年間700万人の観光客が訪れる、小江戸・川越。そんな観光地としてのイメージが強いためか、「物価が高そう」「住むのには向いていない」と考える人も多いようです。しかし実際は、そのようなことはありません。川越市はとても便利で住みやすく、妊婦さんや育児中のパパママにも優しい子育て環境が整った街なのです。川越駅・川越市駅・本川越駅、3駅の違いと生活環境川越の市街地には、約500メートル圏内に3つの駅が存在します。川越駅3駅のうち、最も利用者数が多いのは、JR埼京線・川越線と東武東上線の3線が乗り入れている川越駅です。駅舎の外には大きなバスターミナルがあり、常にタクシーも停まっているので、非常に交通の便が良い駅といえるでしょう。そんな川越駅ですが、東口と西口では街の様子が全く異なります。東側は観光エリア、西側は住宅街エリアとなっており、不動産は圧倒的に西口側の方が安いです。スーパーや地元密着型の商店も西口に偏っているので、川越駅周辺で家を探すのであれば、西側を中心に見ていった方が良いでしょう。川越市駅東武東上線が乗り入れている川越市駅。終点の池袋駅側から見ると、川越駅の次の駅にあたります。周辺には、名門校・埼玉県立川越女子高等学校や山村学園高等学校など複数の学校があり、学生の乗り降りが多い駅です。市の中心駅である川越駅のような賑わいはありませんが、比較的治安が良く、落ち着いた雰囲気の地域といえます。本川越駅西武新宿線の終着駅、本川越駅。テレビなどで特集される「蔵のまち」エリアに最も近い駅です。駅ビルPePeと直結しており、東口には大きな商店街が、西口には住宅街が広がっています。2015年までは東口しかなかったため、駅の西側は「駅には近いけど、入り口までは遠い」と言われていました。しかし、2016年に西口ができてからは駅までのアクセスが格段に良くなり、街並みの整備も着々と進められています。不動産価値がどんどん上昇しているので、この地域に引っ越すのなら早めに行動した方が良いでしょう。地元民ご用達!買い物はロヂャース川越店とクレアモール商店街で3駅の住宅街エリアには、たくさんのスーパーがあります。中には大手スーパー2店がほぼ隣り合っているような場所も。物価も周辺の市町村とほとんど変わりませんし、ほぼ全ての店舗で、川越で採れた野菜を農家さんの顔写真入りで販売しているため、日々の食事の買い出しや、食の安全に悩むことはありません。もし、川越でのスーパー選びに迷ってしまったときは、ディスカウントストア・ロヂャース川越店がおすすめです。特に、毎週日曜日の朝市は必見。わざわざ川越市の外から買い物に来る人もいるくらい、生鮮食品がお買い得になります。また、川越駅東口から本川越駅東口の間にある、約1キロに渡るクレアモール商店街も大変便利です。服や靴、本、家具、お惣菜など、生活のために必要なあらゆるアイテムがここだけで揃ってしまいます。川越市街地で生活する最大の強みは、「必要なものが全て徒歩圏内で買えること」といえるでしょう。観光客数は年間700万人前後!地元民への影響は?よく「川越って観光客が多いからうるさそう」「治安が悪いんじゃない?」という声を耳にしますが、そのようなことはほとんどありません。上で3駅周辺の生活環境について触れましたが、観光エリアと住宅街エリアは綺麗に分かれているため、地元民が観光客の悪い影響を受けてしまうことはほぼないといえます。また、仮に観光エリア内に引っ越したとしても、川越の観光客の大半は高齢者なので、「騒いでうるさい」「突然絡まれたり、暴力をふるわれたりする」ということはあまりないでしょう。外国人観光客も、「日本の文化を学ぶために来た」という目的意識を持っている人がほとんどなので、良識のある方が多いです。川越市は待機児童が多いって本当?残念ながら、川越市は毎年、埼玉県の「市町村別保育所等待機児童数」ランキングでワースト10位以内に入っています。ただし、待機児童が集中しているのは市の南側、「本庁管内」と呼ばれる地域だけです。ここ以外のエリアでは、待機児童はほとんど発生していません。保育園を選ぶ際は、通える範囲内で他のエリアも視野に入れておいた方が良いでしょう。働くパパママの救世主!駅周辺に増え続ける保育園若くて働き盛りのパパママを多く抱える川越市では、3駅のまわりを中心に、新しい保育園が増え始めています。その中でも、特に評判が良いのは「レイモンド川越保育園」です。ショッピング施設「ウニクス川越」(川越駅西口 徒歩7分)の建物内に併設されており、「電車通勤に便利」「子どものお迎えとお買い物が一か所で済ませられる」「市内の美術館へ行ったり、子どもに色々なことを挑戦させようとする姿勢が良い」といった声がよく聞かれます。また、昭和51年開園の「増美保育園」は、川越駅のそばに「川越駅前分園」を、本川越駅・川越市駅のそばには「本川越分園」を新設しました。「先生がしっかりしているから安心できる」「施設が綺麗で明るい」など、本園も分園も共に評判が大変良く、悪い噂はほとんど聞いたことがありません。夜・土日も診療!安心してお任せできる夜間休日診療所中心街からは少し離れてしまいますが、「川越市医師会夜間休日診療所」は土日・夜間も診察を受け付けており、地元民からの信頼も厚いです。「応急処置のような対応で済ませず、きちんと診てくれる」「薬ももらえるので便利」「待合室にも看護師さんが待機しているから、安心して順番を待っていられる」など、丁寧な対応が評価されています。ただし、川越市医師会夜間休日診療所は市街地から離れている(川越駅から2.3キロ)ので、普段は3駅のちょうど中心部に位置する総合病院「赤心堂病院」を利用した方が良いでしょう。外科・内科・小児科・産婦人科など一通りの科が揃っていますし、救急も受け付けています。妊娠前~子どもの成人までサポート!若い世帯が増え続けている川越市では、妊娠・育児のサポート体制の充実化に積極的です。例えば、子育て情報誌「こえどちゃん」を配布したり、育児応援サイト「ママフレ」を開設したりするなど、子育てに役立つ情報はどんな些細なことでも随時配信しています。「妊娠が分かったら、まず何をすべきなのか」「赤ちゃんが産まれたら、いつまでにどこへ届けを出すべきなのか」ということから、「他のパパママと出会える場所」「就学時の手続きの手順」、奨学金制度の仕組みまで幅広くカバー。子持ち世帯だけでなく、川越市内での妊娠・出産を考えている人にとっても、大変役に立つ情報源となることでしょう。また、市では定期的に男性向けの育児講座を開講していたり、他の家庭のパパママ同士で交流をはかれる場を設けたりと、育児のしやすい環境づくりをサポートしてくれています。⇒川越市の新築マンション情報⇒川越市の中古マンション・中古戸建て情報
2018年02月27日日本最大級の江戸切子のイベント「Love Nippon! 江戸切子桜祭り2018~第30回 江戸切子新作展~」が、2018年4月6日(金)から4月8日(日)まで、東急プラザ銀座にて開催される。江戸切子は、硝子の表面に彫刻を施し、様々な模様を表現する日本の伝統硝子細工。硝子細工ならではの透明感と鮮やかな色彩が織り成す独特の美しさが魅力だ。「Love Nippon! 江戸切子桜祭り2018~第30回 江戸切子新作展~」では、希少な一点物や高級な作品を含む、200点以上の伝統工芸江戸切子が集結する。銀座での開催は初となる。「桜」をテーマにした会場内には、注目の新作切子を展示する新作展や、工房や若手職人が出品した様々な切子の特別販売、伝統工芸士による作品解説、江戸切子体験ワークショップなど、様々な側面から楽しめるコンテンツが目白押しとなっている。【詳細】Love Nippon! 江戸切子桜祭り2018 ~第30回 江戸切子新作展~開催期間:2018年4月6日(金)~4月8日(日) 11:00~21:00 ※最終日は18:00まで会場:東急プラザ銀座 6F キリコラウンジ住所:東京都中央区銀座5-2-1※江戸切子体験ワークショップ(有料)は、ECサイト「藤巻百貨店」で事前予約を受付予定。【問い合わせ先】藤巻百貨店 銀座店TEL:03-6264-5612
2018年02月24日東京・墨田区のすみだ北斎美術館にて、「Hokusai Beauty~華やぐ江戸の女たち~」が開催される。期間は2018年2月14日(水)から4月8日(日)まで。なお、期間中は、2月14日(水)から3月11日(日)までの前期と、3月13日(火)から4月8日(日)までの後期に分かれて開催される。葛飾北斎は、代表作品「冨嶽三十六景」などの風景画を描いた人物として知られているが、その70年に及ぶ多彩な製作活動の中で、特徴的な江戸美人画のスタイルを確立した人物でもある。「Hokusai Beauty~華やぐ江戸の女たち~」では、そんな北斎やその弟子たち一門が手掛けた130点ほどの作品を一堂に展示。本展は、全3章に分かれ、各章異なるテーマで、北斎が描く美人画の魅力を発信する。第1章「北斎美人七変化―美人様式のうつりかわり」では、北斎が描いた美人画の作品を一挙に公開。初期の宗理時代に描かれた柔らかな雰囲気の美人画から、画風を確立した晩年の作品まで、時代と共に移り変わる美人画の特徴を鑑賞することができる。第2章「華麗なるファッション・ヘアスタイルの世界」は、当時の流行の化粧や代表的なヘアスタイルなどを北斎の作品などを通じて紹介する。「枕草子を読む娘」では、作品中に当時のトレンドメイク"笹色紅"を唇に纏った女性が描かれ、光の加減によって玉虫色に見えるこまやかな口元の描写までが再現されている。そして、第3章「北斎スクールの美人たち」では、北斎の元で学んだ門人たちの美人画が展示される。200人を超えたと云われる門人たちは、北斎の画風を強制されることなく育成された為、それぞれの個性が光る画風の美人画を残すことができた。葛飾北斎の娘で門人のひとり、葛飾応為の「女重宝記」では、華やかな着物をまとった複数の江戸美人が大胆な色彩で描かれている。他にも、期間中は、北斎に関する講演会や、伝統工芸品の作成体験などバリエーションに富んだ企画が開催される。【詳細】すみだ北斎美術館「Hokusai Beauty~華やぐ江戸の女たち~」会期:2018年2月14日(水)~4月8日(日)※前期 2月14日(水)~3月11日(日)、後期 3月13日(火)~4月8日(日)場所:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2丁目7−2開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)休館日:毎週月曜日観覧料:一般 1000円(800円)、高校生・大学生 700円(560円)、65歳以上 700円(560円)、障がい者 300円(240円)※( )は20名以上の団体料金。期間中、着物で来館した人は当日の観覧料は団体割引を適用。※小学生以下は無料。※学生は要生徒手帳または学生証。※65歳以上は年齢証明が出来るものの提示が必要。※障がい者手帳保持者の付添1名まで障がい者料金適用可能。※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も閲覧可。【問い合わせ先】すみだ北斎美術館TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2018年01月30日年末年始に負担をかけた身体をいたわり、引き締めつつも、寒さに負けない身体を作りましょう。免疫力をアップさせ、風邪予防にもつながる柚子、酒粕、牡蠣を使った江戸ご飯三品をお勧めいたします。鈍った身体をリフレッシュさせるレシピ三品栄養素が豊富な牡蠣で寒い冬を凌ごう『牡蠣飯』たっぷりの柚子で健康な身体を維持『柚飯(ゆうめし)』江戸の知恵、酒粕料理でポカポカに『粕粥』『牡蠣飯』(二人前)(「名飯部類」より)柚子の香りが牡蠣を引き立てる出汁がけご飯です。■材料(二人前)・牡蠣(生食用)…6010個・温かいご飯…2杯分・出汁…3カッフ0・塩…少々・醤油…小さし01・大根おろし...適量・柚子皮下ろし…1/2個分■作り方1)牡蠣は沸騰したお湯て0さっと茹でておく。大根おろしは軽く絞り、柚子皮おろしと混ぜておく。2)温めた出汁で牡蠣を30秒ほど茹でて引き上げ、塩と醤油で出汁の味を整える。3)ご飯に牡蠣を乗せて出汁をかけ、大根+柚子皮おろしを乗せていただく。牡蠣は、一旦岩場などに着床すると、一生そこから離れないまま成長します。従って筋肉が退化し、身のほとんどが内蔵なため、食物の中で最高含有量を誇る亜鉛を始め、18種類のアミノ酸、数種類のビタミンとミネラル、製菓メーカーのグリコの語源ともなったグリコーゲン、タウリンを含む、完全栄養食品です。その半面、水質の影響を受けやすい貝でもあり、中毒性があるので、生食には注意が必要です。江戸時代は産地でもない限り、明治に入るまで、牡蠣を生で食べる習慣はありませんでした。牡蠣の養殖は江戸時代から始まっており、江戸の町では焼き牡蠣にしていただくのが主流でしたが、大坂では様々な料理が楽しめたようです。……と申しますのは、晩秋になると、広島方面で養殖された大量の牡蠣を積んだ「かき船」が、大坂の土佐堀、堂島、道頓堀など十数か所以上の堀川に停泊し、牡蠣の販売や、船上て0は牡蠣尽くしの料理が提供されたからです。天保3年の資料によると、ある日のかき船のメニューは『酢カ0キ、カキの胡麻油炒めおろし大根しょう油添え、カキのからまむし(炒めたおからと和えたもの)、カキのひね生姜煮、カキの吸物、カキと芹の鍋、カキの土手焼き、カキ飯』の八品だったとあります。『柚飯(ゆうめし)』(二人前)(「柚珍秘密箱(ゆうちんひみつばこ)」より)風邪予防に最適な柚子を使った混ぜご飯です。■材料(二人前)・柚子の皮…1/2個分・温かいご飯…2杯分・醤油…小さじ2・黒胡麻…少々■作り方1)柚子の皮の黄色い部分を薄くそぎ、みじん切りにする。2)温かい御飯に1を混ぜ、醤油をかけてざっくりと混ぜる。茶碗に盛って黒胡麻をかける。柚子は揚子江付近が原産で、奈良、もしくは飛鳥時代に薬用品として伝来しました。柑橘系の中でも、特に寒さに強いため、日本全土で栽培され、今や生産量、消費量ともに世界トップで、日本料理に欠かせない食材となっています。天明5年(1785年)に、柚子料理ばかりを約40種類集めた『柚珍秘密箱』というレシピ本が刊行されました。「柚飯」はこの本の最初に登場する料理ですが、これを食べると五臓六腑を温め、病いにかからず、眼病の薬にもなると書いてあります。他にも、「柚釜蒸」「柚砂糖漬」「柚吸物」「柚田楽」「丸柚干(まるゆべし)」といった現代にも通じる料理から、「柚ぞうすい」「柚てんぷら」「柚せんべい」といったわかりそうでわからない料理、「柚松風」「柚みどり」「柚千鳥」「巻柚」「柚裏白」といった、レシピを読まないと想像がつかない料理まで、さまざまな料理が掲載されています。ちなみに冬至の日に柚子湯に入るという習慣は江戸時代からで、「冬至」を「湯治」にかけ、「柚子」を「融通」にかけて、「冬至の日の湯治は、融通のきく柚子で」ということのようです。駄洒落とは言え、柚子の香りにはリラックス効果があり、皮には血行促進や保湿効果があるので、湯治には最適な入浴剤です。『粕粥』(二人前)話題の酒粕を使ったお粥は抜群の栄養価があります。■材料(二人前)・米…1/2カップ・水…500ml・塩…少々・酒粕(板状)…50g・味噌…大さじ2■作り方1)鍋に水と洗った米を入れ、混ぜながら強火で炊く。2)ふきあがったら塩と1を入れ、再びふき上がってきたら中火にし、灰汁を取りながら30分程度炊く。3)酒粕を2mm幅に伸ばし、弱火で両面を焼く。4)粥に2と味噌を乗せ、よく混ぜていただく。日本酒を絞った後に残る酒粕が、実は握り鮨を世間に広めた立役者だったことをご存知でしょうか。1800年代はじめ、米を使ってつくる酢は高価な調味料だったため、発明されたばかりの握り鮨はハレの日のご馳走で、庶民が気軽に口にできるものではありませんでした。江戸を訪れた尾張国半田(現・愛知県半田市)の酒蔵の主人・中野又左衛門(四代目から中埜又左衛門と改名)はこの状況を見て、酒粕を使った安価な粕酢を江戸に普及させたことにより、握り鮨は屋台で楽しめるファストフードとして江戸の郷土料理となり、全国へ、やがて全世界に広がっていったというわけです。この中野又左衛門こそミツカングループの創始者で、現在は八代目当主が代表を務めていらっしゃいます。酒粕は保存性の高さから、1年中入手できますが、実は新酒が出回る1月から4月が旬の食材です。かつては産業廃棄物だった酒粕ですが、必須アミノ酸9種類を全て含み(アミノ酸の総量は白米の580倍以上)、肥満予防で話題のレジスタントプロテインを多く含むなど、さまざまな栄養価の高さから、万能美容&健康食品として見直されています。昭和初期の子供達は、おやつ代わりに酒粕を火鉢で炙り、砂糖をまぶして食べていたという話を聞きますが、酒粕は単体ではクセが強く、この食べ方は現代人の味覚にはそぐわないかも知れません。味噌との相性が抜群に良いので、主な使い道である甘酒や粕汁以外にも、味噌汁に酒粕を少し溶かし入れたり、酒粕:味噌=1:1の漬け床で粕漬けを作ったりなどして、摂取されることをお勧めします。
2018年01月22日高級感あふれる黒い外観が、お客さんをお出迎え東京都墨田区向島にある蕎麦屋「向島七福すずめの御宿(むこうじましちふくすずめのおやど)」は、古き良き時代の“粋”を活かした、風情あふれる外観が印象的なお店。路地から一本入った、静かな空間でお蕎麦をいただけます。店主は元料亭の女将。大人が落ち着いて食事を楽しめる場所にしたいと考え、江戸の佇まいを意識した、趣あるお店を作りました。個室が2部屋と、テーブル席が用意された店内では、ゆったりと食事を楽しめます。店内に入る途中に見える、蕎麦打ち風景も店主のこだわりです。蕎麦粉の挽き目を調節できるこだわりの石臼芸者の世界、いわゆる花柳界である向島だからこそ、江戸情緒を意識してお店を営業しているという「向島七福すずめの御宿」。現代では醤油を使用するのが一般的な蕎麦つゆですが、醤油が普及する前の江戸時代は味噌と大根おろしの汁で食べていたそう。その味を忠実に再現した蕎麦が、このお店では味わえます。その風情あふれる雰囲気を求めて、老若男女問わず愛されています。ご家族連れからお年寄りまで幅広く訪れますが、意外なところではウクライナの方も多く訪れるとか。独特の雰囲気が海外の方の心も掴んでいるのでしょう。めずらしい蕎麦の食べ方が楽しめる「すき焼き鍋蕎麦」「向島七福すずめの御宿」では、「すき焼き鍋蕎麦」が名物料理です。しっかりと味のついたすき焼き鍋と新鮮な卵、さまざまな形に切られた蕎麦と蕎麦湯が運ばれ、すき焼き鍋に蕎麦を入れて味わいます。卵にくぐらせて、一般的なすき焼きとしていただいてもおいしく、蕎麦を入れるとまた違う味わいが顔をのぞかせるという、二重に楽しめる料理です。遊び心あふれる蕎麦にも注目していただきましょう。お酒とよく合う「鴨と千寿ねぎの鴨味噌鉄板焼き」お酒も一緒に味わいたい人には、「鴨と千寿ねぎの鴨味噌鉄板焼き」がおすすめ。大きい鴨肉とこだわりの江戸野菜、千寿ねぎを味噌と一緒に香ばしくいただく、贅沢な一品です。使用している鴨肉は、やわらかい蔵王合鴨ロース。熱々のうちに口へ運びましょう。鴨とねぎの濃厚な旨味を味噌が引き立て、絶妙なハーモニーを奏でます。お酒との相性もよい料理なので、寒い冬には熱燗とともに味わってみてください。国産にこだわって厳選した新鮮食材が自慢お客さんが安心して食事ができるよう、店主は食材にこだわりを持っています。お店で使う食材はすべて国産。お客さんの健康へ繋がるよう、厳選して取り寄せました。お店のメインメニューである蕎麦も、挽き立てを食べられるため新鮮。まずはつゆを付けずに、塩を振りかけて蕎麦だけを少量食べてみてください。蕎麦独自の風味が口いっぱいに広がることでしょう。観光客でにぎわう東武スカイツリーライン「とうきょうスカイツリー駅」から、徒歩約9分で到着する「向島七福すずめの御宿」。向島らしい、モダンな雰囲気の中、挽き立てのお蕎麦を味わってみませんか?スポット情報スポット名:向島七福すずめの御宿住所:東京都墨田区向島2-9-2電話番号:03-3622-4235
2017年12月25日老舗の重みと庶民的な気さくさが魅力のお店「薮伊豆総本店」は、江戸時代から続く老舗のそば屋。老舗なのにどこか庶民的あ雰囲気で、「気さくだけれどていねい」をモットーにしているお店です。しなやかな甘みと香りのある細打ちそばと辛口のつゆが特徴で、江戸っ子好みの味わいが楽しめます。老舗の雰囲気が感じられる重みのある外観で、店内は木を基調とした明るくゆとりのある空間が広がっています。江戸時代からの味と技を受け継ぐ薮伊豆総本店薮伊豆総本店のルーツは、江戸時代の天保年間に京橋で繁盛していた伊豆本にさかのぼります。1882年に神田・薮ののれんに入り、薮と伊豆本から薮伊豆と命名され創業に至りました。1996年に日本橋に移転し、現在まで伝統の味と技を守り続けているお店。1階~3階まで利用可能で、全部で110席あり、幅広い世代の人が利用しています。3階には座敷もあり、個室利用や貸切り利用もできるので、宴会や記念日のお祝い、接待にもおすすめです。そばを海苔で巻いたヘルシーな「そば寿し」海苔でそばを巻いた「そば寿し」は、ヘルシーでさっぱりした味わいの一品。巻きずしを作る要領で、海苔の上に軽く酢をふったそばをたっぷり敷き詰め、干ぴょうと椎茸、薄焼き玉子をのせてていねいに巻いていきます。そばの香りと海苔の風味が口に広がる、飽きのこない味わいと歯切れの良い食感がやみつきになるでしょう。腸活にも! 濃厚なごまが美味の「薮伊豆のごまそば」濃厚なごまがたっぷり入った「薮伊豆のごまそば」は、そばとごまの相乗効果で体の中からきれいになれる絶品のメニューです。野菜とごまを特製のつゆで煮込み、麺が隠れるほどのたっぷりのつゆをかけていただきます。そばにごまが絡みつき、ふたつの風味がひと口にぎゅっと詰まった味わい。ヘルシーなのでダイエット中はもちろん、美活や腸活にもおすすめです。ていねいな接客と伝統の美味しいそばで至福のひとときを「薮伊豆総本店」では、創業当時から守られてきた伝統のおいしいそばを気軽に味わってもらいたいと、日々ていねいにそば作りをしています。訪れた人が、落ち着いた空間で自慢のそばを堪能しながら、とっておきの時間を過ごせるように、ていねいな接客を心がけているお店で、女性のおひとりさまにもピッタリ。そばとよく合う日本酒も、さわやかな口当たりのものから辛口のものまで豊富な種類を取り揃えています。東京メトロ・銀座線および東西線の日本橋駅より徒歩5分、JR東京駅からも徒歩圏内という好アクセスの場所にあります。江戸時代から続く伝統のそばを味わいに、老舗の扉を開いてみませんか。スポット情報スポット名:薮伊豆総本店住所:東京都中央区日本橋3-15-7電話番号:03-3242-1240
2017年09月25日日本で2人しかいない職人が手がける「紅」を体験!1825年創業の化粧品メーカー「伊勢半本店」が運営する「紅ミュージアム」は、創業時から守る紅づくりの技を後世にも伝えるべく、さまざまな資料を展示しています。ミュージアムに隣接するサロンでは、日本で2人しかいない職人が手掛ける「紅」を体験することができます。江戸の女性が夢中になった「紅」を体験ここでは、専門のスタッフに教えてもらいながら、「紅」を試すことができます。「小町紅」と呼ばれる紅は、江戸時代にはおちょこやお碗に塗るかたちで販売していたそう。当時と同じように、かわいい磁器のおちょこに薄く塗られている小町紅は、光を乱反射して玉虫色に見えますが、水をすこし含ませた紅筆でなぞると、鮮やかな赤に変わります。それを唇に点すと薄い紅色に。重ねづけしていくと少しずつ赤みが増します。唇の色に自然となじんで、自分だけの色になるというから不思議。光の反射によっては、唇も玉虫色に輝きます。品の良い伝統色はお顔の血色もワントーン明るく見せてくれるそう。江戸女性の美しさを手に入れよう! 紅花由来のアイテムも豊富また、サロンでは体験だけではなく、いろいろなデザインの可愛い焼き物に入った小町紅が販売されています。普段使いできるものから、婚礼などの贈り物にぴったりなセット品まで、9,720円から54,000円ほどで販売されています。サロンで口紅を体験したあとは、ビタミンEやリノール酸が豊富な「べにばな茶」をいただきましょう。アンチエイジングに効果がある嬉しいお茶を無料で楽しめるというから嬉しい限りです。歴史と伝統に守られた「紅」を唇にさせる体験できるのはとても貴重!お江戸の女性を魅了した「紅」の美しい質感を体験してみませんか?取材・文/末吉陽子スポット情報スポット名:伊勢半本店 紅ミュージアム住所:東京都港区南青山6-6-20K’s南青山ビル1F電話番号:03-5467-3735
2017年06月18日江戸時代から昭和中期までの貴重な建物が立ち並ぶ、「江戸東京たてもの園」。園内には桜やもみじなど季節によって表情を変える植物も多く、四季折々の風情が歴史的な建築とともに楽しめます。細かいディティールまで写真に収めたくなる建物の数々建物そのものはもちろん、資料に基づいてていねいに再現された内装や小物、建物と建物の間の路地や庭などどこを取っても画になるところばかりで、一度カメラを構えたら、もう手放すことはできません。スタジオジブリの宮崎駿監督も、映画の参考にするためによく訪れたのだとか。看板建築と呼ばれる建物では、壁を覆う銅板に細かな装飾が施されていたりと、当時のこだわりを探すのも面白そう。夢中になって疲れたら、食事処やカフェでひと休み写真を撮るのに夢中になって一息つきたい時は、園内の食事処やカフェで休憩を。カフェはデ・ラランデ邸という洋館に併設されており、展示された建物の中でノスタルジックな雰囲気に浸り、贅沢なひとときが過ごせます。いつもと違う写真が撮れるイベントも8月は「下町夕涼み」というイベントが開催され、盆踊りが行われます。期間中は夜間も開園されるため、ちょうちんに照らされた建物の姿が見られるのは、このイベントならではの光景です。また、紅葉の季節にも夜間開園が行われ、3日間限定でライトアップが楽しめます。取材・文/三ツ井香菜スポット情報スポット名:江戸東京たてもの園住所:東京都小金井市桜町3-7-1(都立小金井公園内)電話番号:042-388-3300
2017年05月06日常時約2,000点もの資料を展示! 「江戸東京博物館」の常設展示室両国にある江戸東京博物館は、「未来の都市と生活を考える場」としてオープン。約9,000㎡にも及ぶ大きな常設展示室には、資料の入れ替えを定期的に行いながら常時およそ2,000点もの資料を展示。江戸の家屋、経済活動、行事など、様々な展示がある空間は、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのよう。常設展示は大きく分けて「江戸ゾーン」「東京ゾーン」のふたつがあり、現代までの移り変わりを学べる「東京ゾーン」をご紹介します。現代への繋がりが見えてくる「東京ゾーン」明治維新を経て、江戸幕府が終わりを迎えるとともに江戸は「東京」と改称し、文明開化が始まります。西洋文化の影響を顕著に感じられる、鹿鳴館やニコライ堂、銀座煉瓦街などの精巧なジオラマは必見です。それぞれ1時間に3回模型が動くので、音や照明による演出をぜひ楽しんでみて。明治初期の庶民の暮らしは、まだ江戸時代からさほど変わらないものでしたが、明治政府が進めた殖産興業の政策により徐々に近代化されていきます。日本で初となるエレベーターが設置された「凌雲閣(浅草十二階)」は関東大震災により倒壊してしまいますが、大きな復元模型で再現されており、思わず記念撮影したくなるほど迫力があります。関東大震災により大きな被害を受けながらも、東京は郊外化が進み、大東京ができあがり、人々の生活も大きく変化します。展示の中でも「大東京35区・鉄道路線」と「人口の変遷地図」は多くの人が足を止めて見入っていました。タクシーとして利用されたフォードA型・4ドアセダンの実物も展示されています。その後、日本は長い戦争状態に入ります。戦時中の生活が分かる住まいの模型、東京大空襲の様子など、辛い時代を乗り越えて現代へ至った歴史背景が語られています。懐かしのあの時代も歴史として展示80年代、90年代の展示ゾーンは、見覚えのあるモノたちばかり。自分も過ごした懐かしのあの頃が歴史として展示されているのは、なんとも不思議な気分になります。「今この一瞬も歴史になっていく」と改めて実感させてくれる「江戸東京博物館」。何気ない日常がもっと面白く見えてくるかも知れません。取材・文/中野さゆみスポット情報スポット名:江戸東京博物館住所:東京都墨田区横網1-4-1電話番号:03-3626-9974
2017年03月29日「江戸東京博物館」江戸ゾーンをご紹介♪JR両国駅西口から徒歩3分、高床式の倉をイメージして造られたユニークなデザインの大きな建物が江戸東京博物館です。約9,000㎡にも及ぶ大きな常設展示室は、大きく東京ゾーンと江戸ゾーンに分かれており、今回は江戸ゾーンにフォーカスしてご紹介します。お江戸の町を疑似体験できる! 原寸大の日本橋常設展示室のスタートは、大きな橋を渡ります。これは、江戸に幕府が開かれた1603年にかけられた日本橋の模型。高さと幅は実寸大、長さは実際の寸法である25間(約51m)の半分で造られています。渡った先には、この日本橋を含めた江戸の町並みが広がるジオラマ模型が。人形も指先、足先まで精巧に造られており、思わず見入ってしまいます。周辺には、江戸城と町割りをテーマにした展示がなされています。大名の駕籠に乗って、お殿様気分♡ここで体験できる人気スポットが、大名の駕籠です。実際に美作国津山藩藩主が使っていた駕籠の複製で、乗り込んで写真を撮ることができます。タイムスリップ! 江戸の町人の暮らしを体験エスカレーターを一つ下りると、町の暮らしをテーマにした展示エリア。当時の雰囲気が分かる、数多くの実寸大模型が連なっており、まさにタイムスリップした気分になります。江戸の一般的な住宅“棟割長屋”で出産シーンやお台所、寺子屋など、実際の町人の暮らしの様子を覗きこんでみたり。町火消が使った15㎏もある纏を振って、あまりの重さに情けないほどぎこちない動きになってしまったり、江戸時代のファストフード“江戸前寿司”のレプリカを見て、当時の一貫の大きさと赤酢によってシャリが赤みがかっていることに驚いたり。現在の暮らしに紐づく、興味深い展示ばかりです。江戸ゾーンのフィナーレ! 原寸大の中村座日本橋を渡っているときに脇に見えるほど大きい建物は、江戸の代表的な歌舞伎小屋である中村座の正面部分。原寸大で復元されています。人気のフォトスポットで、実際にここを舞台に、落語をはじめ、三味線や尺八といった古典芸能を間近で楽しめる催し物も開催されています。館内をぐるりと一周したあとは、江戸時代が決して現代とほど遠い存在ではなく、ぐっと近づいたような感覚になります。大人になったからこそ感じられる、驚きや発見がここでは待っているかも知れません。取材・文/中野さゆみスポット情報スポット名:江戸東京博物館住所:東京都墨田区横網1-4-1電話番号:03-3626-9974
2017年03月22日東京ミッドタウンにて開催される10周年記念イベント「江戸富士(EDO-FUJI)」にて、ネイキッドによる屋外インスタレーションのプロジェクションマッピング「aeru(アエル)」が公開される。期間は、2017年3月17日(金)から4月16日(日)まで。「江戸富士」は、“JAPAN, THE BEAUTIFUL”をテーマに、日本が世界に誇るシンボル、富士山を表現する東京ミッドタウン10周年記念のモニュメント。高さ約6m、幅約23mのスケールで広大な芝生広場に登場する同モニュメントは、プラントハンターの西畠清順が手がける。そして「aeru」は、このモニュメントをプロジェクションマッピングと照明で飾る大規模なインスタレーションだ。LEDによる照明演出で表現される富士後光や逆さ富士は、本物の富士山とは一味異なる日本の美しさを届ける。演出は4つのシーンからなる。シーン1では雲海の中から徐々に見える太陽の後光を受けながら、富士山がその雄大な姿を現す。そしてシーン2では、全貌を表した富士山に四季が訪れ、春夏秋冬それぞれの美しい光景が一面に広がる。次に表現するのは、東京ミッドタウンと富士山の出会い。ふもとに東京ミッドタウンが登場し、街から光の粒子が放たれることで富士山が放つ光の粒子と融合する。最後に出くわすのは、四季をめぐる富士山。四季のうつろいと共に富士山の姿が次々と変化しクライマックスへとつながる。京都・二条城や日本橋三井ホールなどでの演出も手掛けるネイキッドが、日本の富士山をどのように表現してくれるのだろうか。“日本の美しさ”をデジタルの掛け合わせで幻想的な世界へと導き、来場者を魅了する。【詳細】■江戸富士場所:東京ミッドタウン・ガーデン芝生広場会期:2017年3月17日(金)~5月28日(日) 時間:11:00~21:00■ネイキッドによるプロジェクションマッピング「aeru」会期:3月17日(金)~4月16日(日)時間:18:00~21:00映像演出時間:毎時00分、10分、20分、30分、40分、50分※各回4分※上記以外の時間はライトアップを実施入場料:無料
2017年03月18日東京都江戸東京博物館では、2017年2月18日(土)~4月9日(日)の期間中、特別展「江戸と北京 -18 世紀の都市と暮らし-」が開催されています。「萌葱地葵紋付小紋染胴服」徳川家康/所用[重要文化財]江戸時代・初期江戸東京博物館蔵本展では18世紀を中心に、江戸と北京のなりたちや生活、文化を展観し比較します。これまで清朝の芸術や宮廷文化に関する展覧会は数多くありましたが、北京の都市生活を江戸と比較する企画は、今回が初めて。展示を通して友好と相互理解を深める契機となりそうです。展示のみどころは?●江戸・北京の街並みを描いた絵巻の競演『万寿盛典』(康煕六旬万寿盛典図)清時代・1717年(康煕56)中国・首都博物館蔵江戸・日本橋の賑わいを描いた「熈代勝覧」と、乾隆帝 80 歳の式典に沸く北京の風景を描く「乾隆八旬万寿慶典図巻」、そして康熙帝 60 歳の式典を描いた「万寿盛典」を出陳し、同時代の江戸と北京を一目で比較できるようになっています。さらに絵巻に描かれるような当時の看板や商売の道具なども合わせて展示して、当時の風景を立体的に展観します。「権門駕籠」江戸時代江戸東京博物館蔵●それぞれの都市の生活・文化を比較展示歌川広重「名所江戸百景水道橋、駿河台」江戸時代・1857年(安政4)江戸東京博物館蔵商売、歳時、学問や遊びなどの様々なテーマをもとに資料を展示し、似ているようで違っている江戸と北京の生活と文化を比較します。それぞれの文化からみえる当時の暮らしも、興味深いですね。●首都博物館所蔵の名品も登場景徳鎮窯「青花御窯廠図磁器板」清時代・道光期(1821~1850)中国・首都博物館蔵首都博物館秘蔵のコレクションから、清代の芸術文化を伝える名品を展示。江戸の人々も憧れた絵画や陶磁器など、優れた美術品の数々が紹介されます。美しい芸術品から、当時の人々の文化を読み解きましょう。「明黄色納紗彩雲金龍紋男単朝袍(礼服)」雍正帝/所用清時代中国・故宮博物院蔵■開催概要展覧会名: 特別展「江戸と北京 -18 世紀の都市と暮らし-」会期: 2017年2月18日(土)~4月9日(日) 44日間※月曜日休館〈ただし、3月20日(月・祝)は開館、翌21日(火)は休館〉会場: 東京都江戸東京博物館 1階 特別展示室(東京都墨田区横網1丁目4番1号)お問い合わせ: 東京都江戸東京博物館 03-3626-9974(代表)公式HP
2017年02月21日1月28日(土)から5月21日(日)まで開催される注目のアートイベント「スーパー浮世絵 江戸の秘密展」。100点以上の高精細デジタルデータにした浮世絵を巨大化し、最新のテクノロジーを駆使して映像世界を創り出します。世界で最も美しいと名高い浮世絵コレクションを映像で体感!浮世絵の世界に誘うガイド役のキャラクターの声を務めるのは、歌舞伎俳優の六代目片岡愛之助さん。知られざる浮世絵の魅力を伝えてくれます。超高精細デジタルデータ化された浮世絵は、ボストン美術館所蔵の作品。なかでも、世界で最も美しいと称される門外不出の「スポルティング・コレクション」の浮世絵は、描かれた当時の色彩に近い状態とのこと。デジタルアートとして目にできるのはとても貴重な機会です。お江戸を賑わせた、イケメン&美女が勢揃い3フロアある会場では、葛飾北斎や歌川国芳、歌川広重など、スター絵師の名作を映像化してコラボ。「日本橋」「江戸時代の女性のファッション」「イケメン」「バケモノ」のゾーンに分かれ、江戸のトレンドや文化を感じることができます。作り込まれた立体空間もあいまって、まるで江戸時代に紛れ込んだかのような感覚に。江戸時代の大衆文化を今の世に伝える浮世絵。その煌びやかな世界に浸ってみて!取材・文/末吉陽子店舗情報店名:スーパー浮世絵 江戸の秘密展住所:日本橋茅場町「特設会場」東京都中央区日本橋茅場町1−8−1 茅場町1丁目平和ビル営業時間:2017年1月28日(土)~5月21日(日)平日10:00~21:00、金・土・祝前日10:00~23:00、日・祝日10:00~19:00
2017年02月03日特別展「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」が、東京都江戸東京博物館で開催される。会期は、2017年2月18日(土)から4月9日(日)まで。18世紀は、江戸の人口が100万人を超え都市として発展を遂げたのと同時に、北京が清朝の首都として最も繁栄を極めた時代。日本と中国には文化交流の長い歴史があり、江戸時代の「鎖国下」においても中国貿易は公認され、長崎を窓口として、文物の流れが滞ることはなかった。本展では、繁栄の時代である18世紀を中心に、江戸と北京のなりたちや生活、文化を比較。江戸・日本橋の賑わいを描いた「熈代勝覧」と、乾隆帝80歳の式典に沸く北京の風景を描く「乾隆八旬万寿慶典図巻」、そして康熙帝60歳の式典を描いた「万寿盛典」が出陳され、同時代の江戸と北京を一目で見比べることができる。また、商売、歳時、学問や遊びなどの様々なテーマをもとに資料を展示し、それぞれの生活や文化を民衆の側面からも分析。加えて、清時代の「青花御窯廠図磁器板」などの首都博物館所蔵の名品も展示され、日本初公開の中国作品が多数紹介される。清朝の芸術や宮廷文化に関する展覧会はこれまでにも開催されたことがあったが、北京と江戸の都市生活を比較する企画は今回が初めて。両都市の共通性と違いを感じ取り、新たな相互理解を深めるきっかけにしてみてはいかがだろう。【概要】特別展「江戸と北京-18世紀の都市と暮らし-」会期:2017年2月18日(土)〜4月9日(日)※月曜日休館(ただし、3月20日(月・祝)は開館、翌21日(火)は休館)会場:東京都江戸東京博物館 1階 特別展示室住所:東京都墨田区横網1-4-1観覧料:特別展専用券 一般 1,400円(1,120円)、大学生・専門学校生 1,120円(900円)、中学生(都外)・高校生・65歳以上 700円(560円)、小学生・中学生(都内) 700円(560円)特別展・常設展共通券 一般 1,600円(1,280円)、大学生・専門学校生 1,280円(1,020円)、中学生(都外)・高校生・65歳以上 800円(640円)、小学生・中学生(都内) なし特別展前売券 一般 1,190円、大学生・専門学校生 910円、中学生(都外)・高校生・65歳以上 490円、小学生・中学生(都内) 490円※( )内は20名以上の団体料金※次の場合は観覧料が無料。未就学児童。身体障がい者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳の持参者と付添者(2名まで)。※小学生と都内在住・在学の中学生は、常設展示室観覧料が無料のため、共通券の販売なし。【問い合わせ先】東京都江戸東京博物館TEL:03-3626-9974(代表)
2016年12月01日開業以来45年の人気、モツ焼き店「江戸っ子」テレビにもよく出ている、庶民派の食通行きつけのお店です。東京・立石で開業以来45年の人気を誇るのが、モツ焼き店「江戸っ子」。「京成立石」駅からすぐです。下町情緒たっぷりのお店は16時の開店直後すぐ満席になり、外のベンチにお客さんが列を作っていることも。ふわりと漂うモツ焼きの香ばしい匂いをかぎながら待つ時間も楽しみの一つです。リタイア世代が散歩がてらやってきてオープン直後から酔っぱらっていたり、昼過ぎから他のお店をはしごして、2軒目の人もいたり。そういった常連さんだけではなく、仕事帰りの会社員や、評判を聞いて遠くから訪れる人など、年代・性別問わず大勢のお客さんが集います。人情あふれる交流ができる呑んべ横丁かなりご年配のおじさまとも、ひじが触れるほどのカウンターで隣同士になれば初対面でも思わず会話が弾みます。出会いを求めに行く横丁とは一線を画す人情あふれる交流に、心があたたかくなるはず。もつ焼きや煮込みは各360円、特製ハイボールは350円など、リーズナブルでボリュームたっぷりのメニューがズラリ。おいしさについついお酒も進みそうですが、飲み過ぎると「もうやめときなさい」とおかみさんに止められることも。そんなお母さんのようなおかみさんに会いに行くのも、「江戸っ子」の魅力です。初心者向け度★★☆フレンドリー度★★★コスパの良さ度★★★スポット情報スポット名:立石横丁 江戸っ子住所:東京都葛飾区立石7-1-9電話番号:03-3694-9593
2016年10月02日七五三で、ママも着物デビューしてみませんか?もうじき七五三。子どもの衣装は「和服かな?ドレスかな?」、「男の子だからカッコイイ、羽織&袴をつけさせたい!」などとずいぶん前から画策していることと思います。ところで、ママの着るものってどうします?スーツ?ワンピース?でも、でも…。子どもが和服を着るならば、ママだって和服を着てみたいと思いませんか!?というわけで、着物デビューをめざしたママのために、「はじめて作る、ママの着物」について書いてみたいと思います。実は着付け講師の資格を持っています!その前に、ちょっと自己紹介を書かせてください。実は、私、着付け講師の資格を持っているんです。それこそ七五三の独特の着付けや、成人式で結ぶ「ふくら雀」や「文庫」、花嫁衣装の「立て矢」なども練習してきました。でも、3人目で娘が産まれるまで、全然この特技を活かせなかったんですよね。今年の秋は、末っ子が数え年で3歳。いよいよ母娘で着物を楽しめる!と今からウキウキしています。そもそも、「着付けを勉強しよう」と思ったのは、長男が卒園を迎える年。「卒園式で着物を着たい!」と思い、着付けのできる祖母にお願いしたところ……。「もう体力的にできない」と突然のギブアップ宣言。というコトから自立を志したワケです。その時は、「訪問着」と「袋帯の二重太鼓」のみ、短期間で特訓してできるようになりました。ここから着物の面白さにはまり、細々と6年くらい勉強してきました。最近、友禅染めにも手を出して、本当にマイペースにですが勉強を重ねています♪ちなみに、七五三でママが着る「訪問着」と「袋帯の二重太鼓」なら、5~6時間みっちり特訓すれば着れるようになりますよ。はじめて作る着物、どんなものを選べばいい?着物にはいろいろな種類があります。訪問着、色無地、付け下げ、小紋…。でも、突然こんな言葉が出てきても意味が分かりませんよね。洋服でいえば、「フォーマルのスーツ」「きちんとしたワンピース」「カジュアルなニット」「喪服」「カジュアルワンピ」などを、TPOで使い分けます。着物も同じ。TPOによって、着ていく着物や帯が異なってきます。着物を着ようと思ったら、着物と帯だけでなく、襦袢や足袋、草履、帯締めなどの小物類や紐などの道具類も必要。それらすべてを揃えると、かなりの出費です。七五三、入園式、卒園式、入学式、ついでに卒業式まで「コレさえあれば!」という一着を選ぶなら…?どんな着物を選べばいいのでしょうか?個人的な意見も入れながら書いていきたいと思います。始めての着物は、「紋」のない「訪問着」「付け下げ」を七五三、入園式で身につけるのは、洋服の場合、「フォーマルなスーツやワンピース」です。着物の場合、「色留袖」>「訪問着」>「付け下げ」>「紋の入った色無地」>「江戸小紋(柄による)」あたりとなります。この中だと、色留袖が最もフォーマルで順に正装度が下がっていきます。で、どれを選べばいいの?という話ですが、色留袖だとちょっとフォーマルすぎるかな……という感じ。従姉妹や姪くらいの関係性の身内の結婚式で既婚者が着るものくらいのフォーマル感です。また、「紋の入った色無地」「一つ紋の入った江戸小紋三役」は始めてつくる着物にはちょっと向いていないかなと思います。(単純に、絵がないので選び甲斐がなくてつまらない…という理由もあります。それにステキな色無地や江戸小紋は非常に高価です)お茶をやっている方なら使い勝手がいいでしょうが、子どもの式で着用するには、少し寂しいかもしれません。「旅館の人!?」みたいに見られちゃう可能性もアリ。というわけで、「訪問着」「付け下げ」がはじめての着物にオススメです。着物のリサイクルショップにもたくさん置いてありますし、値段もお手頃なものがあります。紋はあとから付けることもできるので、いろいろ着物が増えてきて「この着物をもう少しフォーマルにしたいわ」などというときに付けることもできます♪ちなみにコレがはじめて作った「付け下げ訪問着」。訪問着みたいな柄ですが、付け下げです。20代前半で購入しましたが、今でも現役。藤と椿が描かれており、季節を問いません。有名ホテルの結婚式に着るには少しカジュアルですが、卒園式や七五三、レストランウェディングくらいにぴったりな感じ。こんな感じのものが、もっとも使い勝手がいいです。はじめての訪問着は…仕立ては、季節的に「袷(あわせ)」でOK着物には仕立て方があります。スーツやワンピースでもウールの厚地なら冬というように季節感がありますが、着物にもあります。袷の着物は、裏地のある着物のこと。だいたい10月~翌年の5月くらいまでの間に着用します。6~9月が裏地のない単衣で、真夏の7~8月は絽や紗の着物を着用します。七五三、入学式、卒園式などはすべて袷の季節。そのため、これは何も考えないで「袷」を選びましょう。着物の色は?七五三、入園式、卒園式、入学式などは“子どもが主役”。つまりママは、子どもの引き立て役です。スーツも紺や黒など控えめな色をチョイスしますよね。着物のもそれに準じるとよいかと思います。上記の訪問着は、紋も入っていてフォーマル度は高いのですが、主張しすぎな感じがしませんか?それにインパクトのある着物なので、絶対覚えられてしまいます。幼稚園や小学校だと保護者の顔ぶれって変わらないですよね。なので、「あの時着てた着物?」「いつも同じの着てるよね」と思われるのもなあ…って部分もあるかと思うんです(笑)。和服は、色あいがとても複雑なため、似合う色調のものを選ぶのも楽しみのひとつ。織りや染めの技法によって、同じ色でも全然違って見えるので、いろいろ試着してみるといいと思います。「淡い藤色」「若草色」「爽やかな水色」「薄いピンク」「クリーム色」などは、「ミセスっぽく」「品よく」「格好よく」決まりやすいと思ってます。着物の柄は?実はコレがやっかい!着物の場合、「季節を先取りした柄を着る」というのが粋とされています。つまり、「ススキ」の柄の着物なら9月、「ウグイス」なら2月といった感じです。これは覚えておいてソンはありません。でも、はじめての着物を買うなら「季節感のないもの」ということになりますね。なかでも、使い勝手がいいのが「お祝いの柄」。黒留袖の定番、「鶴」「松」が代表例です。他にも、「宝づくし」「鳳凰」などなど吉祥文様にはいろいろあります。それから「古典柄」と呼ばれる「鼓」や「御所車」なども季節を問いません。こちらもお祝い事にぴったりです。お花がいいわ!という方は、また「春秋」と呼ばれる「違う季節の花が一緒に描かれたもの」や「洋花」を選ぶとよいでしょう。先ほどの派手な訪問着は、アップにすると分かりますが、松と梅の刺繍や、地紋に亀甲や笹が入っていて季節を問わず、そして縁起もいいのです。こういう季節を問わない縁起のいい柄は、スーツでいえば、ミス・アシダやハナエ・モリの紺スーツのように「とりあえずこれ着ておけばOK」という安心感が持てるものです。以下の写真のように、いかにも冬の着物!というような寒色のグレーに山茶花(寒椿かも?)がドーンじゃなければ、イマドキの着物はいつでも着られるようにできているもののほうが大半です。帯の種類は?マスターすべき帯結びは?こちらは「袋帯」で締め方は「二重太鼓」。これが基本スタイルです。フォーマルな名古屋帯で太鼓結びでもOKではあるのですが、「最初の1着」で「七五三」ということならば、「袋帯」をチョイスしましょう。ちなみに上が袋帯で、下が名古屋帯。名古屋帯は短く、途中から半分になっているのが特徴です。帯の色や柄は?まず、吉祥文様や有職文様と呼ばれる柄が個人的にとても使いやすいと思っています。有職文様というのは、モチーフに菱紋や亀甲紋、七宝などがあり、中国唐朝の模様から作られた伝統的な模様です。(お寺でよく見かけるアレです)この2つは、格調も高くなるので、この模様の帯さえしていれば安心という鉄板模様でもあります。白っぽい色に金銀が入っているものは、たいていの着物に合わせられるし、黒留袖でもいけるし、1本もっておいてソンはない帯といえるでしょう。もっと華やかなのがいい!という方は、「礼装用の袋帯」の花柄のものを選ぶのがオススメ。「花扇」などが定番モチーフです。オレンジなどの派手な色よりも、クリーム色っぽいものを選んだほうが、後々あわせやすいです。着物と帯の組み合わせは、どうする?色数を少なくすると、スッキリ、格好よく、ステキに見えます。コントラストの強い組み合わせ「水色の着物にクリーム色の帯」とか「藤色の着物に若草色の帯」などもステキなんですが、洋服でいうと「黒いワンピースに赤いベルト」みたいな上級テクニックな部分もあるので、無難にいくなら「似た色同士」かと…。というわけで、これならスッキリ、センスよく見えるのではないかなというセットを作ってみました。行雲に牡丹の帯なので、入学式や入園式に着るとピッタリです。小さな子どもを連れたフレッシュなママをイメージした組み合わせです。オシャレな着物の着方をめざしたいですよねっ♪…というワケでまとめ!最初の1着に選ぶのは■紋のない袷の訪問着、もしくは付け下げ■お祝い用袋帯■柄は古典柄・吉祥柄・春秋柄など季節を問わないもので、色は控えめ■着物と帯の色調をあわせるここまで絞り込んでいけば、選びやすくなったはず。着物デビューを考えてみては?
2016年09月20日わずか数センチという小さなチップに、どこまでも繊細で美しい柄を描くネイルアーティストのHana4(はなよ)さん。技を極めた伝統工芸の世界を尊敬する彼女が「いろんな伝統工芸の匠と出会って作品をつくりたい」と訪ねた一人が、江戸小紋の染色作家・小宮康正氏だ。祖父、父を重要無形文化財保持者(人間国宝)にもち、自らも染色職人として高い技術を誇る小宮氏と出会い、語り、感じたこととは?そして、その経験からつくりだされたネイルアートはいかに。ここに、Hana4×江戸小紋のコラボレーションが生まれた。>>江戸小紋職人・小宮康正さんを訪ねてネイルアートの世界で群を抜く、緻密で美しい世界を描く彼女は、技を極めた匠の職人を心から尊敬している。「ネイルアートを通じて若い世代に伝統工芸を身近に感じてほしい」と、その世界から得たインスピレーションをネイルアートで表現することを始めたのだ。■ネイルチップに込められた江戸小紋のストーリー夜明けまでかかって仕上げたという江戸小紋のネイルアート。ひと目見るだけでその細かさに目を奪われるが、それだけではない。小宮氏の工房で見せてもらった「型つけ」の作業から、生地に色が入るまでのストーリーが、小さなチップの中に表現されているという。「一番左が精巧な文様が入った“伊勢型紙”を表しています。この型紙の文様が、真っ白な絹に群青色の糊で写されていく様子を、最初の3つで表現しました。そして、4番目は染めが終わったところ。ここで白とネイビーの点が反転しているんです。5番目は、いろんな色、たとえばグレーとかネイビーとかグリーンとか現代的な色を入れたら、柄自体は変わらなくても見え方は変わるのかなと想像しながら描いてみました」。型紙の上から防染糊を置く「型つけ」がされたもの。染めたときに、群青の糊がついた部分は染まらず白く残る。実際にHana4さんがiPhoneで撮影したインスピレーションを受けた始まりの画。■“星”をめぐる小宮氏の言葉いつもなら何も見ずにサラサラ描けるHana4さんの手が、今回は止まる時間が長かったという。工房のことを思い出しながら、撮らせてもらった写真を見ているうちに、「あれ?“星”が写ってるぞ」、と気づいたという。星とは、型紙にあるほんの小さな点。継ぎ目をずらすことなく文様を写してゆくためにとても大事な点だ。この小さな星を見て、Hana4さんのデザインはスッと決まった。小宮氏は、師匠でもある父親から「40歳までに自分の仕事を終えろ」と言われて、実際に35歳のときに終わった瞬間を悟ったという。ほんの少し星がずれてしまったこと、それに妥協してしまった気力の衰え…。他人から見ればなんら変わる事ない仕事ぶりでも、本人には終わったと分かる瞬間があるのだという話を、型付けの作業を見ながらしてくれたのだ。「私も目と指を駆使する細かい仕事なので、いつか体力・気力に終わりがくるということをずっと恐れている部分もあるんです。だから、小宮先生が自分の終わりに気づき、それを受け入れたときの気持ちは絶対に簡単なものじゃなかったんだろうなって想像できた。でも、この話を聞いて、私がいま、こうやって怖がったり、悩んだりすることは意味がないわけじゃないんだとも思えたんです」。星まで表現した3つのチップ。4つ目からは頭に伊勢型紙がインプットされたかのように、何も見ずに描けたというから驚きだ。■ひとつひとつの点を丁寧に打ち続けるHana4さんが小宮氏の話の途中で思わず泣いてしまうシーンがあった。「やり続けて飽きることは?」と聞かれた小宮氏が、「本当にうまくいったという仕事はない、だからやり続けるしかない、1日1日を生きるしかない」と答えたときだ。「ネイルも同じことを繰り返しているように見えるけれど、同じ時間はひとつもないんです。いい感じだなとか、今の点は失敗したな、とか。小宮先生も「自分の打つ点にも違いがあって、息子さんが打った点もまた違って、それは個性だ」ということを言われて。そこにすごく共感できて、必至になってネイルを描いている自分も間違いじゃないんだって、嬉しかったです。このチップを作っているときも、点のひとつひとつが違っていいんだな、個性って言ってもらえるんだな、と自信をもって丁寧に点を打ちました」。■伝え続けるということ「技術者として終わりがあっても教えることに終わりはない。それを続けていけば次の世代につながることになる」、そうHana4さんは言う。小宮氏は息子に伝え、Hana4さんもセミナーを通じて生徒に技や、伝統工芸を通じて感じた「道具を大切にする精神」までもを伝えている。そして、伝統工芸の心をネイルアートに乗せて伝えるという仕事にも魅力を感じている。「このチップで私がシェアしたいのは、小宮先生のこれまでの決意だったり、つないでいる伝統だったりです。柄だけをうまくコピー&ペーストできる人はいると思うし、模倣はいいけれど、それで紹介されても困る(笑)。デザインのシェアはして欲しいけれど、今回はストーリーを伝えたいのです。あと、心に残っているのは『伝統は最先端』という言葉(※)。これは伝統をつないでいる小宮先生だから言える言葉だし、ネイルはまだまだ伝統でも文化でもない。そういう部分で羨ましかったり、いろんな感情が生まれていた気がしています」。小さい頃から絵が大好きで、色に魅せられたというHana4さん。「色になりたい!」と願った少女が、ネイルアートという世界をひとつの“文化”にまで押し上げようと奮闘している。小宮氏の自宅に飾られていた、江戸小紋の人形たち(左)小宮康正氏(右)Hana4さん(注釈)※「そのままでは世の中に受け入れられない。変わる事によって伝統は受け入れられ、止まった時点で滅びるとすると「伝統は最先端」でないと生きられないのが現実」と取材時に小宮氏が語った。■ProfileHana4(はなよ)ネイルアーティスト。ファッショッンプレス、エディターアシスタントなどを経てネイリストからフリーランスネイルアーティストとなる。キャンバスに描くように繊細な絵を描くネイルアートはインスタグラム等でも「すごすぎる」と話題に。現在はサロンをもたず、ファッション誌や講師として活躍中。ちなみに、大学時代はテキスタイルを学び、3Dでの色の表現に苦労したとか。「私はやはり平面が好きです!」
2016年09月18日美しい絹に施された細かい紋様。遠目に見るとただの点のようにも見えるが、近づくとそれは緻密な紋様であることがわかる。鮫紋様、通し紋様から、桜や菊、動物紋様など繊細な柄が江戸小紋の特徴だ。小宮康助さん、康孝さんと二代続けて重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている江戸小紋の名門、小宮染色工場。東京・新小岩にある工房に三代目・小宮康正さんを訪ねた。江戸小紋のルーツは室町時代といわれ、技術の発展と共に江戸時代に広く普及した。武士の裃に使用されていたものが江戸中期以降の平和な文化の中で花開き、やがて武家文化と共に発達した江戸小紋は庶民にまで愛されるようになった。「江戸小紋という名称は古いものじゃないんですよ」と小宮さんは言う。昭和30年、祖父である小宮康助氏が重要無形文化財保持者に認定された際に名づけられ、まだ60年ほどしか経っていない。■変わることが伝統をつなぐこと江戸小紋はいわゆる型染めといわれる技法を使う。和紙を2枚から4枚重ねて柿渋で張り合わせた渋紙に模様を彫った型紙を使って染めてゆく作業が小宮さんの仕事だ。熟練を要する「型付け」の作業を行なう工房を訪ねると、そこは真っ暗。もみの木の1枚板が置かれている。生糊(もち米と糠でできた糊)が塗られた板に霧吹きで水をかけ、糊の粘りを戻す。そこに白生地を貼ったらいよいよ「型付け」だ。固定された生地に型紙を置き、糊をヘラで塗ってゆくと、型紙が彫られたところだけ糊がついて模様を描いてゆく。糊には防染材が入っていて、そこだけ染まらないようにしているのだ。型付けが終わると生地を干し、「しごき」と呼ばれる地色染め、蒸しなどの工程を経て、ようやく美しい小紋ができあがる。「作業は早ければ早いほどいい仕事。そのための段取りと腕を磨くことが大事」と小宮さんは言う。伝統的技法の中においても「新しいものがあれば伝統技法の中にも取り入れていく」というのが、小宮さんの考えだ。たとえば染料。現在の江戸小紋では合成染料を使っている。「昔のままのものを、ただそのまま続けるのでは世の中に受け入れてもらえない」と小宮さん。伝統というのは変革の積み重ねであり、素材にしても、技術にしても変化が止まった時点で伝統は滅びてしまう。変わるのは染料や技法だけではない。現在は昔のように丁稚から修業を始めるわけではなく、学校を出てから修業を始める職人が主なので寝食を共にし、雑用をしながら技を習得するだけの時間がない。また、かつては型付けの工程も霧吹きを使わず口で霧を吹いたというが、今ではもう、その手法はとられない。そうやって伝統をつなぐ現場も環境も変わっていくのが当たり前なのだ。■伝統を継ぐ中で生まれた「小宮の色」小宮さんが生み出す江戸小紋の美しさは柄のみならず、その奥深い色にも心惹かれる人は多い。その色を生み出すのは「色の性質」だという。染料はすべて顔が違う、性格も違う。繊維の途中でとどまる性質の染料もあれば、すっと染みこんでゆくものもある。決して一定ではなくまさしく玉虫色。色は2次元でなく3次元の世界なのだ。この色の掛け合わせの奇跡を起こせるのは、やはり経験によるところが大きい。「色は目で見るのではなく、頭で考えて判断するんです。性質を知って“この染料を組み合わせたらこういう雰囲気の色が出るだろう”と。目だけで見ていると、お客様の希望の色を重ねたときに、色は合っているけれど雰囲気が合わないということもある」。色は3次元。空や海や宝石が愛されるように、自然にある色を人は好み、安心する。だから「小宮の小紋は飽きない」―― お客様にそう言ってもらえるのだ。■人から人へとつなぐ伝統人間国宝と称されることのほうが多い「重要無形文化保持者」。小宮さんの祖父・父も認定されている。江戸小紋という物ではなく、その技自体を重要文化と認定する制度だが、祖父と父は、そこに取り組む姿勢や、それを次の世代に伝えるという使命も背負ってきた。「祖父は、伊勢型紙が滅びる前にと、向こう100年分の型紙を作らせて残したんです。でも、当時彫られた型は一切使用していません。なぜなら、現在の紙漉き職人がいて、鍛冶職人がいて、型紙職人がいるから。次の世代が育ってはじめて伝統はつながります。100年分の型を作るという仕事が、江戸小紋を支えるこやしになっていることが素晴らしいことなんです」。小宮さんは同じく江戸小紋職人である父から「40歳までにすべての仕事を終りにしろよ」と言われた。そして、自身が35歳の時に“終りを感じる瞬間”があったのだという。少しの妥協、気力の違い。それは、周りは決して気づくことができない、自分の中だけの変化だった。「それを補うのは年齢を重ねての味。経験を重ねることで会得したものが、こやしになると思います。だから、いまは一日一日を生きるしかない。毎日を積み重ねて、作りつづけることだ。」と小宮さん。しかし、小宮さんは言う。「それでも、何かを生み出すという心や、ものづくりに取り組むという姿勢は変わりません。その心や姿勢を伝えることで、人から人へ伝統はつながっていくと思っています」。ひたむきに江戸小紋と向き合う小宮さんの仕事、そして言葉から、伝統とは遥か彼方のものではなく、そこにあるもの。守るだけでなく伝えてゆくという、日々の営みなのだということを知った。【Profile】小宮 康正(こみや やすまさ)1956年生まれ。中学卒業後より父である康孝氏に師事。24歳で日本伝統工芸展に初入選。2010年紫綬褒章を受賞。現在、長男・次男共に父のもとで修行中。>>ネイルアーティストHana4さんが江戸小紋と出会う
2016年09月18日おばけ屋敷、ホラー映画など「怖いもの見たさ」で盛り上がるのは現代人だけにあらず。幕末から明治初めに江戸っ子の間で巻き起こった空前のホラーブーム。名だたる絵師が怪談、史実や実際の事件を元に描いた浮世絵が大流行したとか。この夏、太田記念美術館ではこれらの作品が一堂に会します。累(かさね)、お岩といった恨みを遺した「幽霊」たち、化け猫や大蜘蛛、怪異を引き起こす「化け物」、殺人や自害の様子を描いた凄惨な「血みどろ絵」など、想像力と画力に圧倒され、汗も一気に引いてしまいそう。江戸っ子もこうやって暑気払いしていたのかも!?◇「怖い浮世絵」太田記念美術館東京都渋谷区神宮前1-10-10開催中~8月28日(日)10:30~17:30(入館は17:00まで)月曜休一般700円TEL:03・5777・8600学芸員によるスライドトークを8月4日(木)・12日(金)・23日(火)に開催。◇江戸後期、歌舞伎では幽霊が登場する話が流行。「色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ)」で夫に裏切られる累はお岩、お菊と並び江戸三大幽霊の一人とも。歌川国貞(三代豊国)「見立三十六歌撰之内藤原敏行朝臣累の亡魂」(太田記念美術館蔵)◇主人公、伊右衛門の夢に美しい娘姿で現れたお岩。よく見ると髪が抜け落ち骨も露わな幽霊の姿が。『東海道四谷怪談』を下敷きに、四代目市川小団次が演じた場面。◇「血みどろ絵」の第一人者・月岡芳年が戊辰戦争の際、実際に取材したとも。戦国武将・冷泉隆豊が謀反を問われ切腹する際、自らの内臓を投げつけたという逸話を描く。◇手ぬぐいをかぶって踊る化け猫の精の背後に、巨大な化け猫が。中央の乙女も、実は化け猫の仮姿。歌舞伎『東駅(とうかいどう)いろは日記』岡崎の宿の名場面を、歌川国貞が描いた。歌川国貞(三代豊国)「東駅いろは日記」(三枚続、太田記念美術館蔵)※『anan』2016年8月10日号より。文・松本あかね
2016年08月09日新複合飲食施設「‐両国‐ 江戸NOREN」が、JR両国駅西口に2016年11月25日(金)誕生する。「‐両国‐ 江戸NOREN」のコンセプトは“粋な江戸の食文化を楽しむ”。外観は1929年に建造された歴史ある両国旧駅舎の面影や懐かしさはそのままに、直線とアーチ型にデザインされた3つの大きな窓、中央に配した駅時計をポイントとした新デザインにリニュアール。また、館内は江戸の町屋を意識した開放的な吹抜けの空間。当時の活気を感じさせる屋台や日本相撲協会監修の本格的な土俵も設置する。そのなかに軒を連ねるのは12の飲食店。江戸流の本格寿司が味わえる「政五ずし」、明治4年創業の老舗「月島もんじゃ もへじ」、そして江戸・東京にあるすべての酒造の日本酒をセルフスタイルで楽しめる「東京商店」といった店舗が、味・素材・料理人にこだわった和食を提案していく。クリスマスを終えた2016年12月26日(月)には「土俵祭り」が開催される。「土俵祭り」は、土俵の安全、無事を祈願するため行われる祭りで、大相撲本場所の前日に行う「土俵開き」のこと。土俵の中央の穴に縁起物である萱(かや)・勝栗(かちぐり)・昆布(こんぶ)等の奉納し伝統的に行われている行事だ。今回は、全12の和食店が軒を連ねる館内の中央に、日本相撲協会監修の土俵を設置。両国国技館の同じサイズの本格的なセットの上で、日本相撲協会による土俵開きが行われる予定だ。見学は誰でも自由に参加が可能。さらに、通常は力士や関係者のみが行う祝詞や神酒の捧ぎ、縁起物の奉納の後に行う榊奉納も、抽選で7名限定で体験することが可能だ。【詳細】-両国- 江戸NORENオープン時期:2016年11月25日(金)住所:東京都墨田区横網1丁目3-20面積:約2,900㎡ 2階建開館時間:10:00~23:30 ※営業時間は店舗により異なる。定休日:1月1日・2日、 施設点検日(不定)店舗一覧:政五ずし、東京商店、月島もんじゃ もへじ、かぶきまぐろ、ちゃんこ霧島、両国橋茶房、つきぢ神楽寿司、根津 鶏はな、天ぷら食堂ひさご、門前茶屋成る口、日本ばし やぶ久、築地食堂源ちゃん■-両国-江戸NOREN土俵祭り開催日時:2016年12月26日(月)16:00~※約1時間程度会場:-両国- 江戸NOREN館内土俵前<榊奉納体験>受付時間:2016年12月26日(月)15:00~※当たりが全て出次第終了。
2016年07月30日「ECO EDO 日本橋 2016 ~五感で楽しむ、江戸の涼~」が、2016年7月8日(金)から9月25日(日)まで、日本橋地区で開催される。江戸時代に日本橋で育まれた、“涼”をとる生活の知恵や工夫を現代流にアレンジしたイベントを街中で開催する「ECO EDO 日本橋」。見て感じる金魚や提灯、着て感じる浴衣、聞いて感じる風鈴など、日本情緒あふれる催しで、納涼気分を盛り上げる。今回初めて実施される「金魚スイーツさんぽ」では、日本橋・人形町エリアの商業施設や老舗など約55店舗が、金魚をモチーフにしたメニューを提供。羊羹でつくった金魚が泳ぐ梅ゼリーや織地あるのエクレアなど、和洋様々な甘味が楽しめる。また、福徳神社に続く参道「仲通り」と「コレド日本橋」のエントランスには、金魚柄の巨大な提灯が登場。総合プロデューサーの木村英智がデザインを監修し、温かみのある光が、粋な金魚街道を作り出す。これらの他に、アートアクアリウムや、納涼金魚ちょうちん船、「第4回日本橋金魚すくいグランプリ」など、様々なイベントが多数展開される予定。限定グッズも発売されるので、イベントに合わせてチェックしてみてはいかがだろう。【概要】ECO EDO 日本橋 2016 ~五感で楽しむ、江戸の涼~期間:2016年7月8日(金)〜9月25日(日)イベント情報(一部):■金魚スイーツさんぽ参加店舗:約55店舗 (5月31日時点) メニュー例:・箔座日本橋「金魚型の食べる金箔と珈琲ゼリー」・日本橋 舟寿し「羊羹でつくった金魚が泳ぐ梅ゼリー」・グルメショップ by マンダリン オリエンタル 東京「金魚が可愛いグレープフルーツゼリーとパッションフルーツ味のエクレアなど」■金魚大提灯期間:仲通り 2016年7月8日(金)〜9月15日(木)、コレド日本橋 7月8日(金)〜9月25日(日)※予定提灯サイズ:高さ約1.8m×幅約1.6mなど【問い合わせ先】日本橋案内所TEL:03-3242-0010(開催期間中 10:00~21:00)
2016年06月04日ホテルニューオータニ東京の日本料理 KATO’S DINING & BARでは9月30日まで、天然水を使用したサツキ江戸スイーツ「サツキ江戸かき氷」が提供される。「サツキ江戸かき氷」は、パティスリーSATSUKIにて「edo SWEETS」を生み出した、グランシェフの中島眞介が考案した期間限定スイーツ。抹茶、マンゴー、メロン、いちごの4種類のかき氷に、それぞれあんこ、黒蜜、ようかんなどの和素材を加え、葛と天然果汁を使用した特製ソースをかけて仕上げた。価格はマンゴー、メロン、いちごが1,800円、抹茶が2,100円となっている。
2016年06月01日浮世絵を通じて江戸の流行を知る展覧会「写楽と豊国 ~江戸の美と装い」が、6月18日から8月14日まで神戸ファッション美術館で開催される。江戸時代、贔屓の役者や評判娘を身近に眺めるブロマイドであった浮世絵。同展では、颯爽と姿を現し、忽然と姿を消した東洲斎写楽と、そのライバルで後に浮世絵界で最大の流派となる歌川派を拡大した歌川豊国を軸にした浮世絵を中心に140点を展示。浮世絵を通じて、当時の流行のしぐさや色鮮やかな着物、柄や模様などの繊細さなどを知り、江戸の賑わう空気を感じられる展覧会になっている。【イベント情報】「写楽と豊国 ~江戸の美と装い」会場:神戸ファッション美術館住所:兵庫県神戸市東灘区向洋町中2-9-1会期:6月18日~8月14日時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)料金:一般500円、小中高生・65歳以上250円休館日:月曜日(7月18日は開館)、7月19日
2016年05月26日三越日本橋本店中央ホールにて3月30日から4月5日まで、三越の包装紙「華ひらく」の生みの親である猪熊弦一郎にフィーチャーした展覧会「猪熊弦一郎と『華ひらく』展」が開催される。同展示会は、猪熊弦一郎が香川県で生まれ育ったことももあり、三越伊勢丹と瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭 2016」とのコラボレーションの一環として開催されるもの。また3月30日からの期間は、戦後間もない1950年に猪熊弦一郎によってデザインされ、三越の顔として現代でも愛され続けているオリジナル包装紙「華ひらく」のデザインを採用した様々なアイテムが全国14店舗の三越各店で展開される(展開アイテムは各店ごとに異なる)。華ひらく柄を採用したラインアップは、廣瀬染工場による江戸小紋ストール、胸元にワンポイントとして華ひらくモチーフを採用したTシャツ、華ひらく柄のペアブリックボトルのミネラルウォーターなど。多彩な表情で暮らしの中にとけこんだ「華ひらく」をじっくりと楽しむことができる機会となっている。
2016年03月16日東京都・京橋のLIXILギャラリーは、江戸時代の「薬草」に焦点を当てた展覧会「薬草の博物誌 森野旧薬園と江戸の植物図譜 展」を開催する。会期は3月3日~5月21日(水曜休館)。開場時間は10:00~18:00。入場無料。同展は、江戸時代から続く森野旧薬園と当時描かれた薬草を中心とした植物図譜を通して、幅広い本草学の世界とその魅力を紹介するもの。本草学は、私たちにも馴染み深い漢方薬の元になっているもので、江戸時代に発展した学問である。江戸後期には原料の一種である薬草は幕府により国産化政策がとられるほど貴重なものであったという。また、当時人々の関心も高く、多くの本草書や図譜が出版されたということだ。薬草から植物全般へと研究、興味の範囲が広がっていくのもこの時代で、そのころ薬草への造詣が深い人物として現れたのが森野初代藤助通貞(号:賽郭)であった。賽郭は、現存する日本最古の私設薬草園「森野旧薬園」を開設し、晩年には約千種の動植物の姿を、自然科学的な観察眼で色鮮やかに描いた「松山本草」を完成させた。この薬草園には今も薬草に関わる温故知新の知恵が息づいているということだ。同展では、「薬草」に焦点を当て、森野旧薬園を紹介するとともに、江戸の初期から本草学が近代植物学へ移行する時期までに描かれた主要な植物図譜の変遷が、約90点の実資料の他、写真、映像などで展観される。また、同展の開催に際し、LIXIL BOOKLET「薬草の博物誌 森野旧薬園と江戸の植物図譜」が発売された。価格は1,800円。購入など、詳細はLIXIL Webページより。
2016年01月27日立川ブラインド工業は、日本伝統紋様のひとつである江戸小紋、江戸紋様をアレンジしたグラフィックアート作品を展示する、成島喬展「小紋センス」を開催することを発表した。会期は9月16日~27日(21日~23日は休館)。開場時間は10:00~18:00(最終日は15:00まで)。会場は東京都・銀座のタチカワブラインド銀座スペース オッテ。入場無料。同展は、テキスタイルデザイナー成島喬氏による個展。江戸時代、諸大名が着用した裃の模様付けが発祥と言われる日本伝統紋様のひとつ「江戸小紋」や、江戸中期に庶民にも着物の模様として広まった動物や植物の柄などの「江戸紋様」のエッセンスを抜き出したグラフィックアート作品が展示される。また、紋様のさまざまなバリエーションとして、「牡丹唐草」をプリントしたストリングカーテンや古代ギリシャの陶器の柄をアレンジした作品など、約50点が展示されるということだ。なお、成島喬氏は1947年、東京都・日本橋生まれ。東京造形大学テキスタイルデザイン科を卒業後、テキスタイルデザインスタジオ勤務。西川産業デザイン企画室に勤務し、ハウスブランドやライセンスブランドの開発に携わる。2006年にNARI DESIGN STUDIOを設立。2008年に「第7回 全国公募西脇市サムホール大賞展」入賞。2013年には、初個展「ガレリア青猫」を開催。
2015年09月02日昨今の日本美術ブームをうけて、江戸のポップアートと称される「浮世絵」に注目が集まっています。2014年に開催された「大浮世絵展」は、3館(江戸東京博物館、名古屋市博物館、山口県立美術館)で来場者数約38万人という大盛況ぶり。また葛飾北斎(かつしかほくさい)や娘の葛飾応為(かつしかおうい)を描く、杉浦日向子原作の漫画「百日紅」(さるすべり)が映画化されるなど、どうも“浮世絵”がキテいる感じなのです。そこで浮世絵専門美術館の太田記念美術館で、浮世絵の魅力や楽しみ方、一万四千点もの所蔵作品から大人女子に観て欲しい浮世絵を教えていただきました。江戸市民が生み育てた芸術だから大人女子が共感する部分も多い浮世絵は、江戸市民が生み育てた芸術。だから描かれた題材に親近感や共感が持てることが魅力のひとつだと言います。浮世絵には、様々な江戸が表現されていますが、なかでも多いのは美人画、風景画、役者絵の3つの題材です。美人画には、美人の変遷がわかる楽しみがあります。髪型はもちろん、顔の造作やたたずまいが時代によってまったく違うのが面白い。また吉原の花魁を描いたものだけではなく、真剣にお化粧をする町娘、浴衣で夕涼みする色っぽい芸者、旬ものをおいしそうに食べる遊女、など江戸市民の日常を描いた作品も多いのです。今と変わらぬ江戸女の日常を観ているとなんだか親しみが湧いてきます。美人画を画期的な手法で表現したのが喜田川歌麿(きたがわうたまろ)です。彼は、胸元から上をクローズアップする手法(大首絵)をはじめて美人画に用いた浮世絵師。表情には心の機微まで表現された美人画は、庶民の心をつかみ爆発的に売れたと言われています。「百日紅」で北斎宅の居候として出てくる溪斎英泉(けいさいえいせん)。「百日紅」では葛飾応為に絵が下手と揶揄されたこともある英泉ですが、美人画の名手として名を馳せます。ちょっとあだっぽい美女がお得意。高価な紅を重ねづけて玉虫色に光らせる笹紅に、眉をつくっている女性の姿を観ていると、ふわっと白粉の香りが立ち上ってきそうです。今の風景と重ねる面白さ風景画で江戸へタイムトリップ美人画や役者絵より後に人気となった風景画。地名が記されているので、今の風景と重ねる楽しさがあります。歌川広重が描く江戸の名所絵を観ていると、赤坂は桐畑だったこと、浅草寺や日本橋は今と同じく賑わっていたこと、江戸ではどこでも富士が見えたことなど、発見だらけ。大きく変わった町並みや光景と重ねながら、江戸の町へタイムトリップができちゃいます。描き損じの絵に囲まれた家で暮らし、ゴミ屋敷になるたび引っ越しを繰り返したとされる葛飾北斎(かつしかほくさい)。そんな暮らしから生まれたとは思えぬ、ダイナミックで斬新な構図の「冨嶽三十六景」シリーズ。特に波と富士山の色と形のバランスがすばらしい「神奈川沖浪裏」は、ひと目見たら忘れられない作品です。北斎の風景画と並び称される歌川広重(うたがわひろしげ)。力強い筆致の北斎に対して、抒情的な表現が持ち味です。なかでも雨、雪、夜景を描いた作品には、秀作が多いといわれます。「名所江戸百景 日本橋雪晴」は、雪が降った翌日の晴れ渡る江戸市中が描かれた作品。真っ白な富士を愛でながら雪かきする江戸市民の姿が浮かんできます。一枚の浮世絵を通して江戸の人々との対話を楽しみたい役者絵は、江戸市民のアイドルだった歌舞伎役者が描かれたもの。昔から市川団十郎は目が大きく、松本幸四郎は彫の深い顔立ちなど、今に続く名跡の顔や雰囲気が似ている点を探しだすのが面白い。ほかにも愛らしい動物、恐ろしい妖怪、事件や風俗が描かれた浮世絵からは、江戸市民が何に興味を持ち、どんなことを楽しんだのかがわかります。絵を通して彼らと対話している気分になってきます。赤穂浪士の仇討は「仮名手本忠臣蔵」として歌舞伎や人形浄瑠璃で演じられ、その物語は江戸の人々を熱狂させました。この作品の役者絵は数多いのですが、役者を蛙に描き変えた奇才・歌川国芳(うたがわくによし)の「蝦蟇手本ひやうきんぐら」は観ておきたい一枚。ユーモアセンスや批評眼に優れた国芳は、動物などを人に見立てた作品が多く、大の猫好きだったので猫の浮世絵が数多くあります。明治初期の作品ですが、四代目・歌川国政(うたがわくにまさ)「しん板猫のそばや」は、猫が蕎麦屋で楽しむ様子を描いた浮世絵。かけともりが八十文であること、膳の上で食べていること、当時の蕎麦屋が見える一枚ですね。ご紹介した浮世絵ですが、雑誌や書籍ですでに観たことがある作品かもしれません。しかし絵の迫力、摺り色の妙、彫の細やかさ、は印刷物ではなかなか伝わりにくいもの。また浮世絵は退色もしやすいため、保存状態のいい本物の作品に触れて欲しいと思います。今キテいる、江戸のポップアート“浮世絵”を観に行きませんか。取材協力/太田記念美術館東京都渋谷区神宮前1-10-10 03-5777-8600(ハローダイヤル)開館時間:10時30分~17時30分(入館は17時まで) 一万四千枚の所蔵作品を持ち、常にオリジナリティの高い展示を仕掛けている太田記念美術館。大盗賊や悪女、侠客を題材にした「江戸の悪」展(2015/6/2~6/26)や「浮世絵の戦争画」(2015/7/1~7/26)が近日開催予定。
2015年06月22日東京都・表参道の根津美術館は、安泰な江戸時代に、持ち主の好みによって約束事にとらわれない意匠が凝らさるようになった刀や印籠のコレクションを展示する「江戸のダンディズム ―刀から印籠まで―」を開催している。会期は7月20日まで(月曜休館・7月20日は開館)。開館時間は10:00~17:00。入館料は一般1000円、学生800円、中学生以下無料。同展は、幕末から明治期の華やかな拵(こしらえ)やバラエティ豊かな刀装具が多いことで知られる同美術館所蔵のコレクションから、刀剣・刀装具・印籠など約100件を展示するもの。太平の江戸の世では、刀剣やその拵は、武士にとって持ち主の身分や教養、季節を感じさせる「こだわりのアイテム」として位置付けられるようになり、意匠を凝らしたものが競ってつくられた。刀身では、華やかな刃文が好まれたほか、刀身彫という、刀身に龍や剣などを彫刻する装飾的な志向が強まった。また、拵は、数多くのパーツによって構成されているが、季節の動植物や、故事に関するものなど多彩な主題があり、そのコーディネートの妙が見どころとなっているということだ。また、これらの刀装具や鞘は、小さいながらも彫金や蒔絵、螺鈿などの優れた技術によって丁寧に作られており、細部に目を凝らすと珠玉の世界が広がっている。そのほか、印籠や根付も、同じく男性の持ち物として、同様の発展を見せたという。金や銀、玉や象牙など贅沢な素材をふんだんに使った、斬新なデザインの印籠や根付は、持ち主の好みを端的にあらわしているということだ。また、関連企画として、6月6日14:00~15:30に渡邉妙子氏(佐野美術館 館長)による講演会「江戸時代の刀剣について」が、6月27日14:00~15:30に高山一之氏(鞘師)による講演会「日本刀の拵について」が開催される。応募方法などの詳細は根津美術館HPで案内されている。さらに、スライドレクチャーとして、6月12日に「刀装具について」、6月19日に「コレクションの成り立ちと展覧会の見どころ」、7月3日に同時開催中の「北野天神縁起絵巻について(後編)」が開催される。いずれの回も13:30~約45分が予定されている。なお、いずれの企画も聴講は無料だが入館料が必要となる。
2015年06月04日伊勢丹新宿店が、2015年の新作浴衣を同店本館7階呉服売場を中心に、6月10日から本格的にスタートする。これを紹介するカタログ「イセタン ユカタ セレクション2015」では、女優でモデルの秋元梢がカバーガールとして登場。“リアルクローズな浴衣の着こなし”を提案している。同店担当バイヤーによれば、今年の品揃えについて、「普段は洋服しか着ないが、和に興味があり今年は浴衣デビューをしたい」、「(浴衣を着ていく場で)話のネタになるような浴衣が欲しい」といった、“着てみたい層”をメインターゲットに設定。普段から気軽に楽しめる“リアルクローズ寄り”の展開を強化したという。同カタログでは“A Day in Summer”をテーマに、とある夏の一日を想定して秋元梢をイメージモデルに、カップルでのデート、ブックカフェでのひと時など、シーン別の着こなしを通して新作浴衣を紹介している。カップルのデートシーンで紹介されているレディス用浴衣は、麻混で透け感のある白地の浴衣に薄く赤い薔薇が配され、現代女性の体型に合わせて仕立てられたという、三越伊勢丹オリジナル浴衣(綿75%、麻25%/3万3,000円)が3柄3色3サイズで登場。これとマッチするメンズ用として、黒地に細かな白い模様が散りばめられ、夏の星空を想起させる浴衣(綿90%、麻10%/2万8,000円)が2柄2色3サイズで登場する。ブックカフェのシーンで秋元梢が着こなしているのは、菊の花を饅頭のように描いた万寿菊と市松が和モダンな印象を醸し出す、三越伊勢丹限定柄の浴衣(ポリエステル97%、綿3%/4万8,000円)。素材には、接触冷感素材“ウェーブロン(R)”を使用し、涼感ある肌触りが特徴だという。この他、同カタログ掲載のメンズ浴衣では、各通の“江戸小紋三役”が一列に配され、気軽に伝統柄を着こなすことができる浴衣(綿90%、麻10%/2万8,000円)や、着物ブランド「撫松庵(ぶしょうあん)」の紺と黄で縞を描いた遊び心ある“よろけ縞(波上の曲線縞)”の浴衣(ポリエステル100%、/3万8,000円)なども紹介されている。また同フロアでは、浴衣に関する期間限定イベントも開催。愛知・有松を中心に伝わる“絞り”の浴衣特集(6月10日から16日まで)、紅型浴衣特集(6月17日から23日まで)。さらに、ファッションデザイナー出身の渡辺奈菜が手掛ける浴衣ブランド「SUPER SEVEN」のポップアップショップ(7月1日から7日まで)、伝統技法である注染を用いながら斬新なデザインの浴衣を提案する「傳tutaee」のポップアップショップ(7月15日から21まで)、北海道・札幌の悉皆屋「野口染舗」がファッションとして提案する着物ブランド「Shi bun no San」デニム浴衣コレクション(7月22日から28日まで)、東京・八王子の染工場「奥田染工場」が提案する浴衣ブランド「phro-fro 5th Anniversary」のポップアップショップ(7階催場、7月22日から27日まで)などが展開される。
2015年06月03日団扇で夕涼みする姿は、夏の風物詩ですね。団扇は、奈良時代に中国から伝わり平安中期の書『和名類聚抄』には唐で作られた宇知波(うちわ)との記述があります。道具として古い歴史を持つ団扇ですが、庶民に普及したのは、紙や竹材を使って大量生産できるようになった江戸中期以降のことです。広重、豊国、国芳とコラボ江戸市民が待ちわびた江戸うちわ地域特産の和紙を使ったもの、ひとりの職人が型から絵まで描くものなど、日本各地の特色を打ち出した団扇は夏を彩ってきました。さまざまな団扇がありますが、江戸の団扇といえば日本橋生まれの「江戸うちわ」です。江戸きっての繁華街、日本橋には和紙や竹材を商う店がたくさんありました。そんな店が自然に作り始めたといわれる江戸うちわ。世界に先駆けて百万人都市になった江戸、そんな江戸市民に向けてですから大量生産は必須です。仕様を簡略化するため持ち手や骨を1本の竹を割いて作りました。また人口密集で熱気がこもりやすい江戸の町ゆえに涼をとりやすいように形状も大きめだったそうです。そんな江戸うちわを道具から嗜好品へと変えたのは、今も日本橋で団扇や扇子を商う「伊場仙」(いばせん)。天正18(1590)年を創業年とする伊場仙は、徳川家に竹や和紙を収めていました。その材を使って団扇や扇子を手掛けるようになります。江戸後期には、初代の歌川豊国や歌川国芳、歌川広重などの絵師の版元になり、錦絵を刷り込んだ「浮世絵団扇」を考案。絵師の描く歌舞伎役者や花魁、日本の名所が刷り込まれた団扇は大当たり、江戸市民のみならず江戸土産として京や大坂の人に喜ばれたそうです。昭和30年代ごろまで店で団扇を作っていた伊場仙ですが、今ではその技術を踏襲する千葉・館山の職人さんにお任せしているそうです。大人女子が注目する、竺仙とのコラボ団扇江戸薫る浮世絵団扇、気軽に使える手拭生地の団扇など、さまざまな団扇を商う伊場仙。大人女子におすすめしたい団扇をご紹介します。大人女子の人気ナンバーワンは、竺仙(ちくせん)の浴衣地で作られる団扇たち。竺仙ブルーと称される青の生地から仕立てられる団扇は、見た目に涼感が感じられます。花や蝶などの身近なものを染め抜いた柄も竺仙ならでは。新作柄の浴衣は新調できなくても、団扇ならば気軽に楽しめそうです。手拭生地で作られた団扇も人気。洒脱で遊び心のある、斧琴菊(よきこときく)や弁慶格子などの柄は江戸っぽさを醸します。サイズが小さめでお手頃な価格なので、夏のプチギフトにいい。かくいう私自身、仕事仲間や友人へ贈る夏の定番ギフトになっています。手拭生地の柄長タイプ(踊り団扇仕様)は、デスクのペン立てやラックに差しやすいのでオフィス用に購入する人も多いそう。金魚や竹林など見た目に愛らしく涼しげな柄は、仕事のストレスをちょっぴりやわらげてくれるかもしれません。浮世絵シリーズ復刻版。歌舞伎座などで販売していて、海外からの観光客がお土産に購入していくそうです。軽くてかさばらず、道具にも飾り物にもできる、そう考えるとお土産にぴったりですね。江戸土産として喜ばれた江戸うちわが、時を経て日本土産に! 私も浮世絵シリーズを一枚持っています。お値段が張るのでもったいなくて道具使いできませんが、初夏から夏にかけて部屋に飾って楽しんでいます日本の暦に根ざした古からの道具毎年五月には、新作の団扇や扇子で賑やかに彩られる伊場仙。「本来、団扇はいつごろまで使うものですか?」と伊場仙でお尋ねしたところ「七月いっぱいかな」というお答えでした。少し早いように感じますが、旧暦の秋は七月から始まります。日本の暦に根ざした道具だということを実感しました。暦は皐月、まだまだ団扇に頼れますね。あおげば涼し江戸の風です。伊場仙のうちわは、拙書『江戸な日用品』(平凡社刊)にてご紹介しています。取材協力/伊場仙(いばせん)東京都中央区日本橋小舟町4-103-3664-9261営業時間 10:00~18:00(土・日曜のみ11:00~17:00)休日 土日曜・祝日(5月~8月末まで土日曜営業)
2015年05月26日