理化学研究所(理研)は5月29日、記憶痕跡細胞同士のつながりを強めるシナプス増強がなくても、記憶が神経細胞群の回路に蓄えられていることを発見したと発表した。同成果は理研脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進 センター長らの研究チームによるもので、5月28日付けの米科学誌「Science」オンライン版に掲載された。記憶は記憶痕跡とよばれる神経細胞群とそれらのつながりに蓄えられると考えられている。これまでは記憶が長期的に保存されるには記憶痕跡細胞同士のつながりを強めるシナプス増強という過程が不可欠であるとされていた。動物実験では、シナプス増強を阻害すると過去のことを思い出せない状態になることが報告されている。しかし、記憶の固定化プロセスの中で、記憶痕跡を形成する神経細胞群そのものにどのような変化が起きているかはわかっていなかった。今回の研究では、光遺伝学という技術を用い、シナプス増強が起こらないような条件下でマウスの記憶痕跡を操作して、記憶痕跡自体の変化を調査した。実験ではマウスを小箱Aに入れた後、小箱Bに入れ電気刺激を与え小箱Bが怖いということを記憶させ、直後にシナプス増強を阻害する薬を与えた。通常では次の日にマウスを小箱Bに入れると怖い体験を思い出してすくむが、シナプス増強が阻害されているマウスは小箱Bに入れてもすくまず、小箱Bの体験の記憶を喪失していた。さらに次の日では、同じマウスを小箱Aに入れた。小箱Aでは怖い体験をしていないので、通常では特に何も反応を示さないが、実験で用いたマウスの小箱Bでの怖い体験に対応する記憶痕跡細胞群を光を照射して人工的に活性化すると、小箱Bの記憶を思い出してすくんだ。これは、シナプス増強がない場合でも、怖い体験の記憶が記憶痕跡細胞群の中に、直接保存されていることを意味している。また、周囲の環境とそこでの怖い体験を結びつける記憶は、海馬から扁桃体へと伝わる回路の活動に依存することが知られているが、シナプス増強が起きないマウスでも、海馬と扁桃体の間の記憶痕跡細胞同士のつながりは強まっていることもわかった。これは、シナプス増強によらない記憶痕跡細胞同士のつながりの強化によって、記憶が安定的に蓄えられていることを示唆している。今回の結果について利根川教授は「シナプス増強というプロセスはおそらく、記憶が形成されるごく初期の段階には重要な役割を果たしているが、すでに保存された記憶を維持するための基本メカニズムではなさそうだ。しかし、自然な手がかりから効率よく記憶痕跡を活性化し、過去の体験を細部まで思い出すには、シナプス増強が不可欠なのかも知れない」とコメントしている。
2015年05月29日岡山大学は5月29日、光化学系Iというタンパク質複合体の構造を解明したと発表した。同成果は同大大学院自然科学研究科(理)の沈建仁 教授(同大光合成研究センター長)、菅倫寛 助教と中国科学院植物学研究所の共同研究グループによるもので、5月29日付け(現地時間)の米科学誌「Science」に掲載される。光化学系Iタンパク質複合体は、酸素発生型光合成において、太陽光を生物が利用可能な化学エネルギーに変換する役割を担い、水からの電子と光エネルギーを利用して、二酸化炭素を糖に変換するために必要な還元力を作り出している。高等植物の光化学系I複合体は14個のタンパク質と90個以上のクロロフィル(葉緑素)、22個のカロテノイドなどで構成されており、外側に光エネルギーを集める集光性アンテナタンパク質が4つ結合し光化学系I-集光性アンテナタンパク質複合体が形成されている。光化学系I-集光性アンテナタンパク質複合体における光エネルギーの高効率吸収・伝達の機構を明らかにするためには、同複合体の立体構造を解明する必要がある。同研究グループは、エンドウ豆の葉から精製・結晶化した光化学系I複合体を、大型放射光施設SPring-8を利用することで2.8 Å分解能で立体構造を解析。その結果、155個のクロロフィル分子を同定し、これまで分かっていなかった多くのカロテノイド、脂質分子などの配置を解明した。さらに、詳細な構造が分かっていなかった多くのタンパク質サブユニットの構造を明らかにし、光エネルギーを吸収し、反応中心へ伝達する経路を同定することに成功した。同研究グループは今回の研究成果について、光合成の機構解明や人工光合成での光エネルギー利用効率の向上だけでなく、他の巨大膜タンパク質の結晶構造解析にも重要な知見を提供することになるとしている。
2015年05月29日サイバーエージェントの連結子会社で、小学生向けプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは5月26日、国立情報学研究所に協力し、6月12日~13日に開催される「国立情報学研究所オープンハウス 2015」にて、小学生向けプログラミングワークショップを実施すると発表した。「国立情報学研究所オープンハウス 2015」は、国立情報学研究所が取り組んでいる研究や事業の内容を、小中学生や高校生を含む一般から研究者まで幅広い層の人に向けて紹介するイベント。CA Tech Kidsは、小学生向けプログラミングワークショップである「情報学ワークショップ」を国立情報学研究所と連携し、提供する。このワークショップ「くまを動かそう:楽しいプログラミング講座」は、小学5~6年生が対象で、定員は60名。6月13日11:15~12:15に学術総合センター2Fの小会議室で開催される。初学者が楽しくプログラミングを学習できる手法の研究を行っている国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系の坂本一憲助教が講師を務め、坂本氏が開発したプログラミング教育用アンドロイドアプリを利用して、画面の中のキャラクターとぬいぐるみを同期させて操作する体験を行う。CA Tech Kidsは、教材の開発と講師の派遣、ワークショップの運営で協力する。
2015年05月27日広島大学は5月20日、ナノシリコン(シリコンの量子ドット)を発光体とした青白色LEDを開発したと発表した。同成果は、広島大学 自然科学研究支援開発センターの齋藤健一 教授、理学研究科の辛韵子 大学院生らによるもの。詳細は科学速報誌「Applied Physics Letters」(オンライン版)で公開された。バルクシリコンの電子構造は、発光強度が弱く発光波長も肉眼では見えない赤外線であることから、発光素子として用いられていない。しかし、量子ドットは粒子サイズを変えることで発光波長を制御することが可能であり、研究グループもこれまで、三原色を発光するシリコンナノ粒子の製法の開発や、白色発光のシリコン量子ドット分散溶液の作製などを行ってきた。今回の取り組みはそうした研究を発展させたもので、ITO透明電極付きガラスを洗浄し、そこに導電性高分子溶液ならびにシリコン量子ドット溶液を塗布・乾燥させて成膜し、電子注入層とアルミ電極を形成することで白色または青白色の発光を実現したという。これを用いて開発されたLEDは厚さ0.5mm、電圧6Vで、電極以外は透明な面発光型。発光面積は2mm角で、電界発光(EL)スペクトルから可視領域(400~600nm)で広く発光していることが確認されたとする。なお研究グループでは現在、複数の方法でシリコン量子ドットならびLEDの作製を行っているとのことで、今後はさらに高強度・高効率なシリコン量子ドットとLEDの開発を行っていく予定としている。
2015年05月26日理化学研究所(理研)は5月26日、半導体ポリマーを塗って作る有機薄膜太陽電池(OPV)のエネルギー変換効率を10%まで向上させることに成功したと発表した。同成果は理研創発物性科学研究センター創発分子機能研究グループの尾坂格 上級研究員、瀧宮和男 グループディレクターと北陸先端科学技術大学院大学の村田英幸 教授、バルーン ボーラ 博士研究員、高輝度光科学研究センターの小金澤智之研究員らの共同研究チームによるもの。5月25日(現地時間)の英科学誌「Nature Photonics」オンライン版に掲載された。OPVは軽量で柔軟という特長を持つことに加えて、半導体ポリマーを塗布することで作製できるため低コスト・低環境負荷なプロセスで大面積化が可能となる。そのため、次世代の太陽電池として注目されているが、これまではエネルギー変換効率20%のシリコン太陽電池の半分以下しか変換効率がなかった。近年、一部の企業がエネルギー変換効率10%を達成していたが、重要な技術はほとんど公開されていなかった。今回、研究チームは理研の研究チームが以前開発した半導体ポリマー「PNTz4T」を用いたOPV素子の発電層や素子構造を改造し、変換効率の向上に成功した。具体的には、半導体ポリマーとフラーレン誘導体を融合し、発電層の厚さを約300nmと従来の2倍に厚くすることで、電流密度を増大させた。一般的に半導体ポリマーはシリコンなどの無機半導体に比べてホール移動度が低く、発電層を厚くするとホールが電極に達する前に電子と再結合してしまうため変換効率が下がるが、PNTz4Tはホール移動度が高いため発電層を厚くすることが可能だった。また、PNTz4Tは上部電極方向にホールを流しやすい特徴を持つため、従来のOPV素子の陽極と陰極の配置を入れ替えた素子を適用したことも変換効率の向上につながった。今後、PNTz4Tに改良を加え、材料に適した素子構造を開発することで、実用化の目安とされるエネルギー変換効率15%の到達に大きく近づくことが期待される。
2015年05月26日ノエビアグループはこのほど、神戸女学院大学大学院人間科学研究科と東京大学大学院新領域創成科学研究科との共同研究において、特定のアミノ酸を配合した飲料が「精神的ストレス」を軽減する作用を示したことを明らかにした。同社ではこれまで、抗ストレス効果のある製品の開発と研究を進めてきた。分岐鎖アミノ酸は、「身体的ストレス」からの回復促進効果が報告されているが、今回は「精神的ストレス」に対して、アミノ酸を配合した飲料がどのような効果を持つのか検証した。研究には、分岐鎖アミノ酸BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)を主体とする8種類のアミノ酸類を配合した「アミノ酸配合飲料」と、アミノ酸が含まれない「プラセボ飲料(偽薬)」を使用。被験者と実験者ともにいずれか区別できない条件で、単回摂取による「精神的ストレス」軽減を目的とした実験を2種類行った。実験1では、成人女性8人に2種類の試験飲料を異なる日に摂取してもらい、コンピューターを用いた作業負荷として視覚探索課題「ATMT」(パソコン画面に表示される数字などを、順番に正しく、できるだけ早く押す課題)による精神負荷試験を実施した。脳波や唾液中ストレスマーカーなどにより、課題前後のストレス状態を評価した。課題終了後、「プラセボ飲料(偽薬)」摂取時の脳波は、脳がリラックスしている状態を示す指標(閉眼時脳波α波/β波比)に低下が見られた。一方、「アミノ酸配合飲料」摂取時は、その低下の程度が軽減されていたという。実験2では、成人女性25人に、2種類の試験飲料を異なる日に摂取してもらい、「内田-クレペリン検査」(一桁の数字の足し算を一定時間行う検査)による単純計算作業の精神ストレス負荷試験(前半15分、休憩5分、後15分)を実施。唾液中ストレスマーカーにより、同試験の前・中・後のストレス状態を評価した。その結果、「プラセボ飲料(偽薬)」摂取時の作業前半終了直後に採取した唾液は、ストレスホルモン「コルチゾール」の濃度が上昇していた。一方、「アミノ酸配合飲料」摂取時は低下。作業の後半終了後には、いずれの飲料でも低減していたが、比較すると「アミノ酸配合飲料」摂取時の方が有意に低い値であったという。これらの結果により、「アミノ酸配合飲料」を単回摂取すると、コンピューター作業や単純計算作業による精神ストレスが軽減できることが明らかになった。同社ではこの試験結果を、5月14日~18日に行われた「第69回日本栄養・食糧学会大会(第12回アジア栄養学会議(ACN2015)合同開催)」にて発表している。
2015年05月26日理化学研究所(理研)は5月22日、皮膚感覚を知覚する脳の神経回路メカニズムを解明したと発表した。同成果は理研脳科学総合研究センター行動神経生理学研究チームの村山正宜 チームリーダーらの国際共同研究グループによるもので、米国の科学雑誌「Neuron」に掲載される。皮膚感覚の情報は脊髄や視床を経由し大脳新皮質の第一体性感覚野(S1)に到達することが知られている。S1に到達した情報はより高次な脳領域に伝えられ、これを「ボトムアップ入力」と呼ぶ。また、反対に高次領域から低次領域への入力を「トップダウン入力」と呼ぶ。従来の仮説では、皮膚感覚を知覚するためには皮膚からの外因性ボトムアップ入力が、注意や予測といった脳内活動による内因性トップダウン入力と融合することが必要だと考えられていた。この場合「何かに注意しなければ何も感じない」とうことになるが、人間は特に何も注意していなくても皮膚感覚の知覚は可能であり、この仮説では実体験を説明できていない。このように、皮膚感覚の知覚を形成するための基本神経回路とそのメカニズムについては詳しくわかっていなかった。同研究グループは、マウスの肢を刺激した時に脳内で起こる神経活動を細胞レベルから回路レベルまで包括的に測定した。また、マウスが皮膚感覚を識別する課題を行っている最中の行動を解析した。その結果、内因性トップダウン入力と外因性ボトムアップ入力が同じタイミングで連合する神経活動は観測されなかった。一方、皮膚感覚の情報が外因性ボトムアップ入力としてS1から高次脳領域に送られた後、再度S1へ「外因性のトップダウン入力」として自動的にフィードバックされる反響回路を発見した。また、外因性トップダウン入力は、従来提唱されてきた内因性トップダウン入力と外因性ボトムアップ入力の連合入力と同等の機能を担っていることがわかった。この外因性トップダウン入力を抑制したところ、マウスは皮膚感覚を正常に知覚できなくなったという。今回の研究成果は、脳が2つの神経回路を状況によって使い分けている可能性を示唆するもので、今後、外因性トップダウン入力のメカニズムを解明することで、老齢による五感の知覚能力の低下予防・改善につながることが期待される。
2015年05月22日日本気象協会と防災科学研究所は5月21日、最大10分前にEメールで情報を伝達する「10分先の大雨情報」の有効性を検討すたための社会実験を6月1日から10月31日まで実施すると発表し、モニターの募集を開始した。同実験は、関東地方の一部(北緯35°~36.4895°、東経139°~140.705°)を対象に国土交通相が運用するXバンドMPレーダーネットワークを活用し、激しい雨が上空で検知された時点で情報を発信するというもの。雨粒が上空から落ちてくるまでの時間差を利用したシステムとなっており、10分間5mm(30mm/h)以上を満たす場合に登録したアドレスに通知メールが届く仕組み。モニターは先着1000名までとなっており、指定のアドレスに空メールを送信し、折返しの登録案内メール中のURLにアクセスし、必要事項の入力や登録地点の設定を行う。詳しくは日本気象協会と防災科学研究所のウェブサイトを参照してほしい。
2015年05月21日読者1000人のキレイの秘密は?学研パブリッシングが発行する「フィッテ」にて、読者1000人がジャンルごとに選んだ『「流行ダイエット大賞」ランキング』が掲載されている。このランキングは、読者がダイエットや健康のために「使ってよかった商品」と「今後使ってみたい商品」調査。フードやグッズなど、細かくジャンル分けしてランキングにした。アイスにスムージー、ダイエット中もおいしく食べたい!使ってよかった『ごはん・穀類部門』で1位に輝いたのは、食物繊維が豊富なはくばくの【もち麦シリーズ】。ごはんを見直すことで、食生活をチェンジした人も多かったようだ。ダイエットの天敵、だけどどうしても食べたくなってしまう『アイス・プリン・ゼリー部門』は、江崎グリコの【カロリーコントロールアイス】がトップに。1カップ80kcalという低カロリーの秘密は、豆腐を使っていること。スイーツの誘惑には、こんなアイスで立ち向かおう。また「使ってみたい編」では、美容ドリンク部門で【食べる前のうるる酢】、即席食品部門で【「冷え知らず」さんの生姜シリーズ】などが1位に。美に対する女性の探究心は、まだまだ終わらないようだ。殿堂入りは、みんな知ってる3商品このランキングでは、3年連続で3位以内にランクインした商品を「殿堂入り」として認定している。今年は、カロリー90%オフでまろやかな甘みが人気の【パルスイート】(カロリーコントロール部門)、ビタミンCをはじめとしたビタミン群がおいしく摂れる【オロナミンCドリンク】(栄養ドリンク部門)、食事の前に飲むサプリ【カロリミット】(ダイエット系サプリ・医薬品部門)の3商品が殿堂入りした。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社 学研パブリッシングプレスリリース(PR TIMES)・フィッテキレイになれるもの決定版
2015年05月18日今がチャンスの半額セール学研グループの株式会社ブックビヨンドは、美と健康関連本などの電子書籍を半額で販売するキャンペーンを行っている。学研SALEと銘打たれたこのキャンペーンは、ダイエット、美肌、腰痛対策、アンチエイジングなど、いつまでも健康に美しく過ごすための16タイトルが選ばれている。人気の部分やせ最新作『骨盤&下半身やせ1週間プログラム』は、人気の部分やせシリーズムックの第3弾。お腹まわりに注目した前作に続き、今作はお尻や太ももなどの下半身のお肉を撃退するエクササイズが掲載されている。また、1日1ポーズのプログラムを1週間続けることで、骨盤のゆがみを解消するメニューも。通常価格は450円だが、セール中は225円となる。気になっていたあのタイトルも写真とイラストで、経絡リンパ&ツボのセルフマッサージ方法をわかりやすく解説している『カラダ美人になる経絡リンパマッサージ&ツボ』(通常価格952円、セール価格476円)や、今更人には聞けないスキンケアの基本を改めてレクチャーしてくれる『すぐわかる!今日からできる!美肌スキンケア』(通常価格571円、セール価格285円)など、半額でなくとも気になるタイトルが揃っている。このセールは、5月21日(木)までの期間限定。学研BookBeyondなどの主要電子書籍ストアで開催している。(画像はプレスリリースより)【参考】・株式会社ブックビヨンドプレスリリース(PR TIMES)
2015年05月11日京都大学は5月8日、食事性肥満の鍵となる分泌性因子を同定したと発表した。同成果は伊藤信行 薬学研究科教授(現名誉教授)、木村郁夫 同研究科客員准教授(現東京農工大学テニュアトラック准教授)、太田紘也 同研究科特定研究員(現神戸薬科大学研究員)らの研究グループと、中尾一和 医学研究科メディカルイノベーションセンター特任教授、伏木亨 農学研究科教授、小西守周 神戸薬科大学教授らの共同研究によるもので、英科学誌「Scientific Reports」電子版に掲載された。分泌性因子は細胞間や組織間の情報伝達に重要な物質で、生物の恒常性維持に不可欠とされる。白色脂肪組織由来の分泌性因子レプチンは肥満の発症に関わることが知られるなど、肥満の発症に関わる分泌性因子は、抗肥満薬開発の標的として注目されている。今回の研究では、新たに発見した分泌性因子の1つであるneudesinに着目し、その役割を調べるためにneudesin遺伝子を欠損させたマウス(ノックアウトマウス)を作成し、解析を行った。その結果、ノックアウトマウスは高脂肪食を与えても極めて太りにくく、肥満に伴って発生するインスリンが効きにくくなる状態や脂肪肝の発症にも耐性を示した。これは、交換神経が活性化したことで、エネルギーを貯める白色脂肪組織で脂肪分解が亢進し、エネルギーを消費する褐色脂肪組織でも熱産生や脂肪酸酸化が高まり、エネルギー消費が向上したためだとわかった。研究グループは「今回の成果を通じて、同因子を抗肥満薬創出の標的として利用する上での基盤となる知見が得られることが期待される」とした。
2015年05月11日理化学研究所(理研)は5月8日、生体分子の運動を1分子レベルから細胞レベルまでの幅広い空間スケールで解析可能なシミュレーションソフトウェア「GENESIS」を開発し、オープンソースソフトウェアとして無償で公開すると発表した。同成果は理研計算科学研究機構粒子系生物物理研究チームの杉田有治チームリーダー、ジェウン・ジョン研究員、杉田理論分子科学研究室の森貴治研究員らの共同研究チームによるもので、5月7日付(現地時間)の「WIREs Computational Molecular Science」のオープンアクセス版に掲載された。生命科学分野では分子動力学法と呼ばれるシミュレーション技法がタンパク質の立体構造予測、酵素反応のメカニズムの解明、薬の理論設計などに広く応用されている。しかし、多数のCPUを用いて従来の計算アルゴリズムを大規模な分子集団系に対して適用しようとすると、CPU間の通信時間が増大するため限界がある。実際、タンパク質1分子などの計算は可能だったが、細胞質のように多数のタンパク質や核酸などが混在する生体分子システムを、水やイオンなどの触媒も含めて高速に計算することは困難だった。特に、スパーコンピューター「京」など非常に多くのCPUを備えたコンピューターの性能を最大限活用するためには、新しい計算アルゴリズムを導入した分子動力学シミュレーションソフトウェアの開発が必要とされていた。共同研究チームが開発した「GENESIS」は、「京」のアーキテクチャを考慮に入れた独自の計算アルゴリズムを導入することで並列計算を効率化し、細胞環境を想定した1億個の原子で構成される系に対しても高速な分子動力学シミュレーションを実現した。「京」を用いた計算では、バクテリアの細胞質分子混雑環境を模倣した約1170万個の原子を含む分子集団系に対して1日あたり17.5ナノ秒、約1億370万個の原子を含む分子集団系に対しては1日あたり6.5ナノ秒という性能を達成したという。同ソフトウェアは従来のようにタンパク質1分子や細胞膜、糖鎖、核酸などの生体分シミュレーションも可能で、今後、創薬研究などに幅広く適用されることが期待される。
2015年05月11日気象庁は大涌谷温泉施設(神奈川県箱根町)で5月3日に確認された蒸気が、引き続き勢いよく噴出していることを確認した。5月4日16:00、箱根山の噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)を継続しつつも、火山活動がやや高まった状態で経過していると発表した。5月4日、気象庁は神奈川県温泉地学研究所と合同で現地調査を実施。その結果、4月26日以降増加している火山性地震は、引き続き多い状態で経過しているという。気象庁と神奈川県温泉地学研究所が設置している傾斜計に、この地震活動に関連するとみられるわずかな変動が引き続き観測されており、 5月1日以降の火山性地震発生回数は、1日は2回、2日は37回、3日は38回、4日15時までは8回だった。なお、火山性微動は観測されていない。現在、箱根山の大涌谷浅部における熱水活動が不安定な状態となっており、大涌谷付近では規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性があるという。そのため気象庁は、箱根山は活火山であることに留意し、地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないことを指示している。次の火山の状況に関する解説情報は、5月5日16:00時頃に発表の予定となっている。
2015年05月04日熊本大学は4月30日、乳がん細胞がホルモン療法に対し耐性化する仕組みを明らかにしたと発表した。同成果は熊本大学発生医学研究所細胞医学分野の斉藤典子 准教授、中尾光善 教授らと、同大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科学分野の冨田さおり 医師、岩瀬弘敬 教授、九州大学医学研究院の大川恭行 准教授らの共同研究によるもの。4月29日付(現地時間)の英科学誌「Nature」に掲載された。乳がん治療では、エストロゲンという女性ホルモンとその受容体の働きを阻害する薬剤が使用される。しかし、この治療を長期にわたり受けていると、がん細胞が薬剤に耐性をもって再発する可能性がある。再発したがんは周りの組織に広がっていったり、リンパ節に転移するなど難治性となってしまう。研究グループはエストロゲン受容体を作る遺伝子で、活性化すると乳がん細胞の中でエストロゲン受容体が過剰に働くようになることで知られるESR1に注目し、ホルモン療法が効きにくい状態におけるESR1遺伝子の変化を調査した。その結果、難治性の乳がん細胞ではエストロゲン受容体およびESR1メッセンジャーRNA の量が数倍に増加していた。また、核内のESR1遺伝子の近くに非コードRNAの大きな塊ができていることも判明。エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞では、ESR1遺伝子の近くに多量の非コードRNAが蓄積していると考えられた。この非コードRNAを調べたところ、難治性細胞においてESR1遺伝子の働きを高く維持していることがわかった。これらの研究結果から、エストロゲン受容体をもつ乳がん細胞は、ホルモン療法によってエストロゲンを長期に枯渇すると、ゲノム中のESR1遺伝子とその周囲の部分から非コードRNAが誘導されて、エストロゲン受容体を多量につくるように変わることで、ホルモン療法に対して耐性化すると結論づけられた。なお、研究グループはポリフェノールの一種であるレスべラトロールが、その非コードRNAとESR1遺伝子の高発現を阻害し、乳がん細胞の増殖を抑制することを突き止めており、今後新しい乳がん治療の開発につながることが期待される。
2015年04月30日学研ホールディングスのグループ会社、学研パブリッシングは4月25日、「RoomClip(ルームクリップ)のDIY(ディーアイワイ)インテリア」を発行する。○国内最大インテリアアプリ「RoomClip」のノウハウを集約同書は、Tunnelが運営する部屋写真の共有サービス「RoomClip(ルームクリップ)」に投稿されたDIYの部屋写真とノウハウをまとめたインテリアムック。「RoomClip」は、約70万枚のインテリア写真が投稿されている、国内で最大のインテリアアプリ。雑貨リメイクやDIY、収納方法など生活の知恵や工夫、さらに雑貨や家具、道具を買えるお店情報などがコメント欄でやりとりされている。今回発売するムックでは、アプリ内に蓄積された膨大なストックから厳選したリアルな写真に加え、インテリアやDIYを楽しむために必要なプロの知識を交えながら展開。数万フォロワーが支持するカリスマユーザーの自宅インテリアをレポートした記事や、ユーザーの愛用するDIY工具の紹介記事、仕上がりに差が出るプロのワザ、賃貸でも楽しめる"原状回復も可能なDIY"ヒントなど、インテリア愛好者に役立つ情報が満載となっているという。AB判/96ページ/オールカラーで、価格は980円(税別)。
2015年04月23日島津製作所は4月20日、大阪大学(阪大)と共同で代謝物の網羅的解析手法「メタボロミクス」の分析技術の確立・発展とアプリケーション開発を目的とした共同研究講座「大阪大学・島津分析イノベーション共同研究講座」を阪大大学院工学研究科に設置したと発表した。メタボロミクスは、生体内の代謝産物を網羅的に検出・解析し、その挙動を精密に捉えることによって細胞の生命活動を包括的に調べる最先端技術の1つで、同講座のメンター教員を務める阪大 大学院工学研究科 生命先端工学専攻の福崎英一郎 教授はその解析手法の開発および応用の第1人者。同氏は講座開設にあたって、「目的やニーズがはっきりしている研究は、それに対応した機材を購入し活用すれば済む。本講座は潜在化したニーズを掘り起こすために必要なもので、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアも含めたトータルソリューションを実現することを目的に実施される」と、その意義を説明。また、「巧遅拙速という言葉があるが、とにかく何かを70%の完成度であってもやってみる、というスピードが重要」とし、企業と大学が一緒に行うことで、そうした速度を実現できるとした。さらに、「メタボロミクスは新鋭技術であり、その有用性を試すために色々なことを行っている。医者や製薬企業、食品、バイオなど、手段の有用性の検証を行うために、目的を選んでいない。本講座も、ほかの大学でも企業でも、真にこの技術を欲している第3者が入ってくることを大いに歓迎する」とし、幅広い共同連携による潜在的なニーズの掘り起こしを速やかに実現していくことを強調したほか、「大阪から世界へ」を標榜し、海外からも研究者、企業、教育関係者など幅広く参加を募り、世界的な「メタボロミクスの梁山泊」を目指したいとした。一方、同講座の招へい教授となる島津製作所 分析計測事業部ライフサイエンス事業統括部の飯田順子氏は、「ミッションは、"技術の1つであるメタボロミクスの発展"と"質量分析計を用いた解析プラットフォームの研究開発"」とし、阪大の複数の研究者が参加するほか、島津製作所からもプロジェクトごとに研究員が参加していくことを説明。両者の技術を融合させることで、メタボロミクスの課題解決に取り組んでいくとした。阪大では、同講座用に前処理用の実験室と実際に分析を行う実験室などを設置。分析機器としては、島津製作所のガスクロマトグラフ質量分析計が3台、液体クロマトグラフ質量分析計が3台、超臨界流体クロマトグラフ質量分析計が1台すでに設置されているほか、2015年6月にはイメージング質量顕微鏡も設置される予定だという。なお、同講座は第1期という扱いで、2014年12月1日より2017年3月31日(2016年度末)までの期間、開設される予定だが、福崎氏は「成功裏に3年迎えて更新されることを両者ともに革新している」とコメントしており、長期的な研究につながるとの期待を示した。また、同講座では定期的に前処理器具と質量分析計を用いたメタボロミクスの講習会などを実施するなど、多くの人や企業に興味を持ってもらい、技術の活用に向けたオープンな取り組みも推進していくとしている。
2015年04月22日○海の砂漠化、サンゴ礁の白化を救う「スーパー褐虫藻」とは?生物の能力は人間の想像を遥かに超えているのかもしれない。他の生き物と共生したり、時に利用したりしながら、生きるしたたかさを持ち、極限環境でも死なない術をもつ。しかし地球環境の悪化の影響も確実に受けている。そうした生き物の「多様性」や「生態」に今、注目が集まっている。「ゲノム解析技術が進歩し、細胞もヒトも同じという普遍性を知ったうえで、やはり多様な生き物を見なければ生命現象はわからない」とJT生命誌研究館館長の中村桂子博士はいう。3月22日に行われた第18回 自然科学研究機構シンポジウム「生き物たちの驚きの能力に迫る」では第一線の生き物研究者や昆虫・植物写真家らが、最新の研究や活動について講演を行った。その内容を紹介していく。○2030年までに世界の60%のサンゴ礁が失われる!?サンゴ礁は美しい海の代名詞だ。しかし今、世界のサンゴは危機的な状態にある。「サンゴの白化」だ。浅瀬に生息するサンゴ(造礁サンゴ)は世界で800~1000種類あり多様な形や色をしているが、死にかけたサンゴは白化する。基礎生物学研究所の高橋俊一 准教授によれば「現在、世界の30~40%のサンゴ礁が白化し、沖縄のサンゴ礁も白化のダメージを受けている」という。原因は地球温暖化による海水温の上昇と見られ、温暖化が今のペースで進めば、2030年までに世界の約60%のサンゴ礁が失われるというレポートもある。サンゴ礁の白化は「海の砂漠化」とも言われ、サンゴ礁に生きる海の生態系に大きな影響を与えてしまう。何とかサンゴの白化を抑える方法はないものだろうか? その解決策につながる研究を行っているのが、高橋俊一准教授だ。○サンゴ白化の原因は、共生する「藻類」にあった!詳しい説明に入る前に、意外に知らないサンゴの基礎知識を。【1】:サンゴは植物ではないその形状から植物と思われがちだが、実は動物だ。基本単位はポリプで、私たちが見ているサンゴはポリプが集まった集合体だ。ポリプには触手があり、餌をとって口に運ぶ。ポリプの下に骨格を作る。【2】:サンゴの色は、共生している褐虫藻(かっちゅうそう)の色で決まるサンゴは褐虫藻と呼ばれる単細胞の藻類と共生している。共生したほうが互いに生きやすいからだ。「サンゴが生育している環境にはサンゴの餌になる生き物があまりいません。サンゴは動物だから餌がないと生きていけない。体内に褐虫藻を持っていれば、褐虫藻が光合成をして栄養を提供してくれる。一方、サンゴは褐虫藻に無機塩類を提供します。これは植物を栽培するときの肥料のような役割をする。つまりお互いに助け合っているというわけです」と高橋准教授は説明する。そして高橋准教授によると「サンゴには元々色はない。サンゴの色は共生している褐虫藻の色なのです」とのこと!では、サンゴの白化はなぜ起きるのだろう。白化は2つのメカニズムで起こると考えられている。1つは「共生していた褐虫藻がいなくなる」こと。そしてもう1つは「褐虫藻の色素がなくなる」こと。後者について、高橋准教授は研究を行っている。研究の結果わかってきたのは、サンゴの白化が起こる前に、高温によって褐虫藻の「光合成装置(PSII)」が壊れることだった。さらに調べていくと、壊れることが問題でなく「壊れた装置の修復」が進まないことが問題だったという。「たとえば車のエンジンが壊れたときに、壊れたパーツを取り外して新しいパーツと取り替えますよね。この新しいパーツを作るステップが、水温が高温になると止まることを見つけたのです」(高橋准教授)。サンゴの白化は、高温で褐虫藻の光合成装置(PSII)が壊れ、修復が進まないために、光合成色素をもつアンテナタンパク質が失われることが原因だった。サンゴ白化のスピードは早く、高温にすると24時間でほとんどのアンテナたんぱく質が失われ、どんどんサンゴの色が抜けていくそうだ。○サンゴの白化を救う救世主とは?しかし、このサンゴの白化を食い止める「救世主」がいた! 褐虫藻の中には高温でも色素がなくならない、「高温に強い」褐虫藻もいるという。サンゴが、高温に強い褐虫藻を取り込むことができれば、たとえ温暖化が起こってもサンゴの白化から免れることができるのではないか。だが、ことはそう簡単ではなかった。「褐虫藻には多くのサンゴ種と共生できるものもあれば、限られたサンゴ種にしか共生できないものもある。サンゴも同じです。我々人間だってストライクゾーンの広い人と狭い人がいますよね」(高橋准教授)つまり、「高温に強い」だけでなく、どんなサンゴとも共生できる「好みの広い」褐虫藻が、サンゴを白化から救うために必要なのだ。両方の特徴を持つ褐虫藻を探すため、高橋准教授が研究に活用しているのがモデル共生体のセイタカイソギンチャク。サンゴと同様に褐虫藻を体内に共生させている生物で、サンゴよりも格段に飼育しやすく研究室での実験に適した生物だ(サンゴと同じ刺胞動物門に属している)。研究の結果、「好みの広い」褐虫藻の特徴が見つかったという。今後はこの特徴をもとに、高温に強く、好みの広い「スーパー褐虫藻」を見つけ、まずイソギンチャクに共生させて実験。イソギンチャクで白化が起こらないことが確認できたら、次はサンゴの実験に進む予定だ。「サンゴに『スーパー褐虫藻』を共生させて、高温にしても白化が起こらないことが確認できたら、サンゴ礁の保全に利用できないかと考えています」と高橋准教授。スーパー褐虫藻が見つかれば、サンゴの白化が予防できるし、たとえ白化が起こった後でも、すみやかにサンゴに取り込ませて、白化したサンゴを救出できる。美しいサンゴ礁を次世代に残すカギを握るという重要な使命を担うのは、わずか数ミクロンの褐虫藻なのである。○高校生記者が、イソギンチャクに共生する褐虫藻を観察高橋准教授の講演を聞き、「共生ってどういうこと?」「褐虫藻ってどんな生き物?」と興味がわいた高校生記者が、実際にソギンチャクに共生する褐虫藻の観察を行った。参加したのは生き物に関心がある4人の高校生。中には大阪から駆け付けた参加者もいた。観察したのは「褐虫藻と共生させた状態のイソギンチャク」「共生させていない状態のイソギンチャク」、「褐虫藻」の3種類。高橋准教授からは「褐虫藻はイソギンチャクのある特定の場所にいます。それを見つけてください」というお題が。最初は慣れない手つきで、高倍率の2種類の顕微鏡を恐る恐る触っていた高校生たちも大学院生の指導ですぐに操作をマスター。褐虫藻がイソギンチャクに取り込まれて、形が丸く変化する様子を発見するなど、高橋准教授も驚くような観察力を見せる。観察に慣れたところで、褐虫藻が共生する場所を探すため、イソギンチャクの触手をカットしてみた。そして触手の断面を顕微鏡で観察すると…褐虫藻が生息する場所が見えてきた! 埼玉県から参加した村上侑里夏さん(高1)は「高校の授業では顕微鏡のピントあわせが苦手で友達にやってもらっているほどで、生物部にも入れなかった。今日は実際に自分で見られて嬉しい!」と興奮気味に語っていた。
2015年04月20日分子科学研究所(IMS)は4月14日、β-カロテンが優れた金属捕捉機能をもつことを発見し、2個のβ-カロテン分子が最大で10個の金属原子を挟み込み、サヤエンドウのような形状をもつ分子を形成することを実証したと発表した。同成果は、IMSの村橋哲郎 教授(現 東京工業大学大学院理工学研究科 教授)およびIMSの柳井毅 准教授らの研究グループによるもの。詳細は「Nature Communications」に掲載された。天然に広く分布している有機色素の一種であるカロテン類は、特異なπ-共役構造を持っており、その構造に基づいてさまざまな機能を発現することが知られているが、金属捕捉機能については、よくわかっていないというのが現状である。今回、研究グループはカロテン分子が連続した炭素-炭素二重結合を用いて多数の金属原子を捕捉する可能性に着眼し、実験と理論の両面での実証を行ったという。その結果、2つのβ-カロテン分子が、10個の金属原子を連結させながら挟み込み、安定なサヤエンドウ状の化合物を形成することが可能であることを発見したという。また、この反応は可視光の照射下で促進されることも確認したという。さらに、この化合物は複数の金属原子を出し入れする性質を持つことも発見。実際にパラジウム原子と白金原子がβ-カロテンに挟み込まれた化合物も合成できることを確認したほか、β-カロテン分子の間に挟まれた金属原子の数が変わると色が大きく変化する性質を持つことも確認し、理論的な計算からこの要因を解明したとする。なお研究グループでは、今回の成果について、カロテン類の機能性金属クラスター触媒や材料の開発などといった新たな化学利用につながる可能性が示されたとコメントしている。
2015年04月16日米Appleは14日(米国時間)、医療や健康に関する研究用に設計されたソフトウェアフレームワーク「ResearchKit」を医学研究者などに提供開始した。「ResearchKit」は、iPhoneユーザーが医師などの開発や研究を手助けすることができるソフトウェアフレームワーク。「ResearchKit」を利用して開発されたアプリに参加することで、ユーザーのアクティビティレベル、運動機能障害などの記録がデータとして蓄積される。すでに、ぜんそく、乳がん、心臓血管疾患、糖尿病、パーキンソン病を研究するアプリが米国のApp Storeにて公開されており、公開後の数週間で60,000人以上のiPhoneユーザーが参加しているという。医学研究者は、「ResearchKit」を利用することで、健康とウェルネスについて研究できるようになり、開発者はオープンソースコードに基づいた新しいモジュールを作成できる。カスタマイズ可能な最初のモジュールとして、視覚的な電子同意書のテンプレート「参加者の同意」、研究への参加者が質問に回答する「調査」、運動活動、健康活動、認知、声を計測する「アクティブなタスク」が用意されている。「ResearchKit」を利用した研究アプリは、今後多くの国で提供される予定。対応端末は、iPhone 5/5s/6/6 Plus、iPod touchとなっている。
2015年04月15日九州大学はこのほど、ウイルス感染による糖尿病発症に関わる遺伝子を発見したと発表した。同成果は九州大学大学院医学研究院保健学部門の永淵正法 教授と、生体防御医学研究所、宮崎大学医学部、佐賀大学医学部、大分大学医学部、愛知県衛生研究所、シカゴ大学医学部らの共同研究グループによるもの。4月7日付け(現地時間)の国際学術誌「Nature Communications」に掲載された。ウイスル感染によって糖尿病を発症する可能性はこれまでも指摘されており、糖尿病を誘発する脳心筋炎ウイルスD株(EMC-Dウイルス)が一部の系統のマウスのみに高率に糖尿病を誘発すること、さらにその感受性遺伝子は単一であることが知られていたが、その責任遺伝子はわかっていなかった。一方、近年の研究でEMC-Dウイルスの感染によって糖尿病になるかどうかは、自然免疫が重要であることが明らかとなっていた。今回の研究では、ウイルス感受性の高い系統のマウスでは、ウイルス感染の防御に働くインターフェロンの効果を発揮するために必要なTyk2遺伝子に異変が起きていることがわかった。また、これらTyk2遺伝子異変マウスの通常の細胞では、高濃度インターフェロン刺激によりウイルス抵抗性が回復したが、インスリンを作る膵臓のランゲルハンス島β細胞では回復力が少なかった。このことから、ウイルス感染を受けてもTyk2遺伝子が正常に働かず防御機能が低下し、インスリンを作るランゲルハンス島β細胞が破壊されてしまい糖尿病が発症していたことがわかった。今回の成果は、マウスに比べてよりウイルス感染に感受性が高いヒトにおいてもウイルス感染が糖尿病の危険因子の1つとなり得ることを示すもので、今後、ウイルス糖尿病の病態の解明、糖尿病を起こしやすいウイルスの発見、わらにはそのワクチンの開発につながることが期待される。
2015年04月10日理化学研究所(理研)と東京大学は4月9日、メタボリックシンドロームに関連する分子として注目されているアディポネクチン受容体の立体構造を解明したと発表した。同成果は理研横山構造生物学研究室の横山茂之 上席研究員と、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝 教授、山内敏正 准教授らの共同研究グループによるもので、4月8日(現地時間)付の英科学誌「Nature」オンライン版に掲載される。アディポネクチン受容体は、細胞膜に存在する膜タンパク質で、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンというホルモンによって活性化し、細胞において糖と脂質の代謝を促進し、抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を発揮する。タンパク質の立体構造を知ることは、創薬において有用とされる。特に、膜タンパク質は細胞外からの情報を細胞内へと伝達する役目を担っているため、薬の標的分子として注目されている。しかし、アディポネクチンは試料調整が難しく、その立体構造情報を得ることができていなかった。同研究では、高純度の膜タンパク質を大量に製造する手法や、結晶化手法などを使い、アディポネクチン受容体の結晶化に成功。この結晶を大型放射光施設「SPring-8」を用いてX線解析することでその立体構造を調べたところ、同受容体は現在までに知られている膜タンパク質とは異なり、膜貫通部位に亜鉛イオンを結合するなど新規の構造をしていることが判明した。今回の研究成果はアディポネクチン受容体の情報伝達メカニズムの解明につながるだけでなく、メタボリックシンドローム・糖尿病の予防薬や治療薬の開発に有益な情報となることが期待される。
2015年04月09日東京大学(東大)などは、リチウムなどの希少元素を使用しない次世代電池の候補であるナトリウムイオン電池のマイナス極を開発したと発表した。今回の成果は、東京大学 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の山田淳夫 教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の大久保將史 准教授、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の王憲芬 特任研究員、同大 大学院工学系研究科化学システム工学専攻の梶山智司 特任研究員、同大 工学部 化学システム工学科の飯沼広基 学部生、長崎大学 大学院工学研究科の森口勇 教授、同大 大学院工学研究科の小路慎二 大学院生らによるもの。同研究の詳細は「Nature Communications」に掲載された。リチウムイオン電池は、希少元素であるリチウムやコバルトを使用しており、さらなる低コスト化などを図るためにはリチウムをナトリウムに置換したナトリウムイオン電池の実現が求められている。しかし、その実現のためには、ナトリウムイオンを吸蔵・放出する化合物の対(プラス極/マイナス極)が必要であった。プラス極は、これまでの研究からナトリウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる化合物が多数報告されるようになっているが、マイナス極については、急速充電、長時間の電流供給、充放電の繰り返しに対する安定性などの条件を満たす化合物が見つかっていなかった。今回、研究グループは、新たにチタンと炭素で構成されるシート状の化合物を合成し、それをマイナス極に応用したところ、多量のナトリウムイオンを吸蔵・放出する特性を示し、ナトリウムイオン電池の長時間の電流供給を可能とするマイナス極であることが確認されたほか、急速充電にも対応できることが示されたという。実際にすでに研究グループが発見していた安価な鉄と硫黄で構成されるプラス極と組み合わせることで、ナトリウムイオン電池のプロトタイプを試作。長時間の電流供給が可能であり、充電・放電を繰り返すことによる劣化もないことが確認されたとする。なお、研究グループでは、今回の成果について、試作したナトリウムイオン電池はナトリウム、鉄、硫黄、酸素、チタン、炭素などの汎用元素のみで構成され、まったく希少元素を使用する必要がないものであり、この結果を受けて、低コストな電池の実用化が加速していくことが期待されるとコメントしている。
2015年04月06日大阪府・中之島(京阪電車・なにわ橋駅)のアートスペース「アートエリアB1」では、アートや知の可能性を探求する企画展「ニュー"コロニー/アイランド"~"島"のアート&サイエンスとその気配~」を開催している。会期は6月28日まで(月曜休館、ただし5月4日は開館、5月7日は休館)。入場無料。同展は、近年アートプロジェクトへの参加等で活動の幅を広げている建築ユニット・dot architectsや文化庁メディア芸術祭にて新人賞を受賞したアーティスト・yang02、さらにプログラマーや生物物理学の研究者をプロジェクトメンバーに迎え、"コロニー/アイランドの創造性"および"粘菌の知と工学的ネットワーク"をテーマに展開する、子どもから大人までを対象としたアート&サイエンスの企画展。会場には150分の1スケールの「仮設の中之島」と映像上の「仮想の中之島」が出現し、3カ月の会期をかけて双方の空間を「粘菌」が結んでいくようすが可視化されるなど、理科の実験のような感覚で幅広い層が楽しめる内容となっている。また、4月10日(19:00~21:00)には、オープンミーティングとして、大阪大学理学研究科教授・上田昌宏氏、北海道大学電子科学研究所教授・中垣俊之氏、dot architects、yang02といったプロジェクトメンバーによるトークセッションが開催される。定員は50名程度(当日先着順、申し込み不要)。参加無料。このほか、4月11日と12日(ともに14:00~17:00)には、dot architectsとyang02が講師を務めるワークショップ「ニュースケッチング~スマホと3Dプリンタで採集する中之島~」が開催される。対象は中学生以上(小学生以下は保護者同伴)で、参加時はスマートフォン(カメラ付き携帯端末)を持参する。定員は10名程度で、参加希望者はこちらの予約フォームから申し込む(先着順)。参加無料。
2015年04月03日ExaScalerは3月31日、同社とPEZY Computingが共同で開発した液浸冷却小型スーパーコンピュータ(スパコン)「ExaScaler1」の性能を改善させ、2014年11月に発表されたスパコン消費電力ランキング「The Green 500 List」の世界第1位に相当する性能を達成したと発表した。同スパコンを用いた高エネルギー加速器研究機構(KEK)の「Suiren(睡蓮)」は、2014年11月のGreen500では1Wあたり4,946MFlops(演算性能187.11TFlops時)を記録して世界第2位に認定されていた。今回は、牧野淳一郎 KEK 客員教授(理化学研究所計算科学研究機構粒子系シミュレータ研究 チームリーダー、エクサスケールコンピューティング開発プロジェクト副リーダー)の協力により、大半の処理をホストCPUのXeonではなく、PEZY-SCプロセッサで行えるように実装を進めたうえで、理化学研究所計算科学研究機構コデザイン推進チーム・粒子系シミュレータ研究チームの似鳥啓吾氏にも参画してもらい、ソフトウェア実装の最適化やネットワーク通信での効率を向上させるなど、システム全体の各種の最適化を行った結果、前述のGreen500の際の性能と比較して25.5%の消費電力性能の改善を実現し、1Wあたり6,217MFlops(演算性能としては前回を13.8%上回る202.64TFlops)の値を達成。この結果は、先述のGreen500時点の世界第1位に相当する値だという。なお、今回の計測実験をもって現行の「ExaScaler-1」による消費電力性能の改善に関する研究は一旦終了となるとのことで、2015年4月以降は新しい液浸冷却手法などを取り入れた新システム「ExaScaler-1.5」の開発を進めていく計画としており、これにより消費電力性能は、今回の計測値よりもさらい15~25%程度改善されることが期待されるという。
2015年04月02日東京大学(東大) 大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻の川﨑雅司教授らの研究グループは、マックスプランク固体研究所のJurgen Smet(ヨルグン・シメット)博士のグループと共同で、極めて高品質な酸化亜鉛ヘテロ界面を作製し、GaAs以外のヘテロ界面で特殊な量子相の観測に成功した。同成果は東京大学大学院新領域創成科学研究科のJoseph Falson(ジョセフ・フォルソン)大学院生、理化学研究所創発物性科学研究センターのDenis Maryenko(デニス・マリエンコ)特別研究員、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の小塚裕介特任講師、東北大学金属材料研究所の塚﨑敦教授との共同研究により得られたもの。異なる物質を組み合わせたヘテロ界面は、トランジスタや発光ダイオードなどの機能性デバイスとして応用されてきた。特に、GaAsのヘテロ界面では最も品質の良い電子が形成され、約30年前に低温で特殊な量子相が発見された。この量子相は、トポロジカル量子コンピュータと呼ばれる、計算エラーを低く保ちつつ飛躍的な計算速度の向上が期待できる、新たなコンピュータへ応用が可能であると考えられているが、その特性は長らく不明だった。今回の研究では、酸化亜鉛を用いた高品質ヘテロ界面を作製し、添加元素を用いず、結晶内部の電場を利用することで、極めて高品質な電子系を形成。理論的に未解決の量子相が酸化亜鉛のヘテロ界面で観測された。この量子相はエラーが起こりにくい強いトポロジカル量子計算に用いられる可能性があり、GaAsには無い特性を用い、より多角的な研究を可能にする。今回の発見で、酸化亜鉛にはGaAsにはない制御性があることが明らかとなり、酸化亜鉛がこの量子相の理解を進展させるのに非常に重要な材料であることを示した。なお、同研究成果は、英国科学雑誌「Nature Physics」の電子版(2015年3月23日版)に掲載された。
2015年03月26日NTTと国立情報学研究所(NII)、大阪大学、情報通信研究機構(NICT)は、ダイヤモンド中に閉じ込められた電子スピンに超伝導磁束量子ビットを結合させることにより、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命が約10倍に伸びることを示したと発表した。今回の研究成果は、2015年3月23日に「Physical Review Letters」で公開された。なお同研究の一部は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)、JSPS科研費No. 25220601、NICTの委託研究「量子もつれ中継技術の研究開発」により得られたもの。ダイヤモンド中の電子スピンは、数十nm程度の局所領域に閉じ込めることが可能であり、磁場や電場や温度を高い精度で検出できることから、ナノスケールの物質構造などを高精度でイメージングできるとされる量子センサへの応用が期待されている。しかし、ノイズが存在する環境下では寿命が短くなることから十分な計測時間の確保ができず、センサとしての感度が劣化するという問題点があり、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命の向上は大きな課題となっている。NTT物性科学基礎研究所、NII、大阪大学、NICTの研究チームでは、2011年に複数のダイヤモンド中の電子スピンと設計自由度が広く拡張性が高い超伝導磁束量子ビットという2つの異なる系をハイブリッド化した量子メモリの実現に成功。この成果を活かし、ハイブリッド系を用いたダイヤモンド中の電子スピンの長寿命化に向けて研究に取り組んできた。今回、NTT物性科学基礎研究所、NIIの根本香絵教授、大阪大学大学院基礎工学研究科の水落憲和准教授、NICTの仙場浩一上席研究員らによる研究チームでは、100マイクロ秒程度の寿命を持つダイヤモンド中の電子スピンと短寿命(10マイクロ秒程度)な超伝導磁束量子ビットを結合させるハイブリッド化により、電子スピンの寿命が約10倍となる950マイクロ秒にまで長くなるという現象を理論的に見出した。これは、ダイヤモンド中の電子スピンを用いた量子センサの感度が一桁近く向上することを意味しており、高い効率で物質のイメージングが可能になると期待される。また、ダイヤモンド中の電子スピンはマイクロ波の印加といった外部からの要因を用いることで長寿命化を行っていたが、同成果は、ダイヤモンド中の電子スピンを超伝導磁束量子ビットに置くだけで寿命を約10倍に長くできるという、超高感度量子センサ実現に向けたまったく新しいアプローチとなる。同研究成果によって電子スピンの寿命が改善することで十分な計測時間の確保が可能になるため、計測感度の向上が期待される。さらに将来的に、超伝導磁束量子ビットと複数のダイヤモンド中電子スピンの間に量子絡み合いを生成することができれば、従来の精度を凌駕する量子絡み合いセンサを実現できる可能性がある。この量子絡み合いセンサが実現すれば、人や動物の脳の活動情報を高い精度で読み取って病変を特定したり、数十ナノメートル程度の極小物質の3次元構造を明らかにするなど医療分野・材料工学分野に貢献すると考えられる。
2015年03月25日東京工業大学量子ナノエレクトロニクス研究センターの雨宮智宏助教と荒井滋久教授、理化学研究所の田中拓男准主任研究員、岡山大学自然科学研究科の石川篤助教らの共同研究グループは、InP系光通信プラットフォームに"透磁率"の概念を導入することに成功したと発表した。具体的には、InP系マッハツェンダー光変調器をベースとして、デバイス内部に特殊なメタマテリアルを実装。電圧印加に伴う透磁率の変化を利用して、透過光の強度を変調することに成功し、デバイスの小型化が可能であることを示した。キーとなる主な成果はトライゲート(Tri-gate)メタマテリアルとメタマテリアル集積型マッハツェンダー変調器の2つ。ナノスケールの金属構造で構成されたメタマテリアルに3次元トランジスタの技術を組み合わせることで、光周波数帯において電圧印加による透磁率の制御を可能とした。トライゲートメタマテリアルは、InP系化合物半導体上に浅い溝を掘り、その内部にナノスケールの金属構造を作りこむことで、電圧制御が可能な特殊なメタマテリアルの開発に成功。同構造では、上部から電圧を印加することで、半導体内のキャリア密度を変化させることができ、それに伴って金属微細構造の応答(=メタマテリアルの特性)に変化が生じる(キャリア発現の原理は3次元トランジスタと同一)。これにより、電圧印加の有無によって、透磁率の値を制御できることになる。また、メタマテリアル集積型マッハツェンダー変調器は、トライゲートメタマテリアルの技術を光通信デバイスへ実装することで、「透磁率制御によるメタマテリアル装荷型変調器」を実現。同素子は、マッハツェンダー干渉器の各アームにトライゲートメタマテリアルが一列に埋め込まれた構造となっており、素子上部から電圧をかけ、アーム部の透磁率を変化させることで強度変調を行う。透磁率を制御することで、本来、屈折率の可変幅が狭いInP系デバイス内において大きな屈折率変化を持たせることが可能となり、200μmのデバイス長において約7.0dBの変調特性を得ることに成功した。誘電率と透磁率を両方使うことにより、さらなる高性能化を図ることができ、将来は、実用化されている既存デバイスと同じ性能を維持しながらサイズを1/100程度まで小型化できることが予想される。今回の研究はレーザー・変調器をはじめとするInP系光通信プラットフォームで透磁率の概念を導入したことに特徴がある。光変調器に限らず、InP系光デバイスに広く利用できるため、さまざまなデバイスの小型化・高性能化・特殊動作化に寄与するものと期待される。なお、同研究成果は3月23日に、英国科学誌Nature姉妹誌のオンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。
2015年03月25日イオンは20日、学研とコラボレーションした「学研がんばるタブレット」を発表した。発売日は27日。全国の「イオン」430店舗で販売する。「学研がんばるタブレット」は、小学1年から中学3年までの文科省学習指導要領に対応した学習コンテンツ「学研ビクトリー」が利用できる8型タブレット。「学研ビクトリー」のコンテンツは、学校の授業進度に合わせて毎月配信され、学習を進めると「iポイント」を貯めることもできる。ポイントは、グッズや「WAONポイント」と交換可能。端末は、保護者によるインターネットやタブレット利用時間の制限設定(ペアレンタルコントロール)も行える。端末名は「HUAWEI MediaPad T1 8.0【教育モデル】」。価格は税別36,000円で、24回払い(1,500円/月、税別)も選択可能。コンテンツは小学1年~2年が月額900円、小学3年~6年が1,500円、中学1年~3年が2,000円(いずれも税別)。通信サービス「IIJmioウェルカムパック for イオン」も同時購入でき、通信容量4GB/月のSMS対応ミニマムスタートプランの場合で価格は月額1,040円(税別)となる。
2015年03月21日1日5分で手軽に小顔が手に入るという「整顔マッサージ」。前編に引き続き、少なく見積もっても年齢マイナス20歳に見える整顔師・田沼邦彦先生が開発した、気持ちいい顔筋マッサージのやり方をちょっとだけご紹介します。今回は女性の共通の敵「ほうれい線」を撃退するマッサージです!◆オバ顔を撃退!夜デートに備える・頬全体を優しくもみほぐすほっぺの中にある筋肉を刺激するつもりで、つまむように優しくもみほぐします。ほっぺもやっぱりコっています!・ほうれい線をつまみ上げてもみほぐすほうれい線を指で縦にはさんで、小鼻の横から口元まで、細かくつまんでいきます。・あご先をもみほぐすあご先も、眉や頬同様にコリの多い場所。あご先の筋肉をめがけて、細かくつまみ上げるように刺激します。・ あご先~耳に向かってなで上げる仕上げに「上がれ~上がれ~」と念じながら、フェイスラインを2本の指で挟んで優しくなで上げます。1日働いて疲れた夕方には、まぶたも頬も下がりがち…。鏡やガラスに映った自分の顔を見て「誰このオバさん!」と思ったことがある人も多いのでは?この頬を中心としたマッサージでは、ほうれい線をケアするだけじゃなく、口角やフェイスラインが心持ち上がったような気も。さらに血色が良くなってお肌もツヤツヤ、夕方からのメイクが映えるというオマケつき。仕事の合間やトイレに行ったとき、またメイク直しのついでなど、ちょこっとした時間にできるのがありがたいですね!≪もっと効果的に!整顔マッサージ≫この簡単なマッサージを続けていれば、スッキリ若々しい顔をキープできるなんて夢のよう!でも、自分で行うとなると、本当にこれでいいのかな?って不安になることもありそうです。そこで、田沼先生に直接疑問をぶつけてみました。Q.力加減がわからないんですけど…田沼先生:「肌ではなく、その奥にある筋肉をもみほぐすつもりで、痛気持ちいいくらいの刺激を目指してください。もちろん、それより優しくても大丈夫です。ただ、長時間もみ続けるとアザになったりしますから、1回5分程度に留めてくださいね。あとは、好きなとき・気になったときにすればいいですよ」これまでの美顔マッサージのイメージにとらわれていましたが、痛気持ちよく筋肉をもみほぐすイメージなら、うまくやれそうです。早く効果を出したくてグイグイやっちゃいそうですが、短時間でさらっと、を一日に何回かで十分効果があるそうですよ。Q.続けられる自信がないんです…田沼先生:「効果を見ると続けたい気持ちになるはずなんですけどね(笑)。ただ、人間って肩から上に手を上げるのはしんどいので、朝起きたときと夜寝る前、布団の中でやるのはどうでしょうか? 楽ですよ」布団の中でマッサージ!それは気持ち良さそう。それに、よしやるぞ!と構えなくてもできるから、ちゃんと習慣づけられそうです。≪整顔7日間チャレンジ!≫でも、プロの先生に施術してもらったから効果が出たんでしょう?自分でやっても効果が出るものなの?と最後の最後まで半信半疑な筆者。田沼先生の著書『ぐるぐる押してみるみる10歳若返る!整顔マッサージ』(学研パブリッシング)を見ながら、「自分で整顔・7日間チャレンジ」を実行してみました!最初は本を見ながら、覚えてからは布団の中で顔をモミモミ…。写真だとわかりづらいかもしれませんが、自分では「明らかに変わった!」「顔がシュッとした」と実感!田沼先生の施術を体験した日の感動が再びよみがえりました!今まで数々の美顔器やマッサージを試しては挫折してきた筆者ですが、これは心底オススメです!毎日のちょっとした時間をご自身のケアに使って、今よりもっときれいになって、キラキラおめめと素敵な恋をゲットしてくださいね。(文=石村佐和子)ちなみに、74歳という年齢が信じられないイケメン整顔師・田沼先生はコチラ!田沼邦彦(たぬまくにひこ)整顔師、美容師、整体師。1940年7月14日生まれ。日劇ダンシングチームでプロダンサーとして活躍した後、美容師に転身し、35歳のときに美容室を開店。およそ10年間で10店舗を有するまでに拡大させる。1987年、47歳のときに脳梗塞を発症。左半身と顔面のマヒという後遺症が残る。リハビリ生活の間、自らの体の治療のために整体師の資格を取得。整体の技術をベースに自らに施術を行ううちに、左半身と顔面のマヒが奇跡的に回復。それどころか年齢よりもはるかに若く見られるようになったため、この手技を「田沼式リハビリ整顔マッサージ」と名づけ、顔の老化を悩む人へ広く施術を行うようになり、現在に至る。『ぐるぐる押してみるみる10歳若返る!整顔マッサージ』(学研パブリッシング)
2015年03月17日1日たった5分で、高価な美容液も要らず、しかも即効で手軽にパッチリおめめや小顔が手に入るとしたら?「やってみたい!」と思う反面「話がうますぎる」とも思っちゃうかも!?でも、それが叶ってしまうのが「整顔マッサージ」。整体の技術をベースとしたソフトで気持ちいい顔筋マッサージを、誰でも簡単にでき、すぐに効果が出るようにアレンジされています。≪整顔マッサージってすごい!≫このマッサージ、皮膚をねじったりこすったりしないので肌への負担が少なく、1日に何度やっても大丈夫(もちろん、限度はありますが)。また、マッサージのためにわざわざスッピンになる必要がなく、既にしてあるメイクもほとんど崩れません。つまり、いつでも・どこでも、気がついた時にささっと気になる部分をケアすることができちゃうんです!その開発者であり『ぐるぐる押してみるみる10歳若返る!整顔マッサージ』(学研パブリッシング)の著者である、整顔師の田沼邦彦先生にインタビュー!と同時に施術も体験し、女性が抱えるお悩みの解決法を伺いました。颯爽と現れた田沼先生は、スラリとした風貌にツヤツヤのお肌!とても御年74歳には見えません。これも、毎日ご自身で整顔マッサージを続けているから、なのだとか。毎日続ければここまでキレイになれるのか…と、希望も膨らみます。早速、田沼先生による整顔マッサージの体験を受けてみます。これは気持ちいい!思わず無言に…≪顔のコリが諸悪の根源!≫「顔って想像以上にコってるんですよ」(田沼先生)確かに、よく考えたら顔筋ってかなりのハードワーク。でも、スキンケアは入念にするけれど、顔の筋肉まで気にしたこと、あまりないような…。顔のコリ=緊張した顔筋は血流が滞り、老廃物がたまっています。これを放置するから、まぶたも頬のお肉も下がり、どんよりとしたオバさん顔に近づいていってしまうんですって!「整顔マッサージ」でこのコリをほぐして巡りを良くすることで、柔らかく活力のある表情、血色良くハリのある肌が同時に手に入るのです。施術前後を比較するために、まずは顔の半分だけ施術していただきましたが、左右の差は歴然!こんなに早く結果が出るなんて…と、その場にいた一同がどよめきます。この自分でささっとできて即効の「整顔マッサージ」を一部ご紹介します。合コンやデートの前に、いかがでしょうか?◆合コン前に!目力で周りに差をつける・眉をもみほぐす眉を2本の指で上下に挟み、もみほぐしていきます。ちょっと痛いけど気持ちいい!眉がこんなにコッているなんて知らなかった…。・眉間~鼻筋を指圧眉間の縦じわを防ぎ、顔の中心部のコリをほぐして血行を促進。鼻筋のまわりをマッサージすると、鼻の通りが良くなるような気も!・目の周りの骨に沿って指圧目頭のあたりは、かなり強いコリを感じます。イタ気持ちいいくらいの刺激で、優しく押し上げていきます。目の周りの骨に沿って一周したら終了です。施術後はまぶたが上がり、パッチリおめめに!視界が開けたかのように感じるほど。目元が引き締まったうえに、瞳が澄んでキラキラ輝いて見える!目の周りの血行が良くなって活性化するからでしょうか。夕方過ぎてもパッチリ・キラキラの瞳なら、合コンも自信を持って参加できますね!周りにも差を付けられそう。田沼先生のサロンには、この目力を求めて就活中の学生が面接前に訪れたり、タレントさんが宣材写真の撮影前に訪れたりするそうです。いわく、「メイクでは出せない輝きが出る」のだそうで…。確かに、いくらアイラインを引いてもこれほどの効果は出せません!鏡に映る、数年前のように若く見える自分の姿は、何分眺めていても飽きない気がしました。後編では「夕方のオバ顔を撃退する方法」や「マッサージをもっと効果的に行うためのメソッド」をお届け。取材後に筆者が自宅で7日間、整顔マッサージを行った際のBefore/Afterの写真もお見せしちゃいます!(文=石村佐和子)田沼邦彦(たぬまくにひこ)整顔師、美容師、整体師。1940年7月14日生まれ。日劇ダンシングチームでプロダンサーとして活躍した後、美容師に転身し、35歳のときに美容室を開店。およそ10年間で10店舗を有するまでに拡大させる。1987年、47歳のときに脳梗塞を発症。左半身と顔面のマヒという後遺症が残る。リハビリ生活の間、自らの体の治療のために整体師の資格を取得。整体の技術をベースに自らに施術を行ううちに、左半身と顔面のマヒが奇跡的に回復。それどころか年齢よりもはるかに若く見られるようになったため、この手技を「田沼式リハビリ整顔マッサージ」と名づけ、顔の老化を悩む人へ広く施術を行うようになり、現在に至る。『ぐるぐる押してみるみる10歳若返る!整顔マッサージ』(学研パブリッシング)
2015年03月17日