落語家と声優がコラボレーションを果たす人気企画『オトシバナシ~声優と落語家~』の第2弾が、CARATO71にて10月17日(日)に開催される。声色を変えながら噺をする落語家と、声だけで様々な表現をする声優。一見交わることがないように見えて、どちらも声が重要な役割を果たしている職業。そんな落語家と声優による『オトシバナシ~声優と落語家~』は、声優陣が落語家の指導を受けて、本気の落語を披露するという企画だ。今年4月に第1弾が開催され、好評のうちに終了した。今回は第1回キャスト柳亭小痴楽、春風亭昇々、神尾晋一郎に加え、新たに声優・木島隆一の参加が決定。何の演目を披露するかは当日までのお楽しみとなる。チケットは8月28日(土) 10:00より一般発売開始。『オトシバナシ~声優と落語家~』柳亭小痴楽、春風亭昇々、神尾晋一郎、木島隆一2021年10月17日(日)会場CARATO71(カラート71)開場13:00/開演13:30開場17:00/開演17:30全席指定 6,000円(税込)
2021年07月14日2020年4月より休館していた大阪・森ノ宮ピロティホールが、改修工事を経て、2021年9月にリニューアルオープンする。休館前は、エンタテインメント発信の場として、ストレートプレイ、ミュージカル、コンサート、落語などあらゆるジャンルの公演を行ってきたピロティホール。今回の改修では、大阪市による天井改修工事にあわせて客席などの修繕を行い、新型コロナウイルス感染症対策も強化。より安心してエンタテインメントを楽しめる空間にリニューアルされた。そしてリニューアルオープン特別公演には、「志の輔らくごin森ノ宮2021」の開催が決定。立川志の輔は、2010年に同ホールのお披露目公演として独演会を行い、以来、毎年恒例の会として今回が11回目の開催となる。さらに、リニューアルオープン後も注目の公演が目白押しだ。ピロティホールの新たな幕開けを楽しみに待ちたい。森ノ宮ピロティホール リニューアルオープン特別公演「志の輔らくごin森ノ宮2021」は、9月9日(木)から12日(日)まで開催。チケットは8月8日(日)10:00より一般発売。■森ノ宮ピロティホールリニューアルオープン特別公演「志の輔らくごin森ノ宮2021」【公演日】9月9日(木) 15:30開演9月10日(金) 15:30開演9月11日(土) 15:30開演9月12日(日) 13:30開演【会場】森ノ宮ピロティホール(住所)大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5【料金】指定5000円手ぬぐい付6000円(リニューアルオープン特別公演特製・数量限定)※全席指定・税込。未就学児入場不可。【一般発売日】8月8日(日)10:00~チケットぴあ/ローソンチケット/イープラス/CNプレイガイド/森ノ宮ピロティホールPGにて(チケットのお問合せ)キョードーインフォメーション■0570-200-888(11:00~16:00 日・祝休み)<主催> サンライズプロモーション東京/サンライズプロモーション大阪<協力> キョードーマネージメントシステムズ
2021年07月09日NHK連続テレビ小説『おちょやん』で取り上げられた松竹新喜劇が、6年ぶりに夏の京都・南座に登場する。演目は、藤山扇治郎が主演の新作喜劇『一休さん』と名作『愛の小荷物』の2本立て。『一休さん』には、『おちょやん』で主人公・千代の幼少期を演じ、千代の娘・春子役で再登場した毎田暖乃が客演、初舞台を踏む。またOSK日本歌劇団 特別専科の桐生麻耶も新喜劇に初参加。作・演出にはTHE ROB CARLTONの村角太洋を迎える。『愛の小荷物』にはお正月の南座公演でおなじみの久本雅美をゲストに、『大阪の 家族はつらいよ』で山田洋次監督と松竹新喜劇の新境地を開拓したわかぎゑふが演出を担当する。新型コロナウィルスの療養を経た劇団代表・渋谷天外の復帰公演でもあり、大阪でにぎやかに会見が行われた。「松竹新喜劇 夏まつり特別公演」チケット情報公演期間は夏の京都で暑さがピークを迎える祇園祭の時期に重なる。『一休さん』で茶屋の主人と将軍様の2役を演じる天外は、役替わりに「ちょっとおもしろい仕掛けを考えているところです」と話し、リハビリに励みながら久しぶりの舞台に臨む。青年期の一休さんを演じる扇治郎は、名作を数多く擁する新喜劇だが、「今の感覚で新作を書いていただけるのはありがたい。いろいろ学べて自分自身の幅が広がると思う」と喜ぶ。汗かきだそうで「今年の夏は涼しい劇場でお仕事させていただけて感謝でいっぱいです」。一休さんと信頼を結ぶ武士・蜷川新右衛門には「こんなにガッツリ会話劇に出るのは初めて」と言うOSKの桐生。本物の男性に混じっての男役は「不安も楽しみもありますが、違和感がないように工夫しつつ役に向き合いたい。一休さんと織りなすおもしろおかしい道中を、新右衛門なりにまっすぐ演じたい」。そして、話題の毎田は村の女の子・小夜役。「初舞台ですごく緊張していますけど『おちょやん』で共演した扇治郎さんもいてくださるし、精一杯頑張ります!」。また夏の南座は初参加の久本雅美は、売店のおばちゃん役で曽我廼家文童とコンビを組み、愛すべきおせっかい兄妹を演じる。「ほんわかしていて、グッときながらも笑っていただける人情劇にしたい。コロナ禍ですが、みなさんの心に少しでも元気の灯を灯せたら。ぜひ遊びに来ていただき、一緒に素敵な時間を過ごしたいと思っています」。天外は新作上演を「いい刺激になる。お客さんにそのチャレンジがわかっていただけるように」と話し、久本と共に「お客さんにたくさん入っていただき、汗をかくぐらいの熱い芝居にしたい」と意気込んでいる。松竹新喜劇 夏まつり特別公演は、7月10日(土)から18日(日)まで、京都・南座にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2021年06月28日4人組ダンスパフォーマンスグループ・s**t kingz(以下:シッキン)メンバーのうち、kazukiとNOPPOがコントライブ『お前、だれ!?』に初挑戦する。開幕をちょうど1ヵ月後に控える二人と、脚本の岩崎う大(かもめんたる)、監修を手がけるフジテレビディレクター・竹内誠に話を聞いた。シッキンの中でも幼なじみの凸凹コンビとしてファンに愛されるkazukiとNOPPO。本企画は「生まれ変わったら芸人になりたい」と明言するほどお笑い好きのkazukiによる発案で、NOPPOも「これまでシッキンがやってきた、ダンスの敷居を下げて皆さんに楽しんでもらうことの延長線上に思えたから」と二つ返事で承諾したという。二人の挑戦を見届けるのは、舞台の演出に初めて臨む竹内。2019年の『FNS27時間テレビ』の目玉企画であった「ダンスができない7ティーチャーズ」でシッキンと出会った竹内は、学習指導要領にダンスが加わって戸惑う教師に向き合う二人のコーチぶりから「kazukiさんは心配性で裏方(スタッフ)気質、NOPPOさんは掴みどころのない大らかさで現場を楽しむ憑依型のパフォーマー」という特性を見出す。脚本に起用された岩崎も、見た目と性格が正反対の二人からインスピレーションを得てどんどん筆が進んだ。kazukiの「僕たちのいろんな姿が見せられるシチュエーションがいい」というリクエストに着想を得て、やがて無人島を舞台に記憶喪失の二人が繰り広げるドタバタコメディに結実させる。セリフを発し、ダンスと融合させることに悪戦苦闘するkazuki・NOPPOを前に、岩崎は「僕のコントって演じるの難しいですよね?」と問いかける。それは本コントライブの前に控える、劇団かもめんたる公演『ソルティーなんとかメモリー』(6/26〜7/4@東京・下北沢駅前劇場)より前の過去作にも当てはまるそうだ。岸田國士戯曲賞に2年連続でノミネートされるも、受賞を逃す理由を「ストーリー性重視のうえ、上演作品を観ず戯曲のみで判断する審査員にコメディであることが伝わっていない気がした」と自己分析する岩崎。これを聞いたkazukiとNOPPOは「だから字面だけ追って漫然とセリフを言っても一発で決まらないのか!」「う大さんの目指す笑いを実現するには、文章で表せない言い方やニュアンスが大事なんですね」と合点がいった様子を見せた。ダンスに加えて、セリフ芝居を武器にコントを楽しむ二人の新たな局面を見届けよう。公演は7月15日(木)〜18日(日)、東京・CBGKシブゲキ!!にて。千秋楽生配信あり。取材・文:岡山朋代
2021年06月25日伝説の歌手、水谷千重子が50周年記念公演を開催。東京の明治座に続き、博多座への初登場も決まった。公演は、お芝居ステージ『ドタバタ笑歌劇神社にラブソングを』と歌のステージ『千重子オンステージ』の豪華二部構成だ。“神社”にちなみ、由緒ある福岡・太宰府天満宮で公演成功祈願を行なった水谷千重子と二葉ファミリーの八公太郎。その後の合同取材会で、息のあった掛け合いで公演への意気込みと見どころを語ってくれた。「昨年に続き今年も50周年なんですけれども(笑)、これもひとえにこの世界観を理解して、温かく受け入れてくださっている皆様のおかげです。今回は初めての博多座公演ということで、真面目にバカやりながら、エンジョイしたいと思います」と公演の抱負を真面目に語る水谷に対し、修学旅行で太宰府天満宮に来たことがあるという八は、デビュー当時の水谷の恋話爆笑エピソード・渋谷パール事件を「今だから話せる!」とエンドレスに披露。水谷が苦笑しながら「何度話すのよ!」とツッコミを入れるなど冒頭から和気あいあいの雰囲気だ。お芝居ステージ『ドタバタ笑歌劇神社にラブソングを』は、千重子が趣味の神社巡り中に、歌と巫女のコラボレーションを着想し企画した“完全絶対”オリジナル作品。「『天使にラブソングを』のパクリじゃねえのか!?」と突っ込む八に、「何言ってるの! これは、ロバートの秋山ちゃんがやっていた国産洋画劇場みたいな感じ。このご時世、みんな歌ってハッピーになろうよということで、歌に特化した人にたくさん出てもらいたかったのよ」と企画の意図を説明。豪華な出演者は、前回の『とんち尼将軍 一休ねえさん』に続き高橋ひとみ。「かわいいが役にぐっと入れる憑依型」という生駒里奈。そして「声がすばらしくて、芝居がしまる」と水谷も一目置くバッファロー吾郎A(これには八も大賛同)。「2人ともすごく魅力的な声で、ちょっとアンニュイな感じ」というYOUとはいだしょうこは、ダブルキャストでの日替わり出演だ。また、今回初参加の野村将希と武田真治には「筋肉対決」も期待しているとか。そして日替わり出演の芸人キャストは、ずん、ハリセンボン、どぶろっく、阿佐ヶ谷姉妹と、「いずれも個性派で昭和感漂う(笑)」顔ぶれを揃え、「面白さは折り紙付き!」と太鼓判を押す。歌謡ショー『千重子オンステージ』では、八公太郎、倉たけし、六条たかやといったおなじみの二葉ファミリー,、浜ローズ(東京公演のみ)が出演。50周年を迎えた千重子が、初の博多座でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。公演は6月4日(金)~13日(日)東京・明治座、6月25日(金)~7月4日(日) 博多座にて。チケットは発売中。
2021年05月31日落語と弾き語りの融合イベント『スペシャ寄席』が、6月16日(水)に大阪・摂津市民文化ホール(くすのきホール)で開催。スペースシャワーが手掛ける有料ライブ配信サービス「LIVEWIRE」でも配信される。スペシャ寄席チケット情報大阪のラジオ局FM802のDJ樋口大喜が、音声アプリClubhouse上で出会った落語家と意気投合し立ち上げた『#clubhouse寄席』。今年に入ってからは、『紅楽葉(くらは)寄席』としてスマホを飛び出し、大阪・東京・福井など各地で開催してきた。そして今回、アーティストの弾き語りライブと落語の融合イベント『スペシャ寄席』としての開催が決定。今、上方落語界で勢いのある落語家たちが、音楽をもとにした創作落語や楽曲の内容とリンクした古典落語で、ライブハウスシーンを牽引するアーティストたちが弾き語りで、今までにないカルチャー異種格闘技戦を繰り広げる。弾き語り出演は石崎ひゅーい、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)、森良太。対する落語家は、桂紋四郎、笑福亭笑利、桂九ノ一。当日は、アーティストと落語家がひとつのステージに!落語と弾き語りライブが交互に繰り広げられるという斬新なスタイルの内容になることが発表された。企画の発案者であり、当日MCを務める樋口大喜は「落語も音楽も誰かに寄り添う物語だと思います。想像力をかきたてる点も親和性を感じていて、両者を詳しく知らなくても感覚的に楽しめる内容になるのではないかと!しかしながら、とにかく未知数!歴史的瞬間を一緒に体験してください!」とコメント。発売中の会場観覧チケットに加え、配信視聴チケットも5月12日(水)よりLIVEWIRE WEBサイトにて発売!
2021年05月12日昨年、公演延期となったWAHAHA(以下:ワハハ)本舗全体公演『王と花魁』全国ツアーの開催が決定。構成・演出の喰始、キャストの柴田理恵、久本雅美、梅垣義明に現在進行形の想いを尋ねた。ピリオドを打った『ラスト3~最終伝説~』から4年ぶりの全体公演となる本作。枠にとらわれることのない多彩なパフォーマンスで客席に全力の笑いを届ける。延期が決まっても喰は「中止は念頭になく絶対にリベンジしたかった」と語り、その言葉に柴田・久本・梅垣の3人も頷く。ワハハ本舗の特徴といえば、“過剰”ともいえる客席とのコミュニケーション。「ろくでなし」を歌って鼻から豆を飛ばし、「愛の讃歌」でステージを降り観客をハグしにかかる梅垣の芸に代表され、これを目当てに訪れる人も多い。しかしコロナ禍では“濃厚接触”。得意技を封じられた一同はどうやって客席を魅了するのか。そう聞くと、喰は「梅垣は今までお客さんをひどい目に遭わせてきたけど、今度は梅垣がひどい目に遭う番」とほくそ笑む。制限を逆手に取った笑いを追求する一方で、無観客配信を行った梅垣は画面の向こうにいる観客の反応がわからない心もとなさを経験した。「自分がいかにお客さんから助けられてきたか、コロナ禍で“観客の力”を実感しました」と語ると、喰は「今回のお客さんはおかしくても笑い転げるのは難しいから、マスク上でアピールしてもらう?」とその場でアイディアを出す。一度目の緊急事態宣言が明けてから、さまざまな舞台を観に行った柴田は「ワハハみたく底が抜けたような笑いって今見かけないよね」とひと言。「だからこそ我々がやる意義は大きいんじゃないかな」と万全の対策で観客を迎える覚悟を語る。久本も「私たちを待ってくださっているお客さんの存在を感じています」と続き、「その気持ちに応えて全力で“バカ”やる所存です!」と意気込んだ。最後に喰は「エンターテインメントは精神のワクチン。接種の無理強いはしません。でもワクチンを体に入れて心が軽くなるのであれば、ぜひお越しください」「我々も年齢を重ねましたから。いつまでもあると思うな、ワハハ本舗ですよ」と呼びかけ、インタビューを結んだ。なお、取材中に喰が思いついた案は「マスクdeエール」プロジェクトとして進行中だ。演劇人に対するメッセージを寄せたマスクの着用姿を写真・動画に収めてワハハ本舗に送ると応援動画として編集され、劇中や記者発表イベントにて上映されるという。BGMには『王と花魁』応援隊長・泉谷しげるが書き下ろしたオリジナル楽曲が予定されている。公演は10月28日(木)~31日(日)に東京・新宿文化センター 大ホールで行われたあと、11・12月に全国12会場を巡演する。取材・文:岡山朋代
2021年05月07日落語と弾き語りの融合イベント『スペシャ寄席』が、6月16日(水)に大阪・摂津市民文化ホール(くすのきホール)で開催。スペースシャワーが手掛けるオンライン・ライブハウス「LIVEWIRE」でもライブ配信される。スペシャ寄席チケット情報大阪のラジオ局FM802のDJ樋口大喜が、音声アプリClubhouse上で出会った落語家と意気投合し立ち上げた『#clubhouse寄席』。今年に入ってからは、『紅楽葉(くらは)寄席』としてスマホを飛び出し、大阪・東京・福井など各地で開催してきた。そして今回、アーティストの弾き語りライブと落語の融合イベント『スペシャ寄席』としての開催が決定。今、上方落語界で勢いのある落語家たちが、音楽をもとにした創作落語や楽曲の内容とリンクした古典落語で、ライブハウスシーンを牽引するアーティストたちが弾き語りで、今までにないカルチャー異種格闘技戦を繰り広げる。弾き語り出演は石崎ひゅーい、ヤマサキセイヤ(キュウソネコカミ)、森良太。対する落語家は、桂紋四郎、笑福亭笑利、桂九ノ一。今後絶対に観ることができないコラボレーションライブをお届けします。本公演の会場観覧チケットは発売中。配信視聴チケットの詳細は後日発表される。
2021年04月27日株式会社ステラキャスティングと株式会社スタンダードワークスが4月18日(日)、CARATO71にて『オトシバナシ ~声優と落語家~』を開催する。声色を変えながら噺をする落語家と、声だけで様々な表現をする声優。一見交わることがないように見えて、どちらも声が重要な役割を果たしているという点で共通している職業だ。『オトシバナシ ~声優と落語家~』はそんな落語家の柳亭小痴楽と春風亭昇々、声優の神尾晋一郎によるコラボレーションイベントとなっている。師匠となる落語家の指導の元で、声優の神尾が本気の落語を披露。遠いようで近い、近いようで遠い。落語家ファンのみならず、声優ファンも楽しめる事間違いなし。何の演目を披露するかは当日までのお楽しみだ。『オトシバナシ ~声優と落語家~』出演:柳亭小痴楽、春風亭昇々、神尾晋一郎日程:2021年4月18日(日)(1)開場13:00/開演13:30(2)開場17:00/開演17:30会場:CARATO71(カラート71)〒150-0035東京都渋谷区鉢山町13-7料金:全席指定 5,500円(税込)※チケットは発売中
2021年04月09日取材現場に現れた笑福亭鶴瓶が、とにかく元気なことに励まされる。コロナ禍の影響は鶴瓶の活動にも影響を与えており、とくに落語の仕事=舞台での生の落語は例年の3分の1程度に減っている。なのに、笑福亭鶴瓶は元気なのだ。まずは、コロナとの向き合い方について話を聞いた。「コロナは厄介で大変だけど、それでもあきらめたらダメだと思うんです。瀬戸内寂聴さんの言葉で、いいなぁと思ったんですけど、ボールも地に落ちたら必ず跳ね返る。人間も苦のどん底に落ちたら跳ね返れるはずだと。その通りですよね。あと、落ちたくないとしがみついてるのが苦しかったら意外と手を離してみるのもいいかもしれない。落ちてみたら低くて大したことないなんてこともあるはずですから。あ、後半のやつは寂聴さんじゃなくて、僕がいま思いついた言葉です(笑)」落ちるの「落」は落語の「落」でもある。落ち(オチ)のある話=落とし噺がその語源であるという説もあるが、今回の笑福亭鶴瓶落語会での最後のオチを聞かせてくれる大ネタは、12年ぶりの『らくだ』。鶴瓶の師匠である六代目笑福亭松鶴の十八番のネタであり、演者にとっては難解な演目と評されるものだ。「『らくだ』って、むちゃくちゃな噺なんです。らくだというあだ名の主人公がふぐを食べて死んだというところから始まり、そのままずっと主人公が死んでるんですから(笑)。ただね、僕の『らくだ』は主人公を途中で生かすバージョンもあるので、もしかしたら両方のパターンをやるかもしれません。不思議なのは、久しぶりなので忘れてるかなぁと思ったんですけど、稽古していると出てくるんです。あ、これはいるなと。体の中に『らくだ』という噺がちゃんといてくれたんです。ただ、昔の自分の『らくだ』を聴きなおして思ったのは全然おもんないなぁということ。その場ではウケてはいるんですけど、余計なことばっかりしている。そういうのは全部排除して、師匠の『らくだ』に近づきたいです。たとえば、登場人物のひとりが酔っぱらって『うちのかかあがあれですわ。そうですわ』っていうシーンがあるんですけど、そこもね、ウケを狙いにいくんじゃなくて、人間がほんまに酔うてる様をいかに見せるかだと思っています」『らくだ』という噺はどこを稽古していても楽しいと笑福亭鶴瓶は笑った。1時間を超える予定の大ネタをどう演じるのか?むちゃくちゃな噺の鶴瓶流怪演が楽しみでならない。本公演は12月3日(木)~6日(日)まで、東京・赤坂ACTシアターにて上演。11月7日(土)の一般発売に先駆け、10月15日(木)10時より、いち早プリセール(先着先行)受付開始。取材・文:唐澤和也
2020年10月14日年間に上がる高座の数は900席近く、自身のYouTubeチャンネル登録者数は約5.6万人 (2020年9月現在)という、当代きっての人気落語家・春風亭一之輔。秋の恒例ともいえる、2014年から続くよみうり大手町ホール(東京・大手町)での独演会を、今年は『2020 落語一之輔 三昼夜』と銘打ち、10月25日(日)~27日(火)の3日間、各日昼夜公演の計6公演に拡大して開催。さらに、会場での開催に加えオンラインのライブ配信も決定。【チケット情報はこちら】なかなかチケットが取ることができないことでも有名な春風亭一之輔の高座は、すでに本公演でも会場のチケット(販売予定枚数)は完売。購入できなかった方、さまざまな理由で会場に足を運べない方も、生ライブ&アーカイブ配信でじっくり楽しむことができるこの機会を見逃せない。昼公演には、紙切り芸の第一人者・林家正楽など色物の芸人が揃う日から、三遊亭天どんとの古典新作での二人会三遊亭天どんとの新作の会、そして師匠である春風亭一朝との親子会など、日替わりでスペシャルゲストが登場。夜公演の独演会では、毎晩異なる演目でファン垂涎の“ネタ下ろし”を予定。これまで披露したことのない噺を初めて高座で演じる貴重な瞬間をぜひライブで楽しみたい。①「春風亭一之輔落語会其の一」10月25日(日) 13:00開演「僕の好きな色物さん」配信:10月25日(日)13:00~11月8日(日)13:00出演:春風亭一之輔、林家正楽(紙切り)、鏡味仙成(太神楽曲芸)、ペペ桜井(ギター漫談)、のだゆき(音楽パフォーマンス)②「春風亭一之輔独演会第一夜」10月25日(日) 17:30開演配信:10月25日(日)17:30~11月8日(日)17:30出演:春風亭一之輔③「春風亭一之輔落語会其の二」10月26日(月) 13:00開演「一之輔 天どん古典と新作二人会」配信:10月26日(月)13:00~11月9日(月)13:00出演:春風亭一之輔、三遊亭天どん④「春風亭一之輔独演会第二夜」10月26日(月) 18:30開演配信:10月26日(月)18:30~11月9日(月)18:30⑤「春風亭一之輔落語会其の三」10月27日(火) 13:00開演「一朝・一之輔親子会」配信:10月27日(火)13:00~11月10日(火)13:00出演:春風亭一朝、春風亭一之輔⑥「春風亭一之輔独演会第三夜」10月27日(火) 18:30開演配信:10月27日(火)18:30~11月10日(火)18:30出演:春風亭一之輔*配信視聴券情報9月12日(土)10:00から発売開始視聴券:各公演2,000円(税込)/各日昼夜セット券3,600円(税込)
2020年09月11日総勢20名を超える噺家が登場する、豪華絢爛な落語会がいよいよ7月25日(土)よりよみうり大手町ホールと大手町サンケイプラザにて同時に開幕する。『落語芸術協会のホール落語』『個性派落語取揃え』『三匹のおじさんの会』などなど、異なるテーマの全8公演とあって、期待も高まるばかり。さらに、3日間の会場公演の終幕後、翌7月28日からは、毎日19時より1公演ずつの疑似ライブ配信がスタート。会場公演では見られない貴重映像を加えたオリジナル編集版として、楽しむとができる。公開日から1週間のアーカイブ視聴も可能。会場とオンライン双方楽しむもよし、オンラインで好きな時間に何度でも楽しむもよし。7月25日(土)を皮切りに、最終公演のアーカイブが終了する8月11日(火)まで、とにかく笑える毎日を存分に楽しもう。出演者は会場とオンライン配信版で変更な公演があるのでご注意ください。チケットはいずれもチケットぴあにて購入できる。会場公演は間もなく販売終了!
2020年07月22日人気、実力ともに当代一を競う3人の落語家、桃月庵白酒、柳家三三、春風亭一之輔が隔月替わりでお届けする二人会「J亭 スピンオフ企画」の第13回が7月29日(水)に開催される。【チケット情報はこちら】今回は次代を担う中堅実力派、三三と、いま最もチケットが取りにくい落語家、一之輔が出演。同公演はインターネットによる生配信が行われる。配信視聴券は発売中。■J亭スピンオフ企画13「三三・一之輔二人会」7月29日(水)開場18:30開演19:00【アーカイブ配信期間】公演終了後~8月5日(水)19:00視聴券:1500円(税込)
2020年07月20日「久保みねヒャダこじらせオンラインライブ#2」が6月28日(日)14時より配信される。【チケット情報はこちら】漫画家の久保ミツロウ、エッセイストの能町みね子、音楽プロデューサーのヒャダインの3人が出演し、フジテレビ系にて現在ほぼ月イチ不定期で放送中の「久保みねヒャダ こじらせナイト」。『久保みねヒャダこじらせライブ』は同番組から派生して生まれたフジテレビのトークイベントで、月1回ペースでフジテレビ本社や湾岸スタジオを会場に開催してきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「久保みねヒャダこじらせオンラインライブ」として5月に初のオンラインで開催され大盛況を博した。2回目の今回はゲストに阿佐ヶ谷姉妹を迎えて行われる。この配信はライブ動画配信サービス「PIA LIVE STREAM」を通じて実施。「PIA LIVE STREAM」は新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環として、政府からの大規模イベント自粛要請を受けて、様々なライブやコンサート、イベントが開催の中止・延期を余儀なくされている中、「アーティストやクリエイターの表現の場を守りたい」という思いから、動画配信でアーティストのパフォーマンスをファンの皆さんに広くお届けすることはもちろん、有料コンテンツとすることでアーティストや関係者の方々に収益源としてもらえるサービス。チケットの発売は6月13日(土)午前10時より。■「久保みねヒャダこじらせオンラインライブ#2」配信日: 6月28日(日)14時出演: 久保ミツロウ能町みね子ヒャダイン/ゲスト:阿佐ヶ谷姉妹金額:2,980円(税込)
2020年06月08日鶴瓶噺の魅力を剣豪にたとえるなら、一見隙がありそうなのになぜか打ち込めない自然体ということ。「うぉりゃー」などと雄々しく叫ばずに「この間ね」と静かなトーンで、すっとしゃべり始める。「日常を描きたいんです」と語る笑福亭鶴瓶が、本番を2か月前に控えたこの日までにセレクトした噺の素は643個。まずは、噺の素との出会い方から話を聞いた。【チケット情報はこちら】「ふだんから、おもしろいことがうまれろなんて一切考えたことがないんです。正月なんて家族と一緒にぼーっとしていたいし、1年の目標を立てたこともないし(笑)。でもね、なぜか出会ってしまうんですよ。正月のハワイのホテルでも、ものすごくかわいらしい赤ちゃんが気になって。隣りのお母さんもキレイな人で、ふっとその横を見たらボクシング4階級制覇王者の井岡(一翔)やったんですよ。彼とは仲がいいから言えるんですけど“お前が1番目立ってないわ”って(笑)。自分でも不思議なんですけど、なにかが起きる時って、こっちが自然にしているよなぁとは思います」興味深い鶴瓶の休日だが、鶴瓶噺のトピックスは有名人から大阪のおばちゃんまでと幅広いのが魅力。さらにラストは、しゃべりと映像のコラボで締めくくられる。「今回のラストは、落語の世界の師弟や弟子同士の関係性がテーマになりそうです。落語の世界って、人間国宝にもなられた桂米朝師匠が、ご自身の師匠から言われた言葉がすべてだと思うんですけど“芸人になった以上、末路哀れは覚悟の前”ですから。なのに、いまの時代はパワハラってすぐに言われるでしょ?その言葉、落語家には無縁というか、ほっといてほしい(笑)。僕も師匠から怒られましたし、弟子には怒る。嵐の晩もあるから平和な1日がありがたいわけで、むしろ、思いっきり怒られたほうが向上するんです。うちにも怒られて1回クビになって戻した“べ瓶”という弟子がいます。戻す前は築地の市場に勤めたり観光バスの運転手をやったりしてたんですけど、そういう経験のおかげもあって、最近はかなりおもしろい。ただ、アホですけどね。関西弁で、最下位やビリのことを“べべ”と言うんですけど、“師匠、ひらがなで“べべ”ってどうですか?”なんて平気で言うんです。お前は誰の弟子やねんと。鶴瓶の瓶はいらんのかって(笑)」自然体で、すっとしゃべり始めてラストまで疾走する約2時間。剣豪的べしゃりの達人は、刀を抜く代わりに観客を笑顔にする。公演は4月1日(水)から5日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて、4月15日(水)から19日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。2月15日(土)午前10時より一般発売開始。取材・文:唐澤和也
2020年02月14日新作落語のカリスマ、三遊亭円丈の「実験落語neo」第16弾が上演に。円丈の薫陶を受けてきた林家彦いちが出演し円丈と共に高座を務めるほか、彦いち曰く「カタルシスの塊」な円丈の名作『グリコ少年』の1980年のお宝映像も上映、円丈と彦いちによる振り返りトークを行う。【チケット情報はこちら】「円丈師匠は僕にとって、20代の不安な時期に判子を押してくれ、創作落語の指針となってくれた方です」と彦いちは言う。「初めてきちんとお話ししたのは、ネタ合評会の時。僕は『横隔膜万歳』というネタを考えたのですが、他の師匠が物語の運び方などを助言くださる中、円丈師匠は『君、横隔膜、外したいの?』『外したいならやったほうが良いよ』と。で、落語協会の2階で外す練習をしたんです。『3回撫でてみよう』『右回りだよ』なんてやっていたら、入ろうとした事務員さんがそっと扉を締めるのが見えて(笑)。僕が横隔膜の左のほうに手を当てて『うっ』と言ったところ『それでいいんだよ!』。外れた、という落語ができました」彦いちが、主人公が轢き逃げに夢中になるというブラックな噺『最終宣告』を作った折には、円丈から喫茶店に呼ばれたという。「『そういう感覚を大事にしなさい』と言われ、以後、作るネタは全部聴いてくださいました。否定されたことは一度もありません。突然、長い手紙をいただいたこともありますね。”君と僕は友達だ”で始まり、宇宙の話で終わっていました。それは宇宙であり君である、と。嬉しかったですね。どうご恩返しできるか考えていたら『僕ではなく後輩にしてあげて』と。この世界で一番大事なことを教わりました」円丈による新作落語の実験会「応用落語」「第二次実験落語」「落語ジャンクション」に参加してきた彦いち。彼が三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎と結成した話芸集団SWAもその延長線上に生まれたものだ。新作落語のパイオニアである円丈を、彦いちは砂漠にラスベガスを作ったベンジャミン・シーゲルのあだ名にちなんで「一人バグジー」と呼ぶ。「師匠は、何もない荒野を切り開いた方。その下に水脈はあったにしても、それまでの創作落語とは一線を画すものを生み出し、落語というものに自由をもたらしたんです。第一次実験落語の頃は、客席の後ろから落語をしたり、懐からザリガニを出して噺に登場させたり、お客を川の両端に座らせて弟子のらん丈兄さんに川を流れながら落語をやらせたり、色々な実験をなさったそうです」今年は彦いちにとって、芸歴30年、50歳の節目。「後戻りはできないですよね。今、(若手噺家がエントリーして創作落語のネタおろしをする企画)『しゃべっちゃいなよ』を隔月でやっているのですが、苦しいけれど毎回、自分もネタおろししています。円丈師匠は戦っている背中を僕に沢山見せてくれた。僕もそれを受け継いでいきたいですね」『実験落語neo~あの頃のシブヤ炎上~』は12/20(金)CBGKシブゲキ!!にて。当日券は17:50より劇場前で先着順販売予定。取材・文:高橋彩子
2019年12月17日今年は初の全国ツアーを成功させ、来年1月にはドラマ『贋作男はつらいよ』(NHKBSプレミアム)で主役の寅さんも務めるという、脂の乗った落語家・桂雀々が独自の「スーパー落語」を引っ提げて地元・大阪で還暦公演を開く。そこで意気込みを聞いた。「桂雀々独演会 熱血の還暦公演」チケット情報51歳から本拠を東京に移して丸8年。当初は不安もあったと明かすが、ターニングポイントは2年前の落語家生活40周年公演だったと言う。シークレットゲストで登場したのは、なんとミュージシャンの桑田佳祐。落語を通した日々の付き合いからゲスト出演が実現した。他にもさまざまな畑違いの人達との交流が大きな財産になっている。一方、落語に関しては「江戸の噺とはネタもつかない(重ならない)し、キャラクターもかぶらない」と無二の存在感で活躍。今では稽古をつけて欲しいと東京の落語家から請われることも多く「上方の噺に興味のある人が多くなりましたね」と語る。今回の還暦公演で目玉となるのは、芝居さながらの照明や舞台装置に工夫を凝らす「スーパー落語」だ。「新歌舞伎座という大きな舞台で映えるものはないかな?」と昼の部に選んだ演目が『夢八』。いねむりで夢ばかりみている男が空き家の番を頼まれると…。「僕の中では“見せる”落語の代表作。表情、仕草、目線、棒を叩くところの描写と、この噺に出合えてから他の噺に応用できるようになったんです。間が持てるようになったというか、お客さんにうまく伝えられた初めての落語やと思いますね。落語作家の小佐田定雄さんの前振りの脚色が秀逸で、これでようやく落語の面白さが分かったんとちゃうかな」と話す。落語家としての転機と断言する一席。夜の部で披露される『景清』は、腕の良い目貫師・定次郎が目の病を患い…。情味のある噺で「誰かに薦められて、こんなネタは持ってないなと思い、(桂)米朝師匠のところにお稽古に行ったんですよ。師匠はマクラから教えてくださったんですが、中でも『ここは足取りが軽いはずや』とか定次郎の心情も言うてくれはって。そういう意味では“気持ち”の稽古でしたね」。さらに雀々の『景清』を聞いた師匠の桂枝雀からは、描写のアドバイスをもらったとか。まさに、米朝、枝雀というふたりの偉大なる先人の魂がこもった演目だ。桂雀々が自信を持って届ける還暦公演で、渾身の芸を堪能してほしい。公演は2月16日(日)大阪・新歌舞伎座にて。チケットは11月16日(土)一般発売。取材・文:松尾美矢子
2019年11月15日東京・DDD青山クロスシアターで行われる落語会『青山らくご ~DDD寄席~』のVol.2が10月4日(金)から6日(日)に開催される。vol.1に続き出演する柳家花緑と、ゲストの篠井英介に話を聞いた。【チケット情報はこちら】劇場で開かれ、“落語界と演劇界がクロスする落語会”として今年8月にvol.1が開催された『青山らくご』の第二弾。前回も出演した花緑は「第一弾はおもしろい会になりましたね。DDD青山クロスシアターは落語にちょうどいいサイズだと感じました。一番後ろの席でも顔が観えますし、伝わりやすい距離感ですよね」と感想を語る。初登場でトークゲストの篠井は「青山という、落語にはなかなか結び付かなかった場所でやるというのもミソですよね。ワクワクする」と印象を語る。会は3日間開催され、初日は花緑の一門から柳家緑君、大神楽の柳貴家雪之介を迎えての「~花緑のふざけ過ぎてごめんなさいの会~」。花緑曰く「ふざけることを前提にやる落語会です」とのこと。内容について「僕が9歳から落語をやってきて、一番ふざけているものを詰め込む予定です。この企画は、最初で最後かもしれないですよ(笑)」と構想を語ると、篠井も「すごい!それはアピールしないと」と大興奮。中日(なかび)は「~『昭和元禄落語心中』の会~」と題し、昨年10月に放送されたドラマも好評の漫画『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社刊)にゆかりのある出演者が揃う。噺家はドラマに出演した橘家圓太郎、隅田川馬石、柳家緑助、トークゲストに松田役の篠井が登場。篠井は「噺家の皆さんがドラマの現場でどんなふうに思っていたのか聞いてみたい。今だからできる話ができればと思っています」と楽しみにしている様子。余談だが、篠井は落語をやらないのかと聞いてみると「やってみたいというスケベ心はあるんですよ、正直」と笑いつつ、「でも、とんでもないです」と落語家へのリスペクトを明かした。千秋楽は「~令和の推しメンの会~」と題し、落語界のイケメン五明樓玉の輔、瀧川鯉斗、林家木りんが集結。昨年上方演芸の殿堂入りをした「かしまし娘」から正司花江をトークゲストに迎え、トークバトルが行われるという。花緑が「僕は、玉の輔兄さん以外のふたりに稽古をつけているのですが、確かに推しメンになるほどのいい男ですよ。でも……これ以上は言いません!!」と気になる言葉(笑)。一体どんな会になるのか最も未知な日とも言えそうだ。ここでしか観られない3日間になる『青山らくご Vol.2~DDD寄席~』は、10月4日(金)から6日(日)に東京・DDD青山クロスシアターで開催。」取材・文:中川實穗
2019年09月25日昨年の落語会を振り返り、『徂徠豆腐(そらいどうふ)』という古典への手応えを口にした笑福亭鶴瓶。今年の大ネタは『明烏(あけがらす)』に決めたと言う。50歳から本格的に落語と向き合った男に「古典落語」と「ライバル」をキーワードに話を聞いた。【チケット情報はこちら】「今回の『明烏』は東京・吉原を舞台とする落語なんですけど、物語も演出も大阪版に変えています。聴く落語としては東京を代表する(古今亭)志ん朝師匠の『明烏』が大好きなんですけど、自分がやるとなると泥臭さみたいなものを足したくなるんですよ。演出に関しては、東京にはない関西独自のお囃子を加えたらどうかなぁと。2日前かな。東京・北区の寄席で試しました。その寄席の女将がおもしろい人で“私、錦糸町のベットであなたの横で寝てて。痛かったぁ~”と。えぇ!?と思って詳しく聞いたら、マッサージ屋で、たまたま隣りになったんですって。錦糸町やし、ベットやし、ややこしいと(笑)」私落語と呼ばれる創作も手がける人ならば、古典落語に自分の色を加えるのも自然な流れ。だが、「壊す」だけでないのが鶴瓶色。先人であり『明烏』の名手である古今亭志ん朝の墓参りを欠かさず、長年受け継がれた古典への敬意を忘れることがない。「古典をやらせてもらう時に思うのは、“俺がいちから作ってるわけじゃない”ということ。その上で、少しでもおもしろくしたいと自分の色を加えているんですけど、じゃあ、志ん朝師匠の『明烏』がライバルかと聞かれても、そんなこと、おこがましくてよう言えません。僕が思うライバルの条件は、同じ時代を生きているということ。僕でいえば、所ジョージ、明石家さんま、ビートたけしとかね。うらやましいと感じる部分が、いっぱいあるすごい人たちですけど、勝ち負けよりも、あの人たちと一緒に同じ時代を生きられていることがうれしいんです。そういう意味では、落語界のライバルとして講談の神田松之丞が、同じ時代に現れたことはうれしいし、刺激になる。去年1度共演させてもらったんですけど……松之丞はすごい。化物です(笑)」実は、神田松之丞との共演時に選んだ噺が『妾馬』だった。江戸時代にもあったであろう講談と落語のぶつかりあい、その令和版。では、今年の大ネタ『明烏』はどのような噺に再構築され、育っていくのか。笑福亭鶴瓶は落語初心者にもおすすめな落語家ではあるが、点ではなく線で聴くべき表現者でもある。同じ時代を生きる観客として。「笑福亭鶴瓶落語会」は10月24日(木)大阪・森ノ宮ピロティホールを皮切りに全国で開催。東京公演は12月5日(木)から8日(日)まで東京・赤坂ACTシアターにて上演。10月6日からの東京公演一般発売に先駆け、9月5日(木)11:00までいち早プレリザーブ受付中。9月6日(金)11:00からプレリザーブ受付開始。東京公演以外は、9月7日(土)より一般発売開始。取材・文:唐澤和也
2019年09月04日週に何本もの人気番組をとりしきるウッチャンナンチャンの内村光良。バラエティを賑わせるMCとしての存在はテレビになくてはならないものだが、その一方で彼の本分である「演者」としての姿を観られる機会は決して多くはない。そんな内村のパフォーマーとしての魅力を存分に味わえる『内村文化祭’19 三茶』が8月28日(水)、29日(木)の2日間、昭和女子大学人見記念講堂にて開催される。【チケット情報はこちら】「内村文化祭」という名のイベントは2017年から開催しており、今回で3回目。女優の桜井日奈子、俳優のせとたけお、芸人のニッチェ、パーパー、きしたかのらを迎え、過去最大規模の公演となる。本格的な稽古が始まろうとするタイミングで、内村に話を聞いた。「この1年間、自分が経験したもの、体験したものを出すのがこの『内村文化祭』です。ひとつひとつの演目は統一感なくバラバラで、構成もつぎはぎだらけですけど、この場では本当に自分がやりたいことだけをやっています。今年はステージが広くなるので、歌や踊りをたっぷり見せる形になると思います」過去2回の公演では観て影響を受けたという劇団☆新感線の公演を再現してみたり、木村多江の「春興鏡獅子」を再現したり。体験したものをそのまま内村色にして出す演目もあれば、幼い息子のようすを描写したコントや自分の日常を語る漫談、しっかりと作り込んだ長尺コントからダンサーたちを従えたダンスも。まさに文化祭のようにさまざまな面白さが詰め込まれていた。「今回は病院を舞台にした、10分ちょっとのミュージカルコントがあります。以前の公演に出た丸山けんじ(ご当地ソングの名手という設定の、内村演じるキャラクター)は今回残念ながら出演しませんが、彼の弟の丸山ちはるという人が登場します。お楽しみに!」今年の演目について話しながら、楽しくてたまらないといった風情で笑う内村。本番はもちろん、稽古の時間もとても楽しいのだという。「今回の新たな挑戦としては、アクションものがあります。ヒーローものですね。息子がいま『仮面ライダージオウ』が大好きなんですよ。そのようすを観て、じゃあ私が仮面ライダーみたいなヒーローになろうと」歌、ダンス、アクション。『内村文化祭』は、芸歴34年を数える内村が、今やりたいことを純粋に追求し、それに向かって邁進する姿を観られる貴重な機会になりそうだ。「内村文化祭‘19 三茶」は8月28日(水)・29日(木)、昭和女子大学人見記念講堂にて開催。取材・文/釣木文恵
2019年08月16日『桂 雀々、はじめての全国ツアー にっぽん、まるごと笑わせまっせ!2019』と題し、3月から全国8都市をめぐるツアーを行っている桂雀々。大阪は8月18日(日)、NHK大阪ホールに登場する。「桂雀々」チケット情報若手時代、師匠の桂枝雀が全国で独演会を開いている姿に憧れていたという。今年、「還暦を前にいつかはやりたかった」という夢がかなった。しかも、大阪公演は59歳になったばかり。この年齢にも特別な思いがある。「師匠は59歳で他界しましたので、ちょうど師匠の年齢に追いつきました。これからがスタートかなと思います」と改めて気を引き締める。オーバーなリアクションにマシンガントーク、賑やかな上方落語でもって更に客席にまで飛び出しそうな勢いで沸かせる。その爆発的な笑いに師匠の面影を見るファンも少なくない。「“俺流”じゃないですけど、誰にも真似できない雀々の形を作り上げることができたらと思いますが、師匠にはまだまだ、まったく追い付きません。ただ、師匠の年齢に近づくにつれ、“あの時、師匠はこう言うてはったな”という思いとか、苦労してはったことが分かるようになりました」。東京に拠点を移して8年、上方落語を知らない観客の心を瞬時に掴むため、マクラにも力を入れている。「1分、2分で“おっ!”と思わせるため、目線に気を配りながら。内容は世情なども多いですが、なにより自分で足を運んで得た情報を取り入れています。しょっぱなにドン!とウケたら“来てる来てる!って思いますね(笑)」とうれしそうに話す。生まれ故郷でもある大阪はホームだけあって、「お帰りなさいという空気感がある」と幕開けを楽しみにしている。そして、NHK大阪ホールという大きな会場だからこそ、1席1席をたっぷりできると意気込む。「大きなホールでの独演会は半年に1回ぐらいなので、ぜひ足を運んでいただいて、まったく異なる空気感、世界観を感じてください!女道楽の内海英華先生にもゲストで出ていただきます」。落語は三席、演目は当日、会場の雰囲気を見て決めるという。「お客さんの空気感で違ってくるので、その時に合ったものをと考えていますが、主に夏の大阪の噺になると思います。夏の大阪を舞台にした噺はたくさんあるので、何をやるか、お楽しみに!」。公演は8月18日(日)NHK大阪ホールにて。チケット発売中。取材・文:岩本
2019年08月09日8月10日(土)にサンケイホールブリーゼで行われる『米朝一門会 令和夏の陣 「昭和入門軍」vs「平成入門軍」』。昼の部は、桂南光、桂雀三郎、桂千朝、桂塩鯛、桂米團治、桂団朝らが出演する「昭和入門軍」が、夜の部は桂南天、桂米紫、桂吉弥、桂しん吉、桂ちょうば、桂二葉らが出演する「平成入門軍」がそれぞれ、落語会を開く。米朝一門会 令和夏の陣 「昭和入門軍」VS「平成入門軍」チケット情報昭和入門軍、平成入門軍を代表して、南光、団朝、南天、二葉が取材会に登場し、意気込みを語った。「米朝一門でサンケイホールブリーゼには何度も出させていただいておりますが、こういう企画は初めてです。噺家は年を重ねていたほうがいいに決まっているのですが、ひとつだけひっかかることがあります。細かいことですが、入場料金が我々は5000円で、平成入門の若い人たちが4500円。500円の差しかないんですわ。私が一般のお客様なら平成入門の方に行きますね。1コインでも安いほうがいい!」と昭和入門軍の南光、冒頭から沸かせた。同じく昭和入門軍の団朝「お盆なので、天国でうちの師匠(桂米朝)が?お、こんなことをやっているのか“と喜んでくれるような一日になったらいいなと思います」と笑みを浮かべ、平成入門軍の南天とは同い年であることから「同じ年齢の人間が昼と夜に出ているというところも面白いのではないかと思います」と見どころを語った。平成入門軍の南天は「平成と昭和と別れた落語会は面白いと思います。まさかサンケイホールブリーゼでの米朝一門会でトリなんて。吉弥さんも米紫さんもみんな面白いので、彼らに負けないようにできたら」と気合を入れた。サンケイホールブリーゼでの米朝一門会に初出演という二葉は「出させていただいてめちゃくちゃうれしいです」と声を弾ませ、「私は平成入門軍のトップで、昭和入門軍のトップは米團治師匠ということで、米團治師匠に負けないようにできたらと思います!」と意外なところでのライバル心を燃やした。昼夜とも、大喜利も開催。「大喜利は苦手」と話した南光、当日はどう魅せるか、こちらも注目だ。取材・文:岩本
2019年08月07日8月11日(日・祝)と12日(月・休)に東京・DDD青山クロスシアター初となる落語会『青山らくごVol.1~DDD寄席~』が開催される。劇場で開かれ、落語家・柳家花緑、俳優・風間杜夫らが出演する、“落語界と演劇界がクロスする2日間”な本企画。その両日に出演する風間に話を聞いた。【チケット情報はこちら】8月11日は「~花緑と風間落語×演劇の最強タッグ~」として柳家花緑、風間、柳家勧之助が、12日は「~風間杜夫と旬な若手たち~」として風間と笑福亭べ瓶、三遊亭とむ、三遊亭鳳月が出演するこの企画。そこに両日出演し、古典落語のネタを披露する風間は、“演劇界代表”とはいえ落語ファンにはおなじみの存在だ。俳優業のかたわら20年以上にわたり落語に取り組み、多いときは年間30ステージほども高座にあがる。実は1日目に共演する花緑はその活動のきっかけを作った人物。「僕が初めて高座にあがったとき、花緑師匠がすごく褒めてくださいまして。花緑師匠は小さん師匠のお孫さん、つまり人間国宝の孫でしょう?さすがサラブレッドですよ。人を見る目が違う。褒める人間を間違えない(笑)。師匠の眼力の鋭さに敬服しまして、『それじゃあやってやろうじゃないか』とね」とお茶目に笑う。2日目の出演者は、二ツ目(落語家の階級。最高位「真打」のひとつ下)を中心に勢いある若手がズラリ。そんな若手との共演を「楽しみ」と語りつつも「でも中には『なんで風間杜夫なんだ』と思っている人もいるかもしれないからね!そこは芸でねじ伏せないと」と意気込んでみせる。では風間にとって“良い芸”とはなにか。「これは芝居も同じですが、上手い下手、好き嫌いはあれど、結局人を惹きつけるのって“人柄”だと思います。よく『芸は人なり』と言いますよね。そこに人間性が出るものだからこそ、僕がつまんないヤツだと噺もつまんなくなっちゃう」。『芸は人なり』は柳家小さんの言葉でもあるが、俳優・風間と縁が深いつかこうへいの考えにも通ずる。「つかさんも、そうやって僕らを前に出してくれました。お客さんに判断してもらえ、と。お前の中にある愛嬌だとか正義感だとか卑屈さだとか人を嫉む気持ちとか、とにかく人としてのいろんなものを観てもらえ、そして『でもやっぱり風間はいいな』と言われるようになれ、と」。本企画を前に「花緑師匠と同じ板の上に出られることはしあわせですし、若手の皆さんの高座を拝見して刺激を受けるのも楽しみです。落語はいつも修行のつもりで出ていますが、僕が落語を楽しんでることは、お客さんに伝えたいですね」と語った風間。70歳を迎えてもなお進化し続ける風間と落語家たちの、DDD青山クロスシアターでしか観られないコラボをお楽しみに!取材・文:中川實穗
2019年07月05日7月1日(月)、リニューアルオープンを終えた天満天神繁昌亭で上方落語協会の噺家110人が参加しての、リニューアルオープンセレモニーが行われた。天満天神繁昌亭チケット情報まずは上方落語協会会長の笑福亭仁智が挨拶し、リニューアル工事が無事に完了したことを報告。「今日は雨が降りそうでしたが、皆さんのおかげで止んでくれたようです。開場から13年が過ぎて、修繕箇所が出てまいりました。提灯と空調を変えて、ロビーも広げました。長い間、繁昌亭に通ってくれた皆様のおかげでなんとか修繕できました」と謝辞を述べる仁智。照明やのぼりも新しくし、「夜の繁昌亭もぜひ見てください」といざなった。修繕費は約4500万円で、市民からの寄付で集まった。そして「この先15年は大丈夫です!」と高らかに宣言。「大阪には大きな娯楽の会場があります。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのUSJ、なんばグランド花月のNGK、そして天満天神繁昌亭のTTH!これからはTTHと呼んでください!」と盛り上げた。続けて、上方落語支援の会理事長の盛岡氏、大阪天満宮の寺井宮司からも挨拶があり、テープカットでは繁昌亭開場に力を尽くした当時の上方落語協会会長、六代 桂文枝も駆け付けた。盛岡氏、寺井宮司、文枝、仁智、副会長の桂米團治が登壇。「繁昌亭はこれからも若い人によってつながれていくと思いますので、ごひいき賜りますようお願いいたします」という文枝からの挨拶もあった。米團治の発声で鏡開きも行われ、落語家たちがセレモニーに集った方々に振る舞い酒を手渡し、繁昌亭前は2006年のオープン当時を彷彿させる熱気に包まれた。天満天神繁昌亭ではリニューアルを記念して、7月31日(水)までロビーで笑福亭風喬による噺家似顔絵展を開催。また、展示にともない期間限定のクリアファイルも販売中。座席はこれまでの自由席から全席指定に。公演スケジュールは公式サイトをご確認ください。取材・文:岩本
2019年07月01日パントマイムで笑いと感動を届ける「サイレントコメディー・デュオ」として国内外で活躍を続けてきた「が~まるちょば」が、ソロになって初の舞台「MIME CRAZY」を上演した(6月7日~9日、東京・中野 テアトルBONBON)。開幕直前に行われた公開ゲネプロおよび囲み取材の模様をレポートする。【チケット情報はこちら】今年春、約20年にわたってコンビを組んできたケッチ!が脱退、「が~まるちょば」の看板をひとりで担うことになったHIRO-PONによる、これは最初の舞台。が~まるちょばはいったい何処へ?といぶかしむ間もなく、ステージは彼らの代名詞ともいえる「が~まるSHOW」で幕を開け、「太陽にほえろ!」「初めての手術」や「ドラゴン─怒りのラーメン─」──と、新旧の小品が次々と演じられる。冒頭でこそ、「あれ、もうひとりは?」とおどけた身振りでソロの舞台を印象付けたが、おなじみのジュラルミンのスーツケースが登場し、観客をしつこく巻き込んだり、おかしな人物を演じたりと、ワクワク感にあふれた舞台は紛れもない「が~まるちょば」のステージだ。最後は人情味たっぷりの長編「指輪」で感動を誘う。或る男の不遇の人生と、出会い、別れ、幸せをセリフなしでドラマティックに見せていく、まさに彼らのパントマイムの真骨頂だ。「ソロは約10年ぶり──。しばらくふたりでやっていたものを、ひとりで表現する作り方に頭を切り替えるのが少し難儀で、産みの苦労が付いてまわった」と話すHIRO-PON。大人も子供も一緒に楽しめる作品を数多く発信してきたが、今回は15歳未満入場不可の「R指定」公演としたことについて、「パントマイムという表現に2時間、集中してくださるお客さんに伝えたかった。R15といってもエロいわけではなく(笑)、サスペンスのような、子供向きでないものも見ていただきたくて」と思いを明かした。ひとりになったことも「再出発」とはせず、すべて「通過点」という。「僕にとってはパントマイムを始めた時こそが“出発”だった。今後も、パントマイムというものをどう世の中に発信していったらいいか、考えながら取り組みたい」と、覚悟のほどを示した。今後の予定としては、7月7日(火)から9月16日(月・祝)まで、大阪COOL JAPAN PARK OSAKA SSホールで開催される世界初の超新感覚ライブエンターテインメント「NO BORDER」にメインMCとして出演することが決まっている。最新デジタルテクノロジーが用いられるこのステージ、「パントマイムはアナログだと思うけれど、デジタルに負けてはいられない!」と、新たな挑戦にも意欲的だ。取材・文:加藤智子
2019年06月10日最後の全体公演と銘打った『ラスト3~最終伝説~』の上演から2年。ワハハ本舗が再び動き出した。2020年に、新生「ワハハ本舗全体公演」を上演することを決めたのである。そして今年6月、そのプレイベントとして、これまでの全32回の全体公演から選んだ演目を“ベスト版”として披露することに。ワハハ本舗の作・演出家の喰始と、看板女優・久本雅美が語るその見どころには、“ワハハ本舗魂”が詰まっていた。【チケット情報はこちら】「1度終わらせて区切りをつけたかったんです。もう1度やるにしても、終わらせたものを新たに立ち上げるほうがハードルが高くなって僕自身もみんなも奮起するだろうから。そのもう一度がこんなに早くくるとは思わなかったですけどね(笑)」。喰は新たな“ワハハ本舗全体公演”への思いをまずこう語る。そして、「私たちもけしかけてたんですよ。ワハハワールドで暴れることができない寂しさが日に日に募っていたので。だから、2020年にやると聞いたときは、もう号泣でした(笑)」と久本。この前哨戦のイベントについても、「私たちが若い頃にやっていたことを観ていない方も多いと思うので、改めてワハハ本舗を知ってもらえるのがうれしい」と燃える。『ベストオブ全体公演~ショー・マスト・ゴー・オン~』と題して開催されるイベントは、<久本雅美が「観たい」「見せたい」演目たち><柴田理恵が「観たい」「見せたい」演目たち>として、実際に喰、久本、柴田が集まって選び抜いたものから、それぞれ違う内容を見せることになる。久本個人のネタからは、30年以上前の「オカルト二人羽織」に、2011年当時は早すぎた「フレディ・マーキュリー」が登場。「今回はみなさんがご存知だと思うので、またヒゲ生やして胸毛つけて、再チャレンジしますよ(笑)」と思い入れも強い。柴田のネタでは、久本絶賛の「一人ミュージカル忠臣蔵」が披露される予定。副題の通り、まさしくショー・マスト・ゴー・オンで続いていくワハハ本舗。その魅力は、「結成当初から、60歳になってもケツ出していたいよねと言ってたので、いよいよ念願が叶います」という久本の言葉に表れている。公演は6月11日(火)から16日(日)まで、東京・シアターサンモールにて。取材・文:大内弓子
2019年04月24日これは落語なのか、演劇なのか――。昨年の『志らくひとり会』が文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞した立川志らく。その続編にあたる新作落語「不幸の家族」を上演するのが、4月22日に本多劇場で開幕した『志らくひとり舞台』だ。2016年に自身の劇団で上演したものを、落語版としてひとりで演じる。まず「志らく 半生を語る」の語りで幕を開ける。次いで始まった「不幸の家族」は、2025年の大三次世界大戦突入寸前の日本が舞台。かつて海上自衛隊で親友であり、恋敵でもあった男ふたりが、18年ぶりに再会することになる。心躍らせいそいそと準備するくだりは、いかにも落語的。はりきりすぎてちょっとドジをしたり、家族との少しズレた日常会話などに、思わず吹き出してしまう。社会風刺や、落語家に対する毒舌も痛快。志らくの得意な映画ネタも満載で、有名映画たちにツッコミを入れていく。映画を観ていなくてもネタが楽しめる気配りも忘れない。時事ネタも織り交ぜ、教養と遊び心たっぷりに会話が展開する。男は娘や息子も巻き込んで再会の準備を進めるが、そのうちに、思いもよらなかった事実が明らかになってくる……。上演時間1時間。男たちの単純な再会話かと思いきや、男同士の友情、夫婦の形、親子の縁、家族の愛情など、さまざまな人間関係が複雑に重なっていく。前半に散りばめられた伏線が、細かいネタにいたるまで丁寧に回収されるうち、なぜか笑っていたのに泣かされている。そこには、人は迫りくる戦争よりも、目の前のちょっとした出来事が重要だという風刺も効いている。がしかし、とても温かい作品だ。演劇作品を落語にしたことで、全役をたったひとりで演じる。しかし、照明も衣装も変わらず高座のみがあるステージには、ふたりの初老の男と、その家族たちの表情豊かな姿が見えた。落語を聞いていたつもりが、いつの間にか1本の小さくも壮大な演劇を観た気分になる。それは古典の技術と経験を踏まえ、試行錯誤の末にたどりついた志らくの新作落語(現代落語)が成せる技だろう。そこには、ひとり芸の要素がふんだんに詰まっていた。これは落語か演劇か。語り、コント、マイム、音楽などを盛り込み、ジャンルを越えたひとり舞台の最高峰を「ひとり話芸の元祖であり極みである落語」(立川志らく)で表現する。上演は23日(火)19時の回が最後。当日券は開演1時間前より劇場受付にて発売。また、チケットぴあでは「立川志らく独演会」等出演公演も販売中。取材:河野桃子
2019年04月23日温泉につかっているような多幸感のある鶴瓶噺は、観客に緊張感を与えない。ある日のライブでは「寝てていいよ」とさえ本人が言うほどの自由奔放さ。そんな鶴瓶噺のライブでは、選ばれるツッコミの言葉も自由で独特だ。ある後輩落語家に対して独特なツッコミの言葉を選んだそのココロから話を聞いた。【チケット情報はこちら】「長野に向かう電車の中で偶然会った人が“松喬さんって知ってますか?”と聞いてきたんですね。うちの後輩で、七代目笑福亭松喬という落語家ですと答えたら“今度、松喬さんの息子さんとうちの娘が結婚するんですよ”って。えぇっ!?て。そんな偶然、うれしいし驚くじゃないですか。それで、別の機会に松喬本人と会った時にその話をしたら、“あぁ、そうですか”ぐらいの薄っすい反応で、一切会話が弾まなくて。松喬はええやつです。落語もめちゃくちゃおもしろい。でもね、鶴瓶噺のライブではこうツッコまざるをえなかった。“ワクワクせぇや!”って(笑)」鶴瓶噺の原点は、「高校時代のツレとの雑談」。“青春っぽい”そのツッコミにも会場は大爆笑だったが、鶴瓶噺にまったくないのが“大御所っぽさ”。鶴瓶の口癖のひとつでもある「そんなんどうでもいい」が、そのことを代弁している。「まわりが気を使ってくれて、振り返ったらぎょうさん僕を見送ってくれるとか……そんなんどうでもいいんです。外で寒いのにずっと頭下げて見送ってくれるんですけど、全然うれしくなくて、だったら、うちのマネージャーみたいに接してもらえたほうがうれしくて。この間もね、NHKのアナウンサーの女の子に、僕のことを“痩せたでしょ?”と説明してくれていたんです。映画の役作りで8kgぐらい落としましたから。マネージャーは“昔みたいに紐パンをはかなくなりました”って。いや、言わんとしてることはわかる。スウェットのパンツとかってゴムじゃなくて紐でウエストを調整するやつもあるでしょ。でも、それを聞いた女の子は例のパンツだと思うじゃないですか。実際、“え?紐パンだったんですか?”ってすっごい驚かれて。違う違うと(笑)」鶴瓶噺には一切の大御所感がなく、むしろ男子校ノリの青春感が強い。語り部本人は芸能界の大御所のひとりだし、鶴瓶噺の歴史だけでも50年近くあることを考えるとちょっと脅威的ですらあるが、当の本人は「不思議なんやけど、なんで初対面の人が財産分与の話をしてくるんやろ?」と雑談を続けるのだった。「太田胃散 PRESENTS TSURUBE BANASHI2019」は4月10日(水)から14日(日)まで、大阪・サンケイホールブリーゼ、4月17日(水)から21日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演。チケットの一般発売は3月16日(土)午前10時より。取材・文:唐澤和也
2019年03月11日今年で噺家生活25周年を迎える桂吉弥、桂春蝶、桂かい枝の落語会『くしかつの会』が3月20日(水)、大阪・ABCホールで開催される。公演に向けて、吉弥、かい枝のふたりが意気込みを語った。「吉弥・春蝶・かい枝 くしかつの会」チケット情報1994年、桂吉朝に入門した吉弥、三代目桂春團治に入門した春蝶、五代目桂文枝に入門したかい枝。師匠は違えど、同期として互いを意識し、刺激し合いながら切磋琢磨してきた。「22年ほど前、本当に仕事がないときに、かい枝さんとふたりでタウンページを開いて、当時住んでいた尼崎のお寺に、“あ”から順番に“落語会しませんか?”って電話してたんですよ(笑)。だから、今こんな大きな会場で、しかも昼夜2回やらせていただけるようになったのが本当に夢のようです。それぞれみんな力をつけてきて、この3人で真剣勝負ができるというのがすごくうれしい。楽しみながらやりたいなと思います」と、かつてを思い返しながら語る吉弥。かい枝も「私なんて、一時は吉弥さんの新聞記事を切り抜いて見えるところに貼って、“負けんとこう!”と自分を鼓舞してました。それくらい意識をする人たちで、こうやって刺激的な同期と一緒にできるのがうれしい。『くしかつの会』は前座さんがいなくて、3人だけしか出ません。順番も当日抽選で決めるので、そういう意味での恐怖感がありますし、他のふたりがどんな感じでやるのか、ちょっとヒリヒリするような緊張感もありますね」と、自身にとって特別な会であることを語る。今年は吉弥が『不動坊』、春蝶が『約束の海 エルトゥールル号物語』、かい枝が『どうらんの幸助』を口演する。ネタ選びについては「今回は、あほらしい噺というか、冬の風情と、“ハメモノ”(鳴り物)が入って、という大阪らしいネタじゃないかなと思って、それを皆さんと共有したいなと選びました」と吉弥。一方のかい枝は「『どうらんの幸助』は笑いが多い噺で、落語としては本当によくできている」と自身のネタについて語り、「春蝶さんの『エルトゥールル号物語』がしんみりするような“情”の噺で、吉弥さんはハメモノが入った風情のある噺なので、私はワーッと笑っていただく感じに持っていけたらなぁと思っております。3人それぞれ、違った味わいを楽しんでいただけるんじゃないかなと思います」と、3人3様のネタであることをアピール。「今後の上方落語を引っ張っていけるような存在になりたい」という思いも込めて続ける『くしかつの会』。「僕たちは、松鶴、米朝、文枝、春團治師匠という“四天王”と呼ばれる方々のエッセンスをギリギリ最後にいただいた世代。そこから、僕らなりの上方落語をしていけたら」と吉弥。これからの上方落語界を牽引していくであろう3人の話芸をぜひ劇場で。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2019年03月08日2019年2月、サイレントコメディーデュオ・が~まるちょばの“赤モヒカン”ことケッチ!が突然の脱退を表明。その報せはファンの間に大きな衝撃を与えた。ケッチ!は3月いっぱいでが~まるちょばの活動を終え、4月からは新たなパフォーマンスを学ぶためヨーロッパにわたる。デュオというスタイルでパントマイムの可能性を広げ、後進たちに新たな道筋を作ってきたふたり。最後は大阪・サンケイホールブリーゼに立つ。「That’s が~まるちょば show in 大阪 FINAL」チケット情報『That’s が~まるちょば show in 大阪 FINAL』と題して送る、ケッチ!と“黄モヒカン”のHIRO-PONふたりでのラストステージ。だが、合同取材に応じたふたりは口をそろえて「最後だからといって特にスペシャルな感じではない」と語った。「このライブでも、ふたりでいつもやってきたことを、いいものをお見せしたいと思います。大阪のノリは日本の中でも外国みたいなところがあるので、楽しみです」とケッチ!、笑顔を見せる。「関西テレビさんのご厚意で2日間、公演ができることになりました。この機会を与えてもらって、僕たちもありがたいと思っています。僕としてはどのステージも一期一会。僕たちは1回1回のステージを完全燃焼、今を生きています!」とHIRO-PON。ただ、今回はいつも以上に観客に絡む場面が多いとのことで、「パントマイムを見せる『が~まるちょばショー』とお客様頼みという組み合わせは、大阪では初めてかもしれません」(ケッチ!)。元々フリーで活動していたふたりが出会い、が~まるちょばを結成して今年で19年。国内はもとより海外でも公演を重ねてきた。この月日を振り返ってもらうと「先輩方が“が~まるちょばのおかげでパントマイムをする人口が増えたと思う”とおっしゃってくれたのがうれしかった」とケッチ!。海外ではモヒカン・スーツがパントマイムの代名詞にもなったという。「これだけ海外で受け入れてもらえた日本人二人組も少ないのではないかと思う」とHIRO-PON、誇らしげな表情を見せた。なお、4月以降はHIRO-PONのみが~まるちょばとして活動する。『That’s が~まるちょば show in 大阪 FINAL』は3月30日(土)・31日(日)にサンケイホールブリーゼで上演。チケット発売中。取材・文:岩本和子
2019年03月06日