日を除く)、10月10日、12月25日、12月29日~1月3日料金:一般1,000円(800円) 高校・大学生・65歳以上800円(640円) 中学生以下無料 ※( )内は20名以上の団体料金
2018年09月05日展覧会「イサム・ノグチと岡本太郎 ―越境者たちの日本―」が、神奈川・川崎市岡本太郎美術館で2018年10月6日(土)から2019年1月14日(月祝)まで開催される。イサム・ノグチ&岡本太郎、越境者の視点日米の間で自己の国籍、アイデンティティに関する葛藤と向き合いながらも彫刻家として活躍を見せたイサム・ノグチと、青年期の10年間をパリで過ごした後に大戦の為に日本に戻った岡本太郎は、それぞれ欧米で活躍し、越境者として日本文化を客観的に見つめたアーティスト。日本美術に触発され2人がそれぞれ制作した作品は、いずれも新しく個性的な表現で、戦後の芸術界に大きな影響を与えた。「イサム・ノグチと岡本太郎 ―越境者たちの日本―」では、異なる個性を持った越境者であるイサム・ノグチと岡本太郎、2人の作品など合計約150点の資料を通じて、彼らが捉えた“日本”や“日本美”に迫る。2人を同時に紹介する展覧会は初の試みだ。縄文土器や土偶に着目1950年に出会ったイサム・ノグチと岡本太郎。海外の視点を持ち、日本へ深い関心を持った2人はすぐに打ち解けたという。1950年代当時、2人は異なる日本古来の文化に注目。岡本太郎は従来美的な対象とされていなかった縄文土器に、自身の「縄文土器論」において着目し、イサム・ノグチは古墳時代の埴輪、雪舟、茶道具、そして日本石器時代の土偶に関心を持った。各々の作品から見てとれる、「日本」観の相違を紹介する。芸術と生活両名とも、1950年代初めには芸術と人々の生活の関係について考え、作品を残している。イサム・ノグチは、岐阜提灯の造形に魅了されて奔放なフォルムが目に留まる《あかり》シリーズを生み出し、剣持勇との協働による《コーヒー・テーブル》《スツール》を制作。北大路魯山人の陶房では、様々な陶の作品も作っている。岡本太郎も陶による作品制作に着手し、《坐ることを拒否する椅子》や《ひもの椅子》、《光る彫刻》、《顔のグラス》などの作品を残した。1950年代中頃に発生した「伝統論争」を経て、1960年代には新たな表現形式の「日本美」を作り出していく。岡本太郎の《明日の神話》や、《愛》といった強烈な個性を放つ作品も、1960年代に作られたものだ。芸術の破壊と保存また、イサム・ノグチが建築家・谷口吉郎と協働で制作した慶應義塾大学構内のスペース萬來舎(ノグチ・ルーム)を、新校舎建設に伴い移設した事例と、岡本太郎による旧東京都庁《日の壁》の陶板壁画の取り壊しの事例を紹介。作り手や鑑賞者の意図に反し、作品が損なわれた事例を通して、芸術の保存と破壊について考察する。“芸術と人と場”空間の創出さらに、2人に共通して重要な創作上のテーマだったといえる、“芸術と人と場”にもフォーカス。イサム・ノグチは、彫刻と人間とを包み込む場としての庭、あるいはプレイグラウンドに興味を持ち、庭や空間の設計も行う。抽象芸術と身体の関係の重要性に気付いた岡本太郎は、作品の中に人が入っていく場として、《マミ会館》や《太陽の塔》などの総合的芸術空間を創出した。開催概要イサム・ノグチと岡本太郎 ―越境者たちの日本―会期:2018年10月6日(土)~2019年1月14日(月祝)会場:川崎市岡本太郎美術館住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5時間:9:30~17:00(入館16:30まで)休館日:月曜日(10月8日、12月24日、1月14日を除く)、10月10日(水)、12月25日(火)、12月29日(土)~2019年1月3日(木)観覧料:一般 1,000(800)円、高校・大学生・65歳以上 800(640)円※中学生以下無料、()内は20名以上の団体料金
2018年09月03日今週末、7月14日から16日の3連休に楽しめるニューなトピックスをまとめてチェック!今週末開催のイベントや、アート界の巨匠の作品を楽しめる展覧会、ブランドの歴史を辿る展示など...今週末のお出かけ情報をピックアップしてお届け!!今週末開催のイベント◆横浜赤レンガで朝活フェス、世界の朝食レストラン出店や野菜のマルシェも(〜7/16)◆第2回紙博 in 京都の開催が決定! 作り手の情熱あふれる紙雑貨や文房具が集結(7/14、15)巨匠の作品に触れる◆イサム・ノグチ国内では12年振りの回顧展が東京オペラシティで開催、国内外の約80点を展示(7/14〜9/24)イサム・ノグチ《北京ドローイング(横たわる男)》 1930年 インク、紙 イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Kevin Noble.◆モネの絵画の魅力を様々な切り口で紹介「モネ それからの100年」開催! 日本初公開作品も(7/14〜9/24)クロード・モネ 「睡蓮」1906年吉野石膏株式会社(山形美術館に寄託)ブランドの歴史を辿る◆ルイ・ヴィトンの軌跡をたどる「TIME CAPSULE」展が大阪で開催(7/14〜8/1)◆ロンドンで開催されたアナ スイの「THE WORLD OF ANNA SUI」展が六本木に上陸(7/14〜8/26)猫好き必見◆没後50年となる藤田嗣治の挿絵を紹介する展覧会がクレマチスの丘で開催、猫作品のテーマ展示も(前期: ~8/21、後期: 8/23~10/30)藤田嗣治 1928年頃 撮影:アンドレ・ケルテスullstein bild / Uniphoto Press◆横浜赤レンガ倉庫にねこ写真500点が集結! 「横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展2018」が開催決定(〜7/17)©阪靖之
2018年07月13日東京オペラシティ アートギャラリーでは、イサム・ノグチ没後30年を記念した回顧展「イサム・ノグチ ─彫刻から身体・庭へ─」展を、7月14日から9月24日まで開催する。イサム・ノグチのポートレイト©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Jack Mitchell.イサム・ノグチは、詩人・野口米次郎とアメリカ人の母親のもとに生まれ、世界文化を横断しながら生き、彫刻を始め舞台美術や家具、照明器具「あかり」のデザイン、陶芸、庭、ランドスケープ・デザインまで、幅広い巨人的な制作を行った。同展では、ノグチの作品と身体性への問いを軸に、海外・国内の80余点で活動の全容を紹介する。ノグチが抽象彫刻の分野にあっても常に「身体」を意識し続けたことや、そうした意識が、子供のための遊具デザインやランドスケープといった人間をとりまく環境へ向かい、ノグチ自身がいう「空間の彫刻」=庭園への情熱に拡大していったことに着目。ノグチの領域横断的な活動の拡がりにも様々な角度から光を当て、歴史や伝統と向き合い、生活や社会を含めたノグチの総合的ビジョンを明らかにする。イサム・ノグチ《北京ドローイング(横たわる男)》 1930年 インク、紙 イサム・ノグチ庭園美術館(ニューヨーク)蔵 ©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Kevin Noble.構成は全4章。「第1章 身体との対話」では、身体性への問いかけがノグチの制作において重要であったことを、彫刻やドローイング、舞台美術など、主に初期の作品を通して紹介する。若き日に北京で描いた毛筆による身体ドローイング「北京ドローイング」は、国内初の試みとして8点の作品を一堂に展示する。ノグチは、戦後の1950年に来日して以降、日本の暮らしや伝統、歴史や社会と向き合いながら、建築家の谷口吉郎、陶芸家の北大路魯山人ら多くの芸術家たちと交流し、新たな制作に取り組んだ。そして彫刻のみならず、家具や照明のデザイン、建築インテリア、庭園などジャンルを超えた多彩な活動に結実。「第2章 日本との再会」では、ノグチが日本との再会を果たした1950年代の活動から、社会や生活の中に彫刻として機能する作品を生み出そうとしたノグチの総合的なビジョンを紹介する。イサム・ノグチ《あかり》デザイン 1953年〜 紙、竹、金属 香川県立ミュージアム蔵「第3章 空間の彫刻─庭へ」では、最晩年に至るまで長く手掛けられた庭や公園、ランドスケープなど、大地を素材とする「彫刻」作品を紹介。ノグチの地球環境的規模の作品の構想はごく早くから始まっていたが、1960年代以降、多くのプロジェクトを実現させた。ノグチの庭の仕事は「彫刻」を「大地」に結びつける試みであり、同時にそれは、重力によって大地に縛りつけられた人間の「身体」と向き合うことでもあった。日本庭園にみる静寂な佇まいに人々の憩う空間を創出した《チェイス・マンハッタン銀行プラザのための沈床園》など、大地と地形を読む、地球環境的規模で考えられた作品を模型、資料、撮り下ろし動画で立体的に紹介する。「第4章 自然との交感─石の彫刻」では、ノグチの後半生を代表する、大理石よりも硬い玄武岩、花崗岩などによる峻厳な石の彫刻を紹介。シンプルなフォルムを基本に、ときに自然のままの石の表情をたたえた作品群は、従来の彫刻の概念を超えている。石はノグチにとって、たんに自分の求める形を実現するための素材ではなく、地球の悠久の歴史や自然の摂理を語る根源的な物質だった。そこに、大地に刻まれた「時間」に人を誘う深い魅力を感じとり、石の彫刻は庭の仕事と両輪となって、人間の心と身体を改めて大地にしっかりと結びつけ、空間や時間へと広げて思索する、大らかで豊かな作品世界を実現させた。イサム・ノグチ《アーケイック》1981年 玄武岩 香川県立ミュージアム蔵©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York / Artist Rights Society [ARS] - JASPAR. Photo by Akira Takahashi.関連イベントとして、開催記念トーク「コラボレーターが語るノグチの制作の現場と“未来への贈り物”」を開催。石彫家の和泉正敏、建築家のショージ・サダオ、聞き手に同展監修者の新見隆を迎えて、7月14日の13時から新宿パークタワーホールにて行われる。事前申し込みはリビングデザインセンターOZONE ホームページ()受付フォームより、定員200名、一般参加費は1,000円。世界市民として生きたノグチの制作に焦点をあてる、国内12年振りとなる本格的な回顧展にぜひ足を運んでみては。【展覧会情報】イサム・ノグチ ─彫刻から身体・庭へ─会期:7月14日〜9月24日会場:東京オペラシティ アートギャラリー住所:東京都新宿区西新宿3-20-2時間:11:00〜19:00、金・土曜日11:00〜20:00(入場は閉館30分前まで)料金:一般1,400円(1,200円) 大学生・高校生1,000円(800円) 中学生以下無料 ※同時開催「収蔵品展063 うつろうかたちー寺田コレクションの抽象」、「project N 72 木村彩子」の入場料を含む。( )内は15名以上の団体料金、閉館の1時間前より半額、65歳以上半額、障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料、割引の併用および入場料の払い戻し不可休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月5日
2018年07月11日展覧会「イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─」が、2018年7月14日(土)から9月24日(月)まで東京オペラシティ アートギャラリーにて開催される。イサム・ノグチ国内12年ぶりの回顧展20世紀を代表する芸術家のイサム・ノグチは、2018年で没後30年を迎える。詩人・野口米次郎とアメリカ人の母親の間に生まれ世界文化を横断しながら生き、彫刻をはじめ、舞台美術や家具、照明器具のデザイン、陶芸、庭、ランドスケープ・デザインまで、幅広い制作活動に取り組んだ。国内で12年ぶりの本格的な回顧展となる「イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─」では、国内外の80点超の作品を通して、イサム・ノグチ芸術の全容に迫る。特に、抽象彫刻の分野で制作を行う中で、ノグチが意識し続けた「身体」と、その意識から派生した「空間の彫刻」すなわち庭園への情熱に焦点を当て、作品を紹介する。身体性への問いノグチの制作活動において重視されていた「身体性」への問いかけは、彫刻、ドローイング、舞台美術など、初期の作品から既に表れている。20代前半の時に20世紀彫刻の開拓者であるコンスタンティン・ブランクーシに師事し、抽象的な造形を学んだノグチは、20代半ばで身体素描の大作《北京ドローイング》の数々を手掛ける。《北京ドローイング》では、毛筆と墨によって身体のボリュームやエネルギー、運動感覚をダイナミックに描き出し、力強く表現。制作の根本に身体性への問いかけを常に持つノグチ芸術の出発点ともいえる作品だ。「イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─」では、国内初の試みとして、8点の作品を一堂に展示する。日本との再会&日常の中の彫刻ノグチは、戦後1950年に来日すると、日本の暮らしや伝統、歴史、社会に向き合いながら、建築家の谷口吉郎、陶芸家の北大路魯山人ら多くの芸術家と交流。彫刻作品だけではなく、家具、照明デザイン、建築インテリア、庭園など社会や生活の中で機能する作品にも目を向け、より多彩な制作活動に取り組むようになる。来日早々、谷口吉郎と協力し手掛けたのが、慶應義塾大学の《萬來舎》。《萬來舎》は、建築、インテリア、工芸、彫刻、庭を含む総合的な造形空間であり、慶應義塾で長く教鞭を執った父・野口米次郎の記念室および、戦没学生のモニュメントとして機能した。また、岐阜県の伝統的な灯篭に着想を得た光の彫刻《あかり》もデザイン。現在も照明器具として愛される《あかり》からは、生活と芸術の繋がりを追求したノグチの普遍性を読み取ることができる。身体と大地ノグチは最晩年に至るまで、庭、公園、ランドスケープなど、“大地”を素材とする作品を制作。庭に関わる制作活動は、「彫刻」を「大地」に結びつける試みであり、同時に重力によって大地に縛り付けられた人間の「身体」と向き合うことでもあった。日本庭園から着想を得た《チェイス・マンハッタン銀行プラザのための沈床園》は、その静寂な佇まいによって人々が憩うことができる空間を創出した作品だ。また、ノグチの後半生を代表する、玄武岩や花崗岩を使った石の彫刻作品の数々にも注目したい。ノグチは、地球の歴史や自然の摂理を物語る物質として石と向き合い、石の彫刻作品を通して、人間の心・身体と大地の関係性を、空間や時間の視点から問いかけている。《アーケイック》や《空間のうねり#2》など、シンプルながらもエネルギッシュな表情の作品を残した。詳細イサム・ノグチ ─ 彫刻から身体・庭へ ─Isamu Noguchi: from sculpture to body and garden期間:2018年7月14日(土)~9月24日(月)会場:東京オペラシティ アートギャラリー(3Fギャラリー1, 2)住所:東京都新宿区西新宿3-20-2開館時間:11:00~19:00(金・土は11:00~20:00/いずれも最終入場は閉館30分前まで)休館日:月曜日(但し祝日の場合翌火曜日)、8月5日(日・全館休館日)入場料:一般 1,400(1,200)円、大学・高校生 1,000(800)円 ※中学生以下無料※同時開催「収蔵品展063 うつろうかたち ─ 寺田コレクションの抽象」、「project N 72 木村彩子」の入場料も含む。収蔵品展入場券200円(割引は無し)もあり。※()内は15名以上の団体料金、障害者手帳をお持ちの方および付添1名は無料。※Arts友の会会員は無料(会員の提示必須)。※割引の併用および払い戻し不可。【問い合わせ先】ハローダイヤルTEL:03-5777-8600
2018年06月24日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週火曜日は、東京・南青山に店舗を構えるビジュアル洋書店、嶋田洋書(東京都港区南青山5-5-25T-PLACE1階A103)がオススメする1冊を毎週紹介。■「VITRA: EVERYTHING IS CONNECTED」フロリアン・ベーム(Florian Bohm)、アナヒータ・カマーリー(Annahita Kamali)本書は、1950年にスイスで創業した家具ブランド「ヴィトラ(VITRA)」のプロダクトデザインや関連人物などを、写真を中心に構成したビジュアルブック。20世紀から今までヴィトラ社に関わってきた人物のポートレート、家具の写真や広告、スナップショット、スケッチなどを約300ページにわたって収録。イームズ夫妻、アレキサンダー・ジラルド、柳宗理、ノグチ・イサム、ジョージ・ネルソン、はたまた現代アーティストのブルース・ナウマンやヘラ・ヨンゲリウスら、ヴィトラ社とゆかりのあるデザイナーの作品も掲載している。「イームズ ラウンジチェア」のようなアイコン的なプロダクトの変遷なども、美しいビジュアルイメージの数々を通して見ることができる、インスピレーションを刺激される一冊。ヴィトラ社のプロモーションフィルムを制作したこともあるデザイナーのフロリアン・ベームとアナヒータ・カマーリーが書籍デザイン、編集を手掛けた。【書籍情報】「VITRA: EVERYTHING IS CONNECTED」著者:フロリアン・ベーム、アナヒータ・カマーリー出版社:GESTALTEN言語:英語ソフトカバー/304ページ/250×190mm発刊:2014年価格:5,530円
2014年12月09日「ロエベ(LOEWE)」は9月26日、ウィメンズコレクションを発表した。ジョナサン・アンダーソンによるファーストウィメンズの発表の場となったのはイサム・ノグチが作庭したパリ ユネスコ庭園。アンフィニッシュなレザーパーツをボディに数ポイントで留めたレザードレスからスタート。このテクニックがコレクションを象徴する。このデザインはバッグにも応用され、歩くたびに揺れる。動くことで完成するとの意図だ。レザーだけでなく布帛にも登場し、ブラックボディにカラフルな布の端切れが刺繍されたドレスも。このランダム感は途中で規則性を失う編み込みレザーのシリーズにも拡大。一見普通だが、一部に施されたデザインアクセントがそのルックに大きなインパクトをもたらす。スカートは右ウエストに袋状の造形が作られ、ベルト付きのパンツはフロントのベルトループが排除され、わざとベルトが下がるようにデザイン。どこまでもウィットが利いていて見ていて面白い。その感覚がとてもアンダーソンらしい。レザー以外ではローシルク、コットン、リネンといった質感のあるプリミティブな素材を用い、エアリーな雰囲気をプラス。アンダーソンらしいシルエットにお腹の開きやフロントのみのトップスなどシュールなデイテールは健在。太いシューズのヒールは先日発表された「JW.アンダーソン」にもつながる。若干30歳のデザイナーらしく、プロモーションも現代的だ。15SSキャンペンビジュアルはパリファッションウィーク中に街頭に掲げられ、コレクションの一部のアイテムはECで販売がスタートしている。
2014年09月29日世界的に活躍する彫刻家のイサム・ノグチの母親の辿った波乱に満ちた人生を描いた『レオニー』がまもなく公開となる。監督を務めたのは、アルツハイマー症を患った女性のドラマを描いた『ユキエ』、『折り梅』が、劇場公開後に口コミで広がりを見せ、いまなお各地で自主上映会が開かれるなど、人々の心に静かに訴えかける佳作を世に送り出してきた松井久子。日米合作で製作された本作について、そして“天才”イサム・ノグチの原点である母・レオニーという女性について松井監督が口を開いた。まず、イサム・ノグチその人ではなく、“母親”に焦点を当てた理由について、監督はこう説明する。「イサム・ノグチや彼の父親(※詩人の野口米次郎)はすごく有名なのに、彼女のドラマティックな人生が、どうして誰にも知られることなく歴史に埋もれてしまったのかと思いました。もちろんいままで映画にもなっていませんでしたから。イサム・ノグチの母であり、ドラマティックな人生を歩んできたレオニー・ギルモアという人物を、同じ女性として世に送り出さなければ!という気持ちが強かったです」。映画の中にもノグチ・イサムが残した作品が登場する。エンディングの舞台となるモエレ沼公園(札幌市)もそのひとつ。「映像化契約を結んだ後、初めて公園を訪れました。札幌の青い空と公園の緑、イサム・ノグチさんが選んだ石や道の白の素晴らしいコントラストに目を奪われました。雄大な素晴らしい風景でした。これをレオニーが見たら『我が息子は本当に素晴らしいものを作った』と、どんなに充足するだろうと思ったのを覚えています。シナリオを書く前でしたが、そのときにここをエンディングにしよう!と迷わず決めました」。ほかにも劇中に様々な芸術作品が見られるが「私の趣味です(笑)。ひとつひとつに特に深い意味はありません」と監督は笑う。ちなみに松井監督が特に好きな、イサム・ノグチの作品は「高松のイサムノグチ庭園美術館にある“エナジーボイド”という作品」だそう。「かなり大きな石の彫刻なのですが、見る角度によって全然違う見方ができます。昔からイサム・ノグチさんの光の彫刻“あかり”が好きで、自分で買ったりもしていました。イサム・ノグチさんのことはフリーダ・カーロの本で知りました。その本には『恋人だった』と書かれていたので、恋多き男でもあったのかなと(笑)」。レオニー役のエミリー・モーティマーに米次郎役・中村獅童をはじめ、キャスト・スタッフに日米の人材が集められた本作。その中で苦労した点は?「大変だったのは資金集めです(笑)。この使い捨ての時代、映画もただの商売道具になってしまっているように思えるいま、時代を超えて観ることのできる映画があるべきでは?と6年訴え続けてきた結果、幸運なことに作品を完成させることができました。周りから反対されればされるほど闘志がわいてきましたよ(笑)。使命感もわいてきましたし。自分で自分の可能性を狭めることだけはしてほしくないと思います。嬉しかったのは、7年かかってやっと映画が完成して…英語もほとんど話せない私が、世界中の国の人たちと一緒に仕事が出来たことです」。ちなみに11月17日はノグチ・イサムの誕生日。これに合わせて映画の公式サイトでは、レオニーとイサム・ノグチの生涯の軌跡をたどるをコンテンツ「『レオニー』オリジナル年表」を展開中。映画の世界観さながらに、母から子へと受け継がれる歴史を堪能することができる。母の辿った道のりの何が不世出の天才彫刻家を育て上げるきっかけとなったのか――。映画と合わせて彼女の歩みを辿ってみては?『レオニー』公式サイト■関連作品:レオニー 2010年11月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© レオニーパートナーズ合同会社
2010年11月17日