自分にあう痩せ方を見つける『マイダイエットメソッド』を主宰している管理栄養士で、おうちごはん研究家の金丸利恵です。「睡眠」と「ダイエット」は深いかかわりがあることをご存知ですか?人は寝ている間に「成長ホルモン」を分泌します。このホルモンは名前の通り、筋肉や骨を作るなど成長に欠かせませんが、エネルギー代謝にも大きな役割を果たしており、注目すべきは、糖質、タンパク質、脂質の三大栄養素の代謝の促進と、脂肪を分解し「遊離脂肪酸」にする働きがあることです。■寝ている間の「ダイエット」食事から得たブドウ糖(グルコース)は、2~4時間でエネルギー源として利用されます。一方寝ている間は「貯蔵型エネルギーである脂肪」を使って、エネルギーに変えていきます。日中は、活動量が多い為、ブドウ糖(グルコース)をエネルギー源としますが、寝ている間は脂肪がより多く使われるので、「成長ホルモン」が多く出ていると効率よく脂肪燃焼が進むというわけです。「成長ホルモン」は、眠りについてから2時間後と、「レム睡眠」という深い眠りのときに多く分泌されます。日中は分泌が低下するので、夜にしっかり睡眠時間を確保すること、質の良い眠りを得ることがとても大事です。■「セロトニン」と「メラトニン」しかし眠りが浅い、寝つきが悪い、途中覚醒がある、など睡眠に悩みを抱えてる人も少なくありません。夜になると頭がさえて趣味に没頭してしまう、ということも…眠りには「メラトニン」という「睡眠、覚醒のリズムを整えるホルモン」が重要です。「メラトニン」は、必須アミノ酸のひとつである「トリプトファン」から、「セロトニン」を経て体内合成されます。朝、太陽の光が視覚から入ると、「メラトニン」の分泌が減り、日中は「ハッピーホルモン」と言われる「セロトニン」に変化し、ハツラツとした活動モードになります。太陽が沈んで暗くなると「セロトニン」が「メラトニン」に変化していき、お休みモード、つまり眠くなるという仕組みです。■「質のよい睡眠」のための食事・バナナを朝食や間食に質の良い睡眠を得るには、食事で「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」を多く含む「肉」や「魚」「大豆製品」「卵」などのタンパク質をしっかり食べることが重要。また、「トリプトファン」から「セロトニン」を作るには、「ビタミンB6」が必要になります。「米ぬか」「小麦胚芽」などの「ふすま」、「マグロ」や「カツオ」の魚、「豚肉」「鶏肉レバー」「ブロッコリー」や「菜の花」「カボチャ」などに含まれます。「バナナ」は「トリプトファン」と「ビタミンB6」を両方含むので、朝食や間食に利用すると良いですね。・寝る前のブルーライトが良くないワケ食事はもちろんですが、過ごし方も重要です。光の刺激を受けると脳が日中と勘違いしていまい、「メラトニン」の分泌が減ります。寝る前1時間は、スマホ、パソコンなど「ブルーライト」は避けましょう。寝入りから1時間30分~2時間後と、レム睡眠時に、成長ホルモンの分泌が盛んになるので、0時には深い眠りにつけていると良いですね。■安眠ホルモンの材料を多く含む食材今回は安眠ホルモンの材料「トリプトファン」を多く含む「ささ身」と「豆乳」を使った、優しい味わいの「シチュー」をご紹介します。味付けに「白みそ」を使いますが、大豆製品である「みそ」も「トリプトファン」が豊富です。「ビタミンB6」は肉や魚などタンパク質に多いですが「ブロッコリー」や「菜の花」「カボチャ」などの植物性食品にも含まれますので、組み合わせてバランス良く仕上げます。パサつきがちな「ささ身」は、削ぎ切りにすること、「片栗粉」をまぶすことで、柔らかく食べられます。「ビタミンB6」は水溶性なので、茹でたり、水にさらすと流失してしまいますので「カボチャ」と「菜の花」は電子レンジで加熱しましょう。「菜の花」は加熱後にうちわなどであおいで冷ますと、緑の色を美しく保つことができます。「豆乳」は沸騰すると味も栄養も損なわれてしまうので、火加減には注意しましょう。最後に「バター」を落とし風味を添えます。トランス脂肪酸の多いマーガリンでなく、「バター」を使うことが、味においても栄養面においても大事です。■ササミと菜の花、カボチャのみそ豆乳シチュー調理時間 20分レシピ制作:金丸 利恵<材料 2人分>鶏ささ身 3本(200g) 塩 小さじ1/2 コショウ 適量 片栗粉 適量菜の花 1/2束(60g)カボチャ 1/8個(200g)水 200ml酒 大さじ1白みそ 大さじ1豆乳(成分無調整) 150mlバター 10g<下準備>・ささ身は筋をひき、削ぎ切りにする。・カボチャは種とワタを取り除き、食べやすい大きさに切る。<作り方>1、耐熱容器にカボチャを入れ、ラップをかける。電子レンジで4~5分ほど、カボチャが柔らかくなるまで加熱する。2、耐熱容器に良く洗った菜の花を並べ、ラップをかける。電子レンジで1分加熱する。ラップをはずし、うちわなどであおいで、粗熱がとれたら3等分に切る。3、ささ身に塩、コショウをまぶし、下味をつけて、片栗粉を全体にまぶす。4、鍋に水と酒を入れ、中火にかける。沸騰したら火を弱め、(3)を重ねないように入れる。5、(4)のささ身に火が通ったら、カボチャと菜の花の茎の部分を加える。白みそをとかす。6、(5)に豆乳を入れ、沸騰しないように温める。菜の花の花の部分と、バターを入れ、バターが溶けたら器に注ぐ。コツ・ポイント ・電子レンジは600Wを使用しています。質の良い睡眠が得られると、ダイエットはもちろんですが、日中の仕事や活動においてもパフォーマンスが上がります。健康的に痩せるためにも、「睡眠」と「トリプトファン」の多い食事を重視してくださいね。▶︎ 【コロナ太り解消 ダイエットレッスン】一覧はこちら>>
2021年02月18日トリプトファンは「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンを作る材料となり、心の安定と深い関わりのある栄養素です。また、うつ病予防・安眠効果・アンチエイジング効果など(※1)うれしい働きがあるといわれています。そんなトリプトファンに期待できる効果やとり入れ方の工夫をご紹介します。トリプトファンとは?必須アミノ酸の一種であるトリプトファンは、精神安定の効果があるセロトニンの材料になるほか、カラダや心にうれしい効果がたくさんあります。しかし、必須アミノ酸であるトリプトファンは体内で合成できないので、食べ物から摂取しなくてはなりません。牛乳やチーズなどの乳製品・大豆製品などに多く含まれています。トリプトファンに期待できる効果5つ1.精神の安定・抑うつ症状の緩和トリプトファンはビタミンB6やマグネシウム・ナイアシンとともにセロトニンを作る材料となります。セロトニンには精神を安定させ、うつ病の改善にも効果があるとされています。2.安眠をサポート安眠を促すメラトニンという睡眠ホルモンは、セロトニンからマグネシウムのサポートにより作られます。トリプトファンをとることは快適な睡眠のためにも必要なのです。3.やる気・集中力アップアミノ酸の一種、チロシンとともに、ドーパミンやアドレナリンといった神経伝達物質を作る材料になります。ドーパミンは意欲ややる気を生み出してくれ、ノルアドレナリンは集中力を高めてくれます。⇒やる気や集中力アップ!3大脳内物質とは4.アンチエイジング効果トリプトファンからできるメラトニンにはカラダの中にできる活性酸素を除去してくれる抗酸化作用があり、アンチエイジングにも効果的です。5.月経前症候群(PMS)の緩和や更年期障害の改善月経前に見られるイライラや体調不良、エストロゲンの減少による更年期障害など、女性特有の症状の改善にも効果的だといわれています。セロトニン合成をサポートする栄養素トリプトファンからセロトニン・メラトニンを合成するには、ビタミンB6やマグネシウム・ナイアシンなどが必要です。それらの栄養素にも注目して、さまざまな食品をとり入れましょう。必要な栄養素とそれらを多く含む食品ビタミンB6…カツオ・マグロ・レバー・バナナ・にんにく・生姜・アボカド・ピーナッツマグネシウム…アーモンド・大豆・玄米ごはん・ひじきナイアシン…そば・カツオ・鶏ささみ・たらこ・まいたけ ストレスや疲れを感じたときに休息をとるのはもちろんですが、積極的に食事からトリプトファンをとり入れ、カラダの中から改善していきましょう。 【参考】(※1)E-ヘルスネット〈〉(最終閲覧日2016/10/31)(※2)日本生活習慣病予防協会〈〉(最終閲覧日2016/10/31)中村丁次監修「栄養の基本がわかる図解辞典」成美堂出版(2008年、88-91、112-113、214-215ページ)
2020年12月13日緊張してはじまった新学年、そしてその緊張がとけたであろうゴールデンウイーク。長い休みのあとに、登園・登校をしぶる子どもは多いのでは。そんな子どもの不安をとりのぞくために、食事でサポートできることはないか、国際食学協会の準食学士でナチュラルフードコーディネーターの早瀬可依子さんに話を聞きました。不安定な心やイライラの原因は食事にもあった?「世の中便利になり、いつでもどこでも何でも手軽に食べられるようになりましたが、簡単に食べられる加工食品には添加物がたくさん。添加物は摂りすぎると必要な栄養素を排出してしまうのですよ」と、話し始めた早瀬さん。「え、必要な栄養素を排出!?」と、スタートから食いついてしまった筆者。たとえばハムやソーセージ、練り物などに含まれる“リン酸塩”は、カルシウムを排出させ、トリプトファンというアミノ酸を減少させるそう。このトリプトファンは、私たちの神経伝達にとても重要なセロトニンという神経伝達物質を作るのに必要なもの。このセロトニンが不足すると精神的に不安定になったり、イライラしたり、睡眠障害を起こし朝起きれないという負のループに陥ることも。子どもだけでなく、大人のイライラや睡眠障害にも当てはまりそうです。トリプトファンを含む食物は?体内では作られず食物から摂取するしかないトリプトファン、一体どんな食物に含まれているのでしょうか?「トリプトファンはたんぱく質の多い食物に含まれます。肉やマグロやかつおなどの赤身の魚もですが、大豆製品、魚貝類。卵はアレルギーの心配がないのなら、とてもポイントが高いです」中でも早瀬さんオススメなのが、ひじきと高野豆腐。ひじきはトリプトファン以外にもマグネシウムとビタミンB6が豊富。高野豆腐は大豆製品の中でもトリプトファンの含有量が多いそう。どちらも乾物として売られているので、いつでも手に入り便利です。「でも高野豆腐は煮物以外の食べ方を知らないし。そもそも高野豆腐の煮物が苦手で…」という場合は、水で戻した高野豆腐をフードプロセッサーで崩し、ミンチの代わりに肉そぼろにしたり、ミートソースに入れるとよいようです(お店によっては粉状のものも売られています)。甘いもの=“砂糖”の摂り過ぎにも注意が必要加工品以外にも、注意すべきなのが“砂糖の摂り過ぎ”。砂糖を多く摂取すると太ってしまう…と心配されがちですが、実はそれ以外に注意すべきポイントが、“甘いもの中毒”なのです!砂糖など甘いものを食べると脳内に快楽物質ドーパミンが放出されます。それが常習になると、常に甘いものがほしい状態になり、またさらに甘いものを欲することに。人間は甘いものを食べると血糖値が上昇しますが、ジュースなどの液糖は吸収も早く、上昇も急激。このアップダウンの激しさで精神的にも不安定になるのだそう。「アメやラムネをなめさせていればおとなしいから」、「ジュースを与えれば落ち着くから…」と、その場しのぎで子どもに与えてきたおやつ、話を聞きながらすぐに見直すべき点だと思いました。早瀬さん曰く、甘いおやつの代わりにはアーモンドやクルミ、ブルーベリーがオススメ。おやつ用の小魚などを持ち歩くのもよいかもしれません。バランスよく、野菜も何でも摂り過ぎ、偏りはNG。バランスのよい食事が基本です。これらのほかに、オススメの野菜についても聞いてみました。かぶの葉は、イライラを押さえ安眠効果も得られるカルシウムが豊富。にんにくには脳内の活性化に関わるビタミンB1の吸収を高める働きがあり、また梅のクエン酸は血液をきれいにし、カルシウムの吸収を高めるそう。梅は小魚や海草と一緒に食べることでイライラ防止にもつながるようです。一番大切なのは、親子のコミュニケーションチャイルドケアの資格を持ち、ベビーマッサージの講師でもある早瀬さん、「食事以外にもできることはあります。お子さんにマッサージをしてあげると、心が落ち着きますよ」と、食事以外のケアについてもアドバイスをくれました。肌に触れるということは、新陳代謝を促進するだけでなく、自律神経を整え、精神を安定させるといいます。もちろん親子のコミュニケーションなので、話しかけ、語りかけ、笑顔も大切。これらが子どもの心を安定させます。子どもが少しイライラしているかな?不安定かな?と思うときには、話をしながら手や足をマッサージしてあげるとお互いの心が落ち着くかもしれません。最後に、「食事は誰が作ったかということもだけれど、誰と一緒に、どのように食べるのかも大切ですよね」と早瀬さん。1日1食だけでも“おいしく、楽しく”コミュニケーションをとりながら食事をしてほしいとのことでした。子どもたちが安定した園生活、学校生活を送れるよう、また家族が気持ちよく生活できるよう、日々の食事を見直していきたいと思います。取材協力:<文・写真:フリーランス記者林未香>
2019年05月06日「ネムジム」読者にはおなじみの「トリプトファン」。睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となることから、「ネムジム」では読者の皆さんに摂取を奨励してきました。しかし、「トリプトファン」を過剰摂取するのは注意が必要なんです。「トリプトファン」は1日3食規則正しく食事すれば摂れる「トリプトファン」は1日500mg程度摂ると、睡眠対策に有効といわれています。1日3食、「トリプトファン」を含む肉類(可食部100gあたり最大牛レバー290mg)、魚介類(同最大筋子330mg)、穀類(同最大パスタ150mg)、乳製品(同最大ナチュラルチーズ320mg)を普通に摂っている場合には滅多に過剰摂取になることはありません。でも、これらの食べ過ぎにはくれぐれも注意しなければなりません。「トリプトファン」ブームの後に健康被害が起きた!サプリ先進国の米国を中心に、1980年代の終盤に睡眠導入のためのサプリとして、「トリプトファン」が猛烈に売れたことがありました。しかし、しばらくして好酸球(白血球の1つで、アレルギー疾患や寄生虫症などの際に増加する)の増加と、非常に強い筋肉痛を起こす患者が多数出てきたのです。その症状は、「好酸球増加筋肉痛症候群」(EMS)と名付けられ、FDA(アメリカ食品医薬品局)は「トリプトファン」の健康食品としての販売を禁止し、全製品の回収を命じました。やがて、疫学調査と若干の動物実験を基に、原因は昭和電工の製造した「トリプトファン」に含有されていた不純物であるとの結論が出たのです。サプリはあくまでも「補うもの」しかし、内藤裕史氏の著書「健康食品中毒百科」によると、昭和電工の不純物がEMSの原因だという説は完全に否定されているそうです。理由は、(1)疫学調査の方法論に致命的な誤りがあること、(2)動物実験では昭和電工の「トリプトファン」を摂取した場合の8000倍でやっとEMSが出ること、(3)昭和電工以外の製品でも大量摂取によってEMSが報告されていること、(4)トリプトファンが全く関与しないで発症するEMSが存在すること――などです。ここで注目したいのは、サプリメントには過剰摂取による障害が起こる可能性があるということ。まずは毎日の食事を規則正しくバランス良くとりましょう。サプリメントは、それでも補えない部分をまかなう「健康補助」製品ということを認識しておくことです。
2015年02月15日