「つい子どもにキレて、自己嫌悪になる。そんなの、僕だってよくあります」。と言うのは、『どならない子育て』の著者、伊藤徳馬さん。プライベートでは2児の父だ。実際に効果を感じたプログラムを本にまとめる伊藤さんは茅ヶ崎市役所で、子育て相談や児童虐待のとりまとめをしている公務員。その関係で、「子どもへの伝え方、ほめ方、叱り方」などを身につけていくプログラム(以下、『どならない子育て練習法』)と、出会った。 伊藤さん自身、「そんなので子育てが楽になるなら、誰も苦労しないよ」と当初は思ったそう。けれども、長女(当時2歳半)を叱る際に試したところ、いつもは「聞こえない大作戦&大暴れ」なのに、素直に謝り、指示に従うのを見て驚いた。そして、「これは子育て講座として使ったらいいじゃん!」と思いつき、周囲の理解を得て、『怒鳴らない子育て練習講座(略称「そだれん」)』を市役所で事業化。現在は、講座のトレーナーとして活躍中だ。どなる頻度を「10」→「6」にさて、今回の特集では、どなる頻度を「10」→「6」にするのが目標だ。つまり、たとえばこれまでは10回中10回どなっていたのを、6回に減らすということ。なぜなら、伊藤さんの講座を受けた方々に書いてもらったアンケートの結果を見ると、「受講前のどなる頻度を10とすると、受講後の頻度はいくつですか?」という質問の回答は、平均で6前後だからだ。そう聞くと、「6も、まだ残っているの?」と思う人がいるかもしれない。でも、大事なのは、「4減っていること」。子どもを何度もどなる時、親の怒りや負担感は、どなる回数に対して正比例ではなく、加速度的に増えていく。なので、どなる頻度を4減らしただけで、負担感は劇的に減る。だから、4減るだけでいいのだ(もちろん、もっと減れば、それはそれでハッピーだ)。「どなる頻度」を減らすには練習が効果的伊藤さんの講座の中では、DVDの映像が映るテレビや、子ども役のトレーナーに向かって、何度も練習して、具体的な対応方法を身に着ける。頭で知識として理解するだけでは、実践はなかなかできないからだ。「子育て支援の現場でも、プロたちが仕事として研修を受けて、『これはいい! なるほど!』と思ったのだけど、実践はしないまま終わるということはよくあります。」(伊藤さん)では、実践につなげるために必要なものとは、何か? それが「練習」なのだ。練習して体で覚えることが大切というのが「どならない子育て練習法」の考え方だ。今回はネット上に掲載されるコンテンツなので、伊藤さんと向かい合っての練習はできない。よって、本特集では、「練習」=「イメージトレーニング」でいくことにする。次回は、いよいよ実践編! といきたいところだが、ちょっと待って!『どならない子育て練習法』の根底に流れる基本的な考え方を紹介しよう。(楢戸ひかる)「どならない子育てについて、もっと、知りたい!」と思った人は◇つい子どもにキレて自己嫌悪…そんな私にサヨナラ!NHKあさイチ、朝日新聞、読売新聞などで話題! 人気のあの講座が本になりました。◇ どならない子育て (著者:伊藤徳馬/ディスカヴァー・トゥエンティワン) 定価:1,300円(税別)
2015年10月28日「自分で考える力を養う」ことが教育の目標として掲げられ、欧米の教育が脚光を浴びています。そのための効果的な学習について、フランスやアメリカの例を取って、以下にまとめてみました。他人からの学びこそが、すべての基礎自分で考える力を養うためにまず重要なことは、「他人から学ぶ」こと。自分で考えるためには材料が必要であり、そのほとんどは他人から生み出される知識です。ごくごく一部の天才的なひらめきを除いて、新たなアイデアや発想、イノベーションのほとんどは、先人による知識の蓄積から学んだことが土台にあるといいます。そのため、アメリカの大学では学生に専攻分野で必読書となるものを徹底的に読み込ませ、論文を書かせます。週に1,000ページぐらい読むのは当たり前で、ほぼ毎週、何本も論文を書きます。読んで、書いて、読んで、書いてを繰り返すことで、先人が蓄積した知識を十二分に吸収し、それについて考え抜いた後で、ようやく自分で新たなアイデアを生み出すことができるようになると考えるからです。フランスでも同様に、大学への入学資格となるバカロレアは論述試験となりますが、これまで学んできたことを基にして自分の考えを理論的に展開する力が問われます。特に哲学の試験では、教科書をはじめ、数々の哲学書に書かれている内容を上手く整理し、最後に自分の考えを述べるようにしないと、高得点は得られないといわれています。実際に書いてみることが最良のトレーニング学びを基に自分の考えを深化させる上で最も確実な方法は、「書くこと」。自分の頭の中だけで整理してまとめることができる人も中にはいますが、ほとんどの人は、書いているうちに思考が深まり、考えがまとまるようです。書き始めると、論旨の展開や表現にも配慮するようになります。書くからには自己満足で終わらず、相手に理解して納得してもらいたいもの。特に、試験で高得点を得ようと思うと、学んだことを単に列記するだけではなく、重要な点をしっかりハイライトし、説得的に述べることがマストです。アメリカやフランスをはじめ、欧米の学校の試験は、ほとんどが論述式です。正しい回答を得ることよりも、それに到達するプロセス、つまり思考のプロセスを見ることが重要だと考えるからです。世の中には回答のない問題が山積みです。正しい答えが存在しない中、自分で回答を導き出すには、思考のプロセスが試されます。そして、最終的に正しい考えとして世の中の人々に受け入れられるためには、周囲が納得してくれるよう自分で説得していかねばらないからです。このように見ていくと、読書などを通じて、まずは「他人の考えについて学ぶこと」が重要であり、それを踏まえて、「自分の考えを説得的に述べることができるようになること」こそ、教育の集大成であり、「考える力を養う」ことであるということがわかります。(タベ真美)
2015年10月10日長い休みを楽しみつつも、水泳教室や補習クラスなどの学校行事や宿題などで意外と忙しい日本の子どもたち。そんな時にちょっと気になるのが、世界の子どもたちの夏休みです。期間はどれくらいで、宿題はあるのかなど、どんな様子なのか覗いてみたいですよね。今回は、フランス、タイ、アルゼンチン、ミャンマーに住む子どもたちの夏休みを紹介します。フランスの子どもの夏休みは、家族全員で1ヵ月バカンス住むエリアによって、夏休みの時期が微妙に異なるフランス。とはいっても8月はほとんどのエリアがお休み。子どもの夏休みに合わせて、親が有給を3~4週間取り、国内を中心にバカンスに出かける家族が普通です。また、フランスでは行政やNGOが積極的に行っているサマーアクティビティー(コロニー・ドゥ・バカンス)が豊富なため、ある程度の年齢になると、子どもだけでコロニーに参加させることも多いようです。海が近い南フランスでは、オプティミストと呼ばれる小さなヨットのクラスや、近くの島に引率の学生と共に2週間ほど渡り、共同生活を送るクラスなどにリーズナブルな料金で参加できます。ちなみに、フランスでは学校から夏休みの宿題が出されることはありませんが、この時期になると、宿題代わりのワークブックが書店に山積みに置かれています。タイでは、3月中旬~5月が夏休み1年中暑いタイでは、「水かけ祭り」で有名な旧正月、ソンクラーンがある4月を挟み、3月の半ば~5月に夏休みを取ります。地域や学校によっても異なりますが、小学校も中学校も宿題はありませんが、学習塾や習い事に通うのがここ数年、流行中のため、夏休みも学習塾に通う子どもも多くなりました。なお、2学期制のタイの学校は、10月にも比較的長い休みがあります。アルゼンチンの子どもたちは、夏休み明けが新年度のはじまり南米、アルゼンチンの夏休みは、12月~3月はじめまでの約3ヵ月間という長期にわたります。夏休みの終わる3月は、南半球では秋にあたる季節。そこから新年度になるため、夏休みには基本的に宿題が出ません。すると、3ヵ月間まったく勉強をしない子どもも多いため、習ったことを忘れる子どもが続出。その結果、新学期が始まると、最初の数週間は前年度の復習期間になるそうです。フランス同様に、子どもを連れてバカンスに行くのがアルゼンチンの家族と過ごす夏休み。長い休みが終わると、ホッと一息つく親御さんも多そうですね。ミャンマーの子どもの夏休みは、帰省して家のお手伝いミャンマーは、タイのお隣の国。こちらも、夏休みはタイ同様に、旧正月がある4月を挟み、3月中旬~6月の始業式まで、約3ヵ月近くあるようです。子どもたちは、近所の子ども同士で路地やそれぞれの家で一緒に遊んだり、両親の田舎に一緒に帰省したり、お母さんの仕事のお手伝いをしたりと、懐かしい昔の日本の夏休みを感じさせる時間を過ごしているようです。国によって異なる夏休み。とはいえ、どの国の事情からも、親が大変そうな様子は透けて見えますね。皆さんは、この夏休みをどのように過ごしていますか?(ライター:徳武加奈子)
2015年08月11日小学生の長期休みの宿題のうち、苦手なもの第1位に上がることが多いのが「読書感想文」。これは大人になってもあまりいい思い出となっていないようです。総合マーケティング支援を行うネオマーケティングが実施した 調査結果 によると、子どもの頃を振り返って「嫌いだった宿題・いまするとしても嫌いな宿題」の、1位になっています。ですが、読書感想文は、大人になってからも求められる、自分の考えや意見を分かりやすく伝える力=説明力を養うのにぴったりなのです。そこで今回は、読書感想文や作文についてのよくある勘違いと、ママが気をつけたいポイントをご紹介します。1.読書感想文と報告書は違う「読書感想文を書きましょう」となった時、お子さんはどのように書いていますか? 「いつ、どこで、だれとだれが、どんな風に、なにをした」そんな風に書いていませんか?「いつ、どこで、だれとだれが、どんな風に、なにをした」これはいわゆる「5W1H」です。状況や事実の報告をするのにはうってつけの書き方ですが、感想や意見を書く作文や読書感想文には向いていません。5W1Hでつらつらと書くと、文字数もそれなりにかかるため、一見、感想文がうまくまとまったように感じます。ですが、文字数は稼げても、肝心の感想を掘り下げたり広げたりするには適さない書き方のため、よく読んでみると「楽しかったです」「すごいと思いました」といった、単調な感想しか書かれていないことが多くなります。2.感想文に起承転結はいらない小さな頃に読んでもらった絵本や国語の教科書に載っている物語、それらはいわゆる起承転結で書かれています。読み手にとって、興味を引かれるストーリー構成ですよね。そういう物語を書くのなら起承転結の書き方はぴったりです。でも、自分の意見や感想を伝えるにはどうでしょうか? 作文が得意な子なら、すらすら書けるかもしれませんが、苦手な子にとっては物語のように書かなきゃ…というプレッシャーで、ますます書けなくなってしまうのです。読書感想文や作文は、その子がどう感じたのか、どんな意見を持っているのかを伝える場ですから、起承転結で書く必要はないのです。3.子どもの書いたものを否定しない最後に、子どもの宿題を見る立場にある、ママに気をつけてもらいたいポイントがあります。それは「子どもの書いた文章を否定しない」こと。読書感想文や作文は、自分の意見や考えを人に伝えるための、練習の場でもあります。「ママ、書けたよ!」と持ってきた作文を読んで、「ここはこうじゃない?」とか「これはちょっと変だよ」などと、口に出したり、否定したりしていませんか?練習の場でダメ出しばかりされると自信もなくなるし、表現するのが怖くなり、次に向かう気力も低くなってしまうものです。子どもが書いてきた文章は、その子のオリジナルです。それをしっかり読んで受け止めたうえで、分かりにくいところは質問で返してあげましょう。「もう少し詳しく教えて」「ママはこんな風に思ったけど、○○ちゃんとは違うかな?」など、子どもの意見を「教えてもらう」ようにします。否定・修正はせず、質問することで内容を深めるようにサポートしてみましょう。グローバル化と言われて久しい世の中。日本の中でだって価値観が多様化しています。これまでの「察する」文化だけではなく、子どもたちが自分の意見や考えをしっかり伝えられる力も必要です。夏休みの宿題だけでなく、日々の作文を通して、ぜひ練習してみてはいかがでしょうか?
2015年08月05日子育て中のママに必須な「ストレスマネジメント」って? ママに必須 ストレスマネジメントの4つのステップ・その1 の続きです。前回は、自分のタイプを知り、自分にとっての「いい状態とは何か」の把握をした。今回は、第3~第4ステップにあたる「ストレスの原因を知り、対処法を実践する方法」を整理する。引き続き、NPO法人 えじそんくらぶ代表の高山恵子さんにお話を伺った。<Step3>ストレスの原因を知る自分の「いい状態」について確認できたら、次はいよいよ「ストレスの原因」について考えてみよう。下図のようなシートを使い、書きながら確認していくと把握しやすい。まず一番上の欄に、自分がストレスを感じること(ストレッサー)を、思いつくまま書き出してみる。ある程度書き出したら、それを自分自身のこと対人関係出来事・環境に分類する。ひと通り分類したら、一番多く記入した欄を確認してみよう。それによって、自分のストレス傾向(どんなことにストレスを感じやすいか)がわかる。ストレス傾向がわかると、対応の仕方も見えてくる。◇Point何がストレスかよくわからず、挙げられない場合は、「ドキドキすることはあるか?」「それはどんな時か?」というように、ストレス反応が体に現れたときの症状を考えるとわかりやすい。<Step4>対処法を考え、実践するいよいよ最終段階。ストレスへの対応(ストレスマネジメント)について考えてみよう。ストレスマネジメントの方法には、大きく以下の2種類がある。「自分に向いているストレスへの対応法を見つけるひとつの方法として、<Step>で書き出した、「いい状態」につながる条件を見直してみましょう。その条件を満たすことが、自分に合ったストレスマネジメント法だといえるのです」と、高山さん。普段、何気なく口にしている「ストレス」。その仕組みを、4つのステップで丁寧に解説してもらうことで、具体的に把握ができただろう。ストレスマネジメントとは、自分とじっくり向き合う作業のこと。ワークシートなどを上手に使って、少しの時間でも、ママを休み、自分自身と向き合ってあげる。それだけでも、ストレス発散になるのでは?対人関係のストレスは、どうする?「心身のリラックス」の状態は比較的簡単に作れるが、たとえば「子どもが機嫌よく遊んでいる状態」を作ろうと思っても、どうしたらいいのか、なかなか思いつかないのでは?「実は、そういった対人関係のストレスには、『ストレス耐性を強くする』ことが有効な場合が多いのですが、これには、ちょっとした意識づけやスキルが必要なのです」と話す、高山さんの言葉が印象に残った。「ストレスマネジメントという考え方、何だか面白そう!」と思った人は◇「 親子のストレスを減らす 15のヒントト 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,500円(税別)
2015年07月24日子育て中のママに必須な「ストレスマネジメント」って? の続きです。「子育て中は、ストレスが一杯。でも、ストレスをまったくなくすのは不可能で、要はいかにうまく付き合うかという『ストレスマネジメント』が大事なのです」と教えてくれたのは、NPO法人 えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。そんな高山さんに「ストレスマネジメントを実践するためのステップ」について伺った。今回はそのうちの前半、第1~第2ステップを紹介しよう。ストレスマネジメント 4つのステップ「ストレスの自分に合ったマネジメント法を見つけるために、4つの段階を踏んでストレスと向き合っていく方法を紹介しましょう」と、高山さん。流れは以下の通りだ。<Step1>自分のタイプを知る↓<Step2>自分にとっての「いい状態」を知る↓<Step3>ストレスの原因を知る↓<Step4>対処方を考え、実践する早めの周囲への相談が必要な時もさて、実践の解説を始める前に、ひとつ知って欲しいことがある。それは、「ストレスマネジメントは、毎日を快適に過ごすための有効な方法のひとつだが、精神的な疾患がある場合などは自己流のマネジメントにより、かえって症状が悪化してしまうこともある」ということ。状況が良くならない、または自分でマネジメントしようという気力もない、といった場合は、早めに周囲に相談し、必要に応じて専門機関での治療も検討して欲しい。では、いよいよ実践の解説を始めよう!<Step1>自分のタイプを知る自分に合ったストレスマネジメントの方法は、「自分のタイプ」の把握から。下図は心理学者ユングが提唱したもので、「基本的な性質」と「結論の出し方」を整理してみる。どちらがいい・悪いではなく、「違うタイプがある」ということがポイント。また、必ずどちらかに当てはまるということでもない。たとえば、旅行に行って気晴らしができる人もいれば、家で片づけをしていた方がリフレッシュになる人もいる。「『自分と人とは違う』と知ることが、自分を見つめるうえで、また、対人関係においてとても大切なのです。」 <Step2>自分にとっての「いい状態」を知る自分のタイプが見えてきたら、次は、自分のいい状態をイメージし、思いつくままに書き出してみよう。あなたは、どんな時にリラックスできるだろうか? それが終わったら、下の図を見て、「どの欲求を満たしたら、私は『いい状態』になるだろうか?」と考えてみよう。ストレスマネジメントとは、自分とじっくり向き合う作業のこと。その根底にあるのが、「自分を大切にする」という気持ちだ。ゆえに下図の「4 セルフエスティーム欲求(認められたい、自分をわかってほしい、自分を大切にしようという欲求)」は、「いい状態」を考えてみる時の大きなヒントとなる。今回は、自分のタイプを知り、自分にとっての「いい状態」の把握をした。次回は、ストレスの原因を知り、対処法を実践する方法を整理します。「ストレスマネジメントという考え方、何だか面白そう!」と思った人は◇「 親子のストレスを減らす 15のヒントト 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,500円(税別)
2015年07月23日「子育て中は、実はストレスだらけ。ストレスとうまく付き合う方法を知っていると、ママも少しは楽になるのでは?」と言うのは、NPO法人 えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。NPO法人 えじそんくらぶは、ADHDをはじめとした発達障害を豊かな個性の一つと捉え、長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体だ。今回は、そんな高山さんに「子育てにおけるストレスを減らすためのヒント」について伺った。ストレスマネジメントという発想ADHDなどの発達障害や類似の特性を持っている子の行動は、親をストレス状態に追い込むことがあるため、ストレスマネジメントを重視した対応が、とても重要だ。でも、このストレスマネジメントという考え方、どんな子の育児にも充分、応用可能なのだ!代表的なストレッサー3つ「ストレス(反応)」とは、何らかの原因「ストレッサー」によって心身にかかる負荷のことを言う。このストレッサーの多くは、次の3つに分類できるが、多くの人が、いくつかのストレッサーを複合的に抱えている。<ストレッサーの例>◇自分自身のこと性格(完璧主義、マイナス思考など)健康上の問題時間がない満たされない気持ち理想と現実のギャップなど◇対人関係子どもとの関係パートナー、両親、義父母との関係職場の同僚、上司との関係ママ友付き合いなど◇出来事・環境事故、災害経済的な問題(貧困、借金、リストラ)転職、転居住環境(狭い・うるさい)などストレス反応とは?ストレッサーとストレス反応はアレルゲン(アレルギーの原因)とアレルギー反応の関係とよく似ている。何らかの原因(ストレッサー)によって負荷がかかり、心や体にさまざまな反応(反応)が表れることを、ストレス反応という。<ストレス反応の例>◇心の反応イライラ、ドキドキ不安、焦り、緊張やる気がしない、自身がなくなる冷静さがなくなる、余裕がなくなる人と話したくない、心細いなど◇体の反応眠れない、起きられないだるい、疲れる、無気力肩こり、首の痛み頭痛、胃痛、腹痛、便秘、下痢食欲不振、暴飲暴食など何をストレスに感じるかは人によって違うここで大事なのは、「何をストレスに感じるかは人によって違う」ということ。同じことでも、受け止める人の心身の状態や周囲の環境などによって、心や体にアンバランスをきたすストレッサーになることもあれば、適度な刺激となって、やる気が出るなど、よい方向に作用する場合もある育児ストレスには、とりわけ注意を!ストレスひとつひとつは小さいものでも、それが解消されないまま積み重なっていくと、やがて悪循環にハマってしまうことも。こうなると、ストレスのレベルはどんどん高くなり、悪循環サイクルから抜け出すのが難しくなる。とりわけ育児ストレスの場合、周囲からはわかりにくく、自分でも気づかないことが多いため、知らないうちに無理をしてしまうという怖さがある。そうならないためにも、早い時期に気づき、適切にストレスを発散していく必要がある。<こんな循環にハマっていませんか?>子どもが言うことを聞かない↓周囲の目が気になる↓子育てに自信がなくなる↓イライラする、やる気がなくなる↓怒鳴る、叱る↓子どもが言うことを聞かないストレスといかにうまく付き合うか「適切なストレス発散!? 日々の子育てがいっぱいいっぱいで、そんなことをしている余裕はないわ」と思うかもしれない。でも、高山さんは言う。「誰にでもストレスはあり、それは、人が環境に適応していくプロセスでの反応ともいえます。ストレスをまったくなくすのは不可能で、要はいかにうまく付き合うか。つまり『ストレスにうまく対処する』ことが大事なのです。ストレスにうまく対処する方法を考えることが、『ストレスマネジメント』の基本的な方針です」。ちょっとしたヒントが、日々の生活を変えるキッカケになるかも!?次回は、「自分にあった対処法を探すためのストレスマネジメント4つのステップ」です。「ストレスマネジメントという考え方、何だか面白そう!」と思った人は◇「 親子のストレスを減らす 15のヒントト 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,500円(税別)
2015年07月22日嫌なのは「子ども」ではなく、子どもがする「行動」である 子どもの行動を理解する4つの視点 の続きです。ママが毎日をリラックスして過ごすために、「子どもという『存在』」と『行動』を分けて考える視点を持つことは、とても有効」と、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。今回は普段、無意識にやっている自分のイライラパターンを理解するためのQ&A集です。あなたなら、こんな時どうする?「早く準備して!」と言っても、なかなか言うことを聞かないわが子にイライラして…(A)とにかく「早く! 早く!」と、同じ指示を何度も繰り返す(B)「早くしなさい!」と叱る(C)「この間も遅れちゃったでしょ! そういえばあの時も…」と、ほかのことまで持ち出す(A)とにかく「早く! 早く!」と、同じ指示を何度も繰り返すと回答した人同じ指示で状況が変わらなければ、視点を変えて「早く!」と繰り返しても子どもが動かない時は、「どうして伝わらないのかな?」と考えて、指示の仕方を変えてみよう。 子どもの行動を理解する4つの視点 を使って考えてみて。「子どもに合わせた指示に変えて、しっかり伝えるといいかも」と見方を変えるだけで、きっと何かしらの発見があるはず!(B)「早くしなさい!」と叱ると回答した人「早く」の意味が理解できず、子どもも困っている?大人が「当然わかるだろう」と思っている言葉が、子どもにとっては理解できない言葉ということは、実はよくあること。「この言葉、子どもにはわからないかも…」と想定しておくと、子どもを叱らずにすんで、親子ともにストレスを減らすことができる。(C)「この間も遅れちゃったでしょ! そういえばあの時も…」と、ほかのことまで持ち出すと回答した人ほかのことまで言いそうなときはクールダウンいったん怒りがこぼれ始めると、芋づる式に出てきてしまうことがある。そんな時は体や心が疲れている場合が多く、どんどん怒りの焦点がズレていく上に、周囲の人も傷つけ、自分をも傷つける悪循環に陥りがち。次のような方法で少し間を置くなど、まずクールダウンしよう。<クールダウンの方法あれこれ>深呼吸6秒ルール(6秒までカウントする)落ち着く言葉を繰り返す体を動かしながら考える水を飲むその場から離れる子どもには伝わりにくい「あいまいな」言葉とは?子どもにとってどんな言葉が伝わりにくく、どのようにしたら伝わりやすくなるのか、口ぐせになりがちな、あいまいな言葉をチェックして、より伝わりやすい言葉がけにしてみよう。これらの言葉の伝わりづらさは、言っている本人はなかなか気がつかないもの。パパやママ友にモニターになってもらい、意見をもらうのも、ひとつの方法。<子どもに伝わりにくい、あいまいな言葉の例>・こそあど言葉 ~「それ取って」「これ片づけて」~指示するときによく使う、「これ」「それ」「あれ」「どれ」といった「こそあど」言葉は、わかりにくい言葉の代表的存在。▼こんな言葉がけにしてみよう「お皿を取って」「服を片付けて」など具体的に言う。また、「黄色いお皿」「脱いだパジャマ」など、より具体的に言葉にしたり、大人が一緒にやって見せながら言ったりするなど、子どもの理解度に合わせる。・抽象的な言葉 ~「ちゃんとしなさい」「大切に」~抽象的で、何をどうしたら「ちゃんとしていること」「大切に使っていること」になるのかがわからない。▼こんな言葉がけにしてみよう「今、ママはお客さんとお話しているから、本を読んで静かに待っていてね」など、具体的な行動を示す言葉に換える。・主語や目的語の省略 ~「早くしなさい」「行ってきなさい」~主語や目的が省略されてしまうと、誰が何を早くするのか、どこに行くのかがわからない。▼こんな言葉がけにしてみよう「○○ちゃん、ごはんを食べよう」「△△くん、トイレに行ってこよう」など、何をどうするのかを省略せず、具体的に言う。子どもが「わからない」と訴える力も必要ママが普段の言葉にちょっと気を付けることも大切だが、もちろん子どもが自分で「わからない」と言えることも大切。「そのために、親ができることは普段から『わからないときは言ってね』と伝えること。伝わらない時に伝わらなさにイライラするのではなく、下記のようなコミュニケーションとして楽しめると、良いですね」と、高山さん。<母子のコミュニケーション例>ママ 「あれとって」子 「あれって、何?」ママ 「なんでしょう? 今、ママの手は濡れています」子 「タオルだね!」ママが、リラックスすること。それだけで、家の雰囲気は柔らかくなる。そのためのヒントとして、今回、高山さんの教えてもらったことを試してみてもいいのでは!? 「こんな発想があったのか。もっと、この話を詳しく知りたい!」と思った人は◇ママもこどもも悪くない!「 しからずにすむ 子育てのヒント 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,200円(税別)
2015年07月18日嫌なのは「子ども」ではなく、子どもがする「行動」である の続きです。ママが毎日をリラックスして過ごすために、「子どもという『存在』」と『行動』を分けて考える視点を持つことは、とても有効」と、NPO法人えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。今回は、ふだん無意識にやっている自分のパターンを理解するためのQ&A集です。あなたなら、こんな時どうする?「片付けて!」と何度言っても、片付けないわが子に…(A)「どうして言うことを聞かないの!」と叱る(B)ふと我に返って、「なぜやらないんだろう?」と考えてみる(C)時間がかかるし、イライラするので子どもの代わりに片付けてしまう (A)「どうして言うことを聞かないの!」と回答した人ただ叱るだけでは、同じことの繰り返し?子どもが言うことを聞いてくれないと、つい叱りたくなるのは親心。でも、子どもは叱られる理由がわからないことが多いもの。ママも子どもがなぜやらないのかがわからないままイヤな気分になる。こんな繰り返しをストップしよう。実は、行動ひとつひとつに、その子なりの理由が必ずある。それを理解するために、次ページの「4つの視点」を参考にしてみて!(B)ふと我に返って、「なぜやらないんだろう?」と考えてみると回答した人「やらない理由」を想像すると対応が見えてくる「なぜやらないのかな?」「どうやったらできるのかな?」と、子どもの気持ちを想像すると、効果的な大人のかかわり方が見えてくる。ポイントは、子どもの行動の意味を正確に理解すること。子どもの発達も行動の理由も、その時々で違うので、ちゃんと観察して言葉をかけると効果的。次ページの「4つの視点」を参考にしてみて!(C)時間がかかるし、イライラするので子どもの代わりに片付けてしまうと回答した人代わりにやってしまわず、「親子一緒に」が大事。忙しくて余裕がないと、つい「私が片づけた方が早い!」と手を出したくなる。しかし、子どもがひとりでできるようになるためには、その中間の「親子一緒に」という、ママのやり方を見て覚えるプロセスが大切。毎回子どもと一緒にするのが難しければ、たとえば「週末だけは一緒にする時間を確保する」などの工夫を! やむをえず「今はわたしがやっちゃおう」という時は、子どもが混乱しないように、「今は忙しいからママがやるけど、今度は一緒に片づけようね」などと、その理由を伝えてあげて!次ページは、子どもの行動を理解する「4つの視点」の解説です子どもの行動を理解する4つの視点子どもの行動にイラっとして「ダメな子ね!」となる前に、ちょっと待って! 子どもの行動には必ず理由がある。その時の気持ちを次の4つの視点で考えると、具体的な関わり方がわかってくる。こんなふうに子どもの側に立つと、同じ行動も違って見えてきませんか?困ったなぁ ~わからない~指示の意味や、その場に応じた行動がわからない子もいる。しかし、大人にとっては当たり前のことなので、「子どもの『わからない』気持ちがわからない」ということも▼こんな対応が有効「ボールをこの箱に入れようね」などと具体的に説明し、大人がやって見せたり、一緒にやったりして、やり方を伝えてみよう無視していないよ!~聞こえてない~遠くから声をかけていませんか? 子どもの耳に届いていないのかも。特に乳幼児の場合は、本当に聞こえていないことも多い。▼こんな対応が有効近くで子どもに目線を合わせてから話してみよう。こっちを見て! ~わざと~注目されたくて、「わざと」やる子もいる。本当はママのことが大好きなのに、なかなか素直になれなくて…という気持ちのようだ。▼こんな対応が有効一緒に遊ぶ、スキンシップをとるなどの「スペシャルタイム」を! 忙しい時に起こりがちなので、「これから30分はご飯を作るから遊べないのよ」と、できない理由を伝えるとgood!悪気はないの ~うっかり~指示を聞いても、すぐに忘れてしまう、うっかり屋さんもいる。▼こんな対応が有効「何をやるんだっけ?」「これはどこに入れるんだっけ?」などと、一緒に確認をしよう子どもに寄り添うキッカケにもちろん、必ずしもひとつの行動にひとつの要因ということではなく、またこの4つでは説明のつかないこともある。分類が難しいと感じても、もちろん、OK!「大切なのは、すぐに叱らず、まずはいろいろな視点から子どもを見てみることです」と、高山さん。次回は「普段、無意識にやっている自分のイライラパターンを理解するためのQ&A集」です。「こんな発想があったのか。もっと、この話を詳しく知りたい!」と思った人は◇ママもこどもも悪くない!「 しからずにすむ 子育てのヒント 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,200円(税別)
2015年07月17日「子どものことを『イヤ!』」と思うことがあってもOK! ママは、無理をしないで!」と言うのは、NPO法人 えじそんくらぶ代表の高山恵子さん。NPO法人 えじそんくらぶは、ADHDをはじめとした発達障害を豊かな個性の一つと捉え、長所を伸ばし、弱点を克服できるよう支援する団体だ。高山さんは、「発達障害のある子の子育て法は、障害の有無に関係なく、すべての子どもに有効」と話す。今回はそんな高山さんに、子育てのヒントを伺った。ママの役割を休憩しよう子育て本を読めば読むほど、その通りにできない自分がイヤになる、ほかの子どもの比べてしまう、結果が出ないわが子にイライラする…そんな経験はないだろうか?でも、そう考えるのはあなたが無能なわけでも、子どもが悪いわけでもない。「この記事をクリックしている時点で、あなたは充分すてきなママです。だって、『子どもをイヤ!』と思う自分を何とかしたいと心の中で感じているのですから!」と、高山さん。ママが頑張りすぎていると、子どもが思い通りに動いてくれない時、怒りが爆発しがち。「もう、知らない!」と限界になる前に、時々ママの役割を休もう! リラックスすれば自然に笑顔も出てくる。「子ども」がイヤなのではなく、その「行動」がイヤママがリラックスするためのヒントのひとつに、「あなた(子ども)自身」と「行動」を分けることがある。これは、これからお話しするすべてのことに通じる大切なヒントなので、少し丁寧に説明しよう。まず、こんな場面を想像して欲しい。スーパーで我が子が走り回って大騒ぎ。毎度のことで、堪忍袋の緒がプッチン!と切れたママは、「どうしてちゃんと静かにできないの! 走り回ってダメな子ね!」「ママ、そんな悪い子は嫌いよ!」と子どもに向かって口走る。ここで意識したいのが「あなた(子ども)自身」と「行動」とを分ける視点。下記のように、行動と存在を引き離して考えてみる必要があるのだ。【OK例】「走り回る」のはNG。「あなた」はOK。→存在を切り離して、行動を否定。【NG例】走り回るあなたはNG。→行動と存在を一緒に否定。「我が子の『存在』がイヤ」なのではなく、「その時の我が子の『行動』がイヤなだけ」。だから、その『行動だけを変えていけばいい』と考えてみよう。「あなたはOK!」が心を育てる栄養に小学生になる頃から、子どもは「自分のイメージ」が明確になってくる。「自分はOK!」というプラスのイメージを持てるようになるには、まず「大好きなママから自分はいつも守られ、認められている」という安心感が必要だ。「少し意識するだけで、言葉がけがプラスに変わります。『子どもの存在は○。行動がときどき×または△』と考えてみてください。さっそく今日から、将来の子どもの自己イメージづくりを意識して、試してみましょう!」と、高山さん。次回からは、無意識にやっている自分のパターンを理解するために、事例を設定して、「あなたならどうする?」という三択式のQ&Aで、子育てのヒントを紹介します。「こんな発想があったのか。もっと、この話を詳しく知りたい!」と思った人は◇ママもこどもも悪くない!「 しからずにすむ 子育てのヒント 」(著者:高山恵子/学研教育出版) 定価:本体1,200円(税別)
2015年07月16日皆さんは、「ボーディング・スクール」という言葉をご存じですか? ボーディング・スクールとは、広いキャンパス内で、学校時間外も寄宿舎で学友と寝起きを共にし、授業だけではなく日常生活のマナーや秩序も学んで行くという、日本でいえば全寮制学校を意味します。子どもさんを将来海外留学させようと考えている方は、ホームステイにするか全寮制の学校にするか、正直悩んでしまうこともあるのではないでしょうか?国によって少々スタイルが異なるボーディング・スクールのうち、今回はボーディング・スクール文化がもっとも長い国、英国のボーディング・スクール事情をご紹介します。英国のボーディング・スクール事情勉強だけでなく生活全般を共にすると聞くと、日本では中学校、もしくは高校のイメージがありますが、イギリスでは、4~5歳の子どもを通わせることも可能です。英国内にボーディング・スクールはおよそ500校あるといわれています。それらは大きく3つのタイプに分かれています。1.プライベートスクールたとえば「牧師さんのご子息だけ」といったように、入学できる生徒が特定されている学校や歴史が浅い新しい学校を指す。2.パブリックスクール別名、インデペンデントスクールと呼ばれ、古くからある名門校を示す。3.公立の学校数は圧倒的に少ないですが、授業料が無料(ただし、寮費は別途かかる)の学校。このうち、残念ながら公立校は、英国国籍もしくは、EEA(欧州経済地域)の学生しか受け入れていません。プライベートスクールとパブリックスクールについては、どちらも(いくつかの私立は除く)留学生を受け付けています。イギリス人に圧倒的に支持されているのは、プライベートスクールよりも断然、歴史があるパブリックスクール。ただし、授業料が高額な学校が多く、貴族のご子息や歴代の首相が通っていたことで知られる名門校、イートン校(Eton College)の学費は、なんと年間430万円にもなります。ボーディング・スクールのメリット&デメリットボーディング・スクールに通うメリットの1つは、学校によって力を入れている分野に違いがあることです。各校には特色があり、スポーツを重視する学校、マナーや秩序を教え込む学校、勉強を重視する学校など、力を入れている分野を大きく伸ばしてくれるのが特徴です。一方デメリットは、やはり人間関係。少なからず小さないじめもあるようなので、寝食を共にすると逃げ場がなく、精神的に弱い子どもはなかなかなじむ事ができない傾向があるようです。とは言ってもイギリス人は、「だからこそ、もまれて心身ともに強い人間なるから良い」と楽観的に考えている親御さんも多いのだとか。実際に11歳からボーディング・スクールに通っていた、イギリス人の友人に話を聞くと、「はじめは『なぜ親がこんなに学校の近くに住んでいるのに、自分だけボーディング・スクールに入らなければならないのだろう』と悲しかった。しかし、通っているうちに大好きなスポーツで結果も残せるようになり、充実した学生生活が送ることができた。また、毎日2~3時間、宿題の時間というものがあって、その時間は全生徒が強制的に宿題をやらされていたが、今思うと両親と一緒に住んでいたら、絶対に勉強しなかったと思うので、そうした点でもボーディング・スクールに通っていてよかった」と言っていました。ボーディング・スクールに入学させる場合、単に評判の良し悪しだけでなく、子どもの性格や能力を考慮し、我が子に一番何を学ばせたらよいかをよく考えて、学校や入学させるタイミングを選んであげるのがよいかもしれません。将来、英国のボーディング・スクールへの留学を考えている方は、サマースクールも行われているようなので(ラグビーの発祥地でもある名門、ラグビー校<Rugby School>では、毎年行われている)、こういった短期留学を上手に利用してみるのもよいですね。
2015年07月06日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! 親が子育てで「野望」や「不安」以外に持てるものって!? 子どもの気持ちを受けとめるって? ママが身につけたい、子どもの話を聞くためのスキル 実践!子育てコーチング ~初級編~ 実践!子育てコーチング ~中級編~ の続きです。 子どもにお説教するには10年早い! と4本目に書いたけれど、いやいや、どうして! 本特集6本目(最後)にして、やっと子どもにリクエスト(要求する)スキルに到着した。引き続きお話を、国際コーチ連盟マスター認定コーチの、あべまさいさんに伺いました。不満ではなく「リクエストしてもらう」あべさんは、1997年の夏、初めてコーチングのワークショップに参加した。そこで聞いた話の中で、いちばん印象に残ったのはアメリカのトップコーチである講師自身(父)と息子たちとの関わりだと言う。子どもたちとテレビを見ている。父のそばにリモコンがあり、子どもたちが言う。『お父さぁん、テレビの音が小さいよ』父は『ああ、そう』と聞いてそのまま。『お父さぁん、テレビの音が小さいよー』そこで父は言う。『不満には答えられないけれど、リクエストなら聞きますよ』すると、子どもたちはハッとしたような顔をして、背筋を伸ばしてこう言った。『お父さん、テレビの音を、もっと大きくしてください』そこで父は、『はい、いいですよ』と言ってリモコンを手に取り、音量を大きくした。「アメリカと日本という文化の違いもあるかもしれません。でも、ただ不満を言うのではなくて、自分から相手にリクエストをする。自分から責任を持って人に関わるという習慣がつけば、自分の思いや目標を遂げられる、すくっとした大人になれそうです」と、あべさん。子に期待するのではなく、「子どもの未来を望む」先ほどの「リクエスト」に似たスキルとして、「wanting for(相手のために求める)」というスキルがある。意訳すると要求ではなく、「要望」ということになる。「要望とは『純粋にその人のために、それを求める』というスキルです。親という役割を背負って、その役割から『ねばならないこと』を伝えるのとは違います。親から子の未来に向けて求めることを伝える、それが要望のスキルです」と、あべさん。子どもの力を信頼する要求や要望をすることは、勇気のいることだ。「どうせ○○だろうから」という諦め。「○○と言ったら、また親子関係が悪くなる」。そういった気持ちの根底には、子どもへの不信感があるのではないだろうか。人を信頼するには、勇気がいる。けれども、コーチングという考え方に触れ、それをもとに自分の心の中を整理してみると、以前より、少しだけ勇気が出せるような気がした。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年07月01日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! 親が子育てで「野望」や「不安」以外に持てるものって何!? 子どもの気持ちを受けとめるって? ママが身につけたい、子どもの話を聞くためのスキル 実践! 子育てコーチング ~初級編~ の続きです。前回は、質問することで、子どもの中にあるものを引き出すというスキルを学んだ。今回は、知識がなかったら、それが「子どもへの働きかけである」ということにすら気がつかないスキルを学んでみよう。そのスキルとは「子どもを承認する」ということ。引き続きお話を、国際コーチ連盟マスター認定コーチの、あべまさいさんに伺いました。存在を認める=アクノレッジするというコーチングスキルアクノレッジするとは、直訳すると「承認する」「認める」という意味だ。「ほめる」という言葉とも限りなく近いが、アクノレッジには、「その人の存在そのものを認めていく」「その人がそこにいることに価値を置いていく」という意味合いも含む。アクノレッジのスキルは、以下の3つに分けることができる。・結果承認良い結果を出したときにほめること。これは自然とやれている人が多い。・行為承認望ましい行為があった時にそれを認めていくこと。行為承認をするためには、子どもを注意深く観察していく必要がある。「どんな小さな進歩や努力でも見逃さないぞ!」というような心構えでみていく必要がある。・存在承認文字通り、子どもの存在そのものを認めていくこと。大それたことでなくていい。たとえば、朝起きてきたら「おはよう!」と親から声をかける、それも立派な存在承認だ。存在承認や行為承認がなく、結果承認だけのコミュニケーションは、人をかえって不安にさせると言われている。横浜市長、林文子さんの人との関わりアクノレッジの上手な例として、あべさんが林文子さん(現・横浜市長)に伺った話を引用しよう。当時、林さんはBMW東京の社長だった。林さんは数少ない女性セールスとして数々の記録を打ち立て、BMW東京社でも売上最下位支店を半年でトップに引き上げた女性。魔法の杖を持ったスーパーレディだと思っていたが、林さんが教えてくれたのは、営業マンと交わした一つ一つの会話。「売れなかった」と報告してきた営業マンに、「ええ! あなた、あんなにがんばっていたのにっ!?」と、心底驚くところから会話はスタート。営業に同行した帰り道、その営業マンの説明で素晴らしかったところを、一つ一つ承認する。技術のスタッフとも、昼食のコンビニの袋を覗き込みながら「これ、油っぽくて体に毒じゃない?」といったおしゃべりを交わす。「林さんの関わりは、その人の存在に心から関心を払う『存在承認』、まだ結果にはつながらないけれど、その人の努力を認める『行為承認』、そして素晴らしい結果を喜んで分かち合う『結果承認』に満ちていました」(あべさん談)「差し出されたものをもらう」というアクノレッジメント「承認」の中には、「もらう」という行為も含まれる。「もらう」というと、なんだか受け身的な行為のような印象があるが…。「『心を込めて、感謝の気持ちを表現しながら、もらう』ことは、意識して働きかけようという意志があって、初めて可能になります。自分が差し出したものを相手が喜んで『もらって』くれる、それは人にとって最もうれしい瞬間なんですね」と、あべさん。子どもが表現したものを「もらう」例として、あべさんの娘さんがピアノのレッスンに通い始めた時のエピソードを紹介しよう。娘は一目で先生を気にいってしまった。いかにも芸術家という風情のある女の人で、エネルギッシュで、ユーモアがある。初回のレッスンの最初に、先生は娘の名前を確かめると一瞬目を閉じて「いいお名前ねー。先生、ちはるちゃんってお名前の生徒さん、初めてよ」と、本当にうっとりしながらこの名前を味わってくれた。先生の前に立っている娘が、体を左右に揺らして照れながらも、喜んでいるのが伝わってきた。次の週、娘が先生に小さい手紙を渡すと、先生は「うわぁー」と言ったきり、穴のあくほどその小さいメモを見つめる。「ちはるちゃんありがとう」と一人ごとのように呟くと、また見入っている。やっと顔を上げると、「これはここに飾っておこうね」と譜面台の上にメモを乗せてレッスンを始めてくれた。「差し出されたものをもらう」ことは、働きかけるスキルである。そんな視点をもつと、普段の生活が、今までとは違って見えてくるかもしれない。子育てコーチング特集も、次回はいよいよ、最終回。リクエストするスキルを学びます。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月28日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! 親が子育てで「野望」や「不安」以外に持てるものって何!? 子どもの気持ちを受けとめるって? ママが身につけたい、子どもの話を聞くためのスキル の続きです。コーチングという視点で子育てを眺めてみると、親といえども、子どもにお説教するには10年早い! くらいのことが判明。子どもにお説教する(働きかける)までに、親としてすべきことがありすぎて、目まいがしました。 しかし、やっと本特集4本目にして、子育てコーチングの実践編「子ども働きかけるスキル」に到着。引き続きお話を、国際コーチ連盟マスター認定コーチの、あべまさいさんに伺いました。コーチングのポイントは質問の仕方にありコーチは質問のプロ。なぜなら、質問をすること自体が、そのまま相手への働きかけに繋がるからだ。コーチが考える質問には、大きく分けて次の2種類がある。・オープンクエスチョン(直訳すれば、「開かれた質問」)5W1H(いつ、どこ、誰、何、なぜ、どのように)でたずねる質問。相手が自由に話すことができる形式・クローズドクエスチョン(直訳すれば、「閉じられた質問」)「はい」か「いいえ」で答えられる質問。質問者のために作成されたもので、答える相手にプレッシャーをかけてしまう可能性もある。子どもには、オープンクエスチョンで自由に答えさせるこの技術を子育てに応用するには、子どもにもオープンクエスチョンで質問をする必要がある。ただ、日々の子育ての中で「今のは、オープンクエスチョンになっていたかしら?」などと考えられる余裕は、残念ながらない。だが、そんな人でも、次のエピソードは、ポンっと頭に入るのでは? あべさんの友人コーチが、夜、自宅で仕事をしていた時のこと。クライアントにオープンクエスチョンを投げかけ、コーチングが終わって、和室のふすまを開けると、当時9歳の息子のげんちゃんが、そこに正座していた。コーチングをずっと聞いていた様子。『お母さんズルイ。僕には<ああしろ、こうしろ>しか言わないのに、ほかの人には<何がしたいんですか?>なんてきいてあげているじゃない。ぼくにも、そういうふうにきいてよー!』と言った。子どもにオープンクエスチョンを実践してみたら…思わずシーンが目に浮かぶようなエピソードだったので、早速、我が家でも実践してみた。小学校5年生の双子の息子たちに、「本日の塾の勉強は、どんなふうにする予定ですか?」と聞いてみたのだ。紙と鉛筆を用意し、「ママはお話を伺う気は満々です!」的な気配を漂わせる。すると、どうだろう。息子たちは鼻を膨らませながら、「国語はちょっと時間がかかるから、最初は理科をやる」「社会は工業地帯を暗記しないとなんないんだよ」などと言い始めた。そんな話を紙に書き取り、項目を整理してやると「本日のTO DOリスト」が出来上がった。いつもはああしろこうしろと口うるさく言わなければ決まらないことがすぐまとまるなんて、素敵!! 子どもにとっては、珍しさも手伝ってのことなのだろうが、それでも嬉しかった。ぜひ、皆さまも試してみてほしい。今回の「質問をするスキル」は、コーチングで相手に働きかけるスキルの、ほんの出だし。次回は、承認することで、子どもに働きかけることを学びます。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月27日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! 親が子育てで「野望」や「不安」以外に持てるものって何!? の続きです。ちょっと自分の心の中を整理して、余白(余裕)をつくる。その余裕で、相槌を打つ。そんな気持ちになれたらのならコーチングのスタート地点につけたのかもしれない。スタートラインに立ったら、第1ステップとして何をするのがよいのだろう? 引き続きお話を、国際コーチ連盟マスター認定コーチの、あべまさいさんに伺いました。子育てコーチングの第1歩は、子どもを受け止とめること子育てコーチングの第1ステップは、子どもを受けとめるスキルを身に着けることだ。それはさらに、「聞く」「見る」「ペーシング」という3つの項目に分かれている。項目ごとに詳しく見ていこう。子どもを受けとめるスキル(1)聞く ~子どもが「聞かれた」と思う聞き方~コーチという立場には、1つの原則がある。それは、「相手から返ってきたコミュニケーションは、自分が相手に伝えたコミュニケーションの結果である」という原則だ。これは子育てにも当てはまる。親のコミュニケーションによって、どれほど子どもの反応に違いが出るのか? 再びあべさんのエピソードを引用しよう。「ある朝、娘が目覚めるなり『のどが痛いよ』と訴えてきた。家事をしていたので、布団にいる娘に遠くから『きっと口を開けて寝ていたんじゃないかなぁ?』と声をかけると、娘は『口なんか開けてない!』と言うと、布団に顔を埋めて号泣し始めた。数日経った朝、娘が再び『のどが痛いよー』と言った時は、家事の手を止め娘の傍らに行き『どこ? どこらへん?』と聞くと、即座にパカッと口を開けた。私はじーっと覗き込み、喉の中をまんべんなく見てひとこと、『確かに赤いみたい』と低い声で、心底納得した口調で言った。すると娘はゆっくり口を閉じ、何事もなかったかのようにパジャマ姿のまま絵を書き始めた。このエピソードを聞いて、「ああ、わかる。子どもって、こういうことあるよなぁ…」と思ったママも多いのではないだろうか。「聞くという行為は、『最初から最後まで聞く』、『相手の言わんとしていることをそのとおりに理解しようとする』、そして、『それだけで完了する行為』なのだと、その時に感じました」と、あべさん。子どもを受けとめるスキル(2)見る ~エンジェルアイ(天使の目)をあなたに~エンジェルアイ(天使の目)。それはコーチや組織のリーダーがクライアントや部下の話を聞く時の、1つのモデルとなるような眼差しを表す言葉だ。相手を無条件で受け入れる、そう決めている人の「目」の表情だ。もちろん、エンジェルアイを子どもに向けることは大事。でも、それとともに忘れてならないのは、「自分にもエンジェルアイを向ける」こと。たとえば、子どもが熱を出すと、親は「ああ、昨日の夕方、私が空気の悪いスーパーに私が連れて行ったからだ」など、自分に「イーグルアイ(鷹の目・厳しく射るような批判的な目)」を向けがち。しかし、そこで、フッと力を抜いて、エンジェルアイで自分を見てあげることができたなら、つまり、自分の失敗を責めずにいられたなら、子どもに対してもエンジェルアイが向けやすくなるのでは? 子どもを受けとめるスキル(3)ペーシング ~ただ繰り返す~ペーシングのスペルはPaching。直訳すると「相手とペースを合わせる」という意味。すなわち、ペーシングとは、相手のペースに合わせて、相手の言うことや気持ちを受けとめるスキルのことだ。たとえ、それが自分にとっては都合の悪いものであったとしても、できるだけの忍耐と思いやりを動員してしっかり受けとめる、そういうスキルがペーシングだ。こちらは、あべさんの友人のエピソードを引用しよう。「病院に1泊入院しなければならなくなったR子ちゃん。母親が乳飲み子を抱えていため、入院手続きは父がすることに。父が話を切り出すと、R子ちゃんは当然のように泣き出し続け、お手上げ状態になった父。『泊まるの、いやだよー』途方にくれた父は確かにそうだなぁ、と思い、『そうだよね、いやだよね』『泊まるの、こわいよ!』『そうだよね、こわいよね』本当にそうだなぁと思いながら、R子ちゃんの言うことをただただ、繰り返していた。すると数分後、R子ちゃんはふと顔を上げて、『わかったよ、R子、びょういんにとまる』と言ったのだそうだ。「人の気持ちは、『そうか、そうなんだね』と、誰かから認められるだけで軽くなるものです。あくまでも焦点は、その人の気持ち。ペーシングとは、その人がまさにそう思っている、その思いや気持ちを受けとめるスキルなんです。」人を受けとめるって、こんなに深いことだったんだ! そのことが理解できたところで、次回はいよいよ、コーチングの真髄とも言える「子ども働きかけるスキル」について学びます。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月26日子育てはコーチング技術を使えばもっとうまくいく! の続きです。コーチングとは、我が子がごきげんな人生を歩めるようにサポートするスキル。そのスキルをスッキリ使えるように、親である自分の心を少し整理してみましょう。私のダメ親日記私には3人の息子がいるが、子育て中の現在、日々、自己嫌悪に陥っている。発狂のあまり、 物に当たって壊してしまったり 、 先生に泣き言を言ってみたり と、相当なやりたい放題。子どものことを思えばこそ!親はいろいろと言いたくなるものだ。けれども、子どもは私が思ったようには動かない。その繰り返しで、いつしか消耗してしまうのだ。あべさんは言う。「ある子育ての勉強会に参加して、そこで、『子どもにとって一番良くないのは、大人の野望と不安』という話を聞いたことがあるんです。これは親と特定したものではなく、スポーツのコーチや、学校や塾の先生や、子どもに関わるすべての大人を想定したものです」。親が子育てに「野望」や「不安」を持つのは悪いことなのか? 大人の野望と不安。たしかに私が子どもにいろいろと言いたくなる根っこには、その二つの感情があると思う。「でも、子どもに、こうあって欲しいという野望を持つことや、これでいいのだろうか? という気持ちは、人間として当然の感情なのだと思います」と、あべさん。そういった感情が備わっていなければ、人類はとっくに滅亡しているか、まったく進化していなかったはず。いわば「野望」と「不安」は、人間が生体としての存続するための本能なのだ。けれども、過度の野望や不安だけの心持ちになってしまうと、それはコーチングという方向とは少しズレてしまう。究極のところ、相槌を打っていればいい「ふん、」「へえー!」「おお!」「すごいね」。「そうなんだー!」「さすが」「みごと!」などなど。究極のところ、親はちょっと心を子どもに向けて、耳を開いて、あとは相槌を打っているだけでいいのかもしれません。『自分の話を最初から最後まで聞いてもらいたい=自分がここにいることを誰かに認めてもらいたい』。人が生きていて欲していることって、結局、そういうことなんじゃないでしょうか?」と、あべさん。日々の子育てで、いっぱいいっぱいなのは仕方ない。でも、ちょっと自分の心の中を整理して、余白(余裕)をつくる。その余裕で、子どもに相槌を打つ。そんな気持ちになれたらコーチングのスタート地点につけたのかもしれない。では、コーチングを使って、子どもと接してみようと思ったのなら、どのようにしていけばよいのだろう? 次回はコーチングの最初のステップに入ります。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月25日コミュニケーション技法の1つである「コーチング」。名前だけ聞くと、格好良すぎて、何だか気後れしちゃう!? いえいえ、そんなこと、全然ないんです! コーチングには、子どもと関わる時の大切な知恵がたくさん詰まっています。子どもが、ごきげんな人生を歩めるようにサポートするスキル「コーチングとは、お母さんが言いたいことを伝える技術ではなく、思う通りに子どもを動かす技術でもなく、子どもが自分で考え、自分で決めて、自分の人生を歩めるように関わっていくスキルなんです」と、あべさん。自分で決めて、自分の人生を歩む。つまりは、自発的な行動ができるようになれば、人生のクオリティはおのずと上がる。「コーチングとは、その子がごきげんな人生を歩めるようにサポートするスキルなんです」。子育ての答えは、すべて子どもの中にあるそう聞くと「子どもの自発的な行動を促すには、親は何をすればいい?」と考えてしまう。でも、「答えはすべて子どもの中にあるんです」と、あべさん。それをあべさんが実感した時のエピソードを引用しよう。要約するとこんな感じだ。「娘がハイハイをしている頃、15cmほどの段差を下りられるように、私(母)がハイハイの恰好になって、毎日のように見本を見せていた。それは、足から先に下りる方法。ところが生後9ヵ月目のある日。娘は、いきなり手をありったけ伸ばし、頭から段の下に向けて突っ込んで上手に段差を下りた。母は一連の動きを見ているほかなかった。どんなに見本を見せても、どんなに教え込んでも、最終的には、人は自分の求めているものを自分のやり方で手に入れる、すべて自分が決めたことを人はするのだ」きっと、どの親も多かれ、少なかれ、似たような体験が思い当たり、ギュッと胸が掴まれるような共感を覚えるのではないだろうか。まずは、子どもの話を最後まで聞くこと「すべては子どもの中にある」のなら、それを信じて、子どもの中にあるものを引き出すことに専心すればよい。などと書いてみても、日々の自分の子育てを省みると、まったくもって自信がない。あべさんは、言う。「日本にコーチングを初めてもってきた伊藤守さんが、講演会などで紹介するエピソードの一つに、『私たちは<聞かれずに育った>』というものがあります。誰でも思い当たる子どもの頃の体験として、ちょっと話を始めると、大人は途中で『ああ、わかった、わかった、』と言って、子どもは最後まで聞かれていない、と。そんなエピソードを聞くと、ちょっと反省してしまう。どうしたら、子どもの話を聞ける母になれるのだろう? もしかしたら、それはコーチング以前の私側の心の問題なのかもしれない。親側の心を整理するヒントを、取材中のあべさんとの雑談の中で見つけた。次回は、コーチングをする前の親の心の整理法を探ります。コーチングについて、興味を持った人には◇コーチングのプロが書いた決定版 「 子育てコーチングの教科書 」(あべまさい/ディスカヴァー・トゥエンティワン)本体1,400円
2015年06月24日自然豊かなタイのプーケットで、今年10歳になる娘さんを、モンテッソーリ教育を行う学校に通わせている、ライターの徳武加奈子さん。そんな徳武さんに、モンテッソーリ教育のこと、そして、娘さんが通っている学校のことについて、赤裸々に語ってもらいました。 前編 に続き、後編の今回は、娘さんの通っているモンテッソーリ学校で実際に行われている授業の内容をご紹介します。■心が確立する年齢になるまでは順位づけをせず、自分に自信を持たせる「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」では、シンガポールカリキュラム(※)に移行する高学年になるまでは、テストというものが存在しません。もちろん、テストらしきもの(たとえば、計算問題やスペリングなど)は行うのですが、解答用紙には、どこが間違っていたのかがわかるように、まる(○)とチェックマーク(☑)だけで点数はつけません。子どもは、わざわざ大人が順位をつけなくても、「○○ちゃんが算数は一番できる」「○○くんは、絵がとっても上手」と、自然に競争心を燃やして、日々生活しています。ですから、心がしっかりと確立する一定の年齢になるまで、繊細な子どもにわざわざ「あの子よりも僕は劣っている」「私はどうしてできないんだろう」という自信を失わせるようなことはしないのです。クラスで勉強のできる子どもの目に見える順位をつけるというのは、目で見える点数が欲しい、大人のエゴの1つなのかもしれません。うちの娘は、口には出しませんがかなり繊細な子どもなので、高学年のクラスに移行する時に初めて実施されたテストで、緊張のあまり、テストが終了したと同時にトイレに駆け込んで吐いてしまい大変だったそうです。しかし、高学年になった今ではすっかり慣れ、毎週行われるスペリングテストや計算テストに「いい点数とるぞ!」と、親が何も言わなくても自分から進んで意欲的に勉強に取り組んでいます。(※)ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルでは小学校高学年になると、モンテッソーリ教育のメソッドを取り入れつつ、試験の成績に応じてコースを分ける、シンガポールの教育カリキュラムをベースにしたプログラムで学んでいきます。■英語教育だけでない語学学習娘は自宅では、母親の私とは日本語で、父親とはフランス語で話す、というように、小さな頃から言語を使い分けて生活していました。それに、4歳になるまではタイ語を使う公立幼稚園に通わせていたので、4歳半で「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」に入学するまでは、英語は一切話したことがありませんでした。当時、娘の幼稚園のクラスには、タイ人の子ども+タイ人と外国人のハーフの子どもが多かったためか、通い始めて1ヵ月を過ぎる頃には、娘も英語をちょっとずつ話すようになりました。そして、半年もするとおもしろいことに、学校のお友だちとは英語を、家では日本語とフランス語を、ご近所のタイ人のお友だちとはタイ語を…と、それぞれ使い分けて話すようになったのです。トライリンガルやマルチリンガルはどの言葉も中途半端になると言われますが、せっかくタイに住んでいるので、ある程度タイ語の読み書きもできたほうがいいと思い、アフタースクールには、タイ語のクラスに週3日ほど通わせています。その結果、タイ語を母国語とするお友だちのお母さんに言わせると、「タイ人の子どもとおんなじね~」というレベルにはなっているようです。そのほか、日本語もフランス語も英語も、ネイティブが聞いてもほぼ問題がないようで、コスモポリタンな島、プーケットらしい語学教育は、娘の身にはなっていると感じています。■モンテッソーリメソッドがもたらした変化最後に、モンテッソーリメソッドで子どもを学ばせたことがもたらした変化についてお話ししましょう。ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルでの学びは、娘だけでなく、私自身にも大きな変化をもたらしました。教育熱心とはほど遠い私ですが、この学校に娘を入学させてから、私自身がもっとも学んだことは「子どものあるべき力を信じること」です。子どもは誰もが、親がビックリするほどの素晴らしい才能と能力を兼ね備えています。しかし、多くの場合、「勉強ができる」ということが主たる評価基準になってしまうため、その才能や能力に気がつかないことがあるのです。ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルでは、子どもを勉強の優劣だけで比較することなく、「誰とも比べられない、唯一無二の自分」という価値観を、子どもにも、そして母親である私自身にも教えてくれました。そうした、誰とも比べられない人間に成長させてくれて、学力も伸ばしてくれたこの学校に出会えたことを、本当にうれしく思っています。(参考) ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル
2015年06月16日Woman.exciteママでは、海外在住のママライターも活躍してくれています。そのお1人が、ご家族でタイのプーケットに住んでいる徳武加奈子さん。自然豊かなプーケットで、今年10歳になる娘さんを、今話題のオルタナティブ教育法、モンテッソーリ教育を行う学校に通わせています。そんな徳武さんに、モンテッソーリ教育のこと、そして、娘さんが通っている学校のことについて、赤裸々に語ってもらいました。前編である今回は、娘さんの通っている学校のことや、モンテッソーリ教育によって娘さんがどのように成長していったかに焦点を当てます。■「モンテッソーリ学校ってどうなの?」日本に住むママの関心は高いこんにちは。Women.exciteママのタイ、プーケット在住のライター徳武と申します。私は10歳になる女の子のママでもあります。娘は、自然豊かなプーケットで成長し、4歳半から地元の、モンテッソーリ教育を実地しているアットホームなインターナショナルスクール「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」に通っています。最近、日本でも注目されつつあるオルタナティブ教育。日本に住むママ友だちから「モンテッソーリ教育ってどうなの?」と聞かれることも多くなりました。ということで、今回は私の娘が通っている「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」についての説明と、モンテッソーリ教育を受けさせていて娘が変わったこと、私自身が変わったことを書いていきます。■タイのモンテッソーリ学校「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」について今から10年以上前、当時プーケットに移住した外国人の保護者たちが、自然あふれるプーケットにピッタリな、感覚教育と自然を重視するモンテッソーリ教育を行う幼稚園~小学校までの子どもたちが通う学校をつくりました。それが現在の「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」の始まりです。地元では、「モンテッソーリ・スクール」という名で親しまれているラワイ・プログレッシブ・インターナショナルは、元々海沿いにあったのですが昨年移転し、現在は、閑静な住宅街の一角にある堂々とした大きな菩提樹の大木がそびえ立つ広い敷地、自然の風が心地よく吹き込むオープンスタイルの校舎にお引っ越しをしました。■子ども1人1人の行動を観察し、人間性を成長させてくれる教師の存在日本でモンテッソーリ教育といえば、5つの分野(※)で使用される学習用の「お道具」のことばかりが注目されているようで、最近ではネットでも、これらを気軽に購入できるサイトもあるようです。たしかに、モンテッソーリメソッドで使用される「お道具」は、とてもよくできていて、どんな子どもでも楽しく学習できるようになっています。しかし、モンテッソーリ教育で「お道具」以上に大切なのは、数ある教材のなかから、それぞれの子どもに、その時にピッタリな「お道具」を選んでくれる、熱心で、モンテッソーリ教育哲学に熟知した教師の存在です。ラワイ・プログレッシブ・インターナショナルでは、先生方は学習以外でも日常の子ども1人1人の行動を観察していて、それぞれの子どもの性格、個性、発達段階をしっかりとチェックしています。そのため、学習以外の「人間性」の成長も、それぞれの子どもに合った方向でガイドをしていってくれるのです。入学当時は、恥ずかしがり屋で優しすぎて、いつもお友だちの言うことを何でも聞いてしまっていた子どもも、先生の鋭い観察力のおかげで少しずつ自分自身を成長させていき、今では、嫌なことははっきりと「いやだ」と言える子どもに成長しました。後編では、タイのモンテッソーリ学校「ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル」のカリキュラムと、語学教育について紹介します。(※)モンテッソーリ教育のメソッドでは、学習内容(お仕事)を日常生活の練習、感覚教育、言語教育、算数教育、文化教育の5つの分野に分け、学習を進めています。(参考) ラワイ・プログレッシブ・インターナショナル
2015年06月14日子どもには小さい頃から英語に触れさせたい。将来は子どもを留学させたいと検討している人も、読者のなかには多いのではないでしょうか?そんな皆さんにおすすめなのが、世界各国で行われているサマースクールやサマーキャンプ。1週間~1ヵ月という短期間の開催ですが、英語を学びながら海外生活も体験できるので、海外留学の予行演習のような感覚で気軽に参加できるのが魅力です。今回は、勉強だけなく家族で楽しい思い出も作りたいという皆さんにうれしい、入園前のお子さんも参加できる、リゾート地で開催されるサマースクールをご紹介します。■幼児も参加OKな海外サマースクール(1)【ハワイ】海外リゾートの鉄板、ハワイでのびのびと英語を学ぼう!「 カマアイナ・キッズ(セント・マークス校) 」「カマアイナ・キッズ」は、ハワイ諸島に全20園プリスクール(幼児向けスクール)を運営しているハワイ州公認の非営利団体です。観光客のメッカ「ワイキキビーチ」にほど近いセント・マークス校は、観光客としてワイキキエリア滞在している方に人気があるプリスクール。日本人受け入れにも慣れているので、英語が苦手な人でも安心です。■幼児も参加OKな海外サマースクール(2)【マレーシア】観光も英語学習も親子で満喫「 Family Camp2015 」東南アジアの中でも治安が良く、さまざまな人種が集まる国、マレーシア。リーズナブルな学費でありながら、高度な学力が習得できるインターナショナル校も多いことで、日本からも移住留学を目的にやってくる家族が年々増えているようです。そんなマレーシアを代表するリゾート地がペナン島。インターナショナルスクールでのサマーキャンプは、小学生以上でないと参加ができませんが、現地にある留学斡旋会社「オーバーシーズリビング・コンサルタンシイ」が、4~6歳の幼児とその両親を対象に、短期間のサマーキャンプを開催します(2015年時点の情報)。プールやテニスコートがついた、すてきなコンドミニアムに滞在しながら、午前中は子どもと一緒に語学学校で英語を学び、午後は観光と親子で英会話と観光を一度に楽しめる内容になっています。■幼児も参加OKな海外サマースクール(3)【フィリピン】日本人ならではの丁寧なケアが評判!「 セブ島えいご体験プログラム 」リーズナブルな語学留学で人気なのが、セブ島です。日本人が運営する語学学校「ファーストウェルネス・イングリッシュ・アカデミー」が開催する「夏休みセブ島えいご体験プログラム」は、子どもが初めての英語に戸惑わないように、経験豊かな保育士の資格を持つ日本人スタッフさんが常任し、日本人ならではの細かいケアを行っています。子どもたちが英語のグループレッスンをしている間、親はショッピングやティータイムも楽しめるというのも、日々育児や家事に追われているお母さんにとってはうれしいところかもしれません。■幼児も参加OKな海外サマースクール(4)【タイ】注目のモンテッソーリ教育で「英語」+「集中力」「自主性」も身に着けよう!「 プーケット モンテッソーリ サマースクール 2015 」タイのリゾート地、プーケットで10年以上、モンテッソーリ教育を行ってきたインターナショナルスクールが開催するサマースクール。プーケットは、長期滞在する外国人がとても多く、島内の日常会話では、タイ語に加えて英語も必要な言語なのです。こちらのサマースクールは、今話題のモンテッソーリ教育を行ってくれることに加えて、宿泊費込みのリーズナブルなお値段も魅力のひとつ。世界屈指のアジアンリゾートを、ぜひ親子で満喫してください。勉強だけではなく、観光やビーチライフを親子で存分に楽しめるのが、リゾートで開催されるサマースクールの魅力でもあります。今から夏の旅行を兼ねて、サマースクール参加を検討してみてはいかがでしょうか?
2015年06月12日20世紀初頭、オーストリアの神秘思想家、ルドルフ・シュタイナーが考案した、自由と芸術、そして創作を基調にした教育が「シュタイナー教育」です。近年、日本では、教育熱心な親御さんたちが注目している、オルタナティブ教育といわれるジャンルの1つです。現在、シュタイナー教育を行っている学校は、日本で8校。全世界では91ヵ国、1,000校以上に及ぶそうです(2015年4月時点)。今回はそんな世界に広がるシュタイナー教育の中から、注目のシュタイナー教育校を4校ご紹介します。■世界のシュタイナースクール(1)San francisco Waldorf school (北アメリカ、サンフランシスコ)カリフォルニア州は、全米でもっとも公的資金によるシュタイナー教育を行っている学校が存在している、オルタナティブ教育が盛んなエリアです。その中で35年間の歴史が在る、サンフランシスコ・ウォドルフ・スクールは、幼稚園から高校までウォドルフ教育を一貫して行っている、北アメリカで一番大きな私立のシュタイナースクールです。芸術や実践を重視するシュタイナー教育は、いわゆる一般的な教育を行っている学校との学力の差についてしばしば話題になりますが、サンフランシスコ・ウォドルフ・スクールは、Western Association of Schools and Colleges (WASC)(※)にも認定されていて、それぞれの学年でしっかり学力も学べる学校です。 (※)WASCは、アメリカに本部がある教育認定機関。WASCの認定資格は、世界的な資格として有用とされ、WASC認定校で12年の課程を修了した18歳以上の者は大学入学資格あり=高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められています。■世界のシュタイナースクール(2)Panyotai Waldorf School(タイ、バンコク)タイで一番初めに設立されたシュタイナースクールです。創設者である Porn Panosot医師が、自分の子どもを通わせたいと思う学校がなかったため、「いっそのこと自分で学校をつくってしまえ」と考えたことが、設立の理由の1つです。 Porn Panosot医師は、その後、医者を辞めて、アメリカまでシュタイナー教員の資格を取りに行き、1996年にPanyotai Waldorf School学校が開校されました。Panyotai Waldorf Schoolは学校法人認定校であり、タイ国内では、国内の有名大学のほか、海外の有名大学に進学する率がとても高い学校としても知名度があります。現在は、定員がいっぱいの状態。長いウェイティングリストに名を連ねなければ入学できない人気校です。 ■世界のシュタイナースクール(3)Rudolf-Steiner-Schule Schwabing (ドイツ、ミュンヘン)シュタイナー教育の生みの親ルドルフ・シュタイナーの出身国であるドイツ。1970年代に、日本に初めて「シュタイナー教育」を紹介した、子安美知子氏の著書「ミュンヘンの小学生」で、著者の娘さんが通っていた学校がRudolf-Steiner-Schule Schwabingです。系列校に、高等教育まで学べるRudolf-Steiner-Schule München-Schwabingという学校もあります。 ■世界のシュタイナースクール(4)Moscow Waldorf School Nr. 1060 (ロシア、モスクワ)ゴルバチョフ大統領が起こした政治改革運動、ペレストロイカ時代に行われたロシアの教育システム改善によって、ロシアにやってきたシュタイナー教育。全校生徒400名ほどのMoscow Waldorf School Nr. 1060は、1996年に公立の学校に認定されたシュタイナー教育校です。世界各国のシュタイナースクールには、ユネスコのプロジェクト校に指定されている学校も多くあります。興味のある方は、世界中の学校をネット検索してみるのもおもしろいかもしれませんね。
2015年05月20日「世界一幸せな子育てができる国」といわれているフィンランド。世界経済フォーラムが2014年10月25日に発表した「国際男女格差レポート2013」では、「もっとも男女が平等に近い国」で世界136ヵ国中2位にランクインしています。女性の80%がフルタイムで働いているくらい働く女性が多いのに、幸せな子育てができるのは、なぜなのでしょう。どうやら国、行政に秘密があるようです。■フィンランドは育休3年のサポート体制フィンランドは、日本同様の晩婚化でありながら、出生率は日本より上回っています。(日本:1.39人 フィンランド:1.83人/2014年)。その理由の1つが、育児休業を3年取得できるという体制です。フィンランドは人口が少ないので、「総動員で働かないと!」という考え方から、女性も男性も育休を3年取得できるという制度が整っています。男性の育児休暇取得率も高く、パパが育児家事を積極的に行っているため、女性も社会進出しやすい環境をつくっているようです。日本で安倍内閣が少子化対策として「育休3年」を打ち出した際、「3年も休んで職が保障されているのか?」という不安の声がありましたが、フィンランドでは1985年の労働契約法により、母親は子どもが3歳になるまで産前の職が保証されているほか、育児休業中も給料の7割程度が支払われるなど、保障も充実しています。育時休業が3年取れるということは、保育園には2~3歳から通い始め、それまでは家庭で育児をしたいと考える人も一定数いるはずです。そうした場合、満3歳までは平均で月800ユーロ(約10万円)が支払われる、「家庭保育給付金」という制度を利用することもできます。■フィンランドには待機児童がいない日本で大きな問題になっている保育園の待機児童ですが、フィンランドにはほとんどいません。これは第二次世界大戦後のベビーブームが終わった1950年以降、急速に出生率が落ち込んだ際に、政府が打ち出した方針が影響しています。女性の社会進出に伴い、育児しながら働く女性への支援、特に未就学児の保育の整備に取り組み、1973年に制定された保育法で、全国すみずみに行き渡る保育園のネットワークが構築されたのです。その結果、たとえ最寄りの保育園が満杯でも、近場の保育園には入ることができるようになりました。また、地方自治体ではなく民間企業が運営する保育園も、政府からの十分な支援があるので、保育料に違いはなく、保育の質も統一されているそうです。先ほどお話しした「家庭保育給付金」にも、3歳までは家庭で保育をすることで、保育サービスの圧迫を防ぐという目的があるようです。■フィンランドでは、行政が運営する「子育て支援センター」が妊娠期から育児をサポート日本では、妊娠期はほとんどのママが産休ギリギリまで働いています。そのため、妊娠期の知識はもちろんのこと、出産や子育てに関するイメージを確立しないまま育児に突入しているケースが多くあります。しかし、フィンランドでは「ネウボラ」という子育て支援全般に関する機関が、妊娠期からきちんとサポートしてくれる体制が整っていて、多くの夫婦がこのサービスを利用しているようです。ネウボラには以下のようなサービスがあります。<ネウボラのサービス内容>・親になる心構えをしっかりと教えてくれる→ママだけではなく、パパにもしっかりと伝えてくれるのが特徴です。・妊娠生活中の注意点や心構えを妊娠週別に合わせて教えてくれる→実際にタイミングを見て職員が自宅に来てくれるようです。・実際に育児が始まった際にも、上手に子育てをするための秘訣を小冊子等にして配布・マタニティパッケージという、出産時に使うアイテムをプレゼント→肌着や服、防寒着、おしりふきや爪切りなどなど、「これさえあれば、産後の1年間はほぼ乗り切れる!」というくらい、充実した内容になっています。このようなサービスを展開する背景には、初めての出産や育児に不安を抱えるママたちの気持ちに寄り添ってサポートすることで、幼児虐待や子育てのつらさによるうつ病などの社会的課題を少しずつ減らしていくという目的もあるようです。このようにフィンランドでは、国をあげてのサポート体制が「世界一幸せな子育てができる国」を作り出しています。日本も少しでもこのような良い要素を取り入れて、子育てしやすい環境が整う日がくることを切に願います。
2015年04月23日■大家族のような学校閑静な住宅街にある大きな洋風の一軒家。リビングでは小さな子どもたちがゲームで遊び、キッチンでは中学生くらいの子がケーキを焼いています。2階では映画を鑑賞している子や、ipadを片手に真剣に話し合っている子も。中には大人もいますが、「ゲームばっかりやってちゃダメ! 勉強しなさい!」と叱る気配もありません。ここは一体何なのでしょうか? 実はここ、学校なんです! 米国ボストンにあるサドベリーバレースクールをモデルに、2009年に開校した「東京サドベリースクール」です。この学校には、先生も授業もテストもなく、生徒たちは自ら興味のあることを探して学びます。「人は自分が学びたいと思ったときに最もよく学ぶ」という考えに基づき、スタッフは生徒が必要とした時だけ手伝います。今、こうした学校が非常に注目を集めています。■何も決まっていない自由の中で現在、東京サドベリースクールには、7歳~17歳までの14名の生徒が在籍しています。10時~11時の間に登校し、16時の下校まで、朝夕のミーティングと掃除の時間以外、生徒たちは思い思いに過ごします。昼食も各自、自由に取ります。学校通信を発行しているメンバーのレターミーティングや経営ミーティングなど、やりたいことを同じにするメンバーが集まって開かれるミーティングやクラブ活動もあります。この学校には、とにかく決められたことがまったくないのです。最初は掃除もなかったそうですが、必要性を感じて話し合い、毎日全員で掃除することに決めたそうです。学校のルールも自分たちで決め、変更したければ、また話し合います。コンサートを開きたければ、自分たちで企画します。専門的なことを学びたければ、専門知識のあるアドバイザーやボランティアにサポートを求めます。生徒たちは「ほかの人の自由を尊重した上で、自分のやりたいことをするのが自由であり、自由と自分勝手は違う」と語ります。彼らは、コミュニティの一員としての自覚が強く、社会性に富んでいます。■自分と向き合うことの大切さサドベリースクールは、デモクラティック(民主的な)スクールとも呼ばれています。日本国内に8校ありますが、フリースクールなどと同様に、法的には学校と認められていないため、生徒たちは近くの小中学校に籍を置いて卒業資格を得ます。大学受験をするには、高校卒業程度認定試験(旧:大検)を受ける必要があります。サドベリースクールでは、やることが与えられないので、子どもたちはおのずと自分と向き合わずにはいられません。「暇だ~」といってうろうろする子もいますが、スタッフの杉山さんは、「こういう時間こそ大事」と話します。自分が何をしたいのか、好きなことは何か、どんな人生を歩みたいのか。中高生たちが進路を選択するときにはじめて直面する大きな課題に、ここでは7歳の子も直面するのです。卒業のタイミングも、自分で決めます。この学校で何を学んだか、ほかの生徒とスタッフ全員の前で話して、認められれば卒業することができます。■ゲームも算数も同じ価値読み書きや計算すら教えず、ゲームばかりしていても何も言わない学校なんて考えられない、と思う方も多いことでしょう。読み書きや計算は日常生活の中で必要を感じ、身に着ける子がほとんどだそうです。40年間続く米国のサドベリーバレースクールでは、今まで読み書きできずに卒業した生徒は1人もなく、卒業生の8割が大学へ進学しているそうです。楽しいゲームも、毎日していればいつか飽きる時がくるでしょうし、あるいは飽きずに続け、ゲームクリエイターになるかもしれません。みんなでゲームを楽しむためにはコミュニケーション力も必要です。ゲームも算数も、その子が興味を持ったものに関して、ここでは優劣をつけません。こうした学校に入りたいと思うかどうかは人それぞれですし、合わない子も当然いるでしょう。親としては子どもを100%信頼していなければ、通わせられない学校です。■子どもが教育を選ぶ権利これまでは、なんとなく、「子どもが学校に行くのはあたりまえであり、理由がない限り休ませてはいけない」と思っていました。しかし、憲法には「すべて国民は、(中略)ひとしく教育を受ける権利を有する。」「すべて国民は、(中略)その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。」とあります。本来、教育を受けることは子どもの権利であり、義務ではありません。親はその権利をまっとうさせる義務があるのであって、学校に行かせる義務があるとは書かれていません。インターネットで何でも調べられる時代に、教室で一方通行の講義を受けることが退屈と感じるのは、自然ではないでしょうか。学校に行かなければ知識を得ることができなかった時代とは状況が違うのです。昨今では、サドベリースクールだけでなく、フリースクールやホームエデュケーション、シュタイナー学校などに通う場合も、公費支援を受けられ、卒業資格を得ることができる仕組みを作ろうという動きがあります。その子にあった教育を選べる世の中になれば、つらい思いをしている親子が減ることに繋がるかもしれません。取材の際、サドベリーに通う子どもたちを見ていたら、自分の子に対しても、「~しなさい」ということが減りました。期待したり、押し付けたりせず、子ども本人の意思を尊重し、信頼できるようになったことは、思いがけない大きな収穫でした。取材協力: 一般財団法人 東京サドベリースクール 参考:『世界一素敵な学校~サドベリー・バレー物語~』ダニエル・グリーンバーグ・著/大沼 安史・訳(緑風出版)『自分を生きる学校 いま芽吹く日本のデモクラティック・スクール』(せせらぎ出版)
2015年01月26日日本では、サンタクロースやムーミンの国として知名度が高いフィンランド。人口520万人、面積は33.8万平方kmで、日本より少し小さいくらいという、世界の中でも小さな国です。そんなフィンランドが、実は世界の15歳児童を対象に行う学力テストで、常に上位に入り、2013年にはついに1位にもなった国として、近年世界から注目を浴びていることをご存じですか?フィンランドの教育がこんなにまで世界中から注目を浴びているのは、学力テストが上位なのにも関わらず、宿題がまったくなく、授業時間がほかの国に比べて圧倒的に短いという点にあります。 しかも、今から40年前の1970年代以前のフィンランドは、現在の結果とはまったく異なり、最下位に近い位置だったというのも大変関心がもたれる理由なのかもしれません。ということで今回は、世界で一番素晴らしい教育と言われている北欧の国、「フィンランド」の教育システムの特徴の一部を簡単にまとめてみました。■フィンランドの教育システムの特徴(1)義務教育は7歳~16歳までフィンランドでは、日本よりも1年遅い、7歳から義務教育がスタートします。社会福祉がしっかりしているため、もちろん授業料、教科書や学用品も無料(義務教育ではないが、大学や大学院、専門学校も無料。)クラス構成も少人数制で1クラス24人以下。親の収入や学力に関係なく、すべての子供が質の高い教育を受けることができています。■フィンランドの教育システムの特徴(2)16歳になるまで、宿題も学力テストもない子どもの発達を重んじ、競争学習を問題視しているのがフィンランドの教育方針。 驚くことに、小学校では成績表も存在せず、16歳になるまでテストもありません。■フィンランドの教育システムの特徴(3)教員の地位と学力が高い教員は全員大学院卒。社会地位も高く、高収入。さらに平均1日4時間授業をするだけで、勤務時間も圧倒的に少ないのが特徴です。■フィンランドの教育システムの特徴(4)学習時間が少ない1日の学校での休憩時間は平均75分(ランチタイムを含まない)。ちなみに、アメリカは27分、日本の学校の休み時間も大体アメリカと同じくらいです。授業日数も、フィンランドのほうが、日本より年間40日も少なくなっています。もちろん生徒は家庭で勉強することがほとんどなく、塾も存在しません。2010年から、国民が1Mbpsの速度でインターネットに接続する権利を法律で保証することからもわかるように、ITにも力を入れているフィンランドは近年、国際競争力ランキングでも5年連続1位に輝いた国でもあります。詰め込み式、競争、暗記教育の日本の教育とは異なり、ゆとり、知識をもとに自ら考える力、子ども個人を重視するフィンランドの教育。文化や社会体制が異なるとはいえ、日本の教育も、フィンランドから学ぶべき点があるのではないでしょうか? 【参照】
2015年01月23日Amazon.comの創立者ジェフ・ベゾス、英国王室のウイリアム王子とヘンリー王子。国外の多くのロイヤルファミリーや著名人が特に実は幼少時代にモンテッソーリ教育を受けていることをご存知でしょうか? 特に、Google.com の創業者、ラリー・ペイジ&サージェイ・ブリンは、かつて受けたインタビューで「幼児期に受けたモンテッソーリ教育なしでは、現在の成功はありえない」と語っているほどです。このように近年、海外で注目されているオルタナティブ教育法「モンテッソーリ教育」。国内でもこの教育方法を導入している幼稚園もありますが、日本ではまだ、馴染みが浅いのが現状です。そんなに素敵な教育方法であれば、試してみたくなるもの。実際、家庭でも、日常生活で取り組めるモンテッソーリ教育方法があれば取り入れてみたいのではないでしょうか? 「敏感期(0歳~6歳)」は、モンテッソーリ教育で発達の第一段階とされる一番大切な時期。今回は、2歳~6歳の子どもさんを対象に、日々の生活の中で無理なく取り入れられる環境作りのポイントを3つご紹介します。■家庭でできるモンテッソーリ教育(1)毎日の「ルーティーン」をしっかり決めよう幼児期の子供は、「今日」「明日」「明後日」という時間の区切りが理解できない時期です。正確な時間でなくとも、朝この時間には起きて、ごはんをたべて、お昼寝をするといった1日の流れ、大まかなルーティーンを家庭でも習慣づけてみましょう。■家庭でできるモンテッソーリ教育(2)サポートしながら自分のことは自分でやらせるモンテッソーリ教育の1つに「日常生活の練習」という分野があります。日常生活の取り組みを自分で行うことにより、自立心を養うというのが目的です、モンテッソーリの幼稚園などでは、子供用サイズのティーセットを使用してお茶を実際に入れてみたり、洗濯板を使い洗濯をしてみたりという日常生活を学習しています。家庭でも日々の生活、たとえば、・子供が自分で着替えやすい洋服を購入して、時間をかけてでも1人で着替えさせる・手を洗う時は、小さなボウルを用意して自分で手を洗わせるといった小さなことでも、できるだけ子供が1人でできるように、親がサポートしてみましょう。■家庭でできるモンテッソーリ教育(3)親は子供のお手本になるように行動するイライラして思わず子どもを怒鳴りつけてしまったり、TVを見ながらご飯を食べたり、「子どもには真似してもらいたくないな」と親が思う行動は、まず親自身が日常生活でしないように心がけましょう。親が本を熱心に読めば、子どもも自然に本を手に取るようになります。親は、援助者であるのと同時に子どものお手本です。そのことを忘れずに行動しましょう。どれも、簡単に行動を起こせる取り組みです。皆さんもぜひ、今日からご家庭で実践してみてはいかがでしょうか?
2015年01月16日■最近よく聞く「オルタナティブ教育」っていったいどういう教育?みなさんは、「オルタナティブ教育」という名前の教育スタイルを耳にしたことはありますか?オルタナティブ教育は、学力だけでなく人間性を高める独自の教育スタイルを取り入れている海外では、ずいぶん前から人気がある教育です。世界中には、各種フリースクールを含めて大小さまざまな「オルタナティブ教育」が存在していますが、現在、世界の2大「オルタナティブ教育」といえば、オーストリア生まれの哲学者ルドルフ・シュタイナーが1919年にドイツで始めた芸術性を教育実践に多く取り入れた「シュタイナー教育」と、20世紀初頭イタリアの医学者、マリア・モンテッソーリが知的障害の幼児教育の成功から提案した感覚教育を行う「モンテッソーリ教育」です。■オルタナティブ教育(1)シュタイナー教育哲学者ルドルフ・シュタイナーが自身の哲学に沿った芸術性を重んじている教育法です。人間は、7年ごとに節目がくるという理念に従い、7歳までは体や心作りを重視して文字の書き方や読み方などは、まったく教えません。第二期である7歳から14歳までの時期は、芸術性を重視した授業を展開。家を建てたり、楽器を作ったりといった実践を通して知識を学び、教科書は一切使用しないという伝統的教育とはまったく異なるスタイルをとっています。それぞれ子どもの成長時期に合った感性を重視した授業で、自発性や個々の発想力を身につけていくようです。■オルタナティブ教育(2)モンテッソーリ教育感覚教育ともいわれているモンテッソーリ教育。特に、3歳から6歳の間を敏感期と呼び、子どもの五感が一番発達する時期だと、モンテッソーリ教育では考えられています。感覚の発達は、知識の発達の基礎になるという考えから、シュタイナー教育とは正反対に、幼少期から独自に開発した日常生活に密着した豊富な教材を使い教材を実際に手で触った教育を行います。知識を高める感覚を養うと同時に、自発的に自分から選択する能力を学ぶため、自分から教材を選ばせます。そして、その子どもがその教材をもっと続けたいという意思を表現すると、同じ教材を一定の時間以上、続けさせることもあります。この方法は、モンテッソーリ教育が、集中力と自発性を授業内で無理なく自然に身につけることができる理由のひとつのようです。■世界の著名人も受けていた! モンテッソーリ教育「モンテッソーリ教育」は、・英国王室のウィリアム王子、ヘンリー王子をはじめとした、各国王室教育・Google創立者であるラリー・ページとセルゲイ・ブリン、Amazon創業者 ジェフ・ベゾス、Facebook創業者 マーク・ザッカーバーグ、Wikipedia創業者 ジミー・ウェールズなど、現代を代表するトップ起業家・オバマ現米国大統領、クリントン元大統領にヒラリー・クリントン元米国務長官とする政治家このほかにも多くの著名人が幼少時に受けていた教育として近年、国内外での注目度が高くなっています。日本では昨年、2013年には教育再生実行会議が、国公立大学の入試2次試験を学力試験から、人物像を重視する面接に変更するという法案に変更する案を検討しているという動きがあります。グローバルに世界を渡り歩かなければいけない時代に生きる未来を背負う子ども達。学力以上に、人間性を重視する幼児期のオルタナティブ教育に日本でも今後もっと注目が集まりそうですね。
2014年12月11日国が違えば、子育ての方法もかなり違います。私自身も以前、インドのおばあちゃんが生後3ヵ月のお孫さんの足首を片手で持ち、さかさまにしてベビーマッサージをするという姿を見て、驚がくしたことがあります。これはなかなかハードな例ですが、世界の国々には、さまざまな思想や価値観のもと、たくさんの育児の仕方があります。今回は、「フランスの子育て法」を紹介します。フランス人が子育てにおいて重視しているのは、小さいうちから「忍耐」と「社会性」を学ばせることだそう。一体どのような子育て法なのでしょうか。■フランスでは、夜泣きをする子どもがいない!?日本のママが抱える子育ての悩みとして、常に上位にくるのは「夜泣きがひどい」「なかなか寝ない」の2つ。ですから、「フランスでは夜泣きをする子どもがいない」と聞いて、驚くママは多いのではないのでしょうか?赤ちゃんが夜泣きをした時、日本ではまず、泣いている赤ちゃんを抱き上げて、赤ちゃんが何を要求して泣いているのかを考え、赤ちゃんが要求しているであろうおっぱいをあげたり、おむつを替えたりすることを行います。しかし、フランスではまったく違います。泣いている赤ちゃんを抱き上げることなく、5~10分間ほど、そのまま観察します。これは、「赤ちゃんには2時間という睡眠サイクルがあり、今はその睡眠サイクルをつなげる学習をしている最中。数分で泣き止むようであれば、睡眠サイクルがうまくつながらないことが夜泣きの原因。それを親が、お腹を空かせている、おむつが濡れていると先回りして抱き上げると、赤ちゃんの睡眠サイクルをつなげる練習を邪魔してしまう」という考え方によるもの。抱き上げて泣き止ませることよりも「赤ちゃんが上手に眠る術を身につけようとしているのを、邪魔せず見守ることが親の愛情」と考えているのです。そのせいか、フランスでは生後2~3ヵ月経つと、一晩中ぐっすり眠る子が多いのだとか。■フランスの子どもは間食をせず、食事を完食する子が多い!?日本のファミリーレストランでは、子どもが食べることに飽きて走り回ったり、駄々をこねたりしている光景をよく見かけます。しかし、フランスではこうした光景はほとんど見られないそう。さらに、間食をしないので、食事の時間にしっかりお腹が空いていて、好き嫌いなく完食する子がほとんどだそうです。これはフランスの親が、子どもが小さいうちから「食べることを楽しむこと」を一番に教えるからです。「子どもに生まれつき好き嫌いはない。食べ物の味や風味を楽しむことを学ばせよう」という考えのもと、調理法を変えたり、ユーモアを交えたりして、子どもが食べられるようになるまでさまざまな工夫をするそうです。また、保育園(託児所)や幼稚園でも、レストランで提供されるような食事が出されます。そして、園児にもきちんと料理の説明をし、「完食しなくてもいいけれど、すべての食事をテイスティング(味見)して、味や香りを楽しみなさい」と教えているそうです。決して、「栄養があるから!」と無理に食べさせはしないのです。■子どもへの叱り方も日本とは違う!?日本では、「子どもは親の所有物」のように扱われてしまうケースがありますが、フランスでは生まれた時から子どもに対し、「小さなおとな」として接しています。ですから、子どもを叱る時も、家庭や社会の枠組みの観点から叱ることが多いそうです。たとえば、子どもがお友達の行動を気に入らなくて叩いた場合、「痛いでしょ」「嫌な気持ちになるからダメでしょ」という言い方ではなく、「あなたには○○くんを叩く権利はない」という叱り方をします。買い物時、会計が済んだ後に、勝手に子どもが商品を持ってきてしまった場合は、どんなにスーパーが広くても、どんなにその子が小さくても自分で戻しに行かせるそうです。そのほかにも、子どもがやってはいけないことの境界線がはっきりしていて、その境界線の中では子どもは何をしてもいいけれど、境界線を越えた時、親は子どもを躊躇(ちゅうちょ)なく厳しく叱ります。そうすることで子どもに、社会生活の中でいかに自分をコントロールするかを徹底して教えているのです。なるべく子どものうちにたくさんのことを経験させてから、ルールを身につけさせようという考えの米国、日本、中国とは違い、子育てにおいてはなによりもまず、社会性が優先されるようです。【参考文献:『Bringing Up Bebe(「赤ちゃん」を育てるということ)』Pamela Druckerman・著(Penguin Books)】ご紹介した内容には、共感できる部分もできない部分もあると思いますが、ママ自身がいいなぁ! と感じた部分は、今後の子育ての参考にしてみるのもよいのではないでしょうか。子育てに完璧なレシピや考え方はありません。さまざまな事例を参考に、ぜひあなただけの子育て法を作っていってください。
2014年11月19日絵本の読み聞かせは赤ちゃんの頃から始められる、ママと子どもとの大切なコミュニケーションツールのひとつです。子どもの心を育て、発達を促すことができるので、忙しいママにもぜひ取り入れてもらいたいところ。寝る前の絵本の読み聞かせは情緒の安定にも繋がるので、安心してぐっすりと眠ってくれるかもしれませんね。今回は、絵本の読み聞かせをすることで得られるメリットと、どんな絵本を選べばよいのかをピックアップしてみました!■絵本選びで大切なポイントとはあらゆるジャンルの絵本があり、「どれを選んだらよいか分からない」というママも少なくないと思います。絵本選びで迷ったときには、ぜひ、長年に渡って愛され続けている絵本を選んでみてください。ロングセラーの絵本を選んでみるのは、日本のものでも、海外の絵本でも同じことです。ロングセラーになっているのには、何らかの理由があるということ。内容が子どもにマッチしている、挿絵が美しい、ストーリーが広がっていくなど、それぞれの本によって魅力は異なりますが、読んでみると、きっとロングセラーの理由が分かるはずです。時々、大人からすると「何が面白いんだろう?」と疑問に感じるような内容の絵本もありますが、そういった絵本も案外子どもウケの良い絵本だったりします。子どもはその絵本からいろいろなことをイメージし、想像力を働かせてどんどん新しいものを発見していきます。それ以外でも、ママが「面白い」と思って選んだものなら、きっと子どもも満足してくれますよ。ママが心を込めて呼んでくれる絵本なので、必ず子どもにもその気持ちが通じるのです。月齢の低い子なら、仕掛け絵本や音が鳴る絵本なども良いので、ぴったりな1冊を探してみてくださいね。■絵本の読み聞かせにはメリットがたくさん!絵本の読み聞かせをすることで得られるメリットは、子どもの心の発達や情緒の安定だけではありません。読み聞かせをしている時は、ママと子どもが2人だけでゆっくりと過ごしている時間。子どもはママからの愛情を感じ、心地よさを覚えるようです。また、ママが絵本を読んでくれる言葉を脳で理解しようとするので、言葉を覚えるきっかけにも繋がりますよ。将来、本が好きな人に成長する、いろいろな物語に触れることによって感受性が高まるなど、たくさんのメリットを感じられるでしょう。そして、子どもに絵本を読むメリットは子どもだけでなくママの側にもあります。絵本を読んでいると、ママも子どもの頃に返っているようなイメージを抱くことができるはず。昔の思い出がよみがえり、「自分もこうして絵本を読んでもらっていたな」と母からの愛情を感じるきっかけにもなるかもしれませんね。普段の生活でストレスを感じていても、絵本を読んでいる時間だけは、嫌なことを忘れてゆっくりと過ごせるリラックスタイムになることでしょう。子育て中のママも、お腹に赤ちゃんのいるプレママも、可愛い我が子の成長のために、どんどん読み聞かせをしてあげてくださいね!
2014年10月19日抱っこ紐の機能やファッション性がどんどん充実し、外出している親子連れの多くが前抱っこのママたちです。しかし、東日本大震災や、まだ記憶に新しい広島での土砂災害など、自然災害の際、小さな子連れには抱っこよりも「おんぶ」が大活躍しています。自然育児への回帰が進む中、「おんぶ」が今、再注目されていることをご存じですか? ■おんぶは、ママの生活の理に適っている! 多くのママたちは子どもの世話だけでなく、掃除・洗濯・食事の支度などを同時並行して、家事をこなしています。家事をしている間、子どもが寝ていたり、ひとりでいい子にしてくれたりしてくれればいいのですが、現実にはそんなふうにタイミングよくはいきません。そこで、おんぶの出番です! おんぶは、両手を自由に使えるうえ、ママの視界も広がります。包丁を持ったり、火を使ったり、掃除機をかけたり、抱っこではできないことができるのがおんぶです。おんぶをすると、ママの体への負担が少なく、そして、安全に家事をこなすことができるのです。■抱っこと同じ母子一体感が感じられます! おんぶでは、ママが子どもの顔を見ることはなかなかできませんが、子どもにとっては背中からママの息づかいやぬくもりを感じることができます。ママの心臓の鼓動は、背中からのほうが伝わりやすいともいわれているので、抱っこと同じような密着度や一体感を得ることができます。■実は、ママから与えられる情報が多い!? 「おんぶをしていると、ママと赤ちゃんは同じ方向に体が動くので、いろんなことを身につけやすい!」と、脳科学おばあちゃんでおなじみの久保田カヨ子さんが、あるインタビューで語っています。おんぶの場合、ママが歩けば(ママの)お尻から動きが赤ちゃんの足に直接伝わり、歩き方を感覚で身につけることができるので、抱っこの時よりもママから得る情報が多いそうです。(「ダイヤモンドオンライン 脳科学ばあちゃん直撃インタビュー」より)また、ママと同じ目線で状況を共有するということは、子育てにおいてとても大切なこと。まさに「親の背中を見て育つ」というわけです。たとえば、ママが食事の支度をしている時には、ママの背中を通して、視覚(食材、調味料、食器などの見た目)・聴覚(食材を切ったり焼いたりする音)・嗅覚(料理の匂い)がしっかり刺激されます。こうしたことが子どもの発達や成長に、とてもよい影響を与えるのだそうです。私も1人目の時は、子どもをおんぶすることはありませんでした。子どもの顔が見えないことと、おんぶが上手にできなかったことに不安があったのかもしれません。しかし、2人目の時はそうは言っていられませんでした。上の子のお世話に掃除や料理など、日中はほぼおんぶでした。家でも外でもおんぶをしているので、下の子のほうが上の子より、はるかに密着時間が長かったと思います。今は進化したおんぶ紐もたくさんありますが、昔ながらのおんぶ紐は、日本ならではの子育ての知恵です。子どもとたくさんスキンシップのとれるおんぶ育児を、この機会にぜひ取り入れてみませんか?
2014年10月11日小学校時代を振り返ると、必ずクラスに運動神経がずば抜けてよい男の子がいたと思います。言い換えれば、運動神経の良い子と悪い子の差がすごく歴然としていましたよね。運動能力は、生まれ持ったものがベースにはなっていますが、もともとの運動神経がそれほど良くない子でも、適切な時期に適切な運動をすれば改善できるといわれていることをご存じでしたか? ■子どもの運動神経を伸ばすなら、小学2年生までが勝負! 数年前に、井筒紫乃先生(当時は帝京科学大学准教授。現在は日本女子体育大学准教授)による講座を受講したことがあります。講座の内容は、運動生理学に基づいた、子どもの運動能力についてでしたが、その中でこんなお話しがありました。「運動神経を良くしたかったら、小学校2年生までに運動経験をたくさん積むこと」というものです。実は、子どもが運動能力を伸ばす時期というのは、あらかじめ決まっているものだそうです。今は、幼稚園や小学校のうちからサッカーや野球などを習う子どもたちも増えていますが、「大半の子どもが本格的に運動に取り組む時期は中学生の部活!」というイメージがあった私は、「そんなに早く決まるの?」と驚いた記憶があります。■子どもの運動神経を伸ばすなら、2歳がポイント! その後、興味があっていろいろ調べてみたところ、「2歳」という年齢がひとつのポイントになっていることがわかりました。2歳頃は、運動能力と自立心が飛躍的に発達し、個人差が出てくる時期のようです。たしかに、走ったり、ジャンプしたり、手を使わずに階段を降りたりなど、いろいろできるようになる時期ですね。この頃に積極的に体を動かす機会を作ることで、運動をコントロールする神経が発達し、筋肉や関節の動きがよりスムーズになり、身体のバランスをとることも上手になってくるそうです。■どんな運動が効果的? 最近では、幼稚園や保育園などで運動プログラムを取り入れているところも増えてきました。専門家や先生の指導のもと、子どもたちはさまざまな運動に取り組んでいます。しかし、「そうしたプログラムを行ったからといって、必ずしも運動神経が伸びるわけではない」という研究結果も出ています。東京学芸大学の杉原隆名誉教授による研究チームは2012年に、25m走や立ち幅跳びなど、6つの種目について、9,000人の幼稚園児の運動能力を調べました。比べたのは、マット運動や体操などの体育指導を受けていない子どもと、指導を受けている子どもです。すると、受けていない子どもは30点満点で19点台だったのに対し、指導を受けている子どもの平均は18点台。指導を受けていない子どものほうが、点数が高かったのです。だからと言って、運動プログラムがまったく意味をなさないというわけではありませんが、前出の杉浦名誉教授は、「小さいうちは特定の運動をやることだけでなく、遊ぶことも大事」と提言しています。たとえば遊具を使って登ったり降りたり、手や足を使って逃げる鬼ごっこなどをしたりすることで、バラエティに富んだ運動能力が身につくとも言っています(NHK生活情報ブログより)。■外遊び、うち遊びをたくさん経験しましょう! つまり、運動神経を伸ばすためには、外でいろいろな場所をたくさん歩く、走る、転ぶ、何かに登る、降りるなどの運動を積極的に行います。また、家の中ではパパの体に登ってぐるっと回る、風船を使ってバレーボールするなどの、体を使った何気ない遊びこそが、運動神経を伸ばすにはもっとも効果的なのではないでしょうか。小さいうちからたくさんの筋肉を使って、バランス感覚を養ったり、体の部位を動かしたりすることで、脳がその動きを記憶し、いざ本格的に運動をする時に蘇る、それが運動能力の高さのポイントとなるそうです。子どもにはぜひ、小さい頃からたくさん体を動かす機会を作ってあげてください。
2014年10月04日ヲタママだっていーじゃない!
ムスメちゃんとオコメちゃん
猫の手貸して~育児絵日記~