従来であれば、仕事上のコミュニケーションは電話が一般的でした。しかし電話は相手の時間を奪うということもあり、最近ではメールが主流になっています。一般社団法人日本ビジネスメール協会の「ビジネスメール実態調査2016」によれば、仕事で周囲とコミュニケーションをとるおもな手段は、「メール」(98.22%)がもっとも多く、「電話」(91.06%)、「会う」(75.97%)と続きます。この序列は2011年から変わりません。仕事やプライベートを問わず、いまや約束事の多くはメールを介しておこなわれます。ただ、会社のビジネスマナー研修では教えてくれない、メール送信の際に気を付けたいマナーがあるのです。■1:契約成立が難しくなるアポイントメールまず、アポイントの約束を取りつける場合のNGから。気遣いができる人は「月初めでいかがですか」「週明けでいかがですか」というように、より範囲を狭めたゆるやかなコンタクトをしますよね。しかし、それ以外のメールだと、契約成立の可能性が下がってしまいます。これは、実例を見たほうがわかりやすいでしょう。(1)「○○様、いつならよろしいですか?」このメールがなぜダメか?相手が情報収集程度ならいいかと思っている場合は、「いつならよろしいですか」なんていわれても、迷惑なだけ。また、暗に「関心がないので時間をつくりたくない」と言っているような感じだからです。(2)「○○様、来月あたりはいかがですか?」これはまだいいほうですが、なるべく避けたいです。相手が「来月はまだ予定がはいっていないものの、重要な予定がはいるかもしれないので約束を確定させたくない」と思う場合、アポイントが成立しにくくなります。(3)「○○様、来月初旬ではいかがですか?」このよう送れば、「来月初旬はいくつか予定がはいっているものの、ピンポイントなら空けられなくもないかな」と予定を返しやすくなります。曜日や時間を確定させないまでも、ゆるやかなコンタクトなら受け入れられやすいのです。■2:接待に誘うときに避けたい失礼なメールアポイントの約束に関わらず、メールには送った人の性質が反映されるものです。次のケースは私が経験した事例ですが、このようなことはよくあるのではないかと思います。接待を受ける側になったときのことです。食事をすることになり、先方から「苦手なものはありますか」と連絡がありました。私は、「苦手なものはないのでお任せします」と返信しました。その後、先方からはお店の候補を3つばかり送ってきました。そして「どの店がよろしいですか?」と聞かれました。「苦手なものはないのでお任せします」といっているわけですから、そのまま決めてくれればいいものを、私に決定権を委ねているわけです。しかも、その3軒に先方の担当者は行ったことがないとのこと。このような場合、行った店がハズレの場合は、私のメンツが潰されたことになります。こういったメールも、接待のときは送らないように気を付けましょう。■3:相手が不快になる「上司も来て」メール他にも、よくあるケースですが、訪問の際に「上の方もお連れください」という方がいます。これは「上司を連れてきてください」という意味ですが、「あなたでは不充分だから上司を連れてこい」という解釈になるので送られたほうは非常に不愉快になります。相手をバカにしているので、尊厳を傷つけていることに他なりません。絶対に送らないようにしましょう。とくに、重要な会議やプレゼンなどの場合、「上司を連れてきてください」という気持ちはわかるのですが、これでは会社の品位を落とすことにもなりかねません。もし「上司を連れてきてほしい」と思うなら、次のようなコンタクトであれば軋轢を生むことはありません。(例)あなた:「この提案の決済はどなたになりますか?」相手:「上司の部長になります」あなた:「次回はどなたが訪問するのですか?スムーズに意思決定をするためにも、上司の方も一緒のほうがよくないですか?」もし、このように話しても、先方から、「上司を参加させる旨」の回答が得られない場合、打ち合わせ自体を中止して構いません。理由は、あなたは上司の同席を依頼するにあたり、相手(担当者)に敬意をはらい、尊厳を損なわないようにコンタクトをしているからです。これで無理に設定しても、今度はあなたが上司にいわれてしまうでしょう。「先方の上司は同席しないのか?」と。*もはや、使用することがあたり前となっているメールですが、使いこなすためには、受け取った際に相手がどのように思うのかを充分に留意しなければいけません。この機会に振り返ってみてはいかがでしょうか。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年08月13日社内におけるコミュニケーションは大切ですよね。ちょっとしたことが、仕事に影響を与えることもしばしば……。コミュニケーションの機会はいろいろで、例えばランチやお酒、タバコ部屋、などがあります。なかでも、非喫煙者にはわかりづらいのがタバコミュニケーション。実際、『マイナビニュース』が自社サイトの会員500人に「喫煙所での“タバコミュニケーション”の存在を知っていますか」と質問したところ、46.4%が「いいえ」と答えています。つまり、半数近くのビジネスパーソンにとって、未知の世界ということ……。とくに女性はイメージしづらいですよね。いったい、タバコ部屋ではどのようなコミュニケーションが行われているのでしょうか?今回は、タバコミュニケーションの意外な効能に迫ります。■タバコ部屋だと相手から警戒されずに情報収集できる!もしも会社の情報を集めたいと思ったら、どのような手段を使おうと思いますか?一般的に、目安とされる離職率や業界の評判は、上場企業であれば比較的容易に把握することが可能です。しかし中小企業などでは、そうした情報は非公開ですから知る由もありません。「各部門の担当者や権限者に聞きまくる」という手段も決して間違いではありませんが、効果的とはいえません。「なにをかぎ回っているんだ」と警戒されてしまうかもしれないからです。ネットで得られる情報には、精度の問題があります。顧客や取引先に会社の評判を聞いても、ネガティブな情報はなかなか入ってこないもの。それどころか、リークされる危険性があるのでお勧めできません。会社は階層別のヒエラルキーによって構成されており、上位役職者でなければ収集しにくい情報があります。具体的にいえば、組織や人事情報、会社のネガティブ情報(赤字、リストラなど)などは一般社員では簡単に収集できません。しかし、非常に簡単な方法で収集できる場合があります。JTの「平成26年全国たばこ喫煙者率調査」によれば、成人男性の平均喫煙率は30.3%であることが明らかになっています。ところが、40代は38.5%、50代は36.6%と、会社の上位管理職と推測される層の喫煙率はいまだに高い水準を維持しています。実は、情報収集のためにタバコ部屋へ行く人は少なくありません。上位管理職が憩いの場として集うタバコ部屋は、情報の宝庫だからです。いまは完全分煙制をひいている会社が多く、タバコ部屋は小さいスペースで奥へ奥へと追いやられています。ところがその結果、この部屋に集う住人のコミュニケーションが深まっているのです。■タバコ部屋では役員だけでなく人事との情報交換も可能喫煙者は休憩も兼ねて行くので、仕事のことも仕事以外のことも気軽に会話できるメリットがあります。リラックスしている状態だからこそコミュニケーションもとりやすく、しかも5分程度の短い時間なので席を外しやすいのです。会社によっては、社内のおエライさん(役員)が来るときもあります。喫煙所で印象に残っていると(よい印象であることが重要ですが)、社内プロジェクトの際に声がかかる場合があります。おエライさんが社内の情報を欲しているケースも少なくありませんが、タバコ部屋であれば気軽に会話をすることができます。上司や部下に関係なく、所属もさまざまです。普段接する機会の少ない他部署の課題や悩みを耳にすることで、組織全体を見渡す広い視野を持つことができます。とくに人事情報は信憑性のあるものから、リストラに関するものまで多種多様です。また、なにげない雑談が良好な人間関係につながる例も少なくありません。たとえば、仕事や私生活で息詰まったとき、利害の対立を抜きに人々が寄り合い、雑談に花を咲かせる場があるのは精神衛生上も大切なことではないかと思います。*よい情報も悪い情報も充分に踏まえたうえで、ご自身の判断で取捨選択することをおすすめします。くれぐれも表面上の情報に惑わされないことです。しかし、そのためには情報精度が重要であることもお忘れなく。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【参考】※非喫煙者も見逃せない!? -“タバコミュニケーション”って本当にあるの?-マイナビニュース
2016年08月12日この夏こそ、「素敵な彼氏とおでかけしたい!」と思っている女性は多いはず。そんな女性にピッタリな診断があります。それは恋愛EQ診断で、恋愛の傾向をEQ(Emotional Intelligence Quotient)ベースで測定したもの。このEQは、「心の知能指数」といわれています。EQの対立軸であるIQ(Intelligence Quotient)は、「知能指数」で有名ですよね。ところがIQそのものが高くても、それを活かすEQが低ければ力を発揮することができないのです。ただ、EQは気づきにより、後天的に改善することができます。そのため、まずはご自身の傾向を確認してみませんか?今回の診断は、7つの質問に答えるだけで、夏休み中に本命の彼氏・彼女ができるかどうかわかるというものです。さっそく試してみましょう!■問題編では、さっそく問題です。以下の7つの設問について、ご自身に当てはまる回答をA・B・Cから選んでください。その際、Aがいくつ当てはまるか数えてください。(1)いまの自分は、子どものころに思い描いていた自分?A:そう思うB:思わないC:どちらでもない(2)休日、近所のコンビニに出かけるときも、だらしない服装では行きません。A:そう思うB:思わないC:どちらでもない(3)10代の思い出を思い出してください。いいことと悪いこと、どちらが多かったですか?A:悪いことB:いいことC:半々(4)8時間睡眠をとった翌朝のあなたの目覚めは?A:もっと寝ていたいB:すっきりした目覚めC:どちらでもない(5)特に悲しいことがあったわけでもないのに、涙が出てくるなんてことは?A:よくあるB:ないC:そういうときもある(6)朝、テレビでやっていた星占い。あなたの星座はワースト1位。気になる?A:とても気になるB:全然気にしないC:すぐに忘れる(7)あなたの職場の上司。なぜか今日は口数が少なめです。あなたなら、どうする?A:気を遣ってしまうB:放っておくC:気のせいだと思う■解答編[Aの数]0~3つ → 本命の彼氏・彼女ができる度30%いつも明るくポジティブな性格。嫌なことがあっても気持ちの切り替えが早く、一晩寝たらケロリとしています。過去は過去と線を引いいて、ひきずらないタイプです。しかし、いざ恋愛となるとこのポジティブさが災いするようです。いつの間にか、都合のいい相手扱いされたり、いつのまにかデートの費用があなた持ちになっていたことはありませんか?これは、微妙な心を読めない性質を表しています。物事を深く考えるのが苦手なので「次があるさ」と短絡的に考えてしまい、その結果、同じあやまちを繰り返す傾向があります。他人に対して冷淡な面があるのも、低下要因のひとつです。日ごろから周囲への感謝を忘れないようにしましょう。ときには自分ひとりの時間をつくり、再確認する習慣をつけましょう。自分のまずかった振舞いを振り返って、きちんと反省、・改善することが大切です。そうすることによって、本当の意味でポジティブな人になり、男女問わずに評価をあげることができるようになるでしょう。[Aの数]4~5つ → 本命の彼氏・彼女ができる度60%平凡なことが大嫌いなタイプなので、恋愛とはドラマチックなものでなくてはいけないと考える傾向があります。平凡でほのぼのとした相手は、魅力的に映りません。大言壮語や野心家の男性は注意をしてください。日ごろから、客観的な状況判断を心がけて信頼できる友人に話を聞いてもらうなどして、冷静な判断を心がけてください。男性であれば「陰のある女性」、女性であれば「ダメンズ(ダメ男)」にハマってしまうのがこのタイプです。いつもつきあう異性が同じようなタイプです。何故か依存的な放っておけない異性に惹かれやすくなります。打たれ強く、引きづらない前向きさは大きな強みですが、恋愛中になると冷静な判断力がなくなることが唯一の弱点といえるでしょう。普段なら、ありえないと一笑に付されるような話には気をつけてください。特に結婚詐欺師まがいには注意してください。[Aの数]6~7つ → 本命の彼氏・彼女ができる度90%かなりの恋愛上手なので、いつの間にか意中の人をその気にさせることができます。その成功率はかなり高いといってもいいでしょう。狙った相手を冷静に分析し、相手の好みに自分を変化させたり、相手にアプローチさせやすい状況をつくることができます。恋愛の勝因は、発達した恋愛偏差値の高さによるところが大きいといえるでしょう。いつもクールなので恋愛中も努力を怠らず、相手を飽きさせることはまずありません。そのため、ますます相手ははまっていくことでしょう。けれど、すべてが計算どおりにいかないのが恋愛というものです。今後、これまで培ってきた法則が吹き飛ぶほどの恋愛が待ち受けているかもしれません。謙虚さは忘れないようにしましょう。強いて欠点をあげるとすれば、あなたの完璧さは長所でもあり短所でもあるということです。見栄も外聞もなく相手を愛することを経験した時、魅力はさらに高まるのかも知れません。*この恋愛EQ診断、どんな結果となりましたか?私はHR系(人事)を専門とするコンサルタントで、特にアセスメント開発における診断作成や監修などの実績を持っています。最近、エンタメ系の簡易診断のニーズが多かったので、この診断を作成してみました。ぜひ自分のEQを知って、この夏、素敵な恋愛をしてくださいね。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年08月11日本格的な夏を迎えました。暑いこの季節、なにかとお酒を飲む機会が増えるかと思います。この時期に、私自身も心がけていることがあります。それは、他人の悪口や誹謗中傷をしないこと。よく周囲の観察をしてください。どこの飲み屋でも人の悪口を肴に酒を飲んでいる人がいるはずです。例えば、「社長の方針がすぐにブレる」「嫌な仕事ばかり押しつけやがって」「自分達はおいしい思いをしやがって」など……。肴にされる当人が在籍しない飲み会は、ことのほか盛り上がります。ところが、他人の悪口や誹謗中傷は周囲の雰囲気を一変させる危険性もあります。実際、インターネットリサーチサービス『リサーチプラス』が実施した「お酒・飲み会に関する調査」によれば、その場にいない人の悪口がはじまったとき33.1%の人が「一気にテンションが下がる言動」であると答えています。そこで今回は、私が経験した事例と一緒に、悪口が話題になったときにうまくかわす方法をご紹介しましょう。■留意すべき飲み屋での悪口と誹謗中傷X社という業界でも有名な研修会社があります。いま、飲み会の場にいるのは、井出課長、岩下主任、山之内主任(すべて仮名)、と私の4名です。まず、井出課長が「部長や上層部が方針をビシッと決めてくれないから、いつまでたっても部門のベクトルが一致しないんだ」と切り出しました。これに、岩下主任と山之内主任も「そうっすね!」と相槌をうちます。会社批判、体制批判とつながり、飲み会は2次会、3次会へと移行します。酒が入るほどに批判は盛り上がっていきます。ところが、日ごろのうっ積を晴らしたところで「参加者の関係が一層強固になる」ことなどありません。翌日の朝、井出課長は部長の前で「おはようございます」と最敬礼。それに対して、岩下主任と山之内主任が「昨日はあんなに部長の批判をしていたじゃないですか」「3次会まで行って連携を確認したじゃないですか」と嘆くのは、ヤボというものです。そもそも酒宴での上司批判や会社批判は、場を盛り上げるエッセンスみたいなもの。その場で聞き流すのがマナーで、本気にするほうがどうかしているのです。■上司に言質をとられた2人の運命は?岩下主任と山之内主任は上司である、井出課長に言質をとられてしまいました。井出課長が話を聞き流していなければ、少々面倒なことになります。岩下主任と山之内主任はこのような発言をしていました。岩下主任:「僕たちは交通費ですら細かくチェックされているのに、部長は会社の経費を使いたい放題使っているって噂ですよ。飛行機はファーストクラスかスーパーシート。やってられないですよ」山之内主任:「部長は銀座のMってお店に通っているようです。先日も高級バックをプレゼントしたって噂です。他部門の人から聞きました」事件は次の週の月曜日に起こります。部門統括をしている鈴木部長から、2人は突然呼び出されたのです。鈴木部長:「君たちが僕の悪口を言いふらしているという話を聞いてね。今日はその確認をしたかったんだ。僕が経費で、ファーストクラスを利用して、銀座のクラブのホステスに高級バッグをプレゼントしたという話を聞かせてもらったよ。君たちは、想像力がたくましいね」岩下主任と山之内主任:「……」鈴木部長:「なにも答えないのかね?ファーストクラスはお客さまの要望だ。得意先であるA社の社長同席でも文句があるのかね。あと、バッグに関しては、私の親戚が海外から並行輸入品を買いつけていてね。安く手に入ったので、お譲りしたのだが何か文句があるのかね?」岩下主任と山之内主任:「……」鈴木部長:「君たちは、僕の評判をでっち上げた情報で下げようとした。よって、懲罰委員会で君たちを査問することにする。総務部から連絡があるからその指示に従いたまえ」賞味1時間ほど絞られた挙句に、翌月の査問委員会で訓告の処分を受けたそうです。実は、井出課長は鈴木部長と大学が同じで先輩後輩の関係でした。鈴木部長は役員候補として名前が挙がっています。そのため部内の評判を確認するために、井出課長をつかって情報収集をしていたのです。私は、当日は風邪気味で風邪薬を飲んでいたため、一切の飲酒を控えていました。そのため、難を逃れることができました。■飲み屋での悪口と誹謗中傷のかわし方先ほどのケースを思い出してください。私は飲酒を控えていたので、完全シラフです。井出課長が「部長や上層部が方針をビシッと決めてくれないから、いつまでたっても部門のベクトルが一致しないんだ」と切り出しても、「私は部門の指示に従うだけですが、井出課長の会社を思う気持ちがよく理解できました。その気持ちにこたえられるように頑張りたいと思います!」と対応していました。「ホント、部長は腹が立つよな」といわれても、「私にはそのことはよくわかりませんが、部長は会社のためを思って色々と頑張っておられます」と答えていました。つまり、批判の内容には一切触れずに、私見を述べたり話をそらすことなく淡々と対応していたのです。実際に、飲み会で上司や会社批判をすることで評価を下げる人は少なくないと思います。たとえ聞かれたとしても、話題や論評には一切加わることなく淡々とこなすようにしましょう。*自分に自信があり仕事ができるの人物であるなら、他人の悪口や誹謗中傷はいわないものです。これにのってしまうということは、自らが未熟であると他人に公言しているようなものですから気をつけなくてはいけません。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【参考】※お酒・飲み会に関する調査-アイブリッジ株式会社
2016年08月05日プチ整形の流行もあり、いまや美容整形は身近なものになりつつあります。ところが国民生活センターの発表によると、美容医療(美容整形)の相談件数は年々増加傾向にあります。手術後に後悔しないためにも、「その手術が本当に必要なのか」「さまざまなリスクを抱える覚悟はあるのか」などを充分に考え、自分自身に問いたださなくてはいけません。しかし、なぜ美容整形の事件が発生するのでしょうか?美容整形の系譜とともに追ってみます。■美容整形の経験者は18~38歳で11%美容整形が本格的に普及していったのは、第二次世界大戦以降とされています。野中邦子の訳書『プラスチック・ビューテイー 美容整形の文化史(エリザベス・ハイケン、平凡社 1999年5月)』では、体の負傷を負った部位を治療することからはじまったとされています。その後、外見に劣等感を感じている部位を治すことが一般化され、現在では美容目的の外科的措置が行われるようになっています。また、クロス・マーケティング社が2010年に行った調査(調査対象は18~39歳)には、美容整形をしたことのある人は11%いたという結果があります。しかし実際には、アンチエイジングのニーズが高まる40歳~50歳の層のデータや、プチ整形などが含まれていないため、実際にはもっと多いことが予想されます。本調査に対して高須クリニックの高須幹弥医師は、クリニックの概況と比較したうえで「日本人女性で、一生涯のうちに美容整形を受ける人の割合を予想すると、だいたい30~40%くらいになるのではないかと思います」と回答しています。■美容整形の市場規模は2500億円ぐらいでは、美容整形の市場規模はどの程度になるのでしょうか。美容外科専門の診療所および美容外科をもつ総合病院を合わせた美容整形市場には、現在1,000以上が存在するといわれています。自由診療による利益率の高さもあり、市場ニーズは拡大傾向です。広告費が売上高の40~50%を占める事業特性や昨今のニーズの高まりを考えると、2,500億円程度の市場規模ではないかと推測できます。さらには推測の域を出ないものの、日本においても、一生涯のうちに美容整形を受ける人の割合を予想すると、30~40%という数値はひとつの目安になるのではないかと考えられます。参考までに、美容整形大国と称される韓国のデータもご紹介します。中国の新華社通信は、韓国メディアの報道を引用し、韓国の製薬会社が行った調査の結果として、韓国では女性の約6割が自分の容姿に不満を抱いており、4割を超える女性が美容整形の手術を受けたことがあると回答したことを紹介しています(2016年3月7日)。調査結果では、美容整形を受けたことがあると回答した韓国人女性は42%に達し、「まだ手術は受けていないが、将来的に受けたいと考えている」と回答した女性も同じく42%います。韓国では女性の美容整形手術がごく身近にあり、あまり抵抗なく手術を受けている実態が観察できます。■美容整形する前に留意すべき2つのリスク少し話がずれますが、美容整形にはいくつかのリスクが存在します。これは大きく分けて2つの分類することができます。それは「手術のリスク」と、「誹謗中傷のリスク」。(1)手術のリスク鼻を高くする隆鼻法は人気のある手術です。シリコンでできたプロテーゼを挿入するものですが、平均手術30~40万円で受けることが可能です。しかし、挿入したプロテーゼが鼻の先端を飛び出てしまったり、鼻の組織が壊死するなどの術後のリスクがついてまわります。多くの場合、定期的なプロテーゼの交換が必要になります。定期的な交換が必要である以上、一度手術に踏み切ったら相応のコストが掛かることを覚悟しなければいけません。アゴを切る輪郭整形も人気の高い手術です。他の手術とは異なり、コストが100万円以上かかる場合もあり大がかりです。全身麻酔、入院等の設備はもちろんのこと、専用骨切り器等高級機器が必要なため、お手軽ではありません。他にも、涙袋を膨らませたり、しわを薄くするヒアルロン酸注射、切らない二重などは、お試し感覚のプチ整形といわれていますが、術後不良を起こすなどの症例も明らかになっています。(2)誹謗中傷のリスク次に、ネット等での誹謗中傷を考えなくてはいけません。ネットで芸能人の名前を検索すると、次に出てくる関連キーワードが「整形」です。一般的に、整形がネガティブなイメージでとらえられていることがわかります。メディアにおける、芸能人と美容整形をはじめとした話題は、基本的にタブーです。しかしネットを見れば、芸能人を誹謗中傷する記事の多さに気づくでしょう。日本に匿名のブログや掲示板が多いことの弊害でもありますが、一般人でも、ネットによる誹謗中傷のリスクは考えなくてはいけません。■なぜ美容整形トラブルが増え続けているのか美容整形が原因とされる後遺症のケースは、数多く見られています。しかし後遺症は判断が難しく、医者と患者の間で判断が食い違うことも多いため、裁判を起こしても賠償請求を勝ち取ることは困難といわれています。まず、被害者が裁判の場で美容整形の失敗について提訴しにくい点があります。さらに裁判の場で、コンプレックスの箇所について指摘をされることは精神的にも楽ではありません。次に、美容整形の場合は、医療事故などと比較して賠償額が少ない点が挙げられます。勝訴したとしても、裁判費用や弁護士費用、かかる時間等を考えれば、効率的とはいえないのです。慰謝料についても、「外貌醜状」と認められるのが難しいという問題もあります。外貌醜状とは、頭、顔、首などに、人目につく程度以上の傷痕が残ることをいいます。たとえば、顔であれば10円玉以上の大きさ、3cm以上の線状痕、手足では露出面に手のひら大の醜い痕を残すものとされています。ただし、人目につくことが前提なので、人目につかなければ後遺障害と認められない場合がほとんどなのです。*美容整形にはリスクがあり、自己責任が発生することを理解しなければいけません。お手軽さが進む一方で、依然としてリスクが小さくない美容整形。手術後に後悔しないためにも、「その手術が本当に必要なのか」「さまざまなリスクを抱える覚悟はあるのか」、充分に考えて自分自身に問いたださなくてはいけないでしょう。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月27日みなさんの上司は部下に仕事を任せるほうですか?その際に「君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」といわれませんか?株式会社アイリックコーポレーションの来店型保険ショップ『保険クリニック』が2016年4月に実施した調査によると、20代から40代の男性社員は以下のような仕事をする際に「やる気モード」スイッチが入ることがわかっています。「失敗が許されない仕事に取り掛かるとき」「大事な取引先へのプレゼンがあるとき」「自社内の大事な会議で発表があるとき」しかし、これらの仕事をするには、仕事を依頼したり承認する上司の存在があります。仕事を任せられることは部下にとって大変栄誉なことですが、実は任せられる際に、抑えておくべきポイントがあるのをご存知ですか?その2つのポイントを、具体的なケーススタディと一緒にお伝えします。■上場企業のコンペ参加で大失敗したケースまず、企業向けのPR誌やホームページなどを企画制作するプロダクションをS社としましょう。この会社の顧客は上場企業など大手企業が多く、企画・制作力は高い評価を受けています。井上係長は社内の中堅社員です。5年前に出版社から転職し、現在のおもなミッションは、2名の部下との新規開拓活動。そんななか、部下が一部上場企業の大手飲料メーカーY社のアポイント獲得に成功しました。部下に同行して会社を訪問したところ、多くの会社が会議室に通されていました。話を聞くと来年が創立30周年にあたり、会社案内やホームページを刷新するためコンペに参加してもらえないかとの話でした。そこにいたのは約10社あまり。Y社は多くの会社が取引獲得を目論む有望企業だったのです。しかし、コンペの準備をするにも費用がかかります。会社に戻り、井上係長は部門長である山中部長の指示を仰ぎました。すると山中部長は「そんな簡単なことを僕に聞かないでくれたまえ。君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」と叱られてしまいました。井上係長は迷いながらも、「君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」という言葉を思い出しながら作戦を考えることにしました。「よし、やるっきゃない。精一杯がんばるぞ!」と提案の準備を開始してコンペに備えました。ところが結果は失注。1回目、2回目のコンペは勝ち上がったものの、最終コンペで負けてしまったのです。■上司は「好きにやれ」と言っていたのに!最終コンペに進んだのは2社。あと一歩までのところでした。Y社の担当者からは「提案自体は御社の評価がもっとも高かったのですが、金額に開きがありました」との返答。しかし、Y社との信頼関係を構築して提案の機会をいただけたことは、大きな自信へとつながりました。過去のデータを調べたところ、Y社に提案をしたのは井上係長がはじめてでした。(山中部長からは「よくやった」と慰労されるに違いない)そう思いましたが、山中課長の対応は予想と大きく異なりました。「アホか!負けたコンペに金をかけてもなんにもならないじゃないか」「どう責任をとるんだよ。オレは認めないからな。コンペの費用はお前が払えよ!」事前に相談すれば「君の判断に任せるから好きなようにやりなさい」といわれ、コンペに負ければ「どう責任をとるんだよ!」と責任を押しつけられる。井上係長は悩んでしまいました。もし、仕事を受注していたらどうなったでしょうか。山中部長は「オレの任せ方がよかった!」と手柄を横取りしたことでしょう。なんとも理不尽に見えますが、これは会社における上司の「君に任せた」の本質ではないかと思います。■上司に仕事を任せられたら言質を必ずとるみなさんのなかにも、上司から「君に任せた」といわれた経験のある方は多いことでしょう。そのとき、どのような対応をしましたか? 結果はどうなりましたか?もし「任せた」といわれたら、「YES」「NO」で答えをもらわなければいけません。先ほどの井上係長の件であれば、「コンペに参加してよろしいですね?」と確認をして、「YES」「NO」をもらうところからはじめなくてはいけなかったわけです。コンペにかかる費用が明らかになれば、これについても「YES」「NO」の判断をもらいます。つまり、言質をとらなければいけません。こうすれば、上司も関与していることになりますから、責任を転嫁することは難しくなります。「そんなことは聞いていない」「オレは知らない」といわせないためのファクト(事実)を用意することが大切なのです。これは、上司のコミットを明確化する作業のことを表しますが、必ずしも言質である必要性はありません。まずはスケジュールを作成する上司であれば心配はいりません。スケジュールでは、仕事を進めるための段取りや流れをつくってもらい、「いつまでに○○をする」というように進捗を明確にしてもらうことです。チェックをするとはその仕事にコミットをするという意味なので、任せられても心配は無用でしょう。■自分の立場を危うくしない2つのポイントいま、仕事の責任を転嫁させないために、次の2点が重要であることを説明しました。(1)言質をとること(2)スケジュールを組むことしかし、無用なコンフリクトを招くことは、組織運営上好ましいものではありません。そのためにも、週毎の定例ミーティング、中間報告(上司などを交える)、最終報告(事前に直属の上司の承認を得たうえで実施する)が必要です。先ほどの、井上係長の件であれば、1回目、2回目の結果が分かった際に、山中部長を交えて打合せをする時間が必要でした。そして、最終提案の際にも同席を依頼すべきでした。まともな上司であれば、同席依頼をNOとは言わないはずです。いずれにしても、上司のコミットを明確化する作業と、うまく巻き込むことができれば、結果がどうであれ自分の立場を危うくすることはありません。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【参考】※最高額は男子350万円!女子98万円!仕事でやる気になる為の自己投資額-株式会社アイリックコーポレーション
2016年07月24日社内で上司にドロをかぶらされた経験はありますか?ドロかぶりは嫌なものですよね。株式会社保健同人社が2015年に実施した「理想の上司イメージ」を尋ねる調査では、年代に関係なく、「面倒見がよいこと」「責任感が強いこと」が理想の上司のイメージとして挙げられています。その一方で、面倒見が悪く責任感に乏しい上司は社内でも嫌われる存在です。このような上司の場合、火の粉をかぶる前に(もしくは、火の粉をかぶらされそうになったとき)策を講じなければいけません。一体どうすれば、火の粉をかぶらないで仕事を進められるのか?ある会社のケースと一緒に対策をご紹介しましょう。上司との反りが合わないと感じている人は参考にしてもらえればと思います。■上司にハシゴを外されてしまうケースこれは、IT系サービス事業を展開するX社の事例です。ある日、営業部の吉沢君が上司の川口課長に「最近、R社が新規開拓で当社の顧客と競合します。先月退職した山本君がR社に入社したと聞いています。顧客情報が流れているのではないでしょうか。ここは調べたほうがいいと思います」と提案しました。川口課長は「しかし、R社は業界大手だからね。山本君と決まったわけではないし、静観していたほうがいいよ」と返されてしまいます。最近は、草食系がブームなせいか、軋轢やモメごとを嫌う上司が増えたように感じます。この状態で勝手に動いたらハシゴを間違いなく外されます。部下の立場からすれば、動けず、騒がず、でもなにかがあれば責任をとらされる。そんな上司の下にいても将来はありません。■責任感のない上司をうまく動かす方法そんなとき、社長から全社にあてて号令がかかりました。内容は「最近のマーケットは厳しい状況にある。やみ雲に動くのではなく、競合他社の動向をしっかりリサーチした上で動きなさい」というものでした。吉沢君は一計を案じました。「川口課長、社長の号令を聞きましたよね。やはり、R社の動向は調べたほうがいいと思うのです。ただし目立った動きをするとクレームになる危険性もありますから、軽く調べる感じでいかがでしょうか」川口課長は、軽く調べる程度ならいいと思いGOサインを出しました。しかし、1週間後、吉沢君から「R社からクレームがはいりました。山本君の一件を話したら、根拠のないいいがかりだといわれてしまいました。私には対応できないので課長お願いします」と報告があります。ここまでくると、さすがにハシゴを外して知らぬ存ぜぬは通じなくなります。川口課長は気持ちを引き締めてR社を訪問し事態収拾につとめる決心をしました。どこにでも、面倒見が悪く責任感に乏しい上司はいるものです。このような上司はトラブルを起こしたくない反面、楽して問題解決はできないだろうかというウマイ話には乗りやすいものです。こういう面倒見が悪く責任感に乏しい上司は外堀を埋めてしまい、表に出て行かざるを得ない状況を作り出すことも必要です。上司をマネージするのも部下の実力です。■そもそも上司は裏切るものだと思おうさて、このような上司の特徴に「裏切り」があります。部下に責任を押しつける上司の存在です。テレビドラマでは、部下の責任を被って上層部に談判し経営陣を動かすようなシーンがありますが、それはドラマだけの話です。通常は、部下の責任を被って上に談判するような人は存在しません。そんなことをやっていたら、社内で生きていくことができないからです。上司は部下のためには体を張りません。上司がズルイという問題ではなく、誰もがそうだということです。だから、部下も賢くならなければいけません。会社人生を安定したものにして過ごすために、処世術を覚えることは大切です。しかし部下である以上、立場を間違えると大変なことになりますから、うまく振舞わなければいけません。■上司の扱いに失敗してしまったケースX社では、最近売上が落ち込んでいました。毎日17時になると、各グループで〆会がおこなわれて売上が読み上げられます。その際に、ボウズ(売上ゼロ)の社員はグループの全社員から詰問を受けます。「どうしたら○○さんの数字が上がるようになるのか」「なにが問題なのか」を永遠に話し合うのです。そのような日常の繰り返しで、営業マンは一年中ノルマに追われています。朝7時に出社を強制されて、終電間際まで残業が続きます。しかし年俸制で裁量労働なので残業代は出ません。過重労働で社員は疲弊しています。部内で体調異変をおこした人が多かったことから、吉沢君は川口課長に「メンバーから残業の不満が噴出している旨」を報告しました。川口課長も「わかった、部長に掛け合ってみる」との返事。ところが、日が明けると、川口課長からはメンバーに対して厳しい叱責がありました。「残業が多いのは売上が足りないからだ」「売上を達成すれば定時に帰ろうが自由だ。自らの怠慢を会社のせいにするんじゃない!」吉沢君は「話が違う」と詰め寄ります。「そんなことは知らない」と川口課長。課長を信用した吉沢君がお人よしだったのです。では、吉沢君はどのように対応すべきだったのでしょうか。■ダメ上司には予防線を張って交渉する吉沢君は川口課長に「メンバーから残業の不満が噴出している旨」を報告しました。川口課長も「わかった、部長に掛け合ってみる」との返事。ここまでは変わりません。ここで念押しが必要です。川口課長に「部長は首をたてに振ってくれますでしょうか?信頼の厚い川口課長からの話ですから大丈夫とは思いますが気になります。課長が難しいと思うなら辞めておきましょうか?」とさりげなく自尊心をくすぐります。「とりあえず部長に話してみるよ」。こうなったら、川口課長は自らの意見として部長に話さなくてはいけません。部下の話を部長に話すのとは事情が変わってきます。責任感に乏しい上司をコントロールするには予防線を張らなくてはいけません。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月23日みなさんは、セミナーでの講演、研修などの講師をした経験はありますか?もしあるかたは、その際の留意ポイントは何でしたか?「見込み客を獲得すること」「参加者に理解してもらうこと」など、様々な意見があるかもしれません。市場調査の株式会社矢野経済研究所によれば、2015年度の企業向け研修サービス市場規模は前年度比2.3%増の4,970億円とあります。企業の人材採用意欲が活発化したことにより、新入社員向け研修の需要が引き続き増加し、一部では研修施設や講師の供給が追い付かない事態も発生しているようです。外部の供給が追いつかない場合は、内部社員のアサインも充分に想定ができます。いずれにしても、講演や講師の機会がいつ何時あなたにやってくるとも限りません。自らのキャリアアップのためにスキルは磨いておきたいものです。私も講演や講師をすることがありますが、実は講演を成功させるポイントは受講者に内容を理解させることや納得してもらうことではありません。その場面で否定的な意見を出さないことです。講演や講師をする際、大人数のほうが弁士は楽なのです。100名を超すような規模になれば参加者との距離が遠いので、話すことに集中することができます。ところが10~30名程度の小規模ケースでは、お互いの距離が近いため、緻密な関係性を構築できる一方で、進め方にはテクニックが必要になります。今回は、少人数をシミュレーションしたケースをお話しましょう。以心伝心という言葉があります。会場の参加者が30名程度であれば、否定的な意見や質問が出ると、それがそのまま会場に伝わって空気や雰囲気が一変することがあります。これは注意しなければいけません。丁寧に対応することは大切ですが、質問にまともに答えるとドツボにハマることがあります。最初に、「相手を威圧してスポイルする技術」についてお話します。■1:相手の意見をスポイルする前提条件は、相手の立場が自分より低いことです。対象が新入社員や新任管理職などで、力関係で自分のほうが勝っている場合です。それほど難しい質問でない場合は、「Good Question(なかなかよい質問です)」と対応すると良いでしょう。「Good Question」と答えている時点で、自分の立場が上であることを印象づけますから、必要以上に突っ込まれることはありません。また「Good Question」と答えている間に回答内容を考えることもできます。しかし上から目線の言い方ですから一歩間違えると批判を買います。より一層、丁寧な対応が求められるでしょう。■2:相手をヨイショしてスポイルする次の技術の前提条件は、相手の立場が自分より上の場合になります。対象が管理職や上級管理職などで、力関係で自分が同等か劣る場合です。また、より丁寧な対応が求められる局面も該当します。管理職以上の職責の場合、相手はそれなりに実務経験があり自尊心が高いことが予想されます。相手が間違っていたとしても、自尊心を損なったら大変です。参加者全体を鳥瞰して、答えることが得策でない場合は、回答をせずに事態を切り抜ける方法を考えなくてはいけません。このような場合は、「いまの質問は素晴らしいです。先日、○で有名なX社の役員会に出席してきました。そこに同席していた企画担当役員の専務が同じ質問をされました。かなり鋭い質問で、すぐにお答えできないので後ほどで宜しいでしょうか。申し訳ございません」と答えると良いでしょう。「○とX社の部分」には、その場に相応しいと思われる、商品名や会社名を入れて答えてください。このような対応で「相手の自尊心をくすぐる」ことができます。まず「○で有名なX社の役員会に出席してきました。そこに同席していた企画担当役員の専務方が同じ質問をされました」という回答をすることによって、「質問者の問題意識や視点は○で有名なS社の企画担当役員の専務と同等」という印象を与えることができます。実はこの方法はかなり効果的です。相手の自尊心は満足されて、それ以上、話しが難しい方向性に進むことはありません。場の空気が、ネガティブな方向に派生しそうになった時にも効果的です。相手の太鼓を持ちながらドンドン叩くことをお勧めします。*ここで紹介したスキルは場面を選びません。社内、営業、会議など、全ての場面で応用することができます。営業会議などでは、上位役職者の声が大きいと、萎縮して意見が出なかったり、否定的な意見に終始してしまったり、論点が分からなくなるようなことがあります。そのような時には使用する絶好のチャンスです。なお、使用量は1日1回にしてください。使用量を間違えると、途端にウソっぽくなってしまいます。用量、効能などのほか、使用上の注意、副作用に留意してください。使用量はお間違えなく。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月22日「採用のミスマッチ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。採用する企業と学生との間に認識のズレがあり、入社後にギャップが生じて、新卒社員が早期に離職してしまうことを指します。大卒(大学院)新卒社員の3割が、3年で離職するのだとか。このミスマッチが生まれる理由は、おもに2つあるといわれています。■採用のミスマッチが起こる2つの原因(1)厳選採用への移行の失敗近年の新卒採用は、学生を厳選しようという傾向が強くなっています。とりわけ強くなっているのは、有名大学出身の優秀な学生を採用しようとする意識。ところが、採用基準に適合しない学生でも採用しないと採用計画を充足できないため、不適合な人材が入社後にミスマッチを引き起こしているというのです。(2)大学進学率の高まりと学生の質の低下少子化による18歳人口の減少が続いています。ところが、大学進学率はこの20年間で倍増しています。新設大学が増えて学部も増加した結果、18歳人口が減少しているにも関わらず、学生数は増えているのです。大学・大学院卒の就職希望者数も約2倍に増えています。学生数を確保したい大学側が推薦入学やAO入試に注力した結果、学生の質が低下し、就職が困難になっているという指摘もあります。企業が求める能力を有していない学生は就職の選択肢が狭くなり、希望する職に就くことができないため、ミスマッチが起こりやすくなっているというのです。■実は採用のミスマッチなど存在しない厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」では、昭和62年から平成26年度までの離職率データを確認できます。これによると、規模・職種にかかわらず、過去と現在の数値はさほど変わりありません。大学卒で見ても、30%台前後で推移していることがわかります。ミスマッチは、昭和40年代の高度経済成長時代から社会問題として取り上げられていました。昭和40年代ですから40年以上前になりますが、当時の数値と現在の数値にそれほどの乖離は見られないのです。しかし就職情報会社は、「3年で3割も辞めるんです。だからミスマッチです!」と強調します。では、この数値を検証してみましょう。ソースは2010年以降のものを参照します。アメリカ労働統計局によれば、大卒者が32歳までに平均8回転職することが明らかになっています。イギリス国家統計局のデータでは、大卒者が入社4年以内に3回以上の転職をする割合は「男性22.7%、女性26.4%」であり、大韓民国統計庁によると、大卒者が初めて入社した会社の平均勤続年数は2年未満、3年後の離職率は7割を超しています。各国の調査結果は調査項目が統一されていないため比較が難しいですが、少なくとも日本のミスマッチとされている基準(3年3割説)が高いとはいえません。各国の数値と比較しても高くないということは、日本のミスマッチの定義自体がそもそも間違っているということです。ミスマッチは、過去から続いている市場の法則だということがわかります。ミスマッチがクローズアップされることが極めてナンセンスなのです。■矛盾だらけの新卒採用は変わらない!個人のキャリアを形成するのは、企業名ではありません。入社した企業に対して、それを期待しているとしたら大きな間違いです。特に有名企業や大企業に入社した人にありがちなのが、根拠のない自信と優越感です。有名企業や大企業に入社するためには、相応の努力と運が必要とされます。しかし、人生の勝利者のごとく勘違いをしてしまう学生がいます。これは新卒採用の矛盾が引き起こした悲劇といわざるを得ません。新卒採用という慣習が今後も継続する限り、ミスマッチという言葉がなくなることはないでしょう。企業も学生も既に気がついているはずです。新卒採用が矛盾だらけであることを。そして、なにも変わらない新卒採用が毎年繰り返されることになります。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月20日内閣府の調査によれば、平成26年中における自殺者の総数は25,427人。若干の減少傾向にあるともいわれていますが、年間に約3万人が自ら命を絶つという現実がそこには存在します。また、うつ病を含むメンタルヘルス疾患の患者は、平成20年には104万1,000人に達しており、平成24年に精神障害で労災認定された人は、3年連続で過去最多を更新しています。このような状況を鑑みれば、メンタルヘルス対策は緊急課題だと判断することができます。私たちは、この問題に対してなにから取り組むべきでしょうか?『職場がイキイキと動き出す 課長の「ほめ方」の教科書』(左右社)の著者であり、企業向けのメンタルヘルス対策に取り組んでいる、船見敏子さんにお話を伺いました。■上司と部下の間には世代間ギャップがある年間に約3万人の自殺者が発生しているということは、毎日80人弱が自らの命を絶っていることになります。ここに自殺予備軍を含めれば、かなりの数値になることが予想されます。原因については諸説があるものの、数が減らないということは、そこに根本的な問題が潜んでいると考えることができます。メンタルヘルス疾患については、一般的に問題視されているものとして、パワハラ上司の存在があります。これは組織分析などを実施すると傾向が明らかになります。たとえばパワハラ上司の影響によってマネジメントがともなわない部門は、業績が低迷していたり、離職率が高かったり、メンタル不調者が多いなどの傾向があるからです。これらの情報は、人事データとして会社で把握していると思うので、社内の各部門と紐付けをして比較をするだけでも、結果に対する要因が明らかになると思います。「最初に、管理職やリーダーのマネジメントスタイルについて、棚卸しをする必要があります。これは上司のテクニカルな問題ではなく、世代間における意識の違いを把握しているかという点が重要です」(船見さん)現在の管理職に多い40代は、俗にいうバブル世代です。バブル景気を経験したこの世代には、イケイケで、チャレンジ精神旺盛な人が少なくありません。■上司がギャップを認識しないと変わらないちなみに上の世代には「新人類」(世代区分として1961年生まれから1970年)がいて、下の世代には「団塊ジュニア」(第二次ベビーブームの1971~1974年)が存在します。一方で、いまの若手はジェネレーションZ(1990年以降に生まれた層)といわれる世代です。草食系という言葉があるように、彼らはガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な傾向があります。「いまの40~50代は若いころ、上からガツンと怒鳴られ怒られダメ出しされて育ってきた世代ですね。ところが、部下になる若手にはそのような免疫がありません。上司から怒鳴られ、失敗すれば詰問され、人格にダメ出しをされ、参ってしまうのです」(船見さん)上司が世代間における意識の違いを認識しない限り、この傾向は変わりません。「よかれ」と思って指導したことが、部下にとっては「パワハラ」として認識されてしまう可能性があるのです。■上司は「怒ると叱る」の違いを理解すべきこれらの問題は、マネジメント研修やコミュニケーション研修などのテクニカルスキルで解決できるものではなく、世代間ギャップが存在することを認識することからはじめるべきです。上司は、時代背景を理解して自らの指導法を見つめなおさなくてはいけません。「最近の若者は折れやすい」といった傾向からもわかるとおり、プレッシャーやストレスを与えてもなんら好影響を与えないことを理解しなければいけません。船見さんは、上司が理解すべきこととして「怒る」「叱る」の違いを挙げています。この2つの違いとは、相手と自分、そのどちらを大事にしているかという点にあるそうです。「『怒る』は、相手の行動によって感じた怒りを一方的にぶつける行為です。自分の感情を表現しているため、相手の気持ちは大事にしていません。一方、『叱る』は相手のためを思って教え諭す行為です。相手のことを大事にしているわけです」(船見さん)実際の現場では、「怒る」が圧倒的に多いのではないかと思います。しかし、成果が出ないことに怒ったところで結果は変わりません。■人格否定せず具体的に改善点を説明すべき「怒る」「詰める」が危険なのは、人格否定につながることです。たとえば、成果が挙がらない時に、「もういいよ、お前は!」「お前は、本当になにもできないんだな!」「お前は給料泥棒か!」と罵ったところで、本人は意気消沈してモチベーションが下がるだけです。「このケースでは、『お前』という人格を否定しているだけです。こういう場合は、『これについては、こうすべきだったね』と、行動に対して注意をすべきです。自分の感情に振り回されないようにクールダウンしてから『叱る』ようにしましょう」(船見さん)いま上司には、安定的に成果を挙げるマネジメント力が求められています。しかし、どんなに高度なテクニカルスキルを学んでも、部下との信頼関係が構築できていなければ成果を挙げることはできません。*部下がいる方は、今日できることとして「怒る」「叱る」の違いが理解できているか、確認する作業をしてみてはいかがでしょうか。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【取材協力】※船見敏子・・・心理カウンセラー、メンタルヘルスコンサルタント。産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士、メンタルレスキュー協会CPSを保持。 【参考】※7/27 (水) 船見敏子先生 不調者を出さない“ほめ”マネジメント講座-左右社
2016年07月18日ビジネスシーンでは、「仕事が速い」という表現を使うことがあります。仕事のクオリティも重要ですが、それ以上に評価されるポイントとなるのがスピード。「仕事が速い」ということは「仕事の効率がよい」という評価につながるため、「仕事がデキる人」と思われやすいのです。実際、『マイナビニュース』が会員300人に仕事がデキる人の条件を調査したところ、「仕事が速くて正確なスピードタイプ」がそのひとつにあがっています。石川和男さんも「間違いなく、仕事の速さは、仕事がデキることを占うバロメーターです!」と語ります。石川さんはいま、建設会社総務経理担当部長、大学講師、大原簿記専門学校講師、セミナー講師、税理士など、5つの仕事を掛け持ちしている人物。これだけ仕事を抱えていると、かなりの多忙かと思いますが、「仕事が速い!」ため、思ったほど多忙ではなく仕事もプライベートも充実しているとのこと。先述の調査で、自分は仕事がデキると思っている人はわずか17.7%ということもわかっています。大体6人に1人しかいないということは、デキる人になる極意が気になるはず。今回は、「仕事のスピード」をテーマに話を伺います。■速くこなすには部下に仕事を任せることが大事以前にくらべ、プレイングマネージャーが増えたように思います。プレイングマネージャーとは、部下の育成を行う「マネージャー」としての役割と、売り上げに貢献する「プレーヤー」としての役割を担うポジションのことを指します。私の周りにもプレイングマネージャーとして働いているリーダーが多くいますが、「仕事が終わらずに残業続きだ」という話をよく聞きます。このような立場にある方は、どのようにして仕事を速く片づければよいのでしょうか。経験のある人であればわかると思いますが、プレイングマネージャーの仕事は決して楽ではありません。いつも数字を追いかけ、部下の板挟み。そしてなにより、マネージャーでありながらプレーヤーとしても成果を上げなければなりません。このように激務なリーダーが仕事を速く終わらせるためには、仕事の効率を追求する必要があるのです。「仕事の効率を追求しても限界が生じます。まずは部下を一人前に育てあげることが大切です。それは部下に仕事を任せることです。失敗と成功を繰り返しながらでしか部下は成長しないからです。ところが仕事が遅いリーダーは、部下に仕事を任せません」(石川さん)これには、上司の心情やスタイルが影響を及ぼすように感じます。有能な部下がついた場合、部下に仕事を任せると自分の仕事がなくなります。また、部下が成長して自分が追い抜かれるのが心配などの理由で任せられないこともあります。また、別の理由もあるでしょう。仕事ができない部下がついた場合、任せてミスをされるのが心配、自分でやった方が速いなどの理由で安心して任せられません。結局、仕事が遅いリーダーは、どんな部下がついても仕事を任せず、ひとりで抱え込んでしまうことになるのです。「部下を一人前に育て上げるという重要な仕事を放棄したうえに、なにからなにまで自分でやろうとするために時間もかかり、仕事が遅くなってしまうのです」(石川さん)■部下を有効活用すると自らの評価も高められる仕事が遅いリーダーは、どんな部下がついても有効活用するどころか、仕事を任せようとしません。そのため部下の成長も、自分の仕事の時間も長引かせてしまいます。ところが、仕事のキャパが増えれば同時に処理能力も高める必要が生じます。仕事が遅いリーダーは、仕事を自分で抱え込むので毎日遅くまで残業しています。一方、仕事を任せてもらえない部下は、モチベーションが下がります。「仕事を任せられる」ことは、部下にとっては上司から信頼されたということでもあります。ここは、気持ちよく仕事を任せるしかないようです。「仕事が任せられなければ、現状の仕事に忙殺されて、いつまでもワンランク上の仕事ができません。ワンランク上の仕事=ジョブサイズが上がりませんから、悪循環のスパイラルに陥ってしまうのです」(石川さん)そうならないためにも、部下に仕事を任せることは必要です。しかし仕事を知らない部下に任せるのは時間と手間がかかるため、これも大きなストレスになります。たしかに教えるコツや、日ごろの部下との人間関係性も必要ですから、最初は時間と手間がかかります。しかし、はじめて自転車に乗る練習をしたときは転んで身体が傷だらけになりますが、上達すれば歩くより格段に速く移動できるようになります。仕事と自転車の練習を一緒にすることはできませんが、部下が育つまでの長期的視点が必要になるのかもしれません。*「パソコンをはじめたときはキーボードを叩いて文章をつくるのが大変ですが、上達すれば手書きより格段に速く仕上がります。部下に仕事を任せたときは、最初は遅くても、最終的には、任せることで仕事が格段に速くなることを期待しながら待つしかありません」(石川さん)また、仕事をともにするなかで、部下から仕事のノウハウを学ぶ機会があるかもしれません。知らないことを部下から謙虚に学ぶ姿勢も大切でしょう。プレイングマネージャーだとしても、できることは部下に任せ、マネジメントに力を注ぐことで好循環のスパイラルを生む。それが「仕事が速いリーダー」になるコツかもしれません。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【取材協力】※石川和男・・・建設会社総務経理担当部長、大学講師、大原簿記専門学校講師、セミナー講師、税理士など5つの仕事を掛け持ちするサラリーマン。6月に上梓した、『仕事が「速いリーダー」と「遅いリーダー」の習慣』 (明日香出版社)が、発売3週間で4刷のベストセラーに。 【参考】※「仕事ができる人」ってどんな人?→「仕事が速いスピードタイプ」「コミュ力が高い」-マイナビニュース
2016年07月17日女性の社会進出に伴い、多くの企業にとっては女性活用の場を提供することが重要テーマのひとつになっています。これまでも、男女差なく女性に開かれた職場づくりは努力義務とされてきました。しかし一部の企業を除き、なかなか整備が進まない現実があるのも事実。福利厚生の充実や託児所を設けるなどの整備を手がけている企業もありますが、必ずしも一般的ではありません。もっと身近な取組みによって、職場環境を劇的に変化させる方法があるのです。「女性活用を考えるのであれば、女性の意見に耳を傾けることが大切です」。そう答えるのは、コミュニケーション力やリーダー力向上などの人財育成を手がける、沖本るり子氏さん。その秘訣は「会議」にあるといいます。ご自身が参加されている会議と照らし合わせながら読み進めてみてください。■会議は個人の成長を促すツール会議と聞いて、憂鬱な気持ちになる人は少なくないと思います。「いつも同じ人が発言していて会議の輪に入れない」「話が長くて、なにがいいたいのかがわからない」「脱線や迷走が多く、議論がなかなか進まない」「結局、声の大きい人によって結論がひっくり返される」など。心当たりはないでしょうか。このような会議は建設的な議論が難しくなるので、「時間のムダ」と思っても当然。結果的に、参加者の意識も希薄になりますから、「今日も、とりあえず出席していればいいか」「最後は部長が決めてくれるだろう」と姿勢も投げやりになってしまいます。会議は本来、ノウハウを知って正しく活用すれば、組織の問題解決や課題クリアに役立つだけでなく、個人の成長をも促すことができる素晴らしい「ツール」です。ところが、会議を効果的に活用できている企業は、残念ながらとても少数です。「会議には、さまざまなタイプの人が参加します。ある意味、会議の場は『会社の縮図』であるともいえます。参加者をよく観察して発言を聞くことで、志向性や組織内の力学を把握できます。そうすれば、会社内での人間関係をより潤滑にし、対応力をアップすることも可能です」(沖本さん)■会議をうまく進めるためのコツ自己中心的で自分の意見ばかりを強引に主張するタイプ、常にリスクやネガティブなことをいい出して徹底的に批判するタイプ、自分の意見は持たず、会議の成り行きを見て有利なほうにつこうとするタイプなど、出席者の個性もいろいろ。「会議が建設的なら問題なく議論は活性化するのですが、残念ながら建設的な会議はごく少数です。会議を建設的に進めるには、参加者のタイプを調整することも必要。対応次第では会議の質を高めることが可能です。または事前に会議の進め方ルールを徹底することも大切です」(沖本さん)参加者は、どのような意識で参加することが望ましいのでしょうか。会議の際に、悪影響を及ぼすのは「ネガティブオーラ」です。それこそ、重箱の隅を突っつくような人。しかしルールをつくっておけば、マイナス意見が出たとしてもマイナス面の対応策を考える時間を設ければいいだけ。議論がネガティブな方向に進むことはありません。「マイナス面を出しっぱなしにするのではなく、『では、どうすればいいのか』と全員で考えるのです。改善策、予防策を考えることができるので、建設的な議論が進めば問題になりません。会議によって参加者がリスク管理や危機管理能力を身につけることができるということです」(沖本さん)たしかに、男性よりも女性のほうが細かい点に気がつく視点をもっています。そのぶん、リスク管理や危機管理に長けていると考えることもできそうです。また、会議を通じ、物事の見方や考え方をプラス・マイナスの両面で捉えることは大切です。■バラバラな意見を収束する方法全員の意見が出尽くしたのち収束させるには、どのような方法が望ましいのでしょうか。一般的には多数決で、もっとも自分に近いと思われる意見に投票することが多いと思います。しかし、多数派の意見を採用することで、少数意見を抑圧する可能性があります。政治の世界ではなく会社ですから、周囲との軋轢は残したくないものです。「会議をまとめる際、どの案を採択するかを点数制で決めます。参加者の持ち点は1 、3、5、7、9、11、13点。いちばんよいと思うアイデアに13点をつけます。そして次々と各持ち点をつけましょう。優先順位をつけ、点数化して集計することで、公平性が保たれます」(沖本さん)優先順位をつけるやり方には、自分の案が採用されなかったとしても、否定されたわけではないので軋轢を生みにくいというメリットがあります。女性は周囲との共感やコミュニケーションを重視するので、女性視点を吸い上げることは大切です。女性が積極的に意見を述べて、参加意識が高い会議にするには、女性を動機付けるためのコツが必要になると思います。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【取材協力】※沖本るり子・・・株式会社CHEERFUL代表。「5分会議」を活用した人財育成に定評。コミュニケーション力、リーダー力などを向上させる人財育成や組織活性化のコンサルタントとしても活動中。強み弱みではなく個人の個性を活かす内容に特徴。
2016年07月16日簡単そうで難しいのが接待です。客人が有名人や著名人なら、緊張して冷や汗ものです。こちらが上司で、客人との人間関係が構築されているなら、なにを飲んでも問題はありません。問題は部下の場合です。上司を交えての接待であれば、原則はアルコールを飲まないことです。しかし、まったく飲まないわけにはいかないときもあるでしょう。■接待の際にもっとも理想的なお酒は何かそのようなとき、私は基本ベースをウーロンハイにしていました。フレンチもイタリアンも和食のときも同じです。最初の一杯をウーロンハイにし、時間をかけてゆっくり飲みむのです。やがて、上司と客人ができあがってきたらしめたもの。ドリンクを下げてウーロン茶に変更します。色は同じですから、ウーロンハイを飲んでいるように見えるわけです。「おぅ、お前も飲んでいるか?」と聞かれたら、「飲んでおります。ウーロンハイをいただいております」と答えれば、雰囲気を壊すこともありません。あとはテーブルクリーンに集中します。空いたお皿があれば片づける。小皿が足りなくなれば用意する。こうしているうちに、客人はお酒が入ってじょう舌になりますから、あとは飲むふりをしながらせっせと仕事に徹していれば、勝手に時間は過ぎていきます。■接待の席でお酒を控えたほうがよい理由客人を見送るまで緊張が解けないかも知れませんが、接待を嫌がるようでは出世できません。滑らかに自然に接待することによって、評価を高めることができるのです。特に客人がお偉い方で、上司も社内的立場が上の人であれば、クローズな会話を聞けるかもしれません。ただしそのようなときは、聞いていないふりをしなくてはいけません。上司と客人が主人公ですから、気を効かして会話に入る必要性もなし。客人と上司の様子をみながら、聞き役に徹すればいいわけです。接待の席でお酒を控えたほうがよい理由は、お酒のトラブルやミスを防ぐためです。調査ニュースサイト『ハレルヤ』が2015年12月に実施したアンケート調査によれば、お酒で失敗した経験がある人は46%。これを、お酒を飲む人に限定すると65%にものぼります。接待の席において、部下は全体を仕切る役割を求められますから、やはり飲酒は控えたほうが望ましいと思います。■接待のお開きは宴もたけなわぐらいが理想話が盛り上が理、時間が経つのが早いときこそ要注意。宴がはじまって2時間が経過したら、料理の配膳状況を確認して、客人の様子を見ながら仕舞いにするのか見定めてください。「宴もたけなわ」が絶好のタイミングです。「時計を見る」「ケータイを気にしている」「そわそわしている」など、ちょっとした態度や様子を見逃さないようにしてください。そして、自然に「お時間大丈夫ですか」と声をかけなくてはいけません。このひとことは、客人と上司の双方がいる場でかけるのがポイントです。なぜなら、双方の意志を確認しなければいけないから。そして散会になったら、本日お越しいただいた御礼をして、ていねいにお見送りをするまでが部下の仕事になります。上司が「使える=気が利く」と思えば、再度リクエストの声がかかることでしょう。これは上司から評価されていることにほかなりません。そのことを喜んで、積極的に接待に臨んでください。これは、他のライバルや同僚にはできないブルーオーシャン(競合相手のいない領域を開拓すること)を獲得したことを意味します。また、接待の一連の流れは何回か経験すればわかるようになります。私の経験上、社会的に地位がある人は、お酒を飲まないか、飲んだとしてもほとんど変わりません。お酒を飲んで豹変する人はご注意ください。■どうしてもお酒が飲めない人の切り返し方なかにはさまざまな理由によって、お酒が飲めない人もいるでしょう。そのような場合は次のように切り返してください。「申し訳ございません。少々風邪気味で、先ほど風邪薬を飲んでしまいました」。お酒と風邪薬のセットは厳禁というほど、危険な行為とされています。アルコールを飲むと、肝臓が解毒をするために他の機能より優先してアルコールを代謝しようとします。風邪薬の解毒が上手くいかなくなって肝機能障害を引き起こす危険性があるからです。通常であれば、風邪薬を飲んだ人に飲酒を勧めることはしないはずです。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【参考】※【お酒の失敗談】洋服を着たままシャワー!? お酒に酔って失敗した経験者は46%-ハレルヤ
2016年07月15日2017年3月卒業・修了予定の就職活動スケジュールが6月にスタートしました。しかし大手有名企業の採用は、6月時点で既に終了しています。採用関連事業にたずさわっている人には周知の事実として認識されていますが、多くの学生はこの事実を知りません。学生向け採用サイトや就職情報誌では、内定を取るための秘訣がていねいに披露されています。しかし、残念ながらその多くはムダな情報です。■学歴差別の存在を理解しなければいけない新卒採用関連の媒体には、各社の採用意欲が高まっている記事がならびます。ところが、企業にとってもっとも大きな関心事は学歴です。特に最近は、「学力重視採用」への回帰が発生しています。面接で見分けられない人物素養よりも、大学、成績、SPI等の検査で数値化できる学力に重きを置くのはむしろ当然の流れかも知れません。企業が学力を重視する理由は主に3つ挙げられます。まず、有名大学の学生には、原則的に外れが少ないことが挙げられます。入社試験をやらせても高得点者は有名大学出身の学生のほうが多く、受験競争において勝ち残ったことが、実績として評価されています。次に、企業におけるこの共通項のひとつが学閥になります。特に大手企業には学閥が存在することが多く、学閥=採用実績校となるため、採用実績校ではない学生は事前にふるいにかけられることが多くなります。3つめが、「採用がうまくいった」という本質的な理由は、「有名大学の学生が何名採用できたか」にあります。たとえば、みなさんが採用担当者で今年の採用の成果を上司に報告をしたとします。おそらく上司は、「どこの大学の学生が何名採用できたか」について報告を求めるはずです。有名大学でなかったり、採用実績校ではない学生では、仮に人物的に優れていたとしても上司は評価することが難しくなります。■ES作成に時間をかけることは時間のムダ大学のキャリアセンター(就職課)では、採用の専門家を講師として招き、学生向けの自己分析講座を開設しています。自己分析とは、過去の経験から価値観などを整理し志向性を明確化させて、自分の強みや弱みのたな卸しをしながら、自分自身の軸を発見すること。多くの学生の目に、自己分析は新鮮に映ることでしょう。しかし「企業の採用と学生の就活」の双方にたずさわった経験から申し上げるなら、学生が自己分析に力を注いでも、就活にはほとんど役立ちません。むしろ、「自己分析で見つけた強み」は単なる思い込みであって、誇大妄想になりかねません。誰もが実績として認めて数値化できるようなものでない限り、自己分析が他者と一線を画するほどのオリジナリティに溢れていることはありえません。また、「エントリー数を絞って、1社あたりの力の入れ方を変えなさい」と指導をしている就活講座や就活本が多いですが、エントリー数を絞ることは自らの可能性を狭めることと同じです。エントリー期間を過ぎてしまったら、二度とエントリーができません。発車してしまった電車に飛び乗ることはできないのです。エントリー数を絞ることは選考の機会を逸することを意味します。就活において受験する企業数をある程度確保することは大切です。志望したい企業には、片っ端からエントリーをしなくてはいけません。そのため、エントリー段階で必要とされる、エントリーシート(以下、ES)は業界別に数種類を用意してください。昨年、ESを手書きにするかPCで作成するかが話題になったことがあります。基本は企業名を変えるだけで使用可能なコピペのESで充分です。ただしコピペは、一から丹念におこなってください。コピペミスは決定的なダメージとなって跳ね返ってくるからです。また間違っても自筆では書かないことです。効率性を重視してPCで作成してください。■就職活動で自己分析をするのは愚の骨頂!先ほど、自己分析が時間のムダであることを申し上げました。自己分析の最大の問題点は「自分は何者かを探し求める」あまりに、自分を勝手に型にはめてしまうことにあります。事業で成功して社会的に地位のある人でも、自己分析ができていない人はいます。自分の軸がブレている人もたくさんいます。それ自体が悪いことではありません。軸を持たずに、自分のやりたいことを目まぐるしく変化させるのは、好奇心が強く柔軟性があるためです。決してマイナスではありません。また就活の結果で、その後の人生が決まるわけではありません。就活に人生の大切な時間をかけるよりも、他にやるべき大切なことを見つけて時間を費やすほうが、はるかに意義があると思いませんか。(文/コラムニスト・尾藤克之)
2016年07月14日研修の場で使用されることが多い「まったく間違っている法則」が存在します。それは「メラビアンの法則」といわれるもの。ご存知のない方のために、ご説明したいと思います。情報の伝達経路には、視覚(55%)、聴覚(38%)、言語(7%)の3つの要素があり、それぞれの伝わる頻度を数値化したものが「メラビアンの法則」。これらの数字を並べると、55387になるわけです。先日も、あるテレビ番組を見ていたところ、この法則が取り上げられていました。しかも、かなりの実績のある講師が、知ったかぶりで説明をしていたのですから驚きです。メラビアンの法則は、約20年ほど前にコミュニケーションの技術として広まりました。しかし現在では、提唱したメラビアン自身が「間違った伝わり方をしていること、日常では使用できないこと」を明言しています。ところが提唱者の思惑とは相反して、未だにメラビアンの法則は使われ続けているのです。なぜでしょうか。■メラビアンの間違った伝わり方「参考例」イメージしやすいように、実際の使われ方を説明してみます。研修では次のような感じで説明されていることが多いのではないでしょうか?(これはあくまで“間違った解説の方法”ですのでご注意を)~ここから~視覚(ビジュアル)は、相手と会って直接コミュニケーションをとることです。ところが、相手と直接対面しても55%しか伝わりません。だから、より伝わりやすいようにノンバーバル(身振り手振り)が必要となります。プレゼンや商談の際には、相手により伝わるようにノンバーバルを活用しなければいけません。次に聴覚(音声)です。聴覚(音声)では、伝えたいことの38%しか伝わりません。聴覚とは音声ですから、電話がそれにあたります。ところが電話で話していても、伝えたいことが伝わらないことってありませんか?そこで、伝わりやすいように声に抑揚をつけなければいけません。次に言語(文字)です。言語(文字)では、伝えたいことの7%しか伝わりません。メールって伝わりにくいですよね。メールでコミュニケーションエラーを起こした経験のある人はいませんか?さらに、メラビアンの法則をよりわかりやすく伝えるために、エピソードを用意します。ノンバーバル(身振り手振り)の使い方のうまい人として、誰を思い浮かべますか?いい例がApple社の故スティーブ・ジョブズ。彼は、ノンバーバル(身振り手振り)を交えながら、壇上を右へ左へと歩きまわることで知られていました。このような動作を入れることで、より相手に伝わりやすくなるのです。さあ、部下や同僚、お客様とのコミュニケーションをより潤滑にするために、今日からメラビアンの法則を取り入れてください。視覚(ビジュアル)55%、聴覚(音声)38%、言語(文字)7%。各数字を並べて「55387」です。これは「ゴーゴー(55)サバ(38)ンナ(7)。ゴーゴーサバンナ」といいます。はい声を出していいましょう「ゴーゴーサバンナ!」。今日からすぐに実践できるテクニックです。~ここまで~これは笑いごとではありません。無知な研修講師の間で、まことしやかに伝えられている悪魔の法則なのです。■メラビアンの法則はなぜ矛盾しているのか言語(文字)だけで7%しか伝わらないなら、文書はどうなるのでしょうか。7%しか伝わらないなら、文書で残しても93%の人に伝わらないわけですから、文書の必要性がなくなります。また、業務のやり取りやはメールでは成立せず、書籍なども著者の意図している7%しか伝わらないことになります。聴覚(音声)も38%しか伝わらないなら、外出先から上司に業務報告の電話をしても、38%しか伝わらないことになります「報・連・相」が機能しませんから、社内マネジメントに深刻な影響を及ぼします。視覚(ビジュアル)で55%が理解できるのなら、母国語でない吹き替えなしの映画を見て55%も内容が理解できることになります。言葉がわからずに内容の55%が理解できるとは驚きです。なぜ、このようなトンデモ理論がいまだに使われるのでしょうか。これは私の推測ですが、「55%+38%+7%=100%」なので、数値の指標として使いやすいからではないでしょうか。また、社会におけるコミュニケーションの重要性は誰もが理解していますから、コミュニケーションを説明するにあたって便利な指標なのだと思われます。ところが困ったことに、未だに“メラビアンの法則の素晴らしさ”を教えている先生が大勢いらっしゃいます。学生向けの就職セミナーや、ビジネスマナー研修などで形を変えながら受け継がれているようです。■メラビアンが自身のサイト上で注意喚起!メラビアンの実験は「maybe」いう単語をさまざまな声質で録音して聞かせ、どのような印象を受けたかを測定するものです。強い発音では、普通の発音よりも「そうかもしれない」と感じたことが立証されました。研究自体は、「視覚」「聴覚」「言語」で情報が与えられた際の受け止め方を測定するものでした。もし研修やセミナーで、メラビアンの法則を教えている人がいたら、質問をしてみてください。「メラビアンの法則はどのような実験をもとに導き出されたのですか?」と。ほとんどの講師が答えられないはずです。原文を読んだ講師はまず存在しないでしょうから。ご関心のある方は、メラビアン博士のHP(Mehrabian and nonverbal communication)をご覧ください。そこにはある一文が記されています。「these equations are not applicable」(メラビアン法則は使用できません)。講師がなにを話そうと勝手ですが、私は強い違和感をおぼえます。みなさんも、「メラビアンの法則」にはご注意ください。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【参考】※Mehrabian and nonverbal communication-Presentation Tips from Olivia Mitchell
2016年07月13日「つきあってはいけない3B」という言葉を聞いたことがありますか。3Bとは「美容師」「バーテンダー」「バンドマン(ミュージシャン)」の頭文字を取ったものです。3Bの職業の人は、自由人が多く、薄給で将来性に不安があるため「つきあうと傷つく」といわれています。最近では、3Bにベーシストを加えて4Bと称することもあるようです。今回は、合同会社ケイナイト代表で美容室コンサルタントの田中敬さんに3Bの実態について伺いました。■3B男性の平均年収と処遇の実態日本最大級の年収ポータルサイト『平均年収.jp』によれば、美容師の平均年収は280万円(平均年齢29.3歳)とあります。平均勤続年数は約6年。月収は、店長クラスで約30万円、個人経営の店長で50万円程度です。バーテンダーはどうでしょうか?こちらも平均年収は300万円未満です。基本的には夜の仕事なので、生活は不規則になりがち。雨の日も風の日もひたすらお酒をつくり人の話を聞くのは大変かもしれません。バンドマン(ミュージシャン)は、メジャーと契約する売れっ子であればかなりの年収を稼ぐことも可能です。売れなければ年収100万程度ですから、かなりギャンブル性がありそうです。そのなかでも、交際や結婚をするなら美容師がよいそうです。「やはり、オシャレな感性を持つ人が多く、つきあうと楽しいと思います。美容師は一般の会社員と異なり賞味期限が決められていますから、みんな必死なのです」(田中さん)美容師という職業にはオシャレで派手な印象がありますが、賞味期限があるので派手そうに見えても遊ぶ時間はないようです。少なくとも一般のビジネスパーソンのほうが、はるかに時間やお金にも余裕があるとのこと。「40歳以上の勤務美容師はほとんどいません。35~40歳あたりで独立をするか、その年齢に至るはるか以前に、他の職業に転職するかどちらしかありません」(田中さん)美容師には収入が低いという印象がありますが、そのあたりはどうなのでしょうか。■美容師男性の平均年収が低い理由平均年収280万円ということは、月額にすれば20万円弱です。それほど高い収入とはいえません。理由としては、美容室に就職し、お客様のカットができるようになるまでに数年かかること、その間(修業時代)の収入が低いため、一般的なスタイリストとして活躍できるようになっても低く抑えられてしまうことが影響しているようです。「中堅以上の規模の美容室でトップスタイリストやチーフスタイリスト(会社でいう管理職クラス)になれば、売上に応じたインセンティブがあり、平均給与の数倍の年収を稼ぐこともできます。もちろんオーナーになればさらに収入が見込めます」(田中さん)これは考え方かもしれませんが、「自分の腕一本で勝負」という醍醐味は一般の会社員には、なかなか経験できないことです。シビアな世界で生きることは大変ですが、多くの会社員が悩むような、リストラや出向、配置転換、セクハラやパワハラはこの業界では無縁のようです。「美容師はお客様と会話をして接客に慣れていますから、コミュニケーション力に長けている人が多いと思います」(田中さん)おつきあいをするうえで、双方のコミュニケーションは大切です。お互いがストレスを感じずに同じ時間を過ごすには、コミュニケーション力の高さは必要なのかも知れません。■美容師男性とうまくつきあうコツ美容師とつきあいたいと思っている方に、つきあうためのハウツーを提示します。美容師は多忙な仕事で自由な時間が少ないことはすでにご説明しましたが、他にも独特な世界観があるようです。そのあたり、やはり一般の会社員からするとわかりにくいもの。意外にも、同業者同士の恋愛はうまくいかないケースが多いようです。「他業種のほうがうまく行っているケースは多いですね。独立という夢を追う職業ですから、それを支えてあげる気持ちも大切です」(田中さん)双方の理解力に尽きるということでしょう。美容師は私服なのでどうしても軽い感じがしてしまいますが、オシャレには気をつかう仕事なので興味がない人には合わないかもしれません。「トレンドをリードしていく職業ですので、流行に敏感であることは重要です。美容師さんがスーツにネクタイだったら、個性やトレンドを表現できませんから」(田中さん)■美容師はプロ意識ないと続かない3Bに限らず、美容師には軽いイメージがつきまといます。しかし、よく考えれば大変な肉体労働。土日出勤で労働時間も長く、立ちっ放しですから大変です。「モテたいだけで美容師になった人は、すぐに辞めてしまいます。やはり、将来の夢やプロ意識が無ければつとまりません」(田中さん)最近は価格の安い店が増えたこともあり、実力のない美容室は厳しい状況にあると思います。独立開業は美容師としての夢ですが、軌道にのれば雇われ時代とは雲泥の差ほど稼げるとのことです。千載一遇のチャンスを狙っている美容師も多いようなので、美容師とつきあって、一緒に夢をかなえるのも悪くないかもしれません。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【取材協力】※田中敬・・・合同会社ケイナイト代表。美容室コンサルタント。新宿にまつ毛エクステ・エステ専門店『EyeDress』を経営。
2016年07月12日かつて成熟市場といわれたヘアケア市場が活性化しています。これは平成26年の新改正薬事法施行に伴い、区分変更がされたことに端を発しています。厚生労働省の統計調査によれば、2014年度の育毛剤市場は1,477億円。そのなかでも、リアップ(大正製薬株式会社)は、約30%のシェアを占めており市場を牽引しています。育毛剤のみならず、ヘアケア全体の市場規模は4,432億円。株式会社矢野経済研究所が「2000年以降は拡大傾向にある」と発表しています。若年層に加え、30代以上の世代もケア意識が高まっているため、メーカー各社も市場拡大に向けて商品開発やプロモーション活動に余念がありません。しかし、こうした傾向に警鐘を鳴らすのが、『髪は増える!』(自由国民社)の著者・山田佳弘さんです。育毛やヘアケアの問題点について伺ったので、ぜひご自身の状態と照らし合わせながら読み進めてみてください。■そもそも髪の毛は自分自身そのものであるまず、多くの人は「効果のある物や方法を実行すれば、髪の毛は元に戻るはず」と思っています。しかし、育毛剤、発毛剤、薬用シャンプー、薬にしろ、驚くような売れ行きを記録しているものも少なくないのに、薄毛人口は減る気配がありません。むしろ増えているくらいです。以前、広告を出した際、山田さんのもとに「お宅ではなにをしてくれるのですか?以前、レーザーでよくなったけど、通わなくなったら薄毛に戻っちゃって、効果的なところを探しているの」といった問い合わせがあったそうです。これに対して、山田さんは「弊社では、ご相談者の問題となっていることを解決するための助言や、ケアの効果を高めるサービスは提供しますが、特別なことは提供していません」と回答。すると、「それじゃ、いいです。ほかを探します」と言われたのだとか。なぜ山田さんはこんな回答をしたのか?それは、薄毛になるのも薄毛を改善するのも、「主役は自分だから」。頭皮に生えている髪の毛や、いま生え出そうとしている髪の毛・毛穴内部に育っている髪の毛は、すべて昨日までの頭皮の影響で育った過去のものだからです。「これは、次のように考えるとわかりやすいと思います。麻薬の使用を調べるときに髪や頭皮を調べると、被験者が薬物を使用しているかどうかがわかります。髪の毛が体内の毒素を排出する役割を担っているからです。毒素に限らず、体内に取り入れたものは体全体に行きわたります。そして、毛細血管から毛を作る組織に取り込まれて細胞分裂を繰り返して伸びていきます。ということは、毛は自分の内部で生まれて育った自分そのものといえます」(山田さん)髪の毛は自分自身。自分の内部が毛を作り出している。これらは、当たり前のことなのに忘れがちですよね。■頭皮・心・体に余裕がないと薄毛になる!では、主役である自分自身はなにをすべきでしょうか。この点について山田さんは、「血虚(けっきょ)」と「血余(けつよ)を理解しなければいけないと答えています。血虚とは中国医学で、血の不足によって臓腑、経脈が滋養されないために生じる全身虚弱の症状のことを指します。中国医学では頭髪のことを血余といいます。髪が“血の余り”だということは、体内の栄養状態が良好であれば豊かな髪が維持できるということ。「頭皮、心、体」に余裕をなくした状態が続くと薄毛になっていきます。逆に余裕がでてくると毛が戻ってくるのです。山田さんによると、育毛剤等は、育毛ケアの補助=効果を高める助けをするものでしかない、とのこと。ちなみに、体と心に余裕がないとは次のようなことを指します。(1)疲れやすい(2)風邪を引きやすい(3)体が冷えている(4)平熱が低く36度5分以下(35度台の低体温は好ましくない)(5)下痢を起こしやすい(6)食が細い(7)忙しくて、ゆっくりする暇が無い(8)寝つきが悪くて熟睡できない(9)ちょっとしいたことや細かいことが気になる(10)人間関係に気を使って疲れている主なものがこの10点です。このなかに、思い当たるふしはありませんか?■食欲・睡眠欲・性欲を充足させると変わる心と体に余裕があって、全身の血の巡りがよい血余の状態とは、建物にたとえると土のなかにある基礎の部分にあたります。土のなかなので目には見えません。しかし、この部分がしっかりしていないと土台がぐらついてしまい建物は建ちません。土台である頭皮の状態をよくするためにも、日々の習慣の改善が必要です。心と体の余裕を改善するのは、普段の生活習慣によるところが大きく、人が生きていくための三欲が充足されるようになると改善されていきます。体質的に持って生まれたものを変えるのは困難ですが、それでもちゃんと取り組めば改善するようになります。三欲とは食欲、睡眠欲、性欲(人間関係)の3つを指します。そのため、「この3つを充足させるように心がけてください」と山田さんは説明してくださいました。*バランスのよい食事をとり、翌日に疲れが残らないように熟睡し、よい人間関係を構築してストレスを溜めないことが大切だというわけです。(文/コラムニスト・尾藤克之) 【取材協力】※山田佳弘・・・有限会社エーティエル工房・代表取締役。日本では数少ない頭皮と心身両面からの育毛法を助言・指導している育毛の専門家。2015年8月に上梓した『髪は増える!』(自由国民社)が4万部を超えるベストセラーに。
2016年07月11日