上野地区の文化施設を網羅した共通入場券「UENO WELCOME PASSPORT」が2016年8月15日(月)に、国立西洋美術館や東京国立博物館、国立科学博物館などで発売される。「UENO WELCOME PASSPORT」は、国立西洋美術館、東京国立博物館、国立科学博物館、上野動物園、下町風俗資料館、旧岩崎邸庭園、東京都美術館、朝倉彫塑館、書道博物館の9施設の常設展等に、利用期間中各1回入場できるチケット。東京藝術大学大学美術館、東京文化会館、国立国会図書館国際子ども図書館、上野の森美術館、国立近現代建築資料館の5館では、パスポート持参者にポストカードが配布される。通常は全施設を回ると入場料は合計で4,770円(常設展等)になるところ、「UENO WELCOME PASSPORT」を利用すれば半額以下。建築家ル・コルビュジエが日本で唯一設計し、先日世界文化遺産に登録された国立西洋美術館など、日本が誇る文化施設を網羅できる。利用期間は、2016年8月15日(月)から2017年1月31日(火)まで。常設展以外にも期間中に、注目の展覧会が多数開催される。夏休みから始まり、芸術の秋、冬休み、年末年始にわたり「文化の街、上野」を満喫してみては。【概要】UENO WELCOME PASSPORT -上野地区文化施設共通入場券-販売および利用期間:2016年8月15日(月)〜2017年1月31日(火)価格:2,000円(税込)販売場所:・チケット窓口国立西洋美術館、東京国立博物館、国立科学博物館、上野動物園、下町風俗資料館、朝倉彫塑館、書道博物館、東京藝術大学大学美術館・店舗等での販売東京都美術館ミュージアムショップ、東京藝術大学大学美術館ミュージアムショップ、エキュート上野、松坂屋上野店、上野マルイ、浅草文化観光センター、東京観光情報センター(都庁第一本庁舎1階)ほか・インターネット販売上野「文化の杜」ポータルサイト内※旧岩崎邸庭園、東京文化会館、上野の森美術館、国立国会図書館国際子ども図書館、国立近現代建築資料館での販売は行っていない。■利用対象施設:いずれも期間中、各1回の利用・常設展および総合文化展への入場国立西洋美術館、東京国立博物館、国立科学博物館・入館および入園上野動物園、旧岩崎邸庭園、下町風俗資料館、朝倉彫塑館、書道博物館・指定の特別展に入場東京都美術館 以下のどちらか1回「木々との対話 ─ 再生をめぐる5つの風景」2016年7月26日~10月2日「TOKYO 書 2017 公募団体の今」2017年1月4日~1月15日・指定の特別展に100円引きで各1回入場国立西洋美術館、国立科学博物館、東京都美術館、東京藝術大学大学美術館・持参者にポストカードをプレゼント東京藝術大学大学美術館、東京文化会館、国立国会図書館国際子ども図書館、上野の森美術館、国立近現代建築資料館■期間中開催の特別展・東京国立博物館「古代ギリシャ ―時空を超えた旅―」2016年6月21日(火)~9月19日(月・祝)・国立西洋美術館「聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画」2016年7月9日(土)〜9月19日(月・祝)「クラーナハ展―500年後の誘惑」2016年10月15日(土)~2017年1月15日(日)・国立科学博物館「世界遺産 ラスコー展 〜クロマニョン人が残した洞窟壁画〜」2016年11月1日(火)〜2017年2月19日(日)「海のハンター展 ―恵み豊かな地球の未来―」2016年7月8日(金)〜10月2日(日)・東京都美術館「ゴッホとゴーギャン展」2016年10月8日(土)~12月18日(日)
2016年07月22日写真提供:タイ国政府観光庁「バンコク国立博物館」は仏教美術に触れ、タイの歴史を学ぶことが出来る博物館。王宮広場のすぐ目の前、「国立タマサート大学」の隣に位置する広い敷地は、同類の博物館としては東南アジア最大級だ。 写真提供:タイ国政府観光庁建物は元々チャクリー王朝歴代の副王宮殿として建てられたもの。ラーマ5世の時代に副王制度が廃止されると、王宮内にあった公立博物館の展示品が現在の場所に移された。その後、「バンコク博物館」と名付けられて拡張・再編成され、1934年には芸術局の管理の下、「バンコク国立博物館」となった。写真提供:タイ国政府観光庁敷地内には多くの歴史的建物が点在し、展示室として使われている。展示品は、仏像やヒンドゥー神像などの宗教美術品から、王室ゆかりの伝統工芸品まで多種多様。歴代の王が使用した御輿や、食器や衣服など、王の身の回り品も展示され、王室の生活を知ることが出来る。中には古典楽器や、武器、王家の葬儀に使われる山車もあり面白い。写真提供:タイ国政府観光庁 歴史館では、パネルやジオラマを使い、各時代の歴史がわかりやすく再現されている。仏教美術品のコレクションはアジア各々のスタイルを網羅。また、プッタイサワン仏殿内には国の守護仏であるシヒン仏が安置され、壁面には仏陀の生涯が壮麗に描かれている。ユネスコ記憶遺産に登録された「ラームカムヘーン王碑文」も必見だ。写真提供:タイ国政府観光庁毎週水・木曜日の9:30からは日本人ボランティアによる無料日本語ガイドを実施。約2時間のガイドで、仏陀の生涯を描いた壁画や宗教美術品、王家の葬儀、伝統工芸品など主要展示品を案内してくれる。詳しくはこちら> また博物館入口近くのショップでは、アジア美術を中心とした美術書を販売。博物館の日本語図録もある。アクセスはBTS「ナショナルスタジアム」駅2番出口から、タクシーで約20分。 バンコク国立博物館(National Museum Bangkok)・住所:4 Na Phrathat Rd., Phra Borommaharachawang, Phra Nakhorn, Bangkok 10200・開館時間:9:00~16:00(入場15:30まで)、休館:月曜日・火曜日・タイの祝日・入場料:200バーツ
2016年04月09日国立がん研究センター(国立がん研)は2月4日、朝食摂取回数が少ないと脳出血のリスクが高くなることが明らかになったと発表した。同成果は、国立がん研究センター がん予防・検診研究センターと大阪大学の研究チームによるもので、米科学誌「Stroke」2016年47巻に掲載された。これまでに、朝食を欠食すると肥満、高血圧、脂質異常症、および糖尿病のリスクが上がることが多くの研究で示されてきたが、脳卒中および虚血性心疾患のリスクを上げるのかという点に関してはほとんど研究されていなかった。そこで同研究チームは、朝食欠食と脳卒中および虚血性心疾患との関係を検討するため、1995年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、1998年に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所管内に在住していた45~74歳の男女のうち、循環器疾患およびがんの既往がなく、アンケートの朝食に関する項目に回答した8万2772人(男性:3万8676人、女性:4万4096人)に対して調査を行った。同調査では、週に0~2回、週に3~4回、週に5~6回および毎日という4つの群に分けて、その後の脳卒中および虚血性心疾患発症との関連を分析。2010年まで追跡した結果、3772人の脳卒中発症と870人の虚血性心疾患発症が確認された。朝食を毎日摂取する群と比較して、朝食を週に0~2回摂取する群の発症リスクは、脳卒中と虚血性心疾患を合わせた循環器疾患で14%、脳卒中全体で18%、脳出血で36%高くなっていたという。同研究チームは、脳出血の最も重要なリスク因子は高血圧だが、朝食を欠食することで朝の血圧が上昇し、毎日朝食を摂取する人に比べて脳出血のリスクが高くなっていた可能性が考えられるとしている。
2016年02月05日毎年、花粉症に悩まされているみなさんに驚きの新事実です。最近の研究で、花粉症患者が極度のうつ病になる割合が、ふつうの人の4倍、自殺率は30%も高いということがわかったのです。辛くて嫌な花粉症が、うつ病や自殺のリスクにまで関係しているとは驚きです。「たかが花粉症……」と侮らずに、きちんと治療をしたほうがいいかもしれませんよ。■くしゃみも長期に渡れば精神病に発展する可能性が花粉に対するアレルギー反応は、体じゅうの血管や組織に炎症反応を引き起こします。これが長い期間続くと、脳にまで悪影響を及ぼすと考えられています。たとえば、よくある「炎症」のひとつである「くしゃみ」は。花粉のようなアレルギーの原因を、体が追い出そうとして起こるものです。たかがくしゃみ、と思われるかもしれませんが、このような低レベルの炎症でも、花粉症のように数ヶ月単位の長期間続く場合は、中年以降に深刻な精神病になる可能性が高まるというデータがあるのです。■花粉症患者はふつうの人の4倍も躁鬱病になりやすい台湾の国立陽明大学の科学者たちは、花粉症を患う約1万人のティーンエイジャーと、花粉症を発症していない約3万人のティーンエイジャーを比較しました。2つのグループを10年近く観察し、躁病期(興奮しすぎて集中力を欠き、不眠に陥っているような時期)を特徴とする躁鬱病と診断された人が何人いるかを記録したのです。「心身症研究誌」に掲載された結果によると、花粉症を患っている青年期の人々は、そうでない人の4倍も躁鬱病と診断されることが多いことがわかったのです。花粉の時期に気分が落ち込むのは、気のせいではなかったのかもしれません。■自殺のリスクもうつ病じゃない人より30%高くなるまた、2010年のデンマークの研究によると、花粉症患者は自殺率も高くなるのだとか。オーフス大学の研究者たちが、自殺した人たちの中で、アレルギー患者とアレルギーの無い人の割合を比べたところ、花粉症のようなアレルギーを持った人は、アレルギーの無い人より、30パーセントも自殺のリスクがあることがわかりました。花粉症の影響、侮れませんね。■長期の炎症による幸せホルモンの低下がうつ病に関連くしゃみや鼻水のような「炎症」が、なぜ精神病と結びつくのでしょうか。明確な答えはまだ出ていませんが、アレルギー反応が出ている間につくられる「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が関係していると考えられています。サイトカインは、花粉のような外部からの侵入者を追い出す役割をしていますが、脳の中にある幸せホルモン、セロトニンのレベルを下げる可能性もあるというのです。花粉症のように炎症が長期にわたると、どんどんサイトカインが分泌され、セロトニンは減り続けてしまいます。このことが、アレルギーによってうつ状態が引き起こされる原因なのではないか、というのが、いまのところもっとも有力な説だといわれています。現在、研究者たちはイブプロフェンのような炎症を抑える薬が、うつ病の治療に役立つ可能性について調査中。抗うつ薬が効かなかったうつ病の患者たちに、抗炎症薬を投与することでセロトニンのレベルを上げ、病状を改善できるのではないかと考えているのです。つまり、アレルギー症状を抑えたら、うつ病が改善するかもしれないということ。イブプロフェン配合の薬は薬局でも購入できるので、花粉症で気が滅入ってしまう人は試してみてもよいかもしれません。*花粉症や慢性鼻炎で精神病になるなんて、これまでまったく考えられてこなかったことですね。たとえ精神病に結びつかなかったとしても、花粉症や鼻炎で幸せホルモンが減ってしまうことは大問題。「この時期だけだから……」と我慢せずにきちんと花粉症治療をして、快適に過ごせるようにしたいですね。(文/スケルトンワークス)【参考】※Could a runny nose make you depressed? Hay fever sufferers may be four times more likely to develop the mental illness-Daily Mail Online
2015年11月30日国立がん研究センター(国立がん研)は11月9日、膵がん早期診断の血液バイオマーカーを発見したと発表した。同成果は、国立がん研 創薬臨床研究分野 本田一文 ユニット長の研究グループらによるもので、11月9日付の英オンライン科学誌「Scientific Reports」に掲載された。同研究グループはこれまでに、血液中に存在するタンパク質「apoA2 アイソフォーム」が膵がんや膵がんリスク疾患の患者で低下することを質量分析の結果から発見・報告していたが、今回、米国国立がん研究所(NCI)との共同研究においても、健常者に比べ早期膵がん患者でapoA2 アイソフォームが低下していることが確認された。また、既存の膵がんバイオマーカーである「CA19-9」と比べて高い精度でI期、II期膵がんを検出できることも確認。この結果からNCIは、apoA2 アイソフォームが膵がんにおける信頼性の高い血液バイオマーカーになりうる可能性があると評価している。また従来、apoA2 アイソフォーム濃度を計測するためには高価な機器を必要とする質量分析を用いた測定法しかなかったが、今回、同研究グループは、apoA2 アイソフォーム検査を実用化するために簡便な検査法の開発に取り組み、検査キット「Human APOA2 C-terminal ELISA kit(研究用試薬)」の作製に成功した。同検査キットで国内多施設共同研究で集められた膵がんを含む消化器疾患患者と健常者の血液検体を測定し、その判別性能を検討したところ、CA19-9に比べ、より高精度に早期膵がんを検出できたという。また、CA19-9が反応しない膵管内乳頭粘液性腫瘍や慢性膵炎などの膵がんリスク疾患も高い精度で検出。さらにapoA2 アイソフォームとCA19-9との組み合わせにより、早期膵がんの検出率はさらに向上した。今後、国立がん研と神戸大学などが協力し「apoA2 アイソフォームを用いた膵がん模擬検診」が開始予定。この模擬検診を含めたさらなる研究により、apoA2 アイソフォームの検査が本当に早期膵がんや膵がんリスク疾患を適切にスクリーニングでき、検診に実用化できるかどうかを確認していくという。また、同検査キットは研究用試薬であるため、体外診断薬としての承認を得ることも目指していく。
2015年11月10日©Singapore Tourism Boardシンガポールで最古の博物館「National Museum of Singapore(シンガポール国立博物館)」。シンガポールの歴史と人々の生活様式を展示する傍ら、年間を通して様々なイベントを催すドーム型の屋根が特徴的な同館は、独自の文化を象徴する、シンガポール人の誇りとなっている。シンガポール最古の博物館©Singapore Tourism Board厳かな外観とドーム型の天井が目を引くシンガポール国立美術館は、1819年にイギリスから上陸したラッフルズ卿が夢見ていた「文学と歴史について学べる機関の設立」という意思を継いで、彼の没後1849年に図書館兼博物館としてスタートしたのが始まり。エントランスのある「旧館」は、1887年に建設された。ラッフルズホテルと同じ、ネオパラディアン様式の旧館は、ロビーの屋根部分を彩るステンドグラスも印象的。無料日本語ガイドツアーも開催!シンガポールを深く知ろう旧館に増築する形で、モダンな新館が誕生したのが2006年。旧館と合わせて18,400平方メートルもの敷地面積を誇り、現在ではシンガポール最大の博物館として、シンガポールの歴史を重んじながらも、常に革新的な展示で人々を魅了し続けている。2015年7月現在「SINGAPURA:700YEARS」と題し、14世紀からのシンガポールの歴史を辿る展示が開催中。(※2015年8月10日まで)館内では、在住日本人ボランティアによる日本語無料ガイドツアーも実施される。月~金の10:30、第一土曜日の13:30に地下のExhibition Galleryに集合すれば、誰でも無料で参加可。せっかくの機会に日本語でシンガポールをじっくりと学ぶのもよいだろう。(※集合場所は季節によって変わる可能性もあるので、公式HPを確認)©Singapore Tourism BoardNational Museum of Singapore(シンガポール国立博物館)・住所:93 Stamford Road Singapore 178897・営業時間:10:00~18:00(最終入場は17:30)・電話:(+65) 6332 3659 / (+65) 6332 5642・入場料金:建物への入場のみは無料。展示の見学は、大人S$6学生S$3・アクセス方法:ブラスバサ駅、ドービーゴート駅からそれぞれ徒歩5分。※国立博物館を含む3か所のミュージアムを巡回するシャトルバスサービス有り。詳しい時刻表や乗り場は公式HP参照。
2015年07月26日今、美術館が丸裸になっています。’10年「陰影礼讃」展に続く第2回となる、国立美術館5館による合同展「No Museum,No Life?-これからの美術館事典国立美術館コレクションによる展覧会」。約170点の名作が集結していますが、ラインナップはもちろん、その展示方法も要注目なのです!今回のテーマは“美術館事典”。百科事典のようなアルファベットごとのテーマ分けで、それに沿って作品を展示します。面白いのが、普段表舞台に出ない、美術館の裏側もテーマになっているところ。例えば「Wrap(梱包)」では布で包まれて中身の見えないクリスト作のオブジェなど“梱包”にまつわる作品とともに、運搬に用いる梱包材も並び、「Money(お金)」では美術館の収益データまで公開!貴重なアートと、それを支える道具などが一緒に並ぶのは、見たことない光景です。遊園地の裏側を見ちゃうようにがっかりするんじゃ…と思う方、心配ご無用。アートをアートたらしめる美術館という空間そのものについて深く知ることで、作品への見方も変わり、新たな鑑賞体験を得られるはず。36項目の中から、注目テーマをピックアップしてご紹介します!■Artist【アーティスト】権威的な美術界を嫌い、自由な芸術活動を行 おうと画家らに呼び掛けたルソーの絵画。これが今、美術館に展示されるのも皮肉的?アンリ・ルソー ≪第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神≫ 1905-06年、東京国立近代美術館■Beholder【観者】美術館そのものがテーマとなる本展を象徴する“ルーヴル美術館でアートを観る人々”を写した写真作品。他にもミレーの『落ち穂拾い』を鑑賞するタイの農民たちを映した映像作品など。トーマス・シュトゥルート≪ルーヴル美術館4、パリ 1989≫1989年、京都国立近代美術館(C)Thomas Struth■Light【光、照明】上の現代アートをはじめ、“光”にフォーカスするこの項目。美術館で用いられる照明の紹介もあり、絵画の見え方への理解が深まる。ダン・フレイヴィン≪無題(親愛なるマーゴ)≫1986年、国立国際美術館(C)Stephen Flavin/ARS, New York/JASPAR, Tokyo E1582■Earthquake【地震】地震を表現した絵画や写真と並んで、なんと建物の土台に用いられる免震台が。貴重な作品を展示する美術館においても、地震は脅威的な存在。その対策とともに紹介します。■Guard【保護、警備】自身の絵画を展示する際に、柵を設けるなどして作品と鑑賞者の間に距離を設けるよう求めたフランシス・ベーコンの作品を展示。意図して(?)この項目のそばにも監視員さんが。■Storage【収蔵庫】展示されていない作品を保管する“収蔵庫”。この項目では、画家・藤田嗣治の作品を所蔵している4館の収蔵庫内の写真を背景に、本物の4作品を展示します。◇information 東京国立近代美術館東京都千代田区北の丸公園3-1開催中~9月13日(日)10:00~17:00(金曜は~20:00、入館は閉館の30分前まで)月曜休(7月20日は開館、7月21日休)TEL:03・5777・8600一般1000円◇権威的な美術界を嫌い、自由な芸術活動を行 おうと画家らに呼び掛けたルソーの絵画。これが今、美術館に展示されるのも皮肉的?アンリ・ルソー ≪第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家達を導く自由の女神≫ 1905‐06年、東京国立近代美術館◇美術館そのものがテーマとなる本展を象徴する“ルーヴル美術館でアートを観る人々”を写した写真作品。他にもミレーの『落ち穂拾い』を鑑賞するタイの農民たちを映した映像作品など。トーマス・シュトゥルート≪ルーヴル美術館4、パリ 1989≫1989年、京都国立近代美術館(C)Thomas Struth◇上の現代アートをはじめ、“光”にフォーカスするこの項目。美術館で用いられる照明の紹介もあり、絵画の見え方への理解が深まる。ダン・フレイヴィン≪無題(親愛なるマーゴ)≫1986年、国立国際美術館(C)Stephen Flavin/ARS, New York/JASPAR, Tokyo E1582※『anan』2015年7月15日号より
2015年07月14日カリモク家具が、東京・国立競技場のスタンドに設置されていた自由席シートを新たに椅子として生まれ変わらせた、「SAYONARA国立競技場"FOR THE FUTURE" MEMORIAL GOODS デザイナー with カリモク家具」を7月4日から販売している。1958年に開場した国立競技場。1964年には東京オリンピックのメインスタジアムとして使用された後、2014年に閉場した。「カリモク家具」は、解体作業の際に保存しておいたスタンドの自由席シートの座面を使い、デザイナーのドリルデザイン(DRILL DESIGN)、白鳥浩子、鈴木元とともに新たな椅子を設計・製造した。ドリルデザインがデザインしたスツール「TOKYOスツール(3万2,400円)」は350脚、白鳥浩子がデザインした背もたれ付きのチェア「ponyチェア(4万3,200円)」は150脚、鈴木元がデザインした2人掛けのベンチ「KOKURITSUベンチ(5万4,000円)」は200台の個数限定販売となっている。どの椅子も木製の枠組みに、あの青いスタンドの自由席シートが見事に調和し、どことなく心を和ませるデザインに仕上がっている。取扱いは「チケットぴあ」Webサイトにて。
2015年07月09日新国立劇場2015/2016シーズンの主催公演ラインナップが発表された。演劇、バレエ、舞踊3部門の作品をお伝えする。新国立劇場バレエの公演情報まずは演劇8作品から。10月のシーズン開幕に中劇場で上演されるのは、スティーブン・ソンドハイム作曲の本邦初演ミュージカル「パッション」。新国立劇場は過去、「太平洋序曲」「INTO THE WOODS」と2本のソンドハイム作品を上演してきた。今回は芸術監督・宮田慶子の演出、井上芳雄、和音美桜、シルヴィア・グラブらの出演で、濃密な恋愛のドラマを舞台に刻む。続く11月の小劇場「桜の園」は、鵜山仁演出、田中裕子ほかの出演。王道のチェーホフ劇に期待しよう。12月の小劇場「バグダッド動物園のベンガルタイガー」は、気鋭・中津留章仁が演出する戦争テーマの硬質な米国ストレートプレイ。3月からの小劇場は鄭義信三部作の連続上演で、今回の目玉というべき企画だ。この作家が新国立劇場に書き下ろした「焼肉ドラゴン」「たとえば野に咲く花のように」「パーマ屋スミレ」の名作3つを改めて堪能したい。6月の中劇場「あわれ彼女は娼婦」はシェイクスピアと同時代の演劇で、兄妹の禁じられた愛の物語。こちらは栗山民也演出で。シーズンのラストは、7月の小劇場、別役実の新作書き下ろし、宮田慶子演出による「竹取物語~よみがえり篇~」(仮題)のタイトルが挙がっている。バレエは6作品はすべてオペラパレス。10月の新制作「ホフマン物語」は、芸術監督・大原永子の英国へのこだわりが香るピーター・ダレル振付の逸品。12月のおなじみ「くるみ割り人形」、1月の祭典「ニューイヤ・バレエ」を挟み、2月の新制作「ラ・シルフィード/Men Y Men」にも注目だ。前者はオーギュスト・ブルノンヴィルの古典的振付に大原永子が演出で参加し、この作品に関する深い知見を注入する。後者は昨年の「眠れる森の美女」に続く、ウエイン・イーグリングの振付が話題。5月は鉄板「ドン・キホーテ」。6月の「アラジン」では、前芸術監督デヴィッド・ビントレーの振付作品を再演する。ダンスは、10月小劇場の「近松DANCE弐題」で幕開け。以降は中劇場での公演が3つ並ぶ。3月の新国立劇場バレエ団「DANCE to the Future 2016」、3月の平山素子「Hybrid―Rhythm & Dance」、6月の高谷史郎(ダムタイプ)「CHROMA」と計4公演を揃えた。
2015年01月23日新国立劇場2015/2016シーズンラインアップが発表された。オペラ部門は全10演目。例年同様、新制作3・再演7(内、邦人作品1)となる。新国立劇場オペラの公演情報飯守泰次郎オペラ芸術監督が「新国立劇場は、世界の主要歌劇場として、国際的に高いクオリティを保ち、さらに発展させていくべき存在。そのためには国際的な水準・技量をもったキャスト、そしてレパートリーが重要」と語るように、充実のスタッフ・キャストが揃うラインアップとなった。新制作1本目は、シーズン開幕公演。ワーグナーの超大作「ニーベルングの指環」(4部作)から『ラインの黄金』を取り上げる。ドイツの名演出家ゲッツ・フリードリヒが晩年にフィンランド国立歌劇場で作り上げたプロダクションを上演する。指揮は、ワーグナーの聖地、バイロイト音楽祭で長年キャリアを積んだ飯守オペラ芸術監督が自らタクトを振る。新制作2本目は、同劇場初上演となるヤナーチェクの『イェヌーファ』。世界の主要歌劇場では必ず取り上げられるヤナーチェクだが、日本での上演機会は少ない。演出にはドイツの権威あるオペラ専門誌『オーパンヴェルト』で「年間最高の演出家」を受賞したクリストフ・ロイを迎える。新制作3本目はマスネの『ウェルテル』。演出にはフランスのベテラン、ニコラ・ジョエルを迎える。飯守芸術監督は「(ジョエル)は1976年のバイロイト百年祭で苦楽を共にした仲。久々の再会が楽しみ」と期待を寄せる(同音楽祭で飯守はピエール・ブーレーズの助手、ジョエルはパトリス・シェローの助手を務めた)。再演演目もこれまで好評を博してきた人気作が並ぶ。壮大で華麗な舞台・衣装が魅力の『トスカ』。ヴェルディ最後のオペラで唯一の喜劇『ファルスタッフ』。大人から子どもまで楽しめるファンタジー『魔笛』はオール日本人キャストで。『サロメ』は、ウィーン、パリ、ベルリンでも同役を演じて聴衆を虜にした世界的ソプラノ、ニールントが登場。イタリアのヴェリズモ・オペラの名作からは『アンドレア・シェニエ』を。飯守オペラ芸術監督がタクトを振る『ローエングリン』は、2012年上演時に大好評を博したクラウス・フロリアン・フォークトが再登場。邦人作品は和製オペラの傑作『夕鶴』を上演する。■新国立劇場オペラ2015/2016シーズン2015年10月ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」序夜ラインの黄金【新制作】11月プッチーニ/トスカ12月ヴェルディ/ファルスタッフ2016年1月モーツァルト/魔笛2・3月ヤナーチェク/イェヌーファ【新制作】3月R.シュトラウス/サロメ4月マスネ/ウェルテル【新制作】4月ジョルダーノ/アンドレア・シェニエ5・6月ワーグナー/ローエングリン7月團伊玖磨/夕鶴
2015年01月23日富士通は12月24日、国立がん研究センター(国立がん研)、国立循環器病研究センター(国循)、国立長寿医療研究センター(長寿研)、東京医科歯科大学と、それぞれICT技術を活用した医療モデルの構築と普及を目的とした共同研究を行う協定を締結したと発表した。まず、国立がん研とは「がんのメディカル・ゲノムセンター機能に必要なゲノム情報と診療情報の統合」について研究を進める。メディカル・ゲノムセンター機能とは、エビデンスの高い解析結果を基に、医薬品効果予測による治療選択、適切な予測診断の確立、および遺伝リスクに応じた予防的措置に関する臨床応用を目指した取り組み。同研究で国立がん研はゲノム情報の取得・解析などを行い、富士通と共に高度なセキュリティとアクセシビリティを両立させたゲノム医療システム基盤の検討・実証を進めていく。2016年度末までにはがんのゲノム医療実施体制のプロトタイプを整備する予定とのことで、最新のゲノム医科学とICT技術および知識を動員したゲノム医療の実現が期待される。次に、国循とは「循環器疾患の予防・制圧に向けた生活習慣のビッグデータの解析と介入方法の開発」を推進する。これは、生活習慣のデータを収集・解析し、医療データとして活用することで循環器病の発症および重症化予防などにつなげるという取り組み。2018年度末までに医学的エビデンスに基づく情報基盤の構築とプログラム開発の完了を目標としており、国循がデータ収集および分析を、富士通が電子健康記録のデータ収集システム・解析システムの開発を担う。長寿研との研究では「認知症の早期発見システムの開発」がテーマとなる。これは2018年度末までに認知症の予兆を発見するシステムの構築を目指すというもの。現在、高齢者の20%が認知症予備軍と推定される中、ビッグデータを活用することで、自治体機能との連携を含めた認知症の早期発見による早期治療や予防システムの構築を図る。最後に、東京医科歯科大学とは「網羅的生体分子情報を統合したデータベースおよび解析技法の確立」を目指す。具体的には、臨床情報・網羅的生体分子情報(オミックス)・生活習慣情報を効果的に収集する手法と臨床現場での個別化医療を可能とする分析手法を開発する。2017年度までに統合臨床オミックス・データベースおよび解析システムを完成させる予定で、将来のゲノム電子カルテとの連携も視野に入れているという。富士通は今後、2015年3月をめどに各機関との研究内容を具体化し、共同研究を開始するとしている。
2014年12月25日飯守泰次郎がオペラ芸術監督に就任する新国立劇場2014/2015シーズンは『パルジファル』で開幕する。『パルジファル』はワーグナーの主要作品のうち新国立劇場が唯一上演していなかった演目で、ワーグナーのスペシャリスト飯守の芸術監督就任にあたり、満を持しての初上演となる。巨匠ハリー・クプファーが新演出し、世界的なワーグナー歌手が集結する、ワーグナー・ファン垂涎の公演の舞台稽古が9月29日に行われた。新国立劇場オペラ『パルジファル』のチケット情報『パルジファル』は聖杯と聖槍を守る騎士団の物語であるが、クプファーは、形骸化した騎士団とキリスト教批判という側面に注目し、登場人物たちは「解放への道」を模索していると解釈した。そこで、舞台中央に置かれたセットが「光の道」である。このジグザグな道が「舞台上の舞台」となるが、床はなんとLEDのスクリーンになっており、各場面での心情や情景が、抽象的かつ色鮮やかな映像で表わされる。LEDを床に敷き詰めたオペラの舞台はおそらく世界的にも稀で、誰もが初めて観る光景に目を奪われる。「光の道」のほかにも特徴的な舞台装置があり、クプファーが「メッサー」と呼ぶ聖槍の象徴ともなる巨大な装置(重さ8トン)が登場。「メッサー」上部もLEDのスクリーンで、人も乗るのだが、その静かな動きは神秘的ですらある。そのほか、新国立劇場の舞台機構を駆使した場面転換もダイナミックである。最新技術を使う一方で、クプファーは作品から仏教的要素を積極的に見出し、幕が開いた瞬間からそれが描かれる。登場人物、騎士団の演技が示す内容はクプファーから観客への問いかけであり、彼の演出の肝となるラストは、客席に解釈の余地を与えてくれる。そんなクプファー演出を体現する歌手たちは皆、素晴らしい。品格ある歌唱でドラマを導くグルネマンツ役のジョン・トムリンソンは歳を重ねた今ならではの円熟の老騎士を演じ、クンドリー役のエヴェリン・ヘルリツィウスは、第2幕、母性的な優しさから魔性の女の狂気へと変わる多面的表現が圧巻。クリスティアン・フランツはパルジファルが「知に至る」さまを鮮やかに歌い、エギルス・シリンスは威厳あるアムフォルタス像を描く。そして、飯守の指揮は、彼自身の『パルジファル』への愛にあふれる響きで、聖杯のごとく崇高な音楽を紡ぎ出す。音楽・演出ともに世界的レベルの『パルジファル』。ワーグナーを観る醍醐味に酔いしれる極上の6時間である。取材・文:榊原律子◆新国立劇場オペラ『パルジファル』10月2日(木) 16:00開演10月5日(日) 14:00開演10月8日(水) 14:00開演10月8日(水) 14:00開演10月14日(火) 16:00開演新国立劇場 オペラパレス
2014年10月02日今年5月に56年の歴史に幕を閉じた東京・国立競技場。その解体にあたり、「SAYONARA国立競技場 FINAL “FOR THE FUTURE” MEMORIAL GOODS」と題して会場の備品の数々を一般向けに販売することが決まった。5月の一次販売に続く第2弾。9月27日(土)午前10時より「チケットぴあ」Webサイトにて販売する。スポーツの聖地、国立競技場が「ラグビーワールドカップ2019」や「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」のメインスタジアムとして利用されることが決定、その解体が行われることとなり、昨年より「SAYONARA 国立競技場プロジェクト」と題した様々な企画が実施されてきた。今回のグッズ販売も同プロジェクトの一環として行われる。今回は1964年の東京オリンピック当時より使用していたスターター台をはじめ、スターティングブロック、バトンや砲丸投げなどの陸上競技器具、表彰台、選手更衣室のベンチや戦略ボードなど国立競技場で実際に使用してきた42アイテムを新たに追加し、計47アイテムを販売する。■SAYONARA国立競技場 FINAL “FOR THE FUTURE” MEMORIAL GOODS販売期間:2014年9月27日(土)~2014年12月31日(水)販売方法:「チケットぴあ」Webサイトにて先着順販売専用URL:
2014年09月26日恋人たちの切ない運命を劇的に描くバレエ『ジゼル』が2月17日、新国立劇場 オペラパレスにて開幕した。新国立劇場バレエ『ジゼル』チケット情報ロマンティック・バレエの代名詞とも言える『ジゼル』が新国立劇場で7年ぶりに再演となった。ジゼルは、民俗色豊かな風景の現実の世界による第1幕と、幽玄な第2幕との対照的な場面で構成され、音楽はアドルフ・アダンで、振付けはジャン・コラリと、ジュール・ペローにより、1841年パリ・オペラ座で初演。初日を飾ったジゼルはこれが初役となる長田佳世、アルベルトには菅野英男が配され、冷酷なウィリの女王ミルタに本島美和、森番ハンスには深い演技力を誇るマイレン・トレウバエフといったベテランが名を連ねる。英国ロイヤル・バレエ出身のゲストバレエマスター、デズモンド・ケリーが入念に作品を仕上げ、劇的なドラマを繰り広げた。ジゼルを恋い慕う森番ハンスは嫉妬のあまり、葡萄の収穫祭で賑わう場で、農夫に身をやつして恋人ジゼルを騙している貴族アルベルトの正体を明かしてしまう。絶望的な悲しみに襲われたジゼルは正気を失い、心臓が衝撃に耐えきれず命は尽きてしまうが、精霊となって仲間のウィリたちの恐ろしい群れから愛する人を守って永遠に消えていく。長田が真実を知った驚きで錯乱していく表情には胸を打たれ、アルベルトを守り通すラストには涙を禁じ得ない。菅野は1幕では無分別な軽さ、2幕ではジゼルを失った悲しみと未練を全身に溢れさせて、役への対比を確立していた。ジゼルがウィリとなり空気を浮遊するような足の運びや、アルベルト、ハンスがミルタに操られ、体力の限界まで繰り出す激しい踊りは、舞台の大きな見どころ。すべての役者が細かい演技で舞台を支え、アルベルトの忠実な従者ウィルフリード(田中俊太朗)は、奔放な主人に困惑の表情を浮かべながらも、襲い掛かった不幸を共有するが如く寄り添っている。何といっても一糸乱れぬ群舞のウィリたちは、このバレエの重要な立役者である。愛と死をモチーフにした美しい舞台が堪能できる作品。バレエを観たことのない方にもお勧めだ。20日(水)と22日(金)には、イングリッシュ・ナショナル・バレエからダリア・クリメントヴァと、ワディム・ムンタギロフをゲストに迎え、米沢唯と厚地康雄のペアが出演。こちらの舞台にも期待が高まる。取材・文:高橋恭子(舞踊ジャーナリスト)
2013年02月19日今秋に来日公演を開催する“オペラの殿堂”ウィーン国立歌劇場が、小学生のためのオペラ「魔笛」を上演することが決定した。ウィーン国立歌劇場 小学生のためのオペラ「魔笛」の公演情報ウィーン国立歌劇場の子どものためのオペラ「魔笛」は、2003年に前総裁イオアン・ホーレンダーと前音楽監督の小澤征爾によって始められた企画。毎年2月に同劇場で行われる世界的に有名な大舞踏会のために客席を取りはらった平土間が活用され、子どもたちにオペラを体験してもらうというもの。モーツァルト作曲のオペラ「魔笛」の物語を約1時間とコンパクトにまとめ、主要アリアを網羅しつつ、パパゲーノ役の歌手がナビゲーターとなって、オペラの物語や楽器を紹介。演奏はウィーン・フィルが担当する。現地ウィーンでは非常に人気のある公演で、1回の公演で約3500人の子どもたちが観劇に訪れる。ちなみに小澤征爾は音楽監督在任中、本公演の指揮を毎回ノーギャラで引き受けていたという。今回の日本公演では、ウィーン国立歌劇場でも活躍中の甲斐栄次郎がパパゲーノ役を演じ、子どもたちへのナビゲートは日本語で行われる。もちろん子ども向けの企画といっても、超一流の歌手陣、ウィーン・フィルの演奏で上演される舞台は、間違いなく世界最高級のクオリティ。これまで海外の歌劇場が、日本で子ども向けの作品を上演することはほとんどなかっただけに、今回の“世界最高峰のオペラハウス”ウィーン国立歌劇場による舞台は、舞台芸術を通じた情操教育の一環としても非常に貴重な機会となるだろう。ウィーン国立歌劇場 小学生のためのオペラ「魔笛」は、10月26日(金)にKAAT 神奈川芸術劇場 ホールにて開催。親子券[小学生+大人]のチケットは、8月30日(木)10時より一般発売開始。また一般発売に先駆け、公演主催者によるFAX・メール先行抽選予約を7月20日(金)18時まで受付。※先行抽選予約の詳細は、公演公式サイトを参照。
2012年07月10日新国立劇場オペラ2011/2012シーズンのラストを飾る「ローエングリン」(新制作)が、6月1日(金)に開幕を迎えた。新国立劇場オペラ「ローエングリン」の公演情報「ローエングリン」は、中世の聖杯騎士伝説などを題材に、リヒャルト・ワーグナーが作曲・台本を手がけた傑作オペラ。舞台は10世紀のアントワープ、権勢欲うずまくブラバンド。弟殺しの罪で訴えられたブラバンド公女エルザの窮地を救うため、白鳥の騎士(ローエングリン)が登場するところから物語は展開していく。新国立劇場の上演は、1997年11月の開場記念公演以来15年ぶりとなる今回。新制作の演出を手がけるのはマティアス・フォン・シュテークマン、美術・衣装はロザリエ。ともに“ワーグナーの聖地”バイロイト音楽祭で長年にわたり活躍してきたふたりは、今回日本で初めてタッグを組む。演出のシュテークマンは、ローエングリンについて「キーワードはふたつ。神話と悲劇です。他のワーグナー作品に見られる救済の結末が(この作品には)なく、それは変化することを受け入れられない登場人物全員が、それぞれ何らかの失敗を犯してしまうことに起因します」と評す。人と人でないものが登場する――神話的要素を含む世界観をいかに表現しきるかに焦点を置いたロザリエの美術は、モダンな手法を用いたものになった。舞台上には、光と色彩が溢れる美しいセットが出現。ローエングリンの精神的な美しさを表現する青と銀をはじめ、登場人物たちの心情を色鮮やかに表す照明効果が、舞台空間を駆け巡り、視覚的にも惹きつけるステージとなった。また豪華キャストにも注目したい。特に白眉なのは、圧倒的な存在感を放ったローエングリン役のクラウス・フロリアン・フォークトだ。“バイロイトの新たな英雄”とも称賛される、しなやかで甘く、官能的で艶のある美声を披露。観客たちは、まるで劇中で白鳥の騎士に恋するエルザのように魅了された。その他、エルザ役にはワーグナー作品に定評のあるリカルダ・メルベート、テルラムント伯爵役にゲルト・グロホフスキー、国王役にギュンター・グロイスベック、欧州の一流歌劇場で活躍する歌手たちが出演。ドイツ・オペラの第一人者である名匠ペーター・シュナイダーの指揮のもと、歌唱面でも充実したステージを作り上げた。新国立劇場オペラ「ローエングリン」は、6月16日(土)まで全6公演を開催。チケットは発売中。
2012年06月01日