名作ゲーム『ファイナルファンタジーX』が歌舞伎化。『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』として2023年3月4日(土)から4月12日(水)まで東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京で上演される。『ファイナルファンタジーX』が歌舞伎化『ファイナルファンタジーX』は、2001年7月19日に「ファイナルファンタジー」シリーズの第10弾として発売された名作ゲーム。続編を含め全世界2,110万本以上(2022年3月時点)を売り上げる、「ファイナルファンタジー」シリーズ屈指の人気作だ。ゲームの中では、大いなる脅威「シン」に立ち向かう少年と少女の切ない物語が、シリーズで初めて採用されたキャラクターボイスやシーンに応じて表情が変化するフェイシャルアニメーションによって描かれている。尾上菊之助、中村獅童、尾上松也、坂東彌十郎らが出演そんな不朽の名作『ファイナルファンタジーX』が、「NINAGAWA十二夜」「マハーバーラタ戦記」「風の谷のナウシカ」など新しい歌舞伎の舞台を創り出してきた尾上菊之助による企画・演出によって初めて歌舞伎化されることに。出演者には、尾上菊之助をはじめ、中村獅童、尾上松也、中村錦之助、坂東彌十郎、中村歌六といった豪華なキャストが名を連ねる。また、『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』では、<ティーダとユウナの物語><白熱のブリッツボール><異界送り><ラストバトル>など見どころ満載かつ、物語のはじまりから終わりまでを描くため、上演時間は前編・後編通しで、休憩を含め、およそ6~7時間となる予定だ。『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』あらすじ<前編>舞台となるのは、1000年前、突如として姿を現し、破壊を繰り返す災厄ともいえる魔物「シン」に恐怖を抱きながら人々が暮らす世界「スピラ」。そんな「スピラ」に少年・ティーダが迷い込み、そこで可憐で気丈な召喚士・ユウナと出会う。ユウナの目的はただ一つ、「シン」を倒すこと。そのための“究極召喚を手に入れること”であった。ユウナの決意に胸をうたれたティーダは、時を同じくして出会った仲間たちと共に旅にでる。弟の命を「シン」に奪われた兄貴肌の「ワッカ」、その弟の恋人であった黒魔道士「ルールー」、謎に包まれたロンゾ族の少年「キマリ」、ティーダの父の盟友「アーロン」。数々の戦いや出会いの中で、一行は「シン」の“真実”に近づくことに。だがそこにグアド族の族長・シーモアが立ちはだかる。ユウナが手に入れようとしている“究極の力”を利用し、「死」こそ世界を救う、というゆがんだ考えから、スピラを死の螺旋へと導こうとする。ティーダたちの闘いの行方は果たして……。<後編>シーモアの策略はティーダたちをますます追い込んでいく。狡猾なシーモアは、ユウナを誘拐し、彼女を利用するために政略結婚を企てる。それに抗った一同は反逆者の汚名を着せられ、旅の中断を余儀なくされる。絶望し泣き崩れるユウナを見て、ティーダはなんとしても彼女を守りぬこうと決心し、出会った頃から互いに惹かれあっていた二人は秘めた恋心に身を委ねるのであった。一同は決意を新たに、再び「シン」を倒す究極召喚を手に入れるために立ち上がる。だがそこに待ち受けていたのは衝撃の出来事。「シンの正体」「ユウナの運命」そして「ティーダを待ち受けている真実」とは……。登場人物・配役尾上菊之助/ティーダ中村獅童/アーロン尾上松也/シーモア中村梅枝/ルールー中村萬太郎/ルッツ、23代目オオアカ屋中村米吉/ユウナ中村橋之助/ワッカ尾上丑之助/ティーダ(幼少期)、祈り子上村吉太朗/リュック中村芝のぶ/ユウナレスカ坂東彦三郎/キマリ中村錦之助/ブラスカ坂東彌十郎/ジェクト中村歌六/シド脚本に『おちょやん』の八津弘幸、共同演出に金谷かほりなお、『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』の脚本を務めるのは、NHKの連続テレビ小説『おちょやん』や、舞台化も果たした人気ドラマ『家政夫のミタゾノ』など多くのヒットドラマを手掛ける八津弘幸。尾上菊之助との共同演出には、『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』やB’zのドームツアーなどを手掛けてきた金谷かほりが名を連ねる。IHI ステージアラウンド東京のラストシーズン企画として上演なお、本作品の会場となる客席が360度回転する劇場・IHI ステージアラウンド東京は、2017年のオープンから7年の歴史に終止符を打つことが決定。ラストシーズンを飾る超大型企画としてIHI ステージアラウンド東京で初の歌舞伎『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』を上演する。公演概要『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』上演期間:2023年3月4日(土)~4月12日(水)休演日:3月8日(水)、15日(水)、22日(水)、29日(水)、4月5日(水)前編:11:30開場、12:00開演後編:17:00開場、17:30開演会場:IHIステージアラウンド東京住所:東京都江東区豊洲6-4-25主な出演者:尾上菊之助、中村獅童、尾上松也、中村梅枝、中村萬太郎、中村米吉、中村橋之助、尾上丑之助、上村吉太朗、中村芝のぶ、坂東彦三郎、中村錦之助、坂東彌十郎、中村歌六、尾上菊五郎(声の出演)※中村歌六、中村錦之助、尾上丑之助は後編のみの出演となる。<チケット情報>■前編・後編通し(全席指定)チケット料金:SS席 32,000円(非売品オリジナルCGビジュアルアクリルスタンド付)、S席 28,000円(非売品オリジナルCGビジュアル公演ポスター付)、A席 24,000円、B席 19,800円■前編/後編(全席指定)SS席 18,000円、S席 16,000円、A席 14,000円、B席 11,000円※非売品特典グッズは付かない。<備考>※SS席、S席の非売品特典グッズは観劇日当日、劇場内で引き渡す。※未就学児童は入場不可。※やむを得ない事情により出演者等が変更になる場合がある。※車椅子での来場予定者はチケット(SS席)を購入後、観劇日の2営業日前までにステージアラウンド専用ダイヤルまで要連絡。付き添い人が観劇する場合もSS席チケットが必要になる。車椅子スペースには限りがあるため、購入した座席で観劇する場合もある。※劇場の構造上、場面によっては入退場できない場合がある。※営利目的によるチケットの転売は禁止。※公演内容・開演時間等が変更となる可能性がある。※申込み完了後、申込み内容の変更はできない。購入したチケットは、公演中止・延期等の場合を除き、払戻の対応はできない。公演が中止になった場合には、公式HPにて払戻方法を告知する。
2023年02月06日2月2日(木)から25日(土) にかけて歌舞伎座で上演される「二月大歌舞伎」より、『船弁慶』の特別ポスターが公開された。『船弁慶』は新歌舞伎十八番のひとつで、能の「船弁慶」を題材とした松羽目物の舞踊劇。ひとりの俳優が前半では静御前の愁嘆の舞、後半では平知盛の霊の迫力を見せる、という女方と立役の踊り分けがみどころとなっている。今回の公演では、父・五世中村富十郎の十三回忌追善狂言として中村鷹之資が『船弁慶』に挑む。公開された特別ポスターには、愛しい源義経との別れを決意する静御前と一族を滅ぼした義経への恨みを晴らそうとする知盛の霊の対照的な姿が写し出されている。また、右上には舞台を見守るかのように富十郎の写真が配され、静と知盛を通して富十郎の姿も舞台上に浮かび上がってくるかのような追善公演に相応しい1枚となった。本ポスターは初日より歌舞伎座ほかにて掲出される。<公演情報>歌舞伎座「二月大歌舞伎」第二部『船弁慶』2023年2月2日(木)~25日(土)公演公式サイト:
2023年01月31日歌舞伎の演目を、主宰の木ノ下裕一さんの古典芸能や歴史に関する豊富な知識をもとに現代的に読み解いたうえで、現代演劇の演出家を迎えて上演している木ノ下歌舞伎。従来とは違うアプローチから古典を眺めることで、作品そのものの面白さや奥深さに気づくなど新しい発見が多く、近年注目を浴びている。歌舞伎でも屈指のアナーキーな物語が、現代の才能によって新たな進化を遂げる。今回手がける『桜姫東文章』は、暗闇で自分を襲った男に焦がれる桜姫の、運命に翻弄され転落していく人生を軸に展開する男女の愛憎渦巻くドラマ。成河さん、石橋静河さんを迎え、国内外で注目される岡田利規さんの脚本・演出によって上演される。石橋静河(以下、石橋):初めて木ノ下歌舞伎を観たのは’15年の『三人吉三』だったんですが、これまで観たことのないような舞台に「なんだこれは?」ってなって、すごく衝撃的でした。成河:僕は’13年の『黒塚』。当時から「ヤバい劇団がある」って話題だったんだけど、観に行ったら本当にヤバくて面白かった(笑)。いつか出させていただければと思っていたけど、まさかこんなことになるなんて思ってもなかったなと…。石橋:私たち、完コピ(木ノ下歌舞伎では通常の稽古前に、出演者が上演作品の歌舞伎の舞台を振りやセリフまで完全にコピーして演じる、完コピ稽古が行われる)の洗礼を受けましたからね…。成河:まさに洗礼だったよ。顔合わせで台本と歌舞伎の映像を渡されて、「2週間後に全編完コピの発表会をやります」…ですからね。木ノ下さんがニコニコおっしゃるから、最初は冗談かと思って信じてなかったよ。石橋:しかも、このセリフのときにこの手がちょっと動く、みたいな細かさでコピーするんですから。成河:発表会目前の石橋さんの追い込みは、すごいものがあった(笑)。石橋:やってわかったのは、歌舞伎役者さんたちのすごさ。レベルが違う。でも…めちゃくちゃ面白かったです。歌舞伎って大胆で大袈裟な芝居という印象だったけれど、木ノ下さんの解説をもとに細かく観ると、すべての動きが緻密に計算されているんだってことがわかって。成河:あと、音や音程ひとつにもちゃんと意味があることを教わって、あれは贅沢な時間だった。石橋:あれがないまま岡田さんの稽古が始まっていたら、歌舞伎作品だという実感が結局ないままだったと思うんです。歌舞伎が自分にインストールされて、全員で共有するものがあったうえでどう作っていくかを考えられるってすごく助かると思う。成河:要するに、アップデートするにはインストールが必要だって話。すごい原理主義なんだよね。ただ、普通はそこまでやれないよねって諦めるのに、木ノ下歌舞伎は本当にやっちゃうところが尊敬できる。それは石橋さんも同じで、こんな売れっ子さんで、ここまでやってくれる方、他にいないと思うし。岡田さんは岡田さんで、完コピ稽古を楽しそうにご覧になって、これを見たらあれをやりたくなった、これをやりたくなったと、毎日毎日新しい台本が出てくる。その純粋な好奇心と知性が、本当に素晴らしいなと。石橋:岡田さんって、事前に最低限のものだけ用意して、じゃあどうしようかって俳優に問いかけながら作っていく方で、去年ご一緒したときにすごく勉強になったんです。成河:俳優をすごく信頼してくださっているなと感じる。あと、歌舞伎の骨格は一切いじらないとおっしゃっていて、その徹底ぶりがちょっと常軌を逸してる(笑)。そのうえで、骨格にかぶせる素材はすべて変えるという…岡田さんもやっぱり原理主義なんだよね。でもそれは言い換えれば、ものづくりにとても誠実な二人ということでもあって、そういう方々と一緒にやれるのは幸せだよね。石橋:お二人とも作品を絶対に私物化しない方たちですしね。成河:すごいことだと思うよ。その二人が『桜姫東文章』をやるっていうのも…。鶴屋南北のわりと初期の作品で、設定とか筆が荒いぶんエネルギーがあって、情念みたいなものをひしひしと感じるホンだから。石橋:いろんな話が入り組んだカオスな物語だし、桜姫は演じたことのない役柄だし。最初は少年で、生まれ変わって姫になって、そこから遊女になって、最後に夫と子供を殺すって、女性の業が詰め込まれている気がして。でもめちゃくちゃ面白い。成河:しかも今回、歌舞伎では200年以上上演されなかった幕を復活するんですよね。非常に批評性の高いシーンだし、そこもぜひ楽しみに来ていただきたいなと思います。石橋:私、コロナ禍になってから、現実がフィクションすぎて物語が見られなくなっていたんですよ。そういう状況の中でホッとするのは、歌とか踊りとか、人間の生き物としてあるべき姿を原始的な形で見せてくれるものなんですけど、今回の作品は、そういう人間の原始的な部分に繋がっている気がしていて。物語を“観る”というより“体験する”気持ちで楽しめる気がします。成河:そうね。演劇だと構えずに、体験しに来たら絶対面白いから。木ノ下歌舞伎『桜姫東文章』ひょんなことから僧侶の清玄(成河)は、かつての恋人・白菊丸(石橋)の生まれ変わりが桜姫(石橋2役)だと知り、彼女への想いを募らせる。一方、桜姫は、暗闇の中で自分を襲った盗賊・権助(成河2役)を忘れられず…。2月2日(木)~12日(日)池袋・あうるすぽっと作/鶴屋南北監修・補綴/木ノ下裕一脚本・演出/岡田利規出演/成河、石橋静河、武谷公雄、足立智充、谷山知宏、森田真和、板橋優里、安部萌、石倉来輝一般7000円ほか木ノ下歌舞伎 TEL:050・6873・6681豊橋、京都、新潟、久留米公演あり。ソンハ1981年生まれ、東京都出身。野田秀樹、サイモン・マクバーニー、小川絵梨子などさまざまな演出家の舞台で活躍。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』には義円役で出演した。シャツ¥33,000パンツ 参考商品(共にPHABLIC×KAZUIinfo@phablickazui.jp)その他はスタイリスト私物いしばし・しずか1994年生まれ、東京都出身。2015年に俳優デビュー。近作では大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などで注目を集める。現在、出演ドラマ『探偵ロマンス』放送中。ニット¥28,600シャツ¥37,400パンツ¥39,600(以上ニアー ニッポン/ニアー TEL:0422・72・2279)ピアス¥57,500ネックレス 価格未定(共にカレワラ)スニーカー¥25,300(スプリングコート TEL:03・6868・5224)※『anan』2023年2月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・藤谷香子(成河さん) ヤマモトヒロコ(石橋さん)ヘア&メイク・山口恵理子取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2023年01月29日歌舞伎夜話特別編『歌舞伎家話』の第22回が、2月1日(水) 20時より配信されることが決定した。2020年5月よりスタートした『歌舞伎家話』は、歌舞伎俳優が出演する、歌舞伎史上初のオンライントークショー。歌舞伎を中心に様々な芸能やエンターテイメントにまつわるトークが展開されている。今回は片岡仁左衛門が約1年ぶりに出演し、昨年を振り返ってのエピソードと、今年の公演に向けた意気込みなどを語る。なお聞き手は前回と同じくアナウンサーの中井美穂が務める。視聴チケットは現在発売中。なお配信終了後、2月7日(火) までアーカイブ配信される予定だ。<配信情報>歌舞伎夜話特別編『歌舞伎家話』第22回2月1日(水) 20:00~配信開始※2月7日(火) 23:59までアーカイブ配信あり。出演:片岡仁左衛門聞き手:中井美穂(アナウンサー)詳細はこちら:
2023年01月25日毎年恒例の「万作萬斎新春狂言」が2023年も1月に開催。1998年にスタートし、連続26年目を数える。91歳の人間国宝・野村万作、2020年に世田谷パブリックシアターの芸術監督を卒業し多彩な活躍をみせる56歳の萬斎、そして昨秋に野村家が狂言修行の卒業論文と例える大曲『釣狐』を披いた23歳の裕基。そんな父・子・孫の狂言三代の舞台を新春に観るという、まさにおめでたさが極まった舞台といえる。お正月にふさわしい華やかな演目を並べて贈る本公演の見どころや意気込みを、萬斎が語った。「万作萬斎新春狂言2023」 チケット情報お正月らしく、しめ縄が飾られた舞台。プログラムは恒例、元旦の朝に祝言として野村家一門で行われる謡初(うたいぞめ)『雪山』から始まる。新春を寿ぎ、居住まいを正して謡われる清々しい5名の連吟。次にそこから裕基が出て、干支の卯歳にちなんだ小舞『兎』を舞う。短い曲ながら、うさぎのように跳びつつ舞う若々しい歳男・裕基の姿を初披露。シリーズ登場は裕基が生まれた1999年の卯歳以来だ。そして好評の萬斎トークへ。軽妙に笑わせつつ、2演目を解説する。そしてまずは『舟渡聟(ふなわたしむこ)』。新婚の聟が手土産に酒樽を持ち舅の家にあいさつへ向かう。その道中、琵琶湖の渡船で船頭に酒を飲み干され、やっとの思いで舅の家に着くと…。「親子で継承してきた野村家の当たり狂言です。私と父で海外公演もやり定番にしてきた曲を、今回はひとつ代を飛ばして父と息子で。聟の若者らしいストレートな演技と老練な船頭や舅のコンビネーション。大団円を迎える最後に、お日様や梅の実、毬など(縁起の良い)丸づくしの謡を謡う。洗練された見応えのある曲です」。休憩をはさみ2幕は『花折(はなおり)』。花盛りの寺で、住職が見習い僧に庭の花見禁制を言いつけ出かける。やってきた花見客たちは垣根越しに酒宴を開いて…。「みんなで謡いつ舞つ、にぎやかな曲で新春らしい華やかなものになっています。最後に狂言の中で最速と言える“道明寺”という素早い舞を舞うのがひとつの見どころ。少し先取りして花見気分を味わっていただきたいと思います」。酒を飲む役をやって25年の萬斎。「エアで酒を飲んでいるのに酔っぱらうようになりました(笑)。大いに盛り上げたいと思います」。そんな中で今回特に注目は万作の得意とする『舟渡聟』の船頭。「父も91歳。元気ですが、三代そろう期間はそう長くはないと。我々が目指す、ひとつの芸境に差し掛かっている父の姿は本当に希少だと思いますし貴重でもあるので、それをぜひご覧いただきたいと思っています」。公演は1月18日(水)・19日(木)、大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月16日「できるだけお能を身近に感じていただけるように」というコンセプトのもと、子供やお能初心者に向けて大阪市が開催する伝統芸能鑑賞会『みんなでお能を楽しもう』。1日目は「大槻能楽堂で館内ガイドツアー~能楽堂のオモテとウラをご案内」と「はじめての能楽の世界」、2日目は「こどもとたのしむ“お能”の世界」の3プログラムで構成される。この催しに取り組むのは、次代の能楽界を担う20代・30代の若手能楽師たち。その中から、観世流能楽師(シテ方)の上野朝彦、能楽囃子ユニット「ナニワノヲト」の貞光智宣(笛方)・成田奏(小鼓方)・中田一葉(太鼓方)の4人が取材会に参加、それぞれの思いを語った。「伝統芸能鑑賞会 みんなでお能をたのしもう」 チケット情報700年前に作られ、そのまま現在に継承されてきた伝統芸能の能楽。「娯楽多様化の中で、敷居が高くなってきた。能は変えてはいけないものですが、変えていくべきものがある」と話す上野。「能舞台の内側や装束一つ一つにある意味、どんな曲目か、すべて知ってお能を観てもらえれば、きっと感動していただけると思う」。レンタルされる足袋をはき、大槻能楽堂内を解説付きで見学する「ガイドツアー」は、能楽堂ならではの独特の設備や空気感が味わえる貴重な体験だ。「はじめての能楽~」では、能とお囃子の解説から、お囃子(はやし)演奏に質問コーナー、最後に半能『田村』を解説付きで上演する。「年齢層に合わせた解説が必要と思っています。小鼓のきれいな、かっこいい構え方を伝えたい」と成田。参加者は笛の音の聞こえ方を言葉にしたような“唱歌(しょうが)”を歌い、貞光は能管(能の笛)で合奏する。「和楽器の魅力を伝え、日本の音により親しみを持ってもらうために頑張ります」と意気込む。2日目の「こどもとたのしむ~」では、より丁寧な解説にお囃子演奏、能で斬組ミ(きりくみ)と呼ばれる迫力ある斬り合いのシーンも紹介し、最後に解説付きで半能『舎利(しゃり)』を上演。「太鼓の出番が少ない能ですが『舎利』では太鼓が活躍します。自分の国にある音を知らない人が多いので、大切な催しだと思っています」と中田。2プログラムともに舞台上に装束と能面が展示され、写真撮影もOKだ。清水寺で古代の武将・坂上田村麻呂の霊が僧に不思議な力で敵を退治した話をする『田村』、お寺から盗まれたお釈迦様の歯を俊足の神・韋駄天が取り返す『舎利』。「ともにすごく動きのある曲を選びました」(上野)。「お能の舞台には根底に大きな力がある」(貞光)という能の魅力。「これをきっかけにお能が少しでも身近になってもらえたら。みんなの思いが込もった催しです」。「ガイドツアー」と「はじめての能楽の世界」は1月13日(金)、「こどもとたのしむ“お能”の世界」は2月18日(土)、大槻能楽堂にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月12日2005年から毎年、中村勘九郎・中村七之助ら中村屋一門が全国を巡業、初めて歌舞伎を観る人も楽しめる演目で人気の『春暁特別公演』。元々は若いファンから“地方にいると交通費や宿泊費がかかって、なかなか歌舞伎を観に行くことが出来ない”という手紙をもらったことから、「自分たちから全国各地に足を運ぼう」とスタートした公演。今回も勘九郎がドラマで演じて話題となった「中村仲蔵」ゆかりの舞踊や美しい姫君の毛振り、素顔が垣間見えるトークコーナーなど見逃せない舞台となりそうだ。それぞれの見どころを勘九郎と七之助に聞いた。幕開けは、勘九郎と七之助、そして中村鶴松によるトークコーナーから。「客席の地元の方たちと、その土地ならではのお話ができるのが楽しみ。飾らない素の僕たちを見ていただけたら」と顔をほころばせる勘九郎。七之助もうなずきながら「何度も行っている土地ですと、必ず行く神社やなじみのお店もできるので、そこにまたうかがえるのも楽しみなんですよ」と話す。続いては、澤村國久や中村いてうをはじめとする中村屋一門が華やかにそろう『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』。桜が満開の上野の山に、武士や町人、若衆、遊女などが花見に集う様子を描く。勘九郎が「まずは華やかな衣裳を見て楽しんでいただいて」と言うと、七之助も「一緒にお花見をする気分でね」と微笑む。3つめの演目は、『仲蔵狂乱』。ドラマ『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』で勘九郎が仲蔵役を圧巻の迫力で演じきり、大きな注目を浴びたことは記憶に新しい。本作はその仲蔵ゆかりの演目だが、今では上演されることが少なくなっているのだという。「手前味噌なんですが、ドラマは歌舞伎関係者にも良かったと言っていただくことが多くて、すごく力になっています」と勘九郎。「ただ、この演目は仲蔵さんが出てくる作品ではなくて(笑)、人気の彼が踊ったからその名前が付いてしまったというもの。僕は、娘の小野小町を悪人から逃すため狂人の振りをする小野良実を演じます。当時の仲蔵さんが踊っていた振りというのが、今の舞踊とは少し違っていてなかなか難しいのですが、今回は貴重な機会と思って挑戦します」と表情を引き締める。最後は、七之助と鶴松の『相生獅子』。姫君が花や蝶に戯れる獅子の姿を踊るうちに獅子の精に取りつかれ、勇壮な毛振りでクライマックスを迎える。「お姫様の扮装で毛振りをするのは、バランスが取りにくくて大変ですね。姫君ですので脚を踏ん張るわけにはいかないですし(笑)。それでも鶴松と共に美しくお見せできれば」と七之助。その鶴松には「自主公演も見事にやり切って、今とてもいい時期。1つひとつの役に丁寧に挑んで、これからますます活躍していってほしい」と期待を寄せる。2023年も波に乗る勘九郎、七之助ら中村屋一門の華やかな『春暁特別公演』。ぜひ春の訪れを舞台と共に客席で味わってほしい。取材・文:藤野さくら
2023年01月04日毎月シネマ歌舞伎を映画館で上映する《月イチ歌舞伎》の2023年ラインナップが決定。今回は新作として、宮藤官九郎作・演出の新作歌舞伎『唐茄子屋 不思議国之若旦那(とうなすや ふしぎのくにのわかだんな)』が加わった。今年10月、11月と約4年年ぶりに浅草の地に復活した平成中村座にて上演された、 宮藤官九郎作・演出の『唐茄子屋 不思議国之若旦那』は、古典落語に不思議の国のアリスを織り交ぜた奇想天外な新作歌舞伎だ。10月に公演された舞台を撮影し、シネマ歌舞伎にて上映する。宮藤官九郎はこれまでにも、シネマ歌舞伎にもなった『大江戸りびんぐでっど』(作・演出/平成21年歌舞伎座)をはじめ、渋谷・コクーン歌舞伎『天日坊』(脚本/平成24年、令和4年)、六本木歌舞伎『地球投五郎宇宙荒事(ちきゅうなげごろううちゅうのあらごと)』(脚本/平成27年)などの歌舞伎作品を手がけてきた。今回4作目として誕生したのが本作 『唐茄子屋 不思議国之若旦那』。NHK大河ドラマ『いだてん』でもタッグを組んだ中村勘九郎とともに、平成中村座では初めてとなる新作歌舞伎の上演に挑戦した話題の舞台が、シネマ歌舞伎として2024年1月5日に全国公開される。『唐茄子屋 不思議国之若旦那』(C)松竹2023年で現在の歌舞伎座が新開場10周年を迎えることにちなみ、前の歌舞伎座の閉場までを追ったドキュメンタリー『わが心の歌舞伎座』を上映 。さらに2023年11月に生誕150年を迎える文豪・泉鏡花の世界を玉三郎が描く4作品『天守物語』『海神別荘』『高野聖』『日本橋』を一挙上映。その他、勘三郎、玉三郎、仁左衛門ら豪華共演の『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』、世界で絶賛された玉三郎の代表作『鷺娘/日高川入相花王(さぎむすめ/ひだかがわいりあいざくら)』、三島由紀夫作の恋物語『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』他 、 バラエティに富んだラインナップで、2023年4月から2024年2月まで計13作が上映される。『籠釣瓶花街酔醒』(c)松竹月イチ歌舞伎2023のチラシ・ポスターの掲出と、特別鑑賞券「ムビチケカード」3枚券の販売は、上映映画館他にて1月6日(金)より開始。歌舞伎座、新橋演舞場、南座、大阪松竹座では、各1月公演初日より掲出・ 販売される。なお、着物の通販サイト「いち利モール」とコラボし、毎月の上映作品に合わせた着物コーディネートを募るコンテス トの開催や、歌舞伎座名物「めでたいやき」が当たるキャンペーンも実施。応募方法等の詳細は、後日シネマ歌舞伎公式HPにて発表される予定なので、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。《月イチ歌舞伎》2023上映ラインナップ『わが心の歌舞伎座』(C)岡本隆史■4月7日(金)~13日(木)『 わが心の歌舞伎座 』出演:十二世市川團十郎、尾上菊五郎、片岡仁左衛門、坂田藤十郎、中村勘三郎、中村吉右衛門、七世中村芝翫、中村富十郎、中村梅玉、坂東玉三郎、松本白鸚 ほか歌舞伎俳優総出演■5月5日(金・祝)~11日(木)『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』出演:中村勘三郎、坂東玉三郎、片岡仁左衛門 ほか■6月9日(金)~15日(木)『鷺娘/日高川入相花王(さぎむすめ/ひだかがわいりあいざくら)』出演:「鷺娘」坂東玉三郎/「日高川入相花王」坂東玉三郎、尾上菊之助 ほか■7月28日(金)~8月3日(木)『鰯賣戀曳網(いわしうりこいのひきあみ)』作:三島由紀夫出演:中村勘三郎、坂東玉三郎 ほか■8月18日(金)~24日(木)『スーパー歌舞伎 ヤマトタケル 』作:梅原猛脚本・ 演出:市川猿翁出演:市川猿之助、市川中車 ほか■9月29日(金)~10月5日(木)『野田版 桜の森の満開の下』作・演出:野田秀樹出演:中村勘九郎、松本幸四郎 、中村七之助 ほか■10月20日(金)~11月2日(木)泉鏡花生誕150年記念『海神別荘(かいじんべっそう)』作:泉鏡花出演:坂東玉三郎、市川團十郎 ほか『高野聖(こうやひじり)』作:泉鏡花出演:坂東玉三郎、中村獅童、中村歌六■11月3日(金・祝)~16日(木)泉鏡花生誕150年記念『天守物語(てんしゅものがたり)』作:泉鏡花出演:坂東玉三郎、市川團十郎、中村勘九郎、 中村獅童、 片岡我當 ほかグランドシネマ『日本橋』作:泉鏡花出演: 坂東玉三郎、高橋惠子、松田悟志、永島敏行 ほか■12月1日(金)~7日(木)『法界坊(ほうかいぼう)』演出:串田和美出演:中村勘三郎、中村芝翫、中村勘九郎、中村七之助、坂東彌十郎、中村扇雀 ほか■2024年1月5日(金)~25日(木)新作『唐茄子屋 不思議国之若旦那(とうなすやふしぎのくにのわかだんな)』作・演出:宮藤官九郎出演: 中村勘九郎、中村獅童、中村七之助、荒川良々、片岡亀蔵、坂東彌十郎、中村扇雀 ほか■2024年2月9日(金)~15日(木)『歌舞伎 NEXT 阿弖流為〈アテルイ〉』作:中島かずき演出:いのうえひでのり(劇団☆新感線)出演:松本幸四郎、中村勘九郎、中村七之助 ほか【鑑賞料金】・各作品 一般 2,200円、学生・小児1,500円・特別鑑賞券「ムビチケカード」3枚セット 5,700円(上映映画館、メイジャーで1月6日(金)より発売。歌舞伎座、新橋演舞場、南座、大阪松竹座では各1月公演初日より販売)シネマ歌舞伎公式サイト:
2022年12月21日日本を代表する伝統芸能のひとつ、人形浄瑠璃(文楽)は太夫・三味線・人形が一体となった総合芸術。伝統を守りながら進化を続け、今もなお高い人気を誇っている。これまで何度も博多座で開催されている「博多座文楽公演」だが、今年は新作浄瑠璃『端模様夢路門松』が上演されることも話題だ。公演を前に、人形遣い(重要無形文化財保持者)の桐竹勘十郎に話を聞いた。「今回上演する新作浄瑠璃は、私が30代の頃に作った作品で『つめ人形』が主人公です。『つめ人形』とは、一人遣いの素朴な人形のこと。三人遣いの人形に交じって端役で芝居を盛り上げてくれる存在で、若い人が足遣いで修行しながら端役のつめ人形を遣います。私も若い頃によく遣いました。なので、非常に愛着がある存在なんです」ある時、端役の人形たちだけで、お芝居ができないかと若い頃にふと思いたったのがきっかけ。自分で脚本を書き、鶴澤清介氏の作曲で作品が誕生した。「普段あまり目立たないつめ人形の一人が、『つめ人形はいやや、三人遣いの人形になってみたい』と夢を見る物語です。随分長いこと上演されてなかったのですが、最近また復活することができて嬉しいですね。ぜひ博多座でもご覧いただきたいと思います」もうひとつの演目は『曲輪文章 吉田屋の段』(※文章は「文」+「章」の1文字)となる。「近松門左衛門の『夕霧阿波鳴渡』を原作に改作したものです。夕霧という大坂の有名な花魁と、大店の若旦那で二枚目ですが紙衣(紙で作った着物)を着ないといけないくらい落ちぶれている伊左衛門の二人の物語。この夕霧と伊左衛門のくどきがみどころです。全盛の花魁と、紙衣で落ちぶれている伊左衛門の対比がおもしろいですね。今回は私が夕霧をやらせていただいて、吉田玉男さんが伊左衛門を遣いますが、どちらも難しい役です」。実際に文楽を観ると、とても人形とは思えないリアルな動きに驚く。立役と女形の違いはもちろん、表情までもが全く変わって見えてきて、命が吹き込まれていると実感する。聞けば立役と女形は人形の持ち方が全然違うため、使う筋肉も変わってくるとか。「立役ばかりやっていると構えが固まってしまって、女形の構えができなくなるんです。まんべんなくやらないと体が固まってしまうというのはありますね。でもお客様の反応で全ては報われます。博多座のお客様は本当に熱くて、以前『三番叟』をやらせていただいた時に手拍子が起こったことがありました。本当に客席から熱を感じるという印象です。今回も楽しみに伺います」公演は12月22日(木)・23日(金)福岡・博多座にて。チケットは発売中。
2022年12月14日2001年の発売以来、世界累計出荷・DL販売本数は2,110万本以上(2022年3月末時点)と、多くのファンを持つ『ファイナルファンタジーⅩ』。自身も大ファンという尾上菊之助が企画を立ち上げ、演出と主演も担う『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』の制作発表会見が11月29日、都内で行われた。会見には菊之助のほか中村獅童や尾上松也、坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗ら、出演する人気歌舞伎俳優たちも登壇。同ゲームのプロデューサー、北瀬佳範氏(スクウェア・エニックス)と共に本作への意気込みを語った。上演されるIHIステージアラウンド東京では、初の歌舞伎上演。客席を囲む360度のステージにはスクウェア・エニックスが特別に製作したCGビジュアルが8メートルの巨大スクリーンに映し出され、世界観にどっぷりと浸れる仕掛けだ。会見冒頭では、菊之助が「登場人物たちが葛藤を乗り越えて成長し、強大な敵に立ち向かう姿が、このコロナ禍と戦争の世界に強いメッセージを届けられると感じました。私自身が『ファイナルファンタジーⅩ』に救われたように、今の日本、そしてエンターテインメントの世界に“元気”を届けられれば」と熱く語った。今回は「前編」を昼の部、「後編」を夜の部として、1日9時間をかけて物語の最後まで上演。少年ティーダ(菊之助)が少女ユウナ(米吉)に出会い、グアド族の族長シーモア(松也)に追い詰められながらも、意外な結末を迎えるまでを描く。ティーダの父の盟友アーロンを演じる獅童は、「菊之助さんから熱いオファーをいただけたのが嬉しかった。お互いに意見を出しながら作っています」と感慨深げ。松也も「衣裳を着けての撮影ではアイデアを出し合ったりと、高揚感が高まりました」と興奮を隠し切れない様子だ。さらに、ユウナを守るキマリ役の彦三郎は「衣裳を着けた写真を松也さんに送ったら『誰?』と言われて。ハマってるんだなと自信を持ちました」と笑わせ、魔道士ルール―役の梅枝も「ゲームはもう5周はやっています」と熱い想いを示しつつ、「原作に敬意をもって演じたい」と意気込んだ。ユウナ役の米吉は「ユウナというヒロインが魅力的であればあるほど物語が面白く、切なくなると思うので少しでも原作に近づきたい」と真剣に語りつつ、「衣裳姿を見た彦三郎さんに『胸が小さい』と言われたので、まずはビジュアルから工夫を…」と明かし、取材陣から笑いが。ユウナをガードする青年ワッカ役の橋之助は「ワッカらしくのびのびと楽しく演じたい」、アルベ族の少女リュック役の吉太朗も「重要な役なので大切につとめたいです」と笑顔を見せた。今回、菊之助から直接オファーをもらったという北瀬氏は「ストーリーやキャラクターを理解してくださった上で『こう表現したい』と話されていると感じました」と話し、絶大な信頼を寄せている様子。ゲームの歌舞伎化という史上初の挑戦。その行方を期待と共に見届けたい。取材・文/藤野さくら
2022年12月13日独立行政法人日本芸術文化振興会主催、「初代国立劇場さよなら公演」令和5年初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』が2023年1月3日 (火) ~2023年1月27日 (金)に国立劇場 大劇場(東京都千代田区隼町4-1)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて発売中です。カンフェティにて12月5日(月)19:00よりチケット発売開始 公式ホームページ 未来へつなぐ国立劇場プロジェクト「初代国立劇場さよなら公演」竹柴其水=作尾上菊五郎=監修国立劇場文芸研究会=補綴令和5年初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』(とおやまざくらてんぽうにっき)国立劇場美術係=美術<序幕>第一場 河原崎座楽屋の場第二場 隅田川三囲堤の場<二幕目>成田山内護摩木山の場<三幕目>第一場 花川戸須之崎政五郎内の場第二場 山の宿尾花屋の場第三場 大川橋六地蔵河岸の場<四幕目>第一場 新潟行形亭座敷の場第二場 同庭先の場<五幕目>北町奉行所白洲の場<大詰>河原崎座初芝居の場遠山金四郎尾上菊五郎生田角太夫尾上松緑尾花屋小三郎 後ニ 祐天小僧小吉尾上菊之助角太夫女房おもと中村時蔵ほか主催=独立行政法人日本芸術文化振興会「日本博」参画プロジェクト公演概要「初代国立劇場さよなら公演」令和5年初春歌舞伎公演『通し狂言 遠山桜天保日記-歌舞伎の恩人・遠山の金さん-』公演期間:2023年1月3日 (火) ~2023年1月27日 (金)会場:国立劇場 大劇場(東京都千代田区隼町4-1)■公演スケジュール※カンフェティ取扱対象公演1月04日(水) 12:001月05日(木) 12:001月09日(月・祝) 12:001月12日(木) 12:001月17日(火) 12:001月20日(金) 12:001月23日(月) 12:001月24日(火) 12:001月27日(金) 12:0012時開演 (午後4時終演予定)※開場時間は開演45分前の予定です。※この公演には休憩がございます。■チケット料金1等席12,000円 (学生 8,400円)2等席8,000円 (学生 5,600円)3等席3,500円 (学生 2,500円)(全席指定・税込)※3等席に限り、予約開始初日は、お一人様1ステージ2枚までの購入に限らせていただきます。※出演者などの変更の場合はご了承ください。<カンフェティ取扱チケット>先着限定!1等席:12,000円(税込)→10,800円(税込) 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年12月06日歌舞伎界の次代を担う若手が大役に挑む“登竜門”として愛され続けてきた「新春浅草歌舞伎」が3年ぶりに開催されることになり、記者会見が行われた。尾上松也、中村歌昇、坂東巳之助、坂東新悟、中村種之助、中村隼人、中村橋之助、中村莟玉の8名が出席し、それぞれに意気込みや思いを語った。コロナ禍でここ2年、開催が見送られていたが、来年は1月2日より浅草公会堂にて3年ぶりに再始動。「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 引窓」で幕を開け、巳之助、新悟の「男女道成寺(めおとどうじょうじ)」、第2部では「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」、松也(親獅子)と莟玉(仔獅子)による「連獅子(れんじし)」が上演される。松也は3年ぶりの開催について「(コロナ禍を受けて)『浅草での公演を見送りたい』というお話があった時はショックでした。僕が筆頭となって任せていただくようになって、最初にみんなで話し合ったのが『僕らにこうやってつないできていただいた先輩方のためにも、僕らの代で「新春浅草歌舞伎」がなくなってしまうことがないように、後輩にバトンを渡せるようにやっていこう』ということでした。尾上松也(中央)(2度の開催見送りで)このままなくなっちゃうんじゃないかという不安が頭をよぎったこともありました」と心情を吐露し「ようやく今回、できるのが嬉しいですし、出来なかった2年間も歌舞伎座の序幕で“浅草”の冠を背負ってできたことが大きな経験になっています。この2年間に『意味があった』と感じながら、思いを舞台に乗せて務めていきたい」と意気込みを口にする。中村歌昇歌昇は7回目の「浅草歌舞伎」となるが「ずっと播磨屋のおじに教えをいただいてきました」と昨年亡くなった中村吉右衛門の存在に言及。特に吉右衛門との思い出深いエピソードとして2020年の「絵本太功記~尼ケ崎閑居」での思い出として「舞台稽古に来ていただいた時、化粧が全然よくなかったようで『筆を持ってこい』と言われ、客席で顔を直していただいたのを覚えています」と明かし「(教えは)財産です。お芝居に対しての取り組み、お役だけにあらず、役者としてどう生きていくべきか、たくさん教わりました。『よく見て、よく遊び、学びなさい』という教えを守りながら、播磨屋を汚さないように覚悟を持ってやっていきたい」と吉右衛門の逝去後、初めての浅草歌舞伎への強い思いを語った。中村橋之助橋之助は「引窓」で濡髪長五郎を演じるが「父(芝翫)も務めてきたお役で、父に『教えてほしい』と言ったら『ちゃんと教えてあげるからな』と喜んでいたので楽しみです」と笑顔を見せていた。「新春浅草歌舞伎」は2023年1月2日より24日まで、東京・浅草公会堂にて上演。取材・撮影・文:黒豆直樹<公演情報>『新春浅草歌舞伎』2023年1月2日(月・祝)~2023年1月24日(火)『新春浅草歌舞伎』チラシビジュアル(表)第1部午前11時~第2部午後3時~【休演】9日(月・祝)、19日(木)劇場:浅草公会堂
2022年12月02日年末の京都といえば南座の歌舞伎の祭典「吉例顔見世興行」。出演俳優の名前を大きく書いた看板が南座正面に飾られる“まねき上げ”は京の冬の風物詩だ。今年は三部制。歌舞伎の魅力を盛り込んだ演目が並ぶ中、第三部に近松門左衛門作『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』が「顔見世」に初登場する。主役の河内屋与兵衛を演じるのは片岡愛之助。「顔見世で、上方の役者で『油地獄』ができるのは本当に幸せ」と語る愛之助は、第二部『封印切』でも「大好きな役」の丹波屋八右衛門役と、関西人2役を演じる。50代となった愛之助が、今回の与兵衛役への意気込み、「顔見世」や上方歌舞伎への思いを語った。「當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」 チケット情報『女殺油地獄』は、油屋の大店・河内屋の放蕩息子・与兵衛が遊びの金で借金がかさみ、同業の美しい人妻・お吉(片岡考太郎)を惨殺するという物語だ。愛之助は2004年に与兵衛を初めて演じ、今回は10年を経て4回目。関西には13年ぶりの登場となる「いつかやりたい」と思っていた役。役作りは、これまで何度も与兵衛を演じた叔父の片岡仁左衛門に習った。仁左衛門から「等身大で、その年の若さで演じる与兵衛がいい」と言われ、50歳になった愛之助は「若さが大事というのは難しい役なんだと今回初めて感じました」と語る。本作は文楽から歌舞伎となった義太夫もの。今回は「もう一回初心に戻って調べたい」と文楽の音源を聞いているところだ。「文楽の語りとはセリフや息が違いますけど、根っこは一緒とよくわかりました」。見どころは、油まみれで転び回りながらの殺害シーン。「油で滑るのがわざとらしく見えないように」という仁左衛門の教えの中「最初はわあっとやりますが、だんだん目つきが変わってくるんです」。今年は『夏祭浪花鑑』、『日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき)』に本作と「ずっと殺し続けている。来年はいい人の役もしたいな(笑)」。今、歌舞伎俳優は東京勢が圧倒的に多く、上方歌舞伎の演目がかかることも少ない。「だから僕は上方歌舞伎がしたかったし、観ていただきたいんです」と愛之助。南座で初舞台を踏んだ時には夢にも思っていなかったという「顔見世」での主演演目。「上方の役者にとって非常に大切な「吉例顔見世興行」で、きっちりお役を勉強して勤めるのは非常に大事。これからも顔見世に出続けたいと思っています」。仁左衛門、そして昨年亡くした父の片岡秀太郎。「師匠たちの背中と生き様を追い続け、上方歌舞伎を大切に上方歌舞伎の一端を担っていきたいです」。「當る卯歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」は、12月4日(日)から25日(日)まで、京都・南座にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2022年11月24日今も不朽の名作と語り継がれているゲーム『ファイナルファンタジーX』(以下、『FFX』)。その世界に惹かれ、歌舞伎にしようと考えた男がいる。歌舞伎役者・尾上菊之助である。このゲームの大きな魅力である映像美を活かしながら、どう歌舞伎にしていくのか。新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』も成功させた役者は、自信を持ってこの挑戦に臨んでいる。きっかけはコロナ禍、攻略本を読んで気づいた歌舞伎との相性の良さ──『FFX』を新作歌舞伎にしようと思われた経緯から、まずお聞かせください。きっかけはコロナ禍でのステイホームでした。私の場合、2020年3月の国立劇場の公演が無観客での配信になり、そこから7月まで歌舞伎の公演がなくなってしまいました。先行きが見えず気持ちが落ち込んでいたときにステイホームでゲーム需要が高まっていることを知り、小学生の頃によくやっていたゲームをもう一度プレイしようと思いました。そして、ロールプレイングゲームで最も心に残っていた『FFX』をもう一度やり始め、攻略本を読んだときに思ったんですね。これはもしかしたら新作歌舞伎になるのではないかなと。──そう思われたポイントは?『FFX』はとにかく脚本が素晴らしいんです。まず、巨大な脅威「シン」を倒すべく、ヒロインのユウナ(中村米吉)と仲間たちが力を合わせて戦っていくという物語に、いつの時代にも通じる人間の普遍的なテーマがあります。さらに、ヒロインだけでなく、彼女を支える主な6人の人物も、葛藤を抱えて生きていることが細かく描かれている。それぞれのキャラクターがその葛藤をどう乗り越えて成長していくか。感情のターニングポイントがキャラクターごとにあるので、歌舞伎にしたときに各場に見どころができると思いました。なおかつ、ストーリー展開も、途中で逆転劇が起きるという衝撃がある。物語の中に多くの感情ドラマがあり、『FFX』を知らない方がご覧になっても感動できて、楽しんでいただけるのではないかと思いました。『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』オリジナルCGキービジュアル──新作歌舞伎にするにあたっては、連続テレビ小説『おちょやん』(NHK)、『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日)などヒットドラマを手がけておられる八津弘幸さんが脚本を担当されることになりましたが、そのもともと見事だったゲームのシナリオに、さらにどんな工夫がなされているのでしょうか。例えば、巨悪であるシーモア(尾上松也)というキャラクターが抱えている父親との葛藤も、ゲームでは回想シーンでしか描かれていませんが、今回はそこを八津さんが深く掘り下げてくださっているので、よくわかっていただけるのではないかと思います。──そして、菊之助さんと一緒に演出を担当されるのが、『ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー』(2016年)やB’zのドームツアーなどを手がけられた金谷かほりさんです。客席が360度回転するIHIステージアラウンド東京で上演にするにあたって、どんな演出にしようとされていますか。今は、美術の堀尾幸男先生が作ってくださった模型を前に、東西南北4つのステージを脚本のどの場面に使うのか、落とし込んでいく作業をしているところです。高さ8メートルのスクリーンに何を映すかということも、金谷さんが一場一場、絵コンテを描いてくださっていて。ゲームやイベントで使われた映像を投影しつつ、観ているお客様も、あたかも自分が『FFX』の世界に入っているかのような感覚になるのではないかと思っています。そこに、もちろん歌舞伎的な手法も取り入れていきます。──その映像などのゲームの世界と歌舞伎との融合は、どのようにやっていこうと考えておられますか。長編歌舞伎なので、これまで培ってきた歌舞伎の演技体が生きる脚本であり演出でありたいと思っています。舞踊や立廻り、歌舞伎独特の台詞回しなどを活かしながら、映像や4面ある舞台をどう効果的に使っていくかが見どころになります。その融合のバランスは場面によって少しずつ変わっていくことになると思うのですが、歌舞伎役者の身体を活かしつつゲームの世界観が堪能できる作品を作り上げたいと思っています。今の人の心に届く新作歌舞伎が未来の古典になる──ビジュアルは、ゲームのキャラクターに近いものになるのでしょうか。先日、メイクとカツラと衣装のフィッティングをしたんですけれども、かなりゲームのキャラクターを想起させる素晴らしいものが出来上がっております。ただ、ゲームそのままというわけではなく、歌舞伎テイストを加えておりまして。松竹衣裳の松本勇さんが歌舞伎で使っている和の素材を入れてより美しく見えるようにしてくださっています。歌舞伎は豪華な衣装も見どころのひとつなので、歌舞伎の古典の知恵とゲームのキャラクターの融合も楽しみのひとつとしてぜひ観ていただきたいなと思います。──新作歌舞伎では、菊之助さんは最近では、『風の谷のナウシカ』(2019年)を手がけられました。その経験も活きていますか。それはありますね。「ナウシカ」を作っていたときに、歌舞伎に寄せてしまうと「ナウシカ」の味が消えてしまい、でも「ナウシカ」に寄せてしまうと歌舞伎の良さが消えてしまうという試行錯誤があったので。バランスを探るにあたっては、「ナウシカ」の経験がとても力になっています。──その『ナウシカ』の他にもこれまでに、『NINAGAWA 十二夜』(2007年)、『マハーバーラタ戦記』(2017年)など、ご自身の企画・構想で新しい歌舞伎の舞台をつくってこられました。その原動力はどこにあるのでしょう。そもそも歌舞伎の古典も、それができた当時は、その時代を生きているお客様に届くものをと歌舞伎役者たちが考えて生まれた新作です。先人たちがしてきたように、今を生きている私たちも今の人に届く新作歌舞伎を作り、それが未来に残って古典になることが、先人へのご恩返しだと思っていますので。その思いが私の大きな原動力になっています。──古典として残っていく作品にするには、何が大切だと思われていますか。名作と言われているものには、やはり普遍的なテーマがあります。登場人物が様々に葛藤を抱えていて──今回も、シーモアがなぜ巨悪になってしまったのかというところを丁寧に描こうと思っているのですが──、そして、人が大事にしなければいけない心情がきちんと描かれている。「里見八犬伝」に“仁義礼智忠信孝悌”という12個の玉がありますが、その中でも私は、仁義礼信は特に普遍的なテーマであると思っています。──この『新作歌舞伎FFX』は、まさしくその要素を持っていると。そう思っています。心に刺さる名台詞が多いので、役者が演じるたびに深みを増していくと思います。何より、お互いに協力し合って困難に立ち向かっていき、どんな壁が立ちはだかってもあきらめずに前へ進んでいく主人公たちの姿勢は、コロナ禍の今にはなおさら響き、これから先も力となる、まさに普遍的なものだと思います。ユウナを演じる中村米吉にシーモア尾上松也ら魅力的なキャスティング──企画・演出のみならず、もちろん出演もされます。ヒロインのユウナを支えるティーダを演じられますが、演じ手としての意気込みも聞かせていただけますか。ティーダは、最初何も知らずにユウナを元気づけているのですが、この可憐な少女が自分が犠牲になる覚悟で戦いの旅に出ていることに途中で気づき、自分の力で世界を変えたいと思うその純粋な心に惹かれていきます。彼もまた、彼女の暮らす世界を変えたいと思うようになります。そんなふたりの人を思いやる素晴らしさを、深く丁寧に演じていきたいですね。──ユウナを演じられる米吉さんは、2019年の『風の谷のナウシカ』でご一緒されていて、その前半部分をもとに皇女クシャナに焦点を当てて今年7月に上演された「上の巻 ―白き魔女の戦記―」では、菊之助さんがクシャナを、米吉さんがナウシカを演じられました。どんな印象をお持ちですか。以前から古典でも素晴らしい役者さんだなと思っていたのですが、最初の『ナウシカ』でケチャ役に向き合われるクリエイティブで真摯な姿勢を拝見して、再演するときのナウシカは米吉さんしかいないと思いました。そして再演のときも新作に対する心構えが素晴らしく、同時進行でこの『FFX』の話も進んでいたので、ユウナは米吉さんにと心から思いお願いしました。他の皆さんも、金谷さんからキャスティングがみんなハマってますねと嬉しいお言葉をいただいたので、久しぶりにご一緒する(中村)獅童さんや、迫力あるシーモアになりそうな(尾上)松也さんなど、歌舞伎役者がゲームのキャラクターになり、演じるのを楽しみにしていただきたいですね。──ちなみに、お話を伺って、『FFX』を知らない人も楽しめる工夫をされていることがよくわかりましたが、何か予習をしてから劇場に行ったほうがいいでしょうか。歌舞伎の古典も、歌舞伎を初めてご覧になる方でも、物語のあらすじをある程度わかっていればお芝居を楽しんでいただけると思いますが、同じくこの『FFX』も、ざっくりとあらすじがわかったうえで観ていただけると、より楽しんでいただけるとは思っています。公式ホームページにあるあらすじを読んで来ていただけければ、必ず楽しめるしつらえになっておりますので。ぜひ劇場にお運びください。取材・文=大内弓子<公演情報>『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』2023年3月4日(土)~4月12日(水) 東京・IHIステージアラウンド東京※休演日:3月8日(水)、15日(水)、22日(水)、29日(水)、4月5日(水)開演時間:前編 12:00 / 後編 17:00(予定)『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』キービジュアル企画:尾上菊之助脚本:八津弘幸演出:金谷かほり尾上菊之助【出演】ティーダ役:尾上菊之助アーロン役:中村獅童シーモア役:尾上松也ルールー役:中村梅枝ルッツ役、23代目オオアカ屋役:中村萬太郎ユウナ役:中村米吉ワッカ役:中村橋之助リュック役:上村吉太朗ユウナレスカ役:中村芝のぶキマリ役:坂東彦三郎ブラスカ役:中村錦之助ジェクト役:坂東彌十郎シド役:中村歌六公式HP:
2022年11月09日歌舞伎の公式有料動画配信サービス「歌舞伎オンデマンド」の海外に向けての配信が、11月1日よりスタートした。本サービスは、歌舞伎や日本文化に興味関心があるものの新型コロナウイルス感染症拡大により来日が叶わない海外在住の方々に向けたもので、将来における歌舞伎の普及を世界へ広げていくことを目的としている。サービス開始時の配信地域は、オーストラリア/カナダ/フランス/ドイツ/イタリア/スペイン/台湾/イギリス/アメリカの世界9カ国。なお専用ページは松竹運営の英語による歌舞伎の情報サイト「KABUKI official website」に設置されている。配信ラインナップは、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の100周年記念のガラコンサートなど、数々の海外公演でも大喝采を浴びた、坂東玉三郎の代表作を撮影したシネマ歌舞伎『鷺娘』(2005年5月 歌舞伎座上演)、歌舞伎の様式美に溢れ、荒事の演技が堪能できる『菅原伝授手習鑑 車引』(2010年1月 歌舞伎座上演)、河竹黙阿弥の七五調の名ぜりふが心地よい世話物の人気作『弁天娘女男白浪』(2010年3月 歌舞伎座上演)の3作品。各演目は英語字幕または英語副音声つきで楽しむことができる。<配信情報>「歌舞伎オンデマンド」海外配信ラインナップ①シネマ歌舞伎『鷺娘』2005年5月 歌舞伎座価格:1,091円 ※英語字幕あり出演:坂東玉三郎②『菅原伝授手習鑑 車引』2010年1月 歌舞伎座価格:800円 ※英語副音声あり出演:七世中村芝翫、二世中村吉右衛門、松本幸四郎(現・松本白鸚)、五世中村富十郎③『弁天娘女男白浪』2010年3月 歌舞伎座価格:1,000円 ※英語副音声あり出演:尾上菊五郎、二世中村吉右衛門、市川左團次、中村梅玉、松本幸四郎(現・松本白鸚)※配信演目は順次追加予定※販売価格に対して各クレジットカード会社にてマークアップフィーが4.7%追加で発生いたします。配信期間:11月1日(火) 12:00~2023年10月31日(火)(JST)※『鷺娘』のみ配信終了日未定視聴期間:ご購入後7日間視聴可能 ※期間中は何度でも視聴可能配信地域:オーストラリア/カナダ/フランス/ドイツ/イタリア/スペイン/台湾/イギリス/アメリカ※上記の9カ国以外(日本含む)からはご購入・ご視聴いただけません。※ご購入の際には、本ページの各コンテンツのリンクから動画視聴サイト(「MIRAIL(ミレール)」)へ移動後、会員登録(メールアドレスの登録等) / ログインが必要です。※PCのみ視聴・購入可能。ご視聴環境・決済方法をお確かめの上、ご購入ください。※決済には3Dセキュアに対応した海外発行(日本国外)のクレジットカードが必要となります。詳細はこちら:
2022年11月03日令和4年11月歌舞伎公演『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』が、11月2日から25日にかけて東京・国立劇場 大劇場で上演されることが決定した。多彩な伝統芸能の上演により、芸能の振興と技芸の伝承に取り組んできた国立劇場。令和4(2022)年9月から令和5(2023)年10月まで、「初代国立劇場さよなら公演」と題して、開場以来の集大成となる、未来へつなぐ記念公演が上演される。記念公演の第二弾となる今回は、 “歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵”と銘打ち、国立劇場ならではのジャンルを超えた特別企画をお届け。中村芝翫が約30年ぶりに早野勘平(はやのかんぺい)を演じる、義太夫狂言三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵』の五段目「山崎街道鉄砲渡しの場」「山崎街道二つ玉の場」と六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」、また落語家・春風亭小朝による「忠臣蔵」にちなむ落語二席「殿中でござる」「中村仲蔵」を楽しむことができる。さらに、11月10日・18日・24日の18時30分からは、夜公演として『コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆』が行われる。こちらは『仮名手本忠臣蔵』の五段目「山崎街道二つ玉の場」と六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」、落語パートは「中村仲蔵」が披露される。<公演情報>令和4年11月歌舞伎公演『歌舞伎&落語 コラボ忠臣蔵』11月2日(水)~25日(金) 東京・国立劇場 大劇場※11月7日(月)・16日(水)・23日(水・祝) は休演※11月17日(木) は貸切【演目】■落語一、『殿中でござる』ー太神楽ー二、『中村仲蔵』■歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』二幕三場五段目「山崎街道鉄砲渡しの場」「山崎街道二つ玉の場」六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」夜公演:コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆■落語『中村仲蔵』■歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』二幕五段目「山崎街道二つ玉の場」六段目「与市兵衛内勘平腹切の場」【出演】落語:春風亭小朝歌舞伎:中村芝翫、中村松江、中村歌昇、中村梅花、市川笑也、市村萬次郎、中村歌六 ほか【料金】(各部・税込)1等席:10,000円(学生7,000円)2等席:8,000円(学生5,600円)3等席:3,500円(学生2,500円)※障害者の方は2割引です(他の割引との併用不可)■コラボ忠臣蔵☆エッセンス☆1等席:9,000円(学生6,300円)2等席:7,000円(学生4,900円)3等席:3,000円(学生2,100円)詳細はこちら:
2022年10月20日今月の芸術祭十月大歌舞伎の第二部は『祇園恋づくし』で幕を開ける。幕開きは京都の茶道具屋大津屋の店先。朝顔に蚊遣りが置かれ、祇園祭の時期の蒸し暑さが漂ってくる。祭り見物のために江戸から逗留している指物師の留五郎は、ここ大津屋の主人次郎八ゆかりの人の息子。ねっちりした物言いの大津屋の人々と、留五郎のべらんめえな物言いの対比が面白くて、上方の和事と江戸の世話物を交互に観ているようだ。そして次郎八の妻おつぎは、夫が浮気しているのではと疑っており、客人の留五郎に詮議を頼むのだが・・・。コンコンチキチと祇園囃子が聴こえる中、鴨川の床で、次郎八と留五郎の京と江戸のお国自慢が繰り広げられる場面が楽しい。神田の祭、上野の桜、両国の花火、江戸紫の助六、と留五郎が江戸自慢すると、次郎八も京や奈良、近江八景の名所旧跡を並べたて、次第にエスカレートしていく。また、おつぎや染香はもちろん、お筆、おげん、おその、大津屋の女中たちに至るまで、この狂言に登場する京女たちの誰もが、それぞれイケずなのも面白い。次郎八とおつぎの二役を中村鴈治郎が、留五郎と染香の二役を松本幸四郎が勤める。鴈治郎のおつぎは扇子で仰ぐ姿が色っぽく、「似たもの夫婦」という台詞に「そりゃそうだ!」とばかりに客席が沸く。また幸四郎は、肌色の顔の留五郎から手足まで白く塗った芸者に、なんと劇中二度も替わる。いったいどんなスピードで化粧を落とし、また塗り替え着替えているのだろう。染香が出るたび、いわゆる早替りの時とはまた違う驚きの声が客席に広がった。落語の『祇園会』を題材に作られた一幕だが、この演出は歌舞伎ならでは。二幕目は松羽目物の『釣女』。ユーモラスな舞踊劇だ。西宮の戎神社に「妻を娶りたい」という願掛けにやってきた大名と太郎冠者。さっそくご利益があり、大名は釣り竿で美しい上臈を吊り上げる。太郎冠者も後に続こうとするがそううまくはいかず・・・。太郎冠者に尾上松緑、太郎冠者が釣り上げた醜女に幸四郎。歌舞伎にはいわゆる三枚目系の女の役がよく出てくる。この『釣女』の醜女、『伊勢音頭恋寝刃』のお鹿、『紅葉狩』の腰元岩橋、三枚目ではないが『身替座禅』の玉の井などなど。いったん惚れたら一筋、どこかピュアな役どころばかりだ。これらの役では紅白三段の前挿しを頭にすることが多いのだが、そんな性根のためか、この愛らしい挿し物が本当によく似合う。『祇園恋づくし』と『釣女』、マスク着用とはいえ、思いきり笑って発散できる狂言立てとなった。10月27日(木)まで。
2022年10月14日大阪市と文楽協会が主催し、文楽の新たなファン獲得のため中之島中央公会堂で開催している『中之島文楽』。一昨年は公演中止、昨年は人数制限で上演、3年ぶりに元の規模で開催する8回目の今回、文楽初心者に向けての取り組みを練り直した。ひとつの公演で、文楽で代表的なふたつの「道行(みちゆき)」を同じ演者がやるという、本公演では観られない特別プログラムだ。三角関係の恋のバトルを展開する『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の「道行恋の苧環(みちゆきこいのおだまき)」と、切ない愛の逃避行を描く『曽根崎心中』の「天神森(てんじんのもり)の段」。この「道行」2本同時上演の2日間に挑む技芸員たち、太夫・竹本織太夫、三味線・鶴澤燕三(えんざ)、人形遣い・吉田玉男と吉田一輔(いちすけ)が記者会見を行い、「道行」の魅力や企画公演への意気込みを語った。中之島文楽 チケット情報大河ドラマのような“時代物”の芝居で、全編で10時間超という長編大作の『妹背山』。その中で「道行」は約30分だ。また、トレンディドラマ風な“世話物”の代表格『曽根崎』は2時間半の芝居で、「道行」は25分。前後の物語を知らない観客のために、公演の冒頭に映像を用いて人物相関図や物語を解説、パンフレットにも掲載する。また、公演中は舞台上部に字幕スーパーも設置。4人が初心者に向けて「道行」を語った。「旋律の美しさ、三味線の手数のきれいさ、よどみのない太夫の美声を聴いていただけたら」(燕三)、「人形は、わかりやすいように少し大きめの振りでやろうかなと」(玉男※出演は『曽根崎心中』のみ)。「きれいだし、『妹背山』は人形3体で踊るので華やかです」(一輔)、「“時代物”の三大道行のひとつ『妹背山』の「道行」と、“世話物”のザ・道行を1800円で2度おいしいです(笑)」(織太夫)。2演目の間にはトークコーナーがあり、ゲストの作家・大島真寿美が技芸員と「道行」の魅力を語る。初日は話慣れている織太夫と燕三、2日目は「しゃべらなくていいから人形遣いになった」と言う一輔が「玉男兄さんも私も話すことが得意でないふたりでトークします(笑)」。当日ロビーには、開演の少し前までToday’s Cast的に人形を展示、記念撮影できる。また、今回からSNSで広報を開始、技芸員のコメント動画を毎日発信中だ。ポップなしおりはSNSで問い合わせが多く、来場者全員にプレゼントされることになった。「この公演をきっかけに文楽に興味を持ってもらい、ひとりでも多くの人たちが国立文楽劇場に来ていただければうれしい」と全員が願い、「全力を尽くす」と声をそろえた。公演は10月14日(金)・15日(土)、大阪市中央公会堂大集会室にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2022年10月11日『芸術祭十月大歌舞伎』が10月4日に東京・歌舞伎座で開幕。その初日レポートが到着した。芸術祭と冠しての3年ぶりの開催となる10月公演。中村梅玉らが出演し、芸術の秋に相応しい多彩な演目が届けられた。第一部は、能「紅葉狩」をもとに萩原雪夫が創作した歌舞伎舞踊『鬼揃紅葉狩(おにぞろいもみじがり)』。平成6(1994)年12月に三代目市川猿之助(現・猿翁)が新たな工夫を加え上演し、「三代猿之助四十八撰」の一つに数えられる作品だ。幕が開くと、舞台は紅葉が美しい秋真っ盛りの信濃国戸隠山。従者を連れて紅葉狩にやってきた平維茂(松本幸四郎)が、美しい姫君更科の前(市川猿之助)に出会い、維茂たちは誘われるままに盃を重ねていく。更科の前が艶やかな舞を披露すると維茂とともに観客もうっとりと心を奪われる。やがて維茂がまどろんでしまうと、様子をうかがっていた姫たちは鬼女に豹変し…。舞台に神女八百媛(中村雀右衛門)が登場するとスッと空気が引き締まりどこか神聖な雰囲気が漂った。第一部『鬼揃紅葉狩』左より、更科の前実は戸隠山の鬼女=市川猿之助、平維茂=松本幸四郎後半は維茂たちと鬼女とのダイナミックな立廻りが展開。更科の前に付き従う侍女たちも全員が鬼女となり後半の激しい戦いに参加するこの演出は本作ならでは。大量の紅葉の葉が舞い散る中、猿之助演じる迫力満点の鬼女と、幸四郎演じる凛々しい維茂との立廻りに目が釘付けとなった。能の高雅さと歌舞伎舞踊の華麗さを融合した、澤瀉屋の家の芸に相応しい変化に富み勢い溢れる一幕に劇場は大いに盛り上がった。第一部『鬼揃紅葉狩』左より、鬼女=尾上左近、中村鷹之資、従者碓氷三郎=市川青虎、従者小諸次郎=市川猿弥、鬼女=中村種之助、更科の前実は戸隠山の鬼女=市川猿之助、鬼女=市川門之助、平維茂=松本幸四郎、鬼女=市川男寅、中村玉太郎続いては、『荒川十太夫(あらかわじゅうだゆう)』。「赤穂義士外伝」の一つで、講談師で人間国宝の神田松鯉が得意とする講談の名作を新作歌舞伎として上演。松鯉や神田伯山とも親交のある尾上松緑が荒川十太夫を勤める。舞台は十太夫が介錯をつとめた、赤穂義士堀部安兵衛(市川猿之助)の切腹の回想場面から始まり、物語の展開に深くかかわる印象的な場面から一転、舞台は赤穂浪士の七回忌の墓参に多くの人が行きかう泉岳寺に。十太夫は下級武士に似合わしくない身形で登場し、偶然居合わせた松平家目付役の杉田五左衛門に咎められ…。松平隠岐守邸奥庭の場面では、松緑演じる十太夫の苦悩を滲ませつつも武士としての覚悟を感じる姿、絞り出すような熱のこもったセリフ一言一言が人々の心を揺さぶる。そして舞台上の緊迫感が劇場空間を埋めると、観客は固唾をのんで十太夫の物語を見守った。第一部『荒川十太夫』左より、荒川十太夫=尾上松緑、泉岳寺和尚長恩=市川猿弥講談の『荒川十太夫』について「初めて聴いたとき、目の裏に映像がぼんやり浮かんできて、聴き終わる前にこの作品を歌舞伎にしたいと思った」と取材会で語るほど本作への熱い思いを秘めた松緑。「それぞれの登場人物が意味をもち、全員の心のうねりで一つの物語をつくれるようにしたい」という言葉の通り、講談では一人の人間が演じていた様々な役をそれぞれの俳優が演じることで想いが重なり合い、物語が新たな形をもって立体的に舞台上に立ち上がった。新作ではありつつ、まるで古典作品のような味わいを感じさせる充実の舞台に大きな拍手が送られた。客席に笑顔があふれた第二部第二部は、『祇園恋づくし(ぎおんこいづくし)』で幕を開けた。日本の三大祭の一つ「祇園祭」を背景にした本作。今年7月に大阪松竹座で中村鴈治郎の大津屋次郎八/大津屋女房おつぎ、松本幸四郎の指物師留五郎/芸妓染香の配役で一人二役の早替りにて上演された本作が、早くも同じ配役で歌舞伎座に登場する。第二部『祇園恋づくし』左より、大津屋女房おつぎ=中村鴈治郎、指物師留五郎=松本幸四郎幕が開くと舞台は京都の茶道具屋。主人の次郎八(鴈治郎)から祭見物に誘われ逗留している江戸の指物師留五郎(幸四郎)は持ち前の江戸っ子気質に加え、言葉も違う京都は居心地が悪いと江戸に帰ろうとしてしまう。次郎八が出かけたかと思うと、女房おつぎの姿に早替りした鴈治郎がすぐに登場し場内には拍手が巻き起こった。続く岩本楼のお座敷の場面では、男前な留五郎から一変、芸妓染香の姿で登場した幸四郎に拍手が。染香にぞっこんの次郎八が情熱的に口説く様子と、何とかその場を乗り切ろうと逃げ回る染香の様子が客席の笑いを誘う。最大の見どころでもある次郎八と留五郎のお国自慢の場面では、風情ある京都の川床を舞台に流れるようなセリフの応酬が次々と繰り出された。第二部『祇園恋づくし』左より、指物師留五郎=松本幸四郎、大津屋次郎八=中村鴈治郎鴈治郎が取材会で「京都の祇園祭の風情などが東京の方々にも伝われば」と語った通り、京の香り漂う芝居を披露し、「その芸術的な笑いに感激した」と語った幸四郎は「“言葉”で皆様の気持ちを(京都と江戸で)あちこち揺さぶることを目標に」という言葉の通り、巧みに人々の心をつかんだ。舞台全編を通してどこからともなく聞こえてくる祇園祭の音色も心地よく、明るく賑やかな空気の中、穏やかな笑いに包まれた一幕となった。続いては、松羽目物の舞踊『釣女(つりおんな)』。ユーモラスな内容の中に松羽目物らしい味わいが求められる演目だ。常磐津のゆったりと重厚な音が心地よく響く中、舞台に登場したのは太郎冠者(尾上松緑)と大名某(中村歌昇)。二人は妻を持とうと縁結びの神と名高い西宮の戎神社に参拝する。大名は釣竿をさげると、早速世にも美しい上臈(市川笑也)を吊り上げる。これを見た太郎冠者は、自分も美しい妻を娶りたいと釣竿をさげるが…。第二部『釣女』左より、醜女=松本幸四郎、太郎冠者=尾上松緑太郎冠者と大名二人の可笑しみ溢れるやりとりに客席からは絶えず笑いがこぼれ、太郎冠者の釣り上げた醜女(松本幸四郎)はそのこしらえが笑いを誘うが、愛嬌のある純真な心をもった様子が愛おしく、どこか品格も感じられた。松緑演じる太郎冠者が醜女から逃げ回る様子は面白み満載の場面。終始客席に笑顔があふれる第二部となった。第二部『釣女』左より、醜女=松本幸四郎、太郎冠者=尾上松緑、大名某=中村歌昇、上臈=市川笑也中村梅玉が27年ぶりに光源氏を勤める『源氏物語 夕顔の巻』第三部は、『源氏物語 夕顔の巻(げんじものがたり ゆうがおのまき)』で幕を開けた。紫式部が著した「源氏物語」は日本最古のラブストーリーとも言われ、小説や漫画、映像化など現在でも人気を誇る。今回上演するのは平成7(1995)年9月に初演された光源氏、夕顔、そして六條御息所、三人の思いが交錯し展開する舞踊劇「夕顔の巻」。正妻の葵上と馴染めず、心の安らぎを他の女性に求める日々を送る光源氏は六條に住む御息所のもとへ通っていたある日、夕顔が咲く家にひっそりと住む女に心惹かれていく。舞台は仲秋の名月の夜。光源氏(中村梅玉)は惟光(片岡市蔵)を供に連れ、意中の夕顔の屋敷にやってくる。ただそこに存在するだけで気品あふれる源氏の姿に、客席からはため息が。月の光に幻想的に照らされる中、出迎えた夕顔(片岡孝太郎)が光源氏から与えられた装束を身にまとい舞を披露すると観客はさらに物語の世界へいざなわれる。二人が連舞を舞う中、舞台は清涼殿に。怪しげな気配と共に六條御息所(中村魁春)が現れ、嫉妬の念に支配されながらも品格を損なわない六條御息所の洗練された姿が強烈な印象を残した。やがて六條御息所は姿を消すが…。第三部『源氏物語』左より、夕顔=片岡孝太郎、光源氏=中村梅玉、六條御息所=中村魁春27年ぶりに二度目となる光源氏を勤める梅玉は「今また貴公子を演じられることに喜びを感じる」と久々の光源氏役への思いを明かした。「生霊が出て来る話を舞踊劇で華やかに見せるのが、歌舞伎の良さ。風情を楽しんでほしい」と語る通り、華やかさと気品を損なわずに展開される幻想的な一幕に拍手が送られた。続いては、世話物の傑作『盲長屋梅加賀鳶』。河竹黙阿弥が五代目尾上菊五郎のために書き下ろした作品で、今回は悪事を重ねる按摩の道玄を軸とした物語。中村芝翫が初役で竹垣道玄を勤める。按摩の道玄は人殺しもいとわない悪党で、平然と人を手にかけ立ち去るが、途中で煙草入れを落としてしまう。それを拾ったのが加賀鳶の頭・松蔵(中村梅玉)。様式美で魅せるこの場面が後の物語に大きく影響していく。第三部『盲長屋梅加賀鳶』左より、女按摩お兼=中村雀右衛門、竹垣道玄=中村芝翫場面は盲長屋へと移り、舞台にはどこか薄暗いじっとりとした空気が流れる。按摩たちの可笑しみあるやり取りや、道玄のふてぶてしさが際立つ。しばらくして、姪のお朝の奉公先への強請を思いついた道玄は、言いがかりをつけて金を出させようとするが…。第三部『盲長屋梅加賀鳶』左より、女按摩お兼=中村雀右衛門、竹垣道玄=中村芝翫、伊勢屋与兵衛=市川左團次、日蔭町松蔵=中村梅玉「長屋でどうにかその日を生きる江戸の人々の世界に、現代のお客様をお誘いしたい」と意欲を見せる芝翫は、ずっと憧れていた作品だと話す本作で悪の魅力を存分に発揮し、人々を惹きつける。道玄が次第に図太い本性を現していく様子や、心地よいせりふ、闇のなかで探り合うユーモラスなだんまりなど、目にも耳にも楽しく、江戸の市井に生きる人々の息吹を感じる舞台に、芸術の秋を堪能できる『芸術祭十月大歌舞伎』の初日となった。『芸術祭十月大歌舞伎』は10月27日まで上演中。『芸術祭十月大歌舞伎』の詳細はこちら:チケット購入リンク:写真提供:松竹(株)※無断転載禁止
2022年10月05日歌舞伎のステージだけでなく、高い演技力や存在感で映画やドラマでも活躍する歌舞伎界のスターたち。しかし、女性問題などのスキャンダルで注目を集めることも少なくない。そんな彼らへの世間の印象はどのようなものなのか。本誌はクロス・マーケティングのQiQUMOなどを使い、282人にアンケート調査を実施。好きな歌舞伎役者、嫌いな歌舞伎役者をランキング化した。果たして好きな歌舞伎役者ランキングで1位の栄冠に輝いたのは一体――。まず、第5位は六代目 片岡愛之助(50)。“ラブリン”の愛称で親しまれる愛之助。NHK大河『真田丸』での冷静沈着な大谷吉継から、ドラマ『半沢直樹』(TBS系)ではオネエ口調で強烈な印象を残した黒崎駿一を演じるなど幅広い演技力を評価する声が。「ドラマなどでもインパクトのある役柄を見事に演じている姿がいい」「よくテレビで拝見するので」「歌舞伎役者としてというよりテレビで見るイメージになってしまうのですが親しみやすさが好きです」また、「紀香さんが幸せそう」「奥様の藤原紀香さんともども、好感が持てる」のように16年に結婚した藤原紀香(51)との夫婦関係に好感を抱く人もいた。第4位は十一代目 市川海老蔵(44)。コロナ禍で約2年の延期という憂き目にあったものの、ついに今年11月から市川團十郎の襲名披露興行を行うことに。歌舞伎界屈指の大名跡を継ぐ者として、注目を集め続けてきた海老蔵だけに、「男前。ガタイも大きいし、見栄えがよい」「新しい事にもどんどん挑戦していく姿勢が憧れます」と評価する声が。また、妻の小林麻央さんをがんで喪って以後、役者業に邁進するかたわら長女・麗香ちゃん(11)と長男・勸玄くん(9)の子育てに奮闘する姿に感動する声も少なくなかった。「過去は色々ありましたが、麻央さんと結婚されて勸玄くんや麗香ちゃんの子育てをしっかりしていらっしゃるのをSNSで日々拝見し、見方が変わりました」「ゴシップもあるが2人の子どもへの接し方や歌舞伎への姿勢や努力を知って応援しているから」「子育てをしながら歌舞伎の普及に尽力している」第3位は十代目 松本幸四郎(49)。松本白鸚(80)を父に持ち、立役から女方までこなすことから「品がある」「演技力、表現力にたけている」と歌舞伎役者としての能力を絶賛する声が相次いだ。また、劇団☆新感線の舞台やドラマ『プライド』(フジテレビ系)といった話題作にも数多く出演したことや、歌舞伎界への取り組みを評価する人も。「声が素敵で、ドラマなどでの演技も大好きだから」「人として信頼できる」「信頼できるその人柄。 コロナ禍で歌舞伎界をはじめ世の中が真っ暗であった時に、真っ先に立ち上がり、『歌舞伎家話』『図夢歌舞伎』のオンライン配信を立ち上げ(2020年5月確か)、また7月には工夫を凝らして歌舞伎座の興行再開に尽力するなど、歌舞伎界を鼓舞し牽引した、熱いハートと行動力」第2位に選ばれたのは、六代目 中村勘九郎(40)だ。早逝した中村勘三郎さん(享年57)の長男として幼少期から密着番組で成長を見守られるなど、日本中から愛されてきた。最近ではNHK大河『いだてん』で主役の金栗四三を演じ、昨年の東京オリンピックの聖火ランナーでは最終ランナーも務めるなど、まさに日本を代表する役者に。好意的な声が多かった。「芝居も上手く存在感がある。またご家族を大切にされていて、とても誠実なお人柄がうかがえるから」「誠実そうな人柄で誰にでも優しく接してくれそうなイメージだからです」「バラエティー番組に出演されていた時爽やかな印象で面白かったので」「まだ勘三郎さんの芸には至らずだと思いますが、見得や、顔の動き、表情には独特の魅力があり、元々の素顔も凛々しくて、男らしく、うちは両親も娘も息子も弟も、家族全員、勘九郎さんが大好きです」そんな“国民的俳優”の勘九郎を1票差で抑えて1位に輝いたのは、なんと香川照之(56)。先日、19年7月に銀座の高級クラブで働く女性ホステスの服の中に手を入れて、精神的ショックを与えていたことが報じられたばかり。一連の性加害報道によって、金曜MCを務めていた『THE TIME,』(TBS系)を降板し、CM契約も次々と失うことに。45歳で市川中車を襲名するなど、歌舞伎役者としては異例の遅いデビューだったが、それまで映画やドラマで培ってきた圧倒的な出演実績と知名度が大きく影響したようだ。「多才でおもしろい」「嫌なイメージは特にない。今回の報道も、当人同士で決着がついているのに外野がほじくるのが理解できない」「半沢直樹の大和田常務が好き」また、「カマキリおじさんすき」「存在感があり頭がよい」といったように、性加害報道によって過去回が放送中止となった『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK)での“カマキリ先生”としての活躍など、知的な面を推す声もあった。歌舞伎役者にいちばん求められるのは知名度ということなのかも?【好きな歌舞伎役者ランキング】(回答:2022年9月6日~9月11日)1位:香川照之(31票)2位:六代目 中村勘九郎(30票)3位:十代目 松本幸四郎(29票)4位:十一代目 市川海老蔵(28票)5位:六代目 片岡愛之助(22票)6位:二代目 中村獅童(16票)7位:八代目 市川染五郎(13票)8位:五代目 坂東玉三郎(12票)9位:四代目 市川猿之助(11票)9位:二代目 中村七之助(11票)
2022年09月24日平成中村座が4年ぶりに浅草に帰ってくる。江戸時代の芝居小屋を復活させたいという十八世中村勘三郎の思いが具現化され、まさに時空を超えたエンターテインメントを体感できるあの小屋で、今回は10月・11月の2ヶ月連続の上演が実現するのである。しかも、宮藤官九郎による新作歌舞伎『唐茄子屋〜不思議国之若旦那〜』が登場する。話題になること間違いなしのこの公演。中村勘九郎と中村七之助が二人揃って自信を見せた。様々なイベントが中止を余儀なくされているこの3年弱。平成中村座も例外ではなく、19年の小倉城勝山公園での上演が最後になっていたが、復活を望む多くの声に応え、まず浅草寺境内での上演が実現する。序幕には、10月は『双蝶々曲輪日記角力場』、11月は『寿曽我対面』と、ともに若手が活躍する演目を用意。勘九郎が言う。「うちの父(勘三郎)は平成中村座で必ず試演会を行って若手が活躍する場を作って、私たちも多くを教わってきました。今度は私たちがその場を作っていければと」。「コロナ禍で演じる場がなくなっていましたからなおさら、必要だと思ったんです」と七之助も答える。宮藤官九郎が作・演出を手掛ける『唐茄子屋〜不思議国之若旦那〜』は、「唐茄子屋政談」を中心とした古典落語に「不思議の国のアリス」の要素を入れた新作歌舞伎。「台本を読んで『これどうやるんだろう』と思ったんですけど(笑)、そんな悩みが出るものほど面白くなるんです」と勘九郎が太鼓判を押せば、七之助も「歌舞伎役者たちがついていけるかなと心配になるほど面白い」と話し、「宮藤さんは、僕たちに好きにやらせてから細かく演出をつけてくださるので、まず自分たちのやるべきことを一生懸命やらないと」と気合いを入れる。他の演目は、10月に『極付幡随長兵衛』11月に『魚屋宗五郎』と、「見取狂言にこだわった父の遺志を継いだ演目を選びました」と勘九郎。通し狂言ではなく見どころの多い幕を選んで上演することで、より気軽に楽しんでもらいたいという思いがそこには込められている。他にも、10月の『綾の鼓』、11月の『舞妓の花宴』『乗合船恵方萬歳』といった舞踊も揃う。「平成中村座は、いい意味で緊張感がない空間。お客様も参加する感じになって、同じ演目でも楽しさが倍増するという不思議な魅力があるんです」と七之助。勘九郎も「ここは何でもできる場所。小屋ならではの演出も楽しんでいただきたい」と胸を張る。芝居を観るという喜びがあふれる空間になりそうだ。公演は10月5日~27日、11月3日~27日まで浅草・平成中村座にて。10月公演のチケットはチケットぴあにて発売中。(取材・文:大内弓子)
2022年09月16日歌舞伎俳優によるオンライントークショー『歌舞伎家話』第17回に、市川染五郎と市川團子が出演することが決定した。今回の配信は、「弥次喜多」シリーズの最新作として歌舞伎座で上演された新作歌舞伎『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離ー譚(やじきたりたーんず)』が歌舞伎オンデマンドで配信されることを記念した特別編。主役の弥次郎兵衛・喜多八を演じた松本幸四郎、市川猿之助の活躍はさることながら、「陰の主役」である伊月梵太郎と五代政之助をそれぞれ12才(染五郎)・13才(團子)から足掛け7年をかけて演じた染五郎、團子の活躍・成長ぶりは目覚ましく、同シリーズは彼ら二人の役者としての成長絵巻とも言える。今回の『弥次喜多流離譚』では、御家が没落して不良になってしまった伊月梵太郎を染五郎が、梵太郎の幼馴染であり家臣の五代政之助を團子が演じた。また、今回は二人とも女方にも挑戦し、見事な早替りと劇中で繰り広げられた「ダンスバトル」で観客を魅了。今回のトークでは、舞台の感想はもちろん、7年間同役を演じ続けてきた二人だからこその舞台への想いが語られる。■市川染五郎 コメント弥次喜多シリーズ初演から伊月梵太郎を勤めさせていただいています。純真無垢な若殿様が、暴走族の総長になるとは6年前を思うと想像もしていませんでしたが、次回はどうなるのか、はたまた次回があるのかどうかさえ想像できない所もこのシリーズの好きなところです。その弥次喜多シリーズのお話を中心にお話しできればと思いますので、限られたお時間ですが、ぜひお楽しみください。■市川團子 コメント皆さま、こんにちは。市川團子でございます。今回、戸部さんと染五郎さんと歌舞伎家話にてお話できる機会をいただけたこと、本当に嬉しく思っています。今回は久しぶりの舞台での弥次喜多の公演ということや、初の本格的な女形への挑戦ということもあり、色々な思い出のある一カ月となりました。舞台でのお話はもちろん、舞台裏のことについても楽しくお話させていただければなと思っておりますので、ご覧いただけたら嬉しいです。<配信情報>『歌舞伎家話』出演者:市川染五郎 / 市川團子聞き手:戸部和久(松竹演劇部 /『東海道中膝栗毛 弥次喜多離流譚』脚本)配信日時:2022年9月8日(木) 20:00~(約70分)※生配信詳細はこちら:『歌舞伎オンデマンド』2022年9月9日(金) 12:00~9月29日(木)※3週間限定配信(購入時より7日間視聴可能)■視聴料金『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』本編:3,300円(税込)※『東海道中膝栗毛 弥次喜多流離譚』本編&イヤホンガイド『Web講座』セット販売も同時配信詳細はこちら:※ご購入・ご視聴には歌舞伎オンデマンド連携の配信プラットフォーム「MIRAIL(ミレール)」の会員登録(無料)/ ログインが必要です。
2022年09月05日元宝塚歌劇団の瀬戸かずや、綾凰華が出演する朗読舞踊劇 Tales of Love「阿国-かぶく恋、夢の果て-」が東京・サンシャイン劇場にて上演される。日本古典の名作を「朗読×日本舞踊」 のコラボレーションで、朗読劇の枠を超えた、五感と想像力を刺激する新たな感動体験を届ける「朗読舞踊劇 Tales of Love」の最新作。シリーズ第2弾となる本作は、歌舞伎の始祖ともいわれる伝説の女性・出雲阿国と希代の傾奇者として名高い名古屋山三、そして阿国を支えた女形・三十郎の、三者三様の姿を濃密に描く恋物語だ。演出はシリーズ第一弾に引き続き、劇団「柿喰う客」の中屋敷法仁。主演の阿国役、その彼女を支える三十郎役をWキャスト&スイッチキャストで演じるのは元宝塚歌劇団瀬戸かずや、綾凰華。また稀代の傾奇者とされる名古屋山三役には、人気実力派声優として活躍する竹内栄治、土屋神葉、石谷春貴、高木渉が日替わりで出演。さらに卓越した表現力で、若手舞踊家のトップとして日本舞踊界を牽引する花柳幸舞音 、藤間涼太朗が舞踊を担う。公演は9月28日(水)から10月2日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて。チケットは8月30日(火)よりチケットぴあにて抽選受付がスタート。一般発売は9月10日(土)10:00より。公演回事に配役、また出演キャストが異なる本公演、キャスト組み合わせ等は公式ホームページ等にて確認を。<ストーリー>一人の女芸人が、その踊りの才により頭角を表した。彼女の名は阿国。希代の傾奇者として名高い名古屋山三は、 駆け出しの阿国を見染め、共に風雅の芸を極める夢を見る。異なる二人の才能がぶつかり合い、新たな芸が芽吹き始めたその前夜、山三は家のため他家に仕官することになり、さらには武士としての義理を立てるため命を落としてしまう。人気も凋落し、傷心する阿国の元に残ったのは浮浪児から拾い上げ弟子として育てた少年、三十郎ただ一人。阿国は、三十郎を己と瓜二つの女役に仕立て上げ、己は男役として山三に成り代わり、濃密な男女の恋愛を描いたかぶき踊りを上演する。いつしかこのかぶき踊りは大評判となり、阿国は三十郎と共に各地を巡業する旅に出る。男として阿国を深く愛しながらも、師弟という関係を壊さぬよう、ひたすらに女形に徹する三十郎。一方、阿国は名声を得てもなお山三を忘れられず、その幻影に徐々に心を蝕まれていく――
2022年08月31日福岡・博多座、愛知・御園座を巡演した『超歌舞伎2022 Powered by NTT』が、8月21日に東京・新橋演舞場で開幕。これを受けて行われた会見に、出演者の中村獅童、小川陽喜、澤村國矢が登壇した。2016年の「ニコニコ超会議」で誕生した『超歌舞伎』は、獅童ら歌舞伎俳優とボーカロイド(バーチャルシンガー)の初音ミクが最新技術のもとで競演する新趣向の歌舞伎公演。これまで千葉・幕張メッセといったイベント会場を中心に有観客上演がなされてきたが、今年は歌舞伎を上演する劇場進出と同時に4都市ツアーも果たす。博多・名古屋公演を「一公演一公演、僕らにとって戦いでした」と振り返った獅童。「これまでイベント(ニコニコ超会議)の一部だった演目が、歌舞伎の劇場に進出する。サブカル好きの若者に喜んでもらうだけでなく、歌舞伎を昔からご覧になっている古典好きのファンに納得していただけるクオリティを目指しました」「演技法・化粧・衣装はすべて伝統的な古典にこだわり、バーチャルとのコントラストがくっきり出るように工夫して」と胸を張る。その結果、客席には初音ミク推しの観客に加えて古典歌舞伎ファンの姿も。獅童は「法被をお召しになっている熱狂的なミクさんファンの存在を心強く感じて『この方に倣ってペンライトを振ってください!』とお手本になってもらう場面もありました」と笑う。ただ終演後に土産としてペンライトを購入する歌舞伎ファンがいたらしく、獅童は「上演中に振って一緒に盛り上がるからこそ楽しい」「ペンライトのご購入はぜひ開演前に」と目配せすることも忘れない。1月の『壽 初春大歌舞伎』にて初お目見得となった陽喜は、芝居のどんな点が楽しいか問われると「立ち回りです!」と元気に回答。獅童はその様子を温かく見守りつつ「衣裳は仁王襷(におうだすき)にお化粧も“むきみ隈”という隈取りで、劇中には見得を切る動作もあって。陽喜の大好きなものが詰まっているから毎日楽しく取り組んでいます」と日常を明かすだけでなく、「失敗したら楽屋で自主稽古していると聞いて成長を感じました」と目を細めた。また「永遠花誉功(とわのはなほまれのいさおし)」のみ上演の「リミテッドバージョン」で主演を務める國矢は「博多・名古屋での盛り上がりを受け自信をもってこの新橋演舞場でも務めさせていただきます」「獅童さんのパワーに喰らいついていく所存です」と意気込む。獅童は國矢を「新しい『超歌舞伎』の世界で生まれたスター」と紹介し、「がんばれば道が拓けることを体現し、後進のお手本になってくれたら嬉しいですね」と期待を込め、エールを送っていた。東京公演は9月3日(土)まで。その後、9月8日(木)~25日(日)に京都・南座へ巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2022年08月24日Jホラーブームの火付け役となった、鈴木光司・作の『リング』シリーズ。そこに登場する怨霊・貞子は、映画はもとよりWebサイトやゲームにまで登場、今や国内外で知名度抜群の日本のホラークイーンだ。その貞子が初めて歌舞伎の舞台に登場する。「日本怪談歌舞伎(Jホラーかぶき)」と銘打った今作は、貞子と歌舞伎の「皿屋敷伝説」が古井戸を通して時空を超えて交錯する、新作歌舞伎『時超輪廻古井処(ときをこえりんねのふるいど)』として上演。脚本・構成は新作歌舞伎の『NARUTO‐ナルト‐』や『風の谷のナウシカ』を手掛けたG2。出演は片岡愛之助、今井翼、中村壱太郎ら、人気シリーズ『GOEMON 石川五右衛門』のメンバーを中心にした座組でお届けする。主演の愛之助が東京で行われた製作発表で、意気込みを語った。Jホラーかぶき 日本怪談歌舞伎 貞子×皿屋敷『時超輪廻古井処』 チケット情報オカルトファンの愛之助に「初めて映画を拝見した時は衝撃でした。怖くて夜中にトイレに行けなくなったり、しばらく怖かったですね」と言わしめた『リング』。その貞子と共演すると聞き「昔から見ていた貞子さんですから、感慨深いものもあり、すごくワクワクしています」。物語は、室町時代後期。足利幕府が機能不全となった乱世に乗じ、天下掌握の野望を抱く細川家の国家老・浅山鉄山(愛之助)は、邪魔な忠臣・船瀬と許嫁・お菊(壱太郎)を井戸に沈めて殺害。しかし、不思議な力によって鉄山も井戸に引きずり込まれてしまう。500年後の現代。同じ古井戸のそばで、古いビデオテープの映像を見た若者たちが謎の死を遂げ、神官の室戸光(今井翼)が調査に乗り出すが…。「歌舞伎の『播州皿屋敷』の世界と貞子の世界が融合されている感じです」。よく上演される『番町皿屋敷』とは違い「残酷で、これだけでも十分にホラーな作品。お菊を縛り上げて竹刀でビシビシ叩くんですよ。鉄山、なんて恐ろしい役だと」。愛之助は11年前に松竹座で『播州皿屋敷』の鉄山を演じている。今回は「同じ役ですが、ただ怖いだけではなく、ちょっと愛嬌のある部分など、人間らしさがより濃く描かれていると思います」。現在はG2の描くプロットに、よりおもしろくなるよう自らのアイデアを提案しながら制作中だ。「人の思いや念というものが時空を超えてやってきます。怖さ倍増、いや倍以上かも(笑)。でも歌舞伎ですからね、怖すぎて観るのがイヤという人がいても困るので(笑)。初日が開いてみないとどんなものになるかわかりませんが、全力で傾(かぶ)いて盛り上げていきたい。『GOEMON』のように何度も再演され、できれば海外公演も」と意気込む。公演は、10月3日(月)から25日(火)まで、大阪松竹座にて。チケットは、8月24日(水)一般発売。また、10月28日(金)からは映画『貞子DX』も公開される。取材・文:高橋晴代
2022年08月23日主催:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会/東京アート&ライブシティ構想実行委員会、『こえかぶ朗読で楽しむ歌舞伎』が2022年10月1日(土)~10月2日(日)に歌舞伎座タワー5 階 木挽町ホール(東京都中央区銀座 4-12-15)にて上演されます。チケットはカンフェティ(運営:ロングランプランニング株式会社、東京都新宿区、代表取締役:榑松 大剛)にて8月29日(月)10:00より発売開始です。カンフェティにて8月29日(月)10:00よりチケット発売開始 東京アート&ライブシティ WEBサイト 人気声優陣が古典歌舞伎を現代語で読むオリジナル朗読劇『こえかぶ朗読で楽しむ歌舞伎』古典歌舞伎の名作「義経千本桜」「籠釣瓶花街酔醒」の現代語オリジナル朗読劇。歌舞伎が初めての方にも身近に楽しんでいただけます。人気声優による新感覚の歌舞伎の物語。会場は歌舞伎座タワー5階の木挽町ホール、空間自体もお楽しみください。置鮎龍太郎/細谷佳正、速水奨/逢坂良太公演概要『こえかぶ朗読で楽しむ歌舞伎』公演期間:2022年10月1日(土)~10月2日(日)会場:歌舞伎座タワー5 階 木挽町ホール(東京都中央区銀座 4-12-15)【演目】義経千本桜籠釣瓶花街酔醒■公演スケジュール・出演者【10月1日(土)18:00開場/18:30開演】置鮎龍太郎/細谷佳正【10月2日(日)15:00開場/15:30開演】速水奨/逢坂良太■スタッフ脚本・演出:岡本貴也アンバサダー:中村隼人企画・制作:松竹株式会社開発企画部■チケット料金全席指定:5,000円(税込)文化庁 統括団体によるアートキャラバン事業(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)「JAPAN LIVE YELL project」主催:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会/東京アート&ライブシティ構想実行委員会助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】後援:中央区/千代田区/全銀座会 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年08月22日漫画家・みなもと太郎一周忌、伝説的漫画の歌舞伎化作品株式会社リイド社(所在地:東京都杉並区、代表取締役社長:齊藤哲人)刊行『風雲児たち』(みなもと太郎)を歌舞伎化した『三谷かぶき 月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち』(作・演出:三谷幸喜)のシネマ歌舞伎が、2022年8月12日より全国の映画館で再上映されます。『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』2020年シネマ歌舞伎で歌舞伎化、そして2022年8月全国の映画館で再上映決定!2019年、『風雲児たち』の愛読者である三谷幸喜作・演出のもと、歌舞伎化された舞台『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』が歌舞伎座で上映。鎖国中の江戸時代、ロシアに漂流し10年以上の時をかけ日本への帰国を果たした実在の人物・大黒屋光太夫にスポットを当て、松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、松本白鸚らが出演。2020年にシネマ歌舞伎が公開、今年2022年8月には全国の映画館で再上映が決定!シネマ歌舞伎冒頭には、みなもと太郎が本作のためだけに書き下ろした、貴重なイラストを基にしたオリジナルアニメーションを収録!『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』みなもと太郎書き下ろしアニメーション『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』みなもと太郎書き下ろしアニメーション『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』上映情報2022年8月12日〜18日(木)東劇ほか全国にて上映※東劇(東京都中央区)のみ9月1日(木)まで三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち | 作品一覧 | シネマ歌舞伎 | 松竹 : 漫画『風雲児たち』『風雲児たち』①書影連載開始から約40年を経て、今なお熱狂的なファンを増やし続ける伝説の歴史大河ギャグ漫画「風雲児たち」。教科書で習ったあの人物たちが“ありのままの人間”として泣き、笑い、怒り、混迷の時代を生き抜く姿が描かれる。著者みなもと太郎マンガ家、マンガ研究家。本名、浦源太郎。1947年3月2日、京都市生まれ。1979年 「月刊少年ワールド」で『風雲児たち』連載開始。同シリーズは翌1980年より「コミックトム」に、2001年より「月刊コミック乱」に掲載誌を移し40年以上に渡り連載。コミックスワイド版は全国の書店にて好評販売中。手塚治虫文化賞、文化庁メディア芸術祭、文化庁芸術選奨などの選考委員・主査を歴任。2004年 第8回手塚治虫文化賞特別賞(歴史マンガの新境地開拓とマンガ文化への貢献に対して)。2010年 第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(風雲児たち)。2020年 第49回日本漫画家協会賞コミック部門大賞(風雲児たち)。2021年8月7日、逝去。漫画概要作品名:風雲児たち1(ワイド版)著者名:みなもと太郎ISBN:9784845801657ページ数:320p判型:四六発行日:2002年3月22日定価:713円(税込)社名: 株式会社リイド社所在地: 〒166-8560 東京都杉並区高円寺北2-3-2代表: 代表取締役社長齊藤哲人創業: 1960年4月設立: 1974年11月事業内容: 出版事業URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年08月07日お祭りや芸能でおなじみのお囃子のうち、歌舞伎や日本舞踊などの舞台で演奏されるのが、“邦楽囃子”だ。望月秀幸と望月左太寿郎が主宰する「お囃子プロジェクト」(通称オハプロ)は、この“邦楽囃子”の魅力を広く伝えたいと始まったライブユニット。2010年の始動以来、洋楽やアジア、演歌とさまざまなジャンルを取り入れ、好評を博してきた。今回のコラボは「民謡」。初めて歌が入る、そのステージに注目だ。お囃子と民謡。海外の音楽に比べれば、だいぶ“距離”は近いように思えるが……。「曲をただ演奏するのではなく、毎回、幅広い世代のお客様に楽しんでもらえるようにアレンジを施しているので、今回も苦労はたくさんあります」と笑う秀幸。今回予定されているのは、クイーンの「We will rock you」と民謡の黒田節をミックスした「黒田節ロックユー」や、美空ひばりの「お祭りマンボ」と民謡の「おてもやん」を混ぜ合わせた「お祭りマンボやん」、さらにプロレス選手の入場曲を民謡で歌うものまで、どれも気になるラインナップ。確かにどんな音になるのか予想がつかないが、公式YouTube「お囃子プロジェクトチャンネル」で公開されている映像を観ると、過去のコラボは意外なほどにスピード感とライブ感にあふれた仕上がりだ。「本当に、一度観ていただけたらイメージが変わるかもしれないです(笑)。邦楽囃子は締太鼓や大鼓、小鼓、笛の4つがメインなのですが、音の出し方がとても繊細なので、演奏方法が細かく決まっているんですね。そこは守りつつ、毎回コラボする音楽も大切にするのがオハプロ。今回も民謡ならではの“縛り”がありますので、細かく工夫を重ねてお送りしたいです」と左太寿郎。「ゲストは民謡三味線や歌手の方はもちろん、パーカッションやギター、チェロの方をお呼びしています。僕はバンド経験があるのでアレンジを担当しているんですが、邦楽と洋楽の2種類の楽譜を用意しなくちゃいけないんです。どちらも読めて幅広いジャンルに対応できるパーカッションのジャイアン谷口さんにはいつも助けていただいています!」と秀幸も語る。東京藝術大学で同級生だったふたり。20代後半となって邦楽の未来を考える中で、オハプロをスタートしてから12年。「普段は歌舞伎や日本舞踊の舞台がよりよい作品になるようにと演奏するのですが、オハプロでは、客席のお客様に満足してもらうことが目標」と秀幸が話せば、左太寿郎も「これからも新しいことにどんどん挑戦していって、お客様にはお囃子だけでなく、他の邦楽の面白さも発見してもらえたら」と話す。今回もオハプロならではの、肩の力を抜いて楽しめる演目が満載。歌舞伎や邦楽好きの人も、そうでない人も、気軽に楽しめるライブになりそうだ。取材・文/藤野さくら
2022年08月04日歌舞伎や日本舞踊などの舞台で演奏される“邦楽囃子”。締太鼓や大鼓、小鼓、笛のメイン4種の演奏のほか、さらに山奥のこだまや雷の音、亡霊が登場するときの曲など、50種類近くの楽器を使い分けるのが“囃子方”だ。「佐幸会」は、その邦楽囃子演奏家・田中佐幸を代表として、“邦楽囃子”の伝承と普及を目指して活動。田中佐幸の息子で、「お囃子プロジェクト」主宰としても活躍中の望月秀幸は、今回の特別公演について「古典邦楽の貴重な演目を選んでいます」と意気込む。演目は3つ。まず「長唄 翁千歳(おきなせんざい)」は、五穀豊穣・国土安穏を祈る儀式的祝言曲として知られ、その格式の高さから上演されること自体が希少だという。続く「素囃子 三番叟(さんばそう)」は、足踏みによって土を耕し、大地を目覚めさせる存在の“三番叟”を表した演目。邦楽囃子のみで演奏することはこちらもまれだそうだ。「もともと、長唄『翁千歳三番叟』というひとつの楽曲なのですが、今回は冒頭から翁送りまでを『翁千歳』、揉みの段・鈴の段を『三番叟』としてお送りします。どちらも古典奏法を重視した演目で、演奏する側からするととても難しくて、今からプレッシャーで胃が痛いくらいなんですよ(笑)」という秀幸。「演奏は僕も含めて若手メンバーですが、そこは大先輩の梅屋福太郎先生にご指導いただいて、必死にお稽古をしているところ。大元である能楽の『翁』を勉強して、それから邦楽囃子としての演奏を稽古して、と時間はかかりますが、大きなチャレンジなのでぜひ成果を残したいですね」と表情を引き締める。3つめの「日本舞踊 七福神」は、イザナギやイザナミ、恵比寿などが登場し、華やかに展開する人気の演目だ。「田中佐幸は中村勘三郎(十八代目)さんの公演で演奏することが多かったのですが、『七福神』は、特にその勘三郎さんとご一緒させていただく機会が多かった演目。舞踊と共に送る明るい曲なので、最後は肩の力を抜いて楽しんでいただければ」と秀幸は話す。さらに当日は、歌舞伎座イヤホンガイドを担当している鈴木裕里子氏が演目解説をした冊子を、無料で配布する予定だ。「邦楽に興味を持っている方が“もう一歩”を踏み出す手助けになればうれしい」(秀幸)と、こんなところにも工夫をこらしている。「芸歴55年の父・田中佐幸の世代と、いま40歳の僕の世代では、邦楽が置かれている状況はかなり変わりました。父ともよく話すのですが、この状況下だからこそ、僕らの世代が積極的に活動をしていかなければ(邦楽が)無くなってしまうよ、と。この特別公演もそんなところから始まったので、ぜひ幅広いお客様に観ていただきたいです」と秀幸。本作は“邦楽囃子”の奥深さを見て、聴ける、貴重な機会になりそうだ。取材・文/藤野さくら
2022年08月03日江戸時代から400年以上続く京都・大蔵流 茂山千五郎家。Cutting Edge KYOGEN(カッテイング・エッジ・キョウゲン)とは、千五郎家の中で心は若手な(実際は中堅どころの)千五郎、宗彦、茂、逸平、千之丞5名による狂言ユニットだ。1976年発足の「花形狂言会」(花形とは若手の意味)から、2006年に現メンバーで「HANAGATA」と改称、2020年に“最先端”を意味するCutting Edge KYOGENに改名して新スタートした。茂山千五郎家の狂言は、お豆腐のように親しみやすく気軽に味わえる“お豆腐狂言”がモットー。その“最先端”の公演『真夏の狂言大作戦2022』を兵庫県立芸術文化センターで観劇した。この公演を皮切りに、兵庫県の小野、高知、倉敷、岸和田、春日井、松本とツアーに出る。「Cutting Edge KYOGEN 真夏の狂言大作戦2022」チケット情報何度も上演してきた劇場は、京都同様のホームグラウンド。「さぁ、笑わせてもらおか」と前のめりな観客で満席。幕開きはポップな音楽に乗って5人の素踊りから。解説に登場した逸平は「狂言ポラリーダンスです。いや、大した意味はありません、舞ってみただけ(笑)」。お豆腐のようにどんな型にもはまる柔軟で自由な芸風が持ち味の彼らは、敷居が高いと思われがちな古典芸能の枠を軽々と越える。普段はこの会で上演しない古典作品も、今回はツアーでの狂言初心者向けにポピュラーな『棒縛』を上演。「ちゃんとした狂言はこれだけ(笑)」(逸平)。留守の間に酒を飲まないよう、主人が太郎冠者と次郎冠者を縛って出かけるが、何としてでも酒を飲みたいふたりは…というお話。古典の中に今どきな味わいもある楽しい茂山狂言だ。15分休憩の後に3プログラム。「一応、狂言のルールに従って作っていますが、怒る人もいると思う(笑)。ツッコミどころ満載です」(逸平)。人気演目の第2弾『全力で小舞を作ってみた~カルチャーセンター編パート2~』は、宗彦と逸平兄弟が宗家と家元に扮して謡い舞う“MHK和の講座 小舞への誘い”。次の『IB争い』は、観光地の精や和食の精らが登場し、インバウンドに向けてPR合戦する新作狂言。かなりぶっ飛んでいて笑える。『呼声・改』(よびこえ・かい)は、居留守を使う太郎冠者の家を主人と次郎冠者が訪れる古典『呼声』を現代風にアレンジ。一人暮らしの男の家に夜中に次々と訪問者が現れて…という人気新作狂言を、メンバー5名に助っ人2名の計7名でにぎやかに。「年1回、おっさんたちが遊んでる会です。ただ2時間、精一杯笑っていただけるように」(逸平)。まさに“きょうげんであそぼ”な2時間。狂言初心者も通も楽しめる舞台だ。8月は高知、岡山、大阪、愛知、長野を巡演。チケット発売中。取材・文:高橋晴代撮影:飯島隆提供:兵庫県立芸術文化センター
2022年08月01日