ブログ上で語られるキーワードを参考に、映画の“いま”を分析する「ブログ話題度ランキング」。今週はジャンルは違えど主人公たちのコンビ愛が魅力の映画が、トップ10以内になんと3つもランクイン!3位にランクインしたのはデンゼル・ワシントンの悪役で注目を集めている『デンジャラス・ラン』。36か国で指名手配を受けてきた極悪犯罪者にして元CIAの最強エージェント、トビン・フロストと共に、正体不明の敵から逃げることとなってしまった新米CIAエージェントのマットの危険すぎる逃亡劇が描かれる。先日、「ゴシップガール」のブレイク・ライブリーとの結婚を発表したライアン・レイノルズの出演作としても注目されている様子。本国ではすでに続編の製作が決定しており、第2作目でもライアンの続投を予定しているが、デンゼル扮する“最悪の相棒”トビンとの凸凹コンビに期待する人が多数?5位には『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督がメガホンを握り、阿部サダヲ&松たかこを主演に迎えた『夢売るふたり』。火事でなくなってしまった自分たちの小料理屋を再び始めるために、妻(松さん)が結婚詐欺を計画、夫(阿部さん)がそれを実行していくのだが、見どころは絶対的な“相棒”であるはずの夫婦という関係が徐々に変わっていく2人の姿。同じ目的を持って始めたはずの計画なのに、次第に生まれるその微妙な“歪み”は男と女の違いゆえなのか…?「夫婦で結婚詐欺」という強烈なキャッチコピーがまた、注目の的となっているよう。そして8位には2001年公開の『アメリ』を抜いて、フランス語映画としては歴代1位の観客動員数(全世界で2,320万人)を記録した『最強のふたり』。本作で描かれるのは、ある事故をきっかけに首から下が全て麻痺状態となり車椅子生活を送る大富豪・フィリップと、ひょんなことから彼の世話係をすることになったスラム街出身の黒人青年・ドリスの友情の物語。口コミでその感動はどんどん広がり、平日も満員御礼の盛況ぶりを見せている本作だが、この感動的な物語が実話だということも注目を集める理由の一つのよう。身分や人種の違いという垣根を飛び越えた2人の友情が生み出したこの感動作は、早くもハリウッドでのリメイクが決定。さらにアメリカのオバマ大統領が興味を示しているといううわさもあり、世界を巻き込んでの驚異的な波及力を見せている。凶悪犯と新米CIAエージェント、夫婦、大富豪とスラム街育ちの青年。単純にバディ・ムービーではない、彼らが見せてくれるそれぞれの関係性はとても興味深い。“相棒”って?“信頼”って?この3本がそんなことを改めて考えさせてくれるきっかけとなるかもしれない。ブログ話題度ランキング■ブログ話題度とは?ブログで話題の情報を提供する「kizasi.jp」独自のブログ解析エンジンにより、シネマカフェに掲載されている映画作品名がブログ上に掲載されている“話題度”をポイント化。いまブログ上で最も話題の映画作品のランキングを掲載しています。また、映画作品に関連する言葉も抽出して掲載。その作品がブログで、どのような言葉で語られているかを知ることができます。興行成績やDVD売上だけでは知ることの出来ない、映画ファンが“いま”話題にしている映画はどの作品か?ヒットの“kizasi”が見えてくるオリジナルランキングです。■関連作品:デンジャラス・ラン 2012年9月7日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開© 2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会最強のふたり 2012年9月1日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP
2012年09月14日『蛇イチゴ』、『ゆれる』、『ディア・ドクター』で国内外の映画賞を総なめにした西川美和監督最新作となる『夢売るふたり』のワールドプレミアが、現在開催中の第37回トロント国際映画祭にて9月10日(現地時間)に行われ、西川監督が舞台挨拶に登壇。熱狂の中迎えられ、ファンからのQ&Aにも応じた。2人で営んでいた小料理屋を火事で失った夫婦が、店の再建のために心に隙間を抱えた女性をターゲットに結婚詐欺を実行。愛とは何か?夫婦とは何か?を刺激とユーモアたっぷりに描き出す。上映前の舞台挨拶で、満席となった客席に迎えられた西川監督は「(トロント映画祭の常連である師匠の)是枝裕和監督から、トロントはとてもいい映画祭だといつも聞いていたので、ここに来ることができて本当に嬉しいです」と興奮気味に語り、喜びを噛み締める。上映後に行われた客席のQ&Aでは、海外ならではの質問も飛んだ。女性客からは、結婚詐欺に騙される女性へ対する警告の意図があったか?と問われた西川監督は、「警告ということは考えていませんでしたが、いまの日本では女性の生き方が非常に多様化していて、生き方に色々な選択肢があるだけに、その分悩みが多く生きづらい世の中になっていると感じるんです。そんな女性たちの悩みを描きたいという思いはありました」と明かし、女性監督ならではの視点から生まれた物語であることを伺わせた。上映中は終始笑いが起き、エンドロール時には会場から大きな拍手が沸き起こるなど大好評のうちに終了したワールドプレミア上映会。終了後も、熱狂的な“西川ファン”に取り囲まれ、長時間質問攻めにされながら、サインや写真撮影に応じる西川監督はなんとも楽しそうだった。過去には『スラムドッグ$ミリオネア』、『プレシャス』、『英国王のスピーチ』など、その後にアカデミー賞で受賞する作品が数多く選ばれ、高い評価を受けているトロント映画祭での好調のスタート。第31回バンクーバー国際映画祭(9月27日~10月21日開催)、第56回ロンドン映画祭(10月10日~21日開催)、第48回シカゴ国際映画祭(10月11日~25日開催)、第16回オーストラリア日本映画祭(11月16日~19日開催)への出品も決定している本作。今後の評価にさらなる期待が高まる。『夢売るふたり』は全国にて公開中。■関連作品:第37回トロント国際映画祭 [映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月12日西川美和監督の最新作『夢売るふたり』が8日に全国で封切られ、東京・新宿ピカデリーで西川監督をはじめ、主演の松たか子、阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、江原由夏、木村多江、笑福亭鶴瓶が初日舞台あいさつを行った。その他の写真火災ですべてを失った夫婦(松、阿部)が、再起をかけて“結婚詐欺”に手を染めていくという男女の愛憎を描いたヒューマンドラマ。すでに第37回トロント国際映画祭(6日開幕)のスペシャル・プレゼンテーション部門への出品が決定しており、壇上にて第31回バンクーバー国際映画祭、第56回ロンドン映画祭、シカゴ国際映画祭、オーストラリア日本映画祭に出品されることも発表された。舞台あいさつの翌日に、トロント入りするため日本を発つ予定の西川監督は「国境を超えていける映画という文化は、やはりいいものだと感じています。日本の恋愛事情や結婚観、女の生き方を海外の人々にも観てもらえれば。これを機会にもっと遠い国の皆さんにも観てほしい」と意気込みを語った。ちなみに、海外上映の際の英語タイトルは『Dreams for Sale』になるとのこと。夫に結婚詐欺をけしかける妻を演じた松は、役作りのためにフォークリフトの運転免許を取得し、「たまには勉強もいいもんですね。それに免許がなくてもいい西川監督が一緒に受験してくれました。ありがとうございます」と感謝しきり。学科教習の際、居眠りしてしまう瞬間もあったといい、「居眠りする松たか子を初めて見ました」と西川監督。一方、次々と女性を手玉に取る夫を演じた阿部は「いろいろな表情を引き出してくれた。自分でも『あんな顔するんだ、おれ』と思ったほど」と西川演出に舌を巻いた。そんな阿部に対し、西川監督は「いやあ、阿部さんのこと、私も好きになりそうでした。現場の女性スタッフもみんなそう言ってましたよ」とにやけ顔。すかさず、西川監督の前作『ディア・ドクター』に主演した鶴瓶が「僕のときは、どうだったの?」とツッコミを入れ、会場を笑いに包んでいた。『夢売るふたり』公開中
2012年09月10日映画『夢売るふたり』が9月8日(土)に公開を迎え、都内劇場で初回上映前に行われた舞台挨拶に主演の松たか子に阿部サダヲ、田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江、江原由夏、笑福亭鶴瓶、西川美和監督が登壇。また本作が、すでに発表された第37回トロント国際映画祭に続き、第31回バンクーバー国際映画祭、第56回ロンドン映画祭、第48回シカゴ国際映画祭など各国の映画祭に出品されることが明らかになった。『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川監督の最新作で松さんと阿部さんは夫婦役で初共演。火事で全てを失った2人が再起のために結婚詐欺で女性たちから金を巻き上げていく姿を描く。この日は「いまだから言いたいこと」をテーマに、登壇陣がフリップに書いた答えを一斉に発表。ほんの数秒のあるシーンのために松さんはとある特殊技能の免許を取らなくてはならなかったが、監督やスタッフも松さんに付き合って一緒に講習、試験を受けたそう。松さんのフリップには「一緒に受験してくれてありがとう」と感謝の言葉が綴られた。監督が講習をふり返り「授業中に居眠りする松たか子を初めて見ました(笑)」と明かすと、松さんは「私も人間なので…」と苦笑いを浮かべていた。阿部さんも監督に向けて「いろんな表情を引き出してくれてありがとう」と感謝の言葉。「火をつけられたり、何かをかけられたり、ひっぱたかれたり、セックスしたり…。『あんな顔するんだ?おれ』と思いました」と嬉しそうに語る。監督のフリップの下の方には小さく「アベさん本当はスキでした」との告白が。監督は「カメラの横で見ていて本当に阿部さんを好きになりそうになりました。女性スタッフに話したらみんなそう言ってました」と阿部さんの名演に、監督・スタッフまでもが劇中の女たちさながらに心奪われたよう。それを聞いた前作『ディア・ドクター』で主演を務めた鶴瓶さんが「『ディア・ドクター』のときは主演俳優を好きになることはなかったんですか?」と心外そうに突っ込むと、監督は「それは…」と口ごもり客席は笑いに包まれた。ウェイトリフティングに全てを懸ける女性を演じた江原さんは、4か月にわたってトレーニングを積んで撮影に臨んだ。実際に関東大会に出場し2位に輝くなど関係者から本物の選手としてやっていけるというお墨付きをもらったというが、そんな江原さんはフリップに「もうムリ…」とトレーニング中に感じたという本音を綴った。「本当に苦しくて1日に総量で6~7トンを上げて体はボロボロでした」とふり返る。そんな江原さんの答えを予測したかのように監督のフリップの中央には「江原さん、がんばってくれてどうもありがとう」という感謝の言葉が綴られていた。田中さんと鈴木さんはそれぞれ阿部さんとのシーンでの“やり過ぎ”を謝罪。特に田中さんは阿部さんをボコボコに殴るが、鶴瓶さんは「あれはひどかったで…。『私こんなのできるかしら?』って言ってたのに、次の瞬間にやってましたから(笑)」と田中さんのバイオレンスな一面(?)を暴露。阿部さんも「男性も含めて一生のうちであんなにやられたことはないです」と語り、監督も「カットが掛かった瞬間に鶴瓶師匠が『やめたれ!』って言ってましたからね」とうなづく。田中さんは「顔が赤くなって紫になって…顔ってこんな風に腫れるんだ?って思いました(苦笑)」と申し訳なさそうに阿部さんに頭を下げていた。西川監督は明日9日(日)にトロントに向けて旅立つが「日本の結婚観などが外国でどう見られるか楽しみです」(西川監督)、「海外の方がどこに共感し、どこに違和感を持つのか?楽しみです」(松さん)と海外映画ファンの反応への期待に胸を膨らませていた。また舞台挨拶の冒頭に松さんは、先日の舞台出演中に転落して現在治療中の実兄・市川染五郎の事故に触れ、心配をかけたことを詫びると共に「順調に回復しています」と報告。「彼に少し時間をやってください」と語った。『夢売るふたり』は新宿ピカデリーほか全国にて公開中。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月08日『ゆれる』『ディア・ドクター』と観る者の心を静かに揺さぶる物語を世におくり出してきた西川美和監督の最新作『夢売るふたり』。火事で全てを失った夫婦(松たか子&阿部サダヲ)が結婚詐欺を繰り返すという、どこかファンタジーのようにも思える奇妙な設定の下、“愛とは何か? 結婚とは何か?”を生々しく問いかける。その他の写真初めて“女を描く”というテーマに臨んだ西川監督。「ダメな男のどうしようもない、でも魅力的なところを描いた映画はたくさんあるけれど、女のキャラクターというのは常にそれの引き立て役であり続けた気がするんですよね。だから私の知るかぎりの女の“ダメ”を描きたかった。結末が見えないまま発車して、いろんな角度から女を描き、日々実験を繰り返した感じです。阿部さんと松さんを見ながら『こういうふたりだったのか』と分かる部分がたくさんありました」と振り返る。金もなければイケメンでもない(失礼!)貫也に女たちは驚くほど簡単に騙されていく。阿部は彼女たちの気持ちについて「分からないですねぇ(笑)」と言いつつ、「理解できないからこそ演じるのが難しいし、面白かった」とも。「田中麗奈さんの涙を指で拭うシーンがあるけれど、現場の誰も、そんなことやったこともやられたこともないんですから(笑)」と照れくさそうに語る。本作は、女たちのセリフのひとつひとつが底知れぬ“深み”を帯びている。例えば愛人として生きてきた玲子(鈴木砂羽)が漏らす「すごいですね、奥さんて」というひと言。何気ない口調で放たれた言葉がなぜか脳裏にこびりつく。西川監督は「30年以上女として生きてるので、いろんな人の言葉が私の中に残ってます。妻子ある男の人を好きになった女性が発する『奥さん』という言葉に普通とは違う響きがあったりね」と静かに笑みを浮かべる。騙される女たち以上に女という生き物の生々しさをさらけ出すのが、夫の結婚詐欺を斡旋する妻・里子。唯一無二の存在感でもって演じた松たか子について「現場で見たときは怖さを感じなかった」という西川監督だが、「積み重ねてきたカットを編集で繋いだときに怖いと思いました。松さんが映ってるカットには『もう1秒だけ』とのばしたくなる吸引力があるんです」と明かす。夫として彼女と共に歩き、対峙した阿部は言う。「松さんは普段があまりに穏やかなので、スイッチが入ったときの怖さが倍増するんです。お風呂で浮気を問い詰められるシーンは、にらまれた瞬間に心から『申し訳ない』って思いましたね。電車でのシーンでも台本のト書きに『目が三角になる』とあったけど、本当になってましたから(笑)」。『夢売るふたり』9月8日(土)より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー取材・文・写真:黒豆直樹阿部サダヲ:ヘアメイク・荒川英亮スタイリング・チヨ(コラソン)
2012年09月07日『夢売るふたり』は、とにかく考えたくなる映画だ。火事ですべてを失った小料理屋の夫婦が、もう一度自分たちの店を持ちたいと願い、その夢の実現のために結婚詐欺に手を染める。板前の貫也は妻の里子が目をつけた標的――東京の片隅で孤独を抱えた女性たち――の懐に入り込み、金を引き出して行く。『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督が今回もオリジナル脚本を手がけ、松たか子と阿部サダヲを初共演に迎えた本作は、夢とお金と愛に翻弄される人々の姿を通して、男について、女について、自分自身についても考えたくなる作品だ。「夢を諦めるところも含めて、好きなんです」(西川監督)結婚願望の強いOLにスポーツ選手、風俗嬢、シングルマザー、と様々な女性が登場する。彼女たちの王子さまが貫也なわけだが、演じる阿部さん自身は同性として、「貫也はダメな男だなぁ…って思いました」と言う。「途中で自分の夢を諦めちゃってるんです。それで他人の夢、例えばウエイトリフティング選手のひとみちゃんの夢に乗っかっちゃって。それはだめでしょう、男として。そういうところは、自分とはちょっと違うなと思ったんですよね」。夢を諦めるのは、やはり駄目なことかと尋ねると「諦めなきゃいけないこともあるんでしょうけど。僕もプロ野球の選手になりたかった夢を諦めて、いま俳優やってるんですけどね(笑)」と答える。「ただ僕は、向いていないと気づいて、プロの選手にはなれないなと思ってやめたので。貫也はなんとなくやめてるから。そこはちょっとな、と思う」。西川監督は「だめなところなのかな…」と考え込みながら、「自分が男だったら、厳しく見ちゃうかもしれませんね。でも、なんとなく、しょうがないのかなとも思っちゃうな」。貫也という男は面白い。店が焼失し、失意のどん底にいた彼は、成り行きで一夜を共にした店の常連客に里子がいかに立派な妻か、熱心に語る。そして、大金をもらって喜び勇んで帰っていく。無邪気というか、天真爛漫というか。「走っちゃってるんだもんな…」と阿部さんは笑いながら呟く。「脚本にはなかったんですけど、監督が『松さんを抱きしめて、歌ってくれ』と言ったんですよ。オペラっぽくやってくれって。どんな男だ!?と思いました(笑)」。西川監督はにっこり笑って「そうお願いしました。見て下さいね。オペラ声で歌ってくださってますから」と答える。そのオペラの直後、物語は一気に加速する。滑稽さをまといながら、人の心の奥底まで深く深く分け入って、そこに隠されているものを白日のもとに曝してしまう。それが西川作品の特色だ。何気ない風で、人が一番触られたくない部分を鋭く突く。貫也のみならず、ラーメン屋店主や風俗嬢のDV夫、探偵など、登場する男たちも、騙す里子も騙される女たちも、誰もが少しずるいし、ばかでもある。「でも、ばかだけど、そこがいい。だから、夢を諦めるところも含めて、好きなんです。私は貫也っていうキャラクターが好きなんで、ついつい脚本を書いてても、貫也の話ばっかり膨らんでいくんですよね。だから、里子が物語の軸なんだって、振り戻すのにすごく苦労するぐらい。貫也は結婚詐欺をするのに外を歩くので、面白いんですよね」。貫也は女性から見た、理想の男性像?外に出て、いろいろな女性と対面しながら、貫也は変化していく。もう一度夫婦で店を始めたいという夢がブレない里子とは差が出てくる。「結構別人みたいになりますよね。監督からも別人でいいって言われました(笑)」(阿部さん)。西川監督は「貫也のいいところは、生き生きしてるんですよ、いつも」と言う。「もう、目の前にしたものが好きになり、それに心底没頭する」。確かに、どの女性といるときも貫也は楽しそうだ。家で夫を待つ里子が内に暗いものを抱えているのは明白だが、貫也にはどす黒いところはない。それとも見せていないだけ?「僕は、ない気がしますけどね。初めて会った子供とチャンバラやるっていう男は、どす黒くないでしょう」と阿部さん。西川監督は「ある意味、貫也は理想ですから、女の人から見た」と言う。「本当は男の人だっていろいろあると思いますけど、その暗い面、見たくない面は押さえて、だめだけど、人間の明るい面を寄せ集めた、かわいいキャラクターに書いたつもりです」。阿部さんは西川監督の男性の描き方について「面白がってるんだろうなって思いますね」と言う。「面白い男が多いなと思って。いろいろタイプが違う人がいっぱい出てきますけど、見方によっては笑えるっていうか、男の滑稽さが出てる。女性にしかできないような描き方だと思います。男が描くと、多分、貫也はもうちょっとかっこつけちゃったりするのかもしれない。もしくは、笑いに逃がしたりとか。西川さんの脚本はそれがないんです」。話を聞いていて頭に浮かんだのは、物語後半、すれ違い始めた夫婦が口論するシーンだ。里子に言われるまま動いてきた貫也が、彼女をやり込める。相手に逃げ場を与えない追いつめ方は、女性的にも思える。「そうですね、ああいう言い合いのシーンって、やっぱりね、男の人は描かなそうですよね」と阿部さん。「なるほどね。でも、私の周りの男の人は結構口が立つんだけどな」と言いながら、西川監督は阿部さんに「どうするんだろう、男の人。黙っちゃう?」と質問。阿部さんは「黙っちゃう。『逃げてくでしょう? 出かけちゃうでしょう?待ちなさいよ』って言われちゃう」と返答。監督は「煮物を容器に詰めて出ちゃう」と劇中の1シーンを引き合いに出して笑う。「自分じゃ知らない表情が映し出されていた」(阿部さん)阿部さんは「完成した映画には自分自身じゃ知らない表情が映し出されていました」と言う。「うれしいですよ。引き出してくれた監督に感謝しなきゃいけないですね」。自分でも未知の領域に連れていってくれる。俳優はそんな期待をもって監督との仕事に臨むのかもしれない。だが、監督本人は「いやいや、全然。そういうことのできるタイプの演出家じゃないです」と謙遜する。「松さんと阿部さんは、現場での有りさまが、私から見れば、すごく近い。2人とも歩調がちょっと似てるんです。だから、とてもバランスのいい現場でした」。みっちり話し合いを重ねて撮るようなこともない。「あんまり喋らないですよね(笑)。ちょっと解釈がずれてると思えば、言わせてもらうけど、ほとんどもうできてるんですよ。だから、目線の位置を決めるとか、その程度です」。「リハーサルをやってみて、あ、こいつ分かってないなって思うと来てくれるんです」と言う阿部さんの言葉に困ったような笑顔になる西川監督。「でも、阿部さんも松さんも、私の想定とは違う芝居のときが、いいことが多いんです。まあ、ほとんどずれないんですけど、基本は。でも、あ、元々の狙いよりも2人の出してきてくれたもののほうがいいって思うことがあった。だから、何にも言わないことが多かったですね」。「何も監督が言わないと、『もう諦められたのかな』って松さんと話してました」(阿部さん)「(笑)そんなことない。逆にこっちはなんにも言うことがなくて、申し訳ない、不甲斐ないって思うことが多かったですね。『まあ、この程度だな、この演出家も』って思われてるんだろうなって」(西川監督)お互いにそんなことを思いながらの撮影現場。互いへの愛情と尊敬、畏れと自意識の闘い合いは、『夢売るふたり』の世界観と重なるように思えて、何かストンと腹に落ちた。(text:Yuki Tominaga)Hairmake:Eisuke Arakawa/Stylist:Chiyo■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月05日人を騙す生き物と言えば、昔からキツネとタヌキが有名ですが、彼らよりもよほど始末に負えない動物がいます。それはもちろん、人間。残酷なほど狡猾に、人の心を弄ぶ…。その極悪非道ぶりといったら、昔ばなしに登場するキツネやタヌキの比ではありません。手を変え品を変え、お年寄りを騙す振り込め詐欺、訪問販売詐欺なんて、ニュースでやり口を知るたびに、胸がムカムカ。人は、ここまで下品になれるものかと驚きすら生まれます。人間の想像力は素晴らしいものなのに、こんな風に悪用するなんて…と。ただ、映画や小説などで意外な結末に驚愕させられる、そんな“騙し”は「ああ、やられた!」と爽快感すら覚えます。想像力を駆使し、人を騙す――。テクニックは同じでも、人の心を傷つける詐欺とは大違いです。意外な結末へと導かれていく『夢売るふたり』も、一種の楽しい詐欺に会うようなものかもしれません。というか、主人公たちは夫婦で詐欺師。映画を観れば、実際に詐欺に出会っちゃうわけですが。それにしても、詐欺の話なのに、“夢を売る”とはけしからんと思う方もいるかもしれませんが、映画を観るとなぜか納得できるはず。あらすじはこんな感じです。東京の片隅で、小さいながらも評判の日本料理店を営んでいる、貫也と里子。やっとの思いで開いた小料理屋でしたが、ある日、火事ですべてを失ってしまいます。落胆した夫を気丈に支える妻でしたが、完全にふてくされてしまった夫が妻に要らぬ言いがかりばかりつけるので2人の仲はぎくしゃく。そんな折、貫也はかつて店の常連だった女性に偶然再会し、彼女が不倫の末に失恋をしたことを知ります。そして、傷心の彼女を慰めるうちに一晩を共に過ごすことになり、なぜか彼女が得た手切れ金をそっくりそのままもらうことに。翌日、大金を持ち帰った夫から事情を聞き出し、怒りを覚える妻でしたが、そのとき、彼女にはあるアイディアがひらめくのです。それは、再び店を持ちたいという夫婦の夢を再び叶えるために、夫婦で結婚詐欺を働くこと。そして、里子が都会に暮らす寂しい女性を見つけては、貫也が懐に入り込み、お金を巧みに巻き上げるという段取りで、着々と資金を集めていくのです。ところが、嘘の繰り返しは、思わぬ事態を生み出して…。夫婦で詐欺なんて、とんでもない悪者たちのようにも聞こえますが、彼らはある時期までは正直に生きていた普通の人々。とある不幸をきっかけに、それまで眠っていた潜在的な悪意が心の中心を占めてしまうのです。ただ、物語が上手く流れているせいか、元々極悪人ではないせいか、見ていても、2人にひどい嫌悪感は覚えません。むしろ滑稽で面白く感じるのです。人を騙すと言う卑劣な行為の中にも、詐欺師たちの人間臭さが見事に描写されているのもその原因。阿部サダヲ演じる夫は、騙す相手にもどこか愛情のようなものを寄せてしまうほどに優しい人情派。一方、たちが悪いのは松たか子演じる妻の方です。相手選びなどを率先して行うほど自分主導で詐欺をしているにもかかわらず、夫が女に優しくしているのを、冷ややかな目で見ています。夫がターゲットに優しくするのは当然ですが、その優しさには詐欺を成功させようという計算高さからくるもの以外に、彼自身の人間性から来る優しさが大いに混ざっていることを、妻は敏感に感じ取っているのです。そこで、夫が騙す女たちを、とことん意地悪な目線で見つめ続ける妻。やがて夫も、健気で明るいばかりだと思っていた妻の邪気に気づき始めるのです。夫婦は、詐欺をすることでしか見えてこなかった相手の一面、互いに知らなかった自分たちの本質にまで気づいていきます。詐欺はとことん計画的だったはずなのに、計算しきれなかったのは、自分たちの心の動きや心情の変化。それに戸惑い、それを受け入れられなくなっていく2人。本作は、「騙す」ということが、騙される側だけでなく、いかに騙す側にもリスキーであることかを、見事な語り口で描いていくのです。他人を思い通りに動かせたとしても、自分の心が思い通りに動かせない。人間はますます不思議な生き物です。ここまで描ききれるところが、西川美和監督の凄いところ。さらには、女が持つ意地悪な視点を包み隠さず描けるところもさすがです。個人的には、これが最高レベルでできるのは映画監督ならフランソワ・オゾン、作家なら桐野夏生くらいだと思っていたのですが、この方もなかなか。あの上品な松たか子から、何とも意地悪な女性の性を引き出すあたりにも、恐れを知らぬ作家性が見えてきます。そしてもちろん、それに応えた松たか子の女優魂もあっぱれ。実は、裸になったり、派手な濡れ場を演じたりするよりも、よほどこういう演技の方が、女優にとって勇気がいるのではないかと同性ながらに思うのですが、いかがでしょう。とんでもないどんでん返しが待っているわけではありません。でも、心は翻弄され続け、物語に引き込まれ続ける『夢売るふたり』。そこが劇場であることを忘れ、嘘の世界に浸ることのできる137分です。騙されたと思って、ぜひ。(text:June Makiguchi)■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年09月05日森田芳光監督の遺作となった映画『僕達急行 A列車で行こう』のブルーレイとDVDの発売を記念して、森田監督作品をオールナイトで上映する“森田芳光 オールナイトで行こう!”が7日(金)に新宿バルト9で開催されるにあたり、森田監督作の『黒い家』で助監督を務めた西川美和監督のコメントが届いた。その他の写真『ゆれる』『ディア・ドクター』でメガホンを執り、最新作『夢売るふたり』の公開が8日(土)に控えている西川監督は、撮影現場での森田監督について「次から次へと湧き出てくる(森田監督の)突拍子もないアイデアに、現場はいつも理解が追いつかず、謎めいた空気に包まれていました。でも、森田監督はそんな空気に流されず、『何で出来ないんだよ!』と、子どもが駄々をこねるごとく、猪突猛進で、無我夢中なんです」と明かすも、「プロデューサーの三沢さんも当時助監督だった杉山さんも、森田組の人たちは、全員がじいややばあやのように骨身を削って監督のために働いてましたね。アイデアが思い通りに行ったときの森田監督は、これ以上ないほど興奮されていて、その喜びようを見ていると、誰もがたまらないと思うんです。だからみんな、中毒になるんです。これぐらい強烈に愛される人こそが、映画監督たるのだろうな、とそのとき強く私は思いました」と振り返る。また、今回のオールナイトで上映される『の・ようなもの』『ときめきに死す』を「心臓を貫かれるような思い出の作品」と話す西川監督は、「常に新しいことを試みたい、と切望されていた(森田)監督の情熱が、どの作品にもあふれています。遺作となった『僕達急行』に流れているおぼつかなさや温かい童心は、デビュー作の『の・ようなもの』にとてもよく似ている。これで終止符を打つつもりだったのかなあ。いや、そんなことはないはずでしょう。監督に、もう一度戻ってきてもらいたいです」とコメントを寄せている。オールナイト当日は、『の・ようなもの』で主演を務め、森田監督映画の“常連”としても知られる伊藤克信をはじめ、プロデューサーの三沢和子氏、編集の川島章正氏、助監督の杉山泰一氏によるトークショーが予定されているほか、入場者特典として『僕達急行』のプレスシート(非売品)がプレゼントされるという。『僕達急行 A列車で行こう』Blu-ray&DVD発売記念 森田芳光 オールナイトで行こう!上映作品:『僕達急行A列車で行こう』『の・ようなもの』『ときめきに死す』日時:9月7日(金) 22時40分開場/23時開映/翌5時45分終了予定会場:新宿バルト9料金:3000円(前売りは9/6まで)※当日券あり※上映前にトークショーあり
2012年09月04日映画『夢売るふたり』のカップルを招待しての試写会が8月27日(月)に都内で開催され、午前中に行なわれたヒット祈願イベントに引き続き、西川美和監督に松たか子、阿部サダヲ、さらに笑福亭鶴瓶が登壇。事前に観客から寄せられた男女の謎にまつわる質問に答えた。『ゆれる』、『ディア・ドクター』に続く新作で西川監督が描くのは夫婦による結婚詐欺。火事で全てを失った夫婦が次々と女性を騙して金を巻き上げるも、やがて彼らの間には溝が…。生々しい男女の姿を通じて愛や結婚について問いかける。客席は様々な年齢層のカップル、夫婦で埋め尽くされたが、映画のあまりの生々しさに鶴瓶さんは「うちも夫婦で観て、エライことになりました。カップルで観るのは避けた方が…」と心配そう。「観た後に監督がうちの嫁はんに質問してまして、オレは答えを聞きたなかったけど『女ってあんなもんよ』とか聞こえてきた」と苦笑していたが、西川監督は「いい夫婦がこの映画をどう観るのか?実験台になってもらいました」とイタズラっぽい笑顔を浮かべていた。本作を撮るにあたって西川監督は、鶴瓶さんの知人だという結婚詐欺の被害者に話を聞いたそう。鶴瓶さんによると、その結婚詐欺師は「この前、捕まった」とのことだが、西川監督は「被害者の感情は複雑で、単に『許せない』じゃ済まされないものがあった。周りから見たらバカだなと思うかもしれないけど、話を聞いたら『これはお金出すな』と思うような話も多く、それは(劇中の)騙される女性に投影したつもり」と明かす。その上で、夫に結婚詐欺を実行させる妻・里子を演じた松さんを絶賛。「内面を言葉に出さずに腹に抱えて孤軍奮闘する姿をどう描くかが勝負でしたが、松さんの芝居を見ていたら『この人についていけばいい』と思えた」と最大限の賛辞を送る。一方、松さんは阿部さんとの初共演に触れ「素敵な俳優さんでいつかご一緒したいと思ってましたが、夫婦役で出会うとは…。掴みどころがないようで、でもとてもシンプルな方のようにも思えて、一緒に仕事をしていて楽しかったです」と笑顔でふり返った。観客から寄せられた相談に答えるコーナーでは、「7年付き合っている彼が結婚に乗り気ではなく、実家への挨拶にも行ってくれない」という悩みに、鶴瓶さんが「行ったれや!」とガツンと一撃。「結婚はいいですよ」と言いつつ「でも男は文句言うときは隠して言うように!絶対にケンカしたらアカン!」と熱弁をふるっていた。また21歳の学生の「どうやって好きな女性にアプローチしたらよいか?」という相談には、「絶対大丈夫。誘えば来ますよ」とかなり楽観的なアドバイス。さらに「ずっと自分で温めてきた一発ギャグとかしてみたら?」という無責任な後押しで会場の笑いを誘ったが、松さんは「相手が引くかもしれないってくらいのことを全部試して、それでも大丈夫そうな人と付き合うといいんじゃないでしょうか?」と現実的な助言を送っていた。最後にこれから映画を観る観客に向け、松さんは「どの部分がみなさんの心に響くのか私たちも分かりません。この2人が幸せなのかどうか?最後まで見守ってください」と挨拶。阿部さんも「2人で観られて、その後にいっぱい話し合ってもらえたら」と呼びかけた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月28日『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作『夢売るふたり』のヒット祈願イベントが神田明神(東京・神田)で行われ、西川監督を始め、劇中で夫婦を演じた松たか子&阿部サダヲに田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江らが出席した。夫婦による結婚詐欺を描いた本作。妻が計画し夫が実行に移して女性から金を巻き上げていく姿を通じて愛や結婚、女性の本性を描き出していく。この日、キャスト陣は西川監督が事前に伝えたという劇中でのイメージカラーにちなんだ浴衣姿で登場。ただひとり男性の阿部さんは「みなさん、美しいのでじっくり見たい。神聖な場所でいやらしいことを考えてしまいました」と満面の笑み。「土日は休むとして、月曜日は…って感じで、(日替わりで)愛人を連れて歩いたらカッコいいですね」とよからぬ妄想まで口にしていた。これまでの人生における良縁を尋ねられると松さん、阿部さん、そして昨秋、結婚したばかりの鈴木さんは夫および妻との縁を挙げた。田中さんは「私も『夫』と言ってみたい」とうらやましそうに語りつつ、本作で共演している笑福亭鶴瓶について「短い期間で共演したり、近所で会ってお茶させていただいたりと縁がある気がしています」と微笑んだ。木村さんは、西川監督が助監督だった十数年前からの付き合いだそうで「監督はまだ大学生で『お互い頑張っていきましょう』って話してました。こうしてまたご一緒できて、良い縁を感じています」と運命を明かす。西川監督も「まだカチンコを叩いていた時期ですね。ギュウギュウのロケバスで隣に座って一緒に話してました」と懐かしそうに語った。松さんは改めて“夫”阿部さんの魅力を尋ねられると、「得意なところで売ってないところが『やるなぁ』って思います」と語る。これに阿部さんは「この着物、買い取りになるんじゃないかってくらい汗かいてます」と本気で照れていた。またこれまでの人生でつかれた最大の嘘は?という問いに女性陣はしばし思案。松さんは「思い当たらないんですが、気づいてないのかも。夫には嘘はつかれたことはないと思います」と苦笑交じりに語っていた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月27日阿部サダヲ×松たか子が結婚詐欺で女性から金を巻き上げる夫婦役を演じることで話題の映画『夢売るふたり』。本作の学生限定試写会が8月23日(木)に青山学院アスタジオで行われ、メガホンを握った西川美和監督が学生たちとの座談会に出席した。2人で営んでいた小料理屋を火事で失った夫婦が、店の再建のために心に隙間を抱えた女性をターゲットに結婚詐欺を実行。愛とは何か?夫婦とは何かを刺激とユーモアたっぷりに描き出す。青山学院の学生を中心に、会場にはおよそ150名の学生が来場。西川監督は「結婚適齢期を過ぎた女性を中心に描いた作品なので、まだそこに至っていない若いみなさんがどう観たのか?楽しみです」と語る。映画を鑑賞したばかりの学生からは様々な感想が寄せられたが、“女の強さ”という点について監督は「妻の強さ、母の強さというのは私も母を見ながら感じていました。女はひとりでいるよりも家を持った方がこれまでにない強さを持つのかもしれません」と分析。一方で“男の単純さ”という声が学生から挙がると「私は決して男は単純だと思いません。男の人も単純だと言われて否定しない側面がありますよね。男と女で“単純さ”について認識のズレがあるのかな?興味深いところですね」と語るなど、学生の意見に触発された様子だった。話題が「浮気」「好きな男性に騙されたとき許せるか?」といったテーマになると俄然、話し合いは活発に。自らの浮気経験を告白する男子学生、「騙されているとしても好きな人との時間はほかに代えがたいもの」と語る女子学生など生々しい声が続出。監督は学生の声に耳を傾け、熱心にメモを取っていた。若い学生に比べ、大人の立場になると浮気を許せるようになるものか?という問いには監督は「そんなことないですよ。人間の根っこは年取っても変わらない。50歳の人でも恋する瞬間は14歳の顔するって言います」と否定しつつ「ただ、年を取ると守らないといけないものが変わってきて感情に流されまいとするようになるかもしれません」とも語った。また、質疑応答の時間には、西川監督は若い世代がシネコンで上映される大作以外の独立系の作品、ミニシアターの映画を観に行かなくなったと言われている現状に触れ「情報をみなさんに与えられていない部分もある」と自省しつつ「大学生のみなさんが分かりやすいものしか見ないのは寂しい。学生時代は何をやってもいい期間。分かりにくいものを柔軟に頭に叩き込んでほしい。解釈する力や幅が広がるので、どんどん映画館に行ってほしい」と呼びかけた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年08月23日第24回山本周五郎賞を受賞した窪美澄の同名小説を原作に、「性」と「生」を真摯に描いたタナダユキ監督の4年ぶりの長編最新作『ふがいない僕は空を見た』がこのほど、9月6日(現地時間)より開幕する第37回トロント国際映画祭「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門に正式出品されることが決定した。心に闇を抱え、情事に耽るようになる高校生の卓巳とアニメ好きの主婦・あんずを中心に、彼らを取り巻く人々の苦悩と葛藤、そして再生をたどる物語。揺れ動く思春期を過ごす卓巳を永山絢斗(『ハードロマンチッカー』)、家庭に居場所のないあんずを田畑智子(『血と骨』)が等身大に演じる。国内では性描写の話題が先行し、過激とも捉えられる本作だが、その骨太な作風が同映画祭のプログラマーの目に留まり、今回正式出品される運びとなった。トロント映画祭で審査員となるのは観客。観客賞が最高賞となり、受賞すれば日本映画としては北野武監督作『座頭市』以来、史上2度目の快挙となる。本年度は、本作以外にも西川美和監督作『夢売るふたり』や大ヒット作『テルマエ・ロマエ』の上映もあり、日本映画勢の活躍が期待されるが、果たして本作はどのように受け止められるのか?国内でR−18指定を受けた作品としては一昨年の園子温監督作『冷たい熱帯魚』に続く出品となり、物議を醸すこと必至!前作『百万円と苦虫女』のモントリオール世界映画祭出品に続き、3度目の海外映画祭への出品を果たすタナダ監督は、「良い反応もそうでない反応も全てしっかりと受け止め、大いに刺激を受けてきたいと思います」と決意の一言。さらに、W主演を務める2人からも「僕が田畑さんと一緒に主演を務めた作品が、海外の映画祭で上映されると聞き、外国のみなさんがどう作品を受け止めてくれるか、不安で緊張しますが、何よりも反応が楽しみです。作品に込められた、日本人らしい繊細さを感じながら、楽しんでもらえたら嬉しいです」(永山さん)、「より多くの方の目に触れ、そして心に刻まれ、脳裏に残る、深く儚い愛と命と絆の作品だと思います。今日を、大事に生き明日からの糧に生きるということ、愛し愛されるということ、たくさんの人に見て感じてもらえれば幸せです」(田畑さん)と期待のこもるコメントが寄せられた。世界の舞台で初お披露目となる9月9日の上映には、タナダ監督も登壇し、舞台挨拶及びティーチインを行う予定。第37回トロント国際映画祭は9月6日(現地時間)より開幕。『ふがいない僕は空を見た』は11月17日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。■関連作品:ふがいない僕は空を見た 2012年11月17日よりテアトル新宿ほか全国にて公開© 2012「ふがいない僕は空を見た」製作委員会第37回トロント国際映画祭 [映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催
2012年08月14日松たか子と阿部サダヲが初めて夫婦役で共演していることで話題の『夢売るふたり』が、このほど第37回トロント国際映画祭に正式出品されることが決定!前2作に続いて3度目の世界への挑戦となる西川美和監督から喜びのコメントが到着した。営んでいた小料理屋を火災で失った夫婦が、再出発の手段として選んだ稼ぎ口は、結婚詐欺。真っ当ではないと知りつつも、金のためにうそを重ねるが、やがて夫婦、騙した女たちとの間にひずみが生まれる…。『蛇イチゴ』や『ゆれる』、『ディア・ドクター』など、女性ならではの鋭い視点と繊細な描写が高い支持を集める、西川監督の待望の最新作。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭に次ぐ規模とアカデミー賞を占う重要な映画祭として、毎年数多くの映画ファンが参加するトロント国際映画祭。昨年は日本から『ヒミズ』や『CUT』などが出品され喝采を浴びた。今回、『夢売るふたり』が出品されるのは「スペシャル・プレゼンテーション」という本映画祭の目玉となる部門。近年では2010年に公開された『ノルウェイの森』が同部門にて上映されたが、日本映画が出品されるのは極めて稀とのこと。映画祭プログラミング・ディレクターも「とにかくこの映画が好きなので、ワールドプレミアとして招待することができて嬉しい!」と喜びの声を上げている。この吉報に西川監督は「トロントは師匠の是枝(裕和)監督も常連で、とてもいい映画祭だと聞いていましたから、ずっとこの機を待っていました。たくさんの外国映画に憧れて育ったので、こういう機会をいただけることは自分も作品で世界にお返しができるような気がして何より嬉しいです」と、是枝チルドレンらしい映画愛にあふれたコメントを寄せている。さらに、「東京に生きる夫婦と女たちの話を、海外の人がどのように受け止めるのか、理解されるのか、されないのか、とても知りたい。苦労を重ねてくれたスタッフの仕事、キャストの仕事を世界に紹介できることも嬉しい」と喜びと期待に胸膨らませる。尚、西川美和監督も映画祭に参加する予定。西川監督にとって、第59回カンヌ国際映画祭での『ゆれる』、第33回モントリオール世界映画祭での『ディア・ドクター』に続いて3度目となる世界への挑戦。3度目の正直で初の受賞に期待したい。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:第37回トロント国際映画祭[映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年07月25日主演の阿部寛を始め、日本の“濃い顔”を代表するキャスト陣が集結したことで話題を集め、現在もロングランヒットを記録しているる映画『テルマエ・ロマエ』が、トロント国際映画祭にてオープニング上映されることが決定!9月6日(現地時間)より開催される本映画祭のレッドカーペットに阿部さんと共演の上戸彩が揃って参加することが急遽決定した。発行部数が800万部を超えるヤマザキマリの人気コミックを実写化した本作。阿部さん扮する古代ローマの浴場設計技師・ルシウスが現代の日本へとタイムスリップし、日本の風呂文化の利点をローマのために取り入れていく姿を笑いを交えて描き出す。トロント国際映画祭でのオープニング上映作品に選ばれるのは、日本映画では『崖の上のポニョ』(’09)以来2作目、実写映画としては初めての快挙!公開時には本場イタリアでも上映され喝采を浴びていた本作だが、イタリアのウディネ映画祭での評判やカンヌ国際映画祭のフィルムマーケットでの口コミを聞きつけた映画祭サイドが「ぜひ観たい」と打診。作品を鑑賞した選考委員の強力プッシュにより今回の正式招待が決定したようだ。オープニングでの上映決定、さらにレッドカーペットへの緊急参戦に主演の2人も興奮を隠せない様子。「この映画が日本だけでなく舞台になったイタリアを始め、世界中から上映オファーがあると聞いて嬉しく思っていました。そして、このたびトロント国際映画祭のオープニング作品に選ばれたと知り、誇らしく思うと共に夢のような気持ちです。この映画はどこまで育っていくのかと、日々驚いています」(阿部さん)。「驚きと共に光栄な気持ちでいっぱいです。この映画が世界中で話題になることで、日本がより元気になることを願っています。そのために、阿部さんと一緒にオープニング上映でこの映画を世界に向けてアピールしてきます!」(上戸さん)。コンペティションはなく、観客の投票による「ピープルズ・チョイス・アワード」のみが賞として設けられている本映画祭。どれだけ名の知れた巨匠でさえ、映画ファンが「面白くない」と感じれば受賞はないというほかの映画祭とは違った厳しさと信憑性があるが、これまでに日本映画では北野武監督作『座頭市』(’03)のみがこの栄誉を手にしている。日本発祥でありながら異国色も漂わせる異色作『テルマエ・ロマエ』がトロントの観客たちにどう受け止められるのか、反応が気になるところ。同映画祭では、西川美和監督作『夢売るふたり』も上映されることが決定しており、日本映画が世界を賑わせることに期待したい。トロント国際映画祭は9月6日から9月16日(現地時間)までカナダ・トロントにて開催。■関連作品:第37回トロント国際映画祭[映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催テルマエ・ロマエ 2012年4月28日より全国東宝系にて公開© 2012「テルマエ・ロマエ」製作委員会
2012年07月25日『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作『夢売るふたり』の完成披露試写会が行われ、西川監督と主演の松たか子、阿部サダヲが登壇しての舞台挨拶が行われた。その他の写真本作は、営んでいた小料理屋が火事で全焼し、再出発のための資金集めをすべく結婚詐欺に手を染めていく夫婦の物語。これまでの作品でも一貫して人間同士の密な関係性を描いてきた西川監督は、本作を作るにあたり、「女性のみっともないところを描きたかった」と語る。「女の人の生活はどんどん多様になっていて、悩みも複雑。30代になってくるといろんな思いを抱き、あがきながら人生を歩んでいくしかない。そういう大人の女性の生きづらさ、都会の片隅でひっそり自分の生きる道を模索しているような女性を描いてみたいと思いました」。実は、松と阿部は今回が初共演。現場での様子について監督は、「阿部さんはどの女の人と一緒にいても楽しそうだった(笑)」と証言。一方松については「完全なサラブレッドなのに、そういう女優さんには珍しく雰囲気がフツーっぽかった」と語る。それを立証するかのように阿部が「松さん、おソバ好きですよね」と一言。実は現場では何人もの男性スタッフが、松と一緒におソバを食べたことを自慢していたのだとか。さらには「食べるのも早いし、着替えもすごく早い。歌舞伎かって思うくらい(笑)」と、意外な一面が次々に明かされ、松がタジタジになる場面も。しかしそんな松も、「昼夜逆転のスケジュールでしたが、楽しく幸せな時間でした」と撮影中を振り返るなど、シリアスな物語とは打って変わって、現場は和やかな雰囲気だったようだ。「全員が全力で役に向き合ってくれたおかげで、血の通った作品になった」と、手ごたえのほどを感じさせる西川監督のコメントには、役者たちもそれぞれ感慨深げに。阿部は「今までやったことのない役で、出したことのない表情が出せた。観終わった後の感想がそれぞれ違うんじゃないかな。3~4日くらい話せると思うので、たくさん話し合ってください」と映画をアピール。松も「いろんな見方が出来る作品。どうか寛容な気持ちで楽しんでほしい」とコメントし、舞台挨拶を締めくくった。『夢売るふたり』9月8日(土)より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
2012年06月29日結婚詐欺に手を染める夫婦の愛憎を描いた話題作『夢売るふたり』の完成披露試写会が6月28日(木)、東京・千代田区の日経ホールで行われ、初共演で夫婦役に挑んだ松たか子と阿部サダヲ、メガホンをとった西川美和監督が舞台挨拶に登壇した。営んでいた小料理屋を火災で失った夫婦(松さん&阿部さん)が、再出発の手段として選んだのは結婚詐欺!真っ当ではないと知りつつも、金のために嘘をつき続けるが、やがて夫婦の間、騙した女たちとの間にさざ波が立ち始め、歯車が狂っていく…。松さん、阿部さんを始め、田中麗奈、鈴木砂羽、伊勢谷友介、香川照之に笑福亭鶴瓶と個性派キャストが集結した。松さんは「とても楽しかった。阿部さんはもともと好きな俳優さんだったので、私の目に狂いはなかったなと(笑)」と今回の初共演に手応え十分。一方の阿部さんは、「完璧で欠点がない女優さんというイメージ。監督さんが『OK』って言えば、『そうでしょ』って感じの(笑)。でも実際にお会いしたら、とても普通な方で…」と印象をコメント。さらにステージ登場時に松さんがつまずいたと明かし、「普通より下かも」と茶化して笑いを誘っていた。西川監督は「物語がグロテスクなので、松さんの“品”が必要だった」、「阿部さんとはずっとお仕事したくって、何かチャンスがあればと狙っていた」と2人を起用した理由を説明し、「おふたりの化学反応に期待したし、実際言うことのない完ぺきな演技だった」と大満足。さらに劇中で次々と美女を手玉に取る阿部さんの様子を「どの女性と一緒にしても楽しそうでしたよ」と暴露し、阿部さんは照れくさそうな表情だ。これまで男性を主人公に据え、さらに“騙す”という一貫したテーマで長編映画を撮り続けている西川監督。今回は初めての“女性目線”映画となり「描きたかったのは、女性のみっともなさや生きづらさ。女性の人生が多様になった時代、30歳を超えると悩みも複雑になるもの。あがきながら、生きる道を模索する女性の姿を見てほしい」と自信を込めて最新作をアピールしていた。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年06月28日松たか子、阿部サダヲを夫婦役として迎えた最新監督作『夢売るふたり』の公開を9月に控える西川美和監督が初めて挑むスポーツ・ドキュメンタリーが、6月10日(日)、NHK−BS1にて放送されることが決定した。自ら手掛けた原案と脚本をもって、結婚詐欺を仕掛ける夫婦と、騙される女たちの愛の物語を描いた西川監督。阿部サダヲ演じる男による詐欺に遭う数々の女性の中でも異彩を放つのが、江原由夏扮する女子ウェイトリフティングの選手である。同役を描くにあたり、2年前にウェイトリフティング選手の取材で金沢学院大学に訪れた西川監督は、一途に競技に取り組む選手たちと絶妙な駆け引きの織りなす力比べの虜となり、今回、企画・構成そして聞き手として、初めてのスポーツ・ドキュメンタリーに挑むこととなった。ナレーションは連続テレビ小説「カーネーション」で脚光を浴びた尾野真千子が担当する。今回この設定を考えた理由について、「私は身体の大きな女性アスリートががむしゃらに健闘する様子が、好きなのです。柔道は花形だけれど、もっとひっそりと黙々と生きている勝負師。『どうしてそれを選んだんです?』と不思議がられるような世界で汗をかく女の人を探して、出会ったのがウェイトリフティングという競技でした」と語る西川監督。ロンドン五輪を前に、日本映画界の女性監督として新たな領域に挑み続ける彼女が見た、女子ウェイトリフティングの世界とは?女性ならではの視点で描く、女性の強さに注目したい。「重力に逆らってまで~映画監督・西川美和が見た女子ウェイトリフティング~」はNHK−BS1にて6月10日(日)21:00~放送。『夢売るふたり』は9月8日(土)より全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年06月09日松たか子と阿部サダヲが主演し、『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和が監督を務める『夢売るふたり』の予告編がこのほど公開になり、騙し騙される男女の緊迫した関係をとらえた本作の一部が明らかになった。『夢売るふたり』予告動画本作の主人公は、東京の片隅で小料理屋を営んでいた夫婦。穏やかに暮らしていたふたりは店の火災ですべてを失い、人生の再出発のために、夫婦で“結婚詐欺”をはたらくことに。このほど公開された予告編も、仲睦まじい主人公夫婦の姿を捉えた場面で幕を開けるも映像は一転、ダークなトーンで借金を抱えて途方にくれるふたりを映し出す。その後の映像に登場するのは、夫婦の周到な計画によって、心を奪われ、金も奪われてしまう女たち。結婚できない独身の会社員を田中麗奈が、不倫で大金を手にした女性を鈴木砂羽が、家計を支えるシングルマザーを木村多江が演じており、その他に伊勢谷友介、香川照之、笑福亭鶴瓶らが出演する。予告編は、夫婦が結婚詐欺を働き、次々と金を巻き上げていく過程を描いた後に、相手を騙しても騙しても精神的にも金銭的にも満たされることのない夫婦の心象を描く。金を得たことで夫婦は何を売り渡してしまったのか? 騙された者たちは泣き寝入りするだけなのか? 『ゆれる』で緊迫した家族関係を描き高い評価を得た西川監督の新作だけに、本作がどんなカタチで“男と女の真実”を描き出すのか気になるところだ。『夢売るふたり』9月8日(土)全国ロードショー
2012年06月06日『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督が、主演に松たか子と阿部サダヲを迎えて贈る最新作『夢売るふたり』が9月8日(土)より公開されることが決定。これに合わせて本作のポスタービジュアルも完成し、このほど初披露となった。『蛇イチゴ』や『ゆれる』、『ディア・ドクター』など、人間の深層心理を突く鋭い視点と女性ならではの繊細な描写で映画ファンを魅了する、西川美和監督の新境地となる本作。人々が日々すれ違いながら生きる都会・東京の片隅で、松さんと阿部さん扮する一組の夫婦が始めるある計らいを通して、愛とは何か?を問いかける。その計らいとは、なんと夫婦共同作業による“結婚詐欺”!火事で営んでいた小料理屋を失い、生きる糧を失ってしまった2人は再出発への資金を貯めるべく、妻が計画し、夫が女を騙すという、何とも信じがたい行動に出る。妻の指令のもと、次々と女性たちを騙していく夫。だが、嘘の繰り返しはやがて、夫婦の間にさざ波を立て始め…。今回完成したポスターでは、深い夜景をバックに、松さんと阿部さんの複雑な感情のこもった顔が大きく映し出されているが、夢を閉ざされた絶望感が阿部さんの表情から感じられる一方で、松さんのまっすぐに見据える視線には、それとは異なる“狙い”を感じさせるものがある。そして2人の前に踊るのは、「人間最大の謎は、男と女」というキャッチコピー。果たして2人が巻き起こす「騙し」のドラマの終着点には何が待ち受けているのか…?先の読めないミステリーの雰囲気をこのポスターからも感じ取ることができる。さらに、既に発表されていた2人、そして“騙される”女役の田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江、安藤玉恵、江原由夏に続き、ほかの豪華キャストも発表!伊勢谷友介、やべきょうすけ、大堀こういち、倉科カナ、古舘寛治、小林勝也に加え、『ゆれる』での演技が印象的な香川照之、『ディア・ドクター』主演の笑福亭鶴瓶など、西川監督作おなじみの顔ぶれが意外なシーンで出演しているので、こちらも要チェック!『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会■関連記事:阿部サダヲ「凄い結末に…」『夢売るふたり』“騙される女”はこの5人!『夢売るふたり』松たか子&阿部サダヲが“夫婦”そろって無事クランクアップ!『ゆれる』の西川美和最新作で松たか子と阿部サダヲが結婚詐欺師の夫婦に!
2012年04月27日『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作で、松たか子と阿部サダヲが夫婦役で初競演を果たした『夢売るふたり』の新たな豪華キャスト陣が発表!主人公夫婦に“騙される”女として、田中麗奈、木村多江、鈴木砂羽らが出演することが明らかとなった。人間の心の機微を鋭く描く西川監督が自らの原案を基に脚本も手がけた本作。東京の片隅で小料理屋を営むも火事で全てを失ってしまった夫婦の里子(松さん)と貫也(阿部さん)が、再出発の資金調達のために結婚詐欺を企てていく姿を描く。今回、新キャストとして発表されたのは田中麗奈、木村多江、鈴木砂羽、安藤玉恵、江原由夏と、全く異なるタイプの女優陣。結婚できないアラサーOLに不倫生活に終止符を打った40代女性、ソープ嬢にウエイトリフティング選手と、性格も環境も全く異なる彼女たちだが、松さんと阿部さん扮する夫婦による巧みな結婚詐欺により、まんまと騙されてしまう。男運に恵まれず親と同居中の冴えない独身アラサーOL・棚橋咲月を演じた田中さんは、「西川監督の作品に出演できる喜びと恐怖でいっぱいでした」とコメント。阿部さんとは初共演となったが、「個性的な役柄が印象深い役者さんなのでご本人もそんな方なのかなと思ったら、雰囲気が柔らかい方でびっくりしました。スタッフや共演者のみなさんにも優しくて…ただ、作品の中では見事に騙されてしまいましたけど」とそのギャップに“騙された”よう?一方、騙す側に徹した阿部さんは「5人の女性たちを騙す役をやらせていただきましたが、本当にみなさんビックリするほどリアルで、“騙そう”とする芝居は必要ありませんでした。木村多江さんのハローワークの職員とか、江原由夏さんのウエイトリフティングの選手とか、本物です。田中麗奈さんとは東京のいろんなところをデートさせてもらいましたけど、凄い結末に…」と“本物”の女優陣との撮影を満喫しつつも圧倒された様子。この5人の“騙された”女たちが迎える結末とは?『夢売るふたり』は今秋、全国にて公開。■関連作品:夢売るふたり 2012年秋、全国にて公開■関連記事:『夢売るふたり』松たか子&阿部サダヲが“夫婦”そろって無事クランクアップ!『ゆれる』の西川美和最新作で松たか子と阿部サダヲが結婚詐欺師の夫婦に!
2012年03月22日『ゆれる』『ディア・ドクター』の西川美和監督最新作、松たか子&阿部サダヲ初共演で今秋全国ロードショーとなる映画『夢売るふたり』。松と阿部が演じる夫婦、里子と貫也は東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、火事ですべてを失ってしまう。夢を諦めきれないふたりは、金が必要。彼らは再出発のため、結婚詐欺を始める、というストーリー。西川美和が、自らの原案を基にオリジナル脚本を執筆し、誰も観たことがない男と女たちの愛の物語を描く。騙される女①田中麗奈:結婚できないOL 棚橋咲月(31)役<田中麗奈 コメント>西川監督の作品に出演出来る喜びと恐怖でいっぱいでした。以前からご一緒したかったので、お話を頂いた時はとても嬉かった半面、参加する事に色んな意味で重みを感じました。西川監督とのお仕事は、初めてでした。身体が小柄なのに勇ましく現場を引っ張ってく姿は誰よりも男らしかったです。言葉の数や種類が豊富な方。今ままでどんなことを感じ、どんな経験をしてこんな凄い脚本、作品を作るんだろうと思いました。阿部さんとは初共演で、個性的な役柄が印象深い役者さんなので、ご本人もそんな方なのかなと思ったら、雰囲気が柔らかい方でびっくりしました。スタッフや、共演者の皆さんにも優しくて、、、ただ、作品の中では見事に騙されてしまいましたけど。私が演じた咲月という役は阿部さんに騙される女性の一人で、仕事では伸び悩み恋愛に対しては不器用タイプ。監督からアドバイスを頂きながら、役を作っていったという感じで、撮影が終了するまで私は監督の思いに応えられているかと思っていましたし、今でも思い返す時もあります。この作品を通して役者として大変貴重な経験ができたと思います。最後に「夢売るふたり」というタイトルには良い意味で裏切られました。騙される女②鈴木砂羽:不倫を終わらせたOL 睦島玲子(42)役<鈴木砂羽 コメント>待望の西川監督作品での出演。細やかな演出に勉強になり、大変痺れました。そして西川監督のいい女ぶりにも痺れました。本当に監督の作品に出演させて頂き、光栄で嬉しく思いました。騙される女③木村多江:女手一つで家庭を養う職業安定所職員 木下滝子(38)役<木村多江 コメント>西川監督とお互い二十代で出会い、又ご一緒したいという思いが現実になりました。面白い台本、素晴らしいキャスティング!その中で生きる難しさと幸せをかみしめた日々でした。役者をしていてよかった!騙す男 阿部サダヲ:妻・里子と結婚詐欺をはたらく夫 市澤貫也(40)役<阿部サダヲ コメント>自分が5人の女性達を騙す役をやらせて頂きましたが、本当に皆さんビックリする程リアルで「騙そう」とする芝居は必要ありませんでした。木村多江さんのハローワークの職員とか、江原由夏さんのウエイトリフティングの選手とか、本物です。本業の方からスカウトされる人もいる位(笑)。田中麗奈さんとは東京の色んな所をデートさせてもらいましたけど凄い結末に……それぞれの女性との結末は是非劇場の方でご覧下さい!作品情報『夢売るふたり』原案・脚本・監督:西川美和出演:松たか子 阿部サダヲ田中麗奈 鈴木砂羽 安藤玉恵 江原由夏 / 木村多江配給アスミック・エース(c)2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年03月22日吉田美和、彼の母親は団塊の世代には懐かしい女性「DREAMS COME TRUE」の吉田美和(46)が19歳年下のロックバンド「FUZZY CONTROL」のJUNONこと鎌田樹音(27)との結婚を3月8日にしていたことを発表した。吉田の心を射止めた鎌田は、父親はギタリストで沖縄県出身のミュージシャンの前田達也の甥でもある。さらに、団塊の世代には大変懐かしい歌「私はないています」(1974年)で知られる歌手りりィを母親に持つ。吉田は前夫と死別吉田にとって再婚となるが、吉田と前夫である映像ディレクター、末田健氏とは不倫の末の略奪愛の噂の中結ばれた。しかし末田氏は33歳の若さで胚細胞腫瘍により他界、その際の吉田の落ち込みは激しかったという。二人のコメント吉田のブログには愛するベィビーズのみなみなさま。ニューヨークはあちこちで水仙や木蓮が咲いています。元気ですか?今日はこの場を借りてみんなに報告があります。あのね、ファジーコントロールの樹音くんと3月8日に入籍しました。ふたりで開けるこのドアがどこに通じているかはわからないけれど共に愛する音楽をますます大切にしながら家族や友達、まささん、そしてもちろんみんなから貰った勇気と愛をしっかりたっぷり抱えて一歩踏み出してみます。でも自分のことながら、縁って、ホンット、つくづく不思議なものだよね・・・。20122012年3月21日午後になって急に温度が上がっていきなりみんな半袖になってるnyから吉田美和でした。そして鎌田も「FUZZY CONTROL」の公式サイトで全身全霊を賭けて彼女を守り幸せにします。見ていて下さい。お願いしますと吉田への愛を誓っている。元の記事を読む
2012年03月21日菜々緒、西川貴教との結婚は良い方向にもって行きたい8日、都内でモデルの菜々緒が、雑誌「GINGER」と、オーストラリア政府観光局とがコラボしたトークイベント「オーストラリアで美女になろう!」に出席。T.M.Revolutionの西川貴教と同棲中の菜々緒は、集まった芸能レポーターからの西川との恋愛に対する質問に明るく答えている様子がユーチューブにアップされた。菜々緒の返答記者の「充分美しい菜々緒さんだが恋をすると益々綺麗になりますね」の言葉に、菜々緒「嬉しいです」と答え、オーストラリアの観光スポット「ハートリーフ」についても、「好きな人と行きたい。海外旅行も全然行けてないので、(自宅へ帰ってから)『いつか行こうね』という会話はしたい」と話す。また、記者から電撃入籍の可能性を聞かれ、「電撃入籍は無いが、将来的には良い方向へ行きたい。出来ちゃった結婚は、しないようにしたい。」と、結婚への気持ちを語った。終始笑顔で記者の質問に答えた菜々緒の心の中には、西川との新たな出発への気持ちが固まっているように見えた。菜々緒公式ブログ元の記事を読む
2012年03月12日映画『ヤング≒アダルト』の特別試写会が2月21日(火)に都内で開催され、上映前のトークイベントに医師でタレントの西川史子が登場した。『JUNO/ジュノ』の監督(ジェイソン・ライトマン)と脚本家(ディアブロ・コディ)コンビによる本作。37歳にして大人になりきれない主人公・メイビス(シャーリーズ・セロン)が青春の輝きを取り戻そうと舞い戻った故郷の街で起こす騒動を描き出す。メイビスが劇中、キティのTシャツを着用することから、キティちゃんがイメージキャラクターを務める「子宮頸がん予防開発プロジェクト~Hello Smile」の協力を得て、今回のイベントが実現した。メイビスの痛々しい様子が西川さんと重なるのでは?という指摘に西川さんは「かぶってはないですよ!」と否定しつつも「自分を見ているかのように思えるところもありました」と苦笑交じり。この日は、“ヤング≒アダルト度”をチェックすべく用意された質問に○×で応じたが、「いまも昔の輝きを忘れられない?」という問いに「×」を掲げながらも「そう言い切れないかもしれない。同窓会に行ったら、同級生が『もう、1枚1枚丁寧に脱がしてもらえる時期は終わってる』と言ってました」と生々しい例を挙げて嘆息していた。犬だけが唯一の理解者であるメイビスにちなんだ「ペットだけが自分を理解してくれる?」という設問には「ペットは飼ってないので」とこちらも「×」。だが「ペットと言えば主人ですかね。何でも分かってもらおうとしても、女心は分かってもらえない。でも(夫は)犬だと思えば気にならない」と語り笑いを誘った。思わず司会者から漏れた「幸せですか?」という言葉に「いえ、そんなには」と即答。「これくらいがちょうどいいです」とあきらめたような表情を見せていた。イベント後の取材で報道陣に早速その点を突かれると「誰とは言いませんが、『パンを焼きました』とブログに上げるような“幸せな家庭”は嫌です。あれを書いてる人の食卓に、実はダンナさんはいなかったりするんじゃないかと思います」と毒舌まじりに持論を展開。結婚して2年になるが「子供は?」という問いに「欲しいですね。こうなると子供がいないと持ちませんからね」と語った。報道陣からはTVで共演経験のある休養中の「オセロ」中島知子に関する質問も。「同い年なので難しい年頃なんですかね…」としみじみ。「医者の力だけで治るものではないし、信頼できる家族の方などの協力が必要だと思います」と語っていた。『ヤング≒アダルト』は2月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。■関連作品:ヤング≒アダルト 2012年2月25日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.■関連記事:女の幸せは尽きないし、だからイタクも面白い?『ヤング≒アダルト』に集まる共感の声『アーティスト』の名犬・アギー、“犬”版アカデミー賞で最優秀賞受賞!“こじらせ女子”を反面教師にすべし?『ヤング≒アダルト』に見る、女性の本音『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』のテイラー監督、WGAWポール・セルヴィン賞受賞人間以上にバトル過熱化?巨匠&名優が擁立する、アカデミー賞級の“犬”たち
2012年02月21日『蛇いちご』、『ゆれる』など独自の視点から“生々しさ”をはらんだ人々の絆を描いてきた女流監督・西川美和が、松たか子と阿部サダヲを主演に迎えて贈る『夢売るふたり』が約1か月半にわたる撮影を終え、10月2日(日)にクランクアップを迎えた。東京の片隅で小料理屋を営んでいたある日、火災で全てを失ってしまった一組の夫婦が“自分たちの店”という夢を諦めきれず、再出発の手段として“結婚詐欺”をはたらく姿を描いた優しくも切ない夫婦の愛の物語。8月下旬から埼玉県のスキップシティでクランクインし、都内近郊でのロケを中心に、日差しの厳しい猛暑の真夏から風を冷たく感じる初秋へと季節が変わるまで、長期間の撮影を敢行してきた本作。茨城県常総市で遂に迎えたラストシーンは、日没後うっすらと肌寒さを感じる夕方頃に撮影が開始され、見事“1発OK”で夫・市澤貫也役の阿部さんの撮影が終了した。そして翌3日(月)の冷たい風が吹き抜ける深夜、ロケ地を東京・門前仲町に移し、今度は妻・里子役の松さんが何度も橋を全力疾走する最後のシーンが撮影され、“夫婦”共に無事クランクアップを迎えた。撮影を終えたばかりの松さんは「約1か月半走り続けて、まさかこの日が来るとは!という心境です。ほっとしたような、寂しいような気持ちでもあります。阿部さんとは、映画で、しかも夫婦役でご一緒できるなんてとても光栄なことでした。西川監督との現場もとても面白くて、私たちが演じる夫婦を形作っていただきました。おふたりとも、サイコーです。夫婦は、いちばん近くにいて、そして一生血のつながらない、不思議で、それでいて面白い関係だと思います。どんな映画になるのか、私自身も完成が楽しみです」と、早くも映画の完成が待ち遠しいといった様子。一方、阿部さんは「長い期間、本当にありがとうございました。燃やしていただいたりだとか、水をかけていただいたりだとか、色々やらせていただいて、すごく嬉しかったです。すごく楽しくお芝居をさせていただきました。本当にありがとうございました」と、厳しい(?)撮影の日々をちらつかせる。阿部さんのコメントを聞く限りでは、どうやら撮影は大変なことになっていたようだが、西川テイストの“夫婦”たちが果たしてどんな結末を迎えるのか、楽しみに完成を待ちたい。『夢売るふたり』は2012年秋、全国にて公開予定。■関連作品:夢売るふたり 2012年秋、全国にて公開■関連記事:『ゆれる』の西川美和最新作で松たか子と阿部サダヲが結婚詐欺師の夫婦に!
2011年10月05日西川貴教主演のロックミュージカル『ロック・オブ・エイジズ』の製作発表が9月30日、都内で行われ、西川のほか共演の島谷ひとみ、川平慈英、山崎裕太、高橋由美子、misonoが登壇した。『ロック・オブ・エイジズ』チケット情報ジャーニー、ボン・ジョヴィ、スティクス、REOスピードワゴンなど、1980年代を彩ったロック・ナンバーで構成された本作は、2006年ロサンゼルスで初演後、2009年にはブロードウェイ進出、その年のトニー賞作品賞を含む5部門にノミネートされた。現在もブロードウェイ上演中で、今回本邦初演となる。物語の舞台は1987年のロサンゼルス。ロック・シンガーを夢見る青年・ドリュー(西川)と女優志望の少女・シェリー(島谷)の恋の行方と、街の都市計画の話を絡めて描く。来年にはトム・クルーズ、メアリー・J.ブライジらの出演で映画化も予定されている。製作発表は作品の色に合わせてか、ハイテンションな雰囲気に。狂言回し・ロニー役の川平が「物語はマンガみたいな話なんですが、(ミュージカルナンバーの)1曲1曲がメガトンパンチみたいに『クーッ!!』と(ツボに)入ります」と独特の言い回しで作品を説明すると、misonoは作品の一押しナンバーを訊かれて「タイトルが(英語なので)覚えられない」とトボけ、仲の良い西川や山崎から一斉にツッコミを受ける場面も。西川は川平に煽られ、自身が出演する人気CM『消臭力』のフレーズを披露する一幕もあったが、主演らしく「このミュージカルを日本人キャストで上演できて、その一員になれることが本当に嬉しい。作品に詰め込まれている楽曲は僕自身もリアルタイムで聴いてきたものでしたし、ミュージカルをやらせていただけることで自分の音楽の原体験をもう一度追体験させていただきながら、自分のなかで音楽とどう向き合ってきたのか改めて考えさせてもらえる。(観客も)一緒に歌って盛り上がれるような今までにないミュージカルが作れれば」と締めた。またヒロイン役の島谷は、共演者が歌いたがっているエクストリームの『More Than Words』を披露することになり、他のキャストに「ごめんなさい!!」と詫びをいれながらも、「私にロックなイメージがあまりないと思うのですけれど、そんな中で起用していただいたので、(舞台で)ロックな部分を出していきます!」とコメントし、気合いを見せた。東京公演は10月28日(金)から11月6日(日)まで東京国際フォーラム ホールCにて。その後、大阪は11月11日(金)から13日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて、福岡は11月19日(土)にアルモニーサンク北九州ソレイユホールにて上演する。チケットはいずれも発売中。
2011年10月03日『ゆれる』、『ディア・ドクター』の西川美和監督の最新作『夢売るふたり』で松たか子と阿部サダヲが夫婦役で初共演を果たすことが明らかになった。監督デビュー作『蛇いちご』では家族を、続く『ゆれる』で兄弟を描き出し、前作『ディア・ドクター』ではニセ医者の姿を通じて嘘があぶりだしていく真実の人間の絆を綴った西川監督が最新作で描くのは“夫婦”。東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、火災で全てを失ったとある夫婦。自分たちの店という夢をあきらめきれず、彼らは再出発の手段として結婚詐欺を行う。真っ当ではないと知りつつも、金のために嘘をつき続けるが、やがて夫婦の間、騙した女たちとの間にさざ波が立ち始める。歯車の狂った夫婦が行き着く先は…。西川監督のオリジナル脚本による本作で、主人公の里子を演じるのは松たか子。『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』では破天荒な太宰治の妻を演じた彼女が、本作ではどんな妻、そして女の表情を見せてくれるのか?その夫の貫也には、映画にドラマ、舞台と幅広い活躍を見せる阿部サダヲ。どんな顔をして女たちを騙していくのか楽しみなところ。西川監督は「これまで自分がやってきていない“関係性”にトライしようと思ったのですが、普段からこの“夫婦”というのは奇妙だな、いびつだな、面白いな、と、どこの夫婦を見ても思っていまして、今回はそれに挑戦してみることにいたしました。松たか子さんは天性の品、阿部サダヲさんは天性の愛嬌、それに惹かれて出演をお願いいたしました。お2人の組み合わせで夫婦をやってみて一体何が起こるのか、私もさっぱりワカリマセ〜ン。たいへん楽しみです」と語っており、監督自身が誰よりもクランクインを楽しみにしているようだ。さらに「夫婦と並んで描こうと思ったのは女の人です。自分は男を書く方が筆が楽なので、いままでそうしてきたんですが、書いてみるといままでいかにさぼって来たかが分かりました。女は難しいですが、何層にもコクがあって面白いです。男の人が女を好きな理由が少し分かった気がします。灯りの消えた暗い東京に漂う『誰も見たことのない女たち』を描きたい。まあどうなるかは分かりませんが、志は高く、です」と意気込みを明かす。松さんは「西川監督の作品には、“今”という空気が強烈に漂っていながら、登場人物達が無気力になっていない、生命力があると思います。阿部サダヲさんは大好きな俳優さんなので、ご一緒できるのがとても楽しみです。“夫婦”として、苦楽を共にして、この夏をこの作品に捧げたいと思います」とこちらも気合十分。阿部さんも「『夢売るふたり』って、スゴイいいタイトルですよね。元々、色んな人に成り済まし願望みたいなものが強くて俳優を始めたとこもあるので、結婚詐欺の話って聞いてワクッてしたけど、台本読んだら全く自分が想像する詐欺師じゃなかった(笑)。でも西川監督が脚本、演出という事ですから初めてお仕事するけど勝手に信用しちゃってます。同様に、松さんも勝手に信頼、尊敬してます!いつかご一緒できたらと思っていたお2人なので大変光栄です。一生懸命、貫也だけに成り済ましたいと思います!よろしくお願いします!」と西川監督の現場、松さんとの共演が楽しみで仕方がないといった様子。3人が現場でどのような化学変化を生み出すのか、期待して待ちたい。まもなく8月20日(土)よりクランクイン。10月上旬にクランクアップの予定で、撮影中、公式Twitterから、現場の様子やマル秘エピソード(?)など、現場のスタッフからつぶやきが発信される。『夢売るふたり』は2012年秋、全国にて公開。『夢売るふたり』公式Twitter■関連作品:夢売るふたり 2012年秋、全国にて公開
2011年08月16日女優の杉本彩とタレントで女医の西川史子が7月1日(木)、東京・西新宿のハイアットリージェンシー東京で行われた映画『恋するベーカリー〜別れた夫と恋愛する場合〜』DVD&ブルーレイリリース記念女子限定試写会に出席。自殺した韓国の俳優で歌手パク・ヨンハさんに哀悼の意を示した。ヨンハさんは6月30日(水)早朝に自宅マンションの自室で首を吊った状態で発見され、警察は現場の状況から自殺と断定した。遺書などは現在までに発見されていないが、末期がんと伝えられる父親の看病、芸能活動、事業などから抱えこんだストレスが原因と考えられている。杉本さんは「韓国は儒教の国でもありますから、家族の絆、呪縛から解き放たれないで、精神的に自立しきれない部分もあったのでしょうか…」。西川さんは「韓国の芸能界はすごい大変だと聞きます。すごく精神的に繊細な方だと思うので、魑魅魍魎の世界で生きるには繊細過ぎたのかも」と、共に沈痛な面持ちで悼んだ。イベントでは本作にちなみ、元カレと恋愛が出来るか?をテーマに2人がトークを展開。杉本さんは「一度消えた恋の炎がもう一度燃え上がることは、私の中ではありえない。よっぽど枯れているとかだったらあるのかも」と否定したが、対照的に西川さんは「よりを戻したことは何度かありますよ、慣れた肌が懐かしくって」と肯定派。ロックバンド、安全地帯のボーカル、玉置浩二と交際中で芸能活動を自粛中のタレント、青田典子の話題に、杉本さんは「何でこのタイミングなんだろう?と思います。前にも付き合っていたの?じゃあよっぽど寂しかったんじゃ」。西川さんも「よくやりますね」と揃って冷ややかだった。一方で、バツイチの杉本さんは「結婚は本人たち以外にいろいろな人が関わるから、2人の関係にはマイナス。もう結婚は私の人生の中にない」とこの日も持論の結婚不要論を展開。今年2月14日に元葛飾区議会議員の福本亜細亜氏と挙式した新婚の西川さんが「いま、浮気しちゃいけないって思ってストレス感じています」とボヤくと、「それが世間のモラルだから。こうあるべき、こう見られたいとか、世の中のモノサシで測ると幸せになれない」とアドバイス。西川さんは「浮気したくなってきちゃったな〜」と杉本さんに大いに刺激された様子で、不倫願望(?)を口にしていた。ちなみに、この2人のためのような(?)企画、「女のみだら度チェック」が本作のDVD&ブルーレイ公式サイトで実施中。果たしてこの2人のみだら度は…?映画『恋するベーカリー〜別れた夫と恋愛する場合〜』DVD&ブルーレイは7月2日(金)よりリリース。(photo/text:Yoko Saito)『恋するベーカリー〜別れた夫と恋愛する場合〜』DVD価格:3,990円(税込)『恋するベーカリー〜別れた夫と恋愛する場合〜』ブルーレイ価格:4,935円(税込)発売・販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント発売日:7月2日(金)公式サイト:■関連作品:恋するベーカリー 2010年2月19日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国にて公開© 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:アカデミー賞授賞式今年の“ベストプレゼンター”部門受賞者はベン・スティラー?年を重ねてもハリウッド最前線で輝く秘訣メリル・ストリープに習う“女の手本”ザックにマイリー、『トワイライト』コンビも!アカデミー賞プレゼンター追加発表梅宮アンナ復縁&スピード破局に揺れる女心語る迷いながらも前向きに生きる幸せさがし『恋するベーカリー』特製バッグを3名様にプレゼント
2010年07月01日映画『おとうと』の山田洋次監督、W主演の吉永小百合と落語家の笑福亭鶴瓶が3月11日(木)、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われた同協会主催の記者会見に出席。外国人ならではの視点から質問が飛ぶ中、鶴瓶が外国人記者と軽妙なやりとりを繰り広げた。同作が先月開催された第60回ベルリン国際映画祭でクロージング上映され、山田監督が特別功労賞を受賞したことを受けて同協会側からオファーされたもの。同所での会見は、鶴瓶さんは初めて、山田監督と吉永さんは2度目。外国人記者ら約150人の盛大な拍手に迎えられて通訳の男性、司会を務めるイタリア人テレビ局記者、山田監督ら5人で登壇した鶴瓶さんは「本当にこんなことになるとは思っていなかったです。変な夢を見ているみたい」と緊張気味。冒頭はワンセンテンスを話したところで区切り、通訳される流れにも慣れない様子だったが「待った待った」、「どうぞ」、「以上」などと通訳の男性とコミュニケーションを取り、持ち前のトボけた持ち味を徐々に発揮。スウェーデン人の男性カメラマンは、日本では観客が、著名人に距離を感じて崇拝する傾向があるように思われるが?と質問。鶴瓶さんは「この前、道を歩いていたらオバちゃんが千円札を持って近づいてきて『くずしてくれへん?』って。『500円玉入っていいかい?』と答えました。僕の場合、ものすごい近いですね」とエピソードを明かし記者陣を笑わせる一方、「こっちの気持ちの持ちようだと思う。いかに普通であるかが大事。僕は普段と変わらないし、50年も(女優を)やられている吉永さんも全然普通でした」と真摯に話した。フランスの男性記者から、山田監督の作品には希望のメッセージが込められているように感じられるがいまの社会へはどんな思いが?と質問が飛ぶと、山田監督が「希望を持ちたいという願いを持って映画を作ることが大事」と回答。鶴瓶さんは「映画の影響力のすごさを感じています。この映画を観て、日本の演歌歌手で吉幾三という人が『姉ちゃんへ』という歌を作ってくれました。仕事じゃなく僕個人に作ってくれたんですけど、いまからかけます」と言って音源を初披露。1番が終わったところでスタッフに合図して「3番まであるので」とストップさせると、「3番がいいんですよ」とニヤリ。また記者陣を爆笑させた。締めで日本のTVディレクターから、同所での会見を初体験した感想を求められ、「ベリーベリーハッピー!」。本作や主演した西川美和監督の『ディア・ドクター』など出演作が国際的評価を得ていることを踏まえハリウッド進出の意気込みを聞かれると、「ことわざに『満つれば欠ける世の習い』とあるように、調子に乗ったらあかん、てウチのおばあちゃんがよく言ってましたわ」とその気ナシ。司会のイタリア人記者は「この会見中に、鶴瓶さんには今度、ここで落語をやっていただける約束を取り付けました」と明かし、鶴瓶さんを抱擁。いたく気にいった様子だった。『おとうと』は現在までに観客動員165万人を記録(配給の松竹発表)しており、全国にて公開中。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:おとうと 2010年1月30日より全国にて公開© 2010「おとうと」製作委員会■関連記事:山田洋次に“名匠”の称号日本発『おとうと』、ベルリン映画祭閉幕で拍手喝采日本映画が健闘した第60回ベルリン国際映画祭【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々山田洋次のベルリン特別功労賞受賞に小百合「胴上げしたい」鶴瓶「あかん」『おとうと』加瀬亮から心温まる動画メッセージが到着!
2010年03月11日今年で10年目を迎える東京フィルメックス。個性的な作品をいち早く紹介し、コアな映画ファンにも定評あるが、映画祭というもの自体、初心者には若干足を運びづらいイベントであるのも事実。しかし、映画祭の大きな魅力はゲストとの触れ合い。憧れの監督やキャストの話を間近で聞くことができるチャンスが数多くある。そんなイベントのひとつとして、丸の内カフェでは「水曜シネマ塾〜映画の冒険〜」と題し、全5回に渡り毎週豪華ゲストを招待。11月18日(水)のトークイベントに登場したのは、海外からも注目されている若手女性監督の西川美和。映画業界に入ったきっかけや今年6月に公開された『ディア・ドクター』の撮影裏話を集まったファンに語った。映画好きの兄の影響で、小さい頃から映画館へ足を運んでいたという西川監督。それでも何らかの形で映画の仕事に関わりたいと目覚めたのは大学生後半になってから。「私、ツイてるんですよ〜」と話す彼女は就職試験の面接で偶然、面接官を務めていた是枝裕和監督に出会ったことにより、映画界に進むきっかけをつかんだ。是枝監督の『ワンダフルライフ』に始まり、複数の作品の助監督を経て、後に監督の道に進むことになるが、最新作『ディア・ドクター』でも「ツイていた」エピソードを披露。「(主人公を)最初はソン・ガンホさんで行きたかったんですけど、なかなか難しくて、行き詰まっていたときに是枝監督に相談したら『鶴瓶さんはどうだろう』と言ってくれたんです。多分、本人はあまり深く考えずに言ったんだと思うんですけど(笑)。でもTVを主軸に活躍している方はスケジュールが難しく、忙し過ぎるかなと思っていましたが、映画にとても興味を持ってくださり、毎年3週間奥さんととられている夏休みを返上して映画に参加してくれました」。小説やコミックを原作にした映画が国内外ともに急増する中、「文章では絶対表現出来ないものを映画にしたい」というこだわりを持つがゆえに、自ら脚本を書くことを貫き、「オリジナルが書けなくなったら、映画は撮らなくなるのでは」とまで断言する西川監督。そんな彼女の作品を世に紹介することに一役買ったのが、7年前、コンペティション部門で初監督作品『蛇イチゴ』を上映した東京フィルメックスなのだ。ちなみに、いまでの東京フィルメックスで印象深い作品としては、ファンだというソン・ガンホが出演する『シークレット・サンシャイン』を挙げ、今年は、「ソン・ガンホさんの映画しか観ていないと思われるかもしれないですけど(笑)、『サースト〜渇き〜』(仮題)は観たいですねあとはツァイ・ミンリャン監督の『ヴィザージュ』、そして女性監督が撮ったという『フローズン・リバー』も気になりますね」と、映画祭への興味を語った。第10回東京フィルメックスは明日、11月21日(土)より開催。<第10回 東京フィルメックス>期間:2009年11月21日(土)〜11月29日(日)会場:有楽町朝日ホール・明治大学アカデミーホール・東劇・シネカノン有楽町1丁目公式サイト: CAFE■関連作品:ディア・ドクター 2009年6月27日よりシネカノン有楽町1丁目ほか全国にて公開© 2009『Dear Doctor』製作委員会■関連記事:松たか子×浅野忠信『ヴィヨンの妻』がモントリオール出品で、太宰イヤーを飾る!「本物の方が怖いかも(笑)」『ディア・ドクター』西川美和が描く、愛すべきニセモノ瑛太、鶴瓶と過ごしたひと夏の思い出にニンマリ「本当にずーっと一緒にいました」鶴瓶&瑛太が深酒で倒れた?余貴美子も病院送りの恐るべき『ディア・ドクター』誰しもが抱える“嘘”から見る人間の“揺れ”西川美和最新作『ディア・ドクター』
2009年11月20日