映画『VORTEX ヴォルテックス』が、2023年12月8日(金)に公開される。監督はギャスパー・ノエ。ギャスパー・ノエ監督映画『VORTEX ヴォルテックス』映画『VORTEX ヴォルテックス』は、『カノン』『アレックス』『エンター・ザ・ボイド』『CLIMAX クライマックス』など、実験的な試みと過激描写で問題作を生み出してきた監督ギャスパー・ノエが手掛ける群像劇。嫌悪、蔑み…と人間たちの難しい感情を描き続けてきた鬼才だが、本作『VORTEX ヴォルテックス』では、“人はどう死んでいくのか?”という誰もが目を背けたくなるような現実を真正面から見つめ、冷徹なまでに描いている。映画『VORTEX ヴォルテックス』では、認知症を患う妻と心臓病を抱える夫の人生最期の日々を、スプリットスクリーンの画面分割により、夫婦それぞれの視点から同時進行で映し出していく。次第に日常が崩れ去り、迫りくる“逃れられない運命”により、静かに、しかし確実にゆっくりと破滅へと向かう人々の人間模様が描かれる。心が通わない家族、不測の出来事、やがて訪れる死など、暴力なき恐怖の渦に吸い込まれ、老夫婦が“死ぬまで”を追体験できる映画となっている。主演はダリオ・アルジェント&フランソワーズ・ルブラン主演を務めるのは、1977年の『サスペリア』をはじめ『サスペリアPART2』『ダークグラス』などを手がけ、ホラー映画の帝王とも称された80歳にして初主演を飾るダリオ・アルジェントと、『ママと娼婦』の娼婦役で鮮烈な映画デビューを飾ったフランソワーズ・ルブラン。死よりも恐ろしい“現実”をまざまざと感じさせる、不穏な空気感を生み出す演技に注目だ。夫...ダリオ・アルジェント作家であり心臓病を患っている。日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがて、日常生活に支障をきたすようになる。妻...フランソワーズ・ルブラン元精神科医。徐々に認知症が進行していく。息子...アレックス・ルッツふたりの息子。両親を心配しつつも、家を訪れ金を無心する。映画『VORTEX ヴォルテックス』あらすじ作家である夫と元精神科医で認知症を患う妻。離れて暮らす息子は2人を心配しながらも、家を訪れ金を無心する。心臓に持病を抱える夫は、日に日に重くなる妻の認知症に悩まされ、やがては日常生活に支障をきたすように。そして、ふたりに人生最期の時が近づいていた…。【作品詳細】映画『VORTEX ヴォルテックス』公開日:2023年12月8日(金)監督・脚本:ギャスパー・ノエ出演:ダリオ・アルジェント、フランソワーズ・ルブラン、アレックス・ルッツ原題:VORTEX字幕翻訳:横井和子配給:シンカ提供:キングレコード、シンカ
2023年09月28日第36回東京国際映画祭ラインアップ発表の記者会見が、9月27日(水)に行われ、フェスティバル・ナビゲーターの安藤桃子監督と、コンペディション部門に選出された『曖昧な楽園』の小辻陽平監督、『わたくしどもは。』の富名哲也監督が登壇した。開催まで1か月を切ったなか、東京日比谷ミッドタウンBASE Q HALLにて行われた第36回東京国際映画祭のラインアップ発表記者会見。今年の映画祭は、10月23日(月)から11月1日(水)の10日間、昨年に引き続き日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催。また、昨年同様にオープニングのレッドカーペットを日比谷仲通りにて開催が予定されている。また、4年ぶりのフィジカル開催となる映画祭併設のマーケット・TIFFCOMは、10月25日(水)~27日(金)の3日間の同時期開催。今年は総勢約600人以上の海外ゲストが招へい予定であり、コロナ禍では積極的に実施が行えなかった「交流ラウンジ」などの映画人の交流の場を充実させ、世界中の映画人とファンとの交流が活性化していく年となる。東京国際映画祭チェアマン安藤裕康による開催の挨拶で会見は始まり、本年度の映画祭の特色として「コロナ禍を乗り越えて、さらなる飛躍をしたいと目指しております。作品の質・量ともにグレードアップしていく必要があると考えており、作品数は219本(昨年は174本)と約25%増えております。国際交流を大いに強化したいと考えて、海外からもたくさんのゲスト(現時点で600人以上)に来ていただき、日本の映画人や一般の方と交流していただくということを目指したいと思っております」とコメント。「関連イベントでは小津安二郎監督の誕生120周年ということで様々なイベントを実施し、小津監督作品をほぼ全作に近い35本上映いたします」と言い、「また今後の方向性として、アジアの国々との連携を強化してアジアの映画祭としての特色をより鮮明に出していきたいと思っております。今回上映する作品の6割以上がアジアの作品であり、お呼びするゲストの半分以上の方々がアジアからいらっしゃいます」と発表した。続けて、本年の審査委員長であるヴィム・ヴェンダース監督からのコメントも到着。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』など多くの映画祭受賞作を手掛け、最新作の『PERFECT DAYS』ではカンヌ国際映画祭にて主演の役所広司が最優秀男優賞を受賞、東京国際映画祭は第24回(2011年)以来4回目の参加となる。ヴェンダース監督は「東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います」と語り、「今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです」と寄せている。また、昨年まで俳優・女優が歴任してきた「アンバサダー」を、映画祭をより楽しんでもらうための案内人である「ナビゲーター」という肩書きに名を変え、同ナビゲーターに就任した安藤桃子監督が登場。フェスティバル・ナビゲーター安藤桃子監督安藤監督は「今年から『アンバサダー』から『ナビゲーター』という肩書きに変わったのが、すごく大きな東京国際映画祭の指針にも感じられました。これから先、私たちがどこに向かっていきたいかという道を示していくことが、“ナビゲーション“だと思っていますので、東京国際映画祭もそういったことを意識されたんじゃないかなと感じて、ぶっ飛ぶほどに光栄に感じました」と任命された思いをコメント。今回の映画祭では「本当に数年ぶりに各国から、世界中からいらっしゃるゲストと出会って、”今”の世の中のこと、これから先私たちがどんな道に向かいたいかを、是非とも直接肌で語り合いたいなと思っております」と希望を語った。プログラミング・ディレクターの市山尚三からは、「コンペティション部門」15作品の紹介に続き、「コンペティション部門」に選ばれた日本映画3作品、岸善幸監督の『正欲』、小辻監督の『曖昧な楽園』、富名監督の『わたくしどもは。』が発表に。『曖昧な楽園』『曖昧な楽園』の小辻監督は「この作品のきっかけになったのは、私の祖父が亡くなった時の最後の時間をもとにして映画を作りました。曖昧で漠然とした瞬間を写したいと考え、実際の人生に近いような複雑であったり、漠然とした感覚に近い映画になれたならと思って作りました」とコメント。『曖昧な楽園』の小辻陽平監督富名監督は「今回の『わたくしどもは。』という作品は新潟県の佐渡島で撮ったのですが、1作目『Blue Wind Blows』(18)も佐渡島で撮っており、メイン舞台の佐渡金山という場所を初めて訪れた時、その場所から得たインスピレーションを受けたものを映画にしました」と語った。『わたくしどもは。』富名哲也監督さらに、今年の新たな取り組みが発表され、国内外の独自で豊かな映画文化を紹介し、刺激や感動と出会い、交流する場である「第1回丸の内映画祭」と、ジェンダー平等、環境、貧困、多様性、差別といった現代の重要な社会テーマに向き合った作品が対象の「エシカル・フィルム賞」、また昨年復活した「黒澤明賞」や「Amazon Prime Videoテイクワン賞」「交流ラウンジ」など、その他の部門の紹介、カンヌ国際映画祭でも実施されている映画界やアート界の様々なポジションで活躍する女性たちに光を当てるケリング「ウーマン・イン・モーション」のトークプログラム、ヴェネチア国際映画祭生涯功労賞受賞の俳優トニー・レオンによる主演作『2046』上映後のマスタークラスなど、例年以上の盛り上がりが予測される様々なイベントも紹介された。『わたくしどもは。』なお、映画業界での性暴力・性加害の問題提起を受け「東京国際映画祭としてのハラスメントに対する対応や声明など」について問われると、安藤チェアマンは「性加害の問題や人権の問題などについては、非常にセンシティブに真剣に向き合っていき、人権を侵すようなことは断固として許されるべきではないと考えております」と語り、「私たちとしても非常に、真剣に注視していきたいと思っております」とコメント。また、ジェンダーバランスについては、「今年の傾向について、全部門での女性監督、男性監督の割合というのは男性77%、女性21%(その他2%)と男性の方が多くはなっておりますが、常にジェンダーバランスを意識しながら映画祭としては作品本意で選定を行なっておりますので、割合のバランスを注意を払っていきたいと考えております」と回答。ちなみに、女性監督の作品は全体219本の中の35本(約20.6%)となり(※同じ監督による作品は作品の本数に関わらず1人としてカウント。ex.小津安二郎監督作品は35本あるが1人としてカウント)、昨年度の女性監督作品は男女共同監督作品を含めて174本中45本(全体の約23.2%)となる。「映画祭に携わるスタッフについては、意識的にできることが多いので女性の割合を多くする配慮を行っております(今年度の割合は男性37%、女性62%)。また、コンペティション部門審査委員についてはジェンダーバランスが5:5になるように、そのほか各部門に関しても女性に入っていただくように配慮をしております。我々はこういった取り組みを通じて、ジェンダーバランスについてを常に注意を払っていきたいと思っております」とチェアマンは語った。【コンペティション部門出品作品一覧】※プレミア表記は下記の通りWP=ワールド・プレミアAP=アジアン・プレミアIP=インターナショナル・プレミア『正欲』『西湖畔に生きる』WP グー・シャオガン 中国『正欲』WP 岸善幸 日本『曖昧な楽園』WP 小辻陽平 日本『エア』WP アレクセイ・ゲルマン・ジュニア ロシア『ゴンドラ』WP ファイト・ヘルマー ドイツ/ジョージア『真昼の女』IP バルバラ・アルベルト ドイツ/スイス/ルクセンブルク『野獣のゴスペル』WP シェロン・ダヨック フィリピン『ロングショット』WP ガオ・ポン 中国『開拓者たち』AP フェリペ・ガルベス チリ/アルゼンチン/オランダ『ペルシアン・バージョン』AP マリアム・ケシャヴァルズ アメリカ『雪豹』AP ペマ・ツェテン 中国『ロクサナ』WP パルヴィズ・シャーバズィ イラン『タタミ』AP ザーラ・アミール・エブラヒミ、 ガイ・ナッティヴ ジョージア/アメリカ『鳥たちへの説教』WP ヒラル・バイダロフ アゼルバイジャン『わたくしどもは。』WP 富名哲也 日本【オープニング・クロージング作品】オープニング作品『PERFECT DAYS』AP ヴィム・ヴェンダース 日本クロージング作品『ゴジラ-1.0』山崎貴 日本第36回東京国際映画祭は10月23日(月)~11月1日(水)、日比谷・有楽町・丸の内・銀座エリアにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正欲 2023年11月10日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開ⓒ 2021 朝井リョウ/新潮社ⓒ 2023「正欲」製作委員会PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月28日映画『イコライザー THE FINAL』が10月6日(金) より公開される。このたび監督を務めたアントワーン・フークアのコメントが到着した。本作は、デンゼル・ワシントン演じる元CIAトップエージェントのロバート・マッコールが、世の悪を完全抹消する闇の仕事請負人(通称:イコライザー)として暗躍する姿を描いた人気シリーズの最終章。多くの観客を魅了し続けている大きな理由として挙げられるのが、本シリーズの主人公で、見返りを求めず、正義のために一人で悪と闘うマッコールという存在だ。この魅力的なキャラクターを生み出したフークア監督は、日本映画界が世界に誇る巨匠・黒澤明監督へのリスペクトを度々口にしており、黒澤に憧れてエンジニアから映画監督への道へ進んだほどの“クロサワ・フリーク”。彼は誰もが観るべき黒澤作品のひとつとして『七人の侍』を挙げ、「武士は一杯のご飯のために他人を助けるのですが、それは正義だから。彼らの行動にそれ以外の理由はありません」とコメント。目の前で困っている人がいたら放っておけず、どんなに強い相手であっても果敢に立ち向かい、一人で悪を成敗するというマッコールの人物像にもその影響は色濃く表れており、『イコライザー』シリーズと黒澤作品との共通点については、“正義が両作品において重要なテーマ”であることが伺える。そして、謎めいた一匹狼マッコールを演じているデンゼルにも数々の共通点があるようで、フークア監督曰く、マッコールの人柄には「勤勉」「謙虚」「人格者」と、かなりデンゼルの人柄が投影されているという。フークア監督は「ある日、フラフラと車道を歩き車に轢かれる可能性があるホームレスを見たデンゼルは、自分の車を停めて車から降り、そのホームレスの男性を歩道へ連れていったんです。またある時は、非常に荒れた地域に住み、すさんだ生活を送っていたある粗暴な子どもに話しかけ、その子の母親に会い、きちんと生活を送れるようにお金を渡す。そういうことをメディアのいないところで、ごく自然にたくさん行っているんだ」と話し、デンゼルの素の姿こそがそのままマッコールなのではと思えるようなエピソードを明かした。<作品情報>『イコライザー THE FINAL』10月6日(金) 公開公式サイト:
2023年09月28日10月27日(金) より全国公開される映画『ドミノ』より、ロバート・ロドリゲス監督のコメントが到着した。本作は、主演にベン・アフレックを迎えて製作されたロドリゲス監督の最新作。構想に20年の歳月をかけたという本作は、公開されるやいなや挑戦的なストーリーと革新的な映像で話題をさらった。ロドリゲス監督は、2002年に4Kリマスター版で再公開された「ヒッチコックの『めまい』を見たことで脚本を書き始めた」と振り返る。「名監督である彼の大ファンだ。ひねりの利いたスリラー作品を自分でも作りたくなった。映画製作を初めて意識した瞬間だ」と最新作の製作を始めた。ヒッチコックを敬愛するロドリゲス監督は、巨匠が生み出した傑作にはワンワードのタイトルが多いことから、タイトルを『HYPNOTIC』に決めたという。「『めまい』『白い恐怖』『サイコ』……ヒッチコックがつけそうなタイトルはどんなものか。その時“催眠術”(ヒプノティック)が思い浮かんだ。すぐに物語の軸も思いついた」と、脚本を書き進めていった。ロバート・ロドリゲス監督「物語の軸は目の前にいるのに存在を感じさせない悪役だ。欲しいものを何でも奪って立ち去っていく。究極の力を持つ者だ。脚本を練り上げ多くの仕掛けを仕込んだ。観客には何が現実か分からないのが面白い。さらに面白いのは『間違えられた男』のような物語ということだ」と、存在そのものが謎めいているキャラクターたちを生み出した。ベン・アフレックが演じる刑事ロークは、行方不明の娘を探している。その前に謎の男が現れる。追いつめても目の前から姿を消す“絶対に捕まらない男”(ウィリアム・フィクナー)だ。現実と見紛う〈世界〉で、「追われ、追いつめられる、謎だらけの世界を観客に見せられる」と謎が謎を呼ぶドミノのような展開は、ヒッチコックの傑作からインスパイアされていると明かす。ベン・アフレックの起用にも巨匠の映画術が宿る。「ヒッチコック映画の要は配役だ。ケイリー・グラントやジェームズ・スチュワート、グレイス・ケリーにイングリッド・バーグマン……、だからスーパースターを配役したかった。ベン・アフレックはヒッチコック的な神秘性を与えてくれた。娘を捜す父親であり容赦ない刑事でもある。彼のスター性と存在感によって、ヒッチコック映画を撮っている気分になった」とし、誰もが知る存在感のあるスター俳優の起用は不可欠だったと語っている。<作品情報>『ドミノ』10月27日(金) 全国ロードショー『ドミノ』ポスタービジュアル公式サイト: Hypnotic Film Holdings LLC. All Rights Reserved.
2023年09月26日映画『若き見知らぬ者たち』が、2024年10月11日(金)に公開される。主演は磯村勇斗、監督は内山拓也。監督・内山拓也の商業長編デビュー作映画『若き見知らぬ者たち』は、2020年公開の『佐々木、イン、マイマイン』で注目を集め、新人賞を総なめにした内山拓也が監督を務める商業長編デビュー作品。脚本も内山拓也自ら書き上げたオリジナル作品だ。企画段階から海外からも注目を集めており、『若き見知らぬ者たち』はフランス、韓国、香港、日本の共同製作映画となっている。家族の問題、自分の人生の間でもがく青年の物語物語の主人公は、介護や借金返済といった家族の問題と自身の人生とのはざまでもがき苦しみながらもささやかな幸せをつかもうとする彩人。弟・壮平も同居しささやかな日常を送るが、思いもよらない暴力が彼らの日常を奪ってしまう。主演は磯村勇斗、福山翔大と兄弟役主演を務めるのは、『正欲』『月』『東京リベンジャーズ』シリーズなど話題作への出演が続く磯村勇斗。また、主人公の弟役として、若手実力派の福山翔大が共演。岸井ゆきの、染谷将太、霧島れいか、滝藤賢一、豊原功補も出演を果たしている。主人公・風間彩人…磯村勇斗亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。恋人との小さな幸せをつかみたいと考えている。壮平…福山翔大彩人の弟。家族と同居し、彩人同様に借金返済と介護を担いながらも、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れる。日向…岸井ゆきの彩人の恋人。難病の彩人の母親を、献身的に世話している。大和…染谷将太彩人の高校時代のサッカー部仲間であり、親友。1児の父親となった。麻美…霧島れいか難病を患い、介護が必要となった彩人の母親。夫を亡くしている。松浦…滝藤賢一国家権力を盾に傲慢な態度で街を取り締まる警察官。亮介…豊原功補彩人と壮平の亡くなった父親。元キャリア組の警察官。映画『若き見知らぬ者たち』あらすじ風間彩人は、彩人の弟・壮平とともに亡くなった父の借金返済と母の介護をしながら、昼夜働いている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、彩人の親友の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常は、思いもよらない暴力によって奪われてしまう。【詳細】映画『若き見知らぬ者たち』公開日:2024年10月11日(金)出演:磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、伊島空、長井短、東龍之介、松田航輝、尾上寛之、カトウシンスケ、ファビオ・ハラダ、大鷹明良、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいか脚本・監督:内山拓也原案:内山拓也
2023年09月25日『荒野にて』『さざなみ』のアンドリュー・ヘイ監督が山田太一の小説「異人たちとの夏」を映画化した『All Of Us Strangers』(原題)が邦題『異人たち』として2024年春に公開されることが決定した。夜になると人の気配が遠のく、ロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダム(アンドリュー・スコット)は、偶然同じマンションの謎めいた住人、ハリー(ポール・メスカル)に出会い、ありふれた日常に変化が訪れる。ハリーとの関係が深まるに従って、アダムは遠い子どもの頃の世界に引き戻され、12歳の時に交通事故で亡くなった両親(ジェイミー・ベル、クレア・フォイ)が、そのままの姿で目の前に現れる。想像もしなかった再会に固く閉ざしていた心が解きほぐされ、代え難い安らぎの時を過ごすが、その先には思いもしない世界が広がっていた…。1987年に出版され、第1回山本周五郎賞を受賞した、日本を代表する名脚本家・作家、山田太一の長編小説「異人たちとの夏」(新潮社刊)。1988年には大林宣彦監督の手によって、風間杜夫、名取裕子、片岡鶴太郎、秋吉久美子の出演で映画化され、大ヒットを記録した。2003年には英訳され海外でも刊行されている。本作は、現地時間8月31日にアメリカ、テルライド映画祭にて、世界初お披露目となるワールドプレミア上映が行われた。海外評は絶賛の声に溢れ、RottenTomatoesでも94%fresh(17reviews 9/13現在)を記録、「テルライド映画祭で最も成功した映画」「本年度アカデミー賞に絡むこと間違いなし」と早くも注目を集めている。出演にはアンドリュー・スコット(『1917 命をかけた伝令』、『007 スペクター』)、ポール・メスカル(『ロスト・ドーター』)、ジェイミー・ベル(『リトル・ダンサー』、『ロケットマン』)、クレア・フォイ(『ファースト・マン』、『ウーマン・トーキング 私たちの選択』)ら、イギリス・アイルランドが誇る名優たちが名を連ねており、繊細かつリアリティに溢れた、胸を打つ演技で観るものを魅了する。公開情報と併せてティザービジュアルも解禁。大都市のタワーマンションに住む孤独な住人を照らす光と、謎めいたシルエットが美しいビジュアルとなっており、現実と夢の間、現在と過去のグラデーションを映し出すかのような儚く幻想的な仕上がりだ。日本を代表する名作を、ヘイ監督がイギリスを舞台に新たに蘇らせた本作。これから起こる物語に期待が膨らむビジュアルになっている。『異人たち』は2024年春、公開。(シネマカフェ編集部)
2023年09月15日9月13日、都内で行われた映画『こんにちは、母さん』の公開中舞台あいさつに登壇した山田洋次監督(92)。本作は『母べえ』(’08年)、『母と暮らせば』(’15年)に続く「母三部作」の集大成で、山田監督にとって記念すべき90本目の作品となった。主演の吉永小百合(78)や大泉洋(50)、永野芽郁(23)ら出演者も舞台あいさつに駆け付け、この日誕生日を迎えた山田監督を祝福した。だがいっぽうで、山田監督が語った映画鑑賞マナーに関する“ある持論”が波紋を呼んでいる。冒頭、山田監督はコロナ禍によって映画館へ足を運ぶ人が減ってしまったことに言及。その上で、「一度映画館に行く習慣を失った人たちが、この映画をきっかけにまた『映画を観るのはやっぱり楽しいな』という風に思い直してほしいという願いを抱きながら、この映画を作りました」とあいさつした。そして波紋を呼んでいるのは、トークショーでのコメント。司会者から「(観客は)映画館に1人で行っているんだけども、みんなで笑ってみんなで一緒に観ているような気がする。これ、素晴らしい映画体験だと思うんですけども」と向けられると、次のように語ったのだった。「いま映画館に行くと、“大声で笑ったりしちゃいけない”って(スクリーン)に出てきたりしますよね。やたらに“ものを食べるな”とか、“前のシートを蹴飛ばすな”とかね。僕は本当に、あれがあまり好きじゃない。お金払って楽しみに来てるのに、『ああしちゃいけない、こうしちゃいけない』となぜ言われなきゃいけないんだっていう。僕は大いに笑ってほしいと思う。座席ぐらい蹴飛ばしてほしいと思う。ビール飲んだり、タバコ吸ったりしたっていいじゃないかと思う。そういう風に映画を楽しんでほしい、そんな思いでこの映画を作りました。だから、みなさんがワイワイ笑って映画を観てくださるのが、本当に僕にとっては嬉しいことです」山田監督が熱く語った持論に、ネット上では《分かる》《監督に賛成!!》と理解を示す声が。だがいっぽうで、大手シネコンをはじめとした多くの映画館では「上映中のおしゃべり」「喫煙」「前の座席を蹴る」「他店からの飲食物の持ち込み」といった行為はマナー違反として控えるよう観客に呼びかけている。最近ではスマホが普及したことによって、スマホの光や音が迷惑になることも問題視されている。また、映画鑑賞料金も年々値上げの傾向にあり、今年6月1日にはシネコン大手TOHOシネマズが全国71拠点で一般料金を1,900円から2,000円に改定。シニアやレイトショーなどの一部券種も同様に、100円の値上げがなされた。そうした背景もあり、“鑑賞料金を支払っているのだからマナーは守るべき”と、山田監督の意見に反対する声が相次いでいる。《勘弁してください。冗談じゃない》《時代遅れ? いやいや、昭和だってんなの迷惑でしかないよ》《お金払って観るからこそ、マナーは守ってほしい!監督余計なこと言わないで。。》《映画で大いに笑うのはいいですが、やはりマナーを守らないと楽しさが半減してしまいます。 無料の娯楽施設ならまだしも決して安くない料金を払って観ているので、携帯の音や光、食べる音、後ろを蹴られるのはやはり不快です。 今はいちいち注意喚起しないと気付かない人がいるので、初めに言ってもらえるのは有り難いと思います》「お金を払っている」の価値観は山田監督と観客側では、乖離があったようだ。
2023年09月14日第80回ヴェネチア国際映画祭にて最高賞となる金獅子賞を受賞した『哀れなるものたち』より監督のコメントが到着した。『女王陛下のお気に入り』のヨルゴス・ランティモス監督とエマ・ストーンが再集結した本作。ヴェネチア国際映画祭で現地時間9月1日、ワールドプレミア上映され、上映が終了するやいなや場内から10分以上の鳴り止まぬ拍手とスタンディングオベーションが会場を熱狂の渦に包み込み、早くもアカデミー賞最有力候補として話題沸騰となった。現地時間9月9日の受賞式では、世界最高峰の才能を集めて構築された、色彩感溢れる壮麗かつ大胆な美術、音楽、衣装、撮影を背景に、ランティモス監督にしか成し得ない奇想天外なエンディングと、独特の作品世界に惜しみない賛辞が集まった。プロデューサーとしても参加した盟友エマ・ストーンのキャリアベストの演技も大きく後押しし、ランティモス監督としては、前作『女王陛下のお気に入り』での審査員大賞受賞に続き、念願の最高賞、金獅子賞受賞となった。受賞を受けてランティモス監督はスピーチにて「私のチームは、ここまでくるのに、全てにおいて助けてくれました。(ストの影響で)素晴らしいキャストのみなさんと一緒にここで祝うことができませんが、彼らがすぐに参加できるようになることを祈っています。何よりも、主人公であり信じられない人物であるベラ・バクスターは、エマ・ストーン無しには存在しませんでした。エマはもう一人の信じられない人物です。この映画は彼女の映画です。カメラの前にも、カメラの裏にも彼女はいてくれました。本当にありがとうございます。みなさん、ありがとう」と主演のエマ・ストーン含めキャストとスタッフへ向けて感謝の気持ちを表した。また本作の日本劇場公開は、オリジナル無修正R18+バージョンでの上映が決定。飛躍的にファン層を拡大しながらも、妥協なく大胆で唯一無二の作品世界を展開し続けるランティモス監督の世界観を余す事なく堪能できるはずだ。『哀れなるものたち』は2024年1月26日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
2023年09月12日9月8日(現地時間)、トロント国際映画祭で宮崎駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』がオープニング作品として上映された。上映前にギレルモ・デル・トロ監督が舞台にサプライズ登場し、プレゼンターを務めた。これまで何度も引退宣言を行い、撤回&復帰してきた宮崎監督。今作こそがいよいよ最後の作品かとうわさされ、海外でもそう報じるメディアもあったが、スタジオジブリの広報・学芸担当スーパーバイザーの西岡純一氏によると、これは事実ではないという。同作のプロモーション中に、西岡氏は「これが宮崎監督の最後の作品と言われているようですけれど、監督は全くそのようには思っていないんです。監督はいま、新しい作品のための構想を練っているところです。毎日オフィスにやってきては、そうしています。今回は、引退宣言しませんよ。いつもと変わらず仕事を続けています」とコメント。宮崎監督に代わって引退報道を否定した。海外の映画ファンは「素晴らしいニュース」「神様ありがとう」「新たな作品を楽しみにしています」などの喜びの声や「こんなことが起きるなんて!また何回目かの引退宣言があると思っていたのに!」といった驚きの声を上げている。米映画評論サイト「Rotten Tomatoes」で批評家(現時点で28人)からの支持率が100%と高い評価を受けている『君たちはどう生きるか』。全米公開は12月8日を予定している。(賀来比呂美)■関連作品:君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibli
2023年09月11日第80回ヴェネチア国際映画祭が閉幕。コンペティション部門へ正式出品された濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』(英題:Evil Does Not Exist)が「銀獅子賞(審査員大賞)」を受賞。最高賞の金獅子賞はヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演『哀れなるものたち』に。また、オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品されていた塚本晋也監督の最新作『ほかげ』がNETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞した。濱口監督は、映画『偶然と想像』で第71回ベルリン国際映画祭の審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞、映画『ドライブ・マイ・カー』(21)では第74回カンヌ国際映画祭で日本映画初となる脚本賞を含む計3部門を受賞(第94回米アカデミー賞国際長編映画賞も受賞)、それに続くヴェネチアでの受賞という世界3大映画祭を制覇する快挙となり、日本人では黒澤明監督以来となった。さらに今回、映画祭本体とは別機関からの「並行賞」として、国際映画批評家連盟によって選ばれる、ヴェネチア国際映画祭の独立賞のひとつ「国際批評家連盟賞」と、「企業の倫理」について考察を与える映画に送られる賞「映画企業特別賞」、特に「環境問題」に対する現代的アプローチに対して贈られる「人・職場・環境賞」と3つの賞も受賞している。『悪は存在しない』石橋英子の音楽が「導いてくれました」授賞式で濱口監督は、「このような素晴らしい賞をいただけるとは、この企画が始まった時は思いもよりませんでした。音楽の担当でもありこの企画の発案者でもある石橋英子さんに感謝をしたいと思います。彼女の音楽が、私を今まで体験したことがないところへ導いてくれました」と、『ドライブ・マイ・カー』でもタッグを組んだ音楽の石橋さんに言及。「そして主演の大美賀均さん、そこで(客席を指差し)カメラを構えている撮影の北川喜雄さん、この3人で脚本を書く前に一緒にドライブをして薪割りをしてこの映画をどのようなものにしようかと考えていました。この旅をしながらここまで来られて嬉しく思っています。そしてキャスト、スタッフ全ての力があってこのような素晴らしい賞をいただけたと思ってます」と語った。また、公式カンファレンスでは、「この映画はアートハウス系の映画でかつ非常に小規模のチームで作られました。小規模で自由に作った映画がこのように評価を受けるということは、映画制作の見方そのものを変えるきっかけになるのではないかとは思います」と、自身の考えをコメント。その後のメディア取材で、主演の大美賀均も「先ほど濱口監督がお話されていますが、すごく小さなチームから始まりました」と語り、「その頃の想像よりはるかにすごいところまで連れてきていただいてありがとうございます」と感謝。今回のコンペティションの中でアジアの作品として唯一だったことについて、濱口監督は「全体的にどういう風に自分たちの作品が位置付けられているか分かりませんけれども、きっと他にもいいアジア映画があったと思います。たった1本であったというバランスについて、選んでいただいたこと自体はとてもありがたいことですけれども、そのバランスは本当なのかっていうことは多少思うところではあります」とコメント。『偶然と想像』のベルリン国際映画祭銀熊賞に続いて、今回は銀獅子賞で、最高賞に届きたかったかと問われると、「そういう思いは、本当に少しもないです(笑)」と濱口監督。「こうやって賞をいただくことも思ってもみなかったので。そういう気持ちもそもそもないですね。それが正直なところです。自分達にとっては一番いいものをいただいたという感じです」と話していた。『悪は存在しない』は2024年、公開予定。塚本晋也監督『ほかげ』がNETPAC賞、日本人監督受賞は初また、日本人監督の受賞は初となる快挙となったのが、『ほかげ』。NETPAC(正式名称Network for the Promotion of Asian Cinema)とは、1990年にアジア各国の良質な作品や優秀な若き映画製作者を世界に広めるために設立された国際団体。同団体の審査員により選ばれるNETPAC賞は、最優秀アジア映画賞として世界の60以上もの映画祭に設けられている。ヴェネチア国際映画祭でNETPAC賞が授与されたのは、ジャ・ジャンク―監督『プラットホーム』(00)、ババク・パヤミ監督『1票のラブレター』(01)、ゲラ・バブルアニ監督『13ザメッティ』(05)に続き4度目。NETPAC賞の審査員長を務めたザキール・ホセイン・ラジュ氏は、「第80回ヴェネチア国際映画祭にて、一番感動した映画として『ほかげ』を選出いたしました。ただの映画としてではなく、戦後の映画として人と人の関係が変わっていく様子などを映画的に、閉所な空間で衣装やセット、メイクなどでみせていく。あまりこのような映画は観たことがなかった」と称賛。フォトコールにて塚本監督は、「生まれたばかりで、まだどんな反応かわからないこの映画に対して、最初の評価みたいなものをいただけてホッとしました。一番にスタッフに伝えたいです」と喜びのコメントを寄せた。『ほかげ』は11月25日(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。第80回ヴェネチア国際映画祭コンペ部門、主な受賞結果金獅子賞(最高賞):ヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』銀獅子賞(審査員賞):濱口竜介監督『悪は存在しない』銀獅子賞(監督賞):マッテオ・ガローネ監督『Io capitano』(原題)男優賞: ピーター・サースガード『Memory』(原題)ミシェル・フランコ監督女優賞:ケイリー・スピーニー『Priscilla』(原題)ソフィア・コッポラ監督『哀れなるものたち』『哀れなるものたち』は2024年1月26日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:哀れなるものたち 2024年1月26日より全国にて公開©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.ほかげ 2023年11月25日よりユーロスペースほか全国にて順次公開©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
2023年09月10日映画『私がやりました』が2023年11月3日(金・祝)に公開される。監督はフランソワ・オゾン。フランソワ・オゾン監督映画『私がやりました』映画『私がやりました』は、『Summer of 85』や『苦い涙』などを手掛けてきた監督フランソワ・オゾンが贈るクライムミステリー・エンターテインメント。パリの大豪邸で起こった有名映画プロデューサー殺人事件の“犯人の座”をかけた、3人の女たちによる駆け引きと悪だくみを描いた作品だ。本国フランスでは、フランソワ・オゾンが手掛けた映画『8人の女たち』と『しあわせの雨傘』に次ぐ、動員100万人越えのヒットを記録した。主人公のマドレーヌとポーリーヌの正反対の性格の2人を演じるのは、ナディア・テレスキウィッツとレベッカ・マルデール。2人の前に立ちはだかるヴィランのオデットはイザベル・ユペールが演じる。マドレーヌ…ナディア・テレスキウィッツ売れない新人女優。有名映画プロデューサーに襲われそうになったところを必死で逃げだし、ルームシェアをする親友ポーリーヌのもとへと向かう。彼女に出来事を打ち明けるが、すぐに警察がやってきてマドレーヌは事件の容疑者に。法廷で演技力と美貌を活かした陳述を披露し、一躍「悲劇のヒロイン」としてスターに。ポーリーヌ…レベッカ・マルデール新米弁護士。正当防衛を主張するようマドレーヌに完璧な台本を用意し、見事無罪を勝ち取る。オデット…イザベル・ユペールマドレーヌとポーリーヌに、「プロデューサー殺しの真犯人は自分で、マドレーヌたちが手にした富も名声も、自分のものだ」と訴える。ラビュセ判事…ファブリス・ルキーニパルマレード…ダニー・ブーンマルセイユ出身の成金。ボナールマドレーヌの恋人の父で大企業の社長。映画『私がやりました』あらすじ有名映画プロデューサーが自宅で殺された。容疑者は売れない新人女優マドレーヌ。プロデューサーに襲われ、「自分の身を守るために撃った」と自供する彼女は、親友で駆け出しの弁護士ポーリーヌと共に法廷へと向かう。2人は正当防衛を訴える鮮やかな弁論と感動的なスピーチで裁判官や大衆の心をつかみ、見事無罪を勝ち取る。それどころか、マドレーヌは「悲劇のヒロイン」として一躍時の人となり、大スターの座へと駆け上がっていった。ところが、そんなある日、2人の前に謎多きかつての大女優オデットが現れる。彼女は、「プロデューサー殺しの真犯人は自分だ」と訴えるのだった。こんなに魅力的な“犯人の座”は渡せない……果たして、3人の駆け引きと、悪だくみの行方は?【作品詳細】映画『私がやりました』公開日:2023年11月3日(金・祝)監督・脚本:フランソワ・オゾン出演:ナディア・テレスキウィッツ、レベッカ・マルデール、イザベル・ユペール、ファブリス・ルキーニ、ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ配給:ギャガ英題:THE CRIME IS MINE© 2023 MANDARIN & COMPAGNIE - FOZ - GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA - SCOPE PICTURES – PLAYTIME PRODUCTION
2023年09月08日塚本晋也監督作『ほかげ』がヴェネチア国際映画祭にて上映され、森山未來、塚尾桜雅、塚本監督が登壇した。新鮮で革新的な作品で構成されるオリゾンティ・コンペティション部門に出品されている本作。塚本監督作品がヴェネチア国際映画祭に選出されるのは、『斬、』以来5年ぶりで、9月5日(現地時間)に、レッドカーペット、公式上映、記者会見、フォトコールが行われ、ワールドプレミアを迎えた。今回、現地には、塚本監督をはじめ、物語の狂言回しとなる戦争孤児を演じた塚尾桜雄、片腕が動かない謎の男役の森山未來が参加している。本編の終盤、エンドロールに差し掛かるやいなや、早くも場内からは惜しみない拍手と歓声が巻き起こり、劇場を埋め尽くした観客たちから、約8分間のスタンディングオベーションが巻き起こった。熱気に包まれた会場と超満員の観客からは同作への評価の高さがうかがえた。上映後には、観客とのQ&Aの場が設けられ、塚本監督は「まずは、ありがとうございました!grazie!」と感無量の表情で挨拶。作品について尋ねられると、「今回の『ほかげ』は、実際に戦争に行った人だけではなく、戦争のせいで恐ろしい目に遭った一般の人たちの目を通した物語です。僕自身は歳を取ったので召集されることはないでしょうが、もし今後、戦争に行くとなったら若い人たちです。そういったことが起きないようにという願いを込めて制作しました」と思いを語った。森山さんは、「塚本監督の映画はどれも力強い作品だと感銘を受けていたので、今回、作品に参加させていただけるということを光栄に思っています」と初の塚本作品、そして、本作でヴェネチア国際映画祭に参加できたことへの感謝の意を表し、大きな拍手を浴びた。また、初めての海外映画祭への参加となった塚尾さんは「「Mi chiamo OGA. Ho 8 anni. Piacere!(僕の名前は桜雅です。8歳です。はじめまして!)」と、一生懸命覚えたというイタリア語での挨拶を披露し、会場を沸かせる一幕も。上映を終え、塚本監督は「実は、『ほかげ』は僕自身がとっても好きな映画にできたんです。また、今回、このような大きなスクリーンで上映できて嬉しかったですし、お客さまが皆、息を詰め、集中して観てくださっていて、観終わった後に、祈りの思いが伝わったという感触を非常に強く感じられました。とても嬉しいです」と喜んだ。そして、森山さんは、「ヨーロッパの映画祭に参加したのは僕自身初めて。ヴェネチア国際映画祭という場所にこの作品で来られて、本当に光栄です。監督の込めた祈りやエネルギーがこれからどういう風に観客に届いていくのだろうと楽しみでもあります」と語り、塚尾さんは「自分が出ている映画を多くの方が観てくれていると思うと、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです!」と一生懸命に伝えてくれた。ヴェネチア国際映画祭には9度目の参加の塚本監督だが、今回、初めて観客からのQ&Aの場に立ち会い、「お客さまが的確で実感のこもった質問をしてくれたので、想像以上に大事なことを伝えられた気がします。今の世の中の不安とか、戦争に近付いてきているということを伝えられたし、皆さんが真剣に聞いてくださったので、とても良い時間になりました」とふり返った。『ほかげ』は11月25(土)よりユーロスペースほか全国にて順次公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ほかげ 2023年11月25日よりユーロスペースほか全国にて順次公開©2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER
2023年09月06日映画『ザ・クリエイター/創造者』の撮影の裏側を監督&キャストが語る特別映像が公開された。『ザ・クリエイター/創造者』は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を手がけ、世界中で高い評価を得たギャレス・エドワーズ監督の最新作。『TENET テネット』でも主演を務めたジョン・デヴィッド・ワシントンと、俳優・渡辺謙が共演を果たしており、人類とAIの戦争が激化する世界を舞台にしたドラマチックSFアクションとなっている。「映像に惹き込まれる映画が好きなんだ。理屈ではなく、心揺さぶられる夢みたいな」と、作品へのこだわりを語るギャレス監督。本作のような大作では、まず初めにデザイナーやアーティストたちと話し合い、世界観をデザインした後に撮影を開始することが多いが、本作はその逆で、先に実際の国々のリアルなロケーションとリアルな人々でシーンを撮影し、その映像の上からCGなどで世界観をデザインしていくという斬新な方法を取り入れている。そのリアルなロケーションでの撮影のため、日本、タイ、ベトナム、カンボジア、ネパール、インドネシア、イギリス、アメリカ(ロサンゼルス)の8カ国に訪れており、この特別映像では、各地に赴き、実際に現地で撮影している様子と、その完成シーンのハイライトを見ることができる。また日本の渋谷のような街や、渡辺演じる模造人間(シミュラント)の新カットも収められており、主演のジョン(ジョシュア役)が「驚くのは神秘的なリアリズムだ。どのシーンも心の奥に訴えかけてくる」と語るように、ギャレス監督だからこそ作り上げることができた世界観と臨場感を体感できる。さらに「監督はSFに感情を注ぎ込んだ。(SFは)派手なアクションやスリルに偏りがちな分野だけど」(ジョン)、「本作のテーマはとても壮大よ。人間とは何か?命とは何か?愛は人間とAIの障壁を超えられるのか?」とジェンマ・チャン(マヤ役)が語るように、監督が作り上げるAIは表情や感情が豊かで、まるで人間のように描かれている。監督自身も「共存すべきか、破壊すべきか」と語っており、本作は「AIの脅威」や「AI vs人類」だけではなく、“意識を持ったAIは人間と何が違うのか?人類とAIは手を取り合えるのか?”といった壮大なテーマも問いかけてくる。映画『ザ・クリエイター/創造者』特別映像<作品情報>映画『ザ・クリエイター/創造者』10月20日(金) 公開公式サイト: 20th Century Studios
2023年09月06日監督・岩井俊二×音楽・小林武史で奏でる音楽映画『キリエのうた』が、「第28回釜山国際映画祭」A Window on Asian Cinema部門にて、招待作品として上映が決定した。アイナ・ジ・エンド、松村北斗(SixTONES)、黒木華、広瀬すずらが出演する本作は、壮絶な運命と無二の歌声を宿したキリエの音楽がつなぐ、13年に及ぶ壮大な愛の物語。降りかかる苦難に翻弄される男女4人の人生が、切なくもドラマティックに交錯していく。アジア最大級の映画祭の一つとして注目を集めている「釜山国際映画」。過去の同部門招待作品として、『そして父になる』『永い言い訳』『湯を沸かすほどの熱い愛』、一昨年には瀬々敬久監督『護られなかった者たちへ』、昨年はカンヌ国際映画祭にてカメラドール特別賞を受賞した『PLAN 75』が上映された。アジア圏で絶大な人気を誇る岩井監督。今回の決定に「アイナ・ジ・エンドさん、松村北斗さん、黒木華さん、広瀬すずさんという素晴らしい才能と共に撮影をした日々は、とても瑞々しく、いつまでも続いてほしいと思えるような至福の時間でした。そんな最高の仲間たちと作りあげたひさしぶりの音楽映画を、まず最初に釜山で上映していただけることを大変嬉しく思っています。この作品が、そしてアイナさんの歌が、釜山の観客のみなさんにどう響くのか、今からとても楽しみです」とコメントしている。併せて、場面写真も到着。キリエ(路花)、夏彦、イッコ(真緒里)ら3人がギターを楽しむ様子や、キリエとイッコの出会い、教師のフミや、ギタリストの風琴、謎の少女イワンの姿が切り取られている。『キリエのうた』は10月13日(金)より全国にて公開。(シネマカフェ編集部)■関連作品:キリエのうた 2023年10月13日より全国にて公開Ⓒ2023 Kyrie Film Band
2023年09月05日ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』が、第96回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品として出品されることが分かった。日本映画製作者連盟が発表した。7名の選考員が、8作品の中から選出したという。近年、同部門に出品された作品には早川千絵監督の『PLAN 75』、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』、河瀬直美監督の『朝が来る』などがある。海外メディアも報じており、「The Hollywood Reporter」は「日本からこの部門に、日本人以外の監督が手掛けた作品が出品されるのは初めて」と報じている。ヴェンダース監督は『パリ、テキサス』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』などの名作を世に送り出してきた映画界の巨匠。主演の役所広司は今年のカンヌ国際映画祭で、日本人俳優としては『誰も知らない』の柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる男優賞を受賞する快挙を成し遂げた。また、本作は同映画祭でエキュメニカル賞も受賞した。監督はドイツ人だがキャストは日本人で言語も日本語。役所さんのほか、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯が出演している。『PERFECT DAYS』は、10月23日から11月1日に開催される第36回東京国際映画祭のオープニング作品に決定しており、ヴェンダース監督がコンペティション部門の審査員長を務めることも明らかになっている。日本公開は12月22日。(賀来比呂美)■関連作品:PERFECT DAYS 2023年12月22日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© 2023 MASTER MIND Ltd.
2023年09月05日DC映画『Blue Beetle(原題)』のメガホンを取ったアンヘル・マヌエル・ソトが、MGMの映画『The Wrecking Crew(原題)』の監督に決まったという。「The Hollywood Reporter」が報じた。『The Wrecking Crew』は、ジェイソン・モモア(『アクアマン』)とデイヴ・バウティスタ(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』)の2人が主演を務める予定の“バディ・コメディ”。脚本は「ウォリアー」『アダム&アダム』のジョナサン・トロッパー、製作はジェイソンとドラマ「フロンティア」でタッグを組んだジェフリー・フィアソンが務める。映画ファンは「おもしろい映画になりそうだ」「ドラックスとアクアマンがコンビに?最高だね」「バディ映画といえばデコボココンビが定番だけれど、ガタイのいい2人がコンビとは!」などの期待や感想を寄せている。プエルトリコ出身のソト監督は、2020年にサンダンス国際映画祭で高い評価を受けた『Charm City Kings(原題)』でブレイク。『Blue Beetle』ではDCユニバース初のラテン系ヒーローを描いた。同作について「私たちは、敬意を表した形で自分たちの歴史と遺産を大きなスクリーンで観たかったのです。また、そのチャンスを逃したくありませんでした」と語っている。(賀来比呂美)
2023年08月22日有限会社アップリンクは、中国新進気鋭の女性監督 シェン・ユー監督デビュー作、実際に起きた事件を元に描く母と娘の悲劇を題材にした映画『兎たちの暴走』を、8月25日(金)より全国で順次公開いたします。<公開スケジュール>8月25日(金)~ 池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺8月26日(土)~ 新宿K's cinema9月1日(金)~ アップリンク京都、シネ・リーブル梅田ほか親子ツーショットのシーン女性新人監督としては興収10億円という中国でスマッシュヒットを記録した『兎たちの暴走』がデビュー作となるシェン・ユー監督のインタビューと中国版予告編をお届けします。■「あなたのためだったら 何だってする」シェン・ユー監督ポートレイトシェン・ユー監督はNHKのドキュメンタリー番組からCMまで映像に関わる仕事は俳優以外はなんでも経験してきたという。中国における映画興行は日本と違いミニシアターというものが存在せず、シネコンしかなく、数百館規模で公開されるのが通常だ。本作も新人監督作ではあるが、3億円の制作費をかけ、結果10億円の興行収入をあげたのだった。格差社会の中国を象徴するかつて石炭の採掘で栄えた四川省の攀枝花市(はんしかし)をロケ地として選び撮影された『兎たちの暴走』。映画の冒頭、母親チュー・ティンが車のトランクを開け、その中には誘拐された少女が横たわっているところから始まる。そこから映画は事件が起きる前に一気に時は巻き戻るのだった。シェン・ユー監督の好きな映画監督はポン・ジュノ、デヴィッド・フィンチャーだと言う。そんな監督だけあって、観客を映画の冒頭で一気に物語へと引き込む巧みな構成となっている。── 『兎たちの暴走』は、娘が母を救うために犯罪を犯す映画です。娘のシュイ・チンが幼い時に、街を出て行った母親チュー・ティンが、突然、娘の前に現れるところからこの映画は始まります。シェン・ユー監督:母チュー・ティンは自分の人生をコントロールできない設定です。18歳で娘を生み、自分が母親になる準備が出来ず、人生が18歳の頃で止まっています。母親の役作りは脚本段階でヴィクトル・ユーゴーの『ノートルダムのせむし男』のエスメラルダを参考にしていました。母親を演じたワン・チェンはとても女性らしく、魅力的ですが、時には違う世界にいる瞬間があり、それは母チュー・ティンと似たところだと思っています。── 母親のチュー・ティンが乗っている車のイエローカラーが印象的でした。他にもさまざまな色彩がビビッドに使われていますが、これらの色にどのような意味を込めましたか。シェン・ユー監督:攀枝花市(はんしかし)の特産物にはマンゴーがあります。皮は青く、肉は黄色というマンゴー。黄色は暖かいイメージですが、危険な感じもします。色の意味を調べて、色を演出として劇中で活用しました。たとえば、シュイ・チンのランドセルですが、白から黄色に変わって、母チュー・ティンが徐々に彼女の生活に侵入していくという意味づけをしています。── 劇中何度も訪れるトンネルのシーンが印象的でした。シェン・ユー監督:私は、ある時期、死を間近に迎えている人たちのドキュメンタリーを撮ったことがありました。そのドキュメンタリー作品の制作のリサーチで感じたことですが、死を迎える人たちにとって死は、トンネルを通って別の世界へ移行するような生まれ変わり、という感じがしました。トンネルは母チュー・ティンにとって、もし過去に戻って重要な選択をする際、間違った選択をせずにやり直すことができたら──という生まれ変わりを示す、娘シュイ・チンにとっては、戻ってきた母と一緒に暮らすことができたら──と夢見る象徴なのです。── 脚本で、こだわった部分をお聞かせください。シェン・ユー監督:私がシナリオの1行目に書いたのは、「シュイ・チンは『マッチ売りの少女』のようにマッチを灯し、幻を見た」でした。母親は彼女にとって幻想に過ぎなかったのです。私が映画を作る上で一番大切しているのは感情です。『兎たちの暴走』は、娘シュイ・チンが戻ってきた母を守るためになんでもする、という感情の物語なのです。≪映画『兎たちの暴走』兎子暴力The Old Town Girls作品概要≫【STORY】17歳の高校生シュイ・チンは、重工業が盛んな四川省(しせんしょう)攀枝花市(はんしかし)で父親と継母と弟の4人暮らし。お金持ちだけど両親が不仲で悩みを抱えるグループのリーダー、ジン・シー。地元の広告モデルをするほどの美人だけど父親の暴力に怯えるマー・ユエユエ。そんな3人は喧嘩しながらも毎日楽しく高校生活を送っていた。そんなある日、生まれて間もないシュイ・チンと古い街を捨て、成都へ行ってしまった彼女の実の母チュー・ティンが戻ってくる。憧れていた母との再会でシュイ・チンの生活は一変する。【CAST】監督 :シェン・ユー(申瑜)脚本 :シェン・ユー(申瑜)、チウ・ユージエ(邱玉潔)、ファン・リー(方励)プロデューサー:リー・ユー(李玉)、ファン・リー(方励)出演 :ワン・チェン(万茜)、リー・ゲンシー(李庚希)、ホァン・ジュエ(黄覚)ほか(2020年/中国/105分/北京語、中国語/日本語字幕:鈴木真理子/原題:兔子暴力 The Old Town Girls )配給・宣伝:アップリンク (C)Beijing Laurel Films Co.,Ltd.8月25日(金)より池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺、8月26日(土)新宿K's cinema、9月1日(金)アップリンク京都、シネ・リーブル梅田ほかで全国順次公開 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年08月22日沢木耕太郎のベストセラー小説『春に散る』を、現代日本映画界を代表するひとり、瀬々敬久監督が佐藤浩市と横浜流星のダブル主演で映画化。いよいよ8月25日(金) に公開される。ここ数年秀作が続出するボクシング映画、である。さすがに食傷気味では、と敬遠してはいけない。観終わって「スゴい」ときっと思われるはず。名優たちの演技も出色。心に残る作品です。『春に散る』この原作小説、実は晩年の高倉健を主人公にした映画のシノプシス(あらすじ)として書かれたものが骨格になっているという。その時、映画化は見送られたが、主人公の年齢を多少下げた設定にして、新聞小説として書かれ、ベストセラーになった。不当な判定で敗れ、失意のうちにアメリカにわたった元ボクサーの主人公・広岡仁一は、ボクシングの世界ではチャンピオンになれなかったが、ホテル経営者として成功。40年ぶりに帰国する。心臓の病気を抱え、リタイアして、日本で余生を安穏に暮らそうと考えていたのだが、若いボクサー黒木翔吾との出会いが、彼の、闘う男の魂に再び火をつける。広岡を佐藤浩市、翔吾は横浜流星が演じている。酒場の諍いから、表に出ての殴りあいになり、一発であっさりと相手を叩きのめす佐藤の演技は、実に様になっている。翔吾に教えを請われ、渋々トレーナーを引き受ける。最初は「やめとけ」と冷ややかだった彼が、どんどんのめり込んでいく。高倉健が演じたら、もっとストイックなヒーローで、全てを後ろ姿に表し、若者はその背中を追う、といった形になったかもしれない。が、この映画の展開はそうはならない。原作にない「年寄りはムチャクチャなんだよ」というセリフは、佐藤の現場でのアドリブだそうだが、翔吾と一緒にのたうち回り、自己矛盾を抱えたまま、もがきあがろうとする姿が佐藤の演じる広岡像だ。広岡の帰還は、さまざまな人間たちの人生に波風を立てる。例えば、彼がかつて所属したボクシングジムを親から引き継いだ令子。27年ぶりにスクリーンに登場の山口智子が演じる。映画は多くを語らないが、おそらく、かつて広岡の事が好きで、渡米前後にひともんちゃくあったのだと想像できる。さらに、かつてこのジムで「三羽烏」とよばれていた元ボクサーの健三(片岡鶴太郎)と次郎(哀川翔)。疎遠になっていた実兄の娘(橋本環奈)。翔吾とリングで相まみえる大塚(板東龍太)、チャンピオンの中西(窪田正孝)。翔吾の母(坂井真紀)……。沢木耕太郎の著書のタイトルに『世界は「使われなかった人生」であふれてる』というのがあった。映画で「ありえたかもしれない人生」「使われなかった人生」に思いをはせるエッセイ集だ。本作も一本の映画になりそうな「使われなかった人生」であふれている。それぞれの登場人物がわずかなシーンだけでも印象的にきっちりと描写される。そういえば、瀬々敬久監督の代表作ともいえる『64-ロクヨン-』もそうだったなあと思い出す。そんな人間ドラマに加えて、あえて「スゴい」といわせてもらいたいのがボクシングのシーンだ。ボクシング指導と監修にあたったのは、松浦慎一郎。ボクシング界の功労者に贈られるエディ・タウンゼント賞を受賞した名トレーナー。横浜流星も窪田正孝も、彼のトレーニング指導を受けた。流星からは「今まで松浦さんが作ったことのないボクシングシーンにしてください。 そして、 プロから見てカットでごまかしていると思われないようにしてください」 と真剣な眼差しで頼まれたという。特にクライマックスの世界戦では、全12ラウンドを4日間にわたって撮影。実際のプロの試合でセコンドを務めたことのある片岡鶴太郎いわく「全くウソがない。本物の世界戦としての、肉体とスキルになっていた」。松浦慎一郎が手がけたこれまでの作品は、『百円の恋』『あゝ、荒野』『ケイコ 目を澄ませて』。えーっ、ここ数年、「スゴい」といわれたボクシング映画、そのほとんどに関わっているんじゃないの。そうなんです。このうちの1本でも観た方なら、ボクシング・シーンのリアルさ、わかっていただけると思う。そのなかでも、1.2の迫力です。文=坂口英明(ぴあ編集部)(C)2023 映画『春に散る』製作委員会
2023年08月21日Jホラー界の巨匠・清水崇監督の最新作として発表された映画『ミンナのウタ』。長らく内容・キャストが解禁されず多くの謎に包まれていたが、先日、ダンス&ボーカルグループ・GENERATIONSが本人役で主演を務めることが明らかになり、大きな話題を集めている。○■映画『ミンナのウタ』撮影現場を取材同作は、現実とフィクションが曖昧になった世界で、カセットテープから流れる“とあるメロディー”を聴いた人々が自らも口ずさむようになり、GENERATIONSも次第に“呪いのメロディー”の恐怖に巻き込まれていくサスペンスホラー映画となっている。ラジオ局の倉庫で30年前に届いたまま放置されていた、「ミンナノウタ」と書かれた一本のカセットテープ。同局でパーソナリティを務める小森隼は、カセットテープが見つかった直後の収録中に不穏なノイズと共に「カセットテープ、届き……ま……した……?」という声を耳にし、ライブを控える中、突然姿を消してしまう。マネージャーの凛(早見あかり)は、事態を早急かつ秘密裏に解決するため、元刑事の探偵・権田(マキタスポーツ)に捜査を依頼。聞き取り調査を進めると、失踪した小森がラジオ収録の際に聞いた「女性の鼻歌のような、妙なメロディー」が「頭から離れない」と言っていたことが判明し、他のメンバーもリハーサル中に“少女の霊”を見たと話す。そして、次々にメンバーが姿を消していく中、リーダーの白濱亜嵐、凛、権田は、少女の霊が“さな”という女子中学生だということにたどり着き、“呪いのメロディー”が生まれた原因解明に乗り出す。2023年3月某日、白濱亜嵐、マネージャー・凛、探偵・権田が、生前の“さな”が住んでいた家を訪れるカットを撮影。現場には、すでに廃墟となった家の玄関、2階にある“さな”の部屋、2階へとつながる階段のセットが建て込まれた。落ち葉や土埃など汚しの加工で劣化した家を再現し、セット内には重苦しい空気が漂う。しかし、セット脇でスタンバイをしている白濱、早見、マキタの3人は、このセットを前にしても和気あいあいとした雰囲気で談笑。また、撮影が始まろうとした矢先に「監督のトイレ待ちです!」とのアナウンスで笑いが起こるなど、作風に反して常に明るい雰囲気で撮影は進んだ。本編では残念ながらカットされてしまったが、廃墟に足を踏み入れた3人が、“さな”の鼻歌にいつの間にか同調して“呪いのメロディー”を口ずさんでしまうシーンでは、耳に残る“呪いのメロディー”が静かな廃墟セット内に響き渡る。しかし、マキタの鼻歌のテンポが白濱・早見と合わず、カットがかかると、現場からは笑いが。その後、映像をチェックしている間に、マキタが白濱と早見から“呪いのメロディー”の鼻歌指導を受ける姿も見られた。そして、“さな”の過去が現実として目の前で起こり、早見演じる凛が階段を勢いよく駆け上がるシーンでは、清水監督とキャスト3人で入念なリハーサルが行われる。本番では早見が勢い余って階段を踏み外してしまうこともあり、白濱とマキタが心配そうに声をかけるなど、チームワークの良さもうかがわせた。○■清水崇監督が新たなホラークイーン・さなに込めた思い清水監督に同作について話を聞くと、GENERATIONSとホラー映画を撮ることになった当初は「GENERATIONSのことをあまり知らなかった!」と告白。しかし、「僕はいつも入口はそういうのが多いんですよ(笑)。3Dとか4DXも興味ないとか言いながら、やってみると楽しい(笑)。できあがってみると新しいことが勉強できたなと思うので、今回も楽しんでやらせてもらっています」と笑顔を見せる。GENERATIONSが本人役で出演するアイデアは「誇張している部分もありますが、本人たちに伝えたところ、楽しんでくれそうだった」といい、「メンバー同士がなんと呼び合っているか、一人称の聞き取りから始めました。本人たちと話しながら、作り上げていった作品です」と映画を観るファンが違和感を持たないようにリアリティを追求しながら撮影していったという。また、今作のホラークイーン“さな”についても、「“さな”の善悪は社会的に受け入れられないだけであって、彼女の中の善悪、純粋な気持ちで生きているという部分を描きたい」と話す。当初は高校生の設定だったが、“さな”の純粋な危うさをより表現するために中学生に変更したそう。「危うい年頃は、やっぱり13~15歳くらいだろうと。そこは観てくれた方が当時を振り返ったり、今の自分と照らし合わせたりして“この子の気持ちわかるなぁ”と思ってくれたら嬉しいです」と貞子に続く新たなホラークイーン・さなに込めた思いを語ってくれた。
2023年08月12日『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督の最新作『バービー』がいよいよ公開になる。本作は世界中の子どもたちを魅了し続けているバービー人形をモチーフにした作品で、予告編では主演のマーゴット・ロビーが、クラシカルなバービー人形のように“つま先立ち”しているカットが登場するが、完成した作品では足よりも“手”が重要なモチーフとして繰り返し描かれる。「手で触れられるような映画にしたかった」というガーウィグ監督に話を聞いた。1959年にアメリカの玩具メーカー、マテルが発売したバービーは、ルース・ハンドラーが生み出した着せ替え人形だ。子どもたちはバービーを使って遊び、服を着せ替えたり、髪型を工夫したりしながら“自分が素敵だと思うスタイル”や“なりたい自分”を見つけていく。その人気は衰えることはなく、これまでに10億体、いや、10億人以上のバービーが世界中の子どもたちと時を過ごしたという。「私は子どもの頃から人形で遊ぶのが大好きだったのですが、私の母は『バービーは子どもに良い影響を与えない』という考えでした。ですから、私が遊んでいたバービーはすべて近所の子どもの“おさがり”だったんです」と振り返るガーウィグ監督は、俳優として活動する一方で、優れた脚本家、監督として多くの映画ファンからの信頼を集めている才人だ。誰もが知る”人形”をモチーフにどんな映画をつくるのか? 創作を始める上で彼女は改めて“子どもが人形で遊ぶこと”の意味を振り返ったという。「改めて考えると、人形はとても興味深い存在でした。というのも、世の中はとても進歩したというけれど、現代の子どもたちはいまも人形で遊んでいて、時には自分自身を人形に投影したりしているわけですよね? その光景ではある意味では“中世っぽい”とすら感じるんです(笑)。どんなに時代が変わっても、私たちはアイデンティティを模索する中で人形に自分を投影したり、人形で遊びながら自分の中にある怒りに気づいたりもする。その行為は、現代的ではないかもしれませんが、とても“豊かな”ことだと思えたのです。そこが本作の創作のスタートでした。もうひとつ考えたのは、バービーという存在を“善”であり、同時に”悪”として考えたら面白いんじゃないか? ということでした。白でも黒でもない、いや、白と黒が混沌としているグレーな場所。そんな場所をこの映画ではあえて描きたいと思ったのです」ガーウィグ監督のように子どもの頃にバービーで遊んだ人もいる。一方で、彼女の母のようにバービーは悪だと考える人もいる。その両方が本作のキャラクターに落とし込まれた。本作の冒頭に登場するのは、子どもたちが大好きなバービーが暮らす”バービーランド”。そこではバービーたちが毎日、爽やかに目覚め、最高の気分でボーイフレンドのケンと遊んだり、バービーたちでパーティを開いたりしている。しかし、ある日、ひとりのバービーは自分の異変に気づく。ある朝から自分が“完璧”なバービーではなくなっていたのだ。この謎を解明するため、彼女は人間の暮らす世界に旅立つ。劇中に登場する“バービーランド”は、人間の子どもたちが遊んでいるバービーの世界をメタフィクション的に描いたものだが、スタジオにセットが建てられ、可能な限りCG技術を使わずに撮影が行われた。「1950年代のスタジオ時代の映画や、セットで撮影されたミュージカル映画を意識していました。どこまでも広がる空間ではなく、ちゃんと壁があってそこには背景が描かれているイメージです。ヴィンセント・ミネリの映画や、『雨に唄えば』『オクラホマ』……屋内的であることを意識しました」映画の黄金時代、映画界は巨大なステージにセットを建て、夢のような世界をいくつも描き出した。ジャック・タチを思わせる巨大なセット、バズビー・バークレーを連想させるダンスシーンなど、本作は往年の名作映画のトーンや手法が大胆に導入されており、撮影監督を務めた名手ロドリゴ・プリエトは本作では得意とする荒々しいタッチや鮮烈なイメージではなく正攻法で物語を語っていく。「ロドリゴは“イノセント”と呼んでいましたが、俳優を隠れた場所から撮るのではなく、正面から撮るように彼と話し合いました。そして映画の冒頭では華麗で、まるで踊るようにカメラが動き、物語が進んでいくに従って、だんだんカメラワークが乱れていく……そんな語りになっています。私もロドリゴも、創作する上では何かしらの制限を設ける方がアプローチがしやすいんです。だから車の中のシーンではロケ撮影ではなく、撮影した背景を車の後ろに投影するリアプロジェクションを使って撮影したり、ミニチュアを使って撮影をしました」“かつて子どもだった”すべての観客へグレタ・ガーウィグ監督なぜ、本作はそこまでアナログで、実物にこだわった撮影手法がとられたのか? 理由は“手”だ。本作では繰り返し“手”に関するモチーフが登場する。子どもたちはバービー人形を手を動かして遊び、着せ替え、理想のスタイルを探っていく。バービーは“箱の中に入っている状態”ではダメなのだ。「そのことはすごく考えていました。人形というのは手で触れて遊ばなければ、私たちの考える“人形”ではないと思いますし、その感覚がこの映画をつくる上での最大のガイドになりました。だからこそこの映画ではセットを建て、物理的に触れるものを揃え、“手で触れられるような映画”にしたかったのです。それから劇中に何度も“手”に関するモチーフが登場するのは、ルース・ハンドラーがバービーを生み出した瞬間を映画の中で表現したかったからです。触れることで命が吹き込まれる。旧約聖書で神がアダムに生命を吹き込むために手をのばす場面のように、手から命が吹き込まれるイメージがずっとありました」本作では、人間の世界に向かったバービーが幸福なバービーランドで暮らしていた時からは想像もしなかったトラブルに巻き込まれ、自分自身の存在について迷い、試行錯誤を繰り返す。その光景は、子どもたちが手で玩具に触れながら、ああでもない、こうでもないと試行錯誤する姿と重なる。本作は、過去にバービーで遊んだことがなくても、あなたが過去に“女の子”でなかったとしても、生まれてから一度でも“遊んだ”経験があれば楽しめる映画だ。「この映画は男性とか女性とか、過去にバービー触れたことがあるか/ないかに関係なく楽しんでもらえる映画だと私も思っています。私はこの映画は、私たちが遊びを通じて、どのように自分自身を形成していくのか描いた作品だと思うのです。私には息子がいるのですが、彼も人形で遊んでいます。彼は“アクション・フィギュアだ!”って言うんですけど、あれは人形ですよね(笑)。息子を見ていると、自分が子どもの頃に人形に手で触れて遊びながら、自分を形成していったのと同じ過程を見てとれるんです」誰だって生まれた時から最高の自分じゃない。誰もが人形で遊びながら最高の自分を思い描くように、トライして、失敗して、再びチャレンジして答えが出ないことに呆然としたりする。映画『バービー』が描くこの感覚は、すべての“かつて子どもだった”観客のハートを掴むだろう。同時に、この感覚は、ガーウィグ監督が他の作品でも描き続けてきたものだ。「確かに、大人の感性と子どもの感性を一度に掴み取ろうとする感覚は私のすべての作品にありますね。意識しているわけではないのですが、少し客観的に振り返ってみるとそうですね。『レディ・バード』は表面的にはハイスクールムービーだと思われていますが、あの映画は実は“母親の話”ですよね。『ストーリー・オブ・マイライフ…』は子どもたちの映画に見えているかもしれませんが実は“大人が幼かった頃”の話なんです。『バービー』では、子どもたちが人形で遊ぶ時のリアリティ、そこにある神話的な力を掘り下げた映画だと思っています」映画『バービー』8月11日(金・祝) 公開(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
2023年08月10日A24が新たに贈る、ある新鋭監督の半生の映画化『インスペクション ここで生きる』。この度、並々ならぬ想いで自身の人生を映画化したエレガンス・ブラットン監督と、その熱意と覚悟に共鳴した主演のジェレミー・ポープら出演者たちの声をおさめたフィーチャレット映像が解禁された。ゲイであることで母に捨てられ、16歳のときにホームレスとなったエレガンス・ブラットン監督は、その後10年にも渡って路上生活を送る。保守的なクリスチャンであり、黒人女性のシングルマザーとしてひとり息子を育て上げた社会的に弱い立場の母親にとって、息子がゲイであることは容易に受け入れられるものではなかった。だが、それは息子にとってはあまりに辛い出来事だった。それからというもの、母親とはほとんどコンタクトを取ることはなかったという監督。でも、決して彼女との関係を諦めなかった。「僕のことを避けられないように映画監督となった」と語るほど、最愛の母への思いは彼の創作活動において切っても切り離せないものとなる。やがてそれは「自分の人生を見せることで人々へ勇気をもたらしたい」という想いへと昇華されていく。「母親に認めてもらいたい一人の少年として監督は作品にリアルをもたらした」「社会から排除された人々の苦しみを見事にとらえている、彼は天才だと思った」。そう語るのは、母親役を演じたガブリエル・ユニオンと、海兵隊のブートキャンプにおいて最も苛酷な試練を与えるロウズ教官役を演じたボキーム・ウッドバイン。実生活でトランスジェンダーの娘を持ち、普段からクィア・コミュニティを理解しサポートしているガブリエルは、役柄と自身のセクシュアリティに対する価値観がかけ離れていることで当初は出演を断るも、監督の熱意に心を動かされオファーを承諾したという経緯がある。そして、監督の思いに一番共鳴したのが、監督自身を投影した分身ともいえる主人公・フレンチを演じたジェレミー・ポープだ。俳優・歌手として活躍しているジェレミーは自身がゲイであることを公言しており、自身が経験してきた様々な事柄を通して自然と監督との共通点を見出すことができたという。「同じ黒人でクィアのアーティストとして、監督を守ることが僕の使命だと感じた」と力強く語るジェレミーは、「監督は身を切る覚悟で挑んでいる、世の人々のために」と続ける。また、別のインタビューでは、「監督は観客にすべてをさらけ出し、数々の傷を負いながらも勝利をつかんだ体験を語っている。観客には僕を通して監督を知ってほしいと思った。彼とはいつも、優しさがこの世の中にどれだけ大切かを話している。取り残されたコミュニティの人々や不十分だと言われ続けてきた人々に共感してもらえることを願う。彼らにだって可能性はあるとこの作品は示している」とも答えており、監督へ全幅の信頼を置いていたことが感じられる。黒人で、クィアであることで社会からのけ者にされ、“透明だと思っていた”監督が自身を癒すために製作を始めた本作は、いつしか自身と似たように辛い経験をしている人に慰めとインスピレーションを与えられるようにと世界中の人に届けられた。主人公のフレンチが厳しい訓練や差別にさらされながらも自分自身であること、そして他者と向き合うことを諦めない姿を通して前向きなメッセージを投げかけている。『インスペクション ここで生きる』はTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)
2023年08月05日9月7日から17日まで開催される第48回トロント国際映画祭(TIFF)にて、ペドロ・アルモドバル監督とスパイク・リー監督がトリビュート・アワード(功労賞)を受賞することが発表された。2人は映画祭4日目(10日)夜に行われるTIFFトリビュート・アワード授賞式で、それぞれジェフ・スコール賞と監督賞を授与される。TIFFのCEOキャメロン・ベイリーは、アルモドバル監督について「ペドロは何年もTIFFの常連ですが、毎回、前回を超えるものを持ってきてくれます。彼の芸術的なビジョン、大胆なストーリーテリング、映画の限界を押し広げることへの揺るぎないコミットメントは、映画界に大きなインパクトを与えてきました」と称賛。リー監督については「現代で最も重要なストーリーテラー。『She’s Gotta Have It(原題)』から『ドゥ・ザ・ライト・シング』『モ'・ベター・ブルース』、そして今回のTIFFでの最新作『American Utopia(原題)』まで、彼の一連の作品は観客にインスピレーションを与え、映画製作という芸術に持続的な影響を与えています」と称えた。TIFFトリビュート・アワードは、2019年より映画で傑出した映画製作者や俳優を称えるために設けられた賞で、これまでにジェフ・スコール賞は『モンスーン・ウェディング』のミーラー・ナーイル監督、監督賞は『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督らが受賞している。(賀来比呂美)
2023年08月04日映画『悪は存在しない』が、2024年4月26日(金)に公開。監督は濱口竜介、音楽を⽯橋英⼦が担当する。濱⼝⻯介×⽯橋英⼦、ライブ映像の制作過程で生まれた物語映画『悪は存在しない』は、映画『ドライブ・マイ・カー』で初顔合わせした濱⼝⻯介と⽯橋英⼦による共同プロジェクトであり、濱⼝⻯介にとっては『ドライブ・マイ・カー』以降初の長編映画作品。⽯橋がライブパフォーマンスの為の映像を濱⼝に依頼したことをきっかけに、⾳楽ライブ⽤の映像を制作する過程で106分の⻑編劇映画『悪は存在しない』が完成したという。自然に囲まれた町、穏やかな世界から息をのむクライマックスに“映画と音楽の旅”ともいえる制作過程を経てまるでセッションのように作られた『悪は存在しない』では、自然に囲まれた長野県、水挽町(みずびきちょう)を舞台にした物語を描く。主人公の巧とその娘・花は、町の中でつつましく暮らしていた。そんな中、近所にグランピング場を作る計画が持ち上がったことで町内が動揺に包まれ、その余波を巧たちも受けることになるのだった。穏やかな世界から一転、息をのむクライマックスまでの没入感に注目だ。主演は、当初スタッフとして参加していた⼤美賀均。主人公の巧を演じる。また、巧の娘・花役に⻄川玲、物語のキーパーソンとして重要な役割を果たす人物として⼩坂⻯⼠、渋⾕采郁が脇を固める。なお、『悪は存在しない』は第80回ヴェネチア国際映画祭への出品され、審査員グランプリである銀獅子賞を受賞した。石橋英子のライブ用サイレント映画『GIFT』も同時制作また、映画『悪は存在しない』と共通の映像素材から、⽯橋英⼦の⾳楽ライブ⽤サイレント映画『GIFT(ギフト)』も同時制作。『GIFT(ギフト)』は、2023年10⽉にベルギーで開催されるゲント国際映画祭で初披露され、それ以降、⽯橋によるライブ・パフォーマンスとともに世界各地で上映が予定されている。映画『悪は存在しない』あらすじ長野県、水挽町(みずびきちょう)。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。代々そこで暮らす巧とその娘・花の暮らしは、水を汲み、薪を割るような、自然に囲まれた慎ましいものだった。しかしある日、彼らの住む近くにグランピング場を作る計画が持ち上がる。森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は巧たちの生活にも及んでいく。【詳細】映画『悪は存在しない』公開日:2024年4月26日(金)プロデューサー:⾼⽥聡監督・脚本:濱⼝⻯介⾳楽:⽯橋英⼦企画:濱⼝⻯介、⽯橋英⼦出演 :⼤美賀均、⻄川玲、⼩坂⻯⼠、渋⾕采郁、菊池葉月、三浦博之、鳥井雄人、山村崇子、長尾卓磨、宮田佳典、田村泰二郎撮影:北川喜雄録⾳・整⾳:松野泉英題:Evil Does Not Exist
2023年07月28日是枝裕和監督×脚本・坂元裕二×音楽・坂本龍一による映画『怪物』の興行収入が20億円を突破したことが25日、明らかになった。同作は是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二によるオリジナル作で、第76回 カンヌ国際映画祭で脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。大きな湖のある郊外の町に存在する、息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)、生徒思いの学校教師(永山瑛太)、そして無邪気な子供たち(黒川想矢、柊木陽太)。そこで起こったのはよくある子供同士のケンカに見えたが、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した。6月2日より全国341館で公開した同作は、7月24日に興行収入20億を突破(動員:1,455,470人 興行収入:2,000,920,610円)。是枝裕和監督作品で興行収入20億を超えたのは、第66回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞した『そして父になる』(13/福山雅治主演)、第71回カンヌ国際映画祭最高賞のパルムドール受賞し、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネートも果たした『万引き家族』(18/リリー・フランキー、安藤サクラ主演)に続き3本目となる。公開後は40~50代の映画ファンや20代カップルを中心に幅広い層の観客が劇場を訪れ、映画レビューサイトでも高評価が続くなど好評を得ている。2度3度と鑑賞するリピーター客も多くみられ、鑑賞後に感想や見解について語り合いたい、確かめ合いたいという声も多く届き、各地で計12回実施しているティーチイン付き上映も、活況を呈しているという。すでに公開を迎えたアジア各国の成績も好調で、香港ではすでに『万引き家族』の最終成績を塗り替えるなど、世界的にも話題を呼んでいる。現地時間9月7日 ~ 9月17日の期間で開催される第48回トロント国際映画祭スペシャルプレゼンテーション部門への出品も決定し、北米プレミアを迎える。是枝監督作品のトロント国際映画祭への出品は、2019年の『真実』、22年の『ベイビー・ブローカー』での同部門出品に続くものとなり、最高賞にあたる観客賞の選考対象となる。(C)2023「怪物」製作委員会
2023年07月25日映画『ハウス・バウンド』が、2023年7月14日(金)に新宿シネマカリテにて公開される。『M3GAN/ミーガン』の監督ジェラルド・ジョンストンの初長編作品2014年に製作された映画『ハウス・バウンド』は、『M3GAN/ミーガン』で監督を務めたニュージーランド出身のジェラルド・ジョンストンによる長編初監督作品。公開当時は海外では高い評価を得ていたものの、長らく日本では上映の機会がなかった。しかし、『M3GAN/ミーガン』のヒットを機にジェラルド・ジョンストンによる作品が再注目され、幻の傑作として日本初公開に至った。幽霊屋敷で起こる予測不可能な事態物語の主役は、ATM強盗で捕まった不良娘のカイリー。保護観察処分で母親と義父が暮らす実家で8か月間の自宅監禁という裁定が下り、足には逃亡防止のGPS装置が付けられるなど息苦しい反省生活を強いられていた。ある時、おしゃべりでウザイ母親がこの家には幽霊がいると言い出したことで、徐々にカイリー自身も怪奇現象に気付くことになる。始めは不気味な囁き声や床の軋むような音を耳にする程度だったが、GPS装置が外れてしまうほど何かに足首を強く掴まれるなど、怪奇現象はエスカレート。装置が外れたことに気が付き駆け付けた警官のエイモスは、個人的に幽霊について調べることにし、幽霊を観測する自前の装置などを家に設置し始めるのだが……。コメディ×ホラーの融合予測不可能でどのジャンルにも分けることができない、ユーモアとホラーが見事に融合した本作。ジェラルド・ジョンストンと同じくニュージーランド出身監督の先輩ピーター・ジャクソンも、「お見事!」とコメントするなど、絶賛が相次いだ作品となっている。登場キャラクターカイリー…モルガナ・オライリーATM強盗の罪で捕まった不良娘。幽霊屋敷にて8か月間の自宅監禁を強いられる。ウザイ母親の戯言だとして「幽霊がいる」という話を無視していたが、徐々にエスカレートする怪奇現象に翻弄されていく。ミリアム(カイリーの母)…リマ・テ・ウィアタカイリーの母親。おしゃべりでウザイ母親だとカイリーに見られている。「この家には幽霊がいる」と言い出す。エイモス…グレン=ポール・ワル警官。幽霊について個人的に調べると言い出し、幽霊を観測する自前の装置などを家に設置する。【作品詳細】映画『ハウス・バウンド』公開日:2023年7月14日(金)公開場所:新宿シネマカリテ“カリテ・ファンタスティック!シネマ・コレクション(R)2023”監督・脚本:ジェラルド・ジョンストン出演:モルガナ・オライリー、リマ・テ・ウィアタ、グレン=ポール・ワル、キャメロン・ローズ字幕翻訳:柴田麻衣子配給:「HOUSEBOUND」上映委員会原題:HOUSEBOUND
2023年07月16日宮崎駿監督の10年ぶりの長編映画『君たちはどう生きるか』が、本日7月14日(金)に公開を迎えたということで、何度でも繰り返し観たくなる、監督がこれまで手掛けてきた「スタジオジブリ」の長編映画を一挙ご紹介。『天空の城ラピュタ』(1986年8月2日公開)『ルパン三世 カリオストロの城』、『風の谷のナウシカ』に続き、監督と脚本を手掛けた『天空の城ラピュタ』。ムスカ率いる謎の男たちによって連れ去られた少女・シータと、落下するシータを発見する少年・パズーが、かつて栄えた空の王国・ラピュタを探す冒険に出る、好奇心と夢にあふれた伝説的名作だ。『となりのトトロ』(1988年4月16日公開)サツキとメイの姉妹と、森で出会う不思議ないきもの“トトロ”との交流を描くファンタジー『となりのトトロ』。トトロのほかにも、小さくて真っ黒なオバケ“マックロクロスケ”、不思議なネコバスなど魅力的なキャラクターの登場も必見。昨年は、イギリスの名門演劇カンパニー、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)と日本テレビの共同制作で、舞台化されたことも話題に。『魔女の宅急便』(1989年7月29日公開)魔女の女の子・キキが、人間社会での様々な出会いを通して、成長していく物語『魔女の宅急便』。魔女のおかあさんと人間のおとうさんに育てられたキキは、“13歳になったら一人前の魔女になるために知らない街で一人暮らしをする”という魔女の掟に従い、相棒・ジジと共に故郷を旅立つ…。「名探偵コナン」シリーズでお馴染みの高山みなみと山口勝平、さらに戸田恵子と、豪華キャストの参加、荒井由実の名曲にも注目。アニメーション映画のほかにも、2014年には、小芝風花を迎えて原作小説が実写映画化。また、上白石萌歌、福本莉子ら出演で何度も舞台化されるほど人気作品となっている。『紅の豚』(1992年7月18日公開)監督が自らを投影したキャラクターを主人公に、空を飛ぶことへのこだわりと思いを込めた『紅の豚』。誇りと、女と、金をかけて、ポルコ対カーチスのロマン溢れる男同士の空中対決がスタート!「カッコイイ」とは、何か――?哀愁漂うオトナなファンタジー作品だ。ヒロインのマダム・ジーナを演じた加藤登紀子が歌う主題歌「さくらんぼの実る頃」にも注目。スタジオジブリ史上初めて、ヒロインを演じた役者が主題歌を歌った作品となっている。『もののけ姫』(1997年7月12日公開)公開当時の日本の興行収入記録を塗り替え、日本だけではなく世界中で絶賛された『もののけ姫』。自然界と人間との関わりについて描いた壮大な物語は、自然と人間は共に生きることができるのかという、人類の命題とも言える大きなテーマに挑んでいる。石田ゆり子、田中裕子、小林薫、西村雅彦、森光子ら俳優陣が声優を務めているのも見どころのひとつだ。『千と千尋の神隠し』(2001年7月20日公開)第75回アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞、2002年ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した『千と千尋の神隠し』。少女・千尋が、両親と共に不思議なトンネルで迷い込んでしまうところから始まる物語。両親はブタにされてしまい、戻るための道もなくなった千尋は、神々の集う湯屋である「油屋」で働くしかなく――。舞台化は、昨年に引き続き、橋本環奈&上白石萌音の続投で再演が決定しており、大きな注目を集めている。『ハウルの動く城』(2004年11月20日公開)魔女の呪いで老婆に変えられてしまった少女ソフィーと、美しい魔法使いの青年ハウルが心を通わせていく、真実の愛の物語『ハウルの動く城』。生きることの素晴らしさ、戦うことの愚かさが描かれている。ボイスキャストには、ソフィーを倍賞千恵子、ハウルは木村拓哉が演じているほか、美輪明宏、神木隆之介、大泉洋らが声をあてた個性的なキャラクターたちも登場する。『崖の上のポニョ』(2008年7月19日公開)さかなの子・ポニョと、人間の男の子・宗介の間に生まれた絆を描く、全編手書きで製作された『崖の上のポニョ』。海辺の小さな町に住む5歳の男の子・宗介は、ジャムの瓶に入り込んでしまったポニョと出会う。瓶を割って助け出すと、ポニョは宗介が大好きになり、宗介もポニョを好きになる。父・フジモトによって海の中に連れ戻されてしまったポニョだったが、「人間になりたい」と強く願うように。ポニョは、妹たちの力を借りてフジモトの魔法を盗み出すと、宗介の元へと向かっていく――。主題歌と共に日本中で社会現象になった本作。どこまでもピュアな2人の大冒険に、心が弾むこと間違いなし。『風立ちぬ』(2013年7月20日公開)これまでの宮崎監督作品とは異なる“大人のラブストーリー”『風立ちぬ』。第二次世界大戦時、零戦の設計者として活躍した堀越二郎をモデルに、堀辰夫の同名小説をリンクさせ、主人公とヒロインとの恋、そして恋から愛へと成熟していく夫婦の絆が描かれている。宮崎監督の“最後”の長編映画として当時話題となった本作。主人公役は庵野秀明、ヒロイン役は瀧本美織が務めたほか、西島秀俊、竹下景子、大竹しのぶ、志田未来らが出演していることにも注目。『君たちはどう生きるか』(公開中)『風立ちぬ』から10年、宮崎監督最新作『君たちはどう生きるか』。原作・脚本も務めた本作のタイトルは、宮崎監督が少年時代に読んで感動した吉野源三郎の著書から借りたそう。スタジオジブリ作品としては初めてとなる、IMAX上映も行われる。なお、昨年11月には、スタジオジブリ作品の世界観を表現した公園施設「ジブリパーク」が開園し話題に。7月は、『コクリコ坂から』、『もののけ姫』の金曜ロードショー放送も決定しており、こちらも要チェックだ。(シネマカフェ編集部)■関連作品:崖の上のポニョ 2008年7月19日より全国東宝系にて公開© 2008 二馬力・GNDHDDT風立ちぬ 2013年7月20日より全国東宝系にて公開© 2013 二馬力・GNDHDDTK魔女の宅急便 2014年3月1日より全国にて公開© 2014「魔女の宅急便」フィルムパートナーズハウルの動く城 2004年11月20日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開©2004二馬力・TGNDDDTとなりのトトロ 1988年4月16日より公開もののけ姫 1997年7月12日より公開紅の豚 1992年7月18日より公開君たちはどう生きるか 2023年7月14日より公開©2023 Studio Ghibli
2023年07月14日映画『ナポレオン』が2023年12月1日(金)に公開される。監督はリドリー・スコット、主人公ナポレオン役はホアキン・フェニックス。軍人ナポレオンの“真の姿”とは?映画『ナポレオン』は、歴史に名を刻むフランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが、いかにして皇帝の座へ上りつめたのかを壮大なスケールで描く作品。彼が唯一愛した妻・ジョゼフィーヌとの波乱万丈な愛憎関係の中で、歴史に残る数々の戦争を仕掛けた“軍人ナポレオンの真の姿”に迫る。リドリー・スコット監督×ホアキン・フェニックス主演監督は、アカデミー賞作品賞に輝いた映画『グラディエーター』や『オデッセイ』などを手掛けてきた巨匠リドリー・スコット。主人公のナポレオン役はホアキン・フェニックスが演じる。リドリー・スコットとホアキン・フェニックスのタッグは、ホアキン・フェニックスがラッセル・クロウ演じるローマの将軍マキシマスと対峙する暴君を演じた『グラディエーター』以来となる。ホアキン・フェニックスは役作りにあたり、ナポレオンに関する膨⼤な量の書籍を読み漁りリサーチ。しかし、役作りは難航したといい、リドリー・スコットは細部にわたって1つ1つのシーンについてホアキン・フェニックスとの話し合いを行ったという。“アウステルリッツの戦い”シーンも『ナポレオン』は、リアルと特殊効果の相乗効果による圧倒的なスケールがポイント。中でも、ナポレオン史上最も華々しい功績をあげたとされる氷上が舞台の“アウステルリッツの戦い”シーンだ。オーストリア&ロシアと会戦する戦いのシーンについて、監督のリドリー・スコットは「無駄がない」と舌を巻くほどの出来栄えに。凍てつく氷の湖の先で睨みあうロシア軍と、ナポレオン率いるフランス軍。ナポレオンは、敵を凍った湖の上に追い込み、大砲で氷を割り敵を湖へと沈めた。このシーンは、なんと約80万〜120万㎡を誇る広大な野原の土を掘り、氷の湖の表面を再現、さらにはその上を氷で固めた上で撮影したという。⾶び散る⾎や泥、役者にこびりつくように濡れた泥、四⽅⼋⽅から⾶んでくるもの、多くの煙、機械仕掛けの馬などを用いて、迫力満点のシーンに仕上げたのである。衣装の約95%はオリジナル、出来る限り忠実に再現衣装にも注目ジョゼフィーヌはナポレオンとの出会いから皇后となるまで、地位の変化にともない衣装が変わっていく。彼女は、当時、時代の最先端であり、ファッションアイコンでもあった。結婚式、戴冠式など要所で出てくるジョゼフィーヌのドレスなども『ナポレオン』の見所。また、ナポレオンは軍服も当時のものを出来る限り再現。例えば、二角の”ナポレオン・ハット”。帽子も当時の比率があうよう徹底的にリサーチしたという。衣装の約95%は既存品の利用ではなく、映画のために制作されたもとなっている。登場人物ナポレオン・ボナパルト…ホアキン・フェニックス大いなる野望と驚くべき戦略思考をもって、数多の戦争を仕掛けた軍人であり、皇帝の座まで上りつめた男。歴史に名を残す“英雄”でありながら、⼀⽅で“悪魔”と恐れられた一面も持つ。ホアキン・フェニックスは、バットマンの敵役として登場した人気ヴィラン“ジョーカー”誕生の理由に迫る人気映画であり、続編の公開も予定されている『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞した。ジョゼフィーヌ…ヴァネッサ・カービーナポレオンが妻。カリブ海のフランス領マルティニーク島の貴族の家に生まれる。フランス革命で投獄された後、6歳年下のナポレオンと結婚。フランス皇后にまで上り詰める。ナポレオンが唯一愛した運命の女性で、彼の最期の言葉は「フランス、陸軍、ジョゼフィーヌ」であったと言われる。演じるのは、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』など話題作に出演しているヴァネッサ・カービー。ウェリントン...ルパート・エヴェレットイギリスの軍人。ワーテルローの戦いではナポレオンと会戦。ナポレオンとの戦争で功績をあげる。後にイギリスの首相にまで上り詰める。脚本は『ゲティ家の身代金』のデヴィッド・スカルパ脚本は、リドリー・スコットと『ゲティ家の身代金』でタッグを組んだデヴィッド・スカルパ。一流のキャストとフィルムメイカーが集結し、軍人ナポレオンの真の姿に迫る大作『ナポレオン』を送り出す。映画『ナポレオン』あらすじ歴史に名を刻むフランスの皇帝ナポレオン・ボナパルト。唯一愛した妻・ジョゼフィーヌとの波乱万丈な愛憎関係の中で、野望と戦略思考をもって数々の戦争を仕掛け、皇帝の座へ上りつめた。軍人ナポレオンの“真の姿”とは?【作品詳細】映画『ナポレオン』公開日:2023年12月1日(金)監督:リドリー・スコット脚本:デヴィッド・スカルパ出演:ホアキン・フェニックス、ヴァネッサ・カービー、タハール・ラヒム、ルパート・エヴェレット配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント原題:Napoleon
2023年07月14日『スパイの妻』の黒沢清監督が描く、ホラーでもSF でもない、全く新しいジャンルの映画『チャイム』の制作が決定。今作は、Web3時代のメディア配信プラットフォーム・Roadsteadにて2024年の独占販売を予定している。ある料理スクールで、男性生徒の田代を教える松岡。田代が突然、何かの声が聞こえると言い出す。料理教室でも、田代は少し変だと言われているが、松岡は気にしない。しかし翌日、田代は「僕の脳の半分は入れ替えられて、機械なんです」と言い出し…。『CURE キュア』(1997)で世界的な注目を集めて以降、『トウキョウソナタ』(2008)で第61回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査員賞、『岸辺の旅』(2015)で第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞、『スパイの妻』(2019)で第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢監督。最新作について、「これは見た人があ然となり、見終わった後に恐怖が強く残ることを狙った作品です。通常の物語で必要とされていることは一切説明されません。また、ホラーとかサスペンスといったジャンルにも当てはまりません。狂った映画、世にも異様な映画、それが今回の作品の狙いなのです」と、気にならずにはいられないコメントを寄せている。(シネマカフェ編集部)
2023年07月10日展覧会「映画監督 山崎貴の世界」が、長野・松本市美術館で2023年7月15日(土)から10月29日(日)まで開催される。映画監督・山崎貴の作品を紹介山崎貴は、2000年に『ジュブナイル』で監督デビューを果たした、長野県松本市出身の映画監督。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現、“VFX(ビジュアル・エフェクツ/視覚効果)”の第一人者と言われている人物だ。2005年に発表した映画『ALWAYS 三丁目の夕日』では、東京タワーの建設や東京オリンピックが行われた昭和30年代をVFXで表現し、第29回日本アカデミー賞最優秀作品賞・監督賞をはじめ、13部門中12部門を受賞。多方面から話題を集めた。その後も『SPACE BATTLESHIP ヤマト』『永遠の0』『DESTINY 鎌倉ものがたり』などにおいて、CG合成とは思えない緻密な映像で多くの人々を魅了。共同監督を務めた『STAND BY ME ドラえもん』では、3DCGアニメーションの分野でも高い評価を獲得した。デビュー作~最新作まで「映画監督 山崎貴の世界」は、そんな山崎貴のデビュー作から最新作までを紹介する展覧会。『ジュブナイル』や『永遠の0』の絵コンテ、『アルキメデスの大戦』のために作った平山案戦艦の模型をはじめ、デザイン画、出演者の衣裳、実物大のセット、VFXの制作過程、完成映像などを通じて、山崎貴がつくりあげてきた映像の魅力に迫る。【詳細】展覧会「映画監督 山崎貴の世界」期間:2023年7月15日(土)~10月29日(日)※月曜休館(祝日の場合翌平日)、ただし8月中は無休会場:松本市美術館 企画展示室住所:長野県松本市中央4-2-22開館時間:9:00~17:00(入場は16:30まで)観覧料:大人1,300円、大学高校生900円前売券:大人1,100円、大学高校生700円※20名以上の団体は200円引き。※大学高校生は、観覧当日、学生証の呈示が必要。※本展観覧券では松本市美術館3階コレクション展示室と記念展示室は鑑賞できない。別途、コレクション展示の観覧券が必要。※前売券の取り扱いは7月14日(金)まで。【問い合わせ先】松本市美術館TEL:0263-39-7400
2023年07月10日ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)と松竹がコラボレーション。映画監督・小津安二郎の生誕120周年を記念したアイテムが、2023年7月14日(金)より、ビームス ジャパン新宿、渋谷、京都などで発売される。映画監督・小津安二郎の生誕120周年記念アイテムビームス ジャパンと松竹がタッグを組み、映画監督・小津安二郎の生誕120周年を記念したコラボレーション企画が実現。第1弾として、アーティスト・長場雄による描きおろしのアートワークをベースにしたTシャツ・トートバッグ・ソックスを展開する。Tシャツの首元付けた特別ネームや、各アイテムに付属する小津安二郎の名言入り下げ札など、コラボレーションならではの仕上がりに注目だ。目玉となるのは、『東京物語』『秋刀魚の味』『お早よう』など、小津安二郎が監督した映画の名場面をデザインに落とし込んだTシャツ&トートバッグ。いずれもフロントに大胆にグラフィックを配しているのが特徴で、コーディネートの主役として活躍しそうだ。シンプルな線画で小津安二郎をプリントしたTシャツとトートバッグも見逃せない。Tシャツは、ブラック・レッド・ホワイト、一方のトートバッグはチャコールグレー・オフホワイト・レッドと、カラーはそれぞれ3色ずつ用意している。このほか、小津安二郎のアイコンであるピケ帽の刺繍を施した可愛らしいソックスも販売。足袋仕様となっているのも、こだわりのポイントだ。【詳細】ビームス ジャパン×松竹発売日:2023年7月14日(金)取扱店舗:ビームス ジャパン(新宿、渋谷、京都)、ビームス公式オンラインショップアイテム例:・120th ANNIVERSARY OZU YASUJIRO Tシャツ 5,500円・120th ANNIVERSARY OZU YASUJIRO トートバッグ 4,400円・120th ANNIVERSARY OZU YASUJIRO トートバッグ RED 4,620円・ピケ帽刺繍 和紙足袋ソックス 2,970円・『東京物語』Tシャツ 5,500円・『東京物語』トートバッグ 4,400円・『お早よう』Tシャツ 5,500円・『お早よう』トートバッグ 4,400円・『秋刀魚の味』Tシャツ 5,500円・『秋刀魚の味』トートバッグ 4,400円
2023年07月07日