国立新美術館と森美術館にて10月23日(月)まで開催中の東南アジア現代美術展「サンシャワー:東南アジアの現代美術展1980年代から現在まで」の関連企画として、8月10日(木)から4日間ジャンル別に、東南アジア映画を特集上映する「FUN!FUN!ASIAN CINEMA@サンシャワー」が実施される。国立新美術館と森美術館、国際交流基金アジアセンターが主催する同展覧会では、今年ASEAN(東南アジア諸国連合)50周年を記念し、東南アジアの現代美術を史上最大規模で展示。時代の潮流と変動を背景とした1980年代以降の東南アジアの現代アートの「発展」を9つの視点から掘り下げ、そのアートが持つダイナミズムと多様性を紹介している。同展の関連企画として実施される本イベントでは「ドキュメンタリーの日」、「アクションの日」、「オムニバスの日」、「愛&友情の日」とジャンル別に違ったテーマで全4日間、映画が上映される。8月10日(木)実施の「ドキュメンタリーの日」では、2つのプロジェクトから作品を上映する。1つは、毎年異なるテーマで日本と東南アジアの若手映像作家を対象に短編ドキュメンタリー作品を募集する「Visual Documentary Project」から、2015年(テーマ「越境する東南アジア」)と2016年(テーマ「日常生活のポリティクス」)にセレクトされた作品を上映。映像を通して東南アジアの現状を捉え、諸問題の解決へとつなげたいという想いが込められている。もう1つは、ドキュメンタリーの国際共同制作を支援する「Tokyo Docs」で誕生したプロジェクト「Colors of Asia」から「アジアのいまを生きる女性たち」をテーマにした2作品を上映。■「Visual Documentary Project」2015セレクション<12:10開場/12:30開映>・『2人のマイケル』(タイ、29分)・『ジウおじいちゃんへ捧ぐ』(ベトナム、23分)・『儚さ』(マレーシア、9分)・『私の足』(ミャンマー、16分)『我が政治人生』(ミャンマー、20分)■「Visual Documentary Project」2016セレクション<14:20開場/14:40開映>・『森に生きる女たち』(マレーシア、15分)・『60日』(ミャンマー、31分)・『鉱脈』(ミャンマー、31分)■Tokyo Docs「Colors of Asia」<16:10開場/16:30開映>・『日曜日のシンデレラ』(2015,日本、フィリピン,29分)・『ラグビーと女のわたし』(2016,日本、ラオス,25分)8月11日(金・祝)実施の「アクションの日」ではベトナム、インドネシア、ブルネイの3作品『超人X.』(2014,ベトナム,81分)、『レボリューション・ティガ』(2015,インドネシア,125分)、『ドラゴン・ガール』(2014,ブルネイ,110分)を上映。映像を通して各国の伝統武術を取り入れたものや、社会や文化を垣間見ることが出来る。■『超人X.』<12:40開場/13:00開映>■『レボリューション・ティガ』<14:30開場/14:50開映>■『ドラゴン・ガール』<17:100開場/17:30開映>8月12日(土)実施の「オムニバスの日」ではシンガポールの監督7人がラブレターをテーマに制作した『セブンレターズ』(2015,シンガポール、マレーシア,116分)、東南アジアの画家が描いた作品からインスピレーションを得た5人の監督による『Art Through Our Eyes』(2016,シンガポール,30分)、「アジアでともに生きる」というテーマでフィリピン、日本、カンボジアの気鋭監督がメガホンをとった『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』(2016,日本,118分)を上映。特に『Art Through Our Eyes』は、「サンシャワー展」でも注目のタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督、フィリピンのブリランテ・メンドーサ監督らの独特の世界観が並ぶ珠玉の作品だ。■『セブンレターズ』<12:40開場/13:00開映>■『Art Through Our Eyes』<15:10開場/15:30開映>■『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』<17:10開場/17:30開映>8月13日(日)実施の「愛&友情の日」では、愛と友情をテーマにした『SHIFT~恋よりも強いミカタ』(2013,フィリピン,81分)『グッバイ・ボーイズ』(2005,マレーシア,88分)『イロイロぬくもりの記憶』(2013,シンガポール,99分)の3作品を上映。■『SHIFT~恋よりも強いミカタ』<11:40開場/12:00開映>■『グッバイ・ボーイズ』<13:30開場/13:50開映>■『イロイロぬくもりの記憶』<15:30開場/15:50開映>また、本イベントのほかにも、東南アジアの歴史やファッション、食など8テーマから成るレクチャーシリーズ「寺子屋サンシャワー」、日本と東南アジアの若手上映専門家の共同プログラミングによる映画上映会「ワーキングタイトル」など、9月にかけてイベントが目白押し。こちらも併せてチェックしてみて。「FUN!FUN!ASIAN CINEMA@サンシャワー」は8月10日(金)~13日(日)、国立新美術館3階講堂にて開催、参加費は無料。※定員は各回260名。(予約不要、各回入替制・先着順)※鑑賞には「サンシャワー展」の国立新美術館単館券もしくは二館共通券[半券可]が必要。※作品の解説・あらすじは国際交流基金アジアセンター公式サイトをチェック。(text:cinemacafe.net)
2017年07月28日さまざまな色と仕掛けにあふれた「三鷹天命反転住宅」三鷹市から八王子方面に向かう幹線道路沿いにある、集合住宅の「三鷹天命反転住宅」。目に飛び込む鮮やかな色の造りは住宅とは思えず、まるでテーマパークのよう。カラフルで立体感のある室内は真ん中にキッチン、それを囲むように球体やキューブ型の部屋が配置されています。「身体を中心に設計した家」というコンセプトどおり、さまざまな仕掛けによって身体の感覚が呼び起こされるようになっています。「死なない家」を目指した住宅は、新しい価値観を持つ家に死なないための家づくりという考えのもと、2005年に誕生した「三鷹天命反転住宅」。ふたりが「死」という天命を反転させる家を目指したのは、荒川氏の幼少期の体験が元になっており、環境を変えることで死なない世界を実現できるのでは、と考えたため。「天命反転」の実践者として、ヘレン・ケラーを住宅のモデルにしています。住む人それぞれが自由に暮らしながら身体感覚を鍛えるという、新しい価値観を持つ住宅です。部屋やお風呂に扉がない!? 生活スタイルが変わる家屋内の各部屋には、ドアがありません。これにより、実際に住んでいる方からは「外に出る機会が増えた」「喧嘩が減った」と、生活スタイルや同居者との関係性が変わったというエピソードも。個室がないから生活しにくいという考え方を超え、この空間に感覚を呼び起こされながら自分らしく暮らせることが大きな魅力です。他にも、大人と子供の土踏まずに合わせて床に作られた大小の凹凸や、場所によって見え方が変わる天井の勾配など、さまざまな仕掛けを体験できます。「三鷹天命反転住宅」ではショートステイが楽しめる!「三鷹天命反転住宅」では、ショートステイプログラム(69,200円~)を体験できます。テーマ別に2つの部屋が用意され、最低3泊4日から利用可能。家族や恋人、友人と一緒に利用できます。真ん中に位置するキッチンとカウンターを囲んで、ホームパーティーをするのもおすすめ。一般的な家のパーティーとは違う楽しみを、みんなで味わえるはずです。「三鷹天命反転住宅」の見学会に行ってみよう!「三鷹天命反転住宅」は、2005年の完成以来多くの海外メディアでも取り上げられています。そんな住宅の建築や室内を見学したい人向けに見学会が行われており、ワークショップ型の見学会から学芸担当者の解説付き見学会まで、そのコースもさまざまです。見学は定員制ですが、別日程での団体見学も可能。事前予約が必要なので、コースの詳細や日程については公式HPで確認しましょう。人が暮らして完成する「三鷹天命反転住宅」建物を設計した荒川修作とマドリン・ギンズが「人が住んで初めて完成する」と言うとおり、「三鷹天命反転住宅」はただの建築アートではありません。実際にその空間で生活することで、ふたりが目指した「死なないための家」の本質や魅力に気付くことができます。現在、2部屋においてショートステイプログラムなどを利用し、この住宅でしかできない生活を体験できます。眠っている身体の感覚を呼び起こしてみませんか?三鷹天命反転住宅は、JR中央線の武蔵境駅南口より「境91 狛江駅(調布駅経由)」に乗車し、「大沢」の停留所で下車、バス停よりバスの進行方向に向かって歩き、天文台北交差点に出ると、右前にカラフルな建物が見えてきます。ぜひ、三鷹の観光スポットと併せて足を運んでみてください。Reversible Destiny Lofts Mitaka – In Memory of Helen Keller, created in 2005 by Arakawa and Madeline Gins, © 2005 Estate of Madeline Gins.スポット情報スポット名:三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー住所:東京都東京都三鷹市大沢2丁目2-8電話番号:0422‐26‐4966
2017年07月27日展覧会「メアリと魔女の花 ジ・アート展」が、2017年7月26日(水)から31日(月)まで、東京・小田急百貨店新宿店で、8月5日(土)から8月22日(火)まで大阪・あべのハルカス近鉄本店で開催される。『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)で同年の邦画興収第1位に輝き、『思い出のマーニー』(2014年)で第88回米アカデミー賞長編アニメーション映画部門にノミネートを果たした、米林宏昌監督による最新作『メアリと魔女の花』。スタジオジブリの志を受け継ぐ「スタジオポノック」第1回長編映画として注目を集める話題作だ。本展では、米林監督が得意とする圧倒的なアニメーション表現と、精緻で美しい背景美術を支える貴重な制作資料が一同に集結。日本を代表するアニメーション美術監督である男鹿和雄、武重洋二らをアドバイザーに迎えた世界最高峰の背景美術スタジオ「でほぎゃらりー」と、美術監督・久保友孝による手描き美術背景を中心に、キャラクターや設定資料など、約3年間を要した映画制作の全貌を紹介する。また会場には、インタラクティブコーナーやフォトスポット、グッズコーナーも設置するほか、米林宏昌監督によるサイン会、メアリと写真撮影が出来るイベントなども開催される予定だ。スタジオポノック初となる貴重な展覧会、この機会に是非足を運んでみては。【開催概要】「メアリと魔女の花 ジ・アート展」■東京開催期間:2017年7月26日(水)〜31日(月)会場:小田急百貨店新宿店 本館11階=催事場時間:10:00〜20:30入場料:一般700円(税込)/大学・高校生500円(税込)/中学生以下無料※7月30日(日)は20:00まで、最終日は17:00閉場。※各日入場は閉場時間の30分前まで。※障がい者手帳の所持者とその同伴者1名は入場無料。※小田急ポイントカードまたは小田急レディスクラブ会員証カードの提示で入場料200円引き。(カード会員本人のみ)■大阪開催期間:2017年8月5日(土)〜8月22日(火)会場:あべのハルカス近鉄本店 ウイング館4階 第2催会場時間:10:00〜20:00入場料:一般700円(税込)/大学・高校生500円(税込)/中学生以下無料※8月7日(月)は19:00、最終日は17:00で閉場。※各日入場は閉場時間の30分前まで。※障がい者手帳の所持者とその同伴者1名は入場無料。※近鉄クレジットカード(外商カード)、KIPSカード、近鉄友の会会員証カード、ハルカスシニアパスポートを提示で、3名まで入場料を200円引き。©2017「メアリと魔女の花」製作委員会<イベント情報(東京)>■米林宏昌監督サイン会開催日時:2017年7月26日(水) 11:00~参加方法:当日、会場のグッズコーナーにて対象書籍の購入者先着50名に整理券を配布。※整理券は、10:00から配布。※整理券1枚につきサインは1冊。※都合により、イベントの内容が変更または中止になる場合あり。※詳しくは売場係員まで。■メアリと一緒に写真撮影開催日:7月29日(土)・30日(日)時間:各日 11:00~、13:00~、15:00~※各日10:00から 本館11階=催物場にて整理券を配布。(各日各回先着40組限り)※カメラは要持参。
2017年07月22日世界中から“ビューティフル”と称賛されたというスタジオジブリが培ってきた手描き美術は、制作部の解散、そしてデジタル表現の飛躍的な進歩によって、いまや失われつつある。そんな現状を危惧し2015年、筆と絵の具による背景美術を継承するスタジオ「でほぎゃらりー」は設立された。そして、同スタジオに所属する美術の久保友孝氏(『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』)を中心に、ジブリ作品などで手腕を発揮してきた“絵描き”たちが背景美術を手がけたのが、米林宏昌監督の最新作にして、スタジオポノック第1回作品『メアリと魔女の花』。本稿では本作品で美術監督を務めた久保氏へのインタビューを通し、同作の制作エピソードや、手描き美術の置かれた現状と可能性を追う。「確かに手描きの背景美術は、無くなりつつある状況かもしれません。そもそも、いまはカメラがデジタルなので、どうしてもデータ化する必要があり、すべてを手描きで完結させることは難しいんですね。『描き手はPCを使わない』『とにかく紙で仕上げる』というこだわりで、僕が背景を担当した『思い出のマーニー』も、結果的にすばらしい背景美術が生まれたと思います、目指す映像表現によっては手描きより、デジタルでアプローチしたほうが成功することもあると思います」。「ですから、デジタルとの共存を目指しながら、手描き美術の良さを作品に活かすことが(手描き美術の)未来につながるのではないしょうか。意外に聞こえるかもしれませんが、実は手描きのほうが、情報量が多いんです。デジタルは、結局のところピクセルの集合体。でも、手描きは紙の上に、絵の具の粒子で描いていくので、より細かい表現が可能になります。それと、これは個人的な話ですが、アナログな筆のほうが扱いやすいので、イメージを絵に伝えやすいですね」。イギリスの児童文学を原作に、7年に1度しか咲かない不思議な花“夜間飛行”を偶然見つけた主人公のメアリの大冒険を描いた本作。メアリが引っ越してくる赤い館村、そして魔法世界の最高学府であるエンドア大学という2つの舞台が、手描き美術ならではの奥深いタッチで表現され、幻想的な光と闇は、物語の時間経過はもちろん、メアリのうつろう心情を代弁し、観客を魔法の世界に誘っていく。「米林監督は、こちらのアイデアを尊重してくださるんですが、譲れないこだわりもお持ちで。当初、メアリの大叔母が暮らす赤い館の屋根は、かやぶきにしようと思っていたんですが、監督は『メアリにとって、ここが居心地の良い場所であってはいけない』と。スタッフが描いたイギリスの美しい田園風景にも『ちょっと、美しすぎますね』とおっしゃっていて。つまり、メアリは新天地を受け入れていないんですね。一方、エンドア大学は、おもちゃ箱をひっくり返したようなカラフルで楽しい世界。映画を観た子どもが家に帰って、絵を描きたくなるような造形を強く求めていましたね」。(photo / text:Ryo Uchida)■関連作品:メアリと魔女の花 2017年7月8日より全国東宝系にて公開(C) 2017「メアリと魔女の花」製作委員会
2017年07月16日独創的なユニークな世界 アルチンボルド展へようこそ色とりどりな花や果物、動物、身の回りの道具で構成された人の顔や、上から下から見るアングルで姿を変える絵画の数々。16世紀後半に活躍したイタリアの奇才な画家、アルチンボルドが今夏上野にやってきました。6月20日(火)〜9月24日(日)上野・国立西洋美術館で開催されている「アルチンボルド展」は、奇抜な発想で今日も人々を驚かせるアルチンボルドの油彩・素描(帰属作品等を含む)計30点を中心に、約100点の出品作品が一堂に会する貴重な機会です。近くで見たり、遠くで見たり、横から上から下から…見方によって新たな発見ができるアルチンボルドの世界が今ここに広がります。代表作シリーズ『四季』『四大元素』が堂々集結!神聖ローマ帝国皇帝に寵愛されたアルチンボルドは、皇帝に捧げるべく絵画を制作しました。それが代表的な作品シリーズ『四季』『四大元素』です。本展では日本初公開の作品も含むすべての作品が公開されています。四季シリーズの《春》は色めき立つ春の草花をふんだんに使用し、思わず「かわいい!」と駆け寄りたくなる作品。近くから見れば想像を絶するほどの緻密な描き込みに引き込まれます。アルチンボルドの発想力と鋭い観察眼に脱帽です。とことんアルチンボルド! 隅々まで味わい尽くしてまだまだアルチンボルドの世界は続きます。《庭師/野菜》という作品は、パッと見ると野菜を組み合わせて作られた人の顔。しかしひっくり返して見てみると、ボウルに盛られた野菜の絵に変化します。このように工夫を凝らした、遊び心溢れる作品もお見逃しなく!さらにデジタル技術を用いた記念撮影コーナーが登場。「アルチンボルドが私の顔を描いてくれたら…」そんな願いを叶えてくれるのが「アルチンボルドメーカー」です。鏡のようなモニターの前に立つこと数秒、あっという間に自身の顔がフルーツで構成された“アルチンボルド風”に!アルチンボルドのユニークな世界が広がる今年の上野・国立西洋美術館は見逃せません。取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:アルチンボルド展催行期間:2017年06月20日 〜 2017年09月24日住所:東京都台東区上野公園7-7電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年07月01日「ベルギー 奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」展が、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開催されます。会期は2017年7月15日(土)~9月24日(日)まで。ボス派や、ブリューゲル、マグリットやヤンファーブルなど、ベルギー・フランドルとその周辺地域で発展した「幻想絵画」とその伝統を受け継いだ現代までの秀作が一堂に会します。アートファンの方はお見逃しのないようにしてくださいね。「ベルギー 奇想の系譜ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」展が渋谷で開催ピーテル・ブリューゲル(父)[原画]、ピーテル・ファン・デル・ヘイデン[彫版] 《大食》1558年 エングレーヴィング・紙 神奈川県立近代美術館現在のベルギーとその周辺地域では、中世末期に発達した写実的描写のもと、独自の幻想的な絵画が発達していきました。しかし、18世紀、自然科学の発達と啓蒙思想がヨーロッパを席巻する中、不可解なものは解明されてゆき、次第に心の闇に光が当てられるようになります。かつての幻想美術の伝統が引き継がれるのは、産業革命後の19世紀。人間疎外、逃避願望を背景とした象徴主義ににおいてでした。画家たちは夢や無意識の世界にも価値を見出し、今日もこの地域の芸術に強い個性と独自性を与えつづけています。ジェームズ・アンソール 《オルガンに向かうアンソール》 1933年 油彩・キャンヴァス メナード美術館「ベルギー 奇想の系譜」は、ベルギーとその周辺地域において、幻想的な世界を作り出したこの一連の流れを、約500年にわたる「奇想の系譜」ととらえ、紹介するもの。15、16世紀を代表するボスやブリューゲルの流れをくむ作品から、19世紀のベルギー象徴派のクノップフ、アンソール、さらには、シュルレアリストのマグリット、デルヴォーなどや、現代のヤン・ファーブルまで、約120点の作品を通して、ベルギー美術の歴史を辿っていきます。注目ポイントはココ!●中世から現代まで、ベルギー美術の500年を辿る!15、16世紀のフランドル絵画から、19世紀のベルギー象徴派、そしてコンテンポラリー・アートの作品まで、約120点の作品が登場。ベルギー美術の500年の旅へと鑑賞者を誘います。●古今のスター作家が勢揃い!ボス派やブリューゲル、ルーベンス、クノップフ、アンソール、さらに、マグリットやデルヴォー、ヤン・ファーブルなど、ベルギーとその周辺地域を代表する総勢30名の作家の作品が一堂に集合します。●様々な表現で、ベルギー美術の魅力を堪能!絵画や版画はもちろんのこと、彫刻、音、インスタレーションなどの様々な表現で、幻想と耽美、皮肉とユーモアなど、ベルギー美術の魅力である自由で独創性あふれる世界を楽しめます。各章の見どころと注目作品をご紹介!●第1章 15~17世紀のフランドル美術ぺーテル・パウル・ルーベンス[原画]、リュカス・フォルステルマン(父)[彫版] 《反逆天使と戦う大天使聖ミカエル》1621年 エングレーヴィング・紙 ベルギー王立図書館本章ではボス派の画家やブリューゲル、ルーベンスらの作品をご紹介します。ベルギー絵画の「奇想」のルーツは、現在のベルギーとの国境に近いオランダ南部の都市・セルトーヘンボスに生まれた奇才・ヒエロニムス・ボスとされます。ボスは「地獄」を鮮烈なイメージで描き、闇をうごめく異形で埋め尽くしました。ボスの死後も、ボス派の画家たちは、豊かなバリエーションで高まる需要に応え、中でも、「第二のボス」と呼ばれたピーテル・ブリューゲル(父)が描いた、ボス風の悪魔や怪物は、ブリューゲルの鋭い観察眼によって、親しみやすさや日常性が増し、次世代にも継承されていきます。そして、17世紀バロック美術の巨匠・ルーベンスは、リアリティと深い感情表現を追及。恐れや怒りなど激しい感情表現の表出としての「奇想」の表現を生み出しました。●日本初公開!異界めぐりの逸話を描いたボス工房の作品が登場ヒエロニムス・ボス工房 《トゥヌグダルスの幻視》 1490-1500年頃 油彩・板 ラサロ・ガルディアーノ財団© Fundación Lázaro Galdiano異界めぐりの逸話を描いたボス工房の作品《トゥヌグダルスの幻視》が初来日。《トゥヌグダルスの幻視》とは、アイルランドの修道士が語ったとされる逸話です。主人公の騎士トゥヌグダルスは、3日間の仮死状態に陥っている間に天使によって天国と地獄に導かれ、そこで恐ろしい懲罰を目にし、目覚めた後に悔悛します。本作は、左下に主人公と天使、さらには大罪とそれに関連づけられた懲罰が各所に散りばめられています。●ヤン・マンデイン《パノラマ風景の中の聖アントニウスの誘惑》聖アントニウスとは砂漠での修行で知られるキリスト教の聖人です。当時、「聖アントニウスの火」と呼ばれた奇病の治癒の奇跡をもたらす聖人と考えられていました。画面中央の黒いマントを着て、跪く人物が聖アントニウス。そして、彼の後ろには様々な怪物たちが列をなしています。また、画面手前にみられる卵の殻やムール貝、水に浮かぶイチゴのような果物はボスの作品から引用されているものです。●ピーテル・ブリューゲル(父)「大きな魚は小さな魚を食う」 ブリューゲルの作品は、鋭い観察眼でとらえられた自然や民衆の暮らしが描かれるとともに、ボス的な趣向ともいえる「異界・非日常」的な要素が日常的な枠組の中で描き出されています。なお、会場ではブリューゲル作品のアニメーション映像も展示。動き出す空飛ぶ魚や歩く魚、大きな魚のお腹の中から小さな魚が飛び出てくる臨場感も楽しめますよ。●19世紀~20世紀のベルギー象徴派・表現主義ジャン・デルヴィル 《レテ河の水を飲むダンテ》1919年 油彩・キャンヴァス 姫路市立美術館1830年、ベルギーは国家として独立を果たします。工業化と都市化が進む1880年代後半、科学の世紀に背を向けて、言葉で言いがたいもの、目には見えないものを追求し、想像力と夢の世界に沈潜する象徴派と呼ばれる芸術家が現れます。ボードレールの敬愛された画家・ロップスは、中世からルネッサンスにかけて北方美術が好んで取り上げてきた骸骨たちの舞台を近年に蘇らせました。一方、クノップフの暗示に満ちた静寂な世界は、溶けない謎へと鑑賞者を引き込んでいきます。そして、画家が抱えていた孤独や怯えが不穏なうねりとなって、ついに叫びだす自我を描いたのがアンソールでした。アンソールが描いた骸骨と仮面は、隠されるもの、隠すもの、暴かれるものの性質を内包しています。この関心は、次世代のマグリットから現代に続く、「言葉とイメージ」の問題へと展開していきます。●フェリシアン・ロップス《舞踏会の死神》死神として骸骨となった女が、カトリックの司祭がミサで着るガウンを身にまとい、恍惚のダンスを舞っています。教会を風刺する本作は大型の画面に描かれており、作者の深い思い入れが感じられます。作者は、反カトリック的、反ブルジョワ的強迫観念を持ったフェリシアン・ロップス。版画、挿絵を中心に、油彩画、水彩画、著述など様々な分野で才能を発揮しました。●フェリシアン・ロップス「娼婦政治家」 フェリシアン・ロップス[原画]、アルベール・ベルトラン[彫版] 《娼婦政治家》1896年 多色刷銅版画・紙 フェリシアン・ロップス美術館娼婦の女性と豚の足元には、彫刻、音楽、詩、絵画と書かれた擬人像があり、女性と豚はこれらの芸術を理解せずに踏みにじっています。作者は現代の政治家には私利私欲に目がくらみ、盲目となった者がいることをこの娼婦で表しており、メッセージ性の強い作品となっています。●ジェームズ・アンソール《ゴルゴダの丘》本作の図像は、ゴルゴダの丘で2人の罪人とともに十字架につけられたキリストを描く、宗教画の伝統的な約束事に基づいたものです。しかし、よく見てみると十字架上部の罪標には「ENSOR(アンソール)」と記され、キリストの脇腹を刺す人物の槍には「FÉTIS(フェティス)」という美術批評家の名前の旗がついています。●20世紀のシュルレアリスムから現代まで現代に受け継がれた「奇想」の表現はオブジェ、音、インスタレーションへと領域を広げ、今もなお創造活動の豊かな源泉であり続けています。この章では、マグリットやデルヴォーらシュルレアリスムの芸術家たち、またヤン・ファーブルをはじめとする現代作家らの作品をご紹介します。●レオ・コーペルス「ティンパニー」筆を咥えた骸骨が、ドラムにリズミカルに打ち付けられています。数多くの戦地となってきたベルギー芸術には死の表象が絶えず見え隠れするのが特徴の1つですが、この根深く厳粛な難題にユーモアで答えるコーペルスの表現は、ベルギーの芸術家が培ったアイデンティティの1つといえるでしょう。●パトリック・ファン・カーケンベルグ「2007-2014年、冬の日の古木」一見すると変哲のない老木のデッサンのように見えますが、作家が想像を自由にめぐらせて描いたものであり、この世のどこにも存在しない木になっています。作家・パトリック・ファン・カーケンベルグは、このような古木を数多く描き、その幹にはしばしば扉や窓をとりつけています。●トマス・ルルイ「生き残るには脳が足らない」トマス・ルルイ 《生き残るには脳が足らない》 2009年 ブロンズ ロドルフ・ヤンセン画廊© Studio Thomas Lerooy, Brussels, courtesy rodolphe janssen, Brussels /Photo: Philippe D. Hoeilaart古代ギリシア時代から続けられてきた、理想の人体への飽くなき探求。それは、現代の過剰なモデル崇拝やダイエットの日常化にも現れています。本作では、傍目から見れば十分なほど持っているはずのものでもまだ飽き足らない姿、大きすぎる頭で自滅している現代の人間像が物語られています。イベント詳細名称:ベルギー 奇想の系譜ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで会場:Bunkamura ザ・ミュージアム住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1会期:2017年7月15日(土)~9月24日(日)開館時間:10:00〜18:00 (入館は17:30まで)※毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)休館日:7月18日(火)、8月22日(火)Bunkamura ザ・ミュージアム 公式サイト:展覧会特設サイト:
2017年06月09日童心に帰る、大人のための展示「エリック・カール展」代表作『はらぺこあおむし』で知られる絵本作家エリック・カール。独創的なキャラクターデザインや、色彩豊かな世界観が子どもたちを虜にしてきました。ただいま、東京の用賀にある世田谷美術館では、カールの原画や立体作品など約160点を展示する「エリック・カール展The Art of Eric Carle」が開催されています。特設ショップでは、今しか手に入らない限定グッズも多数販売中。なかでも注目の3商品をご紹介します♪小さなサイズもちょうどいい! バッグの中が華やぐカラフルなファイルエリック・カールといえば、絵本『はらぺこあおむし』で知られていますが、キャラクターだけではなく、あおむしの大好物であるフルーツのデザインも人気。ほかにも、『1, 2, 3 どうぶつえんへ』のライオンなど、特別にアレンジしたA5サイズの3ポケットファイル(590円)は、この展覧会だけのオリジナルアイテムです。絵本のエンドペイパーが珍しい♡ エリック・カールの魅力が再発見できるバッジ『はらぺこあおむし』や『1, 2, 3 どうぶつえんへ』に登場する動物たちと、絵本を飾るエンドペイパーの模様を組み合わせた缶バッジセット(2個・650円)。あまり知られていませんが、もともとグラフィック・デザイナーとして活躍していたエリック・カール。ついキャラクターに目が行きがちですが、すみずみまでこだわった絵本そのもののデザインもおしゃれ。そんなエリック・カールの魅力を知ることができるアイテムです。展覧会のために本人が新たに制作!『はらぺこあおむし』のランチトート87歳にして現役の絵本作家として活躍するエリック・カールが、今回の展覧会にあわせて特別にデザインした「ARIGATO」「DAISUKI」「KONNICHIWA」をコラージュした文字があしらわれたランチトート(1,400円)。日本語のデザインはこれまでになく、とっても貴重なんだとか。何とも言えないおどけた表情のあおむしにも注目♡エリック・カールの色あせない絵本の世界。オリジナルグッズを手にすれば、絵本に出会った子どもの頃の感動がきっと蘇るはず♪取材・文/末吉陽子イベント情報イベント名:エリック・カール展The Art of Eric Carle催行期間:2017年04月22日 〜 2017年07月02日住所:東京都世田谷区砧公園1‐2 世田谷美術館電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年05月27日エルミタージュ美術館の礎を築いた女帝エカテリーナ2世は、親しい友人と“小エルミタージュ”と呼ばれる小さなお茶会を開いたのだとか。そんな特別なひとときをイメージしたコラボデザートが、この春、六本木で味わえてしまいます。美味しいスイーツとドリンクをお供に、美術展の余韻を楽しみましょう♡エルミタージュ美術館アフタヌーンティー華やかなエルミタージュ美術館をイメージした、豪華なアフタヌーンティーセットです。タルトにケーキ、エクレア、フルーツサラダなど溢れんばかりの色彩は目にも舌にも嬉しい逸品。デザートの内容もその日によって内容が変化するのも楽しみのひとつです。1ドリンク付き。店舗:ILBrioイルブリオ提供時間:15:00〜16:00 LO(平日のみ)価格:2,980円 *要予約電話:03-5414-1033スポット情報スポット名:ILBrio住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ウエストウォーク 5F電話番号:03-5414-1033まさに、イタリアの宝石♡二段構えのケーキスタンドに飾られたイタリアを代表するスイーツの数々は、まさに宝石そのもの! ドライフルーツやピスタチオの食感が楽しいズコットや濃厚でとろけるティラミス、リコッタチーズのカンノーリなど盛りだくさんのスイーツに、カラフルなベリーが添えられています。店舗は毛利公園に面しており、日中には春めいた風と新緑を感じながら優雅なひとときを。2ドリンク付き。店舗:毛利 サルヴァトーレ クオモ提供時間:15:00〜23:00 LO価格:1,820円 *1日限定10食。電話:03-5772-6675スポット情報スポット名:毛利 Salvatore Cuomo住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド B2F電話番号:03-5772-6675チェブラーシカのアフタヌーンティーセットロシアからの愛らしい贈り物“チェブラーシカ”のビスキュイに思わず微笑みがこぼれます。爽やかなオレンジムースと甘酸っぱい苺のスープが、春の暖かな陽気を彷彿させる爛漫なスイーツセットです。52階にある店内からの眺望は、オールドマスターの珠玉作品にも引けを劣らない美しさ。エルミタージュ美術館に思いを馳せながら至高の時間を胸に刻んで。1ドリンク付き、5月31日までの限定。店舗:ミュージアム カフェ&レストラン ザ サン&ザ ムーン提供期間:3月18日(土)〜5月31日(水)提供時間:13:00〜16:30 LO価格:2,700円電話:03-3470-0052スポット情報スポット名:ミュージアム カフェ&レストラン ザ サン&ザ ムーン住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52F電話番号:予約専用050-3542-7164 お問い合わせ03-3470-0052取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち催行期間:2017年03月18日 〜 2017年06月18日住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階森アーツセンターギャラリー電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月29日「大エルミタージュ美術館展」の特設ショップでは、本展開催を記念したオリジナルグッズを多数発売しています。他にも愛くるしいチェブラーシカのアイテムやロシアからの民芸品など盛りだくさん。展示を見終わってもまだまだ楽しみが続きます♡機能性抜群ダブルクリアファイル本展を代表する作品が両面にあしらわれたA4サイズのクリアファイル。両開きのダブルポケットタイプなので、収納力もたっぷりで機能性も抜群です。好きな作品をいつでも持ち歩いてしまいましょう。全2種 各648円(税込)思い出を限定フォルダーにチケットファイル本展の中でもカラフルな色彩が印象的な《鳥のコンサート》をはじめとした、4作品がチケットホルダーになりました。普段使いも良し、今日の思い出をお気に入りの一枚にしまうのも良し。全4種 432円(税込)期間限定 なりきりチェブラーシカぬいぐるみロシアの国民的キャラ“チェブラーシカ”が本展の目玉作品《羽飾りのある帽子をかぶった若い女性の肖像》になりきり大変身! チェブラーシカファン必見、会場限定のオリジナルぬいぐるみになりました。その愛くるしさに誰もがメロメロになってしまうこと間違いなし。いよいよ4月25日(火)発売スタート!! 2,700円(税込)取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち催行期間:2017年03月18日 〜 2017年06月18日住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階森アーツセンターギャラリー電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月23日ロシアの女帝エカテリーナ2世のコレクションが基礎となり、日々進化し続けるエルミタージュ美術館。16世紀〜18世紀にかけて芸術分野における巨匠やその作品群は“オールドマスター”と呼ばれ、今なお多くの人々を魅了し続けています。そんなオールドマスター傑作の数々が、この春六本木に大集結。珠玉のコレクションを、ぜひその目で確かめて。珠玉のオールドマスター作品が目の前に18世紀、女帝エカテリーナ2世が美術品収集をはじめたことをきっかけに生まれたエルミタージュ美術館。エントランスを入ってすぐのエカテリーナ2世の肖像は、まるで「どうぞ私のコレクションを見ていって」と彼女が出迎えているかのよう。16世紀ルネサンス時代のティツィアーノや、17世紀オランダ市民絵画を代表するレンブラント、18世紀フランスを象徴するロココ主義のヴァトー。名だたる巨匠の作品が集結した本展は、エルミタージュ美術館展の決定版となっています。趣向を凝らした展示方法にも注目して展示室内は章ごとに赤や緑、金色など章のイメージに合った色で分かれています。同時代の作品を地域別に分けた本展は、それぞれの国の当時の風潮や雰囲気を味わうのにもうってつけです。またエカテリーナ2世の在位中に取得された作品のキャプションには王冠マークがついており、彼女の趣味趣向などを空想するのも楽しそう。巨匠の作品だからと身構えず、自分ならではの楽しみ方を見つけられるのも本展の魅力のひとつです。取材・文/おゝしろ実結イベント情報イベント名:大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち催行期間:2017年03月18日 〜 2017年06月18日住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階森アーツセンターギャラリー電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年04月18日国立新美術館と森美術館では、2017年7月5日(水)から10月23日(月)まで、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」が開催されます。 ASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年にあたる2017年、東南アジアの現代美術を紹介する、史上最大規模の展覧会です。今回の展覧会は、国立新美術館と森美術館の両館長が発案し、国際交流基金の賛同により実現したもの。3者が総力を挙げ、2年半にわたる現地調査を経てASEAN10カ国より85組(予定)のアーティストを選定、計約180点の作品を2館の会場に展示する、初の共同企画展となります。時代の潮流と変動を背景とした東南アジアにおける1980年代以降の現代アートの発展を9つの視点から掘り下げ、そのダイナミズムと多様性に迫りましょう。ASEAN(東南アジア諸国連合って何?インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス(50音順)東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)は1967年のバンコク宣言によって設立されました。原加盟国は、タイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国で、1984年にブルネイが加盟後、加盟国が順次増加し、現在は10か国で構成されています。2015年に共同体となったASEANは、過去10年間に高い経済成長をみせており、今後、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が世界各国から注目されています。※出典:外務省ホームページ(セクション構成と主な作品を、美術館ごとにご紹介!●国立新美術館 企画展示室2E国立新美術館の展示は5つのセクションにわかれています。地図からみるアジアの成り立ち、厳しい戦争下での芸術作品、そして日常の生活に至るまでを数々の作品でたどりましょう。●■うつろう世界イー・イラン《うつろう世界》(「偉人」シリーズより)2010年Courtesy: Silverlens Galleries, Makati, The Philippines世界のいかなる地域や時代においても、地図には政治的、経済的に多様な価値観や視点が織り込まれています。アーティストが描き出す地図は、単に地理的な特徴を記すのではなく、東南アジアの複雑な歴史と空間を表しています。このセクションでは、異なる視点から土地とその意味を見つめる複層的な地図、人々の移動を記録することで記憶を呼び起こす地図、理想的な社会を求めた想像上の地図などをとおして、東南アジアという空間を考えます。●■情熱と革命ホー・ルイ・アン《ソーラー:メルトダウン》2014年~Courtesy: Maezawa Hideto; TPAM Performing Arts Meeting in Yokohama, 2016東南アジア諸国の多くは、第二次世界大戦後の1940年代から80年代まで、植民地支配からの独立が続きました。その間、独立戦争、インドシナ戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦などが起こり、一方では芸術表現への抑圧や弾圧が続いた国も見られました。そうした環境のなかで、多くのアーティストは民主化や表現の自由、言論の自由に向けた活動を行ってきました。このセクションでは、こうした時代をリアルタイムで体験したアーティストの作品を中心に紹介します。●■アーカイブコウ・グワンハウ《シュ・ティエシェン――アーカイブから見る作家の100年》2014年撮影:Koh Nguang How近年、インターネットの発達によって、それまで発見や入手が困難だった情報へのアクセスが容易になり、それを起点にした調査研究をもとに、美術資料をアーカイブ化しようとする動きが見られます。東南アジアでも、各地で蓄積されてきた資料が公開されつつあり、その一方で、美術資料そのものを素材として作品化するアーティストも増えてきました。このセクションでは、そのうちシンガポールのザ・アーティスト・ビレッジ(TAV)の活動を総覧できるコウ・グワンハウの「シンガポール・アート・アーカイブ・プロジェクト」(2007年)をはじめ、いくつかの例を紹介します。●■さまざまなアイデンティティーアラヤー・ラートチャムルンスック《私たちが若かったころ》(「女性像」シリーズより)1990年所蔵:森美術館、東京脱植民地主義の時代に入り、独立や民主化が人々にもたらしたのは、新しい国家としてのアイデンティティー、民族としてのアイデンティティー、個人としてのアイデンティティーなど、自らを成り立たせているアイデンティティーとは何か、という問いでした。この複雑な問いは、冷戦構造が終焉を迎えた1989年以降、それまでのイデオロギーに替わる新しい価値の基軸を求める世界各地で共有されたものでもありました。この時期に制作された現代美術の作品には、さまざまなレベルでアイデンティティーを問うものが多く見られましたが、これは今日もなお複雑な課題として継承されています。●■日々の生活スラシー・クソンウォン《黄金の亡霊(現実に呼ばれて、私は目覚めた)》2014年パフォーマンス風景:台北ビエンナーレ20141990年代以降、多くのアーティストが毎日の暮らしや日常に目を向け始めました。国際的にもグローバル化や多文化主義が拡がり、世界各地それぞれの平凡な日常のなかに文化的、社会的、歴史的文脈を見出し作品化することが、新しい世代の表現として注目されたのです。そこでは、家族との思い出、毎日の食事や遊び、路上での多様な営みが、絵画、写真、映像、インスタレーションなどのメディアをとおして現代美術の文脈に持ち込まれました。同時期、世界各地で急速に拡張した国際展では、新しい世代のアーティストが注目され、東南アジアのアーティストも世界へ活躍の場をひろげていきました。●森美術館森美術館では4つのセクションから、急激な経済発展に隠された闇や多様に発展した宗教や文化、そしてアートを通して世代をこえた対話を試みます。●■発展とその影ジョンペット・クスウィダナント《言葉と動きの可能性》2013年所蔵:森美術館、東京総人口6億人を超えるASEANは、世界的にも今後の成長が期待されており、自由貿易によって生まれる巨大市場に海外資本も注目しています。成長率は国によって異なりますが、高度経済成長とそれに伴う開発は、都市部の景観を急速に変え、人々の生活にも劇的な変化を及ぼしています。その影で社会には格差が生まれ、伝統的な文化が喪失されることへの懸念もあります。アーティストは、しばしばそうした変化を批評的に見つめています。●■アートとは何か?なぜやるのか?公的な美術館など現代美術のための制度が発展途上にある東南アジアでは、創造活動の目的も現代美術を取り囲む制度内での成功に限定されていません。むしろ、若い世代のアーティストのなかには、環境問題や離散する地域社会などコミュニティーのさまざまな課題へ向けてアートに何ができるのかを問う姿勢が顕著に見られます。コミュニティーに介入し、一般の人たちの参加を求めるソーシャリー・エンゲイジド・アートの実践や、コレクティブ(集団)としての活動は、日本よりも色濃く見られる特徴のひとつと言えるでしょう。●■瞑想としてのメディアコラクリット・アルナーノンチャイ 《おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵画を描く3》 2015年Courtesy: Carlos/Ishikawa,London; Clearing,Brussels/New York東南アジア諸国では多様な民族、言語、文化、宗教が共存しており、そこで継承されている年中行事や祭祀は、成長や開発が進む今日においても日々の暮らしに密接に関係し、現世だけでなく死後の世界や超自然界に向けられた関心などにも繋がっています。このセクションでは、古来の自然信仰から特定の宗教まで、より幅広い神秘的で崇高な世界を、伝統的な工芸のテクニックや思想をとおして作品化しているアーティストを紹介します。●■歴史との対話東南アジアの新しい世代のなかには、さまざまな政治的、経済的、社会的な変化を繰り返してきた地域の歴史、とりわけ戦争や抑圧の歴史を訪ね、記憶を継承しようとする動きが見られます。また、現代アートの発展に大きな貢献をしてきた先の世代のアーティストの実践を、現代に継承しようとする意識も見られます。このセクションでは、歴史の再訪や、世代を超えた対話をとおして、今日の社会や現代美術をより大きな歴史のなかに位置づけようとしている作品を紹介します。六本木エリアの2つの美術館での開催となる今回の展覧会。ぜひ足を運んで、東南アジアの今までとこれからをアートをとおして感じてみましょう。【イベント概要】名称:ASEAN設立50周年記念「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」会期 : 2017年7月5日(水)〜10月23日(月)会場 : 国立新美術館 企画展示室2E、森美術館主催 : 国立新美術館、森美術館、国際交流基金アジアセンター一般問い合わせ:ハローダイヤル 03-5777-8600展覧会HP:観覧料:【2館共通】(一般)当日1,800円、前売り1,600円(大学生)当日800円、前売り600円【単館】(一般)当日1,000円、団体800円(大学生)当日500円、団体300円※高校生及び18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は無料。※障がい者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料。※学生は身分証等をご提示ください。※団体券は各館で販売(国立新美術館は20名以上、森美術館は15名以上で団体料金を適用)します。※前売券(2館共通のみ販売)は、展覧会ホームページでお求めください。(販売期間については、後日、展覧会ホームページにてお知らせします。)※サントリー美術館、森美術館、国立新美術館で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、相互割引「あとろ割」(200円引)が適用されます。※森美術館併設の展望台 東京シティビュー、屋上 スカイデッキ、森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。■各会場案内【国立新美術館 企画展示室2E】住所〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2開館時間10:00〜18:00(毎週金曜日・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで休館日毎週火曜日美術館ホームページアクセス東京メトロ千代田線 乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)【森美術館】住所〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階開館時間10:00〜22:00(毎週火曜日は17:00まで)※入場は閉館の30分前まで休館日会期中無休美術館ホームページwww.mori.art.museumアクセス東京メトロ千代田線 六本木駅 1C出口徒歩0分(コンコースにて直結)
2017年03月23日江戸っ子から現代っ子まで広く愛される歌川国芳京王線府中駅からちゅうバス(多摩行き)に乗り、「府中市美術館」で下車すると、子供たちで賑わう府中の森公園の隅っこにひっそりと佇む建築物があります。その横に長く伸びる特徴的な建築が府中市美術館です。江戸時代末期の庶民の人気者、歌川国芳。当時の人気はさることながら、ここ近年、国芳ブームが到来しています!「なぜ今、国芳なのか?」その答えをおよそ240点の作品と共に探る展覧会は、歴史好きの女性の心をくすぐること間違い無し!会場は少し薄暗く目に優しい黄味がかったライティング。浮世絵の状態維持のために配慮されたものだそうです。浮かび上がるように照らされている作品の数々が、当時の笑いや愛嬌、にぎわいを臨場感たっぷりと伝えてくれます。猫好きにはたまらない!「国芳画の楽しみ」「19世紀の国芳」では猫が主役の作品が多く展示されています。国芳自身、大の愛猫家だったこともあり、自画像では懐に猫を抱き、絵を描いている作品もあるのだとか。近頃の猫ブームに負けず劣らず、猫愛が感じられる展示物は一見の価値ありです!第1章「19世紀の国芳」、第2章「21世紀の国芳」の2部構成。絵画の中に込められた力強い表情、豊かな発想、斬新なデザイン…枠にとらわれない自由な発想が込められた作品の魅力を存分に感じられます。取材・文/鈴木美希イベント情報イベント名:歌川国芳 21世紀の絵画力催行期間:2017年03月11日 〜 2017年04月09日住所:東京都府中市浅間町1丁目3番地(都立府中の森公園内)電話番号:03-5777-8600
2017年03月22日多摩美術大学グラフィックデザイン学科4年生7名による卒業制作展「Shining in your eyes 2017」が、3月30日から4月9日まで東京・港区のGallery 916で開催される。同展は写真家である上田義彦のもとで2年にわたり「写真の喜び」について学んだ7名の学生たちが、写真と真摯に向き合い、悩み、そこから導き出された個々の無限の可能性を解き放つ表現としての写真作品の数々が展示される。【イベント情報】「Shining in your eyes 2017」会期:3月30日~4月9日会場:Gallery 916住所:東京都港区海岸1-14-24 鈴江第3ビル 6階休廊日:月曜日(祝日は除く)時間:平日は11:00~20:00、土日・祝日は11:00~18:30入場無料
2017年03月19日2月23日(木)から4月16日(日)まで開催される美術展「ゴールドマン コレクションこれぞ暁斎! 世界が認めたその画力」。世界屈指の暁斎コレクターとして知られる画商イスラエル・ゴールドマン氏が所蔵する、普段国内では見られない貴重な作品が集結しています。「画鬼」と呼ばれた天才絵師の技巧が光る!幼い頃から絵を好み、浮世絵師・歌川国芳や駿河台狩野派に学んだ河鍋暁斎。師匠に「画鬼」と呼ばれたほど才能にあふれていた彼は、静謐さにあふれた仏画から笑いを誘う戯画まで、幅広いテーマを圧倒的な画力で描き上げました。緻密で繊細な作品から大胆なものまで描き分けた、稀代の超絶技巧を隅々までチェックしてみましょう。ユーモラスな世界観でぐっと親しみやすく♪暁斎の作品にはユーモアやウィットに富んだ表現が多く見られます。擬人化され、人間のように振る舞う動物たちや、本来のあり方がひっくり返ってしまったおかしな神様たちなど、思わず笑いが漏れてしまいそうな作品が勢揃いしています。日本美術に詳しくなくても、見ているだけで楽しくなれる親しみやすさが満点です。美しさと笑いに満ちた暁斎の世界観に没入しちゃいましょう!取材・文/五十嵐綾子イベント情報イベント名:ゴールドマン コレクション これぞ暁斎!世界が認めたその画力催行期間:2017年02月23日 〜 2017年04月16日住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1Bunkamura ザ・ミュージアム電話番号:03-5777-8600(ハローダイヤル)
2017年03月04日六本木の森アーツセンターギャラリーでは、2017年3月18日(土)~6月18日(日)の期間中、「大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」が開催されます。サンクトペテルブルクからやってくる美しい展示品をチェックしましょう。トマス・ゲインズバラ 《青い服を着た婦人の肖像》 1770年代末-1780年代初め©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18エルミタージュ美術館とはウィギリウス・エリクセン 《戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世の肖像》 1760年代©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-181712年からロシア革命後にモスクワへ首都機能が移るまでの約200年間、帝政ロシアの都として栄えたサンクトペテルブルク。この街でひときわ優雅で壮麗な姿を誇るのが、エルミタージュ美術館です。ヤーコプ・ヨルダーンス 《クレオパトラの饗宴》 1653年©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-181764年にエカテリーナ2世(在位1762-1796)が取得し、美術館の基礎となったコレクションから、歴代皇帝が国家の威信をかけて収集した美術品、個人蒐集家のコレクションまで、エルミタージュ美術館の所蔵品はおよそ310万点。そのうち絵画作品だけでも1万7千点に及びます。ジャン=オノレ・フラゴナールとマルグリット・ジェラール《盗まれた接吻》 1780年代末©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18エカテリーナ2世は、親しい人々にこれらの美術品を見せる場所を作り、そこを“エルミタージュ(フランス語で「隠れ家」の意)”と呼びました。名画の裏に秘めた想いとは…見どころをご紹介ルカス・クラーナハ 《林檎の木の下の聖母子》 1530年頃©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18エカテリーナ2世が34年の治世の間に収集した絵画作品は、約2,500点ともいわれています。彼女は、強大な財力と絵画への深い理解に加え、フランスの啓蒙思想家ヴォルテールや、美術評論家など、国内外の目利きの助言を参考に精力的に収集を続けました。ポンペオ・ジローラモ・バトーニ 《聖家族》 1777年©The State Hermitage Museum, St Petersburg, 2017-18本展には、エカテリーナ2世の最初のコレクションに含まれていたフランス・ハルスの《手袋を持つ男の肖像》、息子パーヴェル1世(在位1796-1801)が母のために購入したポンペオ・ジローラモ・バトーニの《聖家族》、さらに美術館の形成に多大な貢献をしたパーヴェル1世の息子アレクサンドル1世(在位1801-1825)やニコライ1世(在位1825-1855)が収集した作品も出展されます。絵画収集の歴史や、名画の裏側に隠された想い、皇帝の嗜好などを知ることも、鑑賞の楽しみの一つとなりそうです。魅惑的なアートの世界を堪能しましょう。イベント概要展覧会名大エルミタージュ美術館展オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち会期2017年3月18日(土)~6月18日(日)休館日5月15日(月)開館時間午前10時~午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで会場森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階)所在地〒106-6150東京都港区六本木6-10-1お問い合わせ03-5777-8600(ハローダイヤル)巡回情報名古屋展:会期2017年7月1日(土)~9月18日(月・祝)会場愛知県美術館神戸展:会期2017年10月3日(火)-2018年1月14日(日)会場兵庫県立美術館
2017年02月16日美術館の中の「もうひとつの美術館」で日本画を身近に山種美術館のミュージアムショップでは、美術館の中にある「もうひとつの美術館」。日本画をもっと身近に感じられるオリジナルの品々は、館長・山崎妙子さんによってプロデュースされています。日本画に描かれる繊細な色合いや和紙の風合いを自宅でも感じられるグッズは見逃せません。シックで使いやすいトートバッグ2016年で開館50周年を迎えた山種美術館では、記念として新たに作成されたシンボルマークがあしらわれたトートバッグです。日本を代表するグラフィックデザイナー・佐藤卓氏によってデザインされたこのマークは、横組みの「YAMATANE」の文字と縦組みの「日本画」の漢字が組み合わされており、横文字文化が日常化していながらも、従来の縦文字文化がしっかりと根付いている現代日本文化の姿が表されています。黒と白でシックにまとめられたトートバッグは、どんなシーンにも使うことのできる大人っぽい仕上がりです。3,240円。コレクションしたくなる! 日本画マスキングテープ名画をモチーフにした山種美術館限定のマスキングテープ。淡い色合いの中に日本画の繊細な技法が感じられ、主張しすぎない上品なデザインが目を引く品々です。お手頃価格でゲットできる、彩色豊かでおしゃれな絵柄は、全種類集めてしまいたくなるようなかわいいものばかり。432円。絵はがきで、感動をそのまま持ち帰るショップには、豊富な種類の絵はがきが取り揃えられています。名画の繊細な色合いや風合いが忠実に再現された絵はがきは、お家で眺めて再び楽しむことができます。ちょっとした連絡に日本画の魅力を伝えられる絵はがきを送れば、普段とは違った印象を与えることができそうです。108〜162円。文・佐藤百イベント情報イベント名:山種美術館 「日本画の教科書」展催行期間:2016年12月10日 〜 2017年04月16日住所:東京都渋谷区広尾3-12-36電話番号:03-5777-8600
2017年02月02日まとふ(matohu)が2011年に開催し好評を博した「慶長の美」展が、1月14日から2月5日まで静岡県にあるCCCギャラリーにて開催される。まとふは、2005年から5年間・10シーズンを通して、桃山時代後期から江戸時代初期を指す慶長年間(1596年から1615年)に生まれた美術や工芸などをインスピレーション源にファッションデザインに落とし込む挑戦をしてきた。同展では、毎シーズンのテーマが一番色濃く反映されている着物でも洋服でもない、まとふオリジナルの「長着(ながぎ)」を展示。各シーズンのテーマとなった歴史や美術工芸とともに紹介される。最新のファッションの現場に、いかに日本の文化が刺激を与えているかを再確認できる機会となっている。また、各シーズンのテーマが解説された5年分の案内状をつなげた10mにも及ぶ「慶長の美の絵巻物」プロジェクトもあわせて展示される。 なお、会場近くの三保原屋ロフト(静岡県葵区両替町2-4-1)では、1月14日から24日までポップアップショップがオープンする。1月15日の14時から15時には、まとふデザイナーによるトークイベントも開催される。【イベント情報】「慶長の美」展会場:CCCギャラリー住所: 静岡県静岡市葵区七間町15-1会期:1月14日~2月5日時間:10:00~21:00入場無料休館日:月曜日
2017年01月14日和菓子の老舗とコラボ! 個包装だからお土産にもぴったり◎江戸時代から続く老舗の和菓子店「榮太樓總本鋪」とのコラボ商品「ひとくち羊羹」(800円)。北海道産小豆の風味を活かした食べ切りサイズの羊羹は1つずつ小分けにされているから配りやすく、お土産におすすめ。パッケージはモネの「グラジオラス」とゴッホの「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」の2種類です。ヨーロッパ絵画×えびせん!?ヨーロッパ絵画×海老せんべいという意外なマッチングが目を引く「海老せんべい」(800円)は、もちろん日本での展覧会ならでは。マヨネーズ風味の海老せんべいは老若男女問わず人気の一品です。こちらも個包装されていて日持ちがするので、ちょっとしたお土産にも◎。集めて飾りたい 名作モチーフのマグカップルノワールとモネの作品をそれぞれあしらった「マグカップ」(各1890円)は内側が鮮やかなピンクやブルーになっていて、両方揃えたくなる可愛さです。マグを使うたびに憧れの名画を鑑賞したら、センスアップも期待できるかも?! 他にも、ゴッホのマグカップもあるのでじっくり選んでみて。取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月30日日本初上陸の作品15点を含んだ選りすぐりの作品たち1885年に創立されたデトロイト美術館はアメリカの公共美術館として初めてゴッホ、マティスの作品を取り入れた美術館で、コレクションは約6万5千点、年間の70万人以上の来訪客を誇る、アメリカを代表する美術館の1つです。今回はその中から選び抜かれた52点が展示されています。また、今回の展覧会の大きな特徴がカメラ撮影OKということ(月曜火曜のみ。フラッシュは禁止、一部SNS投稿禁止作品もあります)。美術展は撮影禁止のことが多いので、この機会に巨匠の名作をカメラに収めちゃいましょう!目玉作品のゴッホの「自画像」は一生に一度は見ておきたい!麦わら帽子をかぶり明るい色彩で描かれたゴッホの自画像は一番人気の作品だけあって撮影可能日と週末は特に混雑するそう。それもそのはず、この「自画像」はなんと100億円の価値があると言われている作品! 並んででも間近で写真をおきたくなります。他にも息子をモデルにしたルノワールの「白い服の道化師」やモネが妻カミーユを描いた「グラジオラス」など、有名作品が目白押しです。ヨーロッパ近代絵画の顔とも言える珠玉の作品を間近で見られて、カメラ撮影までできちゃう今回の展覧会。年末年始も開館しているのでお休み中にぜひ立ち寄って「奇跡のコレクション」に触れてみては?取材・文/藤井ちひろ店舗情報店名:デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~TEL・予約:03-5777-8600(ハローダイヤル)住所:東京都台東区上野公園1-2上野の森美術館アクセス:JR上野駅公園口より徒歩3分営業時間:9:30~16:30(但し、毎週金曜日9:30-20:00)※入館は閉館の30分前まで)2016年10月7日(金)~1月21日(土)
2016年12月29日「鼻ぺちゃ展」の巡回展と柴犬「巻きしっぽ展」が大阪なんばパークスで開催される。開催日は12月17日(土)、18日(日)と23日(金・祝)から25日(日)まで。フレンチブルドッグやボストンテリア、シーズーなど鼻の短い犬種“鼻ぺちゃ犬”に特化した合同写真&物販展「鼻ぺちゃ展」。2015年秋には東京・浅草橋、2016年夏には千葉・柏で開催され、累計10,000人以上を動員している。初の大阪巡回となる本展では、インスタグラムで不動の人気を誇る、たらちゃん&ふねちゃん、パグのはちべえ、そして本格写真家として活躍するtetsu ishiharaらが参加。人気作品はもちろん、冬の季節感あふれる作品や、クリスマスをイメージした作品も展示予定だ。生の写真だから伝わる濃密な“ぶひ可愛さ”を心行くまで楽しめる。また、特設コーナーで同時開催となる柴犬をメインとした「巻きしっぽ展」は、大阪初の企画。ふわふわの巻きしっぽをもつ柴犬たちの愛らしい姿は、訪れるひと皆を癒しのひと時へ誘う。なお、会場内には人気犬の素顔に迫る動画コーナーも併設。SNS未公開動画などが多数用意される。【開催概要】「鼻ぺちゃ展」in 大阪なんばパークス「巻きしっぽ展」開催日時:2016年12月17日(土)、18日(日)、23日(金・祝)~25日(日)開館時間:11:00~19:00休館日:なし会場:大阪なんばパークス 7階 パークスホール住所:大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70入場料:300円
2016年11月14日現在、六本木ヒルズ森タワー52階で「ヴェルサイユ宮殿《監修》マリー・アントワネット展美術品が語るフランス王妃の真実」が開催されています。フランスだけでなくウィーンの美術館からも、肖像画をはじめ貴重な美術品約200点を集め、その波乱の生涯を辿ります。いま注目の展覧会を、さっそくアソビュー編集部員が取材してきました!見どころをご紹介!はじめに、展覧会のみどころをご紹介します。1つめは、とにかく豪華なファッション。時代のファッションリーダーでもあったアントワネットの、斬新できらびやかな衣装にご注目ください。2つめは、室内空間の再現。実際に使われれた家具などで浴室や居室を再現しています。アントワネットがおくった日常生活をリアルに感じられますよ。3つめは、スウェーデン貴族 フェルセンとの暗号ラブレター。今年1月に解読されたばかりの、貴重な資料です。暗号で交わされた愛のメッセージは必見ですよ。200点の美術品でたどる、波乱の一生それではさっそく、展覧会の会場へ!会場内に入ると、高級感あふれる真紅の壁があらわれます。ぐっとマリー・アントワネットの世界に引き込まれます。●14歳で政略結婚。そして異国の王太子妃へ第一章では、オーストリア皇女からフランス王太子妃となるまでの少女時代の様子を肖像画でみていきます。こちらの絵は、教科書でも見たことのある「1755年の皇帝一家の肖像」。子沢山で知られたオーストリア大公マリア・テレジア夫妻と12人の子どもたちの様子が描かれています。真ん中のゆりかごにちょこんと座っているのが、末娘であるマリー・アントワネットです。こちらも有名な肖像画。フランスへの嫁入り直前と推測される絵です。チェンバロを弾く姿が優雅ですね。この後1770年4月、アントワネットは14歳でウィーンを離れ、フランスへ嫁ぎます。オーストリア・フランス間の和平強化のための、政略結婚でした。続く第2章では、華やかな王家の結婚を伝える美術品が登場します。この大きなテーブル飾りは、1770年5月におこなわれた結婚式の祝宴で使われたものです。トルコブルーの大理石やブロンズが光る、豪華な作りですね。若く美しいアントワネットの評判はたちまちフランス中に広がり、大勢の民衆がヴェルサイユ宮殿に押し寄せ、その結婚を祝ったと言われています。●フランス王妃 マリー・アントワネットの誕生1775年、ルイ15世が天然痘で逝去するとルイ16世が即位、アントワネットはフランス王妃となりました。写真の左が、夫でありフランス国王となった19歳のルイ16世です。右のアントワネットもこのときまだ18歳。ルイ16世の王としての初めての言葉は「神よ守り給え、このように若くして国を治める私たちを!」だったと言われています。パリの華やかなファッションに魅了されたアントワネットは、たちまちドレスや装飾品の虜となります。フランス貴族のファッションリーダーとして、ダチョウの羽をつかったアクセサリーや派手なデザインのドレス、高く結い上げた髪型など、次々とあたらしいファッションで注目を集めました。そんな王妃の散財ぶりに、国民からの不満は、じわじわと高まっていくのでした。●豪華な家具や装飾品へのこだわりが、国家財政をさらなる危機にヴェルサイユをはじめとする宮殿の装飾に執着したアントワネット。莫大なお金をつぎこみ、当時の流行にあった家具調度品を揃えていきました。当時フランスがアメリカ独立戦争に介入したことで国家財政が厳しくなっていたにもかかわらず、王妃の散財は加速するばかりだったといいます。寝台の上掛けには、国王ルイとマリー・アントワネットの頭文字であるLLMAが入っています。アントワネットがとくに好んだ花柄の壁布。これもゴージャスなデザインですね。●王妃のプチアパルトマンを再現した空間王妃の浴室と居室は、実際に使われた家具を用いて、再現されています。これは浴室。白いふわふわのドレスを着ているのがアントワネットです。お付きの方の服装もかわいい…!壁紙のデザインや、家具の配色にセンスを感じますね。浴槽の蛇口ですらブロンドで、こんなにゴージャス。すごい…。東京駅のプロジェクションマッピングなどを手がけるNAKEDによる、図書室の再現も必見です。設計図をもとに、バーチャルリアリティで再現しており、図書館のなかにいるような感覚を味わえます。窓から宮殿の庭に出ていったりする演出もあり、とってもリアルですよ。アントワネットが過ごしたとされる居室は、グリーンを貴重とした空間になっています。寝台や、ナイトテーブルなど、リアルな生活を感じることができます。写真中央、奥にある寝台の脚部には、アントワネットがこよなく愛したとされるエジプト女性の人物像が施されています。さらに奥に進むと、王妃が好んだ食器が展示されています。ズラリと並ぶセーヴル食器のなかには、日本風デザインのものも。このお皿は、伊万里焼から着想を得たものと考えられています。日本の食器を好んだ母、マリア・テレジアに贈ったものだそうです。お母さん想いなんですね。1774年に、王妃がルイ16世によって与えられた「プチ・トリアノン」の様子もうかがえます。形式ばった宮廷生活を嫌ったアントワネットは、この私的な離宮の敷地内に池や田舎風の離宮を作らせ、牧歌的な暮らしを夢みました。ふたりの子どもとともに描かれたマリーの顔は、おだやかなお母さんそのもの。派手な暮らしばかりが伝えられるアントワネットですが、実は子煩悩な母親でもあったそう。とくに息子であるルイ・シャルルのことは「愛のキャベツ」と呼んで溺愛したそうです。かたくるしい宮廷から抜け出してごく親しい友人を招き、オペラや舞踏会を開き、大胆なファッションを楽しんだようです。しかし楽しい時間もつかのま。いよいよ革命が始まります。●国民の不満が爆発。フランス革命、そして悲劇の結末へいよいよ悲劇のエンドロールへと向かいます。国民の不満爆発のきっかけとなった大スキャンダル「首飾り事件」が起こります。アントワネットは詐欺の被害者でありながら、国民の信頼を失う結果になってしまいました。この頃には、国王と王妃を批判する風刺画がよく描かれるようになりました。国王はヤギにたとえられ、アントワネットは虎の体にメドューサの顔で描かれています。双頭の怪物であり、互いに身動きがとれない状態をたとえています。ひどい食糧危機への不満が爆発し、ヴェルサイユへ向かう女性たちの絵も見られます。遊興庁の建物に招集された国民議会に、パンを要求したと言われています。そして、バスティーユ監獄が占領されます。王権の象徴であったこの建物はたちまち民衆に包囲され、監獄司令官のド・ローネの首は槍に突き刺された状態で街中を引きずり回されました。この事件が王権崩壊の引き金になったと言われています。この頃王妃がスウェーデン公フェルセンとかわした秘密の恋文が残されています。黒塗りになっている部分は、今年2016年1月になってはじめて解読され、ふたりが親密な仲にあったことが明らかになりました。女性らしいやわらかい文字で、情熱的な愛の言葉が書かれています。ヴェルサイユを追われ、チュイルリー宮殿で過ごしていた王家が襲われたのは、1792年8月10日のこと。多くの犠牲者をだしたこの事件により、いよいよ王政は終焉を迎えます。事件の3日後には、国王一家はタンプル塔に投獄されてしまいました。暗く、ずっしりとした雲が空を覆う様子が、一家の悲惨な結末を表しているようです。塔のなかでも、国王はのちのルイ17世となる王太子の教育に熱心だったといわれています。ゲームや数学、そして書き方の練習をしていた記録が残されています。王太子の習字帖には「国民に愛される、国民に愛される…」と書かれています。1792年12月以降、家族と引き離されていたルイ16世は、1793年1月21日に断頭台へのぼります。そして1793年10月16日、ついにアントワネットも死刑執行の日を迎えます。16日、死の直前となった午前4時に、義理の妹に書かれた遺書が残っています。紙にびっしりと、小さな文字で悲痛な思いがつづられています。タンプル塔で暮らしていた時の肌着が、そのまま残されています。この頃には下着の洗濯にも自由が許されず、10日に1回程度だったと言われています。死刑当日に履いていたとされる靴も展示されていました。あれほどファッションを愛し、豪華絢爛なドレスに身を包んで暮らした彼女が最期に身に付けたのは、白の質素なチュニックでした。群がる民衆たちの好奇と憎悪にみちた表情とは対照的に、さいごまで気品を失わず静かに死に向かう王妃の姿が印象的です。贅の限りをつくした華やかな宮廷生活から、時代の波にのまれ、監獄、そして断頭台へ。波乱にみちたひとりの女性の一生を、ぜひご覧ください。■イベント詳細名称ヴェルサイユ宮殿《監修》マリー・アントワネット展美術品が語るフランス王妃の真実開催期間2016年10月25日(火)~2017年2月26日(日)開催場所森アーツセンターギャラリー〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52階開館時間10:00~20:00(ただし火曜日は17:00まで)※入館は閉館の30分前まで観覧料一般・・・当日1800円前売/団体1600円高校・大学生…当日1200円前売/団体1000円小・中学生…当日600円前売/団体400円※小学生未満は入館無料※団体料金は15名以上で適用。添乗員1名まで無料※障がい者手帳を持っている方と介助者(1名まで)は、当日観覧料が一般900円、高校・大学生600円、小・中学生300円お問い合わせ03-5777-8600公式HP
2016年10月30日美術家のリアム・ギリックによる個展「Stardust Expression」が、11月12日まで東京・千代田区のTARO NASUにて開催中。リアム・ギリックは、イギリス出身でニューヨークを拠点に制作活動を行う美術家。これまでにシカゴ現代美術館、アイルランド現代美術館、グッゲンハイム美術館など各国で展覧会を開催してきた。第53回ヴェニス・ビエンナーレにはドイツ館代表作家として参加した他、第10回ドクメンタなど多数の国際展に参加している。同展は、17年に刊行を予定しているギリックの新書シリーズ『スターダスト・エクスプレッション(Stardust Expression)』のプロジェクトの一環として行われるもの。同シリーズはギリックが15年にモスクワ・ビエンナーレの出品作品として、ニューヨークの自身のアパートメントから一歩も出ることなく制作した「Letters from Moscow(モスクワからの手紙)」の流れを引き継ぐもので、新しいリニアな都市が構築される過程で発生する混乱や矛盾、陰謀めいた出来事についての調査に焦点を合わせている。展覧会は壁面に展示する構造物、グラフィック、テキスト作品で構成され、壁面には輪のような形をしたいくつものテキスト作品が展示される。作品は繰り返しそして次第に不安定かつ感情的な内容に変化しながら展覧会タイトルを告げる。また、光る壁のインスタレーションとテキスト作品が一連のグラフィックによって関連付けられ、それぞれの作品が新書の輪郭を浮かび上がらせる。展覧会を通じてギリックの新シリーズとなる著書のタイトルと骨組みを知ることができる機会となっている。【展覧会情報】「Stardust Expression」会場:TARO NASU住所:東京都千代田区東神田1-2-11会期:10月14日~11月12日時間:10:00~18:00休廊日:日月祝日
2016年10月17日美術家のリアム・ギリックによる個展「Stardust Expression」が、11月12日まで東京・千代田区のTARO NASUにて開催中。リアム・ギリックは、イギリス出身でニューヨークを拠点に制作活動を行う美術家。これまでにシカゴ現代美術館、アイルランド現代美術館、グッゲンハイム美術館など各国で展覧会を開催してきた。第53回ヴェニス・ビエンナーレにはドイツ館代表作家として参加した他、第10回ドクメンタなど多数の国際展に参加している。同展は、17年に刊行を予定しているギリックの新書シリーズ『スターダスト・エクスプレッション(Stardust Expression)』のプロジェクトの一環として行われるもの。同シリーズはギリックが15年にモスクワ・ビエンナーレの出品作品として、ニューヨークの自身のアパートメントから一歩も出ることなく制作した「Letters from Moscow(モスクワからの手紙)」の流れを引き継ぐもので、新しいリニアな都市が構築される過程で発生する混乱や矛盾、陰謀めいた出来事についての調査に焦点を合わせている。展覧会は壁面に展示する構造物、グラフィック、テキスト作品で構成され、壁面には輪のような形をしたいくつものテキスト作品が展示される。作品は繰り返しそして次第に不安定かつ感情的な内容に変化しながら展覧会タイトルを告げる。また、光る壁のインスタレーションとテキスト作品が一連のグラフィックによって関連付けられ、それぞれの作品が新書の輪郭を浮かび上がらせる。展覧会を通じてギリックの新シリーズとなる著書のタイトルと骨組みを知ることができる機会となっている。【イベント情報】「Stardust Expression」会場:TARO NASU住所:東京都千代田区東神田1-2-11会期:10月14日~11月12日時間:10:00~18:00休廊日:日月祝日
2016年10月17日10月1日(土)~12月14日(水)の期間中、横浜美術館で企画展『BODY/PLAY/POLITICS』が開催されます。国内外の現代美術作家6名によるグループ展示で、「身体が生み出すさまざまなイメージ」をモチーフにした作品が登場予定です。出展するアーティストと作品概要参加アーティストは6名。「人間の身体、集団としての行動、歴史の中でつくりあげられた身体のイメージ」をモチーフにした作品は、詩的であったり、ユーモラスであったり。6名それぞれの視点で「身体」について考えられる展示です。アーティストと作品概要をまとめました。インカ・ショニバレMBE1962年イギリス生まれ。ナイジェリアで育ち、現在はロンドン在住。アフリカ現代美術を代表する作家として知られています。作品は大航海時代から現代にいたる、アフリカとヨーロッパの関係を表現。アフリカ風のろうけつ染めによる生地を素材に用います。イー・イラン1971年マレーシア生まれ。写真による作品が多く、綿密な歴史的・社会的検証に定評あり。今回の企画展には、映像インスタレーションを出品。「ポンティアナック」と呼ばれる、東南アジアの民間伝承に出てくる女性の幽霊がモチーフです。アピチャッポン・ウィーラセタクン1970年タイ生まれ。映画監督、脚本家として日本でも注目を集めています。日本初公開のビデオ・インスタレーションを披露する予定です。ウダム・チャン・グエン1971年ベトナム生まれ。彫刻、映像、ダンスパフォーマンスなど表現方法は多岐にわたります。今回出品するのは映像インスタレーション。オートバイを使い、身体をイメージした映像を作り上げています。石川竜一1984年沖縄生まれ。第40回木村伊兵衛写真賞を受賞した、いま注目の写真家。沖縄や県外各地で撮影されたポートレートや風景の新シリーズを発表します。田村友一郎1977年富山生まれ。写真、映画、インスタレーション、パフォーマンスと縦横無尽に活躍する現代美術家。近代ボディビルディングの歴史を下敷きに、新作の映像インスタレーションを制作、発表します。●パートナープロジェクト「横浜ダンスコレクション2017」にも注目同じく『BODY/PLAY/POLITICS』をテーマに開催されるパートナープロジェクト、「横浜ダンスコレクション2017」も要チェックです。日本初演、アイサ・ホクソンの「HOST-fantasy and reality」は社会の主流とは違う環境にある身体がテーマ。演出家の多田淳之介は『BODY/PLAY/POLITICS』のテーマに沿った、新作ダンスを世界初披露します。ダンサーが肉体で表現する『BODY/PLAY/POLITICS』を鑑賞しましょう。企画展とあわせて鑑賞すれば、より深く味わえますよ。会期中はライブ・パフォーマンスや、ダンスのワークショップも開催予定。『BODY/PLAY/POLITICS』で芸術の秋を満喫しませんか?■イベント概要名称:『BODY/PLAY/POLITICS』会期:2016年10月1日(土)~12月14日(水)時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)※10月28日(金)は20:30分まで(入館は20:00まで)会場:横浜美術館所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい3丁目4番1号休館日:毎週木曜日、11月4日(金)※11月3日(木)は無料開館公式サイト:<横浜ダンスコレクション2017 『BODY/PLAY/POLITICS』>会期:2017年1月26日(木)~2月19日(日)会場:横浜赤レンガ倉庫1号館および屋外広場、横浜にぎわい座のげシャーレ、急な坂スタジオなど問合せ:横浜赤レンガ倉庫1号館電話番号:045-211-1515公式サイト:
2016年09月05日ドイツの写真家「トーマス・ルフ」の日本初の本格的回顧展が東京と石川で開催されます。期間は東京国立近代美術館が8月30日(火)~11月13日(日)まで、金沢21世紀美術館は12月10日(土)~2017年3月12日(日)までです。初期作品の「Interieurs(室内)」や「Porträts(ポートレート)」、最新作の「press++」など、18シリーズ・約125点の作品が一堂に会します。世界初公開となる作品も展示予定。現代の写真表現をリードするトーマス・ルフのユニークな世界観を存分に満喫できるまたとないチャンスです。トーマス・ルフ 《Porträt (P. Stadtbäumer)》 1988年©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016C-print 210×165cm写真家トーマス・ルフとは?トーマス・ルフは1958年生まれ、ドイツ出身の写真家です。アンゼルム・キーファーやゲルハルト・リヒターなどを輩出した名門デュッセルドルフ美術アカデミーに入学し、ベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻に学んだ「ベッヒャー派」として、写真への新しいアプローチを展開してきました。初期に発表した高さ約2メートルにもなる巨大なポートレート作品で注目されて以降、建築や都市風景、ヌード、天体など様々なテーマの作品発表し、世界中の美術館やギャラリーで個展を開催。有名美術館がこぞってコレクションに加えるほど、現代の代表的な写真家の1人として知られています。近年は自身で撮影を行なわずに、インターネット上で収集した画像を再構築した作品シリーズを制作。その斬新な写真表現で、多くのアートファンの支持を集めています。トーマス・ルフ展の見どころをご紹介!トーマス・ルフ 《cassini 10》 2009年©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016C-print 98.5×108.5cm今回の展覧会はルフにとって日本初の本格的な回顧展です。初期作品である「Interieurs」や、さまざまな人物の顔写真を高さ2メートル以上の大判サイズに引き伸ばした話題作「Porträts」、少年時代から続く宇宙への関心を背景にした「cassini」や「ma.r.s.」、インターネット時代の視覚・情報空間を問う「nudes」や「jpeg」など、全18シリーズ・約125点が展示されます。トーマス・ルフ 《Substrat 31 III》 2007年©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016186×268cmC-printほかにも、日本の漫画やアニメから取り込んだ画像に、原形がわからなくなるまでデジタル加工を繰り返した「Substrate」、デジタル画像の特性に注目した「jpeg」なども登場。写真の既成概念そのものが覆ること間違いありません。トーマス・ルフ 《jpeg ny01》 2004年©Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016256×188cmC-printまた、今回の展覧会では作品選択や展示構成にトーマス・ルフ自身も参加します。作家の全面的な協力を得て開催されるのもトーマス・ルフ展のポイントです。未発表の新作を含む世界観の全貌を楽しんでみてください。●最新作「press++」シリーズに注目!世界初公開となる作品も展示「press++」は、ある新聞社のプレス写真アーカイヴを入手したことから着想されたシリーズです。かつてのメディア空間で使用されていた紙焼写真と、それにともなう文字情報を素材に生まれました。今回の回顧展では、読売新聞社から提供されたプレス写真を使った世界初公開作品も発表予されます。同展は2016年12月10日(土)から2017年3月12日(日)まで、石川・金沢21世紀美術館にも巡回予定です。こちらの会場には、約160点の作品が展示が予定されています。「トーマス・ルフ展」詳細会場:東京国立近代美術館住所:東京都千代田区北の丸公園3-1アクセス:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口から徒歩約3分会期:2016年8月30日(火)~11月13日(日)開催時間:10:00~17:00※毎週金曜日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日 ※9月19日(月)、10月10日(月)は開館し、9月20日(火)、10月11日(火)は休館料金:一般1,600円、大学生1,200円、高校生800円、中学生以下無料東京国立近代美術館公式サイト:会場:金沢21世紀美術館住所:石川県金沢市広坂1-2-1アクセス:JR金沢駅バスターミナル東口7番乗り場から約20分、「広坂・21世紀美術館(石浦神社前)」下車、徒歩すぐ会期:2016年12月10日(土)~2017年3月12日(日)開催時間:10:00~18:00※毎週金・土曜日は20:00まで、入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日 ※1月2日(月)、1月9日(月)は開館し、12月29日(木)~1月1日(日)、1月10日(火)は休館料金:一般1,000円、大学生800円、小中高生400円金沢21世紀美術館公式サイト:トーマス・ルフ展特設サイト:作品すべて© Thomas Ruff / VG Bild-Kunst, Bonn 2016
2016年08月29日東京・六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで、「ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実」が開催されます。日程は2016年10月25日(火)から2017年2月26日(日)までです。歴史ファンはもちろんのこと、女性にもおすすめの展覧会の詳細をご紹介します。フランツ・クサーヴァー・ヴァーゲンシェーン《チェンバロを弾くオーストリア皇女マリー・アントワネット》1770年以前ウィーン美術史美術館Kunsthistorisches Museum, Wienこの秋、マリー・アントワネット展が六本木で開催!10月25日(火)から六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催される「マリー・アントワネット展」は、ヴェルサイユ宮殿が日本で初めて企画・監修した国内最大規模のマリー・アントワネットに関する展覧会です。華やかな宮廷生活を想像させる絵画はもちろん、マリー・アントワネットがヴェルサイユ宮殿で愛用していた食器や家具、革命期に着用していた衣服など、美術的、歴史的に貴重な品々200点あまりが展示されます。さらに今回は王妃のプライベート空間を原寸大で再現。ヴェルサイユ宮殿の企画・監修だからこそ実現した、マリー・アントワネット展の集大成として各方面から注目を集めています。マリー・アントワネット展の見どころシャルル・オーギュスト・べメールとポール・バッサンジュの原作に基づく《王妃の首飾り(複製)》1960-1963年ヴェルサイユ宮殿美術館©Château de Versailles (Dist. RMN-GP)/ ©Jean-Marc Manaï展覧会の構成は全13章です。14歳でフランス王家に嫁いだ時の祝宴で使われたテーブル飾りや、幽閉中に彼女が身に着けていた肌着やヘアバンド、断頭台にのぼる際に脱げたとされる靴などの貴重な歴史的資料が展示され、誕生から1793年に37歳で断頭台の露と消えるまでの一生を辿ります。ジョゼフ・シフレ・デュプレシ《ルイ16世》1774年ヴェルサイユ宮殿美術館©RMN-GP (Château de Versailles)/ ©Gérard Blotヴェルサイユ宮殿が日本で初めて《企画・監修》し、華やかな宮廷生活をしのばせる絵画なども展示されます。ほかにも王妃が母・マリア=テレジアの影響を受けてコレクションしていた日本の漆器や、最近解読されたフェルセン伯爵への暗号黒塗りラブレターの複製なども来日します。王妃の心の深い部分にも触れられる貴重な品です。作者不詳《アクセル・フォン・フェルセン》18世紀末ノルシェーピング、レーフスタード城/エステルイョートランド美術館Photographer Jonas Karlsson/ Östergötlands museum●マリー・アントワネットのプライベート空間を六本木で再現!最大の見どころは、マリー・アントワネットのプライベート空間「プチ・アパルトマン」を、王妃が実際に使っていた家具や同時代の浴槽と共に実寸大で再現された展示です。まるでヴェルサイユ宮殿を訪れているような臨場感を味わえます。エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン《白いペチコートに青いマントを羽織って座るマリー・アントワネット》1788年ヴェルサイユ宮殿美術館©RMN-GP (Château de Versailles)/ ©Gérard Blot今では存在しない図書室部分は、東京駅の3Dプロジェクションマッピングなどで知られるクリエイティブカンパニー・ネイキッドが担当。パリの国立古文書館に保管されている設計図などをもとに、バーチャルリアリティで蘇らせました。連動した音や映像の演出で、まるで時空を超えるような不思議な体験を楽しめるのも魅力です。ヴェルサイユ宮殿以外で、今回のように大規模な空間再現が行われるのは史上初の試み。王妃が暮らした空間とその時代をも体感できる貴重な展覧会です。かわいい月替わりのチケットにも注目!今回の展示会では通常のチケットのほかに、月替りの企画チケットが販売されます。8月はお得な早割ペアチケットです。9月にはリラックマとのコラボ企画、10月のチケット企画ではファッションリーダーと称されたアントワネットにちなんで、可愛いリップグロスのようなあめやえいたろうの「みつあめ」付きとなっています。こちらもぜひチェックしてください。イベント詳細名称:ヴェルサイユ宮殿《監修》マリー・アントワネット展 美術品が語るフランス王妃の真実会場:森アーツセンターギャラリー住所: 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52F開催期間:2016年10月25日(火)~2017年2月26日(日) ※会期中無休開館時間:10:00~20:00※火曜日と10月27日(木)は17:00まで。※入場は閉館の30分前まで。観覧料:前売/団体:一般 1,600円、高校・大学生 1000円、小・中学生 400円当日/一般 1,800円、高校・大学生 1,200円、小・中学生 600円※小学生未満は入館無料。特設サイト:
2016年08月13日「ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワ ネット展 美術品が語るフランス王妃の真実」が、10月25日から17年2月26日まで六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにて開催される。オーストリアに生まれ、14歳でフランスに嫁ぎ、革命の波にのまれて37歳で断頭台の露と消えたフランス王妃、マリー・アントワネット。同展では、マリー・アントワネットがルイ16世と結婚後、フランス革命までの約20年を過ごしたヴェルサイユ宮殿の企画・監修のもと、その激動の生涯を辿る。出展されるのは肖像画の他、王妃が愛用した食器や漆器、家具、身に着けた衣服、革命期の資料など約200点あまり。彼女が断頭台で亡くなる前、幽閉中に身につけていた肌着やヘアバンド、断頭台にのぼる際に脱げたとされる靴なども展示される。さらに、ヴェルサイユ宮殿内にある王妃のプライベート空間「プチ・アパルトマン」の浴室、図書室、居室を、当時の装飾や実際に使われた家具などとともに原寸大で再現。消失してしまった図書室は、かつての設計図をもとにバーチャルリアリティで再現するなど、これまでにない展覧会となっている。【展覧会情報】「ヴェルサイユ宮殿《監修》 マリー・アントワ ネット展 美術品が語るフランス王妃の真実」会場:森アーツセンターギャラリー住所:東京都港区六本木6-10 六本木ヒルズ 森タワー52階会期:10月25日~17年2月26日(会期中無休)時間:10:00~20:00(火曜日、及び10月27日は17:00まで、入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,800円、高校・大学生1,200円、小・中学生600円、小学生未満無料12
2016年08月10日故デヴィッド・ボウイが所有していた美術作品の数々が、オークションに出品されることになった。1月に死去したデヴィッドが収集していたダミアン・ハースト、スタンリー・スペンサー、パトリック・コールフィールド、マルセル・デュシャンら名だたるアーティストたちの作品約300点が、11月にロンドンにある美術品オークションハウスのサザビーズに出品されることになり、落札予想価格は全体で1,000万ポンド(約14億円)以上とも言われている。サザビーズはオークションに先駆けて一般展示も予定しており、サザビーズ・ヨーロッパのオリバー・バーカー会長は出品内容について「デヴィッド・ボウイのコレクションは、20世紀最高峰の創造的精神を持つ人物の世界が独自のかたちで反映されています」と表現している。落書きのような作風で知られるジャン=ミシェル・バスキアの作品「エア・パワー」は、ボウイがバスキアの指南役であったアンディ・ウォーホールのために演奏をした後に購入したもので、コレクションの中でも最高値の250万から350万ポンド(約3億5,500万から5億円)で落札されると見込まれている。267点の絵画に加え、120点以上の20世紀の家具、彫刻も含まれるコレクションの収益は、ボウイの家族が受け取ることになる。家族は出品理由を保管場所に困ったためとしている。そんなボウイは、「異常なほど夢中に」美術品を買っていることを生前に自ら認めており、アーティストの評判や投資価値を理由に作品を買い集めるのではなく、それぞれの作品に対する自身の感性を大事に作品を選んでいたといわれている。小説家のウィリアム・ボイドは、1994年にアート雑誌『モダン・ペインターズ』の編集に関わるほどアートに精通していたボウイのことを、ただの「セレブ」ではなく、「実際に何かを貢献している」人物だとして称賛していた。「デヴィッドは美術学校に実際に通っていたんです。アーティストや画家、テーマ、ムーブメントについてかなり真剣に話したがっていました」「ですから、あれは趣味や気まぐれではなく、本物の情熱でした」とボイド氏はBBCに話していた。(C)BANG Media International
2016年07月16日横浜みなとみらいにある「横浜美術館」では、横浜の地元企業である富士ゼロックスと横浜美術館のコラボによる企画展「複製技術と美術家たち-ピカソからウォーホルまで」が6月5日(日)まで開催中だ。本展では、1988年以来「版画もしくはそれに類する手段で複数制作されたもので、その時代の精神や文化を表徴する作品」を指針として、欧米と日本の重要な作家による版画、写真、コピー・アート(ゼログラフィーによる作品)、アーティストブックなどを収集した富士ゼロックス版画コレクションが展示される。その数は現在約950点を擁し、その中の約350点がまとまって展示されるのは本展が初めて。さらに、版画コレクションに加えて、横浜美術館が擁する150点が合わせて展示され、約500点の作品展示を通して、写真印刷や映像などの「複製技術」が発達・普及し、誰もが複製を通して美術を楽しむことができる時代に、ピカソをはじめ20世紀の欧米を中心とする美術家たちが、どのような芸術のビジョンをもって作品をつくっていったのかを検証する。中でも、ドイツの文芸批評家ヴァルター・ベンヤミン(1892年ー1940年)の写真や美術に関する考察や発言に注目し、彼が著作中で言及した写真や美術の作品を展示している。ベンヤミンの論文「複製技術時代の芸術作品」は、その後の美術、写真、映画の評論だけでなく、メディア論や社会学、思想研究に大きなインパクトを与えたが、ベンヤミンの著述に登場する代表的な写真家や美術家たちの実作品を、美術史の流れの中で鑑賞することができる貴重な機会となる。さらに、この企画展では、富士ゼロックスのクラウド発信型音声ガイドサービス「SkyDesk Media Trek(スカイデスク・メディアトレック)」を提供しており、自分のスマートフォンやタブレットに、専用アプリをダウンロードして、無料で音声による展示作品の解説を楽しむことができる。解説は担当学芸員が書き下ろし、作品を目の前にしながら、制作の背景や他の作品とのつながりを知ることができるので、美術史に疎くても安心して作品を鑑賞することができる。気持ちの良い初夏の週末、横浜みなとみらいにお出かけのついでに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがだろう。(text:cinemacafe.net)
2016年05月28日20世紀を代表する芸術家のひとり、スペインのサルバドール・ダリ(1904-89年)の回顧展「ダリ展」が、東京との2会場での開催が決定。日本での本格的な回顧展は約10年ぶりで、過去最大規模の展示となる。本展は、ガラ=サルバドール・ダリ財団(スペイン、フィゲラス)、サルバドール・ダリ美術館(アメリカ、セントピーターズバーグ)、国立ソフィア王妃芸術センター(マドリード)という世界の3つの主要なダリ・コレクションから招来される作品を中心に、日本国内の重要作品を加えた約200点の作品によってダリの世界を紹介する。スペイン、フランス、アメリカとさまざまな場所で創作活動を行ったダリ。絵画や彫刻のみならず、宝飾品、舞台装置、衣裳のデザイン、挿絵や映画の制作までを手掛け、ジャンルを超えて多彩な才能を発揮し、その独特の世界観は、今なお多くの人々を魅了している。本展では、初期から晩年までのダリの創作の軌跡をたどりながら、ダリの世界を多角的な視点で紹介する。ダリのファンならずとも、ぜひ足を運んでみたい。これまで知らなかったダリ作品に出会えるかもしれない。「ダリ展」は、7月1日(金)~9月4日(日)京都・京都市美術館にて、9月14日(水)~12月12日(月)東京・国立新美術館にて開催。(text:cinemacafe.net)
2016年04月25日