子どもからプロ選手まで、「足が速くなった」「動きのキレが増した」「1対1に強くなった」などの支持を得る、タニラダートレーニング。サカイクはより多くの人にタニラダーを経験してもらうため「公認インストラクター制度」を開始しました。2021年9月に1期がスタートし、これまで約40人が資格を取得。公認インストラクターとして活動を続けています。今回はジュニア年代の強豪クラブ、JACPA東京でコーチを務める鈴木宏輝さんに、タニラダーインストラクター資格を取得した理由について、話をうかがいました。(取材・文鈴木智之)【アーカイブ受講も可】タニラダー認定資格C級ライセンス講習開催>>■守備の1対1を向上させたい鈴木コーチがタニラダーに興味を持ったきっかけが「守備の1対1の動きを向上させたい」という思いからだったそうです。「以前から、1対1の守備を改善したいと思っていました。相手に対して一発で突っ込んでいくのではなく、相手の動きに対応した守備ができるようにしたいと思っていたところ、ダニラダートレーニングを知り、これはいいと感じて、指導ライセンスを取得しました」タニラダーと出会った2021年には、JACPA東京で谷真一郎さんによるタニラダートレーニングを実施。そのときに「(タニラダーは)サッカーの動きにつながっている」と感じ、より深く学びたいと思ったそうです。その後、タニラダーのC級インストラクターを取得。谷さんは鈴木さんの指導について「デモンストレーションが上手」と太鼓判を押します。「鈴木さんのように指導力があり、サッカーを突き詰めて指導している方は、動きの部分に興味を持ってくれることが多いです。思考能力の高い指導者は『なぜ抜かれるのか?』『抜かれないためにはどうすればいいか』 に目を向けて、戦術でぼかすのではなく、動きづくりを始めとする、個人の対応力に目を向けます。そういう指導者の方が増えると、日本サッカーも変わりますよね」■抜かれる理由を突き詰めるJACPA東京は幼児教育を行っており、鈴木コーチは幼稚園や保育園で体育の指導をしています。その観点からも「身体操作性を高めることは、とても大切なこと」と言葉に力を込めます。「サッカーがうまくなるためには、サッカーだけをしていても足りないと思っています。そのため、でんぐり返しや鉄棒、跳び箱などを通じて、身体操作性を高めることにも取り組んでいます」JACPAの子どもたちはスパイクを履かず、トレーニングシューズで練習をしているそうです。その理由を鈴木コーチは「足裏のアーチを感じて、動いてほしいから」と言います。「スパイクのポイントでグリップをごまかすのではなく、正しい体の動かし方を身につけてほしいので、トレーニングシューズを履くようにしています」保護者から「どうすれば足が速くなりますか?」と聞かれることも多いそうで、「ジュニア年代で正しい運動動作を身につけることの重要性は、常に感じている」と話します。「(タニラダーの)インストラクター資格を取得するときに、自分の動きを動画で撮るのですが、自分では動けているつもりでも、動けていない部分があるといった発見がありました。自分の映像を見たときに『子どもたちも同じだ』と思ったんです」鈴木さんが指導する子どもたちも、自分では腕が正しく振れていたり、ターンの動きができていると感じていたとしても、映像を見るとできていないことがあるそうです。「10歳、12歳の早い時期に、正しい動きを身につけるのは大切なことです。動きの癖がない段階なので、身につきやすいと感じています。小学生年代で正しい動きを身につけて自動化させて、何も考えずにできるようになってから、ジュニアユースに進むことで、よりサッカーのプレーに意識を向けやすくなると思っています」【アーカイブ受講も可】タニラダー認定資格C級ライセンス講習開催>>■学んだことをチーム内で共有※現在はタニラダーを使用してトレーニングを行なっています。鈴木コーチは、タニラダーライセンスの取得を通じて学んだ内容を、コーチ仲間や保護者とシェアしているそうです。「保護者の方には、お子さんのストロングポイントと課題を報告しているのですが、アジリティに課題がある子のお父さんが、タニラダーインストラクターの資格を取得していました。こちらの投げかけに対して、熱心に応えてくれるのでありがたいです」谷さんは「クラブにインストラクターがいると、他のコーチが『この場面ではどう動けばいい?』『どんなトレーニングをすればいい?』など、すぐに聞くことができます。それはすごく大切なことで、動きの課題を戦術でぼかすことなく、選手個人のレベルアップにつなげることができます」とインストラクターの有用性を話し、こう続けます。「鈴木コーチは動きのポイントを理解しているので、腕の振りや足の上げ方、足のつき方など、ドリルトレーニングを通じて改善することができますよね。チームに足が遅い選手がいたとして、『どこに課題があるから、スピードが上がらないのか?』を見て判断できるのは、チームとしての強みになると思います」サッカー面での質の高い指導に加えて、スピードアップやアジリティなど、動きの質向上にも取り組む、JACPA東京FC。今後はタニラダーライセンスC級取得者が開催できるチーム向けの講習会などを通じて、さらなる運動能力向上に取り組むそうです。子どもたちの、今後の変化が楽しみです!
2022年05月13日「スピードアップ」と「動きの質を高める」トレーニングとして、子どもからJリーガーまで、幅広く活用されているタニラダー。チームへのインストラクター派遣や指導ライセンスを通じて、多くの選手、指導者がレベルアップに役立てています。2022年4月、東京都の強豪チーム、JACPA東京U-10にインストラクター派遣を行いました。タニラダー発案者の谷真一郎さんは、どんなトレーニングで子どもたちのスピードアップ、動きの質の向上につなげていくのでしょうか?(取材・文鈴木智之)サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>■速く走るのも、動くのも技術JACPA東京FCは、廣永遼太郎(ヴィッセル神戸)、福岡将太(ガンバ大阪)、井上潮音(ヴィッセル神戸)などのJリーガーを輩出する強豪クラブです。この日、トレーニングに参加したのはU-10の選手たち。鈴木宏輝コーチは「守備の1対1の対応力を高めるために、タニラダーは最適」と話し、タニラダー公認C級ライセンスを取得するなど、意欲的に取り組んでいます。谷さんは子どもたちに「速く走るのも、速く動くのも技術です。ぜひ、その技術を感じてみてください」と話し、トレーニングがスタートしました。まずは20mのスプリントと方向変換を測定。子どもたちの走る姿を見ると、猫背になっていたり、腕を振れていない、力みで前傾姿勢になっているなど、それぞれ改善ポイントがあります。測定後、子どもたちは「方向変換のときに滑った」「止まるのが難しかった」などの感想を口にします。その様子を見た谷さんは「速く走ったり、素早くターンをするときに、地面から跳ね返る力(地面反力)をもらうことが大切です」と話し、こう続けます。「地面から跳ね返る力を受け取るときに、『姿勢』が良くないと、地面を足の裏で押しても、強い力が返ってきません。サッカーのプレーも同じで、姿勢が安定していると、ボールを止めるときや蹴るときに安定感が出ます。まずは良い姿勢を作ることから始めましょう」■正しい姿勢の大切さすべての動きの基本となる『正しい姿勢』を身につけるため、タニラダーを使ってトレーニングしていきます。まずは立ち方から。両足を握りこぶし2つ入る幅に開き、親指をやや外へ向けます。このとき、背中が丸まっていると良い姿勢にはならないので、両手をそろえて上げ、頭の上で合わせて背伸びをします。その状態で足の裏の親指から小指までを使い、地面をしっかりととらえて、腕をおろしていきます。そうすることで、良い姿勢ができあがります。「良い姿勢で立つと、相手に押されてもグラグラしません。ラダーをするときに、顔を下げて足下を見ると姿勢が崩れてしまうので、目だけを動かして、周囲や足下を見る癖をつけましょう。これは試合中も同じです。サッカーは見ることが大事なスポーツ。常に顔を上げて、姿勢を崩さない状態で動くことを心がけましょう」良い姿勢を保ち、下を見ずに動くために、ラダーを使ってトレーニングしていきます。まずはラダーのマスに両足を揃えてジャンプし、止まったときに良い姿勢を保つことから。谷さんはノリの良い音楽をかけながら「音のリズムやテンポに乗って動いてみよう」「グラグラせず、ピタッと止まろう」と声をかけていきます。サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>■腕をまっすぐ振り下ろす次に、片足ずつマスに入れて止まる動きを繰り返したところで「走る技術」に移行。谷さんは「走る技術に、みんなの伸びしろがあります」と話し、足の振り下ろしに加えて、腕の振り方をレクチャーしていきます。「腕を斜めに振ると体幹部が回旋してしまい腕の振りが遅くなってしまいますし、地面に加える力も弱くなってしまいます。ひじを曲げて、まっすぐ振り下ろすこと意識して、ラダーのマスを踏んでいきましょう」子どもたちは谷さんのデモンストレーションを見ながら、見様見真似で体を動かしていきます。この「見て真似る」ことがポイントで、体を動かしていくうちに、自然とできるようになっていきます。谷さんは「最初はうまくいかないので、ミスをしても気にしないこと。どんどんチャレンジしていこう」と優しく言葉をかけていきます。足の踏み込み、腕の振りを意識することで動きにシャープさが生まれ、サッカー選手の動きに近づいていきます。そこで、2つ目のテーマである「方向変換」にトライ。谷さんは「方向変換で動き出すときに、姿勢が崩れがちです。体の中心に入っている一本の棒を少し傾けて、一歩目を踏み出すイメージを持ちましょう」と話し、方向変換、スタートダッシュのコツを伝授していきます。具体的には、地面からパワーを得られる位置に足をつくことや、足の親指と小指の付け根を地面につけ、そこに体重を乗り込ませることなどをレクチャーしていきます。「最初の測定のとき、みんなは体が力んだり、足を踏み込む位置が体より前に出ていたり、腕を斜めに振る、もしくは振れていないことが原因で、自らブレーキをかけるように走っていました。これまで教えてきたポイントを意識することで、ブレーキがかからなくなり、スピードがアップします」■守備の動きづくりにラダーは最適JACPA U-10の選手たちは谷さんの話を聞きながら、集中力を切らさずにチャレンジしていきます。1時間もする頃には、姿勢、腕の振り、足の回転がみるみる良くなっていきました。その後、守備の1対1時に必要な、下半身を半身にし、上半身を相手に正対させる動きなど、ラダーを使ってトレーニングしていきました。最後にもう一度、20mと方向変換を測定したところ、スピードと動きの質に変化が見られました。谷さんは「動きの質が上がると、スピートも上がります。その結果、届かなかったボールに届くようになったりとプレーが変わります」と話し、次のようなメッセージを送っていました。「動きの質が上がることで相手に追いついたり、ボールを奪えるようになると、サッカーがもっと楽しくなります。一ヶ月後にまた来るので、それまでの間、トレーニングしておいてくださいね。新しい自分に出会えるように、頑張っていきましょう!」この日から1ヶ月間、タニラダーの指導ライセンスを持つ鈴木コーチの指導の元、タニラダートレーニングを実施し、どれだけスピードが上がったかを測定します。子どもたちに、どんな変化が訪れるのでしょうか?その様子は1ヶ月後にレポートします!サッカーの動きを改善する「タニラダー」トレーニング>>
2022年05月11日