突然ですが、もしも近い将来、隕石(いんせき)が地球に衝突すると分かったとしたら、私たちはどうすればいいのでしょう?ただ手をこまねいて見ていることしかできないのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。実はこのような事態を想定して、すでに世界中の研究機関でいろいろな取り組みが検討されています。そこで今回は、その具体的な取り組みについて、少しご紹介してみたいと思います。■ 隕石(いんせき)はどこからやってくるのか?突然、地球にやってくる隕石(いんせき)ですが、そもそもどこから飛んでくるのでしょう。多くの場合、それらは火星と木星の軌道の間にある小惑星帯と呼ばれる場所からやってくると推測されています。小惑星帯には、数10万~数100万もの数の小惑星が太陽を中心に回っており、それらの小惑星や小惑星同士の衝突によってできた細かい破片のうち、地球に落ちてきたものが隕石(いんせき)の正体の大部分だと考えられています。また、隕石(いんせき)は主に鉄とケイ酸塩鉱物からできていますが、その成分比率の違いによって、大きく「鉄隕石(いんせき)」、「石鉄隕石(いんせき)」、「石質隕石(いんせき)」の3種類に分類されます。ちなみに、先日ロシアに落下した隕石(いんせき)は「石質隕石(いんせき)」でした。■ 隕石(いんせき)落下に対する取り組み(1)~早期発見~現在、隕石(いんせき)の衝突を回避させようという取り組みがいろいろと検討されていますが、そこでもっとも大事になってくるのが、地球に衝突する可能性のある天体の早期発見です。危険な天体を少しでも早く発見するために、「スペースガード財団」と呼ばれる組織がイタリアを本拠地として設立されており、日本やアメリカをはじめとした世界7ヵ国が協力して、日々監視を続けています。国内では「日本スペースガード協会」という組織が、岡山県の美星町(びせいちょう)を中心に活動をし、監視強化に取り組んでいます。■ 隕石(いんせき)落下に対する取り組み(2)~衝突を回避する~もしも観測によって、地球に衝突する恐れのある天体が見つかったらどうするのでしょうか。そのために、現在もそれらの衝突を回避するための研究が続けられています。取り組みの1つとして、2005年にはNASAで「ディープインパクト計画」が実行されました。「テンペル第一彗星」という直径3kmほどの小天体に、探査機から370kgのインパクターと呼ばれる弾丸を撃ち込むという実験で、こちらは見事に成功を収めています。現在は、この技術を応用して小天体の軌道を変えることで、地球への衝突を回避させようという試みが検討されています。また、これとは別にESA(欧州宇宙機関)で「ドン・キホーテ計画」というものも進められています。こちらは、直径500mほどの小惑星に、秒速10kmほどの速いスピードで宇宙機をぶつけることで、その軌道を変えることができるかどうかを検証するための実験です。■ 本当に安心なの?「ディープインパクト計画」や「ドン・キホーテ計画」の技術が応用できるようになれば、今後の天体衝突を心配する必要は無くなるのでしょうか。実は、それほど簡単な問題ではありません。というのも、今の監視体制では直径が数100m以下の小さな天体まですべて発見するのは難しいのが現状です。なぁんだ、小さいから大丈夫…とあなどってはいけません。この程度の大きさのものでも、地球にまともに衝突すれば、気候の変動をもたらすほどの威力を持っています。一方で、直径が1km以上の天体であれば、現在でもほぼ確実に発見することが可能となっています。ただし、発見してから正確な軌道を計算し、それから対処するとなると、どうしても時間がかかってしまいます。そういう意味でも、衝突の危険性を秘めた天体については、スペースガードセンターなどで、少しでも早く発見することが大事になるというわけです。■ 隕石(いんせき)の所有権は?ところで余談ですが、もし地上に落ちた隕石(いんせき)を見つけた場合、それは誰のものになるのでしょう。日本の場合には、その隕石(いんせき)が地面に埋まっているかどうかによって、所有権が違ってきます。地面に埋まっている場合には、その土地の所有者に権利があり、埋まっていない場合には拾った人に権利があります。■ まとめ地球への隕石(いんせき)落下の対策としては、その軌道を直接変えて回避してしまう方法など、世界中でさまざまな取り組みが検討されています。とはいえ、隕石(いんせき)の衝突を回避するためには、その可能性のある天体の早期発見がもっとも大事だというわけですね。(文/TERA)●著者プロフィールTERA。小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2013年03月31日地球からもっとも近い恒星である「太陽」。地球上に生命が誕生したのも、その生命が維持されているのも太陽からの恵みのおかげです。しかし、もしその太陽が地球に襲い掛かってくる可能性があるとしたら…。今回は、そんな太陽のもう1つの姿に迫ってみたいと思います。■ 太陽表面で起こる爆発日ごろなかなか実感する機会はないですが、太陽では実にさまざまな活動が起こっています。その中でも、太陽の大気中に蓄えられた磁場のエネルギーがもととなって、太陽表面で起こる巨大な爆発を「太陽フレア」といいます。これは、太陽系で起こっている爆発現象の中でも最大のもので、「太陽面爆発」とも呼ばれています。この太陽フレアが起こると、大量の電磁波(エックス線・ガンマ線のほか高いエネルギーを持った荷電粒子)が発生します。その後、宇宙空間へ飛び出していった電磁波は「太陽嵐」と呼ばれる現象を引き起こします。太陽嵐は、地球の周りを回っている人工衛星に電波障害を引き起こしたり、さらには地球を取り巻く電離層を乱したりします。電離層が乱されると、通常は反射するはずの短波を吸収してしまうため、それらを利用している航空・船舶無線やアマチュア無線などの長距離通信が使えなくなってしまうことがあります。これを「デリンジャー現象」と呼んでいます。実際、2003年には太陽フレアが頻繁に発生したことで、人工衛星や地上の航空・船舶無線の通信などに多くの影響を与えました。また、それより以前の1989年には、太陽フレアによる激しい太陽嵐によって地磁気に変動が起き、カナダのケベック州では地上の送電線に想定外の誘導電流が流れた結果、発電所の送電システムに障害が発生し、9時間もの大停電が起きたこともあります。■ 「スーパーフレア」と「太陽フレア」「スーパーフレア」とは、ここまで見てきた「太陽フレア」の数100倍~1,000倍もの規模の爆発で、水素爆弾に例えるとおよそ数十万~数千万個分のエネルギーを持ったものだとされています。スーパーフレアが起きるには、一定の条件が必要だとされ、太陽に似た恒星の場合では、その星の近くに「スーパージュピター」と呼ばれるタイプの巨大なガス惑星が回っていることが条件であると考えられてきました。そのため、これまで太陽では起きないと言われていました。しかし、最近の研究によって、そのような巨大ガス惑星を持たない恒星であってもスーパーフレアが確認されたことで、太陽でもこのスーパーフレアが起きる可能性が示されました。■ スーパーフレアが地球に与える影響先ほど、太陽フレアによる電磁波が地球に届き、通信障害や大停電が起こったということを紹介しましたが、もしも、その数100倍~1,000倍も威力があるスーパーフレアが起きたりしたら、地球はいったいどんな影響を受けるのでしょうか。一番の影響としては、スーパーフレアによって発生した強力な電磁波や電子などが地球に降り注ぐことにより、通信障害以外にもっと身近なところで電子機器が誤作動を起こすなどの可能性が懸念されています。なぁんだ、その程度か……と思うかもしれません。けれども、パソコンや携帯電話といった通信システムのみならず、発電所や交通機関、さらには人工衛星や軍事システムなど、あらゆるものが電子機器で制御されているこの現代社会では、それによってどのような事態が起こるのか、まったく予想がつきません。万が一、地球規模での大停電や通信障害が起これば、復旧までに相当な時間と費用がかかるため、世界経済に与える損失は計り知れないものとなるでしょう。■まとめ今回は太陽でも起こる可能性があるとされる「スーパーフレア」について紹介しました。地球の長い歴史の中では、何度か起こったことかもしれませんが、文明がより高度になって、電子機器が日常生活にあふれている現代社会においては、まったく予想していないような影響が出るかもしれません。とはいえ、太陽でこのような巨大なスーパーフレアが起こるというのはあくまで1つの学説に過ぎず、過去に太陽でスーパーフレアが発生したという痕跡も見つかっていません。むやみに過剰反応することなく、今後の研究によって発生の仕組みや可能性・影響範囲などが解明されることを期待しましょう。(文/TERA)●著者プロフィール小さいころから自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年12月23日三池崇史監督が手掛けたオリジナルムービー『地球兄弟』が、20歳以上の喫煙者のためのWebサイト“ちょっと一服ひろば”にて独占公開されている。その他の画像『地球兄弟』は、全6篇(予告編含む)からなるある愛の物語。喫煙所のベンチで出逢った、侍と宇宙人と妖精の世間話などを描いたゆるさ全開のオリジナルムービーだ。出演は、沖原一生、寿大聡、原田裕章。現在、Webサイト“ちょっと一服ひろば”では、予告編、第1話『La Rencontre ~出逢い~』、第2話『Les Retrouvailles ~再会~』までが公開されている。加賀百万石の藩士で、参勤交代で東京に出てきている侍と、白鳥座あたりから来たという宇宙人、捕虫網を持ち背中に羽の生えた妖精らしき人物が、「大名行列の道中は禁煙で…」「(宇宙)船内が全面禁煙になり…」と、喫煙所のベンチで交わす会話や、3人が織り成す世界観は独特でシュール。全編を通して三池ワールドが展開されている。『地球兄弟』JT・Webサイト“ちょっと一服ひろば”にて公開中予告編 公開中第1話『La Rencontre~出逢い~』公開中第2話『Les Retrouvailles~再会~』公開中第3話『Roman Noir~ハードボイルド~』11月中旬公開第4話『Pont Celeste~虹の架け橋~』12月中旬公開第5話『Bon Voyage~よい旅を~』1月中旬公開
2012年10月17日みなさんは「マヤ暦」って知ってますか!?この数年、テレビ番組などでも大きく取り上げられ話題になっているので、耳にしたことがある人も多いでしょう。「マヤ暦」とは、古代マヤ文明を築き上げたマヤの人々による暦のこと。彼らは高度な数学と天体観測技術を駆使し、火星や金星の軌道を計算していたと言われています。また、その技術を用いて、きわめて正確な暦を持っていたのです。「マヤ暦」はいくつかの暦から構成されていますが、そのひとつが「長期暦」のなかの「1時代」と呼ばれるもので、周期はなんと5125年!そして、この長期暦が終わる日にあたるのが、2012年12月21日――およそ1年後のことなのです。そして一部では、2012年12月21日、マヤ暦の終わりとともに地球が滅亡する!などと唱える説もあり、なんだか不穏……。そんな気になるマヤ暦について、エキサイト電話占いでは「 マヤ占いで診断 2012年の運勢 」という特集を展開中。この特集では、電話占いの人気占い師であり、日本におけるマヤ占い研究の第一人者の弓玉(みろく)先生が2012年の世界を予測しています。それによると、暦がリセットされ「イヤーゼロ」となる2012年は、次に挙げる4点がポイントとなるそう。●全体的には「水」に要注目●国際社会や新ビジネスで「女性」の活躍が著しくなる●「光」をテーマにした新しいつながりが、世界を救いへと導く●「火のセレモニー」が始まり、古い価値感が見直されるなんだか暗示的なメッセージですが、気になる点について、弓玉先生に直接聞いてみました!Q:女性の活躍が著しくなるとのことですが、キャリアアップを目指すか、婚期を逃さないように行動すべきか……心がけるべきポイントがあれば教えてください。弓玉先生:「女性にとって、キャリアアップにつながる未来をとるか、婚期を逃さないようにと保守的に考えるか、悩みはつきものだと思います。2012年は『香』という陽のエネルギーに満ちたアイデアが冴える年です。突き進むときには、この陽パワーが味方してくれるので、逃げ腰や弱気にならないことが大切です。キャリアアップにつなげたいなら、キーワードは『新しい自分の発見』かもしれません」Q:なるほど、「新しい自分の発見」ですね!恋愛面では新しい出会いが期待できそうでしょうか?弓玉先生:「そうですね。キーワードは『思いもよらぬところに!』です。新しい出会いは、自分が探す方向で見つかるとは限らないもの。出会いのチャンスばかりを求めるのではなく、女性がキラキラ輝いて立つ舞台や場があれば、周囲に出会いの引き寄せは必ずおこってきますよ」Q:思いもよらぬところに出会いがあるとは……!楽しみになってきました。来るべき出会いに向けて、運気をアップする方法があれば教えてください。弓玉先生:「電話占いの特集で『水』に要注目ということをお伝えしていますが、水の女神がもつパワーが充満する年になりそうなので、芸術や音楽、また共通の趣味をもつサークルなどに入って、様々な交流のなかで無邪気に振舞うことがよい出会いのチャンスをもたらしそうです。“大河に流れゆき、蒸発して天に昇り、雨となって地に降る”という水の循環サイクルをハートチャクラの中に取り入れることで、女神の浄化作用と女性ホルモンの活性化が始まり、運気がアップするかもしれません」弓玉先生、ありがとうございます!アドバイスを活かして、仕事も恋愛も、充実の2012年を送りたいものです。エキサイト電話占いの特集では、マヤ暦で予測する2012年について、さらに詳しく解説中。2012年の幸運周期、幸運をつかむポイントの無料診断もできるので、皆さんもぜひ試してみては!?>> マヤ占いで診断 2012年の運勢 はこちら
2011年12月13日今年は「地球にやさしい」を共通テーマに、環境に優しく電気を使わないクリマスデコレーションスタイルが、銀座・日本橋・霞が関エリアの各ビルに並ぶ。毛足が長く柔らかく太陽光線や室内灯で輝く「シャイニングツリー」と、光が乱反射しやすいオリジナルのカッティングを施した「スパンコールシート」を中心とした、エコな“クリスマスデコレーション”が、街を彩る。また、11月30日(水)から12月25日(日)の期間は、『ハートフルクリスマス』キャンペーンを開催。期間中、開催店舗で¥3,000以上購入すると抽選でクリスマスオーナメントがもらえるので、ぜひお立ち寄りを。クリスマスデコレーション実施ビル銀座エリア:銀座ベルビア館、銀座並木通りビル、銀座トレシャス、ZOE銀座、ギンザ・グラッセ、交詢ビルDINING&STORES※クリスマスデコレーションのみ、ニッタビル、GINZA gCUBE日本橋エリア:コレド室町、コレド日本橋、日本橋三井タワー霞が関エリア:霞ダイニング
2011年11月18日好きなことをして、大事な人と一緒に最後を迎えたいある日突然「明日、地球が消滅します」というニュースが流れたら、残された時間で何をしたいですか?やりたいことはたくさんあっても、限られた時間の中では優先順位をつける必要がありそうです。今回は女性528名に、心置きなく最後のときを迎えるためにやっておきたいこととその理由を尋ねてみました。>>男性編も見るQ.明日地球がなくなる前にやっておきたいことを教えてください(複数回答)1位好きなことをとことんやる41%2位お世話になった人に感謝を述べる39%3位好きな物をお腹いっぱい食べる37%4位好きな人に気持ちを伝える28%5位仲の良い友人と遊ぶ22%■好きなことをとことんやる派……・「今まで十分にできなかったことを存分に楽しみたい」(24歳/損保/事務)・「思いついたことは全部やりたい」(25歳/機械/研究開発)・「普段は高いからマッサージやエステに行きたくても我慢してしまうけど、明日地球がなくなるとしたらためらわずやると思う」(27歳/ソフトウェア/秘書・アシスタント)■お世話になった人に感謝を述べる派……・「普段なかなかできないことであり、やっておかないと後悔しそうだから」(22歳/医薬品/サービス)・「どこかへ行くよりは大事な人にできるだけ多く会いたい」(25歳/小売/販売)・「今まではそんなこと思わなかったけど、最近はそう思うようになった」(28歳/自動車関連/営業)■好きな物をお腹いっぱい食べる派……・「ダイエットを気にせず思いきり楽しみたい」(22歳/医療/営業)・「スイーツをたくさん食べたい」(27歳/食品/総務)・「食べることが好きなので、普段我慢しているものを思いっきり食べたい」(27歳/官公庁/秘書・アシスタント)■好きな人に気持ちを伝える派……・「後悔したくないから。自分のことを忘れないでほしいから」(21歳/小売/販売)・「遠距離恋愛中なので、どうにかして相手に会いに行きます」(25歳/ソフトウェア/総務)・「万が一フラれても明日がないから問題ない」(25歳/ソフトウェア/SE)■仲の良い友人と遊ぶ派……・「大好きな仲間ととことん遊び尽くしたい」(23歳/マスコミ/マーケティング)・「友達と遊んで楽しいまま死にたい」(25歳/建築/総務)・「物ではなく、人と接したい。そして『やっぱりこの人達と知り合えて良かったな』って思ってからいなくなりたい」(28歳/IT/クリエイティブ)総評好きなことを好きなだけやって、食べたいものを食べ尽くす……。回答からは、さまざまな制約のある日常生活の中でいかにやりたいことを我慢しているかが見えてきました。また、家族や恋人、親友などお世話になった人たちに感謝し、一緒に最後の時間を過ごしたいという気持ちも、普段思っていてもなかなかできていない現状の裏返しのようです。あくまで仮定の話とはいえ、地球最後の日になって焦らないよう、たまには思い切ってやってみるのもいいかもしれませんね。(文・大谷連太)調査時期:2010年8月9日~8月23日調査対象:COBS ONLINE会員調査数:女性528名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンクコレって自分だけ?気になる他人の価値観を知りたい方はコチラ【女性編】生まれ変わるならこんな家庭ランキング【女性編】20代のうちにしておきたいことランキング完全版(画像などあり)を見る
2010年09月24日いやはや、いったいこの男、何度地球を壊せば気が済むのか――?『インデペンデンス・デイ』に『デイ・アフター・トゥモロー』など、信じられないような映像世界を世に送り出してきたローランド・エメリッヒ。このたび新たに、彼の興味を引いたのは、マヤ文明における地球滅亡の予言。2012年12月に人類の歴史は終わるというマヤ暦に基づいて最新作『2012』は製作され、今回もまた凄まじい映像を作り上げた。公開は11月。現在も完成に向けて作業が続けられているという本作について、エメリッヒが口を開いた。「不可能と思える映像に惹かれる」先日監督が来日した際、報道陣に向けて公開されたフッテージ映像では、地盤が沈下し、街が雪崩のように崩れ落ちていく映像が映し出された。監督は、誇らしげにこう語る。「不可能と思えるような映像に惹かれるんです。見たことのないイメージを作ることで、人々を劇場に向けさせることができると思っています。昔、映画が出来たばかりの頃、ある人が線路にカメラを置いて、走ってくる汽車の映像を撮ったんです。観客はあまりの迫力に劇場から逃げ出しました。その評判が口コミで広まってみんなが劇場に押し寄せたそうですが、自分が作りたいのは、まさにそんな映像です」。前作『紀元前1万年』を製作した際には「マンモスの毛が風にそよぐのを再現するのが難しかった」と並々ならぬ細部への思い入れを語っていたエメリッヒ。では、本作で最も苦労したのはどのような部分だろうか?「やはり、いかにリアルな映像に見せるかがポイントです。L.A.の街を精巧にコンピュータで作り上げ、そこで地震を起こしたりしました。また、イエローストーン国立公園のシーンでは、空から火の玉が降ってくるんですが、そうすると多くの煙が上がります。煙を作るのは、いまだに非常に難しいことなんです。今回はとにかく、凄まじい出来事が数多く起こりますからね。そのために新たなソフトウェアを開発し、いまだに映像を作る作業は続いているんです」。「知っている人々と知らない人々、それぞれの物語を描いている」今回、大災害に見舞われ、家族を守るために奮闘する主人公を演じるのは、エメリッヒが「元々、僕は彼の大ファン」と言うジョン・キューザック。彼の起用を含め、人間ドラマの部分についてこう語る。「必要とされたのは、ごく普通の人間であると同時に知的な部分がある俳優。僕は俳優を見るとき、その人がコメディをできるかどうかで見ます。彼には必要な要素が揃っていました。そして、今回の物語で見せようとしたことは2つあります。1つは、この先起こる災害のことを知っている政治家たち。彼らはパニックや株の暴落を恐れて災害のことを隠し、秘密裏に船を作っています。もう1つは、ジョン・キューザック演じるジャクソンのように何も知らない一般の人たちのこと。彼は偶然この事実を知り、別れた妻や子供たちを取り戻すためのセカンドチャンスを与えられることになるんです。物語の終盤では、この2つの立場の人たちが同じ船に乗り込むことになっていて、複雑な話になっています」。さらに、日々進化し続ける映像技術について尋ねると…。「私が映画作りを始めた頃は、脚本段階でこれは可能か?不可能か?ということを考えながら書いていました。『インデペンデンス・デイ』のときは、試す前から不可能とされたこともありましたが、いまでは全てが可能です。とは言え、お金と時間があればの話ですがね(笑)。いずれ俳優を含め、全てをパソコン上で作り上げることができるようになるでしょう。SFやファンタジーにとってそれは適した技術だと思いますし、興奮しますよ。僕自身は、平凡な日常に、突如として非日常が入り込んでくるような物語に惹かれますが、次回作ではヒューマンドラマを撮るつもりです。エリザベス1世の時代の話なのですが、その時代をロケで再現するのではお金がかかり過ぎるため、ヒューマンドラマでありながら、ビジュアル・エフェクトを使い、俳優たちにはブルー・スクリーンの前で演技してもらうことを考えています」。いまだ製作中の作品を抱えているというのに、次の作品へのアイディアが続々と飛び出してくる。この男のイマジネーションは底なしか――。まずは『2012』で現実以上かもしれない“未来”を体験してほしい。■関連作品:2012 2009年11月21日より丸の内ルーブルほか全国にて公開紀元前1万年 2008年4月26日より丸の内ピカデリー1ほか全国にて公開© 2007 Warner Bros. Entertainment Inc.■関連記事:エメリッヒ最新作『2012』映像が世界初公開安めぐみは「滅亡前に結婚したい!」執念で描き上げたマンモス!ローランド・エメリッヒ監督が 『紀元前1万年』を語る「僕だって愛を信じているよ」『紀元前1万年』の新星、スティーヴン・ストレイトアッキーナ、セクシーな“紀元前1万年コスチューム”でハリウッド進出?大迫力の映像で贈る『紀元前1万年』プレミア試写会に15組30名様ご招待
2009年08月14日