カナダのマギル大学はこのほど、メープルシロップのエキス(濃縮抽出物)は細菌に対する抗生物質の効力を高める効果があることを明らかにした。1966年に設立された約7,400のメープル製品生産企業を代表する団体「ケベック・メープル製品生産者協会」によると、マギル大学化学工学部のNathalie Tufenkji教授は、主にフェノール化合物からなるメープルシロップの濃縮抽出物を使用して実験を行った。北米のカエデの樹木から採取する樹液を煮詰めて作るメープルシロップは、フェノール化合物を豊富に含んでいる。同大学の研究者たちは、大腸菌やミラビリス変形菌(尿路感染症の一般的な原因菌)など、感染症を引き起こす特定の細菌株に対するメープルシロップエキスの効果を実験した。同濃縮エキスは単体でもある程度、細菌と戦う力を持っているが、今回の実験では、特に抗生物質と組み合わせて使うとより高い効果を示すことがわかった。この実験により、メープルシロップエキスと一般的な抗生物質を組み合わせると、抗生物質の使用量を低減できる可能性があることがわかった。Tufenkji教授は、「これから生体内実験を行い、最終的に臨床試験をやってみないと人間にどういう効果があるかは言えません」と前置きした上で、抗生物質の使用量を減らす効果的なアプローチが示されていることを語った。同実験では、メープルシロップエキスが細菌の遺伝子発現に影響を及ぼすこともわかった。細菌の遺伝子には抗生物質に対する耐性や病原性の強さと関連するものがいくつかあるが、それらを抑制する働きがあるという。同協会は「抗生物質の過剰使用は、薬剤耐性菌の出現を促進するため、この可能性は朗報と言える」とコメントしている。
2015年04月28日岡山大学(岡山大)は4月23日、ピロリ菌成分が突然変異を引き起こすこと、他の発がん物質の変異原性を増強することを発見したと発表した。同成果は、岡山大大学院医歯薬学総合研究科(薬)の有元佐賀惠 准教授、岡山理科大学、京都府立医科大学、松下記念病院の共同研究グループによるもので、3月24日付(現地時間)の英科学誌「Mutagenesis」オンライン版で公開された。ピロリ菌感染と胃がん発症は強い相関があること、すべてのがん細胞のDNAには突然変異があることはすでに知られている。また、ピロリ菌に慢性感染すると胃上皮細胞の突然変異率が上昇することも報告されている。しかし、ピロリ菌は突然変異を引き起こさないという報告もあり、ピロリ菌感染が突然変異を引き起こす機構はわかっていなかった。今回の研究では、ピロリ菌に感染したスナネズミで、通常は胃がんを起こさない低濃度のアルキル化剤系発がん物質投与でも胃発がんを起こす報告があることに注目。突然変異を高感度検出する方法を使い、ピロリ菌成分を加えたネズミチフス菌、およびヒト由来の培養細胞で突然変異が起こることを発見した。さらに、ピロリ菌成分とアルキル化剤系発がん物質の両方を加えると、アルキル化剤系発がん物質を単体で加えた場合よりも多くの突然変異が発見され、ピロリ菌成分がアルキル化剤系発がん物質の変異原性を増強することが判明した。今回の研究によって、ピロリ菌の変異原性成分が胃上皮細胞変異と胃がん発症に関与している可能性が示唆されたことで、今後、突然変異を阻害し胃がんを予防する薬の開発につながると期待される。
2015年04月23日東北大学は2月17日、最先端の超高分解能走査透過型電子顕微鏡と第一原理計算手法を駆使し、最も硬い物質として知られるダイヤモンドと、ダイヤモンドの次に硬い立方晶窒化ホウ素同士の接合界面の原子構造、結合メカニズムを、原子レベルで決定することに成功したと発表した。同成果は、同大 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の幾原雄一教授(東京大学 教授併任)、王中長准教授、陳春林助教らによるもの。物質・材料研究機構(NIMS)の谷口尚グループリーダー、ファインセラミックスセンター(JFCC)と共同で行われた。詳細は、英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載された。研究グループは、結晶中の格子欠陥である転位や粒界・界面を対象にして、その原子構造の解析や格子欠陥を制御した新機能材料の開発を試みてきた。そして今回、c-BN/ダイヤモンド境界面の原子レベルの構造解析とその物性の解析を試みた。まず、密度汎関数法に基づく第一原理計算により、エネルギー的に安定なc-BN/ダイヤモンド境界面の原子構造を探索し、窒素-炭素(N-C)結合よりもホウ素-炭素(B-C)結合の方が、結合エネルギーの低い構造であることが示唆された。そして、c-BN/ダイヤモンド境界面を、ダイヤモンドの土台(母相)の上に、高温高圧下でc-BNの単結晶を成長させる(温度勾配法によるヘテロエピタキシャル成長)というNIMS独自の特殊な方法で作製した。さらに、この得られたサンプルの界面を超高分解能走査透過型電子顕微鏡法により観察を行ったところ、理論計算で予測された通り、ダイヤモンドの炭素原子とc-BNのホウ素原子が結合している様子が観察された。また、金属の界面では通常転位同士が結びつき、複雑な転位網を形成するが、今回の研究では第一原理計算により六角形の転位ループが独立して存在した方がエネルギー的に安定であることが示唆された。そこで電子顕微鏡によりさらに詳しく観察した結果、六角形構造が観察され、理論的に予測された転位ループの分離が実験的にも示された。また、第一原理によるさらなる探索により、この境界面上にはc-BNやダイヤモンド単一では持ちえない1次元電気伝導性が発現しうることも明らかになったという。今後、今回の研究を起点にし、このような欠陥構造の形成を制御することで、デバイス材料の特性向上や格子欠陥構造を活用した新規デバイスの設計、新機能材料の研究開発につながることが期待されるとコメントしている。
2015年02月20日ニュートラノミクスニュートラノミクスジャパンは、発がん性物質・アレルギー物質などを抑えた自然派サプリブランド「ユニティーリサーチメディカルサプリメント」を1月15日(木)に販売開始した。ニュートラノミクスジャパンは米国・ニュートラノミクスの日本法人。日本での販売に合わせ、モニターの募集もおこなう。ホールフードサプリメント「ユニティーリサーチメディカルサプリメント」は「ホールフードサプリメント」。「ホールフード」は野菜・果物などを全て(食物全体)食べること。つまり、植物がもつ栄養素を全て摂取することにより、自然に近い食生活ができ、それが健康や美につながるという考え方だ。安全を提供する「ユニティーリサーチメディカルサプリメント」は、「ホールフードサプリメント」に加え、5つのフリーを提供し、安全を確保している。まずは、「賦形剤(ふけいざい)フリー」。「賦形剤(ふけいざい)」と呼ばれる添加物を使用しておらず、主成分が希釈されていない。化学物質も含んでおらず、アレルギーの心配もない。次に「発がん性物質フリー」そして「アニマルフリー」。カプセルの生産工程において、発がん性物質や、動物性食品も使用していない。ベジタリアンでも摂取できる。最期に、「グルテンフリー」と「遺伝子組み換えフリー」。グルテンを含まないため、小麦アレルギーでも摂取可能であり、原材料に対してもしっかりとした調査をおこなっている。(画像はホームページより)【参考】・野菜やハーブの栄養を100%凝縮したサプリ「ユニティーリサーチ」 米国で20年の歴史をもつ自然派ブランドが、1月15日から国内販売開始
2015年01月18日寒い季節。うっかり底冷えした時に女子がなりやすい病気の代表例が「膀胱炎」です。膀胱炎は病院に行って抗生物質を処方されれば簡単に治る病気ですが、真冬にかかる膀胱炎は、再発を繰り返してしまう人が増えるのが特徴です。腎臓と膀胱の機能をサポートして冷えを撃退し、膀胱炎になりにくい体質を作る食品を、香港薬膳師のマダム晴子がご紹介します。ぜひ参考にしてください。■1.シナモン底冷えするような寒い場所でミニスカートなどを履いて、ついうっかり下半身を冷やしてしまった時にぴったりなのがシナモンです。シナモンは「下半身のホッカイロ」といっても過言ではありません。冷えが原因で悪寒がする時や生理前、生理中などにもおすすめです。■2.ふき痛みを伴う膀胱炎になってしまった時にいただきたい食品は、お野菜のふきです。ふきには天然の解毒効果があります。また体を温めながら解毒してくれるので、冷え性が原因の膀胱炎に効果的です。土佐煮などで冬のお料理としていただいてください。■3.ニラ膀胱炎が進んでついには血尿が出てしまった時に効果的なのはニラです。(※血尿が出てしまう前にきちんと病院へ行って抗生物質を処方してもらいましょう)ニラは冷え性が原因で膀胱炎を繰り返してしまうタイプのひとにお勧めです。■4.小豆普段から下半身がむくみがちで、あまり尿の出がよくない(お手洗いが遠い)タイプの人におすすめなのが小豆です。小豆は身体の中に溜まった余分な水分をどんどん体外に排出する働きをサポートします。甘さを控えたお汁粉などでいただくといいでしょう。■5.ぜんまい強い痛みや熱をともなう膀胱炎に効果的なのはぜんまいです。利尿作用が高く、普段からムクミがちなタイプに相応しいでしょう。早春が旬のぜんまいは、てんぷらなどでいただく大人の味で、ビールとの相性がいいでしょう。■6.冬瓜冬瓜は夏場が旬の野菜ですが、膀胱炎に効果的な食品なのでご紹介しておきます。冬瓜には、膀胱炎が原因のむくみや熱をスピーディに排出する利尿作用が期待できます。夏場、特に梅雨時などの湿度が高い時期も膀胱炎になりやすい季節なので、その頃にいただいてください。■7.とうもろこしのひげお茶として市場に流通している「とうもろこしのひげ茶」は、膀胱炎になってしまった時の水分補給にぴったりです。お茶の中でも利尿作用が極めて強く、膀胱にたまった熱をどんどん排出する働きをサポートします。■8.白菜キムチやお漬物で手軽に摂れる白菜も、利尿効果が期待できる冬野菜です。普段から胃が弱いタイプの人は白菜の生食を避けて、お鍋などの温かいお料理でいただくのがポイントです。■おわりにいかがでしたか?膀胱炎は生活の質を落とす、女子の悩みの種です。普段の食生活にちょっぴり気を使うことで、膀胱炎になりやすい体質から抜け出すことができます。また再発予防にぜひ役立ててください。(マダム晴子/ハウコレ)
2014年12月18日東京大学は12月9日、多剤耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して優れた治療効果を示すライソシンという新しい抗生物質を、カイコを用いた研究で発見し、その作用機序を明らかにしたと発表した。同成果は同大学大学院薬学系研究科の関水和久 教授、同 浜本洋 助教らとゲノム創薬研究所の共同研究によるもので、12月8日(現地時間)の「Nature Chemical Biology」オンライン版に掲載された。多剤耐性菌の出現により、既存の治療薬が効かない感染症に対して、これまでにない作用機序で効果を示す治療薬の開発が求められている。しかし、開発には巨額の費用がかかることから、近年、新しい作用機序を有する抗生物質が市販されるケースが非常に限られている現状がある。同研究グループは、そうした状況に対し、コストが安く、倫理的な問題がないカイコにさまざまな細菌を感染させ、抗生物質を評価できる実験手法を開発。この手法により新規抗生物質ライソシンを発見していた。今回、ライソシンEの作用機序を調べた結果、これまでの抗生物質と異なり、多剤耐性の黄色ブドウ球菌を含む一部の細菌に対して、治療効果を発揮することがわかった。特に、黄色ブドウ球菌に対し1分という短時間で99.99%の菌を殺傷したという。同研究グループが解析したところ、ライソシンEはメナキノンという化合物と相互作用し、細胞膜を破壊していることが示唆された。さらに、細菌感染したマウスにおいて治療効果を評価した場合でも優れた治療効果を示し、臓器毒性も見られなかった。これは、昆虫モデルで発見された化合物が、哺乳動物モデルでも治療効果を示したという意味で特筆すべき点だという。
2014年12月09日富士通と富士通マーケティングは、中堅・中小規模の製造業向けに、グリーン調達業務を効率化し適切に含有化学物質管理を行うソフトウェアパッケージ「FUJITSU Manufacturing Industry Solution PLEMIA EcoLink(プレミア エコリンク)」(以下、EcoLink)を12月1日より販売開始すると発表した。EcoLinkは、富士通システムズ・イースが開発したもので、REACH規則やRoHS指令などの製品含有化学物質法規制で禁止・制限されている化学物質を、サプライチェーン全体で把握・管理するソフトウェア。不定期に改定される最新の製品含有化学物質の法規制情報は、富士通から定期的に提供される。また、これまで、家庭用電気製品、通信機器、照明装置などが対象だったRoHS指令において、2014年7月より医療機器も適用対象に追加され、本製品では医療機器の含有化学物質の管理にも対応している。フラットデザインのメニューを採用したほか、電気・電子機器、自動車、材料といった業界によって異なる多様な業界標準フォーマットに対応している。価格は60万円(税別)/1ライセンスからで、2014年12月下旬より出荷を開始する予定。
2014年12月01日シャープは11月13日、従来比約4倍のイオン濃度10万個/cm3の空間を実現し、ダニのアレル物質低減に最適なプラズマクラスターイオン発生機「IG-GA130」を発表した。同製品は、イオンの発生量を高めたプラズマクラスターイオン発生デバイスを搭載し、高濃度でも安全性が確認されているプラズマクラスターイオンの濃度を、約8畳(約13m2)の空間において10万個/cm3まで高めた。加えて、ベッドやカーペットなどに付着した、もしくは舞い上がったダニのアレル物質を低減するために上下2つの吹出口を設け、寝室や子ども部屋などの空気環境を整える。また、24時間の生活シーンに合わせて最適運転に切り替える"おまかせ運転"を搭載する。例えば、人感センサで人がいないことを検知すると自動で最大風量運転になるので、留守の間に部屋にあるダニのアレル物質を低減することができる。なお、同製品は、調剤薬局の他、医療・衛生サービス関連企業での展開を予定している。価格は20万円(税抜き)。2015年1月中旬より発売する。
2014年11月17日慶応義塾大学(慶応大)は10月8日、規則的に並んだシリコン原子が、中心の金属原子を丸くカゴ状に取り囲む、新たなナノ物質である金属内包シリコンナノクラスタを気相合成し、固体表面上で薄膜化する技術を開発したと発表した。同成果は、同大 理工学部の中嶋敦教授らによるもの。詳細は、英国王立化学会の学術誌「Nanoscale」に近日中に掲載される。ナノクラスタは、数個~1000個程度の原子・分子が集合した数nmほどの大きさの超微粒子である。その物理・化学的性質を原子数や組成、荷電状態によって制御できることが特徴で、触媒、電子デバイス、磁気デバイスなどへの応用が期待されている。特にエレクトロニクス分野では、シリコンなど半導体材料のナノクラスタを積み木のように組み上げて、新たな機能を持つ超微細構造を生み出す技術が注目されている。その中で、ナノクラスタを固体表面で固定し薄膜化する技術は、その基盤となる技術の1つと言える。しかし、気相合成ナノクラスタの構造や荷電状態は、固体表面上で変化しやすく、本来の構造や性質・機能を保持しつつ固体材料化することは極めて困難だった。今回、研究グループでは、16個のシリコン原子が、中心にある1個のタンタル原子を丸くカゴ状に包み込む金属内包シリコンクラスタ(Ta@Si16ナノクラスタ)を気相合成した。さらに、炭素フラーレン(C60)で表面修飾した基板上にTa@Si16ナノクラスタを蒸着し、C60とTa@Si16ナノクラスタの共有結合により複合体化することで、Ta@Si16ナノクラスタを固体表面に固定し薄膜化することに成功した。このとき、ナノクラスタの構造と荷電状態が薄膜化前と変わらずに保持されていることも、実験と理論の両面から実証したとしている。
2014年10月09日メラトニンは睡眠に欠かせない物質と言われています。と同時に、お肌の美白効果など美容の面でも注目を集めています。まさに、八面六臂の活躍を見せるメラトニンとはどのような物質なのでしょうか?エジソンの呪いってなに?突然ですが、みなさんは「エジソンの呪い」というものをご存知でしょうか?これはエジソンが発明した人工照明に対して使われる言葉なのですが、なぜ「呪い」なのか、とても気になりますよね。ポイントは神経伝達物質である「メラトニン」にあります。どのようなことなのか、一緒に探っていきましょう!メラトニンは、分泌されると眠気を誘発し、美白効果の作用ももっている物質です。この物質は夜に生成され、睡眠の誘発だけでなく、老化の防止やガンの予防にも効果があると言われています。さらに、肌を白くするホルモンでもあります。メラトニンと睡眠の関係このメラトニンは、就寝時間の1~2時間前に分泌がスタートし、深部体温が最低になる朝の4時ごろから1~2時間前、つまり、午前2~3時ごろに分泌のピークを迎えると言われています。メラトニンが分泌されることで、睡眠初期の深い睡眠=ノンレム睡眠を引き起こします。ノンレム睡眠をとることで、人間の体にはさまざまな作用があります。1.身体の成長や修復、回復を助ける2.大脳皮質をじゅうぶんに休める3.嫌な記憶を消去し、ストレスを軽減する4.脳細胞を修復、保護するこのように、健康的な生活を送るうえで欠かせないことがメラトニンの分泌⇒ノンレム睡眠によって手に入れることができるのです。人工照明がもたらすものしかし、私たちには欠かすことのできない大切なメラトニンには弱点があります。その1つが照明です。とくに睡眠2~3時間前にスマホやPC、コンビニの照明など、200~300ルクス以上の光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されてしまうのだそうです。これが、人工照明が「エジソンの呪い」と言われる理由の1つです。メラトニンはとても繊細な物質なので、照明以外にも弱点があります。それはカフェイン。就寝2~3時間前にカフェイン入りのコーヒーなどを飲んでもメラトニンの分泌は減ってしまいます。以上、いかがでしたでしょうか。メラトニンが我々にとっていかに大切な物質かお分かりいただけましたか?photo by Audrius Juralevicius
2014年09月06日京都大学、岐阜大学、科学技術振興機構(JST)は5月5日、疾病の指標(バイオマーカー)となる複雑な生体分子を識別して溶けるゲル状物質「反応性超分子ヒドロゲル」の開発に成功したと共同で発表した。成果は、京大大学院 工学研究科の浜地格 教授、岐阜大 工学部 化学・生命工学科の池田将 准教授(前・京大大学院 工学研究科助教)らの共同研究チームによるもの。研究はJST課題達成型基礎研究の一環として行われ、詳細な内容は現地時間5月4日付けで英科学誌「Nature Chemistry」オンライン速報版に掲載された。水を媒体とするヒドロゲルはその生体適合性の高さから、診断材料、薬物放出担体、細胞培養基材など、さまざまな医療応用が期待される魅力的な材料とされている。ヒドロゲルが特定の分子の存在やその量を識別して溶けたり、再度固まったりできれば、高度な機能を持つ新しい医療材料の開発につながると期待されているところだ。しかし、これまでに開発されたヒドロゲルが識別できる分子は、構造が単純なものに限定されていた。また、識別の対象となる標的分子ごとに新たなゲル化剤の設計と開発が求められ、その都度多大な労力を必要としているという大きな課題もあったのである。さらに、複数の標的分子が同時に存在するかどうかを見分けるヒドロゲルの開発に関しては、その設計指針さえなかったという具合だ。そこで研究チームは今回、小分子化合物が自律的に構造を作り出す「自己組織化」現象によってナノサイズ(1nm=100万分の1mm)の構造体を開発。そして、その機能化に取り組んだ。特に、水中でナノサイズの極細繊維(ナノファイバー)となり、それらが絡み合うことでヒドロゲル(超分子ヒドロゲル)を形成する小分子化合物(ゲル化剤)の高機能化を進展させ、非常に低濃度でゲル化する化合物の開発に成功してきたのである。今回、それらの知見を基に、酸化反応あるいは還元反応によって溶けるという特徴を持った「反応性超分子ヒドロゲル」の「BPmoc-F3」と「NPmoc-F2」が開発された(画像1~5)。BPmoc-F3に関して確認された特徴の1つが、活性酸素種(ROS)の中で過酸化水素を選択的に見分けて溶けるというものだ(画像6)。過酸化水素は、各種「オキシダーゼ(酸化酵素)」がその基質を酸化する時に生成することが知られている。そこで、BPmoc-F3が形成するヒドロゲルにさまざまなオキシダーゼを埋め込んだところ、内包したオキシダーゼの基質をヒドロゲルに添加した時にのみゲルが溶けることが見出されたのである(画像7)。例えば、「グルコースオキシダーゼ(GOx)」を内包させたヒドロゲルは、糖尿病のバイオマーカーである「グルコース(ブドウ糖)」のみに応答して溶け(画像7の1列目)、「サルコシンオキシダーゼ(SOx)」を内包させたヒドロゲルは、前立腺がんのバイオマーカーである「サルコシン」のみに応答して溶ける(画像7の2列目)ことが実証された。この結果は、ヒドロゲルの中でオキシダーゼが十分にその活性を保持し、基質を酸化する際生成した過酸化水素がヒドロゲルを溶かしているということを意味しているとする(画像8)。つまり、1種類のゲル化剤が形成するヒドロゲルに酵素を選んで混合するだけで、グルコース、サルコシン、痛風のバイオマーカーの「尿酸」、コリンなど、さまざまな生体分子に応答して溶けるヒドロゲルが作製できることになるというわけだ。このように多様な生体分子を見分けることのできるヒドロゲルはほかに類を見ないという。さらに、ヒト血漿を用いた実験では、高血糖症に対応する濃度のグルコースが存在する時だけ溶けるヒドロゲルも作製可能であることが実証されており(画像9)、今後、診断材料の開発などの医療応用に幅広い貢献が期待できるとしている。還元反応によって溶けるヒドロゲルを形成するNPmoc-F2については、「フラビンモノヌクレオチド(FMN)」を補因子とし、ニトロ基を還元する「ニトロ還元酵素(NR)」を内包させておくことで、「還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)」の存在を選択的に見分けることが明らかにされた(画像10)。NADHは、「NAD依存性酵素」が基質を酸化する際に「酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)」から再生されることが知られている。そこで研究チームは、NAD依存性酵素の1つである「乳酸脱水素酵素(LDH)」とNAD+とNRを、NPmoc-F2が形成するヒドロゲルに同時に内包させた。すると、乳酸を添加した時にヒドロゲルが溶けることが見出されたのである(画像11)。この結果は、ゲルの中で乳酸がLDHによって酸化され、その際NAD+から再生されたNADHがゲル化剤と反応し、ヒドロゲルを溶かしていることを示しているという(画像12)。ちなみに乳酸はがん組織周辺で濃度が上昇することが知られている。さらに、上記の2種類のゲル化剤および数種類の酵素を混合したヒドロゲルは、それぞれが識別する生体分子が同時に存在する時のみに溶けることも実証したという。すなわち、グルコースのみ、あるいは、NADHのみでは溶けず、グルコースとNADHが両方存在する時においてのみ溶ける自律応答型のヒドロゲルの開発に成功したというわけだ(画像13・14)。また、そのヒドロゲルに蛍光色素を修飾した抗体(IgG)を閉じ込めておくと、グルコースとNADHが両方存在する時においてのみ抗体を放出することも確認された(画像15・16)。今回開発されたヒドロゲルは、水とゲル化剤と酵素を混ぜるだけで簡単に作製することが可能な点が大きな長所だ。さらに抗体のようなバイオ医薬品をそのヒドロゲルの中に閉じ込めておき、バイオマーカーの存在を識別し放出させることも可能である。このように、化学反応の特異性を組み込んだ小分子化合物からボトムアッププロセスで作成したナノファイバーからなるヒドロゲルと酵素反応を組み合わせる手法は広く一般化することが可能であり、診断材料、薬物放出材料、再生医療用細胞培養基材など、さまざまな医療材料に「これまでにない自律的に考えて応答するという新たな機能」を付与できると期待されるとしている。
2014年05月08日東北大学は4月14日、米ソノマ州立大学との共同研究により、アミノ酸の1種「システイン」に過剰に硫黄が結合した「活性硫黄物質」が体内で生成され、さらにその物質が極めて強力な活性酸素の消去能力を発揮することで、生体内で主要な抗酸化物質として機能していることを発見したと発表した。成果は、東北大大学院 医学系研究科 環境保健医学分野の赤池孝章 教授、同・澤智裕 准教授(JSTさきがけ研究者兼任)、同・医学系研究科 医化学分野の山本雅之 教授、東北大 加齢医学研究所の本橋ほづみ 教授、ソノマ州立大のFukuto教授らの国際共同研究チームによるもの。研究の一部はJST戦略的創造研究推進事業さきがけの一環として行われ、その詳細な内容は日本時間4月15日付けで米科学雑誌「米科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。ヒトの細胞や動物実験などから、システイン(画像1)の代謝に関わる酵素「シスタチオニン β-シンターゼ(cystathionine β-synthase:CBS)」と「シスタチオニン γ-リアーゼ(cystathionine β-lyase:CSE)」が酸化ストレスを低減する作用があることが判明している。しかしながらどのような仕組みによって酸化ストレスを軽減し改善するかについては不明だった。そうした中、今回の研究で明らかになったのが、CBSやCSEがシステインに硫黄が過剰に結合した活性硫黄物質「システイン・パースルフィド」(画像2)を作り出すことだ。そしてマウスを使った解析から、活性硫黄物質が脳や心臓、肝臓など、あらゆる臓器に存在し、また正常なヒト血液中にも豊富に存在することが確認されたのである。次に、これら活性硫黄物質が活性酸素に対してどのように作用をするのかが解析された。その結果として、活性酸素を消去することで、生体内で極めて高い抗酸化活性を発揮することが発見されたのである。さらに、細胞にCBSやCSEの遺伝子を導入してたくさん作らせると、活性硫黄物質によって細胞が活性酸素の毒性によって障害を受けず強い酸化ストレス抵抗性を獲得することも判明。システイン・パースルフィドはシステインと比べて、その構造に僅かな違いしかないにも関わらず、劇的に抗酸化活性が高まっていることが明らかとなったのである。なお活性酸素は、ヒトを含めた好気性生物が酸素を使って生命活動を営む上でどうしても発生してしまう毒性物質だ。毒としてだけでなく、生命活動上で必要だという報告もあるが、どちらにしろ活性酸素は過剰に作られたり、活性酸素を取り除くための抗酸化システムがうまく働かなくなったりすると、体内で活性酸素が過剰に蓄積した結果、酸化ストレス状態がもたらされるのは事実だ。その結果、老化が促進されるなどとよく健康食品などのCMで説明されていたりするが、実際にその通りで、酸化ストレスが長く続いて慢性化すると、がん、動脈硬化症、メタボリックシンドローム、神経変性疾患などのさまざまな病気の高いリスク因子になってしまうのである。今後、ヒトの体内で活性硫黄物質がどのように代謝・維持されているのか、またそれが病気の進展をどのように制御するのかを解明することで、酸化ストレスに関連する多くの病気の新しい予防法・診断法・治療法の確立へ大きく貢献するものと期待されるとしている。
2014年04月16日東京大学は、マルチフェロイック物質におけるスピンネマティック相互作用を実験的に観測したと発表した。同成果は、東大 物性研究所附属中性子科学研究施設の左右田稔助教、益田隆嗣准教授、静岡大学 理学部の松本正茂、Paul Scherrer Institute/スイス連邦工科大学ローザンヌ校のMartin Månsson研究員、大強度陽子加速器施設 物質・生命科学実験施設(J-PARC/MLF)の河村聖子研究員、中島健次研究員、新潟大学 工学部 機能材料工学科 材料物性工学の椎名亮輔准教授らによるもの。詳細は、「Physical Review Letters」に掲載された。スピンと電気分極が同時に秩序化するマルチフェロイック物質は、電場によってスピンが直接制御可能な新しいデバイス材料として注目を集めている。これまで多くの物質では、複雑な磁気構造におけるスピン相関と電気分極との関係に注目が集まっていたが、分極間相互作用と磁気相互作用の関係は明らかにされていなかった。その中で、「Ba2CoGe2O7(Ba:バリウム、Co:コバルト、Ge:ゲルマニウム、O:酸素)」は、電気分極がスピン演算子の対称2次テンソル(いわゆるスピンネマティック演算子)というシンプルな形で表される珍しい物質として、また、分極間相互作用と磁気相互作用の関係を解明できる物質として着目されていた。今回、研究グループでは、中性子磁気散乱と磁化測定を行うことにより、スピンネマティック相互作用の存在を観測することに成功した。さらに、中性子磁気スペクトルの解析により、電気分極の誘電エネルギーを決定するという試みが行われた。誘電エネルギーの大きさも示すスピンネマティック相互作用定数は、電場によるスピンの制御のしやすさを表しているため、マルチフェロイックデバイスの性能示数となっているとした。今後、Ba2CoGe2O7を用いて電場によるスピン制御の実験や、小さな磁気異方性を有するマルチフェロイック物質の探索などを行っていくことが重要になるとコメントしている。
2014年03月28日(画像はシュウ ウエムラHPより引用)深刻な大気汚染問題2013年7月2日、シュウ ウエムラは、大気汚染物質が、肌へ悪影響を及ぼしており、対策として洗顔が重要であると発表しました。近年騒がれている「大気汚染」。世界保健機関によれば、年間130万人が大気汚染により悪影響をうけ、死亡しているとのこと。大気汚染の原因は様々ですが、自動車の排気ガス、工場からの排煙、石油製品からの揮発など、日本でもよくみられる原因が多いようです。汚染物質としては、オゾンや、一酸化炭素、窒素酸化物などがあり、空気中に常に存在しているとされています。私達が常に接している空気なだけに、その影響は気になる方が多いようで、シュウ ウエムラが行った調査では、大気汚染の健康への影響を気にしている方は、65%ということでした。「美容」への影響は、案外気にしていない?!大気汚染の健康への被害を気にする方が多い一方で、「美容」に対しての影響は気にしている方は、案外少ないようで、調査の結果でも、肌への影響を気にしている方は27%にとどまりました。女性であれば、紫外線対策や保湿対策など、お肌へのケアは心がけているものですが、大気汚染については、まだ意識が低いというのが現状のようです。また、「美容のための対策として、普段から重視していることは何ですか?」という質問でも「紫外線対策」(74%)、「エアコン対策」(19%)、「湿度対策」(15%)などさまざまな肌対策がなされている一方で、「大気汚染対策」と答えた人はわずか4%でした。大気汚染の“健康への影響”を気にする女性は多いものの、“美容への影響”までは気がまわっていない人が大半のようです。(株式会社シュウ ウエムラ化粧品 プレスリリースより引用)洗顔で汚染物質を洗い流す!2000年のロレアル調査によると、大気汚染が多い都市は、肌を守ってくれる物質が極端に少ない傾向にあるということが明らかになっているとのこと。また、大気汚染にさられる回数が多いと、肌の機能は低下する傾向があることもわかっています。こんな調査結果を聞いてしまっては、美容に敏感な女性としては、行動を起こさないわけにはいきませんよね。シュウウエムラによれば、肌を守る為には、触れてしまった大気汚染物質を、洗顔で洗い落とすことが重要だと提言しています。また、シュウ ウエムラは、大気汚染物質に着目し、汚染物質を除去しやすくなる成分を加えたクレンジングオイル『クレンジングオイル プレミアム A/O アドバンスト』を7月1日より発売する予定です。気になった時が始め時。今日から、念入りな洗顔を心がけてみてはいかがでしょうか。【参考】▼株式会社シュウ ウエムラ化粧品 プレスリリース▼シュウ ウエムラHP初対面で男性が見てるのはどこ?「肌でしょ!」 美肌&若返り最強成分プラセンタでモテ子になろう!(6月30日)はかなく消える夏の恋に見る!長く続く「ハリと潤いのある肌のつくりかた」とは?(6月30日)恋のから騒ぎに「白黒はっきりつける」男性必殺アイテムとは?(6月29日)元の記事を読む
2013年07月05日蓄積される老化物質を毎日の食事で除去!老けない体を作りたい、健康的で美しいボディを保ちたい、と願うのはいつの時代も同じこと。こうしたアンチエイジングに効果的な「除去力向上レシピ」なるものがあると話題になっている。このレシピは「除去力向上委員会」によって公開されているもので、老化の原因の1つとして考えられている、外的影響や加齢とともに蓄積されていく“老化物質”を体外へと除去する働きを高めるレシピだ。その働きを促進する「大豆サポニンB」を手軽に、効率よく摂取できるレシピを料理研究家で管理栄養士でもある、牧野直子氏が監修し、公式サイトで紹介している。大豆に豊富に含まれる、この「大豆サポニンB」ほか、美容や健康に良い食材を、最大限に生かした簡単レシピとなっており、いずれも大人の女性におすすめのメニューとなっているので、チェックしておきたい。美肌、美腸、ホルモンバランス、冷え・むくみ改善!公式サイトでは、さまざまなお悩みに応えるレシピが紹介されているが、抗酸化作用もたっぷりな「美肌レシピ」や便秘予防に効果的な「美腸レシピ」、ホルモンの働きを助けてくれる「ホルモンバランスアップレシピ」、代謝アップで体を温める「冷え・むくみ改善レシピ」と、いずれも快適で美しいスタイルを維持できるような生活を、食事から強力にバックアップしてくれるものとなっており、ぜひ実践してみたい。栄養バランスやカロリーもしっかり配慮されており、食べごたえも抜群。彩りも鮮やかで、見ているだけで美味しそうなメニューが並んでいるので、献立に困った時にもおおいに助けとなるだろう。年末年始の食バランスの乱れを正すのにも効果的だ。サイトにはこのほかにも美容に役立つ身近なアドバイスが満載となっているので、ぜひ一度チェックしてみて。元の記事を読む
2012年12月30日シンプルな材料で作るオリジナルヘアケアのすすめ12月15日、ソーシャル・ネットワーク・ウェブサイトcare2 には、化学合成物質を含むヘアケア製品との別れを決意したコラムが掲載された。コラムニスト Shelley Stonebrook は、家にあるチープなシャンプーやコンディショナーを最後まで使い切り、ボトルをリサイクルに出し、今後それらを使わないことを決意した。彼女がナチュラルヘアケアを始めたのは1か月前。明らかに髪の健康を実感できているという。彼女はインターネットで安価なナチュラル素材で作れるヘアケアレシピを探した。見つけたレシピは、シャンプー:ベイキングソーダと水または植物系の石けんシャンプーにオイルを混ぜたものコンディショナー:リンゴ酢ソーダカラーリング:ヘナというシンプルな物。使い初めのうちは髪の変化に違和感を感じたが、続けるうちに頭皮や髪についている化学物質が除去され、生き生きと健康によみがえったことを感じているという。ヘアケア製品から始める地球環境問題今までなぜ化学物質を含むチープなヘアケア製品を使っていたのか。ナチュラル系は高い、それまでも手に負えない髪だが、新しいヘアケアで自分の髪質がさらに悪くなるかもしれない、実験はしたくない…など。しかし、彼女は自分の髪への影響だけではなく化学物質がもたらす環境への悪影響も考えた。中身だけではなく、製品に使われているボトルもすべてプラスチックである。自分で作ればプラスチックのゴミを増やすこともない。ヘアケア製品売り場で長い時間を費やすことも無駄に思える。ヘアケアを完全な自然素材に変えるだけとは言え、その小さな1歩が地球環境を改善させることにつながるのではないだろうか。care2 は make a difference をキャッチコピーに生活全般のニュースやコラムで構成されるソーシャル・ネットワーク・ウェブサイト。1998年からカリフォルニアで運営され、現在登録メンバーは約2千百万人。元の記事を読む
2012年12月23日ハザマはこのほど、放射性物質で汚染された舗装面などを、あらゆる条件下で効果的・効率的に浄化できる技術「アライグマ-ラジカル工法」を開発。実現場での施工を開始したと発表した。同技術は、ダムのコンクリート面の清掃用に同社が開発した「アライグマ-II」と呼ばれる工法を改造し、除染現場に適用可能な機械化をはかることで、施工の省力化とスピード向上を実現するというもの。同工法は、標準的な高圧水洗浄で用いている洗浄水圧15MPaよりも高い圧力帯で、化学メーカーであるカネカが開発した天然素材の界面活性剤を用い、放射性物質が付着している舗装面を高圧洗浄すると同時に、排水も回収する工法。界面活性剤により、放射性物質が付着している粒径の細かな土砂分を舗装面より浮き上がらせることができ、除去率で最大80%以上、おおむね60%以上の安定した除染効果が実証実験でも確認されたという。詳細は「ハザマのプレスリリース」へ。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月03日映画「天使と悪魔」では、反物質を用いた爆弾テロが描かれている。実現不能とする意見も多いが、大変興味深い物体だ。もし反物質入りの容器を拾ったらどうするか?好奇心に駆られても持ち帰りはお勧めできない。計り知れないエネルギーとガンマ線の恐怖を手にしたことに気づいたら、正気ではいられないだろう。■物質に恋する反物質物質を分解すると元素となり、さらに元素を分解すると電子・陽子・中性子に大別される。これらは粒子と呼ばれ、どの元素にも共通の材料となる。水素と酸素はまったく異なる特徴を持つが、違いは粒子の数だけで、同じ材料から作られているのだ。おもしろいことに、粒子と真逆の性質を持つ反粒子(陽電子・反陽子・反中性子)があり、これを材料にすると、物質とは反対の性質の元素ができ上がる。水素に対して反水素、ヘリウムなら反ヘリウムといった具合だ。これらを総じて反物質と呼ぶ。反対の性質と聞くと酸とアルカリをイメージするが、性質を打ち消しあって違う物質に変わる中和とは異なり、物質に触れた反物質は、消滅し質量がなくなる。質量保存の法則、つまり燃焼しても蒸発してもなくなるわけではないと教わったのだが、反物質はこの法則を踏み越える。物質と出会った反物質は対(つい)消滅し、エネルギーに変換されるのだ。1グラムの反物質が放出するエネルギーは何と90兆ジュール!広島型原爆なら約1.4個に相当する。同時に1グラムの物質も消滅するので合わせて180兆ジュールとなり、マグニチュード6.3に匹敵する。過激すぎる曽根崎心中だ。このエネルギーを日常生活に使うとどうなるか?水道水を平均20℃、変換効率を80%と仮定すると、40℃・300リットルのお風呂が約570万回(15,592年)、100℃・300ccの即席ラーメンなら14億食まかなえる。火力発電(変換効率50%)に置き換え、1世帯あたりの平均電力消費量を300kWh/月とすると、およそ6,944年分の電気代がタダになる。ありがとう反物質。わが家の家計は大助かりだ。反物質を安全に扱うためには保存容器が必要だ。物質製の容器に、物質に触れてはいけないものを入れるのだから構造は複雑である。詳細は科学者に任せるとして、欧州原子核研究所(CERN)の資料を大幅に要約すると、反物質を冷やし、外側にコイルを備えた真空容器に入れ、電場と磁場で閉じ込めておくのが良いそうだ。ただしこの状態でも、うかつにフタを開けてはいけない。空気が混ざり込んでおだぶつだ。「混ぜるな危険」は、反物質容器にこそ表示すべきだろう。つぎは対消滅時に発生するガンマ線対策だ。空中を200mほど飛び人体深くまで透過するガンマ線は、DNAを傷つけ死に至らしめる。厚さ2mのコンクリート壁、10cm厚の鉛板で千分の1程度に抑えられるのでこれを使おう。近隣トラブルはぜひとも避けたいので、2~3重にシールドしておこう。■反物質エンジンで太陽系脱出小型・軽量・高出力の三拍子そろった反物質は、大きさ/重さに制約のある宇宙でこそ使うべきだ。反物質エンジンとなると空想の世界に思えるが、NASAの資料にも登場するぐらいだから、さほどデタラメな話ではなさそうだ。スペースシャトルの打ち上げには、自身よりも大きい外部燃料タンクが必要だったが、反水素ならわずか0.043グラムで済む。火星まで7ヶ月かけて人類を運ぶマーズワン・プロジェクトも、反物質エンジンなら30~45日に短縮可能という。このとき平均速度は秒速20.1km(45日)~30.2km(30日)となり、どちらも第三宇宙速度(16.7km/秒)を上回る。自力で太陽系を脱出することすら可能だから、火星を目指している場合ではないのだが。さて、拾った反物質を使い果たすと、困ったことに反物質は自然界にほとんど存在しない。CERNをまねて直径数十kmの加速器を用意し地道に生成するしかないが、これには天文学的な電力が必要となる。少々古い資料だが、ISAS(宇宙科学研究所)の計算では、1995年の世界の総発電量を用いても、1年間でたった0.000053グラムしか作れないという。1グラム生成するなら、世界を1万9千年間停電させることになる。1kWh=29.10円(従量電灯B・第3段階料金)で計算すると、電気代はおよそ635垓(がい)円(6,350,775京円)だ。さきのシミュレーションの発電量(2,500kWh)を等価交換しても7.3億円程度だから、赤字にもほどがある。実現化には少し時間がかかるようだ。■まとめもし宇宙人に出会っても握手は控えよう。相手が反物質だったら、あとかたもなく消滅してしまう。まずはお茶など出して、対消滅しないことを確認しよう。ただし、相手が反物質製と分かったときには、大量のガンマ線を浴びているから結果は大差ない。ならば運を天にまかせ、いきなりハグしてみるのも一興だろう。(関口寿/ガリレオワークス)
2012年10月28日原子力規制委員会の2012年度の第7回会議が24日、原子力規制委員会庁舎で開かれた。同会議では、全国16の原発で事故が起きた場合を想定した放射性物質の拡散シミュレーションの試算結果が公表された。拡散シミュレーションは、道府県が、地域防災計画を策定するにあたり、防災対策を重点的に充実するべき地域の決定の参考とすべき情報を得るため(※)に、原子力発電所の事故により放出される放射性物質の量、放出継続時間などを仮定し、周辺地域における放射性物質の拡散の仕方を推定するもの。原子力規制委員会では、「シミュレーション上の限界があるので、あくまでも目安として参考にすべきデータであることに留意が必要である」としている。拡散シミュレーションマップは以下の通りとなっている。緑の線で結ばれている四角の点が、方位別のめやす線量を超える距離となっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月25日埼玉大学、食欲抑制効果のある物質を人工的に造り出す!埼玉大学の坂井貴文教授らの研究チームが食欲を促進させるホルモン「グレリン」の効果を抑制する物質を人工的に造ることに成功したと発表。(産経ニュースより)写真と記事とは関係ありません。坂井教授らの研究は米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。将来は肥満解消に効果を示す薬を低コストで製造する事が期待できるという。グレリンとは?グレリンは胃から分泌され、複数のアミノ酸で構成されるペプチドで出来たホルモンの一つ。受容体と結合することで食欲を引き起こす。グレリンが受容体との結合前に、別のペプチドと結合させ食欲シグナルを阻止出来る事に注目。坂井教授らは食欲低下のペプチドを選び出しマウスに投与したところ抑制効果が認められた。メタボリックシンドロームに効果グレリン機能を阻害するペプチドを製造したのは坂井教授らが世界初、研究を更に進めメタボリックシンドロームなどに抑制効果のある試薬や薬を作り出せる可能性があるという。元の記事を読む
2012年09月27日日常生活で触れる空気、水、食物から、いつのまにかたまってしまった有害物質を、体内から排出する「デトックス」。特別なことをしなくても、普段の食事でデトックスすることができるんです。車の排ガスやタイヤの粉じんから、カドミウムや鉛が排出されたり、汚染された魚や歯の詰め物、破損した蛍光灯には水銀が含まれていたり、殺虫剤やタバコの煙、アルミ缶、制汗剤からはアルミニウムなど、現代社会の暮らしでは、普通に生活するだけでも、少しずつ体内に有害物質がたまってしまいます。これらの有害物質は、体内に入ると体に必要な必須ミネラルの働きを妨げるだけでなく、血行を滞らせてしまうことも。そこで、たまった毒素を身体の外に出す、デトックス(解毒)が必要なんです。有害物質の排出は便から75%、尿から20%と言われていて、つまりデトックスするには食べる物が重要といえます。ポイントは以下の3つ。(1)有害物質を吸着して毒性を殺す(2)有害物質を排せつする(3)体自体の解毒機能をアップするする有害物質を吸着して毒性を殺すのは、ケルセチン、グルタチオン、亜鉛、セレニウムといった成分。ケルセチンは玉ネギ、ブロッコリー、パセリ、リンゴなどに含まれています。グルタチオンというペプチドはホウレン草やトマト、アボガド、玉ネギに。亜鉛はカキや豚レバーに。セレニウムはイワシなどの青魚やネギが多く含んでいます。また、有毒物質の排出を助けてくれるのは、なんといっても水。特にサルフェートやバナジウムを多く含む水は、体にたまった老廃物や添加物を洗い流すのにはとても有効です。絶対欠かせない食物繊維は、ペクチンやレンコンやリンゴに、イヌリンはゴボウに、セルロースは穀類や豆類に含まれています。それから、葉緑素も頼もしいデトックス成分です。含有量が多いのは、小松菜やホウレン草、青ジソです。さらに、体自身のデトックス機能を高める方法は、肝臓の機能を高めることです。タウリン、アルギン酸、硫化アリル、グルタチオン、クルクミン、セサミン、クエン酸などが、デトックス効果を助けてくれるでしょう。タウリンは貝類やイカ、タコに。アルギン酸は昆布やワカメに。硫化アリルは玉ネギやネギ、ニンニク、ニラに。グルタチオンはアボカド、キャベツ、スイカ。クルクミンはウコンに。セサミンはゴマに。クエン酸は梅干しやミカンなどが、特に多く含んでいます。食べ物以外のデトックス方法としては、医師のもとで行うキレーション療法があります。キレーション療法とは、キレート剤を点滴で導入し、体内の有害物質をキレート剤と結合させて体外に排出する方法です。気になる方は、扱いのあるクリニックで相談してみるといいでしょう。(ビューティ&ダイエット編集部)
2012年07月21日損害保険ジャパンは4日、自治体が実施する放射性物質除染作業に関する賠償事故に対応した専用商品「除染賠償責任保険」を開発し、5月から販売を開始したと発表した。2011年3月11日に発生した東日本大震災で原子力発電所が被害を受けたことにより、現在も多くの地域に放射能汚染の影響が残っている。この対策として、本年度から各自治体による放射性物質の除染作業が本格的に実施される。除染作業の実施にあたっては、作業中の「第三者への賠償事故」「除染作業対象物の損壊事故」などの発生が考えられるといい、2012年4月1日に施行された「放射線量低減対策特別緊急事業費補助金交付要綱(環境省所管)」では、自治体が行う除染事業への国からの補助金交付にあたり、「請負業者賠償責任保険」など除染作業中の賠償事故に対応する保険への加入が義務づけられた。損害保険ジャパンは、こうしたニーズに応え、除染作業が円滑に進められるよう、本除染作業に特化した専用保険商品を開発したという。補償内容請負業務中の第三者賠償リスクを補償する一般的な請負業者賠償責任保険の補償内容に加えて、一般的な保険では補償されない「除染作業の対象物の損壊」も補償保険料除染作業のみが補償対象なので加入しやすい保険料水準となる「除染賠償責任保険」の販売対象自治体(県、市町村)除染作業の発注者である自治体が契約者となる場合、自治体が保険期間中(1年間)に発注する除染作業すべてを一括で保険対象とする「発注者包括契約方式」で加入できる除染作業を行う事業者【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月06日