サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜協立大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。聴講者はすでに6万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。(監修/高橋正紀構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)<<前回|連載一覧>>(写真は少年サッカーのイメージです)■トップ選手だった益子直美さんが「怒らない指導」をする意義バレーボール女子日本代表だった益子直美さんが、「監督は選手を怒ってはいけない」という小学生の大会を長年開催しています。昨年サカイクでも紹介されていたので、みなさんはよくご存知だと思います。彼女の取り組みは、最近テレビでも取り上げられていました。「そこ、もっと足動かして!」などと何度も強い口調で選手にげきを飛ばしていた監督さんは、益子さんから「いま、怒りましたね」と言われ、✕入りのマスクをつけさせられます。ご本人は「いや、アドバイスなんだけど」と頭をかいています。元代表選手がこのような活動をするのはとてもいいことです。多くの元オリンピアンは、自分たちが暴力や暴言で圧迫されたから成功したと感じているので、昨今の暴力根絶の動きには懐疑的です。「厳しくしないと勝てないだろう」と思っています。ですが、益子さんたちは「それはやめましょう」と呼びかけている。成功した彼女、彼らが発言してもらえると、非常に説得力があります。私が期待していた切り口です。それに、コーチたちは、指摘されるのが益子さんだから耳を傾けるのだろうなあと思います。これが、同じ地域の怒鳴らないコーチや、見ず知らずの私だったらリアクションは違うかもしれません。■暴言続きの明石市長に見る事例「大義」がないから変われないところで、益子さんのバレーボール大会が注目されるフックになったのは、兵庫県明石市の市長がパワハラを行ったことが明るみになったからです。この方は以前、道路の拡幅工事のために立ち退きを説得していた職員が怠慢だったと怒り「火をつけてこい」などと叱りつけ、問題になりました。それが今年になって、口論になった市議に「議員辞めてまえ」などとまたもや暴言を吐いたのです。市長は会見で「前回のこと(パワハラ騒動)があって、アンガーマネージメントの講習を受けるなど自分でも努力してきた」と自身もキレる自分と向き合ってきたのだと釈明していました。アンガーマネージメントの講習は、教育現場での暴力や暴言が問題視されるようになって以降中学や高校の教員はたびたび受ける研修であり、私もだいたいの内容はよくわかっています。それを聞いて、なるほど、だからまたキレてしまったのかと納得がいきました。なぜなら、市長は「アンガーマネージメント」という方法論に頼るだけで、自分の中に「大義」がないように見えます。簡単に言えば「暴言は我慢しよう」にとどまっている。根っこから自分を変えていないため、我慢できなくなったら、またキレてしまいます。対処療法では生まれ変われません。「私は行政のリーダーとして、こうあろう」「こんなリーダーが理想の姿だ」とか、もっといえば「自分は他者に対してこうあろう」といった、それまでの自分と真逆の自分を目指す。そうすると、根っこが変わるので、咲く花も変わりますね。そういった行動はベクトルがとてもポジティブです。逆に「切れてはダメだから我慢しよう」「抑えよう」といった思考はネガティブです。根っこが変わらない。私は、彼は自分に大義をもたなければ変わるのは非常に難しいと思います。方法論を学ぶのは一定の抑止力になるかもしれませんが、方法論だけでは表面的には分かりにくい別のやり方でやる方向にいく危険性があります。このことは、少年サッカーの指導者のみなさんも同様です。「もう手を挙げられなくなった。言葉で怒るのもダメなら、どう指導していいかわからない」「そういう時代だと言うことはわかるけど、100%納得できない」そんな声はいまだに聞こえてきます。自分たちは叩かれて立派に育った、という自負があります。逆にほめて伸ばすだけでこの子達はちゃんと育つのか?と不安に思っているようです。なぜなら、ほめて伸ばされて立派に育った大人をまだ大量に見ていないからです。■教え子は久保建英レベルじゃないから怒らないと伸びない?(写真は少年サッカーのイメージです)例えば、久保建英選手は怒られて育っていないというのはみなさん十分わかっている。でも、いま目の前にいる自分が教える選手は久保君のような才能はないから、怒ってやらせないと伸びないと思っていないでしょうか。ぜひ今までとは違う指導の仕方を探してほしいと思います。が、そのためには哲学を持たなくてはいけません。なぜ自分はサッカーコーチをしているのか。そこを自問自答してほしいと思います。加えて、これから、どんなサッカー選手を育てるべきかを考えます。そう考えると「自己決定できる選手」「自分磨きをできる選手」「主体的に取り組める選手」といった姿がイメージできます。であれば、暴言を吐くコーチのもとで、そんな選手が育つでしょうか。コーチが怖くて、みんな委縮している。怖いから走る。それは外発的な動機付けなので、確かな成長にはつながりません。子育ても同じですね。「○○ママの子育て」といった書籍は多いですが、それも方法論です。だれかが成功したやり方を真似しようとしても対象になる子どもは違う人物です。「自分はどう育てたいか」「どんな大人になってほしいか」といった大義が抜けていては、うまくいきません。ぜひ「大義は何か」を突き詰めてください。考え終わったときは、怒ることに意味がないことに気づくでしょう。<<前回|連載一覧>>高橋正紀(たかはし・まさのり)1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜協立大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。
2020年01月30日サッカークラブや各種スポーツ団体を対象に「スポーツマンのこころ」と銘打つ講義で、一流アスリートになるための心得を伝え続ける岐阜協立大学経営学部教授の高橋正紀先生。ドイツ・ケルン体育大学留学時代から十数年かけ、独自のメソッドを構築してきました。聴講者はすでに5万人超。その多くが、成長するために必要なメンタルの本質を理解したと実感しています。高橋先生はまた、「スポーツマンのこころ」の効果を数値化し証明したスポーツ精神医学の論文で医学博士号を取得しています。いわば、医学の世界で証明された、世界と戦える「こころの育成法」なのです。日本では今、「サッカーを楽しませてと言われるが、それだけで強くなるのか」と不安を覚えたり、「サッカーは教えられるが、精神的な部分を育てるのが難しい」と悩む指導者は少なくありません。根性論が通用しなくなった時代、子どもたちの「こころの成長ベクトル」をどこへ、どのように伸ばすか。「こころを育てる」たくさんのヒントがここにあります。(監修/高橋正紀構成・文/「スポーツマンのこころ推進委員会」)<<前回|連載一覧>>(写真は少年サッカーのイメージです)■大分のバレーボール暴力問題「そこまでして隠す」保護者達の意図全国大会に出場した大分県日出町の小学生女子バレーボールチームで発覚した男性監督の暴力問題。公立小学校の教頭でもある監督が女児を平手打ちした事実がありながら、県小学生バレーボール連盟(県小連)は、被害女児やその保護者に一切聴取せず「暴力はナシ」で済ませていました。そのうえ、同時進行で一部の保護者が、事実を外部に漏らさないよう保護者全員に誓約書への署名を迫るという驚きの行動に出ていました。過去にも、中高の部活動で顧問教師の暴力が明るみになると、保護者が「いい先生なので処分の軽減を」と署名に走ったり、告発した保護者を仲間外れにするケースは多いです。が、ここまで結託して積極的に暴力の隠ぺいを図るケースは初めて聞きました。少年スポーツ現場での暴力事件が報道されると、「まだやっている指導者がいるのか」という感想になるのですが、今回は「周りの大人たちもそこまでして隠すのか!?」と呆れるばかりです。ただし、隠そうとするということは、彼らに今の社会では許されないという自覚があるということ。わかったうえで見て見ぬふりをするのですからたちが悪い。非常に厄介です。親たちは、わが子が叩かれ、殴られ、蹴られて指導を受けていることを、本当に喜んでいるのでしょうか?少年サッカーでわが子が暴力を振るわれていた人は「嫌だけど仕方がない。全国大会に連れて行ってくれるのだから、他のコーチには代えられない」と話したと聞きました。■バレたら子どもが高校に行けなくなる個人の損得でしか考えられない親たち毎日新聞の報道によると、このバレーボールチームの親たちは記者の質問(恐らく「なぜ口止め誓約書を配布したのか?」)に以下のように答えています(一部標準語に変えています)。「県小連とかに密告したら、自分の子どもに返ってくるのが、(被害児の親は)わかっていないのか。バレたら子どもが高校に行けない可能性がある。チームの傘下に入った以上、そこは分かってほしい」「体罰を受けているのは子どもたちも分かっている。先生(監督)の言うことを一回で聞けば、そうはならない。体罰の何が悪いのか」「連盟に報告する意味があるのか。チームの存続が危うくなるし、監督が職を追われるということになりかねない」「全国大会に行くために練習してるのでしょう」「一致団結しなくては」「学校だったら横社会だけど、社会体育は縦社会。下が上に教わるとか、社会に出るための第一歩を教わるのが社会体育だ」(毎日新聞報道内容より)私に言わせれば、みなさん、めちゃくちゃです。社会の規範、常軌を逸しています。「子どもが高校に行けない」と言うのは、まだ小学生なのに、すでに強豪校への推薦入学を視野に入れているのでしょう。チームスポーツなのに、個人の損得でしか考えていません。しかも、このチームに入ったのだから、暴力があるのはわかっているでしょ?という考え方。他の方も含め、暴力は傷害事件に発展するもので、特に教育やスポーツの世界は何らかの処分を受けることをご存知ないのでしょうか。最後の社会体育の定義も含め、理不尽な意見ばかりですが、もっとも説得しづらいのは「体罰を受けているのは子どもたちも分かっている」。これはつまり、「監督は優秀な指導者だから、暴力的な指導であっても子どもたちは歓迎している」という考え方です。これは、もし、万が一、被害女子も含めたチームの選手全員がそうだったとしても、その考えを矯正するのが親の役割です。ミスや一瞬集中できないなど、悪いことをしたら監督に叩かれる。そのような委縮させられる環境で8~9歳から12歳の小学生がバレーボールをしていたわけです。■ドアとカーテンが閉められる......「今日は殴られるんだ」私の大学の卒業生でバレーボール部員だった学生は「高校時代、殴られる日は、体育館のドアが全て閉められ、カーテンも全て閉められるからすぐ、あ、今日は殴られるんだなとわかります」と話していました。「日本のバレーはダメだ」と言うので、私が10年前に読んだ本『ブラジルバレーを最強にした「人」と「システム」』(米虫紀子著)の話をしました。ブラジルは今や男女ともに世界トップレベルのバレー王国です。育成は以下のようなコンセプトでやっていました。14歳までの段階では、・バレーをとことん楽しませて大好きにさせる・ミニバレーでボールに関わる回数を増やし、ポジションはすべてローテーションでやらせる・アタック専門、セッター専門といったポジションの固定をやらないすると、その学生は目を輝かせて「だからですか!だからブラジルの選手はアタッカーでもレシーブが上手いんですね。セッターでもアタックができる。穴がないんです」と感心していました。ところが、そのブラジルは、それらのメソッドを日本から学んだと言うのです。なぜ他国がそれを盗んで発展し、日本は以前より低迷しているのか。「理由はわかります。日本は小学校のときからずっとアタッカーで、セッターはずっとセッターです。だから、アタッカーはレシーブが不得意なことが多いです。でも、エースアタッカーは自分以外の選手を下に見ていることがあったりします。決めるやつが偉い、ってなってる感じです」学生はそう話してくれました。スポーツ界、教育界が体罰根絶に舵を切ったのは、大阪の高校バスケットボール部員の自死した翌年の2013年から。当時は「選手に愛情があればいいのではないか」「熱血なだけだ。私たちも叩かれて強くなった」と、暴力を駆使して鍛えてきた指導者をかばう意見が多数を占めました。バレーボールでいえば、元全日本選手の女性タレントが「体罰がダメだとなれば、日本のバレーボールは弱くなる」と将来を憂いていました。■大分県日出町の現実が日本のバレー界の縮図(写真は少年サッカーのイメージです)しかし、体罰指導がなくなったから、日本のバレーが弱くなったのではありません。大分県日出町の現実が、日本のバレー界の縮図だろうと思います。隠れて暴力を繰り返した指導者、もみ消そうとした連盟、保護者。本来なら、子どもたちが安心してスポーツを楽しめる環境をつくる役目を負うべき大人たちが、そろって隠蔽に奔走していました。これは、子どもたちに対する完全な裏切り。罪です。スポーツマンのこころの考え方の心髄は「自分を大切にする=自分を磨く」です。だから、少し怠けている選手には「自分を大切にしてるか?」と話したりします。逆にいいことがあったときは「自分を大切にできたな!」と言って喜び合います。子どもを裏切る大人は、子どもの「自分」を大切にしていないばかりか、大人自身の「自分」も疎かにしていることに気づくべきでしょう。<<前回|連載一覧>>高橋正紀(たかはし・まさのり)1963年、神奈川県出身。筑波大学体育専門学群ではサッカー部。同大学大学院でスポーツ哲学を専攻。ドイツ国立ケルンスポーツ大学大学院留学中に考察を開始した「スポーツマンのこころ」の有効性をスポーツ精神医学領域の研究で実証し、医学博士号を取得。岐阜協立大学経営学部教授及び副学長を務めながら、講演等を継続。聴講者はのべ5万人に及ぶ。同大サッカー部総監督でもあり、Jリーガーを輩出している。Jリーグマッチコミッショナー、岐阜県サッカー協会インストラクター、NPO法人バルシューレジャパン理事等を務める。主な資格は、日本サッカー協会公認A級コーチ、レクリエーションインストラクター、障害者スポーツ指導員中級など。大分県日出町の現実が日本のバレー界の縮図
2019年11月27日平成18年度と平成29年度の11年間で、小学校1年生のクラス内での暴力は約19.2倍になっています。その原因が感情のコントロールが苦手なお子さんが増えているから。あんふぁんWebで「子どもが家族に対して暴力をふるったり、暴言を吐くことはありますか?」と質問したところ、47.5%の人が「ある」と回答しています。実際にお子さんの暴力・問題行動にお悩みの読者をお呼びして、リアルな声を聞きながら、今の子どもたちを取り巻く状況について、読者と増田先生でざっくばらんに話しをする場を設けてみました。夏休みを迎えた今、今一度親子関係を見つめなおしてみませんか?平成29年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」文部科学省発表小学生のお子さんの暴力・問題行動に悩むママたちYさん2児のママ。埼玉県在住。長男(小2)の問題行動に悩んでいる。パパに対する態度とママに対する態度があからさまに違うことにお悩み。Iさん4児のママ。東京都在住。長男(小4)の問題行動に悩んでいる。子だくさんゆえに、目が行き届いていないこともお悩み。【Yさんの場合】小2長男の口答えと暴言に悩んでいますYさん : 私は長男(小2)が口答えすることに悩んでいます。反抗期なのか、言い争いになることが多いです。とくに字の汚さを注意すると言い返してくることが多くて…。もう少しきれいに書けば、できるのは知っているので、「もう少し、きれいに書けないの」と言うと、そこから言い争いになり、「字が汚いのはお母さんのせいだ」「どうせバカだと思っているんだろ」「オレなんかいないほうがいいと思っているんだろう」と言い始めて。この言葉はショックでした。子どもにそう思わせてしまったのだろうか、とかなりへこみましたね。増田先生 : そのような発言は、お父さんに対してはないですか?Yさん : ないですね。父親に対しては、そのような態度に出ることはなく母親のみです。2人のときだけなので、父親は信じがたいと思います。私が報告をして、父親が翌日に話をすると、素直に非を認める感じがあります。増田先生 : 文字を書くのは早い方でしたか?Yさん : そうですね。字は年中くらいから、父親が教えて書けるようになっていたと思います。増田先生 : そうですか。最近は保育園でも字を教えているところが増えましたね。私も字の書き方というか、鉛筆の持ち方を教えています。Yさんのご家庭では、鉛筆はどのように持つといいと指導していますか? ただ、「上手に文字を書きなさい」というのは子どもには難しいんです。持ち方をきちんと教えてから、書き方を教えることが大切です。大人はよく「きれいに書きなさい」と言うけれど、そうではなく、まず大事なことは鉛筆の持ち方を教えることなんです。Yさん : 言葉遣いが悪いことも気になっています。どのように注意すればいいか。どこまで許すかが難しくて…。私に対して「てめぇ」と言ったりすることもあって。増田先生 : 言葉自体はそれほど気にしなくていいと思いますよ。考えるべきなのは、何でも「お母さんが悪いんだ」という責任を転嫁してくる傾向の方ですね。今、学校では、いろんな問題が低学年で起きています。その中で思うのは、「他責タイプの子が多くなっている」ということ。大学生になっても、単位が取れないのは先生が悪い、先生の教え方が悪い…というんですね。何か不都合があったときに、まず自分が悪いと思わない、責任転嫁する傾向を感じます。こういう傾向は、小学校から始まっていて、Yさんの息子さんだけの話ではないんですね。こういう子どもがなぜ増えたか?を考えると、世の中が、なんでもきちんとできる子を求めているからだと思います。きっと、Yさんのご主人は子どものころからできる人だったのではないでしょうか。「お父さんはしっかり生きてきた」という無言の圧力があって、「お父さんはできる人だ」というリスペクトが息子さんにある。同時に「でも僕はできない」という焦りや、「自分はそうはなれない」という思いが息子さんの中にあるように感じます。実はそれが大きなストレスとなっている可能性もありますね。【Iさんの場合】子どものウソにほとほと疲れてしまいました…Iさん : 私は長男(小4)のウソに悩んでいます。小2くらいから多くなったのですが、当時、クラスが荒れていて、担任の先生が3回変わる事態がありました。母親と父親に言っていることが違ったり、明らかにウソだとわかるのに、ウソをつきとおそうとします。増田先生 : 僕は子どもは、自分の都合がいいようにウソをつくものだ思っています。「ウソはいけない」というのではなく、もっと「うまいウソをつきなさい」くらいの感覚がいいんじゃないかな。「もっと笑えるようなウソを考えてごらん」って言ってみる。うまくユーモアにすり替えるという感じですね。いずれ、子どもはウソをついていけない場面はわかってきますよ。息子さんがウソをついているなと思うときは、聞き方を変えてみるのも大切ですね。話を聞きながら、「うんうん、それで? うん、それで?」「ふーん」「どこが通じてないと思う?」という感じで聞いていく。子どもの話を聞いているようで、実は「話し手モード」で対峙しているお母さんが多いんです。子どもに促すのは「反省」ではなく「内省」です。自分の非を認めるのは難しいけれど、自分自身で考えさせることが大切。Iさんの息子さんの話を聞いていると、語彙をもう少し増やせるといいと思いますね。息子さんが小さい頃「読み聞かせ」はしていましたか?Iさん : いえ、ほとんどしていないですね。増田先生 : 今、4年生ということですが、今から「読み聞かせ」をしてみてください。2年生くらいが読む絵本から始めてみるといいと思いますよ。言葉の数を増やすには、読み聞かせが大切。今からでも遅くないので、ぜひやってみてください。そのとき、その絵本の世界を一緒に楽しむことが大切ですよ。音読が大切なのは、言っている言葉が耳には跳ね返っているからなんです。それによって、理解度が高まる効果もあります。ぜひ声に出して読んであげてください。ほかには「対面読み」。同じ本を2人で読み合わせるのもいいですね。同じ本を2冊用意して2人で読んでみる。僕は子どもたちに、絵本を見せないで読んでみる → その場面、世界を想像させる → 絵を見せる、ということもしていました。文字能力だけでなく、絵を一緒に見せて読解力を深めるんですね。現代は子どもたちにとって「受難の時代」今回のお悩み相談を受けて、増田先生から読者に向けてメッセージをいただきました。Iさんの相談の中に、小2のとき担任が3回変わったという話がありました。僕が小学校教諭だったときに、担任が7回変わった事例がありました。子どもたちが悪さをする → 親が文句を言う → 先生が病んで辞める → 子どもが「自分たちを見捨てた」と思う → 僕たちはどうでもいい存在だという感覚 → 投げやりな気持ちになる、という悪循環でした。担任が通年を見ることがいかに大切かということです。それから、最近の子どもたちの関係性においては、クラスの同調圧力が強い、それに抵抗することが難しいということを親が理解してあげてほしいなと思います。以前はクラスのリーダーも決まりやすかったです。なんとなく中心になる人物がクラスをまとめ、先生をサポートしてくれてもいた。でも、今はリーダー自体が、全体の空気を読まないといけない。だからリーダーをやりたくないと思うようになる。現代は子どもたちにとって「受難の時代」だということも親として頭に入れていただきたいです。増田修治先生白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。
2019年07月26日2016~’17年に、立て続けにエリート大学生らによる性暴力事件が報道されたのを覚えているだろうか。姫野カオルコさんの『彼女は頭が悪いから』は、そんな暴行事件のひとつ、東大生による集団わいせつ事件に着想を得て書かれた。読者自身の倫理観や価値観を映し出す、恐るべきミラー小説。「最初にラジオのニュースで聞いたときから、直感的にこれまで見聞きしてきた事件とはどこか違うと違和感を覚えました」姫野さんは、自分なりに報道等で事件を調べるとともに、裁判の傍聴にも出向いた。同じくこの事件について取材を重ねていたフリーライターの高橋ユキさんから話を聞いたりもしたという。結局、取材開始から出版まで、2年近くを要した。「事件そのものは、すでに法廷で裁かれており、細かい事情まで知らない私があれこれ言うことではありません。性衝動では説明できないような事件が起きたという結果の報道から、こうであったかもしれないという、自分にも多くの人の中にもある醜さを考えたいと思いました」のちに被害者となる神立美咲は、横浜の平凡な家庭で育ち、普通の女子大に進学した。加害者となる竹内つばさは、東京の一等地の公務員宿舎に住まいがあるような家庭で何不自由なく成長し、東大生となった。「私なりの調査から推測した女性像、男性像です。美咲は『ま、いっか』とその場の空気に流されてしまう女性で、つばさは東大ブランドを万能だと勘違いしているような男性」物語のほとんどは、美咲やつばさがどうやって育ってきたかに割かれており、それがわいせつ事件の背後に潜む、現代社会や市井の人々の歪んだ倫理観や価値観を際立たせる。「この作品に出てくるのは、加害者もその家族もSNSユーザーもイヤな人たちばかり。その中の誰に、どんな物言いに嫌悪感を覚えるかで、自分がどういう人間かが見えてきます。見たくないのに、できてしまったおできは鏡で見ずにはいられないですよね。そんなミラー小説と呼べるような作品になりました」問題作にふさわしいエンディングは、最初から決めていたのだろうか。「展開も含め、作者の意図が介在する余地がなかったですね。登場人物たちがみな自分で語りだし、行動し……、私はそれをただ書き留めていただけのような気がします」姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』カバー絵に、身分格差のある悲劇的な恋愛を描いたといわれるジョン・エヴァレット・ミレイの「木こりの娘」が使われているのも印象的。文藝春秋1750円ひめの・かおるこ1958年、滋賀県生まれ。2014年、『昭和の犬』で直木賞受賞。エッセイにも卓抜した才能を発揮。著作に『近所の犬』『純喫茶』ほか。※『anan』2018年10月3日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年09月27日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日昨年4月13日に、『City of Lies』(原題)の撮影中スタッフに暴力を振るったとして損害賠償を求められているジョニー・デップが、訴えを真っ向から否定した。「The Wrap」などが報じた。原告で当時ロケーションマネージャーを務めていたグレッグ・ブルックスは、撮影現場でジョニデの過度な要求にも応えようと努力していた。しかし、グレッグはアルコールの臭いをさせたジョニデに身体を2回強く殴られ、「10万ドルやるから俺の顔を殴ってみろよ」と挑発までされたという。また、この事件について「訴えない」という放棄証書にサインをさせられそうになった。サインを拒否したところ、事件から3日で不当解雇に…。ジョニデの弁護士は「原告が訴えている事柄は、原告自身の感情的で悪意に満ちた行動によって起きたものです。被告のデップ氏は身の危険を感じ、(同作品の)ブラッド・ファーマン監督にも危険が及ぶと感じ、自分と周りの人たちを守っただけです」という旨の反論書を裁判所に提出した。また、「メディアで報じられていることは事実でなく、ジョニー・デップは訴えを起こしたあの人に触れたことすらないのです。十何人もの目撃者がいますし、彼らは証言もできますよ」と強気な姿勢も見せた。「すべての要求を退け、いんちきな訴えに全面的に闘うつもりです」とのことだ。(Hiromi Kaku)
2018年08月21日女性に対してDVをしてしまう男性というのは、少なからずいます。絶対に暴力だけはイヤだと思っている人も多いと思いますが、彼氏がもし暴力をふるってきたらどうしますか?許せるでしょうか?それとも即座に別れるでしょうか・・・。実は、DVには治るものと治らないものがあり、DVをふるわれても治るDVであればお互いに努力していく事で関係を良くしていく事もできるといいます。治るDVと治らないDVについてお届けします。1. DVは男だけのせいじゃない!?DVは絶対に許されないことを前提で書きますが、男性は女性よりも言葉でコミュニケーションを取るのが苦手な生き物です。小さな男の子が上手く言葉で伝えられないと、お母さんを蹴ったり叩いたりしてしまいますよね。あの状態に大人になっても陥ってしまうというのです。暴力をふるうことは絶対によくありませんし、暴力をふるう人間は最低です。でも、コミュニケーションの取り方次第では、DVを防げるということを胸に留めておく必要もあるのです。2. 治るDVとはどんなもの?DVをしてもそれを深く反省できる人であれば、恋人の協力で2度とDVしないという状態に持っていくことは出来るといいます。例えば、「溜め込み型」です。口下手で上手に反論が出来ないために、彼女への不満がドンドン蓄積。我慢できなくなってしまい、口では反論できないので手が出てしまうというDV男性の特徴です。また、「激高型」と呼ばれるDVも治りやすいといわれています。激高型は、男性のここだけは触れて欲しくないという部分に彼女がズケズケと触れてしまったがために、手が出てしまったなどというパターンです。例えば、「お給料少ないね」「セックスが下手」などと言われてカッとしてしまったなど。この2つのケースの場合、お互いに悪い部分があり手が出てしまったという状態。この2つのDVパターンであれば、女性が少し落ち着いたものの言い方をする、伝え方を変えてみる、ゆっくり話し合うという作戦を取る事で改善する事も多いと言われていますよ。3. 治らないDVってどんなもの? (1) 言葉の暴力とワンセットになっている「うるせえこのブス」など言いながら暴力をふるうようなDV男性は、女性を完全に見下しています。自分の立場が上である事を証明するためにDVを行うので、気に食わない事があれば、女性に対してすぐに暴力を振るようなタイプが多いのも事実。 (2) 暴力を悪い事だと思っていない例えば平手打ちという暴力を男性が振るったとして、「グーで殴ってないだけマシ」とか「こんなの痛くないだろう」なんて言う男性のDVは一生治らないのですぐに逃げてた方がいいでしょう。相手の痛みが分からない人であり、DVがエスカレートしてしまう可能性も高いと言われています。 (3) コントロールするためにDVをする自分の言う事を聞かせるためにDVを行うタイプ。これも治らないのですぐに別れたほうが良いでしょう。自分の思い通りにならないと、暴力という「恐怖」で相手を従わせようとします。恐怖で人をコントロールしようとするタイプは本当に危険です。 (4) 暴力を女性のせいにする「お前が言い過ぎるから」「○○しなければこうならなかった」などと言い、自分の暴力を彼女のせいにする男性のDVは治りません。自分がDVする事を正当化することに気持ちが囚われ、問題解決しようという気持に至りません。こういう男性は、時間が経つと「お前がもうしないって言うなら許す」とか「痛かったよなごめんな・・・でも」と優しくする事も多いので気をつけなくてはいけません。基本的に女性に暴力をふるう男性は、どんな理由があっても許されないと私は思っています。でも、好きだから乗り越えたいという気持ちを持つ女性もいるでしょう。そんな時は、努力して治るDVなのか、治らないDVなのかを見極めて、彼のそばにいる決意をするべきだと思います。written by 亀ぱんだ
2018年08月07日6月から北米ツアーをスタートしたハリー・スタイルズが、テキサス州ダラスの公演で政治的な主張をアピールした。「End Gun Violence」(銃暴力に終止符を)と書かれたステッカーをギターに2枚貼り、ライブを行ったのだ。さらに、ハリーはこのギターを弾いている写真をSNSに投稿し、再度主張を強調した。テキサス州では先月18日、サンタフェ高校で在校生による銃乱射事件が発生。生徒、教師10人が命を奪われ、多くの人が負傷した。この事件を受けて、ハリーは声を上げたのだとみられる。銃に関してハリーが行動を起こしたのは今回が初めてではない。今年3月24日に世界各地で開催された、銃規制を求めるデモ「March Our Lives」(命のための行進)の趣旨に賛同したハリーは、SNSでファンにこのデモをサポートする署名を求めた。このデモは、2月に起きたフロリダ州の高校での銃乱射事件をきっかけに行われたものである。ハリーは銃規制問題のみならず、人権問題に対してもアクティブだ。ライブではLGBTQの人たちの象徴「レインボーフラッグ」を振ったり、「Treat People With Kindness」(思いやりを持って人に接しましょう)というロゴ入りTシャツを販売し、LGBTQの若者を支援する団体に収益を寄付している。LGBTQは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・ジェンダークィア(自分が一つの性にカテゴライズされることに違和感を覚える人)の総称。(Hiromi Kaku)
2018年06月08日この10年間で、小学生のクラス内暴力が約14倍に増えたという調査があります。昔は「じゃれ合い」とされていた行為が「暴力」とみなされるようになったことも急増の理由の1つですが、感情のコントロールが苦手な子どもが増えていることが原因です。小学生の中でも特に低学年の暴力の伸び率が高い結果となっています。小さい内から感情のコントロールを教えていくにはどうしたら良いのでしょうか?感情をコントロールできない子どもの特徴子育て中の親は、子どもが自分の感情をコントロールできず爆発してしまう状況に直面することがあると思います。まずは感情のコントロールができない子どもの特徴を知っておきましょう。●思い通りにならないと大声を出す・泣く感情のコントロールがうまくいかないと、自分の思い通りにならない時に大声を出したり泣き出したりします。例えば、欲しいお菓子を買ってもらえるまで床にひっくり返って暴れるなどです。●自分の邪魔をする相手に暴力を振るう感情のコントロールが苦手な子は、自分のやりたいことを邪魔する相手につい手を出してしまいます。おもちゃで遊んでいる時に他の子が側に来ただけでも邪魔されたと感じてしまいます。●自分の感情をうまく言葉にできない自分の心の中の苛立ちをうまく言葉にできず、それが行為になって表れてしまいます。「ばかやろう」などの暴言を吐くのも、自分の感情に整理がつけられないことから発してしまいます。●自分の考えを相手に押し付ける相手の話を聞かず自分の考えややり方を押し付ける傾向があるのも特徴です。集団で遊ぶ時に、自分がやりたいルールを押し付けようとします。周りが自分に合わせてくれないと、ふてくされて遊びから抜けることもあります。理解できていなくても正しい在り方を教える必要がある感情をコントロールできるかどうかについては、小さい内から親の関りが重要です。暴力を振るう子どもの親は、「子どもだからこれくらい許されるでしょ」と考える傾向にあります。例えば、公共の場で走り回ったり、よその人に乱暴な口を子どもがきいても注意をしない親がいますよね。「子どもだからやってもいい」ではなく、子どもの内から何がいけなくてどうすればいいかを教えていくのが大人の役目です。子どもが小さくて理解できないから教えないのではなく、そういう時期から繰り返し教えることで感情をセーブできる子どもが育ちます。また親から「〇〇しなさい」と命令されて育つと、人から価値観を受け入れてもらう経験が乏しくなり、自分も誰かの価値観を受け入れられることが出来ず「ムカつく」「ウザい」などの言葉を連発する傾向にあります。感情をコントロールできていない時こそ教えるチャンス子どもが感情をコントロールできていない時、何とかしないとと親はまず考えますが、実は子どもに対応を教えるチャンスです。ケース別に対応を見てみましょう。●けんかで相手を叩く特に兄弟げんかでは、エスカレートすると殴り合いになることもあります。お互いの言い分をしっかり聞く事と、「今回はお兄ちゃんが正しいと思うよ」「でもここは悪かったから謝ろうね」などと伝えましょう。●思い通りにならないと声を上げるレストランなど公共の場で大声を出されると、大人は焦ってしまいとにかくその場を収束しようと、子どもにスマホを与えるような対応が多いです。確かにその場は一旦収まるかもしれませんが、それでは感情をコントロールできるようにはなりません。食事の場であれば一旦外に出て落ち着かせ、まずは「皆が静かに食べられないよね」など理由を説明します。「落ち着くまで中に入れないんだよ」と毅然とした態度を取ります。ルールを守れないと損をするという経験が、感情のコントロールに必要です。●暴言を吐く家庭内で気を付けていても、外の世界やTVなどから色々な言葉を覚えて使うようになります。これは仕方ないことであり社会が広がった証拠でもあります。子どもには何が良くて何が悪いのか分かりませんので、「ママはその言葉、相手を傷つけるから嫌いだな」などとその都度伝え理由も説明しましょう。感情をコントロールできない子どもへの接し方子どもが感情をコントロールできない場合、親はどのような態度で接したらよいのでしょうか。接し方を間違えるとさらにエスカレートする恐れもあります。ポイントを押さえておきましょう。1.感情的にならない子どもが困った行動をすると、つい怒鳴ったり無理にやめさせようとしてしまいます。しかし親が感情をぶつけると子どもの興奮はおさまりません。親は感情を押さえて穏やかに接しましょう。声のトーンを下げて落ち着いて話すことを心がけます。2.意見に耳を傾ける大人の物差しで決めつけず、子どもの意見をしっかりと聞くことが大切です。親が話を聞いてくれることは子どもに安心感を与え、暴れる前に自分の気持ちを話してくれるようになります。3.子どもの気持ちを言葉で表す子どもはやりたいことや言いたいことがうまく表現できなくて暴力や暴言などの問題行動を起こしてしまいます。何をしたいのか、何が嫌なのかを親が代弁してあげることが効果的です。「〇〇がしたかったんだね」「疲れたからイライラするんだね」など、伝えたいことをまとめてあげましょう。「こういう時はこう言えばいいのか」など、子ども自身が学ぶことにもなります。4.一貫性を持った態度をとる場合によって対応が異なると子どもは混乱します。子どもと接する時は、その時の気分などで対応が変わらないように一貫した態度を取りましょう。また、夫婦で違うことを言うのもよくありませんので、夫婦間で話し合って方針を統一しておきましょう。感情のコントロールは大人でも難しい時があり、子どもであれば尚更です。親が無理におさえつけてやめさせるのではなく、子どもの気持ちをしっかりと聞き想像し言葉にすることで、子は徐々に落ち着いて考えることができるようになってきます。「うちの子はすぐキレて困る」と嘆く前に、子がどんな風に考えているのかをよく探ってみるところから始めてみましょう。
2018年05月01日“私の兄は、障害者”。見て見ぬ振りして、直視できない現実を避けるように生きてきた、妹目線の連載です。 暴力的だった兄は、次第に家から出ない状態に変化していきました。文・心音(ここね)【兄は障害者】vol. 5高校退学後、兄は急に内向的になった大声をあげながら夜中に帰ってきたり、学校では “ヤンキー系” でヤンチャをしたりしていた兄。しかし、高校を退学させられた後は、だんだん世の中のギャップに気づきだしたのか、家から出ない日々が続きました。もちろん、中卒扱いで働く場所もない。外に出れば、好奇の的。だからといって、新しい予備校に行くという意欲もない……。母は「中学生までは、自慢の子供だった」と言います。運動神経が良く、足も速くていつもリレーの選手。ルックスもよくてオシャレが好きだった兄は、ファンクラブができるほど人気だったからです。それだけに、急に高校からいなくなった “人気者で目立つ兄” の噂は、瞬く間に広がっていきました。そして、自分の悪事に対して後から反省し始めたのか、兄は知り合いに合うたびに引け目に感じるようになっていきました。2階にある兄の部屋は、孤立していた両親は、兄の将来を考えて進路を応援する取り組みをしていましたが、兄は乗り気ではありませんでした。それどころか、部屋から出なくなっていったのです。基本的に部屋のドアを開けるのは、トイレのみ。歯磨きもしない、顔も洗わない、お風呂も入らない。ご飯を用意しても、リビングには来ない。同じ服を何日も着て、布団から出ないんです。「ねえ、お兄ちゃん、お風呂入ってスッキリしたらどう?」と母は、怒ることなく自分の部屋に何日も引きこもる兄に声をかけていました。「ご飯ができたから、リビングにおいで」と呼んでも出てこなければ、母は兄の部屋の前に、お味噌汁やご飯、焼き魚をトレーに乗せて「ドアの前に置いとくから、食べてね」とひと言。数時間経って、そーっと2階の階段を上ってトレーのご飯が減っていれば、片付ける。その繰り返しの日々が続きました。両親は無理に部屋から連れ出そうとはしませんでした。自分が撒いた “種” は、荒れ果てていた正直、兄に関して父より母のほうが献身的だった気がします。自分がお腹を痛めて “産んだ子” だからなのか、母はいつも兄の味方でした。見ていて苦しくなるくらい……。父は仕事から帰ってくると、たまに「疲れて帰って来ても、家の中では休まらんわ」と愚痴をこぼすこともチラホラありました。「知り合いに会いたくない」と兄がいっても、「お前が撒いた “種” だろ?」と冷たく言い返すこともありました。まさに、私は父が言った通りだと思います。“撒かない種に、芽は出ない” とよくいいますが、自分が撒いた後の畑には、必ず何かしらの “芽” が出ます。兄の畑は、荒れ果てていました。まるで、水のない乾燥した状態を耕さずにそのまま放置し、雑草が生えてぐちゃぐちゃになった畑。それは、兄が撒いた “種” の結果だったのです。そんな状況をなんとか打破するべく動いたのは、やはり母でした。パートをやめ、次のステップに踏み出しますーー。(C)RyanKing999/Gettyimages(C)yigitdenizozdemir/Gettyimages(C)Xander_D/Gettyimages
2018年03月11日この10年間で、小学校1年生のクラス内での暴力は約14倍になったという調査結果が出ました。原因は感情のコントロールが苦手な子どもが増えていることではないかと言われています。では、小さいうちから感情のコントロールを教えていくにはどんな関わり方をしていけばいいのでしょうか?小学校教諭として28年間勤務した経験のある、増田修治さんに聞きました。◆お話を聞いたのは…増田修治さん(あんふぁんサポーター)白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。28年間小学校教諭として勤務した後、現職。子どもの荒れやいじめについて、新聞や雑誌などでアドバイスを多数行っている。あんふぁんWeb「小学生ママ」コーナーの「困ったら増田先生に聞いてみよう 放課後職員室」でも活躍中。●10年間で小学生の暴力は急速に増えている!急増の理由としては、昔は「じゃれ合い」とされていた乱暴な行為も「暴力」とみなされるようになったことが挙げられるものの、特に低学年の伸びが非常に高いことが分かります。※平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査速報値」(文部科学省)■子どもの暴力の特徴(1)…「なんとなくムカつく」だけで手が出てしまう私が過去に担任を受け持った児童の中には、「どうして叩くの?」と聞くと「なんとなくムカつくから」と答えた子がいました。何をされたわけではないけれど、「相手が気に入らない」ことが暴力の理由になるのです。■子どもの暴力の特徴(2)…自分の感情をうまく言葉にできない自分の心の中の苛立ちやモヤモヤをうまく言語化できず、感情がいきなり行為になって表れてしまいます。「ムカつく」「ばかやろう」「死ね」などの暴言を吐くのも、自分の感情に整理がつけられないためです。■子どもの暴力の特徴(3)…手や体の一部が触れることを嫌がる友達の手や体が触れることが我慢できず、払いのけたり叩いたり。家庭内でのスキンシップが不足している子に多いパターンです。また、「誰が触ったか分からないよ」という言葉も、過剰に潔癖な子をつくってしまいがちです。■子どもの暴力の特徴(4)…自分を棚に上げて人のことを責める小学校の荒れているクラスの子どもには、「みんなルールを守らないんだから自分も守らなくていいだろう」と考える「他責タイプ」が多く見られます。親が「○○くんって悪い子ね」とすぐ人のせいにすると、子どももまねしてしまいます。●先生に質問Q:暴力とけんかの違いって?A:お互いに言い分があるのが「けんか」。一方的な攻撃が「暴力」。友達やきょうだいを叩いてしまったり、蹴ってしまったり。わが子の乱暴な行動にヒヤッとした経験を持つママは少なくないことでしょう。ただし、手や足が出たからといって一概に「暴力」とは言えません。言い争ううちにエスカレートして、手や足が出てしまう。これは「けんか」です。けんかにはお互いに原因があり、言い分があります。一方「暴力」の場合、手や足が出ることに理由はありません。「なんとなくムカつく」という自分の感情で、一方的に相手を攻撃してしまうのです。Q:親の育て方に問題があるの?A:親に「〜しなさい」と命令されてばかりだと暴力的になる傾向に。「なんとなくムカつく」「ウザい」。こうした感情には、自分とは違う価値観を持つ相手のことを受け入れられないという問題が隠れています。「ムカつく」「ウザい」を連発する子どもたちには、親から「○○しなさい」と命令されて育った傾向があります。価値観を受け入れてもらった経験がないから、自分も誰かの価値観を受け入れることができないのです。Q:感情のコントロールを子どもにどう教える?A:どこが悪いのかどうすればいいのかを大人が丁寧に伝えて。「暴力を振るう子どもの親」は、「子どもだから許されるでしょ」と考える傾向にあるようです。例えば、わが子が公共の場で走り回っても知らんぷり、よその人に乱暴な口を利いても注意しないなどですね。もちろん子どもですから、未熟さゆえに間違えてしまうことはあります。その度に、その行動のどこがいけないのか、どうすればいいのかを教えていくのが大人の役目。その姿を見て、自分の感情や行動をセーブできる子どもが育っていくのです。●感情のコントロールができる子に!お子さんの「暴力の悩み」にお答えしますきょうだいやパパ・ママを叩いたり、電車の中で大声を上げたり…といったお悩みを、約半数の人が抱えているようです。でも、子どもがムカついているときこそ、感情をコントロールする術を教えるチャンス。増田さんにアドバイスを聞きました。Q:お子さんは家族に対して暴力を振るったり暴言を吐くことはありますか?2017年11月8日~12月5日、有効回答数1134■お悩み1位:きょうだいを叩く……25.7%兄弟げんかをすると必ず叩き合いに。「お互いさまだからお互いに謝ろうね」と言って仲直りさせますが、いいのでしょうか?(北海道・年長ママ)A. 「はい仲直り」はNG! 価値観を伝えるチャンスです「どちらか一方に肩入れしてはいけない」と思うあまり、言い分を聞かずに解決させていませんか?トラブルになった時こそ、何が正しくて何が正しくないかという価値観を子どもに伝えるチャンスです。「今回は、ママはお兄ちゃんが正しいと思う」「でも、お兄ちゃんもここは悪かったから謝ろうね」という伝え方をしていきましょう。■お悩み2位:思い通りにならないと大声を上げる……22.9%ファミレスで大人同士が話をしていると、気に入らないのか大声を上げます。周りの人に迷惑が掛かるので、ついスマホを与えてしまいます。(東京都・年中ママ)A. スマホでは感情をコントロールできるようになりませんスマホを渡せば静かにはなるでしょうが、大声を上げると迷惑になることは伝わりません。親が一緒に外に出て、「みんなが静かに食べられないよね」となぜダメなのか理由を話し、「落ち着くまで中には入れないんだよ」と毅然とした態度を取ってください。ルールを守れないと損をするという経験も、感情のコントロールにとって大切です。■お悩み3位:パパ・ママを叩く……20.6%悪いことをして怒られたとき、私を叩いたり蹴ったり。優しく言い聞かせていますが、つい怒鳴りたくなってしまいます。(神奈川県・年長ママ)A. 親だってたまには本気で怒っていいんです親だって人間ですから、叩かれたら腹が立つのは当然。どうしても我慢できないときは、「大事なあなたに叩かれたり蹴られたりして、ママの心がいちばん痛いのよ!」と正直に伝えて良いのです。しかしあまりに頻繁に親を叩くのは、愛情を欲していたり、親のことを下に見ている場合があります。普段の関わりを見直してみましょう。■お悩み4位:物を壊す、物に当たる……11.1%思い通りにいかないことがあると、すぐおもちゃを投げつけます。「落ち着きなさい!」と言いますが効き目がありません。(神奈川県・年少ママ)A. 感情を落ち着かせる「隠れ家」を作ってみましょう段ボールなどで子どもがちょうど入れるくらいのスペースを作り、気持ちが落ち着くまでそこにいる、自分の意思で出てきたところで話を聞く…という方法です。これは多くの幼稚園や保育園も導入している方法ですが、子どもたちは「隠れ家」がお気に入り。体が壁に密着することで「守られている」という気持ちになり、心が落ち着くようです。■お悩み5位:暴言を吐く……5.7%「うるせぇ! 」「ばかやろう」などの乱暴な言葉を使うようになりました。園の友達の影響かなと思うのですが…。(千葉県・年中ママ)A. 友達を責めずに「その言葉は嫌いだな」と伝えましょう友達のまねをするのは社会が広がった証拠でもあり、ある意味仕方のないこと。「そういう言葉はママは嫌いだな」と伝えていくことで、成長と共に直っていきます。くれぐれも「そんな乱暴な言葉を教えるなんて○○くんはひどい子ね」と友達を責めるのはやめてくださいね。良くないことがあったとき、他人を責めるクセがついてしまいます。●ムカつきやイライラの翻訳者になることが大人の役目です「ムカつく」と言ったり、叩いたり蹴ったりするといった暴力には、「自分の感情をうまく言葉にできない」という問題が隠れています。いったん言葉を通して説明することで、イライラやムカつきは整理されていくものですから、そこを手伝ってあげるのが大人の役目。「どういう意味でムカつくって言ってるの?」「こういう理由で叩いちゃったのね」と、大人が良き翻訳者になることで、自分の感情をコントロールできる子が育っていきます。巻頭特集監修/西東桂子さん(あんふぁんサポーター)illustrationYAMAMOTO Mamoru
2018年02月07日「glee/グリー」のサンタナ・ロペス役で知られるナヤ・リヴェラが、夫ライアン・ドーシーに対する家庭内暴力で逮捕された。「CNN」など複数メディアが報じた。ナヤは「glee/グリー」に出演していた20代前半の頃からライアンと交際していたが数年で破局。2013年にラッパーのビッグ・ショーンと婚約したが、婚約を解消し、再びライアンと付き合うように。そして2014年にライアンと結婚したが、2016年に離婚を申請。しかしその後すぐに復縁し、息子のジョジーくんを一緒に育てていた。オン・オフを繰り返している2人ではあるが、“暴力沙汰”になったのはこれが初めて。11月25日土曜日夜(現地時間)、サンクスギビングデーを祝うためにライアンの実家のあるウェストバージニア州に帰省していたナヤ一家。2人でジョジーくんを連れて通りを散歩している最中に、子どもに関することで言い争いになり、ナヤがライアンの頭と顔を殴ったのだとか。ライアンは警察に通報。暴行を受けている間に撮影していた動画が“決め手”となってナヤは逮捕された。地元警察によれば、ライアンは「治療が必要ではない」程度のケガで済んだとのこと。ナヤは保釈金約11万円を支払い、すでに保釈されている。(Hiromi Kaku)
2017年11月27日すぐ手が出てしまう、口が悪いなど、正直なところ、わが子には近づいてほしくない、友だちになってほしくないタイプの子が、実は仲良しということはありませんか?子ども同士が仲良しだったら、無理に引き裂くわけにもいかず…。そんなとき、ママたちはどうしているのでしょうか?■子どもの頃を思い出し、「遊んじゃダメ」とは言わない「息子は近所のガキ大将的な子とよく遊んでいます。家に連れてくると泥だらけのまま入ってくるし、手を洗わずにおやつを食べようとするし…。家の中を勝手に探検しようとしたり、正直、迷惑なタイプです。でも、私が子どもの頃、親から『あの子とは遊んじゃダメ』と言われたことがあり、とても悲しい思いをしました。親になった今ではその意味がわからなくもないのですが、子どもの立場からすれば友だちを選んだ理由があるんですよね。だから否定はせず、注意深く見守るようにしています」(33歳・小学4年生のママ)ママには悪いところばかりが目に付いても、子どもはその子の良いところをたくさん知っているかもしれません。それを聞かずに「遊んじゃダメ」といっても子どもは納得しないでしょう。■つい手が出てしまう友だちには、言葉で根気よく伝える「自分の言うとおりにならないと暴力をふるう子がいます。うちの子は気が弱いから殴られてばかりだし、個人的に好きになれないので遊んでほしくはありません。でも、親の意見を押しつけるのはよくないし、どうしてその子と仲良くしているのか聞いたんです。すると、普段はやさしくて、学校でもいじめっこから守ってくれたりするそう。悪い子ではないことはわかりましたが、被害にあっているのを見過ごすわけにもいきません。そこで、殴られることは嫌じゃないのか、なぜやめてと言えないのか話し合いました。嫌われるのが怖くて言えなかったそうですが、ちゃんと話せばわかってくれるよと背中を押したところ、相手もわかってくれたようです」(32歳・小学5年生のママ)自分の言葉でうまく伝えられないと、つい暴力的になってしまう子もいますよね。それでも仲良くしたいのなら、きちんと話し合うことが大事。時には親同士や先生を交えるのもいいかもしれません。 ■友だちに流され、ついつい悪い言葉を使ってしまったら?「言葉づかいの悪い子とは付き合ってほしくないのが本音。お友だちの影響で乱暴な言葉を使うようになったこともありましたし。でも、そうなるのは私がきちんとしつけをしなかったこともあるのかもしれません。そう思ったので、正しい言葉づかいをこれまで以上に意識するようにし、乱暴な言葉は人を悲しませることがあると教えました」(31歳・小学1年生のママ)小さいうちは友だちの影響を受けやすいですが、それ以上に家庭でしっかり言い聞かせれば、悪い方向へ向かうことを回避できそうです。■せめてもの母の抵抗? 家にはあげないルールを死守「家の中で走ったりする子って、大人に叱られても言うことを聞いてくれなかったりするんですよ。だけど、子どもに遊ぶなとは言いたくないので、家の中には入れないことにしています。せめてもの母の抵抗です」(40歳・小学2年生のママ)遊ぶなとは言いたくないけれど、家にも入れたくない…。そんなママの葛藤が感じられるエピソードです。家庭によってしつけ方はさまざまで、正解なんてないのかもしれません。自分は正しいと思っていても、よそでは「あの子と遊んでほしくない」なんて思われている可能性も。人の振り見てわが振り直せというように、もう一度、子どもと一緒に再確認したいですね。
2017年11月18日何故か、付き合う男性からよく暴力をふるわれてる女性がいます。男性から暴力をふるわれやすい女性には特徴があることが分かりました。暴力=DVではないDVにはいくつか種類があります。①殴る蹴るなどの身体的タイプ②言葉による暴力などの精神的タイプ③付き合いを制限させるなどの社会的タイプ④生活費を渡さないなどの経済的タイプ⑤避妊しないなどの性的タイプでも実は、暴力=DVではありません。ドメスティックバイオレンスとは、暴力によってパートナーを支配すること。喧嘩によって暴力をふるわれた、という場合はDVには当てはまらないことが多いようです。男性が暴力をふるう理由喧嘩がエスカレートして暴力に発展することが多いのですが、男性が女性に暴力をふるってしまう原因は主に3つあります。①溜まった怒りが爆発するなどの我慢の限界②地雷を踏まれて突然キレる③相手を支配するために暴力をふるう最後の③はいわゆるDVですので、今回のお話は①と②の場合です。暴力をふるう側が悪いのは明らかですが、誰と付き合っても暴力をふるわれるなら、女性にも何か原因があると考えられるでしょう。暴力をふるわれる女性の特徴ではここで、暴力をふるわれやすい女性の特徴を紹介します。・言い過ぎる、黙らない、聞かない喧嘩は大体が言い争いから始まります。口が達者なタイプの女性は、相手の言い分を聞こうとしないで一方的に文句を言い続けてエスカレートしがちです。こうなると口下手な男性は、部屋から出て行くか、暴力で黙らせるか、の2択に迫られるほど追い詰められます。・暴力をふるうむしろ自分から暴力をふるってしまう女性もいます。何を言われても我慢していたのに、手をあげられるとやり返してしまう、という男性は少なくないようです。・暴力心をあおる中には「どうせあなたも殴るんでしょ!」「そんなに嫌いなら殴れば!?」などと暴力を促す女性もいます。すぐ「別れる」と口にする女性と同じで、あなたは殴らないよね?と試しているのかもしれません。男性は口では女性に勝てない、という話はよく聞きます。怒って部屋から出ていってしまった、という経験がある女性は、もし相手が違ったら暴力をふるわれていたかも。喧嘩するほど仲が良いとは言いますが、暴力に発展するまで喧嘩をエスカレートさせてしまうのは危険です。思い当たるフシがある方は気を付けて下さいね!
2017年06月12日家庭内暴力とは出典 : 家庭内暴力は、家庭内で起きる暴力のことで、一般的に子どもが親に対して暴力をふるうことを指します。また、同様に家庭内で起きる暴力であっても、親が子どもに暴力をふるう場合を“児童虐待”、夫が妻に暴力をふるうものを“DV”(ドメスティックバイオレンス)と呼ぶことが通例となっています。この記事ではこうした用法にならって、子どもが親に対して暴力をふるう「家庭内暴力」について解説します。警視庁は家庭内暴力について以下のように定義しています。少年が、同居している家族等に対して継続的に暴力を振るう事案をいい、家庭内暴力を止めようとした第三者に対して暴力を振るう事案や他人の所有物を損壊する事案については含まない「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」(警察庁生活安全局少年課)より引用ここでの少年とは20歳未満の者を指しています。つまり、家庭内暴力とは20歳未満の子どもが家族に対して行う暴力行為を意味します。ここでいう暴力には、身体的な暴力や、暴言、家具や家財の破壊なども含まれます。家庭内暴力の特徴としては・暴力が家庭内でのみ行われる・暴力の対象が人である場合、暴力をふるう本人より弱い者が対象となりやすいことが挙げられます。事実、暴力の対象のうち約6割が母親であることが警視庁によって報告されています。参考:「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」警察庁生活安全局少年課家庭内暴力は、1960年代から顕著に現れるようになりました。警察庁生活安全局少年課による報告書「少年の補導及び保護の概況」によれば、平成27年度現在、家庭内暴力の認知件数は2,531件にのぼります。また、この数字は平成18年の1294件と比べて約2倍となっており、近年も増加傾向が続いています。実際に家庭内暴力をおこなうのは中学生がもっとも多く、次に高校生、小学生の順となっています。さらに、性別でみると男子が圧倒的に多く、女子と比べて2~3倍多く報告されています。同報告書によると、家庭内暴力の動機は1番多いのが「しつけ等親の態度に反発して」(1,636件、全体の65%)、2番目が「理由もなく」(261件、全体の10%)、3番目が「物品の購入要求が受け入れられず」(225件、全体の9%)となっており、以降「不明」「勉強をうるさく言われて」「非行をとがめられて」といった動機が続いています。非行をとがめられた際に反発して起こる家庭内暴力が実は意外と少なく、親の態度への反発から生まれる家庭内暴力が圧倒的に多い結果となっています。実際、おとなしい性格で、学校での成績もよい子どもがある日を境に家庭内暴力を行うようになるケースも多く報告されています。こうした、家庭内暴力を行いやすい子どもの特徴・傾向は次章で解説します。出典:「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」警察庁生活安全局少年課家庭内暴力を引き起こしやすい子ども・家庭の特徴出典 : 家庭内暴力をする子どもには、本人の性格や家庭環境に一定の共通点が存在するといわれており、具体的には以下のようなものが挙げられます。ただし、様々な組み合わせがあり、また例に挙げた要因に当てはまらない場合もあります。・真面目、内気、おとなしい・家庭外では他人に対して従順で、自己主張が乏しい・神経質である・比較的友人が少なく孤立的である・非行に走ってはいないが、生活習慣の乱れなどがある家庭の外において反社会的な言動をおこなう非行少年・少女とは対照的に、家庭内暴力を行うのは比較的おとなしく、学校でもあまり多くの友達を持たない子どもが多いようです。・母親が過干渉で父親が無関心である(もしくはその逆)・親子分離が少なく、子どもの親への強い依存心、甘えがある家庭内暴力が起きている家庭は、経済的に豊かで、親も教育熱心ということが少なくないようです。そんな家庭で家庭内暴力が起きてしまうのには、中学生や高校生で挫折して、学力が低下したり、親が期待しすぎたり、干渉しすぎるなどの理由で不登校になり、親への反抗から暴力をふるうようになってしまうというパターンが多いといわれています。また、ときには世代間の考え方の違いが意見の違いをもたらし、その表面化が子どもの親不信の引き金となることもあるようです。参考:「研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用」福島県教育センター家庭内暴力の原因出典 : 家庭内暴力は、様々な要素が複雑に絡み合って起きるため原因の特定は困難であるといえます。親の育て方が悪かったという見方をされがちですが、そうとは言い切れないこともあります。なぜなら、家庭内暴力の原因には社会的な要因、心的外傷、精神疾患などといった、親にはどうしようもないさまざまな要素が複雑に関連している可能性があるからです。親への反発が暴力を誘発しているケースが存在するのは事実ですが、だからといって親がそもそもの原因であるとする考え方は解決を図る上で有効ではありません。本章では、以上に挙げた社会的影響・心的外傷・精神疾患といった家庭内暴力の原因となりうる3つの要素を解説します。・都市化社会における対人関係の疎遠・両親の離婚・共働き・転勤などによる家族間の感情的交流の希薄化・インターネット・スマートフォンの普及による過剰刺激・暴力シーンへのアクセスの簡易化・受験競争や立身出世志向など、社会的な影響が要因となり家庭内暴力へと結びつくことがあります。・親に虐待された・学校でいじめられた・事故に遭った・進学に失敗したというような経験を通して得た親への反抗・復讐心、恐怖心、挫折感などの感情が家庭内暴力へとつながってしまうことがあります。家庭内暴力は統合失調症、強迫性障害、精神遅滞、広汎性発達障害、多動性障害などさまざまな精神疾患が背景にあることが少なくありません。次章ではそれらの中でも主な例を紹介します。家庭内暴力と二次障害ー精神疾患や発達障害との関連は?出典 : 行為障害・素行障害(Conduct Disorder)とは別名「素行症」と呼ばれる精神疾患であり、社会で決められたルールを守らず反抗的な行動を起こし続けてしまうという特徴があります。具体的な症状には人や物への暴力的な攻撃、窃盗や長期・複数回の家出などが挙げられます。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。国際連盟の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類である『ICD-10』により定められた行為障害の中でも「家庭限局性行為障害」の症状は家庭内暴力に対応しています。家庭限局性行為障害とは家族が精神的に追い込まれ疲弊してしまうほどの激しい家庭内暴力をおこしてしまう疾患です。この暴力的な行動は家庭内だけでみられ、学校生活や友人間では問題なくうまくやっていくことができることも特徴です。家庭限局性行為障害がある場合、精神科医への相談をおすすめします。家庭内暴力は発達障害の二次障害として発症する場合もあります。発達障害が背景にあり、失敗経験を重ねて子どもが自信を失ったり落ち込んでしまったりした結果現れる二次的な情緒・行動の問題を二次障害といいます。二次障害は周囲への反抗や家庭内暴力、非行など問題行動が外に出るタイプと、うつや対人恐怖、引きこもりなど内面に向かうタイプがあります。二次障害の中でも、反抗挑戦性障害(ODD)は、別名「反抗挑戦症」とも呼ばれ、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかける、暴言を吐くなどの挑戦的な行動をおこしてしまう疾患です。反抗挑戦性障害とADHDは強い関わりがあるといわれており、年齢を重ねるとともに合併する可能性が高くなると言わています。そのような場合、元々ADHDがある人が“人間不信的行動”という二次障害として反抗挑戦性障害を発症する場合が多いです。人間不信的行動とは、自尊心・自己肯定感が低下して自分はダメな人間かも知れないと思い、そんな自分のことを誰も理解してくれないという気持ちから、周囲の人を信じれなくなったときに起こしてしまう行動のことを指します。この反抗挑戦性障害を発症している場合も、精神科・心療内科の専門医への相談をおすすめします。反抗挑戦性障害の子どもへの対応方法・接し方などに関しては、以下の関連記事を参考にしてください。家庭内暴力を行う子どもの心理出典 : 思春期の子どもが家庭内暴力をふるう理由のひとつとして、感情の抑制が効かなくなってしまうことが考えられます。イライラや不安、悲しみ、憎しみなどといったネガティブな感情が湧き出てきて、それを抑えることができなくなったとき、感情の鬱積(うっせき)が暴力となって現れるのです。家庭内暴力をふるう子どもの心理としては、だめな自分のやりきれなさを暴れることによって発散しようという気持ちと、そのような自分をつくった親に対する反抗という、二つの側面があります。ほとんどの場合、外でおとなしくて家族にだけ暴力をふるう子どもは、「暴力が悪いことだ」とは自分でも理解しています。なので、「本当は暴力をふるいたくない。でもやってしまう」という罪悪感に苦しんでしまうことも珍しくありません。暴力行為をどんなに繰り返してもモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからなのです。暴力をふるうことで自らも傷つき、暴力をふるう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環に苦しんでいる場合があるのです。参考:「研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用」福島県教育センター家庭内暴力の解決を目指すうえで親が持つべき心構え出典 : 家庭内暴力は様々な偶然などにより、どんな家族にも起こりえます。だからこそ、暴力が起こってしまったときや、起こりそうになったときの対応策が重要となります。本章では、家庭内暴力の根本的な解決を目指すうえで重要となるであろう、5つの「心構え」を紹介します。『暴力は親に向かう』では問題解決に向かううえでの5つの心構えとして以下のようなポイントが挙げられています。1. 現実逃避をしない2. 過去の話はしない3. いたずらに悲観しない4. 「特効薬」を求めない5. 「リスクのない解決策はない」ことを知るこれらのポイントをそれぞれ詳しく見ていきましょう。1. 現実逃避をしない子どもが家庭内暴力をふるう前段階として、ひきこもりがちになるケースがあります。そうやって子どもがつまずいてひきこもり始めたときや暴力をふるい始めたときに、根拠のない楽観論にすがって、子どものひきこもりを放置したり子どもの暴力を受容してしまうのは、解決を目指すうえでは得策でないといえます。状況を受け入れてしまうのではなく、問題の根源と向き合う努力が必要となるでしょう。2. 過去の話はしない子どもが暴力をふるう原因を過去に探ろうとして、自分を責めてしまう傾向にある親御さんも少なくありませんが、「過去の話をしない」というのも重要な心構えです。なぜなら、過去に起きてしまったことは、誰にもコントロールできないことだからです。「親も子も不完全なんだ」と受け入れ、未来のために今できることに目を向けることが重要といえます。3. いたずらに悲観しない暴力は、子どもにとっての「正当防衛」ということができるかもしれません。なぜなら、暴力は子どもが求めているものを伝えるための、自己主張の一つの手段といえるからです。意外かもしれませんが、実は、暴力もふるわずおとなしく何年もひきこもってしまうほうが解決は困難ともいわれています。子どもが自己表現の一部として暴力をふるっていることを良い機会と捉え、暴力の裏にある主張に向き合っていくことは、問題の解決に結びつく姿勢であるといえます。4. 「特効薬」を求めない家庭内暴力が瞬時におさまり、問題を根本から解決できる「特効薬」は残念ながら存在しません。子どもの隔離などの方法による、表面的・一時的な解決であれば短期間でも可能ですが、それはまだ根本的な解決とはいえません。子どもの不安や親子関係自体を解決するのには時間がかかるという覚悟を持つことは、解決を目指すうえで重要な心構えとなるでしょう。5. 「リスクのない解決策はない」ことを知るどのような解決策にもリスクというのは存在します。外に連れ出してみる、外部の機関に相談してみるなど、リスクを恐れて実行を躊躇するばかりでは、現状を打開する機会を失ってしまうことになりかねません。なにより親にとって最大のリスクは、家庭内暴力が長期化してしまうことのはずです。リスクのない解決策はないのだと知ることは、勇気を持って解決策を打つための助けとなるはずです。参考:二神能基『暴力は親に向かう』2007年、東洋経済新報社家庭内暴力に悩んだ時の相談先は?家庭内暴力は、複雑かつ対応を誤るとエスカレートしやすい傾向にあるため、家庭内で抱えこんで暴力の現場を密室化させてしまうのではなく、外に助けを求めることも重要です。家庭内暴力にお困りの場合、以下のような機関・施設が相談先となります。「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている窓口であり、精神保健福祉に関する相談をすることができます。相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。全国の精神保健福祉センター一覧心の症状、心の病気を扱う科です。心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。心療内科は心と体の不調だけではなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。エスカレートする暴力行為を前に、身の危険を感じた場合は警察に相談することをおすすめします。警察に通報することで子どもの復讐心を煽ってしまう可能性がないとはいえませんが、自分の身を守るためには毅然とした態度で通報する勇気も必要となるでしょう。まとめ出典 : 家庭内暴力とは子が親に向けて行う暴力的行為(暴言や物の破壊も含む)を指し、暴力は家庭内限定で行われます。比較的おとなしい子どもが、ある時点を境に始めるケースが多く報告されており、突然の息子・娘の変化に驚き、苦悩する親御さんは多くいます。家庭内暴力の原因はとても複雑で、必ずしも親の教育やしつけが原因というわけではありません。社会的な影響や過去のトラウマ、精神疾患が原因であることも多いのです。そうした事実を踏まえ、ときに家庭外の第三者の協力も得ながら、対話による意思疎通をベースに解決を目指していくという方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。
2017年02月15日周囲でよく耳にしていた「家で暴れる発達障害児」。その実態とは出典 : 発達障害児を育てている親たちからよく聞く困りごとの1つに「子どもが家で暴れて困る」というものがあります。更に、その暴力暴言の標的は母親であることが多いです。私も何度か子どもの暴力で悩む母親と話をしたことがあります。そのお母さんの手には、引っかき傷やあざが沢山ありました。全部、発達障害の子どもからの暴力による傷だと言います。ところがその、「家で暴れる子ども」に外出先で会うと、(変な表現ですが)とてもそんな風には見えない「普通の子」であることが多いのです。お母さんや兄弟姉妹とも、外ではとても穏やかに接していることが多く、公共の場で見る態度はとても模範的です。「こんないい子がどうして…」という場合がほとんどです。だからこそ、悩む母親が多いようです。体中に傷をつけられている状態なのに、周囲からは「こんなにいい子なのに」「普通じゃない?」「信じられない」という言葉をかけられることが多いからです。一体なぜ、子どもたちは家の中と外とで態度がこんなに違うのでしょうか?息子にも現れ始めた、暴力・暴言。やはり周囲にはなかなか理解してもらえず…出典 : 歳になってから落ち着きが出てきた我が家の息子。発達障害と診断された頃は、家で癇癪を起こしては何時間も泣きわめき、それはそれは大変でした。しかし最近は癇癪のコントロールも上手になり、感情を爆発させることが少なくなってきました。何よりも社会性が伸び、幼稚園でもしっかりと人間関係を構築し始めました。しかし、息子のこの「社会性の伸び」と相反するように、私に対する暴力・暴言が始まったのです。毎日毎日、「このバカヤロー!」「うっせぇ」「くそボケ!」と、びっくりするような言葉が息子の口から飛び出します。少しでも気に食わないことがあると、拳を振り上げ私にかかってきます。6歳であっても、このような暴力・暴言は身に応えます。出典 : ところが息子は、園や習い事など公共の場では、実に手のかからない「模範的な子」なのです。このため私の悩みは、どこにも理解してもらえませんでした。以前幼稚園の遠足で、息子が私のことを拳で叩きまくっているところを、たまたま先生が見かけたことがあります。先生はびっくりして、「○○くん、お母さん痛いでしょう。どうしたの!?」と止めに入りました。「いつもこんな感じです…」と私が言うと、先生は「信じられない…普段は本当にみんなに優しいんですよ…」と目を丸くしていたのを覚えています。どうして母親にだけ暴言・暴力が現れるのだろう出典 : 発達障害児の母親に対する暴力・暴言はなぜ現れるのでしょうか。外で頑張っているから家で爆発している、という意見もよく聞きます。だから母親は受け止めてあげるべきだとも言われます。けれども、徐々に身体が大きくなっていく子どもの暴力・暴言を全て受け止めきれるほど、母親は強いものではありません。限界があります。発達障害児は人間に対してもこだわりを持つことがあります。息子は小さい頃、物にこだわりがありましたが、それが思い通りに動かなかったり壊れたりすると、よく癇癪を起こしていました。そのこだわりが、人間にも向き始めているのでは…?つまり、母親に対する暴力・暴言は「母親こだわり」なのかもしれません。そして、思い通りに動かない母親に対して、癇癪を起こしている気がします。それが、暴力・暴言という形で出ているのだと私は思っています。けれども、母親は発達障害児の「お気に入りの物」ではありません。暴力・暴言を受け続ければ、母親といえども壊れます。極端な態度を少しでも緩和させるには出典 : 息子の様子を日々見ていて感じるのは、「発達障害児の暴力・暴言を、声かけ1つで変えていくのはとても難しい」ということです。このため、母親への内向きのこだわりをなくそうと努力するのではなく、外向きのベクトルを増やしていく必要があると思います。家庭の外でも、自分の気持ちが言えたり、自分を受け入れてくれる場所をたくさん持っておくこと。そうすることで、母親を思い通りにしたいというこだわり行動は、少しずつ薄れていくのではないかと私は信じています。外で常に模範的な態度をとることは、決して理想的ではないと思うのです。それがストレスとなり、内向きのこだわりをますます強めてしまっている可能性があります。外では模範的、内では暴力・暴言という極端な態度が、その子の基本行動になってしまわぬよう、外でも自分を崩すことのできる相手を増やしていくことが必要かもしれない、そう思うのです。
2016年12月15日DVの相談件数も年々増えてきており、内閣府男女共同参画局が平成28年9月16日に公開した、「配偶者暴力相談支援センター」への相談件数は年間で10万件を超えています。DVと言えば、男性から女性に対して振るわれる暴力を思い浮かべる人が多いかと思いますが、女性から男性に対して行われる暴力も決して少なくありません。この、女性から男性に対して行われるDVを逆DVとでも呼ぶのでしょうか。今回は、その逆DVの被害にあった際にするべきことについてご紹介したいと思います。*画像はイメージです:■夫のDV被害特有の問題点夫がDV被害者の場合、妻のDV被害に比べて、被害が明らかになりにくいという問題があります。もちろん、妻が被害を受けている場合も、他人に相談できずひとりで問題を抱え込むケースは少なくありません。しかし、近年は女性に関しては公的な支援が浸透してきたこともあり、そのような機関や周囲の人たちに相談をする女性も増えてきたようです。これに対して夫の側は、おそらく、そもそも女性である妻から暴力を受けているという事態を、男性として恥ととらえる傾向が強いといえるでしょう。また、「家庭も満足に仕切れない男がろくに仕事などできるわけがない」などと見られる可能性もあり、勤務先での立場が悪くなると考える傾向も強いようです。そのため、周囲に相談できず、被害に耐え忍ぶケースが非常に多いといえます。写真や録音などの証拠が残っているケースも極めて少ないため、夫のDV被害は明らかになりにくいといえます。また、これらの問題をクリアして調停や訴訟で離婚の手続をとることが可能な場合でも、夫と妻の間の経済格差から慰謝料を妻からとることが難しいといった問題があります。養育費や財産分与をするとなると、被害者は夫であるにもかかわらず、離婚によって妻の側が経済的に得をするケースも少なくありません。離婚に至っても、夫の側には不公平感が残る結果になってしまうのです。 ■DVを受けたらすべき対策やはり、一般的には、夫の場合、「女である妻から一方的に暴力を受けている」という主張について、疑いを持たれやすいことは否定できません。ですから、暴力を受けて怪我をした場合には、必ずその状況を写真にとっておく、キレ始めた妻の状況などを明らかにするために、途中からでもいいので可能な限り録音する、暴力を受けたら、そのことを日記やメモにしてリアルタイムで残しておく、病院にいて診断書をとっておく、など、マメに客観的な証拠を残しておくことが重要ではないかと思います。そして、離婚の手続については弁護士に、身辺の安全を確保するためには警察や公的な相談機関などに相談することが必要です。慰謝料をもらえなくても、実質的に慰謝料相当分を考慮した条件で離婚する(例えば財産分与を調整する)ことも、状況次第で可能になることもあります。 ■恥ずかしがらずに相談することが第一歩男性のDV被害を幅広く救済するためには、被害を受けている男性ひとりひとりがその被害を申告・相談することが第一歩となります。被害男性の声がもっと広がれば、男性のDV被害は恥ずかしいことではなく、被害を受けたことを前提とした条件で離婚することも徐々に可能になっていくのではないかと思います。 *この記事は2015年9月に公開されたものを再編集したものです。*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】*けいぞう / PIXTA(ピクスタ)【参考】内閣府男女共同参画局-配偶者からの暴力に関するデータ
2016年11月24日誰だって、平和な毎日を送りたいもの。そのため、「自分の子どもにはいじめや校内暴力のない学校に通わせたい」と思うのが親心ですよね。そこで気になるのが、校内暴力の発生件数。毎年秋ごろに、文部科学省が前年度の校内暴力の発生件数を都道府県別に発表しているのをご存知でしょうか?実はこの数字には、知られざる裏事情があるのです。今回はそれも含めて、校内環境の実態について言及していきたいと思います。■校内暴力が本当に多いのは大阪・高知・京都まず、文部科学省の発表を見ると、平成26年度の校内暴力の発生件数は以下の通り。1位:大阪府(10,116件)2位:神奈川県(6,716件)3位:千葉県(3,665件)しかし、1,000人当たりの発生件数に換算すると2位と3位が変わります。1位:大阪府(10.6件)2位:高知県(8.2件)3位:京都府(7.9件)神奈川県や千葉県の発生件数が多いのは、単純に人口が多いからだと判断できます。では、大阪府や高知県、京都府はいじめや校内暴力の多い地域だといえるのでしょうか?■統計には含まれない集団暴行を受けた過去が私は、大学を卒業して1年目に公立の中学校に赴任しました。あるとき、生徒間のいじめを止めに入った結果、激昂した問題児たちに羽交い締めにされ、集団暴行を受けました。事件は警察沙汰になりましたが、校内で揉み消されたため、教育委員会に報告されることはありませんでした。文部科学省の統計は全国の教育委員会からの報告によるものなので、私が被害にあった事件は、その年の統計には換算されていないことになります。詳しくは、当時の事件を漫画化していますので、私のホームページをご覧ください。無料で読めます。■統計の数字では校内暴力の真実はわからない2011年の大津市中2男子いじめ自殺事件を受けて、いじめ防止対策法が成立し、学校の隠蔽体質は少し改善されたようです。しかし現役教員の話を聞いている限りでは、まだまだなくなってはいないようです。では、それらを踏まえた上で、この統計を見るとどうでしょうか?そうです、校内暴力の発生件数が多い地域は、報告義務を果たしているといえそうなのです。逆に、発生件数の少ない地域はどうでしょうか?でも、もしかすると、発生件数の多い地域は、隠蔽した上でこの数字なのかもしれませんし、発生件数の少ない地域も、報告義務を果たした上でこの数字かもしれません。つまり結局のところ、これらの統計を見たところで、地域や学校の環境などは一切わからないのです。■学校が校内暴力事件を揉み消そうとする理由では、なぜ学校はそこまでして事件を揉み消そうとするのでしょうか?答えは簡単です。責任を問われるからです。そんなの当たり前だと思われるでしょうか?いじめが発生した場合、それは学校の責任でしょうか?教師の責任でしょうか?担任の責任でしょうか?私はそうは思いません。私の子どもが学校でいじめにあっていたとして、担任からその報告を受けたとします。私であれば「事件が大きくなる前に、よく報告してくれた」と感謝します。しっかりした担任だと信頼します。いじめの報告があれば、保護者間で連携をとり、地域で監視する体制を整えることが可能になるかもしれません。報告がない状態では、なんの対策も打てません。しかしながら世の中の保護者は、どうもそうは思わない人が多数派のようです。校内で起こる事件はすべて学校の責任であり、いじめが起こるのは、担任の指導不足であると捉えられるのです。だから、学校はいじめの報告に対して消極的になります。本当に学校が悪いのでしょうか?■事件後に「今後どうしていくか」を考えようたとえば、ある地域で殺人事件が起こったとします。殺人事件が起こったのは、その地域の管轄の警察の責任でしょうか? 違いますよね。学校も同じです。たしかに事件を未然に防ぐことは重要ですが、100%完全に防ぐことはできません。重要なのは、起こったあとに、責任が誰にあるのかを問うことではなく、これからどう対処していくかであるはずです。いじめの報告があったとき、いじめが起こったことを嘆くのか、大事になる前にわかったことに感謝するのか、どちらがいじめの発生件数を抑えることにつながるしょうか?学校はもっと、保護者に助けを求めてもいいし、保護者はもっと学校に対して協力的でいい。そうやって、開かれた環境で、地域全体が子どもを育てる。そうなれば素敵だと思いませんか?責任のなすり付け合いに、建設的な未来などあり得ません。(文/元教師・教育問題漫画家・眞蔵修平) 【参考】※眞蔵修平ホームページ※眞蔵修平Twitter※眞蔵修平Facebook
2016年08月13日歌手のクリス・ブラウン(27)が、マネージャーに暴力を振ったとして訴えられている。マイク・G氏が、先月にクリスから顔と首を繰り返し殴られ、病院へ搬送されることになったと主張している。マイク・Gの弁護人パティ・グレイザー氏はTMZに対し「クリス・ブラウンに傷をつけないために、公の場ではないところで解決するようできることは全てしました。残念ながら、我々の訴状の筋を立てていく中で、クリス・ブラウンは自分自身が最大の敵だということを証明してしまったのです」と話す。クリスは2009年のリアーナへの暴行に対する罪状を認めた後、イメージ回復を図る目的でナイトヴィジョン・マネジメントのオーナーであるマイク・Gを2012年に雇用したといわれていた。マイクの連絡先はまだクリスのウェブサイトに記載されている状態だ。そんなクリスは、1カ月ほど前にもある男性の頭を踏みつけたとされていた。カンヌ国際映画祭が開催されていた先月18日に、ナイトクラブでステージに立った際、クリスが大勢の観客から逃れようとした後にマレク・モクラーニさんの頭を踏みつけるような場面をとらえた映像が公になっていた。マレクさんが喧嘩を始めたかどうかは明らかになっていないが、マレクさんは頭と首の痛みに対する治療を受け、顔にはひどいアザが残り、首に頚椎装具をつけた姿も目撃されていた。(C)BANG Media International
2016年06月25日女優のアンバー・ハードが、夫で俳優のジョニー・デップから過去に何度も暴力を振るわれていたことを、アンバーの友人でありTVプレゼンターのアイオ・ティレット・ライトが明かしている。アンバーがiPhoneをジョニーから投げつけられたとされる喧嘩に陥った際、当時2人と電話中であったアイオが警察に通報していたのだが、ジョニーがこのような行動に出たのはそれが初めてではないとウェブサイトRefinery 29に投稿したのだ。「アンバーは自分でやらなかっただろうから私が警察に通報したの」「私は2人と電話中だったんだけど、電話を落とした音が聞こえて、ジョニーが『もし俺が君の髪の毛を引っ張ったら?』と言っているのが聞こえたの。そしてアンバーは叫びながら私に助けを求めていたわ。今まで何度もセレブたちの沈黙を破ってこういうシチュエーションに警察を呼ぼうと思ったことか」ジョニーはこういうことが起きるたびに「2度とこういうことはやらない」と誓ったというが、昨年12月にもジョニーが自制心を失う出来事があったとアイオは続ける。「毎回そういうことが起きるたびに、アンバーはジョニーを守ることを第1に考えていたわ。私は彼らの家に行っていたから知っているのよ。アンバーの唇が切れてしまっているのも見たし、床に髪の毛の塊が落ちているのも見たわ」過去にはジョニーと兄弟のように仲が良かったというアイオだが、「彼は私の友人だったし、大好きな人だった。兄弟と慕ったほどよ。優しくて、紳士的で、時に怒りっぽいダークな部分はあるけど、素敵な心を持った人だったの。だから悲惨な状況を見るまで、信じたくなかったわ」と語った。(C)BANG Media International
2016年06月10日ロサンゼルス市警察がアンバー・ハードへの家庭内暴力に対してジョニー・デップの調査に乗り出したようだ。先週ジョニーがアンバーに対してiPhoneを投げつけたとされている出来事について、もともとアンバーは警察に陳述していなかったのだが、ジョニーとその弁護団がその時の様子を話すようアンバーに強く求めたことで、このほど警察が調査を始めたとアンバーの弁護団は主張している。ロサンゼルス市警察の広報担当者はこのような申し立てがあった際には常に調査を行うようにしているとバラエティ誌にコメントした。先週、ジョニーとの離婚を申請したアンバーはジョニーから暴行を受けたことを訴え、一時的な接近禁止命令を獲得しており、アンバーの弁護団はアンバーはジョニーから数年間にわたって暴力を振るわれていたと話している。同弁護団は、アンバーが家庭内暴力について語らなかったのは自身のプライバシー、そしてジョニーのキャリアを守るためだったという。サマンサ・F・スペクター弁護士とジョセフ・P・ケーニッヒ弁護士は「ロサンゼルス市県警に陳述しないとしたアンバーの最初の決断は、結果的にジョニーの弁護団に利用される形となってしまいました。アンバーは自身のプライバシーとジョニーのキャリアを守るためにロサンゼルス市県警へは話さなかったのです」「ジョニーの弁護団は事実に沿った記録を作り、メディアによって報じられているような悪意のある間違いや濡れ衣をアンバーがこれ以上話し続けることができないように、アンバーにロサンゼルス市県警へと陳述するよう強要したのです。アンバーは数年間にわたってジョニーからの身体的、精神的な暴力を受けていました」と語った。さらにアンバーの弁護団は、この訴えはお金のためにやっているわけではないと続け「私たちは解決に向けて王道を行こうとしました。しかしジョニーの弁護団はすぐにメディアに向けて発表を行い、アンバーを攻撃し始めたのです。アンバーは家庭内暴力の被害者であり、お金のために訴えているわけではありません」「アンバーは勇敢な女性であり、金銭的にも独立しています。彼女はジョニーの残酷な弁護団や代理人に対して正しいと思ったことをやっているだけです。家庭裁判所は正体不明の人物たちの発言によるソーシャルメディア上の誤報に影響を受けることはありません。アンバーは被害者であり、ヒーローなのです」と話している。(C)BANG Media International
2016年06月02日今回のテーマは「暴力からの卒業」である。まるでヤンキーの更生話のようだが、「カレー沢暴力」を名乗ってすでに2カ月、そろそろ面白くもなんともなくなってきているから戻しては、という提案であろう。正直言って、全然卒業したくない。暴力に留年しまくりたいと思っている。○実は多い「二つ名」の作家たち「カレー沢暴力」、やはり惚れ惚れするほどカッコいいペンネームだ。さすが他人が考えたものをパクってきただけのことはある。「カレー沢」というペンネームの唯一の利点は、エゴサーチがしやすいというところだ。確かな情報筋によると、ペンネームにカレー沢という苗字を持つ作家は日本に私一人らしい。自分の名前に「カレー」を入れると言うセンスの奴が2人も3人もいたら、いよいよ日本終わった感が漂うので、ひとまず安堵である。下の名が「薫」でも「暴力」でも、カレー沢である以上、エゴサのしやすさは変わらない。ならばカッコいい方を選ぶのが道理と言える。しかし、前も言ったが、ただでさえ無きに等しい知名度を、「薫」と「暴力」で分散させてしまうリスクを考えると、今のうちに「薫」に戻した方が利口ではあるだろう。だが、ペンネームを複数もっている作家というのは、実はそんなに珍しくない。成年向けやボーイズラブ漫画を描く時は別名義にする、という作家も多くいるのだ。よって、私も上記のような仕事が来た際には「暴力」と名乗れば解決である。しかし、ここで新たな問題が浮上する、私に仕事をよこす成年向けやBL誌がこの世に存在しないのだ。仮にいたとしても、私に仕事をふってくるようなところであれば、すぐにこの世から消滅するであろう。どうやら出版社には、皆既月食の如く数年に1度、編集や編集長の判断力が最も鈍る瞬間があるらしく、そういう時に私にお呼びがかかるのだ。とはいえ、どれだけ編集部全体が集団インフルエンザ状態でも、絵の上手さが特に重視されるだろう成年向けやBL方面からのオファーが来るとは思えない。ハレーすい星ぐらいの周期でならそういう瞬間がやってくるかもしれないが、だとしたら次は2061年ということになり、当方約80歳である。多分寝たきりか恍惚の人状態だろうが、耳元で「カレー沢先生!リブレ出版から依頼です」とでかい声で言ってもらえれば、おもむろにパラマウントベッドから立ち上がり、虚空を見つめていた目に光が宿るであろうから、逆に今から2061年に依頼をしてくれる成年向け、BL出版社を募集したいと思う。○「左のワキ出身のワキ毛」の矜恃しかし、私はよく「私はオタクだがBL好きのいわゆる腐女子ではない」という主張をしている。これは例えるなら、ワキ毛が「私は左のワキ生まれのワキ毛で、断じて右のワキから生えたのではない」と言っているような至極どうでもいい内容だが、「腐女子ではない」と明言している以上、BLの仕事がくるはずないだろうと思われるかもしれない。だが、デビュー前から乙女ゲーの二次創作をし、これだけ乙女ゲーが好きだと言っていても、今まで乙女ゲームの仕事が来たことは1回もない。だったら逆に、思ってもみない依頼が舞い込んできても良いはずだ。それにオタク女界も、BLが好きな女と嫌いな女しかいないわけではない。BLは好きではないが嫌悪感もない者、嫌いじゃないが自分の好きなキャラのBLは受け付けない者など、端から見れば全部ワキ毛であるが、かなり細分化される。メタルやデスメタル、ゴシックメタルを「全部同じ鼻毛じゃないか」と言ったら怒り出す人がいるように、ワキ毛にはワキ毛なりの棲み分けがあるものなのだ。私などは積極的にBLを見ることはないが、何か落ち込むことがあった時などに「ここは一発エグイBLでも読んでみるっぺか!」と景気づけBLを飲る(やる)ワキ毛である。話を戻すと、作家がどれだけ「この雑誌でこういう漫画が描きたい」と思っていても、なかなか実現するものではない。それができるならとっくにジャンプで描いている。結局、需要がないから話が来ないだけなのであるが、これではいつまでたっても「カレー沢暴力」が正式に名乗れない。2061年には名乗れるとしても、すでに鬼籍に入っている恐れもある。暴力を名乗れずに死ぬなんて、地縛霊になること必至だ。そこで、別名義を名乗る定義を持って広くしようと思う。今までいろんな雑誌で漫画を描かせてもらったが、ほぼすべて青年誌だ。なので、もういっそのこと、青年誌以外の依頼があったら「暴力」でいくことにする。というわけで少女漫画誌からなどの依頼を待ちたいと思うが、前に「少女漫画誌で描きたい」とつぶやいた後に連絡をくれたのは漫画ゴラクだったので、はっきり言って望み薄である。それに、よく考えてみたら、本名と違う名前を名乗れるのはペンネームやハンドルネームだけではない。例えば、大好きだと言い続けている乙女ゲーがまさにそれだ。灯台下暗しとはこのこと、青い鳥は割と近くにいたのである。よって、これから乙女ゲーをプレイする時は、ヒロインの名前を一律「カレー沢暴力」とする。2次元のイケメンに「好きだカレー沢…」「愛してる、暴力…」と囁かれながら、青年誌以外のオファーを待ちたいと思うので、何卒お願い申し上げる。―カレー沢暴力拝―<作者プロフィール>カレー沢薫漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。連載作品「やわらかい。課長起田総司」単行本は1~2巻まで発売中。10月15日にエッセイ「負ける技術」文庫版を発売した。「兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃」、次回は2016年1月5日(火)掲載予定です。
2015年12月29日鉄道事業者共同制作による「暴力行為防止ポスター」が8日から、各社の駅構内や列車内に掲出される。駅・列車内での利用者同士のトラブルや、駅係員・乗務員などへの暴力行為が発生しやすい年末年始の時期に合わせて行うもので、暴力被害件数の減少と安心して鉄道を利用できる環境の実現を図る。ポスターは、「暴力は犯罪」の赤い文字が目立つデザイン。利用者同士や係員への暴力は社会的に許されない行為であるとのメッセージを直接的な言葉で表現したという。吊り革を円グラフに見立て、暴力行為が多い時間帯や発生場所などを視覚的に示す工夫も。ポスター掲出に参加するのは、日本民営鉄道協会加盟会社とJR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州など、全国の鉄道事業者79社局。駅構内に約7,400枚、列車内に約5万5,000枚が掲出される。掲出期間は2015年2月7日まで。
2014年12月05日「ケリング(KERING)」は、11月25日の“女性に対する暴力撤廃の国際デー”に向けて「ホワイトリボン・キャンペーン」を実施している。ホワイトリボンとは、女性に対する暴力を撲滅するために90年代初頭に男性が立ち上げた社会貢献運動。ケリングでは、ケリング基金の役員でもあるステラ・マッカートニーデザインによる「ホワイトリボン・バッジ」を11月29日までの同社傘下の世界38ヶ国、700以上のラグジュアリーブランドショップにて20万個配布している。日本での対象ブランド店舗は「グッチ(GUCCI)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)」「 ブリオーニ(Brioni)」「ブシュロン(BOUCHERON)」(ボッテガ・ヴェネタ、バレンシアガ、ブシュロンは一部店舗のみ)。また、現在オンラインでのキャンペーンも29日まで連動して実施。Facebook、Twitter、Instagramなどでデジタルバッジの配信やハッシュタグ「#WR4W」を付けての拡散も呼び掛けている。
2014年11月19日2011年度に発生した鉄道係員(駅係員や乗務員など)への暴力行為の発生状況が4日、発表された。暴力行為は依然として高い件数で推移しており、13日からは日本民営鉄道協会加盟会社やJR5社、東京都交通局など76社局で暴力行為防止ポスターを掲出する。鉄道係員への暴力行為の件数・発生状況について集計を行ったのは、大手私鉄16社とJR東日本、JR東海、JR西日本、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、大阪市交通局、東京モノレール、北総鉄道、愛知環状鉄道の計26社局。集計の結果、昨年度の暴力行為の発生件数は911件で、2010年度の868件より増加し、1,000件に迫る勢いとなっている。発生状況については、夜10時以降、飲酒をともなった場合に多発する傾向があり、とくに金曜日は161件(他の曜日は120~130件程度)と高い数値を示した。発生場所は改札が最も多く410件、続いてホーム(236件)、車内(116件)、通路(36件)の順に。年齢別では、40代以上による暴力行為が増加しつつあるという。こうした状況を考慮し、鉄道係員への暴力行為は夏期に発生しやすいことから、鉄道事業者76社局が共同でポスターを制作、掲出し、暴力行為の防止を呼びかけることに。今回のポスターのテーマは「STOP暴力」で、シンプルで直接的な言葉を視認性の高いデザインで表現することにより、暴力防止のメッセージをわかりやすく伝え、暴力行為を未然に防ぐことをめざす。「暴力行為防止ポスター『STOP暴力』」は13日より、駅構内に7,000枚、列車内に約4万9,000枚掲出する予定。掲出期間は9月12日までとなっている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月05日永山絢斗と撲殺。何だか似合わない組み合わせだが、この男が暴力に次ぐ暴力の連鎖の口火を切る。目的はガールフレンドをボコボコにした不良への復讐。しかもターゲットは本人ではなく仇相手の祖母である。「あっという間に人の命を奪えるし、奪われちゃうものなんだなと思った」というのが“一線を越えた”永山さんの感想。決して出演シーンは多くないが、映画『ハードロマンチッカー』で永山さんは確実にこれまでとは違った新たな一面をさらけ出している。退廃の香りが漂う町で、暴力の果てに永山さんは何を見たのか?永山さん演じる辰による殺害シーンで幕を開ける本作。この事件が松田翔太演じる主人公・グーを始め、チョー高(朝鮮高校)の不良や暴走族、ヤクザや警察を巻き込んだ大騒動の引き金となる。だが当の辰は警察にしょっ引かれてもケロリとした様子。決して開き直っているわけではない。人ひとり殺したということの重大性を全く分かってないのだ。この一連のシーンにどのように臨んだのか?永山さんの“供述”を聞いてみよう。「そういうヤツっているじゃないですか?何となく(周りと)繋がっていて、そこでギリギリの生活を送っているヤツ。監督からは『辰は何も考えないで時間だけがどんどん過ぎて、気づいたらこうなってた男。自分が何をやっていたのかも全然分かってない』と言われました。警官に見つかったときに『ヤバッ』って言うんですが、最初にやってみたら監督が『そんな真面目にならないで軽い感じで』って。やることはやってるけど(笑)、どこかポップなんですよね。復讐のために緊張感持って忍び込んだけど、フッと緊張が切れた瞬間に相手に掴み掛られて、慌てて叩き落す、そして無我夢中で殴ってしまう。電気が点いたら我に返って『あれっ?』って感じで…。正直、(役柄と同じ)そのままの気持ちでそこにいられましたね。次どうしなきゃって考えずに自然にできました」。NHKの連続テレビ小説「おひさま」で井上真央演じる主人公の次兄を好演した永山さんだが、本作の撮影は「おひさま」出演の合間を縫って行われた。しかも、悪友の“共犯者”マサル役の柄本時生は「おひさま」でも共演した仲である。「『おひさま』の最中にこの作品に出られたというのは自分でもすごく楽しかったです。NHKで時生とも『明日から(映画の撮影)よろしくね』とか話してて、同じ便で向こうに行って残虐な暴力シーンを撮影して帰る…なんか変な感じでしたね(笑)」。実は、松田翔太とは「この仕事する以前から仲良くしてもらっている」という仲。『ライアーゲームザ・ファイナルステージ』に続いての“兄貴分”との共演は?「普段よく一緒に遊んだりしてる分、なおさら現場入ったときの緊張感、翔太くんの本番までの持っていき方とかは勉強になりました。正直、恐ろしくて視界に入れられなかったです(笑)。(視界に)入ってるけど見られないというレベルを超えてて…ワンシーンしか絡むシーンがなかったけど『すごいな』と。男でも好きになる、人としてすごいです」。「煮えきらないで暴力に走る10代の感じは、誰もが持っているものだと思う」と永山さん。クールな印象とは裏腹に、スクリーンの中を疾走する男たちの魂への共感を語る。「台本を読んだときからこの男クサさやギラギラ感をそのまま映画にしたらすごいことになるなと感じていました。男がヤワいって言われるいまの時代に、なかなかパンチのある男っぽい作品ができたなと。やっぱり男には男らしくいてほしい…まぁ、この男たちが男らしいかって言うとまた別ですが(苦笑)。男らしさ?うーん、何でしょう…。それが分かればおれも少しは男らしくなれるんでしょうけどね(笑)」。映画デビュー作『フレフレ少女』、初主演作『ソフトボーイ』など爽やかな好青年のイメージが強い。昨年公開された『悪人』では、どちらかと言うと観客の目線に近い位置、悪意を外側に立って眺めていた。今回、暴力の渦の中心に入り、改めて「命の“脆さ”“危うさ”を感じた」とふり返る。役柄を通じて自らに生じた内面の変化についても言及する。「映画をやると、やっぱりそこに引っ張られるところはありますね。毎回、役が自分に少しずつ足されて、積み重なっていく感じです。元の自分がどうだったかというのをあまり考えず、それが楽しいですね」。デビューから4年。こうしたインタビュー取材について「いまだに全然、慣れないです」と苦笑を浮かべつつ、今回の映画、そしてNHKの朝ドラを経て、この先の俳優としての自身の在り方についてこんな言葉も…。「今回、同世代の共演者も多かったんですが、俳優という仕事は『本番!』という声がかかれば芸歴とか関係ない世界。どんどん上の世代の人たちの背中を蹴っていきたいというか、『ちくしょう』と思わせるような芝居を見せていけたらいいなと思います」。内に秘めた熱い思いを垣間見せる22歳。「暴力」ではなく「表現力」を武器に歩み続ける。(photo/text:Naoki Kurozu)Hairmake:MiwakoTohyama(THYMON)/Stylist:Kikuchi Yohnosuke■関連作品:ハードロマンチッカー 2011年11月26日より全国にて公開© 2011「ハードロマンチッカー」製作委員会■関連記事:喧嘩で生きていく男たちの物語『ハードロマンチッカー』試写会に10組20名様をご招待【TIFFレポート】松田翔太、主演作上映前に「良くなかったら出てっていいです」金髪&傷だらけの松田翔太!『ハードロマンチッカー』衝撃的ポスターが到着
2011年11月22日