94歳の男性同性愛者に密着したドキュメンタリー映画『94歳のゲイ』が4月20日(土)よりポレポレ東中野にて公開。予告編とポスタービジュアル、場面写真が一挙に解禁された。かつて同性愛は“異常性欲”“変態性欲”だと公然と語られ、“治療が可能な精神疾患”とされてきた。1929年生まれの長谷忠さんは、誰かと交際したことも性交渉の経験もない。ゲイであることを誰にも打ち明けることなく、好きな男性ができても告白することもできない時を過ごしてきた。詩作を心の拠り所にしながら孤独の中で生きてきた長谷さんに訪れた大きな変化、90歳を超えて初めて経験する“出会い”と“別れ”。多くの悲しみを見つめてきたその心に去来する思いはーー。この度、解禁されたのは、若かりし頃のどこか緊張した面持ちの長谷さんと、ひとり静かに短歌を詠む現在の姿が対比されたポスタービジュアル。また、「セックスは一回もやったことない」という言葉から始まる予告編は、詩人として成功しながらも「ものすごく生きづらかった」と語る過去と、現在の日常生活が淡々と映し出され長谷さんの孤独な人生が浮き彫りになっていく。一方で、日本初の商業ゲイ雑誌「薔薇族」の元編集長である伊藤文学さんのインタビューなどで同性愛者たちが歩んできた歴史も語られ、作品の世界観を伝えている。そして、ラストは長谷さんが日々書き綴っている短歌からの引用「笑っておくれ、人の弱みを」という印象的な言葉で締め括られ、余韻が残る予告編が完成した。『94歳のゲイ』は4月20日(土)よりポレポレ東中野ほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:94歳のゲイ 2024年4月20日よりポレポレ東中野ほか全国にて順次公開©MBS/TBS
2024年03月03日『ゲイの決心』第1話。主人公・革(あらた)は同性パートナーである新(あらた)と一緒に、道ちゃんという女の子の里親として育児に奮闘中。ある日、家族で動物園へ遊びに行くのですが……。 楽しいはずのお出かけが一転… 同性カップルの革と新は、里親制度を介し道ちゃんという女の子の育児に奮闘していました。まだまだ社会からの理解が乏しく、同性カップルが家族を持つには楽な道ではなかったと言います。 数々の試練を乗り越え、得られたものの方がずっと大きいと感じる2人。初めての子育てに奮闘しながら幸せな日々を噛み締めるのでした。しかし、そんな2人の心を踏みにじるある事件が起こってしまうのでした。 ◇◇◇ 現在、日本の法律では同姓婚が認められておらず、婚姻届けを出すことができません。そのため、同性カップルが子どもを迎い入れるためには法律上夫婦であることが前提であり、親権を持ち子ども養育する「養子縁組」をすることがきません。しかし、養子縁組とは違い、親権を持たず一定期間預家庭内で養育する「里親制度」で子どもを持つ同性カップルが多いようです。 同性カップルは子どもを持つことができないということはありません。多様化する家族の形が進む現代、愛情があれば素敵な家庭を築くことができるのではないでしょうか。 著者:マンガ家・イラストレーター コハダさんさん
2024年02月11日2024年に開催される第96回アカデミー賞の国際長編映画賞に、フィリピンからゲイのアニメーターを主人公としたアニメ映画『Iti Mapukpukaw(原題)/The Missing(英題)』が出品されたことが分かった。フィリピン映画開発評議会がSNSで発表した。監督・脚本はカール・ジョセフ・パパ。長編アニメ映画を手掛けたのは初めてだという。主人公のエリックはフィリピンでアニメーターとして働きながら、ごく普通の生活を送っていた。マンションに住み、高収入の仕事に就き、好きな男性もいる。唯一目立つことといえば、「口がない」ということだけだった。ある日エリックは母からの電話で、音沙汰のないおじの様子を確認してきてほしいと頼まれる。おじがすでに亡くなっていることを知ったエリックは、なぜだか知っているような気がする異星人と出会う。異星人はエリックの記憶と感情を紐解く手助けをしてくれるのだった。エリックの声は『Seasons: めぐりゆく季節の中で』のカルロ・アキノ、母ロザリンダは、今年『逆転のトライアングル』でゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされたドリー・デ・レオンが担当。なお、日本からは同部門にヴィム・ヴェンダース監督×役所広司主演『PERFECT DAYS』が出品されている。(賀来比呂美)
2023年10月02日今年1月にTikTokでゲイであることを公表したノア・シュナップが、「Variety」誌のインタビューに応じた。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で長年にわたって演じているウィルのセクシュアリティが、カミングアウトの手助けをしてくれたと明かした。「ウィルがゲイであるということを完全に受け入れてから、自分自身でもそれを受け入れるスピードが急激に速くなりました」「ウィルを演じていなかったら、私は全く違う場所にいたと思います。ウィルが私を受け入れることを助けてくれたのです。あのキャラクターを演じていなかったら、私はいまだに“クローゼット”の中だったでしょうね」。ノアは11歳から「ストレンジャー・シングス」でウィル・バイヤーズ役を演じてきた。シーズンが進むにつれて明らかになっていったウィルのセクシュアリティに、ノアは視聴者からのポジティブな反応を感じる。「インスタグラムやTikTokに寄せられたコメントを見ると、ウィルがゲイであることに否定的な反応がなかったのです。彼がこれだけサポートしてもらえるのなら、ぼくが(カミングアウトしても)心配することはなにもないんじゃないかなと」。(賀来比呂美)
2023年08月09日毎年6月は「プライド月間」と呼ばれ、世界各地でLGBTQ+の権利を啓発する様々なイベントが行われる。今年1月、ゲイであることを公表したノア・シュナップ(「ストレンジャー・シングス 未知の世界」ウィル・バイヤーズ役)は、ニューヨークで行われた「プライド・マーチ」に初参加したという。ノアはインスタグラムにレインボー柄のヘアバンド、タンクトップ、リストバンドを身に着け、はしゃいでいる画像をアップして報告した。噴水で水しぶきを浴びたり、とにかく楽しそうなノアが写っている。マーチでは両親、友達と一緒にレインボーフラッグを振りながら歩いた。ファンから「ハッピー・プライド!」などのコメントが寄せられた。また、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン4でノアと共演したエイミーベス・マクナルティ(ヴィッキー役)から、「やった!ようこそ」と歓迎コメントの書き込みがあった。エイミーべスは、ノアより早い2020年にバイセクシャルであることを公表していた。1月にノアがTikTokでカミングアウトした際、同ドラマの共演者のフィン・ウルフハードは「動画を観た時、ただただ笑顔になっちゃった」と喜び祝福した。(賀来比呂美)
2023年06月27日「ストレンジャー・シングス 未知の世界」でウィル・バイヤーズを演じているノア・シュナップが、ゲイであることを公表した。TikTokに投稿した動画に、「18年もの間、クローゼットの中で怯えていた。そしてついに家族と友だちにぼくがゲイであることを伝えると、彼らはただ『知ってるよ』と言ったんだ」「ぼくは思ったよりウィルに似ているみたい」とキャプションを添えた。「ストレンジャー・シングス」のファンの間では、たびたびウィルのセクシュアリティが議論されてきた。シーズン4では、ノアが「People」誌に「視聴者は、モンスターや『ストレンジャー・シングス』のスーパーナチュラル的な面と戦うウィルの姿には慣れていると思う。でもこのシーズンでは、もっと彼の個人的な葛藤、アイデンティティへの葛藤が描かれている。それがみんなにとっても興味深いんじゃないかな」と語っていたように、ウィルのキャラクターをより掘り下げた。親友マイク(フィン・ウルフハード)に思いを募らせる描写もあり、ノアは「Variety 」誌とのインタビューで、「ウィルがゲイであるのは100%明らか」と明言していた。ゲイを公表したノアに対する反応は、「よかったね」「おめでとう」「ノアとウィルのカミングアウト?」「応援してるよ!」など。多数のメッセージが寄せられている。(賀来比呂美)
2023年01月06日ゲイの男子高生エディと、レズビアンの女子高生アンバーが、偏見が根強くある田舎町で“ニセモノの恋人”を演じるアイルランドの青春映画『恋人はアンバー』から、場面写真が一挙解禁となった。アイルランド映画というと、『シング・ストリート 未来へのうた』(2016)のジョン・カーニー監督を思い起こす人が多いだろう。アイルランドの都市・ダブリンを舞台に、地元の男とチェコからの移民の女が音楽を通して心を通わせていくラブストーリー『ONCE ダブリンの街角で』(2007)がアカデミー賞受賞をはじめ、サンダンス映画祭、ダブリン国際映画祭など世界各国で称賛を浴びた。同じダブリンを舞台に、ひと目惚れした女の子の気を引くためバンドを結成した男子高校生の心の成長を描いた『シング・ストリート 未来へのうた』も大ヒットを記録した。また、シアーシャ・ローナン主演、ジョン・クローリー監督の『ブルックリン』(2015)は、アイルランドの地方にある小さな町に住む女性が、渡米したニューヨークで出会った男性との恋によって自身の人生を大きく変え、アイルランドに帰郷すると運命的な再会が待ち受けているストーリー。こちらもアカデミー賞など名だたる賞にノミネートされ、絶賛された。ケルト文化のイベント「ケルト市」を主催する音楽プロデューサーの野崎洋子氏が「最後にポジティブなメッセージを受け取れる」と評し、名作揃いのアイルランド映画の流れを汲んだ最新作が本作『恋人はアンバー』。本作もアイルランドを舞台にし、ジョン・カーニー監督作品のように作中で流れる音楽がまた雰囲気を盛り上げるが、カーニー監督作品と大きく違うのは舞台が地方の小さな町であること。同性愛者への差別や偏見が根強く残る町で、“ニセモノの恋人”を演じることにした“男性に恋するエディ”と“女性を愛するアンバー”は、ぶつかり合いながらも、悩みや夢、秘密を打ち明けるうちに、唯一ありのままの自分で胸の内を語れる、かけがえのない存在になっていく。しかし、一緒に訪れた都会・ダブリンで、運命的な出会いによって新たな世界に触れた2人は、“理想的”だったこの関係にも終わりが近づいていることに気づくのだ。国内でもすでに、EUフィルムデーズなど3つの映画祭で上映され、観客たちから絶賛されている本作。本作をアイルランド代表としてEUフィルムデーズに提供した駐日アイルランド大使館からも、以下メッセージが到着。「本作品にはアイルランドの俳優や監督のすばらしい才能が余すところなく発揮されており、元気でユーモアあふれるアイルランドの若者たちの姿が描かれている。また、今年のEUフィルムデーズのテーマであるソーシャル・インクルージョン(※)にぴったりで、友情、他者を受け入れること、平等、多様性、周囲から浮いてしまうことを恐れず自分らしさを追求することの大切さ、といった普遍的な問題に焦点を当てている」。「アイルランドは、国民投票によって同性婚が合法化された世界初の国。アイルランドの価値観を海外に広める重要な要素として、ここ日本をはじめとする世界中でLGBTQの人々の平等な権利の支援にアイルランドが尽力していることを知ってもらいたい」。「また、日本の皆様がこの作品を楽しんでくれて、アイルランドやアイルランド人により親しみをおぼえてくれたらうれしい。作品を見ていただければ、世界中どこの国でも若い人たちが似たような問題を抱えていること、より平等で包括的(インクルーシブ)な世界を築いていく努力がいかに重要であるかということを感じていただけると思う」。『恋人はアンバー』は11月3日(木・祝)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。※ソーシャル・インクルージョン:社会的に弱い立場にある人を排除・孤立させることなく、共に支え合う社会。社会的包摂。(text:cinemacafe.net)■関連作品:恋人はアンバー 2022年11月3日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© Atomic 80 Productions Limited/ Wrong Men North 2020, All rights reserved.
2022年10月07日フランスに実在するゲイの水球チームを描いた映画『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』の新作『La Revanche des Crevettes Pailletees(原題)』が今年、日本公開(4月13日よりフランス公開)。この度、本作の全世界共通エンディング曲に、新進気鋭のシンガーソングライター・ビッケブランカの新曲「Changes」が決定した。クロアチアで開催されたLGBTQ+のスポーツの祭典ゲイゲームズに参加し、最高のゲームを繰り広げたゲイの水球チーム“シャイニー・シュリンプス”。病気を隠していたリーダーを亡くしてから2年が経ち、メンバーたちは追悼の意を込めて東京で開催されるゲイゲームズを目指す――。本作は、個性豊かな“シャイニー・シュリンプス”のメンバーが、LGBTQ+による世界最大のスポーツと文化の祭典「ゲイゲームズ」の開催国である日本へ向かう道中の大騒動を描き、笑いと感動のドラマを生み出すロードムービー。ビッケブランカの個性であるキャッチーなメロディーと美しいファルセットボイスが、映画のポジティブなテーマとどのようにリンクするのか期待が高まる。ビッケブランカのトレードマークである襟足をバッサリと切り、涙を流すジャケット写真も公開された。「Changes」は映画のフランス公開に合わせ、4月13日(水)より全世界配信リリースされる。『La Revanche des Crevettes Pailletees』(原題)は2022年、日本公開(4月13日フランス公開)。(text:cinemacafe.net)■関連作品:シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち 2021年7月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ ほか全国にて公開© LES IMPRODUCTIBLES, KALY PRODUCTIONS et CHARADES PRODUCTIONS
2022年04月01日映画『彼女が好きなものは』が12月3日より公開される。自分はゲイであると自覚する一方で、異性と結婚し、子を持ち、家庭を築く夢をあきらめきれない男子高生・純。彼はある日、クラスメイトの紗枝がBL好きの腐女子であることを知る。紗枝はいつしか純に好意を抱き、純もまたもしかしたら自分も異性を好きになれるかもしれないと願って、紗枝と付き合いはじめる。普通ってなんだろうか。人と人が理解し合うとは、どういうことだろうか。さまざまな問いを投げかけながら、純と紗枝の物語は、美しく、優しく、いとおしいラストシーンへと昇華していく。同性愛者の主人公・安藤純を演じるのは、神尾楓珠。さじ加減を誤れば、誰かを傷つけるかもしれない難役に、22歳の若手俳優はどう向き合ったのだろうか。純があきらめていたのは、それが世界を簡単にする方法だったから「この作品を受けるまで、セクシュアルマイノリティに対する自分の意見というのが特になかったんです。なんだろう。誰が誰を好きでも、どっちでもよくない?っていう感覚でした」言葉少なに、そう神尾楓珠は話しはじめる。もちろん今、LGBTQと言われるセクシュアルマイノリティについて、社会的な関心が集められていることは知っている。だけど、当事者ではない自分にとっては、少し遠い出来事のようにも思えた。それが、まだ安藤純を演じる前、ひとりの20代の青年である神尾楓珠のリアルな気持ちだった。「映画の中で、純のクラスメイトたちが同性愛について話す場面があるんですけど、たぶんあそこに純を演じる前の僕がいても何も発言しなかったと思う。別に否定する気もないし肯定する気もない。語る言葉が何もないという感じでした」そんな神尾楓珠が、なぜ安藤純を演じることになったのか。プロデューサーからは「世捨て人感が(純に)似ている」と言われたという。「それを聞いて、確かになと。純ってどっかあきらめているような部分があるじゃないですか。そこは自分にちょっと似ているのかなと思いましたね」無邪気に戯れる高校生たちの中で、普通に擬態して生きる純。その目は、確かにどこか冷めている。なぜ純はあきらめなければいけなかったのか。そう問うと、神尾楓珠はこの作品のキーとなる台詞を引用して答えた。「たぶんそれが純にとって“世界を簡単にする”方法だったんだと思う。純が円滑に人生を歩むための手段だったんじゃないかなって。あの台詞はすごい刺さりました。すごいですよね。そんな表現の仕方があるんだって思いました」演じていると、ありもしない思い出が甦るときがある純を演じる上で、最も大きな山場となったのが、山口紗弥加演じる母との病院の場面。息子が同性愛者であると知った母は、自分も若い頃は同性の先輩に憧れがあったと語る。そんな母に、純は猛反発する。神尾自身が、「今までやってきた中でも、あの感情の大きさは結構上位レベルでした」と振り返るほど迫真のシーンだ。「お母さんは慰めのつもりで言ったのかもしれない。その優しさもきっと純だってわかってないわけじゃないと思うんです。だけど、あの状況で言われたら、最初に出てくるのは怒りだろうなって。なんだよ表面しか見てないじゃんって。そうなる純の気持ちは自然と受け入れられました」もし神尾楓珠として読んでいたら、その母の言葉には引っかからなかったかもしれない?そう尋ねると、「そうかもしれない」とうなずいた。「あのシーンをやっているとき、なんか浮かんできたんですよ。山口さん演じるお母さんと過ごした親子の思い出みたいなのが、頭の中に。もちろん、実際には経験してもいない、台本にも描かれていないことなんですけど。演じていると、そういうありもしない思い出が甦ることがたまにあるんです」それくらい、その瞬間、神尾楓珠は安藤純になっていた。自分は当事者ではない。素の自分とは距離があると思っていた安藤純に、いつしか体と心が同化していた。「僕は演じるときは完全理論先行というか。いろいろ考えて、計算して、やっていることが多いんですけど。親友の萩原利久が感情型で。1回聞いたんです、『なんでそんな感情でいけるの?』って。そしたら『別に考えていないわけじゃない。計算した上での憑依だから』って言ってて。なるほどな、計算だけじゃダメなんだと思いはじめて。特に今回の場合は、計算はするけど、現場に入ったら1回全部忘れて、役に入るっていうことを大切にしていました」きっとあの病院の場面は、理論型の神尾楓珠が完全に安藤純に憑依していた。安藤の叫びに、多くの人が胸を引きちぎられるような気持ちになるだろう。「そのシーンが終わったあと、スタッフさんがモニター越しで泣いていたって聞いて。それはすごいうれしかったです。そんな経験、なかなかできないじゃないですか。ちゃんと没入すれば伝わるんだと思ったし、演じるときにこのぐらいでいいやなんて妥協してたらダメなんだなとも思った。思い出のシーンですね」簡単に理解があるとか言っちゃいけない『彼女が好きなものは』は、ゲイの安藤純と、BL好きの三浦紗枝の物語だ。恋愛とも友情とも違うような、2人の名前のない関係性について、神尾楓珠は何と名づけるだろうか。「最終的には“同志”だなと思います。2人とも周りにわかってもらえないという悩みがあって、本当の自分を隠していて。その1点でつながって、一緒にいる。それをなんて呼ぶんだろうと思ったら、もう“同志”しかないなと」紗枝について語るとき、神尾楓珠の言葉は自然と純の目線になる。それは、神尾楓珠が安藤純の人生を生きた証拠のように思えた。「純からしたら、紗枝は恩人じゃないですか。純は別に紗枝を助けてあげられているわけでもないのに、なんで紗枝はそんなに何回も何回も助けてくれるんだろうって。釣り合ってないんですよね、純がもらうばっかりで、紗枝には何もあげられていない。だからなんで一緒にいるんだろうって、ちょっと不思議だったんです。それはもちろん紗枝が純のことを好きだからというのが大きいかもしれないけど」なぜ純と紗枝は一緒にいるのか。神尾自身が抱いた疑問に、「どうしてだと思いますか」と尋ねてみた。すると神尾は少し考えて、まるで体のどこかに残っている三浦紗枝のぬくもりを探るようにこう話した。「最初は、純も自分が女の子を好きになれるかどうか実験みたいな感じで紗枝を利用したところがあったんですけど。きっと紗枝の見返りを求めないところに惹かれたんだと思うんですよね。確かに紗枝は純にとって恋愛対象ではないかもしれない。だけど、人生におけるターニングポイントというか、純が変わるきっかけをくれた人だと思います」人の関係は、男とか女とか、恋愛とか、友情とか、そういう世界を簡単にする言葉でわかりやすく線を引かれていく。でもきっと、世界はそれだけじゃない。世界はもっと複雑なのだ。「2人を見て思ったのは、性別関係なく、わかり合えることがあるんだなということ。この2人は口だけの理解じゃなく、ちゃんとお互いを理解できたから、ああいう関係になれた。それができたのは、自分のことを理解してもらおうとする気持ちだったり、相手のことを理解したいという気持ちだったり、そういうのが一緒だったからなんじゃないかなって」神尾楓珠は決して口数の多いタイプではない。でも何か自分の言葉で話そうとするときは、不器用そうに、でも真摯に、一生懸命、言葉を紡いでいく。純と紗枝について話す神尾楓珠の言葉には、伝えたいという気持ちが溢れていた。そこにはもう「誰が誰を好きでも、どっちでもよくない?っていう感覚でした」と傍観者の立場でいたかつての自分はいなかった。「この作品をやって思ったのが、簡単に理解があるとか言っちゃいけないなっていうことでした。自分が優しさのつもりで言った言葉が、誰かを傷つける可能性がある。何がトリガーになるかわからないということをわかっていなくちゃダメだなと。でもその上で、純と紗枝みたいに、相手をわかりたい、わかろうとする気持ちがあれば、きっとわからない者同士でも生きていけるんじゃないかなって気がします」楽しいと思える限りは、この仕事を続けていきたい俳優デビューから6年。22歳の神尾楓珠のもとには次々とオファーが舞い込んでいる。けれど、意外なことに本人は「根本的に、性に合ってるとは思ってないんですよ」と役者業について語る。「根暗だし、面倒くさがりだし。高校のときとか、声を出すのも面倒くさくて。そんな日は、今日は1日誰とも喋らないって決めて。教室で話しかけられても、無言でリアクションだけするみたいなこととか普通にありました(笑)」だから、華やかなスポットライトを浴びている自分に、今でも違和感を覚えるときもある。「去年、最初の緊急事態宣言が開け、仕事が再開したときとか、もうこの仕事には戻れないって本気で思いました。自粛期間中は完全に仕事を忘れて普通に生活してたから。周りの目も気にせずすんだし、自分のやりたいことだけやって、すごく楽しくて。それが急にまた仕事ですってなったとき、窮屈だなって感じがして。このまま仕事できるかなって悩んだ時期もありました」それでも、神尾楓珠は今日も分刻みのスケジュールをこなしている。彼がまだ俳優・神尾楓珠でいるのは、知ってしまったからだ、この仕事の楽しさを。「僕は普段から自分の感情とかあんまり出ない方なんですけど。それを思い切り出せる場所が、芝居。演じていると、自分の知らない感情が出ますし、自分が今までやったことのないような表現が出てくるときもある。そういうのが楽しくて、辞めずに続けているっていう感じです」今でも自分の演技は「下手くそだなって思う」と言う。でも、経験を積んで「前よりは多少自信を持ってできるようにはなりました」とも。欲や野心はない。焦らず、気張らず、自分のペースで進んでいければいい。素の神尾楓珠は、ミステリアスな外見に不似合いなほどマイペースな22歳だ。「あんまりこんなふうになりたいというのはなくて。それよりも楽しんでやれるのがいちばん。何かになったり、何かをなしとげたりすることよりも、自分の人生が楽しくなることの方が大事だから。楽しんでやれる限りは、この仕事を続けていこうと思っています」ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント神尾さんのサイン入りポラを2名様にプレゼント!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!撮影/奥田耕平、取材・文/横川良明
2021年12月07日話題のドラマや映画への出演が続いている神尾楓珠さん。12月3日には、主演映画『彼女が好きなものは』が全国公開。神尾さんが演じるのは、自分がゲイであることを周りに悟られないように暮らす、高校生の安藤純。この作品は、’19年に『腐女子、うっかりゲイに告る。』のタイトルでドラマ化もされた、浅原ナオトの小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』が原作だ。これまであった感情が、台詞として初めて言語化できた。「純役のお話をいただいた時は、原作を読んだことも、ドラマを見たこともありませんでした。最初は設定を聞いただけだったので、自分がこの役を演じることに対して、当事者の方がどう感じるのだろうとか、正直不安もあって…。でも脚本を読んでみると、純が抱える生きづらさや、社会のリアルな状況などが真摯に描かれていることがわかり、この役ときちんと向き合えばきっと大丈夫と思えるようになったんです」物語は、BL好きの同級生・三浦紗枝(山田杏奈)が、純のセクシュアリティを知らずに彼を好きになることから大きく動きだす。純には、いつか異性と家庭を築けたらという諦めきれない思いもあり、紗枝の好意に戸惑いつつも、付き合うことを決意する。そんな複雑な内面を抱える純を演じた神尾さんについて、草野翔吾監督は「話すまでもないほど純を自分のものにしていて、最初からほぼ完璧だった」と評している。「純は、周りの目を気にしながら生活していて、友達にも心を開ききれずにいます。ともすると、か弱い人物像として演じてしまいそうですが、純は自分の芯をしっかりと持っている人でもあるので、そこを大切に、弱々しく見えないように意識しました。ただ今回の役柄は、自分の中ですぐには定まらなくて…。純は、三浦さん、友達、同性の恋人など、相手によって、目線の送り方とか話し方が変わるんじゃないかと。そう感じていたこともあって、立場が違う人とそれぞれ演じてみて、ようやく完全に『掴めた』と思えました」この作品には、さまざまな立場や価値観の人物が登場し、その違いによる苦しみや、それを超えて互いに理解しようとする姿が描かれる。紗枝が自分を“腐女子”と記号化しようとした時に純が放つ、「複雑なことを無視して、世界を簡単にしたくない」という言葉も印象的だ。「そういう純の気持ち、わかります。僕も誰かを一方的に括ったり、決めつけたりしたくない。これまでもそんなふうになんとなく思っていましたが、今回台詞として言ってみて、初めて言語化されたような感覚です。あと、この役をとおして改めて感じたのは、周りの目が気になるのは仕方ないけれど、それでも自分らしく生きようとすることの大切さです」そんな神尾さんが思う、自分らしさを保つために必要なこととは?「いいところだけでなく、弱い部分も全部含めて、自分自身を受け入れることじゃないでしょうか。あとは、自然体でいること。役者の仕事にしても、あまり肩肘張らずに、やっていけるのが一番かなと思います」『彼女が好きなものは』ゲイであることを隠して生きる高校生の安藤純と、BL好きの三浦紗枝。二人は付き合い始めるが、幸せそうな紗枝に対し、純の思いは複雑で。監督・脚本/草野翔吾出演/神尾楓珠、山田杏奈ほか12月3日より全国公開。©2021「彼女が好きなものは」製作委員会かみお・ふうじゅ1999年1月21日生まれ、東京都出身。2019年、ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』に出演。’21年は本作含め、4作の映画に出演し、’22年には主演映画『20歳のソウル』が公開予定。ニット¥72,600パンツ¥45,100シューズ¥75,900(以上ISABEL MARANT HOMME/ISABEL MARANT TEL:03・5469・7110)※『anan』2021年12月8日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・寒河江 健ヘア&メイク・菅井彩佳インタビュー、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2021年12月06日「LGBT」という言葉を聞くことが増えたり、ジェンダーレスな人たちの活躍を目にしたりする機会が増えていませんか?「性の多様性」とはいうけれど、子どもたちにどうやって教えてあげればいいのか、悩んでいる人は多いのではないでしょうか?今回は、長崎県人権・同和対策課が発行する「多様な性への理解と対応 ハンドブック」を元に、親だからこそ知っておきたい性の多様性について、考えてみたいと思います。■性の多様性って?一般的に「性別」とは生まれ持っての性差を指します。「性別」では、男性か女性の2択だけですが、現代には、「性のあり方」を理解するために必須な3つの要素をご紹介します。<性のあり方を理解するための3つの要素>からだの性別:からだ(出生届・戸籍)の性性的指向:どういった対象を好きになるか?性自認:自分の性別をどう捉えているのか?これらの要素の組み合わせによって、さまざまなセクシュアリティが存在します。その他にも、性自認や性的指向がはっきりしない人、決めたくない人、女性とも男性とも認識していない人など、さまざまな性のあり方が存在します。この3つの要素を元に考えてみると、自分の性に違和感がない人や異性を好きになる人といった多数派の人もまた、多様な性の当事者であることがわかります。「多数派か少数派か」という2択ではなく、みなが多様な性の当事者だという事実を一人ひとりが受け止めていくことから「多様性」について考えてみるといいかもしれません。■性的少数者はどんな悩みを抱えているの?2020年に電通が行った調査(※1)によると、性的少数者は日本のなかでは8.9%という結果に。その他の調査でもおおむね10%程度の結果が多く(※)、およそ10人に1人が性的少数者であることがわかります。※国や民間の研究機関などによる統計データは、その数にばらつきがあり、はっきりしていません。2019年に長崎県が実施したアンケートから、人数の少なさや偏見、理解のなさから、生きづらさを抱えている人の実態が明らかになりました。アンケートに回答いただいたのは、トランスジェンダー85名(*1)、非異性愛者168名(*2)、性別違和感のない異性愛者435名、性的少数者 253名で、回答者は688名になります。*1トランスジェンダーの中には、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル等の性的指向の方もいますが、この調査では、そのような方も含めてトランスジェンダーに分類しています。*2本アンケートにおいて、性別違和感がなく、異性愛者以外の性別指向を選択された方このアンケートの結果によると、トランスジェンダーで43.5%、非異性愛者では45.8%の方が、「性的少数者であることが要因で暴力などを受けた経験がない」と答えています。逆をいえば半数以上の回答者は暴力などのつらい経験をしていることになり、その割合の高さには驚かされます。また、6割以上の方が、「学校の同級生・先輩・後輩など」から暴力などを受けたとしています。そして一番の理解者であってほしい家族である「父母」からの暴力などが3番目に高く、つらい現状がうかがえます。さらに、「死んでしまいたいと思ったことがある」と回答した人が、トランスジェンダーで61.2%、非異性愛者で51.8%にも上り、続いて多かったのは、「将来に希望を持つことができない」という回答でした。性的少数者であるという事実だけが影響したかどうかははっきりしませんが、この数値は非常に高く感じられます。性的少数者の人たちが抱える苦悩の一端が読み取れます。■覚えておきたい心構え3つ親としては、子どもにそうした様子が見られた場合も想定した対応の仕方として、リーフレットでは3つのアドバイスが送られています。【大切にしたいこと】●肯定的な言葉を使う●カミングアウトを肯定的に受け止める●アウティング(他言)しない具体的にどのようにすればいいのでしょうか?▼肯定的な言葉を使う性自認や性的指向を表現する言葉が多くある中で、中には性的少数者が不快に感じてしまう否定的な言葉もあります。<差別用語の代表例>「普通の人」や「ホモ」、「オカマ」、「オネエ」、「レズ」、「オナベ」、「ニューハーフ」<肯定的な言葉>「レズビアン」、「ゲイ」、「バイセクシャル」、「トランスジェンダー」これまで意識せずに使ってきた言葉には、その気がなくても相手を傷つけてしまう可能性があります。こういった情報をきちんと自分の中で取り入れていくことの必要性がわかります。▼カミングアウトを肯定的に受け止める自身の性自認や性的指向を他の人に打ち明けることを「カミングアウト」といいます。カミングアウトは大変勇気がいるため、信頼している相手だからできる場合が多いようです。だからこそ、もしカミングアウトされたら、肯定的に受け止めてあげましょう。▼アウティング(他言)しない「アウティング」とは、他人の性自認や性的指向を本人の許可を取らずに他の人に話すことをいいます。当事者が意図しないところで、個人のセクシュアリティが知られてしまうと、当事者が傷つき、精神的に追い込まれてしまう可能性もあります。SNSなどでの発信にも十分に注意したいですね。ここまで、性の多様性について、長崎県が発行したリーフレットを元に学んできました。性的少数者の中には、幼少期に学校や家庭の中で理解してもらえず、つらい思いをした人が多くいることもわかりました。性的少数者が自分の性別に違和感を自覚しはじめる時期については、56.6%が「小学校入学以前」だというデータ(※2)もあり、幼い頃から自らの性について思い悩んでいる子どもが多いことがわかります。そうした子どもたちに対して、周囲の大人がどのように受け止めるかは、その子どもの将来にも大きく影響してくるといえそうです。また、子どもに正しい知識と対応方法を教えてあげることで、子ども自身にも差別意識がなくなり、多様な性を柔軟に受け止められることにつながります。まずは親が知識を身につけ、子どもたちにも伝えていくことで、多様な性が当たり前の社会を、軽やかに進んでいってくれることでしょう。【多様な性への理解と対応 ハンドブックとは】長崎県では、多様な性のあり方への理解を深める一環として、県内の性的少数者支援団体「Take it! 虹」(ていく いっと にぃじぃ)と協働して、性の多様性に関する正しい知識や対応などについて、わかりやすく解説したハンドブックを作成。このハンドブックは「令和2年度人権啓発資料法務大臣表彰」の「出版物部門」において「優秀賞」を受賞。長崎県: 「LGBT等(性的少数者)について正しい理解をしましょう」 ※1.データ参照元:電通ウェブサイト 「電通、「LGBTQ+調査2020」を実施」 ※2.データ参照元:公益社団法人 日本小児保健協会 「性同一性障害と思春期」/中塚幹也
2021年11月05日実在するゲイの水球チーム“シャイニー・シュリンプス”を題材に作られたフランス映画『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』。7月9日(金)からの日本公開を目前に、本作の続編の製作が決定。今度は“シャイニー・シュリンプス”たちがドンチャン騒ぎをしながら、日本を目指すことが分かった。実在する“シャイニー・シュリンプス”のメンバーたちが自分らしく人生を謳歌する姿に、早くもSNSでは「彼等に自分らしく人生を謳歌するヒントをもらった」「お調子者で個性豊かなシュリンプたちがとっても可愛くて元気をもらった!」「こんなに楽しくて、最後に良い気分で終われる映画は何年振りだろう!!」と、元気付けられる人が続出。2019年5月、フランスで公開されたフランス語映画(続編を除く/2019年5月8日~12日BOX OFFICE MOJO調べ)で初週動員数No.1を記録した本作。この大ヒットを受けて、早くも続編が始動。「日本で映画を作ることは夢のよう」7月9日(金)公開の1作目と同じく続編のメガホンをとるセドリック・ル・ギャロ監督は、「この映画は、フランスで大成功を収めました。出演者全員とマキシム(監督)を連れて、3ヶ月間、フランス国内のプレミアや映画祭を回りました。たくさんの愛とスタンディングオベーションをいただきました。また、フランスを代表するコメディ映画祭『Festival de l’Alpe d’Huez』では、審査員特別賞を受賞しました」と1作目が公開されたことをふり返る。と同時に、「今回、"The Shiny Shrimps "はゲイゲームのために東京に行くのですが、乗り継ぎ便に乗り遅れてしまい、LGBTQ+にフレンドリーな国ではないロシアの真ん中で立ち往生することになってしまいます」と続編のストーリーを明かした。1作目では、シャイニー・シュリンプスの面々がLGBTQ+が集う世界最大のスポーツと文化の祭典「ゲイゲームズ」の開催国・クロアチアを目指す物語が描かれるが、続編でもシャイニー・シュリンプスの賑やかな面々が再集合し、今度は日本で行われるゲイゲームズに向かいながら様々なトラブルを巻き起こし、またもや彼らのドタバタなストーリーが描かれるようだ。共同で監督を務めるマキシム・ゴヴァールは、「『ロスト・イン・トランスレーション』や『キル・ビル』など、日本で撮影されたアメリカ映画に影響を受けてきた監督としては、日本で映画を作ることは夢のようなことです」とコメント。日本で撮影された数々の名作への思いを馳せ、「何よりも、私たちのシャイニー・シュリンプスのメンバーが地球の裏側に旅をし、彼らの発信するメッセージがあなた方の活気溢れる国に響き渡ることを想像すると、本当に誇りに思います」と、続編への意気込みを語った。この秋には日本での撮影も予定しており、ギャロ監督は「この新しい冒険の一部を撮影するために、秋に日本に行くことを大変楽しみにしています!」と期待のコメントを寄せた。『シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち』はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:シャイニー・シュリンプス!愉快で愛しい仲間たち ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ ほか全国にて近日公開© LES IMPRODUCTIBLES, KALY PRODUCTIONS et CHARADES PRODUCTIONS
2021年07月07日近年、世界ではセクシュアリティの多様性について理解することの大切さが求められてきています。しかし、自分がLGBTQ+(性的少数者)であることを家族や周りの人に打ち明けるのは、多くの人にとってやはり勇気がいることなのかもしれません。孫がゲイだと知った祖父の思いは同性愛者であるトラヴィスさんは祖父に自分がゲイであることを打ち明けました。彼はカミングアウトをした後に祖父からもらった返信をTwitterに投稿。大きな反響が上がっています。finally came out to my grandpa and his response is so pic.twitter.com/Tec7DarfA2 — trav (@chipotletwink) March 2, 2021 トラヴィス、きみは「ついに打ち明けた」というと思うけど、私たちは何年も前からそうじゃないかと気付き始めていたよ。これは簡単に隠せることではないし、だからといって私たちが聞き出すことでもなかった。ママがいったとおり、私たちは気にしない。きみを愛しているし、きみに幸せでいてほしい。きみが人生で選んだことがどんなことでも、成功を祈って応援するよ。私はただ、きみに自分を過小評価してほしくないんだ。もし私たちにこの話題を切り出すことに不安やストレスを感じていたとしたら、本当にすまなかったね。これまでに何度も、悩みがあったら何でもおじいちゃんに話していいんだよと伝えてきたつもりだったんだ。2021年になっても、きみたちの進む道は厳しいものになるかもしれない。批判や偏見に直面する可能性が少ない異性愛者のほうがずっと生きやすいからね。エンリケはとてもいい人そうだね。うちに連れてくるならいつでも歓迎するよ。愛しているよ。@chipotletwinkーより引用(和訳)この投稿には22万件を超える『いいね』が集まり、トラヴィスさんへの祝福と共感の声が相次ぎました。・おめでとう。幸せになってくれ!・これが無償の愛ね。おじいさんがあなたのことを誇りに思っているのが伝わる。・泣いてしまった。こんなおじいさんが欲しい。トラヴィスさんはおじいさんからのメールを紹介した後、恋人のエンリケさんとのツーショット写真を投稿しました。and this is my amazing boyfriend enrique @Onrickk pic.twitter.com/cE4N3qKViH — trav (@chipotletwink) March 3, 2021 トラヴィスさんによると、父親に打ち明けた時はいい結果にならなかったのだそう。それだけに祖父の思いには感謝しているといいます。かわいい孫へ、どんなことがあっても変わらない愛情とサポートを伝えた祖父。大好きな祖父が味方になってくれたことは、トラヴィスさんにとって自分らしく生きるための大きな支えとなることでしょう。[文・構成/grape編集部]
2021年03月10日小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』が『腐女子、うっかりゲイに告る。』の題名でドラマ化され話題となった浅原ナオトさん。新作『#塚森裕太がログアウトしたら』は、高校のバスケ部のエースの塚森裕太がインスタでゲイだと告白、そこから広がる波紋を、さまざまな立場の視点から、同じ時間軸のなかで繰り返し描く青春小説。学校の人気者が突然カミングアウト。周囲、そして本人の心の揺れの行方。「最初の構想として、何か大きな出来事があり、そこから巻き起こる小さな世界の話、というのがありました。カミングアウトって、告白したら終わりではない。そこから後に引く部分を書いてみたかった」視点人物を担うのは彼の告白を迷惑に思う同じ学校の隠れゲイの生徒、学校の教師、塚森のファンの後輩女子、ゲイに嫌悪感を抱くバスケ部の後輩、そして塚森本人だ。「隠れゲイの子は、違う立場の当事者として出しました。大人の視点も入れたくて教師を書きましたが、この人は相手の属性にとらわれているタイプ。ファンの後輩は、自分に自信がなくて塚森の存在に依存してきた子。バスケ部の後輩は、今はカミングアウトを受け入れる人が多いけれど、それができず逆にマイノリティとなって疎外感を抱く人物です」互いと接点を持ち、相互作用しながら自分と向き合っていく彼ら。最後に登場する塚森本人に関しては、「人気キャラだけど、実は無理している。その無理を書きたかった。SNS時代の今はみんながいろんな顔を持っているし、人は場面場面によって違う顔を持っていて当たり前。ただ、ゲイは人より仮面の数が多いというか、仮面に厚みがあって、自分を偽っている感覚がある。それと、塚森は人を好きになることに罪悪感がある。人に弱みを見せたくない部分もありますが、彼にとって人を好きになることは弱みなんです」登場人物みんなにとって大切なのは、人に認められることより、自分で自分を認めること。「自分を認める」と「自分が好き」は少し違って、「自分の手札に納得できなくてもそれで戦おうとするのが“認める”で、最初から強い手札を持っていると思えるのが“好き”という気がします。塚森の場合、強い手札を持っていると見せかけてきたんです」そんな塚森はじめ、脇役も含め、全員の変化に胸が熱くなるはず。『#塚森裕太がログアウトしたら』成績優秀、容姿端麗、性格の良さも評判のバスケ部のエースがSNSで同性愛者だと告白。周囲のさまざまな反応、そして塚森の本心は…。幻冬舎1400円あさはら・なおと小説投稿サイト「カクヨム」に『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を投稿、’18年に書籍化。『腐女子、うっかりゲイに告る。』としてドラマ化された。他の著作に『御徒町カグヤナイツ』。※『anan』2020年12月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年12月22日レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアルマイノリティ(性的少数者)を表わす、LGBTQ。日本では、ひと昔前に比べるとLGBTQに対する認知が進んでいるようですが、周囲の人からの偏見や差別に苦しむ当事者はいまだ多くいます。ゲイの少年がサンタへ『願ったこと』アメリカに住む、ゲイの少年がサンタクロース宛てに書いた『手紙』が反響を呼んでいます。USPS(アメリカ合衆国郵便公社)が毎年クリスマスの時期に行っている、サンタ宛ての手紙を子供たちから募集するイベント、『オペレーション・サンタ』。『ウィル』というゲイの少年は、このオペレーション・サンタに1通の手紙を送ります。そこには、少年からサンタへの切実な思いがつづられていました。USPS Operation Santa®スクリーンショットサンタさんはLGBTQを支持してくれる?もしもサンタさんが神様と話すことができたら、「僕は神様を愛している」と伝えてくれますか。そして、僕が『ゲイ』でも神様は愛してくれるのか、聞いてもらえませんか?USPS Operation Santa®ーより引用(和訳)おそらく少年は、ゲイであることに孤独を感じ、神様へ聞くことで『ありのままの自分でも愛されること』を確かめたかったのでしょう。その後、手紙を偶然見つけた女性が「この手紙は、私の心を揺さぶりました」というコメントとともにTwitterへ投稿。すると、投稿はまたたく間に拡散され20万件以上の『いいね』がつき、このような声が多数寄せられました。・今すぐこの子をハグしてあげたい。誰と戦えば、この少年を守れるのかしら…。・もちろんよ。サンタさんはきみのことを愛しているし、神様だってきみを心から愛しているよ。・一番心が痛むのは、この子が必要とする愛情を受け取れていない可能性があること。僕たち大人はこの問題を見逃しちゃいけない。幼い少年の抱えていた『偏見や差別への不安』に、多くの人が考えさせられました。誰が誰を愛そうが、それは個人の自由。本当は、そこに多数派も少数派もないはずなのです。少年と同じ想いの子供たちが、もう二度とサンタへこんなお願いをしなくてもいいような社会を、私たち大人は目指していきたいものです。[文・構成/grape編集部]
2020年12月03日ごく普通の主婦がドラァグクイーンとゲイバーを再建するハートウォーミングストーリー『Stage Mother』(原題)。この度、邦題を『ステージ・マザー』として日本公開されることが決定、そのメインカットが到着した。ストーリーテキサスの田舎町に住むごく普通の主婦メイベリンは、ある日息子リッキーの訃報を受ける。長らく疎遠だった息子の最後を見届けるため、夫の反対を押し切りサンフランシスコへ。そこで、リッキーのパートナーであるネイサンから、息子がドラァグクイーンでゲイバーを経営していたことを知らされる。さらに、遺言を遺さずに他界したため、バーの経営権は母親のメイベリンにあること、そのバーが破綻寸前の危機にあることが発覚。彼女は困惑しながらも、愛する息子の遺したゲイバーを再建するために立ち上がるが…。実力派キャストが集結本作の主演を務めるのは、『アニマル・キングダム』や『世界にひとつのプレイブック』などで知られるジャッキー・ウィーヴァー。さらに、『キル・ビル』や『チャーリーズ・エンジェル』シリーズのルーシー・リュー、ドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」や『プラダを着た悪魔』のエイドリアン・グレニアーなどが脇を固め、トランス女性の俳優マイア・テイラーが、同じくトランス女性のドラァグクイーン・チェリー役を演じている。プロデューサーは『キッズ・オールライト』やNetflix映画『シカゴ7裁判』を製作したJ・トッド・ハリス。今回届いたメインカットは、メイベリンが両手を上げて歓喜の表情を浮かべている姿を切り取ったもの。自分らしさとは何か、生きるとは何かを見つめ直し、あらゆる偏見を乗り越えてチャレンジすることで見えてくる、新たな希望と友情を描く心温まるストーリーに期待が高まる。『ステージ・マザー』は2021年2月よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ステージ・マザー 2021年2月TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.
2020年11月05日12月にオンライン開催される「東京コミックコンベンション 2020」にゲイテン・マタラッツォとケイレブ・マクラフリンが参加することが決定した。今回2人が参加するのは、セレブエリアにて行われるサイン会。ゲイテンは、Netflixで配信中の「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で主要キャラクターのひとり、ダスティン・ヘンダーソンを演じている18歳。インディーバンドの「Work In Progress」ではリードボーカルを担当しており、まさにいま注目すべき俳優のひとり。そしてケイレブもゲイテンと同じく、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」にて主要キャラクター、ルーカス・シンクレアを演じており、舞台経験も豊富な近年、注目を集めている若手俳優だ。「Tokyo Comic Con World」セレブエリアで直筆サイン予約を行うほか、録画による日本のファンに向けたコメントムービーの公開も予定されている。なお、直筆サイン予約チケットの発売は、それぞれ10月20日(火)を予定している。「東京コミックコンベンション 2020」は12月4日(金)12時~オンラインにて開催(一部中継先で幕張メッセを予定)。(cinemacafe.net)
2020年10月19日悩める女性たちからのリアルなSOSに、ゲイの精神科医・Tomyさんがお答えします!オネエ口調でズバッと切り込み、解決へ導いてくれる言葉の数々には、自分らしく生きるヒントがいっぱい。他人で穴埋めしない。そして執着を手放す。生きていると悩みや不安は尽きない。“自分はダメ人間”と、存在を否定したくなることも。「なーに言ってるの、本当にダメな人は自覚も反省もないわ。自覚してる時点でもう、アナタが思うより、アナタはずっと素敵よ」と、精神科医のTomyさん。悩みを吹き飛ばすつぶやきが評判のツイッターは17万フォロワー超。一人一人の心に寄り添い勇気を与えている、新時代の聖母的存在!「自己肯定感を高めるには、自分の足りない部分を他人で埋めないこと。自ら試行錯誤するのはいい。でも他人の存在で穴埋めしちゃ絶対ダメ。自分の本心とガチで向き合うのよ。そして、生きるって、いろんなことを処理しながらバランスとってやっとできること。たとえ努力が実らなくても、精一杯やるだけでスゴイの。執着心が不安や不満を生むわ。時には手放すことも必要なの。なるようになると思うだけで、少しラクになるわよ。今を大切に、自分に素直に生きることから始めてみて。これは誰にでもできることよ」メンタル強化のカンフル剤。精神科医Tomyのお悩み相談室HELP1家庭環境を考慮してもらい、地方から東京へ転勤。そのことで、仕事内容は大好きなことから離れてしまうことに。でも、半年経った今も、地方でやっていた仕事をもう一度やりたい気持ちが増すばかり。自分がなぜここにいるのか、モヤモヤが消えず悩んでいます。(31歳・会社員)【ANSWER】半年で決めつけるのはあまりに時期尚早。石の上にも三年よ。「やりたいことを仕事にできるって、実はとても珍しいことなの。まずは目の前にある仕事をしっかりやらないと、本当にやりたいことって見えてこないものよ。それにその試練は、今の自分に必要なご縁やタイミングで巡ってきたものかもしれないし、学べることは必ずあるから、ある程度向き合ってみてもいいと思うの。石の上にも三年ってよく言うように、もうちょっと粘って吸収し尽くしてみては。やりたい、やりたくないは抜きにして、新しいことにチャレンジしているんだとモチベーションを上げながら楽しんでみるの。それができないなら、転職するくらい思い切ったことをやってみてもいいけれど、時には成り行きを眺めたり、流れに任せるってことも必要よ」HELP2同じような仕事内容なのに、SNSで過度にアピールする同僚がウザいと思ってしまいます。みんなで頑張った成果物も一人でやったかのような横取りアピール。会社の人からは見破られていますが、フォロワーから称えられている状況が心地よくありません。(25歳・会社員)【ANSWER】一呼吸置いて俯瞰してみて。大人の対応を。「会社の人が分かっているなら、気にしなくていいんじゃないの。SNSにアップすることで、彼女の評価が上がっているわけじゃないんだし。フォロワーは、表面的なところだけを見て軽い気持ちで“いいね”するものよ。手っ取り早い解決策は、彼女のSNSをチェックするのをやめることだけど、でも見ちゃうんでしょ、困った子ね~(笑)。それなら発想の転換しましょ。本当に日常が充実している人は、わざわざ自慢しないわよ。SNSでアピールしている人は、ほぼリア充じゃないわ。承認欲求が強いだけ。だから一呼吸置いて“認められたいのね、よしよし”と俯瞰して受け止めてあげるの。そうすると、逆に可愛く思えてきちゃったりするわ、アテクシの場合(笑)」HELP3新しい部署のあるプロジェクトで、先輩と私が案を出し合ったのですが、先輩の企画が採用に。いいものに決まればそれでいいのは頭では分かっているのですが、自分の案が採用されなかったことに心は嫉妬や焦りでいっぱいです。(31歳・会社員)【ANSWER】嫉妬や焦りのエネルギーを学びに転換して!「先輩のほうが、経験豊富なんだから、いい仕事するのは当たり前じゃないかしら。向上心が強いのはイイこと。でもすぐに結果を求めちゃダメよ。こういう経験をたくさん積んで、人は成長していくの。もし自分の案が採用されなかったことを失敗だと思っているなら、失敗は次の成功へのヒントになるから、良い勉強のチャンスだと心得て。先輩の案が採用された理由を周りの人に聞いてみたり、先輩本人にコツを教えてもらったり、とことん追求してみるの。自分がうまくいかなかったことを材料にして学ぶのって、効率いいと思わない?嫉妬や焦りにエネルギーを使っているなんてもったいないわよ。先輩に食らいついて、悔しさをぶつけてみたらいい関係になれるかも」HELP4今の勤め先はかなりラクで給料もそこそこいいです。ただ、やりがいがなく毎日会社の文句しか出ません。このまま我慢して働くことがいいのか、給料が下がってでもやりがいを求めるべきかで、日々悶々と悩んでます。(29歳・会社員)【ANSWER】やりがいは、いろんな方法で見つけられるわ。「隣の芝生は、青く見えるもの。やりがいを求めて転職したとしても、今度は給料が低いことや会社への不満が出てくるんじゃないかしら。我慢はどこへ行っても必ず生じるものだから、時には割り切ることも必要よ。かなりラクで給料もそこそこいいなら、最高じゃないの~。やりがいは、仕事だけでなく、いろんなことで見出せるものよ。物足りないと思ったら何か始めてみれば?自由に使える時間があるなら、趣味に没頭してもいいし、副業してみてもいいし、そっちで達成感を得ればいいじゃない。お金とやりがいってよく比べられるけれど、お金がないと、やりたいことも始められないものよ。今の勤め先で生活基盤を守りつつ、やりがいのあることを探してみて」Tomy精神科医。Twitter「ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き」が話題を呼び、半年ほどで13万フォロワー突破。それを書籍化した『精神科医Tomyが教える1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)が発売中。※『anan』2020年6月10日号より。イラスト・カツヤマケイコ取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2020年06月09日男子を好きでも息子は息子。母親目線で温かな家族の姿を描くのは、おくらさんによるコミック『うちの息子はたぶんゲイ』。ズバリなタイトルなのだが、当事者ではなく周辺からゲイの物語を描きたかった、とおくらさんは言う。「ゲイに限らず中高生くらいのときは、家族は重要な存在ですよね。当事者目線だと自分語りで重くなりがちなので、母親の視点から客観的に描いてみたかったのです」夫が単身赴任で、普段は息子2人と主人公の母親の3人で暮らしている青山家。高1の浩希は素直でよい子なのだが、同級生の男子を好きっぽいことが、素直すぎるあまり隠しきれていない。そんな息子の姿を、母親は愛情たっぷりに見守っている。「母親はある意味、理想的なキャラクターですが、自分が浩希を目の前にしたらどうしてあげたいかな、という思いで描いています。作者として絶対にやらせないと決めているのは、息子に対して『なんで?』と聞くこと。セクシュアリティはそもそも説明できることではないし、理由なんて別になくていいと思うので」一方で、たまに帰ってくる父親は家族思いなのだが、悪意なしにゲイをディスるような発言をしたり、恋愛観を押し付け気味だったりして、息子の心に揺さぶりをかけてくる。「父親は、普通によしとされていることを疑わない人。ごく一般的な視点のつもりなんですけど、事情を知っている側からすると、こんなにもきつい言葉になるというのを一身に体現しているキャラクターですね」父親の言動はセクシュアリティの問題に限らず、自分の思い込みや常識が他者を傷つける可能性があることを教えてくれる。そんな父と長男の傍らで、感情の読めない中2の次男がいろいろ察しているっぽい描写もまたよくて……。全体的には軽やかなノリで、好きな人への思いがダダ漏れしている息子や母親の大きな愛に、笑ったり優しい気持ちに。そして時折、ハッとさせられるエピソードがスパイスのように入り込む。「大きな問題提起をするつもりはまったくありません。ゲイを題材にすると苦悩やつらい部分がフィーチャーされがちだけど、単純に明るい話があってもいいと思うんです。みなさんと一緒でゲイの人も普通に生きているし、そういう状況を想像するきっかけになれば、この物語を描いた意味があるのかなと思います」『うちの息子はたぶんゲイ』140歳の母・知子の視点で、ゲイかもしれないうっかり者の長男、何となく気づいているっぽい次男、優しいけど鈍感な夫を描く、家族コメディ。スクウェア・エニックス818円©2019 Okura/SQUARE ENIXおくらマンガ家。ノンケとゲイの高校生による青春恋物語『そらいろフラッター』(全3巻)の原作を担当。『うちの息子はたぶんゲイ』は本人のTwitter(@okura_yp)やpixivでも公開。※『anan』2019年11月13日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年11月11日近年、耳にする機会が多くなった「LGBTQ」という言葉。それぞれに、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング・クィアを表すセクシュアルマイノリティの総称であり、今の時代、理解していてもはや当然。そんな中、より深く、きちんと学ぶための教科書となるのが、LGBTQの人物が登場する映画。実際、現代の状況を反映してか、セクシュアルマイノリティの主人公が登場する映画が時を超えて公開されたり、ヒットするケースが増加。その実情を、映画ライターのよしひろまさみちさんに伺った。対話をして相手を知る大切さを映画で学べます。「9月末に公開されるアンドリュー・ヘイ監督の『ウィークエンド』は、2011年の作品です。第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭などのイベントで上映されたことはありますが、いよいよ日本で初めて劇場公開されることになりました。これは実は、ゲイを主人公にした作品の作風が大きく変わった、ターニングポイントとなる映画です。それまでは、『ブロークバック・マウンテン』に代表されるように、結ばれてもそうでなくても最後には死ぬといったドラマティックな悲恋ものがほとんどでした。でも、『ウィークエンド』で描かれていたのは、クラブで出会った二人の週末だけの物語。お持ち帰りや年齢差のあるカップル、意見の食い違いなど、ゲイの出会い系における“あるある”が満載で、これまでになかった日常を描くということに切り込んだのです。以降、市井のセクシュアルマイノリティや、異性愛者の社会保障に入りにくいなど現実的な悩みが登場する作品が主流となっています」昨年公開された『ゴッズ・オウン・カントリー』も、その一つ。「牧場を営むジョニーと季節労働者のゲオルゲの男性同士の恋物語です。イベントや映画館での限定上映からスタートし、口コミやSNSでその評判が広がって、全国公開にまで拡大しました。ただ、日本映画にそういったムーブメントがあるかというと、まだないのが実情です。『俺のスカート、どこ行った?』『きのう何食べた?』『腐女子、うっかりゲイに告る。』が同時期に放送されたように、ドラマ界には新しい動きが起こっているだけに残念といえます。今後に期待したいところです」先述の2作以外にも、セクシュアルマイノリティが登場する名作は、数多く存在する。そこには、LGBTQの現状を知るヒントがたくさんあると、よしひろさん。「例えば、1980年代イギリスを舞台にした『パレードへようこそ』は、サッチャー首相と警官という共通の敵を持つ炭鉱町とLGBTQコミュニティが手を組む物語です。最初はセクシュアルマイノリティに偏見を持っていた人たちが、対話をし、一緒に戦うにつれて、相手を理解し始める姿には感動してしまいます。また、ゲイであることを告白した父と戸惑う息子を描く『人生はビギナーズ』は、監督であるマイク・ミルズの実体験がもとになっており、カミングアウトをする方とされる方の気持ちが繊細につづられています。それぞれの映画を観ると、自分とは違うセクシュアリティを持つ人を異質なものとして突っぱねるのではなく、対話をして理解し合うことの大切さを教えてくれます。それは、性にまつわることはもちろん、どんな問題と向き合ううえでも大切なことですよね。映画は、“違う人がいるのが社会”ということを、理解のない人に知ってもらうための良きツールだと思います」よしひろさんおすすめの注目作品をピックアップ。観て、さらに理解を深めてみよう。『WEEKEND ウィークエンド』ライフガードのラッセルは、一夜限りの相手を求めて訪れたクラブで、アーティストを目指すグレンと出会う。年の離れた二人は会話を通じて、お互いの秘密やこだわりについて知っていくが…。9/27~、YEBISU GARDEN CINEMAほかで公開。『ゴッズ・オウン・カントリー』イギリスのヨークシャーを舞台に、2人の青年の出会いから愛が生まれる瞬間までをつづった名作。ベルリン国際映画祭やサンダンス映画祭など、多数の映画祭で賞を受賞。監督はフランシス・リー。Blu-ray&DVD発売中発売・販売元:ファインフィルムズ『キャロル』デパートで働くテレーズと、そこへ買い物に来たキャロル。同性ながらも強く心惹かれ合い、異性のパートナーがいながらも逢瀬を重ねるようになる。「キャロルの眼差しから、その思いが伝わってくる。演じるケイト・ブランシェットの美しさに魅了されます」DVD¥3,800発売・販売元:KADOKAWA『人生はビギナーズ』75歳の父親・ハルに、ゲイであることを告白されたオリヴァー。内気な彼だったが、父が亡くなった後に行ったパーティで運命の女性と出会う。「余生を若い恋人と過ごすハルを見ると、親には、彼のように幸せに、自由に暮らしてほしいと感じるはずです」DVD¥1,500発売元:クロックワークス販売元:アミューズソフト©2010 Beginners Movie, LLC. All Rights Reserved.よしひろまさみちオネエ系映画ライター、編集者。小誌をはじめ『otona MUSE』『sweet』など、様々な媒体で執筆を行う。『スッキリ』(日本テレビ系)では、月1オススメ映画紹介を担当している。※『anan』2019年8月14日-21日合併号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2019年08月18日ゲイアートの先駆者である、フィンランドの国民的芸術家トム・オブ・フィンランドの波乱の半生を描いた映画『トム・オブ・フィンランド』の本ビジュアルと予告編が解禁となった。「クイーン」のフレディ・マーキュリー、ファションデザイナーのトム・フォード、写真家のロバート・メイプルソープをはじめ、無数の人々に勇気とインスピレーションを与えた伝説のアーティストの知らざれる生涯を描く本作。今回届いた予告編では、同性愛者に対しての軽蔑や無理解がまだまだ強かった時代、たった1本の筆やペンで勇敢に立ち向かった芸術家トウコ・ラークソネンの苦難、そして生涯のパートナーとの出会い、自らの信念を貫き栄光をつかんでいく姿を活写。上下のレザーに身を包み、ワイルドな髭をたくわえた筋骨隆々の男たちなど、身内にも隠れて自らの本能的な欲望をドローイングとして表現し続けていたトウコが、やがてトムと名乗り、アメリカの雑誌で表紙を飾ったことをきっかけに、その名がアンダーグラウンドからアートの表舞台へと一気に知れ渡っていく様子を垣間見ることができる。フィンランドを代表する監督が没後に評価された母国のヒーローを映画化監督を務めたのは、ニコラス・ホルトが主演するJ・R・R・トールキンの伝記映画『トールキン 旅のはじまり』の公開が控えるドメ・カルコスキ。2000年代半ばに長編デビューして以来、これまで監督した長編7本全てが興行と批評の両面で大成功を収め、本作を含む2本が米アカデミー賞外国語映画部門フィンランド代表作品に選ばれるなど、いま最も勢いに乗る監督。2014年にトム・オブ・フィンランドの絵は記念切手になり、国の先進性を象徴する英雄に。これまでの作品でもアウトサイダーの視点から社会を描いてきたカルコスキ監督は、綿密なリサーチをもとにトウコ・ラークソネンの知られざる内面に光をあてながら、歴史背景をも鮮やかに描き出している。『トム・オブ・フィンランド』は8月2日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:トム・オブ・フィンランド 2019年8月2日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開© Helsinki-filmi Oy, 2017
2019年06月20日フレディ・マーキュリーに大きな影響を与え、“ゲイカルチャー界のウォルト・ディズニー”と呼ばれたゲイアートの先駆者の波乱の半生を描いた映画『トム・オブ・フィンランド』の日本公開が決定した。本作で描かれるのは、まだ同性愛が厳しく罰せられていた第二次世界大戦後のフィンランドを舞台に、身内にも隠れて自らの本能的な欲望をドローイングとして表現し続けていたトウコ・ラークソネン。本名から海外でも覚えやすい「トム」と名乗り、描いた絵がアメリカの雑誌で表紙を飾ったことをきっかけに、その名がアンダーグラウンドからアートの表舞台へと一気に知れ渡り、栄光を手にするまでの波乱に満ちた半生を描いている。監督は、ニコラス・ホルトが主演を務める、『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』3部作の原作者J・R・R・トールキンの伝記映画『TOLKIEN』(原題)の公開が控えるドメ・カルコスキ。フィンランドで最も成功した映画監督といわれており、本作は昨年度米アカデミー賞外国語映画賞のフィンランド代表作品にも選ばれている。日本でも、“漫画のアカデミー賞”といわれるアイズナー賞を受賞し、NHKでドラマ化もされた田亀源五郎原作「弟の夫」や、昨年度テレビドラマで高視聴率をたたき出し映画化もされる「おっさんずラブ」、男性カップルの日々の食卓を描いた、よしながふみ原作の大人気マンガを西島秀俊&内野聖陽のW主演でドラマ化し早くも話題沸騰中の「きのう何食べた?」、そして大倉忠義と成田凌の共演で2020年の公開を控える漫画「窮鼠はチーズの夢を見る」実写化など、近年、同性カップルをテーマにした作品が大きな注目を集めているさなか。“ゲイカルチャー界のウォルト・ディズニー”とも呼ばれ、「クイーン」のフレディ・マーキュリーをはじめ、アンディ・ウォーホル、ロバート・メイプルソープ、デイヴィッド・ホックニー、ジャン=ポール・ゴルチエ、トム・フォードといった数多のアーティストたちに影響を与えたトム・オブ・フィンランド。LGBTに対しての軽蔑や無理解と闘った芸術家が、何十年もの苦難の末につかみ取った愛と栄光の物語に、期待していて。『トム・オブ・フィンランド』は8月2日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年04月22日『ゲイだけど質問ある?』の著者・鈴掛真さんにお話を伺いました。歌人の著者が明るく丁寧に回答、LGBTがぐっと身近になる一冊。「なんで男なのに男を好きになるの?」「ゲイの友情と恋愛の境目はどこ?」「ゲイの息子を持つ親として大切なことは?」……ぶしつけな質問の数々に、明るく分かりやすく回答する話題の書、『ゲイだけど質問ある?』。著者は歌人としても活動する鈴掛真さん。「いつもは硬めの文章を書くんですけれど、普段本を読まない人にも手にとってもらいたくて、あえて軽い文体で書きました」もともとは2年半ほど前からWEBの2つの媒体で連載していたもの。「それまで短歌の中で同性愛をさりげなく表現することはありましたが、そろそろしっかり書いてもいいという社会の風潮を感じたんです。同性愛者と話してみたいけれど身近にいない人に向けて書きましたが、自分がゲイであることに悩んでいる子にも、こんなふうにオープンにできる人間もいるんだよと伝えたかった。本来、アンタッチャブルなものではなく明るく話せるものなんだ、ということを表現できた気がします」“絶対に手の届かないあの星にあなたと同じ名前を付けた”などぐっとくる短歌も多数掲載、昔の片思いを振り返ったりSexy Zoneについて熱く語ったり、胸襟を開いていて親しみがもてる。「同性愛者でもいろんな考えの人がいるので、僕がゲイを代表して書いているわけでないです。これは“僕みたいなゲイもいるんですよ”という本だと思ってもらえたら」時には、知人から「何のためにそんなこと書いているの」と冷たく言われたこともあるという。「やはり、これまで差別に対して頑張ってきた人がいて今があるのだから、自分も何か未来を作るきっかけを生み出せたら、と思いました」また、連載中に気づいたことも。「“ゲイは女の気持ちが分かる”と言われるなど、男性を好きになる男性はフェミニンだという固定観念ってありますよね。僕自身も自分は中性的だと思っていたんです。でも連載中に女性編集者に『鈴掛さんってすごく“男”ですよね』と言われて、はっとしました。同性愛のことに限らず、周りの影響で自分自身にも暗示をかけていることっていろいろあるんでしょうね」先入観を解かすこの一冊から、あなたの中で始まることがきっとある。鈴掛真『ゲイだけど質問ある?』同性愛者であることをオープンにしている歌人の著者が、さまざまな素朴な質問に丁寧に回答する入門書。恋心の滲む短歌の数々も魅力的。講談社1500円すずかけ・しん歌人。1986年生まれ。大学時代から短歌を始め、広告会社でコピーライターとして3年勤務ののち、本格的に作家活動を開始。著書に『好きと言えたらよかったのに。』ほか。※『anan』2019年2月6日号より。写真・土佐麻理子(鈴掛さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年02月02日【今週の悩めるマダム】東京で一人暮らしをしている27歳の息子がゲイかもしれません。新宿二丁目のゲイバーで働いているようです。以前男友達を紹介されたので、その子が彼氏なのだと思います。私は彼の生き方を応援したいのですが、LGBTには詳しくなく、母親としてどのように対応してあげればいいかわかりません。(大阪府在住・50代女性)お母さんのご心配はよくわかりますが、その前にちょっと苦言を呈したいことがございます。まず、「息子がゲイかもしれません」「LGBTに詳しくなく」と続き最後に「どう対応していいのかわかりません」で締めくくられています。この文脈から思うのは、息子さんではなくお母さんご自身の問題です。お母さんがお腹を痛めて産んだ我が子なのですから、もう少し対話があってもいいんじゃないですか?聞きにくいというのはよ〜くわかっています。でも、「かもしれない」ばかりじゃ、お答えしようがない。もし彼がそのことを“いつ打ちあけようか”とずっと悩んでいるのであれば、なおさら大切なことです。「あなた、二丁目のゲイバーで働いてるの?」「え?ああ、働いてるよ」「え〜、あなたもしかしてLGBTなの?」「ま、そうだよ。言おうと思ってたんだけど、言えなかった」「じゃあ、この間連れてきた子、彼氏?」「うん、パパと話す前にママにはちゃんと話をしておきたいことがあるんだけど……」となるんじゃないでしょうか!ここまでものごとが進んだならば、私の出番です。まず申し上げたいのは、やはり対話の重要性。彼が本当にLGBTであれば、周りが反対をしたところでどうにかなることではありませんね。ご両親が反対をしても自分の生まれながらに持ったものを他人が強制的に変更することはできませんし、絶対にしてはいけません。今日の親子問題の原因は、子どもの心の核心に耳を傾けてあげられない親が増えていることにこそあり、それが大きな流れとしてLGBTへの無理解へと繋がっているのです。LGBTと名乗ることでマイノリティの方々は結束されたのだと思いますからとやかく言うことはできませんが、実は私、個人的には「LGBT」という言葉が嫌いです。その枠の中に入りきれないジェンダーや意識や命が他にも多く存在するからです。LGBTABCDEFGHI……みたいには出来ないからLGBTでも今はいいんでしょうが。ともかく、お子さんと率直に話し合うチャンスを作ってください。とっても簡単なことです。かしこまらずキッチンですれ違いざまに「あの、ほら、あんたに聞きたいことがあるんだけど、ちょっといい?」だけで大丈夫。わからないことはお子さんに直接聞いてみましょう。「ちょっと辻さん、息子に聞けないからあんたに聞いてるんじゃない」というのでは埒があきません。お子さんがもしLGBTならば話をしたいはずです。お母さんは愛する息子の声に耳を傾けることからまずは始められたらいいと思います。その後、またわからないことがあれば私メにお申し付けください。私はここにおりますから。はい、私からは以上です。【JINSEIの格言】お腹を痛めて産んだ我が子なのですから、もう少し対話があってもいいのでは?その後、またわからないことがあれば私メにお申し付けください。私はここにおりますから。この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします!お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。以前の連載「ムスコ飯」はこちらで写真付きレシピを毎週火曜日に更新中!
2018年11月06日ハリウッドにある有名なゲイバー「The Abbey Food&Bar」のオーナー、デヴィッド・クーリーが29日にFacebookに投稿した体験談が波紋を拡げている。クーリーは同性のパートナーと共に、アラスカ航空ニューヨーク発ロサンゼルス行きの便に搭乗した。予約していたプレミアムシートに座り、しばらくすると客室乗務員がやってきて、男女のカップルを隣り合って座らせるために、クーリーとパートナーのどちらか1人に普通席へ移動するよう願い出たという。「僕らも一緒に座りたい、と説明した。しかし、乗務員はプレミアムシートを諦めて普通席に移るか、飛行機を降りるかの選択を迫った。僕らは国を横断する長旅の間中、こんな屈辱に耐えられそうもなかったから飛行機を降りた。このご時世に、ゲイのカップルに去るように言うほど、ストレートのカップルを優先することがあるなんて信じられない。僕らは2度とアラスカ航空と、最近この会社が買収したヴァージングループ(のLCC)を利用しない」(デヴィッド・クーリーのFacebookより)失意の2人は、デルタ航空で無事ロサンゼルスへの帰途についた。クーリーは、LGBTの人々に向けて、デルタ航空のようなLGBTフレンドリーな航空会社を使うよう提言した。この投稿は広くシェアされ、非難の集中砲火を浴びたアラスカ航空は31日、謝罪の声明を発表した。「この不幸な事故は、座席システムのエラーによるものです。弊社は可能な限り家族が一緒に座れるようにする方針ですが、今回の件ではそれが適用されませんでした。クーリー氏に深くお詫び致します。彼とパートナーに不快な思いをさせる意図は全くありませんでした。私どもはクーリー氏に謝罪を申し入れ、今後の是正をお約束しました。アラスカ航空は、あらゆる差別を一切容認しない方針を取っています。私たちはみな、あらゆる多様性を受け入れ、尊重します」今回の件は単なるエラー以外の何物でもなく、差別の意図は微塵もなかったという主張だ。「LGBTの人々の完全なる平等は、アラスカ航空という組織の骨子です」とも表明し、懸命に火消しを行っている。クーリーはアラスカ航空からの謝罪を受け入れたとFacebookで発表した。
2018年08月01日同性愛者のイアン・マッケランが、今年公開になる『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のダンブルドアが、“あからさまには”ゲイとして描かれないと聞き、「悲しいことだ」と嘆いたという。「Time Out」誌のインタビューで語った。イアンといえば、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『ホビット』シリーズの魔法使いガンダルフ役でおなじみだが、その風貌や魔法使いのイメージから、『ハリー・ポッター』シリーズのダンブルドアだと思われることが多々あるそうだ。そんな話から、話題は『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』に。なぜ、同作のダンブルドアをはじめ、大作には同性愛者のキャラクターが少ないのか意見を問われたイアンは、「ハリウッドでは社会的な主張に目を向ける人はいないからね。だって、彼らはこの世界に黒人がいるってことを最近知ったし、いままでの歴史の中で、あらゆる方法を駆使して女性を虐げてきた。ゲイの男性なんか、存在しないんだよ」と皮肉たっぷりにハリウッドを痛烈批判。「私が思うに、『ゴッド・アンド・モンスター』(’98)をきっかけに、ハリウッドがついにゲイというのもいるんだと認め始めたんじゃないかな。ハリウッドなんて、半分がゲイなのに」と自身の主演作を挙げて説明した。イアンによればここ数年、ロンドンでは若いゲイの役者たちが「みんな、カミングアウトしている」とのこと。カミングアウトの先駆者イアンは、「これぞ未来だよね」と時代が変わりつつあることを喜んだ。(Hiromi Kaku)■関連作品:ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 2018年11月23日より全国にて公開© 2017 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights © JKR.
2018年05月30日LGBTという言葉自体は聞いたことがあるけれど、あまり身近でないという方も、まだまだ多いかと思います。LGBTへの偏見は強く、実は当事者だけどカミングアウトしていないのだという人が、あなたの近くにいるかもしれません。ゲイ当事者であり、職場でそのことをカミングアウトしたというはじめさんにお話をうかがいました。LGBT関連の話は、決して遠い世界の出来事ではないということをお伝えできればと思います。マイノリティだからといって間違っているわけではない…学生時代のボーイフレンドからの影響【多様な性、LGBTの世界】vol. 10僕自身、ゲイだと自認した時期は早かったと記憶しています。しかし、ゲイ当事者であることに否定的だった面もありました。大学への進学で上京後、週末に新宿二丁目(ゲイ・タウンとしても知られています)へ足を運んでいました。普段はゲイであることを隠し、週末だけ本当の自分を出せる場に行っていたのです。そんななか、初めてのボーイフレンドができました。彼はアメリカ人の留学生で、僕とは違った価値観を持っていました。彼は、「LGBT当事者だからといって、マイノリティだからといって、間違っているわけではない」という考え方でした。僕は納得し、自分のセクシュアリティを肯定的に捉えられるように。そして、LGBTをより可視化していきたいという思いも芽生え、ゲイサークル設立や大学生向けのイベント開催などをしました。そこで出会ったのは、テレビなどで見るようなキャラクターとは違って、今まで話してきたクラスメイトのような、LGBT当事者でない人と何も変わらない人たちでした。当時、1990年代後半の話です。不本意なアウティングと、ポジティブなカミングアウトそれから社会人になり、都内のクリエイティブエージェンシーに勤めるようになりました。周囲の人への影響を考えて、ゲイであることは職場でカミングアウトしていませんでした。しかし、当時いたある同僚が、共通の知り合いを通じて僕がゲイであることを知ったようです。その同僚は社内でそれをアウティング(LGBTなどで、本人の了解を得ないまま公にしていない内容を暴露する行動)したのです。名指しはしなかったものの、たくさんの人がいるなかで、笑い者にするような表現でした。僕はとても悔しく、悲しい思いをしました。こうした状況が自分の働いているオフィスで許されているのを変えたいと思ったのです。月に1度、みんなの前で話をして良いという習慣がある、僕の会社。僕はそこで、LGBTの広告についてプレゼンテーションをしました。「LGBTを知っていますか?」という質問に対して挙手をしたのは8割程度でしたが、深くは知らないという人がほとんど。「僕自身ゲイですが、世界にはこうしたLGBTに関する広告があります」と、世界のLGBT広告の動向を伝えるとともに、ゲイ当事者であることをカミングアウトしたのです。10分程度のプレゼンテーションでしたが、資料が欲しいと言ってくれる人や、これまでの発表で一番良かったと言ってくれる人もいました。僕は、雰囲気が変わったなと感じました。カミングアウトしたことで、同僚とより打ち解けて話せるようになり、クリエイティビティも上がったと実感しています。風通しも良くなり、広告にLGBTカップルを入れるなど、今までできなかったことにもチャレンジできるように。2016年には、LGBTに関する広告を制作して海外の賞を受賞しました。マイノリティが元気だと会社も元気になると考えています。自分らしくいられることが、あらゆる発想の原動力にもなり得るのです。アウティングされたことは不本意でしたが、結果としてポジティブな方向に進みました。僕の経験は、カミングアウトしたことで、自分自身と仲間が前向きになれた一例だと思います。カミングアウトは信頼の証。僕が伝えていきたいことLGBT当事者のなかには、辛い思いをしている人もいるかと思います。特に地方だと、LGBTがほとんど認識されておらず、孤立しやすい場合も多いと危惧しています。僕は思いを伝えたいから広告業界にいます。LGBT関係の広告を見たときに、辛い思いをしている人が希望を持てたらという気持ちもあります。特に子どもはいじめに遭ってしまうこともあるかと思いますが、仕事を通して明るい未来を伝えていきたいです。当事者かもしれないという人が身近にいる方は、そっと側にいてあげられる優しさを持ってもらえると嬉しいです。もしもカミングアウトされたら、それはあなたが信頼されている証です。噂を聞いてしまった場合も、その人の立場になって考えてください。その人はカミングアウトを望んでいないかもしれません。まだまだ風当たりが強いのが現実。アウティングをしないよう、相手の気持ちを考えられる優しさが必要だと思います。カミングアウトを望んでいる場合はカミングアウトできるよう、セクシュアリティをオープンにできるような環境づくりが大切です。生徒や部下、後輩など、若い世代も生きやすい社会になるよう、LGBTへの理解が深まるよう切に願っています。僕の例がそうでしたが、マイノリティを組織が受け入れると、組織自体が強くなります。誰しもに優しく、プラスになる社会になるよう、僕自身、想いを伝えていきたいと考えています。〜LGBTのバトン〜今回は、はじめさんにお話をうかがいました。次回は、LGBTが働きやすい職場づくりに尽力している、アサコさん。彼女はLGBT当事者(レズビアン)でもあります。「LGBTは外資系の話。日本企業にはいない」といわれていた数年前、伝統的な日本企業から国際色豊かな企業に転職。性的指向・性自認は個人的かつ家庭の話なだけではなく、働く上でも密接に関わってくる話だとのこと。積極的に活動しているアサコさんの視点から、「働く」という身近なことを通してLGBTをお伝えします。Information認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ©Rawpixel/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages©jacoblund/Gettyimages
2018年05月22日全米でまもなく公開、日本では3月1日(木)から公開される『ブラックパンサー』。早い段階での試写ではマーベル史上初となる“ゲイシーン”が盛り込まれていたとのことだが、公開時には削除されていたという。そのゲイシーンとは、オコエ(ダナイ・グリラ)とアヨー(フローレンス・カサンバ)のちょっとしたいちゃつきシーン。ファンは『ブラックパンサー』のコミックシリーズ「World of Wakanda」で描かれている同性間の恋物語にインスピレーションを受けているのだとうわさし、マーベル映画で初めて明らかなゲイキャラクターが登場すると喜んだが、結局そのシーンはカットになった。マーベル側は映画のオコエとアヨーは恋愛関係になく、「World of Wakanda」の物語とも関連性はないとコメントしているが、脚本家のジョー・ロバート・コールは「Screen Crush」の「オコエとアヨーのロマンスを意識して書いたか」という問いに対し、「短い答え方をするなら『イエス』だね」と答えている。ただし、カットされたシーンは「本当に短かかったし、映画の物語においてキーになるものでもなかった」と語っている。昨年、マーベル映画の『マイティ・ソー バトルロイヤル』に出演したヴァルキリー役のテッサ・トンプソンが「ヴァルキリーはコミックではバイセクシャルだし、私も忠実に演じたつもりだけど、映画ではわかるようには描かれていなかったわ」と明かした。だからこそ、「『ブラックパンサー』ではついに…!」と期待していたファンが多かったようだ。(Hiromi Kaku)
2018年02月14日Twitterフォロワー数、約7万人!新感覚の「ぶす占い」が大人気で、多くのファンを持つTwitterアカウント「きょうのゲイバー」。ママに血液型別、来年の運勢を占ってもらいました!「きょうのゲイバー」のママ&仲間による、胸に刺さるユニークな占いとイラストにハマる人が続出中の「ぶす占い」。ついには書籍化され(1000円、キノブックス)、こちらは1~199のなかで頭に浮かんだ数字のページor好きなページを開いて鑑定する。アンアンのために、血液型別に来年の運勢を占ってもらいました!愛と毒のあるメッセージは毎日の戒めにぴったり…!?「きょうのゲイバー」のママ&仲間紹介・「きょうのゲイバー」のママ新宿2丁目に店を持つ。独学で身につけた水晶占いが得意で、酔いどれを相手に運命を鑑定。・黄身仔(きみこ)幼い頃から自分が卑弥呼の生まれ変わりだと信じる。ママにスカウトされ占星術に挑戦中。・化けの皮クリステルママの昔からのなじみ。おもてなしの精神を大事にしながら、カード占いで迷える人を観る。「きょうのゲイバー」のママが占う血液型別2018年の運勢・A型下着を覗かせたファッションで出勤。あなたの下心が思わぬところで露呈しそう。自分の得ばかり考えてないかしら、要注意よ。・B型フェロモンが種族を超えそう。世間でいうモテ期がきそう。ただし、集まるのは悪い男ばかり。遊びならいいけど、火傷には注意。・O型酔っ払い、起きたら怒りのデスロードを激走。短気を起こして暴走してしまいそう。暴走するならレールの上で。脱線に気をつけなさい。・AB型あなたの研究熱が想い人に評価されそう。来年はさらに性に目覚めそう。周りの男や大切な人が喜ぶわよ、グッジョブ!※『anan』2017年12月27日号より。文・重信 綾(by anan編集部)
2017年12月25日Instagram(@travelling_butts)より 米国人ゲイカップルが旅行先のタイで拘禁されてしまった。長期に渡り服役する可能性もあるという。彼らは一体何をしたのだろうか。 トラヴィス・ダシルヴァとジョセフ・ダシルヴァは既婚のゲイカップル。共に38歳だ。2人はInstagramで「@travelling_butts」というアカウントを運営している。読んで字のごとく、旅先でお尻を出した写真を撮ってシェアするというコンセプトだ。2人は最近訪れたタイ・バンコクにある寺院ワット・アルンラーチャワラーラーム前で、ビーチや雪山と同様のノリでお尻を出して記念撮影。これがタイ国民の逆鱗に触れてしまった。 寺院の入り口前には、参拝客向けに肩と膝を覆う節度ある服装をするよう注意書きがある。これを無視した行動に、SNSでは「他国の文化についてあまりにも無知蒙昧だ」と非難が噴出。 The Bangkok Post紙によると、現地時間28日夕方、出入国管理警察は帰国の途につこうとしていた2人をドンムアン空港で逮捕。2人は神聖な場所で下半身を露出させてポーズを取ったことを認めたという。 当局のスポークスパーソンは、「彼らの罪状は単なる公然わいせつにとどまりません。崇拝すべき場所における公然わいせつは、長期に渡る収監の可能性があります。今回のことは、誰もがタイの宗教と文化に敬意を払わなければならないという注意喚起となるでしょう」との声明を発表。 サンディエゴ市の人権活動家ニコル・マーレイ=ラミレスは「彼らの行動には非常に落胆している」と前置きした上で、「2人を助けるために何かできないか、合衆国政府の官僚と協議中だ」と「The San Diego Gay and Lesbian News」の取材に対しコメントした。
2017年11月30日