国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2024年度事業の実施対象館が決定いたしました。これにより国立博物館が所蔵する各地域ゆかりの文化財86件が、鹿児島、岐阜、福井、愛知、栃木、茨城の6つの施設で順次公開される予定です。■2024年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)対象館 :鹿児島市立美術館(鹿児島県)展覧会名 :鹿児島市立美術館開館70周年記念「没後100年 黒田清輝とその時代」会期 :2024年7月24日(水)~2024年9月1日(日)貸与予定件数:43件対象館 :岐阜県美術館(岐阜県)展覧会名 :「清流の国ぎふ」文化祭2024 PARALLEL MODE:山本芳翠展会期 :2024年9月27日(金)~2024年12月8日(日)貸与予定件数:6件対象館 :福井市立郷土歴史博物館(福井県)展覧会名 :鉄(くろがね)の名工 越前明珍(えちぜんみょうちん)会期 :2024年10月19日(土)~2024年12月1日(日)貸与予定件数:6件対象館 :豊橋市美術博物館(愛知県)展覧会名 :銅鐸の国 -伊奈銅鐸出土100年-会期 :2024年11月30日(土)~2025年2月2日(日)貸与予定件数:14件対象館 :佐野市立吉澤記念美術館(栃木県)展覧会名 :佐野市合併20周年記念特別企画展「丸山瓦全と佐野の文化財保護~天明鋳物を護り、エラスムス像を見つけた~」(仮称)会期 :2025年1月25日(土)~2025年3月9日(日)貸与予定件数:9件対象館 :茨城県立歴史館(茨城県)展覧会名 :開館50周年記念 春の特別展「雪村 -常陸に生まれし遊歴の画僧-」会期 :2025年2月15日(土)~2025年4月6日(日)貸与予定件数:8件■2024年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)<鹿児島市立美術館>鹿児島市立美術館開館70周年記念「没後100年 黒田清輝とその時代」貸与予定件数: 43件会期 : 2024年7月24日(水)~2024年9月1日(日)URL : X(旧Twitter): Instagram : Facebook : 重要文化財 湖畔 黒田清輝筆 明治30年(1897) カンバス・油彩 東京国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ:2024年に開館70周年を迎える鹿児島市立美術館では、没後100年となる日本近代を代表する郷土作家・黒田清輝(1866~1924)の足跡を多角的に紹介する展覧会を開催します。鹿児島で生まれた黒田は、法律の修学を志して留学したフランスで絵画の道へ転向しました。帰国後、清新な画風で日本の洋画を開拓し、生涯にわたって日本の美術振興に力を注いだその存在は、鹿児島において藤島武二(1867~1943)や和田英作(1874~1959)をはじめとした作家たちの輩出にも影響を及ぼしました。本展では、黒田清輝筆「湖畔」(重要文化財)をはじめ、東京国立博物館が所蔵する黒田、そして同時代に活躍した画家の作品をあわせ43件を貸し出す予定です。<岐阜県美術館>「清流の国ぎふ」文化祭2024 PARALLEL MODE:山本芳翠展貸与予定件数: 6件会期 : 2024年9月27日(金)~2024年12月8日(日)URL : X(旧Twitter): Instagram : Facebook : 花化粧 山本芳翠筆 明治時代・19世紀 カンバス・油彩 東京国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ:日本洋画の素地を築いた山本芳翠(1850~1906)は、美濃国恵那郡野志村(岐阜県恵那郡明智町)生まれの近代洋画家です。五姓田芳柳(1827~1892)に学び、のちフランスで本格的な油彩画技法を身に着けました。帰国後の活動は、明治美術会や白馬会などの美術団体結成、日清・日露戦争への従軍画家としての参加、演劇等他の芸術分野との交流など多彩なものでした。 本展では、山本芳翠や黒田清輝(1866~1924)らの作品を通して彼らがフランスから日本へもたらした明治洋画が、今日までどのように受け止められてきたのか考察します。東京国立博物館から、山本芳翠筆「月夜虎」ほか、黒田清輝作品とあわせて6件の作品を貸し出す予定です。<福井市立郷土歴史博物館>鉄(くろがね)の名工 越前明珍(えちぜんみょうちん)貸与予定件数: 6件会期 : 2024年10月19日(土)~2024年12月1日(日)URL : X(旧Twitter): Facebook : 自在鷹置物 明珍清春作 江戸時代・18~19世紀 鉄製 鍛造 東京国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ: 福井藩主越前松平家のお抱え甲冑師「越前明珍」は代々小左衛門吉久を名乗り、甲冑・自在置物・鉄鐔など、鍛鉄とその加工技術を巧みに用いた名作を遺しています。 本展では、明珍を中心とする越前の鍛冶の作品の数々、全国の明珍派はじめ名工が手がけた「自在置物」などを一堂に集め、江戸時代の金属加工技術の粋と、その中で確かな位置を占める越前明珍の軌跡を追います。東京国立博物館から「自在鷹置物」、「甲冑金物」など6件を貸し出す予定です。<豊橋市美術博物館>銅鐸の国 -伊奈銅鐸出土100年-貸与予定件数: 14件会期 : 2024年11月30日(土)~2025年2月2日(日)URL : X(旧Twitter): Instagram : Facebook : 突線鈕3式銅鐸 弥生時代(後期)・1~3世紀 愛知県豊川市小坂井町伊奈松間出土 東京国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ:大正13年(1924)12月27日に、宝飯郡小坂井村伊奈字松間の麦畑(現・豊橋市立前芝中学校校庭)から3口の三遠式銅鐸が出土し、その後、東京帝室博物館に収蔵されました。本展は、出土から100年を記念し、国内有数の銅鐸集中地帯として知られる三河・遠江地方から出土した銅鐸を一堂に会し、銅鐸の果たした意義と弥生時代の社会を考える展覧会です。東京国立博物館から13件、奈良国立博物館から1件の銅鐸を貸し出す予定です。<佐野市立吉澤記念美術館>佐野市合併20周年記念特別企画展「丸山瓦全と佐野の文化財保護~天明鋳物を護り、エラスムス像を見つけた~」(仮称)貸与予定件数: 9件会期 : 2025年1月25日(土)~2025年3月9日(日)URL : Instagram : 重要文化財 銅梅竹透釣燈籠 室町時代・天文19年(1550) 千葉市中央区千葉寺町千葉寺址出土 銅製 鋳造 畑野勇治郎氏寄贈 東京国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ:佐野市立吉澤記念美術館では佐野市合併20周年を記念し、足利の考古学者・丸山瓦全(1874~1951)を取り上げた展覧会を開催します。丸山瓦全は、少年期を母の実家である葛生(佐野市)の吉澤家で過ごしました。同家は江戸時代後期以来書画に親しんだことから、瓦全も幅広い文物に深い関心を持ちました。龍江院(佐野市)にあったリーフデ号船尾像の発見・調査と旧国宝指定、天明鋳物研究と戦時下における梵鐘保護活動など、栃木県の文化財保護に大きな功績を残しました。 本展では「銅梅竹透釣燈籠」(重要文化財)をはじめ、東京国立博物館から9件を貸し出す予定です。<茨城県立歴史館>開館50周年記念 春の特別展「雪村 -常陸に生まれし遊歴の画僧-」貸与予定件数: 8件会期 : 2025年2月15日(土) ~ 2025年4月6日(日)URL : X(旧Twitter): Instagram : 雪景山水図 雪村周継筆 室町時代・16世紀 紙本墨画 谷口豊三郎氏寄贈 京都国立博物館蔵(※貸与予定作品)みどころ:茨城県立歴史館は開館50周年を記念し、常陸の国の部垂(現在の茨城県常陸大宮市)を出生地とする戦国時代の画僧・雪村周継の名品を紹介する展覧会を開催します。雪村は常陸北部を領した佐竹一族として生まれ、幼くして出家すると正宗寺などで画業の修練を重ねます。のちには会津や小田原、鎌倉などを訪れて画才を磨き、晩年は会津や三春(現在の福島県田村郡三春町)を往来しながら多くの傑作を生み出しました。本展では、雪村の作品とともに雪村を育んだ時代や地域に関連する資料を紹介し、茨城県および周辺地域の歴史と文化の奥深さや交流の様子などにも触れていきます。東京国立博物館からは「鷹山水図屏風」(重要美術品)を含む4件、京都国立博物館からは「雪景山水図」など4件、あわせて8件を貸し出す予定です。■2025年度「国立文化財機構所蔵品貸与促進事業」募集予定2025年度から事業名称が「国立文化財機構所蔵品貸与促進事業」となり、従来の4つの国立博物館に加えて東京・奈良の2つの文化財研究所の所蔵品も貸出対象となります。2024年4月1日(月)から、2025年度国立文化財機構所蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付を開始します。申請受付期間:2024年4月1日(月)~6月28日(金) [17時必着]貸与促進事業の申請、展覧会情報に関する詳細は、以下の〈ぶんかつ〉公式ウェブサイトでご確認いただけます。URL: 全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしています。2025年度国立文化財機構所蔵品貸与促進事業 募集チラシ■文化財活用センター 2018年に設置された、文化財活用のためのナショナルセンターです。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動をしています。■ぶんかつSNSぶんかつ公式サイト X(旧Twitter) @cpcp_nich ぶんかつ Instagram @cpcp_nich ぶんかつ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月25日国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、東京国立博物館・NHK(日本放送協会)との共同研究「みんなの8K文化財プロジェクト」の一環として開発したコンテンツ「8Kで楽しむ国宝屏風『洛中洛外 京めぐり』」を東京国立博物館にて公開します(実証実験期間:2024年3月19日(火)~4月7日(日)、会場:東京国立博物館 平成館1階 ガイダンスルーム)。本コンテンツは、2022年に同館で公開した8K映像コンテンツ「時間をこえた出会い―洛中洛外 400年前の京都へ」(東京国立博物館創立150年記念 特別企画「未来の博物館」内で公開)をインクルーシブな視点で改修したもの。共同研究プロジェクトにより制作した国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」の8K3DCGを用いており、6人のナビゲーターが、屏風に描かれた400年前の京都の街並みを読み解き案内します。今回の改修では、国内外を問わず現代の博物館が求められている、誰もが楽しめる「インクルーシブ」なサービスを目指し、日本語・英語のバイリンガル字幕、そしてNHKグループが取り組むデジタルヒューマン「KIKI」による「手話」サービスを追加しました。利用者は、自身のスマートフォンなどを使って、このサービスを手軽に利用できます。これにより、外国人来館者や聴覚障がいのある方々も、8Kクオリティの映像と、ユニークで興味深いナビゲーターのトークを同時にお楽しみいただけます。会場内には〈ぶんかつ〉がキヤノン株式会社との共同研究で制作した、高精細複製品「洛中洛外図屏風(舟木本)」も展示します。70インチの画面に映る8Kクオリティの美しい映像と、間近で実寸大の屏風の中の街並みや人びとの暮らしの細かな描写とを見比べながら、国宝屏風の魅力をご堪能いただける絶好の機会です。普段の展示室ではかなわない、新たな鑑賞体験をお楽しみください。(会場内は写真・動画の撮影も可能です。)「8Kで楽しむ国宝屏風『洛中洛外 京めぐり』」キービジュアル■8Kクオリティの映像で国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」のディテールを楽しもう!国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」は、江戸時代に活躍した絵師・岩佐又兵衛が、約400年前の京都の街並みを俯瞰するかのように描いた大パノラマの絵画です。6曲1双の屏風に、武士や商人のみならず、かぶき者や酔っ払いまで、じつに老若男女2500人を超える人びとが遊び、暮らすさまが生き生きと描きだされています。70インチの画面に映る8K映像では、肉眼では見るのが難しい細部までじっくりと鑑賞することが可能です。このコンテンツでは、洛中洛外図屏風の世界を「食と享楽」「美と芸能」「歴史と文化」という3つのテーマで、土井善晴さん〔料理研究家〕、伊集院光さん〔タレント〕、IKKOさん〔美容家〕、林家正蔵さん〔落語家〕、磯田道史さん〔歴史学者〕、山崎怜奈さん〔タレント〕ら6人のナビゲーターがご案内します。江戸時代にタイムトリップし、活気あふれる京の都を歩いているかのような体験をお楽しみください。国宝 「洛中洛外図屏風(舟木本)」(左隻) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵国宝 「洛中洛外図屏風(舟木本)」(右隻) 岩佐又兵衛筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」の詳細情報はこちら ※原本の展示はありません。※会場に展示される国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」の高精細複製品は、〈ぶんかつ〉とキヤノン株式会社による共同プロジェクト「高精細複製品を用いた日本の文化財活用のための共同研究」の一環として活用しています。■ここに注目!新たに追加されたインクルーシブなサービス・手元のスマートフォン画面で、トークを目で見て楽しめる!多言語字幕サービス利用者自身のスマートフォン・タブレットなどの携帯端末で、映像で登場する6人のナビゲーターのトーク内容を、日本語・英語の字幕で楽しむことが可能です。※今回の実証実験では、日本語と英語のみ。今後、中国語・韓国語のサービスも追加予定。多言語サービスの画面イメージ(日本語)多言語サービスの画面イメージ(英語)手元のスマートフォンで、ナビゲーターの会話を日本語・英語の字幕で楽しむことができる操作画面操作画面操作は簡単。どなたでも手元のスマートフォンやタブレットなどで、ボタン一つで英語の字幕や音声、手話CGのサービスを手軽に利用できる【アプリケーション制作:株式会社アフタイメージ】■デジタル・ヒューマン「KIKI」による手話CG!聴覚障がい者向けサービス6つのトークのうち、「歴史」を案内する磯田道史さんのトークでは、NHKグループが取り組むデジタル・ヒューマン「KIKI」による「手話CG」のサービスも利用できます。まるで人間のような自然な表情や手の動きで、聴覚障がいがある利用者の皆さまにもわかりやすく、この国宝屏風の見どころを紹介します。手話CG 画面イメージ■「KIKI」とは?インクルーシブ社会の実現を目的に開発された、手話が得意なデジタルヒューマン。聴力を失った兄のために手話を学ぶ。兄と参加したフェスで、ラップミュージックを見事に表現した手話通訳者と出会う。その情熱的なパフォーマンスに感銘を受け、いまは自分のスタイルを大切に、手話通訳者として活躍中。今回のコンテンツに搭載している手話CGは、インクルーシブ社会の実現に向けて、NHKグループが筑波技術大学の大杉豊教授の監修のもと開発し、提供しているサービスです。デジタルヒューマンの動きは、手話ネイティブの動きをモーションキャプチャにより収録し反映しており、今回のサービスにおいても、大杉教授が単語ひとつひとつを確認し、指導にあたり完成いたしました。「手話CG」公式サイト デジタルヒューマン「KIKI」(C)NEP/GMS70インチモニターで見た「洛中洛外図屏風(舟木本)」の細部新たな手話CGサービスを利用した体験の様子■「8K文化財プロジェクト」とは?東京国立博物館とNHKが2020年から取り組んできた共同研究プロジェクト。最先端のスキャナーやフォトグラメトリ技術を使って、文化財を撮影し、超高精細な3DCG=「8K文化財」を制作。これまでに、重要文化財「遮光器土偶」、国宝「洛中洛外図屏風(舟木本)」、重要文化財「樫鳥糸肩赤威胴丸」、重要文化財「能面 伝山姥」、「小面 天下一河内焼印」など東京国立博物館の所蔵品や、国宝「百済観音像」、国宝「救世観音像」(いずれも法隆寺蔵)、中尊寺金色堂(中尊寺蔵)などの文化財を撮影し、3DCG=「8K文化財」を制作、東京国立博物館における展示、NHKの番組やイベント等で公開してきました。2022年秋に共同研究の集大成として開催した展示「未来の博物館」では、「洛中洛外図屏風(舟木本)」、「救世観音像」の3DCGを使った体験型展示を制作・公開。9万人をこえる来場者に新たな鑑賞体験を提供し、好評を得ています。2023年からは〈ぶんかつ〉もプロジェクトに加わり、制作した「8K文化財」の活用と展開に取り組んでいます。NHKの「みんなの8K文化財プロジェクト」公式サイト 「8K文化財プロジェクト」ロゴ「未来の博物館」会場内での同コンテンツ上映の様子 (2022年、東京国立博物館)■実施概要8Kで楽しむ国宝屏風『洛中洛外 京めぐり』会場 :東京国立博物館 平成館1階 ガイダンスルーム(東京都台東区上野公園13-9)主催 :東京国立博物館、文化財活用センター、NHK期間 :2024年3月19日(火)~4月7日(日)休館日:4月1日(月) (注)3月25日(月)は開館料金 :無料 *ただし、総合文化展観覧料もしくは開催中の特別展観覧料[観覧当日に限る]が必要です。■本サービスの推奨動作環境Android版:Android OS 11.0以上/iOS版:iPhone XS以降の端末、iOS 16.0以上※本サービスは本展会場内においてのみ利用可能です。※全ての端末での動作を保証するものではありません。※ご利用端末の特別な設定、空き容量や通信状況・通信速度などが起因し、正常に動作しない場合があります。※言語:【音声】日本語・英語、【字幕】日本語・英語、【手話CG】日本語本リリースで紹介している原品の情報は、ColBase(コルベース/国立文化財機構所蔵品統合検索システム)でご確認いただけます。ColBaseは、国立文化財機構の4つの国立博物館(東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館、九州国立博物館)と奈良文化財研究所の所蔵品および皇居三の丸尚蔵館の収蔵品を、横断的に検索できるサービスです。ColBaseに掲載されている画像は、申請不要で商用利用にもお使いいただけます。(ただし出典を明記していただく必要があります。詳しくは「利用規約」をお読みください。) <文化財活用センター>2018年に国立文化財機構に設置された、文化財活用のためのナショナルセンターです。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動をしています。文化財活用センター〈ぶんかつ〉WEBサイト X(Twitter) @cpcp_nichぶんかつ【文化財活用センター】 YouTube @cpcpnichぶんかつ【文化財活用センター】 Instagram @cpcp_nichぶんかつ【文化財活用センター】 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年03月19日初代国立劇場閉場後初の舞踊公演『Discover NIHONBUYO ―日本舞踊へのいざない―』が、3月24日(日) に国立能楽堂で開催されることが決定した。国立劇場では2015年から『Discover ~』と題し、外国語対応したプログラムの無料配布や字幕表示がある、外国人にも楽しめる歌舞伎や文楽などの日本の伝統芸能公演を定期的に開催。分かりやすい解説とコンパクトな上演時間で伝統芸能に初めて触れる日本人にもおすすめの公演となっている。今回の『Discover』で取り上げるのは、豊かな表現力をもつ踊りが唄や三味線、囃子の響きと一体となって、日本の四季折々の情景や様々な物語・伝説などを表現する「日本舞踊」。実演を交えた解説の後、名作の鑑賞を通して日本舞踊の魅力を紹介する。<公演情報>未来へつなぐ国立劇場プロジェクト 令和6年3月舞踊公演『Discover NIHONBUYO ―日本舞踊へのいざない―』『Discover NIHONBUYO ―日本舞踊へのいざない―』ビジュアル3月24日(日) 14:00 開演(16:00時終演予定)会場:国立能楽堂解説 日本舞踊の魅力 西川箕乃助一中節 都若衆万歳 藤間恵都子地唄 浪花十二月 山村友五郎 吉村古ゆう長唄 連獅子 西川箕乃助 西川佳【チケット料金】(税込)正面席:6,000円(学生4,200円)脇正面席:5,500円(学生3,900円)中正面席:5,500円(学生3,900円)※障がい者の方と介護者1名は2割引です。(他の割引との併用不可)※車椅子用スペースがございます。※インターネットでも学生料金、障害者割引による申し込みが可能です。チケット情報:()
2024年03月12日新国立劇場 2023 / 2024シーズン『デカローグ 1~10』が、4月13日(土) から7月15日(月・祝) に東京・新国立劇場 小劇場で上演される。このたび、演出を務める新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子によるコメントが到着した。ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地を舞台にした、そこに住む人々の普遍的な愛と人間の弱さを描いた、十篇の連作集だ。本公演は全10話を大きく3つのタームに分け、4月から5月は『デカローグ1~4』を、5月から6月は『デカローグ5~6』を、そして6月から7月は『デカローグ7~10』を上演。総勢40名以上のキャストが出演する。小川は本作について「登場人物たちは皆、どこにでも存在し得る隣人として描かれており、日常を生きる中で一つ一つの選択に悩み、葛藤し、時には失敗をしたり後悔もします。また、どの選択が正しかったのか振り返った時にも分からず、曖昧で孤独な不安の中に取り残される事もあります。各エピソードは十戒をモチーフにしていますが、決して人間を裁き断罪する物語ではなく、寧ろ、人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さも含めて向き合うことを描いた物語となっています。そこには正解もハッピーエンドもないかもしれませんが、人間をそのままに見つめ寄り添う視点の奥底には、人への根源的な肯定と愛が流れているように感じます」とコメント。また「世界各地で戦争は続き、日々の生きづらさや、人生を生きることへの不安が簡単に消えることはありませんが、人間という存在への深い愛情と希望、そしてたとえ到達出来なくとも、人がより良い世界に向けて葛藤し続けることの必然と大切さを、この十篇の物語を通して少しでも描く事が出来たら幸いです」と思いを語っている。■小川絵梨子 コメント全文『デカローグ』は人生と愛についての連作集です。十篇がそれぞれ独立した作品でありつつ、登場人物はみな同じ団地の住人であることから互いに繋がってもおり、十篇が壮大な一つの物語ともなっています。 登場人物たちは皆、どこにでも存在し得る隣人として描かれており、日常を生きる中で一つ一つの選択に悩み、葛藤し、時には失敗をしたり後悔もします。また、どの選択が正しかったのか振り返った時にも分からず、曖昧で孤独な不安の中に取り残される事もあります。各エピソードは十戒をモチーフにしていますが、決して人間を裁き断罪する物語ではなく、寧ろ、人間を不完全な存在として認め、その迷いや弱さも含めて向き合うことを描いた物語となっています。そこには正解もハッピーエンドもないかもしれませんが、人間をそのままに見つめ寄り添う視点の奥底には、人への根源的な肯定と愛が流れているように感じます。世界各地で戦争は続き、日々の生きづらさや、人生を生きることへの不安が簡単に消えることはありませんが、人間という存在への深い愛情と希望、そしてたとえ到達出来なくとも、人がより良い世界に向けて葛藤し続けることの必然と大切さを、この十篇の物語を通して少しでも描く事が出来たら幸いです。<公演情報>新国立劇場 2023 / 2024シーズン『デカローグ 1~10』2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝) 東京・新国立劇場 小劇場原作:クシシュトフ・キェシロフスキ/クシシュトフ・ピェシェヴィチ翻訳:久山宏一上演台本:須貝英演出:小川絵梨子/上村聡史デカローグ1~4(プログラムA&B 交互上演)公演日程:2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)●プログラムA(デカローグ1、デカローグ3)デカローグ1:ある運命に関する物語演出:小川絵梨子出演:ノゾエ征爾 高橋惠子チョウヨンホ 森川由樹 鈴木勝大 浅野令子亀田佳明デカローグ3:あるクリスマス・イヴに関する物語演出:小川絵梨子出演:千葉哲也 小島聖ノゾエ征爾 浅野令子 鈴木勝大 チョウヨンホ 森川由樹亀田佳明●プログラムB(デカローグ2、デカローグ4)デカローグ2:ある選択に関する物語演出:上村聡史出演:前田亜季 益岡徹坂本慶介 近藤隼 松田佳央理亀田佳明デカローグ4:ある父と娘に関する物語演出:上村聡史出演:近藤芳正 夏子益岡徹 松田佳央理 坂本慶介 近藤隼亀田佳明デカローグ5~6(プログラムC)公演日程:2024年5月18日(土)~6月2日(日)●プログラムC(デカローグ5、デカローグ6)デカローグ5:ある殺人に関する物語演出:小川絵梨子出演:福崎那由他 渋谷謙人 寺十吾斉藤直樹 内田健介 名越志保 田中亨亀田佳明デカローグ6:ある愛に関する物語演出:上村聡史出演:仙名彩世 田中亨寺十吾 名越志保 斉藤直樹 内田健介亀田佳明デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演)公演日程:2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)●プログラムD(デカローグ7、デカローグ8)デカローグ7:ある告白に関する物語演出:上村聡史出演:吉田美月喜 章平 津田真澄大滝寛 田中穂先 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明デカローグ8:ある過去に関する物語演出:上村聡史出演:高田聖子 岡本玲 大滝寛田中穂先 章平 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明●プログラムE(デカローグ9、デカローグ10)デカローグ9:ある孤独に関する物語演出:小川絵梨子出演:伊達暁 万里紗 宮崎秋人笠井日向 鈴木将一朗 松本亮 石母田史朗亀田佳明デカローグ10:ある希望に関する物語演出:小川絵梨子出演:竪山隼太 石母田史朗鈴木将一朗 松本亮 伊達暁 宮崎秋人 笠井日向亀田佳明チケット情報:()公式サイト:
2024年02月01日新国立劇場バレエ団 2023/2024シーズン『くるみ割り人形』が、12月22日(金) に東京・新国立劇場 オペラパレスで初日を迎えた。新国立劇場バレエ団では、少女クララがクリスマスに見た夢と冒険を通して成長する姿を描くイーグリング版を2017年より上演。まさに夢の中の浮遊感を表すような複雑なリフトが多く用いられ、主役から群舞まで高度なパートナリングや多彩なステップで魅せる新国立劇場バレエ団ならではの舞台で、新国立劇場の冬の風物詩として多くの人に愛されている。公演期間は2024年1月8日(月・祝) までで、全17公演が予定されている。<公演情報>新国立劇場バレエ団 2023/2024シーズン『くるみ割り人形』振付:ウエイン・イーグリング音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー指揮:冨田実里 ほか管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団合唱:東京少年少女合唱隊出演:新国立劇場バレエ団公演日程:2023年12月22日(金)~2024年1月8日(月・祝) 東京・新国立劇場 オペラパレスチケット情報:()公式サイト:
2023年12月25日新国立劇場 2023 / 2024シーズン『デカローグ 1~10』の公演詳細が発表された。ポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキが発表した『デカローグ』。旧約聖書の十戒をモチーフに1980年代のポーランド、ワルシャワのとある団地を舞台にした、そこに住む人々の普遍的な愛と人間の弱さを描いた、十篇の連作集だ。本公演は全10話を大きく3つのタームに分け、4月から5月は『デカローグ1~4』を、5月から6月は『デカローグ5~6』を、そして6月から7月は『デカローグ7~10』を上演。総勢40名以上のキャストが出演する。上演台本は、ロイヤルコート劇場との共同プロジェクト、劇作家ワークショップ発の作品『私の一ケ月』(2022年)の作家、須貝英が担当。演出は、新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子、そして上演時間計7時間半の『エンジェルス・イン・アメリカ』二部作(2023年)の演出を手がけたことも記憶に新しい上村聡史のふたりが務める。<公演情報>新国立劇場 2023 / 2024シーズン『デカローグ 1~10』2024年4月13日(土)~7月15日(月・祝) 新国立劇場 小劇場デカローグ1~4(プログラムA&B 交互上演)公演日程:2024年4月13日(土)~5月6日(月・祝)●プログラムA(デカローグ1、デカローグ3)デカローグ1:ある運命に関する物語演出:小川絵梨子出演:ノゾエ征爾 高橋惠子チョウヨンホ 森川由樹 鈴木勝大 浅野令子亀田佳明デカローグ3:あるクリスマス・イヴに関する物語演出:小川絵梨子出演:千葉哲也 小島聖浅野令子 鈴木勝大 チョウヨンホ 森川由樹亀田佳明●プログラムB(デカローグ2、デカローグ4)デカローグ2:ある選択に関する物語演出:上村聡史出演:前田亜季 益岡徹坂本慶介 近藤隼 松田佳央理亀田佳明デカローグ4:ある父と娘に関する物語演出:上村聡史出演:近藤芳正 夏子松田佳央理 坂本慶介 近藤隼亀田佳明デカローグ5~6(プログラムC)公演日程:2024年5月18日(土)~6月2日(日)●プログラムC(デカローグ5、デカローグ6)デカローグ5:ある殺人に関する物語演出:小川絵梨子出演:福崎那由他 渋谷謙人 寺十吾斉藤直樹 内田健介 名越志保 田中亨亀田佳明デカローグ6:ある愛に関する物語演出:上村聡史出演:仙名彩世 田中亨寺十吾 名越志保 斉藤直樹 内田健介亀田佳明デカローグ7~10(プログラムD&E 交互上演)公演日程:2024年6月22日(土)~7月15日(月・祝)●プログラムD(デカローグ7、デカローグ8)デカローグ7:ある告白に関する物語演出:上村聡史出演:吉田美月喜 章平 津田真澄大滝寛 田中穂先 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明デカローグ8:ある過去に関する物語演出:上村聡史出演:高田聖子 岡本玲 大滝寛田中穂先 章平 堀元宗一朗 笹野美由紀 伊海実紗亀田佳明●プログラムE(デカローグ9、デカローグ10)デカローグ9:ある孤独に関する物語演出:小川絵梨子出演:伊達暁 万里紗 宮崎秋人笠井日向 鈴木将一朗 松本亮 石母田史朗亀田佳明デカローグ10:ある希望に関する物語演出:小川絵梨子出演:竪山隼太 石母田史朗鈴木将一朗 松本亮 伊達暁 宮崎秋人 笠井日向亀田佳明公式サイト:
2023年12月01日提供:国立劇場撮影:二階堂健国立劇場、国立演芸場が2023年10月末日をもって、建て替えのため閉場となった。10月29日には閉場式が開催され、関係者やファンが57年の歴史を刻んだ建物との別れを惜しんだ。初代国立劇場は、明治期からの設立構想を経て1966年11月に開場。歌舞伎、文楽をはじめ、舞踊、邦楽、民俗芸能、声明、雅楽等を上演する劇場として長年親しまれてきた。その後、落語、講談等の大衆芸能のための国立演芸場が1979年3月に開場、ともに日本の伝統芸能の拠点として機能し、同時に伝統芸能の保存と振興の役割を担ってきたが、このたび老朽化に伴い閉場となる。中央)独立行政法人日本芸術文化振興会理事長 長谷川眞理子左から)文化庁長官・都倉俊一、文部科学大臣・盛山正仁、松竹株式会社代表取締役会長・迫本淳一、公益社団法人日本俳優協会理事長/一般社団法人伝統歌舞伎保存会 会長・尾上菊五郎(代読:中村時蔵)、公益財団法人文楽協会理事長・鳥井信吾(代理:業務執行理事・八瀬弘範)、公益社団法人日本舞踊協会会長・近藤誠一、一般社団法人日本演芸家連合会長・三笑亭夢太朗提供:国立劇場撮影:二階堂健劇場を運営する日本芸術文化振興会の長谷川眞理子理事長は「年々進む老朽化にいよいよ対応しきれなくなってきた。この半世紀あまりの社会状況の変化も大きく、車椅子のお客様への対応や女性トイレの不足などの基本的な問題をはじめ、その見直しや新たな機能の強化も求められている。そのため、国立劇場、国立演芸場、伝統芸能情報館を一旦閉場し、建て替えることとなりました」と説明。しかしながら「現時点では、昨今の資材の高騰や人手不足などにより、入札手続きに時間がかかっておりますが、一つひとつ解決を図ってまいります」と新劇場の開場目途が立っていないことにも触れつつも、「新たな国立劇場では、社会と伝統芸能との距離をさらに近づけるべく、最新の技術を活用しながら、さまざまな試みに取り組みたい」と話した。中央)文部科学大臣・盛山正仁提供:国立劇場撮影:二階堂健式典では各界からの挨拶も。盛山正仁文部科学大臣は「国立劇場、国立演芸場が送り出してきた研修生たちは、今ではそれぞれの分野で伝統芸能を支える存在として重要な役割を担っています。日本芸術文化振興会には、伝統芸能の伝承と創造の中核的拠点としての機能を強化する新しい国立劇場の整備を進めていただきます。文部科学省としても、伝統芸能の未来、新しい国立劇場の開業について、しっかりと取り組んでまいります」と約束をした。尾上菊五郎の代読として登壇した中村時蔵提供:国立劇場撮影:二階堂健伝統歌舞伎保存会会長である歌舞伎俳優の尾上菊五郎(代読:中村時蔵)は、「今から57年前、この国立劇場が初めて開場したときの驚きと感動は、今も鮮明に記憶しております。昭和41年11月、国立劇場が初めて開場し、2ヶ月かけて『菅原伝授手習鑑』が通し上演されました。最初に出演俳優と竹本、長唄、お囃子の人たちが目にしたのは、まず劇場の威容であり、稽古場の広さ、最先端の舞台、そして楽屋の広さでした。また大劇場の広々とした正面ロビーの中央に、私の祖父・六代目尾上菊五郎の鏡獅子の木彫が据えられているのを見て、身の引き締まる思いとともに、改めて歌舞伎の芸への敬意を抱きました」と懐かしみ、「歌舞伎の台本と演出を改めて見直すという国立劇場の基本方針は、我々出演者側にとって、戸惑いとともに、新たな創造の意欲を抱かせるものでした。以後、この国立劇場で復活上演され、歌舞伎の大切な財産になった作品がいくつも生み出されてきたことは、高く評価されていいと思います。六代目尾上菊五郎をモデルにした「鏡獅子」彫刻(平櫛田中作)また昭和45年から開始された歌舞伎俳優養成研修の終了生は、今では歌舞伎俳優の3分の1を占めるまでに至っています。歌舞伎音楽の竹本、鳴り物、長唄の演奏家養成も、大きな成果をあげています」と国立劇場が果たした役割にも触れ、「この国立劇場としばらくお別れをするのは本当に寂しい思いでいっぱいです。この舞台で演じてきた数々の役が走馬灯のように浮かんでまいります。しかしまた、いずれ立派な劇場として再開場する日を楽しみに待ちたいと存じます」とメッセージを寄せた。再開へ思いを託して。開場記念公演で第一声を発した仁左衛門の『お祭り』で締めくくり日本舞踊協会の近藤誠一会長は「新しい国立劇場も、最新のテクノロジーを使いつつも、心と心のつながりの場であるということをしっかりと認識の上、引き続き新しい時代における日本の伝統芸能の発展に、そして後世への継承に、世界への発信にご尽力いただくことを期待したい」と話し、日本演芸家連合の三笑亭夢太朗会長は「この大劇場の裏に演芸場がございます。演芸場の方では『裏に大劇場がある』と我々は言っておりますが……」と落語家らしく笑いをまぶしつつ、「寄席では特に、お囃子さんや太神楽といった曲芸さんの研修をしていただきました。今、寄席で一生懸命お三味線を弾いていらっしゃる方々は、皆さんこの研修生出身です。この研修がなかったら、寄席は三味線ナシでやっていたかも」と研修制度の重要性に触れつつ、「我々の演芸家連合は、東西併せて14の協会から成っている。毎年5月に振興会の後押しで演芸家連合の『大演芸まつり』というものをやっていた。来年からどうなるかわからないが、再開の折りにはぜひまた皆さまにお運びをいただきたく存じます」と思いのたけを語っていた。その後、式典では記念上演が行われ、日本舞踊『菊』(井上八千代演奏:富山清琴、藤舎名生ほか)、文楽『万才』(豊竹呂太夫、鶴澤清治、吉田和生、桐竹勘十郎ほか)、講談『扇の的』(神田松鯉)、そして最後に歌舞伎『お祭り』(片岡仁左衛門、清元延寿太夫、田中傳左衛門ほか)が披露された。井上八千代による日本舞踊『菊』提供:国立劇場撮影:二階堂健文楽『万才』より、左から)太夫:吉田和生、才蔵:桐竹勘十郎提供:国立劇場撮影:二階堂健神田松鯉による講談『扇の的』提供:国立劇場撮影:二階堂健歌舞伎『お祭り』より、中央) 片岡仁左衛門提供:国立劇場撮影:二階堂健仁左衛門は片岡孝夫時代の1966年、開場記念公演『菅原伝授手習鑑』に出演。大劇場における歌舞伎俳優の第一声を発したことも司会者より紹介された。その仁左衛門は『お祭り』でいなせな鳶頭として舞を披露。最後、花道での引っ込みでは客席に礼をしたのち、本舞台を振り返り、劇場に謝意を伝えるがごとく深々と一礼した姿も印象的だった。1966年の国立劇場開場記念公演『菅原伝授手習鑑』ポスター長谷川理事長によると「劇場が再開場するまでの間は、外部の劇場の施設において主催公演や養成研修事業を実施してまいります」とのことで、すでにシアター1010(東京・北千住)、新国立劇場(東京・初台)等での公演が発表になっているが、新生国立劇場再開場の情報も待たれるところだ。閉場記念式典当日の大劇場ロビー大劇場小劇場舞台国立演芸場舞台隣接する伝統芸能情報館も10月末をもって閉館取材・文・撮影(式典写真を除く劇場内・周辺写真):平野祥恵<今後の公演予定>■令和5年12月文楽公演『源平布引滝 (げんぺいぬのびきのたき)』竹生島遊覧の段・九郎助住家の段2023年12月4日(月)~2023年12月14日(木)■令和5年12月文楽鑑賞教室 / 社会人のための文楽鑑賞教室・『団子売(だんごうり)』・解説文楽の魅力・『傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)』新口村の段2023年12月5日(火)~2023年12月14日(木)※12月8日(金)「Discover BUNRAKU - 外国人のための文楽鑑賞教室 -」開催会場:東京・シアター1010(足立区文化芸術劇場)■令和6年1月邦楽公演『源氏物語音楽絵巻』―演奏と朗読でたどる光源氏の生涯―2024年1月27日(土)会場:東京・新国立劇場 小劇場■令和6年1月歌舞伎公演2024年1月5日(金)~1月27日(土)会場:東京・新国立劇場中劇場■令和6年2月文楽公演2024年2月5日(月)~2月13日(火)会場:東京・日本青年館ホール■令和6年3月舞踊公演2024年3月24日(日)会場:東京・国立能楽堂※最新の公演情報は、「未来へつなぐ国立劇場プロジェクト」公式サイトにてご確認ください。「未来へつなぐ国立劇場プロジェクト」
2023年11月02日新国立劇場の2023/24シーズンが、プッチーニ《修道女アンジェリカ》とラヴェル《子どもと魔法》のダブルビル(2本立て上演)で幕を開けた[10月1日(日)新国立劇場オペラパレス]。新国立劇場オペラ「修道女アンジェリカ」「子どもと魔法」のチケット情報はこちら正攻法の修道院のセットで演じられた《修道女アンジェリカ》。やはり何と言っても題名役のキアーラ・イゾットン(ソプラノ)が圧巻だ。伯母の公爵夫人によって息子の死が告げられた後の20分ほどは(合唱はあるものの)アンジェリカの一人芝居。会えないままに死んだわが子を思う悲痛なアリア〈母もなしに〉。毒をあおって自死を選ぶ罪と、それによって天国で子どもに会えないかもしれないことを悔い怖れる叫び。深い響きの力強い声で客席を唸らせた。事前開催のトークイベントで、ラストシーンの「奇跡」の描き方が見どころと語っていた演出の粟國淳。彼がアンジェリカに用意したのは、亡き子が聖母に導かれて現れるショーアップされた奇跡ではなく、黒い十字架の下の、孤独で静かな死だった。納得。休憩を挟んで後半はラヴェル。粟國は、ダブルビル上演でよくあるように舞台美術を共有するのでなく、2作品を独立した作品として扱う。アニメ映像が生の舞台へ変わっていくカラフルなファンタジー。子どもたちが観てもきっと楽しい、ワクワクする《子どもと魔法》を描き出した。主役の「子ども」を演じるクロエ・ブリオ(ソプラノ)を別にカウントすると、上映時間45分の短い作品の中に9人の歌手たちが入れ替わり立ち替わり登場して20の役を歌う。物語の構成上も、そして音楽的にも、そうした短いエピソードの集積でできているので、見どころ・聴きどころが満載だ。コロラトゥーラの名人芸からダンス音楽まで、さまざまなジャンルの音楽が玉手箱のように詰まっている。一人だけ、最初から最後まで出ずっぱりなのが子ども役のブリオ。フランスの若手だが、この役をすでに200回(!)歌っているそう。やんちゃな少年ぶりで、いわば狂言まわし的に各場面を巧みに結ぶ。ラヴェルっぽい4度下行の「ママ!」がメジャー7の和音とともにふっと消えるラストの、幻想的で不思議な余韻。指揮の沼尻竜典が東京フィルから音のニュアンスや色彩の変化を鮮やかに引き出すのを目の当たりにして、彼の作曲の師が、ラヴェルをことさらに愛した三善晃だったことをあらためて思い出した。公演は10月9日(月・祝)まで残り3公演。(宮本明)
2023年10月03日“スラブ最高のオーケストラ”とも称されるウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団が4年ぶりに来日し、12月に日本各地で公演を行う。ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団は、1995年にキーウに本拠を置く国立フィルハーモニー協会の専属オーケストラとして創設。古くはミルシテイン、オイストラフ、ホロヴィッツ、リヒテルなどの大巨匠を生み出してきたウクライナの伝統を受け継ぎ、主に拠点キーウで年間50回以上の定期公演を行うほか、ヨーロッパ全土から客演に招かれ活動している。しかし、2022年2月にウクライナへの侵攻が始まり、楽団の活動も中止。団員の中には軍に志願した人もいるが、戦火に苦しむ市民から「心の癒しがほしい」という声を受け同年9月に定期演奏会を再開した。現在もリハーサルや公演が空襲警報で中断する日々が続くが、ウクライナの人々から愛され、公演は満席が続いているという。今回が9度目の来日で、“家路”のメロディーでおなじみのドヴォルザーク『新世界より』や、ベートーヴェンが残した偉大なる人間賛歌『第九』を含む多彩なプログラムを披露する予定。東京公演ではチケット代金のうち 1000円が人道支援の義援金として在日本ウクライナ大使館に寄付されるほか、音楽を通して支援の輪を広げる取り組みが予定されている。ミコラ・ジャジューラ (C)三浦興一ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団 日本ツアー■チケット情報ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団 新世界&第九12月22日(金) 19:00開演東京芸術劇場 コンサートホールほか、以下の日程で開催12月7日 青森12月9日 盛岡12月10日 山形12月13日 札幌12月15日 山梨12月16日 沼津12月17日 新潟12月19日 立川12月20日 市川12月21日 武蔵野12月23日 福島12月24日 塩尻12月25日 岩国12月26日 熊本12月27日 福岡12月29日 山口12月31日 大阪2024年1月1日 大阪出演:ウクライナ国立フィルハーモニー交響楽団ミコラ・ジャジューラ(指揮)アントニー・ケドロヴスキー(指揮/12月24日、29日)テチアナ・ガニーナ(ソプラノ)アンジェリーナ・シュヴァツカ(アルト)ドミトロ・クズミン(テノール)セルギィ・マゲラ(バス)フジコ・ヘミング(ピアノ/12月7日、20日)村田夏帆(ヴァイオリン/12月10日、25日)荒川太一(ヴァイオリン/12月16日)野田枝里(フルート/12月16日)
2023年09月21日小企画展「美術館の悪ものたち」が、東京・上野の国立西洋美術館にて、2023年9月3日(日)まで開催される。国立西洋美術館に潜む「悪ものたち」に着目国立西洋美術館が所蔵する作品には、多くの「悪ものたち」が登場する。お金に目がくらむ若者、若い女性にうつつを抜かし、あるいは嫉妬する老人、盗人たち。ひいては悪魔や魔女といった悪を象徴する存在やその手下たち、死の象徴でもある憎々しい骸骨などがその例である。小企画展「美術館の悪ものたち」は、国立西洋美術館が所蔵する作品に見られる「悪ものたち」に着目した展覧会。15世紀から20世紀初頭にかけての所蔵版画作品を中心に紹介する。画面の中に描かれた個性的で、時にコミカルな姿で表される悪ものたちの姿を通じて、芸術家の豊かな空想力を感じることができる。会場では、「罪深い人々」「悪魔と魔女」「魔物」「死」「近代都市の悪ものたち」に分けて版画数十点、絵画数点を展示。特にマルカントニオ・ライモンディやアルブレヒト・デューラーが描いた各ジャンルの「悪ものたち」の作品を鑑賞できる。悪に対するかつての西洋の価値観を垣間見るはるか昔に描かれた「悪」や「正しくないこと」は、現代の価値観とマッチするものもあれば、理解に苦しむものもある。たとえば殺人や嫉妬は「悪」であり「正しくないこと」であるのに対し、大食いが罪とされるのには違和感を覚えるように、善悪の線引きは、古来より変わらないものもあれば、時代や地域、社会によって異なるのである。18世紀末期以降に脱宗教化・世俗化が進むと、「悪」を客観的に捉え社会批判を含んだ絵画なども多く描かれるようになる。「近代都市の悪ものたち」の章では、フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテスやオノレ・ドーミエらによる作品も展示される。本展は、「悪」に対する西洋の価値観の一端にも触れることができる展覧会となっている。展覧会概要小企画展「美術館の悪ものたち」会期:2023年6月27日(火)~9月3日(日)会場:国立西洋美術館 新館2階 版画素描展示室住所:東京都台東区上野公園7-7開館時間:9:30~17:30(金・土曜日は9:30~20:00)※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日※ただし8月14日(月)は開館観覧料:一般 500円(400円)、大学生 250円(200円)※( )内は20名以上の団体料金(オンラインにて要事前予約)※高校生以下および18歳未満、65歳以上は無料(入館時に学生証または年齢の確認できるものを提示)※心身障害者および付添者1名は無料(入館時に障害者手帳を提示)※7月9日(日)、8月13日(日)、9月3日(日)(Kawasaki Free Sunday)は本展および常設展は観覧無料※8月26日(土)(にぎやかサタデー)は本展、常設展および企画展は観覧無料※本展は常設展の観覧券または企画展「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」(7月4日(火)~9月3日(日))観覧当日に限り、同展観覧券で観覧可【問い合わせ先】TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
2023年07月24日ル・コルビュジエ建築の世界遺産「国立西洋美術館」の知られざる舞台裏を描くドキュメンタリー映画『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』より、井浦新がナレーションを担当した予告編が公開された。上野にある「国立西洋美術館」は、東アジア最大級の西洋美術コレクションを誇り、日本を代表する美術館として知られる。本作では、2020年に創建当時の姿に近づける整備のために休館した美術館の内部にカメラが入り、1年半の長期にわたり密着。所蔵作品のお引越しの全貌を記録したほか、絵画や彫刻の保存修復作業、コレクションの調査研究や国内・海外の美術館への巡回展、特別展の企画開催など、知られざる舞台裏に迫った。今回公開された映像は、数々の美術番組に出演、ガイドブックや展覧会グッズの制作にも関わるなど、美術愛の深さで知られる井浦さんが、知られざる美術館の舞台裏の世界へと誘いこむ。所蔵作品が展示される美術館のシーンから始まり、休館し観客がいなくなった場面へと移り変わる。前庭リニューアル工事の模様をはじめ、普段は決して見られない収蔵庫の内部、展覧会の打ち合わせ風景や購入作品決定の会議など、貴重なシーンが登場。関係者のインタビューでは、美術館の目前に迫る危機的状況が明かされる。ナレーションを終え、井浦さんは「美術館で働く人々のことは、お客さんは知らなくても良いかもしれない。だけど、知ってから美術館に行って美術を見ると、もっと楽しくなる」と言い、「この映画を見て、国立西洋美術館に行ったら、見る前とは国立西洋美術館の見方や過ごし方がきっと変わる。映画を見てから美術館に行くのもいいし、行ってから映画を見ても、どっちも楽しい。無機質に感じるかもしれない美術館も、実は生き物なんです」とコメントを寄せている。なお、井浦さんが担当したのは、予告編のナレーション。本編にはナレーションは入っていない。『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』は7月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:わたしたちの国立西洋美術館 ~奇跡のコレクションの舞台裏~ 2023年7月15日よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開©大墻敦
2023年06月19日新国立劇場2022/2023シーズン演劇『楽園』が、6月8日(木) に新国立劇場 小劇場で初日を迎えた。『楽園』は、日本の劇作家の新作を届けるシリーズ【未来につなぐもの】の第3弾で、□字ック主宰、演出家、映画監督など幅広く活動する山田佳奈の新作。日本のどこかの島を舞台に繰り広げられる女たちの物語で、伝統継承と変化に揺れる地方都市の姿を通して、現代の日本が抱える問題を描く。出演者は、豊原江理佳、土居志央梨、西尾まり、清水直子、深谷美歩、中原三千代、増子倭文江の7人。演出は、劇団俳優座に所属し、劇団外でも幅広く活躍する眞鍋卓嗣が務める。山田は「俳優7名と演出家の眞鍋さんが紡いでくださった今作は、どこか遠い島の出来事のようでもありますが、我々が直面している多くのことを内在しています。それらが客席の皆さんにどのような形で伝わり、観劇後にどのような読後感となるのか。劇作家として、この瞬間に立ち会えたことを嬉しく思います」とコメント。また、眞鍋は「昨今、世の中は物ごとの隔たりが極端になり、いったいどこに向かうのか不安な気持ちになります。お客様には気軽に楽しんで頂きながら、少しでもそのような私たちの現在地とその先について考えを巡らせてもらえたら嬉しいです」と呼びかけた。左から)中原三千代、清水直子、豊原江理佳、増子倭文江、西尾まり、深谷美歩、土居志央梨(撮影:田中亜紀)『楽園』は6月25日(日) まで同所で上演される。■作・山田佳奈 コメント実際に取材を重ねてきたものが、既視感のある景色としてではなく、新たな物語として舞台上に立ち上がりました。俳優7名と演出家の眞鍋さんが紡いでくださった今作は、どこか遠い島の出来事のようでもありますが、我々が直面している多くのことを内在しています。それらが客席の皆さんにどのような形で伝わり、観劇後にどのような読後感となるのか。劇作家として、この瞬間に立ち会えたことを嬉しく思います。「未来につなぐもの」というテーマで描いてきたシリーズ第三弾として、多くの人に手渡せるバトンとなっていれば幸いです。■演出・眞鍋卓嗣 コメントいよいよスタートしました。出演者、スタッフ、全ての方が、この作品にとても前向きに関わってくださったことに心から感謝いたします。昨今、世の中は物ごとの隔たりが極端になり、いったいどこに向かうのか不安な気持ちになります。お客様には気軽に楽しんで頂きながら、少しでもそのような私たちの現在地とその先について考えを巡らせてもらえたら嬉しいです。<公演情報>シリーズ【未来につなぐもの】第3弾『楽園』6月8日(木)~25日(日) 新国立劇場小劇場作:山田佳奈演出:眞鍋卓嗣出演:豊原江理佳、土居志央梨、西尾まり、清水直子、深谷美歩、中原三千代、増子倭文江公式HP:
2023年06月09日国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2023年度事業の実施対象館が決定いたしました。これにより国立博物館が所蔵する各地域ゆかりの文化財72件が、島根、長野、山口、広島、兵庫、福岡の6県7施設で順次公開される予定です。■2023年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)美術館・博物館:島根県芸術文化センター(島根県立石見美術館)(島根県)展覧会名 :「没後150年 山本琴谷と津和野藩の絵師たち」会期(予定) :2023年7月8日(土)~2023年8月28日(月)貸与予定件数 :7件美術館・博物館:市立岡谷美術考古館(長野県)展覧会名 :「東京国立博物館にある岡谷のお宝展示~岡谷の弥生を知る、115年ぶりの里帰り~」(仮)会期(予定) :2023年7月15日(土)~2023年9月18日(月・祝)貸与予定件数 :13件美術館・博物館:山口県立山口博物館(山口県)展覧会名 :「やまぐち 大考古博」(仮)会期(予定) :2023年7月21日(金)~2023年9月3日(日)貸与予定件数 :13件美術館・博物館:広島県立歴史民俗資料館(広島県)展覧会名 :「三次鵜飼と日本の鵜飼」会期(予定) :2023年10月6日(金)~2023年11月26日(日)貸与予定件数 :7件美術館・博物館:兵庫県立美術館(兵庫県)展覧会名 :「生誕180年記念 呉昌碩の世界―海上派と西泠名家―」(仮)会期(予定) :2024年1月13日(土)~2024年4月7日(日)貸与予定件数 :11件美術館・博物館:糸島市立伊都国歴史博物館(福岡県)展覧会名 :「東西日本の弥生文化~東京国立博物館収蔵コレクションより~」会期(予定) :2024年1月27日(土)~2024年3月17日(日)貸与予定件数 :19件美術館・博物館:下関市立美術館(山口県)展覧会名 :開館40周年記念特別展「狩野芳崖 継がれる想い~悲母観音の<いま>」(仮)会期(予定) :2024年2月6日(火)~2024年3月17日(日)貸与予定件数 :2件■2023年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)◆島根県立石見美術館「没後150年 山本琴谷と津和野藩の絵師たち」 貸与予定件数:7件会期 : 2023年7月8日(土)~2023年8月28日(月)URL : Twitter : Instagram : Facebook : みどころ : 山本琴谷(1811~1873)は、石見国(現在の島根県西部)津和野藩の絵師です。津和野藩家老の多胡逸斎に絵を学び、後に渡辺崋山、高久靄がい(がい=がんだれ+圭)、椿椿山に師事しました。嘉永6年(1853)に津和野藩より絵師を命じられ、津和野地域や江戸近隣の画事に従事し、多くの作品を残しました。令和5年(2023)が琴谷の没後150年にあたることを記念して開催する本展では、東京国立博物館から貸し出す7件をはじめ、津和野地域に現存する琴谷の作品を一堂に会し、その画業を幅広く紹介します。また、琴谷以外の津和野藩の画人たちの作品も展示し、彼らの多彩な魅力にも迫ります。童児擁猫図(部分) 山本琴谷 明治時代・19世紀 絹本着色 東京国立博物館蔵◆市立岡谷美術考古館「東京国立博物館にある岡谷のお宝展示 ~岡谷の弥生を知る、115年ぶりの里帰り~」(仮) 貸与予定件数:13件会期 : 2023年7月15日(土)~2023年9月18日(月・祝)URL : みどころ : 岡谷市は長野県の南信地方に位置し、諏訪湖の西岸に面する都市です。移転開館10周年を記念して開催する本展では、代表的な収蔵作品の一挙公開を試みます。 考古展示の目玉は、明治40年(1907)に平野村(現・岡谷市)の天王垣外から出土した玉類の数々です。玉類の持つ重要性や同時代の近隣遺跡を紹介し、弥生時代中期の岡谷市の状況を考察します。東京国立博物館からは岡谷市出土の勾玉や管玉といった考古資料13件を貸し出します。天王垣外出土品 弥生時代(中期)・前2~前1世紀 長野県岡谷市天竜町・中央町・本町天王垣外出土 東京国立博物館蔵◆山口県立山口博物館「やまぐち 大考古博」(仮) 貸与予定件数:13件会期 : 2023年7月21日(金)~2023年9月3日(日)URL : Instagram : Facebook : みどころ : 山口県は、東アジアと日本列島の海上交通網を結ぶ地政学上の要であり、弥生時代には大陸や半島からの渡来と交流、古墳時代には瀬戸内海ルートを重視したヤマト王権とのつながり、古代には「和同開珎」鋳造に代表される先進的な手工業生産など、人々の往来と文化の交流による歴史が積み重ねられてきました。本展は、山口県の歴史や文化に親しむ展覧会として、旧石器時代から江戸時代まで、考古学による地域の魅力を県内外に広く紹介します。東京国立博物館からは、山口県山口市の赤妻古墳出土の「四獣鏡」や「巴形銅器」など、地域ゆかりの考古資料13件を貸し出します。巴形銅器 古墳時代・5世紀 山口市 赤妻古墳出土 東京国立博物館蔵◆広島県立歴史民俗資料館「三次鵜飼と日本の鵜飼」 貸与予定件数:7件会期 : 2023年10月6日(金)~2023年11月26日(日)URL : みどころ : 古事記や万葉集にも登場する「鵜飼」は長い歴史をもつ伝統的な漁法です。広島県三次市の「三次鵜飼」は原初的な形態を保ったまま近世以前から続き、広島県無形民俗文化財に指定されています。本展は、古代以前に遡る鵜飼の歴史性や、絵画や造形で表現された鵜飼の持つ美術性や精神性など、日本文化の中での鵜飼の位置づけを明らかにしたうえで、三次鵜飼の持つ特徴を紹介する展覧会です。東京国立博物館から、鵜飼が描かれた近代洋画「長良川鵜飼」を含む5件、京都国立博物館からは水辺に漂う鵜飼舟に飛び交う鵜が表された「帷子 淡浅葱麻地御所解(鵜飼)文様」などの2件を貸し出します。帷子 淡浅葱麻地御所解(鵜飼)文様 江戸時代・18~19世紀 京都国立博物館◆兵庫県立美術館「生誕180年記念 呉昌碩の世界―海上派と西泠名家―」(仮) 貸与予定件数:11件会期 : 2024年1月13日(土)~2024年4月7日(日)URL : Twitter : Instagram : Facebook : みどころ : 清朝末期から中華民国時代に活躍した呉昌碩(1844~1927)は、清朝最後の文人といわれ、生涯にわたって古代文字である石鼓文の臨書に励み、その風韻を書・画・篆刻に結実させました。生誕180年にあたる2024年、呉昌碩の名品を中心に、その師弟や子息、また呉昌碩が初代社長を務めた西泠印社の創始者である呉隠・葉銘・丁仁・王し(し=示へん+是)とこれに続く諸名家の作品を展示します。さらにこれらの西泠名家と日本人との交流を回顧することで、呉昌碩が果たした功績とその影響を顕彰します。本展では、東京国立博物館から「墨竹図軸」など8件を、京都国立博物館からは3件を貸し出します。墨竹図軸 呉昌碩筆 清時代・19世紀 紙本墨画 高島菊次郎氏寄贈 東京国立博物館蔵◆糸島市立伊都国歴史博物館「東西日本の弥生文化 ~東京国立博物館収蔵コレクションより~」 貸与予定件数:19件会期 : 2024年1月27日(土)~2024年3月17日(日)URL : Instagram : Facebook : みどころ : 伊都国は、『魏志倭人伝』に記される、福岡県糸島市付近に比定される弥生時代の国で、邪馬台諸国のなかで政治、外交上重要な地位を占めていました。本展は、日本列島における弥生時代の稲作文化や土器の変遷、青銅器文化について、北部九州の資料をはじめ、山陰・瀬戸内・近畿・北陸・東海、そして東日本などの地域色のある弥生文化(続縄文文化)の資料をとおして、それぞれの地域の歴史的特色を紹介する展覧会です。東京国立博物館から、重要文化財「台付壺」などの考古資料19件を貸し出します。重要文化財 台付壺 弥生時代(後期)・1~3世紀 愛知県名古屋市 高蔵貝塚出土 徳川頼貞氏寄贈 東京国立博物館蔵◆下関市立美術館開館40周年記念特別展「狩野芳崖 継がれる想い~悲母観音の<いま>」(仮) 貸与予定件数:2件会期 : 2024年1月20日(土)~2024年3月3日(日)URL : Twitter : Instagram : Facebook : みどころ : 本展は、下関ゆかりの日本画家・狩野芳崖(1828~1888)の代表作である「悲母観音」(1888年、東京芸術大学蔵、重要文化財)、「仁王捉鬼」(1887年、東京国立近代美術館蔵)に着目する展覧会です。東京美術学校での教育的模倣作をはじめとする明治後期~昭和初期頃に描かれた諸作品から現代美術まで、《悲母観音》の模倣作やそこからインスピレーションを受けた作品、オマージュ作品を展観し、あらためて芳崖の近現代美術への影響力について考えます。東京国立博物館からは、川島織物の主任画師の東翠石が模写して下絵を製作し、二代川島甚兵衛が綴織に仕上げ、明治28年(1895)に京都で行われた第4回内国勧業博覧会へ出品された「悲母観音図綴織額」を含む2件を貸し出します。悲母観音図綴織額(綴織部分) 二代川島甚兵衛作 明治28年(1895) 東京国立博物館蔵※展覧会情報は2023年3月23日現在のものです。今後、変更になる場合があります。最新情報は各美術館・博物館の公式ウェブサイトなどでご確認ください■2024年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」募集予定2023年4月3日(月)から、2024年度国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付が開始されます。申請受付期間:2023年4月3日(月)~6月30日(金)[17時必着]貸与促進事業の申請、展覧会情報に関する詳細は、以下の〈ぶんかつ〉公式ウェブサイトでご確認いただけます。URL: 全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしています。2024年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 募集チラシ■文化財活用センター 2018年に設置された、文化財活用のためのナショナルセンター。「文化財を1000年先、2000年先の未来に伝えるために、すべての人びとが、考え、参加する社会をつくる」というビジョンを掲げ、「ひとりでも多くの人が文化財に親しむ機会をつくる」ことをミッションとして、さまざまな活動をしている。■ぶんかつSNSぶんかつ公式サイト Twitter @cpcp_nich ぶんかつ Instagram @cpcp_nich ぶんかつ 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年03月23日新国立劇場バレエ団によるピーター・ライト版『白鳥の湖』が、 6月10日(土) から6月18日(日) にかけて新国立劇場オペラパレスにて再演される。クラシック・バレエのアイコニックな作品として有名な『白鳥の湖』。王子と姫の恋、それを邪魔する悪役、そして情景を美しく表現するコール・ド・バレエというクラシック・バレエの基本要素が凝縮され、白鳥のオデットと黒鳥のオディールという性格の違う二役を一人のダンサーが踊るのが大きな特徴だ。新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』2021年公演より撮影:鹿摩隆司今回のピーター・ライトによるプロダクションでは、英国らしいシェイクスピア劇のような演劇的要素が盛り込まれており、本国でも長年愛され続けている。日本では、新国立劇場バレエ団の2021/2022シーズン最初の演目として上演された。本公演ではプロローグ冒頭、王の葬儀のシーンから物語がスタートし、王子をはじめとするキャラクターたちの置かれた状況や設定が論理的に示され、それぞれの心理描写も緻密に表現。3幕の宮廷の舞踏会、王子の花嫁候補たちの踊りも独特な演出のひとつで、民族舞踊の群舞だけでなく、3人の花嫁候補がヴァリエーションを踊り、各々が国を代表してやってきたというストーリーがしっかりと見える演出に。そのほか、4幕のそれぞれが意思をもった白鳥たちのドラマティックな群舞や衝撃的なラストなど、期待の高まる公演となっている。<公演情報>2022/2023 シーズン新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』Swan Lake2023年6月10日(土)~18日(日) 新国立劇場オペラパレス芸術監督:吉田都振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、ピーター・ライト演出:ピーター・ライト共同演出:ガリーナ・サムソワ音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー美術・衣裳:フィリップ・プロウズ照明:ピーター・タイガン指揮:ポール・マーフィー、冨田実里管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演:新国立劇場バレエ団【公演日程】6月10日(土) 14:006月11日(日) 13:00/18:306月13日(火) 13:306月14日(水) 13:306月15日(木) 13:306月17日(土) 13:00/18:306月18日(日) 14:00※ロビー開場は開演60分前、客席開場は開演45分前。開演後のご入場は制限させていただきます。※予定上演時間 約3時間(休憩含む)【チケット料金(税込)】S席:14,300円A席:12,100円B席:8,800円C席:6,600円D席:4,400円Z席:1,650円※Z席は舞台のほとんどが見えないお席です。※Z席は、公演当日10:00から、新国立劇場Webボックスオフィスおよびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売いたします。1人1枚です。※上記の方法での先着販売後、残席がある場合は、公演当日11:00からボックスオフィス窓口でも販売いたします。※電話での予約は承れません。■先行受付3月19日(日) 10:00~■一般発売3月25日(土) 10:00~チケットはこちら:公式サイト:
2023年03月18日新国立劇場2022/2023シーズン演劇『楽園』が、6月8日(木) から25日(日) に新国立劇場 小劇場で上演される。『楽園』は、日本の劇作家の新作を届けるシリーズ【未来につなぐもの】の第3弾で、□字ック主宰、演出家、映画監督など幅広く活動する山田佳奈の新作。日本のどこかの島を舞台に繰り広げられる女たちの物語で、伝統継承と変化に揺れる地方都市の姿を通して、現代の日本が抱える問題を描く。出演者は、豊原江理佳、土居志央梨、西尾まり、清水直子、深谷美歩、中原三千代、増子倭文江。演出は、劇団俳優座に所属し、劇団外でも幅広く活躍する眞鍋卓嗣が務める。■作:山田佳奈 コメント様々な価値観が急速で変化していく新しい時代に、自分はどうあるべきなのか――。「未来につなぐもの」というテーマで戯曲を書きおろすことが決まったとき、わたしの頭に真っ先に思い浮かんだのは、取材で訪れた離島のことでした。手付かずの大自然が残る絶景に、息を吞むほど美しい海。そこにはまさに天国のような世界が拡がっていて、かつてこの島が戦場であったという事実が信じ難いものでもありました。いつの時代も我々は懸命に生きて、その度に変化してきました。それらは動物の進化・絶滅と同じで、生き残るために導き出した正しい選択の成果です。しかし現代では必要以上に正しい選択を重視するようになり、ときに反対の意思を示す対象を否定して攻撃するようにもなりました。果たして正しい選択とは何なのでしょう。持続可能な未来を築くためにSDGsの目標が掲げられ、環境、貧困、教育、ジェンダーギャップなど多くの問題を前に、我々は何を選んで、何を考えなければならないのか。いままでと同じやり方では上手くいかない中で、将来に対する悲観的な気持ちも湧いてきますが、これからの進化に向かって、女性として何を理想としていくのか。それら全てに結論を出すのはとても難しいことだけど、わたしは不完全を受け入れて、歴史を受け容れたい。まずは知るところから始めたいと考えています。■演出:眞鍋卓嗣 コメント不安は分断を生み出す。私たちは不安だから意見の違う相手を嫌う。不安だからレッテルを貼り知ったつもりになる。不安だから反対の立場の人間を切り落とそうとする。しかし、その分断がどれだけ意味のあることなのか。結局は敵だと思っている人間も自分と地続きの場所に立っている。相手の場所を切り崩せば、自分の足場を少なくしていることに変わりはない。不安や不安定とどう付き合うか。それが、これから求められる人間的強さになるのかもしれない。人は不安定から逃げるために決めつけたがるが、それでうまくいく世の中とは到底思えない。山田佳奈さんと作品について打ち合わせをさせていただいているうちに、このようなことが頭に浮かんできた。山田さんは非常に熱心で、これまでのご自身のスタイルに留まらずに描こうとする強い意欲を感じる。その熱に私も存分に応えたい。出演者もスタッフも素晴らしい方々に集まっていただくことができた。はじめましての方も多く、どのような化学反応が起きるか予想がつかないが、みんなで、この大きなテーマである「未来につなぐもの」を紡ぎ出したいと思っている。<公演情報>新国立劇場2022/2023シーズン演劇『楽園』6月8日(木) ~25日(日) 新国立劇場 小劇場作:山田佳奈演出:眞鍋卓嗣出演:豊原江理佳土居志央梨西尾まり清水直子深谷美歩中原三千代増子倭文江【チケット情報】A席7,700円(税込)B席3,300円(税込)一般発売日:4月8日(土) 10:00~詳細はこちら:
2023年02月22日ベルリン国立ベルクグリューン美術館が所蔵する20世紀美術の名品が紹介される展覧会『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』が、国立西洋美術館で10月8日(土)に開幕した。ドイツからやってきた97点の作品のうち、76点が日本初公開となる注目の展覧会だ。ドイツ生まれの美術商、ハインツ・ベルクグリューン(1914〜2007)は、パリで画廊を経営する傍ら、自分の気にいった作品を集め、世界有数の個人コレクションを作り上げていた。彼のコレクションを収蔵・展示しているのがベルリン国立ベルクグリューン美術館だ。同展はベルクグリューンが重点的に収集していたピカソ、クレー、マティス、ジャコメッティを中心に、国立美術館所蔵の作品や資料も合わせて展示するものだ。見どころは、なんといっても第一級のピカソコレクションが鑑賞できる点だ。ベルクグリューンは画家本人とも交流を深め、コレクションを拡大させてきた。同展出品作も約半数がピカソの作品で、日本初公開の作品は35点に及ぶ。また、展覧会を構成する全7章のうち、3つの章がピカソを紹介する内容となっている。ベルググリューン画廊展覧会カタログ国立西洋美術館研究資料センター蔵1章「セザンヌ──近代芸術家たちの師」では、ポール・セザンヌに着目する。ベルクグリューンは、1990年代までセザンヌをはじめとするポスト印象派の画家たちの作品をコレクションしていた。晩年、コレクションの対象を20世紀美術に特化するために売却されたものの、20世紀美術の祖となるセザンヌの数点の作品は最後まで留められていたという。《セザンヌ夫人の肖像》もベルクグリューンが手放さなかった作品の一つ。実は、この作品をジャコメッティはかつて模写していた。同展では2つの作品を並べることで、画家同士の個性に着目することができる。セザンヌ夫人の顔立ちは若干面長になっているところにジャコメッティの特長が現れている。左:ポール・セザンヌ《セザンヌ夫人の肖像》1885〜86年頃油彩・キャンヴァスベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右 アルベルト・ジャコメッティ《左:セザンヌの模写―セザンヌ夫人の肖像、右:レンブラントの模写ー窓辺で描く自画像》1956年国立西洋美術館蔵(皆川清彦氏より寄贈)続く2章から4章まではピカソにスポットを当てた章となる。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」では、青の時代に描いた親友の肖像画《ジャウメ・サバルテスの肖像》や、バラ色の時代に好んで描いたアルルカンを描いた《座るアルルカン》など、ピカソのその当時の特徴がよくわかる作品を揃え、キュビスムに向かうピカソを追っていく。2章「ピカソとブラック──新しい造形言語の創造」展示風景続く3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」では、第一次世界大戦末期から1920年代初頭にかけて古典主義に回帰していったピカソが、シュルレアリストたちの刺激を受け、画風をさらに変化していく過程について、素描を中心にたどっていく。3章「両大戦間のピカソ― 古典主義とその破壊」展示風景4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」では、1936年に描かれた《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》、1939年に作られた《黄色のセーター》、1942年制作の《大きな横たわる裸婦》と、2つの世界大戦の間で激しく変遷を重ねたピカソの女性像について着目していく。4章「両大戦間のピカソ──女性のイメージ」展示風景5章、6章ではクレーとマティスを紹介展覧会の後半は、クレーやマティスの作品を紹介していく。5章「クレーの宇宙」では、ベルクグリューン美術館が所蔵する約70点のパウル・クレーの作品のうち34点を展示する。作品ごとにタッチやモチーフを大きく変えるクレーの作品は、ピカソからも大きく影響を受けているという。5章「クレーの宇宙」展示風景左:パウル・クレー《植物と窓のある静物》1927年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託右:パウル・クレー《ネクロポリス》1929年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:パウル・クレー《暗い扉のある部屋の透視図法》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:パウル・クレー《夢の都市》1921年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンはマティスの蒐集も非常に重要視した。6章「マティス──安息と活力」では躍動感や生命力に満ち溢れたマティスの作品を見ていく。デッサンや油絵、晩年の切り絵など、その展示作品はバラエティ豊かだ。6章「マティス──安息と活力」展示風景左:アンリ・マティス《レースの襟の絵馬》1915年国立西洋美術館蔵右:アンリ・マティス《家に住まう沈黙》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵左:アンリ・マティス《雑誌『ヴェルヴ』第4巻13号の表紙図案》1943年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託中央:アンリ・マティス《植物的要素》1947年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵右:アンリ・マティス《ドラゴン》1943-44年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵、ベルクグリューン家より寄託最終章となる7章「空間の中の人物像―第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」では、第二次世界大戦後に評価を確立したピカソとマティス、そしてこの時代に円熟期を迎えることとなったジャコメッティの作品で空間を構成する。ベルクグリューンが直接交流を持った3人の作品が一堂に会する空間を体験することで、彼の追求した美がどのようなものかを感じ取れるはずだ。7章「空間の中の人物像 ― 第二次大戦後のピカソ、マティス、ジャコメッティ」展示風景より左:アンリ・マティス《ロンドン、テートギャラリ−の展覧会(1953年)のためのポスター図案》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵 右:アンリ・マティス《縄跳びをする青い裸婦》1952年ベルリン国立ベルクグリューン美術館蔵ベルクグリューンの審美眼で選びぬかれた良作ばかりが並ぶ同展は、日本初公開の作品も多く、新しい発見と感動に満ちている。芸術の秋にぜひ訪れてみよう。取材・文:浦島茂世【開催情報】『ピカソとその時代ベルリン国立ベルクグリューン美術館展』2022年10月8日(土)~2023年1月22日(日)、国立西洋美術館にて開催()
2022年10月12日アクティビティサービス提供を行っているsoobox~想箱~(所在地:秋田県鹿角市、代表:川又 伸文)は、「十和田国立公園、八幡平国立公園での体験型観光拠点づくり事業」をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて2022年6月11日(土)より開始しています。「CAMPFIRE」クラウドファンディングサイト 十和田湖でSUP(サップ)■開発背景私が起業をしたきっかけの一つが、地元での新しい仕事のカタチづくりと地方観光地の課題解決です。バブル期に避暑地として人気があり賑わっていた十和田国立公園と八幡平国立公園でしたが、現在では以前の賑わいには程遠いのが現状です。そんな賑わいがなくなった十和田八幡平国立公園を地元の個人事業ではありますが、アクティビティ事業を中心としたコンテンツや予約システム体制を整え「体験する観光」の拠点を創り、新しい観光のかたちとして、地元の新しい働き方として地域のために事業を通じて、貢献したいと日々奮闘しています。■特徴*大型観光バスなどの観光客ではなくマイカーやレンタカー、トレッキング、サイクリング個人観光客をターゲットとしたお手軽にアクティビティ体験を提供*国立公園の十和田湖、八幡平の四季折々の景色と大自然を体感できる体験プログラム*地元生まれ地元育ちのスタッフが、個人事業での地元初アクティビティ事業チャレンジ*昨年のプレオープンから徐々にお客様やお問い合わせが増え、7月~9月まで北東北三県大型観光キャンペーンに事業提供■リターンについて・10,000円:soobox ECサイトで掲載予定のコーヒー豆セット!sooboxのアクティビティ事業の拠点になっている十和田ふるさとセンター内にあるcafe「kotoriusagi(コトリウサギ)」で販売しているエチオピア産豆のセットになります。・25,000円:カヤック体験(1名分)十和田ふるさとセンター桟橋をスタートにして十和田湖の大自然を感じながらのカヤック体験になります。サポートスタッフ付きで体験時間は90分。・1,000,000円:アクティビティ(カヤック、サップ、トレッキング)5年間ペア体験提供。十和田湖西湖岸の大自然をアクティビティを通して体感してください。(サポート、ガイドスタッフ付)■プロジェクト概要プロジェクト名: 「十和田国立公園、八幡平国立公園での体験型観光拠点づくり事業」期間 : 2022年6月11日(土)~8月25日(木)23:59URL : ■会社概要商号 : soobox~想箱~(ソウボックス)代表者 : 代表 川又 伸文所在地 : 〒018-5334 秋田県鹿角市十和田毛馬内字中陣場117-3設立 : 2022年5月事業内容: アクティビティ提供事業サービス、ふるさと納税自治体サポートサービス、ECセレクトショップ(準備中)資本金 : 10万円【本件に関するお客様からのお問い合わせ先】soobox~想箱~(ソウボックス) お客様相談窓口TEL:090-6627-7231 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月25日『スコットランド国立美術館THE GREATS美の巨匠たち』が東京都美術館(台東区)で開催中だ。1859年に開館したスコットランド国立美術館は、世界でも指折りの西洋絵画コレクションを有する。本展は、そのコレクションの中から、ラファエロ、エル・グレコ、ベラスケス、レンブラント、ブーシェ、スーラ、ルノワールなど、ルネサンス期から19世紀後半までの西洋絵画史を彩る巨匠たちの作品を展示。そのほか、ゲインズバラ、レノルズ、ブレイク、コンスタブル、ターナー、ミレイといったイングランド出身の画家に加え、日本ではなかなか見ることのできないレイバーン、ラムジー、ウィルキー、ダイスなどスコットランド出身の代表的な画家たちの名品も。油彩画・水彩画・素描約90点を通じ、西洋美術の流れとともに、ヨーロッパ大陸と英国との文化交流から、英国美術がはぐくまれた様子を紹介している。展示構成は、スコットランド国立美術館の建物や館内の様子を描いた作品を紹介する「プロローグ」から始まり、アンドレア・デル・ヴェロッキオ(帰属)《幼児キリストを礼拝する聖母(「ラスキンの聖母」)》やエル・グレコ《祝福するキリスト(「世界の救い主」)》などが並ぶ「ルネサンス」、ディエゴ・ベラスケス《卵を料理する老婆》、レンブラント・ファン・レイン《ベッドの中の女性》といった「バロック」と続く。英国のコレクターたちが美術品の購入や文化的教養を深めるために大規模なヨーロッパ旅行をした「グランド・ツアーの時代」では、フランソワ・ブーシェの晩年の作である《田園の情景》やジョシュア・レノルズ《ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち》などが見られる。「19世紀の開拓者たち」では、フランシス・グラント《アン・エミリー・ソフィア・グラント(“デイジー”・グラント)、ウィリアム・マーカム夫人(1836-1880)》、クロード・モネ《エプト川沿いのポプラ並木》などを紹介。「エピローグ」では、フレデリック・エドウィン・チャーチ《アメリカ側から見たナイアガラの滝》という圧巻の作品で締め括られる。本展は7月3日(日)まで(休室日は月曜日)。開室時間は午前9時30分〜午後5時30分※金曜日は午前9時30分~午後8時(入室は閉室の30分前まで)。展示室の混雑を避けるため、日時指定予約制。一般1900円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1400円。天海祐希がナビゲーターを務める音声ガイドとのセット券は2400円(5月8日入場分までの期間限定)。なお、7月16日(土)〜9月25日(日)は神戸市立博物館、10月4日(火)〜11月20日(日)は北九州市立美術館 本館でも開催される予定だ。取材・文・撮影:五月女菜穂
2022年05月06日国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出す「国立博物館収蔵品貸与促進事業」において、2022年度事業の実施対象館が決定いたしました。これにより国立博物館が所蔵する地域ゆかりの文化財113件が、愛知、島根、栃木、鹿児島、滋賀、沖縄の6つの施設で順次公開される予定です。■2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 実施対象館(会期順)美術館・博物館名:刈谷市歴史博物館(愛知県)展覧会名 :伊勢物語とかきつばた会期(予定) :2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)貸与予定件数 :3件美術館・博物館名:島根県立古代出雲歴史博物館(島根県)展覧会名 :ハニワの世界へようこそ会期(予定) :2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)貸与予定件数 :9件美術館・博物館名:足利市立美術館(栃木県)展覧会名 :あしかがの歴史と文化再発見!会期(予定) :2022年7月30日(土)~2022年10月10日(月・祝)貸与予定件数 :16件美術館・博物館名:鹿児島県歴史・美術センター黎明館(鹿児島県)展覧会名 :茶の湯と薩摩会期(予定) :2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)貸与予定件数 :30件美術館・博物館名:滋賀県立安土城考古博物館(滋賀県)展覧会名 :大岩山銅鐸里帰り展(仮称)会期(予定) :2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)貸与予定件数 :6件美術館・博物館名:沖縄県立博物館・美術館(沖縄県)展覧会名 :琉球 ―美とその背景―会期(予定) :2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)貸与予定件数 :49件注目は、本土復帰50年の節目を迎える沖縄県で開催予定の「琉球 ―美とその背景―」展(会場:沖縄県立博物館・美術館)。東京国立博物館からは、「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件、九州国立博物館からは、「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件、合計49件の文化財を貸し出します。左:黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙 沖縄本島 第二尚氏時代・18世紀末~19世紀 東京国立博物館蔵、右:浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳 第二尚氏時代・19世紀 九州国立博物館蔵(沖縄県立博物館・美術館で展示予定)また、開館30周年を記念する滋賀県立安土城考古博物館では「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」が開催されます。滋賀県野洲市の大岩山遺跡から出土した、現存する日本最大の銅鐸(重要文化財、総高 約135cm)をはじめ、竜王町高塚山出土の銅鐸など、東京国立博物館から6件の考古資料を貸し出します。さらに2021年に市制100年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みのひとつとして、足利市立美術館において「あしかがの歴史と文化再発見!」展が開催されます。東京国立博物館から、 熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料16件を貸し出します。■2022年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 展覧会概要(会期順)◆刈谷市歴史博物館「伊勢物語とかきつばた」 貸与予定件数:3件「伊勢物語」に登場する三河の「かきつばた」が広く受容された歴史を紹介する展覧会会期 : 2022年4月23日(土)~2022年6月5日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 愛知県刈谷市をはじめとする西三河地域は、かきつばたの名所として知られます。これは、平安時代の歌物語「伊勢物語」第九段の「東下り」で、在原業平といわれる主人公が八橋(現・愛知県知立市)で「かきつばた」を歌に詠んだことに由来します。公家の教養であった「伊勢物語」は、江戸時代には尾形光琳(1658~1716)や乾山(1663~1743)といった琳派によって八橋のかきつばたが描かれ、出版文化の隆盛とともに庶民にも活字で読まれるようになりました。本展では、「伊勢物語絵巻(模本)」などを東京国立博物館から、「伊勢物語絵巻 上巻」を京都国立博物館から貸し出し、江戸時代に焦点をあて、伊勢物語やかきつばたが広く受容された歴史を紹介します。伊勢物語絵巻(模本) 巻第一(部分) 古藤養成(他)模 江戸時代・天保9年(1838) 東京国立博物館蔵◆島根県立古代出雲歴史博物館「ハニワの世界へようこそ」 貸与予定件数:9件山陰地域出土品を中心に、形象埴輪の魅力に迫る展覧会会期 : 2022年7月1日(金)~2022年8月28日(日)URL : みどころ: 古墳上に埴輪を立て並べる習慣は、前方後円墳が全国的に築造されはじめるのにあわせて各地に広まりました。古墳時代後期には、古墳の一角を区切り、人物や動物、武具等の様々な器物を表現した埴輪を並べ、被葬者の生前の活躍や首長継承のまつりを再現するようになります。こうして埴輪は、より表情豊かで多彩なものへと変化していきました。本展では、東京国立博物館から「馬形埴輪」(重要文化財)をはじめとする考古資料を貸し出し、そのほか山陰地域出土の形象埴輪を中心に、人物や動物をかたどった様々な埴輪を展示します。制作時期や地域ごとの特徴や違いといった考古学的な比較だけでなく、個々のハニワが持つデフォルメの妙や豊かな表情など、形象埴輪の魅力を紹介します。重要文化財 馬形埴輪 古墳時代・6世紀 埼玉県熊谷市上中条出土 東京国立博物館蔵◆足利市立美術館「あしかがの歴史と文化再発見!」 貸与予定件数:16件足利ゆかりの文化財から市の歴史と文化を辿る展覧会会期 : 2022年4年7月30日(土)~2022年4年10月10日(月・祝)URL : 公式Twitter: みどころ : 2021年に市制100周年を迎えた足利市では、100周年記念に続く取り組みとして、郷土を見つめ直す企画展を開催します。本展では、東京国立博物館が所蔵する、熊野山古墳や十二天塚古墳(いずれも足利市)などから出土した考古資料を貸し出します。そのほか、足利ゆかりの文化財等を一堂に集め、これらを受け継いでゆく子どもたちにもわかりやすく、足利市の歴史と文化の源流を紹介します。埴輪 童女 古墳時代・6世紀 栃木県足利市 熊野山古墳群出土 山田宗治氏他寄贈 東京国立博物館蔵◆鹿児島県歴史・美術センター黎明館「茶の湯と薩摩」 貸与予定件数:30件薩摩の茶の湯文化の歴史について紹介する展覧会会期 : 2022年9月22日(木)~2022年11月6日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 日本の伝統文化のひとつである茶の湯は、中国から伝来した喫茶法をもとに育まれました。室町時代には将軍家を中心に権威の象徴となり「唐物」が愛好されましたが、安土桃山時代に千利休(1522~1591)が侘茶を大成すると、新たに価値づけされた「和物」が登場し、政権者から大名、町衆へと広がりました。本展では、東京国立博物館から、薩摩焼を代表する文琳形茶入として名高い「黒釉文琳茶入 銘 望月」をはじめとする23件、九州国立博物館からは「油滴天目」(重要文化財)を含む7件を貸し出し、侘茶との出会いや大名茶への展開など、歴史の動向や様々な文化交流によって拡がる薩摩の茶の湯文化の歴史について人的交流を軸に紹介します。左:黒釉文琳茶入 銘 望月 薩摩 江戸時代・17世紀 松永安左エ門氏寄贈 東京国立博物館蔵、右:重要文化財 油滴天目 中国・建窯 南宋時代 九州国立博物館蔵◆滋賀県立安土城考古博物館「大岩山銅鐸里帰り展(仮称)」 貸与予定件数:6件開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りする展覧会会期 : 2022年10月8日(土)~2022年11月20日(日)URL : みどころ: 開館30周年を記念し、日本最大の銅鐸が里帰りをします。弥生時代後期の大岩山銅鐸は、滋賀県野洲市の大岩山遺跡から明治14年(1881)、昭和37年(1962)の調査によって計24個が出土しました。本展では、東京国立博物館所蔵の、大岩山遺跡から出土した現存する日本最大の銅鐸(重要文化財)をはじめ、「扁平鈕式銅鐸」や「三角縁二神二獣鏡」など、地域ゆかりの考古資料6件を貸し出します。重要文化財 突線鈕5式銅鐸 弥生時代(後期)・1~3世紀 滋賀県野洲市小篠原字大岩山出土 東京国立博物館蔵◆沖縄県立博物館・美術館「琉球 ―美とその背景― 」 貸与予定件数:49件王都・首里や村々で花開いた琉球文化の美を紹介する展覧会会期 : 2022年10月14日(金)~2022年12月4日(日)URL : 公式Twitter: みどころ : 2022年に本土復帰50年を迎える沖縄県は、古くから海を通じて様々な国と交流し、独自の文化を発展させてきました。王都・首里を中心として発展したもの、島々で花開いたもの、各地域によって多様な文化を見ることができます。本展では、東京国立博物館から「黒漆葡萄栗鼠螺鈿箙」や「三線」など28件を、九州国立博物館からは「浅葱地窓絵枝垂桜文紅型衣裳」や「鳳凰螺鈿七弦琴」など21件を貸し出します。島々・村々で享受された「美」を地理的・歴史的な視点のみならず、民俗的な視点も含めて紹介します。キンカブ 奄美大島 第二尚氏時代・18世紀 東京国立博物館蔵※上記6つの展覧会の概要・貸与予定作品は2022年3月22日現在のものです。今後、変更になる場合があります。最新情報は各美術館・博物館の公式ウェブサイトなどでご確認ください。■2023年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」募集予定2022年4月1日(金)から、2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館の申請受付が開始されます。申請受付期間:2022年4月1日(金)~6月30日(木) [17時必着]貸与促進事業の申請、展覧会情報に関する詳細は、以下の〈ぶんかつ〉公式ウェブサイトでご確認いただけます。URL: 全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしています。2023年度国立博物館収蔵品貸与促進事業 募集チラシ■国立博物館収蔵品貸与促進事業とは国内各地の美術館・博物館に対し、〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出し、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館の4つの国立博物館が収蔵品を貸し出すこの事業は、各地ゆかりの文化財を展示に活用し、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信ならびに地方創生・観光振興、次世代への文化財の継承に寄与することを目的としています。■文化財活用センターとは文化財活用センターは、国内外のさまざまな人が日本の文化財に親しむ機会を拡大するため、2018年7月、国立文化財機構のもとに設置された組織です。愛称は〈ぶんかつ〉。貸与促進事業のほか、文化財を通じて豊かな体験と学びを得ることができるよう、文化財を活用した新たなコンテンツやプログラムの開発、文化財のデジタル情報の公開、また文化財の保存環境に関する相談窓口を開設、文化財の保存と活用を目的とした寄付金の募集を行っています。▼ぶんかつSNSYouTubeチャンネル : Instagram @cpcp_nich: Twitter @cpcp_nich : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月22日国立文化財機構 文化財活用センター〈ぶんかつ〉は、令和5(2023)年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」実施対象館を募集します。本事業では、東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館・九州国立博物館(いずれも国立文化財機構)が全国の美術館・博物館に対し、地域ゆかりの収蔵品を貸し出し、〈ぶんかつ〉が作品輸送費等を支出します。※令和5(2023)年4月下旬から令和6(2024)年3月末までに開催される展覧会が対象です。本事業によって、立地条件等により、これまで国立博物館の収蔵品に親しむ機会が限られていた地域に対し、文化財が広く公開されること、日本とアジアの歴史・伝統文化の発信、地域文化の創生、次世代への文化財の継承、観光振興につながることをめざします。募集チラシこれまでに23施設16都府県で貸与促進事業の展覧会が開催過去の事業実績(展覧会)はこちらから ◆事業内容<主な展覧会開催費用について>本事業では、次の費用を〈ぶんかつ〉が支出します。(1)国立博物館貸与品の梱包・開梱および展示・撤収作業にかかる費用(2)国立博物館から貸与先へおよび貸与先から国立博物館への本事業の貸与品の輸送にかかる費用(3)国立博物館貸与品の保険にかかる費用※詳細につきましては必ず申請要項をご確認ください。<以下のいずれかのカテゴリーへの申請が可能です。>(1)【大規模貸与】1申請につき21~50件の国立博物館収蔵品を貸与/各年度1~2か所を選定予定(2)【小規模貸与】1申請につき20件以内の国立博物館収蔵品を貸与/各年度4~5か所を選定予定<申請にあたっては、以下のいずれかの方法で借用希望作品リストを作成してください。>(方法1)国立博物館の収蔵品の中から申請館が自ら設定したテーマに沿って作品を自由に選択してリストを作成。(方法2)貸与可能作品が掲載されたリスト(a. 【日本考古】およびb. 【黒田】)を活用し、必要に応じてその他の国立博物館の収蔵品を加えてリストを作成。a. 【日本考古】東京国立博物館所蔵の各時代や地域を代表する日本考古資料の優品28件。(『申請要項』別紙1-(1)参照)貸与可能作品例左:深鉢形土器(縄文時代〔中期〕・前3000~前2000年、長野県伊那市宮ノ前出土)、中央:みみずく土偶(縄文時代〔晩期〕・前1000~前400年、埼玉県鴻巣市滝馬室出土)、右:埴輪 馬(古墳時代・6世紀、群馬県伊勢崎市下触町出土)※いずれも東京国立博物館所蔵b. 【黒田】東京国立博物館所蔵の黒田清輝の代表作12件。(『申請要項』別紙1-(2)参照)貸与可能作品例左:読書(明治24年〔1891〕)、中央:重要文化財 舞妓(明治26年〔1893〕)、右:重要文化財 湖畔(明治30年〔1897〕)※いずれも黒田清輝筆、東京国立博物館所蔵◆本事業の対象となる美術館・博物館について文化庁長官の承認を受けた公開承認施設および博物館法で定められた登録博物館、博物館相当施設であれば、公私立を問わずにご応募いただけます。貸与条件や事業内容の詳細ならびに申請方法につきましては、<ぶんかつ>WEB掲載の「2023(令和5)年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業実施対象館申請要項」を必ずご確認ください。<ぶんかつ>WEB 2023年度 国立博物館収蔵品貸与促進事業 申請要項URL: 全国の美術館・博物館からのご応募をお待ちしております。◆これから開催される令和3(2021)年度「国立博物館収蔵品貸与促進事業」展覧会「やまと絵のしらべ ―帆山花乃舎と復古大和絵―」展 会場 : 桑名市博物館(三重県)会期 : 2022年1月22日(土) ~ 2022年2月27日(日)貸与件数 : 18件公式サイト: 見どころ : 桑名出身の帆山花乃舎(1823~1894)は、復古大和絵派の絵師として活躍した画僧です。花乃舎は内国勧業博覧会への作品出品で全国的に名声を高めた一方で、桑名萬古焼の再興に挑んだ初代森有節(1808~1882)に絵を教えるなど、地域文化と芸術の発展に大きな貢献を果たした人物でした。花乃舎が師事した浮田一けい(草かんむり+惠)(1795~1859)や渡辺清(1778~1861)、そして復古大和絵の祖である田中訥言(1767~1823)の作品など18件の文化財を、東京国立博物館ならびに京都国立博物館からお貸し出しし、花乃舎の画風の源流とその功績を紹介します。桑名市博物館「やまと絵のしらべ ―帆山花乃舎と復古大和絵―」展チラシ(令和3年度国立博物館収蔵品貸与促進事業)※最新情報は博物館の公式サイトなどでご確認ください。▼ぶんかつSNSYouTubeチャンネル : Instagram @cpcp_nich: Twitter @cpcp_nich : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年01月11日新国立劇場で上演される『イロアセル』(作・演出:倉持裕)と『あーぶくたった、にいたった』(作:別役実/演出:西沢栄治)の合同取材会が開催され、新国立劇場芸術監督の小川絵梨子、倉持、西沢の3名が出席。『イロアセル』は「フルオーディション企画」の第4弾、『あーぶくたった、にいたった』は「こつこつプロジェクト─ディベロップメント─」第一期から生まれた作品で、ともに小川が芸術監督就任の際に打ち出した三つの柱の一つ、「演劇システムの実験と開拓」を実践する企画だ。3名がこの2つの企画について語った。2018年に新国立劇場の演劇芸術監督に就任した小川だが、フルオーディションによるキャスティング、1年間を通して少しずつ作品を育てていく「こつこつプロジェクト」は、どちらも「(芸術監督への)就任の理由」と語るほどの強い思いをもって、進めてきた企画である。小川絵梨子小川自身、アメリカで演劇を学んだこともあって「(欧米では)オーディションが日常茶飯事。『やりたい』と思った方が受けて、作り手は作品に合った方と作ることができる。シンプルで健康的なものの作り方だと思います」と、演じる側、作り手双方にとってのメリットを強調。実際に進めていく中で「試行錯誤の連続です」と語りつつも、「稽古が始まると稽古場が非常にフラットで、気後れや遠慮がなく、風通しが良いし、よいチーム感がすぐに立ち上がる感じがしています。贅沢で豊かな、創造性の高い現場を作れていることを実感しています」と手応えを明かす。役を役者に寄せるのではなく、役者が役に寄っていく作り方『イロアセル』作・演出の倉持は、現状の商業演劇におけるキャスティングが「知名度や集客力」という基準で行われていることが多いとし、「でも、そういう方法に偏ってしまうと、その時に旬な俳優を選ぶことになるので、結果、(どの作品も)似た俳優ばかりになってしまう」と指摘。元々、フルオーディションに興味を持っていたという倉持は、フルオーディション企画の第1弾として新国立劇場で上演された『かもめ』を鑑賞し、「役を役者に寄せるのではなく、役者が役に寄っていく作り方をしているのを感じました。余計なことを考えず、フラットに作品を観ることができて、それは当たり前のことなんだけど、新鮮に感じました。普段、有名な役者の芝居を観ることが多くて、(自身が)役者への批評みたいな目線で見ることが多かったと気づきました」と自省を込めつつ、フルオーディションだからこその“作品本位”による作り方のメリットを口にする。倉持裕一方で、実際のオーディションでは選考に頭を悩ませる部分も多かったよう。「やってみたら大変でした(苦笑)。死ぬ気で役を獲りに来ている人間のエネルギーはすごいです。普段は頭の中で決めるんですが、オーディションだと役者が発信してくれるので、想定外のことがたくさん起こって楽しい経験でした。最終審査になるにつれて、甲乙つけがたい役者が増えて、『どっちもいい。でもどっちか決めないと……』となってくる。この人を選ぶなら、(こっちの役は)この人も……という組み合わせが出てきて、作品の方向性をオーディションの段階で決めないといけなくなるんですね」とつらい決断を振り返った。『イロアセル』チラシ(4種類)物語の舞台はある島。そこで暮らす人々が発する言葉には独自の“色”がついており、誰が何を話したかがすぐに特定されてしまう。ところが、島民たちが自分の言葉に色がつかない手段を手に入れたことで、これまで覆い隠されてきた人々の本音や人間性が露わになっていくさまが描き出される。10年前に新国立劇場での上演のために倉持が書き下ろした戯曲であり(※10年前は鵜山仁が演出を担当)、SNSをはじめとする匿名の書き込みが持つ特異性を鋭く問う本作。倉持は「(初演から)10年が経って、コロナもあって匿名の言葉が塊になって一方向にドンと進んだりして、偏りがすごいし、“敵”を見つけたらそこを攻めていくという現象も激しくなっている。権力の側も、その匿名の言葉の塊を利用するようになっているのを肌で感じますし、これはいま、やることで感じることがあるんじゃないかと思いました」と物語が持つ“現代性”についても言及した。演劇という文化の未来のために、公共劇場だからこそできること「こつこつプロジェクト」は「作り手が、通常の1か月の稽古ではできないことを試し、作り、壊して、また作る場にしたい。」という小川の意を受けて発足した、1年を通して作品を育てていくというプロジェクト。第一期として『あーぶくたった、にいたった』、『スペインの戯曲』(演出:大澤遊)、『リチャード三世』(構成・演出:西悟志)の3作が2019年3月にスタートし、リーディング公演、1st試演会、2nd試演会、3rd試演会と、途中でコロナ禍の影響を受けつつも、1年にわたってトライ&エラーを積み重ねてきた。『あーぶくたった、にいたった』2020年3月3rd試演会より小川は「通常、プロデュース公演の場合、(稽古期間が)約1か月という制約があり、どうしても『何とか初日を迎えるために』という意識になっているんじゃないか? と思っていました。1年を通して稽古を積み重ねていくことで、作品の強度や豊かさを高めていくという作業は贅沢ですが、そこから学ぶこと、知ることが多く、作品への理解度が圧倒的に変わっていくんです」と時間をかけて、作品を作っていくことの意義を語る。西沢栄治西沢は実際に1年にわたってひとつの作品に取り組み、「稽古と発表を重ねていくうちに芝居の強度が上がっていくし、毎回発見もあり、1回目の発表ではわからなかったところに到達できた気がします」と充実した表情を見せる。今回、その成果を観客の前で上演することになったが、もし新国立劇場で上演することができなかったとしても「絶対に別の場所で上演していたと思います」と語り、公共の劇場だからこそ可能な同プロジェクトであるが、「新国立劇場だけに還元されるのではなく、演劇界全体に幅広く貢献していくことになると思う」と目先の利益にとらわれず、じっくりと作品を作り上げていく、こうした企画の必要性を訴えた。小川は西沢の言葉に深くうなずき、演劇という文化の未来のために、「場所」「空間」「時間」「お金」をきちんと提供することの重要性を改めて強調。「すぐに成果につながらないと難しいのはわかるんですけど、焦り過ぎて失うものもたくさんあります」と語った。『あーぶくたった、にいたった』チラシ『あーぶくたった、にいたった』は、別役実が昭和の“小市民”の姿を鮮やかに描写した傑作。西沢は今回の企画で初めて同戯曲に触れ、「不条理と言われるけど、アクロバティックな迷宮が潜んでいて、これは迷い甲斐があるなと思いました。『風が出てきた』『運動会が終ったんだよ』というセリフがあるんですが、オリンピック、パラリンピックが終わって、我々は何を見るのか? 何を置き去りにしてきたのか? 僕なりの“日本人論”みたいなものにたどり着けたらと思っております」と本格的な稽古の開始を前にしての意気込みを口にした。取材・撮影(会見写真)・文:黒豆直樹■『イロアセル』作・演出:倉持裕出演:伊藤正之東風万智子高木 稟永岡 佑永田 凜西ノ園達大箱田暁史福原稚菜山崎清介山下容莉枝2021年11月7日(日)プレビュー公演2021年11月11日(日)~2021年11月28日(木)会場:東京・新国立劇場 小劇場★9月26日(日)10:00よりチケット先行発売!■『あーぶくたった、にいたった』作:別役実演出:西沢栄治出演:山森大輔浅野令子木下藤次郎稲川実代子龍 昇2021年12月7日(火)~2021年12月19日(日)会場:東京・新国立劇場 小劇場チケット情報
2021年09月24日新国立劇場の2021/2022シーズン(2021年10月~2022年7月)のオペラ公演ライナップが発表され、芸術監督の大野和士が会見に臨んだ(3月2日・新国立劇場オペラパレス・ホワイエ)。演目は10演目全45公演。うち新制作が4演目で、ロッシーニ《チェネレントラ》(2021年10月)、ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》(同11~12月)、グルック《オルフェオとエウリディーチェ》(2022年5月)、ドビュッシー《ペレアスとメリザンド》(同7月)というラインナップ。大野は、この4本をある流れで括れることに「ピンと来た」という。会見で語ったのは以下のような内容。グルックといえば「オペラ改革」。装飾的な声の名技性に偏りがちだった18世紀のバロック・オペラは、グルック以降、ドラマを重視し、音楽と言葉が結びついたオペラへと変貌していく。19世紀に入って、その精神を継承した一人がワーグナーで、ドイツのためのドイツ語のオペラは頂点を迎える。一方でそれ以前にロッシーニが書いていたオペラは、より人間的な、19世紀の庶民の「個人」を確立しているという意味で現代の私たちとつながっている。ワーグナーに心酔していたドビュッシーは、やがてそのドイツ・オペラのあり方から離反し、グルックの改革をも否定する。大野は、たとえばワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で、延々1時間もかけて描かれた愛の表出が、フランス・オペラの金字塔である《ペレアスとメリザンド》では、たったひとこと「Je t’aime」で描かれていることを象徴的な例として挙げた。オペラにおける「真実」の変遷といえばいいだろうか。新制作4本に、大野芸術監督はそんな連環を見出しているようだ。《チェネレントラ》はイタリアの巨匠マウリツィオ・ベニーニの指揮、粟國淳の演出。主役アンジェリーナを脇園彩が演じる。大野自身が指揮する《ニュルンベルクのマイスタージンガー》は、イエンス=ダニエル・ヘルツォークの演出。昨年夏に予定されていた「オペラの夏の祭典」のプロダクションで、ザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場、そして東京文化会館との国際共同制作だ。昨年予定されていたキャストとまったく同じキャストでの上演を、大野は「奇跡的」と語った。《オルフェオとエウリディーチェ》は鈴木優人指揮、勅使川原三郎演出の初顔合わせ。(ダンスのない)ウィーン版と、改訂された(バレエ曲のある)パリ版をミックスした上演で、勅使川原だけにダンスの要素が大いに期待される。シーズン掉尾を飾る《ペレアスとメリザンド》も大野の指揮。どちらかというと脇役であるペレアスの母親ジュヌヴィエーヴを、大野監督自身が直電で依頼したという浜田理恵が初役で歌う。他のレパートリー演目にもそれぞれに適役を得た。コロナとの兼ね合いが気がかりだが、予定どおりの上演を心から願う。(宮本明)
2021年03月03日新国立劇場バレエ団がチャイコフスキーバレエの永遠の傑作『眠れる森の美女』を2月20日(土)、21日(日)、23日(火・祝)、新国立劇場 オペラパレスで上演する。本作品は2014年11月に新国立劇場バレエ団のシーズン開幕を飾り新制作されたグランド・バレエ。ウエイン・イーグリングによる古典のスタイルを守りながらも現代的な感覚を活かした振付けは、既存の演出とは一線を画した新しい舞台と大好評を博した。元ダンサーとしてのセンスが光るトゥール・ヴァン・シャイクの洗練された色彩豊かな衣裳、川口直次による格調高く豪華絢爛な美術もグランド・バレエの大切なピースとして舞台を彩る。『眠れる森の美女』の大きな魅力として挙げられるのが、音楽から自然と物語が浮かんでくるチャイコフスキーの流麗な音楽だ。中でも第一幕のオーロラ姫の16歳の誕生日パーティのシーンでの踊られるガーランドの踊りは『眠れる森の美女』で使用される音楽の中で最も有名なもののひとつ。美しいワルツ曲にのって踊られるこのシーンは幸福感に満ちている。イーグリングの振付では、オーロラ姫の目覚めのシーンにヴァイオリン・ソロによる非常に静かで落ち着いた情緒的な音楽が使用され、ロマンティックなパ・ド・ドゥが挿入される。オーロラ姫とデジレ王子の間に愛が芽生えていく心の動きが描かれ『眠れる森の美女』の誰もが知るストーリーに説得力を持たせる演出だ。通常、悪の精カラボスはマイム役だが、イーグリングの演出ではトウシューズを履いた女性ダンサーによって演じられる。カラボスはリラの精と同等のパワーを持った役柄として描かれ、リラの精が体現する正義とカラボスが体現する悪の対峙に焦点が当てられる。冒頭でシャンデリアに載って降りてくるリラの精を地上で迎えるカラボスの場面はその象徴的なシーンのひとつ。さらにプロローグのオーロラ姫の誕生パーティや第3幕でのオーロラ姫とデジレ王子の結婚式の場面など、主役級のダンサーが次々とソリストとして登場し、新国立劇場バレエ団ダンサーの層の厚さが存分にアピールされる。世界中で愛される古典の最高傑作で総合芸術としてのバレエの醍醐味を堪能してほしい。■公演情報新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』日時:2月20日(土)14:00開演2月21日(日)13:00開演2月21日(日)18:30開演2月23日(火・祝)14:00開演※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、託児サービス、バックステージツアーは当面休止させていただきます。※ロビー開場は開演60分前、客席開場は開演45分前です。開演後のご入場は制限させていただきます。会場:新国立劇場 オペラパレス(京王新線 新宿駅より 1 駅、初台駅中央口直結)予定上演時間:約3時間15分(休憩含む)ウェブサイト: チケット料金(税込):S席13,200円、A席11,000円、B席7,700円、C席4,400円、D 席3,300円、Z席1,650円※Z席は舞台のほとんどが見えないお席です。予めご了承ください。※Z 席は、公演当日朝 10:00 から、新国立劇場 およびセブン-イレブンの端末操作により全席先着販売いたします。ひとり1枚です。※上記の方法での先着販売後、残席がある場合は、開演 2時間前からボックスオフィス窓口でも販売いたします。※電話での予約は承れません。<前売り販売開始日>アトレ会員先行:1月17日(日)10:00~19日(火)バレエ/ダンス先行メンバーズ販売期間:1月18日(月)10時から19日(火)一般発売日:1月23日(土)10時※感染予防に対応した適切な距離を保つため、1 階 1 列~3列の座席は販売いたしません。※通常の座席配置(1 階 1 列~3 列を除く)での販売を予定しております。※予定通りの発売日程で販売いたします。通常の座席配置(1階1列~3列を除く)で販売いたしますが、観客数が総席数の 50%に達したところで販売を停止いたします。当日券(Z席を含む)につきましては、50%に達していない公演のみ販売予定です。緊急事態宣言が公演日前に解除され、イベントの開催要件が緩和された場合は、追加でチケットを販売する可能性がございます。<ウェブでの予約・購入>新国立劇場 Web ボックスオフィス: (PC、携帯共通)チケットぴあ: (PC、携帯共通)イープラス: (PC、携帯共通)ローソンチケット: (PC、携帯共通)<電話での予約・購入>新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999 (10:00~18:00)チケットぴあ:0570-02-9999※本公演は新型コロナウイルス感染予防、拡大防止対策をとって上演いたします。新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みと主催公演ご来場の皆様へのお願いは下記サイトより。
2021年01月26日新国立劇場で、新春に相応しい華やかな公演「ニューイヤー・バレエ」が催される。古典から現代振付家まで様々なスタイルの傑作が登場するが、今年は新国立劇場バレエ団の現役ダンサーによる作品も上演されると話題に。振付を手がけた貝川鐵夫、木下嘉人に話を聞いた。“晴れ舞台”で自身の作品が上演されることについて、貝川は開口一番「凄く嬉しい」と笑顔。『カンパネラ』はリストのピアノ曲に振付けたソロだ。2016年に自身で初演、他のダンサーによる再演の実績もある。「上演を重ねることで新しい発見があるはず。以前踊ってくれた福岡雄大と、新たに速水渉悟にも踊ってもらいます。ダンサーが自身を追い込んで、その先に何が見えるか──。きっとピアニストも煽ってくるはず」。気鋭のピアニスト、山中惇史の登場で、格闘技さながらの刺激的なパフォーマンスが実現する。「こんな時こそ、舞台で戦う姿を見て元気になっていただけたら」。木下の『Contact』は、2020年3月に木下自身と米沢唯で初演する予定が、コロナ禍で公演中止に。夏に京都などでの上演が実現したが、「オペラパレスで上演できるのは夢のよう」と目を輝かす。「創作のきっかけは、オーラヴル・アルナルズの楽曲『Happiness Does Not Wait』。弦楽器とピアノの二つの音色が交錯する音楽で、男女のダンサーをその音に見立てて振付けました。人と人との触れ合いがテーマです」。こちらは小野絢子と木下、また米沢と渡邊峻郁という新たな組み合わせでの日替わりキャスト。「作品に新たな“色”が加わるのでは。デュエットでは当然のようにお互い触れ合うが、この作品では、触れるだけでも神秘的と感じた」と木下。触れ合うことが避けられる今だからこそ気づいたことも。「触れること、話すことはとても大事なこと。僕にとって大切な作品になりました」。創作について「いつか、全幕作品を創りたい」(木下)、「全幕は本当に難しいと思うが、いいチームを組めるのなら」(貝川)と意欲的な二人。同時に上演されるプティパ、ビントレー、深川秀夫の作品について「作品のエネルギーがずっと持続し、後世まで残るのは凄いこと」(貝川)、「偉大な歴史。振付家それぞれの“色”がある」(木下)と敬意を表す。そこに彼らの作品が並ぶ、多彩な魅力に溢れた公演となる。公演は2021年1月9(土)~11日(月・祝)、新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。文:加藤智子
2020年12月25日3月24日から閉鎖されていた米国内の国立公園が、今週より営業を再開した。先日、不法侵入した女性が間欠泉に落ちたイエローストーン国立公園も18日からオープンしたが、こちらで早速事故が起きてしまったようだ。INSIDERが報じている。アメリカ合衆国国立公園局によると、20日、園内のアッパー・ガイザー・ベイスン近くでアメリカバイソンが女性客を地面に叩きつけてケガをさせたという。女性が水牛に接近しすぎたことが原因で、バイソンによる人身事故が起こるのは今年になって初。同公園では’00年から’15年の間に、確認されているだけで25人の人がバイソンに襲われており、そのうち21人が旅行客。オフィシャルサイトには「バイソンはイエローストーン内の他のどの動物よりも人を負傷させてきました。その動きは予測不能で、人間の3倍の速さで走ることができます。バイソンからは常に25ヤード(約22.8メートル)以上離れるようにしてください」と注意書きがある。
2020年05月21日新型コロナウイルス感染拡大の影響で、米国内の国立公園はほぼ閉鎖されている。世界屈指の人気観光地であるイエローストーン国立公園も例外ではないが、一人の女性が不法に侵入し、大いなる不幸に見舞われた。FOX6 TVによると、入場を禁じられているはずのイエローストーン国立公園内で12日、時速80kmもの速度で走行する車をスタッフが発見。乗っていた女性はやけどを負っており、アイダホ州の病院の熱傷センターに搬送されたという。この女性は公園内にある有名な間欠泉「オールド・フェイスフル・ガイザー」で写真を撮ろうと侵入禁止エリアにまで足を踏み入れ、熱泉に落下したと公園関係者は話している。オールド・フェイスフル・ガイザーは約90分間隔で75℃程度の熱水を噴出する。通常であれば、遊歩道から先に入らないようスタッフが観光客に注意を促すが、現在は閉鎖中だ。女性は咎める人のいない人気観光地で興が乗りすぎてしまったのだろうか。同公園の公式サイトによると、熱泉に落ちて死亡した人は20人以上に上るという。訪問者は指定された道のみを歩き、決して熱水に触れてはならないとも書かれている。有毒ガスや酸が吹き出している場所もあり、アメリカ合衆国国立公園局は2016年には23歳の男性が高温に熱せられた酸の泥沼に落下し死亡したと報告している。彼の遺骨は回収できなかったという。
2020年05月13日新国立劇場(所在地:東京都渋谷区)は、4月10日より「巣ごもりシアター」ページを開設し、新国立劇場主催公演の記録映像を劇場サイト上で無料配信するサービスを行っております。そしてこの度、5月1日(金)からの追加配信内容が決定、新国立劇場バレエ団による珠玉のバレエ公演2作品を、皆様のご自宅でご覧いただけます。 5月の第1週(5月1日 15時~5月8日 14時)の配信作品は、情感あふれるドラマチックな振付で知られる英国の巨匠ケネス・マクミランによる「マノン」。本作品は、新国立劇場バレエ団にとって8年ぶりとなる待望の再演として、去る2020年2月に上演されましたが、残り2公演を前に、残念ながら公演中止となりました。バレエ団プリンシパル:米沢唯と、英国ロイヤル・バレエ・プリンシパル:ワディム・ムンタギロフの卓越した技術力はもちろんのこと、今まさにその時代の人物が生きているかのような表現力と役柄への深い解釈で、作品の世界観を眼前に繰り広げ、当日はスタンディングオベーションが湧き上がりました。新国立劇場屈指の名舞台となった本公演を、ご自宅で、配信期間中何度でもご観劇いただけます。5月第2週(5月8日 15時~5月15日 14時)にお届けする作品は、スペインの港町を舞台とし、セルバンテスの名著を題材としたクラシックバレエの名作「ドン・キホーテ」です。今年のゴールデンウィーク中(5月2日~10日)に上演を予定しておりましたが、新型コロナウイルスの影響により上演を断念しました。スカッとするような超絶技巧を披露する見せ場が随所に散りばめられ、そして新国立劇場バレエ団が誇る美しいコール・ド・バレエ(群舞)も存分に堪能できる、目にも楽しい古典バレエの大人気作は、晴れ晴れとした初夏のご観劇にふさわしいプログラム。異国情緒あふれる音楽とカラフルな舞台美術・衣裳も相まって、きっと、おうち時間を過ごす皆様を軽快なお祭り気分へといざなってくれることでしょう。ぜひ 「#巣ごもりシアター」「#nnttathome」のハッシュタグと共にご感想をお寄せください。●「巣ごもりシアター」のご案内ページはこちら:※動画視聴に伴う通信料は、お客様のご負担となります。<配信ラインアップ&スケジュール>◆バレエ『マノン』(2020年2月23日公演)配信日:2020年5月1日 15:00~5月8日 14:00◆バレエ『ドン・キホーテ』(2016年5月5日公演)配信日:2020年5月8日 15:00~5月15日 14:00※5月15日以降も映像配信を予定しております。近日詳細発表いたします。<配信予定公演詳細>◆ バレエ『マノン』(2020年2月23日上演)【音楽】ジュール・マスネ【編曲】マーティン・イェーツ【振付】ケネス・マクミラン【出演】米沢唯、ワディム・ムンタギロフ、木下嘉人、中家正博、木村優里、本島美和、福田圭吾、貝川鐵夫 ほか【指揮】マーティン・イェーツ【管弦楽】東京交響楽団アベ・プレヴォーによって書かれたマノン・レスコーの物語を、英国バレエの巨匠ケネス・マクミランがバレエ化した、ドラマティック・バレエの最高傑作のひとつです。愛ゆえにひたすら破滅へと落ちていくマノンとデ・グリューの美しくかつ壮絶な物語。デ・グリュー役には英国ロイヤル・バレエ プリンシパルのワディム・ムンタギロフを迎え、8年ぶりに上演し、大喝采を博しました。【配信日時】2020年5月1日 15:00~5月8日 14:00◆バレエ『ドン・キホーテ』(2016年5月5日上演)【音楽】レオン・ミンクス【振付】マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー【改訂振付】アレクセイ・ファジェーチェフ【出演】米沢 唯、井澤 駿、貝川鐵夫、高橋一輝、菅野英男、マイレン・トレウバエフ、長田佳世、本島美和、細田千晶、五月女 遥 ほか【指揮】マーティン・イェーツ【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団セルバンテス著「ドン・キホーテ」のエピソードを原作にした、楽しさと活気に溢れた古典バレエ。闘牛士たちによるスペイン舞踊、風車のエピソード、ドン・キホーテの夢の中で繰り広げられる美しい群舞、そして最終幕の恋人たちによるグラン・パ・ド・ドゥまで、古典バレエの美しさと陽気で楽しい踊りの数々を堪能できる人気演目です。このたび敢え無く5月公演が中止となった本作の、2016年公演の映像をお届けします。【配信日時】2020年5月8日 15:00~15日 14:00~巣ごもりをもっと楽しく!関連動画~新国立劇場のYouTubeチャンネルでは、バレエ鑑賞の予習にぴったりな「3分でわかる!」シリーズや、その他公演の名場面集などを多数ご紹介しております。「巣ごもりシアター」での配信2演目についても、ぜひ“ご鑑賞”前の予習として、関連動画をご活用ください。◆『マノン』◇新国立劇場バレエ団 3分でわかる!『マノン』◆『ドン・キホーテ』◇新国立劇場バレエ団 3分でわかる!『ドン・キホーテ』新国立劇場 「巣ごもりシアター」とは新型コロナウイルス感染症対策に係る政府等の要請及び緊急事態宣言を受け、現在新国立劇場は2月26日の公演を最後に、主催公演を全公演中止しております。お客様を劇場にお迎えできないこの状況下においても、新国立劇場を応援してくださる皆様と常に共にありたいという思いから、“巣ごもりシアター”として名付けたオンラインでのサービスを、まずはオペラ公演3作品の無料配信から、4月10日より開始いたしました。配信初作品のオペラ『魔笛』の再生回数は、配信期間1週間のうちに3万回以上に達し、そして第2作の『トゥーランドット』も4万回弱と、舞台芸術ファンはもとより、「日ごろ劇場に足を運ぶ機会は少ないけれど、ちょっと見てみたい!」という方にも、今だからこそできる「おうちでできる体験イベント」としてご好評をいただいております。また、新国立劇場の演劇作品もご自宅でお楽しみいただくべく、“巣ごもりシアター おうちで戯曲”が4月23日から始動。当劇場のために書き下ろされた戯曲を、2週間限定で劇場ウェブサイトにて公開をしております。演劇の土台であり、稽古場での設計図である戯曲を、自分流に楽しむことができる試みとして、話題となっています。再び安心して新国立劇場に御来場いただける日が訪れるまで、舞台芸術の力を支えに「巣ごもり」をしていただければと願っております。●「巣ごもりシアター」総合案内ページはこちら:●「巣ごもりシアター おうちで戯曲」はこちら:~新国立劇場について~新国立劇場は、 日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、 バレエ、 ダンス、 演劇の公演の制作・上演や、 芸術家の研修等の事業を行っています。Web: Page: 企業プレスリリース詳細へ本記事に掲載しているプレスリリースは、株式会社PR TIMESから提供を受けた企業等のプレスリリースを原文のまま掲載しています。FASHION HEADLINEが、掲載している製品やサービスを推奨したり、プレスリリースの内容を保証したりするものではございません。掲載内容に関するお問い合わせは、株式会社PR TIMES()まで直接ご連絡ください。
2020年04月28日展覧会「国立映画アーカイブ開館記念 没後20年 旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより」が、旧・東京国立近代美術館フィルムセンターの国立映画アーカイブにて、2018年4月17日(火)から9月23日(日)まで開催される。「旅する黒澤明」展では、世界的な映画史上の巨匠・黒澤明監督作品のポスターを、黒澤明研究家である槙田寿文の所蔵品より84点紹介。西欧諸国やアメリカをはじめ、東欧、アジア、ラテンアメリカ、中近東など世界30か国のポスターを一度に見られる貴重な展示となる。また、黒澤明監督と海外との関わりを示す資料など61点も展示し、その卓越した国際性にフォーカスを当てる。展覧会最大の目玉は、日本初展示となる、1962年の作品『七人の侍』の8枚組ポスター。西ドイツの名デザイナー、ハンス・ヒルマンによる、238×332cmにも及ぶ大作だ。また、黒澤作品として実現しなかった外国との合作映画『トラ・トラ・トラ!』のスタッフ用ジャンパーから、同じく映画化に至らなかった『黒き死の仮面』の英語脚本、各国の映画宣伝ツールであるプレスシートやロビーカードまで、レアな品々を一挙に公開。世界の視点から、黒澤明監督作品の魅力を体感することができる。【開催概要】国立映画アーカイブ開館記念 没後20年 旅する黒澤明 槙田寿文ポスター・コレクションより会期:2018年4月17日(火)~9月23日(日)休室日:月曜日、8月7日(火)~12日(日)、9月4日(火)~7日(金)開室時間:11:00~18:30(入室は18:00まで)会場:国立映画アーカイブ ※旧・東京国立近代美術館フィルムセンター 展示室(7階)※2018年4月1日(日)より「東京国立近代美術館フィルムセンター」から「国立映画アーカイブ」に名称を変更。住所:東京都中央区京橋3-7-6料金:一般 250円(200円)/大学生 130円(60円)/シニア・高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMAT パスポート所持者、東京国立近代美術館及び国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズは無料※料金は常設の「日本映画の歴史」の入場料を含む。 ※()内は20名以上の団体料金。※学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズはそれぞれ入室の際に、証明できるものを提示。※国立映画アーカイブの上映企画を観覧した当日に限り、半券の提示により団体料金を適用。※2018年5月18日(金)は、「国際博物館の日」(毎年5月18日)を記念して展示を無料閲覧できる。■トークイベント ・マンハッタンの KUROSAWA―アメリカの黒澤明事情開催日:7月21日(土) 講師:平野共余子(映画史家、元ジャパン・ソサエティ映画部門ディレクター)・展示品解説―映画ポスター史の視点から開催日:8月25日(土) 講師:岡田秀則(当館主任研究員)・クロサワはどのように世界で発見されたのか?-展示資料の読み解き方開催日:9月8日(土) 講師:槙田寿文(黒澤明研究家、本展出品者)■『生きものの記録』ダイレクトプリント上映上映日時:第1回 4月17日(火) 19:00/第2回 4月21日(土) 13:00【問い合わせ先】TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2018年04月05日開場20周年の記念シーズン真っ只中の新国立劇場。早くも来季2018/19シーズンの公演ラインアップが決定し、発表会見が開かれた(1月11日・新国立劇場)。オペラ部門では大野和士新芸術監督が登壇。施政方針ともいうべき5つの目標を掲げた。(1)レパートリーの拡充(新制作を現状の1シーズン3演目から4演目に増加)(2)日本人作曲家委嘱シリーズ(隔年)の開始(3)1幕物オペラ×2本のプロダクション《通称:ダブルビル)、あるいはバロック・オペラをシーズンごとに交代で制作(4)旬の演出家・歌手の起用(5)国内外の劇場と積極的にコラボ、東京から新たなプロダクションを発信。つまり、魅力的なレパートリーを拡充し、それを東京から世界のオペラハウスに輸出しようという構想だ。大野によれば、今後のプログラムの組み替えを考えると、現状の制作ペースではレパートリーが足りなくなるという問題がある。たとえば海外の劇場のプロダクションをレンタルする場合、契約上再演に制限があるので、今後は上演権ごと買い取って、いつでも上演可能な新国立劇場のレパートリーとすることも検討していく。大胆な大盤振る舞いのようにも聞こえるが、それによって制作コストが高騰するとは限らず、劇場の財産たる自由に上演できるレパートリーが蓄積されるプラスのほうが大きいという。海外の劇場とのコラボ構想も含めて、このあたりは、世界各地のオペラハウスで豊富な実績を持つ大野ならではの人脈とノウハウがあってこその戦略だろう。大きく期待が膨らむ。オペラ・ラインアップ(*印は新制作)10月モーツァルト《魔笛》*11月~12月 ビゼー《カルメン》12月 ヴェルディ《ファルスタッフ》1~2月 ワーグナー《タンホイザー》2月 西村朗《紫苑物語》(委嘱作品世界初演)*3月 マスネ《ウェルテル》4月 ツェムリンスキー《フィレンツェの悲劇》&プッチーニ《ジャンニ・スキッキ》*5月 モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》6月 プッチーニ《蝶々夫人》7月 プッチーニ《トゥーランドット》*大野が特に力を入れて語ったのは、日本人作曲家委嘱シリーズ第1弾の西村作品。《紫苑物語》は石川淳の小説が原作。作曲の西村、台本を担当する佐々木幹郎とともにすでに2年前から検討を重ねてきた。そして、大野が「現在世界で最も認められているオペラ演出家」と信頼を寄せる笈田ヨシを起用。《魔笛》は話題のウィリアム・ケントリッジの演出。映像を大胆に活用し、世界中で大人気のプロダクション。《フィレンツェの悲劇》《ジャンニ・スキッキ》は新機軸のダブルビル・シリーズの第一弾。《トゥーランドット》は、東京2020オリンピック・パラリンピックへ向けての東京文化会館との共同企画「オペラ夏の祭典2019-20」の一環。国と都が、文化創造でもタッグを組む。世界中の目がトーキョーに集まる2020年を、そしてその先の新国立劇場の未来を見据えて、大野体制はもう動き始めている。取材・文:宮本明
2018年01月12日秋から始まる小学校受験は、合格を目指して1年くらい前から準備している家庭が多いようです。なかでも国立附属小学校は、学費が私立に比べて安かったり、ほとんどかからなかったりする学校もあり人気があります。しかし、だれもが国立小学校を受験できるわけではありません。そんな、意外と知られていない、国立小学校の注意点をご紹介します。■「国立」なのに受験できない?国立附属小学校は各都道府県にあり、地方在住でも受験するチャンスはあります。おもに国立大学の教育学部の附属校として位置づけられていましたが、大学直属に編成されてきています。しかし、学区はエリアや通学時間によって学校ごとに決められていて、その範囲内に住んでいないと受験資格さえ得ることができないことになります。受験のために引っ越したり、子どもが生まれる前から将来を見据えて家を決めたりするママもいるほど。学区の考え方は、学校によって異なります。国立小学校の受験を考える場合は、まずは自宅が学区内にあるかの確認が必須となります。■受験に合格しても入学できない!?国立小学校にも受験があり、試験内容は行動観察や運動試験など、学校によってさまざま。受験前に傾向を知り対策する必要があります。しかし国立小学校と私立小学校の大きな違いは、基準をクリアする能力を身につけても合格できるとは限らないことにあります。なぜなら、公平を期すため国立小学校は抽選を導入する学校が多いから。抽選を突破した子だけが試験に進む学校もあれば、試験後に抽選を行う場合もあります。これに漏れたら、どんなに考査で合格しても、不合格と同じ結末になってしまいます。試験については塾などでも対策できますが、抽選ばかりは運頼み。このため、子どものがんばりを無駄にしたくないと考え、抽選がなく努力が反映されやすい私立校を選ぶママも少なくありません。私が子どものころにも、国立小学校には抽選がありました。わが家は学区内にあったので親は受験を考えたようです。しかし、父も母もくじ引きではティッシュなどの末等しか当たらないほどくじ運がなく…。これでは入学できるはずはないと、受験をあきらめたそうです。■受験番号が早いほうがいいってホント?小学校受験では、「受験番号が早いほうが有利」という説があります。私立校の場合は、その学校に入学したいという熱意を示すためといわれますが、国立の場合はどんな理由があるのでしょうか?国立小学校の場合、よくいわれることが、行動観察などをスムーズにクリアするため。そのため、できるだけ早い番号を確保しようと、親が朝早くから並ぶ光景が見られます。このウワサは本当なのでしょうか? 実際に子どもが小学校受験を経験したママたちの体験談を紹介します。●集団行動で巻き込まれないために「国立校は塾に通う子だけでなく、家が近いからと記念受験する子が少なくないと聞きました。記念受験の場合、受験対策として集団行動の練習をしていないお子さんがいるので、もし一緒のグループになってしまっうと、巻き込まれやすいと塾で教わりました。受験番号が早いほうが本気で受験を考えている家庭が多い傾向にあると言われ、本命ではなかったけど早起きして並びました」(41歳・小学校5年生のママ)●受験番号は月齢順「受付後に受験番号を月齢順に並び変える学校もあるそうで、そんなに気にしなくていいといわれました。それでも、やっぱり気になるので早く並びましたが、抽選に漏れたのでわが子は公立通いです」(40歳・小学3年生のママ)学校によって条件が異なるようですね。志望校の情報を早めに収集して、対策したいところです。■「附属」といってもエスカレーター式ではない大学の附属学校であるならエスカレーター式を期待するところですが、国立の場合はそうではありません。中学入学時はあらたに外部生が入ってくるため、全員が進学できない場合もあります。だから日々の勉強は、とても大事です。在学中に、子どもがほかの中学校に魅力を感じることがあるかもしれません。もし外部の学校を受験をする場合は、内部進学の権利が失われる学校もあるようです。また、附属高校を設けていない学校もあり、その場合は必然的に外部受験することに。志望校がどのような仕組みになっているのか、あらかじめチェックしておきましょう。■授業中に常にだれかにみられている?多くの国立小学校は、教育研究校として位置づけられています。そのため、先生が研修などで不在になる可能性も。また、教育実習や視察なども行われるため、常にだれかに見られている状態で授業を受けることが多いようです。国立小学校出身の知人に話を聞いたところ、「教室に知らない人がいることが多かった」とのこと。最初は気になったものの、次第に慣れてきたそうです。この人に見られた環境での授業は、慣れる子と慣れない子がでるかもしれませんが、えてして子どもは順応性が高いため、あまり問題にはならないかもしれません。ちなみに前述の知人いわく「公立の高校では見学者がいないので違和感があった」とのこと。また、新しい教育を実験する場でもあるので、最新の教育を受けるチャンスがあります。これはほかの学校ではなかなか体験できないことです。国立というだけでブランド化されている現状。お受験を挑戦してみたくなるかもしれません。しかし、それだけを判断材料にするのではなく、子どもの将来を考えたうえで検討したいものですね。
2017年08月12日