ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』が2021年2月6日(土)から東京・日生劇場で開幕した。1905年、帝政ロシア時代のアナテフカという寒村が舞台。牛乳屋を営む父親・テヴィエと、その妻ゴールデ、5人の娘というユダヤ人一家の愛と絆を描いた作品。本作は、1964年にブロードウェイで初演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞、脚本賞、作曲賞など7つの賞を獲得している。日本では、1967年の初演以降、再演が繰り返されている。主人公のデヴィエ役は、森繁久彌、西田敏行と引き継がれ、2004年からは、“21世紀版”『屋根の上のヴァイオリン弾き』と銘打って、市村正親が演じている。市村は今回で6回目のテヴィエ。2009年からゴールテ役を演じる鳳蘭のほか、長女ツァイテル役を凰稀かなめ、次女ホーデル役を唯月ふうか、三女チャヴァ役を屋比久知奈が演じる。初日のカーテンコールで、市村は「コロナで世界のエンターテインメントが苦しんでおります。ブロードウェイも、ウエストエンドもまだ再開の見込みが立っておりません。その中で、初日を迎えられたことは、奇跡でございます」と感謝を述べた。そして、感染対策のためマスクをつけたままの稽古だったことを明かし、「ツレちゃん(鳳の愛称)はすぐ分かるけど、新しいメンバーがたくさんいて。どんな顔をしているのか、ようやく顔を見ることができました。非常にうれしかったです。本当はお客様の顔も見たいんですけど、ここはもう少しということで、頑張っていきたいと思っています。ワクチンも開発されましたし、治療薬もできると思っています。そのときには、また劇場で顔と顔を突き合わせて、お芝居を見てもらえたら」と挨拶した。ユダヤ教の“しきたり”を重じているテヴィエ。父の希望をよそに、長女は貧しい仕立て屋のモーテル(上口耕平)、次女は革命を志す学生のパーチック(植原卓也)、三女はロシア人青年のフョートカ(神田恭兵)とそれぞれ恋に落ちて……。しきたりと娘の願いを叶えてやりたいという思いの間で板挟みになりながら、さらにゴールデに頭が上がらないテヴィエの姿は、非常にコミカルで、見ていて飽きない。一方で、ユダヤ人排斥(ポグロム)の動きが村に忍び寄る様子も描かれている。家族がだんだん離れ離れになり、土地を追われる姿は心苦しく、胸を打つ。上演時間は約3時間25分。東京公演は3月1日(月)まで。3月5日(金)から愛知公演、3月12日(金)から埼玉公演。ぜひお見逃しなく。取材・文:五月女菜穂
2021年02月10日日本ミュージカル界を代表する名優・市村正親が、森繁久彌(1967~86)、西田敏行(1994~2001)に続く“3代目テヴィエ”となって以来6演目の『屋根の上のヴァイオリン弾き』が、本日2月6日(土)に日生劇場で開幕する。妻ゴールデ役は、3演目の2009年より同役を務め、市村をして“最強の女房”と言わしめた鳳蘭。夫婦の3人の娘たちとそれぞれの相手役には、凰稀かなめ、唯月ふうか、屋比久知奈、上口耕平、植原卓也、神田恭兵。神田を除く5人が初役(唯月と上口は役替わり)というフレッシュな顔ぶれだ。舞台は1905年、帝政時代のロシアの寒村アナテフカ。酪農業を営むユダヤ人のテヴィエは、妻ゴールデと愛する5人の娘たちとともに、貧しいながらも幸せな毎日を送っている。年頃を迎えた長女ツァイテル(凰稀)、次女ホーデル(唯月)、三女チャヴァ(屋比久)にとって、最大の関心事は自分たちの結婚について。両親の祝福がなければ結婚は許されないのがユダヤのしきたりだが、ツァイテルは貧しい仕立屋のモーテル(上口)、ホーデルは革命を志す学生のパーチック(植原)、チャヴァはロシア人学生のフョートカ(神田)と、両親にとって理想的とは言えない相手と恋に落ちてしまう。娘たちがそれぞれの旅立ちを迎える中、一家には革命の足音と共に、故郷を追われる日が刻々と迫っていた――。トニー賞9部門に輝いたブロードウェイ初演版(1964~1972)以降、各地で幾度となくリバイバルされている本作。直近だと、2015年のバートレット・シャー演出版(ブロードウェイ)、2018年のジョエル・グレイ演出版(オフ・ブロードウェイ)、2019年のトレヴァー・ナン演出版(ウエストエンド)が、いずれも高い評価を獲得した。ジョエル・グレイ版に至っては英語とロシア語字幕付きのイディッシュ語上演だったほど、“ユダヤ人の物語”色が強いことの多い欧米版に対し、日本版の特徴は“普遍的な家族の物語”色が前面に押し出されていること。だからこそ、50年以上にもわたり愛され続けているのだ。文:町田麻子ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』台本:ジョセフ・スタイン音楽:ジェリー・ボック作詞:シェルドン・ハーニック翻訳:倉橋健演出:寺﨑秀臣 / 鈴木ひがし出演:市村正親 / 鳳蘭 / 凰稀かなめ / 唯月ふうか / 屋比久知奈 / 上口耕平 / 植原卓也 / 神田恭兵 / ブラザートム / 他【東京公演】2021年2月6日(土)~3月1日(月)会場:日生劇場【愛知公演】2021年3月5日(金)~3月7日(日)会場:愛知県芸術劇場 大ホール【埼玉公演】2021年3月12日(金)~3月14日(日)会場:ウェスタ川越 大ホール
2021年02月06日『夫婦善哉』などで知られる織田作こと織田作之助の原作で、その主人公が森繁久彌の当たり役となった舞台『佐渡島他吉の生涯』。本作が来年グランドオープンするPARCO劇場のオープニング・シリーズ公演第2弾に決定、森新太郎演出、佐々木蔵之介主演で上演される。そこで森と佐々木に、本作にかける思いを聞いた。【チケット情報はこちら】「生涯で1本だけ戯曲を書いたことがあって、その主役が織田作なんです」と切り出し、意外にも織田作ファンであることを明かした森。その魅力を尋ねると…。「僕が織田作作品に惹かれる理由は、主人公たちの無名性にあるような気がします。目の前のことだけで精一杯ではあるけれども、苦しいだけでなく、笑って生きている。そんなありふれた市井の人々を見つめる織田作の優しいまなざしが、僕は好きなんだと思います」そのタイトル通り、大阪の人力車夫である佐渡島他吉の40年に渡る半生を、笑いと涙を交え描き出す本作。『BENT』(2016年)以来2度目のタッグとなるふたりだが、森は佐々木で“喜劇”をつくりたかったのだと言う。「僕にとって蔵之介さんといえば、やっぱり惑星ピスタチオ(※かつて佐々木が所属していた劇団。2000年解散)なんですよね。お客さんを笑わせることしか考えていない、あのトンデモ劇団の(笑)。『BENT』でもユーモア性はありましたが、今回はド直球の、これぞ喜劇ってという作品を蔵之介さんとやりたいと思ったんです」森からこの話をされた佐々木は、「タイトルからして、なんでPARCOのオープニングでこれをやるのか?ってというのが正直な気持ちでしたところで(笑)」と振り返り、森も「あの時はなかなか神妙な面持ちでしたね」と笑う。だがそんな佐々木の背中を押したのが、森の「逞しい人間を描きたい」というひと言。さらに佐々木は「自分の身内がバタバタと死んでいく中、それでも自分の体を責めて、責めて他吉は生き続けていく。笑って、泣いて、怒り狂って。身近にいたらすごく迷惑な奴ですけど(笑)、魅力的な男であることは間違いないと思います」と続けた。車夫という役どころとかけて、「お客さんを乗せて、この明治、大正、昭和という時代を、そこで生きる市井の人々を見せてあげたいです」と佐々木。森も「すごく渋谷っぽくないお芝居ですが…(笑)」と前置きした上で、「PARCOのお客さんにとっては逆に新鮮ではないかなと。悲しいんだけどなぜか笑っちゃう、みたいな。そんな作品にしたいと思っていますので、ぜひ人間丸ごとを味わいに来てください」と抱負を語った。チケットぴあでは現在二次プレリザーブ実施中。取材・文:野上瑠美子
2020年01月23日放送43年目を数えるテレビ朝日系で放送中の長寿トーク番組「徹子の部屋」。4月20日放送の回に、俳優・吉田鋼太郎がゲスト出演。一昨年結婚し、昨年行われた豪華俳優陣が出席した結婚式の裏話や、舞台について、そして放送直前の出演ドラマ「おっさんずラブ」についてトークが繰り広げられた。今回2度目の「徹子の部屋」出演となった吉田さん。冒頭、司会の黒柳徹子から「トットてれび」にて森繁久彌役を務めた際の話題が。実はこの役、黒柳さんからの“推薦”だったそうで、「いろんな意味で色気もおありだし、包み込むようなものがあったので、あなた以外にはない」と推薦理由を明かした黒柳さん。また演じてみてどうだったかと聞かれると、「難しかったですね。お芝居をしていらっしゃるのか、していらっしゃらないのか分からない人なので」と吉田さん。森繁さんとの思い出話も展開した。また、蜷川幸雄作品を始めとした数多くの舞台に出演する“舞台俳優”としての吉田さんについて話題が及ぶ。2016年、蜷川氏の遺志を継いで、さいたま芸術劇場主催の「彩の国シェイクスピアシリーズ」二代目芸術監督に就任した吉田さん。蜷川氏については「怖い。稽古場に行くのが怖かった」と明かすも、蜷川氏の出会いで人生が変わったとも話していた。そして、トークは一昨年22歳年下の女性と出会って2か月のスピード婚、実質4度目の結婚をした吉田さんの結婚生活の話題に。黒柳さんから「とてもお若い方とご結婚なったって。いいですよね」と言葉をかけられると、「いいですね」と照れ笑い。“家庭”に憧れがあると言う吉田さんは、「家庭が欲しくて籍いれちゃう」と、真剣に付き合った相手といつも婚姻届を出してしまうそのワケも告白したり、最近飼い始めたという愛犬の話しをしたりと、私生活を明かす。さらに、昨年行われた結婚式には、小栗旬、藤原竜也、生田斗真、綾野剛らいまをときめくイケメン俳優がまさに勢揃いだったそう。藤原さんは婚姻届の証人やお色直しで新婦のアテンドを、小栗さんは吉田さんのアテンドを務めたとも。藤原さんは「これ書いて大丈夫なの?離婚したとき僕がお金を払うことになったりしない?」という心配をしていたことや、小栗さんがアテンドの際「非常にしきりに照れていた」など、裏話も披露。また、「3人でご飯食べに言ったりしてます。情報交換をしているようです。悪いことをしていないか」と、吉田さん、小栗さん、藤原さんそれぞれの奥さんが仲がいいとも話していた。そんな貴重なエピソードにTwitterでは、「#徹子の部屋 の吉田鋼太郎の結婚式エピソードが面白すぎる…」「吉田鋼太郎の結婚式で、小栗旬がアテンドになってお色直しした吉田鋼太郎の手を取って歩いた話に瞳孔開いてる」「小栗旬の妻と吉田鋼太郎の妻と藤原竜也の妻が3人でご飯食べてるの夢あるくない??」との反応が。またトークは、田中圭主演「おっさんずラブ」の話題に。本作は、女好きだけどモテない33歳のおっさんが突然、ピュアすぎる乙女心を隠し持つ“おっさん上司”と、同居している“イケメンでドSな後輩”から告白されることからスタートする新感覚純愛ドラマ。おっさん主人公を田中さんが演じ、吉田さんはそんな主人公に想いを寄せる“ヒロイン”役で出演する。放送前からSNSを中心に大きな注目を集めていた本作。黒柳さんは「相当面白い題名ですね」「ゲイのおっさんが…」と興味深々の様子。Twitterでも「やっと出た!」「徹子さんの放つ『ゲイのおっさん』の破壊力w」「吉田鋼太郎の #おっさんずラブ 面白そう。予告で爆笑しちゃったよ」と“待ってました”という声が。さらに、5月より上演される吉田さん主演の舞台「シラノ・ド・ベルジュラック」の話しも。黒柳さんも大好きな作品だそうで、「セリフが大変ね」と言うと、しきりに「大変」と吉田さん。最後に奥様としたいことは?と問われると、「犬連れて、海に行って、舟に乗せて一緒に漂いたい」と話していた。(cinemacafe.net)
2018年04月20日「『ムーラン・ルージュ』で初舞台を踏んだのは13歳のとき。この芸名は養父で主宰者の佐々木千里が、まだ子どもだった私に、2~3年したら大物になるだろうと願いを込めて『明日を待とう』と命名してくださったの」 そう言って、おっとりとほほ笑むのは明日待子さん(98)。日本の家庭にテレビがなかった時代に、レビューや軽演劇を上演していた「ムーラン・ルージュ新宿座」は若者たちの憧れの象徴だった。「インテリと言うならムーランを知らないと」といったハイソな雰囲気も。その場所で、現代のAKB48のごとく絶大な人気を誇った“ライブアイドル”が、明日待子さんだ。 昨年暮れにテレビ番組『爆報!THEフライデー』(TBS系)に出演。「元祖会いに行けるアイドル」として紹介されるや、その驚異の“アラ100美”に注目が集まり、ネット上でも続々と「かわいすぎる!」「お肌がとってもキレイ」といった称賛の声が寄せられた。 その笑顔に感動した本誌記者もすぐさま連絡を取ると、「2月末に舞を披露するのでいらしてください」とお招きをいただいた。向かったのは北海道札幌市、そこは一面の雪景色--。 「まぁまぁ、遠いところをようこそ!」 艶やかな藤色の和服姿で出迎えてくれたのが、日本舞踊の正派五條流宗家・五條珠淑さん。明日待子さんの“現在の芸名”である。この日は正派五條流の舞初め式。最初に、待子さんが神棚に向かって手をあわせて、柏手を打ってから力強い声でこう宣誓した。 「お守りください。みなさんが一層上達しますように!」 後継者である、家元・五條淑妃(次女・ミカさん)との母娘の舞も披露された。その凜として美しい所作に圧倒されながら、伝統の「日本初のアイドル」が目の前で繰り広げる“ステージ”に感激が押し寄せてくる。 そして、休憩時間になってから、待子さんに時間をいただき、デビュー当時のことを振り返ってもらった。 「本当に忙しかった。いつも新宿の劇場へ通う電車の中で台本を覚えて。舞台が終わると、雑誌や広告の撮影があって何本か映画にも出たわね。その合間に、母が私の手を引いて踊りや三味線のお稽古に連れていってくれました。若かったし、何より舞台が好きだったから、まるで苦にならなかったの」(待子さん) 待子さんは、大正9年、岩手県釜石市に9人きょうだいの末っ子として生まれた。幼いころからその才能を発揮し、小学校の学芸会で義太夫をうたえば「天才だ!」と騒がれた。さらに、可憐な容姿も評判を呼び、13歳で女優を目指して上京する。そんな彼女を一目見てほれ込んだのが「ムーラン・ルージュ新宿座」の創設者・佐々木千里夫妻。「まぁ、なんてかわいい!」とすぐさま養子縁組届を出してしまったという。 菊池寛、志賀直哉、吉屋信子、横光利一らの文豪をはじめ、早稲田大学や慶應の大学生たちも彼女見たさに劇場へと通い詰めた。だが直接言葉を交わす機会など皆無。ファンレターやプレゼントの類いが彼女のもとに渡ることはなかった。 「送られてくるお手紙は『キレイです』『お茶をのみましょう』といった内容が多く、本人がうぬぼれてしまうような褒め言葉は、芸の道の妨げになるからと、見せてもらえなかったのよね」(待子さん) 劇場「ムーラン・ルージュ新宿座」の歴史を振り返るドキュメンタリー映画『ムーランルージュの青春』(’11年公開)を撮った田中じゅうこう監督が、明日待子さんをこう評す。 「今の方はご存じないと思いますが、明日待子さんといえば、俳優・森繁久彌さんほか、かつての名優たちがひれ伏すようにあがめた、本当に当時のトップアイドルでした。彼女の笑顔が今も“美しいまま”ご健在なのは、とても素晴らしいことですね」(田中監督)
2018年03月11日左とん平さんが2月24日、亡くなった。享年80歳。死因は心不全だった。 左さんは昨年6月、自宅で胸の痛みを訴えて救急搬送。急性心筋梗塞の緊急手術を受けた。手術後には誤嚥(ごえん)性肺炎を起こし、酸素呼吸器をつけながら闘病を続けていた。 10月には呼吸器を外し、自発呼吸できるまでに回復。関係者も「良い方向に向かっている」と語っていたが、ついに復帰の夢は叶わなかった。稀代のバイプレイヤーは家族に看取られ、旅立った。 左さんはその愛くるしいキャラクターで人気を博した。しかし私生活ではポーカー賭博による罪で3度逮捕され、まさに波乱万丈。そんな左さんの復帰を支えてくれたのは故・森繁久彌さん(享年96)だった。15年、雑誌のインタビューで明かしている。 2度目の逮捕時、左さんは森繁さんが座長を務める舞台に出演していた。2か月公演のうちの半分を空けることとなった。しかし森繁さんは「しょうがないな。ちょっとの間、ゆっくり休めよ」と声をかけてくれたという。そして「いいか、この時期こそカネ使えよ」というアドバイスをくれた。 「こういう時期だからこそ、相手に気持ちが負けていないことを伝えなきゃいけない。相手に“そんなに気前よく使って大丈夫なの?”って思わせなきゃ」 謹慎から明けた後も左さんは、森繁さんの手を借りることとなる。森繁さんが、再び舞台に立つチャンスをくれたのだ。それが、左さんの代表作となる「佐渡島他吉の生涯」だった。同作では10分以上も左さんが1人でしゃべり続けるシーンがあり、その演技に観客は魅了。左さんも「役者としてのコツをつかんだ」と思った。そして森繁さんは言った。 「お前が、あんなに上手な役者だとは思わなかったよ」 2007年に行われた左さんの芸能生活50周年を祝う会に、森繁さんは役者としての左さんを賞賛する声を寄せている。 「あたふたと、あっと驚く50年。お前さんの当たり役の『佐渡島他吉の生涯』の橘玉堂は、本当にうまかったなぁ……。玉堂のセリフじゃないが“人生の浮き沈み”があったが……。お前さんはかわいい洒落たやつだ。とにかくおめでとう。なによりおめでとう。バンザイ、バンザイ」 森繁さんに憧れて、役者を志したという左さん。また天国で森繁さんに「かわいがられて」いるのかもしれない。
2018年02月25日俳優の市村正親が5日、東京・日生劇場で行われた、主演ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の初日会見に、鳳蘭、実咲凜音、神田沙也加、唯月ふうかとともに登場した。同作は1964年にブロードウェイで初演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞など7つもの賞を獲得。日本では1967年に森繁久彌により初演を迎え、今回が日本初演50年の節目となる。帝政ロシア時代の寒村で酪農業を営むユダヤ人一家の父親・テヴィエ(市村)と、妻・ゴールデ(鳳)、そして娘たちの結婚をめぐる家族の物語が描かれる。幕が開く直前の会見に、唯月は「すごい緊張してます。ドキドキしてます」と心境を吐露。「一生懸命稽古してきたので、末っ子らしく頑張っていきたいと思います」と意気込みを語った。また「前回の初日の会見の映像を見ていた」という神田は、「あの中に入ったなという感じがすごくしています」と仲間入りに感謝し、市村は「ウェルカム!」と歓迎。市村が「さやちゃんは歌が綺麗で。よく来たね。お母さんの歌、ずっと若い頃聞いてたの」と神田の母・松田聖子に触れると、神田は「ありがとうございます」と頭を下げていた。4月に宝塚を卒業し、新たな舞台に出演することになった実咲について、市村は「まあお綺麗! つるんつるんして」と感嘆。実咲は「これから楽しみな部分と不安な部分があるんですけど、何事にもいろいろ取り組んでいって、楽しみながら出来たらいいなと思っています」と新たな生活について語った。また「何度初日を迎えても、私はやっぱり緊張。手に汗ですね」という鳳の手を、市村がその場で拭くなど、阿吽の呼吸を見せた2人。市村は「3人とも聡明で知的で、綺麗で、母親に似て本当にいい女っぷりですね」と女性陣を称賛した。実生活では2人の男の子の父親の市村だが、今回3人の娘の父親という役どころに、「娘を持つ父親の気持ちは普通とは違うらしいと聞いて。この3人がお父さんお母さんの言うことを聞かないで勝手な恋をして……そういうお父さん多いと思います。それを代表して」と茶目っ気たっぷりに意気込んだ。
2017年12月05日昭和からエンターテインメント界の第一線で活躍を続けてきた黒柳徹子と、その家族の激動の歴史を描く帯ドラマ劇場「トットちゃん!」。先日、ヒロインの半生を体当たりで熱演してきた清野菜名がクランクアップ!感極まって涙の挨拶となるなか、恋人役の城田優が“お姫さま抱っこ”で清野さんをねぎらった。子役・豊嶋花からバトンを引き継き、11月より本格的に登場していた清野さん。そのひたむきでまっすぐな演技が注目を集めており、物語はついにヒロイン・徹子がNHK専属女優に選ばれ、テレビ草創期の熱気を伝える怒涛の展開に突入。そして今回、15歳から63歳までの徹子の半生を演じてきた清野さんがクランクアップを迎えた。■ラストシーンは海岸…“我らがトットちゃん”が感極まって涙、涙!クランクアップ当日は、関東地方の海岸での撮影。ラストシーンは恋人、カール・祐介・ケルナー役の城田さんと砂浜で2人きり、語り合うシーンとなった。すべての撮影が終わったところで、助監督が「我らがトットちゃん、清野菜名さんがオールアップです!」と声をかけると、スタッフ一同から「イエーイ!」と大歓声!清野さんも満面の笑みで両手を高く掲げて「イエーイ!」と応じ、星田良子監督と「ありがとうございました」とハグ。城田さんともがっちりと握手を交わした。最初は充実感いっぱいの笑顔を浮かべていた清野さんだが、スタッフからひと言を求められると感極まったのか涙がこみ上げ、「皆様お疲れ様でした。不慣れなところもあってご迷惑をおかけしたと思うのですが、撮影はすごく楽しかったです。ありがとうございました!」と、絞り出すように挨拶。その後は涙があふれて言葉にならず、「ただただ感無量です!」と、大役を演じきった素直な心境を明かした。清野さんが「トットちゃん!」の撮影に入ったのは、7月下旬。以来、プレッシャーを抱きながらも「徹子さんが皆さんにもたらしている“パワー”や“楽しいひととき”を、私もこのドラマを通して視聴者の方々にお届けしたい!」という強い思いを胸に、撮影に励んできた。■恋人役・城田優が清野菜名を“お姫様抱っこ”!!同じくこの日、クランクアップを迎えた城田さん。「後半からの登場だったのはちょっぴり残念でしたが、全体のクランクアップのときに、こうして皆さんとご一緒することができてうれしかったです。短い時間でしたが、本当に楽しい現場でした」と挨拶。なんと最後は、清野さんを“お姫様抱っこ”し、大役に挑んできた“恋人”をねぎらう、男前っぷりを披露した。城田さん演じるカール・祐介・ケルナーは、来週12月4日(月)放送の第46話から登場。はたして、徹子と祐介の“運命の出会い”とは!?トットちゃんの“秘めた恋”がいよいよ明らかになっていく。■近藤真彦ら登場!売れっ子女優になった徹子が見合い結婚!?そして、今週11月27日(月)からの第9週は、いよいよテレビジョンの華やかな時代が幕を開ける。徹子は売れっ子女優として活躍を見せ、森繁久彌(近藤真彦)、沢村貞子(浅野ゆう子)、渥美清(山崎樹範)らスターたちとも共演し、交流が始まっていく。そんな中、なんと徹子が突然、見合い結婚することを決意して…!?いったいなぜ徹子は結婚を決めたのか…!?その驚きの展開に、徹子に恋心を抱いていたディレクター・久松勇(三宅健)はどんな行動を!?まだまだ目が離せないストーリーが続いていきそうだ。「トットちゃん!」は毎週月~金曜日12時30分~テレビ朝日にて放送。再放送は毎週月~金曜日7時40分~BS朝日にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年11月27日毎週月~金12時30分よりテレビ朝日にて放送中の清野菜名主演「トットちゃん!」に、“アイドル界のレジェンド”近藤真彦が昭和の代表する俳優、故・森繁久彌に扮し出演することが決定した。エンターテインメント界の第一線で活躍を続けてきた大スター・黒柳徹子(清野さん)とその家族の激動の昭和史を描き、大反響を巻き起こしている帯ドラマ劇場「トットちゃん!」。今回、近藤さん演じる森繁久彌が登場するのは、11月24日(金)放送の第40話から。40年以上続く番組「徹子の部屋」の記念すべき第1回目のゲストである森繁さんを演じるにあたり、近藤さんは「森繁さんの自然体が、観る人を感動させてきたのではないでしょうか」と森繁さんが持つ知的かつ上品な“色気”と“自然体”を評価。さらに近藤さんは「僕も最初は森繁さんの物真似をした方がよいのか、近藤真彦が演じる森繁久彌がよいのかいろいろ悩みましたが、その中間でうまく演じられた気がします」と、大役に挑んだ心境を語っており、ドラマ本編では「知床旅情」をしっとり色っぽく歌い上げるシーンにも挑戦している。また近藤さんと黒柳さん本人はプライベートでも親交があるようで、近藤さん曰く、黒柳さんに役に決定を伝えたところ「“エッ!”と驚いていらっしゃいましたが、そのあと『もうあなたに任せたわ』というお言葉をいただきました」と2人の“絆”の太さをうかがわせるエピソードを告白した。「トットちゃん!」は毎週月~金曜日12時30分~テレビ朝日にて放送。再放送は毎週月~金曜日7時40分~BS朝日にて放送。(text:cinemacafe.net)
2017年11月10日俳優の市村正親が22日、都内で行われたミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』製作発表記者会見に、鳳蘭、実咲凜音、神田沙也加、唯月ふうか、入野自由、広瀬友祐、神田恭兵と友に登場した。同作は1964年にブロードウェイで初演され、トニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞など7つもの賞を獲得。日本では1967年に森繁久彌により初演を迎え、今回が日本初演50年の節目となる。帝政ロシア時代の寒村で酪農業を営むユダヤ人一家の父親・テヴィエ(市村)と、妻・ゴールデ(鳳)、そして娘たちの結婚をめぐる家族の物語が描かれる。同作の魅力について、市村は「ユダヤ人のいろんな家族の問題とか人種の問題とか人間の問題とか内容が非常に豊富で、作品として素晴らしい出来になっているのと、音楽がいい」と説明する。鳳も「三大要素であるドラマ、曲、ダンス全てが揃ってる。だからこそ世界に残ってる名作なんだと思います」と魅力を表した。宝塚歌劇団退団後初ミュージカルとなる実咲は「素晴らしい作品と共演者の方々とご一緒させていただけること、全てが新鮮で学ぶことばかりなので、殻を破りたいと思いお受けしました」と新たな一歩を踏み出す。神田沙也加は「いつもポスターを見ていたので、まさか参加させていただけるとは」と驚き、唯月も「頑張らないとという気持ちでいっぱいでした」と名作へのオファーに気を引き締めた。前回と違う役で舞台に立つことになる入野は「前回は経験も浅かったこともあり、自分がやるということに一生懸命すぎて作品を掘り下げることができなかった」と反省。声優、俳優としても経験を積み「もっともっと役や作品に対して、深く深く掘っていけるなと思ったので、ぜひやらせてくださいとお答えしました」と心境を語る。広瀬は「市村さんとご一緒できることを嬉しく思っています」と喜び、神田恭兵は「稽古から一瞬も逃さずに、僕だけのフョートカを築き上げたい」と意気込んだ。ゴールデンコンビと言われる市村&鳳だが、鳳が「絶対に男は浮気するけど、絶対しない男を上げろと言われたらいっちゃん(市村)だと思います」と太鼓判。「だって(篠原)涼子ちゃんより素敵な女性を探さなきゃいけない」と語ると、市村は照れた様子に。「『屋根の上のヴァイオリン弾き』の会見だから……」と鳳と手をつないで見せ、和気藹々と”夫婦漫才”を繰り広げた。東京公演は日生劇場にて12月5日~12月29日。また2018年1月から2月にかけて、大阪公演、静岡公演、名古屋公演、福岡公演、埼玉公演が行われる。
2017年08月22日「私は自分の容姿に関して本当に適当なの。あまりにも何もしないから、周りから叱られて、たまにフェイシャルエステに行くくらい。それでも1年に1回とか」 そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第75回のゲスト・女優の三田佳子さん(75)。明るく朗らかな笑顔で「今日はよろしくねー!」と颯爽とスタジオ入りした三田さん。革ジャンにロングスカート、高めのヒールのブーティーという若々しいファッションもとってもお似合い。エイジレスな魅力たっぷりの三田さんと中山が語り合いました。 中山「プロフィールを拝見したのですが、三田さんは現在75歳。驚異的な若さですね!今日はあらためて三田さんの女優になったきっかけを伺いたいと思います」 三田「女優になるきっかけは、中学生のときに森繁久彌さんの娘役でラジオに出演したこと。もう60年以上も前の話だから、詳細は省くわね。そんなところまで話していたら、夜が明けちゃうから(笑)。ラジオ全盛の時代からテレビが出てきて、まずNHKが試験放送を始めて、そこで女学生AやBなどをやっていました。『こんにちは』と言うだけでも緊張して、言葉が出てこなかったんですよ。『あ、自分の番なんだ、しゃべらなきゃ』となると、台詞が出てこなくて」 中山「三田さんにもそういう時代があったんですねー!」 三田「そのうちテレビも民放ができて、そういう道を進むことになった。森繁先生にはとてもお世話になって、『佳子、今度は正月のこういう番組に出なさい』って、次の役を用意してくださって。そんななか、コマーシャルガールをやることになったんです」 中山「当時のコマーシャルは生放送ですよね。いわゆる“生コマ”というものですね?」 三田「そうそう。私は相変わらずで、『トチリの佳子ちゃん』って呼ばれていたの。今でも忘れないのは、旭化成の新製品『カシミロン』のコマーシャル。30秒なり90秒なり、製品の説明をしないといけないのに、全然台詞が出てこない。スタジオでは、ターリーという大きなランプがついたらカメラが回って始まるんだけど、私は『電波に乗って、全国に私の姿が流れていくんだ』という事象のほうに興味を持ってしまって、真っ白になっちゃって……」 中山「それはダメですね(笑)」 三田「逆にそれがかわいかったのよー(笑)。『あ、カシミアタッチのカシミロン。うふふ、あ、あの……』ってニッコリ笑って、バタバタして90秒経過。コマーシャルにならないから、やめさせるしかないということになったんだけど、視聴者が『明日はどこまで言えるか楽しみ』と逆に人気が出て、全国から『あのコをやめさせないで』という投書が殺到したんですって」 中山「それで、続けられたんですね」 三田「そのあと『週刊サンケイ』でのコマーシャルガールの特集企画があって、その表紙を飾ったことでスカウトが来て、高校卒業後に東映に入社したんです」
2017年02月18日「金曜ロードSHOW!」では「2週連続 夏はジブリ」と題してスタジオジブリ作品を連続オンエア。その第一弾として8月5日(金)今夜、1997年に公開され当時の歴代興行収入を塗り替える大ヒットを記録した『もののけ姫』をノーカット放送する。宮崎駿監督が構想16年、製作3年を費やして作り上げた長編映画7作目となる本作。1997年当時としては最新の技術だったデジタルペイントの導入や、CGを駆使した映像表現を導入。従来のジブリ作品のイメージを継承しつつもよりハードで緻密な作画で表現された映像は当時大きな話題となり、異例の長期間にわたる公開、そして興行収入193億円という驚異的な記録へとつながった。また石田ゆり子、田中裕子、小林薫、西村雅彦、上條恒彦、美輪明宏、森光子、森繁久彌といった錚々たる俳優たちが声優を担当。同時に『風の谷のナウシカ』のナウシカ役である島本須美とアスベル役の松田洋治といった宮崎作品を支えた声優陣も出演。豪華な声優の演技にも注目。北の果てに住むエミシ一族の青年・アシタカ(松田さん)は“タタリ神”に姿を変えたイノシシから村を守るためにタタリ神に矢を放ち死の呪いを受けてしまう。村の巫女・ヒイさま(森さん)は西に呪いを絶つ方法があると預言、アシタカは旅に出る。道中で謎の男・ジコ坊(小林さん)と出会い、精錬所“タタラ場”とすべての生命を司る“シシ神の森”について話を聞き、タタリ神となったイノシシの体から出てきた鉄の玉がタタラ場で作られたものと考えたアシタカは、タタラ場を目指す。その後犬神に襲われて川岸に倒れていた甲六(西村さん)を救出したアシタカは、犬神に育てられ人間を嫌う少女・サン(石田さん)と出会うことに。サンから森を去るように言われ甲六を連れて彼が働くタタラ場へと向かう。タタラ場を率いるエボシ御前(田中さん)に歓迎されるアシタカ。エボシ御前は女性や病人など世間から蔑まれていた人間が生きていくための独自のコミュニティを築いてきたが、そのために森を切り倒したことでサンと彼女を育てた犬神・モロの君(美輪さん)の怒りをかっていた。そしてエボシへ復讐を果たすべくサンがタタラ場を襲撃、両者の戦いを止めようとしたアシタカは暴発した石火矢の銃弾を受けるも傷ついたサンをなんとかシシ神の森へ送り届けようとするが…。ジブリ初の外国人監督による最新作『レッドタートル ある島の物語』が「第69回カンヌ国際映画祭」の「ある視点」部門で特別賞を受賞、海外でも高い評価を受けるなか、もう一度いまなお色褪せることのない日本アニメ界の金字塔である本作をじっくりと鑑賞してみるのはいかがだろうか。なお「2週連続 夏はジブリ」第2弾として8月12日(金)には『コクリコ坂から』が放送となる。金曜ロードSHOW!『もののけ姫』は8月5日(金)21時~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2016年08月05日満島ひかりが黒柳徹子を演じ、そのテレビとともに歩んできた半生を描いた、NHK総合で放送中のドラマ「トットてれび」も6月18日(土)今夜の放送で最終回を迎える。テレビ放送が始まった昭和28年、NHKがテレビ放送開始にあたって専属俳優を募集していることを知り受験する黒柳さんは、筆記試験も面接も失敗続きだったが合格し、エキストラとしてテレビやラジオに出演することに。目立ち過ぎて叱られてばかりの黒柳さんだったが転機が訪れ、黒柳さんは数々の人気番組に出演。そこで出会っていく日本を代表するそうそうたる俳優たちとの交流が本作では描かれる。森繁久彌に吉田鋼太郎、渥美清を中村獅童さんが、坂本九は錦戸亮、向田邦子にミムラと豪華キャストの共演も話題を呼んだ。黒柳さんは「徹子の部屋」25周年のお客様として、記念すべき第1回のゲストだった森繁さんを招く。番組でこれまでの思い出をふり返る2人。森繁さんの第一印象は「ちょっとエッチなおじさん」だったという黒柳さん。ドラマで共演した森繁さんは大事なシーンでもセリフを憶えず大胆なカンニングをして黒柳さんを驚かせたという。「徹子の部屋」の収録は進むが森繁さんはやる気を見せず、見かねた黒柳さんはCM中「こんな森繁さん見たくない!」と叱る…最終回となる今夜は森繁さんと黒柳さんとの50年にわたる交流を描く。撮影にあたっては「あまり臆病にならないで、そのときやりたいことをカメラの前でやれたらいいな」と語っていた満島さん。草創期から日本のテレビとともに歩んできた黒柳さんをどう演じ切ったのか、その総決算となる今夜の放送をお見逃しなく。「トットてれび」は6月18日(土)20時15分~NHK総合で放送。(笠緒)
2016年06月18日ドラマ「トットてれび」で黒柳徹子役を演じる満島ひかり。同世代の女優の中で演技派としてひときわ輝く満島さんは、本役を通して自身が通るべき新たな道筋を発見したようだ。その先に広がる世界とは…?黒柳さんのエッセイ「トットひとり」「トットチャンネル」が原作の本作は、テレビ放送が始まった昭和28年にNHK専属テレビ女優第1号となった黒柳さんを主人公に、自由で創造的だったテレビ草創期の熱気と、森繁久彌、渥美清、坂本九、向田邦子らそうそうたる面々との友情を描いたバラエティドラマ。懐かしいヒットソングを現代風にアレンジしたミュージカル仕立ての演出も見どころのひとつ。当初、満島さんは「新しい印象で煌めき続ける徹子さんのパワーをそのままドラマに出せるのだろうか?」と疑問を抱くとともに、「再現ドラマになってしまうのが怖い」と思ったことを素直に打ち明ける。しかし、井上剛監督の「テレビの初めから歩んできた黒柳さんのパワーを借りて、もう一度新しいテレビを探したい!」という情熱に突き動かされ、「じゃあ、やってみようかな」と心変わり。「徹子さんからは『満島さんなら、まぁいいわ』と承諾をもらえたみたい」と笑みをこぼす。撮影するにあたり、黒柳さんからのアドバイスは、やはりあの独特の口調についてで、「『わたし、速いだけじゃないの。良く聞こえるの』と言われたので、それは気を付けています」と肝に銘じている様子。また、黒柳さんのことを「可愛い。魂の魅力を丸ごと発信できる人」と評する満島さんは、どんな時でも可愛くいるように心がけているとも。中村獅童(渥美清役)、ミムラ(向田邦子役)、吉田鋼太郎(森繁久彌役)ら共演者とも「モノマネではなく、それぞれが(演じる人物の)エッセンスを取り入れて、自分自身で体験することが一番の目標」と話し、当時生放送だった番組のシーンでは「自分たちならどう解決するか?徹子さんたちならどう解決するか?をダブらせて演じるので、半分リアルでドタバタしています」と述懐する。とは言え、「あまり臆病にならないで、そのときやりたいことをカメラの前でやれたらいいな」と目を輝かせる満島さん。ショーの場面では「歌い方も踊り方も決まりごとにならないようにやれたらと思っています」と、子供時代に所属していた音楽グループ「Folder」で培ってきたキャリアを活かす意欲ものぞかせた。多彩なキャラクターを演じてきた満島さんだが、唯一無二の存在感を放つ黒柳さんを演じることはやはり難解で、とりわけ「戦争を経験された方々の、これからは新しく楽しく生きていこうとするユーモアは真似できない」としみじみ。そんな思いもあって、黒柳さんに「(撮影)楽しいでしょ?」と聞かれた時、満島さんは「徹子さんの何十年を何か月でやることは楽しいだけじゃないです!」と訴え笑われたこともあったとか。かつてない体験を通して、さらに役者道をまい進する決意が固まったかと思われたが、満島さんは「女優さんは向いていない気がしています」と意外な言葉を口にする。その真意は「音楽やファッション、バラエティもコントも笑いもある中で仕事をするのが楽しい」。本作の「総合芸術な感じ」に魅了された満島さんは、「パフォーマンス・アーティストがいいな。フラフラーっとトボけながら、自分ができることをやって楽しみたい。だから徹子さんは理想的」と笑顔を向ける。未来に新たな夢を見出した満島さんの目は、黒柳さんにも負けないパワーに満ちあふれていた。「トットてれび」(連続7回)は4月30日(土)20時15分からNHK総合で放送。(text:cinemacafe.net)
2016年04月30日4月30日よりNHK総合でスタートする土曜ドラマ『トットてれび』(毎週土曜 20:15~20:43 全7回)の試写会が21日、東京・渋谷のNHKで行われ、主演の満島ひかり、原作の黒柳徹子が出席した。黒柳徹子のエッセイ『トットひとり』と『トットチャンネル』をドラマ化した同ドラマは、テレビとともに歩んできた黒柳の若かりし日の姿を描いたもの。主人公の黒柳徹子役に満島ひかり、渥美清役に中村獅童、向田邦子役にミムラ、森繁久彌役に吉田鋼太郎が扮し、脚本を中園ミホが担当している。主演の満島は「5年ぐらい前の朝ドラ『おひさま』でお会いした時に『私の晩年の姿はあなたしかいない!』と口説かれましたが、まさか若い頃の黒柳さんを演じるとは思いませんでした」と驚きを隠さず、オファー時は「黒柳さんはパワーのある方。お話をいただいた時は『出来ません!』と断ったんです」と明かしたが、「『テレビで遊びたい』というお話をうかがい、徹子さんの人生をお借りして現代でどれだけテレビで遊べるかと思い、今頑張っています」と笑顔を見せた。一方の黒柳は「『おひさま』の時に満島さんと初めてお会いしたんですが、本当にいいなと思いました。どうせやっていただけるなら上手じゃないと嫌ですから、全体も似ているし演技も上手だし、自由な精神を持っている方ですね。(ドラマでの満島を見て)若かった時の私としか思えなったし、夢かと思いました」と絶賛しながら「私の若い頃があんな風だったと皆さんが思っていただけたらうれしいです」と期待を寄せた。黒柳の代名詞でもある"玉ねぎ頭"で揃って登場した満島と黒柳。"玉ねぎ頭"について満島が「徹子さんは良いアイテムを見つけたなと思いました。変身アイテムじゃないですけど、これをつけると強くなれる感じがします」と感想を。そんな満島を黒柳は「お綺麗な方なので、この髪型は綺麗な人に似合うと思いましたね」と合格点を与えていた。
2016年04月22日