アニメ作家、塚原重義が原作・脚本・監督を務める劇場長編アニメーション『クラユカバ』が、第27回ファンタジア国際映画祭にて、長編アニメーション部門の観客賞・金賞を受賞した。探偵業を営む荘太郎に舞い込んだのは、自身の暮らす扇町を騒がす奇怪な集団失踪事件の解明。目撃者はいない。目的も分からない。しかし、被害者に共通したのは現場に残された“不気味な轍”…手がかりを求めて訪れたのは、奈落に巣食う地下迷宮“クラガリ”。そこに、現れた銀髪の少女との出会いをキッカケに事態は大きく動き出す。2018年・2020年にかけて実施した2回のクラウドファンディング企画にて累計1,570万364円の支援を集めた本作は、探偵業を営む荘太郎が、町で起こる奇怪な“集団失踪事件”の解明に挑む姿が描かれた痛快探偵活劇。荘太郎を演じるのは令和4年度花形演芸大賞・大賞を受賞し、“最もチケットが取れない講談師”と言われる六代目神田伯山。監督を務めた塚原重義は、2002年頃よりアニメーションの自主制作を始め、近年はオリジナルの短編作品を発表しつつ、「SEKAI NO OWARI」ライブのステージデザイン協力など、映像以外の世界観構築も手掛けている。本作が初の長編アニメーション監督作品となり、事件の真相はもちろん、塚原監督が作り出すノスタルジーを感じるフィルムも必見だ。ファンタジア国際映画祭はカナダ・モントリオールで1996年から開催されている北米最大のジャンル映画祭。ジャンル映画の中でも特にアジア映画に強みを発揮しており、なかでもアニメーション部門は、日本の名監督であった、故・今敏の名前から由来してグランプリが今敏賞と名付けられていることでも知られている。なお本年の長編アニメーション部門には『THE FIRST SLAM DUNK』(原作・監督・脚本:井上雄彦)、『SAND LAND』(原作:鳥山明)など、日本でも話題を集めた作品が選出されている。観客賞は、映画祭参加者からの投票により決定される賞で、本作は映画祭開催中2回の上映が行われ、各回ともに満席となっていた。上映後に行われた塚原監督登壇のトークセッションでは、観客から多くの歓声が上がった。<塚原重義監督コメント>本作がワールドプレミアの場でこのような素晴らしい賞をいただけたこと、そして何より文化圏の異なる地の方々に楽しんでいただけたことが大変光栄です。これを今後の糧としていきたいです。本作は現在、国内上映に向けて進行中。今後の展開にも注目だ。(シネマカフェ編集部)
2023年08月16日イタリアで開催される世界最大のアジア映画祭、第25回ウディネ・ファーイースト映画祭にて、『PLAN 75』の主演でも話題を呼んだ倍賞千恵子にゴールデン・マルベリー(生涯功労賞)が授与されることが決まった。第25回ウディネ・ファーイース映画祭では、昨年2022年の北野武監督に続いての倍賞さんの授与。最新主演作『PLAN 75』(2022年/早川千絵監督)とともに、ウディネ・ファーイースト映画祭の観客のために倍賞さん自ら選んだ傑作、『男はつらいよ』シリーズ1作目の『男はつらいよ』(1969年/山田洋次監督)と『家族』(1970年/山田洋次監督)の特別上映も行われ、倍賞さんが現地に赴き、映画祭にも参加する。『PLAN 75』倍賞さんは「ウディネ・ファーイースト映画祭功労賞を受賞し招待されたと聞き『え、何故?どうして『PLAN 75』で?』ビックリ。お聞きしたら、私が映画の世界に入ってから演じ仕事をして来た事に対しての生涯功労賞との事、とてもビックリ致しました」とコメント。また、「日本で仕事していた私を、外国の方が見ていて下さった事に大変驚き、感謝し、うれしく思っています。映画って素晴らしいですヨネ。ウディネ・ファーイースト映画祭の皆さん本当にありがとうございました。私、これからも精進してまいります」と改めて意気込みを語った。ゴールデン・マルベリー(生涯功労賞)を受賞される倍賞千恵子さんは、1941年生まれ。映画『男はつらいよ』シリーズ50周年記念作品である映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』を含む本シリーズ全作品(1969年~)にさくら役でお馴染み。1980年には『遙かなる山の呼び声』、『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花』(共に山田洋次監督)にて第4回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞、『劇場版 機動戦士ガンダムI』『ジャングル大帝』『ハウルの動く城』など、アニメーションの世界でも声優としても活躍する。映画祭で上映される『PLAN 75』は、早川千絵監督の長編デビュー作で、2022年・第75回カンヌ国際映画祭にてカメラドール特別賞を受賞、イタリアではタッカーフィルム配給で今年5月11日より公開される予定。『PLAN 75』は企画開発中に、2019年のウディネ・ファーイースト映画祭の期間中に行われる「フォーカス・アジア」という業界関係者向けのネットワーキングセッションにも選出されていたプロジェクトであり、早川監督はこの年、オムニバス映画『十年Ten Years Japan』の一編『PLAN75』の監督としても、映画祭に参加していた。「第25回 ウディネ・ファーイースト映画祭」は4月21日(金)~4月29日(土)イタリア、ウディネにて開催。『PLAN 75』Blu-ray・DVDは4月26日(水)より発売。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PLAN75 2022年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
2023年03月23日日本公開から半年以上、全国各地の映画館でロングラン上映を続けている『PLAN75』。この度、第65回ブルーリボン賞にて主演女優賞(倍賞千恵子)&監督賞(早川千絵)を受賞したことを記念して、公開時のメイン館である新宿ピカデリーにて3月10日(金)より再々上映が決定した。6月の公開週にはメイン館の新宿ピカデリーの週末動員数で、『トップガン マーヴェリック』の動員を抑え1位を記録。シネスイッチ銀座では、金曜日の初回からチケットを求めて観客が長蛇の列をなし、土日も満席の回が続出。30代以降の映画ファンを中心に女性のグループ、夫婦・カップルなど複数での鑑賞が多く、幅広い客層に支えられてロングラン上映、現在、興行収入は3.4億円に迫っている。SNSを中心に「震えるほど感動」「頭から離れない」「“生きる”という命題を観る者に突きつける大傑作」など絶賛の声が多く寄せられたほか、“75歳以上に生死の選択権を与える<プラン75>の制度”に対して、賛否両論を巻き起こした本作。作品への口コミの高さに加え、キャスト陣の演技も高く評価され、第46回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、優秀脚本賞や第65回ブルーリボン賞 主演女優賞、監督賞をはじめとした国内の主要映画賞を獲得している。また、第47回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門や国際映画祭への出品も相次ぎ、フランス、シンガポール、タイ、台湾など30か国以上の国と地域で配給されるなど、世界各国でも評価を受けている。この度、3度目の新宿ピカデリーでの上映決定を受け、倍賞さんは「監督をはじめ、キャスト、スタッフの皆さんと同じ方向を向いて一生懸命に作り上げた作品を多くの方にご覧いただけて嬉しいです」とコメント。なお、早川監督は次回作に向け、脚本を執筆し始めているという。『PLAN 75』は3月10日(金)より新宿ピカデリーにて再々上映、全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PLAN75 2022年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
2023年02月24日主演に倍賞千恵子、共演に磯村勇斗、河合優実らを迎え、早川千絵監督が第75回カンヌ国際映画祭・カメラドール特別表彰を授与された映画『PLAN 75』が、第95回米国アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表に決定。日本映画製作者連盟からの発表を受け、早川監督から喜びのコメントが到着した。本作は、近い将来の架空の日本を舞台に、超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。主人公の角谷ミチを演じる倍賞さんをはじめ、磯村さん、河合さん、さらにたかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃えた。脚本・監督は、本作が長編初監督作品で、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への正式出品、カメラドール特別表彰授与という快挙を成し遂げた早川監督。「『PLAN 75』という映画はどんどん一人歩きしていくなあと、不思議な気持ちでいます。もはや自分が監督した映画だという気がしないくらい、見てくださった方の映画になっていると感じています。このような評価をいただき光栄です」と喜びの声を寄せた。公開週にはメイン館の新宿ピカデリーの週末動員数で『トップガン マーヴェリック』の動員を抑え、1位を記録。シネスイッチ銀座では、金曜日の初回からチケットを求めて観客が長蛇の列をなし、土日も満席の回が続出した。6月17日(金)から8月11日(水)までの56日間で興行収入3億円を突破。公開から2か月経った現在もロングラン上映中を続けている。また、9月8~18日に開催される第47回トロント国際映画祭のコンテンポラリー・ワールド・シネマ部門や国際映画祭へ出品が相次ぎ、現在、フランス、シンガポール、タイ、台湾など30か国以上の国と地域で配給が決定。世界中から大きな注目を集めている。今後、アカデミー賞国際長編映画賞部門は各国の代表作品から候補作が絞られ、2023年3月の授賞式にて受賞作品が決定する。『PLAN 75』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PLAN75 2022年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
2022年09月03日現在公開中の映画『PLAN 75』より、主演の倍賞千恵子の誕生日、6月29日を記念して、倍賞が「林檎の樹の下で」を歌う本編映像が公開となった。第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門正式出品され、カメラドール特別表彰を授与された本作は、超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。脚本・監督は、本作が長編初監督作品ながら、2022年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への正式出品、カメラドール特別表彰授与を成し遂げた早川千絵が務め、主人公・角谷ミチを倍賞が演じるほか、磯村勇斗、河合優実、たかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが脇を固めた。公開後、全国各地で満席の回が続出する大ヒットとなり、海外での公開・映画祭への出品も決定。今後、フランスやイタリア、中国、タイなど10カ国で公開され、7月1日から開催されるチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭への出品が決まっている。この度、主演の倍賞千恵子の誕生日、6月29日を記念して、劇中、倍賞が演じるミチが、職場の同僚である友人たちとカラオケに興じる本編映像が公開された。ミチの十八番は「林檎の樹の下で」。劇中ではこの歌が印象的に使われている。もとはアメリカの楽曲で、日本では1937年にディック・ミネが日本語訳で歌ったことで一躍有名に。その後、度々カバーされ、周防正行監督の映画『シコふんじゃった。』(1992)のエンディングやドラマ、CMでも使用されてきた。早川監督はこの曲を選んだ理由を「もともと好きな曲、“また明日も会いましょう”という歌詞が生きることを物語っていて、映画ともリンクしていると思った」と語っている。倍賞自身はこの場面の撮影を振り返り、「早川監督からは、あえて下手に歌ってください、とリクエストを受けた。それが難しかった」と語っている。倍賞の美しい歌声、そしてミチの隣で軽快なリズムをとる大方演じる稲子の姿も見どころとなっている。なお、6月25日(土)には倍賞のバースデーコンサートが開催予定。そこでは「林檎の樹の下で」も初披露される。『PLAN 75』公開中
2022年06月24日全国公開中の映画『PLAN 75』より、倍賞千恵子のコメント映像が公開された。第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門正式出品され、カメラドール特別表彰を授与された本作は、超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。脚本・監督は、本作が長編初監督作品ながら、2022年カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への正式出品、カメラドール特別表彰授与を成し遂げた早川千絵が務め、主人公・角谷ミチを倍賞が演じるほか、磯村勇斗、河合優実、たかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが脇を固めた。6月17日の公開より大ヒットスタートを切っている。倍賞は、「皆さんもこの映画を観て、自分の生き方とか、命の大切さとか、愛とか、そういうことを一緒に観ながら考えて頂けるといいなと思います。お友達と一緒に、愛する人と一緒に、是非この映画を観てください。劇場にいらしてください」と、映像内でコメントを寄せた。『PLAN 75』全国公開中
2022年06月21日倍賞千恵子主演作『PLAN 75』が第75回カンヌ国際映画祭にてカメラドール スペシャル・メンション(特別賞)を受賞した。日本映画においては、1997年に河瀨直美監督が『萌の朱雀』でカメラドールを日本人監督として初受賞してから、25年ぶりの快挙となり、日本人監督が本賞を受賞するのは初となる。今回、脚本・監督を務めた長編映画デビュー作『PLAN 75』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門への正式出品という快挙を成し遂げた早川千絵監督。映画監督・是枝裕和が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』から新たに構築、キャストを一新し、超高齢化社会に対応すべく75歳以上が自らの生死を選択できる制度<プラン75>が施行され、その制度に大きく翻弄される人々の姿を描いた衝撃作。主人公・角谷(かくたに)ミチを演じるのは9年ぶりの単独主演作となる倍賞千恵子。<プラン75>に携わる側には磯村勇斗、河合優実を配し、他にたかお鷹やステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが顔を揃えた。現地時間5月20日14時に行われた公式上映には、磯村勇斗とステファニー・アリアン、そして早川千絵監督が登場し、5分以上にわたるスタンディングオベーションを受けた後、感激した観客がそばに駆け寄り、「素晴らしい映画だった」と監督をハグする姿も見られた。現地メディアや映画評論家等からは「表面上は穏やかに見えるが、不必要と見なされた人々を見捨てる社会に対してしっかりとメッセージを伝え、観る者の心をざわつかせる」「倍賞千恵子の演技は、間違いなく観る人の琴線に触れるだろう」「繊細な脚本と、それを見事に体現したすばらしい演技で、日本映画として今年のカンヌ映画祭に立派な足跡を残した」「強烈な余韻を残すが、何よりも物質主義的な現代において、いかに生死と向き合うべきか、疑問を投げかけてくる」と監督の手腕や役者たちの演技へ絶賛の声が多く寄せられた。先ほど、現地時間5月28日に、第75回カンヌ国際映画祭授賞式が開催された。カメラドール スペシャル・メンション受賞者として名前を呼ばれた早川監督は緊張の面持ちで舞台に上がると、まず「メルシーボークー」とフランス語で挨拶をし、「誰にとっても最初の一本目というのは思入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な一本目の映画をカンヌに呼んでいただき、評価してくださって本当にありがとうございます」と感謝の言葉を伝えた。そして、「『PLAN 75』という映画は今を生きる私たちに必要な映画であると言ってくれた方がいました。その言葉が心に深く響いています」と万感の表情で本作への反響を語った。日本で、受賞の一報を受けた倍賞千恵子からは「この作品で「生きるということ」を優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱く蘇ってきました。サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。本当におめでとうございます」と祝福のコメントが届いた。また、公式上映に参加した磯村勇斗は「受賞を聞いて、心が喜びで波打っています。監督に現場で寄り添っていただいた日々が恋しいです」と語り、<プラン75>に携わる瑶子を演じた河合優実は「ひとりひとりの心に何かを届け、それが今回このような形で残ることを、私も大変嬉しく思います。これからも、早川監督のように心を尽くしてものづくりをされている方に光が当たる世界であることを願っています」とコメントを寄せた。なお、日本人監督の作品が「ある視点」部門に出品されるのは、2017年の黒沢清監督『散歩する侵略者』以来5年ぶり。日本人女性監督としては、15年『あん』の河瀬直美監督以来2人目となる。【コメント全文】■倍賞千恵子(角谷ミチ役)おめでとうございます。この作品で「生きるということ」を優しく、力強く撮影していた日々が、昨日のことのように熱く蘇ってきました。サァーこれからもどんどん映画作ってくださいね。本当におめでとうございます。■磯村勇斗(岡部ヒロム役)早川監督、受賞おめでとうございます!受賞を聞いて、心が喜びで波打っています。監督に現場で寄り添っていただいた日々が恋しいです。改めて『PLAN 75』に参加させて頂けたことを光栄に思います。早く日本の皆様にも届けたいです。■河合優実(成宮瑶子役)早川監督、受賞、本当におめでとうございます。『PLAN 75』がひとりひとりの心に何かを届け、それが今回このような形で残ることを、私も大変嬉しく思います。これからも、早川監督のように心を尽くしてものづくりをされている方に光が当たる世界であることを願っています。■早川千絵監督※授賞式の際のスピーチ全文すべての映画監督に最初に撮る一本目の映画があります。誰にとっても最初の一本目というのは思入れが深く、特別なものだと思うのですが、私にとっての特別で大切な一本目の映画をカンヌに呼んでいただき、評価してくださって本当にありがとうございます。『PLAN 75』という映画は今を生きる私たちに必要な映画であると言ってくれた方がいました。その言葉が心に深く響いています。『PLAN 75』6月17日(金)より公開
2022年05月30日映画『PLAN 75』が、2022年6月17日(金)よりロードショー。主演は倍賞千恵子、脚本・監督は早川千絵が務める。75歳から“生死を選択できる制度”と翻弄される人々を描く映画『PLAN 75』は、是枝裕和が初めて総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten YearsJapan』の一篇『PLAN75』を新たに構築、キャストを一新した作品。早川千絵監督のオリジナル脚本による、自身初の長編映画だ。物語の舞台となるのは、超高齢化社会に対応すべく、75歳以上が自ら生死を選択できる制度<プラン 75>が施行された日本。年齢による命の線引きというセンセーショナルなモチーフを打ち出しつつも、懸命に生きる人々の姿を、繊細かつ丁寧に描いた。『PLAN 75』の主人公は、夫と死別し、長年一人で暮らしてきたが、高齢を理由に、余儀なく失職に追い込まれてしまう女性・角谷ミチ。あっという間に社会での居場所を失いかけるミチを中心に、架空の社会制度<プラン75>、そして様々な立場にいる人々を通して、「生きる」という究極のテーマを全世代に問いかける作品となっている。早川千絵監督によると、『PLAN 75』の発想のきっかけは、「ここ数年の間に”自己責任”という言葉を多く耳にするようになり、社会的に立場の弱い人への風当たりが強くなっていることへの憤り」だったという。また、「ここ最近は年をとることに対する不安ばかりがメディアで煽られるようになっている。高齢化社会の問題が解決に向かわないことの憤りが、高齢者自身に向けられているように感じる。誰もがこの先体験するという意味で想像しやすいであろう高齢者を主人公にした物語を描こうと思った」と語っている。主演は倍賞千恵子主人公・角谷ミチ...倍賞千恵子夫と死別してひとりで暮らす78歳の女性。高齢を理由に清掃の仕事を解雇され、住む場所をも失いそうになり、<プラン 75>の申請を検討し始める。主演を務める倍賞千恵子は、脚本を読み「最初は“酷い話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて…それだけで出演を即決しました」と振り返る。岡部ヒロム...磯村勇斗市役所の<プラン 75>の申請窓口で働く職員。映画『ヤクザと家族 The Family』、『東京リベンジャーズ』、『劇場版 きのう何食べた?』やドラマ「サ道」などに出演し、2022年の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した磯村勇斗が演じる。成宮瑶子...河合優実死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフ。<プラン 75>に強い疑問を抱いていく。映画『サマーフィルムにのって』、『由宇子の天秤』で多くの新人賞を獲得している新鋭・河合優実が担当。岡部幸夫…たかお鷹制度の申請に赴いた役所で偶然、疎遠だった甥であるヒロムと再会する孤独な男性。『燃えよ剣』やNHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などに出演するたかお鷹が演じる。マリア...ステファニー・アリアンフィリピンから単身来日した介護職員。幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給な<プラン 75>関連施設に転職するも、利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて毎日の作業に臨む。『メランコリック』のステファニー・アリアンが務める。出演者にはその他にも、ドラマ「あなたの番です」の大方斐紗子、俳優・演出家として活躍する串田和美らが名を連ねる。牧稲子…大方斐紗子ミチの同僚。勤務中に倒れてしまう。藤丸釜足…串田和美カンヌ国際映画祭でカメラドール スペシャル・メンション(特別賞)に映画『PLAN 75』は、第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門へ正式出品。カメラドール スペシャル・メンション(特別賞)に輝いた。日本人監督作品が「ある視点」部門に出品されるのは、2017年の黒沢清監督『散歩する侵略者』以来5年ぶり、カメラドール スペシャル・メンション(特別賞)の授与は日本人監督初の快挙となる。また、第75回カンヌ国際映画祭では、是枝裕和監督初の韓国映画『ベイビー・ブローカー』が「コンペティション部門」に正式出品され「最優秀男優賞」など2冠を果たしているが、日本製作の映画は『PLAN 75』のみだ。アカデミー賞 国際長編映画賞部門の日本代表に『PLAN 75』は、第95回米国アカデミー賞 国際長編映画賞部門の日本代表にも選出。2023年3月の発表に向けて、今後のショーレースでの動向にも注目が集まる。<映画『PLAN 75』あらすじ>少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本。満75歳から生死の選択権を与える制度<プラン 75>が国会で可決・施行された。様々な物議を醸していたが、超高齢化問題の解決策として、世間はすっかり受け入れムードとなる。夫と死別してひとりで慎ましく暮らす、角谷ミチは78歳。ある日、高齢を理由にホテルの客室清掃の仕事を突然解雇される。住む場所をも失いそうになった彼女は<プラン 75>の申請を検討し始める。一方、市役所の<プラン 75>の申請窓口で働くヒロム、死を選んだお年寄りに“その日”が来る直前までサポートするコールセンタースタッフの瑶子は、相手の顔を見て交流することで、このシステムの存在に強い疑問を抱いていく。また、フィリピンから単身来日した介護職のマリアは幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の<プラン 75>関連施設に転職。利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて作業に臨む日々を送る。果たして、<プラン 75>に翻弄される人々が行く着く先で見出した答えとは―――。【詳細】映画『PLAN 75』公開日:2022年6月17日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開監督・脚本:早川千絵出演:倍賞千恵子、磯村勇斗、たかお鷹、河合優実、ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2022年04月18日倍賞千恵子が主演を務める映画『PLAN75』が、6月より全国にて公開されることが決定した。本作は、映画監督・是枝裕和が総合監修を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇『PLAN75』を新たに構築、キャストを一新した、早川千絵監督の初長編映画。75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する制度が施行され、その制度に翻弄される人々の姿を描く衝撃作だ。年齢で命が線引きされてしまうことの恐ろしさとそのようなシステムを生み出してしまう社会構造や人々の意識に対し、痛烈な批判を込めて、生きるとは何か?を問いかける。主人公・ミチを演じるのは倍賞千恵子。倍賞さんは脚本を読み、「最初は“酷い話”だと思ったのですが、物語の終盤でミチがある選択をする姿が描かれており、そこにものすごく心打たれ、惹かれて……それだけで出演を即決しました」と、ミチを演じる覚悟を決めたとふり返る。共演には『東京リベンジャーズ』『劇場版きのう何食べた?』などに出演、本年度日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した俳優の磯村勇斗、『燃えよ剣』やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」などで重要な役どころを演じているたかお鷹、『サマーフィルムにのって』『由宇子の天秤』で多くの新人賞を獲得している新進女優・河合優実らが顔を揃えている。昨年12月から始まった撮影はこの度、無事クランクアップ。倍賞さんは公開に向けて「『PLAN75』のような社会があってはならないと思うし、決して良いことではありません」「皆さんにもこの映画を観ながら、自分の命や愛、生活などいろんなことを考えていただきたいです。きっとこれからの人生に役立つでしょうし、考えながら最後まで観てもらえると嬉しいです」と期待を寄せる。また倍賞さんと初共演を果たした磯村さんは「目で芝居をすることを意識しました。直近で演技を拝見し、同じ時間を共有させていただけたことは光栄でした」と明かし、河合さんは「ミチとの電話でのやり取りのシーンを本読みした際、倍賞さんの声を聞いて、自分が思っていた以上に心が動きました。言葉で言い表すのがもったいないような、訳もない感動でした。いま倍賞さんに感じさせていただいたことをそのまま大切にして撮影現場に行けば大丈夫だと、心から思えた貴重な時間になりました」とそれぞれが現場で意義のある経験ができたと語っている。『PLAN75』は6月、新宿ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:PLAN75 2022年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2022『PLAN75』製作委員会 / Urban Factory / Fusee
2022年01月27日2018年9月3日、日本体操協会の塚原光男副会長と妻の千恵子女子本部長が、『週刊文春』(文藝春秋社)に掲載された自身の記事が不適切として、東京地裁に「掲載禁止の仮処分命令の申し立て」を行ったことが話題になりました。このような出版物の掲載禁止要求は極めて異例で、対応が注目されましたが、東京地裁は5日に「差し止めの要件を充足しない」として却下しています。犯罪行為や不貞など、掲載された内容が真実ならば致し方ない部分もありますが、事実と異なる場合はやはり掲載を差し止めたいもの。そのようなことは可能なのか。また、過去に事例はあるのか。パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に見解をお伺いしました。 ■差し止めは可能なのか?櫻町弁護士:「名誉毀損にあたる記事が公表されそうなときに、これを一般の目に触れないようにするための法的手段としては、今回のような「出版物(週刊誌等)への記事掲載差し止め」という形のほか、出版(製本)差し止め、頒布(販売、配布)差し止めといった形があります。このような「事前の」差し止めが認められるかについてのリーディングケースとしては、最高裁昭和61年6月11日判決(民集40巻4号872頁)があります。この最高裁昭和61年判決は、「人の品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価である名誉を違法に侵害された者は、損害賠償(民法七一〇条)又は名誉回復のための処分(同法七二三条)を求めることができるほか、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し、現に行われている侵害行為を排除し、又は将来生ずべき侵害を予防するため、侵害行為の差し止めを求めることができるものと解するのが相当」として、「人格権としての名誉権に基づく差止請求」を肯定しました(なお、この裁判自体は、差し止めの可否が直接的に争われたものではなく、雑誌出版差止めを裁判所が認めたことは違法だとして、雑誌の発行会社が国などに対して損害賠償を求めたものです)。ただし、こうした事前差し止めは、表現が一般に伝わる前に制限してしまうものであり、「表現の自由」(憲法21条)に対する重大な制約であることから、差し止めが認められるべきかどうかについては、慎重に判断しなければならないとされています。 ■裁判所の判断は…櫻町弁護士:「この点について上記最高裁昭和61年判決は、「表現行為に対する事前抑制は、新聞、雑誌その他の出版物や放送等の表現物がその自由市場に出る前に抑止してその内容を読者ないし聴視者の側に到達させる途を閉ざし又はその到達を遅らせてその意義を失わせ、公の批判の機会を減少させるものであり、また、事前抑制たることの性質上、予測に基づくものとならざるをえないこと等から事後制裁の場合よりも広汎にわたり易く、濫用の虞があるうえ、実際上の抑止的効果が事後制裁の場合より大きいと考えられるのであつて、表現行為に対する事前抑制は、表現の自由を保障し検閲を禁止する憲法二一条の趣旨に照らし、厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容されうる」として、「厳格かつ明確な要件」を満たす場合にのみ、差止請求が認められるとしました。そして、その「厳格かつ明確な要件」について、具体的には「表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは、当該表現行為はその価値が被害者の名誉に劣後することが明らかであるうえ、有効適切な救済方法としての差し止めの必要性も肯定されるから、かかる実体的要件を具備するときに限つて、例外的に事前差し止めが許されるものというべき」としています。今回、文春オンラインの記事によれば、「塚原氏側の代理人弁護士から東京地裁に「掲載禁止の仮処分命令の申し立て」、事実上の出版の事前差し止め請求がなされた。」とありますが、名誉権に基づく差止請求であったのかどうかは不明です(ただし、当該記事が、塚原氏らのパワーハラスメント等について取り上げたものであったとすれば、記事の内容が名誉毀損にあたるとして、名誉権に基づく差止請求として申し立てたものと推測されます)。東京地裁は、この仮処分申請を「差し止めの要件を充足しない」として却下したということですから、差止めが認められる要件を充足していなかったため、裁判所は塚原氏らの差止請求を認めなかったということになりますが、東京地裁が、最高裁昭和61年判決の示した厳格かつ明確な要件、すなわち、「表現内容が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるとき」という要件を用いたとすれば、この要件をクリアするハードルは非常に高いといえます。仮処分の申立てが認められるかどうかも重要ですが、申立てをすること(そして、それを公表すること)によって文春側を牽制するという意図もあったのかもしれませんね」 ■書いたもの勝ちにはならない「表現の自由」に配慮し慎重に判断する必要はあるものの、「厳格かつ明確な要件」を満たしている場合には、出版物の差し止めが認められることもあるようです。「書いたもの勝ち」にならない法律も、しっかりと用意されているのですね。*取材協力弁護士:櫻町直樹(パロス法律事務所。弁護士として仕事をしていく上でのモットーとしているのは、英国の経済学者アルフレッド・マーシャルが語った、「冷静な思考力(頭脳)を持ち、しかし温かい心を兼ね備えて(cool heads but warm hearts)」です。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)塚原夫妻が『週刊文春』に「掲載差し止め」を要求するも却下認められたことはあるの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。塚原夫妻が『週刊文春』に「掲載差し止め」を要求するも却下認められたことはあるの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年10月09日長年連れ添った夫婦の離婚の危機を描いた、人気漫画「お父さん、チビがいなくなりました」の映画化が決定。倍賞千恵子、藤竜也、市川実日子が出演し、『毎日かあさん』や『マエストロ!』の小林聖太郎がメガホンをとる。ストーリー3人の子どもたちも独立し、晩年を平穏に暮らしている老夫婦。ある不安を抱えていた妻・有喜子は、ある日、娘の菜穂子に「お父さんと離婚しようと思う」と打ち明ける。いままで妻にはぶっきらぼうな態度で接してきた勝は、離婚を突き付けられ、ずっと胸に秘めてきた想いを告白するのだった――。西炯子の感動作が原作女性からの指示が圧倒的に高い漫画家の一人、西炯子。2015年に映画化された「娚の一生」をはじめ、「姉の結婚」「初恋の世界」など、次々と人気漫画を生み出している。そんな西炯子が描く本作は、ある老夫婦の愛と葛藤を描いた感動的な物語。見る人すべてに寄り添うような、温かな映画となるだろう。豪華キャストが共演亭主関白な夫から本当に愛されているのだろうか、という不安を長年抱えてきた妻・有喜子を演じるのは倍賞千恵子。そんな妻に対していつも無口でぶっきらぼうな夫・勝を、藤竜也が演じる。映画初共演の二人だが、普段から親交の深い仲だという。二人の娘・菜穂子役には、市川実日子。『シン・ゴジラ』や「アンナチュラル」での活躍ぶりが記憶に新しいが、いまや映画・ドラマに欠かせない存在である。各キャストからコメントが到着!倍賞千恵子(有喜子役)年を重ねてからラブロマンスみたいな作品に出会えたらいいなと、ずっと思っていました。日本では私くらいの年代が主人公のラブロマンス作品って少ないですから。この作品の台本を頂いた時に、そんな自分の思いにぴったりときました。そして私たちの年代はもちろんですが、 もっと若い方々がご覧になっても、結婚や夫婦でいることを考える良いきっかけになる作品じゃないかと思います。藤さんとは28年前にやはり夫婦役を演じたドラマ以来ですが、家が割とご近所だったりで親交はずっとありました。藤さんは日本的な頑固さのような雰囲気をお持ちなので、今回のお父さん役、とても似合ってらっしゃいました。 市川さんは前からとても気になる方でした。映画やテレビで彼女が出演しているとつい見入ってしまうというか。今回ご一緒する、しかも娘役と聞きまして、すごく嬉しかったですし、楽しみにしていました。共演してみてやはり思っていた通り素敵な女優さんでした。藤竜也(勝役)演じた勝という人物は、こんなにいわゆる亭主関白な人って現実にいるのかなと思うくらい。その匙加減が難しかったですが、小林監督と話し合って調整していきました。倍賞さんとは普段から家族具るみで付き合いのある友人関係なので、普段の生活をそのまま倍賞さんと送っているような、いい夫婦の雰囲気になっていると思います。ただ倍賞さんを見ていると、ふとその可愛らしさに思わず優しくなってしまうので、小林監督からよくNGを出されました。市川実日子(菜穂子役)倍賞さんと藤さんとご一緒できると聞いてとても緊張しましたが、初めてお会いした日から撮影期間中、ずっとワクワクしていました。 この撮影現場で、チャーミングで素敵なおふたりともう少しご一緒させていただきたかったと、終わった時に思いました。この映画は、長年連れ添った夫婦、子供が親を想う気持ち、そして猫と暮らすこと。いろいろな方に楽しんでいただける作品になると思います。子供が親を想う気持ちって年代によっても変わってくるなぁ。でも、ずっと親子で家族なんだ。というようなことを感じながらいました。観てくださった方の視線の角度によって、大きく変化する作品になるのではないかと思っています。小林聖太郎監督原作を映画化するにあたり、有喜子さんの孤独に寄り添うことに専心しました。 たまたまですが私の母も(漢字こそ違えど)同じ名前でして、他人のように思えませんでした。他にも、ロケ交渉をしたところがたまたま藤さんの知人だったり、倍賞さんの友人の行きつけの店だったり…と、沢山の不思議な縁に恵まれました。この映画をきっかけに様々なパートナーや家族との関係について語り合ってもらえたら嬉しく思います。倍賞千恵子さんと仕事できるなんて、どれだけの監督から羨望と嫉妬の眼に晒されるのだろう、などとクランクイン前は余計なことが頭をよぎりましたが、撮影が始まってみるとそんな些細なことよりもとにかくチャーミングな人柄、新鮮で繊細な芝居、撮影の合間に漂う伸びやかな鼻歌…に魅了されっぱなしでした。藤竜也さんとは『村の写真集』という映画で助監督を務めて以来、10余年ぶりのお仕事でしたが、変わらぬ献身ぶりに脱帽するばかりでした。『女性に自分の靴下を脱がさせるなんて!』と強い心理的抵抗を乗り越えつつ、不器用と無神経の間を探りながら一緒に勝さん像を探るのはとても楽しかったです。 市川実日子さんとも『ぷりてぃ・ウーマン』という作品以来でしたが、良い意味で全く現場ズレをしていなくて驚きました。猫のように少女のようにころころと笑い転げる様を、ただただ見つめていました。原作者・西炯子短い作品ですが、読み返しても自分でもぐっとくるお話です。 倍賞さん、藤さんで観られるなんて、ますますぐっときます。『初恋~お父さん、チビがいなくなりました』は2019年春、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2018年04月27日俳優の西島秀俊と女優の倍賞千恵子が7日、東京・渋谷のユーロスペースで行われた『ハーメルン』の初日舞台あいさつに出席し、前日に引退会見を開いたアニメーション監督・宮崎駿監督への思いを語った。その他の写真西島は現在公開されている『風立ちぬ』で声優を務めており、「今回、お声をかけていただき、またいつか(声優に)呼んでいただけると思っていた。だから、もっとたくさんの作品を作っていただきたかったというのが正直な気持ち」とコメント。『ハウルの動く城』に出演した倍賞は「監督は同じ年齢。(宮崎監督の会見やコメントに触れ)ああいう風に仕事について考えていたのかと思った」と胸中を明かした。『ハーメルン』は福島会津を舞台に、廃校となった学校で一人静かに暮らす年老いた元校長先生と、久々に故郷に戻ってきた卒業生、そして過疎が進むその村に暮らす人々の記憶を描いた作品。舞台あいさつには西島と倍賞に加えて、共演する坂本長利、メガホンを執った坪川拓史監督が出席した。福島県大沼郡昭和村で撮影を行った本作。2011年の東日本大震災による影響などもあり、坪川監督は「延期と中断の繰り返しでしたが、ここにいる皆さんはもちろん、現地で支えて待ってくださった皆さんの力がなければ、ここまで来ることはできなかった」と感無量の面持ちだった。坪川監督は長編第1作『美的天然』の完成までに9年という歳月を費やした経歴を持ち、西島は「その作品を拝見して確かにとてつもない映像美で、どうやって撮ったんだろうと…。熱意と狂気を感じましたね。僕自身、狂気を持っている人が好きなので」。移り変わる四季の表情を切り取る手法に「紅葉が色づくのを1年待つ、といったことも。この作品も完成までには5年がかかっていますし、刺激的な現場でしたね」と振り返った。共演する倍賞は「狂気はもちろん、諦めの無さというか辛抱強さと粘り強さには驚かれ、楽しくお仕事をさせていただいた」とコメント。劇中では母を介護する娘を演じ「最近はおばあちゃんの役ばっかりでしょ(笑)。『ハウル』以来久しぶりに娘の役をいただきました」と笑顔で話した。『ハーメルン』公開中取材・文・写真:内田 涼
2013年09月07日