コーチ(COACH)2017年春コレクションが発表された。粗野なロカビリースタイルや反抗的なディテールが用いられた本コレクションは、エルヴィス・プレスリーに捧げられたかのようだ。トップバッタ―は、重みのあるブラックのライダースジャケットに、透けた赤いオーガンジーのワンピースを合わせた。ボトムに透け感のある素材を持ち込むコーディネートは、コレクション全体を通して見られた今季の特徴の一つだ。カントリー色の強い花柄プレーリードレスも、レザーやメタル素材とのミックスによって着崩されている。その姿は、ダウンタウンカルチャーに魅了され反抗的なスピリットに目覚める一人の少女のストーリーを想起させる。エルヴィスファンクラブ、反乱集団、ビートニクス…。それらムーブメントの集団に加わる人々は過剰すぎる装飾によって虚勢をはる反面、自らの個性も表現していた。一枚だけで目立つ真っ赤なシャークのニットには、スカートのように長いフリンジやベルトなど、装飾アイテムを多数合わせ、唯一無二のコーディネートを完成させている。エルヴィスを信奉する者たちのパーソナルなスタイルが表現されたようなルックだ。バッグはミニサイズが基本。その小さな本体にフリンジやスタッズ、チェーンなどを合わせてボリュームを出している。シューズも同様に、派手なスタッズやフリンジ使いが特徴となっている。なお、コーチは今回のコレクションの翌日、今季のアイコニックな特徴を用いた、エルヴィスへのオマージュ3アイテムをウェブサイトにて限定販売する試み「ショップ ザ ランウェイ」を行った。
2016年09月22日こんにちは、子育て研究所代表の佐藤理香です。2016年8月26日、女優の高畑淳子さんが、息子の高畑裕太容疑者の事件について謝罪会見を行いました。記者からの質問は辛辣なものが多く、中には育て方の悪さに言及するものもありました。高畑家では、思春期に大きな対立や葛藤があったということはご本人が話しています。この思春期は第2反抗期ともいわれ、だいたい10歳~18歳くらいに相当します。親子で激しく対立するケースも多く、「こんな子じゃなかったのに……」「育て方を間違えたかしら……」と、心配を募らせる親も多くなります。そこで今回は、思春期で反抗期を迎えた子どもとのコミュニケーションについてお伝えします。●反抗するのはなぜ?天使のようにかわいかったわが子。それが、あるときから突然、あるいは徐々に変わってしまうのが思春期です。思春期の子どもは思考力が育ち、ある程度、物事を自分で判断できるようになっています。自分だけでなく、親に対しても客観的に見るようになります。そのため、それまではよく言うことを聞く子だったとしても、親の言動に疑問を抱くようになる のです。また、多感な時期なので、「あの人のようになりたい!」「環境をよくしたい!」「新しく何かしたい!」などさまざまな欲求が芽生えます。ところが、解剖学的な理由から、思春期の脳はパニックになりやすく未完成である こともわかっていますし、そもそも人生経験が少なく、欲求を満たせる能力には乏しいのが実情です。このため、“何とかできないか”“何とかしてほしい”というストレスが発生します。ストレスを伝えることができる相手がいる場合は、その相手に打ち明けることになります。打ち明け方はいろいろで、キレるケースもあれば、泣きながらという情緒不安定なことも多いのです。●反抗しないのはラッキー?「うちの子、反抗しないわ」という方もいるかもしれません。手がかからない、心配も少なくて安心……と思いきや、ある日突然、大爆発するケースも耳にします。子どもが反抗しない場合は、“反抗を許してあげる状況 ”を作れているか、より注意してみましょう。本来、子どもは親に当たっても、トラブルを起こしても、親はわかってくれると根拠のない自信をもっているものです。どんな子どもでも、多かれ少なかれ親の顔色はうかがっています。ただ、顔色をうかがいすぎて言いたいことが言えない、親の忙しさや経済状況、時間の無さを目の当たりにして“迷惑や心配をかけたくない”と思いを吐き出せない子どももいます。現段階で内面を外に出せずに悩んでいる場合、将来も同じような悩みに直面するかもしれません。思春期という今、子どもが適切な時期で反抗できることは意味があるのです。●親の接し方は?「子どもと対話しましょう」。これは思春期の親子関係でよく言われるフレーズです。親子で対話できる状況なら、親の心配も半減するところです。ところが、この対話が成立しない家庭も多いのです。何か話せば、すぐ声を荒げる。「ウザい」「うるせえ」「死ね」と言われる。何かと八つ当たりされる。用事を伝えても無視される(聞いているのかわからない)……これらは多くの親が悩む問題です。子どもの成績や友人関係、素行など、親が気になることがあれば「どうだった?」「どうして?」と追及していませんか。子どものほうから用事で話しかけられた際に、スマホをいじりながら聞いていた、自分の意見を押し付けた、子どもの話を笑ったり叱ったりしたということはありませんか?親は大人なので、物事を善悪で判断しがちです。人生経験も豊富なので、行く末が想像できるだけに、手っ取り早い解決策を教えたくなってしまうものです。しかし、ここでちょっと我慢。まずは、子どもの反応を受け止めることが重要 です。子どもが言っていることを、そのまま全面的に素直に受け止めましょう。それが子どもの現実です。向かい合い、話を落ち着いて聞くだけで子どもは安心します。家族だからこそ、態度も言い方もすべてが不満に感じるかもしれません。ただ、思春期の子どもにとって“伝える相手”がいるのは大きな支えで、信頼関係があるからこそです。反抗的な態度になる場合もありますが、子どもの思いを“伝えることができる相手”が親であり、第三者に影響がなかった、子どものストレスを発散させてあげられるし、大事な子どものイライラを受け止めるのが私でラッキーだったと、思考を転換できるようになれば気持ちが軽くなります。“子どもの考えを素直に受け止める ”。頭でわかっていても、つい別の行動をとってしまう……。そんなこともたくさんあるでしょう。親だって、完璧にはなれません。子育ての悩みや葛藤、そんなところも思春期の子どもに率直に伝えてみるのもいいかもしれません。あと数年で子どもは巣立っていきます。きっと考え悩んだ子育てが懐かしくなるときがきますよ。【参考文献】・『10代の脳反抗期と思春期の子どもにどう対処するか』フランシス・ジェンセン、エイミー・エリスナット(著)●ライター/佐藤理香(株)
2016年09月08日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。お子さんが思春期に反抗的になるのはある意味当然のことですが、ごく稀に“反抗期のない子 ”がいます。親や祖父母のことが大好きで、「パパやママ、おじいちゃん、おばあちゃんのことをとにかく悲しませたくない」という子どもたちです。脳科学を専門とする医学博士でタレントの中野信子さんは、そういった“反抗期のない子”について、『脳の前頭前野の背外側部(はいがいそくぶ)の機能が弱いため、ものごとを自分の脳で合理的に考えることができない という特徴があり、親や祖父母の価値観に洗脳されやすい 』と、おりにふれて指摘されてきました。今回はそのような“反抗期のない子どもたち”について一緒に考えてみましょう。●筆者の旧友N君は、お父様のことが大好きで議員を世襲し、挫折して自ら命を絶ちました筆者の中学・高校時代の友人で、N君(故人)という人がいました。故人の名誉のために実名は伏せさせていただきますが、N君は正真正銘のセレブリティーの家に生まれ育った御曹司で、お父様は巨大与党所属の元国務大臣でした。愛されて育ったN君は本当に“いいやつ”で、愛すべき好青年でした。N君がどれほどいいやつだったかを示すエピソードが一つあります。高校のとき、勉強が苦手な友人たちは試験前になると筆者の“鈴木ノート”を借りて一夜漬けの勉強をし、及第点ぎりぎりで進級・進学したのですが、みんな友達のよしみで“鈴木ノート”を借りられて当然といった感覚でした。それに対しN君だけは試験が近づくと、「鈴木、申し訳ない。俺にもノートを貸してもらえないかなあ」と、膝をついて頼みに来たのです。あのN君であれば思春期に親に反抗したとは到底考えられません。案の定N君は30代のはじめに衆議院議員だったお父様が亡くなられた際、自分の意思でやっていたテレビ局のキャスターの仕事を辞め、巨大与党から補欠選挙に擁立されて衆議院議員に当選したのでした。高校生のころに垣間聞いた話によると、N君は「男たるもの与党の政治家となって国を動かせ」というお父様の話を素直に「はい」と聞き、年齢相応に反抗するどころかむしろそんなお父様に憧れていた ようです。ところがそんなN君の素直さは、お父様のみならずお父様の“取り巻き”だった人たちへの素直さにも直結してしまいました。取り巻きの人たちからもすっかり洗脳されてしまったN君は、その後公職選挙法違反や受託収賄容疑などで3度にわたって逮捕され、失意のまま41歳で自ら命を絶ったのでした。●親を好きであることが生きるうえで合理的なケースもあるが、逆もあるN君のように、立派なお父様のことが大好きで、そのお父様から話を聞き、おじい様のことを心から尊敬する。そのこと自体はけっして悪いことではなく、素敵なことです。そして、中には大好きな親と同じ職業に就いて成功する人もあり、親を好きすぎることが合理的な生き方でもあるケースは確かにあります。ただ、N君のようにややもすると親の価値観に影響されすぎているうえに“思いやり”もありすぎる人の場合、他人とのタフな駆け引きを必要とする政治家のような仕事が果たして適職であったかというと疑問は残ります。●脳科学に造詣の深い精神科医は、思春期に複数の価値観にふれることをすすめている都内でメンタルクリニックを開業する精神科医のA先生は脳科学にも造詣の深い医学博士ですが、N君のようなケースについて次にようにおっしゃっています。『Nさんに反抗期があったかなかったか、直接面識のない自分には分かりようもありませんが、お話だけからも明らかなことは、Nさんが非常に“思いやり”の深い人であったということです。これは、前頭前野の中でも腹内側眼窩前頭皮質(ふくないそくがんかぜんとうひしつ)と呼ばれる部分が一般的なレベルよりも発達しているためで、Nさんはこのケースに該当すると思われます。思いやりが深いことは素晴らしいことなのですが、眼窩前頭皮質が発達していて背外側部の機能が弱い場合、「思いやりが深くて打算的にはなれない 」という、政治家には最も不向きな人格に育っていたおそれは否定できません』(50代女性/都内メンタルクリニック院長、精神科医)自分の脳は人間性に強く関与する前頭前野のどの部分が発達していてどの部分に弱さがあるのか。残念ながらそれを自分で計り知ることは難しいと言えます。しかし、偏りを最小限にとどめることはある程度は努力で可能になるのではないでしょうか。A先生は言います。『思春期には、できるだけ複数の価値観にふれる ことをおすすめします。自分の親、自分のおじいさん、自分の家族の価値観には親近感はあるでしょうが、この世の中は全然違う感性を持った人間が「共に暮らしている」のだということを意識して自覚した方がいいでしょう。特にますますグローバル化が進むこれからの時代は、その方がストレスに対してタフかつ安全に生きることができるのではないかと思います』(50代女性/前出・精神科医)----------最後に、今はなき愛すべき友N君が、これからも人間どうしの足の引っ張り合いのない天国で笑顔で過ごされますよう祈念しながら、締めくくらせていただきたいと思います。合掌。●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
2016年08月23日こんにちは。子育て研究所代表の佐藤理香です。子どもも小学校高学年になると立派な思春期。中学、高校と、より多感な年齢になっていきます。この時期の女の子は自我意識が強くなり、外見を気にするようになります。美容やファッションなどに目覚めるのもこのころです。また、あこがれの対象としてモデルやアイドルを意識するようになり、ダイエットにも興味が高まります。このダイエット、思春期に行うにはリスクも多く、気をつけないと大変なことになります。そこで今回は、思春期のダイエットについてお伝えします。●思春期の女の子とダイエット小学校高学年から高校にかけて、女の子の体は大人の女性へと変容していきます。女性ホルモンも増える影響で皮下脂肪が増します。このため、一時的に太ったように勘違いしがち です。最近では、細身のスタイルがかっこいいという風潮もあります。そのため、ダイエットが不必要な子までダイエットをしているケースも見られるのです。●思春期に行うダイエットのリスク必要のないダイエット、間違ったダイエットはリスクが大きく、次のような危険を伴います。●(1)体が大きくならないこの時期は血液や筋肉など、体の主要な部分の成長が必要な時期です。特に身長は思春期を逃すと伸びることが難しくなります。ダイエットで栄養が不足すると、体全体の成長が止まってしまうのです。成長が止まることで貧血になる、筋肉が育たずにいつも疲れやすい、集中力が続かない などのトラブルがでます。●(2)生理不順体重が減り、脂肪も落ちると、生理不順が起きやすくなります。何か月も生理がこないということも稀ではありません。体は栄養が足りなくなると、卵巣まで栄養を届けることができず、正常な排卵ができなくなるのです。生理不順は将来、赤ちゃんが欲しくなってもなかなか妊娠できない『不妊症』に悩む原因 になります。●(3)ブサイクになる!?ダイエットで栄養が不足すると、体内でたんぱく質や脂質が不足します。髪の毛や爪はたんぱく質でできていますので、うるおいのないパサパサ髪、抜け毛、もろい爪になってしまいます。さらに、ビタミンなども不足することで肌もボロボロ、荒れがちになります。ホルモンバランスの崩れから毛深くなった というケースもあります。●(4)“食べること”が恐怖!?多感なこの時期は、学校生活や勉強、部活動、友人関係、家族関係で悩みや不安も多いため、食欲にも影響しています。悩みを一層深くし、食べることができなくなる『拒食症』や、食べ続けてしまう『過食症』など、ダイエットによって摂食障害を引き起こす可能性 があります。摂食障害になると心身ともに蝕まれ、深刻なうつや死に至る こともあります。ここまでくると治療や入院が必要です。ダイエットを甘くみてはいけません。●ダイエット中でも食事は必須!いくらダイエットが危険だといっても、「絶対にやる!」という女の子もいるでしょう。そのような場合は、間違ったダイエットにならないよう保護者が見守りたいものです。この場合も、食事を抜くことは止めましょう。食事は体のエネルギー源です。勉強も遊びも美しくなるのも、すべて食事からということをよく理解させることです。憧れのトップモデルは、食事をしっかり管理しながら体型を維持しています。専門家がつくことも多く、運動も取り入れています。素人が単に食事を減らして痩せたところでキレイな体型にはなりません。どうしてもダイエットをやるというなら、バランスの良い食事と運動で健康的に進めるのがポイントです。食事制限をして必死に痩せたところで、体には大きな影響がでてしまうのです。今のままで十分にかわいいこと、魅力的であることを自分で理解できるようになることも大人への一歩かもしれませんね!【参考文献】・『危険がいっぱい思春期ダイエット』福岡秀興・著●ライター/佐藤理香(株)
2016年08月18日こんにちは。子育て研究所の佐藤理香です。思春期の子どもと話をすると、「この子、気持ちが不安定なのかな……」と感じることがあります。何かにイライラしていたり、逆に気力が感じられなかったりする場合もあります。思春期の子どもをもつママやパパも一度は感じたことがあるのではないでしょうか?そこで今回は、思春期のイライラと無気力 についての対処法をお伝えします。●思春期にイライラしたり無気力になったりするのはどうして?●思春期は心が不安定!?思春期の子どもは、親からの自立と依存の狭間で心が揺れています。さらに、友人らとの人間関係も複雑化しており、他人と自分を比較して自身をより強く認識 するようになります。劣等感や優越感を感じるなど、心理的にはストレスが多く不安定になる時期です。●イライラ・無気力はSOSイライラして八つ当たりしてくる、いつもやる気が感じられない。こんな状況になると親は心配してしまいますが、実はすべてが悪いわけではありません。イライラや無気力はSOSのサインであることが多いからです。一般的には、SOSを出せずにそのまま頑張ってしまう子どもは鬱になりやすい 傾向にあります。イライラや無気力を表せる子どもは、無意識的に心のバランスをとろうとSOSを発しているのです。●落ち着いて振り返る時間をイライラしたり無気力になったりしている子どもは、物事に対して疑問をもったり、時には不満や不安を感じたりしながら問題意識をもっています。しかし、それを解決するために、自分自身と向き合い心の声をきく時間がもてていない可能性があります。自分自身で落ち着いて考える時間をもち、何に対してイライラしているのか、何に不満をもち、疑問なのか、振り返ることで落ち着きます。●親ができる対処法3つ思春期の子どもはデリケートです。ニコニコ笑っているかと思えば急に不機嫌になるなど、対応が難しいと感じる親も少なくありません。しかし、子どもの心が不安定だからといって、腫れ物に触るように放置したり、親の意見を押し付けたりすると逆効果。子どもが心を閉ざすことになりかねません。下記では、親ができる対処法を3つお伝えしますので参考になさってください。●(1)子どもを休ませるイライラ・無気力は心のサイン、子どもからのSOSです。学校生活は朝から晩まで分刻みで決められています。それに部活動、習い事と予定が休みなく入っている子どもも多いです。場合によっては、習い事が週3回、週4回と連日に渡ることもあります。大人でもハードなスケジュールに子どもは疲れていないでしょうか?状況をみて親がSOSを察知し、休ませてあげる ことは大きな意味をもちます。●(2)過剰な期待はNG子どもに期待することは悪いことではありません。親は自分の理想像を意識的に、時には無意識で子どもに話しているものです。思春期を迎える子どもは、敏感に親の期待を察する ので、それがいい意味で後押しになっていることもあります。しかし、子ども自身の理想と親の考えに温度差が大きい場合は、子どもがプレッシャーに感じている可能性があります。安心できるはずの自宅でもプレッシャーを感じるようになると、子どもは居場所を失うことになりかねないので注意が必要です。●(3)親子で対話するイライラや無気力は力技で解決できるものではありません。安心して心が落ち着いてくると自然に解決するものなのです。心の安定のためには、イライラの原因は何か?やる気がでないのはなぜか?など、本音を言える環境が必要になります。「何とかしたい!」「何とかしてほしい!」子どもはこのようなSOSを“言える相手”にぶつけ、精神バランスを保ちます。“言える相手”は親であることが多く、その言動は時に酷だと思うほどです。しかし、子どもにとって、“言える相手”がいるということは、信頼の証であり、精神的に大きな支え なのです。親の考えを押し付けていませんか?子どもの考えを善悪で決めつけていませか?頭ごなしに子どもの意見を否定していませんか?子どもと落ち着いて向かい合い、黙って話を聞いてあげるだけでも安心します。失敗が怖い、友達のあの子が嫌だなど、子どもの弱いところも多く出ることでしょう。まずは子どもの話を素直に受け止めるというスタンスが重要です。【参考文献】・『見逃さないで! 子どもの心のSOS 思春期に がんばってる子』明橋大二・著●ライター/佐藤理香(株)
2016年08月11日4歳になった娘。一度火が点くと話を聞かなくなり…Upload By SAKURAUpload By SAKURA広汎性発達障害のある娘。4歳になるとだんだんこだわりが強くなり、一度泣き出すとなかなか私の話を聞いてくれなくなりました。泣き続ける娘に私もイライラ…イライラ…泣く子を怒るとさらに泣く…火に油を注ぐとわかっていながら、ついつい怒鳴ってしまっていました。正直言ってもう疲れた…思い切って主治医の先生に相談するとUpload By SAKURAあの大人しかった2,3歳の頃の娘を考えると、反抗するのは成長の証…頭ではわかってはいても、日常の揉め事にうんざりして、だんだんと疲れてきます。ちょうどそんな時期、半年に一回の発達外来の検診がありました。「最近どうですか?」と聞かれた私は、「疲れました…」と正直に現状を話しました。先生がくれたアドバイスに衝撃!Upload By SAKURA娘との関係について相談すると、先生はこう言いました。「まずは気持ちを同調してから、話を進めてみてはどうですか?娘さんは、自分の気持ちを言葉にして表現することが苦手だから泣くんです。泣いている理由や嫌な理由を、お母さんがまず代弁してください。それから気持ちの同調をしてあげてください。お母さんが自分の気持ちをわかってくれていると思えれば、娘さんも落ち着くと思いますよ。この信頼関係の土台を作ると、だんだん話をしやすくなっていくはずです。」Upload By SAKURAそう言われて思い返してみると、私は娘の気持ちの代弁も、同調も全くしていなかったことに気づきました。娘は泣いて訴えていました。訴えていたのにその話を聞かずに私は怒っていたのです。気持ちが伝わっていない状態で怒られたら、誰だって話を聞きたくないはず…私はその助言に衝撃を受けました。「気持ちの代弁」「気持ちの同調」をやってみると…Upload By SAKURAUpload By SAKURAその日から私は、話をする前に「気持ちの代弁」と「気持ちの同調」をやることにしました。娘が泣き出したり、怒りだしたりしたときに、「そっか~○○だったんだ~○○したかったんだ~」と気持ちを代弁し、それに対して「わかるよ~ママもそうだよ~」と気持ちを同調します。その後、落ち着いてきたら「でもさ、○○したした方がいいと思うんだよね~どうかな~?」と言います。以前なら最初に言っていたこちら側の要求を、「気持ちの代弁」と「気持ちの同調」の後に話すようにしたのです。これを何度も繰り返していると、娘は私の話を最初から聞いてくれるようになりました。嬉しい気持ちのときも忘れずに!Upload By SAKURAUpload By SAKURAこの「気持ちの代弁」「気持ちの同調」は、トラブルが起きた時だけではなく、いつでもどこでも出来るコミュニケーション方法でした。他人から見れば、少し大げさ?と思われるくらいのコミュニケーションを繰り返していき、娘と「嬉しい!」「楽しい!」という気持ちを共有することで、私と娘のつながりは強くなっていきました。娘は泣いているときや怒っているときも私の話を落ち着いて聞けるようになり、娘と私との間に信頼関係が生まれたのが自分でもはっきりと分かりました。娘が話を聞けるようになった今でも、この「気持ちの代弁」「気持ちの同調」のコミュニケーション方法は続けています!
2016年08月10日思春期の子どもが「病院に行こう」と言われたときの気持ちUpload By ヨーコ子どもに発達障害の疑いを感じたとき。知能検査を受けるために、私たち親は「一緒に病院へ行こう」とわが子に切り出さなければなりません。思春期の子どもは「病院に行こう」と言われたとき、どのように感じるのでしょうか。そう言われて断る子どもは、もしかしたら少ないかもしれません。「私はおかしいのかもしれない」「どうして友達と仲良くできないのだろう?」「断るのは親に申し訳ない…」など、子どももいろいろ考えているのでしょう。何も口にはしないかもしれませんが、病院に行く子どもの心の中は、大人が考えている以上に複雑です。実際に、私の子どもが抱えていた2つの不安をお話します。子どもは大人が思っている以上に、自分たちが「他の子とは何かが違う」ことに気づいています。今は何でもインターネットで調べることができます。娘は、「今の自分はどういう状態なんだろう」「他にも私のように悩んでいる子はいるのだろうか」と、日々検索していたようです。そのため娘は、「知能検査を受ける意図」も、だいたい理解していました。ですが、その大切さや意義、検査で分かることが今後の生活や人生にどのように生かせるのか等は、分かっていなかったようです。本来の知能検査は、ありのままの自分の得意・不得意を診断するものだと私は考えています。その結果をもとに、どうやって得意なところを伸ばし、不得意なところをカバーしていくかを周りの大人とともに考えるのです。娘ははネットの情報で、知能検査は「テスト」とイメージしていた様子で、知能検査の意義を理解しないまま、「できなかったらダメなんだ」「分からなかったらどうしよう」と不安に思ってしまったのです。たとえ大人でも、自分は発達障害なのかどうかについて病院で診断を求めたとき、いざその結果を見たらショックを受けるでしょう。それが思春期の子どもとなれば、なおさらショックは大きいはずです。子どもは発達障害についての知識もまだ断片的です。例えば、アスペルガー症候群は、正しい知識や情報が浸透しないまま、「アスペ」という言葉がひとり歩きしています。この言葉はネットスラングにもなっていて、空気を読めない人や要領の悪い人に対しての蔑称になってしまっています。私の子どもは、そんなふうに世の中で軽蔑されているアスペルガー症候群であると自分が診断されてしまったら、自分はこの先もずっと周りの家族や友達とうまく関われないんだと思い込んでしまったようです。私はぜひ、子どもたちに正しい発達障害の知識を持ってほしいと思い、ブログでメッセージを発信しています。あなたは何も悪くない。あなたの親も何も悪くない。これは脳の個性なのです。ただ今の社会で生きていくのには、しんどい個性を持っているというだけ。あなたの価値は何も変わりません。友達と比べて劣っているわけじゃありません。あなたの個性なだけです。子どもの不安をやわらげるために、周りの大人ができる2つのことUpload By ヨーコ子どもは正しい知識を得られないまま、誰にも相談できずに悩み苦しんでいます。大人がしっかりと情報を提供することで、子どもの不安を少しでも和らげることが必要です。私は病院に行って知能検査を受けることのメリットは、自分の特性を知ることができることだと思っています。検査を受けることで、自分は視覚・聴覚どちらから情報を受け取る方がわかりやすいのか、短期的な記憶はできるのか、空気を読むことが苦手なのかといった自分の取り扱い説明書を手に入れることができると私は考えています。それを自分の中でしっかり納得して、自分を知ること。これからどういう生き方をするのか、生活ではどんな工夫をすればいいのかを考える手がかりとすることが、一番の有効利用法だと思います。子どもたちが知能検査を「テスト」だと思ってしまうことは、年齢的にも当たり前のことです。そのため、テストを受ける不安は大人がくみ取ってあげなくてはいけないと思います。知能検査の結果がいきなり子どもに伝わることはないと思います。どうやって伝えるか、またいつ伝えるか悩んでいる保護者の方が多いのではないでしょうか。私の娘は、小学4年生のときにアスペルガー症候群と診断されました。でも、いろいろな人に相談した結果、まだ娘には伝えないことにしています。ただでさえ自尊感情が低くなっている娘に、アスペルガー症候群であることを伝えれば、娘はさらに自信をなくしてしまうと判断したからです。様子を見ながらタイミングを計り、主治医から告知してもらう計画を立てています。主治医の先生など周りの人に相談しながら、誰がいつ告知するかの計画を慎重に進めていくことをおすすめします。子どもの気持ちに寄り添うために出典 : 思春期は自分を作り上げていくための時期であり、子どもたちの心はより複雑で、傷つきやすくなっています。まだ正しい知識を身につけていない子どもが少しでも不安なく病院に行くためには、周りの大人たちのサポートが不可欠です。子どもは何も言わないかもしれませんが、本当の心の中は分からないことだらけ、不安でいっぱいです。子どもの気持ちをできるだけ理解して、寄り添いながら一緒に歩いていきましょう。
2016年08月05日子育て研究所代表の佐藤理香です。先日、お子様が思春期を迎えたママが「もう小さな子どもでもないし、大人でもないし、接し方が難しい!」と言って嘆いていました。子どもが思春期に入ると、これまで以上に衝突したり、 葛藤したりする機会が増えると思います。口をきかない、全く話をしなくなったというケースも聞きます。これは思春期特有の心理状態が影響しているためで、成長のための重要なプロセス です。子どもの心の状態を理解できれば、反抗的な態度や不安定さにも慌てることなく対応できます。今回は、思春期の子どもの心理と接し方をお伝えしていきます。●思春期を迎える子どもの心思春期のとらえ方は男女差があるようですが、おおよそ10~18歳ごろといわれています。この時期の子どもには、次のような変化がみられるようになります。●依存と自立に揺れる思春期の子どもは、依存(甘えの行動)と、自立(反抗的な行動など)の行ったり来たりが激しくなります。親に干渉されて「うるさい」と怒鳴ることもあれば、「聞いてよ~」と甘えてくることもあるなど、子ども自身が葛藤する時期 なのです。精神科医の明橋大二氏によれば、“甘えない子が自立する”のではなく、“甘えた子が自立する”のだといいます。親に依存しながら甘えてくる言動も、反抗的な行動も、子どもの自立につながるステップなのですね。●自我意識の強まりこの時期の子どもは、大人への準備をし始めるので体に大きな変化が見られるようになります。体毛や胸のふくらみ、初潮など外見的な変化とともに、異性への関心も強くなります。また、交友関係が複雑化し、友達の言動から大きな影響を受け始めます。自分と他人の違い、自分は周囲からどう見られているかなど、他人との比較や競争で劣等感や敗北感を感じることもあり、心理的にはストレスが多く不安定な状態になりやすい時期 といえます。●子どもとの接し方思春期の心の変化をお伝えしましたが、一緒に生活する親御様はやはり心配になるものだと思います。続いては、子どもとの接し方と、その前提となる考え方についてお話しします。●親にはどう接してほしいか? 子ども目線で再考するご自身が中学生や高校生だったころを思い出してください。学校生活や部活動、友達に遊びと、思い出すことは家庭以外のことが多いのではないでしょうか。この時期は、周囲の環境から影響を受けやすいので、記憶のインパクトは家庭外のことが多くなります 。では、親との関係はどうだったでしょうか?「いつも叱られてた!」という人、「親は何も言わなかった」という人、中には「記憶がない」という人もいることでしょう。これは、親からの干渉を嫌っていた表れともいえます。しかし、親は要所要所で関与してくれたはずです。べったりではなく、子どもが必要とするときに支えてあげるというスタンスが大切なのです。●子どもはただ受け入れてほしいだけ!?思春期の子どもは、知恵や知識、思考力がついてくるので、物事に自分なりの考えを持つようになります。思春期は“対話が重要”と言われることが多いですが、対話すらままならないということもあります。そのような場合でも、子どもからの発信が必ずあるものです 。その発信がどのようなものであれ、はじめから否定したり、話を遮ったりしたら子どもが心を閉ざしてしまいます。大人は正解を知っていることが多いので、考えを誘導したり、押し付けたりしたくなりますが、まずはそこをガマンすることがポイントです。子どもが話しだすのを待つ、そして落ち着いて聞くという受け入れの心を持ちましょう。●家庭は甘え&リラックスができる場所に子どもを尊重して対応しようとしてもうまくいかないこともあります。感情のタイミングや個性、家庭の事情もありますので通り一遍の正解はありません。しかし、これだけは重要だということがあります。親の愛情 です。家庭では甘えてよい、好きなようにリラックスして時間を過ごせるのだという安心感が必要です。そして、子どものことを愛していて、どんなときも必ず味方であること、これを言動で継続的に示すことが大事なのです。ふと子どもがもらす悩みや葛藤、心配や不安をキャッチできるように、喜びを共感できるように、家庭は子どものすべてを受け入れるという場所になるとよいですね。【参考文献】・『見逃さないで! 子どもの心のSOS 思春期に がんばってる子』明橋大二・著●ライター/佐藤理香(株)
2016年08月04日小学校受験のための「お受験」が幼児の受験すべてではありません。実はお受験が乳児期から始まっているという事実が、最近の専門家分析であるそうです。乳児期からの受験勉強って? いったい何を見るの? というママへ、英才教育への将来展望を踏まえて情報をお伝えします。■乳幼児の脳トレーニングは、有名幼稚園受験にも対応できる?京都大学名誉教授の久保田競さんの著書『赤ちゃんの脳を育む本』でも、赤ちゃんの頃から脳に刺激を与えることは、脳の発達=お受験脳に役立つとされています。乳幼児期に脳のトレーニングをしていくと、お受験体制に入りやすくなるというわけです。また、『赤ちゃんの頭がよくなる育てかた』(主婦と生活社)の著者であり東京大学を卒業した櫻井正孝氏も、まず0歳から3歳時は脳を活発にするトレーニング、知能のトレーニングが大切ということで、ご自身も幼児教育のトレーニング所を開設しています。(参考)東京知育研究所 同書によれば、五感活用の「親子あそび」をすることで、乳幼児の才能がグングン伸び、丈夫に育つという理論が展開されています。このころは知識を養うというトレーニングよりも、五感を活用することに尽力すると、その後の幼児期に形成される脳が受験にも役立つということになります。 ■日常生活の中で、「考える力」の準備を乳幼児に養いたいのは、思考力・推理力・想像力・集中力・発見力です。好奇心をどんどん養って、脳を活発にする、右脳を使うなどのトレーニングで子どもはグングン発達していきます。速読の先生にインタビューをしたときに、「利き手ではないほうで字を書く練習をする、歯磨きをする」「画をさかさまから描く」などで右脳が刺激され、記憶力や集中力がアップすると聞きました。乳幼児の場合ですと、日常生活の中で「毎日同じことをする、くり返す」という刺激を与えるだけでも、神経回路の定着、脳の発達を促すことになります。たとえば赤ちゃんの時の座り方。首が座ってきたら、きれいに座らせたり、立たせたりする運動。はいはいも、正しい姿勢できれいにさせると、骨や筋肉の発達も兼ねて脳をうまく働かせることにつながります。■うまくできたらほめてあげる、スキンシップするいろいろなことができたら、ほめてあげることもトレーニングの一つです。ほめられると赤ちゃんでも脳が反応し、次はもっとうまくやろうとポシティブな気分になるものです。ほめることは赤ちゃんのモチベーションをアップします。また、ママとのスキンシップが多ければ安心感を持ち、落ち着いた子になるといわれています。授乳が親子のスキンシップに良いと産科で言われるのはそのためでしょう。乳幼児のお受験前のトレーニングといっても、数式を解いたり漢字を書いたりするわけではありません。日常の動作をメインに、きちっとした姿勢や動きを身に着けることは、後々のお受験キッズを形成する上でも役立ちます。また、お受験をしない場合でも、元気で頭の回転が良い子を作る基盤に。健やかな子どもの成長のために、乳幼児期から脳に刺激を与えて、適応能力が高い子の発展を目指しましょう。(高城あすか)
2016年07月26日【ママからのご相談】小6になる息子のことで相談なのですが……。ちょっとしたことで反抗的な態度を取ることが多くなってきました。それなのに甘えてくることもあって……。思春期ってこんな感じなのでしょうか。どう接すればいいですか。●A. 子どもの心を第一に考えて、大事なときに手を離さないことです。こんにちは。メンタル関連を中心に書いているメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。思春期に入りかけているお子さんがいらっしゃるということで、自立のときに見せる反抗と、依存である甘えの狭間で相談者様も迷いが生じることがあるかと思います。この2つは、大人になるための大切な成長課程なので、無理に押さえつけようとしたり、構い過ぎてしまったりすることはよくありません。お子さんの心の成長 を第一に考えて、依存(甘え)の面を見せたらしっかりと甘えさせましょう。自立(反抗)の面を見せたときは、無理に押さえつけるようなことをしないで、また構い過ぎないことも大切です。●思春期は心の大事な成長小学校高学年あたりから、反抗と甘えのあいだで行ったり来たりを繰り返す時期を『プレ思春期』 と呼びます。反抗したかと思っていたら、次は甘えてきたなんてことを繰り返して、自立と依存のあいだを行き来します。この年齢であれば、あって当然の心の動きだと思っていただければと思います。相談者様のお子さんは、心が健全に成長してきている のですから心配ありません。思春期は、自立しようとする心が反抗という形で表れます。大人になるためには自立は必要です。これを抑えようとしないようにしましょう。依存は、思春期の中で親から友達、そして異性へと向かっていきます。この時期は親から友達に移行していきます。その課程の中ではさまざまなことがあるため、傷つくこともあるでしょう。そんなときに安心して戻れる場所が必要です。それが家であり、親なのです。●親がしてはいけないこと・してあげること思春期は、子どもが多くの模索や心の葛藤などさまざまなことを学びます。その状況の中で親がしてはいけないことがあります。それが、“親の不安を解消するための過保護・過干渉”です。親だって不安になりますよね。この不安を解消するためにしてしまうのが、・先回りをして手を貸したり口を出したりすること・子どもに構い過ぎてしまうことなどです。これは一見、子どものために動いているように思えますが、実は自分の不安を和らげるため にしていることなのです。構うことは大切ですが、度が過ぎれば害になります。してあげなくてはいけないことは、“助けを求めてきたら必ず受け止める”です。学校や習い事などの中で生じる不安や問題を乗り越えるのに、助けが必要になることだってあります。そのときに、突き放すことが必要な場合もありますが、本当に助けが必要なときは必ず受け止めてあげることがお子さんの成長に役に立ちます。手を離してしまわないようにすることが心を救うことにつながります。●この時期の接し方反抗が生まれるのは、親と子がそれぞれに主張や意見があるからです。反抗が起こったら、子どもの意見をまず聞いてあげてください。話を聞いて譲れるところとそうでないところがあります。そんなときは、「なぜ譲れないのか」をきちんと説明してあげることが大切なポイントになります。相談者様が言ったことに対して、ご主人が話も聞かずに反対ばかりしたら反抗的な気持ちになりませんか?それと同じことです。甘えてくるのは、家の外で不安になるようなことなどがあったときだと思われます。親に甘えることで受け入れてもらって、安心をしたいのです。受け入れてあげて安心させてあげてほしいと思います。この年齢になれば、反抗と依存を繰り返します。大切なのは、親の不安な気持ちを優先させてしまわないこと です。そのせいで過剰に反応し過干渉になってしまったり、「もう勝手にしなさい!」と子どもの手を離してしまったりすれば、完全な思春期に入ったときに、親に頼れない・家に戻れないとなってしまうことが心配です。そうならないように、今の時期を大切にしていただければと思います。相談者様のお力になれたら幸いです。ご相談ありがとうございました。【参考文献】・『10代からの子育てハッピーアドバイス』明橋大二・著●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
2016年07月20日思春期のゴールは子離れのスタート(前編) の続きです。■子どもが親離れを始めたら、親はこう考えよう!親離れを何とも思わない子どもに対して、親はどうなるかというと、かなりの心の痛みを感じるはずです。だって、ついこの間まで自分がいなければ生きていけないほどだったのに、あるとき急に自分に対して反抗を始め、親子の間には、目には見えない距離ができていきます。次第に子どもとの距離は長くなっていき、そしてまた急に、子どもが目の前からいなくなってしまう。こうなってしまったときの親の寂しさは計り切れません。子どもと一緒に過ごした幸せな日々は、もう二度と来ないと気づき、心にぽっかりと穴が開いたような気持ちになることでしょう。子どもと違って、親には「子どもが成長したら自分から離さなければならない」というような本能はありません。ですから寂しい気持ちになるのは仕方のないことです。でも、つらい気持ちは何とか克服したいですね。そんなときは理性の力を借りて、子離れを理解しようと努めるしかありません。自分自身のつらさや寂しさを理由に、子どもをいつまでも自分につなぎとめていてはなりません。わが子はもう、立派な1人の大人となったのです。考えてみてください。どこから見ても大人の人に対して、子どものような扱いをしたら、それは失礼なことですよね。わが子に対してもそんな失礼なことをしてはいけません。子どもが大人になったからと言って、もう親子でなくなるなんてことはありません。成長しても親子は親子です。でも、その関係がちょっと変わるだけです。わが子を1人の人間として認め、接していく関係に切り替わったということです。「子どもが親離れをしたら、わが子との新しい関係が始まるのだ」と考えましょう。■子育てよりも長い、夫婦だけの時間さて、わが子との関係は今まで述べたとおりですが、夫婦という関係も忘れてはなりません。子どもが親離れしたら、そこからは夫婦の時間がほとんどになります。考えてみれば人生の道のりの中で、子育てをしている時期なんて、たったの数十年間です。平均寿命から考えても、子育ての期間よりももっと長い時間が、これから先も続きます。そして、その時間を共にするのは、誰あろう自分の伴侶です。子育てが終わり、子どもは立派に成長しましたが、それでもまだまだ人生の途中です。子育てと同じように、ときにはほめ、ときには厳しく接して、夫婦でお互いに高め合っていきましょう。子育てはいつか終わってしまうものですが、人生はずっと続きます。子育ての後は、自分自身を育てる楽しみをじっくりと味わっていきましょう。
2016年06月19日思春期は子どもとぶつかることが多く、とても大変な時期。それゆえ、とかく目の前の反抗的な子どもをどうしたらよいかとばかり考えがちです。でも、私たちは、反抗期のその先の子どもの姿についても知っておかなければなりません。思春期が終わると同時に、親にとってはもっとつらく感じる「子離れ」の時期が待っているのですから。■子育て期=母親の人生でもっとも素晴らしい時間何かにつけ反抗してばかりの思春期。早くこの時期が過ぎてほしい…と願うのは、どの親も同じでしょう。でも、子どもたちは思春期が終わったら、どのように変化していくのでしょう。思春期を越えた子どもたちは、もう「1人の大人」という立場で、親と接しようとします。そんなわが子を見て、あなたはきっと「ここまで成長したか」と感慨深く、そしてうれしく思うことでしょう。でもその一方で、つらい気持ちも感じるはずです。子どもを育てることは実に苦労が多く、無償の愛で続けていかなければならない大変な仕事です。でも、子どもが与えてくれる親としての幸せは、ほかのどんなものにもかないません。子育て期というのはいわば、母親の人生でもっとも素晴らしい時間と言えるはずです。しかし、そんな素晴らしい時間は永遠には続きません。子どもは成長していき、思春期を迎え、そしてある時急に、親から離れていく日が来るのです。■親から離れていく思春期後の子どもたち親子の別れは、人間にだけあるのではありませんね。むしろ、人間以外の動物の離れ方のほうがはっきりしています。そして決定的に違うのは、あるとき急に離れていくのは、子どもではなく親のほうであるということです。「もうこの子はちゃんと自分の力で餌をとったり、自分を守ったりして過ごしていける」というところにまでわが子が成長したとき、親はきっぱりとした態度で子どもを自分のそばから追い出そうとします。子どもにとっては突然のことで、何が何だかわかりません。ですから、親がどんなに自分を追い払おうとしても、必死に近づいて行こうとします。それが何回も続いて初めて、自分はもう親と一緒に過ごせないのだと悟り、名残惜しそうに親を見つめながら、新たな自分の住処を探しに出ていくのです。人間以外の動物の世界では、親子の間でこのようなことが行われています。これに対して人間の場合、最初に離れようとするのは子どものほうです。ここでちょっと、自分が思春期を終えようとした頃を振り返ってみてください。親から離れていくとき、人間以外の動物の子どものように、「離れたくない」という気持ちが起こったでしょうか。たいていは、大したことではなかったとか、特に心に感じるものはなかったと思い出せるでしょう。これは、人間の本能に関係しています。人間には本能的に「成長したら親から離れていくもの」ということが、脳に刻み込まれているのです。したがって、思春期を終えた子どもたちが親から離れていくことは、必然的なことと言えるのです。<後編に続く>
2016年06月18日「今日はこれを着ようね」「イヤイヤ!」「そろそろ行こうか」「イヤイヤ!」…。魔のイヤイヤ期が到来すると頭の中では「冷静に」と思っても、ついイライラしてしまいますよね。いつも以上に手間がかかり、うまくことが運ばない子育て中、ちょっと絵本でひと息いれてみてはいかがでしょう。子ども自身に問いかけたり、子どもへの接し方について考えさせられたりする、おすすめの絵本を編集部が厳選! ぜひ参考にしてみてください。■にゃんこちゃん えほん(4) いやいや にゃんこ絵・文:ひがしくんぺい/出版社:復刊ドットコム 「にゃんこちゃん えほん(4) いやいや にゃんこ」(絵本ナビ紹介ページ) お風呂がきらい、あるいはすぐに入ろうとしない子におすすめのお風呂絵本。最初はお風呂を嫌がっていたにゃんこも、ちょっと不気味な魔法使いのおばあさんがやりたい放題してきて…。冒頭で登場する石けん遊びのシーンに心奪われつつ、お風呂に入る気持ち良さをわかりやすく伝えてくれます。■いやだいやだ作・絵:せな けいこ/出版社:福音館書店 「いやだいやだ」(絵本ナビ紹介ページ) 主人公のルルちゃんはどんなことにも「いやだいやだ」。そんなルルちゃんにママも「いやだいやだ」することに。大好きなおやつも、たいようさんも「いやだいやだ」になったら、ルルちゃんはどうする? 読み手に問いかけたまま、物語は終わります。ママの感じ方や子どもの受け取り方も実にさまざま! 多くのレビューがあるので「どんな子どもに」「どうなってほしいときに」読むといいか、参考になりますよ。■スージー・ズー いやいやウィッツィー作・絵:スージー・スパッフォード/訳・文:三原 泉/出版社:BL出版 「スージー・ズー いやいやウィッツィー」(絵本ナビ紹介ページ) 人気の愛されキャラクター、スージー・ズーのシリーズです。今回の主役は「イヤイヤ」ばかりするウィッツィー。首をぶんぶんと振るシーンがとてもかわいらしく、イヤイヤすること自体が楽しくなっている様子が、自分の子どもと重なって見える人もいるのでは? 仲間たちが「どうしたら一緒に遊べるかな?」と考えるところに優しさを感じてほっこり…。子どもへの接し方として、ひとつの参考になるかもしれませんね。 ■だめだめママだめ!作:天野 慶/絵:はまの ゆか/出版社:ほるぷ出版 「だめだめママだめ!」(絵本ナビ紹介ページ) ママが子どもに「だめ!」と言い聞かせる絵本なのかな? と思いきや、実際は真逆のお話。ある日突然、部屋は散らかしっぱなし、食べたいものだけ飲み食いして、服もはちゃめちゃ、気の向くままに行動するママに…。そんなママにぼくは何度も「だめー!」と叫ぶ始末。読み聞かせをされた子どもたちは「ママがこんなことするなんて!」という驚きとわくわく感でいっぱいに! 立場を逆転させたおもしろさの中に、感慨深さがある1冊です。■おばけのやだもん作・絵:ひらのゆきこ/出版社:教育画劇 「おばけのやだもん」(絵本ナビ紹介ページ) やだやだする子にまとわりつくおばけ「やだもん」のお話です。とりつかれると、ちょっと目つきの悪い「やだもん顔」になってしまうところが笑えます。子どもにとってはちょっぴり恐ろしいのか、やだもんにとりつかれないように「イヤイヤ」が少しだけおさまった! という子もいるよう。やだもんの「駄々っ子」探しは今日も続いているようです。「イヤイヤ」するのがとにかく気に入っている子、こだわりがある子、わがままを言いたい子…。イヤイヤ期を経験していないほうが珍しいですし、ママ自身も子どもの頃、きっとこの「イヤイヤ期」を通ってきたはず。「今はそういう時期」と割り切る潔さも必要かもしれませんが、子どもの心によりそった絵本を選ぶことで、心境の変化が見られることも。ゆるりと子どもの「イヤイヤ期」をやり過ごす、手助けの1冊となりますように。データ協力: 絵本ナビ
2016年06月16日こんにちは、ママライターのfurahaです。幼児期の子どもをもつママの悩みの種のひとつ、お片付け。毎日「片付けなさい!」と言っているママ、何度言っても片付けをしない子どもにイライラしているママも多いと思います。でも、実は片付けをしやすい環境 が整っていないと、子どもにとってお片付けはとても難しいことだとご存知でしたか?お子様がなかなか片付けをできるようにならない……というママ必見!子どもが進んで片付けをしたくなる方法を紹介します。●夢中で遊ぶことは子どもの脳の発達を促す!多くの子どもは、遊ぶとなると家にあるおもちゃを次々と出して、部屋の中を散らかしながら遊びますよね。大人からすれば、一つ遊んだら一つ片付けておけば、そんなに散らかることはないのに……と思わずにはいられません。しかし専門家によると、この夢中になって遊ぶというのがとても良いこと なのだとか。教育評論家の親野智可等先生は、著書『「ダメ!」を言わなければ子どもは伸びる』のなかで以下のように述べられています。**********『例えば、子どもが大好きなブロックに夢中になって遊んでいるとき、思考力、創造力など…脳はフル回転しています。まさに頭がよくなっていく真っ最中。しばらくして飽きてしまって“じゃあ、お絵かきしよう!”と、出しっぱなしで次に移ったとき脳は高速回転を続けたまま次にいけます。そうやって、出しっぱなしで何時間もフル回転の状態のまま楽しく遊ぶと、頭もスッキリ、気分も爽快。さらに、脳も鍛えられるのです』**********思いっきり散らかしながら無我夢中で遊ぶことは子どもの自然な姿であり、創造力や思考力を鍛えること にもなっている。そう思うと、多少散らかっていても大らかな気持ちで子どもを見守ることができるのではないでしょうか!?●お片付けタイムを決めてそのときに一気に片付ける!夢中で遊ぶのは子どもにとって良いことですが、遊びっぱなしで片付けをしないというのはいけません。夕食前やお風呂の前など片付けるタイミングを決めて、そのときに一気に片付けるようにしましょう。毎日同じタイミングに片付けることで、子どもにとってもわかりやすく、お片付けの習慣がつきやすいと思います。●子どもが片付けたくなる環境を整えよう!では、どうしたら子どもはお片付けタイムに進んで片付けられるようになってくれるのでしょうか?わが子が片付けをしないというママは、子どもが片付けやすい環境 が整っているかを見直してみましょう。●(1)子どもが片付けやすい収納にする・おもちゃ箱はフタのないものにする・箱に目印や写真をつけて、分類して片付けやすいようにする・表紙が見える絵本収納棚など、パッと見てどこに何があるのかわかる収納にする・収納場所は子どもがしまいやすい高さにするおもちゃ箱が開けにくかったり、物がしまいにくかったりする収納であれば、子どもは片付けたがりません。幼い子どもでもわかりやすい収納を心がけましょう。●(2)子どもの発達に合わせて少しずつ片付けをできるようにしてあげるいきなり1人でちゃんと片付けができる子はいません。まず初めは、部屋の隅におもちゃを集めるところから始めてみる。それができたら種類やサイズで分類、おもちゃ箱に自分で入れられるようになる、というように段階を踏んであげるといいでしょう。●(3)遊び感覚で片付ける「どっちが早くできるかママと競争ね!」と言って数を数えながら一緒に片付けたり、箱によっておもちゃを分類している場合は正しい箱におもちゃが入れられるかゲーム感覚で片付けをしてみたり。片付けが苦手な子には、遊びの延長線上で片付けができるようにしてあげるのもおすすめです。片付けができたらシールを貼る、というようなお片付け表を作ってあげる のも喜ぶと思います。●(4)片付けができたときは思いっきり褒めてあげる片付けに限らず育児全般にいえることですが、子どもは褒められるとそのことに対して得意なイメージ を持ち、次からも進んでやってみようと思えるようになります。少しでも片付けができたときは、「お片付け上手だね〜よくできたね〜」と褒めてあげてください。●物を大切にする心を育むことで片付けもできるようになる!?片付けないといけない理由、皆さんはお子様に何と伝えていますか!?大人の感覚からすると、片付けないと部屋が散らかるから、けじめがつかないから、部屋が散らかっていると物を踏んで怪我の原因になるから、といったところでしょうか。しかし、このようなことを言われても、恐らく小さい子どもはピンときません。そこでおすすめなのは、物を大切にする心を育んであげるということ!「おもちゃを出しっぱなしだと踏んじゃって、○○くんも大事なおもちゃもイタイイタイになっちゃうよ」「乱暴におもちゃをしまうと、大事なおもちゃが怪我しちゃうよ。遊べなくなるよ」というように、「大切な物だからちゃんとしまってあげないと」という気持ちが芽生えるようにわかりやすい言葉で伝えてあげるといいでしょう。何度言っても子どもが片付けをしないと、イライラしてしまったり、「片付けなさい!」と怒鳴ってしまったり、挙げ句の果てに結局自分で片付けてしまう。ついついそうなっちゃうママもいると思いますが、もちろんそれらは逆効果!子どもが片付けやすい環境を整えてあげて、親子で気持ちよく片付けができるように工夫できるといいですね。【参考文献】・『「ダメ!」を言わなければ子どもは伸びる』親野智可等・著●ライター/furaha(ベビーマッサージ講師)
2016年04月17日思春期に子どもから激しい反抗をされると、親は戸惑います。どうしたらよいのかと、うろたえます。脳科学から思春期の反抗について考えてみましょう。「なぜこんなに反抗するの?」という疑問が、すっきりと解消すること間違いなしです!■反抗の激しさは脳が求めていた!思春期は、第2反抗期が訪れるものとされています。ただし、反抗の度合いは人それぞれです。上の子は反抗期の訪れがはっきりしていてすぐわかったけど、下の子は「後から振り返ってみたら、あのときが反抗期だったのかな」という感じだったなど、同じ血を分けた兄弟でも反抗の度合いが違っていたということがあるのです。始まる時期についても同様です。ですから、「ほかの子に比べて反抗がひどすぎるのでは」「反抗期がいつになってもやってこない」といった親の心配は無用です。なぜなら、反抗の度合いや時期については、その子の脳が決定していることであり、脳は子どもによってみんな違うからです。親が心配してもどうにもなりません。反抗期が過ぎ去るのを、あるいはやってくるのを待つしかありません。親に「イヤだ」と反抗することをきっかけとして、前頭前野(※)は働き始めます。でも、前頭前野が働くのにどれだけ強い刺激、つまり反抗が必要なのかは、脳によって違います。逆に考えてみれば、反抗が強いということは、それだけ強い刺激を脳が求めているからにほかなりません。脳が求めた刺激が反抗というかたちで出ているなら、脳は正常に発達しているのです。反抗を続けていくうちに、言葉や態度による反抗をしなくても前頭前野が働いて、自分の力で何でもできるようになります。自分がそんな力を得たと脳が判断したとき、反抗期は終わります。なんでもそうですが、習得するには反復練習が必要です。脳が学習するにも、繰り返しが絶対に必要なのです。子どもの反抗は、脳が学習を終えるまで続きます。その終わりの時期も人によって違っていて、大学生でも、まだ反抗期にいると感じられる人もたくさんいます。(※)前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などを、つかさどる脳内の最高中枢です。人間と他の動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。■長い反抗期、親が乗り越えるにはわが子への信頼と心の余裕が必要子どもの反抗は、脳が成長のために求めている刺激なのだ、それほど子どもの脳は成長してきているということなのだ、とわかってはいても、反抗期の子どもに毎日接していると本当に大変です。「ご飯できたよ」と声をかければ「食べない」と返される。「出かけるの?」と尋ねれば「ほっといてよ」と言われる…。まったく会話になりません。友だちとの電話中に親が通りかかれば、すっとその場からいなくなってしまう。これでは子どもが考えていることも、今置かれている状況もわかりません。そのような時親は、不安でいてもたってもいられなくなるのです。そんなとき、親はどうすればよいのでしょうか? 答えは、今まで育んできたはずの子どもとの信頼関係を信じて、ひたすら今のわが子を認めることです。何を考えているの、何をしているのと迫りたい気持ちを我慢することです。わが子を信用していればこそ、心の余裕が持てて、今の子どもの姿を受け入れられるのです。果てしなく続くように思われる思春期ですが、わが子を信じていれば、きっと乗り越えられるはずです。
2016年04月09日前編 では、なぜ思春期が社会の道徳意識を教える時期なのかについて、脳の成長のしくみから解説しました。後編では、社会モラルを教えるための具体的な方法を紹介します。■思春期の子どもにはこうやって社会の道徳意識を教えよう!社会的な道徳意識(社会のモラル)を脳に植え込むのにふさわしい時期は、思春期です。でも、これは決してたやすいことではありません。親だけの力では不足と感じることもあるでしょう。どうやったら思春期の子どもに道徳意識を教えられるのか。それをご説明しましょう。これまでのしつけのように、社会的な道徳意識を試行錯誤で身につけさせる?それはいけません!というのも、たとえば「やってみたら誰かにけがをさせちゃった。ごめんなさい。今度からこれはしちゃいけないな」というのは許されませんよね。試行錯誤している間にたくさんの人が傷つけられたり、不幸になったりしてしまいます。思春期の子どもに道徳意識を教えるには、上手に言葉を使って何度も説明するしかありません。つまり、理性に訴える、理屈でわからせるという方法になります。というよりも、その方法以外にありません。前頭前野にとっては、社会的な道徳意識というのは「理性」として入っていくのです。■子どもとの積極的な話し合いをでも、このやり方は、とりわけ日本人にはとっては困ってしまう方法かもしれません。日本の子育てはつい「親が正しい姿を見せればいい、それを見て子どもが育ってくれれば」となってしまいがちです。「親の背を見て」的なしつけは、日本人は得意な傾向にありますが、面と向かって子どもとうまく話し合うのは苦手な傾向にあるようです(むろん家庭によっていろいろですが)。子どもとしっかり向き合って、話し合いが持てない親たちは、学校で教えてくれないかな、なんて考えてしまうこともあります。でも、親がやるべきしつけを、ほかの人に転化してしまって、果たして効果が出るものなのでしょうか?なんとなく、でやってしまっていては、親の意思が子どもに伝わらず、子どもの脳に社会的な道徳意識を定着することはできません。タイミングを見て何度でも、真面目に、この世の道徳について語りかけてください。そのためには、子どもとの話し合いの場を、日常的に作っていくことが必要でしょう。そしてもうひとつ大切なポイントがあります。思春期の子どもにこういった話を真剣に語るのは、家族において誰が適任か? それを考えておくことです。道徳意識を教えるのは、子どもにとってもっとも身近な社会人が適任です。家庭によってはそれが父親のこともあるでしょうし、母親のほうがふさわしいこともあるでしょう。いずれにせよ、親が逃げずに子どもとしっかり向き合って、話し合う場を作ること、それが重要です。
2016年04月08日思春期の子どもの扱いは難しく、これまでのようなしつけがしづらくなります。ですから、子どもに何をどう教えたらよいかわからなくなって、何となく子どもとの関係が薄くなってしまいがちですね。でも、この時期だからこそ教えるのに適したこともあります。それは、「社会における道徳意識(モラル)」です。どういうことなのか少し詳しく見ていきましょう。■なぜ思春期は社会の道徳意識を教える時期なの?12歳~13歳頃といえば、思春期真っただ中。この時期には、前頭前野がすごいスピードで発達していきます。この頃になると、前頭前野にある細胞が突然大きくなるのです。前頭前野とは、大脳の前頭葉の中に存在する領域で、「記憶」「思考」「創造性」「感情コントロール」などをつかさどる脳内の最高中枢です。人間とほかの動物の脳を比較した場合、大きく違うのが前頭前野で、人間の脳の部位でもっとも発達している部分です。従って、頭の良い人、発想が豊かな人、新しい物を造り出す人などは、前頭前野が発達していると考えられています。前頭前野はこの時期になると、何もしなくても成長するのかというと、それは違います。前頭前野の急成長をもたらすきっかけ、それは「反抗」です。反抗期は「これから前頭前野が活性化するよ、大人になるための訓練が始まるよ」という合図でもあるのです。大人が言うことに対して反発をします。するとその次には、「ではどうしたらよいのか」ということを自分で考えなければならなくなります。このことこそが、前頭前野にとっての大きな刺激となるのです。脳の成長は、反抗なしには始まらないのです。前頭前野が急成長するということは、脳が何かを会得しやすくなっているということです。そんな脳の成長時期であり、子どもから大人へとポジションが移っていく時期だからこそ、社会における道徳意識(社会のモラル)をしっかりと脳に叩き込むべきなのです。そしてこの時期を逃してしまったら、もう脳に道徳意識が定着することはないとも考えられています。■「子どもだから」では済まされない年齢思春期以前は、子どもは何と言っても「子ども」です。仕方ないね、で済まされてきたこともあったかもしれません。しかし、これからは「子どもだからね」とは思ってもらえない年齢になっていきます。仮に中学卒業後、すぐに仕事についたとすれば、もう自分1人の力で、社会において立ち回っていかなければなりません。そのために必ず必要になるのが、社会的な道徳意識です。だから、思春期の子どもには、親が責任を持って道徳意識を定着させてやらなければならないのです。時期からしても、これが最後のしつけになるのではないでしょうか。ぜひきちんと行ってあげましょう。< 後編 に続く>
2016年04月08日前編 では、脳が子どもから大人へと成長していく段階について説明しました。後編では、子どもが思春期の反抗期を迎えるとき、親としてどのような心構えをしておけばよいのかについて解説します。■思春期は親としての責任から解放される兆しあらゆることに反抗し、親も何かと悩む思春期ですが、この思春期にも必ず終わりが来ます。そうなってみると初めてわかることですが、思春期を通り過ぎたわが子は、もう「子ども」ではありません。ですから、思春期の終わりとともに子育てが終わると言ってもよいでしょう。とはいえ、日本では成人するのは20歳ですし、成人した後もしばらくは親元で学生を続けていることが多いでしょう。そうなると、実質は、子どもが自分の力でお金を稼げるようになるまでは、親は責任を持たなければなりません。でも、わが子がどんどん成長・発達していくに伴って、子ども自身が自分の行動に責任を持たなければならなくなってくるはずです。それと比例するように、親としての責任を少しずつ、子ども側へ移行していかなければなりません。言い換えてみれば、子どもの脳が大人になればなるほど、子育ての責任がなくなってくるということです。そう考えてみたら、思春期は親としての責任の終わりが近づいている時期とも言えますね。思春期真っただ中のわが子を見て思い悩むなんて、もうしなくていいのです! むしろ「もうすぐこの責任から解放されるのね!」と喜んでもいいくらいです。昔はよく、初潮を迎えた女の子のために赤飯を作り、みんなでお祝いをしたと言います。脳が最後の転機を迎える思春期は、まさに初潮を祝うように喜びたいものなのです。それほど、脳にとっては大切で、大きな転機だと言えます。思春期の反抗は、それまでの変化とは違って、夫婦ともにつらく感じることが多いでしょう。そんなとき、ぜひ思い出してほしいのです。「思春期が来るということは、もう子育てのゴールが近づいているということなのだ」と。きっと「思春期、反抗期が来てよかったね」という気持ちになれることでしょう。■子どもが思春期を迎える前に、見直すべきは夫婦関係余談ですが、この思春期の時期に夫婦間でトラブルが起こることも多いようです。「これまでお前は何をしてきたんだ!」と夫が妻を責めるわけですね。こうならないようにするためには、子どもが生まれたと同時に、夫を父親へと育てていく妻の努力が必要なのです。思春期にあるこのような夫婦のトラブルは、これまでの夫に対する教育がうまくいかなかったということを表しているのです。思春期には、子育てに関して夫婦がどうやって力を合わせていったかを問われる時期とも言えますね。世の中のお母さんたちにはぜひ、思春期の厳しいときになって夫に心外な言葉を言われないよう、子どもが幼いうちから、父親育てを頑張っていってもらいたいと思います。
2016年04月07日親の仕事はいつでも大変ですが、もっとも試練と感じられるのが思春期の反抗の時期でしょう。今までは素直だったのに、この頃は親のいうことになんでも反抗して、扱いづらい…そんな悩みを誰もが抱えています。ちょっと視点を変えて、脳科学から思春期に訪れる反抗を考えてみませんか? 理屈がわかれば、子どもの反抗に悩むことがなくなり、むしろ喜べるようになるかもしれません。■大人になるまでに脳は3回の転機を迎える子どもの脳は、生まれてからずっと休むことなく、大人の脳へと成長していきます。でも、ただ少しずつ成長していくだけでなく、周りから見ても「おや? 今までと違うぞ」と感じるような転機が訪れるときがあります。脳の転機と言われる時期は、以下の通りです。・反抗期と呼ばれる2歳頃・何となく不安定になる9歳~10歳頃・第2反抗期と呼ばれる思春期これら3回の転機を経て、脳は大人になるのです。つまり、脳の成長は一定速度ではなく、3回の転機には急激で大きな変化が現れるのです。脳の成長は、カニの脱皮に似ていると言われることがあります。カニは大きくなるために脱皮を繰り返しますが、脱皮中や脱皮したばかりのカニの味はあまりおいしくない、ということをご存じですか?カニは甲羅のまま大きく成長するのではなく、成長するときに脱皮して一回り大きくなります。従って、脱皮中や脱皮したばかりのときは、甲羅だけサイズが大きくなっているため、中身はスカスカ状態で、あまりおいしくないのです。子どもの脳の転機はちょうどこの脱皮に似ていて、脳が転機の真っただ中、あるいはその直後であるとき、子どもは大人にとって、ちょっと扱いづらくなるのです。■脳の転機を経て、心と体は大人へと近づいていくとはいっても、この転機は、脳にとっては必要不可欠です。カニの身がおいしくなるために脱皮が必要なように、脳にとっても転機は必要で、それを経て子どもの心と体は大人へと近づいていくのです。2歳の頃に起こる反抗期は、ほかの人と違う「自分」を自覚することができた証です。9~10歳頃に起こる不安定さは、脳が大人の脳へと移行していることを表しています。そして、思春期と同時に起こる反抗期は、心も体も大人になる時期になったことを意味しているのです。親にとってもそうですが、子どもにしてみてもこの3回の転機は、なかなかにハードなものです。それでも子どもは全力でそれにぶつかって、確実に大人に近づいていくのです。反抗期を含めた3回の脳の転機には子どもが扱いづらくなりがちで、親としてはイライラすることもあるでしょう。しかし、脳も体も心も成長しているシグナルであり、成長という視点で見ると喜ばしいことと言えます。< 後編 へ続く>
2016年04月07日【ママからのご相談】私には中学生の子どもがいるのですが、最近反抗期で言うことを聞かなくなってきたので、アダルトチルドレンになっていないか心配です。どのように子どもに接したらよいのでしょうか?●A. 思春期の反抗期は正常な反応です。安心してください。こんにちは。メンタルフリーライターの木田あゆみです。お子様が反抗期で言うことを聞かないとのこと、いろいろと心配されているとお察し致します。しかし、実は反抗期は正常な子どもの反応なので、心配することはありません。むしろ、反抗期のない子どものほうが、アダルトチルドレンになる可能性があります。●反抗期とアダルトチルドレンの関係性鹿児島の心療内科クリニックの院長先生(50代女性)のお話によると、『アダルトチルドレンになる人の特徴として、“反抗期がないこと”が挙げられる』そうです。反抗期がないということは、幼少期に親が子どもを抑圧し、子どもが親に本音が話せなくなる状態になっている と言えます。このような状態が続くと、思春期に反抗期がこなくなり、アダルトチルドレンになってしまう可能性が高くなってしまいます。アダルトチルドレンになってしまうと、精神疾病になりやすくなってしまい、また、ストレス耐性も弱くなってしまうことがあります。●子どもがアダルトチルドレンにならないように育てるには?子どもをアダルトチルドレンにならないように育てるには、子どもと真正面から向き合うことが大切 だと言えます。相談者様も子どもに十分愛情を持って育てているとは思いますが、子どもに過度の期待をしていないか、気を付ける必要があります。子どもに過度の期待をしてしまうと、無意識のうちに子どもの心を抑圧し、正常なコミュニケーションが取れなくなっていまいます。そうなると、子どもと親の間に軋轢(あつれき)が生まれ、アダルトチルドレンになる可能性が高くなってしまいます。●子どもと本音で話せる関係を正常なコミュニケーションとは、子どもと親がよい意味で本音を話せる関係にあること 。相談者様のお子様は大丈夫だとは思いますが、思春期の子どもはいろいろと気むずかしいものです。この大変な時期を乗り越えれば、子どもは正常に育っていきますので、反抗期だからといって過敏な反応は避けるよう、十分気を付けましょう。●ライター/木田あゆみ(メンタルフリーライター)
2016年03月04日2歳から3歳にかけての、イヤイヤ期の子どもにどう接するかは、どの親にとっても難しい問題でしょう。私自身の子育てを振り返っても、もっとも難しかった時期のひとつは、娘が2歳から3歳のころの「人生最初の“反抗期”」=「イヤイヤ期」でした。ことらが、何をしようとしても、いちいち拒否してくるのです。たとえば、私が娘を抱こうとしても「ダ~メ~な~の~!!」「ヤラも~ん!」「かあちゃん、いいの~!」「とうちゃん、キライ~!!」の大連発。さすがにお風呂だけは「とうちゃんと入るの~」と言ってくれましたが、ほかはすべて拒否、という時期がありました。あまりに何度もそうされてしまうと、かつてつきあっていた女の子にふられた場面と重なって、「パパとしてだめなのか」と落ち込んでしまうこともありました。しかし、大丈夫です。安心してください。それは、あなたがパパやママとして、だめだからではありません。子どもの「自分づくり」の第一歩として、「イヤイヤ期」は重要な意味を持っているのです。子どもが「イヤイヤ期」に入ると、どうやら、母親より父親のほうに動揺が大きく、どう接すればわからなくなることが多いようです。日本の家庭では、子どもを叱るなどの役割はもっぱら母親が担い、父親はと言えば、一緒に遊ぶ、お風呂に入るなど、楽しい役割専門、といった傾向になりがちです。このことも手伝って、子どもが「イヤイヤ期」に入ると、ふだん叱りなれていない父親は、どう接すればいいかわからなくなるのです。私も、遊びとお風呂中心の、楽しい役割専門の育児化していなかったので、子どものイヤイヤに戸惑ってしまったのです。 いまでもよくおぼえているのは、電車の中で、くつをぬいで投げ始めた時です。さすがに「やめなさい!」と叫んだ私を面白がるように娘は、くつを投げ続けました。子どもがイヤイヤ期になると、どうしていいかわからなくなった親は、突然きびしい態度をとりがちです。しかし、そうすると、子どもの反抗は、ますます大きくなってしまいがちです。では、どうすればいいか。「わたしメッセージ」を使うことです。子どもを否定するような、押しつけがましい言葉は、その隠れた主語が、二人称(お前、あなた、など)になっています。同じ内容の言葉を、一人称(わたし)に変えて言ってみると、それだけで、押しつけがましくなく伝わりやすい言葉になるはずだ、と。たとえば、「どうしてそんなことするのぉ!」と叱り飛ばすのではなくて、「お父さん、それはとってもいやだなぁ」と、穏やかに、けれど目をみてしっかり伝えるのです。「だめでしょう!」と怒鳴るのではなく、「もっと●●してくれると、うれしいな」と、しっかり真剣に伝えるのです。この時期の子どもは、親の困った顔を見るのがうれしくて、わざと困るようなことをしてきます。たとえば、ぐったり疲れているのをわかっているのに、いつまでも「おんぶ、おんぶ」といってきたり。こんな時、「いい加減にしなさい!」とどなるよりも、「パパ、つかれちゃった。自分で歩いてくれると、助かるな。お願いできるかな」と、真剣にこちらの気持ちを伝えるのです。子どもは、否定された気持ちにならず、「パパを助けてあげよう」と前向きな気持ちで、自分で歩こうとしはじめます。これは大きな成長の証です。ぜひお子さんにもパパやママの「わたしメッセージ」を伝えてみてください。(諸富祥彦)
2016年02月24日親の愛情は、子どもにきちんと伝わっているか?突然ですが、子どもにきちんと愛情を伝えられているかどうかを、一度見直してみたほうがよいかもしれません。「子どもを愛していますか?」と聞かれれば、まともな親であれば「当然でしょう」と答えを返すことでしょう。そして、得てして親というものは、自分の子どもには愛情がきちんと伝わっているはずだ、と思い込むものです。しかしながら、中学生を対象にした調査によると、「自分が親から愛されていない」と感じている子どもが相当数いることがわかっています。子どもが親の愛情を実感できていなければ、親がよかれと思ってした「しつけ」も効果を発揮せずに終わってしまいます。子どもの「自立したい」という考えは、親の愛情を基盤に芽生えていくものですから、この点は非常に重要だと言えます。子どもが小さいうちは親に甘えたいものです。しかし、注意したいのは、子どもが甘えてきた際には十分にそれを与えてやる必要がありますが、それは子どもを「甘やかす」こととは別物だということです。子どもを「甘えさせること」と「甘やかすこと」の区別がついていない親は、実はかなり見受けられます。親に甘やかされた場合でも、子どもは親に愛情をかけられているとは感じないことが多いのです。しかし、子どもを甘やかしている親は、得てして愛情をたっぷりかけていると勘違いしているものです。子どもの認識と親の認識にずれが生じているわけで、これが双方の間に不信感が生まれる源になるのです。「甘やかす」と「甘えさせる」の違いたとえば、子どもが親とのスキンシップを求めて近寄ってきた時や、何か親に話をしたくて近寄ってきた時、「ちょっと手が離せないからあっちに行っててね」とか「お利口さんにしててね。そしたら後で、ほしかったおもちゃを買ってあげるからね」といった具合で追い払ったりはしていないでしょうか。もしそうしているのなら、それは「甘えさせる」ではなく「甘やかす」でしかありません。子どもは親とのスキンシップを求め、そのぬくもりをほしがってきているのですから、ほんとうに「甘えさせる」には抱っこをして、しっかりとその気持ちを受け止めてあげることが必要なのです。子どもが話を聞いて欲しいと思っているようなら、どんなにくだらない話でも、叱ったり批判したりしないで、まずは子どもの話をきちんと聞いてあげることが必要です。そうする代わりに物を与えるようなことはしてはいけません。そして、抱きしめたり、ふれあったりして甘えさせるという行為には、してもしすぎるということはないと覚えておくべきでしょう。このように、子どもを「甘やかす」というのは、子どもが親に甘えたい時にそうさせず、受け入れないことによって起きるものです。そして、親とのふれあいを求めている子どもにも物を与えてしまうと、子どもは自分が本当は親と存分にスキンシップがしたかったのだ、ということに気づけなくなってしまいます。容易に物を与えることが、別の問題を招くことも人間というのは、物によって心を満たすことが、なかなかできない存在です。最初はちょっとした物でも大丈夫だったとしても、次第にもっともっと欲しがるようになっていきます。そして、それがエスカレートするとしまいには、家庭内暴力に走ってしまったり、何かを万引きしたりするようなことにつながってしまうケースもあります。また、親との精神的なふれあいを求めていた子どもに代わりに物を与えていると、子どもはわがままに育ってしまいます。子どもにしてみれば、いくつ物をもらったところで、本当に欲しかった親のぬくもりを得ることはできません。物をいくつあげたところで親の愛情は子どもには伝わりません。毎日忙しくてなかなか子どもに構ってやれないという場合には、ぜひ注意したいところです。子どもは親との精神的なふれあいを望んでいる子どもは何より、親とのスキンシップや精神的なふれあいを望んでいます。そういう点からしても、子どもが良くないことをしたり、約束を破ったりした時には、本気で叱り、本気で教え諭して欲しいと思います。また、子どもが甘えてきた時にはきちんと受け止めてあげること。抱きしめ、話に耳を傾け、子どもの心に寄り添って共感を示して欲しいところです。そのようにして毎日を過ごすことができた子どもは、自分が親から確かに愛されていると全身で感じ取ることができます。そういう状態であれば、間違ったことをした時に叱ったとしても、素直に聞き入れてくれます。子どものあるがままを受け容れ、子どものあり方を認めて褒めること。そして間違いがあったら心からしっかりと叱ってあげること。それが真の愛情を持った接し方だと言えるでしょう。(子育ての達人)
2015年11月21日子どもの反抗心には、2つの種類がある反抗期などに子どもが親に示す反抗的言動には、実は2つの種類があります。ひとつは「自立したい」という心からくるもの。もうひとつは、自立したい云々とはまったく関係なく、単純にわがままな思いから出てきているものです。自立心とは関係のない反抗=わがままを子どもが示したときには、まずもって親が子どもに本気になって相対するということが、大切です。わがままによる反抗は許さない、パパもママも本気だぞ、ということを、子どもにはっきりとわからせる必要があります。こうした点について、幼い頃に子どもに対してきちんと相対しておかないと、子どもは何歳になっても自立できなくなってしまいます。そもそも、こういった自立心とは関係のない反抗というのは、それまで子どもがわがままを言っても、親が見逃してきたからこそ発生するものなのです。思い当たる節がある方は、今まで子どもを甘やかし放題で育ててきていなかったかを振り返ってみてください。たとえば、子どもがおもちゃをしつこくねだってきた場合、「買わないとしつこいから」という安易な理由で、「値段も安いし、まぁ、いいか」と買ってあげてはいなかったでしょうか。そんなふうにして、子どもが欲しいといったものを言いなりになって与えていると、その子どもは何かを「我慢する」という考え方ができない子どもになってしまいがちです。何かをしたいと思った時、本来ならばそれを我慢して、やるべきことをやらねばならないような場面であっても自分のしたいと思う気持ちを制御することができなくなってしまうのです。何かをしたい、何かが欲しいという衝動を我慢するというのは、幼い頃から、日々の生活の中で実際に我慢をした経験がないと身につきません。しつけというのは、子どもを罰するということではなく、このような「我慢の経験を通して、感情のままに行動したり、衝動的に行動したりしないように教えていく」ということなのです。「体罰はしつけではない」と言われる理由とはいえ、厳しく子どもをしつける必要があるからといって体罰を使うのは良くないことです。しつけと称した体罰を日常的に受けて大きくなると、その子どもは「自分の意志を相手に通すには、暴力を使うと効果的」という間違ったメッセージを受け取ってしまいます。このため、しつけをしていて叱りつけた時に、子どもが言うことを聞きそうにない場合であっても、決して手を上げずに、落ち着いて言って聞かせるようにするべきです。そのようにするには親の側の根気や我慢も必要になりますが、本当の意味で自立した人間に育てたければ、避けては通れない対応だと言えます。子どもの自立心を育てるためには、体罰のほかにもしないほうがいいことがあります。たとえば、子どもに対して何かをさせようとする時に、命令形の言い方(「○○しなさい」「○○しちゃだめ」)を頻繁にするのはよくありません。こうした強い言い方でばかり行動を指示されていると、子どもは自分で何かを考えたり判断したりすることができなくなってしまう傾向があります。当然ながら、最初のうちはある程度は仕方ない部分もあります。子どもの判断力では、一から十まで任せきりにするのが心配なのは当然です。それでも命令のような言い方ではなく、子どもと話しながら、共同でどうしたら良いかを考えていくのが理想的なあり方です。また、子どものものの考え方は系統立っていなかったり、自己中心的であったり、幼稚で荒唐無稽だったりするかもしれません。だからといって、子どもが考えたことを完全に否定するような言動をしたり、馬鹿にしたりしてはいけません。子どもの考えた結果に問題があるのであれば、どうしてそんなふうに考えが進んでしまったのかということを、子どもと一緒になって話し合い、また、そうした考え方の何が問題なのかということをじっくりと話してあげることが大事なのです。(子育ての達人)次回は最終回、子どもをわがままに育てないための押さえるべきポイントを紹介します。
2015年11月20日子どものわがままを注意したり、禁じたりするのが「しつけ」近頃、子どもが感情的になって駄々をこねている時に、「何か言うとよけい悪化するから」ということで子どもの言いなりになってしまう親が多いといわれます。子どもが自立心を出して何かを自分1人でやりたいと言い始めた時にそれを認めてやらせてみるのとは違い、こういうかたちで子どものやりたいままに行動させるのは、あまり良い結果をもたらしません。こうした経験をたくさんした子どもは次第にわがまま放題になり、最終的には自己中心的な厄介な人物に育ってしまう傾向があります。子どもがある程度言葉を使えるようになってきたのであれば、子どもがわがままを言い始めた時や、感情を爆発させて騒ぎ始めたような時には、きちんとわかりやすい言い方で言葉を使った注意をしたり、そういう行いを禁じたりする必要があります。これこそがいわゆる「しつけ」なのです。場合によっては、親に何か言われると、余計に騒ぎ立てたり、より感情的になったり、果ては泣き出してしまったりするかもしれません。しかし、いったん何かについて注意したり、禁止したりしたのであれば、「いま時間がないから」「面倒だから」といった理由で、親のほうが折れてはいけません。それではしつけにならないからです。ここで注意したいのは、子どもの言うことをまったく取り合わなかったり、何かあるたびに口うるさくお小言ばかり言ったりしないようにしなければならないということです。そんなことになれば、子どものほうもストレスをため込む結果になってしまいます。子どもがやって良いことと、やっては駄目なことを明確に分け、その基準に従って、しっかりとしつけをすることが大切なのです。こんなことをするのは、「何でもかんでも自分のしたいようにはできないものなのだ」ということを、子どもに身をもってわからせるためでもあります。「ここだけは自由にやってもいい」という、きまりを作る別の作戦として、ここだけは自由にやってもいい、というものを1つ作る、という手もあります。たとえば、子どもにおもちゃを買ってあげるのは誕生日などの何か特別な時だけ、という家庭内のきまりごとを作ったとしましょう。その上で、「ただし、本だけはいつでも欲しい時に買ってあげる」という例外規定を作るのです。こうすれば、子どもがお出かけ先でおもちゃを欲しがっても、「特別の日じゃないと、おもちゃは買えないって約束でしょ」と拒否できる一方、子どもをたくさん本に触れさせることができるようになります。このように、例外規定に子どもの発達のために役立つことをうまく仕込んでおくのは、おすすめのやり方です。各家庭の事情に合わせて、何か考えてみてください。(子育ての達人)次回は、子どもの自立心とわがままの違いについて解説します。
2015年11月19日子どもと同じレベルで対応したら、大人の負け反抗期に入った子どもに「イヤ!」「自分でやる!」を連発された時、忙しいとどうしてもイラッときてしまいがちです。しかし、ここで感情的になって、子どもと同じレベルで怒鳴りあったのでは、ますます反抗が長引いてしまいます。ここは、自分の子どもが「思いや感情を周りに言葉で伝え始めるほど成長したんだ」といった捉え方をして、少しおおらかに対応するように心がけたほうがよいでしょう。たとえば「お風呂に入る?」と聞いたところ、「イヤ!」と返されたとします。このまま入らなかったらどうしようと思うと、焦って叱りつけてしまいそうですが、実際のところ、1回ぐらいお風呂に入らなかったからといって、どうということはありません。「そう言うなら1回ぐらいお風呂抜きでもいいか」というように、一歩引いて考えてみることです。また、別に子どもはお風呂に入りたくなくて「イヤ!」と言っているわけではないので、「○○ちゃんは入らないんだよね?」と逆のことを言うと、「やっぱり入る!」などと手のひらを返したりします。それでも「入らないもん!」などと言うようであれば、「ふ~ん。お風呂はすっごく楽しいんだけどな~。お母さん、もう入っちゃうよ?」と言いながら、お風呂に入る素振りをすればいいのです。はじめのうちこそ「入らない!」などと言っていても、実際にお母さんがお風呂の用意をし始めれば、そのうちに「楽しいの?」などと尋ねてきたりします。そこを捉えて、「~ちゃんといっしょに入れれば、もっと楽しいんだけどな~」などと誘えば、ほとんどの場合、お風呂に入ろうとします。大切なのは、「イヤ!」と返された時に叱りつけないことです。子どもと同じレベルで対応したらこちらの負けだ、と考えるようにしましょう。同様に、「イヤ!」の後で感情的になって怒り出してしまったり、泣き出してしまったりするような場合にも、周囲の大人まで感情的にならないようにすることが大切です。叱りつけたりせずに、何か別のことに気持ちを向けさせるような工夫をすれば、そのうちに収まります。「だいっきらい!」と言われても、成長を喜ぼうここで注意したいのは、子どもが感情的になって、「お母さんなんかだいっきらい!」などと口走った時です。「そんなこと言う子はうちの子じゃありません!」などと言い返すような場面も時折目にしますが、これは一番やってはいけないことです。大人にとっては些細な売り言葉に買い言葉かもしれませんが、子どもはこうした言葉を真に受けて真剣にとらえてしまうからです。子どもにこういうことを言われて感情的になってしまうのは、親の側も子どもと同レベルで相手をしているからに、ほかなりません。子どもに「お母さんなんかだいっきらい!」と言われたら、「もう『嫌い』なんて言えるぐらい成長したんだなあ」と、逆に喜ぶぐらいでいいのです。それが大人というものです。基本的に、これぐらいの年齢の子どもがお母さんを嫌うなんてことはまずありません。これぐらいの子どもにとってお母さんは世界で一番好きで大事な人です。それでも「嫌い」と言うのは、お母さんがどう反応するか見たいだけだったり、「嫌い」という概念や言葉を理解したので、それをただ使ってみたかったりというだけのことなのです。子どもの「嫌い」に惑わされず、逆に「お母さんはあなたが大好きよ」と言えるぐらいの余裕を持ってください。子どもがそうしたお母さんの態度に安心すれば、反抗期も短く終わるものなのです。(子育ての達人)次回は、子どもをわがまま放題にさせないための方法について解説します。
2015年11月18日意欲があるならやらせてみるほうが、反抗心は収まっていく2、3歳ぐらいから始まる第1次反抗期は、半年から1年程度続いた後、だんだんとおさまってきます。4歳ぐらいになってくると、子どもは自分の考えたことや感じていることを、きちんと言葉を使って、他人に伝えることができるようになってきます。また、運動をしたり手足を使ったりする能力も向上し、手足を使って思った通りの動きをすることが、どんどんうまくなります。このため、服のボタンかけや食事といった細かい作業をさせても1人で問題なくこなすことができるようになります。こうなれば、単なる「イヤ!」というかたちではなく、意思表示をしっかり行い、いろいろなことを子どもに1人でやらせてもさほど問題ではなくなってきます。子どものほうも、うまくいかなくてイライラするということも減ってきて、いわゆる「反抗」は収まっていくのです。このように、子どもは反抗期を通して精神的に親から自立し、母子分離を始めます。そういった意味で、反抗期は子どもの成長に欠かせない過程であると言えるでしょう。ですから、反抗期をうまく乗り切ることができれば、それ以降の親と子どもの間の関係がよいものとなりますし、子どもが思春期・青年期と成長して自立を深めていくという点から見ても、非常に大切な時期になってくるわけです。子どもの自立心を摘み取らないよう、工夫しよう子どもは3歳ぐらいになると、「何かを自分でやりたい」という意欲を持つようになってきます。しかし、意欲はあっても常識やルールというものがよくわかっていませんので、自分の心が命ずるままに行動すると、家庭内の決まりごとや社会常識といったものから逸脱してしまうことがあります。規範から外れがちであるとはいえ、子どものやろうとする行動は、すなわちその意欲の表れでもあります。ですから、この時期に子どものやることや、「やりたい」という意見をむやみに抑圧してしまうことはよくありません。そうなると、子どもは自分の思いを通したくて怒ったり泣いたり暴れたりします。そして、長期間そのように抑圧された場合、子どもは個性をうまく伸ばせなくなってしまい、将来的にトラブルに見舞われる可能性も出てきます。よって、子どもが何かを「自分でやる!」と言い出したときには、なるべく思い通りにさせてあげましょう。たとえば、1人でパジャマを着ると言い出し、ボタンかけに時間がかかりそうだと思うのであれば、ボタンの数が少ないパジャマを用意した上でさせてみればいいのです。間違ってボタンをはめたのを全部直したりするのは面倒だと思うからこそ、子どもがパジャマを着ようとするとつい手を出してしまうわけですから、逆に間違いようがないぐらいの状態に準備をしてしまえば良いということです。あまり周囲からあれこれ言い過ぎると、自主的に何かをすることが嫌いになってしまいかねません。子どもの自立心を摘み取ってしまわないように、いろいろと工夫をしてあげることも親の役割ではないでしょうか。(子育ての達人)次回は、子どもが「おかあさんなんてきらい!」と言い出した時の対応についてです。
2015年11月17日子どもの「やりたい!」気持ちを見守ろう子どもが第1次反抗期にさしかかった場合、子どもがやりたがっていることはできるだけ自分でやらせるようにしてみてください。ぐずぐずしているので苛立つかもしれませんが、そこはぐっとこらえて、子どもがやり遂げるのを見守ってください。また、親は直接的な手助けをせずに側面支援に回るとよいでしょう。たとえば、「ボタンをかける」という動作はかなり難しい作業です。そのため、最初のうちはやってのけたいという思いがあるのになかなかうまくいかず、子どもはかなりイライラするかと思います。親ができることは、子どもの代わりに手を出すのではなく、そもそもボタンかけのしやすいような服やパジャマを準備することです。見た目がどんなにかわいいものであっても、ボタンホールが背中にあるような服や、細かいボタンが数多くついているような服はやめたほうが無難です。また、うまくできずにイライラしてカンシャクを爆発させそうになったら、そこでちょっとだけ手助けしてあげる、という手もあります。この時、親がやるのは「ちょっとだけ」にして、あくまで主導権は子どもにあるようにするのがコツです。大切なのは、子どもがいらついてきたタイミングで手を貸すことです。子どもの様子をきちんと観察できていれば、難なくわかることでしょう。子どもが満足感を得られれば、感情の爆発は減っていく子どもが自分1人で全部やり遂げた時も、親がちょっとだけ手助けをした時も、いずれにしてもできたところで、手放しで褒めてあげるようにします。反抗期で「イヤ!」「キライ!」ばかり言ってはいても、この年齢の子どもは、親に褒められるとうれしいものです。何かを自分1人でやり遂げたという充足感を得るとともに、「ほかにも何かやってみよう」という意欲にもつながっていきます。それから、子どもがやり遂げて得意そうな顔をしている時は、できばえが少々微妙であっても、それを指摘しないことも大事です(そして褒めるのです)。もしかするとボタンをかけ違っているかもしれませんが、そこですぐに直してしまうと、感じていた充足感が傷ついてしまいます。そうなると、子どもは落ち込んだり、不機嫌になったり、怒り出したり、果ては泣き出してしまうかもしれません。どうしても直したいと思うのなら、しばらく時間をあけてからそっと直してあげるようにしましょう。このようなかたちで、「自分1人でできた!」という充足感を感じ、親に褒められて良い気分になるといったことを繰り返すうち、子どもが感情を爆発させる場面は減っていきます。(子育ての達人)なぜ、子どもが「やりたい!」と言ったら、やらせたほうがいいのか? 次回、詳しく解説します。
2015年11月16日第1次反抗期になった子どもは「イヤ!」を連発しては親を困らせますが、子どもは別に反抗するために反抗的な言葉を発しているのではありません。この言葉は、子どもの「自律したい(※)」という気持ちの現れなのです。もしも、子どもが「パパ、ママ、私はこんなふうにやりたいの。私のやり方でやらせて」というふうに、きちんとした言葉で意志を示してくれれば、言われたほうも「じゃあ、やってごらん」と反応を返すことができるのではないでしょうか。ところが、第1次反抗期頃の子どもは、まだそういう表現のしかたをすることができません。そのため、口にするのは「イヤ!」や、「自分でする!」になってしまうのです。こういう表現で言われてしまうと、親にしても「反抗的」、「親の言うことに従わない」と感じてしまうわけです。反抗期は大きく2回ある子どもが大人になっていく過程で、そのようなかたちで親に対して「反抗」する時期というのは、大きく2回あるとされています。はじまりは2歳~4歳ぐらいの時期であり、この時期は第1次反抗期と呼ばれます。次は12歳~14歳ぐらいの時期で、この時期は第2次反抗期と呼ばれています。第1次反抗期の子どもの反抗心は「自律(※)」したいという思いによって起きるものであり、第二次反抗期の反抗心は「自立」したいという思いから起きるものです。(※)自律=自分で考えて(自分の意志で)行動する/自立=他者(親)からの支配・援助を受けずに存在する、行動する「たかがボタンかけ」でも、子どもには重要なこと第1次反抗期に入った子どもは、親がなにかお世話をしようとするとあらゆる局面で「イヤ!」を連発します。歯を磨かせようとしても「イヤ!」、服を着替えさせようとしても、「イヤ!」といった具合です。そして、たいていの場合「自分でする!」と言い出しますが、やってみてもうまくいきません。たとえば服の着替えですが、ボタンのかけはめというのは、かなり高度な動作を要求するものです。手の動きとしても複雑な上に、顔を下に向けてもなかなかボタンホールが見づらいことも動作の難易度を上げています。いつまでもモゾモゾとやっているのにしびれを切らして、親が脇から手伝おうなどとしようととすると、子どもはどんどん不機嫌になります。親が無理にボタンをかけてしまったりしようものならば真っ赤になって怒り出し、しまいには泣き出してしまうでしょう。親にしてみれば「ボタンかけの何がそんなに重要なのか?」といったところでしょうが、当の本人にしてみれば、ものすごく大切なことなのです。(子育ての達人)子どもが「イヤ!」と言い出した時、親はどう対処するのがよいのでしょう? 次回は、親の対処法を解説します。
2015年11月15日子どもが2歳にさしかかったころ、何に対しても「イヤ!」と駄々をこね、言うことを聞かなくなるようになります。これは「魔の2歳児」とか「第1次反抗期」などと呼ばれる現象で、たいていの子どもが示すものです。「反抗期」というと何か悪いことのように捉えがちですが、実際にはこれは子どもにとっては大事な成長のプロセスです。この第1次反抗期をはじめ、反抗的になった子どもにどう接していけばよいかについて見ていきましょう。「魔の2歳児」がやってくる子どもは2歳から3歳ぐらいの時期になると、それまで素直に言うことに従っていたのとは打って変わって、親が言うことに対していちいち反抗するようになります。この時期の子どもには以前よりも知恵がつき、自分のことを自分でしたいという意識、すなわち自我が表れ始めてきています。それによって、このような反抗をするようになるのです。ただでさえ育児や家事で大変なところに駄々をこねられたら、親は疲れてしまうものです。しかし、親からすればただの反抗的態度に見えるものも、子どもにとっては成長していくために欠かせないもの。子どもの反抗を「悪いこと」「やめさせるべきこと」ととらえずに、子どもと同じ次元でやりとりしてしまわないように注意したいものです。子どもの反抗に対して対応する際に注意したい点を3つほどあげてみましょう。反抗期が来たことをむしろ喜ぶ子どもが反抗するのは、覚えた言葉も増えて、知恵がついてきたからです。つまり、すくすくと成長してきた結果なのです。子どもの駄々を悪いものと捉えるのではなく、「無事にここまで成長したんだなあ」という思いを持って見るようにしてみてください。ただし、子どものわがままの言いなりになるような対応は後に禍根(かこん)を残しますので、「子どもがもっと成長していけるように」という点を考えて対応をすることが、大切になってきます。子どもと同じ次元で怒らない子どもの成長をより促すための対応として大事なのは、子どもが反抗した時に、親も一緒に感情的になって怒らないように気をつけることです。それでは子どもの駄々こねと同じ次元で怒っているだけのことになってしまいます。子どもとは違って、親は成熟した大人であるわけですから、子どもの反抗の理由や背景についても冷静に考えることができるはずです。どうして「イヤ!」なのかについてちゃんと理由を尋ね、子どもの主張にも一理あると感じたのであれば、子どもに共感を示してみせることも必要です。守らなければならない社会のルールがあるのであれば、共感を示すのとは別に、教え諭せばいいわけです。親子でよく考え、納得させる子どもがわがままを言い出した時に、頭ごなしに「ダメ!」とやってしまうのではなく、どうしてそういうわがままを言うのかをきちんと聞いた上で対応するというやり方です。たとえば、子どもが店頭でドーナツを食べたがって駄々をこねた時、「とにかくダメなものはダメ!」とはせずに、何故ドーナツを欲しがるのかの理由を尋ねるようにします。「今日は、おうちに帰ってからケーキを食べようって約束したはずだけど、今じゃないとダメなの?」であるとか、「さっきアイス食べたいって言ってたんじゃないの?」といったように、子どもにいろいろと尋ねながら、ドーナツを欲しがる理由を探っていくようにしてみてください。ただし、注意点として、矢継ぎ早に次から次へと質問をしたり、厳しい口調で問い詰めたりしてはいけません。また、何か1つの正しい結論を出すことが目的ではないので、そこそこの答えが見えてきたところで切り上げるようにするといいでしょう。そういったやりとりを通して、場合によって子どもの立場でものを見たり、親の気持ちを子どもに伝えたりすることが大事なのです。(子育ての達人)次回は、子どもの反抗期について、掘り下げていきます。
2015年11月14日ひとつの場所にじっとしていることができない小さな子どもに食事のマナーを教えるのは、なかなか困難なことです。日常生活で活発に活動する子どもや食の細い子は特に、食卓に座るということにまったく興味を示さないこともあるのではないでしょうか?とはいえ、焦りは禁物です。幼児期には、子どもの成長に合わせたベーシックな食事マナーを習慣づけ、ゆっくりと教えていけばよいのです。今回は、幼児期から習慣づけておきたい、シンプルなテーブルマナーをご紹介します。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(1)食事の前の手洗い、うがいはしっかりと教える何事にも興味関心の高い子どもの手は、いろいろな物に触れるので、いつもバイ菌でいっぱいです。まずは食事前、しっかりと手洗い、うがいをする習慣をつけさせましょう。また、食事中にトイレに行かなくてもよいように、食事前は必ずトイレに行かせる、もしくは、おむつの交換をしておくのがよいでしょう。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(2)食事の時間をきちんと決める時間の流れがわからない小さな子どもは、朝起きてから夜寝るまで、すべてのことにおいてスケジュールを決め、習慣づけることが大切です。夜の19:00を夕食の時間と決めたら、できるだけその時間に夕食を食べさせましょう。これも立派なマナーのひとつです。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(3)「いただきます」&「ごちそうさま」はきちんと言う食事の前のあいさつ、「いただきます」の意味は、「私の命のために動植物の命をいただきます」という意味。「ごちそうさま」は、作った人たちへの感謝の気持ちを表現したあいさつです(編集部注:「いただきます」と「ごちそうさま」の由来については諸説あります)。この2つのあいさつは、食事の始まりと終わりをしっかり提示すると同時に、日本ならではの食文化でもあるので、大切に伝えていきましょう。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(4)口の中に物を入れたまましゃべらない口のなかに物を入れたまましゃべることは、他人に不快感を与える行為です。食事中の会話は楽しみつつ、口の中に物が入っている状態でおしゃべりをしないことは、厳しく守らせるようにしましょう。同時に、口の中に一度に入れる食べ物の量や、よく噛んで食べることなども教えてあげるとよいでしょう。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(5)子供が自分で食べられる食事を用意するスプーン、フォーク、おはしなど、子どもの年齢によって、利用できる道具が異なります。年齢に合わせた道具を使って食べることができるように、食事のメニューにも気を使いましょう。まだどれも使えない年齢なら、手づかみで食べることができるメニューを用意してあげて。自分で食べることで、食に興味がない子どもにも、食べることの楽しさを教えることができるはずです。幼児期から習慣づけたいテーブルマナー(6)どんなに嫌いなものでも必ずひとくちは味見させる子どもは、初めて見る食べ物にトライしてみようという気がなかなか起きにくく、まだひとくちも食べていないのに、「キライ!」と決めつける子も多いようです。でも、親としては「食わず嫌い」は避けたいですよね。「全部残さず食べなさい!」とは言わなくても、どんなに嫌いな食べ物でも、必ずひとくちは味見として食べさせるようにしましょう。テーブルマナーとは本来、食事中、人に不快を与えないマナーのこと。いろいろな食べ物をおいしそうに食べている姿は、他人の目にとてもきれいに映ります。一人一人の子どものパーソナリティーに合わせて無理なく、毎日上手にマナーを教えてみてはいかがでしょうか?
2015年09月09日