旅行&グルメ系の編集・ライター。横浜市在住。日本大学芸術学部文芸学科卒業。『わがまま歩きハワイ』(実業之日本社)、『美坊主図鑑』(廣済堂出版)では、編集を担当。女性誌やwebサイトで旅のガイドやレストラン案内、企業広告などを執筆。ユニット『インドルーム』では、大好きなインドの魅力を発信中。不定期でイベントも行っている。
大人気の恋愛カウンセラー・ぐっどうぃる博士が、死ぬまでにこれだけは観ておいた方がいいというオススメ映画をご紹介。博士独自のユニークな視点で、映画を通して人の価値観や心理などを読み解きます。魅力的な女性になるための要素を、映画を観ながら学んでいきましょう! ■column02 『エンダーのゲーム』 監督:ギャヴィン・フッド アメリカ合衆国(2013年) ■あらすじ エイリアンとの宇宙戦争から50年。地球では、防衛軍ベースキャンプに優秀な少年、少女を集め、次に来たるべく襲撃戦に備えてエイリアンと戦うための訓練を始める。類まれなる才能を持つ少年エンダーは、心の中で様々な葛藤を持ちつつも戦闘の知識や技術を叩き込まれていく。試練の中で少年がどのように成長し、宇宙戦争はどのような終わりを迎えるか…。原作は、ヒューゴ賞などを受賞したオースン・スコット・カードのSF小説。 ■駆け引きに勝つには、相手をよく理解すること 最初に言っておくと、まずは、映画を観てからこの文章を読むことを勧めます。ただ、映画を観なくても、文章から何となく、この映画から学べることがわかるようには、しようと思っています。 主人公の少年、アンドリュー・"エンダー"・ウィッギン(以後エンダー)は、地球の防衛軍のベースキャンプに集められた少年時少女の中でも駆け引きの能力がずば抜けて高い。なぜこのエンダーが駆け引きに強いのか? それは、相手が何を考えているかを読み取る力が優れているからです。この映画は、その切り口から「愛が何か」について語っています。 駆け引きにおいて、「相手を知ること」は、極めて重要です。物語の中で、エンダーは、同じチームの上官からいじめを受けるのですが、彼はその上官がプライドを傷つけられたことでそのような態度を取っていると見抜きます。そこで、エンダーの駆け引きが始まるワケです。みんなの前ではその上官に威張らせておいて、上官と2人きりになったとき、上官のプライドを傷つけない提案をして、最終的には自分の要求を通す…と、このように相手をみごとにコントロールしていきます。 ですが、駆け引きのために相手を知ろうとして、相手の立場を理解し始めると、その結果相手を憎めなくなり、場合によっては、愛情すら抱いてしまうことがあります。エンダーは、敵対する相手のことを理解すればするほど、憎めなくなり、駆け引きに勝つという行為自体をするべきかという苦悩がはじまる…。そこが、この映画のおもしろさです。 映画の冒頭で、“打ち負かせるほど敵を理解した瞬間、僕はその敵を愛しもする”という原作の一説が出ます。まさに、これがこの映画全体のテーマなわけです。 ■エンダー少年の駆け引きは恋愛においても有効!? このエンダーの駆け引きの手法は、あらゆる場面で応用可能です。例えば、「結婚願望のない彼氏を結婚する気にさせるには??」 それにもやはり、彼氏のことをよく理解すること。なぜ結婚したくないのかという本当の理由を見つけ出せば、そこに駆け引きのポイントが。もし、彼が結婚すると自由が奪われると思っているということがわかれば、自由を奪わないカタチの結婚をしようと持ちかけることができます。 経済学では、“限定合理性”という概念があるのを知っていますか? その概念を拡大解釈をすると次のようになります。「人はそれぞれ自分が合理的だと信じて生きている。だが、実際には、地位や立場、得られる情報など認識の限界によって、完全に合理的ではない」という考え方です。相手を知るということは、相手の合理性を知ることなのです。 自分の価値観や正義、合理性で相手を変えようとしたり、相手に一方的な愛を与えるのではなく、まず相手が何故それをしているのかを心から理解することが、駆け引きに勝つためには大事なのです。 ■相手を完全に理解すると自分勝手なエゴが消える 駆け引きでは、相手の上に立ち、相手をコントロールする立場に立たなければなりません。 でも、さきほども言ったように、本当に相手を理解すると、コントロールしたい気持ちがなくなってしまうのも事実です。例えば、デートに連れて行ってくれない彼を、デートに誘うように駆け引きをしようと試みる場合。彼が忙しいという事実を完全に理解すると、彼を労(いたわ)る気持ちが芽生え、デートに連れて行ってほしいという当初の気持ちがなくなります。 駆け引き、つまり自分の要求を通したいという思いから、相手を深く理解し、その結果として自分の要求そのものが変化することで、違う解決法が見つかることも。相手を知ることで、自分勝手なエゴが消えることは、恋愛においてはいいことですよね。ふたりの関係性もよくなる場合が多いと思います。 この映画では、このように、相手を心から理解しようとする事、それが愛において重要なことだと言いたいのかもしれません。 ただ、この物語では、どの選択をしても、誰かが深刻なほど不幸になる状況が訪れてしまうのです。それがふたつ目の見どころ。そのとき、エンダーはどんな行動を取るのか!? 駆け引きと、少年エンダーの成長。そこに注目しながらこの映画をお楽しみください。 ぐっどうぃる博士 恋愛カウンセラー。理学博士(生命科学)。自身の体験と生命科学的視点を合わせた独自の恋愛メソッドが人気。恋で悩む女性に答えるサイト 『恋愛ユニバーシティ』 主宰。Web、TV、ラジオ、雑誌など、さまざまなメディアで活躍中。『恋で泣かない女になる61のルール』(講談社)、『結婚を考えはじめた女(あなた)へ』(三笠書房)など著書多数。
2014年10月29日大人気の恋愛カウンセラー・ぐっどうぃる博士が、死ぬまでにこれだけは観ておいた方がいいというオススメ映画をご紹介。博士独自のユニークな視点で、映画を通して人の価値観や心理などを読み解きます。魅力的な女性になるための要素を、映画を観ながら学んでいきましょう! ■憧れている人になって、あなたは幸せですか? 『トーク・トゥ・ハー』 監督/脚本:ペドロ・アルモドバル スペイン(2002年) ■あらすじ 第75回アカデミー賞で脚本賞を受賞作品。愛する女性が昏睡状態となったふたりの男性の境遇を描いたストーリー。介護師のマルコは昏睡状態となった女性へ恋心を持ち続け、献身的な介護をしている。ジャーナリストのベニグノは、闘牛士の彼女と幸せな日々を送っているが、ある日、彼女が事故に合い、昏睡状態へ。そんな折、マルコとベニグノは共に愛する女性が入院する病院で出会う。お互いの重なり合う境遇を分かち合いながら、ふたりの男は友情を深めていく。 ■愛する女性を持つ2人の男の価値観の違いが見どころ まずは映画を観てからこの文章を読むことを勧めます。ただ、映画を観なくても、文章から何となく、この映画から学べることがわかるようには、しようと思っています。 この映画には、ふたりの男性が出てきます。純愛に憧れるベニグノと、純愛をしているマルコ。 人は、自分が苦しんでいる時、このベニグノのように、他人に嫉妬したり、憧れたりすることがあります。また、他人の生き方に、「あの人は、お金持ちだけど、幸せそうに見えない」と批判的になることもあるでしょう。 この映画は、「憧れている人に自分がなれたら、本当に幸せか」ということを、初めて僕に考えさせてくれた映画です。 映画では、ベニグノとマルコ、それぞれの愛する人が昏睡状態になっていますが、献身的な介護を続けるマルコはとても幸せそうなのに対して、ベニグノは悲しみから抜け出せない。 恋人が昏睡状態になったら、悲しむのが一般的ですよね。マルコはちょっと変わった純愛の人、ベニグノはいわば普通の人だと言えるでしょう。 ベニグノは介護するだけで幸せそうなマルコを見て、自分も純愛でありたいと思うけれど、それができない。ベニグノがベニグノであるが故にできないわけです。 ■他人に憧れていても決して幸せにはなれない 誰かを羨ましいと思うとき、人はその人の一面しか見ていません。 あの人みたいにお金持ちになれたら、あの人みたいに才能があったら、あの人みたいにモテたら…なんてことを思うかもしれませんが、それは、その人のメリットだけを切り取って見ているだけです。 たとえば、僕には、多くの人に憧れられているお金持ちの友人が3人います。ひとりは一日中ビジネスのことばかり考えている起業家。ひとりは、周りに「金の亡者」と後ろ指を指されている個人事業主、最後のひとりは家族を犠牲にして長時間働くビジネスマン。 彼らのようにお金持ちになりたいなら、彼らが背負っている考え方や生き方、性格やライフスタイル、その全てを一緒に背負う必要があるのです。 一方で、彼らは、少々のお金を犠牲にしてでも、生き方を変えた方が幸せなのかと言えば、それも違うでしょう。たとえば、先程述べた、周りに「金の亡者」と後ろ指を指されている個人事業主は、後ろ指を指されても気にしない人だから、あの生き方をしているのです。彼の中では、それが幸せなのです。 それに対して僕は、後ろ指を指されることが何より嫌いだから、いくらお金持ちになれるとしても、彼の生き方はできないし、たとえ頑張ってしたとしても幸せを感じられない。 ベニグノもマルコの価値観に憧れてはいますが、マルコの真似は出来ないし、真似をしても幸せにはなれないのです。もちろん、これは逆も言えます。 ■人の幸福はその人の価値観の中で閉じている これらのことを一言で言えば、「人の幸福はその人の価値観の中で閉じている」ということです。 例えば、ぶりっ子でモテる後輩をうらやましいと思っても、自分が同じような行動をしないのと同じように、人は自分の価値観の外にあることはしません。 だから、その価値観の外にあることにいくら憧れても、決して自分はその人のようにはなれないし、なったところで幸せにはなれないのです。 ■自分の幸せの価値観を見つけることが幸福への近道 ベニグノは、まだそれに気づいていません。 ベニグノが幸せになる方法はひとつ。自分をよく見つめ直すことでしょう。 それは他人の生き方を参考にしても良いでしょう。「憧れのあの人の生き方を自分はできるだろうか? 自分がしたら幸せを感じるだろうか?」と問い、もしそれが無理なら、自分の幸せはそこにないと、受け入れることが、幸せへの近道だと思います。 一方で、相手は相手の中で価値観の中に幸せがあるのだから、我々がとやかく言う必要はありません。そういう意味で、世界の人みんなに共通する幸せの形はありません。 そんな視点で観ると、この映画には、幸せへ近づくためのヒントが隠されていることに気づきます。 ふたりの男性の幸福感の違いを比べながら、『トーク・トゥー・ハー』の素晴らしい世界に浸ってください。 ぐっどうぃる博士 恋愛カウンセラー。理学博士(生命科学)。自身の体験と生命科学的視点を合わせた独自の恋愛メソッドが人気。恋で悩む女性に答えるサイト 『恋愛ユニバーシティ』 主宰。Web、TV、ラジオ、雑誌など、さまざまなメディアで活躍中。『恋で泣かない女になる61のルール』(講談社)、『結婚を考えはじめた女(あなた)へ』(三笠書房)など著書多数。
2014年10月17日