高橋一生と橋爪功が共演する「6秒間の軌跡」。その6話が2月18日放送。高橋さん演じる星太郎の成長に「"変われなかった"苦しみが報われてほしい」「ひかりが来て星太郎、大人になったね」など様々な声が送られている。「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」で脚本界最大の栄誉である向田邦子賞を受賞した橋部敦子がオリジナル脚本を担当し、数々の作品でその演技が評価される実力、人気を兼ね備えた高橋さんと、俳優生活60年を迎えた日本俳優界を代表する名優・橋爪さんの2人が抱いた“一緒にドラマをやりたい”という熱き思いを実現させた本作。代々受け継がれてきた望月煙火店という花火師の家に生まれ、9歳の時に両親が離婚したあと2人暮らしをしてきた父親の航が亡くなったのだが、なんと“幽霊”となって自分の前に現れる望月星太郎に高橋さん。望月煙火店四代目で30歳の時、理代子に一目惚れし結婚し星太郎を授かるも結婚生活10年で離婚。死亡後も“幽霊”として星太郎の前に姿を見せる望月航に橋爪さん。航が提案した個人向け花火のチラシを見て望月煙火店に花火をオーダーし、それがきっかけで住み込みで花火作りを学ぶことになる水森ひかりに本田翼。また星太郎の幼なじみで小学校の同窓会に誘う若社長の田中勇人に小久保寿人といったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。星太郎は田中に、花火を打ち上げた後にクラス会に顔を出すと告げる。そんな星太郎にひかりはお母さんの写真が見たいとお願いする。家を飛び出すということは倫理や正しさを飛び越えて行ったとも言え、そういう女性に興味があるというひかり。星太郎が一枚だけ手元にあった母親の写真をひかりに見せると、ひかりは「この人知ってます」と口にする。ひかりによると写真の女性は喫茶店をやっているという。30年前の写真だと話す星太郎にひかりは「じゃあ似てる人ってことですか?」と返す。その後、ひかりは航が作ったと思われる個人向け花火のチラシを、その喫茶店でもらったことを明かす。その後、クラス会での打ち上げ花火は大成功に終わるも、星太郎は会には顔を出さずに帰宅。4年前に別れた恋人・由紀子(安藤聖)がクラス会に出席していて、顔を合わせるのが気まずかったらしい。しかし田中から由紀子が結婚し妊娠中だと告げられると、星太郎は動揺する。そんななか突然由紀子が望月家にやって来る。そして星太郎はなぜ自分が由紀子にフラれたのかをようやく理解し、今までなんでも先送りにしてきたことを後悔し始めた星太郎は、母親と会って話がしたいと思うようになるが、その時、航の“幽霊”が姿を消す…というのが今回のストーリー。この展開に「ずっとずっと目を背けて来た母と向き合う気持ちになった星太郎 その時が「父が消える時」だという事なのか」「元カノに振られた理由に自分で気付けて、母親を探そうとする星太郎の成長に胸が熱くなった」といった声や、「"変わらなかった"んじゃなくて、"変われなかった"苦しみが報われてほしい」「ずっとお母さんをタブーにしてた星太郎が会いたいって思えるようになったの、ひかりの影響だよね。ひかりが来て星太郎、大人になったね」といった声が送られている。【第7話あらすじ】航の日記を見つけた星太郎はその内容に激高する。だが真実を確かめるにも肝心の航が姿を現わさない。やがて航が姿を見せるが日記の《非常識な内容》についてはすべて創作で「禁断の妄想を息子に知られて恥ずかしい」と嘆き、ひかりが花火のチラシを見つけた喫茶店のママが星太郎の母親に似ているという件についても「似ていない」と航は否定する…。「6秒間の軌跡」は毎週土曜23:30~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年02月19日高橋一生が演劇界の栄誉、第29回読売演劇大賞にて最優秀男優賞に選ばれ大賞・最優秀作品賞も受賞したNODA・MAP「フェイクスピア」(2021)。同作でタッグを組んだ橋爪功と親子役を演じているドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」は、急逝した花火師の父とその息子、そして2人の前に突然現れた女性(本田翼)が織りなすホームドラマで、花火師という“仕掛け”や地方都市でのロケがありながらも、基本的にはテンポのいい会話劇が繰り広げられている。第5話は、高橋さん演じる望月星太郎だけに姿が見える父・航(橋爪さん)は「本当に“幽霊”なのか?」と、ひかり(本田さん)に問われ、星太郎のみならず視聴者たちも皆ハッとする、というラストで幕を閉じた。そんな不思議な日常が描かれる、ひと筋縄では行かないファンタジーとなる本作。これまで数多くの作品に出演してきた高橋さんだが、「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフから生まれた「岸辺露伴は動かない」は大好評につき、制作陣が再集結して映画化も決定。アニメ「ムーミン谷のなかまたち」ではスナフキンの声優を務め、『シン・ウルトラマン』ではウルトラマンの声を担当するなど、“日常を超越した”世界はお手のもの!?今回はファンタジーな世界観に生きる高橋さんに注目した。互いをリスペクトする橋爪功との共演「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」8歳で児童劇団に入り子役としてデビュー、映像作品とともに演劇作品でも蜷川幸雄演出「から騒ぎ」や藤田俊太郎演出「天保十二年のシェイクスピア」など、多くの代表作を持つ高橋さん。橋爪さんと共演したNODA・MAP「フェイクスピア」はフェイクが飛び交う時代に、真実の言葉を巡る物語。高橋さんは“コトノハ(言の葉)”の詰まった筺を持つ記憶をなくした主人公・monoを演じた。その筺とは、日航機墜落事故で残されたボイスレコーダーがモチーフとなっている。その舞台を機に、橋爪さんは「以前からも『面白い役者だな』と思っていた」という高橋さんと意気投合、世代を超えて互いにリスペクトを送り合う2人が「一緒にドラマをやりたい」と今回、再タッグが実現した。そんな「6秒間の軌跡」は、草彅剛の代表作「僕シリーズ」などで知られ、小芝風花主演「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」で向田邦子賞を受賞した橋部敦子によるオリジナル脚本。高橋さんは橋部さん脚本のドラマ「僕らは奇跡でできている」で主演し、橋爪さんは「モコミ」で主人公の祖父役を演じた縁がある。「『花火師』『父子』『死』というキーワードをいただいたところから脚本づくりが始まりました。レギュラーキャストが3人だけで、できるだけ家の中のシーンという制約の中、会話劇という形でとても自由に書かせていただきました」と橋部さんは公式サイトでコメントしており、「日常のドラマですが、死んだはずなのに現れた航と突然家に住み込むことになったひかりによって、星太郎は大きくゆらぎます」と解説している。「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」5話よりコロナ禍で夏の風物詩ともいえる花火大会が中止となり、大打撃を受けた花火業界。2人暮らしの親子が営む望月煙火店も例にもれず、個人向け花火を始めようかと父・航が提案していた矢先に、航は「すまん…」と言い残して突然他界。遺された星太郎のもとに、“あなたのためだけの花火を打ち上げます”と書かれたチラシを持ったひかりが現れ、その花火を打ち上げた後は煙火店で住み込みで働くことになる。繊細な作業と大胆な発想が求められる花火師。いままであまり知られることのなかったその仕事の一端を覗くことができる一方で、伸びっぱなしの髪とスウェットに半纏、若干世情に疎く、ひかりとの同居にも動揺が隠せない星太郎を演じる高橋さんはやはり職人役がよく似合う。花火作りを実際に体験し「細かい緻密な作業は嫌いではなかった」と自身でもふり返っていた。そして、星太郎が9歳のときから23年間、2人で花火と向き合ってきて「一番の変化が親父が死んだこと」というくらい二人三脚だった父子。それがいまや、橋爪さん演じる航は神出鬼没の幽霊(?)となって時々、星太郎の前に現れる。2人の口ゲンカは絶えることなく、ひかりの同居話に「落ち着いてくださいよ」「お前だよ」という絶妙なツッコミ合いもこの父子ならでは。かと思えば、ひかりのために上げた花火には「いい花火だった」とストレートに褒めてくれる温かさがあり、「(今度は)突然いなくなったりしないでくれ」と星太郎のほうにも、ふと本音がこぼれる瞬間がある。しかも困ったことに、幽霊(?)の航と謎多きひかりは、彼女にその姿は見えずとも何だか気が合うところがある様子。「(航のことが)見えてんの? 聞こえてんの?」「見えてませんし、聞こえてません」というやりとりが、星太郎とひかりの間で繰り返されていく。「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」5話よりそのひかりは、不思議と本質を突いてくる。第4話では本作のタイトルである6秒間とは、4号玉の花火が打ち上がってから開き終えるまでの時間ということが、彼女の問いから判明した。その6秒間の煌めきのために、2か月かける世界が花火師。生前の航を知らなくても、そんな“2人だけがわかり合ってる世界”がひかりには通じているようだ。人もまた何十年生きてきても、一瞬で花が散ることもある儚いもの。長い期間をかけて稽古を重ね、1回1回の本番に臨む“生もの”といわれる演劇にも相通じるものがありそうだ。さらに第5話では、定年退職する小学校の担任のための同窓会に行きたくない、花火も上げたくないと、子どものように駄々をこねる星太郎に、ひかりは「キレるくらいならちゃんと説明して」と至極まっとうに反論する。ひかりの出現とその何気ない問いかけによって、実は癒やしきれない傷でいっぱいの星太郎の胸に何かが確実に刺さっていることは間違いない。「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」5話より“あの人”とずっと呼んできた母・理代子についてもそうだ。航と星太郎はくだらない会話で日常を埋めてきたが、特に9歳という十分に物心がついている星太郎が「“あの人”は母親なんかじゃない」「母親なんていらない」といったプライドで覆い隠してきた喪失感を自覚するきっかけを、ひかりがもたらしている。この2人に翻弄されまくっている“星太郎”高橋さんが堪らない、というファンも多いのではないだろうか。「物語の終盤では更にゆらがす重要な人物も現れます」と脚本の橋部さんは宣言しており、その人物の登場とゆらぎ続ける“星太郎”高橋さんから目が離せない。【第6話あらすじ】望月航の遺品整理をする望月星太郎。中には、ガラクタのようなものまで混じっており、星太郎は「なんでとってあるかな」と嘆くが、航は、そのうちに捨てようと思っていたら死んでしまった、先送りにしていてはだめだと語る。その後、星太郎は幼馴染の田中勇人(小久保寿人)に花火を打ち上げた後、クラス会に顔を出すと告げる。また、ひかりから母親の写真が見たいとお願いされた星太郎は、手元にあった母親の写真をひかりに見せる。するとひかりは「お父さんの秘密を知っちゃったかもしれません」と言い出す。結局、星太郎はクラス会に顔を出さずに帰宅。実は別れた恋人・由紀子(安藤聖)もクラス会に出席してして、顔を合わせるのが気まずかったようで…。ドラマ「僕らは奇跡でできている」(2018)高橋さんの民放ゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演作。韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を彷彿とさせるファンタジー要素も交えたハートフルドラマ。座学よりもフィールドワークが大好きな動物行動学の大学講師・相河一輝は、周りの評価は一切気にしない、超マイペースな主人公だが、画一主義を良しとする社会から見れば“変わり者”とされる人物の生きづらさを、どこか愛らしく体現できるのは高橋さんならでは。映画『ロマンスドール』(2019)蒼井優と『リリイ・シュシュのすべて』以来18年ぶりの共演で夫婦を演じたラブストーリーで、原作者でもあるタナダユキ監督は「私の中では、ダーク・ファンタジー」と語る『ロマンスドール』。今作で黙々と作業をこなす職人ぶりは健在で、「演技力と手先の器用さをあわせもつ俳優が演じることが絶対条件」と監督が語ったように、どうせやるなら良いものを作りたい、という気概を持つ美大卒のラブドール造形士・哲雄は高橋さんのハマり役に。造形士の師匠(きたろう)の存在と、彼を亡くしてからの人生の変化に注目。ドラマ「天国と地獄 ~サイコな2人~」(2021)高橋さんの人気を決定づけたNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の小野政次役を生み出し、現在はドラマ10「大奥」も話題の森下佳子が脚本を手がけ、綾瀬はるか演じる警視庁捜査一課の女性刑事・望月彩子との“入れ替わり”演技が大きな注目を集めたサスペンスドラマ。『転校生』のように「階段から転げ落ちたら魂が入れ替わっていた」という設定を納得させる両者の演技に脱帽。高橋さんはサイコパスな殺人鬼・日高陽斗と、“中身”が彩子になった日高のいわば二役を見事に演じ分けた。原作ファンも異論なし!「岸辺露伴」がスクリーンへ演劇的といえば、今作もそうかもしれない。人の記憶を本にして読むことができる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気マンガ家・岸辺露伴。その人物デザイン監修・衣装デザインを柘植伊佐夫、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズも手がけている脚本・小林靖子や、川端康成原作の高橋さん主演ドラマ「雪国-SNOW COUNTRY-」演出も手がけた渡辺一貴監督らが創りあげた世界は、高橋さんと編集者・泉京香役の飯豊まりえや、濃厚なキャラクターを演じるキャスト陣との会話劇の妙を楽しむ側面もある。2020年から3期にわたり話題を呼んだドラマシリーズの“猛者”たちが続投し、2009年にフランス・ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクトのために描き下ろされた読切作品を映画化する『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、露伴のルーツを描くため、原作ファンも、ドラマからのファンも、そのどちらも知らない方も楽しむことができそうだ。「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」は毎週土曜23時30分~テレビ朝日系で放送中。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は5月26日(金)より全国にて公開。(上原礼子)■関連作品:岸辺露伴 ルーヴルへ行く 2023年5月26日より公開© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
2023年02月18日高橋一生と橋爪功の共演でおくる「6秒間の軌跡」。その4話が2月4日放送。花火の打ち上げが成功、翌日が休みということもあり飲みまくるひかりだが…翌日の意外な“仕事”に視聴者からは「知らなかった」など驚きの声が上がっている。「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」で脚本界最大の栄誉・向田邦子賞を受賞した橋部敦子がオリジナル脚本を担当。第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど実力、人気を兼ね備えた高橋さんと、俳優生活60年を迎えた日本俳優界を代表する名優の橋爪さんの2人が抱いた“一緒にドラマをやりたい”という熱き思いが実現した本作。亡くなったはずの父が“幽霊”になって自分の前に現れ、さらに花火を注文してきた女性が住み込みで働くことになるなど、環境に変化が生まれた望月煙火店の花火師・望月星太郎に高橋さん。望月煙火店四代目で30歳の時、理代子に一目惚れし結婚。星太郎を授かるも結婚生活10年で離婚。亡くなっても“幽霊”として星太郎の前に姿を見せる望月航には橋爪さん。“あなたのためだけの花火を打ち上げます”というチラシを見て望月煙火店に花火をオーダー。その後住み込みで働かせて欲しいと言ってきた水森ひかりには本田翼。星太郎の幼馴染みでの数少ない友人でもあり、近所で工務店を経営する若社長の小久保寿人といった顔ぶれが出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。慣れない個人花火の受注に、ひかりとの同居生活などでなにかとストレスを抱える星太郎。そんななか個人花火の依頼人である片山貴広(高井佳佑)がやってくる。1カ月前にパートで会社に来た神谷佐和(牛尾茉由)に、花火の下で告白をしたいという。神谷を運命の人だと語り、1人で舞い上がる片山だが、星太郎、顔見知り程度の女性に招待状を送り、来てくれることを前提に花火を依頼した片山の告白が成功するとは思えないが、ひかりは我々の仕事は片山の望む花火を作って打ち上げることだと割り切る。そして片山からの依頼の花火を打ち上げる日。予想に反し片山と神谷は仲睦まじい様子で…。無事に花火の打ち上げを終えた星太郎とひかりは笑顔で乾杯する。次の日が休みということもありもっと飲もうと言い出すひかりだが、翌日は花火の破片を片づける仕事が残っていた…。今回のエピソードを見た視聴者からは「花火大会の後も掃除してるのかな?知らなかった」「花火を打ち上げた翌日に花火の燃えかすを掃除してたの、知らんかったわ」「次の日って…掃除たいへんなんやね 知らんかった」「そうか掃除しなきゃいけないのか」「花火大会の後掃除めちゃくちゃ大変なんだな」など、花火師の意外な裏側に視聴者から驚きの声が上がっている。【第5話あらすじ】花火の作り方を習いながら《星》と呼ばれる火薬が《星太郎》の名前の由来だと気づくひかり。だが自身の名前について星太郎はあまり多くを語りたがらない。航は星太郎に「隠すようなことでもない」と諭しつつ、母親との話題を避け続けていることや、これからどう呼ぶべきなのか話し合う…。「6秒間の軌跡」は毎週土曜23:30~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年02月05日高橋一生、橋爪功、本田翼が共演する「6秒間の軌跡」が1月14日から放送スタート。高橋さんと橋爪さんの演技に「自然で迫真の演技が素晴らしい」「舞台っぽくもあって良い」など絶賛の声が集まっている。舞台からドラマ、映画と引っ張りだこの高橋さんと、俳優生活60年を迎えた日本俳優界を代表する名優・橋爪さん。世代を超え互いにリスペクトを送り合う彼らが抱いていた“2人で一緒にドラマをやりたい”という熱き思いが実現。地方都市で代々続く煙火店(=花火店)を舞台に、花火師親子の不思議な日常を描き出す、一筋縄ではいかない《心温まるファンタジー》が繰り広げられる本作。代々受け継がれてきた望月煙火店という花火師の家に生まれ、9歳の時に両親が離婚して以降は父親の航と2人暮らしをしてきたが、ここ数年は新型コロナの影響で大規模な花火大会や競技会が中止になり、花火を打ち上げる機会がほぼなく経済的な不安を感じている花火師の望月星太郎役に高橋さん。望月煙火店の四代目で30歳の時に理代子に一目惚れし、彼女の両親に反対されるも結婚し星太郎を授かったが、ある理由から結婚生活10年で離婚。理代子との間には息子の星太郎も知らない事実がある望月航役に橋爪さん。実家暮らしの29歳で4年間付き合っている彼氏がいるが、離れてはくっつきを何度か繰り返している。“あなたのためだけの花火を打ち上げます”というチラシを見て望月煙火店を訪ね、花火をオーダーする水森ひかり役に本田さん。星太郎の幼なじみで数少ない友人でもあり、近所で工務店を経営する若社長の田中勇人役で小久保寿人も出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。2022年夏、新型コロナが収束しないため夏の花火大会は中止となるなかで、航は個人がオーダーする花火を始めたいと星太郎に提案する。個人向けの花火となるとHPで宣伝、打ち上げる場所の許可取り…などと色々とやらないといけないことがあり、客と事前に綿密なコミュニケーションも必要であることなどから、星太郎は乗り気ではなかった。そんななか航が倒れ「すまん」という言葉とともに息を引き取る。そして、冬――。1人となった星太郎のもとに“あなたのためだけの花火を打ち上げます”と書かれた手書きのチラシを手にしたひかりが訪ねてきて、花火を上げてほしいと星太郎に頼む。さらに死んだはずの航が突然、星太郎の前に現れる…というのが1話の展開。「ドラマの最初の橋爪功さんとの二人芝居が、高橋一生さんの自然で迫真の演技が素晴らしい」「開始数分の親子の会話で、この二人が一緒に生きてきた時間をちゃんと感じたのがすごく良かった」「ドラマでありがちなモノローグがなくて視点が固定されないので舞台っぽくもあって良いドラマ」など、高橋さんの橋爪さんの演技に絶賛の声が集まる。またひかりについて「ひかりさん、もしかして星太郎さんのお母様だったりする……?見た目若くなって幽霊として出てきたとか…?」「ひかりちゃんも謎だらけだけど幽霊説ありだと思う」「水森ひかりも幽霊だったりして?お母さんとか?!」といった声も。本田さん演じるひかりの“素性”にも注目が集まっている模様だ。【第2話あらすじ】個人オーダーの花火を依頼してきたひかりが、今度は望月煙火店に住み込みで働かせてほしいと頼んでくる。ひかりからは姿の見えない航は大喜びするが星太郎は困惑。ひかりは自分が客を集めて困っていることはなんでもすると、半ば強引に望月煙火店の従業員となり、奇妙な“3人暮らし”が始まることになる…。「6秒間の軌跡」は毎週土曜23:30~テレビ朝日系で放送中。(笠緒)
2023年01月15日荒木飛呂彦の漫画を実写化する映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が、2023年5月26日(金)に公開される。主演は高橋一生。『岸辺露伴は動かない』とは?『岸辺露伴は動かない』は、シリーズ累計発行部数1億2千万部超を誇る荒木飛呂彦の人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれた傑作スピンオフ漫画。主人公は、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する人気マンガ家・岸辺露伴だ。作品には、相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた露伴が、奇怪な事件に立ち向かう姿が描かれている。ドラマ制作陣再集結で映画化2020年には主演に高橋一生を迎え、「岸辺露伴は動かない」としてドラマ化。2020年12月に第1期(第1話~第3話)、2021年12月に第2期(第4話~第6話)、2022年12月に第3期(第7話~第8話)が放送された。また、完成度の高さから、原作ファンのみならずドラマファンからも絶賛され、ギャラクシー賞テレビ部門2021年1月度月間賞を受賞。さらに、2022年12月から世界配信がスタートしたアマゾンプライムビデオでも好評を博している。そんな人気ドラマシリーズ「岸辺露伴は動かない」の制作陣が再集結し、劇場長編映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』に挑む。原作は『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』映画の原作となる『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、『岸辺露伴は動かない』のエピソードの1つ。2009年にフランス・ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクトのために描き下ろされた、荒木飛呂彦初となるフルカラーの読切作品だ。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の原画は、ルーヴル美術館の企画展で展示された。日本の漫画家として初めてルーヴルに作品が展示されたことでも話題となった。物語は、美の殿堂・ルーヴル美術館を舞台に展開される「この世で最も黒く、邪悪な絵」の謎を追うサスペンス。これまでの『岸辺露伴は動かない』実写化シリーズでは描かれることの無かった、露伴の知られざるルーツが明らかにされる点はファン必見だ。なお、『岸辺露伴は動かない』と同様に、独立した物語となっているため、原作やドラマを知らない人でも気にせずに楽しめる。劇中には、特殊能力“ヘブンズ・ドアー”で相手を本にして秘密を読む露伴の姿が。「この世で最も黒い色を見たことがあるか?」という露伴のセリフに重ね合わせるようにして、「最も黒く邪悪な絵」という意味深な言葉を発する奈々瀬。そんな奈々瀬を見つめ、やがて戸惑いながらも優しく抱き寄せる若き露伴と、一心不乱にキャンバスに「黒」を塗りたくる謎の画家。露伴は「この世で最も黒く、邪悪な絵」に宿る謎を追い、美の殿堂・ルーヴル美術館を目指してパリを往く。ルーヴル美術館に所蔵される「黒い絵」に宿る謎と、世界を代表する美の殿堂に隠された暗部。そして、露伴自らの知られざる過去とは?『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』キャスト岸辺露伴(きしべろはん)…高橋一生好奇心に溢れ、リアリティを何よりも重んじる漫画家。特殊能力(スタンド)“ヘブンズ・ドアー”を持ち、相手を本にすることが出来る。それにより相手の過去を知ることができる。露伴は青年時代、想いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。時を経て、「黒い絵」がルーブルにある事を知り、それを追ってフランス、パリに行く。取材で訪れたルーヴル美術館でもファンに声をかけられるほど、海外でも高い知名度と人気を誇る。泉京香…飯豊まりえ露伴の担当編集者。ちょっと天然でマイペース、遠慮がないけどどこか憎めないキャラクター。思いもよらぬ角度から核心を突いて露伴をサポートする。奈々瀬…木村文乃青年期の露伴が出会う謎多き黒髪の女性。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のカギを握る“この世で最も邪悪な「黒い絵」”の噂を知る。美しい和装のたたずまいで、その奥には秘めたる想いを抱える。若き露伴は奈々瀬に淡い気持ちを抱いていた。青年期/岸辺露伴…長尾謙杜漫画家デビューしたばかりの若き日の露伴。漫画の執筆に集中するため、夏の間泊まり込むことになった祖母の経営する元旅館アパートで奈々瀬と出会う。また、奈々瀬から受けたインスピレーションを元に新作の漫画を描き上げる。辰巳隆之…安藤政信ルーヴル美術館のコレクションの調査員であり東洋美術の専門家。紳士的でありながら、どこか怪しげな雰囲気を漂わせる男。映画オリジナルのキャラクター。エマ・野口…美波ルーヴル美術館の職員。日本から来た露伴と京香を館内へ案内する。ルーヴルの「見捨てられた倉庫」=Z-13倉庫の存在を突き止める。舞台となるロケ地も注目『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』パリの名所で撮影を実施。凱旋門やシャンゼリゼ通り、ルーヴル美術館のそばにあるセーヌ川、そしてパリ初の鉄製の橋ポン・デ・ザール(芸術橋)やアレクサンドル3世橋。セーヌ川の中州にあるサン・ルイ島のカフェ・ルテシアでは語り合う露伴と京香の姿も。日本国内のロケ地も趣深い。「この世で最も黒い絵」を求めて露伴と京香が美術品オークションに参加するオリジナルシーンは、横浜のホテルニューグランドで撮影。また、漫画家デビューしたばかりの若き露伴が、執筆のため夏休みの間に滞在する祖母の屋敷は、江戸時代の中期から存在していたと言われ、国の登録文化財制度「第一号」会津若松の旅館、向瀧だ。渡辺監督の強い要望により選ばれたという。ドラマキャスト&スタッフが再集結出演は、高橋一生、飯豊まりえとドラマシリーズのキャストが再び集結。さらに、話題作へ途切れることなく出演し続けている女優・木村文乃、なにわ男子のメンバー・長尾謙杜、確かな演技力で映画ファンを魅了し続ける安藤政信、フランス人と日本人の両親を持つ女優・美波がキャストに名を連ね、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を盛り上げていく。また、スタッフもドラマの面々が続投。監督は、大河ドラマ「おんな城主直虎」やドラマ「雪国-SNOW COUNTRY-」などで高橋一生と組んできた渡辺一貴が担当。脚本はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの脚本も手掛けた小林靖子、音楽は菊地成孔、人物デザイン監修・衣装デザインは柘植伊佐夫が務める。なお、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、ルーヴル美術館を始め、ポン・デ・ザール(芸術橋)、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門、アレクサンドル3世橋、カルーゼル広場などパリの名だたる名所での大規模ロケを実施。フランスと日本を股にかけ、圧倒的スケールで“極上のサスペンス”を描く。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』ストーリー特殊能力を持つ、漫画家・岸辺露伴は、青年時代に淡い思いを抱いた女性からこの世で「最も黒い絵」の噂を聞く。時は経ち、新作執筆の過程で、その絵がルーヴル美術館に所蔵されていることを知った露伴は取材とかつての微かな慕情のためにフランスを訪れる。しかし、不思議なことに美術館職員すら「黒い絵」の存在を知らず、データベースでヒットした保管場所は、今はもう使われていないはずの地下倉庫「Z-13 倉庫」だった。そこで露伴は「黒い絵」が引き起こす恐ろしい出来事に対峙することとなる。【作品詳細】映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』公開日:2023年5月26日(金)出演:高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、安藤政信、美波、木村文乃原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)監督:渡辺一貴脚本:小林靖子音楽:菊地成孔/新音楽制作工房人物デザイン監修・衣装デザイン:柘植伊佐夫製作:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 製作委員会制作プロダクション:アスミック・エース、NHKエンタープライズ、P.I.C.S.配給:アスミック・エース
2023年01月08日俳優の高橋一生が、映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(5月26日公開)の主演を務めることが5日、明らかになった。同作は荒木飛呂彦の大人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれたスピンオフ『岸辺露伴は動かない』の実写化作。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気マンガ家・岸辺露伴が遭遇する奇怪な事件に立ち向かう姿を描く。高橋一生を主演に迎えドラマ化された同作は、2020年12月に第1期(第1話〜第3話)、2021年12月に第2期(第4話〜第6話)、2022年12月に第3期(第7話~第8話)が放送され、初回放送のトレンド1位を皮切りに放送の度に連日上位入りを果たし、「実写化の理想系」「完成度が高すぎる」などそのクオリティを多くの原作ファン、ドラマファンが絶賛。ギャラクシー賞テレビ部門2021年1月度月間賞を受賞し、2022年12月から世界配信がスタートしたAmazon prime videoでも高い人気を誇っている。この度、ドラマシリーズの制作陣が再集結し劇場長編映画に挑戦。シリーズのエピソードの1つで、2009年にフランス・ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクトために描き下ろされた、荒木初となるフルカラーの読切作品『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が選ばれた。原作は古今東西の美が集結したルーヴルに日本の漫画家として初めて作品が展示されたことでも話題となり、美の殿堂・ルーヴルを舞台に展開される「この世で最も黒く、邪悪な絵」の謎を追う物語となる。これまでの『動かない』実写化シリーズでは描かれることの無かった、露伴の知られざるルーツが明らかにされ、また独立した物語構造の為、原作やドラマを知らない人でも楽しめる造りとなっているという。好奇心に溢れ、リアリティを何よりも重んじる漫画家の岸辺露伴を高橋が続投。自らも原作のファンで、露伴の言動が自身の人生観に影響を与えていることを公言するほど思い入れのある役を、多用なアプローチで見事に演じている。そんな露伴の担当編集者であり、バディ的な立ち位置で絶妙な掛け合いを魅せる泉京香を、飯豊まりえが同じくドラマから演じ続ける。気難しい露伴とは対照的な、ちょっと天然でマイペース、遠慮がないけどどこか憎めないキャラクターを魅力的に演じている。スタッフもドラマの面々が続投し、監督を手掛けるのは大河ドラマ『おんな城主直虎』(2017年)やドラマ『雪国-SNOW COUNTRY-』(2022年)などで高橋と組んできた渡辺一貴、脚本はアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの脚本も手掛けた小林靖子、音楽は菊地成孔/新音楽制作工房、人物デザイン監修・衣装デザインは柘植伊佐夫が担当する。昨年の秋から始まった日本国内での撮影は終了し、現在はフランス・パリでの撮影を継続中。ルーヴル美術館を始め、ポン・デ・ザール(芸術橋)、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門、アレクサンドル3世橋、カルーゼル広場など名だたる名所での大規模ロケを敢行している。「モナ・リザ」が所蔵されていることで有名なルーヴルだが、映画の撮影許可が下りるのは異例で、日本映画では2014年に公開された『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』以来2作目となる。この度、ティザービジュアルと超特報映像も公開された。ティザービジュアルには、本編撮影の合間にパリで撮り下ろした写真を使用し、パリの街並みに佇む高橋演じる露伴の横顔が切り取られ、「“この世で最も黒く、邪悪な絵”の謎を追い、美の殿堂へー」という言葉が添えられている。超特報映像では、冒頭から「恐ろしいことが起こるかもしれない。」「ヤバイ…。そしてゾクゾクするッ!」「なぜルーヴルの地下倉庫に…」など謎めいたセリフが押し寄せる。次の取材先がルーヴル美術館に決まったことを告げる露伴と担当編集である泉の場面ではお馴染みの掛け合いも健在で、サスペンスの幕開けを予感させる映像となっている。○高橋一生 コメント岸辺露伴という人間を演じさせていただいてから、3年目に入りました。劇場版や映画版と銘打たない今作においても、岸辺露伴を演じ続けさせていただけていることは、僕の人生にとって非常に特異な出来事です。今はパリの現場でこの情報解禁コメントを書いています。周りにはドラマの第一期から岸辺露伴を作ってきた素晴らしい日本のチームが居ます。そこに日本の映画チーム、加えてここ数日は極めてプロフェッショナルで真摯な、これまで第一期二期三期を共に作ってきたかと錯覚する様なフランス現地のチームが合流し、唯一の作品が出来上がっていくのを目の当たりにしています。第一期の撮影時、演出の一貴さんと、あくまで夢の話として『岸辺露伴ルーヴルへ行く』の話をしていました。いつか実際に、パリで撮影が出来たら、と。そして今、パリ市街の石畳の上、露伴として立っている自分に違和感を覚えていないのは、間違いなく、卓越したスタッフワークに支えられているからだと思います。異国においてもこれまでと何も変わらずに露伴で居られる事を、心から感謝しています。今撮影しているフランスパートだけではなく、既に撮影を終えている日本パートも作品全体の重要な部分を担っています。ジョジョの全作品においても大事な要素である血脈、受け継がれるもの、過去、が今作においても語られます。それらと向き合うことは、今自分が存在していることに繋がります。時間は誰にとっても優しくも残酷にもなりますが、例外なく今作の露伴にも、その存在を問いかけてきます。今作は実写ドラマである『岸辺露伴は動かない』シリーズと地続きであり、シリーズ九話目とも言える物語になります。これ迄ドラマシリーズを観てくださった方はもちろん、独立した一つの作品としても、これまでの露伴の足跡をご存知ない方にも楽しんで頂ける映画作品になっていると思います。劇場に足を運んでくださる皆さんにおかれましては、非常にユニーク(奇妙、特異、唯一)なこの作品を楽しんで頂ければと思っています。○飯豊まりえ コメント『岸辺露伴は動かない』第三期ドラマは放送終了したばかりですが…実は映画の撮影も密かに進行していました!今期ドラマのラスト、私の台詞にもありましたが露伴先生が遂にルーヴルへ!私も担当編集として、パリに行けることになりました!今回も引き続き、素敵ないつものチームに支えていただきながら新しいスタッフさんにも加わって頂き、より一層心強く、素晴らしい環境のもと、お芝居をさせていただけていることを心から感謝しています!フランスの現地スタッフさん達との撮影では言葉の壁を越えて、大きな規模の作品作りが出来ている幸せを噛み締めていました。忘れられない経験になりそうです。ここまで長く皆さんに楽しみにしていただける作品に、また新しいエピソードが加わることをとても嬉しく思っています!露伴先生と京香が、遠く離れたルーヴル美術館に隠された謎と、過去に向き合います!是非これまで通り、楽しんで頂けたらと思っています!○監督:渡辺一貴 コメント映画『暗殺の森』で描かれるパリは退廃的で陰鬱だ。人々が生を謳歌する「花の都」ではなく、死と倒錯の匂いが充満した「黒い街」。3年前にプロジェクトが始まって以来、『岸辺露伴は動かない』の映像ルック、美術設定、扮装表現は、常にこの映画から有形無形の大きな刺激を受けてきた。撮影で訪れたパリは「暗殺の森」と同様、今にも落ちてきそうな厚くて重い雲に覆われ、凍てつく雨が降り続く、美しくも冷たい世界だった。そこに今、岸辺露伴が立っている。既視感と高揚感が入り混じる不思議な感覚。しかし感傷はない。露伴は当たり前のように、そこにいる。いつものように、撮影は始まる。○脚本:小林靖子 コメント初めて『岸辺露伴は動かない』を実写化するとお聞きした時、映画になるという想像はカケラもしていませんでした。またシリーズが回を重ねる度に皆で挙げていた原作候補に、この『ルーヴルへ行く』が入ることはありませんでした。そんなダブルでリアリティのない話が実現します。珍しく露伴自身がフォーカスされた物語です。ぜひ映画館で楽しんで頂ければと思います。(C) 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
2023年01月05日荒木飛呂彦による「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」が、ドラマ「岸辺露伴は動かない」制作陣再集結、高橋一生と飯豊まりえが出演し映画化されることが決定。ティザービジュアルと超特報映像も到着した。「この世で最も黒く、邪悪な絵――」。その謎を追い、特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴は、フランス・ルーヴル美術館を訪れる。そこには、数々の恐ろしい出来事が待ち受けていた…。相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気マンガ家・岸辺露伴。その露伴が遭遇する奇怪な事件に立ち向かう姿を描いた大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれた傑作スピンオフ「岸辺露伴は動かない」。高橋さんを主演に迎えドラマ化された同作は、第1期~第3期が放送され、多くの原作ファンが絶賛した。そんな人気ドラマシリーズの制作陣が再集結し、今回劇場長編映画に挑む。原作は、「岸辺露伴は動かない」のエピソードの一つで、2009年にフランス・ルーヴル美術館のバンド・デシネプロジェクトのために描き下ろされた荒木さん初となるフルカラーの読切作品。ルーヴルを舞台に展開される「この世で最も黒く、邪悪な絵」の謎を追う、極上のサスペンスだ。これまでの実写化シリーズでは描かれることの無かった、露伴の知られざるルーツが明らかにされている点はファン必見。独立した物語という基本構造は健在のため、原作やドラマを知らない人でも楽しめる。岸辺露伴役は高橋さん、露伴の担当編集者であり、バディ的な立ち位置で絶妙な掛け合いを魅せる泉京香役は飯豊さんが続投。監督は大河ドラマ「おんな城主 直虎」の渡辺一貴、脚本はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズも手掛けた小林靖子、音楽は菊地成孔/新音楽制作工房、人物デザイン監修・衣装デザインは柘植伊佐夫が担当する。ティザービジュアルは、本編撮影の合間にパリで撮り下ろした写真を使用。露伴の横顔が切り取られ、視線の先には一体何が待ち受けているのか、意味深なビジュアルに仕上がっている。また超特報映像では、冒頭から謎めいたセリフが押し寄せ、次の取材先がルーヴル美術館に決まったことを告げる露伴と泉の場面では、お馴染みの掛け合いも健在。昨年の秋から始まった日本国内での撮影は終了し、現在はフランス・パリでの撮影を継続中。ルーヴル美術館を始め、ポン・デ・ザール(芸術橋)、シャンゼリゼ通り、エトワール凱旋門、アレクサンドル3世橋、カルーゼル広場など名だたる名所での大規模ロケを敢行。ルーヴルの映画撮影許可が下りるのは異例で、日本映画では『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』以来2作目だ。<コメント>・高橋一生岸辺露伴という人間を演じさせていただいてから、3年目に入りました。劇場版や映画版と銘打たない今作においても、岸辺露伴を演じ続けさせていただけていることは、僕の人生にとって非常に特異な出来事です。今はパリの現場でこの情報解禁コメントを書いています。周りにはドラマの第一期から岸辺露伴を作ってきた素晴らしい日本のチームが居ます。そこに日本の映画チーム、加えてここ数日は極めてプロフェッショナルで真摯な、これまで第一期二期三期を共に作ってきたかと錯覚する様なフランス現地のチームが合流し、唯一の作品が出来上がっていくのを目の当たりにしています。第一期の撮影時、演出の一貴さんと、あくまで夢の話として『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の話をしていました。いつか実際に、パリで撮影が出来たら、と。そして今、パリ市街の石畳の上、露伴として立っている自分に違和感を覚えていないのは、間違いなく、卓越したスタッフワークに支えられているからだと思います。異国においてもこれまでと何も変わらずに露伴で居られる事を、心から感謝しています。今撮影しているフランスパートだけではなく、既に撮影を終えている日本パートも作品全体の重要な部分を担っています。ジョジョの全作品においても大事な要素である血脈、受け継がれるもの、過去、が今作においても語られます。それらと向き合うことは、今自分が存在していることに繋がります。時間は誰にとっても優しくも残酷にもなりますが、例外なく今作の露伴にも、その存在を問いかけてきます。今作は実写ドラマである『岸辺露伴は動かない』シリーズと地続きであり、シリーズ九話目とも言える物語になります。これ迄ドラマシリーズを観てくださった方はもちろん、独立した一つの作品としても、これまでの露伴の足跡をご存知ない方にも楽しんで頂ける映画作品になっていると思います。劇場に足を運んでくださる皆さんにおかれましては、非常にユニーク(奇妙、特異、唯一)なこの作品を楽しんで頂ければと思っています。・飯豊まりえ「岸辺露伴は動かない」第三期ドラマは放送終了したばかりですが…実は映画の撮影も密かに進行していました!今期ドラマのラスト、私の台詞にもありましたが露伴先生が遂にルーヴルへ!私も担当編集として、パリに行けることになりました!今回も引き続き、素敵ないつものチームに支えていただきながら新しいスタッフさんにも加わって頂き、より一層心強く、素晴らしい環境のもと、お芝居をさせていただけていることを心から感謝しています!フランスの現地スタッフさん達との撮影では言葉の壁を越えて、大きな規模の作品作りが出来ている幸せを噛み締めていました。忘れられない経験になりそうです。ここまで長く皆さんに楽しみにしていただける作品に、また新しいエピソードが加わることをとても嬉しく思っています!露伴先生と京香が、遠く離れたルーヴル美術館に隠された謎と、過去に向き合います!是非これまで通り、楽しんで頂けたらと思っています!・渡辺一貴監督映画「暗殺の森」で描かれるパリは退廃的で陰鬱だ。人々が生を謳歌する「花の都」ではなく、死と倒錯の匂いが充満した「黒い街」。3年前にプロジェクトが始まって以来、「岸辺露伴は動かない」の映像ルック、美術設定、扮装表現は、常にこの映画から有形無形の大きな刺激を受けてきた。撮影で訪れたパリは「暗殺の森」と同様、今にも落ちてきそうな厚くて重い雲に覆われ、凍てつく雨が降り続く、美しくも冷たい世界だった。そこに今、岸辺露伴が立っている。既視感と高揚感が入り混じる不思議な感覚。しかし感傷はない。露伴は当たり前のように、そこにいる。いつものように、撮影は始まる。・小林靖子初めて『岸辺露伴は動かない』を実写化するとお聞きした時、映画になるという想像はカケラもしていませんでした。またシリーズが回を重ねる度に皆で挙げていた原作候補に、この『ルーヴルへ行く』が入ることはありませんでした。そんなダブルでリアリティのない話が実現します。珍しく露伴自身がフォーカスされた物語です。ぜひ映画館で楽しんで頂ければと思います。『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は5月26日(金)より公開。(cinemacafe.net)■関連作品:岸辺露伴 ルーヴルへ行く 2023年5月26日より公開© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
2023年01月05日高橋一生主演「岸辺露伴は動かない」第7話が12月26日放送。古川琴音演じるファンに追い詰められる露伴にSNS上では「家凸ファン怖すぎて笑えない」「一般異常者に過去最高に追い詰められてる」などの声が上がっている。本作は相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる能力“ヘブンズ・ドアー”を持つ漫画家・岸辺露伴が、編集者の泉京香と共に、奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かうというストーリー。岸辺露伴役の高橋さんをはじめ、大手出版社“集明社”で露伴の担当編集をしている泉京香役で飯豊まりえも続投。今回の7話では露伴のベッドでシーツにくるまるイブ役で古川琴音も出演する。7月7日、長らくリアルな取材ができずにいらだつ露伴は、飼い始めた子犬のバキンを連れて散歩に出かける。強い日差しとマスクのせいでもうろうとしながら見知らぬ神社に迷い込むと、そこには根元が洞になった巨木があった。がぜん興味がわいた露伴は中に入るが、そこにあった鏡を見ているうちに気がつくとそこにうずくまっていた。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。その後、帰宅すると家の様子がおかしい。犬のおもちゃが壊されていて、作業机の封筒の中にはまだ書いていないはずの原稿が返却されていた。さらに自分のベッドには、さっき家の庭に押しかけてきたファンのイブがシーツにくるまっていた。イブの心を読んでみると、自分とイブは確かに親密な日々を過ごしており、しかも今日の日付は10月7日で…というのが今回のストーリー。マスク姿でオンライン会議をし、長く取材に行けないことで精神的に辛くなっている露伴の姿に視聴者からは「岸辺露伴の世界でもコロナ流行ってるのか」「岸辺露伴もコロナの状況には逆らえなかったか」「岸辺露伴もコロナ鬱になる」などの反応が。神社の神主たちは3か月も時間が“飛んだ”理由が藪箱法師のせいで、祠の鏡を見た瞬間、露伴と藪箱法師が入れ替わっていたのだと話す…。自分が知らぬ間に勝手に変更されたホットサマー・マーサのデザインを戻したい露伴は、神主から時間は戻せないが藪箱法師の“やらかし”だけもとに戻す方法を聞く…。その後帰宅すると家の中には大きく成長したバキンが…スマホを見ると日付は1月7日。さらに3か月が経っていた。家の中には苦しむ京香と傍らには注射器が。そこにイブが現れ露伴の首に注射器を刺す。イブは京香を殺し、露伴と共犯関係となって人生を一緒に過ごしたいと言う。「家族だけで幸せに生きていくのよ」と話すイブのお腹は大きくなっていて…。露伴(藪箱法師)の子を身ごもり、京香を殺して露伴を独占しようとするイブの狂気ぶりにSNSでは「岸辺露伴は動かないの家凸ファン怖すぎて笑えない」「スタンドでも怪異でも超パワーでもなく岸辺露伴先生をここまで追い詰めるこの女ヤバいッ!?ヤバいぞ!?!?」などの感想が続出している。【第8話あらすじ】京香と打ち合わせ中のところにファンの少年(大柳賢:柊木陽太)が突然尋ねてきた。露伴は「仕事場にいきなり来るのは良くないね」と少年を追い返してしまうが、再び現れた少年はやぶから棒にジャンケン勝負を露伴に挑む。露伴の行く先行く先に現れては、執ようにジャンケンを挑んでくる少年の目的とは?「岸辺露伴は動かない」第8話は12月27日22:00~NHK総合で放送。(笠緒)
2022年12月27日高橋一生扮する漫画家・岸辺露伴が、編集者・泉京香と共に奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かうドラマ「岸辺露伴は動かない」の新作が12月26日(月)より放送。これに先駆けて、新作エピソードの場面写真が公開された。今回の新作エピソードは、「ホットサマー・マーサ」(第7話)、「ジャンケン小僧」(第8話)の2本。場面写真では、犬を抱える露伴や、第7話ゲストの古川琴音、飯豊まりえ演じる泉京香の姿が切り取られている。飯豊さんは「原作漫画に敬意を払いながらも自分に出来ることは何なのか、そんなことをいつも考えながらお芝居をさせていただきました。是非お楽しみ下さい!」とファンへ呼びかける。イブとして本作に参加する古川さんは「楽しみながら、弾けた感じで、恥を偲んでぶりっ子を演じてみました。事前の打ち合わせで、『露伴史上最強(恐・狂・凶) の敵です』と言われ、『動かない』露伴をどう動かしてやろうかと、イブの持てる武器全てを使って挑みました」とふり返り、「この回はコロナが背景にあることも見応えあるポイントになっていると思います。実際、まだ油断出来ない世の中ですが、ストレスの溜めすぎには注意しましょう...。第7話、楽しんでいただけますように」とコメントを寄せた。「上手にできるか不安でした」を回顧する第8話ゲストの柊木陽太は、「じゃんけん小僧を演じるのは、とても難しかったですが、原作と台本を何度も読み返して演じました。現場で高橋さんからもアドバイスをいただけてとても嬉しかったです」と撮影の様子を明かしている。また、新作の放送を前に、第1~6話のイッキ見再放送が決定。さらに、昨年仙台放送局で開催したドラマ「岸辺露伴は動かない」展が、今年は全国5会場を巡回して開催することが決定した。「岸辺露伴は動かない」第7話「ホットサマー・マーサ」は12月26日(月)22時~、第8話「ジャンケン小僧」は12月27日(火)22時~総合にて放送。2023年1月14日(土)21時~第7話・8話BS4Kにて放送。「第1-6話イッキ見!再放送」は12月21日(水)23時50分~総合にて放送。ドラマ「岸辺露伴は動かない」展は12月18日(日)よりNHK仙台放送局にて開催、ほか富山・札幌・熊本・東京にて順次開催予定。(cinemacafe.net)
2022年12月09日1月スタートの高橋一生主演新ドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」の主題歌が、「ケツメイシ」の書き下ろし楽曲「夜空を翔ける」に決定した。高橋さんと橋爪功が親子役で共演し、本田翼をヒロインに迎えた本作は、地方都市で代々続く煙火店(=花火店)を舞台にしたファンタジー・ホームコメディ。新曲「夜空を翔ける」は、印象的なギターのイントロから始まり、恋人や友人、家族など…それぞれの大切な人への想いや感情を歌った歌詞となっており、「ケツメイシ」らしいリリックとメロディではありつつも、これまでの「ケツメイシ」にはない、ロック調でバラードな楽曲に仕上がっている。「ケツメイシ」の大蔵は、「“花火師”親子の不思議な日常を描く物語ということで、多くの人の思いが夜空を翔けて星や月のように綺麗に輝けるよう、そして、ドラマのストーリーと楽曲もリンクできるよう書き下ろしました」とコメント。ケツメイシ高橋さんは「僕ら演じる親子の歌でもありますが、いつの時代も変わらなかったであろう大切なひと、こと、ものを歌われているのだと思います」と楽曲の印象を明かし、「ドラマの主題歌や主題曲は、俳優のお芝居以上に世界観を決められる力を持っていると思います。この曲がこのドラマの世界に自分を連れて行ってくれると信じています」と語っている。また、来年2月1日には3曲入りのシングルリリースが決定している「ケツメイシ」。「夜空を翔ける」もこのシングルに収録され、トリプルA面シングル「夜空を翔ける / 自分が思っていたよりも / One step」としてリリースされる。「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」は2023年1月14日より毎週土曜日23時30分~テレビ朝日系にて放送。(cinemacafe.net)
2022年12月08日高橋一生と橋爪功が互いのリスペクトを胸に共演を熱望し、本田翼をヒロインに迎えた土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」が、2023年1月にスタートすることが発表された。2021年上演の舞台「NODA・MAP第24回公演 フェイクスピア」で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど、舞台からドラマ、映画と引っ張りだこの高橋一生。そんな彼と「フェイクスピア」でも共演、俳優生活60年となる日本俳優界を代表する名優・橋爪功。世代を超え、互いにリスペクトを送り合う彼らが抱いていた2人のドラマ共演が実現したのが本作。舞台は、地方都市で代々続く煙火店(=花火店)。高橋さんと橋爪さんは、四代目となる父・望月航(こう)と、その息子・望月星太郎(せいたろう)を演じる。やがて、父親が亡くなり、1人取り残された星太郎はひとり途方に暮れることに…。しかし数か月後、死んだはずの父親が、当たり前のように日常に現れる!?高橋一生「橋爪さんがやりたいと言ってくださっているというのが嬉しかった」と感動高橋さんが「橋爪さんがやりたいと言ってくださっているというのがとても嬉しかった」と語れば、橋爪さんも「(高橋)一生は『面白い役者だな』と思っていました。ドラマなどでも、見かけるたびに違う面を見せていますから」と、お互いに役者として尊敬の念を抱いている2人。その関係性に加わるのが、ヒロインの本田翼。今作が、テレビ朝日ドラマへの初出演となり、人生の岐路に立ち、星太郎に弟子入り志願する謎の女性・水森ひかりを演じる。高橋さん、橋爪さんとの共演は「私からすると《別次元の存在》。ずっとテレビで拝見していたので、ご一緒できるのがとても光栄ですが、まだ実感がないというのが今の正直な気持ちです」と語り、この3人での芝居の化学反応にも期待がかかる。本田翼向田邦子賞受賞作家・橋部敦子による、好テンポの会話の応酬に期待本作の見どころのひとつが好テンポで繰り出される会話劇の応酬。脚本は、「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」(2021年/テレビ朝日系)で向田邦子賞を受賞した橋部敦子によるオリジナル。この脚本に高橋さんは「演劇の脚本を読んでいる印象」と“ライブ感”を存分に感じ、橋爪さんも「後半に行くほど、どんどん話が広がっていく」と絶賛。本田さんは「人間味のある、日々の小さなことが光り輝いている」とコメント。さらに高橋さんは、「ある意味で、忘れ去られてしまったのか、一周回って新しいのか…『時間ですよ』や『寺内貫太郎一家』のような、古き良き時代のドラマを彷彿とさせながらも、今の人にも時代にも合って、楽しめる会話劇、人の機微をちょっと風変わりな視点で見せていくホームドラマになっていると思います」と語る。高橋一生コロナ禍でイベントが減り、大打撃を受けた花火業界を舞台にした本作。打ち上げ花火は、実は個人でもオーダー可能で、様々な依頼が星太郎のもとに舞い込むことでストーリーはさらなる広がりを見せる。花火を打ち上げたくなるほどの、人生の節目を迎えた人々にはどんなドラマが待っているのか。劇中では、実際に夜空に花火が打ち上げられ、もう1人の主役とも呼べる演出となっている。第1話あらすじ2022年・夏。新型コロナが収束しないため、夏の花火大会は中止となり、望月星太郎(高橋一生)と航(橋爪功)の花火師親子は今年も暇になりそうだ。大規模な花火は上げられないものの、個人がオーダーする花火を始めようと、航は星太郎に何度か提案してきたが、星太郎は個人花火となると、料金設定、HPの宣伝…色々とやらないといけないことがある。そして、特定の個人に満足してもらうためには、客との事前の綿密なコミュニケーションも必要であることなどから乗り気ではなかった。やがて、星太郎はいつものように、朝食の片づけを終えてから作業場に向かった。すると、航が倒れており、「すまん」という言葉とともに、息を引き取るのだった。そして、冬――。1人となった星太郎のもとに、「あなたのためだけに花火を打ち上げます」と書かれた手書きのチラシを手にした水森ひかり(本田翼)が訪ねてくる。彼女は花火を上げてほしいと星太郎に頼むのだった…。土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」は2023年1月、毎週土曜23時30分~テレビ朝日系にて放送。(text:cinemacafe.net)
2022年12月02日俳優の高橋一生が出演する、損害保険ジャパンの新CM「故障も補償は損保ジャパン」編が12日より放送される。新CMでは、高橋が故障した自動車のボンネットから突然登場。一般的な自動車保険では補償されない故障の修理費をテーマに、損保ジャパンの新サービス「故障運搬時車両損害特約」をクイズや歌で紹介する。新CMの注目のシーンについて、高橋は「損保ジャパンが故障を補償してくれることを覚えてもらいやすいように、歌にしています。ハモって歌うシーンがあるので、ぜひチェックしてもらいたいです」「ボンネットからの登場シーンが面白くなっていると思うのでぜひチェックしてください」とアピール。また、一般的な自動車保険でも故障が補償されると思っている人は多いのではないか、という質問には、「多いと思います。損保ジャパンのCMをやらせてもらっている自分でも、車両保険で故障が一緒に補償されると思っていました。なので、実際に自分が故障させたときにはじめて知って困る人は多いのではないかと思います」と推測した。そして、「車の故障だけでもとても大変になると思うのですけど、修理費が保険に含まれていないことを知ると気分は倍落ち込んでしまうことになると思います。そんなことにならないように損保ジャパンの『故障運搬時車両損害特約』を是非チェックしてみてください」と呼びかけた。なおCMはTV放送に先駆け、本日1日より、特設WEBサイトおよび公式YouTubeチャンネルにて公開される。
2022年11月01日高橋一生と飯豊まりえが共演するドラマ「岸辺露伴は動かない」の第3期が放送されることが決定した。「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる荒木飛呂彦の漫画を実写化した本シリーズは、相手を本にして生い立ちや秘密を読み、さらに指示を書き込むこともできる特殊な力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴が、編集者・泉京香と共に奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かう物語。2020年末に第1期、2021年末には第2期が放送され、いずれも大きな反響を呼んだ本作。今回放送が決定した第3弾もまた、高橋さん演じる岸辺露伴と、飯豊さん演じる泉京香の絶妙な掛け合いが健在だ。「岸辺露伴は動かない」第3期は12月、NHKにて放送予定。(cinemacafe.net)
2022年08月20日俳優の高橋一生、女優の奈緒が出演する、クラシエホームプロダクツ「ディアボーテ HIMAWARI」の新CM「雨の日も、晴れの日も」編が2日より放送される。高橋が演じる、自分の周りにだけ雨が降り続ける「ふしぎな雨男」と、奈緒が演じるその「彼女」 が登場する同CM。今回は、2人の結婚式が開催され、ついに雨男が“晴れの日”を迎える。○■高橋一生、奈緒インタビュー――奈緒さん、「ふしぎな雨男」さんの新郎姿を見て、いかがでしたか?奈緒:すごく素敵だなと思いましたし、足元とのギャップが決まっていてすごいなと思いました(笑)。格好いいのとチャーミングなのが合わさってすごい素敵でした。――高橋さん、髪のキレイな方、どう思いますか?高橋:素敵ですね。もちろん、中身も大事ですが、中身は外見に出るのではないかと。――プライベートでこれは絶対守る! など誓いを立てていることはありますか?高橋:立てられないですね……。毎度崩していくというようなことは考えています。あまりルールを課してしまうのはよくないかなと思っていて、もしかしたらそれが僕にとって譲れないことかもしれないです。奈緒:仕事を終えて帰ると落ち込んでいることが多くて。落ち込みがちな自分のために家を出る前に「今日は上手くいった」って言って家を出るようにしています。高橋:なるほど、ゲン担ぎみたいなことですか。――最後に一言お願いします。高橋:僕自身ここまでシリーズとしてやらせていただいたCMは初めてだったので、噛みしめるようにお芝居をさせていただきました。それを今まで見て下さっているみなさんに感じてもらって、いよいよこの2人が……! と思っていただければとても嬉しいなと思います。奈緒:私自身、この2人が幸せになったらいいなと思いながらCMをやらせていただいていたので、ここまで来ることができてすごく嬉しかったです。女性にとってその日の髪型が上手くいっただけでその日一日が明るくなれたりもするので、見ていただいている女性の方々が、例え雨でも明るい一日を過ごせていたらいいなと思います。
2022年08月02日ドラマや映画で大活躍、言わずと知れた実力派俳優。近年は菊田一夫演劇賞、読売演劇大賞最優秀男優賞と、名だたる演劇賞を続けて受賞。高橋一生さんの演劇人としての矜持とは?「行き止まりの人類」のような今、何を表現するべきか問うています。フィリップ・リドリーや野田秀樹作品など、高橋一生さんが出演する舞台に触れると、のほほんと安全な場所にはいられなくなる。心は揺さぶられ、物語と地続きにある、現実社会に無自覚ではいられなくなるからだ。新作舞台『2020(ニーゼロニーゼロ)』もそんな危険な薫りが。親交の深い芥川賞作家の上田岳弘さん、演出家の白井晃さんと長年温めてきた企画で、高橋さんは一人舞台に初挑戦する。「一人舞台を前からやりたかったというわけではないのですが、打ち合わせを重ねるなかで『一人でいいんじゃないですか?』と言ってしまったんです。昔から僕のことを客観的に見てくださる白井さんが、『一生がいったん一人芝居に向かうのは必然かもしれないね』とおっしゃったことにも背中を押されました」時空を超え重層的な物語を紡ぐ上田さん。『2020』はこれまでの小説に出てきたモチーフを多く盛り込む予定だが、なかでも小説『キュー』に出てくる、700年間の冷凍睡眠から目覚めた“人類最後の人間”「Genius lul‐lul(以下、GL)」が軸になりそう。そもそもこのキャラクターは、高橋さんをイメージして書かれたのだそうだ。「『キュー』を発表する前に、上田さんが書かれた戯曲のようなものを見せていただいたことがあります。そこにはすでにGLが登場していました。聞けば、僕が出演した白井さん演出の舞台『マーキュリー・ファー』を観て思いついたそうです。上田さんは僕をこんなふうに見てくださっていたのかというのがわかり、光栄でした。『マーキュリー~』からこれまで、このキャラクターが長い旅をしてきたようで、その感覚は舞台上でも持っておきたいです」今回、上田さんの戯曲をもとに白井さんが上演台本を書き、戻しという推敲作業は10回以上に及んだ。また、連日ディスカッションを繰り返しているらしい。「セリフ云々ではなく、そもそもこの舞台のテーマは何なのか、何を表現するべきかということを話していました。普段の舞台作りとは違う脳の使い方をしています」本作にはダンサーの橋本ロマンスさんも出演。高橋さんは、セリフ以外の表現にもこだわりたいと考えている。「舞台は小説と違い、肉体を通すことで言葉がいらなくなる瞬間もあります。簡単に言ってしまうと、『バカやろう!』というセリフを言ったあとに笑うか笑わないかで、伝わるものは変わってくると思うんです。歌舞伎の拍子木が、音と音との間の無音の存在を示すための役割にもなるように、言葉を使えたらと思っています」演出の白井さんとは、6年ぶり、4回目のタッグになる。「『マーキュリー~』でも『レディエント・バーミン』でも、白井さんとご一緒する作品は、まるで予言のように、舞台から想起させられる事件や情勢が上演時に現実で起きていました。2020年は過ぎていますが、上田さんが小説に書いておられる“行き止まりの人類”という感覚はリアルにあります。行き止まりの曲がり角にある今、この作品を上演するのも意味深い気がします」万人受けしなくても、誰か一人にでも響いたらという思いでいつも芝居をしていると語る高橋さん。「自分はマスの側ではなく、少数派であることはずっと意識してきました。この作品も、一人一人全く違う反応になっていいと思います。胸が熱くなるお客さんの隣で、頭に疑問符が浮かぶ人がいてもいい。僕は舞台から客席の様子をしっかり見ておくつもりでいます」パルコ・プロデュース2022『2020(ニーゼロニーゼロ)』2020年、世界で疫病が流行し、東京五輪がなくなった。この年を起点に、人類誕生から世界の終わりまでを高橋一生の体を通して表現。批評眼に満ちた、上田岳弘の壮大な世界観が体感できる舞台。7月7日(木)~31日(日)PARCO劇場作/上田岳弘構成・演出/白井晃出演/高橋一生DANCER/橋本ロマンス全席指定1万1000円ほかパルコステージ TEL:03・3477・5858福岡、京都、大阪公演あり。たかはし・いっせい1980年生まれ、東京都出身。俳優。ドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。『天保十二年のシェイクスピア』’20)で第45回菊田一夫演劇賞、NODA・MAP『フェイクスピア』(’21)で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。Tシャツ¥11,000(タンジェネットmitsuruyoshiya@gmail.com)パンツ¥49,500(ユーゲン/イデアス TEL:03・6869・4279)その他はスタイリスト私物※『anan』2022年7月13日号より。写真・上澤友香スタイリスト・秋山貴紀ヘア&メイク・田中真維(マービィ)取材、文・黒瀬朋子撮影協力・Compartment.(by anan編集部)
2022年07月12日俳優の高橋一生が6日、東京・渋谷のPARCO劇場で行われた舞台『2020』(7月7日より同所ほかにて上演)初日前会見&公開舞台稽古に、作家の上田岳弘氏、構成・演出の白井晃とともに出席した。高橋の1人芝居となる本作は、疫病があっという間に世界を覆い、東京オリンピックがなくなったあの年、2020年を起点に、はるか昔、人類の誕生から、はるか先?の世界の終わりまでを、高橋一生の声、肉体、動きを通して目撃する80分。「クロマニヨン人」「赤ちゃん工場の工場主」「最高製品を売る男」そして「最後の人間」とすべての役を高橋が演じ、人類の歴史を走り抜ける。初日を直前に控えての抱負を尋ねられた高橋は「抱負はあまり持たないようにしているので、これまで通りなんですけど、稽古でひと月近く、その半分を上田さんと白井さんとの会議に費やしましたが、稽古で構築してきたものを信じておりますので、楽しくできるんじゃないかと思っております。楽しみたいと思います」と力を込め、注目ポイントについては「被り物をするので、その辺りを楽しんでいただけたらなと思います。壮大な出オチに近いようなことが起こるので、ぜひ楽しんでいただければなと思っております。出オチが何パターンかありますから、ビジュアルでも見ていただければと思います(笑)」とアピールした。また、稽古での高橋の姿を見て「腹立たしいほど素晴らしい」と表現した白井は、その理由を問われると「難易度の高い舞台で、新しくなったこのPARCO劇場で、1人で75分間ぶっ通しでやるのは大変なことなんですね。サシで稽古をさせていただくんですが、稽古の中でどんどん成果を上げていく姿を見ていて、羨望に近いものだと思うんですけど、"なんだこの俳優は"という苛立たしさがありました」と称賛。同会見前日には同所で通し稽古を行ったそうで、高橋は「白井さんはムーブが大きいので、ものすごく視界に入るんですね。かつ、芝居をやっている最中に『あいつ…』とか『一生…』って小さい声が聞こえるんですよ。気が散ってしょうがないんですね(笑)」と苦笑し、稽古が終わったあとに一悶着あると思ったそうだが「白井さんが近づいてきて睨んでいるんですよね。『なんかありました?』って聞いたら、『一生むかつくな』って言われまして(笑)。『できてんじゃん』って言われて、素直に褒めてくれればいいのにって、昨日から釈然としない思いを引きずったままなんですが、今日ちょっとだけ褒めてくれましたね」と笑顔を見せた。さらに、作家の上田氏は「僕は文字を書く担当なんですけど、3万字以上あるんですね。それって原稿用紙にすると100枚くらいあるんですけど、そういったものを1人で演じられるんだろうかと半信半疑でいたんですけど、実際に成り立っていてすごいなと、普通に感動しました」と高橋を称えると、高橋は「いま言われてびっくりしましたね。人の脳ってそれだけ入るんですね。びっくりしました」と自分自身の能力に驚いていた。
2022年07月07日パルコ・プロデュース2022『2020(ニーゼロニーゼロ)』が7月7日より、東京・渋谷のPARCO劇場で開幕。主演の高橋一生をはじめ、本作品を書き下ろした芥川賞作家の上田岳弘、構成・演出の白井晃が初日を迎える思いや、本作が生まれた舞台裏を語った。世界中をパンデミックが襲った2020年を起点に、高橋がクロマニヨン人、赤ちゃん工場の工場主、最高製品を売る男、最後の人間というすべての役柄を一人で演じ、人類の誕生と世界の終わりを声、肉体、動きで表現。ステージング・振付を担当した橋本ロマンスがダンサーとしても出演し、映像、音楽、ダンスが彩る野心作に仕上がった。「自分一人と客席が対峙する構成。どのような反応があるか楽しみ」(高橋)高橋一生上田氏によると、書き上げたテキスト量は「3万字以上になった」といい、それをすべて覚えることになった高橋は「そう言われてビックリ。それだけ入るんだな、人の脳みそって」と涼しい表情。稽古を重ねた過程を「脳みそだけじゃなく、体を動かすことで連動した記憶もたくさんありますね。苦労もなかったですし、周りの皆さんに支えていただいている」と振り返り、「自分で思う以上に汗をかくので、塩分を取っている」と夏バテ防止法も語った。白井晃演出の白井とは、『4 four』、『マーキュリー・ファー』、『レディエント・バーミン』で高い成果をあげており、今回が6年ぶりのタッグ復活。高橋が「通し稽古中、白井さんがちっちゃな声で『あいつ~』『一生、むかつくな~』と言うのが聞こえて、気が散ってしょうがなかった(笑)」と暴露すると、白井は「難度の高い一人芝居を背負って立つ一生くんの頑張り、踏ん張りは端から見ていて、腹立たしいくらい素晴らしくて。羨望ですね(笑)。最大の誉め言葉で伝えただけ」と本心をコメント。これには、高橋も「釈然としない思い。素直に褒めてくれればいいのに」と苦笑いしつつ、全幅の信頼を示していた。上田岳弘そんな両名のやりとりに、上田氏は「自分の作品はただでさえ難解と言われ、そういったものを一人で演じきれるのか半信半疑だったが、非常に高い精度で、舞台として成立させ、すごいなと感動しました」と絶賛。白井は「上田さんの壮大な概念の世界を演劇にするのは、非常に難しい行為だった」と認め、「出演者である高橋さんとも議論を重ね、クリエーションチームの力で、刺激的な興味深い作品になったんじゃないかと思う」と自信をのぞかせた。取材・文・撮影=内田涼<公演情報>パルコ・プロデュース2022『2020(ニーゼロニーゼロ)』作:上田岳弘構成・演出:白井晃出演:高橋一生ダンサー:橋本ロマンス2022年7月7日(木)~7月31日(日) PARCO劇場2022年8月6日(土)、8月7日(日) 福岡・キャナルシティ劇場2022年8月11日(木・祝) 京都劇場2022年8月18日(木)~8月21日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
2022年07月07日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。犯罪者としても、警察官として捜査する立場としても、「『彼』は優秀だったのだろうな」と思う。警察がどう捜査するかを熟知しているから、犯罪者としてすり抜ける道が見える。犯罪者が、どんな心理で犯罪を行うかを知っているから、警察官として動機や逃げ道も見える。『reaper(リーパー)』という単語には、刈り取り機という意味、そこから転じて収穫者、更に死神(大鎌から転じたのだろうか)の意味があるという。『死神』と称されるほどの凶悪犯罪者の彼には、多少なりとも善悪の境界線での迷いはあったのだろうか。善悪というよりも、犯罪の快楽とそれらが誰にも認められない空しさを往還(おうかん)していたのかもしれない。警察内部にいる内通者は誰…捜査の為には荒っぽい捜査も躊躇しない無骨な刑事・志村貴文(高橋一生)と、その刑事の前に突然現れて警察への協力を申し出てきた裏社会の犯罪コーディネーター、インビジブルを名乗る女・キリコ(柴咲コウ)のバディを描く『インビジブル』(TBS系金曜22時)。物語はついに最後のクライマックスに突入した。キリコと志村は、真のインビジブルとしてより過激化して暴走するキリヒト(永山絢斗)を止めようと奔走するが、キリヒトの策略でキリコは連れ去られてしまう。更に、それまでに存在が匂わされていた警察内部の内通者の活動もあからさまになりつつある中、今回、第9話ではキリコと志村それぞれの『相手』との駆け引きが繰り広げられた。おそらく志村は、誰が警察内部の内通者なのか既に感づいていたのだと思う。事故で不審死した犬飼捜査一課長(原田泰造)の後頭部の傷、それを『やけど』と明言した監察官・猿渡紳一郎(桐谷健太)の言葉(第8話)と、その記載のない死体検案書が回想を伴って繰り返される場面がそれを暗示しているようだ。ドラマとして、内通者の存在が明言される前から、警察内部に内通者がいるという気配はあったものの、誰がそれなのかは見事なほどに分からなかった。犬飼を演じた原田泰造含め、酒向芳、山崎銀之丞、堀田茜、有岡大貴と、警察内部を演じた俳優みな、疑いだせばそう見える演技巧者揃いである(とりわけ酒向芳が演じる穏和な班長は、過去の同枠ドラマ『最愛』での怪演が視聴者の印象に強い分、ミスリードのおとりとして見事だった)。犯罪者として「リーパー」と呼ばれている内通者は、厳しくあたるように見せながらも、時には志村を案じ、時に助けの手を差し伸べてきた監察官の猿渡だった。猿渡がリーパーであると発覚する発端が、事故死した犬飼が執念で調べ続けていた、紙ベースで残された猿渡が未成年時の古い犯罪記録だという描写が興味深い。仮に警察官自身に関係する犯罪歴があったとしても、デジタルデータならば内部改ざんの可能性が高い。ならば紙データまで遡るという犬飼の執念は、執拗に犯罪を追う志村の刑事としての泥臭さに相通じるものだ。物語を通じてずっとデジタルで犯罪が依頼され、匿名のまま犯罪が行われ、データが集積されていく描写の中で、最後に紙の一枚、一文が見えない内通者をあぶり出したのである。猿渡は、志村のことを『おもちゃ』と称し、密かに弄ぶことを楽しんでいるのだとキリヒトはキリコに語る。それは、迷い自分の不甲斐なさに怒りながら生きていく、しかし、どんな泥の中でもある種の清廉さを失わない志村の生き方に対する歪んだ憧憬なのではないか。志村とキリコ。猿渡と、リーパーである猿渡を心の支えとしているキリヒト。それぞれ対称のように警察官と犯罪者、善悪の境目で手を伸ばしあう二組のバディはどんな結末を迎えるのだろうか。いよいよ次回、最終回である。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年06月14日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。世間からは価値を認められていない、極めて属人的で生産性も悪い、担い手の気概だけで細々とやっている家業を青年は継いだ。自分に仕事を教えてくれた親ももういないことだし、効率化なり自分なりのやりがいなりを足してこれからも頑張ってみようと思っている。家業だから、ただ一人の家族で仕事の重要性を理解してくれる姉と苦労も成果も分かち合って頑張っていこうと思っていたのに、その姉はなぜか自分のやり方を頭ごなしに全否定した上に自分を激しく糾弾する。どういうことだ。姉は何かに血迷っているのか、他人から悪い入れ知恵でもされているのではないか。かくして青年は必死に姉の説得を始める。「これからも一緒に家業をやっていこうよ」と。これだけなら、相続から派生する姉弟の不仲として世の中にありがちな、どっちもどっちの話に聞こえるけれど、それが反社会的な行為を家業として生きてきた家族の話なら話は別だ。まして、裏社会にあって犯罪を差配するような人間たちの話ならば、なおさらのこと。3年前に捜査中に後輩を殺害され、その犯人を追い続けている無骨者の刑事・志村貴文(高橋一生)と、その志村の前に現れ捜査協力を申し出てきた裏社会の犯罪コーディネーター・インビジブルを名乗る女・キリコ(柴咲コウ)のバディを描く『インビジブル』(TBS系金曜22時)。ここまでに、キリコは真のインビジブルである弟のキリヒト(永山絢斗)の凶悪化と暴走を止めようとして警察に協力を申し出たこと、一方、キリヒトは姉であるキリコを自分の元に取り戻そうと画策をしていること、警察内部にもキリヒトへの内通者が存在していることが描かれている。第8話ではキリヒトがキリコを自分の元に引き戻すべく、警視庁相手の公開殺人ショーという大胆かつ奇抜な手に出る。3年前に殺されてしまった後輩・安野(平埜生成)の妹である東子(大野いと)を人質に取られ、助けるべく奔走していた志村もまた、キリヒトの罠に捕まってしまう。東子か志村か、どちらを殺すか選べとキリヒトから無情な選択を迫られたキリコは、苦渋の末にどちらの命も救うべく、警察の保護を離れてキリヒトの元に戻ることを約束してしまう。この交渉の中で、志村がキリコ相手に「キリコ、俺を殺せと言え」と語りかけるシーンは、やはりNHK大河ドラマの『おんな城主直虎』の主人公・井伊直虎と、直虎を陰ながら支え続けて死んだ小野政次の悲劇を彷彿とさせる場面である。前回もレビューした通り、志村とキリコはこのドラマの中で一貫して恋愛感情を伴う関係ではないが、ここぞというときの互いの信頼にエモーショナルな火花が散る。【『インビジブル』感想7話】まなざしが支えるもの高橋一生という俳優の持つ誠実さと、柴咲コウという俳優の持つ無垢さが混ざり合って、華やかな化学変化を起こすかのようだ。結局、志村と東子の命を救うためにキリコは「さようなら。志村さん」という囁きのような別れの言葉を残して志村のもとを去り、志村はキリコが生活していた部屋でぼんやりと座り込んでいる。本来ならば(内通者が誰なのかの問題は残るとはいえ)志村にとっては、元の一匹狼の刑事に戻るだけのはずだが、心配する監察官の猿渡(桐谷健太)に声をかけられた志村は、キリコがそれでもキリヒトの暴走を止めたいと願っている真意を信じる言葉とともに、「キリコを取り戻す」と力強く宣言する。例えば、『キリコを助け出す』以上に「取り戻す」という、より明確な方向を伴う言葉の根底にある意思。それは、志村にとってキリコが魂の命綱で繋がったバディであり、今はもう自分の傍らにあるべき存在だと疑わないがゆえの言葉なのだと思う。志村は、弟の執着からキリコを取り戻せるだろうか。そして、キリコはかつて「あなたの目の前では死なない」と誓った彼女自身の言葉を守り通せるだろうか。異色のバディの、最後の戦いが始まる。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年06月07日俳優の高橋一生と女優の奈緒が出演する、クラシエホームプロダクツ・ディアボーテ HIMAWARIの新CM「てるてるぼうず」編が、2日から放送される。新CMでは、高橋が自分の周りだけ雨が降り続ける雨男として、奈緒はその彼女として登場。雨男がベンチに座って読書をしていると、男の子からてるてる坊主を手渡される。その様子を見ていた彼女は、あまりのかわいさに笑顔になる。■高橋一生&奈緒インタビュー――新CM「てるてるぼうず」編を撮影された感想をお聞かせください。高橋:とにかく暑かったですね。奈緒:天気には恵まれましたね。良かったです。――もうすぐ梅雨入りですが、何か準備されていることはありますか?奈緒:意外と紫外線予防を見落としがちなので、なるべく梅雨の間も紫外線予防をするようにしています。(ヘアケアとしては)あと、最近、頭皮のマッサージ機を買ったので、あまり頭が疲れないようにマッサージしています。――もらって優しい気持ちになったプレゼントはありますか?奈緒:子役の子がよく手紙をくれるんです。折り紙で作ってくれたり、この間は紙皿に似顔絵を描いてくれました。それは家で飾っています。高橋:僕はなんとも言いようのない玉をもらったことがあります。毛糸の玉を少しずつほぐしていって、ゴロゴロ丸めていると大きくてきれいな玉になるんです。言葉より嬉しかったです。奈緒:気持ちがこもっていますね。――最後に一言お願いします。高橋:人が人を想う、という温かい気持ちになれるようなCMになっていると思うので、ぜひ見ていただけたらと思います。奈緒:ちょうど梅雨の時期というと、もしかしたら好きな人もいらっしゃるでしょうし、ちょっと梅雨は憂鬱になる方もいらっしゃると思うんですけど、梅雨の時期だからこそできる、好きな人との相合い傘など、幸せを日常で見つけられるようなCMになったと思いますので、一緒に梅雨を乗り越えられたらいいなと思います。
2022年06月02日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。ある程度年齢を重ねて社会の中で経験値を積むと、少しずつ世の中の善悪というのは入り混じっていて、ハサミで切り落とすように白黒はつかないのだと分かってくる。犯罪と合法の境界線のようなきわどい判断ではなくても、誰かにとっての善と、他の誰かにとっての悪は絡み合っていて、見る角度の違いでしかないことも多い。ただ、それを悟ったとしても、大半の人々は常識や一般的な善人としての領域に踏みとどまって生きていく。堕落せず、人を害さず、自分の判断に折り合いをつけて生きていく。それを分かつものは何か。そんなことを考えてしまった。3年前、家族同然だった後輩を捜査中に殺害されて以来、荒れた捜査でその犯人を捜し続ける刑事・志村貴文(高橋一生)の前に現れたのは、「インビジブル」と呼ばれ恐れられている裏社会の犯罪コーディネーター・キリコ(柴咲コウ)だった。だが、犯罪者の情報提供と引き換えに捜査の実動を求めてきた彼女は、実際にはインビジブルではなく、本当のインビジブルである弟のキリヒト(永山絢斗)の、犯罪コーディネーターとして過激化していく暴走を止めることが真の目的だった。キリコのその望みに呼応し、志村はキリヒトを止めるべく協力を申し出る。そんな異色のバディを描いてきた『インビジブル』(TBS系金曜22時)。ドラマは姉と弟の争い、そして警察内部の裏切りを巻き込みながらいよいよ終盤に向かっている。この回では、急成長するITベンチャー企業の社長の殺害依頼をめぐる、志村とキリコのクールな連携が存分に楽しめた。キリヒトが裏で糸を引いている殺人を社長の警護を通して止めようとする志村と、警察内部の内通者を密室に居ながらデータから洗い出そうとするキリコのやりとりは、時に携帯電話を通して、時に盗聴から逃れる為に小声で、抑えた声で淡々と交わされるけれども、その分だけ互いの信頼感がにじむ。ふと、志村は相変わらず無愛想ではあるけれども、あまり荒んだ表情を見せなくなったなと思う。志村とキリコの二人は、互いの能力と真摯さを信じあうバディではあるけれども、少なくとも今のところは恋愛関係ではない。大きな期待や依存を寄せ合うような湿った関係でもない。簡単には名前のつけられない信頼感、それで十分だと思う。高橋一生という俳優には、そんな乾いた信頼感のある役が不思議とよく似合う。特殊能力を持つ偏屈な漫画家を演じた時も(2020年・2021年『岸辺露伴は動かない』NHK)、猟奇殺人犯を装いながら決して本心を明かさない男を演じた時も(2021年『天国と地獄』TBS系)、理屈っぽいセクシュアルマイノリティを演じた時も(2022年『恋せぬふたり』NHK)、高橋一生が演じる男と、相対する女性との関係は恋愛にはならないけれども、高橋一生は恋愛しない関係こそをロマンチックに、きちんと体温の通ったものとして魅せる。今作でもその魅力は存分に発揮されていると思う。結局、志村とキリコはITベンチャー社長を殺害依頼から守り抜くことに成功するものの、命を救った社長も、殺人を依頼してきた同会社の役員も、どちらも到底潔白とは言えない履歴の持ち主であることを知り、志村は徒労感をにじませる。善悪の境界線が揺らぐ煩雑さにうんざりする志村に、キリコは「見極めるんでしょ?何が悪なのか。…あなたが見極めて」と、かつて志村が自分を励ます為にかけてくれた言葉を電話越しに返し、背中を押す。その言葉で、志村の瞳に力が戻るようで印象的だった。善悪が渾然とするこの社会で、投げやりにならず、流されず、諦めず、信じるものを追い求めるための分かれ道は何か。志村とキリコが交わす言葉に、それは自分を信じてくれる誰かのまなざしではないかと思った。約束や誓いほど堅固でなくてもいい、温かなまなざし。それを正面から見つめ返せる自分でありたいと思えることが、何かを諦めかける瞬間に自分を支える杖たり得るのではないか。善悪の境界線で時に転び、支え合いながら、この二人はどんな未来にたどり着くのか。最後まで見届けたいと思う。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年05月31日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。片方の男は、「悪事の依頼といえどビジネスだ。依頼が正当かどうか、誰が誰の死を望むのか。その理由も興味は無い。需要があるから僕のビジネスは成り立つ」と淡々と語る。もう片方の男は、「何が正義で何が悪かは俺が見極める」と、力強く言う。人の世で、善と悪は常に地続きだと悟っており、その複雑さに自分の意思を見失いかけて諦めようとする女に、それぞれの男は語りかける。犯罪者と刑事、語る言葉は正反対に見えるが、それはおそらく背中合わせになっている一つの価値観の表裏だ。どこまでも白黒のつかない人の世だとしても、生きている限り、人はどこかで踏み切らねばならない。数年前に同僚を何者かに殺害されてから、その真相を追うために荒っぽい捜査を厭わない無骨者の刑事・志村貴文(高橋一生)と、突如警察に捜査協力を申し出てきた裏社会の犯罪コーディネーター・インビジブルを名乗るキリコ(柴咲コウ)の異色のバディを描く『インビジブル』(TBS系金曜22時)。前回、本当のインビジブルはキリコではなく、彼女の弟のキリヒト(永山絢斗)であり、キリコは弟を探し出す為に「インビジブル」を名乗っていたことが明かされた。6話では、キリコとキリヒトの姉弟がなぜ「インビジブル」と名乗ることになったのか、なぜ二人が決裂したのか、そしてなぜキリコが志村の前に現れたのかが、ドクターと呼ばれる猟奇殺人者の事件をベースにしながら描かれた。そもそもキリコ・キリヒト、姉弟の父親が最初に「インビジブル」と呼ばれており、父親当人は犯罪を差配すること自体は必要悪であると捉えて仕事をしていたものの、後継として育てたはずの息子のキリヒトが想定以上に先鋭化してしまった。おそらく父親の中には、自分がコーディネーターとして手綱を引くことで裏社会であっても秩序が保たれるという信念があったのだろう。だが、過激化する息子と父は争い、父親の方が殺害されてしまった。残された娘、つまりキリコは弟に怒りを覚えながらも、より凶悪化する弟を止める手立てはないか探り、かつて父が敵ながらその捜査への執念を賞賛していた刑事の志村の手を借りることを思いつく(その過剰な正義感と執念が、裏社会からのコネクトを呼び寄せてしまうのも、いかにも本作らしい)。しかし、弟と育ちが繋がっている上に、現状も犯罪を通して駆け引きが続くならば、自分もまた悪事に荷担していることと同じではないかと投げやりになるキリコに、志村は力強く「正義も悪も自分で決めるのだ」と語りかける。「目の前にいる誰かが困っているなら助ける、だからお前が困っているならお前を助ける」と言い切る志村の中では、刑事の経験則として善悪の境界線を探る迷いの決着は、既についているのだろう。「(困っているなら)早く言えよ」と無愛想に言って、キリコの飲みさしの紅茶を勝手に飲んでしまう志村の無骨さに頬が緩む。飲んでしまった紅茶は、ふたりの一蓮托生のあかしかもしれない。改めて協力してキリヒトを追うことを決めた二人だが、最後にキリコは、警察内にインビジブル・キリヒトと内通している誰かがいることを志村に示唆する。前回、ハナカマキリという植物に擬態して獲物を狩るカマキリのことが語られ、それが犯罪者に擬態して獲物を捕らえるキリコの言動そのものであると志村は見抜くのだが、ハナカマキリは犯罪者側だけではなく警察内、善の側にも存在している。捜査一課、監察官、志村が所属している特命捜査対策班。いずれもくせ者ぞろい、演技巧者がそろった配役である。誰が内通者なのか、今のところ誰にも可能性があるように見える。凶悪犯罪者と警察内部、両方と戦いながら二人は望む未来を掴めるのか。物語は山場に入る。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年05月24日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。期待のない関係なら失望もない。いかに利用するかの駆け引きがあるだけだ。だが、互いに期待と信頼が生じ始めた時に、皮肉なことに相手の粗(あら)も見え始める。距離が縮まれば、見たくないものも目に入る。誤魔化しているところもわかる。そこが『知人以上』の最初の一線である。そこから引くか、踏み出すか。裏社会で恐れられている犯罪コーディネーターが、警察相手に協力者として指名したのは、数年前に目の前で後輩を殺されて以来、荒れた捜査を続けている無骨な刑事だった。そんな異色のバディが数々の事件に立ち向かう『インビジブル』(TBS系金曜日22時)、いよいよ中盤折り返しの5話目である。物語が始まった時から、ずっと微かな違和感があった。犯罪者たちから恐れられ、『インビジブル』と呼ばれている犯罪コーディネーターのキリコ(柴咲コウ)は確かにクレバーで、人をくったようなところがあり(志村をからかう「キレッキレじゃん」の表情の魅力的なこと)、犯罪の知識にも通じているけれども、どうも倫理観が真っ当なのである。それもまたキリコという人物の魅力に違いないのだが、本当に彼女がインビジブルなのか、あるいは彼女一人だけがインビジブルなのかは、おそらくこのドラマを楽しんでいる多くの人たちの頭の片隅に、ドラマの当初からあった疑問ではないかと思う。前回のラストで、主人公の刑事・志村貴文(高橋一生)の後輩・安野(平埜生成)が殺害された事件は、インビジブルの指示した犯罪であることが判明する。激高する志村相手に何も答えず、キリコは直後に姿を消してしまう。3年前の殺人の情報、キリコの見えない思惑、複雑な感情を抱えたまま志村はキリコを探す。その過程で志村はハッカーのラビアンローズ、通称ローズ(DAIGO)に、半ば無理矢理協力を求めるのだが、このローズのキャラクターが鮮烈でとてもいい。初回、第3話とハッカーとして少し登場していたローズだが、回を追うごとに『キャラ立ち』していくのが分かる。ジェンダーレスで派手で一見軽薄だけれども、知的好奇心に溢れている。志村が連れてきた警察の鑑識の近松(谷恭輔)に興味津々で絡みたがるが、ハッキングを始めれば知識と能力をフル稼働して仕事に没頭する。キャラクターの癖は強いが下品にならないのは、演じているDAIGO本人の持つ清潔感ゆえだと思う。この先の後半も繰り返し見たいキャラクターである。また今作では、志村を監視するキャリア監察官・猿渡紳一郎を演じる桐谷健太もまた、助演としてニュアンスのある演技を見せている。auのCMで、浦島太郎を元にした『浦ちゃん』での印象が強く、明朗な好青年のイメージで語られがちな桐谷だが、NHK連続テレビ小説『まんぷく』では敵か味方か判然としない胡散臭い男・世良勝夫を演じた。宮藤官九郎脚本の『俺の家の話』(2021年TBS系)では芸養子として主人公の家に引き取られて屈折した心情を押し殺して暮らしている青年・観山寿限無をと、内面を表に見せない複雑な役を作品のトーンに合わせて演じ分けている。今作の猿渡も真意はなかなか表に出さないが、常に志村に厳しくあたる言葉と裏腹に、無茶な捜査に走りがちな志村を案じている様子が垣間見える。その真意は志村に通じているやらいないやら、毎回絶妙なさじ加減なのが見ていて興味深い。奔走の果てに志村はキリコを見つけ合流する。そこで志村はキリコが桐島と名乗る誰かを追っていること、その為にインビジブルを装って警察に近づいたということを見抜く。そして今回の最後、二人の前に桐島つまり本来のインビジブルが現れる。本来のインビジブルであるキリヒトを演じるのは永山絢斗。登場のときから有無をいわせぬ暴力の気配をまとっているのはさすがである。更に、キリコとキリヒトが姉弟であることも明かされて5話目は終わる。ともにインビジブルを名乗る姉と弟の関係は、必ずしも良好ではなさそうである。ここまでにキリコは、志村相手に何かもの言いたげにしつつも自分の意図を語ることはなかったし、この回でも一度言いよどんで結局告げずにいる。それは弟のことまで告げてしまえば、志村を後戻りできない大きな危険に引き込むというためらいではなかったか。その一線を目の前に、志村は立ちすくむのか、踏み込むのか。物語は加速する。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年05月17日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。互いに大人同士であるならば、別に心の底から信用しているわけでもないけれど、ふと目の前の人の言動に小さな嘘を見つけたときに、背中がひやりとするような、なんとも言えない感覚がある。おそらく(自分も含め)大多数の人間は、自身で思うよりも、嘘というものに強い耐性がないのだと思う。過去に目の前で相棒だった後輩を殺されて、人生が変わってしまった刑事・志村貴文(高橋一生)の前に突然現れたのは、裏社会で犯罪のコーディネートを請け負う『インビジブル』と呼ばれる女・キリコ(柴咲コウ)だった。女は犯罪の情報と引き換えに、様々な事件解決のための実働役を引き受けるよう刑事に取引を持ちかける。そんな異色のバディを描くインビジブル(TBS系金曜22時)。4話では、いよいよ志村の過去の事件と現在のキリコの思惑が交錯する。今回、志村の後輩・安野(平埜生成)を殺した犯人と同じ特殊なナイフを持つ通り魔が現れ、同時期に窃盗団による名画の盗難が相次ぐ。無関係に見える二つの事件は繋がっていると教えられ、志村はキリコに連れられて闇オークションの会場に赴く。セレブリティに全く無縁な無骨者の志村が、キリコ相手に高価なタキシードをまとい、ぎこちなくマナーに悪戦苦闘する様子はロマンチックに、そしてユーモアに溢れていた。警察の作戦開始までの時間稼ぎの為に50億円を超えるオークションにおろおろしながら入札しつづける志村を、最後にキリコは「はい、おしまい。よく、できました」と囁いて制止する。志村の目をのぞき込みながらねぎらう艶のある声に、画面越しにでもぞくっとした。善悪の境界線を越えて、ごく自然に他者を『褒める』立場の人間であり、褒めるその行為一つで、相手に報われたような幸福感をもたらすことができると知らしめる。それがカリスマというものの一つの発現であるなら、柴咲コウという独特の神秘性をまとった俳優の、真骨頂のシーンだと思った。更に毎回工夫を凝らしてある、銃を持たない刑事・志村のバックヤードのアクションも、今回もまたジャケットプレイあり、皿投げありで楽しく見応えがある。この高揚感は、往年のジャッキー・チェンに代表される香港アクション映画の面白さだと思う。おそらく物語のトーンが暗くなるであろう後半でも是非継続して見てみたい。だが、絵画の盗難事件も無事終結、本来の目的の相手は逃したもののキリコと志村の信頼は更に深まったように見え、今回は楽しかったなと思っていた矢先、ラストの3分でストーリーは一気に暗転する。3年前、志村の後輩を殺害したと見られる通り魔殺人の容疑者が取り調べに応じ始め、3年前の殺人の依頼者がインビジブル、つまりキリコであると自供するのである。説明しろと、不信に揺れながら声を押し殺す志村と、ただ黙って見つめ返すキリコの場面で今回は終わる。信頼が揺らぎ、崩れようとする瞬間にこそ、これは信頼だったのだと改めて気づく。特殊なナイフを使う通り魔、キリコが手にした米国の犯罪者のリスト、記者である安野の妹の東子(大野いと)が撮影して手元に持つキリコの写真。キリコという人物の善悪自体とともに、果たして彼女は『本当に』インビジブルであるのか、そうだとして単独の存在であるのか、謎は広がっていくばかりだ。点と点を繋いでいる粗い編み目のようなそれは、果たしてこの先、志村貴文を絡め取る罠に変わるのか、あるいは落下をすくいとるセーフティーネットたりうるのか、まだ見えてこない。その編み目を満たすものが、信頼なのか利害なのかも。その答えは、これからである。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年05月10日高橋一生主演の「インビジブル」第4話が5月6日放送。タキシード姿で犯人たちと戦う志村を演じる高橋さんの演技に「魅力が尽きない」などの声が上がる一方、キリコに対して“偽者”のインビジブルなのではと疑う視聴者からの声も多数SNSに寄せられている。3年前に同僚を殺した通り魔を追う刑事・志村の前に、都市伝説と言われていた犯罪コーディネーター“インビジブル”キリコが現れ、事件の情報を教えると取引を持ちかけてくる。警察はインビジブルを“匿って”利用しようとするが…という前代未聞犯罪エンターテインメントとなる本作。志村貴文に高橋さん。“インビジブル”キリコに柴咲コウ。監察官の猿渡紳一郎に桐谷健太。キリコの助手・マー君に板垣李光人。捜査一課の刑事・磯ヶ谷潔に有岡大貴(Hey!Say!JUMP)。捜査一課課長の犬飼彰吾に原田泰造。塚地敬一に酒向芳といったキャストが出演。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。捜査三課長の大貫(松下由樹)が一課に捜査協力を求めてくる。猿の格好をした3人組による連続絵画盗難事件の解決にキリコの力を借りたいという。桐子は窃盗団モンキーズが犯人だといい、彼らの次のターゲットが「ナンバーX」なる絵画だと告げる。しかもキリコはその「ナンバーX」を入手していた。警察はナンバーXを使ってモンキーズをおびき出そうとするも、絵画はモンキーズに奪われてしまう。しかしキリコはナンバーXに発信機を取り付けており、志村はキリコとともにナンバーXの取引が行われる闇オークション会場に潜入する…というのが4話のストーリー。キリコが見立てたタキシードに身を包みオークション会場に潜入。現れたモンキーズと激しいアクションを繰り広げる志村…そんな志村を演じる高橋さんの演技に「アクションシーンもかなりハードだし、彼はいくつも引き出しを持ってて、魅力が尽きない」「鬼気迫る演技も怒りを内に抑えた演技も穏やかな表情の演技も、、全部惹かれる」などの反応が集まる。また黒髪のカツラで変装したキリコにも「ドレスアップして黒髪の柴咲コウめちゃくちゃ綺麗だった…」「金髪ベリショと黒髪パッツンどっちも似合うの無敵すぎる」といった声が。一方、若い女性が被害者になった通り魔事件が発生、使われた凶器が3年前の事件のものと一致する。一課は犯人と思われる男を確保、自ら取り調べようとする志村に対し、猿渡は自分が取り調べると告げる。その後犯人は3年前の事件についても自供するのだが、犯人は「インビジブルに頼まれ」事件を起こしたと証言する…という展開に。このラストに「やっぱりキリコはインビジブルじゃないパターンきた??」「インビジブル」って、本当はキリコのことじゃないんじゃない?」「キリコも脅されてたり復讐のためにインビジブルやってたりとか」など、キリコが“偽者”のインビジブルなのではないかと推察する視聴者も続出している。【5話あらすじ】3年前の事件にキリコが関与しているのか…?腑に落ちない志村は「インビジブルに頼まれた」と証言した武入(鈴之助)に再び会い、ある確信を得るが、武入が検察への護送中に何者かに連れ去られてしまう。さらにキリコも民宿から行方をくらまし、二人の緊急配備が敷かれる…。「インビジブル」は毎週金曜日22時~TBS系で放送。(笠緒)
2022年05月07日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。どのカテゴリにも属さないということは、軽やかではあるけれど、厳しく孤独なことでもある。何かを否定しないならそれを肯定していると解釈され、何かを肯定しないならそれを否定していると解釈されて、すぐに極端にカテゴライズされがちなこの世の中で、何にも属さないでいようとすれば、誰も敵にしないつもりが、気が付けばみんな敵ということになってしまう。性別、年齢、何もかもを軽やかに飛び越えて、金髪のショートカットで美麗な服を着こなす柴咲コウを見ていて、この人が静かに受け止めている孤独について考えた。三年前に相棒だった後輩の刑事を殺されてから、その事件を追って危険な捜査を繰り返す武骨な刑事・志村隆文(高橋一生)と、闇社会の犯罪コーディネーターとしてインビジブルと呼ばれ、畏怖されているキリコと名乗る女(柴咲コウ)の異質のバディを描く『インビジブル』(TBS系金曜22時)。3話の事件では、『演出家』と呼ばれる劇場型の殺人を繰り返す犯人を、バディ二人が追う展開になった。殺人者『演出家』を演じているのは要潤で、テンションの高いエキセントリックな犯罪者タイプなのかと思いきや、意外と重苦しく粘着質な犯罪者像で、要潤の大柄な体格とも相まって、不気味で見ごたえがあった。今回の事件で興味深く感じたのが、一度は失敗した警察の捜査に、キリコがいらだちを見せて匙を投げるところを、志村が根気よくその誠実さで説得して、キリコを再び捜査に引き戻すところである。互いに何度も不信と信頼の間を揺れながら、それぞれの仕事に対する尊重が積みあがっているのが垣間見えるシーンである。続く捜査協力の中で、キリコは外出許可を取りつけて、志村と二人、事件に使われた麻薬の販売先を追って薬の売人のもとを訪れる。極彩色の派手な服をまとい、まるでステージ上のように軽やかに歩くキリコと、黒ずくめの個性もなにもない服で落ち着かない風情で歩く志村と、その対比に思わず笑ってしまう。だが、同時にキリコの美しさに、この世には沢山の美しい女優がいるけれども、こんなにも少年のように美しいひとは他にいないと感嘆させられる。その神秘性を支えているものについて考えたときに、ふと柴咲が主演をつとめたNHK大河ドラマ『おんな城主直虎』最終回で、明智の遺児の命を守るために主人公直虎が、「自分は子を産んでいないからこそ、どの子も等しく愛おしい、だからこの子は渡せない」と語った場面を思い出す。誰のものでもないから誰もを愛せる。きらめく理想の言葉の下に、他者には見えない果てのない孤独がある。冬の夜の空気の中で星がひときわ輝くように、冴えた孤独のなかにこそ際立つ美しさもまたあると思う。柴咲コウの魅力は、そんな美しさの体現だと思っている。今作の面白さの一つに、普段はソフトな人物の役柄の印象が強い高橋一生の激しいアクションシーンがあるが、今作のアクションはかなり泥臭く、それが独特の面白さに繋がっている。違法捜査を繰り返す志村は、銃の所持が許可されておらず、それゆえに小麦粉を粉塵爆発させたり、プールに高圧電流を流したりして武装した犯罪者と戦うことになるのだが、とにかく転げまわり、うめき、文句を言い、知恵を絞って走り回る。いわゆる激しく打ち合うようなかっこいいアクションではないけれども、くせになりそうな面白さで、個人的には早くも3回目にしてお約束の楽しみになってきている。是非この先も銃の所持はなしで、愚痴を言いながら不憫に転げまわる志村貴文を見てみたいと思っている。そして、いよいよ次話から3年前の志村の後輩が殺された事件が因縁として動き出す様子である。2話でキリコの身の危険を案じた志村に、キリコは軽い調子で「あなたの前では死んだりしないから安心して」と返す。それは3年前の事件の因縁を考えた言葉であるのと同時に、誇り高い猫が自分の死に場所に思いをはせているようで、胸が痛んだ。犯罪に深く関わって生きてきた者が警察と絡むということの意味を一番理解しているのはキリコ自身だろう。その動機と去就、目が離せない展開が続く。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年05月02日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。『その人』に望む魅力とは何だろうと考える。洋菓子店に行くなら上質な甘味を。天ぷらの専門店に行くなら、からりと揚がった極上のエビやサクサクのかき揚げを私たちはごく当たり前に求めている。高橋一生という役者に私たちが求めているものはなにか。この変幻自在の俳優には、一見でそれと分かるような看板はかけられない。まるでどの国の料理がベースなのか想像もつかないが、何を頼んでも極上の一皿が現れる、路地裏にそっと開いた無国籍料理のレストランのようだ。だが一言で言い表せなくても、例えばそこに漂うスパイスの香り、シナモンであったりジンジャーであったり、高橋一生らしいと私たちが唸る何かの共通項、複雑な香りは確かにある。それは何だろうとこのドラマを見ながら考えていた。犯人逮捕の為なら違法な捜査も厭(いと)わない武闘派の刑事・志村貴文(高橋一生)と、インビジブルと呼ばれる闇社会の犯罪コーディネーター・キリコ(柴咲コウ)が、バディとなって見えざる犯罪者をあぶり出す『インビジブル』(TBS系金曜日22時)。2話では、少しずつ互いの信頼関係が強まる様子が描かれていた。今回の犯罪者は『調教師』と呼ばれる人物で、非行や家庭環境から行き場を無くした若者を取り込んで犯罪に追い込んだ上に、警察の捜査が及ぼうとすれば即座に殺して証拠を隠滅してしまう。キリコから情報を得て、志村が捜査に奔走するものの、志村自身の認識の甘さやタイミングのずれで、『調教師』に取り込まれた二人の若者を犠牲にしてしまう。このドラマで、高橋一生はこれまでにない激しいアクションシーンをいくつも演じているが、これまで捜査過程で問題ばかり起こしてきた志村は銃を持つことを許されていないという設定で、アクションは主に何かを振り回したり、椅子や家具で防御することがメインになっている。2話では武器として台所のフライパンを勢いよく振り回し、小麦粉で粉塵爆発を引き起こしてネイルガン(釘打ち銃)に対抗しており、常にアクションはキレまくってるが、同時にほんのりと可笑しみが漂っている。更に志村本人は常に眉間にしわを寄せ、一言一言の声音は荒んでいるけれども、どこか本来の甘さや生真面目さを隠しきれない瞬間があって、見ていてつい頬が緩んでしまう。そして今回の白眉は、やはり『調教師』の犯行を止められない上に志村との間に信頼関係が得られないことに落胆しつつ、紅茶を飲もうとするキリコを制して「調教師は必ず捕まえる。だからお前も力を貸せ」と目を見ながら語りかけるシーンだろう。キリコがカップを持とうとする手をそっと制する仕草に、「ああ、高橋一生の演技だな、それっぽいな」と思う。敵のように振る舞いながら幼なじみの領主を守る選択(NHKの大河ドラマ『おんな城主直虎』)も、レモンを搾ることに無造作になれない青年(TBS系のドラマ『カルテット』)も、面倒くさがりつつ怪異から編集者を守る漫画家(NHKのドラマ『岸辺露伴は動かない』)も、連続殺人犯に見せながら必死に着地点を探り続ける青年実業家(TBS系のドラマ『天国と地獄〜サイコな2人〜』)も、セクシュアルマイノリティとして人生を妥協せずに生きる青年(NHKの『恋せぬふたり』)も…。高橋一生の演技の魅力は『柔らかなその本音を包み隠す、面倒くささとの答え合わせ』にあると思う。複雑で分かりにくい分、更に目をこらして魅力的に見える。いったん捕らわれれば、その底深い魅力、本当に罪深いと思う。そして今回、インビジブルのキリコは、自らの偽名を中国人の名前で『聶小倩(シッ・シウシン)』と名乗っている。これは中国の古典短編集『聊斎志異(りょうさいしい)』に出てくる幽霊の女であり、悪い妖怪に捕らわれ、人の魂を吸い取る悪事に無理矢理荷担させられている悲しくも美しい幽霊である。幽霊の女は物語の中で、実直な男の真心と苦闘によって最後には解放される。『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』として映画化されたこの短い文芸作品は、『聊斎志異』の本編と映画で実はラストシーンが違う。もしもキリコ自身が選んで名乗っているこの偽名にインビジブル、つまりゴーストという意味以上の何かが込められているのなら、彼女はどんな道を選びたいのか、その道に志村貴文はどう絡んでいるのか。そんなことを感慨深く思う2話だった。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年04月26日パルコ・プロデュース2022『2020』に出演する高橋一生が、企画から携わる本作への想いを語った。芥川賞作家・上田岳弘が作を、白井晃が構成・演出を手がける本作は、「2020年」を起点に人類の歴史や世界の終わりを綴る、高橋の一人舞台。上田文学の魅力を「同じテーマを書き続ける小説家の方が好きな僕にとって“人類の個と全を、過去と未来にわたって描く”作風がドンピシャでした」と述べる高橋は、デビュー作『太陽』(2013年)から彼の小説を愛読している。「人間の行き着く先はどこか、行き止まりになってしまうとしたらどんな状況か、まるで予言するかのような作品を上田さんは書いているんです」──。自身が共鳴する上田文学のおもしろさを「日ごろ小説を読まない方にも知って欲しい」と感じた高橋は、『4 four』(2012年)、『マーキュリー・ファー』(2015 年)、『レディエント・バーミン』(2016年)などで一緒に作品を立ち上げた白井であれば「僕の気持ちをわかってくださりそう」と信頼を寄せ、二人を引き合わせた。「作品が現実とリンクしていくさまを目の当たりにして、予言めいたタイミングで上演された『マーキュリー・ファー』のようなことがまた起きるのかもしれません、今回のタイトルからして」と笑う。劇中で、高橋は「クロマニヨン人」「赤ちゃん工場の工場主」「最高製品を売る男」「最後の人間」といった登場人物に扮する。自身の役どころを「お客さんと、人類の過去と未来を繋ぐようなキャラクター」と紹介しつつ、「打ち合わせで僕が上田さんにお話しした言葉が台本に盛り込まれていたので“高橋一生そのまま”と思ってもらってよいかもしれません」「役と自分、どちらかわからなくなってしまう瞬間を皆さんの前でお見せすることになりそう」と言及した。さらに「劇場にお客さんを入れるところからお芝居が始まっていて、アトラクション的に“体感”できる作品」と続き、「そのアトラクションを楽しむように観てもらい、たとえ局所的であったとしても皆さんの中に少しでも残り続けるものになったら、つくり手として励みになります」「そのために、まずは自分たちがおもしろいと思える作品をつくれたら」とコメントした。公演は、7月7日(木)~31日(日)に東京・PARCO劇場にて。その後、8月6日(土)・7日(日)に福岡・キャナルシティ劇場、11日(木・祝)に京都・京都劇場、18日(木)〜21日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールと巡演する。東京公演のチケットは、5月14日(土)より一般発売。取材・文:岡山朋代
2022年04月22日Twitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。2022年4月スタートのテレビドラマ『インビジブル』(TBS系)の見どころを連載していきます。かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。『きれいはきたない、きたないはきれい。飛んでいこうよ、霧と汚れた空の中』。シェイクスピアのマクベス。三人の魔女が主人公のマクベスに語りかける、あまりにも有名なこの一節。TBS系で放送される金曜22時、重めのサスペンスに定評のあるこの枠で、新しく始まったドラマ『インビジブル』(主演・高橋一生)を見ながら上記の一節を思い浮かべていた。優秀な刑事が、同僚の事故や殉職を契機にアウトローに変貌して、法を無視した捜査を始める。周囲はそれをもてあます。これは『あるある』。そこに風変わりな(往々にして主人公の刑事とは性格が逆の)パートナーが現れる。どうやら主人公の過去の事件とも因縁がありそうだ。二人はいくつかの現在進行形の事件を解決しながら、過去の事件が動き出す。これも『あるある』。今作が違うのは、現れたパートナーが裏社会の周辺いやど真ん中、闇サイト等を通じて犯罪者を連携させ支援する『犯罪コーディネーター』という謎の存在であること。そしてインビジブルと称されるその犯罪コーディネーターは、年齢も来歴も一切不明で、中性的な容姿の女性であるということ。違法な捜査に微塵も躊躇のない暴力上等の刑事・志村貴文は、高橋一生。これまでインテリやソフトな役の印象が強いが、今回は荒んだ刑事の役にうまくハマっている。そしてインビジブルと称される犯罪コーディネーター・キリコには、柴咲コウ。性別も年齢も善悪も超えた謎めいた存在を体現するのに、これ以上の配役はないと思う。そしてこの二人といえば、やはりNHK大河ドラマ『おんな城主直虎』(2017年)での共演を抜きには語れないだろう。強大な外敵に翻弄されながらも小さな領地と領民を知略で守り抜いた女領主と、月の光のように命をかけて彼女を支えた家老と。柴咲コウ演じる直虎が、高橋一生演じる小野政次を槍で突き刺して殺す場面は、名作揃いの大河ドラマの中でも屈指の名場面たり得ると思っている。その二人が再びバディとして共演する。柴咲コウが演じる奔放な女に、高橋一生演じる面倒くさい男が翻弄される。もう一度そんな二人が見られる。その一点だけでも、週末の夜の時間をこのチャンネルに捧げる価値があるというものである。ドラマの魅力を詰め込む『名刺』とも言うべき初回は、志村をめぐる警察の人間関係を整理して見せつつ、都心で起きた爆発事件とボランティア団体の寄付金詐欺をめぐる顛末(てんまつ)をテンポ良く描いていた。それまで見えていた善と悪が一瞬の種明かしでオセロのように入れ替わる驚きは、他のサスペンスにはないスリルだと思う。記憶に残るサスペンスドラマは、テンポの速さや、二番底のような衝撃、らせん状の謎の開示といったその作品独特の味わいがあるもので、今作のそれは転々と転がる善悪の価値観になるのかもしれない。キリコの助言と志村の奔走で事件は解決するが、善だと思っていたものが底深い悪で、かといって悪に見えていたものも決して潔白ではない。しかし、なんともいえない後味の苦さが、今、最前線で求められているエンタテインメントなのだと思う。今作は万人受けする勧善懲悪のシンプルな味わいよりも、複雑な後味をじっくり噛みしめたい人のためのドラマになるだろう。是非安易にわかりやすい結末よりも、見た後しばらく考え込んでしまうような、自らの善悪の境界線がぐらつくようなドラマを見せてほしいと思っている。今作のように、犯罪者がその知識を供与して主人公が捜査を行うフィクションの傑作といえばアメリカのスリラー映画『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクターが思い浮かぶ。ハンニバル・レクターは人の肉を食らうが、『インビジブル』のキリコはその神秘的な魅力で見る者の魂を食う。美しく謎めいた魔女、キリコに手招きされて、私たちも主人公の志村貴文の目線で『きれい』と『きたない』の混じり合う、霧の空へと飛び立つのである。ドラマコラムの一覧はこちら[文・構成/grape編集部]かなTwitterを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している。⇒ かなさんのコラムはこちら
2022年04月19日高橋一生主演の新金曜ドラマの「インビジブル」が4月15日から放送開始。SNSでは主人公を演じる高橋さんのハードなアクションに「まじ惚れた」などの声が多数。共演した柴咲コウの金髪ショートヘアにも「新鮮なビジュアル」など好反応が続出している。「ROOKIES」や「南極大陸」などを手掛けたいずみ吉紘がオリジナル脚本を手がけ、作品刑事と犯罪コーディネーターという相容れないはずの2人が異色のバディを組む、前代未聞の犯罪エンターテインメントとなる本作。キャストは元々は捜査一課の最前線で事件捜査に当たっていたが、行き過ぎた捜査がきっかけで一課から特命捜査対策班へ左遷された志村貴文に高橋さん。本名、国籍、年齢不明の犯罪コーディネーター“インビジブル”キリコに柴咲コウ。警察庁から出向してきた寡黙で冷静なキャリア監察官。規則やルールを重んじ志村の行き過ぎた捜査を問題視する猿渡紳一郎に桐谷健太。キリコの運転手兼、助手をしているマー君に板垣李光人。志村のことを敵視している磯ヶ谷潔に有岡大貴(Hey!Say!JUMP)。捜査一課の五十嵐夏樹に堀田茜。岸幸介に西村元貴。朝倉環に結城モエ。捜査一課から鑑識課に異動した近松延武に谷恭輔。特命捜査対策班の巡査・芝本菜穂に田中真琴。班長の塚地敬一に酒向芳。3年前、通り魔事件の捜査中に犯人に殺害された志村の元同僚・安野慎吾に平埜生成。その妹・安野東子に大野いと。東子の同僚のWebニュースカメラマン・野間昇太郎に村井良大。志村を左遷させた元上司で捜査一課課長の犬飼彰吾に原田泰造といった顔ぶれ。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。1話では渋谷の駅前で爆発事件が発生。さらに街頭ビジョンに謎の男の映像が流れ、次の爆破の情報と引き換えに志村の身柄を要求してくる。志村が指定された場所に行くと、待っていたのはキリコ。キリコは街頭ビジョンをジャックしたのは自分だが、爆発事件は“花火師”が実行犯で、過去に事故として処理されたいくつかの案件も花火師の仕業だと告げる。さらに彼女は志村に彼が追い続ける3年前の通り魔事件の情報を教えると言い出し…というストーリーが展開。冒頭では爆発に巻き込まれ、女の子を助けるため窓ガラスを割って部屋に突入。終盤では爆発から逃れるためビルの窓から川に落下…と、志村のハードなアクションに「高橋一生さんのビルから飛び降り脱出迫力満点アクションシーンまじ惚れた」「アクション、とは聞いていましたが思ってた以上に激しくて、まだまだお話も謎が多いし引き込まれました」「キリコ(柴咲コウ)が「トム・クルーズかよ」と言うくらい高橋一生のアクションシーンが凄かった」「怒涛の爆破とアクション、ビルから飛び降りダイハード、そして水も滴るイイ男…うおおおおお高橋一生てんこもり!」などの声多数。また謎の存在・キリコを演じる柴咲さんにも「インビジブルは柴咲コウの金髪ショートに惹かれた」「金髪ショートの柴咲コウ最強」「柴咲コウさんは今までに見たことない新鮮なビジュアルで魅力的だった!」と、その髪型を中心に多くの反応が集まっている。(笠緒)
2022年04月16日