ハーゲンダッツジャパン株式会社が、人気商品のクリスピーサンド『キャラメルクラシック』を、さらに美味しくリニューアルして、2017年6月6日(火)より発売。さらに同日より、新フレーバー『エスプレッソマキアート~マスカルポーネ仕立て~』『抹茶クリームあずき』を期間限定で発売開始。クリスピーサンド『キャラメルクラシック』「キャラメルクラシック」の魅力である、キャラメルの濃厚な味わいのアイスクリームと、パリッとしたキャラメルコーティング、サクッとしたウエハースの3つのバランスを追求し、さらに美味しくなって登場。ポイント① 濃厚でコクのある味わいのキャラメルアイスクリームキャラメルの濃厚な味わいをより感じられるように、従来のものよりキャラメルの量を増量。また、発酵バターを使用することで、全体のコクがより感じられるようになった。ポイント② ビターでキレのある後味のキャラメルコーティングココアバターの配合量を増やすことで、くちどけをよりよくし、パリッとした食感を実現。コーティングの後味がすっと切れるようになったことで、食べたときのバランスが格段にアップ。クリスピーサンド『抹茶クリームあずき』クリスピーサンド“初”となる、あずき(こしあんソース)を使用した新フレーバー。抹茶の苦みにこしあんのやさしい味わいで、絶妙な和モダンスイーツに仕上がっている。こだわり①こしあんソースの隠し味に黒糖蜜こしあんソースの隠し味に黒糖蜜を入れることで、こしあんの甘さと抹茶のほどよい苦味をまとめあげている。こだわり②濃厚で香り高い抹茶コーティングより抹茶の香りを感じてもらえるように、甘み、香り、口どけがよく、甘さがすっきり出る抹茶を使用。クリスピーサンド『エスプレッソマキアート~マスカルポーネ仕立て~』コーヒーと相性が良い濃厚な味わいのマスカルポーネチーズを使用したアイスクリームに、すっきりとした苦味のエスプレッソソースを加え、濃厚なのにすっきりとした夏にぴったりなクリスピーサンド。こだわり①ほろ苦さがアクセントのエスプレッソソースエスプレッソソースには、風味豊かでほろ苦さが特長のモカビーンズを使用し、鼻抜けする香りが楽しめる。こだわり②芳醇な香りを追求したコーティング&ウエハースコーティングにはコーヒーパウダーを加え、食べる時にふわっとコーヒーの芳醇な香りが楽しめる。ウエハースにココアを加えることで、芳醇な香りとビターな味わいのサクサクした食感に仕上がっている。『キャラメルクラシック』サンプリングイベント開催クリスピーサンド『キャラメルクラシック』のリニューアルを記念して、2017年6月1日(木)、2日(金)の2日間に、渋谷モディにてサンプリングイベントを実施。当日は、イケメン外国人が扮する「キャラメル男子」が、顎クイや壁ドンなど女性がキュンとする男性の仕草をしながら『キャラメルクラシック』をサンプリングする。開催概要【日時】2017年6月1日(木)15:00~20:002017年6月2日(金)11:00~19:00※無くなり次第、終了となります。【場所】東京都渋谷区神南1-21-3 渋谷MODI 店頭スペース【配布個数】ハーゲンダッツ クリスピーサンド キャラメルクラシック 10,000個配布予定(2日間合計)製品概要ハーゲンダッツ クリスピーサンド 抹茶クリームあずき(左)【種類別】 アイスクリーム【内容量】 60ml【価格】 希望小売価格:272円(税抜)【発売日】 2017年6月6日(火)より期間限定ハーゲンダッツ クリスピーサンド キャラメルクラシック(中央)【種類別】 アイスクリーム【内容量】 60ml【価格】 希望小売価格:272円(税抜)【発売日】 2017年6月6日(火)ハーゲンダッツ クリスピーサンド エスプレッソマキアート~マスカルポーネ仕立て~(右)【種類別】 アイスクリーム【内容量】 60ml【価格】 希望小売価格:272円(税抜)【発売日】 2017年6月6日(火)より期間限定
2017年05月30日オリンピック・ムーブメントの推進を目的に、オリンピック映像とフルオーケストラの競演で贈る「オリンピックコンサート」が今年も開催される。例年、極上の音楽と、試合のみならず、選手の練習風景や、家族や仲間、ライバルとの絆を映し出す映像のコラボレーションで、大きな感動を呼ぶステージだ。メダリストをはじめとするオリンピアンや、今後のオリンピック出場が期待される注目選手も参加するほか、ゲストアーティストの歌唱も話題のひとつだが、今年は新妻聖子と中川晃教の出演が発表されている。5月10日、新妻と、6年連続でナビゲーターを務める俳優・藤本隆宏が取材会でコンサートについて、そしてオリンピックの魅力について語った。チケット情報はこちら自身、競泳選手としてソウル、バルセロナの2大会に出場している藤本は「当時は本当にオリンピックがすべてでした。もちろん勝ち負けは大事でしたが、それだけでなく、応援してくださる方に恩返しがしたい、喜んでもらいたいという思いでスポーツをやってきた」と現役時代を振り返る。オリンピックコンサートは、「そんな自分の過去のオリンピック経験も思い出しながら、毎回、感動の嵐。結果ではなくその過程が一番大事なんです。お客さまも涙を流されている方が多い、本当に素敵なコンサート」とのこと。一方で、現在その類まれな歌唱力を武器にミュージカルを中心に活躍している新妻は「自分は歌のオリンピックを目指して今に至るので、スポーツは応援する側」だそうだが、「でも“ミュージカルはスポーツだ”と言われたことがある。それは目標に向かってコツコツと努力し、体調管理をし、練習がそのまま結果として表れるという点がスポーツと共通しているということだと思います。アスリートの皆さんの闘う姿勢や真摯な思いにいつも勇気を頂き、自分も頑張らなきゃと思っています」と、オリンピズムと自身のアーティスト活動との共通点を語る。ちなみに新妻は今回の出演オファーを受け「ついに来た!」と思ったとのことで、「おそらく今日本で活動しているボーカリストはみんな、2020年の東京オリンピックが決まったときに、何らかの形でそこに携われたらという夢を抱いたと思う」と話し、「もし開会式に出させていただけるのなら、前日でもいいのでご連絡をいただければ(笑)」とアピールも。新妻が「世界中に紛争はあり、政治的には対立している国でも、スポーツというフィルターを通してフェアなステージに立つ。そのメッセージはとても大事であり、それをスポーツは一番パワフルに打ち出せる」とその意義を語れば、藤本も「オリンピックは勝ち負けじゃない。唯一、世界中の人が集まり、手と手を取り合う平和の祭典。オリンピックの素晴らしさをひとりでも多くの方にわかってもらえるよう、私も発信していきたい」と話した。2018年平昌、そして2020年東京へと盛り上がっていくオリンピック・ムーブメント。この機会にその意義や価値にも目をむけてみては。「オリンピックコンサート2017」は6月9日(金)に東京国際フォーラム ホールAで開催される。
2017年05月24日世界的テノール歌手、ホセ・カレーラスの来日公演が決定した。「ホセ・カレーラス テノール・リサイタル」のチケット情報カレーラスは、1950年代から現在までに世界の名門歌劇場でのオペラ公演やコンサートで活躍を続けてきたテノール歌手。キャリア絶頂期の1987年に白血病と診断されるも、闘病生活を経て奇跡的に復活。1990年代にはプラシド・ドミンゴ、ルチアーノ・パヴァロッティとともに「三大テノール」として活動し、1990年のサッカーW杯の前夜祭をはじめ、様々なビッグイベントでコンサートを行うなど、世界的な人気を獲得してきた。今年の日本公演は、東京・大阪の2都市で開催予定。東京公演は「いとしいひと」と題したリサイタル。プログラムの全貌は未定だが、近年のリサイタルのメインレパートリーであるイタリア歌曲などが中心となりそうだ。約10年ぶりのリサイタルとなる大阪では、クリスマスにちなんだ耳なじみのある聖なる歌の数々を披露。ステージから放たれる圧倒的なオーラ、年齢を重ねるごとに円熟味を増すエレガントな歌声が今年も日本のファンを魅了するだろう。ホセ・カレーラス テノール・リサイタルは、東京公演が11月18日(土)にサントリーホールで、大阪公演が11月21日(火)にザ・シンフォニーホールで開催。ともにチケットの一般発売は6月10日(土)より開始となる。また一般発売に先駆けて、チケットぴあでは先行販売(先着順)を実施。東京公演は5月23日(火)より6月10日(土)まで、大阪公演は5月22日(月)より5月30日(火)まで受付。
2017年05月22日映画『アマデウス』の全編上映とオーケストラの生演奏を組み合わせ、欧米で人気を呼んでいるライブ「アマデウスLIVE~ムービー・オン・クラシック」が、今年11月に日本初上陸することが決定した。「アマデウスLIVE ~ムービー・オン・クラシック」のチケット情報天才モーツァルトの波乱に満ちた人生と、その才能に嫉妬心を燃やすエリート作曲家サリエリの苦悩をドラマチックに描いた映画『アマデウス』。1985年のアカデミー賞で8部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・脚色賞・美術賞・衣装デザイン賞・メイクアップ賞・録音賞)を受賞し、“史上最高の音楽映画”とも呼ばれている。この名作とオーケストラがコラボした迫力満点のライブが「アマデウスLIVE」だ。2016年秋にロンドンで初演され、瞬く間に大評判。「オペラより華麗!コンサートよりドラマチック!」と絶賛され、パリやプラハほかヨーロッパ主要都市での公演はチケット入手困難なほどの人気を呼んでいる。待望の日本初上陸の公演は、11月4日(土)・5日(日)に東京・オーチャードホール、11月11日(土)・12日(日)に兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールで開催。チケットは、東京・兵庫公演ともにチケットぴあで先行販売を受付中。《公演情報》アマデウスLIVE ~ムービー・オン・クラシック(英語上映/日本語字幕付き)東京公演:11/4(土)・5(日) オーチャードホール兵庫公演:11/11(土)・12(日) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
2017年05月16日“世界最高峰のオーケストラ”ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、首席指揮者・芸術監督サイモン・ラトルとのコンビで、今年11月に東京・川崎公演を行うことが決定した。「ベルリン・フィル来日公演」のチケット情報2016年5月にサントリーホールで行ったベートーヴェン交響曲ツィクルス(全曲演奏)に続く今回は、ラトルが同ポストで来日する最後の日本公演となる(2018年に任期満了で退任)。2002年にベルリン・フィルの首席指揮者・芸術監督に就任して以来、“世界最高峰のオーケストラ”の能力を最大限に引き出すアプローチ、演奏レパートリーの拡大や教育プロジェクトの実施など、その手腕を存分に発揮してきたラトル。11月の来日公演では、これまでの在任期間を振り返るようなベストレパートリーを披露する。15年にわたって蜜月を築き上げてきた偉大なるマエストロと世界最高峰のオーケストラの集大成に期待が高まる。さらに1公演のみ、ソリストとして現代ピアノ界のスーパースター、ラン・ランが出演するのも注目だ。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演は、11月23日(木・祝)にミューザ川崎シンフォニーホール、11月24日(金)・25日(土)にサントリーホールで開催。チケットの一般発売は5月27日(土)より開始。また、チケットぴあでは一般発売に先駆け、5月13日(土)より東京公演、5月18日(木)より川崎公演の先行販売を実施する。◆TDKオーケストラコンサート2017ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演指揮 サイモン・ラトル【日程・会場】11月23日(木・祝) ミューザ川崎シンフォニーホール [プログラム(1)]11月24日(金) サントリーホール 大ホール [プログラム(2)]11月25日(土) サントリーホール 大ホール [プログラム(1)]【出演】ピアノ:ラン・ラン(※11月24日のみ出演)【演奏曲目】<プログラム(1)>ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)陳銀淑(チン・ウンスク):新作 (タイトル未定/ベルリン・フィル委嘱 2017年秋ベルリンにて世界初演予定)ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44<プログラム(2)>R.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」 Op.20バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 ト長調 Sz.95 (ピアノ:ラン・ラン)ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98
2017年05月12日6月9日(金)東京・東京国際フォーラム ホールAで開催される「オリンピックコンサート2017」の追加出演アスリート/オリンピアンが発表された。【チケット情報はこちら】出演が決まったのは、小平奈緒(スケート・スピードスケート)、大野将平(柔道)、張本智和(卓球)、敷根崇裕(フェンシング)、荻原健司(スキー・ノルディック複合)、荻原次晴(スキー・ノルディック複合)の6名。オリンピックコンサートは、日本オリンピック委員会(JOC)が主催し、1997年からスタート。オリンピックの競技映像と壮大なシンフォニーオーケストラの共演や、アスリート、オリンピアンたちによるトークが楽しめるコンサートとして、毎年人気を博している。チケットは発売中。■オリンピックコンサート2017日時:6月9日(金)開場18:00 / 開演19:00会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)
2017年05月11日ゴールデンウィーク恒例のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」が、今週5月4日(木・祝)から東京国際フォーラムほかで開催される。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2017」のチケット情報フランス・ナントで誕生した「ラ・フォル・ジュルネ」は、世界中から2,000人以上のアーティストが集結し、朝から晩まで複数のホールでコンサートを繰り広げる、まるでロックフェスのような音楽祭。一流の演奏が1公演・約45分、チケットは1,500円からのリーズナブル価格で味わえる。小学生以下はもちろん、0歳児から鑑賞できるコンサートがあるほか、屋内外での無料イベントも催され、老若男女だれもが気軽に楽しめるのが人気のポイントだ。2005年の日本初開催から昨年までの総来場者数は700万人以上を数え、いまや日本のみならず世界有数の大規模のフェスへと成長を遂げた。今年は「ラ・ダンス舞曲の祭典」をテーマに、3日間で約350公演を開催(うち有料は122公演)。宮廷舞踊や民俗舞踊を取り入れたクラシックの名曲はもちろん、20世紀以降のジャズやロック、ワールド・ミュージックに触発された作品、さらにはタンゴやフラメンコ、和太鼓やジャズまで、多彩なプログラムが目白押し。その他、アコーディオンの巨匠リシャール・ガリアーノによるタンゴへのオマージュ、スマートフォンを使った観客参加型作品(タン・ドゥン作曲の「パッサカリア」)、メキシコの民族音楽グループ、テンベンベの初来日、和太鼓奏者・林英哲と天才パーカッション奏者シモーネ・ルビノの東西打楽器バトルなど、他のクラシックコンサートではなかなか味わえない「ラ・フォル・ジュルネならでは」のユニークなプログラムも予定されている。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2017」は、5月4日(木・祝)から6日(土)の3日間、メイン会場の東京国際フォーラムほか、大手町・丸の内・有楽町エリアで開催。チケットは公演当日までチケットぴあで発売。また、音楽祭本公演に先駆けて、4月29日からは丸の内エリアでプレイベント(無料)が開催されている。
2017年05月02日“天使の歌声”の呼び名で世界中で愛されるウィーン少年合唱団が、日本ツアーのために来日。4月27日に都内で記者会見を行った。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」のチケット情報1498年創設の歴史を誇るウィーン少年合唱団。教育と伝統の継承を重んじる方針のもと、10歳から14歳の約100名のメンバー全員が寮生活をし、ハイドン、モーツァルト、シューベルト、ブルックナーという合唱団にゆかりのある作曲家の名がついた4グループに分かれて活動している。“ウィーンの音楽大使”として世界各地へのツアーを行っており、今年3月にはその活動が認められ、ユネスコの「無形文化遺産」に登録されたばかり。今回のツアーは「モーツァルト組」が来日し、2つのプログラム(A・B)を披露。Aプログラム「合唱名曲集」は、グレゴリオ聖歌からルネサンス、ロマン派から現代まで多彩な曲目が並ぶ。ウィーンの作曲家の作品も数多く、まさに合唱団の伝統を披露する内容といえる。もうひとつのBプログラム「世界の旅」では、世界各国の民謡ほか、日本語で歌う「ふるさと」「花は咲く」「ソーラン節」も注目だ。芸術監督のゲラルト・ヴィルトは「日本で初披露する曲や少年たちが楽器やダンスを披露したりと、老若男女誰もが楽しめる構成をご用意しました。ぜひご期待ください」と抱負を語った。記者会見の最後は、合唱団のメンバーたちによるパフォーマンス。ツアープログラムから「美しく青きドナウ」(J・シュトラウスII世作曲)とタケカワユキヒデの「ビューティフル・ネーム」の2曲を、まさに“天使の歌声”といえる美しいハーモニーで披露した。「ウィーン少年合唱団 2017年 日本公演」は、4月30日(日)常陸大宮市文化センター公演から6月18日(日)東京オペラシティ公演まで、全国各地で29公演がおこなわれる。
2017年04月27日昨年、誕生30周年を迎えた『ドラゴンクエスト』。記念イベントが続々と行われているが、昨年10月には吹奏楽による演奏会『「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート』が開幕した。いよいよ、これまで誰も生で聴いたことのない“吹奏楽編曲”によるシリーズ“VII”“VIII”“IX”のコンサートが、初お披露目となる。先日、初めて音を出す“試奏”がおこなわれ、そこで指揮者の大井剛史と永峰大輔に話を聞いた。【チケット情報はこちら】これまで、“I”から“VI”までのコンサートを手掛けた大井は、「ドラクエコンサートはお客さんとの一体感に特別なものがある。僕もそうだけど、音楽が体に染みついているんですよね。こちらも一緒に楽しんでいる感じがあって雰囲気がいいんです」とその魅力を語った。永峰も、「組曲の中には、マッシュアップ(複数の曲を編集してひとつの曲にする)されているものがあって、街やフィールド移動などゲームをしている感覚を思い出します。ゲームでは場面が変わると音楽が切れちゃいますけど、最後まで聴けるのもおもしろいですよ」と他の演奏会にはない楽しさを語った。実際のコンサートでは、ゲーム音楽プロ交響楽団「JAGMO」で様々なコンサートを担当してきた永峰がタクトを執る。ゲームをクリアしてから演奏に臨むという永峰は、「“VIII”はこの間やっとクリアしました。“VII”は途中です」とゲームも楽しんでいる様子。「ちゃんとゲームをクリアしたところで伺える永峰さんのお話も楽しいですよ」と大井が太鼓判を押すように、コンサートでは楽曲の合間に指揮者によるMCも。音楽家としての視点で語られるドラクエ音楽も楽しみのひとつだ。同コンサートの演奏を務めるのは、吹奏楽団では日本随一と名高い東京佼成ウインドオーケストラ。この日の試奏では、楽団の正指揮者である大井が担当し、永峰がその様子を見守った。大井の指示のもとテキパキと進行し、“IX”の交響組曲が少しずつ明らかになっていった。ゲームのオープニングを飾るおなじみの「序曲」から始まり、王宮、街、フィールドへと誘っていく。ひとつひとつの音にアクセントのある管楽器の音色は、気持ちをワクワクと高めていくようだ。今後は永峰が指揮を受け継ぎ、演奏者たちと音を作り、本番を迎える。“VII”“VIII”は、CD化されているがコンサートは初。“IX”は、吹奏楽による演奏自体が初となる。「ドラゴンクエストVII, VIII」は5月4日(木・祝)大田区民ホール・アプリコ 大ホール、「ドラゴンクエストIX」は7月9日(日)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールにて開催。また、「ドラゴンクエストⅠ・Ⅱ・Ⅲ」も5月20日(土)・21日(日)に開催。チケット発売中。取材・文:門 宏
2017年04月27日ショパン生誕200年の2010年、1日でショパンのピアノ作品全曲を弾く演奏会を成し遂げた横山幸雄。以来、このショパンにどっぷりつかることのできる公演は、GWの恒例となった。横山にとって、特別な存在であるショパンの音楽の「血中濃度を上げる」大切な機会だという。横山幸雄 入魂のショパン 2017 チケット情報今年も、13時開演、21時終演の5部構成という長丁場。ショパンが若き日に書いた「24のエチュード」に始まる充実したプログラムだ。選曲の背後にあるテーマは、ジョルジュ・サンド。「ショパンが彼女に出会う直前から、ふたりが過ごした一番良い時期までの作品を中心に取り上げます」ショパンの6歳年上で、パリ社交界の中心的存在のひとりだった作家のサンドは、ショパンが20代後半からの約9年を共にした恋人だ。天才的才能を持ちながら、気難しく病弱なショパンを支えた存在でもある。「最初にエチュードを置いたのは、まず、まだサンドを知らない頃の作品を聴いていただこうと思ったから。そして第2部でとりあげる『24の前奏曲』は、ふたりが共に過ごしたマヨルカ島で書かれた愛の結晶です。サンドと出会ったあと、ショパンの音楽がどうなったのかが感じられると思います」ショパンはサンドの愛に包まれ数々の傑作を生み出したが、彼女の愛は次第に母性的なものへと変化し、やがてふたりの関係は破局を迎える。「サンドはショパンのよき理解者でありながら、ある部分については理解できていなかった。だからショパンは、彼女といてもどこか孤独だったのではないでしょうか。そこにある葛藤が、第4部で演奏するバラード2番やスケルツォ3番、ポロネーズ5番のような、激情と静けさを持つ曲に現れています。この時期を過ぎると、他人のことは考えていないような境地に入っていく。芸術家とは、孤独なものですね」第5部では、主なテーマとする時代以外の、初期と後期の作品からいくつかを取り上げる。終曲「幻想ポロネーズ」では、そんな晩年のショパンがたどり着いた深い精神を聴くことになる。「聴いてすぐに良さがわかる作品ではないかもしれません。僕自身、中学生で初めて聴いたときは充分にわからなかった。でも本当にすばらしい、ショパン最後の大作です」それではサンドとの出会いの前後にあるショパンの変化を、横山はどう捉えているのだろうか。「ショパン自身は、何も変わらなかった。僕はそう思います。サンドは影響を与えているようで、根本的な部分を揺るがすことはできなかったのでしょう」サンドと過ごした時代の心の動き、根底に流れる揺るぎないショパンらしさ。その繊細な機微を、横山の端正なピアノが生き生きと描きあげる。横山幸雄 入魂のショパン 2017は5月5日(金・祝)13:00より、東京オペラシティ・コンサートホールにて開演。チケットは発売中。取材・文:高坂はる香(音楽ライター)
2017年04月27日新日本フィルハーモニー交響楽団が、2017/18シーズンのラインナップを発表した。「新日本フィルハーモニー交響楽団」のチケット情報長年ドイツのオペラハウスで活躍し、国際的評価の高い指揮者・上岡敏之を音楽監督に迎えて2シーズン目となる2017/18シーズン。その中核をなす定期演奏会は、本拠地すみだトリフォニーホールでの「トパーズ」、サントリーホール・シリーズ「ジェイド」、金曜・土曜14時開演のアフタヌーン・コンサート「ルビー」の3シリーズ(全24公演)。上岡はうち8公演に登場し、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」、シューマンの交響曲第1番「春」、ツェムリンスキーの「人魚姫」、ブルックナーの交響曲第6番などを指揮する。「映画で例えるなら、ハリウッド映画ではなくヨーロッパ映画です。絢爛豪華な花火ではなく、聴いた後で心に残り、何かを考えさせてくれるようなプログラムを目指しました」と上岡が語るとおり、派手さはないものの、奇をてらわずに作品と真っ向勝負の気概がうかがえる内容となった。客演の指揮者やソリストも実力者揃い。ウィーン・フィルのコンマス、ライナー・ホーネック、現代音楽に定評あるマルクス・シュテンツ、モーツァルトのピアノ協奏曲で上岡と共演するアンヌ・ケフェレック、自作を指揮する作曲家タン・ドゥン、北欧の巨匠オッコ・カムと錚々たる顔ぶれだ。「決してビジネスではなく、音楽と真摯に向き合って我々と共演してくれるアーティストだけを選びました」と上岡こだわりの人選がキラリ。2017/18シーズンは楽団創立45周年、そして日本初の自治体とのフランチャイズ提携である墨田区とのパートナーシップ20周年(本拠地のすみだトリフォニーホールも開館20周年)の節目だが、だからこそこれからの成長を視野に入れた、まさに地に足をつけたラインナップだろう。また、シーズンラインナップに加え、ファンには嬉しい新企画が誕生。「トパーズ」定期会員と、横浜みなとみらいホール特別演奏会「サファイア」のセット券購入者限定で、2018年3月開催の「上岡敏之ピアノ・リサイタル」へご招待するという。ピアニストとしての実力も超一級の上岡が、日本で初めて行うソロ・リサイタルだけに、まさにスペシャルな企画だ。続けて、ファンから演奏曲を募集したリクエスト・コンサート(7月21日(金)・22日(土)すみだトリフォニーホール)のプログラムも決定。ベルリオーズの幻想交響曲とパガニーニのヴァイオリン協奏曲の2曲が発表された。リクエストの選定にあたった上岡は「本当に数多く、様々な曲をリクエストして頂きました。その中から、今回は“ヴィルトゥオーゾ”をテーマにして、この2曲を選びました。他のリクエストも今後のプログラムの参考にしてきますので、どうぞご期待ください」と意気込みを語った。新日本フィルの2017/18シーズンは、9月22日(金)よりスタート。各シリーズ1回券のチケットは、9~11月公演が7月18日(火)、1~3月公演が10月17日(火)、4~7月公演が2018年1月30日(火)に発売となる。
2017年04月21日6月9日(金)に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催される「オリンピックコンサート2017」。同公演のゲストオリンピアンとして、シンクロナイズドスイミングで1988年ソウルオリンピックに出場し2つの銅メダルを獲得した小谷実可子と、フィギュアスケートで2010年バンクーバーオリンピックで8位入賞した小塚崇彦の出演が決定した。【チケット情報はこちら】オリンピックコンサートは、日本オリンピック委員会(JOC)が主催し、1997年からスタート。オリンピック・ムーブメントの推進を目的に、オリンピック映像とフルオーケストラが競演する唯一無二のコンサートとして、毎年人気を博している。今回出演が発表となった小谷実可子と小塚崇彦は、どちらも現役時代にスポーツと芸術の融合を表現しながら、多くのファンを楽しませたふたり。競技者、表現者として、オリンピックの舞台に立ち、現在はオリンピックの理念や素晴らしさを伝える活動にも取り組むふたりが、コンサートにゲストオリンピアンとして登場し、それぞれ競技の魅力や、情熱をもって挑戦し続けた日々、今だからこそ伝えたい思いを語るという。また、ミュージカルをはじめ各方面で活躍する新妻聖子と中川晃教もゲストアーティストとして出演。オーケストラとコラボレーションし、アスリートたちに歌のエールを送る。コンサートのナビゲーターをつとめるのは、競泳選手としてソウル、バルセロナと2度のオリンピックに出場し、現在は俳優として活躍する藤本隆宏。このほか公演当日にはオリンピックを目指す現役のトップアスリートも参加予定。参加アスリートは決定次第発表される。チケットの一般発売は4月22日(土)午前10時より。■オリンピックコンサート2017日時:6月9日(金)開場18:00 / 開演19:00会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)
2017年04月20日新緑の上野の森で華々しく行われるゴールデンウィークの風物詩「N響ゴールデン・クラシック」。毎年、NHK交響楽団と話題のソリストの共演が好評を博す本公演だが、今年は指揮者をスペインの俊英ロベルト・フォレス・ヴェセスが務め、ソリストには現在ドイツで研鑽中で、2013年の日本音楽コンクール第1位など飛躍がめざましいヴァイオニストの大江馨が登場する。プログラムの前半にチャイコフスキーの協奏曲を披露する大江に意気込みや聴きどころを訊いた。N響ゴールデン・クラシック チケット情報抒情的な旋律美と華やかなスケールを併せ持ったチャイコフスキーの協奏曲は、大江が最も愛する協奏曲のひとつだという。「過去に仙台フィルなど3つのオケと共演したことがあり、人前で弾くのは今回で4回目。作品の魅力であり難しさは、フレーズの長さですね。他の協奏曲と比べても異様なまでに長く、ゴールに辿り着くまでの道のりは山登りを何度も繰り返すような感じ。それは、長く寒い冬を耐えて暖かい春を待つロシア人の心の表れなのかもしれません。3つの楽章の中で僕が一番好きなのは、情感に溢れた主題が壮大に展開する第1楽章です」2015年にも共演したことがあるN響(指揮は尾高忠明。プログラムはプロコフィエフの協奏曲第1番)の印象を、大江は次のように語る。「音色の美しさも、アンサンブルの精確さも素晴らしく、特に前者は世界的にも有数だと思います。今回共演する指揮者のヴェセスさんは初共演ですが、若くして管弦楽とオペラの双方で世界的に活躍されている方。自分と年齢の近い方との新しい出会いはいつも刺激を受けるので、今回もとても楽しみにしているところです」大学時代は慶應義塾大学で政治思想を専攻し、同時に桐朋学園大学で音楽も学んだ大江は、その共通点を「答えが出ないものを根本から議論して分析する政治思想は、楽譜の読み方にも通じる」と考える。今回の公演でも、研ぎ澄まされた感性と、瑞々しい知性が調和した秀演が期待できそうだ。また、開演前にはプレコンサートも開催され、J.S.バッハの無伴奏パルティータ第3番のプレリュード、モーツァルトのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタK.423の第1楽章、ベリオのデュオ・コンチェルタンテ第1番の第1楽章を演奏する。モーツァルトとベリオではN響を代表する名手との豪華共演を予定しており、こちらも楽しみのひとつだ。公演は5月3日(水・祝)に東京・東京文化会館大ホールで開催。チケット発売中。取材・文:渡辺謙太郎
2017年04月17日日生劇場で6月に上演される、NISSAY OPERA『ラ・ボエーム』。公演前に無料で様々なレクチャーが行われるのも、NISSAY OPERAの魅力だ。3月25日の「音楽レクチャー」には、本番でタクトを振る指揮者の園田隆一郎と、作曲家の加羽沢美濃が登壇し、122人の来場者の前で2時間以上、熱いトークを繰り広げた。オペラ「ラ・ボエーム」 全4幕 チケット情報レクチャーの最初のテーマは “音楽から読み解く季節感や時間”。加羽沢はこの日の季節と場所と時刻、つまり「春、日生劇場、14時」をテーマにピアノを即興演奏してみせる。「昼下がりでしょう?劇場の格調と爽やかさが感じられるでしょう?でももし夜だったら……?」と、再びピアノに向かう加羽沢。今度はムーディで暗い煌めきを放つ音が広がった。「では『ラ・ボエーム』ではどうでしょうか?」こうして話題は『ラ・ボエーム』1幕冒頭、すなわちクリスマスイブの夕方、パリの屋根裏部屋へ。その季節感や情景描写として作曲家プッチーニが施した工夫を、二人が解き明かしていく。本作冒頭は16分休符のあと、コントラバスの半音階による音型で始まる。園田がピアノで演奏した上で言う。「この最初の休符に、独特の緊張感があって難しいんです。しかも、指揮者から一番遠くにいるコントラバスに指示を伝えなければなりません」。この冒頭が半音階でなかったら、あるいは速度が違ったら、どのような印象になるか?といった実演も。緊迫感溢れるこの半音階の後に全音階の平和な音楽が流れ、対比を作っているのも特長だと、二人は語った。さらに、音楽が表す登場人物達の性格や物語など、幅広い話が展開。清純で病弱なヒロイン、ミミのアリアについて「楽器も少なく、リズムにもキツさがなく、柔らかい。打算がなく夢を持つミミの性格が表れている」と言う園田に対し、加羽沢が「このアリアにはミミちゃんのしたたかさが顕われているんです」。平和な音型に突如ファのシャープが入り、続いて気まぐれに音が飛んだり、歌の下でオーケストラがシンコペーションによる音を奏でたりと、“男心をくすぐる”工夫が盛り込まれていることが詳らかにされたのだった。このほか、クイズあり歌ありリコーダー演奏あり……と、豊富な知識とユーモア溢れる趣向で終始、会場を沸かせた二人。「オペラには、難しい・敷居が高いといったイメージもありますが、やっていることは分かり易い恋愛だったり、脇の甘い男が出てきたり(笑)。それが音楽にも表れている点に注目して、本番も聴いていただきたいですね」(加羽沢)「歌手の良し悪しやビジュアルだけではなく、音も楽しんでいただきたい。この作品は、神様や王侯貴族ではなく、貧しい若者達の物語ですし、テンポ感含め、今の人達にも共感していただける世界だと思います」(園田)なお、この公演はバリトン歌手の宮本益光が書き下ろす日本語訳詞での上演。日本語での歌により、作品世界が一層リアルに鮮やかに広がることも期待される。公演は6月18日(日)、24日(土)日生劇場にて。取材・文:高橋彩子
2017年04月03日ドラゴンクエスト誕生30周年を記念した「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサートが3月11日より開催中。同公演について、ドラゴンクエストシリーズの作曲家であるすぎやまこういちからコメントが寄せられた。【チケット情報はこちら】実際にコンサートを鑑賞したというすぎやまは「日本を代表する吹奏楽の作曲家、真島俊夫さんの吹奏楽編曲なのですが、本当に素晴らしい。旋律がカッコよくてキラキラしているんです。音の海原が目の前に広がります。そして、東京佼成ウインドオーケストラは、全国の吹奏楽団のお手本になる一流オーケストラ。その演奏者たちがノリノリで、私も心踊り、元気をもらえました。ぜひ、真島俊夫さん吹奏楽編曲の『ドラゴンクエスト』を生演奏で楽しんでみてください」と語っている。現在、7月9日(日)東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール公演の先行を実施中。受付は4月7日(金)午後11時59分まで。そのほかの公演は予定枚数終了の公演をのぞき発売中。■「ドラゴンクエスト」ウインドオーケストラコンサート吹奏楽による「ドラゴンクエストI, II, III」/指揮:大井剛史4月22日(土)川口リリア・メインホール(埼玉県)吹奏楽による「ドラゴンクエストVII, VIII」/指揮:永峰大輔5月4日(木・祝)大田区民ホール・アプリコ 大ホール(東京都)吹奏楽による「ドラゴンクエストI, II, III」/指揮:井田勝大5月20日(土)千葉県文化会館 大ホール(千葉県)吹奏楽による「ドラゴンクエストI, II, III」/指揮:井田勝大5月21日(日)栃木県総合文化センター メインホール(栃木県)吹奏楽による「ドラゴンクエストⅨ」/指揮:永峰大輔7月9日(日)かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール(東京都)吹奏楽:東京佼成ウインドオーケストラ
2017年03月31日13回目を迎える真夏のクラシック音楽祭「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は、首都圏のプロ・オーケストラが一堂に会して競演するという、ありそうだけれどここでしか体験できない音楽祭。3月29日、JR川崎駅前のミューザ川崎で概要の発表会見が開かれた。今年も首都圏の10楽団が中心となり、ミューザ川崎シンフォニーホールを主会場として7月22日(土)から8月11日(金・祝)まで全21公演が行なわれる。キャッチコピーは「気分奏快!」。「フェスタサマーミューザKAWASAKI」チケット情報音楽祭のオープニングはいきなりシェーンベルク《浄められた夜》とストラヴィンスキー《春の祭典》というスタイリッシュなプログラム(7/22(土)・東京交響楽団)。20世紀を代表するふたりの大作曲家だが、もはやこれらを現代音楽だと感じる人は少ないだろう。それどころか、こんなヴィヴィッドな作品こそクラシック入門にふさわしいはず。官能と興奮で今年の「サマーミューザ」が幕を開ける。チェコの若き巨匠ヤクブ・フルシャが振る祖国の魂、スメタナ《我が祖国》(7/26(水)・東京都交響楽団)と、マエストロ・チョン・ミョンフンによるベートーヴェン(7/27(木)・東京フィルハーモニー交響楽団)というクラシックの王道名曲プロは、マニアも初心者も必聴。日程中盤に組まれた、ミュージカル界の歌姫・新妻聖子も登場するNHK交響楽団のポップス・プログラム(7/29(土))、名アレンジャーとしても名高い渡辺俊幸が指揮する映画音楽集(8/1(火)・読売日本交響楽団)は、夏フェスらしい肩肘張らない洗練されたお楽しみ。最終週に入って、古楽アプローチを介して名曲の新しい顔を聴かせてくれる鈴木秀美の振るメンデルスゾーンとハイドンは大注目(8/6(日)・神奈川フィルハーモニー管弦楽団)。そして炎のマエストロ小林研一郎の代名詞ともいうべき十八番、ベルリオーズ《幻想交響曲》(8/9(水)・日本フィルハーモニー交響楽団)を聴き逃しては今年の夏が終わらない。フィナーレは秋山和慶&東京交響楽団によるラフマニノフ・プロ(8/11(金・祝))。話題のピアニスト反田恭平がピアノ協奏曲第3番を弾く。他にも特別参加の井上道義&オーケストラ・アンサンブル金沢とゲルギエフ&PMFオーケストラ、久石譲&新日本フィル。川崎市内にキャンパスを置く昭和音楽大学と洗足学園音楽大学のオーケストラ。さらにミューザ川崎のホールアドバイザーを務める、小川典子(ピアノ)、佐山雅弘(ジャズ・ピアノ)、松居直美(オルガン)らの出演などなど、さまざまな趣向の注目公演が目白押しだ。今年の夏も川崎が熱い。取材・文:宮本 明
2017年03月30日東京都交響楽団の4月の定期演奏会で、ジョン・アダムズの《シェへラザード.2》が日本初演となる。2015年3月26日、今回ソリストをつとめるリーラ・ジョセフォウィッツのヴァイオリン、アラン・ギルバート指揮のニューヨーク・フィルハーモニックで初演された作品だ。この新しい作品について、ギルバートに話を聞いた。「ジョンの作品をずっと指揮しているので、彼の作品の進化を実地に体感しています。その変化のなかでも、《シェヘラザード.2》はかなり変ってきたところにあるように思えます。近年のジョンの作品はオペラから影響を受けており、本作には言葉こそついていないけれど、ドラマティックなストーリーはしっかり伝わってきます。主役はヴァイオリンですが、バック・ストーリーがあります。そして、ほかの作品よりロマンティックな仕上がりです。ジョンは年齢とともに、ハートでつくるようになってきている、とわたしはおもっているんですね。ニューヨーク初演はスタンディング・オヴェーションになって、とても好評でした。ヴァイオリニストは暗譜で弾き、目が離せませんでしたし。オーケストラもとても楽しんでいました。難しいけれど、満足感がある。偉大なものに接したというのがみんなのなかにあるんです。宝物をいただいたような、ね」作曲者は、自作について述べるなか、『千一夜物語』のなかに描かれた女性と現在の状況とを重ねている。現在のアメリカ合衆国でイスラム=アラブ世界の物語について言及することも、そこには意識されているようにみえる。「ジョンは政治的なホットなテーマをとりあげることを躊躇ったりはしません。ですが、わたしはそうしたことより、『千一夜物語』はある特定の文化から生まれてきたのは確かだけれど、もっとそれを超えるようなテーマがここにはある、と思っています」オーケストラを存分にひびかせ、指揮者や演奏家にも演奏する喜びを、また聴くことの醍醐味を感じさせる作曲家との評価がある一方、ジョン・アダムズの音楽は日本であまり演奏されていない。「ジョンの音楽はつねにレヴェルは高いけれど、ずいぶん変ってきました。変化しているけれど、その声はしっかり伝わってきます。交響曲的なフォルムや色彩感を大切にしているところは変りません。日本のオケはプログラムについては保守的な面があるけれど、ジョン・アダムズの音楽は弾きやすく聴きやすい、そして新鮮な音楽です。新しいけれどもみんなが理解できる言葉で書かれているのです」東京都交響楽団による《シェへラザード.2》は4月17日(月)東京文化会館 大ホール、4月18日(火)東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにて。文/小沼 純一(音楽・文芸批評/早稲田大学教授)
2017年03月27日和楽器オーケストラ「AUN J クラシック・オーケストラ」が出演する「AUN J クラシック・オーケストラ 桜祭り 2017」が4月2日(日)に東京・上野恩賜公園野外ステージで開催される。【チケット情報はこちら】AUN J クラシック・オーケストラは、トップクラスの技術を持つ和楽器奏者が集まったグループ。リーダーの井上良平(和太鼓)・公平(篠笛・三味線)は、これまで世界40か国1300回を超える公演を開催。また、モン・サン=ミッシェル、アンコール・ワットなど、数々の世界遺産での公演を成功におさめている。今年で3回目となる上野恩賜公園でのライブは、「花見体験型和楽器コンサート」と銘打ち、来場者がゆったりと花見をしながら演奏を楽しめる公演として毎年人気を博している。チケットは発売中。■AUN J クラシック・オーケストラ 桜祭り 2017日時:4月2日(日)開場14:00 / 開演15:00 ※飲食ブースは昼12時オープン会場:上野恩賜公園 野外ステージ(東京都)料金:全席自由 大人3,800円(税込)、中学生以下2,000円(税込)※未就学児膝上に限り無料
2017年03月24日今年も「東京・春・音楽祭」が開幕。東京・上野の東京文化会館を中心に、4月16日(日)まで1か月間にわたって有料・無料併せて約150のコンサートやイベントが繰り広げられる、クラシック音楽界に春の訪れを告げる風物詩だ。その一日、「忘れられた音楽―禁じられた作曲家たち」を聴いた(3月20日・上野学園石橋メモリアルホール)。「東京・春・音楽祭」チケット情報「禁じられた作曲家」とは主に、人種や政治的な理由でナチの狂気を逃れて他国へ亡命した作曲家たちを指している。特にウィーンからの亡命音楽家を中心に研究・紹介しているのがウィーン国立音楽大学のエクシール・アルテ・センター(Exil.Arte=亡命芸術)だ。そのセンター長ゲロルド・グルーバー教授が解説を務めた。5人の作曲家の作品が演奏されたが、当時政治犯として捕らえられた強制収容所の中で書かれた作品から、戦後、晩年に自らの人生を回顧した作品まで、創作の時期や経緯はそれぞれだ。必ずしもホロコーストへの怒りや失われた生命の悲嘆を声高に叫ぶのではない。それどころか、その美しい音楽から、作曲者の人生の悲痛を思い起こすことはないだろう。でもだからこそ、優れた才能が排斥された20世紀中盤のヨーロッパ文化に空いた穴の大きさを思い知らされる。グルーバー教授が述べているとおり、そんな失われた芸術の根っこを修復するのは、戦禍で損傷した建物を再建するのに劣らず重要な作業なのだ。音楽を超えて、多くの気づきを得た貴重な好企画だった。ワーグナーやオペラや、合唱付きの大作を上演する一方で、たとえ派手ではなくてもこうした貴重な企画も多数組んでいるのは「東京春祭」ならではの大きな魅力だ。たとえば「ベンジャミン・ブリテンの世界」(3月26日(日))は5年がかりで作曲家の魅力を解き明かすプロジェクト。その初回を聴き逃すわけにはいかない。逆に、特定のジャンルのエッセンスを1日に凝縮した企画もある。クラシック音楽が一番濃くて美味しい「ロマン派」の甘美な世界にどっぷり浸れる恒例の「マラソン・コンサート」(4月8日(土))。各1時間・5部構成の完全制覇に挑戦する価値は大いにある。また、おなじみとなっている東京国立博物館での「東博でバッハ」シリーズを始め、上野に集中する美術館・博物館での「ミュージアム・コンサート」も、この音楽祭でしか体験できない機会だ。上野の桜もいよいよ本番。春の陽気に誘われて、満開の桜を借景にした美しい音楽祭を満喫しよう。文:宮本明
2017年03月23日毎年3月31日は〈オーケストラの日〉。「ミミにイチバン」だからだそうで、耳に一番のご馳走をお届けしよう!と、日本全国のプロ・オーケストラがこの日を中心にコンサートやイベントを展開するのが恒例になっている。オーケストラの面白さを広く気軽に体感してもらおうと、値段もおさえめで聴ける企画がほとんどなので、2007年以来好評のうちに続いている。オーケストラの日 チケット情報各地であれこれ趣向をこらした演奏会がおこわれるなか、東京では今年も、首都圏に12あるオーケストラからメンバーが集まって〈オーケストラの日祝祭管弦楽団〉が特別編成され、熱きベテラン・現田茂夫の指揮でコンサートがおこなわれる(3月31日(金)15時~・文京シビックホール 大ホール)。この企画、熱心なリスナーにとっては、ふだん共演することのないメンバーが豪華に集結する年に一度の華やかな楽しみになっている。しかしなんといっても、ふだんオーケストラにおなじみ薄い方にも、聴けば「あぁ!」と惹き込まれる曲を選んでいるだけに、初めての方にこそこのスペシャルな編成で味わってほしいコンサートだ。演目をご紹介しておくと……まず、心たかぶる迫力にオーケストラの凄味をみせつけられるシベリウスの交響詩《フィンランディア》から。続いて同じくシベリウスの〈ヴァイオリン協奏曲〉でも、ひんやりと冴えた北欧の幻想美がひろがり……その抒情豊かな歌にも、色あいが細やかで美しい。ヴァイオリン独奏とオーケストラの対話が情熱とともに昂揚してゆく、そのぞくぞくするような緊張感もまた魅力だ。独奏に迎えるのは、フランス国立放送フィルのコンサートマスターをつとめる俊英スヴェトリン・ルセフ。首都圏の凄腕たちが集う特別オーケストラとも心通じ合うに違いないゲストだ。そして最後はストラヴィンスキーのバレエ組曲《火の鳥》。ロシアの民話を題材につくられた魔法と冒険のバレエのために、カラフルな表現力を全開にする音楽だ。そこからコンサート用に美味しいところをぎゅっと編み直した組曲(1919年版)も、なにしろスケール感が凄い。震えるような繊細な弱音から魔王の凶暴なダンスに轟くインパクト、聴く者の心を解放するような壮大きわまるフィナーレまで…そのなかにも万華鏡のような色彩感を味わいつくせる、まさに傑作。オーケストラにはそれぞれ異なる個性的な音色を持った、さまざまな種類の楽器が集まっている。80人を越えるメンバーが集まる今回も「これぞオーケストラ」という魅力と迫力──呼吸を合わせて美しく歌を重ね、絶妙なブレンドで豊かなハーモニーを響かせる素晴らしい時間を、たっぷりと体験していただけるだろう。また、この日は同じ会場のあちこちで、朝の11時から15時のコンサート開演前まで、イベントも盛りだくさん。楽器体験やアンサンブルのミニコンサート、コンサート本番前の総練習(ゲネプロ)公開、《火の鳥》の秘密を探るスペシャル・ワークショップなど展開されているので、少しお早めに足をはこばれると楽しみも倍増かと。文:山野雄大
2017年03月23日「アディダス オリジナルス(adidas Originals)」が、一枚革のヌバックをアッパーに用いたクリーンかつクラシックな一足「STAN SMITH LEA SOCK」を新発売。「STAN SMITH LEA SOCK」は、ブランドのクラシックアイコンシューズ「STAN SMITH」をベースに、更なるシンプルさを究めた上質な一足。折りたたまれたようなデザインの特徴的なシュータンに、パンチング加工を施したスリーストライプス、薄めのカップソールなど、ミニマルなディテールによって仕上げられているのがポイント。STAN SMITH LEA SOCK BB0006価格:18,000円(税抜)STAN SMITH LEA SOCK BB0007価格:18,000円(税抜)【取扱店舗】・全国のアディダス オリジナルスショップ・アディダス オンラインショップ・ZOZOTOWN・EDIFICE 各店・IENA 各店【問い合わせ先】アディダスグループお客様窓口TEL:0570-033-033(土日祝除く、9:30~18:00)
2017年03月21日世界的に見てもきわめて積極的にマーラーを取り上げ続けている東京都交響楽団。その彼らの今シーズン唯一のマーラーが聴けるのが、桂冠指揮者エリアフ・インバル指揮の《大地の歌》だ(7月16日(日)・17日(月・祝)、東京芸術劇場にて)。都響スペシャル のチケット情報《大地の歌》はマーラー(1860-1911)が48歳の夏に作曲した交響曲。9番目の交響曲だが、ベートーヴェンやブルックナーらが交響曲第9番を書いたあとに死んだジンクスを怖れたマーラーが、あえて番号をつけなかったというエピソードが知られている(結局マーラーも次の交響曲を「第9番」として作曲したあと、未完の第10番を残して世を去ったのはジンクスゆえか)。自作の交響曲の多くに声楽を取り入れ、第8番では壮大なカンタータのような大伽藍を築き上げたマーラーは、ここでも、連作歌曲と交響曲を一体化した異色の交響曲を生み出した。テノール独唱とアルト独唱が交互に歌う全6楽章構成。ドイツ語訳の中国詩集『中国の笛』から採られた歌詞はしばしば、生のはかなさや厭世観を歌った内容だと表現されるが、インバルは言う。「マーラーは自分の人生が終わりに近づいていることを察し、死を受け入れ、永遠に生き続ける来世を願い、この世での幸福、希望、苦労、愛、音楽、創造等、豊かで充実した人生を送れたことを神に感謝しているのです。ノスタルジア、悲しみ、人生との別れ、来世を意識していると考えます」インバルと都響はすでに1994~96年と2012~14年の2回にわたって交響曲全曲ツィクルスを完遂し、日本のマーラー演奏史の金字塔とも言える大きな成果を示している。「マーラーを演奏するに値し、彼の音楽が持つ宇宙をより深く理解するには、私たちは芸術家、人間として成長しなければなりません。都響と聴衆の皆さまは、2回のマーラー・ツィクルスをともに経験し、マーラーの芸術性の理解を高めました。私たちはマーラーのメッセージをより深く理解できると確信しています」(インバル)演奏の成否を大きく左右する声楽陣も強力。ダニエル・キルヒは抒情的で美しい持ち声をベースに、さらにドラマティックなレパートリーも獲得しつつあるテノールで、《大地の歌》にはまさにうってつけ。そして現代を代表するマーラー歌いと言ってもいいアルトのアンナ・ラーション。マーラーを知り尽くした彼女の深く澄んだ声は、作曲家が作品に込めたさまざまな感情を、適切な形で探り当ててくれるに違いない。文:宮本明
2017年03月15日『オテロ』は圧倒的な作品だ。素晴らしい演奏で接すると、あっという間に2時間余が過ぎ去る。ドラマティックな音楽に吹き飛ばされ、椅子の背にはりついたようになって、呆然としているうちに公演が終わった、そんな経験をさせてくれるオペラはめったにない。『オテロ』は間違いなく、その希少な名作のひとつである。新国立劇場オペラ『オテロ』チケット情報「オペラ王」とも呼ばれるイタリア・オペラの巨匠ジュゼッペ・ヴェルディ(1813ー1901年)は、本作で、彼がめざした音楽とドラマの一体化をきわめた。過去も現在も『オテロ』に名演が目白押しなのは、作品が優れているからに他ならない。原作はシェイクスピアの有名な戯曲『オセロー』。ヴェルディにとってシェイクスピアは「師」だった。彼はシェイクスピアの描いた人間の真実を、人間の普遍的な感情を、心の光と闇をえぐりたいと望んだ。シェイクスピアはヴェルディの神話だった。ほぼ半世紀にわたるオペラ作曲家のキャリアの頂点、74歳!にして書き上げた『オテロ』は、彼が本懐を遂げた作品である。輝かしくも雄弁な音楽で一気呵成に描かれる、英雄の愛と栄光と没落。切なく、愚かで、でもだからこそ愛すべき人間という存在。ヴェルディの音楽はそこに迫り、私たちの胸を打つ。人間とはなにか、という究極の問いとともに。強靭な声と内面的な感情表現が要求されるオペラだけに、キャスティングは簡単ではない。だが今回の新国立劇場公演『オテロ』のキャストはとびきりだ。オテロを歌うカルロ・ヴェントレは、近年本作で絶賛を博しているイタリアのドラマティック・テノール。「服が合うように、オテロ役は今の自分にぴったり」だと抱負を語る。愛妻デスデモナを歌うセレーナ・ファルノッキアは、イタリアが誇るリリックなソプラノで、品格のある声と演技が魅力。ヤーゴ役のウラディーミル・ストヤノフは、世界中の歌劇場でヴェルディのドラマティックなバリトン役にひっぱりだこのスター歌手だ。スタイリッシュな声と劇的な表現力で、説得力のある演唱を繰り広げる。彼らを束ねる指揮は、これもウィーンをはじめ世界中の歌劇場でイタリア・オペラの大作を任されているイタリアの名匠パオロ・カリニャーニ。まさに「役者は揃った!」と言いたくなる豪華な顔ぶれだ。マリオ・マルトーネによる演出は、舞台をヴェネツィアに設定し、50トン!の水を使ってヴェネツィアの運河を再現。迷宮のような街並みとオテロの心の迷宮が重なり合う。人物たちの感情を映し出す「水」の扱いは秀逸で、「愛」と「死」の舞台となる寝室の場面も美しい。新国立劇場が誇る名プロダクションである。4月9日(日)から22日(土)まで、東京・ 新国立劇場 オペラパレスにて。文:加藤浩子
2017年03月13日この秋に開場20周年を控える新国立劇場で、新制作上演のドニゼッティ『ルチア』(3月14日初日)の制作発表会見が行なわれた。「久しぶりのベルカント・オペラ。キャスティングには相当力を入れた」と芸術監督の飯守泰次郎も意気込むように、指揮者、演出含め、充実布陣が整った注目公演だ。新国立劇場オペラ『ルチア』チケット情報『ルチア』は、19世紀前半に隆盛した、技巧的な歌唱法を駆使する「ベルカント・オペラ」の最高傑作。敵対する一族の当主エドガルドと愛し合うルチアは、兄エンリーコの策略によってその仲を引き裂かれ、別の男との政略結婚を強要される。その婚礼の夜、悲しみのあまり精神に異常をきたしたルチアは新郎を刺し殺し、自らも息絶える…。最大の見どころは錯乱したルチアの歌う「狂乱の場」だ。十数分に及ぶ長丁場にコロラトゥーラの歌唱技術が最高度に散りばめられ、ルチア歌手の真価が問われる。今回この難役を歌うのが、「ベルカントの新女王」の呼び声も高いオルガ・ペレチャッコ=マリオッティ。ペーザロのロッシーニ音楽祭をはじめベルカント・オペラで高い評価を得て、現在欧米の歌劇場で引っ張りだこ。スター街道をばく進中の美貌のソプラノだ。2010年にラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンで来日しているが、彼女の躍進が始まったのがちょうどその頃から。今や最も注目されるソプラノとして帰ってきた彼女の出演は、今シーズンの新国立劇場の目玉のひとつと言っていい。「大好きな日本で、新しいルチアを作り上げることができて大変うれしい。劇場も完璧。初日にお会いしましょう!」と流暢なイタリア語で語った。圧倒的な「狂乱の場」にどうしても話題が集中しがちだが、オペラの最後に、物語を完結させる重要なアリアが与えられたエドガルド役のリリック・テノール、イスマエル・ジョルディ、憎まれ役としての強い存在感が必要なエンリーコ役のバリトン、アルトゥール・ルチンスキーも、同役を得意とする実力派。オペラ通なら特に、「ベルカント・オペラの大使」を自認する指揮者ジャンパオロ・ビザンティのタクトにも注目。会見でも「ベルカント・オペラは往々にして表面的にしか理解されていない」と止まらない熱弁をふるった「ベルカント愛」が、その真の姿を引き出してくれるにちがいない。演出はモンテカルロ歌劇場総監督のジャン=ルイ・グリンダ。新国立劇場オペラ『ルチア』は3月14日(火)・18日(土)・20日(月・祝)・23日(木)・26日(日)の5公演。取材・文:宮本明
2017年03月07日ピアニスト・反田恭平にとって2016年は激動の年となった。満場の観客を沸かせた堂々たるデビューリサイタルを皮切りに、演奏会のチケットは続々と完売。テレビ「情熱大陸」に取り上げられ、知名度も全国区に。その一方で、通っていたモスクワ音楽院を中退するという決断もした。今も、ロシアに部屋はあり、師ミハイル・ヴォスクレセンスキーから個人レッスンを受けているというが、反田が大きな分岐点に立っているのは間違いない。反田恭平 コンサート情報「昨年は色々なことがあったので、2年くらい経ったように感じます。『情熱大陸』に出て以来、クラシックファン以外にも『今度、聴きに行きます』と街で声をかけられるようになりました。とても嬉しいですが、その反面、変なことはできないなとも思いますね」と反田は微笑む。今後についてはまだ何も決まっていないそうだが、目下、ポーランドやイタリアに興味があるという。言うまでもなく、ポーランドはショパンの故郷だ。「マズルカにしてもポロネーズにしてもスケルツォにしても、そのリズムが生まれた場所へ行き、言葉や空気を知らなければ、きちんと弾けないと思うんです。そう考えるのはやはり、ロシアでの日々が実り多いものだったから。言語は音楽と密接な関係にあって、たとえばラフマニノフがコンツェルトの2番でも3番でも用いている『ラフマニノフ終止』は、ラフマニノフの名前と同じアクセントになっていたりします。そういうちょっとした知識を持つことで、演奏は全然変わってくるんです」一方、イタリアは、セカンドアルバムの収録地の一つでもある。「一昨年、コンクールでイタリアに行った時に感じましたが、人々が本当に温かくフレンドリー。さすがカンツォーネの国だけあり、セカンドアルバムで共演したアンドレア・バッティストーニ氏からも、オーケストラからも、彼らにしかない歌心を学びました。どこへ行くにしろ、その国でしか体験できないことを吸収したいと考えています」とはいえ、日本での演奏予定も着々と決まっている。4月は佐渡裕指揮・東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団の特別演奏会で全国ツアーヘ。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。さらに夏には初の全国縦断リサイタルツアーも決定した。「東京での演奏会が多かったので、地方に行くのが楽しみです。佐渡さんには昨年、ラフマニノフの交響曲2番を指揮された際、楽屋にうかがいました。ラフマニノフに必要なパッションを存分にお持ちの方なので、僕もそれに乗っかっていきたいですし、僕のほうでオケを引っ張っていかなければならないところもあると思います。ロシアで学んだことの一つの集大成にしたいですね。夏の演奏会の内容はまだ発表できませんが、これまでとは違う路線も企んでいます」実は、デビュー前から、およそ2年後までのプログラムはなんとなくは決めているという。「なのでブレずに計画通り進みたい反面、攻めていきたいという気持ちも強いです。野望はたくさんあるので、今後を楽しみにしていてください」。取材・文:高橋彩子
2017年03月02日日本のオペラ史の概念をくつがえす、度肝を抜くような楽しいオペラが誕生しそうだ。オペラ創作に情熱を注ぐ作曲家・三枝成彰の最新オペラ《狂おしき真夏の一日》の制作発表会見が、2月28日、都内で行なわれた。2013年の《KAMIKAZE-神風-》以来となるオペラ8作目は、三枝にとって初のオペラ・ブッファ。つまり喜劇。「モーツァルト《フィガロの結婚》へのオマージュ」という副題が添えられているとおり、《フィガロの結婚》が下敷きとなっていて、冷え切った関係の熟年夫婦を軸に、その周囲のひと癖もふた癖もあるくせ者たちが絡んで、複雑で色っぽい恋愛模様が描かれる。注目は豪華な顔ぶれの制作陣。オリジナル台本を書き下ろしたのは、大のオペラ・ファンでもある直木賞作家の林真理子。そして演出は、これがオペラ初演出となる秋元康。いうまでもなく、AKB48などを仕掛ける大御所プロデューサーだ。「一度でいいからオペラを書いてみたいという夢が叶った。でも、三枝さんから言われたのは、とにかくゲイと裸とレズを出せ。そして最後はみんなが、『生きてるっていいな』と笑って帰れるような物語を書くようにと。それならばと、物語は男性同士の恋人二人が海水パンツ姿で海から出てくるシーンで始まる」(林真理子)「オペラのよくわかってない人間が入って、今までにないものを創れ、壊していいんだと。いい意味で何か刺激を与えてくれということを頼まれたので、発想だけでも面白いことができたらいい」(秋元康)日本の文学界、エンタテインメント界を牽引する大物ふたりが関わることで、オペラ界に新しい風が吹く。そんな期待が膨らむ。キャストにも人気歌手たちが集まった。《フィガロの結婚》の伯爵と伯爵夫人に当たる、医師の大石夫妻を歌うのは大島幾雄と佐藤しのぶ。その長男夫婦にジョン・健・ヌッツォと小川里美(ビキニの水着シーンがあるらしい)。ゲイの次男に大山大輔、その恋人がカウンターテナーの村松稔之。大石の愛人で看護師の小林沙羅や、執事の坂本朱、家政婦の小村知帆も加わわりドタバタの恋愛喜劇を繰り広げる。三枝が信頼を寄せる実力者たちが揃ったオールスター・キャストだ。三枝の音楽を知り尽くした指揮者・大友直人がタクトを握る。公演は10月27日(金)・28日(土)・29日(日)・31日(火)、東京・上野の東京文化会館にて。秋のオペラ・シーンの大きな話題となるはず。これは観ないと!取材・文:宮本明
2017年03月01日ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭(LFJ)が今年もやってくる(5月4~6日)。アーティスティック・ディレクターを務めるフランスの音楽プロデューサー、ルネ・マルタンが来日して発表会見が開かれた。ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン チケット情報LFJは1995年にフランスの港町ナントで生まれたクラシック音楽祭。2005年に日本に上陸するといきなり30万人を超える来場者を集めて旋風を巻き起こした。過去12年間の累計来場者がのべ726万人という、クラシック界のみならず、あまり比較の対象が見つからないビッグ・イベントなのだ。今年も有楽町・東京国際フォーラム内の大小6つの会場を中心に、周辺エリアを含め、3日間・約350公演(有料122公演)を開催、40万人超の来場が予想される。コアなファンはもちろん、「ビギナーもお気軽に」がお題目としてでなく実現している稀有な例だ。チケットは1,500~3,500円と、家族で出かけても財布に優しいリーズナブルな設定。人気公演はソールドアウトが予想されるから、早めにゲットしたい。今年のテーマは「ラ・ダンス 舞曲の祭典」。民俗舞曲や宮廷舞踊の存在はクラシック音楽の歴史と不可分だし、バレエのために書かれた音楽もたくさんある。「ダンス」はまさに音楽の根源に関わるテーマだ。でも、「ダンサーの出番は少ない」とマルタンが言うように、今回の主役はあくまで音楽。「踊り出したくなるようなさまざまな作品、民族のリズム、色彩が溢れる音楽祭になる」(マルタン)会見でマルタンが紹介してくれた「おすすめ」の中から、ややレアな、気になる注目公演を少しだけ挙げておこう。あらかじめスマホにアプリをダウンロードして客席も演奏に参加できるタン・ドゥン作曲の《パッサカリア》。映画『イル・ポスティーノ』で知られるアルゼンチンの作曲家ルイス・バカロフの宗教曲《ミサ・タンゴ》。初来日のメキシコ民俗音楽ユニット「テンベンベ」。LFJ初出演のシエナ・ウインド・オーケストラによるジャズ作曲家・挾間美帆のバレエ音楽(委嘱初演)。ピアノと管弦楽による小曽根真版のラヴェル《ボレロ》。若手パーカッショニスト、シモーネ・ルビノと日本を代表する太鼓奏者・林英哲のコラボ。ローザンヌ声楽アンサンブルによるオネゲルのオラトリオ《ダビデ王》などなど。もちろんクラシック王道作品も多種多彩。「ダンス」をテーマに、さあ、踊れ、喜べ、幸いなる魂よ!(byモーツァルト)取材・文:宮本明
2017年02月15日タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)の2017年プレフォールコレクションが発表された。今季はフューチャリズムと20世紀初頭のクラシックとの化学反応を表現。クラシカルな花柄をメタリックな生地にプリントしたスカートや、チェックツイードに透明な繊維を織り込んだミニワンピース。宇宙や光の波模様と旧来からあるスモッキングの手法を重ね合わせて、タロウ ホリウチで重要な要素である過去と未来の融合を目指している。2017春夏コレクションに引き続き、「絞る」ことでボリュームやフォルムを変えることができるアプローチも。ひざの所でリボン結びができるパンツや、ウエストをベルトでまとめたトップスは、絞りの強さを変化させることで個性ある着こなしを可能にしている。スタイリングのアクセントとなるのは、有機的形状からインスピレーションを得たジュエリー。シルバーやホワイトの大ぶりのブレスレットや、スタッズのついたチョーカーが首や腕元で存在感を放つ。過去と未来を想いながら作り上げた現代の服に対して、普遍的な美しさを示すものであった。
2017年02月10日2月の二期会公演『トスカ』(プッチーニ)は、1900年ローマ歌劇場での世界初演時のデザイン画に基づいて忠実に再現された舞台装置と衣装が大きな話題を集めている。その注目公演で、トスカの恋人カヴァラドッシ役を歌う城宏憲。1年前の『イル・トロヴァトーレ』で、急遽の代役でマンリーコを歌って鮮やかな二期会デビューを飾り、一躍期待の若手テノールのトップ集団に躍り出た。二期会公演『トスカ』チケット情報「カヴァラドッシは初役ですが、アリアはコンクールなどでも何度も歌っているので自分としては身体になじんでいる、すごく距離の近い役。でも同時に、現代のテノールにとって、とても危険な役でもあります。現代は、より細かい演技が求められる時代。たとえば拷問の苦しみを想像するだけでも筋肉が硬くなりますよね。苦悩の表情の演技に引っ張られて、声も過度にドラマティックになる可能性がある。そうなると喉への負担を軽視できません。昔のように、オーバーなリアクションで気持ちよく歌うという解釈では、現代の『トスカ』は乗り切れないと思います」繊細さと力強さを併せ持つ、リリコ・スピントの役柄を得意とする。「イタリアのリリコ・スピントというテノールは、スピント寄りのリリコというよりは、両者を兼ね備えていたのではないかと思います。カヴァラドッシはまさに、役柄としても声楽的にも、ドルチェの甘い部分とエネルギッシュでヒロイックな部分が両立しています。そのふたつを、歌い分けるというよりは、行き来できるように演奏したいと思っています。エネルギッシュなだけで歌ってしまうと、優しい部分で声が落ちる。逆に、軽く歌ってしまうと、プッチーニの求めた壮大なオーケストラの波に飲まれてしまいます」テノールの醍醐味とも言えるハイC(高いドの音)には強いこだわりを持っている。「師匠のアルベルト・クピード先生からはよく、財布にいつもハイCを入れておけと言われていました。財布にシやドが入っているかどうかで、受けられる仕事が増えますから。フィギュア・スケートで言えば4回転ジャンプのようなもの。イタリアで師匠と1年以上発声だけを勉強して、それを手に入れることができたと思います」言葉を話すニュアンスで歌いたいというその声は実に自然で、無理な作り込みを感じさせない。1984年生まれの32歳。「イタリア人のように歌う、いや、イタリア人を超えなければいけない」。その視線は、洋々たる新たな地平を見据えている。公演は2月15日(水)から19日(日)まで東京文化会館 大ホールにて。取材・文:宮本明
2017年02月08日2月の二期会『トスカ』(プッチーニ)はローマ歌劇場との提携公演。1900年に同劇場で初演された際の舞台美術を忠実に再現した、大注目のプロダクションだ。公演に先がけ、演出のアレッサンドロ・タレヴィがその舞台づくりを語るイベントが催された(1月21日/東京・九段のイタリア文化会館アニェッリホール)。東京二期会オペラ劇場 G.プッチーニ『トスカ』 チケット情報タレヴィは南アフリカのヨハネスブルク生まれ。同地と、その後ロンドンのロイヤル・アカデミーで音楽を学び、2005年にロンドンのサドラーズウェルズ劇場で演出家デビュー以来、多くのオペラ賞を獲得している気鋭のクリエイターだ。今回の『トスカ』は、2015年3月にローマ歌劇場で新制作された舞台。イタリア国外に持ち出されるのはこれが初めて。上述のように、初演時の美術を再現しているのだが、それが可能だったのは、当時美術を担当したアドルフ・ホーエンシュタインの描いたスケッチが残っていたから。すべての幕の舞台装置はもちろん、衣裳についても、主役級だけでなく合唱まですべての役のスケッチが保存されており、そこには生地やボタンの素材などの細かい指示も書き込まれているのだという。タレヴィは言う。「長い年月の間に作られてきたさまざまな伝統を取り払うことができた」つまり、100年以上前の舞台に戻ることで、逆に新たに見えてきたものもあるのだという。例として挙げていたのが、豊かな色彩。たとえば第1幕の教会は、現代では荘厳に重々しく描かれるが、聖歌隊の衣裳を中心に、スケッチは軽やかな明るい光に溢れていた。タレヴィ自身、全員が衣裳を着けた最初の舞台稽古で、「まるで修復されたシスティーナ礼拝堂を見るようだ」と驚いたらしい。しかし、その明るさこそが、プッチーニの音楽にふさわしいという。オリジナルに戻ったのは美術だけではない。タレヴィは、プッチーニがスコアに細かく書き込んだト書も忠実に再現しようと試みたのだそう。100年の間に多くの歌手や演出家たちが無視するようになったト書も少なくなく、結果的に取捨選択はしたものの、プッチーニが舞台上の動きも実によく考えて作曲したことに、あらためて気づかされたという。私たちもまた、オペラ史に刻まれた名作の原風景を目の当たりにする機会になりそうだ。公演は2月15日(水)・16日(木)・18日(土)・19日(日)の4日間(15日(水)のみ18時30分開演、他は14時開演)。いずれも東京・上野の東京文化会館大ホールで。取材・文:宮本明
2017年02月02日