デジタル機器大好きな筆者の悩みは肩こりです。スマホにタブレット、ゲームにノートパソコン。これらを使っているときはもちろん、バッグに全部入れて持ち歩くときも、肩も腕も痛くて重い……なんとかならないものでしょうか。そこで、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「オフィスや電車で、自分で押せる肩こり改善ツボ・5つ」を教えていただきました。■冷えがあるときは、手の甲→肩へと順に刺激する肩こり解消ツボの探し方について丸尾先生は、「肩周辺だけを押すのではなく、手からひじ、肩にかけて自分の手が届く範囲の場所をあれこれ押していきます。ポイントは、脇やひじという関節の近くを探ることと、骨に沿って触っていくということです」とアドバイスします。ツボの探し方と押し方については、「ツボは肌の表面にあるのではなく、体の深部にあります。それを意識して、押す方向を変えながら自分のツボを探し当ててください。また、ここでご紹介するツボはどれも、一押しで30秒~2分ほど、押す、つまむ、軽くたたくなどして刺激を加えるとよいでしょう。いつでもどこででも何度でも、繰り返し行ってください。ただし、皮膚につめ跡ができる、内出血をする、ケガをするほどまでに押さないようにしましょう。次に紹介する5つのツボは、押す順序などを考える必要はありません。違和感があるツボを重点的に刺激するようにしてください。ただ、冷えやだるさがある場合は、体の末端から中心部まで、つまり、1から5の順番に刺激をしていくとよいでしょう」(丸尾先生)■イライラや不安感が原因の肩こりにも効くでは、具体的にツボをご紹介します。以下の説明は、丸尾先生談です。1.合谷(ごうこく)このツボのくぼみは「谷」のようで、体を巡る気があふれる場所と考えられています。体調に不具合が出ると、左右の合谷のどちらかが、あるいは両方が痛むほど、体調のサインを発するツボです。肩こり対策をはじめ、腰痛、頭痛、歯痛、のどの腫れや痛み、胃腸の不調、だるさ、心身症などにも効果がありますから、覚えておくと応用が利くツボでもあります。ツボの位置:手の甲の、親指と人さし指の骨が交差する部分にあるくぼみ。もう一方の手の親指で押し、人さし指側に向けて押したり、親指と人さし指でつまむようにします、また、親指側や手首に向けてとあれこれ押す方向を変えながら、痛みや違和感を覚える場所を探り当てましょう。2.曲池(きょくち)ひじが曲がる場所にあり、「池」とは「たまる」という意味があります。つまり、「曲がるところに邪気がたまる」というツボです。キーボードを打つ、重い荷物を持つ、またテニスやゴルフによる腕の疲れ、特に、下痢や便秘などで大腸に邪気があるときの肩こりに有効です。ツボの位置:ひじを曲げたときにできるしわの外側にあるくぼみ。ひじの関節に向けてもう一方の手の親指で関節に向けて押しながら探り当てましょう。3.極泉(きょくせん)「極」は終点、最上を表し、「泉」は水がわき出る場所、という意味合いがあります。このツボは、腕の使い痛みに加え、不安や心配ごと、ストレスからくる胸さわぎ、動悸(どうき)などが原因で起こる肩こり、疲労感に有効です。ツボの位置:脇の下の中央を極泉と呼ぶのが一般的ですが、私は、背中側の腕のカーブの頂点のツボを刺激することをお勧めします。もう一方の手の中指で、痛む位置を探し当てます。一般的によく知られている極泉の位置と若干の違いがありますが、ここは小円筋(しょうえんきん)という肩の運動において重要な役割をする筋肉があるため、痛みを感じやすい場所です。4.肩井(けんせい)と5.裏肩井(うらけんせい)肩こりの治療に最もよく効くのが、「肩井(けんせい)」です。「井」は井戸を意味し、肩をめぐる体のエネルギーがわく場所を表しています。このツボを中心に、首すじから肩の先にかけて治療することを「肩井の術」と表現します。また、肩井と相対する胸側のくぼみ(「ツボの位置」参照)は、「裏肩井」と呼ばれています。この2つを同時につまむことで、一気に肩の邪気をはらうようにします。眼精疲労、寝違え、また、イライラやうつなど、精神的な症状があると肩がこわばり、いかり肩になって肩と首のこりが激しくなります。そんな症状の肩をほぐして血流を促し、頭まですっきりすることを意識しましょう。ツボの位置:後ろ首の根元と、肩先との真ん中にあるくぼみ、両手を肩に置いて、中指が当たるあたりが肩井。肩井を中指で押しながら、同時に親指で肩をつまむようにします。親指が当たる位置が裏肩井です。最後に丸尾先生は、こう付け加えます。「肩こりの原因はさまざまですが、デスクではけんこう骨や首を動かさないで指先だけでキーボードを打つ、字を書くなどの作業が続くことが多いのではないでしょうか。疲労感を覚える前に、時々、肩をすくめるようにしてストンと落とす、けんこう骨を中心に腕をぐるぐる回す、手首のストレッチなどを行いながらツボを刺激するとより効果的です」どのツボもすぐに押せるので、位置を覚えやすいのもいいところです。それぞれのツボを押すだけでも瞬間的に血流が促されているのを感じますが、5つのツボを全部押すと、心地よさとすっきり感を覚えることができます。ぜひ習慣にしたいものです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年02月16日筆者が通う鍼灸整骨院で、「20代の患者さんにこのごろよく聞かれるのは、『腹が立つ気分、怒りをしずめるツボはありますか?』ということです」という話を聞きました。そこで、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「怒り、イライラを抑えるツボとストレッチ」について、おうかがいしました。■腹が立つ、イライラするときは、全身がこわばっている丸尾先生は、怒りやイライラを感じるときの体の状態を、こう説明します。「腹が立ったり、イライラしているときは、体のあちこちの関節が緊張で硬くなっていることがあります。ですから、意識的に、手首や足首、肩関節を回す、首筋を伸ばす、股(こ)関節をゆるめるなど、屈伸運動のような軽い運動をするとよいでしょう。心の硬さと体の硬さは直結しますので、体の硬いところをほぐして心に働きかけるわけです」ではここで、具体的なツボとストレッチ法を紹介していただきましょう。1.心兪(しんゆ)と厥陰兪(けついんゆ)を刺激するストレッチ心兪(しんゆ)は、カッとなりやすい、イライラする、ヒステリー、心身症などに対応し、ストレス、精神的ショックなどを和らげるツボです。厥陰兪(けついんゆ)の「厥」とは、血液循環が悪い状態を表します。ストレスが体の内にこもり、体が冷えるときに刺激しましょう。ツボの位置:心兪(しんゆ)は第5胸椎(きょうつい)の外側、厥陰兪(けついんゆ)は第4胸椎(きょうつい)の外側です。ともに、けんこう骨の内側で、背骨をはさんで左右に2つずつあります。ツボの刺激法:自分では手が届かず、うつぶせになって人に背中を押してもらう位置にありますが、この2つを同時に刺激する、自分でできるストレッチがあります。両手を背中に回して、手を組みます。組んだ手を体から引き離すようにし、左右のけんこう骨をくっ付けるようにして背中を刺激しましょう。上半身のこわばりがゆるんでいきます。2.腎兪(じんゆ)を刺激するストレッチ東洋医学では、「腎の臓」に邪気が集まると病気になると言いますが、腎兪は腎臓や泌尿器系、また、呼吸器、神経系、婦人科系、の病気から、不眠症、立ちくらみ、腰痛……などさまざまな症状に対応します。ここを刺激、ストレッチをすることで、全身の筋肉がゆるみ、体が柔和になります。ツボの位置:左右の腎臓の上部、背骨の両脇、左右に2つ。ツボの刺激法:軽くこぶしを握って、腎臓のあたりに手を当てます。そのまま、背中を後ろへ反りましょう。いすに座ったままでも、立ってでも行えます。3.神門(しんもん)「神」は心を、「門」は出入り口を表すと言われ、心臓に異常があればここに違和感が生じます。怒り、ヒステリー、イライラ、心身症、不眠症、動悸(どうき)、胸が痛むときは、すぐにこのツボを押してください。高ぶった感情をしずめます。ツボの位置:手のひら側、手首の関節部の小指寄りの端にあるくぼんだ部分。ツボの刺激法:反対の手の指でくぼみを軽く抑え、グーパーか、または手首を前後にぱたぱたと振ることを繰り返します。4.内関(ないかん)読んで字のごとく、内側の関にあたるツボです。ここが硬い場合は、体のエネルギーの巡りをせきとめている状態。そうなると、イライラ、ヒステリー、不眠、心臓や胃の不調などの症状が現れます。よって、ここを柔らかく保つようにしましょう。ツボの位置:手のひらを上にした前腕の中心線上。手首から指の幅2本分ほどひじの方向へ離れたところ。ツボの刺激法:反対の手の親指で、ツボを指圧する。この付近をもみほぐしても効果があります。5.照海(しょうかい)ツボの名称は、「体に異常があるとき、明らかに邪気が集まる場所」という意味です。小さなことに腹が立つ場合や、特に、女性のイライラ、怒り、月経不順や月経にともなう精神不安や不快な症状に効きます。ツボの位置:内くるぶしの下にある大きなくぼみ。見つけやすいツボです。ツボの刺激法:指で指圧するほか、デスクワーク中や通勤電車では、反対の足の親指で刺激するとよいでしょう。ツボの刺激の仕方について丸尾先生は、次のように説明します。「あまり強く押し過ぎず、自分が『効いているな』と思う程度の強さで、一つのツボにつき30秒ほど、5~10回指圧をします。また、さする、もみほぐす、なども繰り返してください。ストレッチは、『伸びているな』と自覚する感覚を大事にして、いつでも何度でも行うようにしましょう」最後にこうアドバイスを加えます。「カッとなった、むかついた、キーッと感情が高ぶったとき、すぐさまこれらのツボを刺激したり、ストレッチを行ったりしてください。一瞬で、気分が変わるようになります」最近「イライラする」という方は、ぜひお試しください。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)【関連リンク】【コラム】鍼灸(しんきゅう)師に聞く。オフィスで目疲れ解消ツボ・ベスト5【コラム】怒り、疲れ、不安を癒やすツボとは?【コラム】ツボ押してスッキリ!自分で簡単にできる足裏マッサージ
2012年01月12日スマホにタブレットにゲーム機にパソコンに大型テレビと、とかくこの世はディスプレイだらけ。気付いたらコンタクトレンズと眼鏡の度数はドンドン進み、肩こり頭痛ケアもままならぬ日々です。そこで、デスクワーク中に自分で押せる目疲れ解消のためのツボについて、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔先生にお尋ねしました。■触る、なでる、つまむ、押す。自分でツボを探すまず、ツボの探し方について丸尾先生はこう言います。「ツボを探すには、ツボの位置が示された人体図などを参考に、おおよその場所をつかみます。ただし、体格同様、ツボの位置は人によって微妙に違ってきます。人体図はあくまで目安と考えて、そこから自分のコリ、ツボを探し当てるようにしましょう。例えば、肩に手を当てると左右の腫れやコリの違いが分かるでしょう。自分で触診するわけですが、触ったときにしこりのようなものがある、ほかの場所より冷たい、熱い、皮膚が乾燥しているなどの感触を感じ取ります。違和感があるところを触る、なでる、つまむ、押す。そうして、痛みが響く場所や、気持ちよく感じる場所が自分のツボです」■自分でケアしやすい目、首、頭痛に効くツボここで、目の疲れと、それにまつわる肩こり、頭痛などに効く「自分でケアしやすいツボ・ベスト5」を丸尾先生に選んでいただきました。その位置、押し方をご紹介します。「ツボを押す時間や回数は痛みの具合によって自分で調節すればいいのですが、目安として、ひと押しで5~20秒を5~10回ほど繰り返し、強く痛まない程度に刺激するとよいでしょう。どのツボも、左右に一つずつあります」と丸尾先生。以下、ツボの紹介はすべて丸尾先生談です。1.太陽目がすっきりして太陽が照るように晴れ晴れと目の疲れがとれる、というツボです。長時間パソコン作業をしていた、スマホの画面を凝視していた、暗い所でタブレットを使っていたなど、ディスプレイの見過ぎなどの疲れ目に、正しく押すと即効性があります。ツボの位置:目じりとまゆじりの延長線が交わるところ。こめかみのあたり。こめかみのへこみは広いので、いろいろな方向に押して痛みやコリがあるところを探す。ツボの刺激法:親指か人さし指の腹で、ゆっくりじわじわと力を加え、最後はぐっと押す。押す方向を、いろいろと変えてみると疲労がたまっているところが分かりやすい。2.さん竹(ちく)「竹のつえをつかなければ歩けないほど目が見えにくい」というほどの目疲れに効くといわれるツボで、「明光」、「眉本(びほん)」とも呼ばれます。視力回復や涙目、めまい、結膜炎にも効果があります。さらに、朝起きて、目が腫れぼったいときには、ここを親指で強めに繰り返して押すと、腫れがひいていきます。ツボの位置:左右の眉頭、まぶた側のくぼみ。ツボの刺激法:くぼんだ部分を、親指で下から押す、指でつまむ。反対側の目に向けて、またその逆に、上にと、方向を変えながら押す。円を描くように刺激するとコリがはっきりわかるツボです。3.天柱(てんちゅう)長年の目の疲れ、ディスプレイを少し見ていると頭重感がある、首筋がカチカチに凝っている、肩こりがある、吐き気もする、めまいも起こる、などの症状の場合はここを押してください。頭部への血流を促し、気を通すことにつながります。リラックス効果もあるので、何か考え込むことがある、ストレスがあるときにもその解消に有効です。ツボの位置:首の後ろに通っている2本の太い筋肉と、髪の生え際の接点の外側にあるくぼみ。ツボの刺激法:ひじを左右に張り出して、両手で頭を抱えるようにして親指で押す。右のツボは左目に向けて、左のツボは右目に向けてじわじわと力を加えていく。4.四白(しはく)四は四方、白は明らかを表し、「四方が明らかになる」という意味があると言われます。目の疲れのほか、緊張で顔がこわばって笑えないとき、 ほおが痛むとき、また、上の歯が痛むときにも効果を発揮します。ツボの位置:眼球のくぼみの下に骨がありますが、その縁の中心から指幅1本分ほど鼻側の少しへこんだ部分。あっかんべーをしたときに骨に指があたって止まる位置の鼻側。ツボの刺激法:人さし指の腹で、痛みを感じる方向にやや強めに押す。5.瞳子りょう(どうしりょう)「瞳子」とはひとみ、「りょう」は角の意味で、場所を表します。疲れ目の治療には定番のツボです。また、顔のひきつり、まぶたがぴくぴくするときなどにも有効です。ツボの場所:左右の目じりから、指1本分外側にある骨のきわ、小さくくぼんだ部分。ツボの刺激法:人さし指の腹で左右同時に、じわじわと力を入れる。いつでもどこでも自分で押しやすい5つのツボ。実践してみると、どんどん首から上がスッキリしてきて、気分まで晴れやかになります。デスクワーク中の習慣にしたいツボ押しです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)【関連リンク】【コラム】パソコン疲れ!?眼科医に聞く目、肩、心身の疲労ケア【コラム】オリンピック選手に聞く。どこでもぐっすり眠るコツ【コラム】ツボ押してスッキリ!自分で簡単にできる足裏マッサージ
2011年12月03日