ダウン症の弟と兄がつくったYouTubeから生まれたベストセラーの映画化!『弟は僕のヒーロー』2024年1月12日(金)よりロードショーUpload By 発達ナビニュースダウン症がある弟とその兄がつくった5分のYouTube動画から生まれた大ベストセラー書籍の映画化作品「弟は僕のヒーロー」が2024年1月12日(金)より全国で順次ロードショーされます。イタリアの高校生ジャコモ・マッツァリオールさんは、ダウン症がある弟ジョーさんを主人公に据えて、5分のショートムービー『ザ・シンプル・インタビュー』を一緒に撮影し、2015年3月21日「世界ダウン症の日」に合わせて、You Tubeに公開しました。すると、瞬く間にイタリア国内外で反響を呼び、主要各紙が取り上げるなど大きな話題に。それが大手出版社の目に留まり、ジャコモさんが弟との物語を執筆することになりました。2016年に出版された小説『弟は僕のヒーロー』は、各国で翻訳出版され、日本でも装画を絵本作家ヨシタケシンスケさんが担当した邦訳版が刊行されるなど、現在までに25万部を超えるベストセラーに。そしてこの冬、待望の映画化が実現しました。主人公のジャックを演じるのは、「僕らをつなぐもの」(2022年)のフランチェスコ・ゲギさん。弟・ジョー役は、実際にダウン症がある俳優のロレンツォ・シストさんが演じています。5歳のジャックは初めてできた弟ジョーに大喜びしました。ずっと一緒に遊べる男きょうだいがほしかったのです。そして、両親から弟のジョーは「特別な子」だと教えられました。「弟はスーパーヒーローだ!」と思い描くジャックでしたが、成長とともに「特別」の意味をだんだんと知ることに。そして、思春期を迎える頃になると弟の存在を隠すようになりました。そんなある日、好きな子を前についてしまった嘘が、家族や友達、町全体を巻き込み、やがて取り返しのつかない事件となってしまい……。きょうだい児の葛藤や家族への愛を素直に明るく描かれた本作は、笑いながら自然と涙があふれてくるようなあたたかな気持ちを運んでくれます。ぜひ、家族でご覧になってはいかがでしょうか。<劇場公開>2024年1月12日 (金)より、シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開※クリックすると、発達ナビのWebサイトから「弟は僕のヒーロー」のWebサイトに遷移します。障害者アーティストのさらなる活躍を応援!「アート&カカオ」第6弾、2023年12月11日(月)より発売中Upload By 発達ナビニュースウェルフードマーケット&カフェ「imperfect(インパーフェクト)」は、障害があるアーティストの所得支援を目指す「アートビリティ」と協業し、2022年9月からパッケージデザインに障害があるアーティストの作品を使用した「アート&カカオ」を発売。発売以降、人気を博した同シリーズの第6弾が2023年12月11日(月)より新たに発売されました。新発売しました。「アート&カカオ」シリーズ第6弾のパッケージデザインに使用されているのは、岡村陸矢さんの「シロクマのクリスマスツリー」。岡村さんは小学1年生の時、他の子どもたちがやっていた折り切り絵を見たことがきっかけで、ある日突然、自宅で器用に動物の切り絵を始めたそうです。2003年「第2回キラキラっとアートコンクール」にて優秀賞し、切り絵で表現されたユーモアあふれる作品はユーザーやデザイナーからも高く評価されています。また、imperfectでは「アート&カカオ」を通じて、森林の減少が進んでいるカカオの主要産地ガーナの、カカオを育てる森の保全にも取り組んでいます。岡村さんが描くふんわりと優しいシロクマたちのパッケージと、森林保全につながるチョコレートは、バレンタインや冬のギフトにもピッタリではないでしょうか。■商品詳細商品名:アート&カカオ内容:クランチチョコレート3種類×3粒 計9粒 入り販売価格:1,800円(税込)場所:新宿マルイ地下1F POPUP会場および公式ECサイト※クリックすると、発達ナビのWebサイトから<アート&カカオ>のWebページに遷移します。それぞれの日常を描く――展覧会「共棲の間合い-『確かさ』と共に生きるには-」東京都渋谷公園通りギャラリーにて2024年2月10日(土)~5月12日(日)まで開催Upload By 発達ナビニュースアートを通して、一人ひとりの多様な創造性や新たな価値観に人々が触れる機会を創出する東京都渋谷公園通りギャラリーでは、2024年2月10日(土)~5月12日(日)の期間にて「共棲の間合い-『確かさ』と共に生きるには-」展が開催されます。「共棲の間合い-『確かさ』と共に生きるには-」展では、住む、暮らす、生活する、共に行うことを起点に表現する作家たちの作品や活動が紹介されます。出展作家の折元立身さんは、顔にパンを巻きつけ街中に繰り出すパフォーマンス「パン人間」や自身の母の介護を作品とした「アート・ママ」など、生活と芸術の境界を揺るがしながらユーモアある作風で国際的に高い評価を得る現代美術家。1996年から福祉施設「やまなみ工房」に所属し活動を行う酒井美穂子さんは、28年以上、片時も「即席麺」を手放さず、食べるわけでもなく、ただ握り、ビニールの擦れる音を聞き、わずかな反射を眺め続けているそう。出展作家3人目の村上慧さんは自作の発泡スチロール製の家を持ち運びながら国内外で移動生活を行うプロジェクト「移住を生活する」を行い、既存の住居や生活様式を問い直してきた現代美術作家。そして、スウィングは障害のある人ない人およそ30名が働く福祉施設。清掃活動「ゴミコロリ」、絵画や詩やコラージュの創作活動「オレたちひょうげん族」など、既存の仕事観にとらわれない仕事や表現活動を基軸とした事業を行っています。身近な家族との関係に迫るパフォーマンス、ある食料品に対する愛着、近隣地域のゴミ拾い、現代の住居や生活様式を問い直す試みなど、表現のあり方は作家それぞれにとてもユニーク。それらの表現は、生活と芸術の境界を揺るがし、問いかけるものでもあります。しかし、作品にはそれぞれにとって最も親密で、確かなものが共棲しています。本展では、数々の作品を通じて、その「確かさ」に触れることで、作家たちの文脈化することのできない日常と芸術の間合いを感じることができるのではないでしょうか。会期中、作家のパフォーマンスやトークイベントなどさまざまなイベントを実施するほか、本展をより深く楽しむための「ウォーミングアップ企画」として、2024年1月13日(土)から1月28日(日)、2月3日(土)にプレイベントも企画されています。<詳細>会期:2024年2月10日(土)~5月12日(日)会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室 1、2、交流スペース開館時間:11:00~19:00休館日:月曜日(2月12日、4月29日、5月6日は開館)、2月13日、4月30日、5月7日入場料:無料出展作家:折元立身、酒井美穂子、スウィング、村上慧※クリックすると、発達ナビのWebサイトから「共棲の間合い-『確かさ』と共に生きるには-」展の公式Webサイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年01月14日再判定の発達検査は受けなくて良いの!?Upload By カタバミまちゃが特別支援学級の小学2年生の秋、児童相談所から電話が来て「そろそろ療育手帳の更新の時期です。再判定のために来所して発達検査を受けますか?」と聞かれました。今の等級のまま、あまり変動のなさそうなお子さんには検査受診の希望を聞いているとのことでした。更新のためには必ず発達検査が必要だと思っていたので驚いたと私が伝えると「では検査は受けるんですね」と少し素っけなく言われました。(本音を言うと行かないほうが楽なんだけど……)と思いつつ、少し迷いながら再判定の検査を受けることにしました。そして検査が終わった直後、心理士さんからの話では「今回の判定で療育手帳の等級は重度になるかもしれない」と言われました。検査中のまちゃは、テーブルの上に置いてあった物を手で払って落として喜んでいたと伝えられました。正式な判定は会議の結果にて、私たちには数週間後に知らされるとのことでした。療育手帳2度目の更新、判定はUpload By カタバミ発達検査から数週間後、わが家に封書が届いて、等級が「重度」になったと知らされました。その時、私は少しショックを受けました。実はまちゃは1番初めの手帳判定の発達検査の時に、検査直後には「中度」と言われたのに数週間後に「会議の結果、軽度になりました」と電話が来たことがありました。今回も同じように、結果はくつがえって「中度のままになるのではないか」と期待していた自分に気がついたのです。そして、療育手帳の等級が重度になると受けられる支援が増えると聞いていたので、新しい手帳を受け取りに市役所に行った時に、新たに受けられる支援の手続きも一緒に全て行ってきました。聞いていた通り中度から重度になって受けられる支援は増えました。中でも、とても助かるのが雨の日の学校の送迎です。まちゃの通う小学校には車を停車できるスペースはあるのですが、そこは駐車は禁止エリアになっています。ですので、天気が悪い日に車で送っても、まちゃは車から降りて、その停車スペースから1人で昇降口まで行くことができません。今回、療育手帳の等級が重度になったことで、その停車スペースに駐車できるようになりました。これは、大変助かるなと思っています。<参考>駐車禁止等除外標章(身体障害者等用)の申請手続き及び使用方法について(警視庁サイトより)療育手帳が重度判定になり、周りの反応はUpload By カタバミ療育手帳の更新手続きを終えてすぐ、私の姉に電話をしました。「そっか。まちゃは重度になったんだね。でも、まちゃに毎日接している人から見ると、毎日ちゃんと成長してるんだからショックだよね」と姉。「でも客観的に見たらやっぱりできないことだらけなんだよね」と私。忙しいなかでも姉は可能な限りはよく私の電話に付き合ってくれます。「でもさ、望んでも支援に繋がれない人もいることを考えたら、母親のあんたとしては複雑だろうけど、そんなに悪いことだとは言い切れないかもしれないよ」と、姉。姉は、これまで私がまちゃの療育などを頑張ってきたことも知っています。それからしばらくして実家に行くと姉から報告を受けた父から「落ち込むなよ!」と何度も言われて、手づくりだというカチカチになった干柿をたくさん持たされました。母は5年前に他界していますが、私の実家はこれまで障害のある方とほぼ全く接しないで暮らしてきているので、分からないことだらけでみんな困っていると思います。目の前のまちゃだって自分が重度になったことなんて分かっていないと思われます。そして、父から「年末に高級なお節料理を注文したけれどお前にあげるから取りにきなさい」と言われました。甘える相手がいることは本当にありがたいと思っています。手厚い支援を得てUpload By カタバミショックを受けるなら電話だけで更新を済ませて、中度のままでいれば良かったのにと思います。私は重度になって手厚い支援もほしかったのですが、心の奥底では、きちんと再判定の検査を受けて、それで中度という結果で療育手帳を更新したかったんだなと思いました。われながら分かりにくくて面倒臭い気持ちだと思います。まちゃと暮らしていくことは確かに手がかかります。ですので、手厚い支援を受けながら、成長を促して、とても時間がかかったとしてもまちゃのできることを増やして、困ることは減らすようにやっていくしかないと思っています。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)療育手帳の再判定に関してお話をお聞かせいただきありがとうございます。療育手帳は主に知的発達症(知的障害)の方に交付される障害者手帳です。自治体により交付基準や等級なども異なるのですが、知能指数(IQ)と日常生活の困難さの基準をもとに交付の有無や等級が判定されます。一度交付されても、年齢によって数年ごとに再判定が定められており、今回お伺いしたような再判定を数年ごとに受けることになります。判定の基準となる知能指数や日常生活の困難さは、年齢相応の平均水準が年齢ごとに上がっていくので、お子さん個人で見れば数年間の間にできることが増えて確実に成長を実感していても、相対的に判定が重いものになることはあるかもしれません。カタバミさんは、お子さんの療育手帳区分が中度から重度になり、受けられる支援サービスが増えるというメリットを知りながらも、心の奥ではショックで切ない気持ちを感じているということを聞かせて下さいました。そんな中で、実家のお姉さんやお父さんがさまざまに気づかいあたたかく見守ってくださっているのは頼もしい支えですね。療育手帳はあくまでも行政上のものですから、まちゃくんがマイペースに着実に日々の生活を重ねていくことの大切さに変わりはないと受け止めて、必要な福祉サービスを使っていけるといいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月14日5歳の息子は発達障害で、かんしゃくを起こすことが多いです。ある日そのことを実家の母に打ち明けると、心無い言葉をかけられました。さらに後日、運動会でまさかの言葉を言ってきたのです……。そんなこと言わないでよ……。わが家には5歳の発達障害の子どもがいます。自閉症スペクトラム障害で、見通しが立たないことがとても苦手。うまく気持ちが伝えられなくて、かんしゃくを起こすことも多いですが、療育を行って少しずつ自分の特性との付き合い方を学んでいるところです。 しかし、私の母からはなかなか発達障害への理解が得られず、発達障害であることを打ち明けた際には「母親がしっかり叱らないからじゃない?」と言われました。叱ることは逆効果になることがとても多く、かんしゃくをおこして子どもも私もしんどくなったことがあります。そのため、今では最低限しか叱りません。 運動会のときは、先生が配慮してフォローしやすい端っこにしてくれたのですが、母は「なんで端っこなのよ!」と私に文句を言ったのです。理解してもらうのは難しいと分かってはいるものの、悲しい気持ちになりました。 発達障害の子のパニックやかんしゃくを人に理解してもらうのは難しいと、日々感じています。しかしやはり身内には理解してもらいたいため、母には私から少しずつ発達障害について説明し、考え方を改めてもらうように頑張っている最中です。 ◇ ◇ ◇ 小児科医の松井先生は以下のようにおっしゃいます。 「自閉症のお子さんは叱るのではなくタイムアウト(小休止)して場所を変え、感情を出さないようにしたり、うまくできたときは褒めてあげましょう。このママさんのように、療育に通うとその子の特性にあった接し方を説明してもらえ、無理なく成長を促すことができ、そうしていくうちに、パパやママも安心できるようになるとのことです。 また、ご両親や周りの方からの理解を得られず悲しい思いをする方も多いですが、その場合は少しずつ発達障害について説明をし、それを繰り返してみてください。お子さんの成長を見て、周りも徐々に分かってくれるようになるでしょう」 周囲も少しずつ理解が深まっていくと良いですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 作画/森田家著者:杉浦更紗監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生
2024年01月14日2歳過ぎまで発語ほぼなし。年長になった今でもおしゃべりは苦手な息子しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子。しのくんは2歳を過ぎるまで意味のある発語がほとんどなく、2歳半を過ぎても2語文が出ていませんでした。そのことがきっかけでことばの教室に通うようになり、たくさんおしゃべりをするようになったのは4歳頃でした。サ行とラ行の発音が苦手なことも相まって、同い年のお友達と比べると何を言っているのか聞き取りにくいしのくん。5歳になり、年長さんになった現在も、あまりおしゃべりが得意とはいえません。しのくんは、3歳くらいまでは一人遊びばかりで、お友達と仲良くできるのかな?と心配していました。しかし、4歳を過ぎて年中になってからは、ちらほらお友達の名前が出てくるようになり、通ってる保育園の様子なども教えてくれるようになりました!保育園の様子をしのくんから聞けることを喜んだ私は、しのくんが保育園から帰ると「今日は保育園で何したん?楽しかった?お友達と何して遊んだん?」と嬉々として質問するようになりました。Upload By keiko保育園で「お友達に意地悪された」!?そんなある日、いつものように保育園から帰ってきたしのくんに質問していたら……「今日、〇〇くんに、意地悪されたねん」と言ってきたのです。Upload By keikoUpload By keikoどうやら、お友達から嫌なことを言われたらしいしのくん。「それでしのくんはどうしたん?」と聞くと「先生に言うたったわ」とのこと……。なるほど!?と思った私……。小さい子ども同士のことなので、そりゃ嫌なこと言われたり、逆にしのくんがしたり言ったりすることもあるだろうなと思いました。しかし……果たしてこういう場合、「先生に言う」と言った告げ口のような対応は正しいのかな?とも思いました。「先生に言う」以外のお友達トラブルの対処法は?ことばの教室で聞いてみるとしのくんは話すことが得意ではないので、どうして嫌なこと言われたのか?その原因をつくったのはしのくんじゃないのか?それともちがうのか?などの詳しいことは聞いてもよく分かりませんでした。ちょうど翌日がことばの教室だったので、「お友達に嫌なことをされてしまったとき、どう対処したらいいのか?」をことばの先生に聞いてみることにしました。すると先生から、「『やめて』って大きい声で言ってごらん?」とアドバイスをいただきました。理由は、「相手にも、しのくんの『嫌だ』という気持ちを伝えられるし、大きい声で言い返すことで周りの大人にも気づいてもらえるから」だそうで、なるほどな!と勉強になりました。Upload By keiko早速家に帰って、嫌なことをされたら大きな声で「やめて」と言う練習をしました(同時に、自分がされて嫌なことをお友達にしてはいけないよ。というお話もしました)。幸いにも、この件以降、お友達に意地悪されたとか嫌なことをされたという話は聞いていないのでホッとしています。目前に迫った小学校入学と、これからのことしのくんは来年から小学校の通常学級に就学する予定です。小学生になると、お友達の関係もさらに見えにくくなってくるだろうし、自分で対処しなければいけない場面も増えてくるんじゃないかなと思っています。「困ったときにはどうすればいいのか?」をしのくんと一緒に考えて、これからも話し合っていきたいなと思います。執筆/keiko(監修:室伏先生より)keikoさん、お友達に嫌なことをされたときや困ったときの対処法についてのご経験を共有いただき、ありがとうございました。まずは、しのくん、困ったことがあったことをお母さんに言えただけでも素晴らしいですし、さらには先生にお話できたのも褒めてあげたいエピソードですね。困ったことがあったときに援助要求ができるということは、とても重要なことです。さらには、嫌なことをされたときに大きな声で「やめて」と言うことは、困ったことに自ら対処をするということですが、この練習を親子でされたということは、しのくんにとって、とても大切な経験になったと思います。自分で対処できることももちろん大事なことですが、それが難しいときには援助や支援を求めることができることも、自立にあたりとても大切な能力だと思います!しのくんが困ったときの乗り越え方を少しずつ身につけていく過程を、私も応援していますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月13日活発で身軽すぎて失敗が多いのが心配Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。次女リスミーは、勉強、遊び、お家の手伝いなど、なにをやらせても身軽でハイスピードな子どもでした。リスミーは、活発に屋外で遊ぶことが好きな子どもでしたが、高いところや危ないことが好きで、洋服をよく汚したり、破いたりしていました。自宅のブロック塀をよじ登ろうとして手を滑らせ、前歯を折ったこともあります。ズボンやパンツに穴をあけることが多かったので「リスミーのお尻には歯が生えてるの?」とよく聞いたものでした。お手伝いをしてくれるのはいいのですが、私も多動なタイプなので一緒に家事をすると、いつの間にかスピード競争みたいになります。2人で餃子をつくるのにはまった時には、つい勢いあまって、毎週100個もつくってしまい、食べきれずに何度も腐らせてしまいました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ学習スタイルが独特。用意された机ではやらず、意外なところで勉強していた次女リスミーは、家庭学習のスタイルもユニークでした。ある日、私が台所で食事をつくっていると、頭の上のほうから「24+48は72だよね?」という声がします。声のしたほうを見ると、なんとリスミーが冷蔵庫の上に座って宿題を解いているではないですか。危ないので急いで下ろして注意しようとすると、リスミーは気配を察して、あっという間に逃げました。あまりの素早さに捕まえることも注意することもできません。宿題を済ませるのは早かったのですが、間違いや勘違いが多い子どもでした。リスミー専用の学習机は用意してあるのですが、本人はここで勉強することはなく、物置きのようにしか使いませんでした。なんとか落ち着かせる方法はないかと、いつも考えていましたが、よいアイディアが浮かびませんでした。ボールにぎにぎの工夫は卒業。集中力アップのために新しい工夫にチャレンジをUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学生の頃、授業中に走り回っていたリスミーは、担任の先生の計らいで、ボールをニギニギしながら勉強することで集中力がアップし、授業中に走り回ることはなくなりました。ところが中学に上がる頃には本人が飽きてしまったのか、ボールにぎにぎの工夫が効かなくなってきました。授業中に走り回ることはしませんでしたが、おそらく無意識のうちに椅子や机をガタガタ鳴らすことが増えるようになりました。注意すると止めることができるのですが、すぐにまた始まってしまいます。すると、成績が伸び悩むようになってきました。リスミーを含め、わが家の4人の子どもたちを通わせていたインターナショナルスクールで、私も職員として働いていましたので、リスミーの学校での様子はよく分かっていました。そこで同僚のA先生になにかよい工夫がないか相談しました。A先生は、アメリカ本土の小学校で長年勤務してきた、発達凸凹の工夫に詳しい方であり、なおかつ発達凸凹の当事者だったのです。A先生は「アメリカの学校では脚ブランコというものを使っているよ」とアドバイス。ネット通販で脚ブランコを取り寄せてくれました。アメリカから取り寄せたツールをやってみると、ドンピシャの学習効果で大変身!Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイA先生の取り寄せてくれた脚ブランコは、椅子の下に取りつけることで、脚でブランコをこぐものです。日本とアメリカの学習机とイスはサイズや構造が異なっているため、取りつけの際には金具を自作しなければなりませんでした。A先生と一緒になんとか取りつけてリスミーに試してみました。結果は大成功。リスミーは脚でブランコをこぎながら、勉強に集中することができるようになり、再び成績がぐんぐん伸び始めました。その後は成長につれて、リスミーの多動も徐々に落ち着いていったのでした。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:室伏先生より)リスミーさんの、小中学生の頃のご様子や集中力アップのための工夫について、具体的に共有してくださりありがとうございました。ご両親からするととっても心配も多かったでしょうけれど、ズボンの穴や、餃子づくり、冷蔵庫の上での学習のエピソード、可愛らしく拝見させていただきました!脚ブランコというのは、私も存じ上げませんでしたので参考になりました。学校では導入がなかなか難しい場合もあるかと思いますが、ご家庭などでも導入してみるとハマるお子さんも多いかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月13日避難生活で発達障害のある子どもがおかれる環境発達障害のある子どもの中には、慣れない環境や集団での行動に苦手さがあるなど、避難所生活が難しい子どももいます。また、感覚過敏や偏食などがあり、特別な配慮や対応が必要になる場合もあります。しかし避難するにあたって、障害のある子どもに対する配慮が難しい場合や周囲の理解が十分得られないなどの理由で、避難所生活をあきらめて車中生活を送る選択をすることもあるようです。避難所での配慮、知っておきたいポイント避難所での生活は、食べ物やトイレ、他人との距離感などが普段と大きく異なります。どんな子どもにとっても大変な状況であることは間違いありませんが、とりわけ発達障害のある子どもにとっては大きなストレスがかかる環境です。「走り回る」、「大声を出す」といった行動も、その子の不安の表れであることが少なくありません。限られたスペースのなか、少しでも不安やストレスを軽減するには、どのような配慮をすれば良いのでしょうか。以下では、発達障害のある子どもの避難所での配慮のポイントをご紹介します。発達障害は、見た目からは分かりにくい障害ですが、他人との関わりや集団生活で困りごとを抱えることも少なくありません。また、困っていても言葉で説明することが難しいこともあります。避難所を運営する方は、ご高齢の方や、病気や身体障害などのある方への配慮と同じく、発達障害によって特別な配慮が必要な子どもがいないかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。人が多く、にぎやかな所が苦手な子どももいます。そこで、パーテーションや仕切りを設置し、視界的にさえぎられる場所を作りましょう。パニックになった時に落ち着ける場所としても活用できます。参考:東京都 『東京防災』もしもマニュアル_生活 p.212特定の食べ物しか食べられない子どもやアレルギーのある子どもの場合、避難所で支給する食べ物の確認が必要です。避難所を運営する方は、食べ物への配慮が必要な子どもがいないか事前に確認すると良いでしょう。今後、避難所に食料を送られる場合は、食材や成分のリストを添えるといったことも心がけましょう。また、どんな食べ物か分からないときは不安が大きくなり、食べられないことがあります。パンは袋から出して、飲み物はコップに注いで、実物が見える状態で渡すことで安心して食べられることもあります。発達障害のある子どもの中には、長時間立って並ぶことや、順番を守ることが難しい子どももいます。また、目を離すことができない子どももいます。保護者が子どもをつれて列に並んで物資を受け取ることが難しい場合などは、直接手渡しをすることをおすすめします。また、発達障害のある子どものなかには、指示の内容が理解できない、困っていることが伝えられない、人とコミュニケーションをとるのが困難な子どももいます。そのような手助けが必要な子どもに対しては、一斉のアナウンスだけでなく個別に声掛けをしましょう。トイレやお風呂に強いこだわりがあり、みんなと同じ環境での排便や入浴が難しい子どももいます。避難所を運営する方は、簡易式トイレや洋式便座を用意する、入浴の際は付き添いの人がつくなど安心してトイレやお風呂に行けるように配慮すると良いでしょう。それでも、トイレに行けないという子どものために大人用のおむつを避難所で用意しておくこともおすすめです。発達障害の特性があること、配慮やサポートが必要であることが分かりにくく、周囲の人に誤解されてしまう可能性があるかもしれません。どんな配慮や理解が必要か、周りに知らせるかどうかなどをお子さん本人や保護者の方と相談した上で、周囲の人に理解を広げることも大切です。LITALICO発達ナビでは、災害時に避難所等で過ごす、発達が気になる子どもの保護者の方や周囲の方々へ向け、避難所などでサポートが必要な子どもの存在を知らせる「ヘルプマーク」を作成し、以下のリンクに設置しました(東京都申請済)。避難所での掲示などにぜひ、プリントしてご活用ください。Upload By 発達障害のキホンお絵かき道具、本、音楽プレイヤー、ゲームなど子どもが楽しめるものを用意できれば、不安やパニックを緩和しやすくなります。物資や電気・インターネットの通信環境が限られている状況では難しいことはありますが、身近なもので気をまぎらわせる方法がないか、お子さんとも相談してみましょう。水が不足しがちであったり、トイレの状況などにより水分摂取を控えることが多い避難生活では脱水症の危険性が高まります。■症状めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、筋肉のこむら返り、気分が悪い、頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感、いつもと様子が違う。(重度:返事がおかしい、意識消失、けいれん、からだが熱い)■水分補給こまめな水分補給などの調節は通常でも忘れやすいことなので、のどが渇いていなくても意識的にこまめに水分・塩分・経口補水液の補給を促してください。発達障害がある場合は、体温調節が苦手であったり、触覚などの過敏性などから防寒をしたがらないことがあります。また、感覚鈍磨がある子どもは体調不良や痛みに気づきにくいといわれています。お子さんによっては、体調不良をうまく伝えられないこともあります。健康状態をこまめに観察し、毛布の使用、衣類の重ね着、床に直接座るのではなくマットや畳を敷いた上に座るなど、寒さ対策をしましょう。避難所生活を過ごされる方々の 健康管理に関するガイドライン | 厚生労働省感染症への注意も必要です。「手洗い」「マスクの着用を含む咳エチケット」で感染症対策をしましょう。手洗いの際は、爪や指の間、手首もしっかり洗うことが大切です。流水で手を洗うことができない場合は、アルコールを含んだ手指消毒液を使用しましょう。咳やくしゃみをする際にウィルスなどの飛沫を防ぐため、マスクは隙間がないように着用しましょう。マスクがない場合は、ティッシュや二の腕で口と鼻をおおいましょう。災害時における避難所での感染症対策|厚生労働省避難中のがれきや木片などでけがや切り傷がある場合、小さな傷であってもそこから感染症が広がる可能性があります。土砂災害の場合、破傷風の感染に注意が必要です。以下のリンクでは症状や注意点、対処法などが記載されているのでぜひ、参考にしてください。破傷風についてのお知らせ | 厚生労働省一般避難所が難しい方のための「福祉避難所」、「広域避難」「災害派遣福祉チーム」について障害などのさまざまな理由で一般避難所での避難生活が難しい方のために、「福祉避難所」が市区町村ごとに設置されています。ここでは、専門的なスタッフや物資・備品による支援を受けることができます。利用対象者は以下の通りに定められており、障害のある子どもも対象に含まれます。内閣府令で定める基準は、次の通り(災害対策基本法施行規則第1条の9)。・ 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この条 において「要配慮者」という。)の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること。・ 災害が発生した場合において要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されること。・ 災害が発生した場合において主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されること。石川県輪島市では2024年1月8日から福祉避難所での受け入れを開始、石川県珠洲市では福祉避難所7ヶ所開設予定ですが2024年1月11日時点で開設できていない状況となっています。水や電気などのライフラインが復旧していない地域の避難所では、非常に厳しい状況が続いています。現在、被害が比較的小さかった地域の宿泊施設やビニールハウスなどを活用した広域避難がすすめられています。また、高齢者、障害のある人、乳幼児への必要な行われないことが心配されており、全国では災害派遣福祉チームの派遣をすすめています。災害時における福祉支援体制の整備等|厚生労働省【専門家による解説】福祉避難所は、障害のある方だけでなく、高齢者や乳幼児などさまざまな配慮の必要な方が利用されます。慣れない環境の中で大きな声を出してしまったり、うろうろしてしまうお子さんもいれば、それらの刺激に反応してしまう感覚過敏のあるお子さんもいます。福祉避難所の運営にあたっては、それぞれのニーズを聞き取り、利用者同士の相互理解に加えて、部屋や居住スペースの配置などの工夫が大切になります。発達障害のある子どもの場合には、日中の居場所(避難所以外も含めて)や余暇も含めた活動の設定、視覚的な支援が必要になります。学校や施設などの日中活動の場を一日も早く復旧させていくことが大事になってきますが、復旧が長引くにつれて日中支援のニーズは高まると思います。過去の災害時には若くて元気のある方の中には福祉避難所での活動をスケジュール化してゴミ集めやお弁当配りなどの役割を担っていた方もおられました。日中支援はお子さんの保護者の方だけでは難しいことも多く、保護者の方が日中活動されるためにも、運営者は外部からの支援者の手を借りれるよう声をあげていただき、連携できるとよいと思います。また、保護者の方が孤立しないように、親の会やネットワークなどを活用して互いの居場所や状況を共有しあったり、励ましあったり、地域の避難所情報を把握しあったりできるよう、地域の団体の運営する情報サイトなどをすすめていただければと思います。お子さんや保護者の方、現場の支援者の方の不安やご苦労は言葉にはできないほどかと思います。そのような中大変かと思いますが、必要な支援についてはぜひ声をあげていただければと思います。Upload By 発達障害のキホン車中泊をする場合の注意点車中泊をすることになった場合は、配給リストから漏れたりする可能性があります。また、車中泊をしている家族の中には、配給の受け取りに行きたくても、子どもを置いて行けない、連れて行けないといった状況におちいる方々もいます。避難所を運営される方は、そういったご家族が近隣にいないかコミュニケーションをとり、直接配給するなどの配慮をご検討ください。多くの人がいる避難所や車中などにいる方は、思うように体か動かせなかったり一定の姿勢を強いられたりすることが多い状況です。軽いストレッチやマッサージを心がけましょう。以下のリンクに実践可能な予防策が載っています。エコノミークラス症候群の予防のために|厚生労働省適切な配慮で避難生活を乗り切りましょう発達障害のある子どもが避難生活を乗り切るためには適切な配慮が必要になります。避難所を運営される方や外部から支援に入られる方が、ここでご紹介した配慮のポイントをご参考にしていただければ幸いです。以下のリンクでご紹介しているマニュアルもご参照ください。みなさんのご無事と1日も早い復旧をお祈りしております。災害時 発達障害児・者支援エッセンス|国立障害者リハビリテーションセンター研究所避難所等における障害児者への配慮事項等について(令和6年能登半島地震について)|厚生労働省【質問募集】発達が気になる子どもの避難や防災障害や発達特性のあるお子さんや保護者の方も慣れない生活の中不安な思いを抱えていたり、報道を目にして不安になっているお子さんもいらっしゃるかもしれません。この度、発達ナビでは避難や防災に関する質問を募集します。避難生活でのお困りごとや防災に関する疑問など、お寄せいただいたご質問からピックアップし鳥取大学 大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にご回答いただき、記事での公開を予定しております。複数質問のある方は、何度ご回答いただいても問題ありません。以下、フォームよりご応募ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月13日災害が起きた時、障害のあるわが子をどう守る?2024年1月1日に発生した能登半島地震では甚大な被害が発生し、いまも懸命な救助活動や復旧作業が続いています。そして、避難所には多くの方が身を寄せていらっしゃいます。また、公的な避難所ではない場所や、電気や水道が通らない中自宅などで過ごしている方もいらっしゃいます。地震などによる災害に直面した時、障害のある子どもをどのように守ればいいのか、そんな「いざ」という時の備えに役立てていただきたいコラムをまとめてご紹介します。障害のある方やご家族にとって、災害時の避難所などでの生活は不安なものだと思います。そんな支援や配慮を必要とする方のために「福祉避難所」があります。いざというときのため、対象者や、避難の流れ、さらに事前に準備すべきことなどをまとめました。丸山さとこさんの息子さんのコウ君には、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)があります。幼児期には、感覚過敏による偏食があったり、パニックが起こりやすかったりしたコウ君。いざというときに備えて、コウ君の「苦手」を熟知する丸山さんが日常生活の中で取り組んでいるという防災ノウハウを教えていただきました。「避難行動要支援者名簿」を知っていますか?家族の中に、避難時に支援が必要な人がいる場合、この制度が大切な命を守ってくれるかもしれません。発達障害のあるお子さん2人を育ててきた寺島ヒロさん。お子さんたちはすでに大学院生と高校生になり、一人で出かける機会も増えてきました。家族がバラバラの場所で被災したら?そんな心配も子どもの成長と共に大きくなるもの。非常持ち出し袋の中身だけでなく、スマートフォンのアプリや日ごろ持ち歩くもの、普段の心がけまで、さまざまな工夫をシェアしていただきました。「障害のあるわが子と被災したら?」「何を用意しておけばいい?」「避難所で過ごせる?」など、保護者の不安や疑問はつきません。発達ナビの心強いサポーター・井上雅彦先生と一緒に「防災ノウハウ」について考えてみました。障害や発達特性のあるお子さんや保護者の方も慣れない生活の中不安な思いを抱えていたり、報道を目にして不安になっているお子さんもいらっしゃるかもしれません。この度、発達ナビでは避難や防災に関する質問を募集します。避難生活でのお困りごとや防災に関する疑問など、お寄せいただいたご質問からピックアップし鳥取大学 大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にご回答いただき、記事での公開を予定しております。複数質問のある方は、何度ご回答いただいても問題ありません。以下、フォームよりご応募ください。さいごに支援や配慮が必要な方のための「福祉避難所」や「避難行動要支援者名簿」、障害のあるお子さんのいるご家庭で実践できる防災ノウハウなどをご紹介しました。ぜひご家族で日ごろの備えについて改めて考え、話し合うきっかけにしてみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月12日「経過観察」ではなく具体的なアドバイスを!多職種連携の現場から26年以上、小児科医としてお子さんたちを診てきた本田真美(ほんだまなみ)先生。医療はもちろん、教育や福祉・行政などのさまざまな分野の専門家が互いに協力し合う多職種連携の推進を目指し、クリニックの院長として、「日本小児診療多職種研究会」の理事として取り組まれています。――2016年に開院された「みくりキッズくりにっく(東京都世田谷区)」では、まさに多職種連携を実践されていますね。本田先生:そうですね。「子どもの専門家集団」を掲げ、医師と看護師、事務のほか、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、公認心理師、保育士、幼稚園教諭、音楽療法士、管理栄養士、児童支援員という計13職種、70人以上の専門家 が在籍しています。――発達・小児神経外来とは別に、「発達サポート外来」を設置されていますが、どのような診療をされているのでしょうか。本田先生:専門の療法士が、心理療法、理学療法、作業療法、言語療法の面からアセスメントを行い、お子さんに合わせたプログラムを提供しています。発達障害や脳性まひ、染色体異常などのお子さんが多いですね。毎月1日~5日に翌月の初診予約を受け付けていて月に30人ほどの初診のお子さんを診ていますが、希望者はその4~5倍もいるのが現状です。私たちは、お子さんや保護者の方の困りごとに対して「もう少し様子を見ましょう」という経過観察ではなく、具体的で分かりやすいアドバイスをすること、保護者の方がご家庭で安心してお子さんに向き合えるようサポートすることを心がけています。よく、個性か障害か……という話がありますが、キーワードになるのが社会適応力だと思います。となると、医療だけでは限界があって、発達が気になるお子さんやその家族を支えるのは、「医療」「教育」「福祉・行政」のトライアングルだということです。診断がついたり、薬を処方されたりすれば解決するわけではないということですね。だから私は、医療での多職種連携はもちろんのこと、担当領域に縛られることなく「さまざまな分野の専門家が互いに協力し合うこと」を目指しているのです。Upload By 発達ナビ編集部情報過多で保護者の方が大変な時代だからこそ――日々、発達が気になるお子さんの保護者の方から話を聞いていて、どのようなことを感じられていますか。本田先生:情報過多の時代だからこそ、目につきやすい子育てのマニュアルや療育法に頼りすぎてしまう傾向があるように思います。例えば、「発達障害のチェックリストには当てはまらないけど、園の先生に受診をすすめられたから」と来院される方がいます。そこで、例えば「トイトレが進まない」「夜眠れない」「毎日のルーティン」といったお子さんのエピソードをもとに詳しくお聞きしてみると、お子さんの発達の特性が見えてきて、アドバイスをすることができます。――インターネットで調べたりチェックリストを試してみたりすることで、逆にお子さんの特性が見えにくくなってしまうこともあるのですね。本田先生:そうですね。そして、すべてのお子さんに共通した正解があるわけではないので、「わが子が困っている背景や原因」を知り、「わが子に合うもの」を選択することが大切ですよね。ただ、保護者の方が自分で見つけるのは難しくなっているように思います。だからこそ、専門職である一人ひとりが広い視野と経験や知識をもとに多くの手札を持ち、お子さんに向き合う必要があると考えています。お子さん自身が「ヘルプを出せる」「交渉できる」ように――保護者の方には、お子さんとの関わりについてどのようなお話をされていますか。本田先生:お子さんが「ヘルプコール」と「交渉力」を身につけられるようにしましょうということでしょうか。まずは就学までに、「助けて」「やりたくない」と言えるように。そうすれば、嫌なときに暴れたり癇癪を起したりしなくても良くなり、お子さん自身が楽になるでしょう。当院でも、就学までのプログラムを大事にしています。就学後はさらに進んで、「交渉術」を学んでほしいと思います。例えば、学校での合理的配慮。もちろん学校の先生と保護者の方を中心に話し合いをされると思いますが、小学校高学年ぐらいになったらお子さん自身が自分に必要なもの・不要なものを意思表示できると、ミスマッチを防ぎやすくなりますね。これは、服薬にも当てはまります。医師が処方した薬を、保護者の方がお子さんに飲ませることが多いと思いますが、いずれはお子さん自身が用法容量の範囲内で「この薬は、この量だと調子が良いから飲みたい」と言えるように練習していってほしいのです。――お子さんのために、意思表示できる力を育むことが重要なのですね。子どもに関わるすべての人へ「第10回日本小児診療多職種研究会」1/22(月)正午まで参加登録受付中Upload By 発達ナビ編集部――日本小児診療多職種研究会の役割や、本田先生が会頭を務める「第10回日本小児診療多職種研究会」の見どころについて教えてください。本田先生:特に発達障害の領域において、ずいぶん前に医師ができることの限界を迎えていると思います。だからこそ、医療がトップにいて教育や福祉がそのサポートということではなく、お互いにリスペクトし合い同じ立ち位置でお子さんをみていくことが必要です。「日本小児診療多職種研究会」は、多職種が一斉に集い、同じ立場で意見交換できる唯一無二の研究会だと自負しています。私が会頭を務める「第10回日本小児診療多職種研究会」は、私自身が話を聞きたい皆さんにお声がけし、快諾いただき実現したものです。お子さんの障害や年齢、取り扱う課題が幅広く、お子さんに関わっている方々へヒントや視野を広げるチャンスをお届けできるはずです。「もっと知りたい!」という好奇心のある方は、あまり気負わずに参加してもらえたらうれしいですね。――ありがとうございました。会期2024年2月10日(土)~2月11日(日)プログラム(一部)・小児在宅医療における多職種の無限∞力・発達障害児の乳児期の発達特徴と早期介入・新生児から療育にわたる多職種連携ケアへの挑戦・構音訓練セミナー、感覚統合セミナー、エコーセミナー・ワークショップ「医療的ケア児のためのホスピタル・プレイセラピューテックな遊び、マイスヌーズレンを作ろう」・教育シンポジウム「こどもたちに伝えたい『自分のモノサシ』と おとなたちに伝えたい 『評価のモノサシ』」参加登録期間2023年9月25日(月)12時~2024年1月22日(月)12時※ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから「第10回日本小児診療多職種研究会」のWebサイトに遷移します1998年東京慈恵会医科大学卒。国立成育医療センター(現国立成育医療研究センター)や都立多摩療育園(現都立府中療育センター)、都立東部療育センターなどを経て2016年に「みくりキッズくりにっく」を開院。日本小児科学会専門医、日本小児神経学会小児神経専門医など。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月12日息子がいないお正月、実家と義実家へ息子の不在を説明しなければならず……公立中学の自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する中学3年生の息子と公立高校に通う高校2年生の娘がいます。2人とも小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。息子は小学校までは通常学級に所属していましたが、小5の時、コロナ禍による休校をきっかけに『いつから学校に行けるのか?』とパニックとなり、昼夜逆転や家庭内暴力が始まりました。自宅で過ごすことが困難となり、小児精神科に入院などもしましたが、今までの生活様式が一変してしまいパニック症状は悪化するばかり。中学校では特別支援学級に入るも環境に馴染めず、学習意欲も低下して不登校、昼夜逆転、家庭内暴力がさらにひどくなってしまいました。息子と話し合い「生活習慣を整えて、中学3年生の4月から家に戻れるよう目標を立てて、一緒に頑張ろう!」と一緒に目標を立てたうえで、息子は中学1年生の冬から児童養護施設に入所しました。息子の生活と精神面を整えるための決断でした。そして、わが家は息子がいないお正月を迎えることになりました。いつもでしたら、年始の挨拶で義実家、実家を訪問していたのですが、息子を連れて出かけることはできません。そのため、義父、義兄夫婦、実母、弟に息子の施設入所について伝えなければなりませんでした。「帰ってきたら鰻を一緒に食べに行こう」優しい義父義実家は、80代の義父と義兄の二人暮らしです。義母はすでに亡くなっています。義父たちへは訪問前に夫から電話で説明してもらいました。夫からの電話を義父は「うん、うん……」と穏やかに聞いてくれたそうです。分かってくれたようだよという夫の言葉にホッとしつつも、いつもより緊張して義実家へ訪問しました。久しぶりにあった義父たちは我々を温かく迎えてくれました。義父は息子の障害については全く触れず、「帰ってきたら、孫の好きな鰻を一緒に食べに行こう」と言ってくれました。その優しさに、私は涙ぐんでしまいました。義兄も特に何も触れず微笑んでいました。義兄の優しさを感じました。また後日、義姉からは「気がつかなくて、ごめんなさい。大変な子育てをしてきたんだね。困ったときは相談してね」とメールをもらいました。このような義実家の優しさは、いっぱいいっぱいだった私の心を支えてくれました。感謝してもしきれません。Upload By ユーザー体験談「なんてかわいそうなことをしたんだ!」激怒する実母私の実家は父は亡くなっており、母と私の弟が暮らしています。子どもたちが小学校低学年だった頃、私は子どもたちの発達障害について母に伝えたことがありました。ですがそれ以降、母は自分で調べた薄い知識や偏見で、「あの子たちがかわいそう」「おまえ(私のこと)の育て方が悪かったんだ」「テレビで発達障害の番組を観たけど、将来はどうするの?お先真っ暗じゃない」「仕事をするのは無理かもね」など、ことあるごとに、私や夫、子どもたちの前で言ってくるのです。そんな経緯があったため、年始の挨拶前までに私から実母に息子の入所について伝える勇気はでませんでした。さらに非難されるのが嫌で嫌でたまらなかったのです……。そして来てしまった訪問当日、私はとうとう息子がいない理由を伝えるしかありませんでした。案の定母は「施設に子どもを入れるなんて!なんてかわいそうなことをしたんだ!」「障害を持っているから、こんな事になったんだ!」と激怒。しかも、これを娘の前で言ったのです。自身も発達障害がある娘がどれだけ傷ついたか……。もう私は覚悟を決めるしかありませんでした。Upload By ユーザー体験談母からの謝罪。でも私が選んだのは……「今の私の家族を傷つける言動をするのは困る。家族を守るため、実家には行きません」母は黙って聞いていました。そしてその数日後、母から電話がありました。「私は人の気持ちが分からないの。あんたを傷つけているとは思っていなかった。ごめんね」と。それでも、私は今までの経緯があったため、母を許すことができませんでした。「今後は実家には帰省しない」と絶縁宣言をしました。Upload By ユーザー体験談努力した息子。今は将来の夢に向かって頑張っています!あれから3年ほど経ちましたが、母とは連絡をとっていません。義実家へは年始の挨拶やお盆など、定期的に訪問しています。義父は、変わらず子どもたちを大事にしてくれ、「一緒に外食に行こう」「孫の好きなものを食べさせてやりたい」と声をかけてくれます。毎回子どもたちへお小遣いもいただき、それは子どもたちの通帳に貯金しています。そして、息子はとても努力して生活習慣を整え、目標通りに退所し、現在は一緒に暮らしています。今は受験生として、幼少期からの夢をかなえるため奮闘中です。息子はまだまだ成長期です。さらに自分を高めて、どうか自身の夢を叶えて欲しいと願っています。そして安定した気持ちで就労できるよう、これからも支援し続けていきたいです。Upload By ユーザー体験談イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)「お子さんを守ること」「お子さんの生活習慣を整えること」を最優先に行動できたのは素晴らしいですね。発達障害の支援の中で、家族や親族の理解を得られないという問題はしばしば見られます。「適切な支援を受けることを拒絶する」といったことも時にはあります。専門家とも相談しながらお子さんの生活習慣を整えるために出した結論に、親族の方から理解をしてもらえないこともあるでしょう。障害や支援に対して理解してくれない理由としては、気が動転してしまったり、お子さんへの愛情が強すぎるがゆえの不安な気持ち溢れてしまっているといったことがあります。ただし、その不安な気持ちを保護者の方が受け止める必要はありません。不安な気持ちをぶつけられることによって、お子さんや保護者の方が傷ついたり疲弊してしまっては本末転倒です。そういった場合は、「この子の親として、最も良い方法を探しているところだから、信じて見守って欲しい」ということを説明して、状況によっては一旦距離を置くことも必要なのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月12日コウは「立ったまま着替えること」ができませんでしたUpload By 丸山さとこ現在中学生の息子のコウが幼い頃を振り返ると、「今なら発達性協調運動症(DCD)と診断されたのかもしれないな」と思うことがあります。一番それを感じたのは、保育園年長の頃、床に座って着替えているコウを見た時でした。それまでも遊具や大き目の段差を怖がるなど不器用さを感じることはありました。ですが、それは不器用さによるものなのか性格によるものなのか分からないところもありました。それに対して服の着替えはシンプルに不器用さが目立つ状態だったため、大雑把な私でも引っかかりを感じたのだと思います。そうして、コウの不器用さを何となく感じつつも「小学生になれば変わってくるのかな……?」と思っていたある日、私は保育園の参観日にて衝撃的な光景を目にしました。教室から園庭に出ていく大勢の園児たちが、立ったまま靴を素早く履いて外に駆け出して行くのです。若干ゆっくり目なお子さんであっても、お尻は床につけずにしゃがんで靴を履いているのを見て、「やはりコウは年齢の割に動きが不器用な可能性があるな」とハッキリ感じました。不器用なような、そうでもないような?以前、滑り台やブランコで遊べなかったコウに対して、スモールステップを意識しつつ「どうやって体を動かすのか」を教えたら遊べるようになったことがありました。そのことを思い出し、立ったまま着替える練習をしてみました。すると、意外なほどスムーズにできるようになりました。Upload By 丸山さとこそれまでの様子から多分難航するだろうと思っていた私は、「あれ?教えただけでこんなにできるようになるものなの?」と首をかしげました。そんなコウの『不器用さ』を見ているうちに、私は「体を思い通りに動かせないことだけが不器用さの理由ではないのかもしれない」と感じるようになりました。不器用さに加えて『周囲の人を見ていない・同じ動きをとろうとしない』ことが影響している可能性はあるのではないかな?と思ったのです。あくまで私がコウを見た上での勝手な推測ですが、コウがASDであることをふまえれば、考えられなくはない要素かもしれません。周りを参考にして動くことも、少しずつ増えてきましたそんなコウも、小学校高学年辺りからは自発的に周りを参考にして動くことが増えてきました。学校から戻るなり「縄跳びが上手い子のやり方を見て研究してきた!」と言って突然上手な二重とびを披露したときには、大変驚きました。Upload By 丸山さとこ着替えに関しても、中学生になった今では、朝に急いで着替える時などには、立ったまま着替える姿が見られるようになりました。とはいえ、それでも靴下や靴は座って履くことが多く、彼にとっては『できるけど面倒なこと』のひとつなのかなと感じます。体幹の弱さは心配ですが、着替える度にヒョイヒョイと座っては立つコウを見ていると、『若さってすごいな~!』とその身軽さに少し感心してしまいます。私も「どっこいしょ」なしで立ち上がれるように、コウと一緒に筋トレを頑張っていこうと思いました。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)立ったまま靴が履けなかったり着替えができなかったりするのはバランスが悪いからです。バランスを司る小脳の機能が低下している可能性があり、発達性協調運動症と診断されることが多いです。発達性協調運動症のお子さんにはOTが行う感覚統合訓練が効果的ですが、日常的には公園の遊具やアスレチックで遊ばせるのがいいと考えられています。音楽療法や乗馬療法などを試してみるのもいいかもしれません。縄跳びも、はじめのうちは縄が頭上を超えて地面についたところでその縄を見てジャンプするということしかできませんが、訓練すると手足の協調運動ができるようになり、ちゃんとした縄跳びができるようになってきます。小児科の神経外来で相談するといいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月11日自閉症娘、中学入学で部活デビュー!広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。中学生になってから、自分の意志で部活を始めました。Upload By SAKURAいろいろと苦手が多い娘。初めは娘が入部することで、何かトラブルが起きないか、迷惑をかけるのではないか、心配していましたが、顧問の先生から話を聞いたり、娘の楽しそうな様子を見て、部活動を通じていろんな経験をしてくれるだろうと、私たちも嬉しく思っていました。Upload By SAKURAある日、ふとした疑問が……そして、入部してしばらく経った頃……Upload By SAKURA中学の2、3年生に「先輩」をつけて話す娘を見て、「あーさんも先輩後輩の関係に入ったんだな~」と感慨深いものを感じていたのですが……ふと思いました。Upload By SAKURA「先輩」はつけているけど……敬語は?使ってる?気になった私は、娘に確認してみることにしました。娘、先輩に対してタメ口なことが発覚!?Upload By SAKURA娘は察することが苦手。暗黙の了解で理解することはできないのです。周りを見ることも苦手なため……Upload By SAKURA同級生と先輩の会話を聞いて、合わせるということもできていませんでした。私たちは娘に話をしました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAUpload By SAKURA中学生になり、「これはこう」という決まりきったことだけを教えるより、いろんな背景や事情も教えた方がいいと思っていましたが、娘にとっては混乱するようでした。様子を見て、教えていきたいと思います(笑)執筆/SAKURA(監修:初川先生より)中学生になったあーさん、部活に入ったのですね。中学生になると突然上級生の敬称として「先輩」がつき、敬語で話すことになりますね。小学校の時は「さん」「くん」づけで敬語もなく遊んでいたのに、途端に文化が変わる感じがありますが、よくよく考えると戸惑ってしまうのも無理はないなと感じます。そうした、昨日まではこれでよかったのに、今日から(中学生になったら)こうなるという変化も、誰もはっきりとは教えてくれないもの。多くの子たちはなんとなく状況を見ながら、中学生としてうまくなじむ流儀を身につけてゆくのでしょうが、暗黙の了解や空気を読むことが苦手なASD特性のあるお子さんにはそもそもそこに気づかずにいるかもしれません。そうした独特の文化、そして関係性のように深まったら砕けた言葉でも構わないといった“ルールに幅や変化の余白があるもの”の教え方の難しさがこちらのエピソードでよく伝ってきますね。まずはシンプルなルールから教えて、アドバンスなルールはその都度あるいは慣れてから教えていく。それで良いと思います。敬語を使わないことで不利益や誤解が生じる可能性が(残念ながら)あるので、まずは年上の人には敬語を使うのだと伝える。中学校生活のみならず、それ以降でも汎用性の高いスキルとして使えますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月10日検索に検索を重ねる日々わが子を育てるなかで不安を感じたとき、またはわが子に障害や生きづらさがあると分かった後、保護者が必ずすることといえばインターネット検索ではないでしょうか。この子はなぜこのような行動をするのか、保護者としてどう対応していけばいいのか……。私もスマートフォンにかじりついて検索をしていました(その時にこちらのLITALICO発達ナビを見つけて、延々と記事を読んでいたことを思い出します)。難しい言葉で書かれた専門的なWebサイトはよく分からないけれど、発達ナビには、同じような特性を持った子どもを育てている人がいること、子育てをしていて同じような気持ちを共有できる人がいるということを知り、それは私の心の支えになりました。Upload By 吉田いらこ発達障害関連のセミナーに参加して私は長女が小学6年生の時に、「もっと子どものためにできることを知りたい」と考えて発達障害関連のセミナーに参加したことがあります。発達障害や生きづらさを抱えた子どもの保護者向けセミナーは、おそらくたくさんあると思います。私はインターネットで見つけたそのうちの一つに申し込みました。Upload By 吉田いらこセミナーの講師の方は発達障害があるお子さんを育てていて、一対一で私の話を聞いてくださいました。当時の私の悩みと言えば、目前に迫った長女の修学旅行でした。新しい場所が不安な長女のため、インターネットで宿泊先の画像を見せたりスケジュールを事前に確認したりと対策していましたが、長女の不安感は相変わらず残っていたからです。その話を講師の方にすると、さらりと「修学旅行、行かなければいいじゃないですか」と仰いました。私はその時本当に驚きました。今の今まで、「行かない」という選択肢を考えたことがなかったのです。学校行事は必ず参加するものだと思い込んでいた私はなんて狭い価値観を持っているのだと感じました。Upload By 吉田いらこ第三者に相談したことでもし、長女が本当に行きたくないと感じているなら修学旅行に行くのを辞めさせたと思います。このセミナーを受けたことで、私の固まった価値観を訂正してもらえた気がしました。長女の場合は、行きたいけれど不安があって行けないので、今回のアドバイスは当てはまりませんが、第三者に相談するのは大切だなと感じました。障害のある子どもについて相談に行ったり学校とやり取りをしたりしているのは、おそらくほとんどが母親だと思います。夫婦で子どもについての話し合いがうまくいかなかったり、ひとりで抱えてしまったりしている方もいるかもしれません。そいう場合に、学校や病院、知人などのほかにもなるべく相談できる場所、話を聞いてもらえる場所が必要だと、今回セミナーを受けたことで改めて感じました。(監修:森先生より)問題をひとりで抱え込むよりも誰かに相談するといいのは、客観的に問題を見ることができるからです。さらに拡げて、頼る先を行政や支援機関など複数持つようにすると、より広い視点で物事が見られるようになります。保護者の視点や学校の先生の視点からだけでなく、第三者である専門家の視点からのアドバイスをもらうことはとても大切ですね。アドバイスに従うかどうかは別として、「こんな視点もあるのだな」と思うだけでも、気持ちは軽くなるのです。今回のケースでは、「修学旅行に行かないという選択肢もあるけれど、自分が行きたいから頑張ろう」と思うのと、「行かなきゃいけない、どうやって耐えよう」と思うのとでは、困難にぶつかったときの気持ちや乗り越えた後の達成感がだいぶ違ってくるのです。さまざまな価値観があるということを知ると、解決策も浮かびやすくなるのではないでしょうか。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月10日「苦手なことが少し多いだけでみんなと変わらない」不注意と多動・衝動性を主な特徴とする、発達障害の概念の一つとされている『ADHD』。(厚生労働省e-ヘルスネットより引用)日常生活の小さなトラブルが、実はADHDのサインかもしれないと気づく瞬間。私たちはそんな繊細な日々の変化にどう向き合えば良いのでしょうか?ADHDのパートナーと結婚して7年目になるKさん(仮名)は、パートナーがADHDということに偏見の目を向けられたことから、実際には苦手なことが多いだけでみんなと変わらないことを知ってもらいたいと考えています。そこで今回のMOREDOORでは、Kさんの体験談を通じてパートナーがADHDであることに気づいたきっかけ、日々の生活での悩み、そしてそれらにどう対処しているのかと、夫婦関係の専門家カップルセラピストからの意見をご紹介します。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Kさん:大事な友人の結婚式の予定を忘れていたり、チェックイン時間に間に合わず連続して飛行機に乗り遅れたりなど、忘れ物やダブルブッキングが異常に多かったのを覚えています。また、Youtubeを見ているときに声を掛けても全く気付かなかったり、預金の引き出しをしてそのままATMに現金を置いてきてしまうこともありました。ADHDの症状の一つである「不注意さ」が垣間見えたことから、パートナーがADHDだと気づいたというKさん。ATMのお金は銀行に問い合わせて無事戻ってきたようですが、不安や心配は続いたようです。ーー日常生活を送る上で、悩んでいることは?Kさん:予定の管理ができないことです。また、全てを後回しにして期間内ギリギリに泣きついてきたり、忘れ物が多すぎることも悩みです。ーーそうしたお悩みについて、解決に向けてどんな工夫をしましたか?Kさん:予定の管理は、仕事も私用もスケジュール管理アプリにすべて入れ、一日の終わりに一緒に確認するようにしていました。後回し問題に関しては、〇〇までに〇〇しないと△△禁止(例:明後日までに〇〇さんに電話で確認しないと一週間ゲーム禁止)と約束して一緒に確認しています。忘れ物は、家を出る前に確認することができるよう、玄関ドアにホワイトボードで必要なものを書いて対策をしています。この取り組みをしてKさんは「最初は嫌がってもルーティン化してしまえば、本人だけでも気を付けられる項目が増えている」ということに気づいたそうです。ーーパートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Kさん:一般的な夫婦のように持ちつ持たれつ仲良くしていきたいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことは?Kさん:パートナーがADHDだと言うと「あー……」と腫れ物のように扱われることがあります。誰にでもその可能性があって、もしかしたら自分もそうかもしれないし、「苦手なことが少し多いだけでみんなと変わらない」ということを学校や家庭でも教えてほしいと思っています。またさまざまな人にADHDのテストを受けてほしいです。カップルセラピストは2人の関係をどう見る?パートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?日本人カップルをはじめ、英語を母国語とする異文化・国際カップルの課題解決もサポートするカップルセラピストの吉田さんに話を聞きました。ーーKさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト吉田さん:「ルーティン化してしまえば本人だけでも気を付けられる項目が増えている」ということですが、人はどうしても出来ていないことに目が向きがちなものです。「出来るようになっていることに目を向けられている」ってなかなか出来ることではないと思います。きっと、ここまで来るのに幾度となくぶつかり合ってこられたことでしょう。工夫をすることによって自分で出来るようになることは、一つの大きなゴールだと思います。いつもサポートするとなると、知らず知らずのうちに対等な関係性が築きづらくなることもしばしば。「なんで私がここまでしなきゃいけないの!」という思いで辛くなってしまうこともあります。失敗の多いADHDのパートナーにとって「あなたのおかげで助かってるよ」の言葉が心が楽になる魔法の言葉だったりするかもしれません。パートナーへの感謝をお互い伝えることが、「持ちつ持たれつ」の関係の秘訣ですよね。どこに目を向けるか持ちつ持たれつの関係のベースにあるのは、お互いの感謝を伝え合うことと。Kさんは大切な人の「苦手なことが少し多い」側面を認め、自分たちに合った新しい生活のアプローチを見つけていましたね。出来ていることに目を向ける、それがより良い関係を築くための一歩を踏み出すキッカケになるのかもしれません。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?コメント・監修者:吉田 亜里咲 (よしだ ありさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2016年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、心療内科、就労支援を経て、2021年よりカナダで依存症ケアを学ぶ傍ら、発達障害児の訪問支援に従事。2023年に帰国後COBEYAにカップルセラピストとして参画。日本人カップルをはじめ、英語を母国語とする異文化・国際カップルの課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月09日「ううう」の始まりは2歳前2歳になるより前からだったと思いますが、スバルは時折こわい顔をして、手や肩に力を入れて「ううう」と声を漏らしながら歩き回ることがありました。Upload By 星あかりその頃のスバルはまだ「バイ(バイバイ)」「ばあ(いないいないばあ)」「あー(Car)」の3語と宇宙語だけでコミュニケーションを取っていたので理由を聞くこともできず、その異様な様子を見守ることしかできませんでした。1回の時間は5秒から20秒くらいで長くはないのですが、多い時期には1日に何度も何度も行われるので不安になりました。そもそもこの行動が何なのか分からない、インターネットで検索するにしてもキーワードが分からない、病気に関わるのであっても何科に相談すれば良いのか分からない……、何も分からない。かかりつけの小児科で相談したことがあるのですが「大きくなったら落ち着くでしょう」と言われました。スバルは1歳半健診時に言葉の遅れを指摘され、3歳で言葉が溢れるまで何度か発達検査を受けていたので、その時にも相談したのですが「爪を噛むようなものでしょう」とサラッと言われました。私が大げさに気にしすぎなのかなと思いつつも、どうしても気になってしまうのでした。「ううう」が出るタイミングは暇な時や不安な時だったので、怖い、嫌だなど負の感情の表現のように感じました。それだと「爪を噛むようなものでしょう」という説明もしっくりくるのですが、「もうすぐおやつだよ」「今度バスに乗ろうね」「またばあばの家に遊びに行こうね」などのスバルの喜びそうな話をした時に出ることもありました。私はますます理解できなくなるのでした。これって「常同行動?」3歳で言葉が溢れ、単語でコミュニケーションが取れるようになった同じ時期に、スバルは自閉スペクトラム症と診断されました。自閉スペクトラム症を勉強するために本をたくさん読んだり療育に通ったりするうちに私は「常同行動」と言う言葉を知りました。常同行動の具体例として、手をヒラヒラさせる、飛び跳ねる、爪を噛む、体を揺らすなどがありました。ピタリと当てはまるものはありませんでしたが、これらの仲間だろうと私は納得しました。常同行動を行う理由として「何かの要求を訴えている」「精神的な安定を求めている」「刺激を求めている」などがあげられており、スバルの「ううう」が出るタイミングとほとんどマッチしていると思いました。しかし「今度バスに乗ろうね」のようなスバルに最大級の喜びを与えたつもりの言葉が「ううう」のトリガーになる事もあったので、そこが引っかかっていました。先の見通しができないと不安になる……自閉症スペクトラム症の息子その後、幼稚園生活が始まり集団生活を送る中で、言葉もかなり増えました。スバルがつたないながらも自分の気持ちを説明できるようになった事で「先の見通しができないと不安になる」ことが分かりました。例えば、幼稚園生活の中で「10時になったら絵本を読むので座って待ちましょう」など具体的な時間を言われると落ち着いて待つことができるのですが、「絵本の時間までもうちょっと座って待ちましょう」などの曖昧な表現だと不安になって「ううう」が出てしまうことがありました。「ううう」の原因……答え合わせそこでようやく気づいたのです。私がスバルを喜ばせるつもりで言った「今度バスに乗ろうね」に対して、スバルは「今度っていつ⁉」という気持ちだったのだと。「もうすぐおやつだよ」「ううう(3時なら3時と言って)」「またばあばの家に遊びに行こうね」「ううう(日にちで言ってもらえます?)」くらいの気持ちだったのだと思います。スバルにとって「先の見通しができない」ことの気持ち悪さは相当のものだったようで、早々に時計の読み方とカレンダーの読み方をマスターし自分でスケジュール管理をするようになりました。幼稚園の先生の「ちょっと待っててね」に対して「いつ頃になりますかね」と聞いて自分で安心できる状況をつくるようになりました。集団生活の中では予期せぬことがたくさん起こり、最初に聞いたスケジュールの通りにいかないことも、そもそも時間が決められないこともありました。それでも時々「ううう」を挟みつつ気持ちを落ち着かせているようでした。Upload By 星あかり暇な時や「先の見通しができない」以外の負の感情でも「ううう」が出るので、参観日でスバルの苦手な工作の時間を参観した時には「ううう」の多さに、私は冷や汗が出ました。ただ、家にいる時と違って、スバルは席についたままこっそり「ううう」を出していたことに成長を感じました。小学生になった現在の「ううう」小学生になった現在、「ううう」はかなり落ち着きましたがなくなった訳ではありません。外で「ううう」が出ることはほとんどありませんが、家ではちらほら顔を出します。宿題の量が多い時、TVで登場人物がピンチになった時、晩ごはんが苦手なメニューだと気づいた時……。2歳の時に言われた「爪を噛むようなものでしょう」と言う解釈は、今となっては「確かにそのようなものだった」と思います。ただ爪を噛むよりかなり派手な動きなので、今でも久しぶりにみるとぎょっとしますが、私も慣れたもので「おっ!今日も派手にやってるね!」くらいの気持ちで見守ることができるようになりました。私も「ううう」とは10年弱の付き合いになりますので。執筆/星あかり(監修:森先生より)常同行動は、ストレスを緩和するためにしていることが多く、自分や他人を傷付けることでなければ基本的には無理にやめさせず見守りをして、不安の原因を考えてみるようにしましょう。今回のように、保護者の方がしっかりお子さんを観察して原因を考えてくれると、支援もしやすくなりお子さんの不安は軽減されますね。お子さん本人は不安の原因をまだうまく説明できないので、観察を続けてもなかなか原因が分からないということもあり得ます。成長してから、「あの時はこんな気持ちだった」と本人から話してくれてようやく意味が分かることもありますね。一般には、発達障害の傾向がある方は「もうすぐ」といった曖昧な表現だとイメージがつかめなかったり、手順にこだわりがあったり、頭の中で考え過ぎてしまったりして、「先の見通しがたたないこと」そのものに不安感をおぼえることが少なくありません。スバルくんが「楽しい予定」を伝えられても、不安になってしまっていたのはこのためかもしれませんね。お子さん一人ひとり、不安ポイントは異なります。あまり思い詰めずに、おおらかな気持ちで見守っていくことが大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月09日弟ふーが発熱。解熱後兄弟同じ寝室に寝かせたら、長男も発熱して急に寒くなった秋の日、弟のふーが鼻水を出し始めました。やがて発熱したふーは、1週間保育園を欠席しました。幸いにもインフルエンザではありませんでした。ふーの熱も下がり明日から保育園に行こうという日、それまで隔離していたふーを、いつものようにミミの隣で寝かせました。翌日のことです。ミミが体調不良を訴え、高熱が出てしまいました!私は(ふーからうつっちゃったのかな……?もう少し隔離しておけばよかった……?でもミミのクラスでもインフルエンザが大流行してるし、どこからうつったかは分からないな……)と思いつつも、二人連続の発熱にガックリ。落ち込みつつも、子どもがいるとこれもよくあることですので、すぐ切り替えてミミを看病をしていました。「弟のせいだ」と高熱で苦しみながらブツブツ言い続ける長男のミミUpload By taekoミミの熱は高く、とてもつらかったと思います。苦しそうに寝込みながらミミは「ふーちゃんのせいだ」とブツブツ。つらい原因を弟のせいにしていました。私は、「ふーからうつったとしたら仕方ないよね。でもミミは学校に行ってるから、学校でうつったかもしれないし、私からかもしれない。これは分からないよね」と言いました。それでも納得がいかないミミは「ふーちゃんのせいだ!」。つらいのは分かるので多少は仕方がないことかもしれませんが、ただただ弟を責め続けるミミの様子を私は悲しく感じていました。インフルエンザ検査を嫌がり「弟なんていなければ良かった」とまたマイナス発言。その言葉を聞いた先生は?ミミの熱が高いので、かかりつけの小児科でインフルエンザの検査をすることになりました。Upload By taeko先生は手袋をはめ「お母さん、押さえてて!」とただならぬ雰囲気。女性の職員さんも一緒にミミを押さえてくれました。一方、過去にやったインフルエンザ検査の痛みを思い出したようで、本気でもがくミミ……。4年生になったミミは力強く、私と職員さんでは押さえきれず、ミミは床にずり落ちたりと、もうすったもんだでした。そんなドタバタを越えて、ようやく検査できました。ミミは検査が痛いことや羽交締めにされたことなどが悲しくて、ここでも「ふーちゃんのせいだ、弟なんていなければ良かった」とマイナス発言……。私はどうしたものかと溜息です。するとそんな私に気づいた先生が、私に(いつもこうなの?)と言うように目くばせしてくれました。こちらの先生は、ミミが赤ちゃんの頃から診てくれているので、ミミのASDの特性をよく分かってくれています。私が「つらいことがあるとマイナス発言するんです」と伝えると、先生はなるほどと納得したようで、ミミにこう言ってくれました。「弟がいて良かったんだよ、1人より楽しいことが増えたと思うよ。あと、弟くんはインフルエンザじゃないから、もしインフルエンザだったら、きっと学校でもらってきたね」さらに「よく考えてごらん?まだ弟くんが赤ちゃんだった頃、まだ免疫も弱くて風邪の経験もない赤ちゃんは、きみからいっぱい風邪をもらっていたと思うよ。病気は上の子から下の子へうつるほうが多いんだ。むしろ、下の子から免疫がある上の子にはうつりづらい。つまり、きみの方が弟くんにうつした回数のほうがよっぽど多いはずだよ」と冷静に伝えてくれました。Upload By taekoミミはこの先生の発言に納得したようでした。反論することもなく、検査結果が出るまで大人しく待っていてくれました。私は個室でミミを抱きしめて待ちました。ミミの検査の結果は?ミミの検査の結果はズバリ、インフルエンザでした!ふーからうつったのではなく、おそらく学校でもらってきたのでしょう。そして、その後はふーへマイナス発言することはありませんでした。きっとミミは熱を出したとき「ふーからうつったに違いない」と思い込み(無理はない状況ではありましたが)、熱でつらい状況を自分だけで抱えられず、自分以外を責めることでなんとか堪えていたのかなと思いました。そして、先生から理路整然と説明された内容に納得し、それで弟へのマイナス発言が消えていったのでしょう。自分で違うと納得できれば、むやみに相手を責めたりしないようです。やがてミミも熱が下がり、食欲も戻りました。朝ごはんにベーコンを出したところ、ベーコン大好きなふーはミミにスリスリ頬ずりをして、ミミにおねだり。ミミはふーに自分のベーコンをひとつあげていました。優しいミミに戻って良かったです。今後もマイナス発言をすることがあると思いますが、悲しい気持ちを聞いた上で、お互いの良いところを伝え続けようと思いました。Upload By taeko執筆/taeko(監修:鈴木先生より)困ったことがあると他人のせいにしてしまうなど、自己中心的であったり、マイペースさといったものは、ASDのあるお子さんに見られることが多い傾向にあります。このような発言は、学校など今後ほかの場面でも見受けられるかもしれません。マイナスではなくプラス思考になるように見方を変えていく必要があります。それには当院でもやっていますが、感情(アンガー)コントロールプログラムの受講をお勧めしています。怒りを他人にぶつけるのではなく、自分の中で消火していく方法を学ぶのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月09日『ADHDだからということに捉われず、その人自身として受け入れて尊重する。』現代社会では、24万人もの人が20歳以降に発達障害と診断されています。(大人の発達障害ナビより引用)今回MOREDOORでは、ADHDの夫をもつ女性Cさん(仮名)に話を聞きました。彼女は、普通を押し付けすぎず、一人ひとりの特性が理解される“すべての人が生きやすい社会”を望んでいるようです。結婚して3年のCさんへのインタビューと、カップルセラピストのアドバイスから、パートナー間のコミュニケーションのあり方を考えていきます。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Cさん:一緒に生活をしてから忘れ物の多さや、携帯やお財布など置いてきてしまった……ということの多さに何かおかしいなと思いました。特に旅行の準備などが苦手なようで手配なども全て私が行っています。調べてみるとADHDの特徴に当てはまることばかりで本人に聞きました。ーー日常生活を送る上で、悩んでいることは?Cさん:パートナーは気になることがあると話が聞こえなくなり、上の空になります。カフェで普通に話していても隣の席の人の会話に気を取られたりして会話にならないので、出かけてもあまり楽しくないなと思ってしまうことがあります。また、それゆえの忘れ物の多さや計画性のなさなどにも悩んでいます。ーーそのお悩みについて、解決に向けてどんな工夫をしていますか?Cさん:お店を出る時など私が必ず忘れ物チェックをしています。また旅行の準備は私が準備する時と同じタイミングで行うようにしています。ーーパートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Cさん:ADHDということに捉われず、その人自身だからと受け入れて、お互いが快適に過ごせるよう尊重し合いたいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことは?Cさん:仕事面でも、仕事が出来ない人だと思われ怒られることも多いようです。普通を押し付けすぎずに一人ひとりの特性が理解されたら良いなと思います。お互いに支え合って……「小さなことの積み重ねから、違和感に気が付いた」というCさん。パートナーの症状が気になり、検索をかけたことでADHDと判明したのだそう。その後、‟パートナーの苦手な部分は自分が補う”という意識をもって行動しているようです。カップルセラピストは2人の関係をこう見るパートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?日本人カップルをはじめ、英語を母国語とする異文化・国際カップルの課題解決もサポートするカップルセラピストの吉田さんに話を聞きました。ーーCさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト吉田さん:プライベートでも、仕事面でも、苦手なことや失敗が多いと自信が持ちにくいことがあるかもしれません。その中でパートナーがADHDに捉われずに苦手な部分をサポートしてくれることで、きっと今まで失敗の陰に隠れて見えづらかった「素敵な魅力や得意なこと」に目を向けやすくなっているのではないでしょうか。どうしても失敗の回数が増えてくると相手を責めたくなってしまうのは自然なことです。でも責められると余計に委縮して失敗が増えてしまったりの悪循環も……。「お互いの苦手を補い、得意でサポートする」そんな良い循環が作れると心地いいですよね。良い循環を生み出す関係性ADHDのパートナーをもつと大変な面ばかりがクローズアップされがちですが、実際の当事者から寄せられたのは「ADHDだからということに捉われない」「その人自身だからと受け入れて、尊重し合いたい」といった前向きな言葉でした。ADHDといってもひとくくりにはできず、個人と個人として向き合う中で見えてくる解決策があり、それがお互いの魅力を引き出す良い関係性につながるのかもしれません。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?コメント・監修者:吉田 亜里咲 (よしだ ありさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2016年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、心療内科、就労支援を経て、2021年よりカナダで依存症ケアを学ぶ傍ら、発達障害児の訪問支援に従事。2023年に帰国後COBEYAにカップルセラピストとして参画。日本人カップルをはじめ、英語を母国語とする異文化・国際カップルの課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月08日小学校入学直後から始まった「行き渋り」現在小学6年生のわが家の長女『姉子』は、赤ちゃんの頃から繊細なところはあったものの、幼稚園の時は楽しく園生活を送っていました。そして、いざ小学校に入学!「さあ、きっとこのまま楽しく小学校に通うはずだし、私も幼稚園の送り迎えから解放されるぞー!」と思っていました。最初の頃は、保護者や先生に見守られて集団で登下校して楽しそうにしていた姉子。しかし、入学から1週間ほど経つと、朝泣き出すようになり、登校前に腹痛や頭痛を訴えるようになりました。Upload By スパ山けれども、一旦登校してしまえば、そのまま学校で過ごして帰ってくるので、朝の登校は私がつき添い、校門まで先生に迎えに来てもらうという形になりました。当時はほぼワンオペ育児だったので、下のきょうだいたちの送迎もあり、姉子を送ったらすぐに家に戻らなければならず、校門で泣いている姉子を先生に半ば強引にお願いして帰ることもありました。第一子だし、まだ1年生だから「最初はこんなもんだろう」と、私は楽観的に思っていました。それが2学期になり、3学期になり……、もう他の同級生は一人で登下校するのがへっちゃらになっているというのに、姉子の行き渋りはずっと変わりませんでした。親としては放っておくわけにもいかないので、なだめたりすかしたり、あの手この手で登校させようと必死でした。ある日突然始まった「チックの症状」Upload By スパ山ある日突然、姉子が目をキョロキョロ動かすようになりました。さらに、まるで何かに引っ張られるように首を振るようになりました。それを見た私は、学生の頃に児童発達関係の専攻をしていた経験から、「あ、チックだ」と思いました。チックは癖のようなもので、幼児期から青年期にかけて現れる子がわりと多い症状だそう。原因など解明されていないことも多くありますが、決して育て方が悪いとか、愛情不足などではないと言われています。姉子本人も、出したくて出しているわけでもないので、止めることもできません。指摘すると悪化することもあるらしいので、「やめなさい」「またやってるよ」など言わず、そっと『あたたかい無視』をすることでほとんどの場合、自然におさまっていくと習いました。でも、いくら知識があったとしても、わが子にチックが出たとなるとやはり不安だったので、念のため、かかりつけ医に診てもらおうと思い、姉子に気づかれないように気をつけつつ、チックの様子を動画に撮っておきました。そして予防接種のついでに動画を見てもらうと、「チックが出やすい年齢だし、そのうちおさまるので指摘せず見守っていい」と、お医者さんからもアドバイスをいただき、待つことにしました。学校の先生方にも姉子のチックの症状について伝え、配慮していただきました。低学年だったからなのか、クラスメイトから指摘されることもなく、症状は良くなったり悪くなったりを繰り返したものの、姉子のチック症状は1年ほどで完全に出なくなりました。小学生になって初めての個人懇談で「発達検査」を薦められるUpload By スパ山姉子にチックの症状が出始めた頃とほぼ同じ時期に、小学生になって初めての個人懇談会がありました。その時に初めて担任の先生から姉子の学校での様子を聞いた私。それは、「本当に姉子のことなのか?」と、耳を疑いたくなるようなことばかりでした。例えば、「名前を呼ばれた人からプリントを取りに行く」のような全体指示が伝わりにくく、呼ばれていないのに取りに行ってしまい、別に叱られていないのに、嗚咽が止まらないほど大泣きしたり、ほとんどのテストが白紙だったり、授業中に教室から飛び出して校舎の外で泣いていたなど……。行き渋りはあったものの、登校さえしてしまえば、一日学校で過ごして下校できていたので、何も問題なく学校生活を送っているものだと私は思っていました。そして担任の先生から「発達検査(WISC)を受けてみてはどうでしょうか」と言われ、そこで初めて姉子にも発達障害があるのかもしれないと思いました(2歳下の弟のハジュがすでに発達障害の診断を受けていた)。まさに寝耳に水。いや、寝耳に氷水くらいの衝撃でした。正直なところ「あ、この子もか」と目の前が真っ暗になりました。発達検査で凸凹が分かった!Upload By スパ山すぐに発達支援センターへ相談に行き、2年生になってすぐWISCを受けました。発達支援センターはすでに弟が通っている所で、姉子も何度か付き添って行ったことがあるので、心理士さんも弟の担当をしてくれている顔見知りの方にお願いしました。姉子が私と離れることを激しく嫌がったので、発達検査に同席させてもらいました。姉子は緊張がとても強く、一つの質問に3分~4分ほど黙って考えこんでしまうので、だいたい90分程度だと言われていた検査に2時間半もかかってしまい、終わったときにはぐったりしていました(それに根気よく付き合ってくれた心理士さんには感謝しかありません……)。結果はかなり凸凹があり、知的能力についてはボーダーかどうかギリギリのところ。しかし、検査中の緊張の強さから正確に判断できないとのことで、しばらく様子を見ることになりました。検査の結果や検査中の姉子を見て、今まで本人は相当しんどい思いをしてきたことが分かりました。私は姉子に申し訳ない気持ちでいっぱいで、今まで気づかなかった自分をすごく責めました。行き渋りやチックは姉子から出ていたSOSだったことにやっと気づくことができたのです。そして、発達検査を受けたことで姉子の特性や困り事を知ることができたので、「上手にサポートできれば学校生活も楽しめるかもしれない」と、淡い期待を抱いていた頃、コロナ禍が始まってしまったのです……。コロナの影響でさらに大変な事態になってしまったわが家。そのお話は別の機会に書きたいと思います。執筆/スパ山(監修:初川先生より)姉子ちゃんの小学校入学した後のエピソードをありがとうございます。幼稚園保育園から小学校という場に変わり、朝校門や児童玄関で泣いてしまうお子さんは結構いらっしゃいます。保護者が玄関などまで送っても泣いてしまい保護者と別れがたいお子さんに対して、保護者が笑顔で去りながら先生方にお子さんを託すという方法はよく取られる方法です。それで朝の会や1時間目頃までに気持ちが切り替わり教室へ入れる、活動に参加できるのであればよいかなと思います。それ以降まで涙が止まらない場合などは別のやり方も検討してみるのもよいでしょう。そうして学校というものに慣れていくことが新入生の時期には通過するプロセスではあります。チックに関しては、どういう時にチックが出やすいか観察してみるのは有効です。家でも学校でも出るのか、緊張したときだけなのか、逆にリラックスしたときにでるのかなどです。いずれにせよ、何らかストレスが過度にかかっているのではないかなと気を配りながら、チック自体はスパ山さんがされたように本人には指摘せず、見守るのみにしていく。そうした対応が一般的です。頑張りすぎているサインかもしれないと思って生活を見直してみたり、先生に学校での様子を聞いてみたりするのもよいでしょう。個人懇談会にて、学校での姉子ちゃんの苦戦する様子を知ったとのこと。だいぶ驚かれたことと思います。学校、集団生活、一斉での指示理解、決められた活動に取り組むという設定……そうしたものの何かにつまずきが見られた、あるいはとても苦手としているということでしょう。帰宅するとほっとして、学校でのいろいろを良くも悪くも周囲に感じさせないという面もあったのでしょう。気になることがある場合(行き渋りもそうですし、そもそも幼少期の様子から学校や集団生活の中での苦戦が想定される場合など)は、連絡帳や電話などで、お子さんの学校での様子を(懇談会を待たずして)聞いてみてもいいですし、先生のほうで気になることがあったら教えてほしいと頼んでおくのも一つです。発達検査によって分かること・分からないことありますが、まずはざっくりとした知的レベルや得意不得意に関して客観的に掴むには有効です。検査受検にあたっても、姉子ちゃんの抵抗はなかなかのものだったのですね。新奇場面(新しく、珍しい場面)への苦手さ、見通しのつかなさなどが強いとなかなか検査者と二人きりで検査室に入れないことがあります。それでも検査の公平性を保つためにも基本的には保護者とは分離して実施できるよう、最大限工夫するのですが、なかなか難しかったからか保護者が同席した形での実施になったということですね。こうした場合は少数で、基本的にはお子さん一人で受検するものになります。そうした緊張の強さ、そしてなかなかに熟考・長考したというところで、分かっているのに答えられなかった可能性などが浮上するため、全体として参考値扱いになったのではと想像します。ただ、指示を聞いて、期待される回答や言動を取るということや初めての環境で良く知らない人と、というところの掛け合わせでかなり困難が生じやすいことがよく分かり、ということは学校生活もなかなかにしんどい思いをしながら過ごしている可能性が想定されたということですね。家庭での生活が姉子ちゃんにとって安心安全で、そこまでの不適応を家庭の中では出さずにやってこられたからこそ、学校のような集団の場では苦手さが重なっていたけれど家庭からは見えにくかったのでしょう。気づいてあげられなかったという後悔の思いも語られていますが、ただ、「家庭では楽しそうに過ごしていたんだよね」というところは姉子ちゃんにとって過ごしやすい環境を提供できていたからこそでもあります。行き渋りやチックがSOSであったのはそうかもしれませんが、気づくのに遅すぎることはありません。気づいてからの対応が大事です。検査の結果や検査時の様子もふまえて、学校での支援や家庭でのサポートが姉子ちゃんに合ったもので充実してゆくといいなと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月08日『違いも受け入れ合い、誠実に向き合うことで、関係の発展に繋がる』現代社会では、24万人もの人が20歳以降に発達障害と診断されています。そんな中、発達障害(ADHD)のパートナーをもつ人は、どのように暮らしているのでしょうか。今回MOREDOORでは、発達障害を後ろ向きに捉えず、ADHDをもつ彼とさまざまな工夫の凝った生活を送るDさん(仮名)に、「日々の暮らし」をインタビュー。交際2年目となるDさんは、発達障害やそれに伴うメンタルヘルスで悩む人に対する偏見や差別が、少しでも減少してほしいと考えています。専門家であるカップルセラピストからのアドバイスも踏まえて、ご紹介します。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Dさん:パートナーとの共同生活で気づきました。例えば、家計管理が難しく、支出がコントロールできない瞬間や、計画を立てることが苦手な面が目立ちました。また、コミュニケーションでは、話題が逸れやすく、集中が続かない様子も見受けられました。こうした些細なことが積み重なり、彼がADHDかもしれないと考えるようになったのを覚えています。生活の中での細かい変化や、普段の行動パターンに気づいたことが、キッカケでした。ーー日常生活を送る上で、なにか悩みはありましたか?Dさん:パートナーは自分の感情を表現することが難しく、私が期待するコミュニケーションのスタイルと違いました。これが誤解や疎外感を生み、悩むことになりました。ーー解決に向けて、どんな工夫をしましたか?Dさん:まずは冷静になり、お互いの期待や感情について率直に話しました。感情表現が苦手な彼に対して、テキストや手紙を活用して気持ちを伝える方法を導入しました。また、お互いにコミュニケーションのスタイルや重要視する点に理解を深め、妥協点を見つける努力をしました。ーー独自の方法を編み出したんですね。何か気づいた点はありましたか?Dさん:気づいた点は、お互いに異なるコミュニケーションスタイルがあっても、受け入れ合い、誠実に向き合うことが関係の発展に繋がるということです。ーー素敵ですね。パートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Dさん:信頼できて支え合える関係性がいいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことはありますか?Dさん:教育制度において、個々の生徒の学習スタイルや興味に合わせた柔軟なカリキュラムの導入をしてほしいなと思います。そうすることで、より自分に合った進学や職業を見つけやすくなるだろうなと思うからです。また、メンタルヘルスへの理解を深め、社会全体での精神的な健康の重要性を広く認識する仕組みが整備されると、もっとメンタルヘルスの問題に苦しむ人たちへのサポートが充実して、偏見や差別が減少するかもしれないと思っています。カップルセラピストは2人の関係をこう見るパートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポートしてきたカップルセラピストの坂﨑さんに話を聞きました。ーーDさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト坂﨑さん:素晴らしい対応をされていると思います。「冷静に」とさらっと言われていますが、それがカップル関係ではなかなかできない。冷静に話し合った先に、アイデア、工夫、実行が生まれてきますが、その前段階で「どうして自分のことを理解してくれないの」「相手がおかしくて、自分が正しい」という主張をし続けてしまうからです。実は、決してうまくいく方法がさっぱりわからないわけではなく、感情的なぶつかり合いが邪魔していることがほとんどです。教育制度にまで言及されているのでADHDの基本的な理解も学ばれた上で、お互いのコミュニケーションパターンを理解し工夫されているのだなと想像しました。例えば一方は「感情的交流がしたい。自分の気持ちをわかってほしい」もう一方は「現実的な解決が優先。解決すればこの衝突はなくなる」ということはカップルでよく起こることです。この理解と工夫まで辿り着けることは当たり前ではありません。お互いを思いやる気持ちが重要ADHDのパートナーをもつと大変な面ばかりがクローズアップされがちですが、実際の当事者から寄せられたのは「違いも受け入れ合い、誠実に向き合うことで、関係の発展に繋がる」といった前向きな言葉でした。ADHDのパートナーであっても、そうでなくても、お互いが冷静に向き合う中で見えてくる解決策があるのではないでしょうか。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?監修者:坂﨑 崇正(さかざき たかまさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2010年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、男性相談員、就労支援相談員、専門学校講師等を経て、2021年よりCOBEYAにカップルセラピストとして参画。これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月07日Q:発達障害グレーゾーンとはなんでしょうか?A:発達障害のいくつかの症状はあるけれども診断基準に満たないものをグレーゾーンといっています。Upload By 発達障害のキホン発達障害のいくつかの症状はあるけれども診断基準に満たないものをグレーゾーンといっています。母集団的には、発達障害に診断がある人よりも発達障害未診断の人のほうが多いと言われています。診断基準には満たないものの、困難な部分のいくつかは発達障害のある子どもと共通の原因で起こっている可能性があるため、環境的な工夫や、問題行動を解決するスキルの学習など、発達障害の特性に合わせた同様の支援が有効です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月07日順調だった小学校時代、しかし中学入学後トラブルが増えた自閉症息子。勉強に部活と複雑に……10歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子の話です。小学校では通常学級に通っていましたが、そこでは解決できないような目立ったトラブルはありませんでした。しかし中学に入ってからは、勉強、部活にとトラブルが増えていき、対応に苦慮しました。小学校まではなかった学習トラブルが!アルファベットは鏡文字だらけ!小学生の頃からバランスの取れた字は書けませんでしたが、それでも文字を書くこと自体に困っておらず、特に対策もしていませんでした。しかし、中学1年生になると、教科書のルビが見えていないことが発覚。さらに画数の多い漢字についても、読めるけれど形がよく分からないので上手く書けず、本人は困っていたそうで……。そこで中学2年生になってからは通級指導教室に通い、授業やテストではルーペを使わせてもらっています。また、教科によっては拡大教科書を使ったり、授業で使うプリントを拡大コピーしてもらうこともあります。拡大したものを使うことで、ずいぶん楽になったようです。中学から本格的に始まった英語にはとても苦労しています。ローマ字のように、音をそのまま書けばいいわけではないので、スペルの綴りミスが頻発。さらに、アルファベットは、『b』と『d』、『p』と『q』、『a』と『u』をよく間違えます。『J』『N』『S』は鏡文字です。文法も、助動詞の使い方で混乱するなど、日本語とは違うため大変なようです。Upload By ユーザー体験談ただ、音読は得意なため、英語のスピーキングは流暢。ここでも得意不得意の凸凹を感じています。勝利至上主義の厳しい運動部へ入部。先生に配慮をお願いすると「任せてください!」と返事をしてくれたけれど……また、中学に入ると息子はソフトテニス部に入りました。顧問は若い女性の先生で、試合に勝つために厳しく、熱心に指導していました。息子がそんな厳しい練習をしている部活に入ると思っていなかった私。心配はありましたが息子の希望だったので、見守ることにしました。幸いにも部員は先輩を含めみんな優しかったようです。顧問の先生へは、最初に2つ配慮のお願いをしました。曖昧な表現がわからない場合があるので、できるだけ具体的に指導してほしいこと、疲れていることに気づかないので、一定の時間ごとに休憩を入れさせて欲しいことです。先生は「分かりました!大丈夫です、任せて下さい!」「ほかにもそういう子がいるので大丈夫です」、大会前には「少しでも息子君が活躍できるようにしたいと思います!」と言ってくれ、理解をしてくださっている感じでした。Upload By ユーザー体験談ただ、定期的にお便りを出してくれるのですが、「ミスが多くて気持ちが悪いプレーがある」、「このままでは、いつまでたってもあの学校には勝てない」、「気持ちで負けている」というような内容が多く、とにかく勝ちにこだわっている様子。もし部活でもこんな感じだとしたら、息子に合っているとは思えないし、つらい思いをしている子もいるんじゃないかと心配でした。指導されないまま半年以上放置されていた?顧問の先生に不信感が爆発入部して半年ほどたった10月のことです。たまたま部活の様子を見ていたほかの保護者の方から、「息子君、もしかして打ち方を知らないんじゃないの?」と心配そうに声をかけられました。まさかと思い私も様子を見て見ると、本当に息子が打ち方を知らないままテニスをしていたことが分かりました。入部して半年以上、もうすぐにシーズンオフなのになぜ打ち方を知らないの?大会や練習試合も打ち方を知らないまま出ていたの?誰も打ち方が違うって教えてくれなかったの?疑問が頭に浮かびました。私はあくまでも冷静に、責めるような言い方はせず先生に聞いてみました。すると、「打ち方のおかしい子が何人かいます。シーズンオフにきちんと指導するので、それまで待ってください」とのこと。息子以外にも打ち方を知らない子がいるかもしれないということにびっくりしました。下手な子どもの指導は後回しだったのかと、先生に対してかなり不信感を覚えてしまいました。息子は、誰にも打ち方が違うと言われたことがなかったそうで、事実を知ってショックを受けていました。その影響か、ようやく学校に慣れて落ち着いてきたのに、また学校を休むことが増えました。部活も出られずに帰ってきて、うつむきながら「打ち方が違うって教えてもらえなかったのは、やっぱ違うと思う……」と呟いていました。その後、副顧問の先生が打ち方を知らなかった子どもたちを集めて指導してくれ、何とか部活に出られていたのですが、ある日、お便りをもらってきました。「努力の仕方を間違えると、どんなに頑張っても上達しません。正しい努力ができるよう、自分で考える力をつけて下さい」というような内容でした。先生にそんなつもりはなかっただろうとは思いますが、なんだか「打ち方を知らないのは、考える力がない本人が悪い」と言われているように感じました。息子はお便りを読んで、「部活では『努力が足りない』って言われるし、どうしたらいいか分かからない……」と悩んでしまい、とうとう「部活がつらい」と言い出しました。私もこれ以上は無理だと思い、しばらく部活を休ませることにしました。Upload By ユーザー体験談休部から自分の意志で復帰した息子の成長に感動息子には「3月いっぱいくらいまで休んでみる?先のことはまた考えよう」と伝え、息子もしばらくのんびりしていましたが、2月頃、突然「部活出てきた」と復帰しました。私や事情を知っているスクールカウンセラーの先生などは驚いて、部活に復帰したことをかなり心配しましたが、本人は戻れたことが嬉しかったようです。復帰したいということを顧問の先生に伝えたら、先生は息子に謝罪してくれて、息子も「やっと顧問の先生にちゃんと教えてもらえるようになった」と嬉しそうでした。部活で配られていたお便りは、復帰した頃にはなくなっていました。Upload By ユーザー体験談数ヶ月休んでいたので、復帰するには勇気が必要だったと思いますが、自分の意志で復帰して本当に偉かったと思います。以前の息子なら、そのまま辞めていたかもしれません。どうやら「辞めてもいい」と思っていた私より息子のほうがしっかりしていたようです。その後、異動のために顧問の先生が変わりました。息子は今、楽しく部活に参加しています。中学校に入ると今までなかったようなトラブルがあり、問題も複雑になり対応に苦労しましたが、その分息子も大きく成長したように感じます。これからも、困ったことがあったらSOSを出せ、みんなと気持ち良く助け合える関係をつくれるような力を、身につけていってほしいと思います。イラスト/星河ばよエピソード参考/こぺはは(監修:鈴木先生より)本人は努力していても「努力が足りない」と言われると自尊心が下がります。少しでも努力した分を褒めてあげればよかったのです。できないことよりもできることを褒めてスモールステップでできたことを伸ばしてあげるということは、学習面でも同じです。たとえテストで30点だったとしても「よく30点取れたね、次回は40点を目指そうね」でいいのです。またASDには発達性協調運動症という不器用さが併存していることも多々あり、球技が苦手なお子さんも多くいます。無理せず少しずつ伸ばしていけばいいのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月07日3歳で発達相談を受けるも様子見に。小学校の担任へは「問題がありそうなら教えて」と必ず伝えた小学校時代現在高校3年生の息子は高校1年のときにASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。ADHD(注意欠如多動症)の傾向も平均より高いとのことです。診断は遅くなってしまいましたが、小さい頃から「もしかしたら特性があるのかも?」と感じる場面はありました。物音に敏感で騒がしいところが苦手だったり、指先にのりや食べ物などがつくのを嫌がったりなど、少し気になるところがあったため、3歳のとき、保育園から「発達相談を受ませんか?」と促されました。過敏さのほかにも、ミニカーを縦に整列させたり、ペットボトル風車が回るのをずっと眺めていたりと、私自身、薄々息子には特性があるかもと感じていたのもあり、発達相談を受けることにしました。発達相談では、想定外の事柄への不安があることや、手先も不器用で発達も遅めだということを指摘されました。ただ、環境には順応できるのではとの見解で、少し安心した覚えがあります。以降、進級して担任が変わる度に、保育園で発達の指摘があったので先生から見て気になる点がありそうなら教えてくださいと必ず伝えました。小学校でも行き渋ることはなく、発達はゆっくりめな印象でしたが、同級生とは「お世話される弟キャラ」的な立ち位置でうまくやっていたと思います。ただ特定の友達のからかい、学校生活の中でのストレスは感じていたようで、鼻をならすチックや頻尿などの症状は出ていました。また、小学3年の頃から算数への苦手さが出てきたと記憶しています。Upload By ユーザー体験談数学が壊滅的に理解できていない!家庭教師をつけ、高校受験へUpload By ユーザー体験談中学校入学以降はあれよあれよと成績が下がっていきました。中学1年の1学期の実力テストの順位は真ん中くらいで「次は頑張ろうね~」と軽く捉えていたのですが、2学期以降に、数学と英語の成績が落ちだし、家で勉強を教えても理解が遅い、教えても忘れる、数学で使うXとYの意味や、文章題の大問と小問の関係が理解できない……などなどが露呈。親が教えることに限界を感じて、中学2年から家庭教師をお願いしました。わが家は集団塾もないような地域だったので、家庭教師を探すのも大変でした。中学3年の1学期、個人面談で、日中の居眠りがひどく、数学が壊滅的に理解できていないことを担任の先生から指摘されました。数学ができないことは多少は分かっていましたが、居眠りとは衝撃。このままではいけないと先生と相談し、高校受験対策を練りました。まず、・数学は計算問題だけで点数を稼ぐ。そのため中学1~3年の計算ドリルをくり返し解く。・他教科は応用問題は捨て、基礎問題だけともかく繰り返して解く。それに加え、家庭教師にも高校受験が終わるまで来てもらいました。そして何とか定員割れの地元高校に入学。ホッとしたところで高校でもトラブルが噴出したのです。「合理的配慮が必要」と学校から言われ、急いで精神科を受診、高校1年でASD(自閉スペクトラム症)の診断が高校へ入ってからのことです。朝礼で移動教室について指示したそうですが、一人だけ違う教室に行ってしまった息子。先生が探し回ったそうです。テストを受けても、解答用紙が裏面にもあることに気づかなかったり、論理的思考が必要な問題はお手上げ状態。息子は社会など暗記科目は得意で、英語も単語は書けるのですが、文法が理解できていないことが分かりました……。そして学校から、これは合理的配慮が必要だと判断され、早急に病院で診断をもらうようにと指示されました。診断を受けるにしても県の発達専門の病院の予約は1年先になると言われ、ともかく早く受けるために家から遠く離れた精神科を受診しました。私は精神科を受診するということに、本人がショックを受けないかが一番心配でした。Upload By ユーザー体験談診断は「ASD(自閉スペクトラム症)傾向が高い。ADHDについても、不注意の傾向が平均より高い」でした。このとき息子は高校1年生、16歳でした。私は小さい頃から息子を見ていて「なにか特性があるかも」と思い続けていたので覚悟はできていましたが、本人はショックだったと思います。荒れたり、泣いたりもしませんでしたが、「オレって障害があるんだ」とつぶやいていました。精神障害者保健福祉手帳を取得するか息子と話し合ったのですが、高校卒業後に必要になること、困った時に助けてもらえるなどメリットを前面に出して説明をしました。今思えば、取得しないという選択肢はないような伝え方をしてしまったかもしれません……。その後、息子は精神障害者保健福祉手帳を取得しました。高校での合理的配慮は?就労支援体験実習で自信をつけてほしいUpload By ユーザー体験談診断後、高校では5つの合理的配慮を受けました。1.具体的表現、説明2.作業手順、指示の視覚化、ルーティン化3.十分な作業時間の確保4.次回、次週の予定の伝達5.座席位置の前方固定これによって、以前よりずいぶんと過ごしやすくなったと思います。ですがその後、高校の先生からは進学も就労も厳しいと言われ、友達からもからかわれと傷つくことの多い3年間でした。友達から「おまえ、障害があるんだって?」と言われたから言い返したとは聞いています。今何よりも後悔していることは、息子の診断が16歳と遅れてしまったことです。早く診断がついて適切な対応が取れていれば、違う方法や進路があったのではないかと思うのです。子どもに関わった先生方も、気づいていたら言ってほしかった……できれば助けてほしかった。息子へは申し訳ない気持ちでいっぱいです。息子は高3なので卒業後の進路が目下の悩みでした。しかし、先日就労移行支援事業所へ相談、ある企業で体験実習を行い、「働く力がある」と言われ就職先が決まり、胸をなで下ろしているところです。施設の方からは、自分の弱点、苦手を知り対処方法を考え、経験を積み、働き続ける力をつけることが目標と言われています。卒業後はできることを増やし、息子には自信をつけていってほしいです。そして楽しく働くことができたらいいねと話しています。イラスト/ネコ山エピソード参考/やぎ母(監修:鈴木先生より)「早期介入の重要性」は元サウスカロライナ医科大学のバークレー教授が常に言っていた言葉です。就学前では1歳半・3歳児・地域によっては5歳児健診が早期介入のきっかけになっています。それらの健診で「様子を見ましょう」と言われ、その後の就学時健診もすり抜けるとあとは、学校の先生が気づいて保護者に相談するほかは専門医に相談するきっかけがあまりありません。たとえ就学前の健診で指摘されてかかりつけ医に相談してもそこで「様子を見ましょう」と言われたら道は途絶えるのです。健診での保健師さんや医師、かかりつけ医、担任の先生、習い事のコーチなど子どもと触れ合う大人に神経発達症の知識が少しでもあれば専門医へ相談するという道はあったはずです。ADHDは6歳から治療できます。お子さんの自尊心を高めるためにも早期介入・診断・治療が重要なのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月06日『目に見えるだけが障害じゃないと知ってほしい。』24万人もの方が、20歳以降に発達障害と診断されている現代社会。(大人の発達障害ナビより引用)そんな中、発達障害(ADHD)のパートナーをもつ人は、日々の生活をどのように暮らしているのでしょうか。そこで今回のMOREDOORでは、ADHDのパートナーと結婚して10年目になるBさん(仮名)にインタビューを実施。Bさんの日々の暮らしと、夫婦関係の専門家カップルセラピストからの意見をご紹介します。※当事者の声はさまざまです。あくまで一例として、考えるキッカケになれば幸いです。さまざまなところに違和感を覚え……ーーパートナーがADHDかも?と気づいたきっかけは?Bさん:生活面だと片付けられないところです。やったらやりっぱなしです。人間関係も広くは付き合わないし、飲み会も行きたがらない。金銭面もあったらあった分だけ使ってしまいます。コミュニケーションも一方的で人の話は聞かなくて……。そういったさまざまな面を見て「ADHDなのでは?」と気が付きました。ーー日常生活を送る上で、悩んでいることは?Bさん:やはり片付けられないことですね。ーー解決に向けてどんな工夫を?Bさん:その都度伝えて、パートナー自身に気づかせてました。ーーパートナーとは、どんな関係性を築いていきたいですか?Bさん:今のまま仲がいい夫婦のままがいいです。ーー今後、社会に対して「もっとこうなったら良いのにな」と思うことは?Bさん:まだADHDの認知度も低いので目に見えるだけが障害じゃないことを知って欲しいです。仲良し夫婦のままでいたい片付けが苦手なところや、コミュニケーションが苦手なところを見て、「パートナーがADHDなのでは」と気が付いたBさん。普段から相手をよく見ているからこそ、気が付けたのかもしれません。またADHDの症状は「怠慢、サボりだと勘違いされやすい」とも言われています。愛するパートナーの特性を上手に乗り越えてきたBさんだからこそ、世間の人にもっと知ってほしいと強く願っているようですね。カップルセラピストは2人の関係をどう見る?パートナー間の関係改善を目的としたカウンセリングを行う、“カップルセラピスト”はお二人の関係をどう見るのでしょうか?これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポートしてきたカップルセラピストの坂崎さんに話を聞きました。ーーBさんのお話をどう感じましたか?カップルセラピスト坂崎さん:結婚10年目で、「今のまま仲が良い夫婦のままがいい」と言えるのは素晴らしいと思います。その言葉が言えるまでになった背景には、「その都度伝えて、パートナー自身に気づかせる」という努力の賜物だと思いますし、辛かったことも葛藤もあったことでしょう。ADHDといっても、もちろん人それぞれで、共通点はあるものの、性格も違えば必要な対応も違っていきます。決定的に改善が難しいものもあれば、工夫次第で改善可能なことも多いです。片づけはその中でも、工夫してきたが諦めることやむなしと思っておられる部分なのかもしれませんが、その工夫をお互いの協力で見出していくことが重要ですね。向き合うことの大切さADHDのパートナーをもつと大変な面ばかりがクローズアップされがちです。しかし、実際のパートナーをもつ当事者Bさんからは、お互いに症状と向き合うことで、素敵な関係性を築けることが伝わってきました。ADHDといってもひとくくりにはできず、個人と個人として向き合う中で見えてくる解決策があるのではないでしょうか。みなさんは、この記事を読んでどのように感じましたか?コメント・監修者:坂﨑 崇正(さかざき たかまさ)臨床心理士・公認心理師、COBEYAセラピスト。2010年鳴門教育大学大学院修了。スクールカウンセラー、男性相談員、就労支援相談員、専門学校講師等を経て、2021年よりCOBEYAにカップルセラピストとして参画。これまでの3,000件以上に及ぶ臨床経験を活かし、パートナー間の課題解決をサポート。(MOREDOOR編集部)
2024年01月05日突然の退園勧告、そして転園先探し。息子が通える園はある?わが家の長男は4歳の時に軽度の知的発達症(知的障害)と診断されました。受給者証や療育手帳も取得し、療育に通い始めた矢先、当時通っていた幼稚園の園長先生から「長男くんは、うちの園の年長クラスに進級するのは難しいと思う」と直々にお話があったことがきっかけで、幼稚園を退園することになりました。突然の出来事だったので、退園時には息子の転園先については全く考えていませんでした。そのため次に通う園を急いで探すことにしました。Upload By プクティ今まで長男が通っていた幼稚園はやることも多く、一クラス30人近くいる大人数の幼稚園でした。療育の先生にもアドバイスを求めたところ、「長男くんには少人数でゆったりと過ごせる園のほうが合っているのでは?」ということだったので、少人数保育をしている園を中心に探すことにしました。インターネットを使って探してみると、比較的家からも通いやすく一クラス15人程度の少人数で、しかも療育施設も併設されている園を発見!しかし、そこは幼稚園ではなく保育園だったので、年度途中に入れるのか分かりませんでしたが、とりあえず電話して話を聞いてみることにしました。インターネットで見つけた保育園。電話してみると……?Upload By プクティその保育園に電話をしてみると、園長先生がとても親切に応対してくださいました。ぜひ一度見学にと言っていただけたので、早速夫と一緒に、長男を連れて保育園の見学に行くことにしました。園内を案内してもらい、クラスの様子や給食をつくる様子など見学をさせていただきました。やはり少人数ということもあり、先生方が手厚く見てくれていて、これまで通っていた幼稚園とは違い自由遊びの時間も多く、子どもたちがのびのびと生活している姿が見られ、長男にも合った環境だと感じました。Upload By プクティ見学が終わった後は長男もすごく気に入った様子で、この保育園に通いたいと言ってくれたので、早速役所へ行き申請書類を提出しました。Upload By プクティそして後日、保育園に併設されている療育施設も見学してみることにしました。すると、療育施設のほうもとても環境が良く、活動を体験させてもらった長男も楽しんでいる様子でした。こちらの療育施設は保育園の中にあるため、先生同士のやり取りもスムーズで、さらに引き渡しも先生方で行ってもらえるので保護者の送迎は不要!当時、長男はすでに別の療育施設に通っていましたが、ぜひこちらに変更したい!と思いました。しかし聞いてみると、残念ながら空きがない状況だったので、新年度から入れるように空き待ちをすることになりました。保育園の希望は通る!?一本の電話がかかってきて……Upload By プクティ保育園のほうはというと、年度途中で入園するのは難しいかと思いつつ申し込んでいたのですが、なんとたまたま枠が空いていたという連絡があり、無事に転園が決まりました。幼稚園を辞めることになった時は、あまりに突然のことで大きな衝撃を受けましたが、結果として、長男にとっても、私たち保護者にとっても、もっと安心して過ごせる環境の園に出合うことができたのでした。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)プクティさん、転園先決定までの道のりを具体的に共有してくださりありがとうございました。療育併設、しかもお子さんも気に入った保育園に、希望通り転園できたとのこと、本当によかったですね。保育園での時間は、お子さんの生活の大部分を占めるので、ご本人がリラックスできて、楽しめる環境にしてあげたいですよね。今まで通っていた園での継続保育が難しいと言われてしまうと困惑されてしまう親御さんも多いかと思いますが、ほかの障害のあるお子さんの数や、園の先生の数などによっても対応できるかどうかが変わってしまうので、園の先生方と相談しながらどのような環境で過ごすのが望ましいか、考えていけるとよいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月05日Q:体幹が弱いのか、子どもがすぐ転んだりぶつかったりして頭をケガしてばかりで心配でます。予防法などありますかA:年齢の低い子どもはバランスを取ることが難しい時期になります。3歳以上になっても何もない場所で転ぶ場合には何らかの疾患が原因の場合もあるので、困りが強い場合などは専門機関に相談しましょう。Upload By 発達障害のキホンお子さまがよく転ぶのを見ていると、心配になると思います。前提として、年齢の低い子どもは身体に対して頭が大きく、揺れや動きの感覚を上手に捉えてバランスを取ることが難しい時期です。発達が進むにつれて身体が大きくなり、感覚を捉える力も高まるため、転びにくくなることも多いです。ただし、3歳以上になっても何もない場所で転ぶ、頻度が非常に高いなどの場合、以下のような原因が背景にある場合があります。何らかの疾患が原因の場合もあるので、困りが強い場合や突然転びやすくなった場合には、専門機関に相談しましょう。不器用さ:身体の使い方が不器用だったり、揺れや動きの感覚を捉えることが苦手だったりするために、ものにぶつかったり、つまづいたりしやすい場合があります。注意や衝動性の問題:注意がそれやすく障害物に気づきにくかったり、衝動的に動く傾向が強かったりするために、転びやすくなっている場合があります。筋緊張:筋肉の張りが弱いと、姿勢をうまく保つことが難しいため、転びやすい場合があります。靴のサイズ:靴のサイズが合っていない場合、転びやすくなる場合があります。子どもの足の大きさは変化しやすいので、定期的に確認してみてください。見えにくさ(弱視):視力が低い場合、周りがよく見えていないために転びやすくなっている可能性があります。目を細める、こするなどの行動が多く見られたり、見えにくそうな様子がないか観察してみましょう。気になる場合は眼科にご相談ください。脳や神経の疾患:脳や神経の異常が原因で、運動機能に影響が出ている場合があります。周りの子どもと比べても転ぶ頻度が非常に高かったり、今までは問題なかったのに突然転びやすくなるなど、いつもと違う様子が見られたりする場合には、医療機関にご相談ください。転びやすさの原因にはこのようにさまざまな要因が考えられます。また上記以外の要因がある場合も考えられます。発達的なゆっくりさであれば、さまざまな運動体験の積み重ねや身体の発達によって転びにくくなる場合があります。適切な遊びや運動については、理学療法士や作業療法士に評価・対応を相談できるとよいでしょう。また、一般的な環境調整としては、つまづきやすい障害物を動線から減らしたり、よく過ごす部屋の床に柔らかいマットを敷いたりすることで、転びにくく怪我しにくい空間を作る対応を取ることがあります。特に低年齢の子どもに対しては、気をつけるよう注意を促すよりも環境を整えることが重要な場面が多いです。頻度が高い場合や医学的な原因によって転倒が増える場合には、先述のように専門機関と相談して原因を明らかにすることが何より重要です。安全に生活するためにヘッドギアを身につけるなどの対応をする場合もありますが、専門家の指示に従って行いましょう。
2024年01月05日Q:子どもの発達障害は、治せるのでしょうか?A:発達障害の診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させ、さまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。Upload By 発達障害のキホン発達障害は、原因として中枢神経系の機能に困難があるといわれています。それが、環境との兼ね合いの中で症状が強まったり弱まったりするともいわれています。発達障害の程度にもよりますが、症状として軽減する、年齢と共に適切な環境と療育によって症状はあるけれども問題にはならない、本人としての困難感はあるけれどもできる行動は増えていくということはあります。例えば、小さい頃は感覚の過敏性がひどく、こだわりのためにパニックを起こしたり、衝動的な飛び出し行動があったりということが、加齢と共に過敏性は感じられるものの行動の出方としては、やりすごすスキルや、対処法を身に付けていくことで問題とならなくなるなどです。また、発達障害の特性が軽いタイプの子どもの場合、診断基準を満たさなくなり診断が外れることもあります。しかし、この場合も本人が感じる困難さは残っていることが多く、注意は必要です。いっぽう、発達障害としての特性を理解しないで、本人の努力不足として叱責されたり、自信を失ったりすることで自らを追い込んでしまい、思春期位で不安や抑うつ症状が強まってしまうこともあります。診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させさまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月04日1歳半の息子、発達に気になるところが……。1歳半健診で相談しよう!前回の記事で書いたように、赤ちゃんの頃から発達に気になるところがあった息子のたーちゃん。1歳半の頃にはさらに、癇癪、パニック、こだわり、偏食、異食などもでてきており、自宅保育をしていた私はノイローゼ気味でした。Upload By みかみかん1歳半健診ではたーちゃんの様子を専門の方に見てもらって、たくさん質問して不安を解消しようと意気込んでいました。聞きたいことや話したいことをメモにまとめたり、健診当日に向けてしっかり準備をしていました。万全な対策をして、いざ1歳半健診へ!たーちゃんはこの頃から不安感が強めで、人見知りと場所見知りがひどく、パニックや癇癪になることもありました。なので無理をさせないように外出は慣れた場所ばかりでした。1歳半健診が市の児童館で実施されると知ってからは、少しでもたーちゃんが場所と雰囲気に慣れてくれたらと思い、週に何度かその児童館に遊びに行きました。健診当日、いつも通り機嫌よくたーちゃんは児童館へと入っていきました。場所に慣らしておいた努力が報われたかもしれない……と安堵しながらホールの扉を開けると、そこではたくさんのお子さんと保護者が健診を受けていました。場所見知りとパニックが起きてしまう……その様子を見たたーちゃんは、いつもと違う雰囲気に気圧されたのか、激しく泣き始めてしまいました。Upload By みかみかん裸足で外に出ていってしまう勢いでパニックになり、なんとか抱っこして抑えている私は「まさか」「やはり」「なんで」が混ざった感情でぐちゃぐちゃでした。他に泣いている子どもはおらず、楽しそうにお友達とおもちゃで遊んだりしており、保護者の方も談笑しながら順番を待っていました。その中でひときわ大きい声で泣いて暴れるたーちゃんにチラチラと向けられる視線がつらかったです。大人2人がかりでの身体測定……なんで他の子と同じようにできないの?その後も私や職員の方がいくらなだめてもたーちゃんが泣き止むことはありませんでした。大人2人がかりで泣いて暴れるたーちゃんの身体計測をしている様子を見るのもつらく、もう帰ってしまおうかとも考えました。しかし、たーちゃんにはつらい思いをさせてしまうけれど、ずっと悩んでいた発達についてしっかりと相談したいと心に決めていました。私も頑張るから最後の問診まで頑張ろうと、暴れるたーちゃんを抱きしめていました。待望の問診。たくさん聞きたいことや話したいことがある!しかし……問診に呼ばれた時にも、まだたーちゃんは泣いて暴れており、私は疲れきっていました。心理士さんが質問をし、私が答えますが、ずっと大声で泣いているたーちゃんを抱えたままではまともに聞き取ることすら難しかったです。Upload By みかみかん他のお子さんは、積み木ができるか、指差しができるかなどもその場で観察されていましたが、パニック状態のたーちゃんができるはずもなく。1歳半の時点で「ワンワン」しか発語がなかったので、言葉の遅れも心配しましたが、心理士さんからは「様子見しましょう」としか言われませんでした。そして、「発達が気になったら電話して」と電話番号が書かれた紙を渡され、1歳半健診は終わりました。まともに健診を受けられなかったことにショックを受ける児童館を出て夫と会うと、たーちゃんはやっと泣き止みました。他のお子さんがみんなできている健診もまともに受けられなかったことや、他のお子さんとの違いを目の当たりにしたショックで、夫の運転する車内で私は泣きそうでした。発達について不安に思っていた気持ちが、確信へと変わっていきつつありました。療育に繋がった現在のたーちゃんと私そして2歳になる前に、やはり療育につながりたいと思い、案内された電話番号にかけて発達についての相談をしました。それから親子教室や民間の療育につなげていただき、少しずつ私のメンタルも回復していきました。1歳半健診では「ワンワン」しか言えなかった息子も、今ではうるさいくらいおしゃべりです。Upload By みかみかん初めての場所を不安がる時もありますが、パニックを起こすことはほとんどなくなりました。発達について他のお子さんと違うなと思うこともありますが、個性だと思えるようになってきました。1歳半健診の時にはショックで受け入れられなかったけれど、時間をかけて私も受容できたのだと思います。1歳半健診を終えて落ち込んでいる保護者の方へ……1歳半健診で「様子見」「要観察」と言われた保護者の方、たーちゃんのようにお子さんが泣きっぱなしだった方、今は気落ちされているかもしれません。少し動けるような気持ちになって、やはり発達が気になると思ったら、ぜひ誰かに相談してください。一人で抱え込まず、助けを求めた方が良いと私は思います。差し伸べた手は、誰かがきっと握ってくれます。執筆/みかみかん(監修:新美先生より)1歳半健診の時のエピソードを聞かせてくださりありがとうございます。乳幼児健診は、身体的な不調・疾患を見つけると共に、いわゆる発達の遅れや偏りの見られるお子さんについて養育不安のある保護者の相談を受け、専門機関につなぐといった役割があります。大人数で決められた形式で行われるので、いつもと違う環境で落ち着かないお子さん、多動のあるお子さん、人見知りの強いお子さんにとっては、正直なところとても侵襲的な環境であることは事実です。発達障害特性のお子さんを見つけることが重要視されるずっと以前から同じようにやってきており、わざとそういう環境をつくって特性が目立ちやすくしているというわけではないのですが、これを工夫して構造化して、人数を少なくして、嫌な思いをさせないようにという方向にはなかなか話が進んでいません。実際、健診で嫌な思いをしたという話は本当によく聞き、申し訳ない気持ちになります。ただ健診をきっかけに地域の保健師とつながり、お子さんに必要な情報にたどり着いてもらえるよう、実施主体の市町村担当者も苦心されていることとは思います。みかみかんさんのように、健診でショックを受けたけれども、それをきっかけにして相談や専門機関につながってよかったと思えるのであれば幸いです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月04日Q:子どものギャン泣きや癇癪、「見守って」と言われたけれど、どれくらいの時間、どのように見守れば良いのでしょうか?A:1歳過ぎから3歳くらいの子どもの癇癪はまずは疲れや空腹、眠気などを満たすように心がけましょう。3歳以上の場合は子どもの安全が確保されていることを確認し、癇癪が自然に落ち着くのを待つのがよいでしょう。15分以上癇癪が続き、ひどく困る場合にはかかりつけ医に相談されることをお勧めします。Upload By 発達障害のキホン言葉が出始める1歳過ぎから3歳くらいまでは、物事が思い通りにならないときに癇癪を起こすことがあります。疲れや、空腹、眠いなどの条件も重なって、癇癪が強くなることがあります。まずは、疲れや空腹、眠気などを満たすように心がけます。3歳以上の場合、子どもは言葉は増えてきていても、感情のコントロールがつきにくかったり、気持ちの言語化が未熟なため癇癪を起こすことがあります。まずは子どもの安全が確保されていることを確認し、癇癪が自然に落ち着くのを待ちます。癇癪の最中に、さまざまな声掛けをしてもお子さんの癇癪がヒートアップすることがあるので、まずは落ち着くのを待ちます。見守る時間は、お子さんによって、状況によってさまざまです。癇癪の背景にある状況によって、時間の長短には差があるためです。眠気があって、癇癪があった場合には、眠るまで見守ることになるので、時間で区切ることは難しいです。癇癪が落ち着いたのち、お子さんの気持ちを受け入れることが重要です。また、同時にルールや状況の説明を行い、感情のコントロールの手助けをすることも大切になります。15分以内に収まる程度であれば良いですが、なかなか癇癪が収まらず、ひどく困る場合には、かかりつけ医に相談されることをお勧めします。
2024年01月03日Q:子どものイヤイヤ期で困っています。どこまで許してよいのでしょうか。A:全てを許容するのではなく、どんな行動で困っているのかをまず具体的にしていき、あらかじめルールを決めておけるとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホンイヤイヤ期とは、自己主張が強くなって自分の気持ちや意思を押し通すような行動をする時期のことをいい、1歳半ぐらいから3歳くらいまでの時期になります。第一次反抗期とも言われています。子ども本人の意思がはっきりし要求が言えるようになってくるものの、場面を読んだり、周りに配慮することはまだできないので、大人から見たら理不尽な気持ちになることがあるかもしれませんが、ひとつの発達といえます。ある程度許容するのは前提ですが、全てを許容するのではなく、どんな行動で困っているのかをまず具体的にしていき、あらかじめルールを決めておけるとよいでしょう。例えば、なかなか公園から帰りたがらない場合「歌を3つ歌ってから帰るよ」など、先にルールを決めておきます。決めたルールを完璧に守れなくても、少しでもできたらほめるというのが大切です。イヤイヤ期の行動に対して感情的に叱るのではなく、まずは子どもの感情を理解しつつ、望ましい行動ができたら褒めるということを繰り返すことが大切です。「〇〇したかったんだね、次は『〇〇したい』と言葉でいってみよう」など、だんだんと自分の気持ちを言葉で伝えられるようにできるとよいですね。
2024年01月02日新年あけましておめでとうございますUpload By 発達ナビ編集部新年あけましておめでとうございます。編集部一同、2024年が皆さまにとって素晴らしい一年となることを願っております!さて、2023年、発達ナビはさまざまな取り組みを行ってきました。ここで、この一年を振り返り、取り組みについてご紹介したいと思います。新たな連載ライターも多数加わり、発見や共感がたくさんあるコミックエッセイをお送りしてきました。また、発達ナビの会員の皆さまの体験をもとにしたコミックエッセイも数多くリリースしました。こんな場面、ご自身も経験した…というエピソードも多くあるのではないでしょうか。そこでの思いや対応、どのように乗り越えたのかなどはきっとヒントになるはずです。皆さまの体験されたエピソードもぜひお寄せください!また、専門家の先生の臨床での経験をもとにした読み物も数多くリリースしました。専門家の視点やアドバイスは参考になることも多かったのではないでしょうか?Upload By 発達ナビ編集部無料会員の皆さまが読むことができる親子のヒントが、現在内容を順次アップデートしています。日常生活の困った!これはどうすればいい?の解決策が見つかるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。また、専門家の先生がさまざまな疑問に答えるQ&Aコラムも充実させてきました。発達ナビのQ&Aコーナーには、毎日たくさんの疑問や不安が寄せられ、会員の皆さま同士でのやり取りが活発に行われています。編集部では、多くの人が悩んでいる話題をピックアップし、発達ナビの監修の先生方に助言をいただいてコラム化しています。この年末年始も、専門家の先生の一問一答コラムをリリースしています。ぜひ参考にしてみてくださいね!皆さまのQ&Aコーナーへの投稿、引き続きお待ちしています。皆さまのご意見、発達ナビとの関わりをコラムに!2024年1月26日は発達ナビの8歳の誕生日です。この日を記念して、会員の皆さま参加型のコラムもリリースさせていただきたいと考えています!「発達ナビと出合って変わったこと」「こんな風に使っています」「こんな機能があったらうれしいな」発達ナビを活用いただくことで変わったこと、変わるといいなと思っていることをぜひお寄せください!いただいたエピソードやご意見は、8周年記念コラムでもご紹介させていただければと考えています。アンケートを実施していますので、ぜひご協力ください。
2024年01月01日みんなの「夫婦関係」は良好?発達ナビ会員アンケート結果発表!毎日生活を共にしている夫・妻の存在。発達障害や特性のあるお子さんがいると、子育てについて話し合う機会も多いのではないでしょうか。今回、発達ナビでは「夫婦関係」についてのアンケートを実施。その結果をご紹介いたします。Upload By 発達ナビ編集部夫婦関係は「良好」「おおむね良好」という回答を合わせると59%と、過半数を占める結果となりました。一方で、夫婦関係は「あまり良くない」という回答が18%、「良くない」という回答が23%という結果に……!妻の立場の方から夫へのコメントが多く寄せられていましたが、「一緒に遊んだり勉強を見てくれる」「ときどき喧嘩もするけれど、家族を大事にしようと思う気持ちは十分伝わっている」といったコメントが見られました。「夫はわが子の障害について理解がない」「子どもに対して『怠けている、やる気がない』などと叱責する」といった子育ての考え方の違いについてのコメントも。「夫の協力が得られず、手続きや学校関係の対応はすべて妻が担っている」という声もありました。また、「パートナーにも発達障害があると思う」という方もいらっしゃいました。中には、「夫婦関係がおおむね良好なのは私があきらめているから」という方も……。参考:みんなのアンケート夫婦喧嘩にワンオペ育児、性格豹変まで!?「夫婦関係」にまつわるエピソード今回お寄せいただいた会員の皆さんのエピソードの中から、発達ナビ連載ライター陣がイラストを描き下ろし、漫画エッセイとしてリリースしたコラムをご紹介します。「こんなこと、あるある!」「わが家のことかと思った……!」と共感する部分もあるかもしれません。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断された娘さんは現在19歳。こちらのご夫婦は、結婚して最初の数年はよく喧嘩をしていたそうですが、娘さんが生まれてから少しずつ、歩み寄れるようになったそうです。そのきっかけとなったのは……?20歳の大学生の息子さん、17歳の高校生の娘さんがいらっしゃる方のエピソードです。お子さんは二人ともADHD(注意欠如多動症)で、小さいうちは特に〇〇が大変だったそうです。そんな中、子どもたちの療育について夫婦で意見が分かれてしまい……。障害受容のタイミングがご夫婦で違うことは、よくあることではないでしょうか。付き合い始めてから11年、一度も喧嘩をしたことがないほど仲が良かったご夫婦。ふたりの関係が少しずつ変わってきたのは、DQ(発達指数)が境界域の息子さんの子育てがきっかけでした。日ごろ仕事が忙しく、子どもの特性への理解があまりないという父親も多いのかもしれません。こちらの体験談では、発達障害のある息子さんに、海外赴任中の夫がゲーム機をサプライズでプレゼント!「我慢が苦手な息子にはまだ早い」と思っていた妻は呆然……すると、予想を超える出来事が!?おわりに長年夫婦として連れ添っていれば、考え方の違いから傷ついたり、喧嘩をしたりすることもあるでしょう。そこに育児が加わってくると、さらに問題は複雑に……。発達に特性があるお子さんの子育ては、最も身近な存在であるパートナーと協力できればいいのですが、アンケートでの回答からは、さまざまなご家庭の様子が垣間見られました。忙しい日常から少し離れることができる年末年始、改めて夫婦関係を見つめ直すきっかけにしてはいかがでしょうか?発達ナビではこれからもたくさんの体験エピソードを募集していきます。あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、SNSなどではなかなか言えないような家族やママ友とのトラブルまで。あなたのエピソードをぜひ教えてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年12月31日