今年で61回目を迎えるベルリン国際映画祭のパノラマ部門に日本映画から『白夜行』が出品されることが決定した。原作は直木賞作家・東野圭吾による、累計200万部を超える同名ミステリー。被疑者死亡によって、決定的な証拠がないままに一応の解決を見た殺人事件から十数年。成長した被疑者の娘と被害者の息子の周辺で続発する不可解な事件と、その裏に隠された壮絶な秘密が描き出される。堀北真希がこれまでにない“悪女”を、人気沸騰中の高良健吾が深い“闇”を抱えた青年を演じるとあって、製作決定当初から話題を集めてきた本作が世界の舞台で観客の目に触れることに。カンヌ、ヴェネチアと並ぶ世界三大映画祭のひとつに数えられるベルリン国際映画祭。昨年は寺島しのぶが『CATERPILLARキャタピラー』での演技で最優秀主演女優賞を獲得し、大きな話題を呼んだ。今回、『白夜行』が出品されるパノラマ部門はコンペティション部門ではないが、今後の活躍が期待される監督の作品が多く上映されるなど、質の高い作品が集まることでも知られる。日本からは昨年、『パレード』が同部門に出品されて国際批評家連盟賞を受賞している。いまだ全ての出品作が出揃ってはいないが、同部門には2,500もの作品の中から約50本が選ばれる予定。深川栄洋監督は今回の出品決定について「ベルリンからの手紙を見せていただき、自分でも不思議に思うほど心が躍りました。喜んでくれる仲間の顔が浮かんで目頭が熱くなりました。映画祭と、この映画を一緒に戦って作った仲間たちに感謝します」と喜びのコメントを発表。堀北さんも「このたび『白夜行』がベルリン映画祭に選出されたこと、大変感激しています!この作品はいままでで一番こだわりを持って挑んだ作品でした。世界の方々にもこの『白夜行』に込めた私たちの思いを受けとってもらえたら嬉しいです」とのコメントを寄せてくれた。ベルリン国際映画祭は2月10日(現地時間)より開催。『白夜行』は1月29日(土)より全国にて公開。■関連作品:白夜行 2011年1月29日より全国にて公開© 2011 映画「白夜行」製作委員会■関連記事:堀北真希&高良健吾、観客だます“共犯者”に…『白夜行』新春ヒット祈願2011年ブレイク期待の俳優・女優No.1は高良健吾&桜庭ななみ!シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第9回) 来年ブレイクしそうな俳優は?高良健吾、今度は鈴木杏とW主演!中上健次の最後の長編『軽蔑』が映画化【TIFFレポート】堀北真希初の究極悪女役「すごく悩みました」
2011年01月14日2010年に日本で公開された“ベスト・ムービー”は?CS映画専門チャンネル「ムービープラス」、全国にシネマコンプレックスを展開する「ユナイテッド・シネマ」、そして映画情報サイト「シネマカフェ」の主催で、一般投票により2010年のベストを選出する「ベスト・オブ・ベスト・アワード 2010」。このアワードの開催に合わせて、ムービープラスでは小堺一機をナビゲーターに迎え、2010年の映画界をふり返る特別番組「小堺一機と選ぶ ベスト・オブ・ベスト 2010」を12月に放送する。11月22日(月)、ナビゲーターの小堺さん、そして映画評論家の渡辺祥子さんとユナイテッド・シネマの田部井氏をゲストに本番組の収録が行われた。2010年をふり返る上で、まず話題に上がったのが今年のアカデミー賞。女流監督としてオスカーを獲得したキャサリン・ビグローの『ハート・ロッカー』について、さらには作品賞の候補作が5作品から10作品に拡大されたことなどについてコメントが。特に興行の側の人間である田部井さんからは賞と興行の関係、ヒットする映画と評価される映画について鋭く、興味深い指摘がなされた。そこには興行者としての苦悩も…?続いては今年の映画界を席巻した“3D映画”が俎上に。『アリス・イン・ワンダーランド』、『トイ・ストーリー3』といった作品が100億円を超えるメガヒットを記録したが、番組では最新の3D技術についての解説。特に、歴史的大ヒット作となった『アバター』におけるジェームズ・キャメロンの、いち早く最新技術を取り入れるセンスに関しては小堺さん、渡辺さん、田部井さんから絶賛の声が寄せられた。さらに、話題は日本映画へ。寺島しのぶ(『CATERPILLARキャタピラーー』)や深津絵里(『悪人』)といった女優陣が海外の映画祭での受賞するなど、日本映画、日本人俳優の活躍が目立ったが、海外での邦画の受け入れられ方の変化や傾向について鋭い指摘が飛び出す。また、『告白』や『悪人』といった、決して明るく後味がよいとは言えない作品が、見事にヒットを飛ばした背景について“時代の空気”をキーワードに興味深い論考がそれぞれの視点でなされる。日本映画といえば、今年は時代劇が数多く公開されるが、田部井さんは「映画の興行を支える中高年やシニア層のニーズに応えた結果」と興行的な視点で解析。一方、渡辺さんからは「時代劇(の俳優)は腰が入ってないとサマにならない!足長の現代の俳優では…」と厳しい指摘も。小堺さんからはかつて時代劇が全盛を誇った頃の思い出を絡めたトークが。ちなみに今回集まったお三方が2010年、最も印象に残った映画はというと…?渡辺さんは「ミステリーとしてもラブロマンスとしても素晴らしく、さらに意外なオチもある」と『瞳の奥の秘密』を絶賛。田部井さんは「意外性」を強調しオスカー候補にもなった『第9地区』をイチオシ。そして、小堺さんが選んだのは『トイ・ストーリー3』。小堺さん曰く「物を大切にしないお子様にはぜひ!」。さらに番組では3人が楽しみにしているという来年“観るべき”話題作についてのトークも!小堺さんの巧みなナビゲートのもと、評論家、興行者それぞれの視点で現在の映画業界や作品作りの傾向など、濃い内容のトークが満載となっている。収録後に報道陣の取材に応じてくれた小堺さん。いまでも「1日1本は何かしら観ている」というほどの映画好きだが、最近では、自宅に3Dで映画を観られる設備を導入すべきか否か、悩んでいるとか…。「うちにはレーザーディスクもいっぱいあって『どーしてくれるんだよ!』という感じ。DVDが出始めたのでDVDを買ったらそれもすごい数になってるけど、今度はブルーレイ…。ホントに『どーしてくれるんだ!』と(笑)。だから3Dには慎重になってます」とのこと。ただ、自宅もいいがやっぱり映画は映画館で観るのが一番のようで「知らない人と時間を共有できるのがいい。『アバター』を観に行って、最初に3Dメガネを着けて、飛び出す映像を目にしたとき、劇場全体が『ウワァー』となったんです」と目を輝かせながら映画館で鑑賞する楽しさを改めて語ってくれた。「小堺一機と選ぶ ベスト・オブ・ベスト 2010」は12月11日(土)8:45よりムービープラスにて放送。「ベスト・オブ・ベスト」投票は12月1日(水)より、シネマカフェ内の特設サイトおよび全国のユナイテッド・シネマの投票箱、さらにau携帯電話のポータルサイト「au one」上の「au one映画」にてモバイルでも受け付ける。投票の結果は2011年1月21日(金)シネマカフェおよびムービープラスの特別番組で発表。■関連作品:ハート・ロッカー 2010年3月6日よりTOHOシネマズ みゆき座、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開© 2008 Hurt Locker, LLC. All Rights Reserved.アリス・イン・ワンダーランド 2010年4月17日より全国にて公開© Disney Enterprises, Inc. All rights reserved.アバター 2009年12月23日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】『ダイ・ハード5』公開が決定 『バットマン』も再始動第14回ハリウッド・アワード授賞式に新旧ハリウッド・スターが勢ぞろい!トム・クルーズ、シリーズ第4作『M:i:IV』がプラハでクランクイン『アバター』<特別編>日本最速&最後のIMAX3D版試写会に50組100名様ご招待清水崇がウサギの被り物でヴェネチア参上!3D映画部門は『アバター』&『ヒック』
2010年11月23日宮崎あおいと大竹しのぶが、12日夕方、第15回釜山国際映画祭に登場、海雲台ビーチの野外ステージで舞台挨拶を行った。呉美保監督の『オカンの嫁入り』で親子を演じた2人が仲良くブーツ姿で登場すると、会場の女性ファンから「あおいちゃん、ステキ!」、「大竹さん、カワイイ!」と日本語で歓声があがった。2人とも釜山映画祭への参加は初めて。宮崎さんは、『初雪の恋〜ヴァージン・スノー』でイ・ジュンギと共演した際に覚えたという韓国語で「アンニョンハセヨ」と挨拶し、「韓国へは10年位前に家族旅行で来たことがありますが、映画祭で来る方がもっと楽しいです。みなさんが温かく迎えてくれて嬉しい」と笑顔を見せた。大竹さんは「映画を愛する人が作った映画が、海を越えて観てもらえることが、とても嬉しいです」と語った。大竹さんは、映画祭主催のガレージパーティにも出席、映画人との交流を楽しみ、「もっと映画をやりたくなりました」と決意を新たにしていた。(photo/text:Ayako Ishizu)■関連作品:オカンの嫁入り 2010年9月4日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010『オカンの嫁入り』製作委員会第15回釜山国際映画祭 [映画祭]■関連記事:釜山の観客の熱烈歓迎に深津絵里「クセになりそう!」安藤政信が釜山登場!米中合作アクションコメディで天才料理人を熱演桐谷健太の熱弁にも大竹しのぶ&宮崎あおい「慣れてますので」とビミョーな距離『オカンの嫁入り』呉美保監督が明かす、大竹しのぶと宮崎あおいが母子になった瞬間宮崎あおい×大竹しのぶ初共演作『オカンの嫁入り』試写会に20組40名様ご招待
2010年10月13日映画『オカンの嫁入り』が9月4日(土)に公開を迎え、主演の宮崎あおい、大竹しのぶ、桐谷健太、國村隼、呉美保監督が都内劇場で舞台挨拶を行った。大竹さんは劇中、白無垢の花嫁姿を披露しているが、感想を尋ねると「最初は恥ずかしくて恥ずかしくて、『着たくない!着たくない!』って言ってたんですが、実際に着てみたら、だんだん無口になって、喜びが満ちあふれてきました」とニッコリ。宮崎さんもそのシーンをふり返り「かわいらしくて幸せな気持ちになりました」と笑みを浮かべたその大竹さん演じる陽子の15歳年下の婚約者を演じた桐谷さん。同日公開の『BECK ベック』の舞台挨拶との“ハシゴ”となったが元気はつらつ!「健ちゃーん!」という歓声に「僕もそんなことを言っていただけるようになったんですねぇ」としみじみ。大竹さんとの共演については「僕はずっと好きでですからね、出会う前から。役だけでなく、プライベートでも仲良くやってるんですよ」と熱愛宣言?國村さん曰く「現場もこんな感じ。桐谷くんがひとりで振っては自爆して。ボケがボケにならなくて」と優しい口調で厳しいダメ出し。それでもめげずに桐谷さんは15歳の“年の差婚”について「イイ女は何歳になってもイイ女。語弊があるかもしれませんが、幼稚園児だろうがばあちゃんだろうがイイ女はイイ女!年齢なんて数字です」と堂々と持論を展開するも、会場はシーン。客席からの「頑張って!」という声援に苦笑いを浮かべていた。ちなみにそんな桐谷さんについて大竹さんはひと言、「慣れてますから」。宮崎さんも「私もしのぶさんと同じです」とあっさり。会場は笑いに包まれた。『オカンの嫁入り』は角川シネマ新宿ほか全国にて公開中。映画『オカンの嫁入り』“迷い犬ハチを探せ”キャンペーン■関連作品:オカンの嫁入り 2010年9月4日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010『オカンの嫁入り』製作委員会■関連記事:『オカンの嫁入り』呉美保監督が明かす、大竹しのぶと宮崎あおいが母子になった瞬間宮崎あおい×大竹しのぶ初共演作『オカンの嫁入り』試写会に20組40名様ご招待桐谷健太の熱烈求愛に大竹しのぶ引き気味?宮崎あおいからは「たまに会うと良い人」宮崎あおいと大竹しのぶが母娘役で初共演!『オカンの嫁入り』撮影快調
2010年09月04日母はまさに“太陽”のような陽子で、娘は静かな、しかし凛とした強さを持つ月子。演じるのは本作で初共演、共に日本映画を代表する女優・大竹しのぶと宮崎あおい。突如、ひと回り以上も年下の男との婚約を宣言した陽子とそんな母の身勝手な決断に戸惑い、反発する月子。正反対なようでそっくりなこの母子と、母の婚約者と大家と医者と犬が、古きよき香りを残す西のとある町で騒がしく、温かく、少し切ないドラマを織りなす。『オカンの嫁入り』の監督を務めたのはデビュー作『酒井家のしあわせ』が各方面で激賞された呉美保。どのように練り上げ、どのように動かし、どのようにこの珠玉の“家族”を紡ぎ出していったのか?公開前に話を聞いた。原作は咲乃月音の小説。監督は脚本にする段階から本作に携わっているが、監督を惹きつけたのは原作中の「二度と戻らへん時間をつないで誰もが生きてく」というフレーズだった。「私自身、当たり前だな、と思っている日常というのは、すぐ先でそうではなくなってしまうかもしれない、ということを常に考えていまして。その意味で通じるものがあるな、と思い原作を読んで(監督を)引き受けることを決めました」。そしてもうひとつ、デビュー作『酒井家のしあわせ』にも見られる“家族”というテーマ。「家族の話をずっと作り続けていきたい」と監督は語るが、その根底にはこんな思いが。「私自身、すごく幸せな家族を持ってるな、という実感はあります。いま、33歳なんですが、年を経るごとにうちの“家族の形”というのが自分の中ではっきりしてきたというのがあって。でももちろん、ひとつとして同じ家族というのはなくて、世界にいる人間の数だけ違う家族がある。そう思ったときに、そのひとつひとつの家族の形というのがすごく気になっちゃって(笑)。たとえば、私の性格も、やっぱり育ってきた家庭の環境にすごく影響受けています。そういう部分も含めて自分のだけでなく、いろんな家族の環境が気になって、それを考えるためにいろんな家族を描いていきたいんだなって思います」。劇中で描かれるのは陽子と月子の母子家庭。とはいえ、この2人だけでなく、血の繋がりのない周囲の人間が、まさに“家族同然”に母子の世界に入り込んでくるのが面白いところ。ここであえて、母娘よりも先に聞いてみたいのが桐谷健太演じる母の婚約者・研二と、月子がかわいがっている犬(黒パグ)のハチについて。研二は出番こそは多いが決してセリフが多いわけでもなく、ハチにいたっては犬である…が!なぜか観る者を惹きつけてやまない魅力と存在感を放つのだ。「原作では、研二の生い立ちや不幸な人生経験の描写がかなりあって、それを乗り越えた上での強さ、愛を持った人物として描かれているんです。脚本にする上で、彼の人間性を変えずに、いかにシンプルにするかはひとつの課題でした。桐谷さんから最初『原作を読んだ方がいいですか?読まない方がいいですか?』と質問がありました。私は『どちらでもいいです』と答えたんですが、そのやりとりだけで、この人とやって間違いないって思いました。映画を観た男性に『研二、いいですね』ってよく言われます。“不器用だけど守るべきものを守りたい”というところに男性の理想があるんでしょうか(笑)?かっこつけてない、本当の強さみたいなものを感じるのかもしれないですね。作り終えてから、男性陣にそう言われて初めて見えてくるものがあって面白いです。桐谷さんの目が輝いていて――ギラギラとキラキラの間、うさん臭さと純粋さの間を表現できるのはきっとあの人だけですね(笑)」。そして犬のハチ。スタッフの奔走により黒いパグが現地で“調達”された。犬種を黒いパグにしたのは監督の直接のリクエストだったとか。「脚本の段階で、ブチャイクだけど(苦笑)、愛しいところがこの母と娘にはあるな、と。それを表しているのがハチなんですね。それから、人と人の“距離”というのがこの物語の中で私が描きたかった部分でもあって。例えば、ハチが病気で倒れるシーン。当たり前だったことがそうでなくなる瞬間を月子も気づかされるわけです。それを研二が助けてくれることで、2人の距離感が変わっていく。その大切な瞬間で、ハチは本当に素晴らしい演技をしてくれました」。では、いよいよ母と娘、大竹しのぶと宮崎あおいについて。彼女たちのやりとりが監督の想像を超える――そんな瞬間が確かにあったと監督は明かす。それはラスト近く、白無垢の陽子と月子が向かい合うシーン。「あのとき撮影を進めながら、なぜか『私はここにいていいのかな?』と思えてきて、申し訳ないような気持ちになったんです。この感覚、何なんだろう?って思ったんですが、そのとき、2人は役を超えて本物の母と娘になっていたんですね。だから、母と娘が白無垢で向かい合うような大切な場に、部外者の私がいてすみません…という気持ちになったんです。あのときは嬉しくて…申し訳なくて(笑)」。母と娘と母の婚約者と大家と医者と犬と……積み重ねられた家族の物語を体感してほしい。映画『オカンの嫁入り』“迷い犬ハチを探せ”キャンペーン各サイトをめぐってキーワードを集め、スペシャルプレゼントをゲットしよう!シネマカフェのキーワードは「一」※詳しくは公式サイトキャンペーンページへ!■関連作品:オカンの嫁入り 2010年9月4日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010『オカンの嫁入り』製作委員会■関連記事:宮崎あおい×大竹しのぶ初共演作『オカンの嫁入り』試写会に20組40名様ご招待桐谷健太の熱烈求愛に大竹しのぶ引き気味?宮崎あおいからは「たまに会うと良い人」宮崎あおいと大竹しのぶが母娘役で初共演!『オカンの嫁入り』撮影快調
2010年09月01日人気脚本家、宮藤官九郎が手掛ける7月期TBS系ドラマ「うぬぼれ刑事」の制作現場会見が6月29日(火)、横浜市青葉区の緑山スタジオで行われ、主演する人気グループTOKIOの長瀬智也、共演の生田斗真、ヒロイン役の中島美嘉らが出席した。クドカンが刑事ドラマにオリジナルで初挑戦。長瀬さん扮する超恋愛体質で、容疑者に毎回、恋をして「結婚してくれるなら逮捕しない」とプロポーズしてはフラれる“うぬぼれ刑事”と、彼を取り巻く個性的なうぬぼれ男たちのおかしな毎日を描く、サスペンスあり恋愛ありのコメディ。長瀬さんと連続ドラマ初共演を果たす生田さんは、うぬぼれ刑事の行きつけのバーに集う男5人組“うぬぼれ5”のひとり、うぬぼれ俳優・本城役で「僕はすっごいヘタクソな田村正和さんみたいな芝居をしています」。同じくうぬぼれ5のひとりでうぬぼれカメラマン役のお笑いコンビ「おぎやはぎ」の矢作兼は「衣裳合わせで、女にモテたい男が着そうな服をいろいろ着せてもらったんですけど、ほとんど僕の私服みたいだった。台詞も僕が言ったことあるんだけど、みたいなのばっかり。僕、うぬぼれてました、スミマセン」となぜか反省。関係者と取材陣の笑いを誘った。宮藤さんは、うぬぼれをテーマにしたことについて「最近、最初から『どうせ俺なんて…』っていう人が多いけど、うぬぼれていた方が楽しいと思うし、見ていてもうぬぼれている人の方が面白い。楽しいものが作りたいなぁと思って」と説明。西田敏行の「リスクの大きいドラマですけど、成功したら我々に素晴らしい喜びが返ってくる」という言葉に、肩を揺らして笑っていた。「うぬぼれ刑事」は7月9日(金)より放送開始(金曜22:00〜放送/初回は15分拡大)。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:人間失格 2010年2月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開■関連記事:ベルリン“銀”の快挙の寺島しのぶ、大阪で会見「ヤッター!」生田斗真歓喜の涙「幸せです」初主演映画『人間失格』初日前夜に舞台挨拶『人間失格』荒戸監督インタビュー「生田斗真?50年に一人だね、モノが違うのさ」押切もえ、いまもだめんず好き!?「太宰大好き。守ってあげたい」生田斗真との絡みに豪華女優陣から黄色い声、続々? 『人間失格』完成披露
2010年06月29日これはやはり、映画祭関連イベントならではの顔ぶれ。会場に足を踏み入れて、そう思ったのがフランス映画祭期間中の3月20日(土)に、原宿の「Audi Forum Tokyo」で開催されたパーティです。足を踏み入れると、パッと目をひいたのは立ち姿の素敵な男性。暗がりの中で目を凝らすと、その正体は大森南朋氏。なるほど、シルエットだけでもカッコいいはずですね。先日、ベルリン国際映画祭で主演女優賞に輝いた寺島しのぶ女史の姿も見えるし、『007/慰めの報酬』、『潜水服は蝶の夢を見る』で強い印象を残したマチュー・アマルリック、新作『エンター・ザ・ボイド』がまたしても映画界を震撼させたギャスパー・ノエ監督、『オーケストラ!』がフランス国内外で高い評価を得ているラデュ・ミヘイレアニュ監督らの姿も。インタビューで覗かせる仕事モードの表情とはちょっと違った、カジュアルなムードでひとときを楽しんでいました。パーティの冒頭には、フランス映画祭団長を務めたジェーン・バーキンの姿も。いつも肩の力が抜けている彼女は、ナチュラルなメイクと、なかなか出来そうで出来ない無造作ヘア、華やかなシルバースパンコールのトップス×ブラックのパンツで登場。一緒に乾杯の音頭をとった寺島女史の白いジャケットも、ダークな服が目立つパーティ会場でひときわ輝いていました。それにしても、400人が集ったというこのパーティ、決して内輪の会ではないのだけれど、映画人のみなさんの表情がなぜか柔らかい。その理由を考えてみると、どうやら客層に関係がありそう。この日集まったのは、映画関係者よりもファッション関係の方がちょっと多めの様子。映画周辺のプレス関係者があまりいなかったせいで、日本の映画関係者も仕事を忘れ、普段着の表情でいられたのかもしれません。日仏の映画人がシャンパン片手に交流したことで、また素晴らしい作品が生まれることになれば映画ファンとしても嬉しいですね。今年のフランス映画祭の主要テーマである「パッション」と、アウディのコーポレートカラーである「赤」をかけて、「Red Passion」をテーマに据えたこの催し、その名も「Audi Red Passion Party」。会場となったフォーラムの2Fは、赤が基調でとってもパッショネイト。会場に展示された真っ赤なスーパーカー「R8」も、車好きにはたまらない演出だったことでしょう。映画の話はもちろん、車の話にも花が咲き、いつまでも賑わっていた夜でした。(text:June Makiguchi)■関連作品:オーケストラ! 2010年4月17日よりBunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開© 2009 Focus Features LLC. All Rights Reservedエンター・ザ・ボイド 2010年5月15日よりシネマスクエアとうきゅうほかにて公開■関連記事:クラシックが奇跡を起こす!『オーケストラ!』五線譜ノートを5名様プレゼントジェーン・バーキン仏語は「セルジュの腕の中で学んだ」フランス映画祭開幕さあ、人生を奏でよう!『オーケストラ!』試写会に10組20名様ご招待ギャスパー・ノエのTOKYOを舞台にした衝撃作『エンター・ザ・ボイド』予告編初公開
2010年04月07日日本国内の観客動員が130万人を突破し、大ヒット上映中の山田洋次監督×吉永小百合主演によるホームドラマ『おとうと』(英題:About Her Brother)が、2月20日(現地時間)、第60回ベルリン国際映画祭のクロージング・フィルムとして上映された。およそ1,600席の会場がたちまち満席となる中、現地に駆けつけた山田監督と吉永さんによる舞台挨拶が行われ、2人は盛大な拍手に迎えられた。2002年の『たそがれ清兵衛』以来、全ての監督作品を同映画祭コンペティション部門に出品している山田監督。今回は栄えあるクロージング作品に選ばれたのに加え、特別功労賞(Berlinale Kamera ベルリナーレ・カメラ)が贈られた。同賞の日本人受賞は市川崑監督(’00)、熊井啓監督(’01)についで3人目の快挙。授賞式では、同映画祭ディレクターのディーター・コスリック氏から「彼は小津安二郎の伝統にのっとって映画を作っており、大きな愛情をもって日本に住んでいる人々を描き続けています。我々ベルリン国際映画祭は、彼をここにお迎えすることを光栄に思っています」と“日本の名監督”として紹介された。登壇した山田監督は、本作が先輩・市川崑監督に捧げたオマージュであることに触れながら、「いまは亡き市川崑監督に『市川さん、僕もあなたと同じ賞をもらいました』と報告したいと思います。僕を選んでくださったディーター・コスリックさん並びにベルリナーレ関係者のみなさまに心からお礼を申し上げます。そして会場のみなさん、どうもありがとう。ダンケシェン」と感謝を述べた。また、舞台挨拶に登壇した吉永さんは、「ベルリンのみなさま、こんばんは。このベルリン映画祭に3度目の参加をすることができまして、私はとても幸せです。2年前に『母べえ』を上映したときのみなさまの温かい拍手が、いまでも私の胸の中に残っています。『おとうと』もまたみなさまの心に残る映画になることを願っています。ありがとうございました」とドイツ語でスピーチし、喝采を浴びた。その後、囲み取材に臨んだ監督は、一日をふり返り「この受賞は一生の記念になると思います。長年の功労に対して贈られたのであれば、みんなでもらった賞だと思う。寺島さんの銀熊も良かった。決して順調とは言えない日本映画だが、こんなことを機会に日本の時代が来たらいいなあと、今日の拍手を聞いて思いました」とコメント。さらに、吉永さんも「山田監督の授賞式に立ち会えただけで嬉しい。私にとって市川崑監督は“師匠”、山田監督は“先生”。この尊敬するお二人が同じ賞を受賞されたことは、生徒として、弟子として、とても嬉しいことです。きっと、市川監督も天国で喜んでおられると思います」と2人の巨匠のミューズとして喜びを語った。なお、本作を観終わった観客からは「笑えて最後は涙があふれてきた。素晴らしい作品だった!」、「心を深く揺さぶられた」といった感動の声が寄せられ、国境を越えて広く受け入れられたことを証明、文字通り有終の美を飾った。『おとうと』は全国にて公開中。photo:KAZUKO WAKAYAMA■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]■関連記事:日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭ベルリン“銀”の快挙の寺島しのぶ、大阪で会見「ヤッター!」藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々レオナルド・ディカプリオ、ベルリンでのワールド・プレミアで「ダンケシェーン!」
2010年02月22日20日(現地時間)、第60回ベルリン国際映画祭を締めくくる各賞が発表され、若松孝二監督の『キャタピラー CATERPILLAR』主演の寺島しのぶが銀熊最優秀女優賞を受賞した。日本人女優の受賞は1964年の左幸子、75年の田中絹代に次ぐ35年ぶり、3人目の快挙となった。第2次世界大戦の戦地で負傷し、四肢を失って帰還した夫に尽す妻を演じた寺島は、映画祭での上映時は着物姿でレッド・カーペットを歩いたが、その後は舞台「血は立ったまま眠っている」出演のために帰国。吉報は公演地・大阪で知ったという。クロージング・セレモニーでは若松監督が代わりにトロフィーを受け取り、寺島さんからメールで託された受賞コメントを携帯電話を片手に代読。「いつか全ての国の戦争がなくなることを祈ります。殺し合いでは何も解決しないことが伝わればいいと思います」という言葉に会場から拍手が送られた。作品賞にあたる金熊賞は、養蜂業の父と幼い息子の姿を描いたトルコ・ドイツ合作の『Honey』(原題)、銀熊最優秀男優賞はロシアの『How I Ended This Summer』(原題)のグリゴリ・ドブリギン、セルゲイ・プスケパリスの2人が受賞し、同作は芸術貢献賞も受賞。監督賞は、30数年前に起こした淫行事件の罪で現在スイスの自宅で拘束中のロマン・ポランスキーが『The ghost writer』(原題)で受賞。中国の『Apart Together』(原題)のワン・チュアンアンとナ・チンが脚本賞、ルーマニアの少年院から脱走を図ろうとする少年たちを描く『If I want to whistle, I whistle』(原題)は審査員特別賞に輝いた。今年は、特別功労賞「ベルリナーレ・カメラ」受賞の山田洋次監督の『おとうと』がクロージング作品として上映され、パノラマ部門に出品された行定勲監督の『パレード』が国際批評家連盟賞を受賞するなど、日本映画が映画祭の主役の一端を担ったと言えそうだ。(text:Yuki Tominaga)寺島しのぶに代わり銀熊賞を受け取った若松孝二監督。© REUTERS/AFLO■関連作品:第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]CATERPILLARキャタピラー 2010年8月15日より公開予定© 若松プロダクションおとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会パレード 2010年2月20日より渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国にて公開© 2010 映画『パレード』製作委員会■関連記事:山田洋次に“名匠”の称号日本発『おとうと』、ベルリン映画祭閉幕で拍手喝采ベルリン“銀”の快挙の寺島しのぶ、大阪で会見「ヤッター!」長身美人シン・ミナ熱烈メッセージと美脚2変化で“真!韓国映画祭”PR藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々
2010年02月22日第60回ベルリン国際映画祭のコンペティション出品作『キャタピラー CATERPILLAR』(若松孝二監督)で日本人として35年ぶり、3人目の最優秀女優賞(銀熊賞)を獲得した寺島しのぶが2月21日(日)、大阪・中央区のシアターBRAVA!で会見し、「ヤッター!」と喜びの声を上げた。カンヌ、ヴェネチアと並ぶ世界三大映画祭の1つとされる同映画祭で、同賞は1964年に左幸子が今村昌平監督作『にっぽん昆虫記』で、1975年に田中絹代が熊井啓監督作『サンダカン八番娼婦館望郷』で受賞している。同作は、日中戦争で手足を失い帰還した傷病兵・黒川(大西信満)とその妻(寺島さん)の姿を通じ戦争の愚かさと、それがもたらす悲しみを描くドラマ。両手足を失った夫に尽くす妻役の熱演が高く評価された。出演舞台のため大阪に滞在していた寺島さんは、20日夜(現地時間)に行われた同映画祭授賞式の発表を知った瞬間を「大阪のホテルでベルリンにいる関係者から連絡を受けて大喜びで大はしゃぎでした!」と興奮冷めやらぬ様子でふり返った。『キャタピラー』公式上映にあわせてベルリン入りしたものの、先に帰国していたため授賞式では若松監督が寺島さんのコメントを代読した。朗報を受けての緊急会見に集まった報道陣約50人を前に「正直、まだ実感がわかなかったのですが主人(フランス人アートディレクター、ローラン・グナシア氏)の関係で、世界中の方からお祝いのメールをもらい、喜んでもらって、少し実感がわいてきました。一言でいうと『ヤッター!』ですね。父(尾上菊五郎)とは話せなかったのですが、母(富司純子)とは電話で話せて『おめでとう』と言ってもらい、その電話口の向こうから弟(尾上菊之助)の『おめでとう』という声も聞こえて嬉しかったです」と笑顔で喜びを噛み締めた。同作については「最初に台本を見て素晴らしかった」と瞳を輝かせ、「監督から『(寺島の)モンペ姿が第一に浮かんだので起用した』と言われました」とエピソードも明かした。会見は、現在出演中の舞台「血は立ったまま眠っている」の大阪公演初回の開演19時を前に行われた。途中、同舞台の演出家・蜷川幸雄氏が登場し「私もひと足先に作品を見せていただきましたが素晴らしく、これは絶対賞を獲るぞ、と思った。予想が当たって嬉しいです」と祝福の言葉を贈った。『キャタピラー CATERPILLAR』は今夏公開予定。(text:Yoko Saito)■関連作品:CATERPILLARキャタピラー 2010年8月15日より公開予定© 若松プロダクション第60回ベルリン国際映画祭 [映画祭]人間失格 2010年2月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開■関連記事:山田洋次に“名匠”の称号日本発『おとうと』、ベルリン映画祭閉幕で拍手喝采日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭長身美人シン・ミナ熱烈メッセージと美脚2変化で“真!韓国映画祭”PR藤原竜也「自由にさせてくれた監督の力量」ベルリン批評家連盟賞受賞の喜び生田斗真歓喜の涙「幸せです」初主演映画『人間失格』初日前夜に舞台挨拶
2010年02月22日韓国人女優、シン・ミナが2月21日(火)、東京・スペースFS汐留で行われた「真!韓国映画祭」に出品されている主演映画『今、このままがいい』試写会で舞台挨拶に立ち、韓国インディペンデント映画を熱烈PRした。同作は対照的な性格の異父姉妹が、妹(ミナ)の父親を探す旅を通じ心を通わせていく姿を描くロードムービー。女流監督プ・ジヨンが長編デビューを飾っている。同日朝、来日したミナは「韓国映画と言えば、予算の大きい派手な大作か韓流スターが主演の作品ばかり紹介されることが多く残念です。日本もそうだと思いますが、小さい作品にもいいものがたくさんあり、今回のように紹介されることになって良かった!関心を持ってもらいたいです。この作品は韓国ではあまりたくさんの人に観られていませんが、観た方はきっと深い感動を覚える作品です」と熱のこもったメッセージ。身長1メートル68、体重46キロの抜群のプロポーションを誇り、モデルとして現在Calvin Klein Jeansの広報キャラクターも務めるミナはこの日、舞台挨拶で淡い緑の膝上20センチほどのワンピース、囲み取材時には真っ赤なショートジャケットに黒のショートパンツ姿と2変化。いずれも個性的なデザインのハイヒール靴を履きこなしたスーパー美脚で観客と取材陣を悩殺。ファッションについては「今日の靴はミュウミュウです。服はいつもシンプルなものをと心がけています」と明かした。2001年にファッション雑誌の専属モデルとしてデビューし、女優業にも進出。『火山高』などで日本を始め、国境を越えた人気を獲得してきたキャリアを築き現在、26歳。「若い頃にデビューしましたが、最近やっと認められてきたと思う。これから女優としての欲求がもっと広がっていくと思うので、新しい私をお見せしていきたい」と抱負を語った。一方、同日発表された第60回ベルリン国際映画祭の受賞結果でコンペティション部門出品作『CATERPILLAR キャタピラー』(若松孝二監督)の主演女優、寺島しのぶが最優秀女優賞を受賞したが、取材陣から寺島さんを知っている?と聞かれ「ごめんなさい、わかりません」と恐縮しきりで答える一幕もあった。同映画祭は、ローバジェットながら斬新で作家性豊かな良作を多数輩出する韓国映画の新潮流を紹介する狙いで今年からスタート。韓国の映画会社キノアイ、名古屋のミニシアター、シネマスコーレ、名古屋発の映画祭シネマコリアが配給委員会を結成し主催している。ミナの同作は出品作全4作のうちの1本。「真!韓国映画祭」は2月27日(土)よりポレポレ東中野ほか全国にて順次開催。(photo/text:Yoko Saito)「真!韓国映画祭」公式サイト■関連作品:今、このままがいいCATERPILLARキャタピラー© 若松プロダクション
2010年02月21日太宰治の分身である主人公・葉蔵のごとく、この人も相当、歪んでる。いや、正しくは還暦をとっくに過ぎて、なお尖がっている。太宰の生誕から1世紀と1年目に公開される『人間失格』の監督・荒戸源次郎のことである。何せこちらが「太宰への思い入れ」なんて聞こうものなら「そんなのないよ。ていうか特別好きじゃないね、彼の作品は」と言い放ち、「そもそもおれに感情移入なんてないからね。客観よ、客観」と言い切る。でも、その眼差し、そして俳優たちについて語る口調は不思議と温かい。さて、何をどこまで話してくれるのか?荒戸監督に話を聞いてみた。「原作は読み込むな」――。これは主演の生田斗真に監督が与えた唯一のアドバイス。その意図は?「まああんまり観念的になってもいけないんだよ、映画の現場は“具体性”だからね。じゃあ私は原作をどう捉えたかって?難儀したよ(苦笑)、この一人称の文体と行間を埋めつくしてる“モノ”に。これ読んだって普通映画にならんよ。じゃあ、切り方を考えなくちゃいけない。映画は光と陰。何に光を当てて何を陰にするか?最初の葉蔵が不忍池で絵を描いてるのが昭和11年で2か月前には『二・二六事件』があって、この数か月後には『阿部定事件』が起こる。その前年は総理大臣が3人も替わってるんだ。これはいつかの時代と似てるだろう(笑)?そこから5年を野球で言うところの“フェアゾーン”、光を当てるところだと考えて作ったよ」。先述の通り、「作品やシーンに思い入れなんてない」、「撮った理由は(太宰の)生誕100年だから!」など、嘘かマコトか?取り付くシマもない答えを(しかし楽しそうに!)返す監督だが、俳優陣の話になると少しだけ多弁に。そもそも「原作を読むな」が“唯一の”アドバイスだったということは、生田さんにほぼ自由にやらせたということ?「言わなきゃしょうがない奴には言うけど、出来る奴に余計なこと言って邪魔してもしょうがないだろ?斗真は、言えば何でも出来るけど、原作の枠にハメる気は毛頭なかった。あいつのピュアで無垢なままの感じのままが良いだろうってね」。では改めて俳優・生田斗真の魅力は?「キレイじゃん(笑)、第一に。そして芝居がうまい、言うことないよ。役を演るときに“自分”と“役柄”の性根を誰よりストイックに、真っ直ぐ考えられる…つまり知的なんだな。そして、それをカメラの前で体現できる。私もいろいろ見てきたけど、モノが違うよ。50年に一人さ。フィルムで捉えてるものなんて1秒にたった24コマだもん。その隙間からこぼれて来るものを観る者に感じさせるんだ、斗真は」。そして、“斗真=葉蔵”の何とも言えぬ美しさと歪みに絡みとられ、一緒に堕ちてゆく女たち。中でも、寂しさを抱え、彼と最初に心中を図り、あろうことかたった一人死んでいく常子の存在は監督が「第一のヤマ」と認めた大きなもの。演じたのは、荒戸監督に“映画賞30冠”をもたらした『赤目四十八瀧心中未遂』で強烈な印象を放った寺島しのぶ。「彼(葉蔵)を受け止められる女。しのぶちゃん以外考えられなかったし、彼女になら安心して任せられた。出演を口説くときはこう言ったんだ。『赤目』のときは“心中未遂”だったけど、今度はちゃんと死なせてあげるよ!って(笑)」。では、葉蔵を“悪の道”へと誘い込みつつ、自らは堕ちることなく、どこか冷静な悪友の堀木(伊勢谷友介)、そして原作には登場しない詩人の中原中也(森田剛)の存在は?「まあ、2人とも“メフィストフェレス(人間を悪徳へと導く悪魔)”だわな。ただ、堀木は大人の男で斗真の“甘さ”に対して“辛さ”を出したかったから、辛い顔した伊勢谷に任せたんだ。奴にも好きにやらせたよ(笑)。堀木よりも幼児性が強くて、悪魔の二面性の片方の面を持ってるのが中也だね。(森田さんは)悪魔顔だしな(笑)。トンネルのシーンはあの世とこの世を行ったり来たりしてるようなものだな。森田は、斗真とはまた違った意味で天才かもしれん。さっき言ったように、斗真が考えて体現するとしたら、森田は考えずにポッと何かを掴むんだ。『こいつ、こんな表情ができたのか!』って感じさせられたことが何度もあった。自意識の果ての無意識とでも言うのかね…?」とまあ、次から次へと俳優陣に対する感想、感嘆の言葉が…。この監督の言葉を念頭にそれぞれの俳優陣の動きや表情を追っていくだけでも、映画が楽しめることは請け合い!「女のことは分からんし、深く追求もしない」と語る監督が描く男たち、女たちの“楽しげな”堕ちざまをとくと味わってほしい。映画『人間失格』荒戸源次郎監督が語る、主人公・葉蔵を取り巻く女たち寺島しのぶ(常子)編「人間失格」―主人公・葉蔵を取り巻く女たち―各サイトをめぐってキーワードを集め、スペシャルプレゼントをゲットしよう!cinemacafeのキーワードは「B」※詳しくは公式サイトキャンペーンページへ!■関連作品:人間失格 2010年2月20日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開■関連記事:押切もえ、いまもだめんず好き!?「太宰大好き。守ってあげたい」生田斗真との絡みに豪華女優陣から黄色い声、続々? 『人間失格』完成披露松たか子×浅野忠信『ヴィヨンの妻』がモントリオール出品で、太宰イヤーを飾る!
2010年02月19日去る10月17日、第22回東京国際映画祭が開幕したその日、同じ東京の六本木ヒルズの“TIFF movie cafe”で、あるチャリティ企画の発表会が行われました。「マーク ジェイコブス」×「ザ・クライメイト・プロジェクト」です。これは、世界中のセレブリティを顧客に持ち、ファッションのみならず最新カルチャーの発信者として注目を集めるデザイナー、マーク・ジェイコブスによるチャリティ企画。すでに、世界60か国以上で慈善活動を行ってきたブランド「マーク ジェコブス」が日本で行う初の本格的チャリティ活動なのです。中心となるのは、今秋のコレクションの中からマーク自ら厳選し、直筆で“With love, Marc Jacobs”などとスペシャルなサインを入れた10種のバッグ。入手希望者はブランドの公式ホームページで応募します。その後、ホームページ()で行われる抽選で選ばれたら、バッグの小売価格と同等の寄付金と引き換えにバッグを入手できるという仕組み。つまり、お店で購入するのと同じ金額で、マークのサイン入りスペシャル・バッグが入手できるというファン垂涎の企画でもあるのです。チャリティの収益金は、地球温暖化問題への啓蒙活動を行っている元米国副大統領のアル・ゴア氏が主宰する非営利団体「ザ・クライメイト・プロジェクト」に全額寄付。ここが、地球環境を考えるというTIFFの精神とリンクしているというわけです。発表会当日は、寺島しのぶ、池内博之両氏によるトークショーも開催。ともに、「映画祭も去年からカーペットがグリーンに。日本もやっと地球環境を考えるようになってきたのがいいですね。チャリティに協力することで、映画祭もさらに大きくなるのでは」と寺島さん。池内さんは、「バッグを通して一緒に地球環境を考えることができる。みんな、できることからやっていきましょう」と語りました。トークショー終了後も、桃井かおり、マリエらマークファンのセレブリティが続々会場入り。映画祭の興奮も加わって、“TIFF movie cafe”は夜遅くまで華やかな熱気に包まれていました。会場は入場無料だったので、もちろん一般のファンも出入り自由。その場にいた映画ファンは、セレブとともに極上のパーティ気分を味わったのではないでしょうか。さて、気になるバッグですが、10月17日(土)から25日(日)までの東京国際映画祭期間中は同映画祭メイン会場である六本木ヒルズ内の“TIFF movie cafe”に展示されていましたので、見かけた方もいるのでは?現在は場所を移し、11月16日(月)まで、大阪の「マーク ジェイコブス」心斎橋店にて展示中です。もちろん、公式サイトでもチェックできますので、お気に入りを見つけたら応募してみては。「マーク ジェイコブス」公式サイト:「ザ・クライメイト・プロジェクト」公式サイト:(text:June Makiguchi)
2009年11月09日