ひとつの建物に飲食店が集まった「会館」と呼ばれる酒場。京都独特の酒飲み文化をレポートします。渋谷の「のんべえ横丁」のように、京都にも飲み屋密集地がいくつかある。「会館」と呼ばれるのがそれだ。東京に多い「横丁」と異なるのは、ひとつの建物のなかにたくさんの店がギュッと集まっているところ。ライター・平山靖子さんはこう語る。「各会館にはキャラクターがあって、店の雰囲気や集まる客層も微妙に違います。はじめての会館飲みにオススメなのは、繁華街にある会館。どこかで飲んだ後に軽く立ち寄れますし、若い店主が営む新しいお店も多いんです」。今回は、京都イチの飲み屋街・木屋町に位置する「たかせ会館」を中心に、4つのまちなかの会館を教えてくれた。「どの会館も一見すると入りにくいかもしれないけれど、あたたかく迎えてもらえるから大丈夫。お客さん同士の距離が近く、街のリアルな空気感が味わえるのが魅力。ぜひ足を踏み入れてください」ハシゴ酒も楽しい「たかせ会館」へ!旧立誠小学校のすぐ南、高瀬川の西にある「たかせ会館」。飲ん兵衛が集う繁華街のまさにど真ん中の、活気が感じられる立地。1952(昭和27)年築の地上2階建ての木造建築のなかに入居する店は、きちんと食事が摂れる和食店から、ワインの立ち飲み店、カラオケスナックまでバラエティに富んだラインナップ。中京区紙屋町367-2きさらぎ(2F)中島みゆきファンが集うバー。店内には客の記念写真がびっしり。CDやレコードをデビュー曲から最新作まで揃えており、手作りの目録から曲を選んで流してもらえる。「『店の名はライフ』など、隠れた名曲もここでは聴けます」。店主の穏やかな人柄にも癒される。ドリンク¥700~。TEL:075・211・337219:00~翌2:00頃月曜休立ち呑み トレセン(2F)1杯¥300から飲める立ち飲み屋。看板メニューは「洋風おでん」。トマトやハーブ類を加えた爽やかな味わいの出汁は、イタリアン出身のオーナーシェフならではの発想。「変わり種のおでんと、それに合う厳選されたワイン。それが立ち飲み価格でカジュアルに楽しめます」。夏は冷やしおでんも登場。電話番号非公開18:00~翌2:00頃無休酒場めし 祥雲(1F)ハシゴ酒の合間、お腹がすいた時に便利な深夜食堂。鯖の煮付けにだし巻き(各¥600)、焼うどん(¥800)など、夜遅くでもきちんとごはんが食べられる貴重な店。「あふれんばかりの出汁が入っただし巻きが最高!飲食業界で働く人たちが仕事終わりに通うというのも納得です」。日本酒¥600~。TEL:075・286・869120:00~翌3:00頃火曜休こんなところも!オススメの会館。美松会館[西木屋町松原]四条から西木屋町通を10分ほど南下したところにある会館。「たくさんの店が入っているわけではないけれど、1階の焼き肉屋以外はみな女性店主で安心。街の喧騒から外れてシッポリ飲みたい時に」。下京区清水町454-17都会館[先斗町]木屋町と先斗町を繋ぐ路地にある会館。「『元祖大四畳半大酒場 ポン』など夜ふかし飲ん兵衛が集まる。『コンクリートバー』は朝8時までやっており、まだまだ飲み足りない時に行きます」。中京区材木町184四富会館[四条富小路]京都の会館といえば真っ先に思い浮かぶのがこちら。「和食からワインバーまで多ジャンルの小箱がたくさん並び、どの店も賑わっています。幅広い年齢層に愛されています」。中京区富小路通四条上る西大文字町615ひらやま・やすこ京都在住のライター・編集者。Webや雑誌を中心に、ローカルコンテンツや食・お酒をテーマにした記事を執筆。※『anan』2019年7月17日号より。写真・福森クニヒロ取材、文・木薮 愛(by anan編集部)
2019年07月13日暑い暑い夏の京都に暮らす人々は、涼を演出するため、さまざまな工夫を凝らしてきました。水と緑を楽しむのも知恵のひとつ。貴船、嵯峨野、山科、清滝。京都の美を際立たせる景色を求めて、少し郊外へと足を延ばしたなら、寺社の庭が、うだるような夏の暑さを忘れさせてくれるに違いありません。夏の京都、心があらわれる、寺社の水と緑をご紹介します。■貴船川のせせらぎとともにある避暑地。貴船神社(きふねじんじゃ)TEL:075・741・2016[貴船]水を司る神として古くから信仰される貴船神社へは、水は清らかで緑は鮮やかな夏にこそ足を運びたい。朱塗りの灯籠と青紅葉がまるで回廊のように境内へと導いてくれる参道、御神水に浮かべると文字が浮かびあがる水占みくじ、結社や奥宮へと続くしっとりした小径、神社に沿って流れる貴船川に出される川床など、この季節の清々しさはひときわ。かつては氣の生じる根源という意味から“氣生根”と書かれていた貴船。たっぷりのパワーチャージも約束してくれそう。左京区鞍馬貴船町1806:00~20:00(授与所受付は9:00~16:30)■緑に抱かれる青紅葉の天井と苔の庭。祇王寺(ぎおうじ)TEL:075・861・3574[嵯峨野]平清盛に愛された祇王が出家した尼寺として『平家物語』にも登場するお寺。散り紅葉と苔の緑のコントラストが美しいと、秋に人気が高いものの、夏の庭もまたおすすめ。10種以上の苔が植えられた苔庭は豊かな表情を持ち、いつまで眺めていても飽きないほど。空を見上げれば葉の形も美しい楓の天井。しっとりとした緑に包まれた庭は外の熱気も遮られ、涼やかさを体感できる場所に。影が虹色に見えることから“虹の窓”とも呼ばれる草庵の吉野窓も見所。右京区嵯峨鳥居本小坂町329:00~17:00(受付~16:30)拝観料¥300■平安時代から受け継がれる池と花と。勧修寺(かじゅうじ)TEL:075・571・0048[山科]昌泰3(900)年、醍醐天皇が生母・藤原胤子(ふじわらのたねこ)を弔うため創建した門跡寺院。池泉回遊式庭園の中心には平安時代から受け継がれる氷室の池。かつては毎年1月2日、池に張った氷を宮中へ献上し、その厚さで五穀の豊凶を占ったという。初夏から夏にかけては、花菖蒲や半夏生、睡蓮、蓮などが次々と咲いて池の周りを彩り、さりげない美しさを堪能させてくれる。庭の奥に見えるのは観音堂。夕方には多くの水鳥の鳴き声が響き、野趣を感じさせる風情が新鮮。山科区勧修寺仁王堂町27‐69:00~16:00拝観料¥400■マイナスイオンを浴びに滝へ。空也の滝(くうやのたき)[愛宕山]火除けの神として知られる愛宕神社の愛宕山。その中腹の清滝川(きよたきがわ)沿いにあるのが、平安時代中期に空也上人が修行したと伝わる空也の滝。最寄りのバス停から東海自然歩道を歩くこと約1時間で、朱塗りの鳥居が出迎えてくれる。高さは12m、幅は1mという滝は京都では最大級。ほとばしる水の流れは目にも涼しく、たっぷりのマイナスイオンは心をリセットしてくれる。右京区嵯峨清滝空也滝町拝観自由「清滝」バス停からは約2.5km、徒歩で1時間ほどかかるので、ハイキング仕様の靴や帽子、ドリンクなどの持参がマスト!※『anan』2016年7月13日号より。写真・福森クニヒロ文・大和まこ
2016年07月06日京都を旅するなら、その道の人のアドバイスを参考にしてみては。京都にて、食にまつわるあれこれを仕事にしているケータリングユニットhanauta。メンバーの増本奈穂さん、友野亜湖さんの二人はおいしいものに目がなく、注目店に足を運ぶことも多々。そんな彼女たちが推薦する、とっておき和カフェをご紹介。■白川沿いにオープンした話題の喫茶バーお茶と酒 たすきセレクトリサイクルショップ『パスザバトン』の京都祇園店に併設された、飲食スペースがこちら。看板メニューは、通年で供されるかき氷。「大きく削られた驚くほどの山盛りの氷は、意外な柔らかさで、あっという間に食べ進めてしまいます。使われる器は購入可能で、黒塗りの台にガラス容器など、新しい発想の組み合わせにも興味津々です」と友野さん。定番メニューのかき氷、焙じ茶みつ きなこ練乳付¥1,100のほか、月ごとに季節の蜜が登場。抹茶と生菓子も、遊び心満載の器で出される。東山区末吉町77‐6喫茶11:00~19:00(18:30LO)、バー20:00~翌4:00(3:30LO )不定休:075・531・2700贅沢な立地も魅力的。■上質なもてなしとともに、絶品わらび餅を遊形(ゆうけい)サロン・ド・テ1時間かけて練り上げるもっちりとしたわらび餅に、黒砂糖のコクのある甘み。老舗旅館『俵屋』が手掛けるカフェでは、宿から毎日届けられるわらび餅が味わえる。「本わらび粉ならではの弾力となめらかな口当たり…わらび餅なら、何といってもここ!」と友野さんも絶賛。「老舗旅館ならではのおもてなしも体験でき、お腹も心も満たされる豊かな時間が過ごせます」わらび餅を作る際の水は旅館の湧き水を使用。絶妙なタイミングでお抹茶が出された後は、お口直しの白湯とぶぶあられも。¥2,260(税込み)中京区姉小路麩屋町東入ル11:00~18:00火曜休(祝日の場合は営業、翌日休)TEL:075・212・8883明治期に建てられた町家をモダンに改装。店内の家具は北欧のアンティーク。■京都産の素材を盛り込んだ新・和菓子茶寮 Zen Cafe個性的な和菓子が評判の、御菓子司『然花抄院』。「丹波の黒豆や京都育ちの鶏の卵など、京都の食材を用いながら、新しい和菓子を提案し続けているところに注目しています」と増本さん。併設の茶寮 Zen Cafeでは、ぜひこの秋に登場したばかりの「室町ノ膳」を。評判の『然』かすてらをはじめ、抹茶のメレンゲ菓子や黒糖風味の煎餅など6種が楽しめ、お得感たっぷり。おススメ6品を味わえるプレートは日本茶とセットで¥1,500(税込み)。「カフェの天井が高く、中庭が見渡せるモダンな和空間もお気に入り」中京区室町通二条下ル蛸薬師町271‐110:00~19:00(18:30LO)第2・4月曜休(祝日の場合は営業、翌日休):075・241・3300庭の紅葉も見どころ。◇ハナウタ増本奈穂さん(右)、友野亜湖さん(左)からなるケータリングユニット。“暮らそう、ロマンティックに”をテーマに、食にまつわることをはじめ、彩りある暮らしのための実践法を提案。※『anan』2015年11月4日号より。写真・福森クニヒロ文・江角悠子
2015年10月30日観光地の代名詞的存在の京都ですが、なんといっても本番は“秋”。そこで、これから本番を迎えようとしている京都の好きなところを、各界の京都好きに聞いてみました。■JUJUさん(歌手)秋の京都はとにかく美しい。神社仏閣巡りにもいい季節だし、最近はちょっと遅いですが紅葉もはじまるし。一人で街を歩いているだけでもうっとりできる京都、最高です。■トラウデン直美さん(モデル)たくさんの人が訪れて活気があふれている秋の京都は本当に一番綺麗なのでみんなに来てほしい。会う人会う人に、「今、京都に来るべきだよ!」って言っちゃいます。■滝村雅晴さん(パパ料理研究家)秋の貴船はとてもひんやりしていて空気がおいしい。ライトアップで浮かび上がる紅葉のグラデーションは秀逸。秋の良さが分かるようになったのは、京都のおかげかもしれません。■花沢理恵さん(フードスタイリスト)どの季節も魅力的ですが、秋はおいしい料理も存分に楽しめる最高の季節。自分好みのバーや珈琲店、古いモノ、そして美しい風景と、お気に入りが揃い踏みの、私にとってのパワースポットです。■矢野未希子さん(モデル)紅葉がキレイ!■武智志穂さん(モデル)日本で一番綺麗な秋の風景が楽しめる。川や山で見る紅葉も綺麗だし、お寺で見る紅葉も風情があって素敵だし。夕暮れの街並みも大好き。■ユリコフ・カワヒロさん(イラストレーター)蒸し暑い夏が終わって、からっとした空気が気持ちよく、北から南に景色が色づいていくのを見るのも楽しいです。自転車で、鴨川沿いを走ったり、二条寺町あたりや丸太町河原町あたりの色んなお店を眺めながら走るのも気持ちがいいです。■甲斐みのりさん(文筆家)あちらこちら歩き回るにも、鴨川の川べりでゆっくり過ごすにも秋がもっとも適した季節。芸術の街で、学生も多くて文化的にも豊かな環境の京都は、本や雑貨も素敵な店揃い。本やCDを買ったり贈り物を選んだりして、芸術の秋を楽しんでいます。※『anan』2015年11月4日号より。写真・福森クニヒロ
2015年10月28日「第8回WOWOWシナリオ大賞授賞式」が5日、東京・赤坂の同局で行われ、川崎クニハル氏の『双葉荘』が大賞に選ばれた。2007年に創設された同アワードは、プロ・アマ問わず優れたシナリオ作品を発掘し、脚本家の育成を通じて広く映像文化の発展に寄与するというもの。第8回目を数える今年は、応募総数482編の中から大賞に川崎クニハル氏の『双葉荘』、優秀賞に大谷洋介氏の『タクハイ・ドライバー』、ネオ・ポフスキー氏の『駱駝色の女』、堀脇れいく氏の『姐さん』がそれぞれ選ばれた。『双葉荘』で見事大賞を射止めた川崎氏は「30年以上商業映像の演出の仕事をやっておりますが、実は50歳を過ぎた頃から自分でもストーリーを作りたいという欲が出てきて、今回の『双葉荘』は8作目ぐらいです。この話は私が若いころに体験した実話をベースにしており、そこから自分なりに脚色を加えていきました」と受賞作について説明し、「60歳を越えてますので、これから私はどうなるんだろうかと大変興奮しております。こういう機会を与えていただいて本当にありがたいです」と感謝の言葉。川崎氏の作品は年内にWOWOWで映像化されるが「非常にエキサイティングですね。ただ、私は普段自分でも演出するので、生まれて初めて他の方に演出されるということで、どう受け止めていいのか分かりません。これもまた面白い次の人生の第一歩かなと皆さんに感謝しております」と話していた。また、選考委員長を務めた映画監督の崔洋一は「WOWOWシナリオ大賞はオールジャンルでオリジナルが大前提。応募した方たちの野心といいますか希望というものが映像化されることで結実されます。非常に高い評価をいただけるようになりましたが、それと同時に権威にはしたくありません。いずれは世界性を持って受賞作品が国境を越え、受け入れてもらえるように今後とも選考にあたってきたいと思います」と講評した。なお、昨年大賞に選ばれた栄弥生氏の『十月十日の進化論』(尾野真千子主演)が、3月26日(22:00~)にWOWOWでドラマWとして放送される。
2015年03月06日