2016年の宇宙、どうでしょう? ということで、予測が秒単位でできることから、どーなるかわからんことまで「素人でも手軽に観察・参加できる」宇宙に関わるあれこれを、サクっと紹介しちゃいます。今回は、2016年1~6月の半年分をば。なお、1年分のデータが入っている年鑑、手帳などが1000~3000円程度で売られています。データ量を考えるとリーズナブル。どんなのがあるのかは、昨年の記事をみてくださいませ。○1月~2月東京、名古屋、大阪など太平洋側の大都市では、天気もよく、星を見るベストシーズンです。特に東京周辺は、連続10日快晴とかになる時期ですなー。雪に閉ざされる日本海側は、しんどいところはありますが、共通することがあります。明るい星が多いんです。晴れさえすれば、ともかく、明るく、星が見えるのです。ボヤーっとながめても、もちろんOKですが、ちょっと名前がわかるとうれしいですな。形に特徴がある「オリオン座」をみつけて、そこから展開するのが定番でございます。図を参照くださいませ。オリオン座の真ん中に三つ並んだ星のならびを、延長していくのがポイントでございます。あ、実際にはずっとデッカく見えますよー。1月7日は、明け方に注目。月と金星と土星が接近します。さらに9日は金星と土星が手を伸ばした先にある5円玉の穴に入るくらいの大接近があります。金星は、メチャクチャ明るいのですぐにわかりますよ。あ、明け方。夜明け前ですのでくれぐれもお間違えなく! 夕方には見えません。さて、宇宙探査の方に目を向けてみます。日本ネタがありますよー。2月12日、日本のX線天文衛星ASTRO-Hが打ち上げられます。X線は、天体から出てくる光の大半を占めていますが、大気がジャマして地上ではとらえられません。そこで、人工衛星の登場ってわけです。この分野では日本が世界のトップを走っています。打ち上げは午後6時ごろを予定。成功を期待しましょー。米・欧・インド・ロシアもそれぞれ衛星の打ち上げ予定がありますが、海洋衛星のジェイソン3(米)とセンチネル3A(欧)が目を引きます。米欧の2機、目的がほぼ同じ地球海面の監視なんですよ-。ふーむ。また、インドは独自の航法衛星を打ち上げ予定です。○3~4月3月9日の午前10時すぎ~正午すこし前まで日食があります。11時ごろに見るのがいいでしょう。わずか2割欠ける程度ですが、日食めがねとか遮光板で見られます。前に買っておいたのがある方は、ぜひ探しておいてください。なお、この日食、インドネシアの一部からグアムの沖合で皆既日食になります。ツアーは「インドネシア日食」でググるとたくさんでてきます。30万円くらいから、豪華客船を使う200万円なんてのもあります。皆既日食は見ると「日食病」になるほど魅力的な現象だそうですが、お金以前に、休みとれないなー(お金もない)。3月半ばから木星がみごろになります。東に見えます。これはもう7月くらい(このころは西)までオッケー。とても明るい白っぽい星ですのですぐにわかると思いますよ。4月18日には、夕方の空に水星がみごろになります。ほぼ2016年ベストですかね。これは、また近くになったらご紹介しますねー。水星は肉眼で十分見えるのですが、見えるタイミングがきびしくて、そのぶん難易度が高いんですよ。4月22日は満月です。まあ、満月は29.5日ごとにあるので、年に12~13回あるんですけど、この日の月はこの年で一番地球から遠いんですね(平均より1割ほど遠い)。その分小さく見えます。デッカい場合はスーパームーンという言い方が広まってますが(学術用語じゃないです)、小さい場合は、サテ、プリティムーンとかリトルムーンとでも言うんでしょうかねー。あと4月18日~24日は科学技術週間です。この前後、各地の大学や研究所が一般公開されたりしますよ。特に、茨城県の筑波地区はすごく楽しいらしいです。詳しくは科学技術週間のWebサイトで。毎年科学ポスターの無料配布もありますが、2016年はどんなネタなんでしょうね。ノーベル賞がらみで生物由来有用物質かしらん?さて、宇宙探査では大ネタ。3月14日にヨーロッパ&ロシアのエクソマーズ2016火星探査機が打ち上げられます。2017年末に火星に到着して大気を調べ、着陸テスト機を分離させます。さらにおっかけて2018年に打ち上げられるエクソマーズ2018の中継基地の役割も果たします。こちらは、着陸して自走できる探査機、ローバーなのでございます。火星は2年ごとに地球に追い越され、そのときに接近になるのですが、このときが、観察および宇宙探査機打ち上げのチャンス。近いからね。2016年はまさに接近の年なのです。なお、日本は、先日金星到達に成功した、金星探査機あかつきが、このころから本格観測に移行します。○5~6月5月7日の明け方、みずがめ座エータ流星群の活動がピークになります。日本では観察しにくい(見えますけどね)のですが、南半球で早起きをするとよく見えます。2016年の条件では最良。連休で南半球に旅行に出かける方は、ちょっと意識してもいいかもですね。まあ、海外の夜、外に出るのは怖いので安全な場所が確保できる場合に限られますな。5月31日、2016年のビッグニュース! 火星が最接近となります。地球に追い抜かれ、非常に近くなるんですな。2016年の接近度合いは5点満点で4点くらい。かなーり、近づくのです。8時には東の空から異様に明るくて赤い星が見えます。で、実際に観察しやすいのは、接近の後6~8月になります。しばらく火星が楽しめます。各地で観察会も開かれるはずですので、望遠鏡で見てみると、火星の極の氷が白く輝いている様子など見られると思いますよー。なお、このころから土星も見ごろになっています。火星の近くにある星ですが、このころの火星を見なれちゃうと、ちょっとひかえめに感じちゃうかも。6月21日には、国際宇宙ステーションにソユーズ宇宙船が向かいます。中には日本人飛行士の大西卓哉さんも搭乗。大西さんの初宇宙になります。大西さんは東大を出て、全日空のパイロットだった人でございます。もっと高い空を目指したということですなー。チョイとはみ出して、7月4日には米国の木星探査機ジュノーが、木星に到達します。たぶん、その前から木星の画像が発表されると思いますよー。その後ジュノーは木星を南北に周回する衛星となり、北極から南極まで、木星を詳細に探査する予定となっています。しかし7月4日ですか、インディペンデンス・デー(独立記念日)ですな。好きですなー、こういうの米国は。ということで、来年も宇宙を楽しんでいきましょー。著者プロフィール東明六郎(しののめろくろう)科学系キュレーター。あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。
2015年12月23日代官山周辺で働くクリエイターたちが中心となり活動している「東京代官山ロータリークラブ(以下、RCTD)」。RCTDが主催する「大西洋さん、卓話と食卓」というトークと共に日本のソウルフードであるお米や、お米と楽しむ食を味わうイベントが、同メンバーである遠山正道さんが代表を務める株式会社スマイルズの本社オフィスで開催された。会の前半は、三越伊勢丹ホールディングス・代表取締役社長の大西洋さんのトーク、後半では、お米や和牛など、日本の食文化を味わうイベントが行われた。「こめ結びのおもてなし」という米を主役にしたイベントでは、三越伊勢丹のフードバイヤーが厳選した、“日本各地のごはんの友”を使った料理や実りの秋を象徴する“日本酒”が供された。また装飾ユニット・mimosa(ミモザ)が、 実りの秋をイメージした紅葉や稲穂を取り入れた温かみのある草花で空間を演出した。おもてなしのドリンクには、米と麹で作る優しい味わいの「甘酒」(三崎屋醸造)、名酒の誉れ高い「雪の茅舎」(秋田・齋彌酒造店)、「りんごジュース」(岩手・紫波フルーツパーク)紅芋酢のソーダ割などを用意。そして“日本各地のごはんの友”を取り入れた料理は株式会社スマイルズのフードプランナー桑折敦子さんが担当した。青森ではじめて特Aランクを取得したキレと粘りのあるお米「青天の霹靂」を使って、「梅の実ひじき」(大宰府えどや)、「じゃこ山椒」(京都・たけのうち)などをくわえた“ひと口むすび”を握り、「玉ねぎ天」(岡山・長谷井商店)と大根を出汁で煮た“おでん”、宮崎の尾崎牛を使った“牛丼”や“キーマカレー”など、ごはんが欲しくなる幅広いフードメニューを並べた。「全国各地のごはんの友で結んだおむすびをはじめ、お米のおいしさを引き立てるメニューで、実りの秋を表現しました」と桑折さん。また会場を沸かせたのは、和牛文化を世界に発信するVIVA JAPAN代表の浜田寿人さんが用意した宮崎産の尾崎牛。「30ヶ月もかけて長期飼育する尾崎牛は、幻の和牛ともいわれ、東京では年間4、5頭入るかどうか。エシレバターのようにスッととける甘味のある脂など、和牛のなかでもトップクラスのおいしさです」との浜田さんの言葉に喉がなる。イベント空間に併設されたキッチンから、低温でじっくりローストした肉のグリルやサッとあぶった和牛寿司が運ばれると、待ちきれない参加者が次々に手を伸ばす光景がみられた。「こうやって多くの人に食べてもらい国内外にすばらしい和牛をPRしていきたい」と語った。卓話で刺激をうけて、食卓でお腹をみたす、心とカラダに豊かな実りを与えた「大西洋さん、卓話と食卓」は、大盛況のうちに幕を閉じた。前編「三越伊勢丹の大西洋社長が代官山ロータリークラブで語った“伊勢丹に就職した理由”とは?【イベントレポート--前編】」に続く。
2015年12月18日宇宙飛行士の野口聡一氏が17日、東京都墨田区の東京スカイツリーで行われた映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(12月18日公開)の公開を記念したライティングイベントに登場し、『スター・ウォーズ』への熱い思いを語った。野口氏は、作品の舞台である宇宙にちなんだゲストとして登場。「小学生の頃にエピソード4を初めて見て、宇宙目指してミレニアム・ファルコン号でのぼっていく感じとか、すごく心に残っている」と『スター・ウォーズ』との出会いを明かし、「宇宙を目指す第一歩だったと思う」と振り返った。好きなキャラクターを聞かれると、「乗り物好きなので…ミレニアム・ファルコン号」と答え、「なんといってもイオンエンジンですから! われわれJAXAが誇る"はやぶさ"と同じです」と熱弁。「『スター・ウォーズ』の世界からずっと時代がたって、"はやぶさ"にミレミアム・ファルコンのイオンエンジンが残っていると思うと夢が広がる」とうれしそうに話した。また、『スター・ウォーズ』がきっかけで宇宙に興味を持った宇宙飛行士は多くいると言い、「先週まで宇宙に行っていた油井亀美也さんのクルーもみんな好き」「来年宇宙に行く大西卓哉さんもファン」と紹介。「NASAのアメリカ人ももちろん大好き」と続け、「スペースシャトルに搭乗した『スター・ウォーズ』ファンの宇宙飛行士の希望により、ライトセーバーがスペースシャトルに積まれて宇宙に行ったことがある」と驚きのエピソードも披露した。そして、宇宙飛行士について、「『スター・ウォーズ』に出てくる戦闘機乗りの気質に近い」と分析し、「いろんな場面で落ち着いて状況をよく見て、宇宙ステーションを操るという意味で」と補足。「エピソード4で、デススターに向かって飛んでいくシーンなど、戦闘機乗りのシーンは心が熱くなるものがある」と語った。世界一宇宙に近いタワーでもある東京スカイツリーを『スター・ウォーズ』のライトセーバーに見立てた公開記念ライティングは、12月17日~20日の4日間限定で実施。光と闇の戦いをイメージした青と赤の2色の演出から始まり、最新作の悪役カイロ・レンが操る赤い十字型のライトセーバーが立ち上がる、動きのある演出が楽しめる。(C) 2015Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved
2015年12月17日●宇宙行きはゴールではなく夢に向けた第一歩宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年8月26日、金井宣茂(かない・のりしげ)宇宙飛行士を、国際宇宙ステーション(ISS)の第54/55次長期滞在搭乗員に任命したと発表した。出発は2017年11月ごろ、滞在期間は約半年間が予定されている。それを受け、8月27日には記者会見が行われ、宇宙飛行士になろうと思ったきっかけや、このミッションに向けた意気込みなどが語られた。金井さんはISSでどのような活動を行うのか。そしてそれに対する意気込み、また自身を「"もぐり"の宇宙飛行士」と呼ぶ理由、さらに金井さんの後の、日本の有人宇宙活動について、見ていきたい。金井宇宙飛行士に関連する記事・【インタビュー】ISS長期滞在が決定した金井宇宙飛行士が語る - 宇宙旅行が当たり前になるためにロケット以外で重要なものとは・【レポート】海底から火星を見据えて - JAXAの金井宣茂 宇宙飛行士が語った宇宙へのリハーサル・JAXAの金井宣茂宇宙飛行士、ISS第54次/55次長期滞在搭乗員に決定○「宇宙行きはゴールではなく夢に向けた第一歩」金井さんは1976年生まれで、現在38歳。2002年に海上自衛隊に入隊し、医師の資格を有する幹部自衛官(医官)を務めた。金井さんは特に、水に潜って作業を行う隊員(潜水員)の健康管理を専門とする、潜水医学の医師(潜水医官)でもあった。そんな中、JAXAは2008年3月31日に、新しい日本人宇宙飛行士を募集すると発表した。それまでの宇宙飛行士が「日本人が宇宙に行くこと」や、「日本人がスペース・シャトルを使ったミッションを行うこと」を目的として選ばれたのに対して、このときは「国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士」、つまりISSで働き、その利用によって新しい成果を生み出す飛行士を選ぶことを目的としていた。これに金井さんは応募し、厳しい選考を経て、2009年の2月に宇宙飛行士候補者の補欠として選ばれ、同年9月には正式に採用されることになった。同期には、現在ISSに長期滞在している油井亀美也(ゆい・きみや)宇宙飛行士や、2016年6月に打ち上げ予定の大西卓哉(おおにし・たくや)宇宙飛行士がいる。医師から選ばれたのは向井千秋さん、古川聡さんに次ぐ3人目、また自衛隊出身は油井さんに次ぐ2人目となった。宇宙飛行士候補者に選ばれた後、2009年からは油井さんや大西さん、また米航空宇宙局(NASA)とカナダ宇宙庁の宇宙飛行士候補者らと共に、宇宙飛行士になるための訓練が始まった。そして、2年後の2011年に、ISS搭乗資格をもつ宇宙飛行士として正式に認定され、さらにそれ以降も、実際に宇宙へ飛び立つ日を目指し、米国やロシア、日本で訓練を積み重ねていた。そしてついに、それが叶う日が決まったのである。金井さんは記者会見で、「私の夢は、より宇宙が身近になり、まるで海外旅行に行けるような感覚で、誰でも宇宙旅行を楽しめるような時代が来ることです。それを実現するために活躍したいと思っています。今回、宇宙飛行という大任を受けましたが、これは自分にとってゴールではなく、その先の夢に向かって進むための第一歩であると考えています」と語った。○滞在期間は半年間、さまざまな実験を予定現在の予定では、金井さんは2017年の11月ごろに、地球を出発し、ISSの第54/55次長期滞在員として約6カ月間にわたって滞在。ISSの運用や科学実験を行うことになっている。往路、復路ともに、ロシアのサユース宇宙船に搭乗する予定となっている。また2016年1月からは、打ち上げに向けて、サユース宇宙船への搭乗や、ISSの長期滞在に必要な訓練を開始するという。ISS滞在中に、金井さんが具体的にどのような実験を行うのかは、まだこれから決められることになっているが、金井さんは医師であり、また潜水医学の専門家でもあることから、JAXAでは医学や医療に関する実験への貢献を大いに期待しているという。たとえば「きぼう」の大きな利用テーマのひとつに「健康長寿社会の貢献」というものがある。宇宙空間では、筋肉の老化や骨の密度の減少が、地上より速く進むことがわかっており、その研究によって、日本が直面している高齢化社会への、何らかの貢献ができないかということが考えられている。金井さんがこのテーマに関する研究を行うことは大いに考えられる。また、打ち上げまで時間が十分にあることから、「金井さんならでは」のミッションも考えていきたいという。記者会見で金井さんは、次のように期待を語った。「現在『きぼう』では、ダークマターの謎を追う実験や、生きたマウスを飼育して、そのまま地球に持ち帰る実験、また超小型衛星の放出などを行っていますが、これらは『きぼう』を造っていた段階では、まったく想像していなかった新しいアイディアだったり、夢物語だったりしたものが、現実になったものです。私のミッションは2年後。2年後になると、宇宙産業だけではなく、他の産業からもたくさんの研究者が宇宙に参入してきたり、より低価格に、より手軽で、よりスピーディに宇宙空間を使うような動きがさらに加速していると思います。今現在、世界中の誰もが想定していないようなおもしろい実験、最先端の科学を切り拓くような実験が、2017年には待っていると思います。それに向けて全力疾走でがんばりたいと思います」。○"もぐり"の宇宙飛行士にしてネモ船長ところで、金井さんのように、潜水医学を専門としているお医者さんの間では、初対面の人に「私、"もぐり"の医者なんです」と自己紹介するという、伝統的なギャグがあるのだという。もちろん、この場合の「もぐり」の本当の意味は、ブラック・ジャック先生のような「モグリ」ではなく、「潜り」のことである。そこで金井さんは、それに引っ掛けて、自身を「"もぐり"の宇宙飛行士」と呼び、会場の笑いを誘った。また、金井さんは宇宙飛行士の仲間たちから、「NEMO」(「ニーモ」、もしくは「ネモ」)というコール・サインで呼ばれているという。これは、ジュール・ヴェルヌの名作『海底二万里』や『神秘の島』に登場する潜水艦「ノーチラス号」のネモ船長、また『ファインディング・ニモ』に登場するクマノミの「ニモ」(ネモ船長に由来)にちなんでおり、金井さんが潜水医学の専門家であることから名付けられたのだとされる。ちなみに、金井さんは今年7月20日から8月2日にかけて、米フロリダ州の沖にある海底実験室「アクエリアス」で、NASA極限環境ミッション運用訓練に参加したが、この訓練がNASA Extreme Environment Mission Operationsの頭文字から「NEEMO」(「ニーモ」)と呼ばれていることから、関係者の間では「NEMO in NEEMO」(ニーモの中にニーモ(ネモ)がいる)というギャグが流行ったという。"もぐり"の宇宙飛行士であり、現代のネモ船長でもある金井宇宙飛行士が、ISSでどんな活躍を見せてくれるのか。それはきっと『海底二万里』と同じぐらい、あるいはそれ以上におもしろく、驚異に満ちた冒険譚になるに違いない。●日本人宇宙飛行士と、日本の有人宇宙活動の未来○金井さんがサユースに乗る最後の日本人宇宙飛行士に?ところで、金井さんはもしかすると、サユース宇宙船に搭乗する最後の日本人宇宙飛行士になるかもしれない。2011年にスペース・シャトルが引退して以来、NASAは新型宇宙船が完成するまでのつなぎとして、ロシアからサユース宇宙船の搭乗権を購入し続けており、そこにNASAの宇宙飛行士を乗せて飛ばしている。また、金井さんを始め、これまでサユースに搭乗した日本人宇宙飛行士の搭乗権も、このNASAがロシアから購入した分の中から割り当てられている。しかし現在のところ、NASAは2018年の打ち上げ分までしか購入していないため、2017年11月に地球を出発し、2018年の春ごろに帰還する金井さんが、サユース宇宙船に乗る最後の日本人宇宙飛行士になる可能性がある。なお2017年には、米国の民間企業2社(ボーイング社とスペースX社)が開発している新型の宇宙船が完成し、NASAやJAXA、欧州宇宙機関(ESA)やカナダ宇宙庁などの宇宙飛行士は、サユースではなく、この新型宇宙船によって打ち上げられる予定となっている。つまり、金井さんの次に飛ぶ日本人宇宙飛行士は、この民間の新型宇宙船に乗りこむことになる可能性が高い。ただ現在、予算不足などが原因で開発に遅れが出ており、また今後、開発中に問題などが発生することも考えると、2017年に間に合わない可能性は十分考えられる。そうなると、NASAはまたサユースの座席を購入せざるを得なくなるため、金井さんが最後ということにはならないかもしれない。○9年後のISS金井さんの宇宙飛行が決定したことで、現在の日本人宇宙飛行の中で、宇宙飛行を経験していない人はいなくなる。現在のところ、ISSは2020年まで運用されることが決まっているが、米国などはそれを2024年まで延ばすことを提案している。すでにロシアやカナダはこの提案に賛同しており、日本と欧州は2016年まで決定を先送りするとしている。仮に2024年まで運用を延長することになったとしても、金井さんが現在38歳ということを考えると、9年後でも十分に現役として活躍できる年齢だ。実際にJAXAは、2013年11月に、宇宙飛行士の新規採用を当面の間凍結する、と明言している。この当面、というのが、具体的にどれぐらいの期間を指すのかはわからない。もっとも、それはJAXA自身も知らないし、決められることでもない。現在の日本の宇宙開発は、内閣府の中に設置された「宇宙開発戦略本部」が取り仕切っており、また同様に内閣府に設置されている「宇宙戦略室」が、計画の企画や立案、調整を、そして「宇宙政策委員会」が審査や意見などを行っている。しかし現在、これらの中では有人宇宙計画の評価はあまり高くなく、今の段階で決まりつつあることといえば、コストを削減した上での「きぼう」の継続的な運用や、宇宙ステーション補給機「こうのとり」の改良ぐらいで、ISS"以降"の、日本の有人宇宙計画については、何も具体的なことは決められていない。金井さんの例にみるように、新しい宇宙飛行士を育成するには年単位の時間がかかり、さらに新しい有人宇宙計画を立てるのにはそれ以上の時間がかかる。ISSの運用終了まで長くともあと9年、残された時間は多くはない。○米欧は火星や小惑星へ、ロシア、中国は新宇宙ステーション建造ところで、他国はISS以後の世界を、どのように見据えているのだろうか。まず米国NASAは、かねてより月や火星、小惑星を有人探査を行う計画を進めており、現在はそのための新型宇宙船「オライオン」と、新型の超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム」(SLS)の開発を行っている。オライオンは2014年12月に無人での試験飛行に成功し、2018年11月にはSLSの初打ち上げも兼ねて、月まで行って帰ってくる無人の試験飛行を行う予定を立てている。有人飛行は2021年以降に予定されており、月の近くまで運んできた小惑星に宇宙飛行士を送り込んで探査が行われる。そして2030年代には、火星への有人飛行が計画されている。また欧州は、この米国の計画に参加する意向を示しており、オライオン宇宙船の「サーヴィス・モジュール」と呼ばれる、エンジンやバッテリー、生命維持装置などが搭載されている部分の開発と製造は、欧州側が担うことになっている。これは計画の首根っこを押さえているのと同じであり、計画の内容などに対して、ある程度の口出しができる権利をもつ。一方ロシアは、ISSに結合されているロシア側のモジュールの中から、比較的新しいモジュールだけを分離して独立、さらにそこに新しいモジュールを結合させて、新しい宇宙ステーションを造る構想を持っている。ロシアが主導権を握る形にはなるものの、欧米にも参加を呼びかけてはおり、第2の国際宇宙ステーションのような存在になる可能性もある。また、その先には月の有人探査も視野に入れているという。ただ、ロシアは近年、宇宙産業の力が低下しており、また連邦予算も厳しい状況にあるため、今後計画がどうなるかはまだわからない。中国は2003年に「神舟五号」宇宙船によって有人宇宙飛行に成功し、2008年には「神舟七号」によって船外活動(宇宙遊泳)にも成功している。さらに2011年には、宇宙ステーション「天宮一号」の打ち上げにも成功し、無人の神舟宇宙船によるドッキング試験を経て、有人の「神舟九号」と「神舟十号」が訪れ、「天宮一号」の内部で科学実験などが行われるなど、ゆっくりとではあるが、着実に有人宇宙開発を進めている。そして現在は「天宮二号」の開発を進めると同時に、より大型の宇宙ステーション「天宮」の開発も進めており、2018年に最初のモジュールを打ち上げ、2022年以降に完成させる予定とされる。もし予定通り計画が進めば、2022年から2024年にかけて、宇宙にISSと「天宮」の、2つの大型宇宙ステーションが存在することになる。また、最近ESAは、中国との宇宙開発における協力体制を強化することを検討しており、たとえばESAの宇宙飛行士が「天宮」を訪れる、ということもあるかもしれない。その他、インドも独自の有人宇宙船の開発を進めており、2014年12月には無人でのサブオービタル(軌道に乗らない)飛行試験に成功している。いずれは実際に人を乗せ、地球をまわる軌道に打ち上げることが計画されている。また、イランも有人宇宙船の開発を進めており、数年のうちにサブオービタル飛行を行うとしている。○日本はどの選択を採るかこの状況の中で、まずロシアや中国の宇宙計画に参加することはまず考えられないし、ましてや、日本が独自に何らかの有人宇宙計画を立ち上げることも考えにくいため、米国と歩調を合わせるか、あるいは有人宇宙活動そのものを止めてしまうか、という選択肢しかないだろう。しかし前者の場合、欧州がオライオンのサーヴィス・モジュールの開発で、計画の根幹を握っているのと比べると、日本がこれから参加を表明したところで、貢献できる部分は少ない。たとえば「はやぶさ」のような無人探査機で、有人探査の露払いをすることなどは考えられるが、それは日本でなければできないことではない。また、そもそもミッションの内容からして、参加できる宇宙飛行士の人数はISSより少なくなるため、日本人宇宙飛行士が搭乗できる機会も必然的に少なくなる。そのため、貢献に見合うだけの利益が得られるかはわからない。参加するにしても、「どういう形で参加するのか」が重要となり、大きな議論となるだろう。たとえば年間何百億という予算を使いながら、アポロ計画以来初めて月に降り立つ宇宙船に、日本人宇宙飛行士が乗っていなければ、大きな批判を受けることになるかもしれない。毛利衛宇宙飛行士がスペース・シャトルで宇宙を飛んでから、今年で23年になる。以来、宇宙開発事業団(NASDA)、そして現在JAXAは、有人宇宙船を持たないながらも、有人宇宙活動に関する知見を着実に蓄積してきている。その実績をどう生かすのか。あるいは、捨ててしまうのか。選択のときが迫っている。国際宇宙ステーションを越え、月や火星、小惑星、そしてさらにその先の世界で挑みたいと夢見ている少年・少女たちは、今も日本中に大勢いるはずだ。たとえ困難な道でも、何らかの形で、彼らに夢を叶えるチャンスが訪れ、そして油井さんや大西さん、金井さんらの跡を継ぐ、新しい世代の宇宙飛行士が生まれることを切に願いたい。参考・・・・・
2015年09月01日○近大マグロが量産開始 - 世界進出への準備進む寿司の定番といえばマグロ。現在、乱獲によってその数を減らしており、漁獲制限が設けられるなど保護の対象となっており、このままでは食べることができなくなってしまうのではないかと危惧されている。こうした状況の中、2002年に世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した近畿大学(近大)が今年7月、豊田通商と連携してクロマグロ稚魚の生産事業や海外での事業化に本格的に進出すると発表した。同大学のクロマグロ稚魚の年間生産量は現在約40万匹で、2020年に合計70万~80万匹までに拡大する計画だという。これはクロマグロの国内消費量の1割に相当する。豊田通商は近大と2010年からクロマグロ中間育成事業の業務提携を進めており、引き続き近大が研究・技術開発を、豊田通商が量産化の役割を担う。豊田通商が養成したクロマグロは11月、近畿大学によって「近大マグロ」として認定を受けたことによって、近大以外の施設でも養殖できることが示されたほか、年間供給量は現在の80t(2000尾)から1.5倍の120t(3000尾)となり、2020年には240t(6000尾)まで引き上げることが可能となった。「近大マグロ」の品質は高い評価を得ており、「近畿大学水産研究所」銀座店は12月に開店一周年を迎え、海外展開に向けた取り組みも進められるなど順調な展開を見せている。○若田光一氏が日本人で初めてISSの船長に就任!宇宙関連では「はやぶさ2」の打ち上げのほか、若田光一宇宙飛行士が日本人として初めて国際宇宙ステーション(ISS)の船長を務めたことも話題となった。若田氏は昨年11月にソユーズでISSに出発し、今年3月から2カ月間、ISSの第39代船長を務めた。188日間の宇宙滞在は1回の飛行で日本人最長、通算の滞在日数も348日間にのぼり、日本人最長となった。帰国後の記者会見で「有人宇宙開発活動における日本への信頼感が高まったこと」が船長を任された一因だったと語った同氏。今後は、次の日本人船長の実現と、有人飛行へのさらなる日本技術の活用をサポートしていくという。現在、油井亀美也氏、大西卓哉氏、金井宣茂氏が宇宙に出発するための準備・訓練を続けており、その中でも油井氏は第44/45次長期滞在クルーとして2015年5月にソユーズでISSへ出発することとなる。○エボラ出血熱が急速に拡大 - 富士フイルムのアビガンが効果示す今年の6月頃から西アフリカで急速な広がりを見せたエボラ出血熱。世界各国から援助が提供されたが、感染の拡大をとめることはできず、世界保健機関によれば12月時点で7千人以上の死者を出している。効果的な治療薬がみつからない中、9月、富士フイルムは、同社グループ会社である富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン錠」がエボラ出血熱に罹患したフランス人女性看護師に投与され効果を示したと発表し、世界中で話題となった。その後、「アビガン錠」はノロウイルスに対しても効果を発揮するということが英ケンブリッジ大学の研究によって明らかとなり、ウイルスの増殖を抑制するという作用機序によって治療だけでなく感染予防にも効果的である可能性が示唆された。○今年も各地で異常気象が多発2月には都心に26年ぶりとなる大雪が降り、6月には東京都三鷹市などで直径約2cmのひょうが降り積るなど、2014年も年間を通じて異常気象が発生した。広島市北部では8月に発生した記録的豪雨が大規模な土砂災害を引き起こし甚大な被害をもたらしたほか、12月には徳島で大雪が発生し人命が失われた。従来の想定を超える異常気象が立て続けに発生する状況の中、今年、日本は陸域観測技術衛星「だいち2号」を5月に、静止気象衛星「ひまわり8号」を10月に打ち上げた。「だいち2号」は打ち上げ後の検証期間中に発生した広島での土砂災害や、9月に発生した御嶽山の噴火後の状況把握に利用されるなど活躍している。「ひまわり8号」は「ひまわり7号」とくらべて観測時間が3分の1、解像度が2倍に向上するなど観測能力が大幅に向上しており、天気予報だけでなく異常気象の監視・予測にも利用される予定となっている。その観測データはアジア・太平洋30カ国に提供され、各国の災害対策に活用されるという。○IoTの活用が本格化 - ゲノム医療やPepperの開発など具体的な取り組みが始まるスマートメーターやウェアラブル器機などのIoTデバイスによって身の回りのものがインターネットへつながるようになり、多くの企業がそこから得られるビッグデータを新しいサービスの開発や顧客管理に利用している。また、企業だけでなく国立がん研究センターなどの高度医療研究機関も、医療情報の収集・解析による次世代のゲノム医療の構築を目指す取り組みを開始しており、産業界以外でもIoT/ICTを活用した事業モデルの構築が本格化している。ビッグデータの収集・分析が焦点となる中で、IBMの「Watsonコグニティブ・システム」を利用したさまざまな取り組みが注目を浴びている。コグニティブ・テクノロジーは、膨大なデータを分析して、課題に応じた支援を即座に提供するというもの。今年3月には米The New York Genome Centerが同システムを利用したゲノム医療を促進する取り組みの開始を発表したほか、ソフトバンクのパーソナルロボットPepperの人工知能の開発にも利用されている。このように、IoTデバイスによってより効率的に収集したデータをWatsonのような高度なシステムを用いて解析し、その結果を新しいサービスの創出などに利用することは、将来的にヒトとモノの交流を深め、私たちのライフスタイルに大きな影響を与える可能がある。今後、IoT社会に向かっていく中で、企業や団体はその活用方法をより具体的に問われることとなるだろう。
2014年12月30日映画『エリジウム』の公開を前に主演のマット・デイモン…ではなく、身も心もデイモンになりきったタレントのジミー大西が“来日”を果たし、29日に都内で行われた記者会見に臨んだ。その他の写真本作は、『第9地区』でアカデミー賞作品賞、脚本賞にノミネートされたニール・ブロムカンプ監督の最新作。公害や環境破壊で荒廃が進み、一部の選ばれし富裕層は“エリジウム”と呼ばれる上空の巨大宇宙船に移り住んだ22世紀の世界を舞台に、事故で残り5日の余命となった貧困層の青年が運命を切り拓くべき闘う姿を描く。ジミーは劇中のマットに似せたパワードスーツを着つつも中は白いTシャツという微妙な衣装で登場。大物スターらしくわざわざ通訳まで連れ、開口一番「ハロー、エブリバディ。アイム・マット・デイモン。」と一語一語、確認するかのように挨拶し笑いを誘う。さらに司会者から「久々の日本ですが…」と話題を振られると「I like Sushi & Sukiyaki.」と来日外国人の定番の回答を披露した。その後も、あくまでマット・デイモンであるという体裁を保ちつつも、英語を話すのは面倒になったのか、なぜか途中で日本語に切り替えて会見を続行。パワードスーツでの撮影について「やはりトイレでチャックを下ろすのが大変でしたし、手も洗えなかった」と苦労を明かす。さらに劇中で自身が演じた主人公が貧民層出身である点に触れ「僕の生まれもロングハウス(長屋)で、いろんな体験をしました。(明石家)さんまさんを見て、富裕層も感じました」と“役作り”の過程を述懐する。さらに夢を尋ねられると「尊敬するタモリ師匠の養子になること」「65歳で年金をもらってもう働かなくていい生活を送り温泉でも行きたい」とハリウッドセレブとは思えない庶民的な様子や日本の芸能界への精通ぶりを見せ、会場は笑いに包まれた。さらにジョディ・フォスターとの共演について「ちょっとお互いに年を取ってるけど、年にしては若いし渋い演技をすると思った」と名女優をも恐れぬ爆弾発言も飛び出した。ジミー大西に戻っての質疑応答では「さんまさんに前から『お前、マット・デイモンに似てるな』って言われてた」と明かし、「やっと(その事実を)世間に分かってもらえます!」と今回のオファーを素直に喜んだ。ハリウッド進出や本物のマット・デイモンとの共演に向けた野望を尋ねられると「日本語でさえたどたどしいので芝居はできないです」と即否定。現在の仕事に関しは得意の絵画に加え「雨とお天気が多くて草が伸びたので草刈りがメインです」と明かし、タレントとしてのお笑いの世界への復帰については「新しい人が出てくるので自信ないです」とあまり乗り気ではないようだった。『エリジウム』9月20日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2013年08月29日