タレント・ビートたけしが「オフィス北野」から退社・独立した騒動について、同事務所に所属するたけし軍団の水道橋博士、つまみ枝豆らが1日、それぞれのブログで「軍団一同」名義の声明文を発表。オフィス北野の森昌行社長の経営に「明らかな違法行為」や「完全な裏切り行為」があり、独立に至ったと明かした。ビートたけし「報道されている、師匠・北野武氏の独立について」と題した投稿で、「幾つか事実関係についての確認、師匠が独立に至った経緯について、我々、たけし軍団の認識をご報告申し上げます」とし、まず「オフィス北野は1988年、たけし&たけし軍団の新会社として設立されました。芸能事務所ではありますが、師匠は芸に徹するため、経営、財務については森昌行社長を信用され、全面的に任せておりました」と説明。そして、「が、数年前、師匠が保有する別会社の株式に関する疑義が発生した際に、師匠が不審に思い、事情を調査したところ、明らかな違法行為がありこの出来事をきっかけにして、オフィス北野の経営も、改めて確認されたいと申し出たところ、その結果は思わぬ方向に波及してしまったことが、今回の騒動の引き金になっております」と明かした。続けて、発覚した事案として「師匠が知らない間に、森社長が、何時の間にか、オフィス北野の筆頭株主になっていた」「森社長をはじめ、会社の役員報酬の金額が師匠にとっては容認できない水準になっていた」という2点を告白。その際、森社長は、師匠との協議を重ねて、信頼を失ってしまうような行為をしてしまったことを平に陳謝し、「今後は信頼を回復するために頑張りますので再度チャンスを下さい」と申し入れ、たけしが受け入れたという。だがその後、オフィス北野が赤字に転落し、たけしが経営に関する問題点として、「株式の移動に関する手続きの不備」や「役員報酬の水準に関する不満とその決定に関する手続きの不備」などを指摘。森社長は不備を認め、改善を約束するも、その作業工程が遅れ、今年3月にたけしが独立の意向を示したという。「これが、世を騒がした、ビートたけし独立の経緯です」と記した。そして、「せっかく一度は、互いの信頼回復の機会がありながら、結果的に、森社長が師匠の信頼を裏切ってしまう形になってしまったことは、たけし軍団一同、師匠に対し申し訳ない気持ちでいっぱいです」とし、また、「森社長から、2度にわたり師匠の信頼を裏切ってしまったことへの謝罪を受け入れ、今後は、たけし軍団、オフィス北野に所属するタレントのために経営を続けて取り組んでいきたい、とのことで、たけし軍団は、新事務所に移籍することなく、オフィス北野に居残り、出直しすることに至りました」と事務所残留を決めた思いも明かした。さらに、「更に、師匠と弟子の関係、及び絆は、事務所を違えることになっても、変わらず継続中であることを強く申し上げます」と、たけしとの関係に変わりはないとつづった。
2018年04月02日タレントのビートたけし(71)が31日をもって所属事務所「オフィス北野」を退社。4月1日からは、自ら設立した新事務所「T.Nゴン」で活動する。 一部スポーツ紙が報じたところによると、漫才コンビ「ツービート」でのたけしの相方・ビートきよし(68)と「たけし軍団」のなべやかん(47)も同日付で同社を退社。また「たけし軍団」の〆さばアタル(49)とアル北郷(46)は新事務所に移籍するという。 「〆さばと北郷は構成作家として才能を発揮し、たけしのライブをサポート。たけしにとっては欠かせないブレーンなので移籍は仕方ないでしょう。『たけし軍団』のメンバーでもガダルカナル・タカらは残留を明言していますが、態度を保留しているメンバーもいるそうです。今後、退社するメンバーも少なからず出て来そうです」(テレビ局関係者) たけしは出演したテレビ番組で、今後の活動資金のために株を処理したと告白。また3億円に及ぶ退職金を事務所に残したとも明かした。 そのため当面の運営はなんとかなりそうだが、「オフィス北野」にとって懸念事項も。じつはいま、2人の所属タレントの去就に注目が集まっているのだ。 「俳優の寺島進さんと、『たけし軍団』のメンバーであるつまみ枝豆さんの妻・江口ともみさんです。寺島さんはバイプレイヤーとして売れっ子。江口さんはMCなどもこなせるので、たけしさんを除くと事務所内での稼ぎはトップクラス。もし退社したら事務所にとってかなりの痛手です」(芸能プロ関係者) 2人の決断やいかに。
2018年03月31日タレントのビートたけし(71)が3月いっぱいで所属事務所「オフィス北野」を退社し独立すると、一部スポーツ紙が報じた。 記事によると、たけしは数年前から着々と独立に向け準備。今後は一部週刊誌で愛人関係にあると報じられた18歳年下の女性と設立した事務所が窓口になる模様。またたけしの独立に伴い「オフィス北野」の森昌行社長(65)は、社名変更や業務縮小の可能性があることを示唆しているという。 「以前は森社長が唯一無二のビジネスパートナーでしたが、今は報道された女性が最良のビジネスパートナーになってしまったようです。たけしさんの独立は、『オフィス北野』にとって大打撃。『たけし軍団』の面々などは、たけしの事務所への移籍を志願するとみられています」(週刊誌記者) 渦中のたけしだが、今月5日に日本テレビ系で放送された「成功の遺伝史世界に誇る25人の日本人」に出演した際に年収を示唆する発言があった。 くりぃむしちゅーの上田晋也(47)から昨年公開映画「アウトレイジ最終章」の大ヒットについて話題を振られると、たけしは「金になんねえんだよ」と苦笑。さらに「全部税金に持っていかれるから。オレ、年間何億……10億もいかねえか、ま、そんぐらいいくんだよ、税金が」と告白したのだ。 「以前は各税務署が1,000万円以上の高額納税者を開示。それを閲覧したマスコミ各社が計算式に基づいて年収を推定し、著名人の『長者番付』として報じていました。その式に基づくと、納税額が10億ぐらいならば年収は少なく見積もっても27億円ほど。たけしさんの取り分を引いたとしても『オフィス北野』には年間数億円が入っていたでしょうから、経営危機に陥ってしまうのではないでしょうか……」(芸能デスク) たけし独立の痛手は大きすぎるようだ。
2018年03月14日北野武監督作の『アウトレイジ 最終章』で音楽を担当した鈴木慶一氏が2日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催された第41回日本アカデミー賞の授賞式に出席し、最優秀音楽賞を受賞した。鈴木慶一氏撮影:宮川朋久マイクの前に立った鈴木氏は、「どうもありがとうございます。本当に驚きました」とコメント。「非常にアバンギャルドな音楽で賞をいただき本当にうれしいです。そして、その方向に『向かえー!』と後押ししてくれたのは北野監督です」と感謝の言葉を伝え、「ポップとアバンギャルドの隙間産業ならぬ狭間音楽を作って、灰になるまで走って行きたいと思います」と意気込みを述べた。また、「最後に一言だけお礼を述べさせてください」と前置きし、「音楽の道のチャンスをことあるごとに作ってくれたおふくろに感謝します。今、極楽に向かう3分の1ぐらいだと思います。だから、聞こえるでしょう。ありがとう」と母への思いで締めくくった。
2018年03月02日3月2日(金)今夜の日本テレビ系「アナザースカイ」で、2月21日に急逝した俳優の大杉漣さんの韓国ロケの模様がオンエアされる。オンエアでは大杉さんが役者論が変わったという劇場や映画監督との再会などの模様が放送されるという。劇団活動からVシネマ出演などの長い下積み時代を経て、『ソナチネ』のオーディションで北野武監督に見出されたことが転機となり、その後『ポストマン・ブルース』『HANA-BI』などでその演技力が認められ、日本を代表する演技派俳優としての地位を確立していく。『BROTHER』や『アウトレイジ』をはじめとした北野作品の常連となったほか、『おかえり、はやぶさ』『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』『シン・ゴジラ』など様々なジャンルの映画作品はもちろん、「相棒」シリーズの衣笠藤治役や最近では「お迎えデス。」「レンタル救世主」などのドラマまで幅広く出演。昨年からは「ぐるぐるナインティナイン」の“ゴチバトル”のレギュラーとしてバラエティー番組でも活躍。この2月から放送が開始されたドラマ「バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」の撮影中、急な病に倒れ帰らぬ人となった。日本映画界、ドラマ界に大きな足跡を残した大杉さんは、どのようにして名俳優へと駆け上がってきたのか。本番組では大杉さんが、人生を変えた想い出の韓国を訪れ、人生の節目で訪れた地を巡り30年前のどん底だった時代に訪れた劇場や、出演した韓国映画の監督と再会、当時の過酷な撮影をふり返る。大杉さん自身が思い出の地で振り返った人生とは?多くの人に愛された名優の軌跡を辿る「アナザースカイ」は3月2日(金)23時~日本テレビ系でオンエア。(笠緒)
2018年03月02日2月25日、北野武(71)が審査委員長を務める「第27回東京スポーツ映画大賞」授賞式が開催された。21日に亡くなった大杉漣さん(享年66)は「アウトレイジ 最終章」で助演男優賞を受賞した。 北野は大杉さんをはじめ同作に出演した4人の俳優を助演男優賞に選び、「映画を支えている人たち。本当にすごい役者さん」と労いの言葉をかけた。さらに「漣さんは、今日はいらっしゃらないけど……」と大杉さんにも触れ、バイプレイヤーの偉大さを改めて語った。 「主演ではないけれどみなさんすごい。このメンバーのお陰で主役が生きた。みなさん素晴らしくてありがたかった」 大杉さんは16年3月、スポーツ紙のインタビューに“バイプレイヤー魂”を語っている。 「極悪人だろうが、オカマちゃんだろうが、『蜜のあわれ』の金魚を擬人化して愛してしまう老作家だろうが、仕事のオファーを頂いて、『やります』っていう自分を、実は愛おしいと思っています」 同インタビューで、大杉さんはどんな役柄でも「喜んで演じる」と語っていた。99年に公開された映画「オーディション」で、体が不自由な年齢不詳の男を演じたときのこと。体に汚しのメークをして撮影を待ち、暗くて寒い倉庫に何時間も待たされた大杉さん。やっと監督に出番を告げられたものの、“麻袋の中にうずくまって”呻くだけの役だった。それでも大杉さんは笑って回想した。 「(観たひとに)『あれ大杉さんでしょ』と言われて、うれしかった」 大杉さんにとって最後の出演作となり、“バイプレイヤー”という言葉を広めたドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」(テレビ東京)は当初の予定通り、残りの2話を放送することが23日決定した。遺族や共演者らの理解が得られ、何よりファンからの要望が多く寄せられたためという。 大杉さんの“バイプレイヤー魂”を最後まで見届けたい。
2018年02月26日女優の長澤まさみが、ビートたけしが審査委員長を務める「第27回東京スポーツ映画大賞」で主演女優賞を受賞し25日、都内ホテルで行われた授賞式に出席した。『散歩する侵略者』で受賞した長澤。たけしから「長澤さんは、はじめはアイドルっぽくなかった? 今は演技ばっかり言われて女優の演技を評価されているけど、最初のころはタレントみたいな感じだったよね」と変化を指摘されると、「そうですね。変わってきたなと思うところはある気がします」と話した。そして、「このたびは本当に素敵な賞をいただき光栄です。ありがとうございます」と感謝し、「まだまだはじめの頃と変わらないなと思う反面、やらなくちゃという思いでやってきているところがある。自信を持って私がやったんだと言えるようになる日がくるのかわかりませんけど、とにかく過去を振り返らず、前に進むことを続けていけたらなと思います」と力強く語った。「第27回東京スポーツ映画大賞」受賞者作品賞:『アウトレイジ 最終章』監督賞:北野武監督(『アウトレイジ 最終章』)主演男優賞:西田敏行、塩見三省(アウトレイジ 最終章』)主演女優賞:長澤まさみ(『散歩する侵略者』)助演男優賞:大杉漣、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、金田時男(『アウトレイジ 最終章』)助演女優賞:広瀬すず、斉藤由貴(『三度目の殺人』)新人賞:金田時男(『アウトレイジ 最終章』)外国作品賞:『ラ・ラ・ランド』「第18回ビートたけしのエンターテイメント賞」受賞者日本芸能大賞:明石家さんま、綾小路きみまろ、島田洋七日本芸能賞:ブルゾンちえみ、かまいたち、とろサーモン、ゆりやんレトリィバァ特別賞:葉加瀬太郎功労賞:小室哲哉、葛西紀明話題賞:元横綱日馬富士&貴ノ岩、豊田真由子元衆院議員、元SMAPの稲垣吾郎・香取慎吾、草なぎ剛
2018年02月26日女優の広瀬すずが、ビートたけしが審査委員長を務める「第27回東京スポーツ映画大賞」で助演女優賞を受賞し25日、都内ホテルで行われた授賞式に出席した。広瀬すず『三度目の殺人』で受賞した広瀬は、美背中や胸元をあらわにしたドレスで登場。同映画賞での受賞は今回で3度目となり、司会のガダルカナル・タカが「この映画祭の常連っていうことになってしまいますが大丈夫ですか?」と心配するも、広瀬は「力不足だなと思うことがあるなかでこの賞をいただけてすごく励みになります。また作品の少しでも力になれるように頑張ります。ありがとうございます」と感謝した。斉藤由貴も助演女優賞を受賞したが、スケジュールの都合で欠席し、是枝裕和監督が代理で出席。たけしは、表彰状を読み上げる際に「あなたの不倫のあげく、パンツをかぶって・・・」などと斉藤の不倫報道をいじり倒し、ステージに立っていた広瀬はどういう表情をしていいのかわからないという様子でその暴走ぶりを見ていた。「第27回東京スポーツ映画大賞」受賞者作品賞:『アウトレイジ 最終章』監督賞:北野武監督(『アウトレイジ 最終章』)主演男優賞:西田敏行、塩見三省(アウトレイジ 最終章』)主演女優賞:長澤まさみ(『散歩する侵略者』)助演男優賞:大杉漣、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、金田時男(『アウトレイジ 最終章』)助演女優賞:広瀬すず、斉藤由貴(『三度目の殺人』)新人賞:金田時男(『アウトレイジ 最終章』)外国作品賞:『ラ・ラ・ランド』「第18回ビートたけしのエンターテイメント賞」受賞者日本芸能大賞:明石家さんま、綾小路きみまろ、島田洋七日本芸能賞:ブルゾンちえみ、かまいたち、とろサーモン、ゆりやんレトリィバァ特別賞:葉加瀬太郎功労賞:小室哲哉、葛西紀明話題賞:元横綱日馬富士&貴ノ岩、豊田真由子元衆院議員、元SMAPの稲垣吾郎・香取慎吾、草なぎ剛
2018年02月26日俳優の松重豊が、ビートたけしが審査委員長を務める「第27回東京スポーツ映画大賞」で助演男優賞を受賞し25日、都内ホテルで行われた授賞式に出席。21日に急性心不全のため66歳で急死した俳優の大杉漣さんを悼んだ。今年の助演男優賞は、北野武監督作品『アウトレイジ 最終章』に出演した大杉漣さん、大森南朋、ピエール瀧、松重豊、金田時男の5人。たけしは「みなさんすごい。どうせならみんな表彰しちゃおうって。みんな本当にすばらしくてありがたかった」と5人の演技を称え、「漣さんは今日は残念ながらいらっしゃらないけど」と残念がった。テレビ東京系ドラマ『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』でも大杉さんと共演しており、大杉さんの最期を看取った松重は「僕が映画デビューしたときに大杉漣さんに映画の楽しさを教えていただき、北野映画に僕も出演することができて、『こんな晴れやかな場所に一緒に立てるんですね』という喜びをつい4日前に千葉の海で話した」と大杉さんとの会話を明かした。そして、「本当に残念ですけど、湿っぽいことは嫌いな漣さんなので、前を向いていきたい」と話し、「こういう機会をいただき、ありがとうございます」と感謝。「漣さん、これからも日本の映画を、僕たちを見守ってください」と天国の大杉さんに向かってメッセージを送った。大森は「この賞を大杉漣さんと一緒にとれたことを誇りにして生きていこうと思います」と語り、ピエール瀧は「いただきました!」と天に向けてトロフィーを掲げた。『アウトレイジ 最終章』で主演男優賞を受賞した西田敏行と塩見三省も大杉さんを追悼。西田は「戦友を失いました。とっても辛いですけど、あんなに突然いってしまうというのは大杉漣さんらしいなと思っています。人間の死は寿命だと思うようにしないと納得できないので寿命なんだと思います」などと語り、塩見は「大杉! 俺はこんな体になったけど、もうちょっとやってみるよ。ありがとう」と呼びかけた。
2018年02月26日北野武(71)が2月24日、自身が司会を務める「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)に生出演。「キタノ映画」を支えた大杉漣さん(享年66)の“早すぎる死”について初めて口を開いた。 番組では、大杉さんの特集を組んだ。冒頭では、昨年10月に「ぴったんこカン・カン」(同局)で北野と大杉さんが共演した模様を放映。北野が「浅草キッド」を歌う横で大杉さんがギターを伴奏する様子が流れると、北野は何度も目頭を押さえた。 北野が大杉さんの訃報を受けたのは「ビートたけしのTVタックル」(テレビ朝日系)の収録を終えた直後だったという。 「マネージャーが『大杉漣さんがお亡くなりになりました』って俺に言うのよ。『お亡くなりになりました』はわかる。『誰が(亡くなったのか)?』。大杉漣さんはこれほど知っているのに、真っ白でわからないの。『誰?大杉漣さん?』って言ってるの」 北野は、93年に公開された映画「ソナチネ」に大杉さんを起用した経緯についても明かした。オーディションに遅れてきた大杉さんを数秒見ただけで採用した北野。「勘なんだけど、この人を使うべきだと思った」と当時の心境を語った。そして撮影が始まると、ヤクザ役の大杉さんの演技に魅了されたという。 「『全部アドリブでやって』とお願いしたら、自分でセリフを作っちゃって。それがうまくて延々やれるの」 「HANA-BI」を始め10本もの映画に大杉さんを起用した。北野は「どんな役でもやってくれた」と感謝したが、悔しそうな顔も見せた。 「いくら監督だと威張っていても、役者が支えてくれているものだとよく分かったけど、だけど早いよね」 大杉さんが最後に出演した映画も“キタノ映画”である「アウトレイジ 最終章」。北野は大杉さんの同作での役柄と、役者人生に思いを馳せた。 「申し訳ないけど死ぬ役なんだよね。すごい変な言い方だけど、俺が生かして俺が殺したみたいな妙な気になって。悲しいけど、申し訳ないなって思ってさ……」 Twitterでは北野の、大杉さんへの思いに胸を打たれた視聴者からの声が上がっている。 ≪北野武さんの大杉漣さんに対する涙に打たれてしまったな≫≪北野監督「見抜いた」「見出した」というよりは「惚れた」という感じなんですね≫≪“名匠”北野武さんと“名優”大杉漣さんの間に生まれた友情……ひしひしと伝わって来る≫ 最後まで、北野は大杉さんの死を受け入れられない様子だった。 「(今ごろ)何してるんだろう…」
2018年02月25日お笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史が、22日深夜に放送されたニッポン放送のラジオ番組『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』(毎週木曜深夜1:00~)に出演し、日本テレビ系『ぐるぐるナインティナイン』で共演しながら、今月21日に急逝した大杉漣さんを悼んだ。この日の放送は、いつも通りの雰囲気でトークしていた岡村だったが、番組のエンディングで「皆さんご存知やと思いますけど、大杉漣がさん亡くなりまして、本当に突然のことでしたので、ホンマに信じられないような気持ちなんですけど」と切り出した。続けて、「気をすごいつかわれる方でしたし、今日も僕がしんみり放送なんかしてたら『そんなのちょっとやめてよ~』って言わはるような方でしたので、最後の最後になってしまったんですけど、本当に天国でちょっとゆっくりしていただきたいなという思いです」と、エンディングで大杉さんのことを語ることになった真意を説明。自身は芸人同士として、大杉さんは役者と監督して接するビートたけし(北野武)の話題になることが多かったといい、「僕がたけしさんの書いた(小説)『アナログ』にサインもらってたんです』って話をしたら、『僕もサインもらおうかな』と言って、次の週にすごくうれしそうに『岡村くん、僕もサインもらったんだよ』って言って」と、エピソードを振り返った。そして、「映画の話とかもしていただいて、ぼくらみたいな若い人間でも同じように目線下げていただいて、気をつかっていただいて、本当にありがたかったなと思います。最後になりましたけど、本当に心からご冥福をお祈りいたします」と悼んだ。大杉さんは、『ぐるナイ』の看板コーナー「グルメチキンレース ゴチになります!」に、昨年1月からレギュラーメンバーとして出演。22日は、大杉さん最後の参加となった「ゴチ」が放送され、大杉さんが最下位で16万5200円を自腹で支払うという結果だった。
2018年02月23日2月21日に急性心不全で亡くなった大杉漣さん(66)。大杉さんといえば、北野武(71)が監督を務める「キタノ映画」の常連だった。 初めてのタッグは93年の映画「ソナチネ」。同作のオーディションはわずか2秒だったという。というのも、大杉さんがオーディションの時間を1時間間違えてしまったためだ。しかし「使ってみないとわからない」と思い、北野は起用に踏み切る。 09年のインタビューで、当時を回想した北野。大杉さんのキャスティングは「成功だった」と明かしている。 「最初はそんなに出番もなかったんですけど、撮ってるうちに『この人いいな』って思って、『漣さん、悪いけど、もうちょっと出て』って言って」 あまり現場では多く言葉を交わすことはなかったというが、北野は大杉さんのことを高く評価していた。キタノ映画は一発撮りが基本。緊張感もあり、リアリティが出る。そういったシチュエーションのなかでも大杉さんにはほとんどNGがないと昨年10月のインタビューで、北野は語っている。 「キレイにセリフが言えなくても、そういう芝居に見える。実際に人がしゃべるとき、全部はっきりした言葉で、きっちり話すことなんてないし」 どんな姿であっても樣になる、大杉さんのその独特の存在感に北野は惹かれていたようだ。 しかし大杉さんの存在感に“光を当てた”のは北野だった。大杉さんは亡くなる直前、22日のインタビューで「ソナチネ」当時を回想している。同作は脚本もなく、ただ「突っ立ってて」と言われただけ。「何もせずただそこにいることは難しい」と痛感したようだが、過去にいた劇団ではそういった「沈黙」での表現を鍛えられていた。 「若い日の経験を映画で生かせた。役者としての今後に明かりが見えました」 訃報を受けた北野の様子を東国原英夫(60)は「全ての動きが止まっていた」とTwitterで表現している。その心痛は、計り知れない。
2018年02月22日2018年2月21日、俳優の大杉漣が急死したことが分かった。放送中の「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」公式サイトでは、遠藤憲一、田口トモロヲ、松重豊、光石研らバイプレイヤーズ一同から「お悔やみの言葉」が掲載。また「放送に関するお知らせ」と題して本日分の同作は予定通り放送することを発表した。1951年9月27日生まれ、66歳でこの世を去った大杉さん。1970年代に劇団活動を始め、長く下積み時代を経て北野武監督による『ソナチネ』『HANA-BI』をはじめ数多くの映画作品に出演。NHK大河ドラマ、NHK連続テレビ小説、2時間ドラマ、Vシネマ、インディーズ、ドキュメンタリーのナレーション、CMなど多岐に渡り活躍。「ぐるぐるナインティナイン」ではレギュラー出演も果たし、その人柄でバラエティー番組でも人気を博した。近年では『アウトレイジ』や『シン・ゴジラ』の総理大臣役、ドラマ「バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」などで高い知名度を誇った。今回の訃報を受け、放送中だったドラマ「バイプレイヤーズ ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」は公式サイトにてコメントを発表。「現在、テレビ東京にて放送中のドラマ『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』にご出演頂いておりました俳優・大杉漣さんが、本日、急性心不全のため急逝されました。心よりお悔やみ申し上げます」。今後の放送については「『バイプレイヤーズ』本日2月21日(第3話)につきましては、ご遺族、事務所、キャストの皆様のご意向もあり、予定通り放送いたします。2月28日(第4話)、3月7日(第5話・最終回)の放送については現在検討中です」と明かした。また遠藤憲一、田口トモロヲ、松重豊、光石研の出演者連名で「余りにも突然のことで、メンバー一同、まだ現実を受け入れられないでいます。『バイプレイヤーズ』という実名を晒した上でのドラマで、そのリーダーであり、精神的な支柱でもあった大杉さんが突然いなくなるという喪失感は計り知れません。 しかし最後の日まで、役者として現場に立ち、みんなを笑わせ続けていました。永遠に我々の目標であり、憧れでもある漣さんを、一同、心から誇りに思います。お疲れ様でした。どうか、安らかにお休みください。漣さん、ありがとうございました。」(原文まま)と、彼の死を悼んだ。さらに、フジテレビ系ドラマ「世にも奇妙な物語」公式Twitterでもコメントが上げられた。SNS上では多くのファンや芸能界からも悲しみの声が続々と上がっている。(text:cinemacafe.net)
2018年02月21日「全員、元殺人犯」という触れ込みだった『羊の木』、北野武映画のようなバイオレンス満載の映画なのかと思って見たら全然違った。ユーモア満載で、でも締めるところ締めながら、しだいに人間の業が露わになっていくサスペンス性の高い秀作だ。魚の美味しいくらいしか取り柄のない港町に、仮釈放された殺人犯たちが6人、10年間の期限つきで住むことになった。これまでにない全く新しい仮釈放と過疎対策を兼ねた、画期的な国家プロジェクトを任された市役所員・月末一(錦戸亮)は戸惑いながらも元殺人犯たちと向き合っていく。町の奇祭のシンボル"のろろ"が物語のいいアクセントになっている。○キャラの濃い元殺人犯たちと、"小市民"の錦戸亮元殺人犯たちのキャラが濃い。それを演じる俳優がまた凄みがある巧者ばかりだ。明らかに悪さをプンプン漂わす北村一輝、やたらと色っぽい優香、『シン・ゴジラ』からすっかりその仏頂面が注目を浴びている市川実日子、只者じゃない目をしている水澤紳吾、貫禄あり過ぎる田中泯、最も感じよく見えて絶対何かありそうな松田龍平。彼らが演じる殺人犯は、ひと口に殺人といっても、それぞれ複雑なワケを背負っている。なかなか抱えきれるものではないヘヴィな人生を目の当たりにしておろおろするばかりの月末を演じる錦戸亮は、彼らとは対照的にいかにも善良な小市民といった印象を醸しだす。錦戸亮のふつうさを、吉田大八監督は宣伝用のプレスシートで「非凡な凡庸さ」と讃えている。確かに、非凡なのである。ジャニーズのアイドルであるということがすでに非凡であるうえに、錦戸亮は、一時期、関ジャニ∞とNEWS、ふたつの人気グループを掛け持ちするという非凡なことを行っていた。いまは、関ジャニ∞一本になったが、例えば、同じ社内で東京支社と関西支社を掛け持ちするなんて滅多にできるものではない。グループ活動は一本になったが、アイドルとしてキッラキラの笑顔を振りまく一方で、俳優活動を行う、ジャニーズ特有の器用さを見せる錦戸亮について思うのは、平凡を巧く演じる才能よりも、いったいなぜ、いつもこんなにも悲しそうなのか、ということだ。○濡れた瞳に悲しさをたたえる錦戸『羊の木』でもそう思った。これにかぎらず、ほかの映画やテレビドラマで演じる錦戸亮は悲しい顔をしていることがよくある。もちろん役のうえでであって、本人は別に悲しい人ではないだろう。たまたま顔だちが絶妙な困り顔だっただけかもしれない。それにしても、その悲しさをたたえ濡れたような瞳は、どうだ。『流星の絆』(TBS/08年)で"ぬれ煎餅"と呼ばれていたほどだ。それだけ錦戸亮の濡れた瞳には只ならないものがある。私には、従来の悲しさの表現を超越し、この世の穢れをその涙で洗い流そうとするかのような、慈悲の表情に見えてきてならない。『流星の絆』で錦戸が演じた役は、幼い頃に両親を惨殺された犯人に復讐を計画している3兄弟の次男で、詐欺を働いている。つまり、被害者であり加害者でもある複雑な人物だった。『流星の絆』の脚本を担当した宮藤官九郎と錦戸が再びタッグを組んだ『ごめんね青春!』(TBS/14年)では、お寺の子どもにして、教師という聖職者となった極めて真面目なのだが、高校時代、学校を燃やしてしまった罪悪感に苛まれて生きている人物を演じていた。○罪を見つめる作品で生きる錦戸亮は俳優としてほかに、現代にタイムスリップした武士や、県庁おもてなし課でがんばる職員やら、アイドルをやりながら正義の味方をやっている変身ヒーローやら、いろいろな役を演じているのだが、『羊の木』には、『流星の絆』や『ごめんね青春!』のような、人間の"罪"を見つめ"赦し"に到達しようとする心を描いた物語で抜群に生きるように思う。なんだか神父さまみたいなのだ。『羊の木』の錦戸亮の役割も、期せずして、殺人犯たちの懺悔を聞いているような立場に見える。ただ、一見、善良に見える主人公のこころの中にも何かがあることをこの映画は描いていてドキリとさせる。そこにこそ、錦戸亮がキャスティングされている意味がある。『流星の絆』や『ごめんね青春!』の役のように、人間の混沌をその濡れた黒い瞳に宿している彼だから、ただの善良な傍観者では終わらない。思えば、錦戸亮が、『トットてれび』(NHK/16年)で、「上を向いて歩こう」という名曲を歌った国民的歌手にして、不慮の飛行機事故で亡くなった伝説的人物・坂本九を演じたことも、必然であったように思う。涙がこぼれないように上を向いて歩こうと歌う、深い悲しみを笑顔で溶かそうとする切実な気持ちを、錦戸は泣きそうな瞳で笑いながら歌っていた。いつか、錦戸亮に、キリストの受難を演じてほしい。(C)2018『羊の木』製作委員会 (C)山上たつひこ、いがらしみきお/講談社■著者プロフィール木俣冬文筆業。『みんなの朝ドラ』(講談社現代新書)が発売中。ドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書『挑戦者たちトップアクターズ・ルポルタージュ』『ケイゾク、SPEC、カイドク』、構成した書籍に『庵野秀明のフタリシバイ』『堤っ』『蜷川幸雄の稽古場から』などがある。最近のテーマは朝ドラと京都のエンタメ。
2018年02月14日俳優・大杉漣が様々な街を歩く散歩番組「大杉漣の漣ぽっ」が、1月3日(水)に地上波&BSで合わせて4時間の“新春特番”を放送することが決定した。大杉漣、“鎌倉”&“高知”をお散歩BSフジにて月1回放送中の本番組は、大杉さんが様々な街をゆる~く歩く旅バラエティ。今回の新春特番では、地上波にて鎌倉を散歩する模様を放送する「大杉漣の漣ぽっ~2018年は鎌倉を歩いて運気を上げよう!~」を、BSフジでは高知を歩く「大杉漣の漣ぽっ新春SP!!2日間、高知のハシからハシまで歩いたぜよ!?」を放送する。鎌倉では、“豪華ゲスト”と共に街歩き!通常放送では、スタッフに出される“漣楽”という名の指令を目指し一人で街を歩く大杉さんだが、今回地上波放送では女優の板谷由夏をはじめ、勝村政信、要潤、田中要次、山崎まさよしの豪華ゲストを迎え鎌倉の街を歩く!また放送では、30年来の友人である勝村さんからは北野武監督の『ソナチネ』で沖縄を訪れた際の裏話が飛び出し、板谷さんからは『avec mon mari』の撮影時のエピソードが語られるなど、知られざる撮影秘話が続々登場。一方で、今回はなかなか指令の場所が見つからず苦戦した大杉さん。過酷な道のりを共に歩き、大杉さんと即興セッションも披露した山崎さんは、「珍しいものも見ることができて楽しい散歩ができた」とふり返っている。ゲストを迎えた今回。「いつもと少し違う形での“漣ぽっ”をお見せ出来たのではないでしょうか」と明かす大杉さんは、「歩きながら子どものように素直に喜び笑う勝村政信さんや板谷由夏さんを見ることも新鮮でしたし、要潤さんは本当に芯のしっかりした俳優さんでした。そして、田中要次さんは飾らぬ自然体でご自分を語り、敬愛するミュージシャン・山崎まさよしさんのユーモアあるお話も絶品でした。最後には信じられないセッションもありました!いやあ、この日一番の緊張感を味わいましたね。今回“漣ぽっ”で、普段の素に近い皆さんの姿を見せていただいたことを本当にうれしく思っています」とコメントしている。高知では新たな指令スタイルが!?高知を歩く2時間スペシャルでは、これまで1日で指令をクリアしてきた大杉さんだが、今回は新たな指令スタイルに困惑した様子。映画監督の安藤桃子に出会うなど、様々な出会いに恵まれながら、高知の街並みと自然をたっぷり堪能しつつ、ゴールを目指していく。まず高知を歩いてみて「念願の四万十川は想像以上」と感想を語った大杉さん。「いいところなんだろうと想像はしていたのですが、実際に訪れてみると本当に素晴らしかったです。自然・風景に加えて、地元の皆さんがとてもお元気で、それってなぜだろうと考えたのですが、おそらく環境の力もあるのかもしれませんね。僕たちの番組で皆さんに元気を感じていただくこともあると思うのですが、今回はお会いする皆さんがとても前向きな感じがありまして、逆に元気をいただけたことがとてもうれしかったですね」と高知を満喫したよう。今回は合計4時間の放送ということで、大杉さんは「いままで、こういう形はなかったですよね」と言い、「歩くことの楽しさを皆さんにお伝え出来ればと思っております。わがまま、気まま、思うまま、ですね。視聴者の皆さんも一緒にその町を歩いている気持ちになって頂ければうれしいです。乞うご期待ですぞ!」とメッセージを寄せている。「大杉漣の漣ぽっ~2018年は鎌倉を歩いて運気を上げよう!~」は2018年1月3日(水)7時~フジテレビにて放送(関東ローカル)。「大杉漣の漣ぽっ新春SP!!2日間、高知のハシからハシまで歩いたぜよ!?」は2018年1月3日(水)14時~BSフジにて放送。(cinemacafe.net)
2017年12月19日一年の世相を表す「今年の漢字」が「北」だったことを受け、映画レビューサービス・Filmarks(フィルマークス)が3,000万件以上の映画レビューデータ(12月12日時点)をもとに、レビューに「北」という単語が最も多く使われている映画を抽出、独自のランキング結果をこのほど発表した。1位は妻夫木聡とニセ夫婦役を演じた北川景子出演の『ジャッジ!』。同じく北川が女子高生役を演じた『パラダイス・キス』も4位にランクインした。また、北野武監督・出演作の4作品がトップ10入りし、中でも最上位の『龍三と七人の子分たち』は最近の上映作品でレビュー数が多かったことや、「北野武映画というよりはビートたけし映画」といった内容のコメントが多く、その説明をするために「北」が頻出した。6位の『レッド・ファミリー』は、キム・ギドク氏の製作・脚本作。北朝鮮工作員による擬似家族と隣人の韓国人家族の交流をコミカルに描き、朝鮮半島が抱える問題を浮き彫りにした。3位の『シンプル・シモン』は一見「北」とは無縁にも思えるが、スウェーデン発の"北"欧のビジュアルセンスについて語るレビューが多数。「北欧ならではの色使い」「北欧感のあるポップさやインテリアがいい」など、洋画ナンバー1の「北」映画になった。また2作品がランクインした『マッドマックス』は、『北斗の拳』のモデルとなった作品であることが主な理由。8位の『マッドマックス2』と5位の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の件数を足すと1位を超える558件に達し、ウラ「北」映画ナンバー1に。そのほか、「南北戦争」「北海道」「堀北真希」「北斎」などのキーワードがあり、北川悦吏子監督・脚本で北乃きい主演の『ハルフウェイ』は13位に。北野監督作は、16位(『その男、凶暴につき』)と20位(『アウトレイジ ビヨンド』)にもランクインした。○■「北」映画ランキングTOP101位『ジャッジ!』(503件)2位『龍三と七人の子分たち』(470件)3位『シンプル・シモン』(451件)4位『パラダイス・キス』(338件)5位『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(334件)6位『レッド・ファミリー』(253件)7位『アウトレイジ』(242件)8位『マッドマックス2』(224件)9位『ソナチネ』(203件)10位『Kids Return キッズ・リターン』(201件)11位『ヘイトフル・エイト』(188件)12位『しあわせのパン』(182件)13位『ハルフウェイ』(175件)14位『かもめ食堂』/『白夜行』(171件)16位『その男、凶暴につき』(170件)17位『麦子さんと』(158件)18位『百日紅 Miss HOKUSAI』(155件)19位『日本で一番悪い奴ら』(146件)20位『アウトレイジ ビヨンド』(145件)(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED(C)2015『龍三と七人の子分たち』製作委員会(C)2014「ジャッジ!」製作委員会
2017年12月15日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が出版する書籍『シティ・ガイド』と『ファッション・アイ』に最新刊が登場。『シティ・ガイド』(書籍3,400円、モバイルアプリ1,000円/1都市)は、世界29都市の魅力的なアドレスを紹介するガイドブック。ルイ・ヴィトンらしいノマド的なスピリットを反映し、1998年の発刊以来、独自の視点で選んだ1万5,000を超える特別なスポットを掲載。書籍、デジタル版ともに多くのトラベラーにとって手放せない旅のパートナーとなっている。2018年版は、ロンドン、ニューヨーク、東京、香港、北京、ベルリン、ミラノ、シドニーに続き、パリの最新アドレスをアップデート。宮殿や博物館、チャーミングなブティックホテル、レストランや近所のビストロ、地元住民に人気の市場やエピスリー(食材店)、アンティークショップ、デザイナーたちが集まる聖地、そして秘密のスポットまで、旅心を刺激するありとあらゆるアドレスが紹介されている。各都市の魅力を伝えるのは、さまざまな分野で活躍するゲストたち。ユニークな目線でパリのスポットを案内するのは建築家ドミニク・ペロー(Dominique Perrault)。ロンドンはポップアートアーティストのカミーユ・ワララ(Camille Walala)、ニューヨークはキュレーターのナンシー・スペクター(Nancy Spector)、そして東京では、北野武が選んだ個性的なスポットによって、新たな“発見の旅”へと誘う。iPhoneとiPadで利用可能なモバイル版は各都市の全域を網羅し、数千のアドレスを定期的に更新。さらに、ルイ・ヴィトン初のコネクテッド機能付きウォッチ「タンブール・ホライゾン」にもアプリが搭載され、現在地周辺のおすすめスポットを表示するガイド機能によって、旅をさらに刺激的にナビゲートしてくれる。一方の『ファッション・アイ』(5,700円)は、2016年11月に創刊された著名ファッションフォトグラファーによるフォトブック。同書は、初公開、もしくは稀にしか公開されないアイコニックなフォトグラファーの作品を紹介したいという思いから誕生したフォトアルバムで、世界の主要都市や遥か彼方の地を、それぞれのフォトグラファーがパーソナルな視点で捉えた写真によって構成されている。今回は、既存の5冊に新しい5つのシリーズが追加された。モンテカルロは伝説的フォトグラファーのヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)、ニューヨークはカラー写真のパイオニアの1人として知られるソール・ライター(Saul Leiter)によるもの。ベルリンは、現在も第一線で活躍するドイツ人ファッションフォトグラファーのピーター・リンドバーグ(Peter Lindbergh)、ノルウェー出身のソルヴァ・スンツボ(Solve Sundsbo)はブリティッシュコロンビアの広大な土地を新鮮な角度から捉えている。そしてモロッコは、ヴォーグ誌の仕事でも知られるドキュメンタリー写真家のフィンセント・ファン・デ・ワインガールト(Vincent Van De Wijngaard)が撮影した。各アルバムでは、厳選された写真を大きなフォーマットで紹介するとともに、フォトグラファーの経歴とインタビュー、批評的エッセイなどを収録。一つの国や都市をファッションフォトグラファーの眼差しを通して浮かび上がらせる、クリエイティブと美の双方の観点から決定的な意味を持つフォトアルバムシリーズとなっている。
2017年11月23日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)の書籍『シティ・ガイド』と『ファッション・アイ』から、それぞれ新刊が登場する。世界29都市を網羅する『シティ・ガイド』ルイ・ヴィトンの『シティ・ガイド』は、印刷版、デジタル版ともに発売され、これまでも多くのトラベラーの手放せない旅のパートナーとしてあり続けてきたガイドブックだ。2018年版では、ロンドン、ニューヨーク、東京、香港、北京、ベルリン、ミラノ、シドニーなど29都市の15,000を超えるスポットを紹介。ページを開けば、宮殿、ブティックホテル、グルメなレストランやビストロ、地元住民に愛される市場、アンティークショップ、デザイナーが集まる聖地、博物館、有名なモニュメント、そして秘密のスポットに至るまで、すべてルイ・ヴィトン独自の視点で選んだ特別な場所を網羅できる。また、2018年はパリ版も全面的にアップデートし、最新のアドレスを追加。今まで以上に、旅心を刺激する1冊となった。各都市の魅力を伝えるのは、ジャーナリストや様々な分野で活躍するゲストたち。例えば、東京では北野武の案内で個性的な旅へと導かれる。なお、デジタル版はさらに強化され、iPhoneとiPadに対応するモバイルアプリは、各都市のガイドすべてと定期的にアップデートされる数千のアドレスを収録。さらに、ルイ・ヴィトン初のコネクテッド・ウォッチ「タンブール・ホライゾン」が登場し、ユーザーにあわせたカスタマイズができる機能もプラスした。ルイ・ヴィトンの旅の真髄(こころ)を称える『ファッション・アイ』1854年以来、ルイ・ヴィトンは旅の真髄(こころ)を称えてきた。2016年11月に登場した『ファッション・アイ(Fashion Eye)』と題したフォトアルバムは、それを形にした書籍。アーティストのエスプリに満ちたスケッチが描かれるシティ・ガイドやトラベルブックとは異なり、著名なファッションフォトグラファーたちがルイ・ヴィトンのエスプリを捉え、主要都市や遥か彼方の地をパーソナルな視点で表現する。今回は、5人のフォトグラファーが、新たな旅路へと誘う。モンテカルロはヘルムート・ニュートン、ニューヨークはソール・ライター、ベルリンはピーター・リンドバーグ、ブリティッシュコロンビアはソルヴァ・スンツボ、モロッコはフィンセント・ファン・デ・ワインガールト。1つの都市、地方、もしくは国が、1人のファッションフォトグラファーの眼差しを通すことで浮かび上がってくる。【詳細】『シティ・ガイド』<新刊> 3,400円+税 ※発売中『ファッション・アイ』<新刊> 5,700円+税 ※2017年11月中旬以降発売取り扱い:国内店舗ならびにオンライン【問い合わせ先】ルイ ・ヴィトン クライアントサービスTEL:0120-00-1854
2017年11月18日北野武監督の映画『アウトレイジ 最終章』が興行収入15億円、総観客動員数110万人を突破し、前作『アウトレイジ ビヨンド』(12)を超えてシリーズ最大のヒット作となったことが13日、明らかになった。『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続く完結編となる『アウトレイジ 最終章』。先月7日から全国287館で公開され、初日と2日目で25万人動員、興行収入は3.5億円を記録し、同日公開の他作品を抑えて『ビヨンド』以来2回目となる週末興行成績1位スタートを切った。公開から11日目で46.5万人、6.4億円。シリーズ1作目(最終興収7.5億円)を超えるヒット作となった『ビヨンド』の最終興収14.5億円を上回る122%の高水準が続き、その後の週末には台風直撃、平日は悪天候が続いたこともあったが着実に数字を伸ばしていった。配給元のワーナー・ブラザース映画によると、20代以上の男女の来場が多く、夕方から夜にかけての伸びが非常に良いとのこと。森昌行プロデューサーは、「『アウトレイジ ビヨンド』を"ビヨンドする"(超える)ことが大きな目標」と語っていた。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年11月13日●会議の末席で物語の構築をサポート映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武第2回:森昌行プロデューサー第3回:音楽・鈴木慶一第4回:美術・磯田典宏)。最終回となる第5回は、『BROTHER』(01)から参加し、「アウトレイジ」シリーズ以降の北野映画でチーフ助監督を務めている稲葉博文氏。『アウトレイジ ビヨンド』(12)のラストをどのように締めくくるべきか。助監督として監督に伝えた「それだと『仁義なき戦い』ですよ」という一言がシリーズの方向性に影響を与え、大友の暴走は『最終章』で決着することとなる。北野監督が「優秀」と一目置く“右腕”が、メディア初のインタビュー取材で「北野組」と「監督・北野武」の魅力を語り尽くす。○口述の書き起こしから始まる助監督の仕事――先日、北野監督にスタッフとの接し方について話をうかがったのですが、その時に「うちの助監督は優秀だからね」とおっしゃっていました。とんでもないです。やめてください(笑)。――本当ですよ(笑)。具体的には、セリフを直してもうこともあると。お聞きになってると思うんですけど、監督は口述されるんですよ。これは本当にすごいことで。1本の作品を頭からすべて語っていくわけです。もちろんメモのようなものはいただいたりするんですが、僕が立ち会わせていただく打ち合わせでは、シーン1からすべてセリフも含めて説明されます。僕はそれを文字に起こして、齟齬があるセリフは少し直させていただいています。――まさに私のような仕事というか。言ってみればそういうことですね。聞き漏らせないので、録音もします。監督の説明が2時間ぐらいだったりすると、「今回の映画の尺はそのくらいなんだな」というのも何となく分かります。――音楽の鈴木慶一さんもおっしゃっていましたが、一堂に会しての打ち合わせなので、たまに監督のコメントが自分の担当分野についてのものなのか分からない時があると。各担当の方々もそうやって参加されているんですね。そうですね。僕も録音を後で聞き直したりしています。――具体的にどんな作業からスタートするんですか?「アウトレイジ」シリーズ、『龍三と七人の子分たち』(15)でチーフをやらせていただいています。企画が立ち上がって監督とプロデューサーが台本を作っていく過程で会議の末席に座らせてもらって、監督の話を聞いて物語の構築をサポートする役割です。1回目の打ち合わせでまとめた資料をもとに、2回目からは頭から確認していく流れです。月に1回ぐらいのペースで4~5回。そうやってシナリオを練っていきます。――北野組ならではの手法なんですか?他の映画ではあまりないと思います。――初めて担当された時、率直にどう思われましたか?北野組には『BROTHER』から参加させていただいているんですが、チーフになる前は僕の代わりをされている方がいて、そのやり方を引き継いでいます。――監督のやり方は変わってないということですね。そうですね。ただ、台本を作り上げずにその場でやっていくのが長きにわたって北野組で行われてきたことなので。僕は『BROTHER』からなんですが、その時からちゃんと台本は用意されていました。もちろん薄いんですが(笑)。――準備できることも限られていそうですね。不安になりませんか?そうですね。突然思いつかれたりすることに対応が求められる現場です。1週間で焦って準備したり(笑)。180度異なる方向転換でも、みんなついていきます。○スケジュール完了で「終わった」――音楽の鈴木さんは「引き算」の表現方法を学んだとおっしゃっていました。セリフも無駄なところはカットしていくそうですね。防波堤で軽トラが走っていくシーンがあるんですけど、軽トラの音が入ってないんですよ。これは監督が「外してくれ」と言ったから。防波堤を描く一枚画の中でいらないのは軽トラの音。つまり、音に限らず、要素として必要のないものは「画の中に存在するものでも省く」。それが北野監督のやり方です。普通なら、画の中にあるものはすべて入れたいと思いますよね。●『ビヨンド』ラストシーンで北野武に進言したこと――以前からそうなんですか?そうですね。撮り方もそうですが、常に「シンプル」を意識していらっしゃると思います。――「アウトレイジ」は北野映画で初のシリーズ。多少やりやすくなることも?ロケ場所が同じ場所になったりすると多少は楽になります。あとは「物差し」ができる。山王会の事務所がこのぐらいの広さだったら、花菱会の広さをどうすべきかとか。――北野監督は編集がいちばん楽しいとおっしゃっていました。別の作品なのですが、あるスタッフの方は試写を観てようやく自分の仕事が終わると。助監督としてはどのあたりで肩の荷が下りるんですか?どのあたりでしょうね(笑)。スケジュールを切っている立場からすると、それがすべて完了した時に「終わった」とは感じます。文字通りのクランクアップ。ただ、スケジュールは他の組よりわりと楽だと思います。みなさん空けてくださるので。そういう意味では恵まれています。――それでは助監督として一番のご苦労は?大変なこと……やっぱり天気ですね(笑)。晴れてくれればいいなといつも願っています。ただ、北野組はツイてるのでいつも晴れるんですよ。――確かに防波堤での釣りのシーンも好天。いいロケーションでしたね。防波堤は最終日の撮影でした。監督は晴れ男ですからね(笑)。とはいえ、雨が降ることも想定しないといけないので、そこの準備も含めると大変ではあります。――『ビヨンド』の時に『最終章』の構想は固まっていたそうですね。そうですね。撮影の中盤あたりから、だいたい次の作品の話がはじまります。でも僕は、「監督、まだ撮影終わってませんよ(笑)」という役割です。○「それだと『仁義なき戦い』ですよ。菅原文太と同じです」――監督はご自身を介護老人タイプとおっしゃっています(『全思考』幻冬舎文庫より)。これだけの作品を一緒に作っていくとどこかでお友だち感覚になるので、仕事上の付き合いであることを意識していると。僕もどちらかというと考え方は同じで。他の監督でもそうなんですが、シンクロすることは大事なんですが、一方で批評の目も大事だと思います。絶対的に他者の目でその作品に臨む。なあなあで監督を褒めて監督の望むことを100%やるのは実は正しくないのではないかと。僕等が加わったことで、その作品に何かしらの良い影響をもたらした時に、初めて僕らの存在価値が生まれる。どういう場所でもそうですが、「こういう考えもありますよ」と問いかけることができるのが僕の立場。それは忘れてはならないポイントです。みなさんプロの方々なので、基本的には北野組の求心力でまとまっているんですが、「一歩立ち止まって見る」という一貫した視点があります。――監督に問いかけたことで覚えていらっしゃることは?『ビヨンド』のラストシーンですね。もともと大友は、片岡の銃を受け取って葬儀会場に入っていく予定でした。僕からは、「それだと『仁義なき戦い』ですよ。菅原文太と同じです」と言わせていただいて。ロケハン先で『仁義なき戦い』を観てもらって、「こうなってます」と。――ロケハンで(笑)。どんな反応でしたか?「もう一度考えてみよう」みたいなことをおっしゃっていました。――北野監督を取材してあらためて思ったんですが、自分たちが小さい頃から観てきた方が目の前にいて、いつもなら仕事に徹することができても、そういう平常心を突き破ってくるような存在感があるというか。ただ、北野組に入ったらそんなこと言ってられないということですよね。そうですね。もちろん緊張しますよ。でも、それは置いといて(笑)。――でも、北野監督に進言するのは相当な勇気を伴いそうですね。なかなかシビレますよ(笑)。でも、監督は立場関係なく意見は聞いてくださるので。――あとはあまり怒らないとも。そうですね(笑)。基本的にはすべてスムーズです。●「アレどこにやった?」の理解力――『BROTHER』から加わると決まった時はどう思われましたか?学生時代から観ている映画監督ですし、北野組は前から参加したいと思っていたのでうれしかったです。学生時代から映画作りに関わって、いろいろな現場のお手伝いをしていたんですよね。その時にカメラマンさんに「好きな映画監督は誰なんだ」と言われて、亡くなられた監督を数名挙げたんですが、「そうじゃなくて、お前が仕事をしてみたいのは誰なんだ」と。そこで答えた方の一人が北野監督でした。――なぜ一緒に仕事をしてみたいと?それはもちろん、映画が面白いから。どうやって撮ってるんだろうとか。実際にこうして現場に入らせていただくようになって、その場その場で変わっていくのを目の当たりにした時は衝撃でしたね。今でも覚えているのは、加わって間もない頃。ものすごく前から大きなクレーンを準備していたんですよね。でも、監督が入ってきていきなり「それ、いらない」。もうね、「えっ!?」ですよ(笑)。それはすごく覚えていますね。衝撃的でした。もちろん上では話し合われていたことですけど、当時の僕はペーペーだったので。今の僕は監督の傍について、変更があってもその過程を把握しているから驚かないですけど、下の人間にとってみれば「なんでいらなくなったの?」と思うことはあると思います。今回の『最終章』でいうと、部下の2人が急きょ殺されることになったんですが、それも撮影中に決まったこと。事前に渡された台本には書かれていないことですから、当然驚きますよね。セリフも現場判断で変わって、変更があるセリフは紙に書いてキャストのみなさんに渡しています。○老夫婦のような関係を追い求めて――北野組初のシリーズものが完結。クランクアップはどのような雰囲気でしたか?通常だったらスタッフが声がけをして拍手みたいな感じですよね。花束を渡したり。それは普通にやりますよ。でも、昔から打ち上げはないんですよね。少なくとも僕が加わった時からありません。もちろん、メインスタッフと一緒に地方に行ったりした時にたまにお酒を飲むことはあります。監督も連れて行ってくださいます。これがね、緊張して酔うんですよ(笑)。そういう緊張感は作品を重ねても変わりません。――それでは最後に。助監督から見て、北野監督の魅力とは?とにかく処理能力がすごい。その上、映画以外の分野にも手を広げている守備範囲の広さというか。台本を作るときに口述で全部言ってみせるというのも、常人ではマネできません。助監督はみんなそうだと思うんですけど、監督が「アレどこにやった?」とかの「アレ」がだいたい分かる。それは老夫婦のような関係。そういうことは、助監督にとってとても大切なことだと思っています。つまり、「アレ」までには流れがあって、何が必要なのかというのを一緒にシンクロして理解している状態。それが監督と助監督の良好な関係性です。■プロフィール助監督 稲葉博文(いなば・ひろふみ)1973年2月16日生まれ。神奈川県出身。北野組には『BROTHER』(01)以降参加し、助監督としては『アウトレイジ』(10)『アウトレイジ ビヨンド』(12)『龍三と七人の子分たち』(15)に続き4作目。北野武以外にもこれまでに携わってきた監督は、廣木隆一、中田秀夫、三池崇史、滝田洋二郎、黒沢清、塩田明彦、万田邦敏、青山真治、冨永昌敬、水田伸生、瀬々敬久など多岐にわたる。近作は、『ミュージアム』(16/監督:大友啓史)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17/監督:廣木隆一)など。
2017年11月13日音楽家の坂本龍一が、第30回東京国際映画祭のSAMURAI(サムライ)賞に選出され1日、東京・TOHOシネマズ六本木で行われた授賞式に出席した。第27回東京国際映画祭より新設されたSAMURAI賞は、比類なき感性で"サムライ"のごとく、常に時代を斬り開く革新的な映画を世界へ発信し続けてきた映画人の功績を称える賞。今年は、『戦場のメリークリスマス』で英国アカデミー賞作曲賞、『ラストエンペラー』でアカデミー賞作曲賞を受賞するなど、映画音楽家としても世界で名を馳せる坂本龍一が選出された。同映画祭の久松猛朗フェスティバル・ディレクターからトロフィーを受け取った坂本は、「刀の絵が描いてある」と"刀"デザインを発見。「映画に関わった最初の作品『戦場のメリークリスマス』では、役者として刀で居合いをするシーンがあり、撮影の前に居合道場に通って刀の使い方を習ったのを思い出しました」と懐かしそうに話した。また、「撮影現場でも刀を振り回して刀が曲がっちゃったり」と続け、「こういうのを持つと切りたくなっちゃうんですよね、人間って」と、やんちゃにトロフィーを刀のようにして振り回す動きも。「そんな思い出が頭をよぎって思わず振り回したくなっちゃった」と笑い、「侍という名に私がふさわしいか、大いに疑問がありますが、ありがとうございます」とネーミングと自身のギャップにやや戸惑いつつ、受賞を喜んだ。授賞式に続いて、特別招待作品として出品された坂本龍一のドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』(11月4日公開)の舞台挨拶も行われ、坂本とスティーブン・ノムラ・シブル監督が出席した。なお、SAMURAI賞の第1回受賞者は北野武とティム・バートン、第2回受賞者は山田洋次とジョン・ウー。第3回受賞者はマーティン・スコセッシと黒沢清となっている。
2017年11月01日北野武監督作の映画『アウトレイジ 最終章』が観客動員数100万人を突破したことを記念して、スペシャルクイズ企画「『アウトレイジ 最終章』全国共通センター試験」の告知映像が31日、公開された。『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続く完結編となる本作。シリーズ史上最高動員数、週末興行成績ナンバー1の大ヒットスタートを記録し、公開4週目に入っても週末動員ランキングでトップ10内に位置している。観客は20代男女が中心だが本作がシリーズ初見など幅広い層が劇場に足を運び、リピーター率も高いという。「『アウトレイジ 最終章』全国共通センター試験」は大ヒットへの感謝の気持ちを込めて企画されたもの。告知映像は「なめとんか!」「バカヤロー!」「やってみろコラ!」などおなじみの怒号で構成され、「済州島で大友と揉めた花菱会・花田が提案した和解金の値段は?」「市川が日本に入国した際のパスポートの偽名は?」「出所祝いパーティーの主人公である、花菱会の幹部の名前は?」などの問題文が表示されている。マニアックな全7問のクイズは、公式HPを通じて回答することが可能。全問正解者から抽選で、サイン入りポスターなどのグッズが当たる。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月31日●事故後『キッズ・リターン』の色に変化映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武第2回:森昌行プロデューサー第3回:音楽・鈴木慶一)。第4回は『みんな~やってるか!』(95)以降、北野映画の世界観を担ってきた美術・磯田典宏氏。セリフや編集、音楽に対する「引き算」的思考。徹底して無駄を省く中でメッセージ性を際立たせる北野イズムは、『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続いて完結する3部作の美術にどのように落とし込まれているのか。監督を"異業種"時代から支え続け、『BROTHER』(01)では異国の架け橋にもなって「引き算」を貫いた磯田氏。「まぁ、いいか」の逃げ道を選ばず、「片目つぶって、やっちゃえ」の覚悟には美術部の矜持が光る。○キアヌ・リーブス共演『JM』で「これでいいのか?」――北野監督作は『みんな~やってるか!』から参加されたそうですね。そうです。その前に、監督が出演した『教祖誕生』(93)を担当したことがきっかけです。『みんな~やってるか!』はシチュエーションがとにかく多かったので、助手さんをシーンごとに担当を割り当てて、その全体を統括するのが私の役目でした。「時代劇とSFはこの人で、ハエ男はこの人」みたいに。――「監督から具体的なオーダーはない」ということが複数の方の取材から分かりました。当時はいかがでしたか?『みんな~やってるか!』の撮影中、『JM』(95)というキアヌ・リーブス主演のハリウッド映画に出演されるため監督が一度抜けたことがありました。帰ってきて、美術に関して若干のイメージ変更があったのは、ハリウッドの影響を多少受けた部分もあったのではないかと思います。『JM』はほとんどがスタジオセット。日本の貧相なセットと比較すると「これでいいのか?」と思われたんでしょう。そのような経緯でイメージ変更していったような記憶があります。当時、監督は「自分は異業種」と感じていらっしゃった頃ではないかと。監督以外のメインスタッフは、映画でそれなりに実績があるスタッフばかり。そういう人たちが用意してくれたものに対して、「文句を言うべきではない」という思いもあったのではないかと。あれだけギャグ満載の映画なので、作り込んでいくのは相当な時間がかかります。コメディ要素が強いからこそセットは中途半端なものではなくて、よりリアルに作り込まないと面白くなりません。ハエ男は当時の特撮技術でどれだけのことができるのかも踏まえて、こだわり抜きました。――これまで14作を共にされていますが、どのあたりから監督が「異業種」ではなくなったと感じていらっしゃいますか?『みんな~やってるか!』が終わって、監督は事故に遭ってしまいました。その時のリハビリで絵を描きはじめて、イラストからはじまってどんどん大きいサイズになっていって。そうやって絵を描き続けていくと、「色」にこだわりが出てくる。『みんな~やってるか!』の時は完全にわれわれにお任せというか、相談ではなくて「これでいきます」という報告みたいなやりとりでした。事故後、『キッズ・リターン』(96)は「色」へのこだわりが出た作品です。「こういう色を使いたい」みたいな、具体的な注文もありました。――北野映画には、そうしたご自身の体験が映し出されているわけですね。その後も数々の作品を経て、『アウトレイジ』ではどのようなオーダーがあったのでしょうか。もう7年も前ですからね(笑)。登場人物たちは黒系統の衣裳なので、寄り画の時に違いが出るように気をつけました。北野映画にはたくさんのヤクザが登場しますが、必ずその事務所も出てきます。組長のデスクがあれば、その背景には代紋があって。飾りも含めて、過去の映画作品などを徹底的に調べ上げて、「これまでにないもの」を目指しました。監督と美術の関係は監督からの一方的な指示ではなく、美術パートが美術設定をしていきます。関西と関東で衣裳のトーンを変えて、それにともなってバックグラウンドをどれぐらいの色に持っていこうとか。例えば寄りの画でも、「花菱会のヤクザ」というのが伝わらないといけない。すべてセットでまかないきれないので、ロケセットで内部を加工することも想定したりするので衣裳合わせのやりとりもとても重要です。○たけし絵画をすべて使った『アキレスと亀』――『ビヨンド』『最終章』で登場する張会長(金田時男)の大豪邸。彼の権力の象徴しているような画力がありました。あれ、結婚式場なんです。――えっ!? そうなんですか。張会長が韓国のフィクサーでそれなりの権力を持っているとなると、相当な広い空間を贅沢に使うというのが課題になりました。それをセットで作るとなると難しいので、撮影が可能な大豪邸、並行して結婚式場のような施設も相当な数を見ました。あの長いテーブルと細長い部屋で会長の権力を象徴的に見せたかったんです。●"引き算"の許可が必要だった『BROTHER』――北野監督はどのタイミングで現場を確認されるんですか?事前に監督と製作部が話し合って、各担当はその監督イメージをもとに候補案を上げます。監督抜きのメインスタッフで話し合ってから、ロケハンに。大豪邸で芝居に使えそうなのがどこなのか。美術のアイデアを固めたら、監督抜きで撮影や照明も含めて見に行って、最終的には「A案、B案のどちらか」みたいに絞り込み、それから監督とのロケハン。監督には私が用意したイメージスケッチを片手に現場に立ってもらいます。一連の流れは結構時間をかけてますね。披露宴会場だけを見せるわけにもいかないですから。イメージスケッチを元にそこで監督のやりたい芝居も何となく見えてきます。これまでの14本の中で印象的だったのは『アキレスと亀』(08)。監督自身が描いた絵を全部使ってあるんですよ。少年期から年代ごとに3つの画廊が出てくるんですが、監督からは「各時代の違いを出したい」というお話があって、全部任せてくださいました。各時代に合った絵の額縁を業者さんに相談して、監督からもその都度リクエストが出て。もっとも効果的なものが何なのかをじっくり監督と話し合えたのは面白かったです。それから、監督が描かれた完成形の絵とは別に途中経過の絵も用意する必要がありました。監督は自分で描くとおっしゃっていたんですが、当然作る時間がない。最終的には美術部で用意することになりました。あの作品は美術装飾的にも面白い仕事でしたね。――北野組の現場では、監督のインスピレーション次第で変更になることもあると聞きました。美術周りでそのようなことはありましたか?急きょ変更になったことで思い出されるのは、『みんな~やってるか!』の銀行強盗。銀行の中で全員警察官のシーンがありますよね。あれ、当初は予定されてなかったんです。たしか、撮影当日だったかな。監督から「全員を警察官にしたい」というアイデアがあって、警察の衣裳装具が間に合うかの勝負でした。そういう、突然のひらめき。「すぐに撮りたい」ということではなくて、「こういうことをやりたいけど、今日中に間に合うならばやりたい」みたいに気を使っていただいています。――「アウトレイジ」では?比較的スムーズでした。『ビヨンド』の花菱会は神戸でロケをやっていて、実際の建物を使っています。『最終章』の事務所はすべてセット。セットを組んだ後、芝居の都合によっての変更案は監督からいくつかありました。――大友がマシンガンで蜂の巣にするシーンがありますが、あれもセットですか?あれは実際にあるホテルです。本当はスタジオで撮った方がもっといろいろなことができるんです。消え物といわれるテーブルの上のオードブルは床に落ちるとシミになるので水っぽいものは使えません。ロケセットでは、そういう制約も出てきます。○ハリウッドスタッフ「なぜ省くのか?」――音楽の鈴木慶一さんは監督との仕事の中で「引き算」を学んだとおっしゃっていました。不自然なもの、無駄を省いていくのは今回のシリーズでも踏襲されていると思うのですが、美術において「引き算」的なやりとりはありましたか?『HANA-BI』(98)は、たしかにどんどん引いていきましたね。引き算の美術。キャラクターの個性を出すには、いろいろなものを飾っていく、つまり足していくと出やすくなるし、引いていくことによって出にくくなる。引いていった場合、個性として見せたいポイントに何を置くのかが重要になるわけです。『BROTHER』もそうです。逆に『龍三と七人の子分たち』(15)はコテコテ(笑)。龍三のキャラクターを強く出すためには必要だったんです。それぞれの世界観にもよりますが、やっぱり全体的に見ても「引き算」的なやり方だと思います。必要以上に物を飾らない。『BROTHER』の時、ハリウッドで向こうのデコレーターに「とりあえず飾ってくれ」とお願いをしましたが、加えて「引き算」があることはあらかじめ言っておかないと対応してくれません。「なぜ省くのか?」となるわけです。つまり、置かれた物をいじる許可が必要なんです。――日米合作では、そういう違いもあるんですね。そうですね。プロダクションデザイナーという肩書きで現場に立つ以上、責任もあるし権利もある。私の一言ですべてが変わることもあるんですが、向こうは各ポジションでの責任がある。「飾り終えたもの」を確認してOKだったら、もうそれは動かせないんですよ。撮影中にやむを得ず動かさなきゃいけないとなった時に、そこに置いた人から「動かす」許可をもらうことが必要なんです。でもその人は現場にいない。僕らは触れられないから、現場担当者からデコレーターに電話してもらいます。「なぜ動かすのか?」「前もって決めてたじゃないか?」みたいにこじれるわけですが(笑)。ハリウッドは、そういうシステムみたいです。最終的には北野組のやり方に従っていただきましたけどね。「もう、しょうがないね」ということなんでしょうね。●「歩いたら終わり」「やっちゃえ」の境界線――どのような流れで日米のスタッフが結集したんですか?まずは、ユニオン(ハリウッドにおける俳優やスタッフなどの労働組合)を通して助手さんを手配します。美術部は面接をして、アートディレクターとセットデザイナーを何人か。合作映画は注目度が高いから、みんな参加したがるわけですよ。そうやってみなさん実績を作って、後の仕事をとっていく。1999年当時、北野組はヨーロッパの方では有名でしたが、ハリウッドではそこまでじゃなかったと思います。面接で対象となるのは、最低でも5人。こちらからお願いしていたのは「日本人を2人、残りを外国人」だったんですが、これは通訳的な人材も必要だったから。ところが、現地スタッフは「仕事に集中したい」「私は通訳じゃない」と言うわけです。そういう流れで、全員外国人のスタッフを起用することになりました。ユニオンには各作品の撮影案内が貼り出されています。各スタッフは、それを見て自分が参加したい作品に応募します。面接は、1人につきだいたい1時間。『GODZILLA』、『スターウォーズ』、『ターミネーター』など、有名作品を手掛けてきたスタッフもいました。その中で、2人が『キッズ・リターン』を観てきて、きちんと分析していたんですよね。赤と青のジャージを着ているけど、それはどういう意味なのかとか、すごく熱心に質問されました。ただし、プライベートな質問は一切禁じられています。――それだけの文化の違いがあるわけですが、また合作映画をやりたいというお気持ちは?やりたいですね。しがらみが一切なくて、本人が自ら選んで来ているわけですから。逆にプロデューサーからは「できなかったらクビにして構わない」と。一方で、仕事ができなかったら僕のこともクビにすると宣告されていました。たしか……美術予算をオーバーしたら即クビだったかな? セットデザイナーとの打ち合わせで僕のプランを伝えて、大道具さんも決まっているからそのまま予算内にできるのかを調整してもらいます。映画のためにプロダクションの1フロアーが貸し切ってあって、撮影が進むにつれて予算が膨らんでいくと呼ばれてチェックされます。美術はお金かかりますからね。考え方次第で結果が違うのはよくある話なんですけど。全部が全部100%の力でやるとお金が足りなくなるのは日本でも同じこと。ただし、「ここぞ」という時には装飾、美術にお金をかけるタイミングが絶対に来る。片目つぶって、やっちゃえみたいな(笑)。○「監督が歩いたら終わり」の緊張感――「アウトレイジ」シリーズでもそんな場面はありましたか?張会長の長テーブルでしょうね。僕が最初に考えていた長さに、さらに2メートル足しましたから(笑)。最初は「これでなんとか行けるだろう」からスタートするんですよね。大道具との打ち合わせでも常に考えていて、何度も下見をする。「予算オーバーするかもしれない」という危機感があっても、ここで2メートル足すことによって効果的になるのであれば思い切りも必要。椅子と床の敷物を増やしたりとか、別の問題も出てくるんですけどね。ただ、ここでの「まぁ、いいか」は後々自分が後悔することになる。後悔するくらいだったら、別のセットで節約したり、調整すればいいわけです。大切なのは、「張会長をどれだけ大きく見せられるか」「空間をどのように切り取るか」です。――決められた予算内でやりくりするのは、日米問わず同じということですね。ただ、美術的には「ここはこだわらないと」というポイントが必ずある。「お金がないからしょうがない」で諦めてしまうこともありますが、結果的に映画を観た時に残念な気持ちになる。もうちょっと考えられることがあったんじゃないかな、と。美術はいちばんお金を使うところでもありますから、「金食い虫」なんて言われることもありますけどね(笑)。――監督はあまり感想や評価などを口にしないとも聞きましたが、美術に対してはいかがですか?たしかにありません(笑)。昔、監督と一緒にロケハンした時のことなんですが、車から降りた時に「ここですよ」と案内した時の反応。それがヒントでした。監督がどんどん歩いていくと画角を狭くしているということなので、監督の中では納得していない。当然、われわれは納得してもらえる場所を探すつもりではあるんですが、監督はそこで何とかしようと整理する。一時期言われていたのは、「監督が歩いたら終わり」でした(笑)。――車から降りた時が運命の瞬間なわけですね。そうそう。「監督、違う方を見てます!」とかハラハラしたのを覚えています(笑)。■プロフィール磯田典宏北野武監督作品には『みんな~やってるか!』(94)以降、14作目の参加。『のぼうの城』(11/監督:犬童一心、樋口真嗣)で日本アカデミー賞最優秀美術賞、『Dolls [ドールズ]』(02)、『座頭市』(03)で同賞優秀美術賞を受賞。近作は、『想いのこし』(14/監督:平川雄一朗)、『おかあさんの木』(15/監督:磯村一路)、『四月は君の嘘』(16/監督:新城毅彦)、『ReLIFE リライフ』(17/監督:古澤健)、『ピーチガール』(17/監督:神徳幸治)など。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月27日ネハン ミハラ ヤスヒロ(Nehanne MIHARA YASUHIRO)が、俳優・早乙女 太一をフィーチャーしたショートムービーとともに2018年春夏コレクションを発表した。ネハン ミハラ ヤスヒロは、2017年春夏コレクションよりデビューしたミハラ ヤスヒロの新ライン。“日本人である私たち自身が、日本の歴史、日本の伝統を学び再認識することを大切にしたい”という想いのもと誕生した。日本の伝統を表現するため、今季のイメージビジュアルとして起用された早乙女太一は、2003年に北野武監督の映画『座頭市』に出演をきっかけに「100年に1人の天才女形」として脚光を浴び、2008年には16歳で新歌舞伎座史上最年少記録の初座長を務めた、まさに日本の伝統を体現するにふさわしい人物。そのことから、ネハン ミハラ ヤスヒロとは相通ずる部分があったのだろう。2シーズン目となる2018年春夏コレクションは、“粋”な着こなしを表現できるウエアをデザインソースとした。“粋”とは、江戸時代に生まれた、身なりだけでなく振る舞いなどにも用いられる日本人ならではの美的観念だ。その“粋”という和のスピリットを、古来からの作業着である「ボロ」や「作務衣」、「羽織」など使い込まれた作業着に吹き込み、上品なスタイルへと昇華する。ブランド最大の特徴である、大麻布「麻世妙」は引き続き採用し、今季はブランドのもうひとつの特徴である「染め」にも重きを置いた。黒をより黒く染める「深黒(しんくろ)」技術を持つ老舗の染師、京都紋付の真黒を用いている。
2017年10月24日北野武監督作の映画『アウトレイジ 最終章』が公開2週目で観客動員100万人目前、興行収入10億円を突破したことを受け、「大ヒット御礼! 怒号39(サンキュー)連発! スペシャル映像」が20日、YouTubeなどで公開された。ヤクザの抗争を描いた『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続く完結編。7日から全国287館で公開され、初日と2日目で25万人を動員、興行収入は3.5億円を記録。同日公開の他作品を抑えて週末興行成績の1位に躍り出た。その後も好調で、シリーズ最大ヒット作『ビヨンド』(最終興収14.5億円)を超える勢いが続いている。来場者への感謝と、さらなる集客を目的とした今回の映像。劇場でしか観ることのできない未公開の名場面を中心に構成され、ビートたけし演じる大友が「結構楽しんだみたいじゃないですか」とニヤけるシーンにはじまり、「バカヤロー」「コノヤロー」「ぶち殺したれ!」「なめとんか!」「アホー!」「なにがおかしいんじゃい!」「指の1本ぐらい詰めてこいよ」「迷惑もハローワークもあるかい!」など緊迫感漂う怒号が39連発で収められている。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月20日●『最終章』でも「この音いらない」映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)のスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」(第1回:北野武 第2回:森昌行P)。第3回は『座頭市』(03)以降、北野映画の"音"を担う音楽家・鈴木慶一に迫る。はちみつぱい、ムーンライダーズ、THE BEATNIKSなど音楽界のレジェンドともいわれる鈴木は、『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)、『アウトレイジ 最終章』の3部作で「恐怖」の新境地へとたどり着いていた。北野監督との出会いは80年代までさかのぼる。『ひょうきんスペシャル』(フジテレビ系)の侍コントに山賊役で出演。奇しくも時代劇つながりでもある『座頭市』で日本アカデミー賞の最優秀音楽賞を受賞し、「恐怖」の扉はゆっくりと開かれた。北野監督の"引き算"によって導き出された楽曲がサントラへと集約された時。鈴木は「なんだ、これは」と自ら驚愕しつつ、音楽家としての喜びも噛みしめる。○イメージは「哀しいよね」の雑談から――ついに「アウトレイジ」シリーズが完結を迎えました。鈴木さんの耳には、どのように伝わっていたんですか?世の中には「3部作」といわれるものが沢山あるので、なんとなく3作目で終わるのかなと思ってましたね。台本を頂いて、そこに「最終章」と書いてあったので「あ、終わるんだ」と。『ビヨンド』の時には何も聞いていなかったんですよ。1作目のラストで大友が刑務所で刺されたから、「これで終わり」と思いました。でも、『ビヨンド』で生きていた(笑)。次から次へと出演者が死んでいって、『ビヨンド』では大友が間違いなく生き残った。だから、次も作るのかなという予感はしていました(笑)。――ということは『最終章』よりも、『ビヨンド』の話が来た時の方が衝撃は大きかったんですね。そうですね(笑)。――そんな中で迎えた『最終章』。シリーズが終わるということに加えて、裏社会に生きる男たちの哀しみを象徴したようなメインテーマ曲でした。確かに「哀しさ」は共通認識ですね。北野監督や森昌行プロデューサーをはじめ、スタッフの間では「哀しいよね」みたいな雑談がありました。――毎作品、そのようにテーマを設定して楽曲制作に入るんですか?特に具体的な指示はないんですよ。あったとしても、例えば『龍三と七人の子分たち』(15)では「タンゴでいきたい」ぐらい。いつもイメージの元となる一言は頂いて、それに即した3~4曲を作ります。ただ、監督の耳は別のところに向いていることもあって。監督の言葉をヒントに作った数パターンの曲でも、選ばれるのは最初の一言と違っていたりもします。でも、それがいいんですよ。具体的な音を聴いてイメージされるので。――「哀しみ」といっても、かなり抽象的ですね。「哀しみ」の感じ方は人それぞれですからね。言葉にできない。だから、監督もイメージを伝えるのは難しいと思うんですよ。当然、こちらも。ではどうすればいいのか。実際に作った曲を聴いてもらうしかない。3作で共通しているのは、メインテーマがオープニングタイトル周りに使われることです。まずはそれを数曲作ることから取り掛かります。そのうちの1曲を別の場所に使ったり、結局は使わなかったりすることもあって、また作り直す時もあります。最初に台本を読んでラッシュを観る。その中で、いろいろなパターンをイメージします。こちらの考えを数種類で提示して、そのうち監督の中でヒットすれば決まる。そこから発展させています。――監督の心に響いた時は分かるものなんですか?わかりますよ。「いいね」って。――ずいぶんとあっさりですね(笑)。そうですね。1作目は今から7年前になりますが、確認の仕方も技術的にかなり進歩しました。最初はCDプレイヤーを渡して、モニターで流す映像に合わせていました。今はPCを持ち込んで、映像に貼り付けたものを流してチェックしてもらっています。そして、その場で「この音いらないかな」で間引いて消したり、伸ばしたり、繰り返したり。そうやって最終テイクに近いものを早い段階から聴いていただいています。○監督立ち会いの確認「ヒリヒリします」――北野作品は5作目ですが、監督のイメージしていることも掴みやすくなりましたか?過剰なメロディやリズムは必要ない。トゥーマッチなものは不要なんです。ドラムとベースで作るリズムを寸断してしまったりとか。あとは音響効果の柴崎(憲治)さんが、車の走る音を低音でいれたりするので、ベースもいらなくなるんですよね。通常、ベースでリズム的なノリを出すんですけど、結局はなくなるから最初から入れなくなりました(笑)。――柴崎さんとは『座頭市』(03)以降、5作品でタッグを組まれていますね。私は音楽的なところから外れて音響効果さんの領域も作ってしまうので、柴崎さんとのやり取りがとても重要なんです。作品を重ねるにつれて、柴崎さんも「この人、ここまでノイズのような音を作ってきたのか」と思われているんじゃないかな(笑)。効果音が完成するのは、制作過程での終盤です。映画は、最終ダビングでセリフと効果音と音楽を重ね合わせて、1つのサラウンドミックスを完成させるイメージ。具体的に効果音をハメていくのはそこなんです。最後の最後。そこで修正が発生するので、PCを持ち込んでその場で手直しをする必要があります。●「おしゃべりではない音楽」とは――北野作品以外では、あまりない手法なんですか?ないですね。他の映画の場合は、「これでどうでしょう」に「いいですね」みたいなやりとり。ダビングの時に当ててみて、あとは音量で調節したりしています。北野映画の場合は、音量ではなくて「この音いらない」なんです。音を除くためには、オリジナルのマルチトラックのデータ(パートごとに個別の音が収録されたもの)を持ち込まないといけない。多くの映画の場合はシステムミックスといって、リズムはリズムでバラバラに渡して「抜きたいところは抜いてください」。それを音響効果さんに任せたりすることもありますが、北野映画の場合は私やエンジニアがいて、柴崎さんともやりとりする。試行錯誤しつつ、音楽のOKが出たとしても最終的な音響効果さんとのやりとりで変更が出る場合もあるからです。最終確認にはもちろん監督も立ち会われます。30分ぐらいの1ロールを見て、修正点の指示があって、1時間ぐらいの休憩時間中にみんなでバーっと直す。ヒリヒリします。監督が私の隣に座っていて、緊張感ありますね(笑)。そうやって最終段階で急速にブラッシュアップされるのが北野映画です。――先月発売された『最終章』のサントラには、そのような苦労の末に生み出された楽曲が収録されているわけですね。サントラの収録曲で、映画に使われたのは17曲。アウトテイクが11曲です。もっとあるけど、似たような曲のアウトテイクなので。ピアノが入っているだけのようなものは省きました。本編とアウトテイクを聴き比べて「この曲が使われたのか!」みたいに楽しんでほしいですね。これまで通り、オープニングに流れるメインテーマのアレンジバージョンがエンドロールに使われています。実はメインテーマにはもっとメロディがあったんです。エンドロールに使われた曲になりましたが、「♪パパ~ン」の後にすごく隙間があるでしょ? あれは最初、繋がっていたんですよ。でも、念のためにすごく隙間がある別パターンの曲を作って聴き比べてもらいました。これは『ビヨンド』のエンディングテーマのトランペットもそうだけど、すごく間がある。同じ手法ではあるんだけど、監督はそっちを選ばれた。要するに、メロディが少ないもの。より抽象的ですし、「おしゃべりではない音楽」とでもいいましょうか。――無音にすることは勇気がいることですよね。本当にそうです。音楽を作っている身としては、無音になることが一番恐いわけで(笑)。次に出る音がどのような映像と重なるのかも重要ですから。無音とはいえ、「音」はつながっているわけですよ。そういった無音の間が湿り気のなさを演出しています。「アウトレイジ」の登場人物たちは、たまたまヤクザになってしまった人もいるでしょう。立場上、誰かを殺さなきゃいけなくなるし、どこかで責任をとらなきゃいけないところがある。何よりも大事なのは義理と人情。そういった哀しさに満ちています。打ち合わせでみんなが「哀しいよね」と言っていたのはこれで。ドライな感じを出すためには、「音を引いた方がいい」ということが分かりました。監督の言うとおりなんです。○『ひょうきんスペシャル』共演の縁――北野監督から音楽について感想を言われたことはありますか?そういう話をどこかでされているみたいですが、私に直接はないんですよ。不安ではあるんですが(笑)。確認するために映像を見ながら、監督は同時にいろいろなことを考えています。セリフ、音楽、音響効果、編集。「この車の音違うな」とか、そんな一言があるとそれが何のことを指しているのか考えます。音楽について言っているのか、音響効果について言っているのか、セリフに対して言っているのか。それを同時にしゃべる方なので。スタジオでバーっといろいろなコメントがあって、それを「俺の担当部分かな?」と気にしながら直しています(笑)。――そこで監督が話したことは何かに記録しているんですか?レコーダーに録音してあります(笑)。――最初の『座頭市』の頃からですか?いや。『ビヨンド』から録音するようになった。「監督すみません、録音していいですか」と確認して。でも、その時に言ったことでも、後日変わることもありますからね。あまり意味はないのかもしれないけど(笑)。――なぜ、『ビヨンド』から録音しようと思ったんですか?何に対しての意見やアイデアなのかをはっきりさせるために。1作目の『アウトレイジ』の時は、音楽を聴いていただいて、監督がいろいろなことをおっしゃって帰られた後に、スタッフみんなで集まって、「あのことは何に対して言っていたのか」を確認し合っていたんですよ。そんなことがあったから、録音しといた方がいいかなと。ただ、『最終章』で聞き返すことはなかったですね。ただ、セーフティーのためです(笑)。●完成したサントラ「とんでもないものを作ってしまった」――『ほぼ日刊イトイ新聞』の取材で、北野監督との出会いについて話されていましたね。『ひょうきんスペシャル』の出演が初対面だったそうですね。それ以降、ご一緒することはありませんでした。『座頭市』の時に、(オフィス北野)の森(昌行)社長が「『ひょうきんスペシャル』に出ていた鈴木さんです」と紹介してくれたんですが、「そうだった?」と言われました(笑)。『チキン・ハート』(02)という映画の音楽を担当したことがあって、その監督がかつて北野組で助監督をされていた清水浩さんだったんですが、プロデューサーでもある森社長からお声掛けいただいて、そこからオフィス北野とのおつき合いが始まりました。――北野監督との最初のタッグとなった『座頭市』は、第27回アカデミー賞の最優秀音楽賞、第36回シッチェス・カタロニア国際映画祭で最優秀音楽賞を受賞。何か変化はありましたか?世間の評価が高まろうと、自分が次に担当する映画にどんな音楽をつけるのかが最重要で。どれだけ高く評価されたとしても、音楽というのは因果な職業なんです。次の仕事で「この人ダメだ」と言われたら、もう「ダメな人」になっちゃう。目前の映画に対してどんな音楽をつけるのか。それで手一杯だね。――なるほど。これまでバイオレンス系のヤクザ映画を担当されたことはなかったと思いますが、率直にどう思われましたか?うーん……わたしは普段からスプラッター系やホラー系ばかりを観ているので(笑)。ハッピーエンドの映画はあまり観ないんですよね。それは慣れているんですが、日本のヤクザ映画は若い時以降はあまり観てなかったので、新鮮な気持ちでした。残酷なシーンがいっぱい出てきますけど、全然平気なんですよ。痛そうだなと思うくらい(笑)。○北野武と出会って変化したこと――こうして結末を迎えたわけですが、あらためてシリーズの魅力は?バイオレンスなんだけど、脚本が非常に込み入っていていろいろな人が出てくる。覇権争いの中で、最終的に誰が残るのか。結局、インテリヤクザが残ったりして、経済が絡み合ってるよね。調子に乗ると死んじゃうし。それから、大友という人は『座頭市』の盲目の剣士・市と近いと思う。市があの宿場町に来なかったら、あんなことにはならなかった。――そうですね。大友と関わると、結果的に死んでしまう人がほとんどですからね。そうそう(笑)。殺されたり、企んでいたことが暴かれて破滅したり。大友という人がいることによって、起きなくてもいいことが起きる。でも、そこが面白いところですよね。3作目に臨む時、台本を読んで思ったのは、登場人物を思い出さなきゃいけない(笑)。誰が死んで、誰が生き残ったのか。あとは組も沢山出てきますからね。――大友じゃないですが、北野監督と出会って音楽面で変化、影響はありましたか?それはマイナスするということ。引き算。監督はひたすらマイナスしていく。私が個人的にソロで作る時も、極力過剰にならないようにしています。もちろん、過剰なものを意識する時もありますけど。常に過剰なものを作っていた気がするので、それが変わったかな。マイナスしていくことは、さっきも言ったけど恐いことなんです。ここにこんなに空間があっていいものだろうかと。例えば、湖に車が落ちるシーンありますよね? 西田(敏行)さんが「寿司でええんや」みたいにぼやいているとこ。そこはベースしか入ってない。もうちょっといろいろな音が入っていたんですけど、どんどん抜いていって、残ったのは低音のベース。サントラ盤のマスタリングで「なんだ、これは」って毎回思うんだよね。3作目のサントラは本当にアバンギャルドになってしまった。映画で使われた17曲を聴いても、「なんだこれは?」となってしまう(笑)。――確かに、1曲だけ聴いてもなかなかその場面が思い浮かびません。うん。ディテールにこだわったものが積み重なって映画になる。音楽もそうなんだけど、音楽は音だけなんだよね。音で空間を作って想像を働かせる。もともと音楽の中でもそういうことをやります。それがセリフや柴崎さんの音と絡み合って1つの作品になる。サントラではその一部分を聴けるわけで、だからものすごいアバンギャルドなんです。――ほかの映画と何かが違うと感じるのは、音楽の独特の手法も関係しているんですかね。そうだね。音楽ではない音楽。映画を作るときは共同作業なので夢中になって気づかないんだけど、サントラを作っている時にハッと気づく(笑)。これは恐ろしいものができてしまったなと(笑)。『ビヨンド』も頭のところなんて、ギターのフィードバックしか入ってないので。マイナスした結果、そうなった。でも、それこそがサントラなんですよね。――恐ろしいサントラが完成してしまったわけですね(笑)。そうそうそう(笑)。マスタリングの最終作業で、曲順を並べ変えてバランスをとって、レベルを一定にして。そんな時にハッと気づく。とんでもないものを作ってしまったと(笑)。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会■プロフィール鈴木慶一1951年8月28日生まれ。東京都出身。1972年にロックバンド・はちみつぱいを結成。1975年には、ロックバンド・ムーンライダーズを結成し、アルバム『火の玉ボーイ』(76)でデビューした。以後、30年以上にわたって精力的に活動するが、2011年に無期限活動休止を発表。2013年7月、新バンド・Controversial Sparkを結成。北野作品では『座頭市』(03)、「アウトレイジ」シリーズ、『龍三と七人の子分たち』(15)で音楽を担当している。
2017年10月20日ベネチア国際映画祭でも大喝采を浴びた北野武監督最新作『アウトレイジ最終章』(10月7日全国公開)。前作から5年の時を経て、ついにファイナルを迎える。裏社会に生きる男たちの中で、警視庁の刑事という役柄で登場するのが松重豊(54)だ。前作に続いての出演となる。 「出演者は、僕ですらどちらかというと若手の部類に入るほど。生きるか死ぬかを懸けた抗争の中で、諸先輩方のその覚悟の見せ方が半端じゃないと思いました。極限状態に追い込まれた芝居をどのシーンでも繰り広げているので、その緊張感をスクリーンで見届けていただきたいです」(松重・以下同) 松重演じるマル暴の刑事・繁田だが、前作『アウトレイジビヨンド』の台本では、当初、殉職する予定だったと衝撃の事実が語られた! 「台本上では死んでいたんだけど、撮っていくうちに現場で『繁田は生き残るかな』ってなった。そのあと監督とお会いしたとき、『繁田は次は県警本部長になっていると思うな』とおっしゃるから、あ、出世するんだと思っていたら、最終章も平のままだったんですよ。全然出世していないと思って(笑)」 作品の中で繁田はある決断を下すのだが、「僕には納得のいく流れでした」と語る。そのシーンの撮影中にはこんな出来事が。 「飲み屋から出てずっと歩くシーンでした。監督は隠れているから周りの人は何の作品を撮っているかわからない。店を出てカメラから見えなくなるまで歩いていったら『孤独のグルメだ』って言われて。いや違うよ、そもそも『孤独のグルメ』、こんなに大人数のスタッフで撮影していないしって思いましたけど(笑)」 この日は別人とも思える白髪姿で現れた松重。役作りのためだという。 「今度出る映画で白髪にしてくださいと言われて若いころから染めていたのを20年ぶりぐらいにやめてみたら、真っ白だった。はぁ、じじいなんだなって思ったけど、これならイメージの違う役がやれるかなと思いました。これからは、年寄りキャラとしておじいちゃん役などやっていけたらいいなと思います」 188センチの長身・強面といつもの厳つい雰囲気から一転、終始穏やかな表情と軽妙な語り口。ずっと話を聞いていたくなる人だ。
2017年10月16日笑福亭鶴瓶と「ViVi」モデル・emmaが司会を担当して、友人や関係者への徹底取材によってゲストの素顔に迫るバラエティー「A-Studio」。その10月13日(金)今夜放送回に新ドラマ「監獄のお姫さま」から女優の菅野美穂がゲスト出演。様々な話題でトークを展開する。菅野さんは北野武監督作品『Dolls』や月9ドラマ「愛し君へ」、人気コミックをドラマ化した「働きマン」「キイナ~不可能犯罪捜査官~」、西原理恵子のコミックを映画化した『パーマネント野ばら』などで数々の作品で主演。2013年に俳優の堺雅人と結婚、2015年には第1子男児を出産すると翌年から女優に復帰。昨年秋放送のTBS系「砂の塔~知りすぎた隣人」で演じたタワマン主婦・高野亜紀が大きな話題を呼んだのに続き、遊川和彦が映画監督デビューを飾った『恋妻家宮本』では容姿端麗だが毒舌な主婦役を。さらにNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」と「ひよっこ」への出演など、精力的な活動ぶりをみせている。子育てと女優業を両立させている菅野さんだが、番組の予告映像では子育てに「余裕がなさすぎて、おむつを変えるときに息を止めていた」ことや、「いつまで手がかかるものなのか」といった質問を鶴瓶さんにする場面などが流されており、出産後の子育てトークなどが幅広く展開されるオンエアになりそう。そんな菅野さんがこの秋出演する「監獄のお姫さま」は、人気脚本家・宮藤官九郎が満を持して手掛ける“おばちゃん犯罪エンターテインメント”。物語は5人の女がある大企業のイケメン社長を誘拐するところから始まる。当初、何が目的なのか、5人はどういう関係なのか、全てが謎に包まれたまま。しかし、次第に明らかになる社長の過去。彼は愛人を殺した殺人犯だった。社長誘拐計画は、その殺人の真相を暴き、まだ刑務所にいる前社長の娘の冤罪を晴らすためのものだったのだ。それでも復讐は彼女たちが計画した通りに進まない。様々なハプニングが起こり、そのたびにパニックに陥る5人の女。それぞれの得意分野を活かして、なんとか軌道修正を図っていくが…。小泉今日子が主演し、満島ひかり、夏帆、坂井真紀、森下愛子といった豪華女優陣が顔を揃える本作。本作で菅野さんは所得隠しと巨額の脱税で収監された勝田千夏という女性を演じる。火曜ドラマ「監獄のお姫さま」は10月17日(火)22時~TBS系で放送開始。初回15分拡大。「A-Studio」は10月13日(金)23時15分~TBS系にて放送。(笠緒)
2017年10月13日10月12日(木)、韓国にて第22回釜山国際映画祭(BIFF)が開幕!日本から、大ヒット中の『ナラタージュ』のヒロイン・有村架純や行定勲監督、『彼女がその名を知らない鳥たち』の蒼井優、阿部サダヲ、白石和彌監督、『リングサイド・ストーリー』から佐藤江梨子、瑛太、武正晴監督らが開幕式のレッドカーペットとオープニングセレモニーに登場した。今年は、あいにくの雨の中の開幕となった釜山国際映画祭。「Gala Presentation(ガラ プレゼンテーション)部門」に正式招待されている『ナラタージュ』は、2006年版「この恋愛小説がすごい!」1位に輝いた、島本理生による禁断の純愛物語を行定監督が映画化。「嵐」の松本潤がオーラを封印して主人公の高校教師・葉山を好演。ヒロイン・工藤泉役を務めた有村さんの体当たりの演技も話題を呼んでいる。今回の釜山は、有村さんにとって初めての国際映画祭。肩を大胆に露出した「ジョルジオ・アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のブラックのドレスを着こなし登場した。事前には「海外の方にも、映画『ナラタージュ』が、どのように届いて下さるか、不安もありながら、でも、少しでも何か残って下さることを期待している」と語っていたが、やや緊張の面持ちながらも笑顔で手を振り、写真撮影に応じていた。行定監督は、本映画祭は実に11回目。「かつて『GO』『春の雪』『クローズド・ノート』という恋愛映画を熱狂的に受け入れてくれた釜山の観客が、私の恋愛映画の集大成である『ナラタージュ』をどんな風に観てくれるかが楽しみ」と事前に語っており、10月13日(金)に行われる公式上映にも揃って参加する。また、「A Window on Asian Cinema(アジア映画の窓)」部門に出品されている『彼女がその名を知らない鳥たち』は、「究極の愛とは何か」と大人の女性たちに問い、読者を虜にした沼田まほかるの人気ミステリー小説を映画化。韓国でも非常に人気の高い蒼井さんが、「ヴァレンティノ(VALENTINO)」の艶やかな衣装をまとい、阿部さん、白石監督と共にレッドカーペットに登場すると、会場からはひと際大きな歓声が巻き起こっていた。4回目の本映画祭の参加となる蒼井さんは、映画祭特有の豪華絢爛な雰囲気を楽しんでいる様子。「初めて参加させていただいたときに、主催の方に『釜山国際映画祭は他の海外の映画祭よりかは小規模で予算的に掛けられるわけではないけど、他に負けないのは観客の皆さんです。そこに誇りを持ってます』と言われたのが印象的でした」とふり返っており、「また観客の皆様にこの作品を観ていただけるだけで本当に嬉しいです」と感慨深げにコメント。阿部さんは初めての国際映画祭への参加となったが、 少し緊張しながらも終始、笑顔で蒼井さんと白石監督に促されながらレッドカーペットを優雅に闊歩。「こんな正装姿は初めてで、本当に楽しみです!服を汚せないから緊張するな~」と喜びいっぱい。さらに「韓国映画に登場する人物は(自身が演じた)陣治っぽい、汚い印象があるキャラクターが多いので、絶対受け入れられると思います」と、期待を込めてメッセージを贈り、白石監督は「観客の皆様に単純に楽しんで欲しいです」とコメント。さらに、同じく「アジア映画の窓」上映がワールドプレミアとなる『リングサイド・ストーリー』は、『百円の恋』が大絶賛された武監督の最新作で同じスタッフ陣が再結集。ヒモ同然のダメ男を演じた瑛太さん、その彼氏を健気に支える彼女を演じた佐藤さんもレッドカーペットに登場。2人とも釜山国際映画祭への参加は初めてとなる。花柄をポイントにした真っ白なパンツスーツで登場した佐藤さん。抜群のプロポーションと華やかさに、韓国だけでなく世界のメディアが魅了されていた様子。一方、真逆なカラーのブラックジャケットでレッドカーペットを颯爽と歩く瑛太さんは、韓国でも大人気で、女性ファンから握手や写真を求められていた。そして、蝶ネクタイの武監督は、W主演を両手に花にして威風堂々とレッドカーペットを歩き、「監督冥利につきる」という表情を浮かべながら釜山のオープニングを満喫。瑛太さん扮する売れない俳優・村上ヒデオの夢は、10年同棲している彼女・江ノ島カナコを「カンヌ国際映画祭」に連れていくことだったが、映画のキャッチコピー通り、カンヌならぬ釜山のレッドカーペットを揃って歩くことで“夢”は叶ったともいえそう。今年は、日本からの参加作品が例年になく多数の中、同作が邦画としてはトップバッターを飾る。「ガラ・プレゼンテーション部門」では、『ナラタージュ』ほか是枝裕和監督×福山雅治『三度目の殺人』、中山美穂×キム・ジェウク『蝶の眠り』もダーレン・アロノフスキー監督×ジェニファー・ローレンス『マザー!』とともに招待作品として上映。「アジア映画の窓」部門には、黒沢清監督の『散歩する侵略者』、河瀬直美監督の『光』、北野武監督の『アウトレイジ最終章』、吉田大八監督の『羊の木』(ワールドプレミア)『美しい星』、廣木隆一監督の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、米林宏昌監督の『メアリと魔女の花』、岸善幸『あゝ、荒野』など、世界的監督の作品から話題作がずらり。「オープン・シネマ部門」での『君の膵臓を食べたい』『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』なども注目を集めている。「釜山国際映画祭2017」は10月21日(土)まで開催。(text:cinemacafe.net)■関連作品:彼女がその名を知らない鳥たち 2017年10月、全国にて公開(C) 2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年10月13日●「何を撮るべきか」混迷期の3作を経て映画『アウトレイジ 最終章』(公開中)に携わるスタッフたちの言葉を記録し、「アウトレイジ」シリーズ、及び北野武監督率いる北野組の魅力を探る短期集中連載「暴走の黒幕」。第2回は『その男、凶暴につき』(89)以降、全ての北野作品のプロデューサーを務めている森昌行氏(第1回:北野武監督)。『アウトレイジ』(10)、『アウトレイジ ビヨンド』(12)に続いて完結する3部作は、どのような経緯で生まれたのか。出演者と番組スタッフの関係から、やがては18作もの映画を生み出す監督とプロデューサーの関係に。北野監督と森氏は30年以上のつき合いがある中で自然と距離を取り始め、「友人」ではなく「同志」となることを選んだ。北野武の作家性を「振り子」と表現する森氏。北野映画の“黒幕”ともいえるプロデューサーは、摩擦や抵抗、重力の中で揺れ動く振り子を冷静に見つめながら、自らの喉元に刃を突きつけるがごとく決断を下していた。○「本当に撮りたいものが分からない」――作家性の強い作品からの転換が『アウトレイジ』だったと聞いています。そもそも、『アウトレイジ』はどのような経緯で生まれたなのでしょうか?敢えてプロデューサー的な発言に徹しての発言をしようと思いますが(笑)、もちろん今でも作家性は最重要視していますし、だからこそ映画祭に行くわけで。単純にエンターテイメント性を追求する映画であれば、職業監督になってしまいますよね。『座頭市』(03)以外はオリジナルで、やっぱりそこにはこだわっています。『座頭市』の後が、『TAKESHIS’』(05)、『監督・ばんざい!』(07)、『アキレスと亀』(08)。作家性といえばこれらもまさしく作家性の強い3作なのですが、もちろん評価は観る人によって変わると思います。プロデューサーというものは、ビジネスサイドとクリエイティブサイドのブリッジの役割と位置づけています。クリエイティブ面においては、この3作は私にとって決して不満足なものではなかったのですが、ビジネス的な側面から言うと、正直言って興行的な成功には至らなかった。――そうだったんですね。監督はムッとするかも知れませんし、「俺の知ったこっちゃない」と言われるかもしれないんですけど(笑)。リクープメント(費用の回収)が果たせていない。いわゆる、ビジネス面においては、正直言うと合格点が貰える状態じゃなかった。「監督・北野武の混迷期」というか。「何を撮るべきか」という、一種の模索を展開していた時期だったと思います。要するに本当に撮りたいものが分からない中で、それを探りながら作ったのがあの3作。ただし、本人がそれを3部作と言いはじめたのは、2作目の『監督・ばんざい!』が終わったあたりからで、それを聞いて「3本で終わるんだ」「何か出口が見えたんだな」と何となく予感しました。――映画作りの中で方向性が見えたと。『アキレスと亀』の主人公は、絵の才能がないのに、あると信じ込んでいた。少年期から始まって、暗中模索しながら苦しむ姿が描かれていました。あれはまさしく北野武自身でもあったのかなと。その姿こそが「出口」。成功を求めることが目的ではなくていいんじゃないか。つまり、好きなことをやっている今こそ、好きなことをやって生きていこうとしているそのことこそが許されるとしたら、それは最高の贅沢ではないかということに気づいた。つまり、生きていてなおかつやることがあるということをもってよしとするべし。いちばん大事なことは商業的な成功や、有名になること以上に、自分のやりたいことができている幸せを実感すべきじゃないか。そういう1つの結論にたどり着いたのではないでしょうか。たけしさんにそのまま同じことが言えるとは思いませんが、映画を撮れる、続けられることが「監督・北野武」にとってはいちばん重要なことなんです。混迷期の中で何を撮るべきかを探ってきた北野武自身がそこにたどりついたのではないか。これが私の推察です。そこで改めてたけしさんからアイデアがたくさん出たんですが、私としてはそこでこそ「バイオレンス・エンターテイメント」を提案したわけです。――どのような狙いがあったんですか?北野映画の出発点は『その男、凶暴につき』(89)。そして、代表作といわれるのは『ソナチネ』(93)や『HANA-BI』(98)で、ヤクザとか暴力のバイオレンス・アクションが少なからずある作品を通して北野武は1つのスタイルを確立していきました。ただ、十八番のバイオレンス・アクションを作って貰うといっても、『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』に回帰することではありません。監督はありとあらゆるチャレンジをしてきました。しかも、『座頭市』を除いてすべてオリジナルにこだわった作品です。『キッズ・リターン』(96)や『あの夏、いちばん静かな海』(91)のように、オリジナルの様々な作風を経て築き上げられるバイオレンス・エンターテイメントは、おそらくそれまでとは別のものになるんじゃないかと。その期待感を込めて、バイオレンス・エンターテイメントを、得意のヤクザ映画という範疇に求めたわけです。ただし、監督にお願いしたのは、『ソナチネ』を作ることが目的じゃない。だから、過去作に出演してきた北野組の印象が強い役者を外すことからスタートしました。――キャスティングが重要なわけですね。たけしさんには「役者の演技を褒められても映画の価値に繋がらない」という頑なな姿勢が、初期に見られました。でもそれは逆に言うと、役者に任せられなかったということ。撮りたいものを実現するために役者に芝居されちゃかなわないという一種の、作家性たるゆえんみたいなところでのこだわりがあったと思うんですね。そこに戻らず、役者然とした人を起用してみようと、今さら北野映画が遠慮する必要もない。「『ソナチネ』のような映画を作るのではない」というのも含め、キャスティングを全面的に変えることもお願いしつつ、バイオレンス・エンターテイメントを提案したのが『アウトレイジ』でした。●「なんとかしないと」で生まれた『ビヨンド』――プロデューサーの立場がよく分かるエピソードですね。4本もリクープメントできない作品を続けてしまうと、監督が滅びてしまう。つまり、もうチャンスが与えられない。監督生命が、ひょっとしたらそこで絶たれてしまうんじゃないか。そんな危機感がありました。出資社には3本も、宣伝費が回収できるかどうかというようなギリギリの状態でも続けさせて貰えたんです。本当は2作で「待った」をかけるべきだったのかもしれない。『座頭市』後が『TAKESHIS’』。あれは「フラクタル」というたけしさんがもともと持っていたアイデアの映画化だったんですが、その脚本を衣裳担当のヨウジヤマモトさんにお見せした時に、ヨウジさんがこうおっしゃったんです。「やっぱり、アーティスティックな人はこういう作品を経ないと次のステップに行けないものなんでしょうね」。つまり混迷期を乗り越えるためには、作品を撮り続けることでしか、出口は見えない。あの3作は、出資者の方々に耐えて貰った3部作でもありました。従って4作目でもそれを繰り返すことは、「待ったなし」の崖っぷちなんですよ。いくらメディアが「世界のキタノ」と持ち上げても、あるいは映画祭に出ていようとも、ビジネスという面においての成功者ではなくなってしまう。むしろ、敗者です。これだと監督生命が絶たれてしまいます。だからこそ、エンターテイメント作品を撮るのは必然。絶対にヒットさせなければならなかったんです。もう1つつけ加えると、『アウトレイジ』はもともと3部作として構成されたものではもちろんないわけで。1作で終わる予定でした。ところが、『アウトレイジ』を公開してそれまでの3作よりは客が入ったんですが、観客動員数は『BROTHER』(01)と同じぐらいの80万人ぐらいで100万人に届かなかった。ということは、リクープメントが難しいということ。興行が終わって数字を見た瞬間に、「なんとかしないと本当に監督業が続行できなくなってしまう」という危機感があったので、『アウトレイジ』のDVDを発売する直前に監督に「2作目作りませんか?」と提案しました。これを聞いた監督は、大ヒットしたおかげだと当然思いますよね。――これは書いても大丈夫ですか(笑)?大丈夫です(笑)。これは、プロデューサーとしての発言ですから。監督を騙したわけじゃなくて、興行成績の話なので。つまり、スマッシュヒットには違いないんです。決して失敗したわけではないので。1作しか作るつもりはなかったので、大友は最後に刺されるわけですよ。あそこで映画は終わった。ただ、私が申し上げたのは、「大友の死体は映ってませんよ」と(笑)。――たしかにそうですね。見事に騙されてしまいました(笑)。大友が生きていたというスタートでも、十分成り立つんじゃないか。それで考えて貰えるのであれば、良い方向に行くはず。きっと監督も思うところがあったんでしょう。「それはそれでありだね」と、わりとすんなり受け入れてくださった。そして、DVDの発売前に『アウトレイジ2』の制作決定情報をリリースしました。一種ヒット感の醸成ですね。するとDVDの売り上げに火がつき、なおかつ『アウトレイジ ビヨンド』にまでその影響力が及んで、『アウトレイジ』を超えるヒットになりました。それこそ、”ビヨンド”したわけです。監督の中では「第3作も」となるわけですが、そこは踏みとどまって貰いました。――舵取りが細かいですね。シリーズ物の一種の宿命で、3作目は落ちるんじゃないかと。ただ何となく続けていけば、人々の関心はどんどん離れていく。そうではなくて、違う方向に一旦振った方がよろしいのでは伝えました。監督からは、いろいろ提案があったのですが。かつてたけしさんがWEBだけで公開した『ヤクザ名球会』という短編小説があって、それをベースに『龍三と七人の子分たち』(15)が生まれました。同じヤクザ映画でも「新」「旧」の話で、半グレの若造と元ヤクザの老人が戦う。そちらをやったらどうでしょうと監督にお話して納得して貰いました。でも、監督としてはそれを終えると、やっぱり「アウトレイジ」に決着をつけたいと。私は『ビヨンド』で終わっても全然問題なかった。ものすごい余韻を残した終わり方ですよね。いろいろな想像をかき立てる、北野映画らしい終わり方でした。でも、監督は大友のその後を描いて「けじめ」をつけたくなった。一種の終止符を打つという意味での「最終章」だったわけです。そうして「アウトレイジ」は、結果的に3部作のシリーズになりました。それは監督にとって都合の悪い話ではなくて、あくまでプロデューサー的な視点があってご提案申し上げたこと。監督はそれを受け入れてくださった。お互いウソをついたわけではなく、このような事情をそんなに多くの言葉を交わさず理解し合って、監督は監督の解釈をされて制作に入りました。○オリジナルで勝負する気概――まずは監督からのアイデアがあって、それに対してプロデューサーの立場から意見する。これまでの北野映画はそうやって作られてきたんですか?できれば監督がおっしゃるものをすべて叶えたいんですが、ビジネス行為である以上、ビジネスパートナーたちの同意を得ることが重要です。この作品であればなにゆえに勝算ありかというビジネススキームが、今のプロデューサーには当然求められますから。だから、保険をかける意味で原作ものが増えていると思うんですよね。ただ、うちはオリジナルで勝負しています。一からプレゼンしないといけないわけですから、それなりの説得力がないといけない。そういう意味においては私が提案したものは比較的同意の得やすい、短く説明して同意が得られるものです。そういう流れの中でものを作らざるを得ないわけです。――白竜さんがジャパンプレミアの舞台挨拶で感極まっていらっしゃるのが印象的で。監督から「北野組やってよかったね」と言われたことへの感謝の気持ちが滲み出ていました。そうですね。「アウトレイジ」シリーズを経て、『ソナチネ』とは違う色がつきました。『アウトレイジ』のキャスティングにおいて、かつて『ソナチネ』や『BROTHER』に出演した寺島進の名前が出たこともありました。私が監督にお願いしたのは、「寺島を出すのであれば、反目で出してください」と。たけしさんと相対する勢力に置くのであれば、それは新しいかもしれない。でも、たけしさん側だったら『BROTHER』に勝てない。『BROTHER』では、兄貴と慕っていたわけですから。そのインパクトを思い出させることはあっても、それ以上のインパクトは得られない。だから、寺島の起用はあきらめて頂きました。白竜さんは『その男、凶暴につき』に出て頂きましたが「アウトレイジ」とは全く異なる殺し屋(というキャラクター)。大杉(漣)さんもたくさん出ていただいてきた方ではありますが、『最終章』では見事な反目として大変なことになってしまいます(笑)。●次作でプロデューサーから外れる極論――監督とプロデューサーの関係性は、作品を重ねるごとに変わっていったんですか?私は「常に新規」のつもりです。前がどうだったからとか、それは監督としての思いが継続していても、作り手たちは「これが最後かもしれない」という気持ちで臨まないといけません。「次があるさ」的な発想でものを作るのは、クリエイティブじゃない。だから、私たちにとっては毎回が新規。たとえば今回の『最終章』においても、いろいろな面を再考します。もちろん、別の作品に繋がることもあると思いますが、作り手には「新しい映画を作る」という重みを忘れないでほしいと思っています。――先ほど、混迷期を経てのシリーズとおっしゃっていましたが、「アウトレイジ」シリーズは監督にとって何期になるとお考えですか?エンターテイメント色、観客ありきという点においては、『ソナチネ』の時代にはなかったスタンスです。ただ、もともとエンターテイナーですからね。それをそのまま素直に表現する人ではなかったという意味では、やっぱり何か吹っ切れたんじゃないかと私は思います。やっぱり客が入らないと、始まらないよねと。監督特有の頑固さは今でもありますけど、人の意見を聞かない方ではないですし、やっぱりプラスアルファの方向でみんなが出すアイデアについては、採用するかどうかはともかくとして、ちゃんと聞き耳を傾け、良いものは採用して採り入れるようになりましたから。18本もの映画を通して、作家としてのたけしさんの変化ともいえると思います。○あえて埋めない距離感――最初は番組スタッフと出演者の関係で飲みに行ったりもしていたそうですが、徐々に距離を置くようになったと聞きました。仕事上のつき合いだけでも、同志になれると。今でもその関係性は変わらないんですか?変わらないですね。ますます一緒に動かなくなりました(笑)。オフィス北野ができて30年になりますが、ずっと変わりません。その前からのつき合いもありますが、そこの距離感が埋まることはないと思います。――それはたけしさんだけですか?一種の教訓みたいになっています。同志の付き合いは、「酒を酌み交わしてこそ」ということではない。誰であれ、私はそう思っています。仕事の話をするときは、仕事のスタンス。それはどれだけ親しくても関係ありませんよね。私は、たけしさんという人と仕事においてはパートナシップは守り続けると思いますけど、それ以外のことはあまり考えないようにしています。だから続けられてるんじゃないでしょうかね。そこを一緒くたにしてしまうと、会話も成り立たなくなる。「こう言ったじゃないか」「いいってことにしようよ」と変なところで予定調和が生まれる。基本的にマネージメントする立場では「ノー」ではなく「イエス」ではあるんです。本人がやりたいことをどう実現させるか。あるいは、どういうステージを作るかというのは基本だとは思うんですが、決して「イエスマン」になってはいけない。だから、すべてにおいて「ウェルカム」ではダメなんです。もちろん、才能に対する尊敬の念はありますけども、人間同士ですからね。やっぱりすべてに肯定的ではお互いのためにならない。たけしさんは仕事に対してはハッキリものを言う方で、なあなあを許さない方。適当な説明をしていると、「ごまかすな」とお叱りを受けます。そんなことは通用しない方なので。「アウトレイジ」は結果として3作になって、本人は「『アウトレイジ リボーン』もできる」とか言ってますけど、それは冗談として(笑)。プロデューサーの立場から区切っていくことが私の仕事です。○振り子の先を見据える観察眼――過去のインタビュー(キネ旬ムック フィルムメーカーズ『北野武 TAKESHI KITANO』98年)では、監督の世界観の幅を「振り子」と表現されていましたが、これから監督としての北野武にどのようなことを期待されていますか? 「アウトレイジ」が終わる寂しさも感じつつ、今後も楽しみです。本人は「バイオレンスをやったから、次は違うもの(恋愛映画)を撮りたい」と言ってますけど、「バイオレンス」と「愛」は実は振り子の関係で、また「バイオレンス」を描く時の表現の幅にも繋がる。今でも私の中での「監督・北野武」は振り子の人です。ただし、私が「振り子」と図式化した時点で、本人にとっては嫌悪感も抱く時期なのかなと思っています。ですから、振り子に変わる、なんというか「違う宇宙を作りたい」ぐらいの気持ちでいるんじゃないかと。「掴ませない」というのは、たけしさんが昔から言っていることなんです。「例え掴まれても、俺は逃げ切る」と。だから、逃げ切った先に、どのような景色が広がっているのか、もちろん私にも読めません。ただ、再び混迷期に入るとは思ってないです。たぶん何かを掴みとって、答えを出してくれるんじゃないか。ただ、今日言っていることと、明日言っていることが違う人ですからね(笑)。そういう意味では、宇宙がいくつもある人なんです。その掴みきれない面白さというか。今まで映画に限らずいろいろな話をしてきたんですが、そこの流れにはないものを、私としては期待しています。ただし、もちろん実現可能な範囲という条件で。プロデューサーという人種の限界のようなものがあるんですよね。ビジネスサイドに片足つっこんでますから。単なるパートナーであれば、「やっちゃえ! やっちゃえ!」なんですけどね。そうはいかない。ものすごい極論ですけど、次に何かをやるとういときに、私がプロデューサーであるべきかどうかまで含めて、考えることもあるかもしれないですね。――それも新たな挑戦領域ということですね。そうです。私はそこにこだわるわけじゃないですから。次なる宇宙のためには、そんなことがあってもおかしくないんじゃないでしょうか。(C)2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会
2017年10月13日