分離不安で暴言、癇癪も?母子分離不安の疑問に専門家が回答!対処法、相談先なども母子分離不安とは母親などの保護者と離れることで子どもが不安を感じることです。分離不安自体は早期の発達段階において不可欠なものですが、不安を過剰に感じることで以下のような身体的、精神的症状が出る場合があります。母子分離不安で起こる症状・不安が長期間続く・腹痛・頭痛・通園、通学拒否※上記は一例です3歳までにみられる母子分離不安の症状は、母親から物理的に離れることに不安を感じ、抱き癖や泣き叫ぶといったものになります。通常、母親が戻ってくるということを学ぶと不安はなくなるので、多くの場合は生後8ヶ月頃から始まり、生後10ヶ月から1歳半頃に最も強くなり、2歳から3歳頃で次第に治まってくると言われています。3歳以降にも母子分離不安の症状がみられる場合があります。園や学校に行く際に母親と離れることに不安を覚える子どもも多いですが、まれに母子分離不安によって登園、登校ができないという子どももいます。強い不安が1ヶ月以上続いている場合は医療機関や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。母子分離不安・よくある困りに専門家が回答!Q:いつもは母子分離不安で母親から離れられないのに、何かあると「ママあっち行って!」と癇癪、暴言……そんな子どもをつい叱ることも多く『ダメな母親…』と自分を責めてしまいます。どうしたらいいでしょうか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンQ:母子分離不安の強いわが子。この様子で幼稚園は大丈夫?何歳まで続くの?今からできることはありますか?Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホンイラスト/taeko(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年05月25日春はオープンキャンパスの季節!オープンキャンパスとは、大学がキャンパスを受験生などに開放し、入試説明会や体験授業などを行うイベントのこと。わが家のASD(自閉スペクトラム症)娘いっちゃんも高校3年生になり、いよいよ志望校を決めなければならない時期になりました。高校2年の夏休みはコロナに罹ってしまって一校も回れなかったので、今年の4月は毎週のように大学のオープンキャンパスの予定を入れていました。息子の時は予約制ではなく、大勢の学生が列をつくっていたものだですが……今ではほとんどの大学がインターネットで予約を入れての時間差入場、時代は変わったものです。Upload By 寺島ヒロいっちゃんの志望は芸術系。先生の授業の進め方も知りたいというので、体験授業もびっしり入れました。いっちゃんは声が大きくて早口の先生が苦手なのです。「叱られている感じがして、話の中身が頭に入ってこない」と言います。キャンパスツアーと体験授業いざオープンキャンパスへ!オープンキャンパスのメニューは学校説明会、受験説明会、入学相談会などの学校の制度について教えてもらえるプログラムと、実際に学校の施設を見て回るキャンパスツアーや、模擬授業を受けられる体験授業などがあります。今回はいっちゃんの希望でキャンパスツアーと体験授業に参加することにしました。キャンパスツアーでは、在校生のボランティアが、見学者を10名ほどずつに分けて三角の旗で引率しつつ、校内の部屋や機材を紹介してくれます。所用時間は40分ぐらいです。Upload By 寺島ヒロ体験授業では、漆芸の講座を選び、実際に授業でも使う素材を使って小さな螺鈿(らでん)の作品を作りました。体験授業は実際の授業時間と同じ90分でした。高校の授業時間に比べるとかなり長いですが、授業に参加した皆さんは長時間の作業でも集中して取り組んでいたようです。いっちゃんも終始真剣な表情で作業に取り組んでいました。入学相談会は学部専攻ごとにこの学校では、特に個別で相談をしたいという人のために、体験授業の会場の一部を相談会場としてセッティングしており、それぞれの学部学科、専攻に合ったアドバイスを受けられます。これはほかの大学ではあまりやっていないことなので大変好印象でした!学生の生活時間帯や研究の内容、使う絵具や薬品(アレルギーがあるかも)など、学生課での相談ではフォローしていない、専門的な細かいところも教えてくれるのがありがたいと思いました。Upload By 寺島ヒロ入学相談会には、娘と一緒に参加し「娘には障害があり、登校しての授業に全ては参加できない可能性があること」「現在は通信制の高校に通っていること」を伝え、「ここで学ばせていただくには、出席日数はどの程度必要でしょうか?」と聞いてみました。すると、理由があればいつでも授業を欠席できること、卒業要件としては出席日数はそれほど厳しくない(作品の評価の割合が大きい)ことを教えていただきました。しかし、その場に参加して作業をしないと面白くない授業が多そうだという印象も持ちました。この大学では、座学だけでなく実習を伴う授業も多くあり、チームでのプロジェクトを経験する事が重要視されています。そのため、最初からあまり登校しないで済むようにデザインされている同じ大学の通信部のほうが娘には都合がいいかもしれません。いくつかの大学を見て...このあとも、1ヶ月半ほどかけて、週末ごとに行われるオープンキャンパスに参加しました。同じ大学の違う学部学科の体験授業を受けたり、また、ほかの大学のキャンパスツアーに出かけたりもしました。芸術系の学部ばかりを見たので、やっていることはそれほど違いはないのですが、なんとなく校内にある雰囲気が、微妙に、しかし決定的に違うなと感じました。特に学部の教授、講師の方の作品や研究、学生への接し方などは、入学すれば毎日一番影響を受けることなので、絶対見ておくべきポイント。個人的には偏差値や卒業生の就職率より大事だと思っています。さて、いっちゃんの進路は...?5月の中旬時点で、まだいくつか回ってみる予定の大学を残していますが、娘は最初に行った大学の通信部に、かなり心惹かれているようです。通信部は講師の先生方もインターネットで参加するので、アッと驚くような現役作家が何人も参加しています。これは常駐の講師で全教科を担当している地方の単科大ではなかなかできないこと、インターネット時代の通信教育ならではでしょう。「あの先生知ってる!直接見てもらえるの!?」と娘も目を輝かせていました。娘の希望がある程度固まったら、今度は入学を検討している大学の学生支援課(※名称は大学によって違います)へ、6~8月の間に具体的な支援について相談に行くことになります。まだまだやることは多いですが、娘が自分の可能性を最大限に発揮できる環境を見つけられるよう、私も暑さに負けず頑張りたいと思います。執筆/寺島ヒロ前の記事はこちら(監修:藤井先生より)高校3年の4月からオープンキャンパスに参加し、これから具体的な支援についても相談されるのはとても良いですね。秋頃になってから相談も可能だとは思いますが、早い段階から見学をすると、先生方の雰囲気、学生への接し方など細やかなところもゆっくりと見られるのが良いですね。いっちゃんが大学進学を希望し、大学の見学・検討をすることで、将来への選択の幅が広がったり、自信をつける機会になると思いました。いっちゃんにとって良い学ぶ場所が見つかることを応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月24日痛みでは泣かず、跳ねるような動きがみられた幼少期わが家の長男りーは、赤ちゃんの頃から泣き声がとても大きい子でした。お腹が空いた時には特に激しく泣いていました。しかし頭をぶつけるなど痛い思いをした時にはあまり泣かないので、不思議に思っていました。Upload By かし りりあそして1歳を過ぎた頃、今思うと気になる動きをしていました。興奮すると跳ねるように、座った状態から、立膝になる動作をするのです。当時は「変わった動きをするなあ」「かわいいなあ」程度にしか思ってませんでした。しかしこの行動、今のりーの飛び跳ねている様子とそっくりで、りーの特性と関係があるのかなと思っています。Upload By かし りりあ聞こえているはずなのに……名前を呼んでも、手遊びにも反応なし同じ頃「そろそろ、りーとやりとりの遊びができるかな」と思っていました。名前を呼んでみたり、りーの手をとって一緒に手遊びをしたりと誘いかけていました。しかし、りーは私を見るだけで、特に反応はありませんでした。もしかして、私の声が聞こえていないのかな?とも思ったのですが、テレビ番組の歌には反応しているので、聴力の問題ではなく私の遊びに興味がないのかと思っていました。そのため、りーの興味を引きそうな手遊びや人形遊びなどをいろいろ試して、何度も誘いかけてみましたが、反応はいまいちでした。1歳半健診での医師の言葉にショック。親子療育を提案されたけれどそして迎えた1歳半健診。りーは保健師さんの問いかけにも指差しはなし、指示に対しても反応しませんでした。待っている間は姿勢を保てず、椅子の上で寝転がろうとするりーを何とか支えて、小児科医の先生の診察となりました。いつもと違う環境でキョロキョロあたりを見まわしたり、あちこち動くりー。そんな様子を見て先生は「この子は落ち着きがない」とひとこと。そんなつもりはなかったのかもしれませんが、その時の表情や言い方は、当時の私たちには冷たく、また突き放されたように感じました。初めての育児で不安な中、ショックが大きかったのかもしれません。そこからははっきりと覚えてはいませんが、一緒に参加していた夫が話を聞き、対応してくれました。その後、発達相談の担当の方にも診てもらい、りーが理解しやすい方法をアドバイスしてもらいました。その方法とは、お菓子や飲み物などを実際に見せて、本人に欲しいものを選ばせるというやりとりをしていく、というもの。実際行ってみると、最初は全てのものに手を伸ばしていたりーですが、少しずつ欲しいものを選ぶようになりました。Upload By かし りりあ最後に、「こういったものもあります」と親子療育の案内を受けました。週に2回、午前中の療育。フルタイムで働いている私たちにとっては、時間的になかなか難しいものがありました。そのため、夫婦で相談した結果、まずは家でできることをやってみて、幼稚園入園までに変わらなければ、療育を考えていくということになりました。安心できる情報にすがる日々。それでも不安は消えず、頼った先はUpload By かし りりあこの頃の私はインターネットで自分の安心する記事ばかり見ていました。「3歳から話しはじめました」「不安だったけど話し出したら2語文、3語文あっという間に話しています」などの記事を見て、「りーは今その時期じゃないだけ」「発達がゆっくりだけどすぐに追いつくはずだ」と自分を無理やり安心させていました。こうして無理やり自分自身を安心させている半面、「この子は何かあるのかもしれない」という気持ちがなくなったわけではありませんでした。私たちの住んでいる地域には児童発達支援の施設が多くありません。万が一のことを考え、知り合いの児童発達支援施設の先生へ連絡しました。その先生はこちらの事情を話すと温かく迎えてくれ、りーが利用することになるかも、ということも快諾してくれました。この先生との関わりで、私とりーの世界が大きく広がっていくことになったのですが、りーのその後についてはまた別の機会に書かせていただきます。執筆/かしりりあ(監修:初川先生より)長男りーくんの幼少期のエピソードをありがとうございます。発達や様子に気になるところはありつつも、それが何であるか、そしてどうやって「やりとり」をしていくかが見えない。そんな時期のお話でした。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんには感覚の過敏などがあることは昨今よく知られていますが、過敏と同様に鈍麻もあります。熱が出ていることに気づかない、痛みに鈍感である。感覚としての鈍感さを呈するものがあるということです。あるものは過敏で、あるものは鈍くて。そうしたこともあるでしょう。感覚鈍麻がみられる場合は、体調の変化やケガがみられた時にお子さん本人から訴えが出づらいこともあり、周囲の大人はそのあたり気を配ることが必要です。お子さんへの療育は早期であるほうがよいとされていますが、仕事の状況や地域的な課題などで実際療育を受けられるかどうかはご家庭で判断してゆくことになります。夫婦で話し合って決められたとのこと、よかったです。話し合える家族や親族、地域の支援者がいることは何よりです。インターネットでさまざまな経験談がシェアされる時代。実際にはお子さんの状況やお子さんの周辺状況はかなりケースバイケースなのですが、不安から検索してしまうこと、また自分にとって救いとなるような情報ばかり見てしまうこと。よくあると思います。ただ、本当にこうしたことはケースバイケースで、目の前にいるお子さんがどのような発達経過をたどるかはインターネットを見ていてもどうにも分からないものです。継続的に相談でき、お子さんの様子を見て介入(療育など)してくださる、いわば子育ての伴走相手としての支援職が近くにいるといいなと感じます。かしさんにはお知り合いの児童発達支援施設の先生がいらしたこと、何よりです。近くに相談相手がいない、という場合には自治体の子育て支援センターや療育センターなどにそのあたり相談いただけると、さまざまな情報を集めることができると思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月24日3歳から大人まで!気持ちを落ち着ける方法が身に付く、専門家考案『子どもとマスター!心を整えるマインドフルネスカード』Upload By 発達ナビBOOKガイド臨床心理士、公認心理師の大前泰彦さんが考案した『子どもとマスター! 心を整えるマインドフルネスカード』は、3歳から大人まで、年齢や特性に合わせたエクササイズを通じて、ゲーム感覚でマインドフルネスを楽しむことができる教材です。マインドフルネスとは、「今」と「ここ」に意識を向け、集中する状態を指します。マインドフルネスを取り入れることで、集中力アップやストレス解消など、さまざまな効果が期待できると言われています。マインドフルネスカードは、初級、中級、応用の3段階のレベルに分かれており、カード表面には各エクササイズのイラストが描かれています。カードを裏返すと、目安時間と動作説明が書いてあるので、順番に読んでいくだけで誰でも気軽にエクササイズに取り組めるようになっています。「いやな気持ちのときには、身体はどんな状態になっているかな」「楽しいときには、どんな表情になっているかな」と、エクササイズを通して、自分自身の身体や気持ちに注意をむける習慣づくりをしてみてはいかがでしょうか。年収を10倍に!障害者の働き方改革『温めれば、何度だってやり直せる チョコレートが変える「働く」と「稼ぐ」の未来』Upload By 発達ナビBOOKガイド世界中から集められたカカオに、フルーツ、お茶など日本各地の食材を加えたカラフルなチョコレートが大人気のブランド「久遠チョコレート」。本書は久遠チョコレート代表である夏目浩次さんの初著作となるビジネスノンフィクションです。久遠チョコレートで働く方々、それぞれのエピソードにも触れられています。障害者の月給が1万円ということに衝撃を受けた学生時代の夏目さんは、「稼ぎたい」「働きたい」と思う障害者の稼げる場所をつくることを目指し、パン屋を皮切りにさまざまな業態に挑戦。多額の借金を背負うなど苦難に直面しながらも、課題を乗り越え続けてきました。そして2014年に「久遠チョコレート」を立ち上げ、現在では年商18億に達しています。そんな夏目さんの信条は『「無理だ」から始めるのではなく、「どうしたらできるか」を考える』こと。得意不得意の凸凹があっても、細分化された工程の中のどれか一つのプロになってもらえばいいと考え、環境に人を合わせるのではなく、その人に合うように仕組みを変えることで、障害がある人から子育て中の女性、LQBTQの当事者など、働きたくてもなかなか働けない人の稼げる場所をつくり続けています。夏目さんは久遠チョコレートは特別ではなく、誰でもできることをやっているといいます。社会貢献ブランドとしてではなく、ただのチョコレート屋として一流を目指し成長し続ける久遠チョコレートの軌跡をご覧ください。きょうだいの課題に、法律や人権の視点から分かりやすく答える!『きょうだいの進路・結婚・親亡きあと50の疑問・不安に弁護士できょうだいの私が答えます』Upload By 発達ナビBOOKガイド著者の藤木和子さんは、障害のある弟さんの「きょうだい(障害のある人の兄弟姉妹)」として育ちました。2012年に弁護士となり、現在はきょうだいの課題を法律や人権の視点から考え、さまざまな活動をされています。本書では、「きょうだいは一生、世話をしなくてはいけないのですか?」「就職活動で障害のある姉のことを話すか迷う……家族のことは話すべきですか?」「今は家族みんな元気ですが、いつまでもこのままではない……親なきあとのことが心配です」など、扶養義務や福祉サービスの利用について、進路や結婚、親なきあとのことなど、きょうだいが抱きやすい50の疑問・不安をテーマに取り上げ、法律的な視点でシンプルに解説されています。きょうだいの立場から書かれ、親、障害のある兄弟姉妹、支援者、周囲の方々に幸せになってほしいという願いが込められた本書。法律というと難しく感じられますが、気になっていることを整理できる「きょうだいの課題チェックリスト」に答えたり、ユニークなイラストが散りばめられたQ&A形式の解説を読み進めたりしながら、「自分自身が納得できる判断をする」ためのヒントを得られる一冊です。SNSでも大人気!平熱先生の最新著書『むずかしい毎日に、むつかしい話をしよう。』Upload By 発達ナビBOOKガイドXのフォロワー数が8.5万人、現役の特別支援学校の教師である平熱先生の3冊目の著書『むずかしい毎日に、むつかしい話をしよう。』。ただでさえ大変で、「むずかしい」ことだらけの毎日。頭の上で交わされる「むずかしい話」を分かりやすく、常に一般の人と同じ目線で「このむつかしい話わかる?」と問いかけてきた平熱先生。本書では、平熱先生がこれまでSNSで発信してきた数々の「むつかしい話」を、専門用語を使わず分かりやすい言葉でかみ砕き、ユーモアたっぷりに30にまとめて紹介しています。その中で、特別支援教育の現場で感じたことや大切にしている思いについても語られています。正解のない問いをみんなで一緒に考えたい、「どうしようもないこと」だらけの毎日を「どうにかしよう」とあがいてみたい、そんな思いで書かれた本書。毎日「こうしなくしゃ」「こうあるべき」にとらわれて、つい自分にも子どもにも厳しくなってしまう……毎日頑張っているけれどうまくいかずに悩んでいる……そんなとき、平熱先生の上からでも下からでもない、フラットな言葉がすっと心に染み込むのではないでしょうか。特別支援教育の視点だけではなく、自分自身の物事のとらえ方が変わるような言葉がたくさんつまった一冊です。「子どもの30年後」を見据えたサポートを!『知的障害を抱えた子どもたち: 理解・支援・将来』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、著者の平岩幹男先生が長年携わってこられた臨床の現場や研究の中で考えてきたことをもとに、「障害」のとらえ方を転換していくこと、知的障害に対する適切な理解や対応を広めること、「障害」の概念整理と支援を発展させることを目的に執筆されました。知的障害があり、社会生活上で困難がある、あるいはそれが強く予想される子どもたちに提供できるゴールとは「将来少しでも健康で穏やかな日々が過ごせること」だという平岩先生。「知的障害を抱えていても介入できることは多い」「知能指数は変わらなくても日常生活でできることが増えれば生活も楽になり、サポートも受けやすくなる」という思いで、単なる経過観察ではなく、生活の質に寄与する介入ができないだろうかと模索しながら、子どもの30年後を考え、日々の診療にあたってこられました。本書では、そもそも「障害」とは何かというところから始まり、学びや教育制度、福祉的な社会資源、性の問題、ライフスキルトレーニング、子どもが成人する前にすべきことなど、概念的な知識の整理から具体的な対応方法にいたるまで、幼児期から成人期にわたって保護者が知っておきたい内容が網羅されています。「障害を抱えた子どもたちや、その周りの方々にとっての『地図』になるように」との願いが込められた本書は、子どもと関わる全ての大人が知っておきたいことが凝縮された一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年05月23日発達障害グレーゾーン?不安が強い次男私には2人の息子がいます。長男けんとは現在、小学3年生。3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。次男ゆうきは、小学1年生。以前、病院の先生に「ASDの診断がつくか、つかないかの境界付近」と言われたことがあります。ゆうきは、小さいころから不安が強く、心配性。天邪鬼で極度の負けず嫌い。物事を白黒はっきりつけたがるタイプの、恐竜が大好きな男の子です。Upload By ゆきみゆうきがASDの診断を受けるかどうか……ということは、私自身はあまり気にしておらず、ゆうきの特性で少しでも困りごとが少なくなるように……と思い、2歳から発達支援施設へ通い始めました。今回は、そんな次男ゆうきについて書かせていただこうと思います。3歳で発語ほぼなし…きっかけは1歳半健診長男けんともそうだったのですが、次男ゆうきも1歳半の時に全く言葉が出ていませんでした。ゆうきの1歳半健診があった頃は、3歳の長男の発達のことで悩むことが多かった時期。ゆうきが1歳半健診前に言葉が出ていなかったことを気にしてはいたものの、それ以上に3歳で言葉が遅く、苦手なことがとても多い長男のことで、私の頭の中はいっぱいだったのです。Upload By ゆきみゆうきは「あっちを見て」と指をさせば、その方向を見ました。通っていたベビー体操では、長男と比べると上手に身体を動かしていました。ほかにも、こちらの言うことへの反応が長男と比べるとずっと良かったのです。このように「長男と比べると」できることが多かったのが、次男ゆうきの発達をあまり心配していなかった要因の1つだと思います。しかし1歳半健診の時、「言葉が出ていない」ということで要観察に。それをきっかけに、私はゆうきの発達について心配に思うようになり、臨床心理士さんによる発達相談を受けることにしました。「2歳になっても言葉が出ていなかったら、またお話ししましょう」と言われ……時がすぎ、2歳に。ゆうきはまだ言葉が出ていませんでした。長男がお世話になっていた児童精神科の先生に「言葉が出ていない2歳の次男の受診を検討しています」と相談したところ、「受診を検討するよりも、2歳で言葉が出ていなかったら療育を受けることをおすすめします」と言われました。すぐに市の行っている親子教室への入室を希望し、言語聴覚士さんによる個別訓練を受けられる発達支援施設を探し、手続きを進めて通い始めました。警戒心が強い次男へ行った対応策とはUpload By ゆきみゆうきは警戒心が強いところがあります。同じくらいの月齢の子どもたちが来る、友達ママとの集まり。ゆうきは毎回、私の膝から動こうとはせず、じっと動かないで私の腕にしがみつき、最後まで過ごしていました。通い始めた親子教室でもそのように「私から離れなそうだな」と思い、親子教室がオープンする早い時間に行くことにしました。するとほかの子たちもほとんど来ていない時間だったので、警戒はあまりせず、楽しそうに遊ぶことができました。たまに私から離れなくなることもありましたが、この早く行く作戦はその後もうまくいきました。親子教室では、たまに母子分離になることがありました。長男の時は、私が離れても興味を示さず、母子分離が終わり、長男の元へ帰った時も反応せず、自分の好きな遊びに熱中していました。ゆうきは、私と離れることを極度に嫌がり、大号泣。母子分離ができない日も。発達支援施設では、個別療育だったのが緊張したのか、通い始めた当初は、ゆうきが警戒して動かなくなってしまい、慣れるまでに時間がかかりました。ASD長男とはすすめられた進路が違った次男地域のこども園の満3歳児クラスにゆうきの入園を考え、親子教室で行われる発達相談で進路相談をしました。長男の時の進路相談では「小集団での手厚い支援のある環境が合っていると思う」と、市の発達支援施設への入園を強くすすめられました。ゆうきの場合は「周りからの影響を受けるタイプの子だと思うので、集団が合っていると思う」とのこと。地域の園をすすめられました。長男けんとと次男ゆうきの特性が違うため、その子に合わせた支援が大切なのだということを考えるきっかけの1つになりました。Upload By ゆきみこども園の満3歳児クラスに入園した頃、ゆうきはまだ言葉が出ていませんでした。3歳の誕生日を迎える数か月前から、「ママ」とだけ言えるように。ただ、ママのことをママと呼ぶだけでなく、全ての物を「ママ」と言っていたのです。先生とお話し中、動物を指差し「ママ!」。「あっち行きたい」などの欲求も「ママ」。パパを呼ぶ時でさえも「ママ」と言っていました。しかし、3歳の誕生日をむかえる頃、急に「お話ししたいスイッチ」が入ったようで、ものすごい勢いで話し始めました。発語がほぼなかったこと以外は、長男ほどは大きな困りごとを感じなかった次男ゆうき。きっと長男がASDと診断を受けていなかったら、「言葉が遅いだけ」と発達のことを気にしていなかったかもしれません。この先、診断を受けるのか受けないのか……今も正直よく分かりませんが、これからも、ゆうきの特性での困りごとを少しでもやわらげられるように、向き合っていけたらいいなと思っています。(執筆/ゆきみ)(監修:藤井先生より)3歳未満でみられる言葉の遅れには、理解はしているけれど発語がない、理解も難しい、社会性が乏しいなど、お子さんによって様子は違ってきます。また、診断がつくかはっきりしない場合もよくあります。ゆきみさんが、ゆうきさんの困りごとが少なくなるようにと相談されたのはとても良かったと思います。発達障害の診断がなくても、お子さんの発達で気になることがあれば、かかりつけの小児科、発達相談室や、療育施設、保健所などで相談することをおすすめします。3歳になる頃にはお話をたくさんするようになったゆうきさんの、成長の姿を読ませていただき、ありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月23日お気に入りのものもスムーズに手放し、順調に登園していた保育園時代長男は2歳の頃保育園に入園しました。当時はそれなりに預ける際泣くこともありましたがスムーズに登園しているほうだと見受けられました。実は長男は1歳の頃からお気に入りのタオルケットがありました。家でも外出先でも肌身離さず持っていて、そのタオルケットがあれば添い寝をしなくても1人で眠っていました。Upload By ねこじまいもみタオルケットは保育園に持っていけないので、手放せるか心配でした。しかし事前に説明すると持ってはいけないことをすぐに理解し、登園初日からぐずったりすることもなく園に行く直前でサッとタオルを置いて登園していました。当時は大変驚きました。園でのお昼寝も「タオルがない」と落ち着かない様子を話してくれることもありましたが先生の寝かしつけでお昼寝できていたようでした。本当に頑張っているなぁと思いました。家に帰ってくると一目散にタオルケットのところへ行き、安心している様子はとても可愛かったです(ちなみに小学4年生の今も帰るとすぐにタオルケットを持ちます)。 このように保育園の時は登園について問題を感じることは特にありませんでした。Upload By ねこじまいもみ登園渋りのはじまり長男は年中になる年に幼稚園へ転園しました。環境の変化に心配もありましたが順調に登園していました。登園渋りがはじまったのは年中の後半でした。 当時私は働いていたのでなんとかなだめて送っていました。一時的なものかもしれないと思ったのですが、年長になるにつれて激しさは増していきました。着替えさせるのも一苦労で、やっと外に出れたかと思いきや道で座り込んでしまったり、園までついても門の前で逃げてしまったりすることもしょっちゅうでした。特にお友達と何かあったとかはなさそうな様子でいつも「つまらないから行きたくない」と言っていました。 それでも迎えに行くとお友達と遊んでいたり、先生も「みんなの前でいつも面白いことを言って笑わせてくれるムードメーカーのような存在です」とおっしゃってくれたりしていました。 でも「やっと今日が終わった」「帰りの車は最高だ」とよく言っていたのでとても頑張っていたのだと思います。出産で仕事をやめた私は産まれたばかりの次男を連れての送迎が大変な時もあり、激しく行き渋る時は休ませることもしばしばありました。長男は休めばまた明日行けるという感じだったので休ませることも時には大事かもしれないと感じました。また、この頃は弟が産まれたことも登園渋りに関係あるのかなぁと思ったりもしました。Upload By ねこじまいもみ年長がもうすぐ終わり卒園が目前になった2月頃、長男は1人の時間が増えてみんなの輪に入りたがらない様子が目立つようになったと担任の先生に話をされました。長男は同じ直線を行ったり来たりする常同行動をするのですが、幼稚園でも自由時間になるとそれをしていました。みんなで何か取り組む時は先生の指示に従い集団で動けるのですが、この頃から常同行動の時間が増え、みんなと何かやらなければならない時以外は1人黙々と走っていて、遊ぼうと声をかけられても来ない場面をよく見かけるようになったそうです。気分もあるだろうし先生も温かく見守ってくださっていましたが、2年間受け持ってくれた先生だったので、なんだか1人の世界に入り込む時間が増えた気がすると少しいつもと違う様子が気になって私に話をしてくれました。 激しくなる登園渋りとも何か関係があるのかなと思いました。発達検査を受けてみようと思ったきっかけUpload By ねこじまいもみもともと長男は人への関心が薄いことは私も気づいていましたが、この時をきっかけに漠然と長男の今後が改めて心配になりました。そしてこの常同行動はいつまで続くのだろう……入学を前に、これまでなんとなく気にかけてはいたけど発達障害を強く意識し始めたのはこの頃でした。また、鉛筆がうまく持てず筆圧も弱く、ヒョロヒョロの線しか書けなかったことなど細かい部分でも気になっていたことはあったので、一度発達検査を受けてみることにしました。 私の勝手な見解だけではなく、専門的な部分から長男を知り、今よりもっと良い関わり方があるなら知りたいし、長男が困った時に私がしてあげられることはなんだろうというヒントが得られるかもしれないと思い、大学病院へ発達検査の予約をしました。これが、長男と私にとって一つの転機になったのです。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの発達検査の予約を取るまでのエピソードをありがとうございます。最初に入った保育園時代から、長男くんに対して「本当に頑張っているなぁ」という眼差しであたたく見守っていてくださったこと、よかったです。子どもは子どもなりに、集団生活を頑張り、特に一人を好む傾向の強いお子さんだと、もっと渋ったり荒れたりしていてもおかしくないのに、本人なりに頑張っている。お子さんなりの頑張りを保護者の方が気づいていてくださること、とても大事だなと感じます。弟くんの誕生、幼稚園への転園さまざまな変化もご心配されたことと思います。下にきょうだいがうまれることは、多かれ少なかれ影響はあります。家族にとっての大きな転機なので、多かれ少なかれ、良くも悪くも影響があるのが自然です。そうした変化によってお子さんが何かしら不安定さを呈することがあっても、それは想定内であると考えていただくとよいかなと思います。ねこじまさんは長男くんの小学校入学を前に、発達検査を大学病院で受検することを決断されました。発達検査を受ける、入学前に気になることを相談するために相談機関にかかる。この時期はさまざま決断される方が多いです。お住まいの自治体では、就学相談という小学校入学前に気になることを相談できる相談事業も年長になると申し込みが開始することと思います。医療機関に相談する、相談機関に相談するというのももちろん良いと思いますし、自治体の教育委員会がやっている就学相談に申し込むのも1つです(居住自治体内なので比較的近い、入学までには検査や相談などの一連の流れが終わる、相談無料、ただし医療機関ではないので診断は下りない)。就学相談を受ける際にはその流れの中で発達検査や集団での行動観察などが含まれていることも多いです。これからお子さんが小学校入学だという読者の方はぜひ一度「(お住まいの市区町村名)就学相談」で検索してみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月22日セカンドオピニオンってどういうもの?息子が小学3年生の時、行き渋りを始めたことをきっかけに児童精神科を受診しました。最初の病院では、不安を和らげる薬が処方されましたが、3ヶ月ほど通院しても改善が見られませんでした。その後、先生から大きなA病院を紹介され通院することになり、A病院では「解離性障害」と診断されました。しかし、A病院に通院しているうちに不安がどんどん増してきました。薬の変更によって大切な行事前に荒れてしまうことや、現状を伝えても「治ります」としか言われないこと、こちらの話を全く聞いてもらえないことが続いたため、現在の治療法が正しいのか疑問に感じたのです。そのため、セカンドオピニオンを受けることにしました。セカンドオピニオンとは、患者さんが納得のいく治療法を選択することができるように、治療の進行状況、次の段階の治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に「第2の意見」を求めることです。セカンドオピニオンは、担当医を替えたり、転院したり、治療を受けたりすることだと思っている方もいらっしゃいますが、そうではありません。まず、ほかの医師に意見を聞くことがセカンドオピニオンです。引用:東京都保健医療局|セカンドオピニオンとは調べてみたところ、セカンドオピニオンは基本的に自費診療となり高額のようです。そして今通っている担当医の診断書が必要になります。私自身も、担当医に「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えることに抵抗を感じましたが、先生は「セカンドオピニオンは患者の権利ですから」と理解を示してくださり、診断書を用意してくれました。その瞬間、心からホッとしました。Upload By 花森はな優しいB病院の先生との出会い初めてB病院を訪れた時のことは今でもよく覚えています。はじめに臨床心理士さんのカウンセリングを一時間ほど受けました。そして、次はいざ先生の診察!診察室を開けた瞬間に飛び込んできたのは、先生の満面の笑顔と「今日は来てくれてありがとう!」というあたたかい言葉でした。私たちの話を一つひとつ丁寧に聞いてくださり、もうこの時点で「この病院に転院したいです……」と言って泣いてしまいました。それほどまでに追い詰められていたこと、周囲に味方がいなかったことに、その時初めて気がつきました。Upload By 花森はなセカンドオピニオンの結果は…セカンドオピニオンの結果は、治療法もお薬の処方も間違ってはいないとのことでした。ただ一つだけ、「解離性障害」という診断名については、B病院の先生によると「僕はどちらかと言えば『不安症』と言いたいです」とのことでした。「心理検査も希望するならやりましょう。できることは全てしていきましょう」とおっしゃっていただき、こちらのB病院に転院を決め、心理検査を受けることになりました。心理検査とは、広く知能水準や発達水準、パーソナリティを評価するための検査をさします。病院などで、その後の支援計画・治療計画を立てるために集める情報の1つとして実施されます。検査、受けられる…?心理検査は、診察室近くの小部屋で行われました。検査が始まる前から私は不安でした。まずこの日は、秋にしては気温が真夏並みに高いのに院内は冷房がついておらず、うだるような熱気でした。息子は、暑くなるとパニックが起きやすいのです。また部屋も、天井が低く圧迫感があり、長時間いるのは難しいのではないかな……と思いました。そして何より、息子は不登校になってしまってから、母子分離が難しく、常に私がついていないとだめでした。一人で外出もできなくなってしまっていたのです。Upload By 花森はなセカンドオピニオンを受けてよかった検査が始まって30分も経たない頃、息子が検査室から飛び出してきました。「帰る!帰る!」と言って暴れます。慣れない空間、見知らぬ大人と二人きり……息子にとっては耐え難い空間だったのでしょう。検査は途中で中止となりました。途中までの内容で一旦結果を出していただき、検査はまた息子の状態が安定してきたら改めて行うことになりましたが、学校で支援を受けようとなると今回の結果では難しく、ひとまず定期的に受診をし、精神障害者保健福祉手帳の取得を目指すことになりました。Upload By 花森はなあのままA病院に通っていたら、精神障害者保健福祉手帳の取得を考えることもなかったですし、ずっとモヤモヤしたまま通い続けることになっていたと思うので、思い切ってセカンドオピニオンを受けてよかったと思っています。こうしてB病院の先生と出会うことができました。話を聞いてくれる、受け止めてくださる医療者と出会うことは、息子にとっても、私にとっても大きな救いとなりました。担当医は残念ながら代わってしまいましたが、現在もB病院に引き続きお世話になっています。執筆/花森はな(監修:室伏先生より)セカンドオピニオンを受けられ、通院先を変更されるまでの道のりを共有してくださり、ありがとうございました。大事な大事なお子さんの状況に関してご心配されるというのはとても自然なお気持ちですし、さまざまな先生の意見を聞いていただいて納得して治療に臨んでいただけるのが、医師と患者さま双方にとってよいことなので、ご希望される場合にはぜひ受けていただきたいと思いますが、患者さまにとってはそれを医師に伝えることは、時に勇気の必要なことですよね。医療スタッフと患者さまの間の信頼関係はとても大事です。人間関係なので相性もありますし、お子さんにとって何を大切と考えるかに関して意見の違いもあります。それは医師もよく分かっています。ですので、もしセカンドオピニオンのご希望があれば、ぜひ前向きにお願いしてみていただきたいと思います。前の記事はこちら
2024年05月21日療育を受けるきっかけになった1歳半健診今年6歳を迎えた長女のまゆみは、1歳半健診をきっかけに療育につながりました。健診を受ける際、これだけは聞こうと決めていたことがあります。Upload By にれまゆみの発達の遅れに気づいて以来、ずっと恐れてきた1歳半健診でしたが……ジタバタしきったと思えるところまでジタバタしたこともあり、「逃げられないのだから、何か成果を得て帰ろう」という気持ちになっていました。健診での問診中に心配事を伝えると、ありがたいことに発達相談をその日のうちに受けさせてもらえることになりました。そして心理士さんとの面談の結果、まゆみは「少し発達に心配のある子」として療育の申請をすることになったのです。しかし実は私、この時点では「とにかく療育につながろう」ということしか頭になく、多少調べてきたのは「自治体によっては3歳になるまで受けられなかったり、医師の診断書が必要」という療育を受けるための条件ばかり。市内にどういった施設があって、どういった内容のことをするのかはちっとも調べていなかったのでした。保健師さんによる聞き取り相談支援員の方との面談の前に、保健師さんによる聞き取りがありました。もう4年以上前のことなので詳しい内容は思い出せないのですが、ひとつハッキリと覚えているのは「公立の施設と民間の施設、どちらがいいですか?」と聞かれたことです。おそらく、保健師さんは「特色のある支援を希望しているか」という意味で尋ねたのだと思うのですが、当時の私はこの質問の意味を「経済面での希望を聞かれている」と勘違いしてしまい、勢いよく答えました。Upload By にれ公立よりも私立の学校のほうが学費がかかるというイメージをそのまま適用してしまい、あまり経済的に余裕のあるほうではないわが家は公立一択だと思い込んでしまったのです。実際には、公立・民間に関わらず所得に応じて定められている自己負担額で療育を受けられることになっているのですが……そのことを知ったのは後になってからでした。相談支援員さんとの面談数日後、自宅に相談支援員さんが来てくれました。当時、自宅外でまゆみを見ながら面談をするには数々のハードルがそびえ立っていたので、面談場所を発達支援センターと自宅の二択から選べる配慮がとてもありがたかったのを覚えています。相談支援員さんの話では、まゆみの年齢で通える公立の児童発達支援施設は市内に2ヶ所あるものの、1ヶ所は定員いっぱいのため自動的に「ひだまり児童園」(仮称)という施設になるということでした。私は「まずは療育につながることだ」と考えていたので、二つ返事でOKしました。あとは、日頃のまゆみの家での様子や1日のタイムスケジュール、療育を受けるにあたりどんな希望があるかなどの聞き取りでした。ひだまり児童園での面談契約のためには現地に赴く必要があったため、「療育って何をするんだろう。どんなところだろう……」と今更ながらドキドキしつつ、親子でひだまり児童園へ向かいました。見学と説明会を兼ねた内容の面談があり、実際に療育で使われている一室で施設長の先生とお話ししました。部屋にはボールやおままごとなどのおもちゃが置かれていて、先生はまゆみが遊ぶ様子を観察しながら「まゆみちゃん、赤が好きなんですね」「ボールを両手に掲げて歩きたいんですね」「こうしたい、というビジョンがしっかり彼女の中にありますね」など、「発達の遅れた子」としてではなく、まゆみ自身を見てくれているなと感じる言葉をたくさんかけてくれました。そして何より、「ああ、ここに通うことにして正解だな」と感じた出来事がありました。まゆみがおもちゃに飽きて部屋を出ようとしたので、思わず「コラ!勝手に出て行かないの」と捕まえようとした時、施設長の先生が「いいんですよ。うちは子どもファーストなので、好きにさせてあげてください」と笑ったのです。どこへ行っても居心地の悪さを感じて人目を気にしてばかりいた当時の私は、その言葉に「やっとまゆみの居場所を見つけてあげられたかもしれない」と思いました。Upload By にれそうして、施設の中を探検するまゆみの後ろを歩きながら面談の続きをしました。いま振り返っても、この時は素敵な体験をさせてもらったなと思います。まとめ以上、まゆみが児童発達支援施設に通所するまでのお話しでした。当時の私の場合、公立を選んだ時点で選択の余地はなく、希望というと「とにかく居場所がほしい」という願いだけでしたが……後々学んだことを含めて以下にまとめましたので、これから療育へ通うことを考えていらっしゃる方のお力になれましたら幸いです。Upload By にれひだまり児童園にはまゆみが3歳になる直前まで1年以上通わせていただきましたが、初めて通った児童発達支援施設がひだまり児童園で、ここの先生方に出会えて、本当に幸運だったなぁと思います。まゆみもひだまり児童園を気に入ってくれて、毎週楽しそうに通っていました。(ひだまり児童園に通う様子や卒業するきっかけになった出来事は私の著作で漫画にしておりますので、もしご興味のある方は是非ともチェックしてみてください♪)ちなみに、ひだまり児童園へ通い始めてから2ヶ月後、まゆみは私の希望で音楽療育にも通い始めました。次回はこちらのお話もさせていただければと思います。執筆/にれ(監修:新美先生より)児童発達支援につながるまでについて具体的に聞かせていただきありがとうございます。この年代ではまだお子さんの発達特性について気にし始めて間もないことが多く、福祉制度について知らないことが多いので、このような具体的なエピソードが聞けるとイメージが湧いて参考になりますね。児童発達支援は、主に小学校入学前の障害のあるお子さんが利用できる福祉サービスの一つです。利用の手順は市町村によって多少異なりますが、正式な診断名がなくても療育の必要性があると認められて、市町村から「受給者証」を発行してもらえると利用できます。コラムで紹介してもらっているように、公立と民間の施設があり、また親子で通うところ、保育園・幼稚園と同様に子どもだけが通えるところ、ふだんは保育園・幼稚園に通っている子が週に数回~月に数回、一定時間定期的に通うところなどさまざまです。集団療育、小集団療育、個別療育など形態もさまざまで、専門性の高さについてもまちまちです。また、児童発達支援は就学前までですが、同じ事業所内で放課後等デイサービスもやっているところもあり、就学後まで同じところで通う希望があればそういう観点も考慮するといいかもしれません。施設によって、かなりいろいろなカラーがあるので、候補になる施設を複数、見学に行ったり、できれば体験してみたりして、親子にあっていそうなところを見つけていけるといいですね。前の記事はこちらUpload By にれ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年05月20日保育園入園で、生活がガラッと変わったきいちゃん新生活といえば、子どもたちだけでなく、その親である私たちも子どものことを考え、緊張したり不安になったりしますよね。とくに、子どもがうまく園や学校に馴染んでくれるのだろうかと心配になります。子どもに障害があれば、なおさらだと思います。きいちゃんは保育園入園時と小学校入学時と今まで大きく2回、生活がガラッと変わりました。今回は保育園の入園の時の話を書きたいと思います。保育園入園!子どもが心配だけれど、親自身も周囲の発言で傷つくことも……きいちゃんは生後半年の時、運よく加配枠で保育園に通えることになったのですが、嬉しさと同時にとても不安になりました。周りに受け入れてもらえるだろうか?いじめられたりしないだろうか?担任の先生はどんな人だろう……?ということです。Upload By 星きのこまた、ダウン症という障害の特性ゆえ、外見的特徴から周囲に障害が分かりやすいのですが、それが、周囲の人に障害があることを分かってもらえるというように良いように作用することがあれば、時には差別的な発言を受けるなど悪いように作用することもあります。Upload By 星きのこ保育園入園時はまだ子どもが小さく、親である私たちも障害を受け入れられてないことも多かったりするため、不用意な発言を受けた時は傷ついたり、上手く感情を対処できなかったりします。現にその頃、私の周囲の同じダウン症のある子のママさんたちの中には、「子どもをベビーカーに乗せて歩いていると、子どもの顔をじっと見ていく人がいて悲しかった」「定型発達のママにじろじろと子どもの顔を見られてコソコソ何か言われてしまった」……と、事実がどうであれ、悩んでいるママがいました。私自身は、(被害妄想は炸裂していたものの)実際には傷つく体験をすることはなかったのですが、元来、鈍い性格なので気づかなかったり、運がよかったのかもしれません。しかーーし‼可愛い子どものため、悩んでばかりでも仕方がありません。同じ条件下でも、子どもが楽しく過ごしやすく、そして人間関係をうまく整える方法を考えました。作ってよかった「サポートブック」!その対処として、私がやってよかったなと思うことの一つが「サポートブック」の作成です。作ったサポートブックは、担任の先生や園長先生にお渡しし、きいちゃんの特性について情報共有をしました。サポートブックとは、入園、入学、進学など子どものライフステージが変わる時に、子どもの普段の様子や関わり方、知っておいて欲しい情報を、園や学校の先生と共有するためのツールです。詳しい内容、作成方法などは以下で紹介されているので参考にしてみてくださいね。ジュニア「サポートブックとは」わが家の場合は、先生が読む時に苦にならないように、長文ではなく、見やすく、大切なことだけを簡潔に書きました。それを100円均一ショップの透明フォルダーに入れて完成させました。子どもの障害や特性について、口頭での説明だけだと内容がうまく伝わっていなかったり見返すこともできないので、サポートブックはとても有効でした。これで担任の先生とはうまく連携が取れたように思います。何か子どもに変化があれば、その都度ファイルを入れ替えるといいと思います。Upload By 星きのこ「サポートブック」で先生との連携はクリア!お次は……さてさて、次は同じ園に通う保護者さんにうまくきいちゃんの障害を伝えなければ……。どうやったらうまく伝えられ、きいちゃんを受け入れてもらえるか考えました。その方法とは……また次の機会にお伝えできればと思います!執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)園や学校以外でも通院している医師との連携に、このサポートブックは使えます。かかりつけ医はダウン症の一般的なことは分かっていても、合併症など個々の症状については把握していないことがあります。サポートブックにはそのお子さんの特性や既往歴・家族歴・受診歴等が書かれており、病院や学校が変わるたびに親が同じ話をしないで済むというメリットがあります。私の外来では「医療支援ファイル」という学校・病院・親の連携を図るためのツールを使っています。個人情報が書かれているので管理は慎重に行っていく必要があります。ただし、サポートブックやファイルは外来で保険点数が取れず、あくまで医師によるサービス(ボランティア)として行っているために、時間に余裕がない医院や病院では対応が難しい場合もあります。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年05月19日息子と二人で家から少し遠いスーパーへ。機嫌よくしていた息子が号泣!?1歳頃の息子は、癇癪や他害がひどかったので、児童館や公園など同年代の子どもたちがいる場所には連れて行きにくいと感じていました。ですから、たまにいつもと違う、少し家から離れたスーパーに買い物に行くことが、わたしと息子にとってのささやかなイベントになっていました。この日は、家から3キロほど離れたスーパーに、自転車に乗って息子と出かけて行きました。機嫌よく買い物に付き合ってくれた息子でしたが、帰りがけに大泣きしてしまうことに。なぜかというと、お菓子コーナーにあった小さな画面に夢中になってしまったからです。その画面には、とあるお菓子のCMが、繰り返し流されていました。Upload By メイお菓子のCMを何度も繰り返し見たがり、動かなくなってしまった息子何度か見たらそのうち満足して離れられるかもしれないと、しばらく様子を見ていましたが、一向にその気配はなく、予告の声掛けをしたあとにその場から引き離しました。予告の声掛けは残念ながら効果がなく、息子は号泣。出口までなんとか連れて行ったものの、息子はスーパーの前で動こうとしません。大泣きする息子をなんとか連れて帰ろうと、自転車に乗せようとしましたが、息子は座席から立ち上がって拒否していました。そんな状態のまま自転車で走るのは危険だったので、私は息子を自転車に乗せることをあきらめ、片手で暴れる息子を押さえ、反対の手で自転車のハンドルを持ち、少しずつ押していきました。これが想像以上に大変で、少し進んでは止まって休憩して、また少し進んでは休憩を繰り返していました。ずっと泣き続け、全力で拒否し続ける息子に疲れ、泣きそうになりながら自転車を押していた時、一人の女性に声を掛けられました。女性は、今進んでいる大通りの先にある駅まで行くところだから、そこまで自転車を押しましょうかと言ってくれたのです。女性はしばらく一緒に歩いていましたが、電車の時間が迫っているということで先に行き、駅の前に自転車を停めておいてくれました。Upload By メイとてもありがたい女性の手助けに、少し気持ちが軽くなった私でしたが、その後もまだ息子は泣き止みませんでした。自転車に乗れていれば20分もあれば家に着いていたはずなのに、すでに2時間が経過して、あたりは薄暗くなってきていました。Upload By メイどんなになだめても泣き止まない息子。疲れで感情が乱れてしまい……優しく声をかけてなだめようとしても全然ダメだし、もう疲れた……。だんだんお腹の中で、イライラとかムカムカとか、なんとも言えない感情がぼこぼこと湧いてきました。この膨れ上がる感情を、一体どうしたらいいのか分からず、この場を立ち去ってしまいたい衝動に駆られました。Upload By メイUpload By メイ結局私は、3歩ほど息子から離れたところで立ち止まりました。落ち着かないといけない、冷静にならないといけない。そのためには、このお腹の中のモヤモヤを、どうにかしないといけない。でもこの場を離れるわけにはいかない。私は寝転がって大泣きしている息子のそばに座り込んで、気が済むまで地面を叩きました。そんなことするなんてヒステリックですごく嫌だと思ったけれど、ほかに気持ちを発散できる方法が思い浮かびませんでした。Upload By メイ落ち着きを取り戻した私は、ひたすら息子を待つことに決めました。しばらくして、息子の泣き方が少し変わってきたタイミングで、帰ろうかと声を掛けました。息子はグスグス言いながら、私に寄ってきました。Upload By メイちなみに自転車は持って帰れなかったので、あとから夫に取りに行ってもらったのでした。どう対応すればよかった? 今も考え続ける息子との関わり方この時の出来事は、今でも何が正解だったか分かりません。息子のやりたいことに延々と付き合ってあげられたらいいけれど、外出先だったり時間の余裕がなかったり、そうできない場合もあります。今回のことは、息子の気が済むまでスーパーでCMを見せてあげていたほうが、結果的に早く家に帰り着いていたかもしれません。でもそれは、あとからだから言えることでもあります。トラブルがあるたびに、こうすれば良かったああすれば良かったと、いろんなパターンをシミュレーションしてきました。そうして少しずつ、息子との関わり方を学んできたような気がします。執筆/メイ(監修:森先生より)愛情を持っていれば持っているほど、子育ては「こうすればよかった、ああすればよかった」の連続ですね……。お子さんを楽しませたくて少し遠くのスーパーに行ったり、帰りたがらないときもはじめから無理に連れ出さずに気が済むまで付き合おうとしたり、予告の声掛けをしたりと、メイさんはお子さんのために努力されていますね。うまく癇癪がおさまらないことは少なくありません。一般的な「子育てのコツ」を勉強して、お子さんの気持ちを考えて寄り添って……全てを頑張ってもうまくいかないことはありますよね。親も人間ですから、イライラしてしまうこともあります。お子さんを無理に自転車に乗せて自転車から落ちる、お子さんが車道に飛び出してしまう、といった大きな危険をできる限り回避したというだけで満点の対応ではないでしょうか。それだけで満点なのに、あの時どうすればよかったかを考えてさらに学ばれているということですので、素晴らしいですね。同じような環境にいる子育て中の皆さん、迷いや後悔は常にあるかもしれません。後悔の度合いは愛情に比例します。すでに充分頑張られていますので、どうかご自身を褒めてあげてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月18日ダンスや徒競走、応援合戦……苦手要素が盛りだくさん!?みんなの運動会エピソード新緑が眩しいこの季節、もうすぐ運動会が行われるという園や学校も多いかと思います。発達障害や発達に特性があるお子さんにとっては、気が重くなる時期かもしれません。今回は、発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、お子さんの運動会にまつわるエピソードをご紹介します。海乃けだまさんの息子さんは、2歳半でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。寝返りは10ヶ月、ひとり歩きは1歳5ヶ月と、赤ちゃんの時から運動発達がゆっくりだった息子さん。療育園で丁寧な支援を積み重ね、年長から幼稚園に転入しましたが、そこで同級生の運動発達との差を目の当たりに……。練習の段階から大変だった運動会、はたして本番はどうだったのでしょうか?星あかりさんのご長男・スバル君は3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。幼稚園に入園するまでは、特に不器用さを感じたことはなかったそうですが、幼稚園入園後から徐々に周囲の子どもたちとの差が目立ち始めました。年中の運動会では、苦手なダンスですっかり自信を失ってしまったスバル君。しかし1年後、年長の運動会でのダンスを乗り切るために、スバル君が自ら編み出した”秀逸すぎるスキル”とは?ASD(自閉スペクトラム症)のミミ君は、保育園の頃から運動会が苦手です。そんなミミ君も成長し、小学4年生の時には家で運動会のダンス練習をするまでに。練習の成果もあって、運動会本番は大成功!めでたしめでたし……と思ったら、運動会のあと、なぜかミミ君は大号泣!涙の理由は、いったい何だったのでしょうか?ネコ山さんの息子さんはADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の傾向があり、5歳で受診した児童精神科ではグレーゾーンといわれています。集団行動が苦手で口頭指示が通りにくいという息子さん。幼稚園の年少から年中の頃にかけての運動会での様子を教えていただきました。集団活動が苦手で、周りに合わせられない劣等感もあったという女の子。6歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されました。人が多いなど普段と違う環境が苦手で聴覚過敏もあるため、運動会はできたら避けて通りたい行事NO.1!小学2年生の運動会の後から行き渋りが始まり、小学3年生の6月からは完全に学校へ行けなくなったそうです。不登校を続ける今、運動会への思いやおうちでの過ごし方なども教えていただきました。星河ばよさんのご長男は、発達障害グレーゾーンと言われています。3歳の時の保育園の運動会では、かけっこは走ったもののダンスはやらず……。星河さんは「緊張していたのかな?」とほほえましく見守っていました。しかしその運動会の約1ヶ月後、保育園の先生に発達の遅れを指摘され、療育センターに通うことに。その後、療育や保育園でさまざまな経験を積み重ね、着実に成長していったご長男の様子をご紹介いただきました。さいごに運動会の時期は、いつもと違う状況の中でストレスを感じてしまうお子さんも多いかもしれません。苦手なことを努力で乗り越えるだけではなく、工夫してうまくやり過ごしたり、時にはお休みしたりという経験も、きっとお子さんの成長の糧になっていることでしょう。もし運動会の本番で泣いてしまったとしても、月日が経てばいい思い出になるはず。お子さんの成長を楽しみに、温かい目で見守れるといいですね!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月17日ASD(自閉スペクトラム症)息子は小学校、中学校で不登校、行き渋りを経験現在14歳の息子は、10歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けています。初めての場所やいつもと違うこと、急な予定変更などに弱く、見通しが立たないと不安になる特性があります。また、聴覚過敏があるためイヤーマフを使ったり、休み時間は図書室に避難しているようです。つい最近、まぶしいのが苦手で疲れるらしいと分かり、部屋の明かりを暗めにして目を休めるようにしています。そんな息子は、小学校、中学校と不登校、行き渋りを経験しています。ですが、不登校の理由はそれぞれ違いました。担任の先生の理不尽な対応がきっかけで不登校に……【小学校3年生】息子は小学3年生の時から行き渋りが始まったのですが、大きなきっかけは担任の先生でした。先生はすぐに怒る、怒鳴る、ちょっとした忘れ物も許してはもらえず、学校の近くに住んでいる保護者の方によると「家まで怒鳴り声が聞こえてくる」と言うほどの大声。聴覚過敏の息子には、とてもつらかったと思います。息子が間違えて覚えてしまった漢字を頑張って覚え直して正解を書けた時は、「今はたまたま正しく書けたけど、君は間違いを直そうという気が全然ない」と怒られたり、給食でおかわりを食べている最中に具合が悪くなって保健室へ行ったら、保健室へ行ったことを怒られて次の日からおかわり禁止にされたりと、理不尽な思いをしていたようです。ただ、ほかの子どもに対しても同様か、より厳しい対応をしているという話も聞こえてきていたので、息子が特別ターゲットにされていたというわけではなさそうでした。Upload By ユーザー体験談息子はそんな先生の元で精神的に不安定になってしまいました。連絡帳で「家でパニックを起こして、命に関わりかねない危険な行動を取ることがあるので、万が一危ないことをしたら、安全な場所で落ち着くまで一人にさせて欲しい」とお願いしたり、「聴覚が過敏なので耳栓を使わせて欲しい」、「手元がうまく見えていない可能性がある」と気になることを伝えたましたが、先生からちゃんとしたお返事がもらえることはほとんどありませんでした。唯一耳栓の使用だけは許可してくれましたが……。こんな状態でしたので無理に学校へ行かせるべきではないと思い、息子が休みたい日は休ませるようにしました。担任の交代、高学年になりクラスメイトから発達障害についてからかわれるようにその後いろいろあり、2学期の途中で担任の先生が代わることになりました。このことによって目に見えて息子の状態は良くなりました。ただ4年生になると、息子に発達障害があることについてクラスメイトからいろいろと指摘されるようになりました。これはとても嫌だったようです。学校から帰って来て部屋で泣いていたり、ある同級生が探し物が見つからなくて困っていたので探し出して渡してあげたら「気持ち悪い」と言われたと話してくれたりしました。私から「担任の先生に話そうか?」と提案してみましたが、息子は少し考えて「あんまりひどかったら自分で先生に言う」と答えたので、見守ることにしました。息子にはその子どもたちに会った時はきちんと挨拶をして、あとは距離を取るようにアドバイスし、息子はそのようにしていました。Upload By ユーザー体験談結局息子は卒業まで先生に傷つくことを言われているとは伝えなかったようですが、私がスクールカウンセラーの先生に相談していたので、そちらから話が行っていたかもしれません。中学では、その子たちと同じクラスにはなりませんでした。GW明けから始まった中学校への行き渋り。原因は……息子が中学校へ進学すると、慣れないためかゴールデンウィーク頃から、パニックを起こしたり、学校を休みたいと言ったりすることが増え、行き渋りが始まりました。朝支度をして、カバンを背負ってから「休む」と言い出します。私の所へ来て、申し訳なさそうな顔をして「ごめんなさい」と言う姿はなんともせつないものでした。Upload By ユーザー体験談息子がいうにはとても疲れてしまっているようなのです。部活を始めたこともあると思いますが、私は、「周りと合わせるのに必死で疲れてしまうんだろうな」と推測していました。小学校の頃から、ほかの子は言われなくてもやることが分かるけれど、息子は説明がないとどうしたらいいか分からなくて困るようで、それは中学生になっても続きました。ほかにも「自分はみんなとテンポが違う」「授業のスピードが合わない」と、中学生になってからは、周りとの違いをかなり気にするようになりました(確かに、授業参観に行くと、一人だけ行動がみんなより遅いです)。先生方はみんな「問題はありません」と言うので、周りを見ながら何とかみんなと合わせているんだろうなと思います。中学校への思いは小学校の時とは違う。登校するために試行錯誤する息子ですが、小学生の頃と違うのは息子の「学校に行きたい」という気持ちが強いことです。休んだ日に「明日から2週間休まないで学校に行けたらどう思う?3週間休まなかったら?1ヶ月休まなかったら?」と休まずに学校へ行ける自分を想像していたり、「どうしたら休まないで学校行ける?」、「疲れないように体力つけるにはどうしたらいい?」と聞いてきたりします。そして行くために自分で試行錯誤を続けています。まず、部活に出る日を調整するようになりました。部活の決まりに「休まないこと」というのがあるのですが、調子が悪いのに無理して部活に出て、次の日に学校に行けなくなることが多々ありました。するとお医者さんから「自分で自分の体調を管理するのは大切なことだから、そういう時は部活を休むように」と言われ、疲れていたり、調子が悪かったりする時は、自分の判断で部活を休むようになりました。Upload By ユーザー体験談中学1年生の時は、かなり精神的に不安定になっていたので、スクールカウンセリングで相談したりして、部活に出る日を減らしてもらいました。ですが、中学2年生になると、休日以外の部活には出られるようになりました。徐々に休日も部活に出るようになってきましたが、日曜に部活に出ると、月曜に学校に行くことができないのではないかと不安になることがあるので、そういう時は部活を休んでいます。そして寝る前に精神科で処方された薬をきちんと飲むようになりました。薬を飲んで寝ると、スッキリと落ち着いて学校へ行けるようです。ただ、効き目が強くて朝起きられないことがあるので、寝る前に飲むのを避けたり、お医者さんから、薬を半分にしていいと言われているので、半錠にしたりしています。また、体力がないのがいけないのではないかと、筋トレにチャレンジしたりしていますが、これは今のところ上手くいっていないようです。自分の意志で頑張り続ける息子を応援し続けます今は、担任の先生の「つらい時は休んでいいよ」という理解もあり、時々休みながら学校へ通っています。中学3年生になった今は「休みを減らしたい」「受験勉強を頑張りたい」と言っています。これから受験があるので、精神的に不安定になるのではないかという不安はありますが、何とか学校に通えるといいなぁと思っています。今後は、息子が自分自身を理解して、周りの助けを借りたりしながら、自分の特性と上手くつき合っていかれるようになるといいなぁと思います。イラスト/SAKURAエピソード参考/まこちゃ(監修:森先生より)怒鳴ったり厳しすぎたり、しっかりと特性を説明しても理解しようとしてくれない先生にあたってしまうと、とってもつらいですね。学校は、お子さんの健全な成長のために通うところです。毎日休まずに登校できるのであればもちろんそれに越したことはありませんが、無理に登校させて精神的に不安定になってしまっては、本末転倒です。しっかりとお子さんの心身の調子に配慮しながら、「休みたいときに休む」というのは良い選択肢なのではないでしょうか。投稿者さんがお子さんの不安な気持ちを受け入れて寄り添っていたからこそ、お子さんの「学校に行きたい」という気持ちを育むことができたのではないでしょうか。結局、お子さんが自分自身が自分を理解してコントロールできるようになる、というところが子育ての大きな目標の一つです。「毎日学校に行く」というのは、そのための手段でしかありません。無理をせず、1人で抱え込まずに、スクールカウンセラーの方や病院や行政など、頼れるところは全て頼りながら環境を整えていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月17日年中からいよいよ幼稚園に入園。事前にASD(自閉スペクトラム症)の診断や娘の特性は伝えていたけれど……Upload By マミヤ事前に発達の相談の面談もしていただき、無事に年中から幼稚園に入園した娘。娘の発達のことも伝えているし、診断書も提出しました。そのかいあってか娘のクラスには加配の先生が入ることになりました。加配の先生は娘個人につくのではなく、クラス全体の補助ということでした。でも、いざ園生活が始まると、娘ではなく、別の園児1人に加配の先生はつきっきりになっていました(園長先生の話では1クラス中で3人が診断書を出してくれたら、加配の先生が1人つけられるとの説明でした)。娘に加配の先生の補助が入っていないと聞いて不安もありました。ですが娘の園生活での課題は給食が苦痛になりやすいとか、一斉指示が聞こえていないとか、何個かの指示のひとつを忘れてしまうというもので、ひっそりと困っているタイプでした。もっと小さい頃は癇癪が激しかったのですが、 その頃は泣いたり怒ったりなどの強い感情は、外ではあまり出さなくなっていたので、困りごとがあっても気づかれにくい子なんだなと思いました。遠足で運動場に行った時に、クラスの皆は水筒を1ヶ所に置いてグラウンドを走っていたのですが、娘1人だけ水筒を持って走っているのを見た時は「ああ……指示聞いてなかったんだ……そして気づいてもらえてないんだな……」と感じました。それでも、当時の担任の先生は、面談などで娘の特性や困りを伝えるとしっかり聞いてくれ、声がけなど工夫してくれていました。年長になり新しく担任になった先生。明るくていい人だけど、「娘さんは大丈夫」と繰り返すばかりUpload By マミヤ年長になり新しい担任の先生になりました。今度の担任の先生は明るくて大らかな方なのですが、娘の特性を伝えても「でもしぇーちゃんは大丈夫ですよ。できてますよ。問題ないですよ」と答える方でした。娘のことをほかの定型発達の子どもと同じように見ている……初めは「それって良いこと、うれしいことかも?」と思いました。でも娘は、次第に幼稚園へ行き渋りをするようになりました。なぜ幼稚園に行きたくないのか聞くと、給食の時間に約束した量を完食したのに、担任の先生に「あと一口頑張ろう」「もっと頑張って食べよう」と声がけをされるからだというのです。事前にあった先生との面談で、私は「給食がとても苦手なので、約束した分を食べたら無理させないでほしい」と配慮を求めていましたが、 娘は苦手な給食を毎日頑張らなくてはいけなくなっていました。 また娘がヘルプを出しても「あとでね」や「大したことないよ」と言う先生に、娘は不信感を持ってしまっていました。3学期には週に1回お休みしながら通いました。担任の先生に娘の困りは最後まで伝わらなかったのかなと思います。就学相談で、親子共に「特別支援学級」を希望。判定は?Upload By マミヤそして年長になったので、就学相談が始まる時期でもありました。小学校には親のみで1回、娘を連れて1回の計2回見学に行きました。特別支援学級ではクラスにあるオモチャに興味津々、通常学級では後ろで飼っている生き物ばかり気にしており「見学に意味はあるのか……」とも思いましたが、娘は迷いなく特別支援学級を希望しました。人数が少なく静かなところが気に入ったようでした。また小集団療育で通っていた病院で、夏頃にWISC−Ⅲの発達検査を受けた結果と、小集団療育での様子もふまえて「娘には情緒障害特別支援学級を希望しよう」と決めました。発達検査の結果を見てはじめは「通常学級でいいのでは?」と言っていた夫も、娘が笑顔で通えるならと納得してくれました。特別支援学級への就学希望を決断してすぐ行ったことは、療育の先生と娘の特性や困りごとについて話し合い、A4の紙にすべて書き出すことでした。その年はコロナ禍で、親子面談や教育委員会の方が園に娘の様子を見学に行くことなどが中止になっていたため、特別支援学級の判定は「医師の診断書」と「幼稚園の担任の先生が書いた園での娘の様子についての書類」で決まると言われました。申し訳ないのですが幼稚園の担任の先生は娘の困りを詳しく書いてくれるか不安があったので、療育の先生とまとめた娘の特性や困りごとに関する文書を幼稚園に提出し、「療育の先生に療育での娘の困りも書いてもらったので、一緒に書類へ記載してほしい」とお願いしました。幸い担任の先生は快く引き受けてくれ、結果として娘は無事に情緒障害特別支援学級への在籍が決まりました。これでめでたしめでたしとなればいいのですが、就学後は就学後でまた大変な生活が待っていました。また別の機会に就学後のことも書きたいと思います。執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)マミヤさん、幼稚園生活から小学校への進学に至るまでの道のりを詳しく共有してくださり、ありがとうございました。しぇーちゃんの困りごとや課題を見極め、それを踏まえた就学先の検討、そして入念な情報収集、しぇーちゃんの小学校生活のため、丁寧にご準備されたことが伝わりました。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合(特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室など)、もしくは発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受ける必要があります。就学時健診とは異なり、就学相談には保護者からの申請が必要となります。マミヤさんは、しぇーちゃんの特性や園でのご様子から、特別支援学級への就学をご希望されたとのことですが、どのような進路がお子さんに合っているのか判断がつかず希望する進路が決まっていない方も多くいらっしゃいます(周りでそういった進路に進まれている方がいらっしゃらない場合にはイメージも湧きにくいと思います)ので、相談を申し込む時点ではご希望を決められる必要はありません。また、申し込みをすると必ず特別な支援を受けなくてはならないのかと不安に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、就学相談は教育に関わるプロの方が、お子さんが小学校で楽しく充実した生活を送るためにはどのような環境や配慮が必要かを検討し、保護者に提案するものです。就学相談を受けても、検討の結果、現状では通常学級の進学のほうが望ましいとの判断になる場合もありますし、特別な支援を受けたほうがよいとの判断がおりてもご家庭での相談の結果、さまざまな事情で通常学級に通うことを希望され通常学級へ通われる場合もあります。特別支援学級でどのような授業が行われているのか、どのようなお子さんがいらっしゃるのか、学校によっても異なりますので、マミヤさんのように、実際に特別支援学級の見学をされるのもとても大事なことだと思います。また、特別支援学級は知的発達症(知的障害)のあるお子さんが通う場所と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、知的発達症(知的障害)がなくてもコミュニケーション・対人関係の面や、感情や衝動性のコントロールの面、その他情緒面で援助が必要なお子さんが通われる場合も多く、自治体にもよりますが、知的発達症(知的障害)のあるお子さんのためのクラスと情緒面に困難さのあるお子さん(ASD/自閉スペクトラム症やADHD/注意欠如多動症など)のためのクラスに分かれている場合もあります。就学相談への申し込みに不安や葛藤のある保護者様もいらっしゃるかと思いますが、みんなでお子さんのこれからを考える場として、前向きに捉えていただけるといいなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月16日まるで王様!?"自ら"動くことがほぼなかった赤ちゃん時代何に対しても興味が薄かった赤ちゃん時代の息子は、運動発達もゆっくりでした。母子手帳のチェック項目などでは3~4ヶ月が目安とされる『首座り』をクリアした以降、徐々に運動発達の遅れが出始めます。同じく6~7ヶ月が発達目安とされている寝返りは、先に腰の座りを習得したことで毎回「座らせてくれー!」の泣きで私がホイホイ座らせてあげていたため、10ヶ月になるまで自ら寝返りをすることはありませんでした(……なぜホイホイ座らせてしまっていたかというと……当時家の建て替えのためにアパートに住んでいたので、泣き声や物音を極力立てないようにご近所にとても気を遣っていたのでした)。転ばないよう、怪我をしないよう、息子の周りをフカフカのクッションで囲み、転んでしまっても寝返りができないので私が座らせてあげていました。また、おもちゃへの興味の薄い息子はすぐに飽きてしまうので、色んなおもちゃ代わる代わる並べ……微動だにしない息子をまるで王様のように扱っていたのでした(振り返れば、なんて過保護な育児をしていたんだと遠い目になります……)。Upload By 海乃けだまその後もずり這いしたのが10ヶ月、ひとり歩きをしたのは1歳5ヶ月でした。2歳半〜5歳半、療育園での様子療育の親子通園クラスに通いはじめた頃には少しずつ好きなものが出てきた息子。電車のおもちゃを追いかけたり、地面からゼロ距離で眺めたり(笑)と、好きなおもちゃを通じて自ら動いて遊ぶようになっていました。3歳手前で2語文、3語文を話し始めると、電車ばかりだった遊びもおままごとややり取り遊びへと広がり、当時親子通園していた療育園でのリトミックも楽しんで参加するようになりました。とはいえ、運動発達が急激に進むということはなく……体幹の弱さや持ち前の怖がりな性格から、ジャンプができるようになったのも3歳目前、片足のケンケンは5歳手前でした。幼稚園に転園後、同級生の身体能力に驚愕‼︎……やはり少し落ち込んでしまった母息子が5歳半になり、年長クラスに上がるタイミングで、地域の幼稚園に転園しました。転園後すぐに春の遠足が予定されていたので、付き添いすることになりました。行き先はなんと登山!!園児でも登れるくらいの標高とはいえ、「息子以前に産後運動を怠っていた私に登れるのか!?(笑)」という不安を抱えながら出発しました。出発するやいなや、同級生のお友達の早いこと!!!!息子の歩幅に合わせていたら、列からどんどん置いていかれそうになるので、5分に一回「疲れたぁ~」と言う息子を励ましながらほぼ私が手を引っ張り登ることになりました(運動発達がゆっくりであることに加え、体力も少なく、疲れやすい息子でした)。Upload By 海乃けだま遠足で同級生の子たちとの体力の差に圧倒されたのも束の間、同じ幼稚園に通う娘の登園時(当時娘は年少で、登園時間が年長より30分ほど後でした)、ふと園庭をみると、縄跳びをいとも簡単にヒュンヒュン跳ぶ年長のお友達、鉄棒を回っているお友達、そして鬼ごっこをしているお友達の足の速いこと……!!片足ケンケンがやっと様になってきた段階だった息子との運動能力の差に驚くとともに、ショックを隠しきれませんでした。いよいよ運動会。はたして息子は……!?そんなこんなでショックを受けつつも、運動会が近づいてきました。お迎えで担任の先生に会うたびに「今日はリレーで最後になって泣いてしまいました」とか「通し練習を1回したら疲れてしまって……」とか……不穏なことばかり聞いていました。運動会当日、息子本人以上にドキドキしながら見に行きました。息子が出る種目は年長のみのキッズソーラン、年長・年中合同のダンス、障害物競走、バトンリレー。「……うまくできなくても、列から離れずその場にいれれば100点!」と考えていましたが、列から離れるどころか、自分の出番やポジションをしっかりと覚えて動いているではありませんか!!!!しかも時折笑顔を見せて楽しんでる……(涙)!!!!!細かいことを言えば、ピシッと手を伸ばすところが伸びていなかったり、腰を落とすところがへっぴり腰だったり、小走りで集まるところを息子だけ優雅に歩いていたり、息子版にカスタマイズされていましたが……(笑)。先生やお友達が声をかけてくれて誘導していてくれたものの、息子なりに全ての競技を頑張っていました!Upload By 海乃けだま現在、小学1年生の息子は、自転車もまだ補助輪なしでは乗れないし、縄跳びも跳べないし、鉄棒も1回も回れません。ですが、大きな怪我をしない程度に、運動も日常生活に困らない程度にできるようになればと思っています(私たち両親も運動が苦手なので、高望みはしません(笑))。執筆/海乃けだま(監修:室伏先生より)けだまさん、息子さんの運動発達のご様子や運動会で頑張られたお姿について共有くださり、ありがとうございました。運動会、ご自身の出番やポジションをしっかり覚えて参加できたこと、そして何よりご本人が楽しむことができていたとのこと、成長が感じられてとてもうれしいことですね。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥多動症)と診断されるお子さんには、DCD(発達性協調運動症)が合併することも多いです。協調運動とは、ある動作に対して複数の身体の部位を連動させて滑らかに動かす運動のことを言います。例えば、本をめくって読む(両手、眼)、縄跳び(両方の腕と脚)、ピアノ(両手と眼、ペダルもあるのであれば脚も)、ボール投げ(腕、脚、眼)、など生活には協調運動が溢れています。DCD(発達性協調運動症)は、このような運動を年齢相応に行うことができず(単にできない場合だけでなくぎこちない、動作が遅いなども含まれます)、日常生活に支障がある場合に診断されます。こうしたお子さんには、筋緊張低下もみられることがあります。しばしば、体幹が弱い、疲れやすいなどと表現されることもあります。これは筋肉の疾患などで見られる筋力低下とは異なります(合併することはあります)。筋力と筋緊張の違いは分かりにくいのですが、筋緊張とは常に持続的に生じている筋肉の緊張状態のことを言います。イメージとしては、ズボンのゴムを思い浮かべていただけるとよいかと思いますが、ズボンのゴムはその位置を保つために常に一定の張りがありますよね。筋肉は、姿勢を保ったり、関節を安定させたりするために動いていない時も常に一定の張りを保っています。これは無意識に行われており、例えば寝ている子どもを抱っこしても、体の重みで関節が変な方向に過度に曲がってしまうということは生じないわけです。筋緊張低下は、このゴムの張りが少し緩いという状態と考えていただけると分かりやすいと思います。この筋緊張の維持には、固有感覚(筋緊張の状態、どの筋肉がどのくらい引き伸ばされているか→関節の曲げ伸ばしの状態)という感覚を筋肉がキャッチし、それを脊髄や脳に伝えて、さらにそこからの情報が筋肉に伝えられることが必要です。筋緊張低下の要因は複数ありますが、発達障害のあるお子さんにおける一つの要因として、この筋緊張を感じる固有感覚の鈍さがある可能性があります。筋緊張低下があると、姿勢が崩れやすくなり、本人のやる気やしつけの問題だと見なされてしまうこともありますが、上記を理解すると決して本人の気持ちの問題ではないことが理解できると思います。この場合、筋力と違って筋肉を鍛えることで改善することが難しいばかりでなく、疲れやすい状態にある筋肉に過度な負荷をかけてしまうことにもなりかねません。とはいえ、もちろん運動は大事ですので、支援としては、本人のペースや体力、運動能力に合わせた継続的な運動(本人が楽しめるもので)を行いながら、本人が姿勢を保ちやすい支援(成長に合わせた椅子を使い、椅子に滑り止めマットを敷くなど)を行うことが基本となります。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月15日診断名のデパート私が5年ほど前に診断を受けた二次障害は「複雑性PTSD」。家庭や学校でのトラウマが長期にわたって累積したことにより、複雑なトラウマの後遺症に苦しむこととなったのです。その他、診断基準を全ては満たさなかった、または医療につながっていなかったなどで該当するか不明なものとしては、社交不安症、離人症、摂食障害、神経性胃炎、過敏性腸症候群、概日リズム睡眠障害、強迫症、ネット依存症、双極症のような傾向がありました。内科では自律神経失調症や「うつ」と言われていた時期もあります。PMSや月経困難症もひどく、片頭痛や過活動膀胱の傾向もありました。複雑性PTSDのようなトラウマ性疾患のある人は、トラウマ・ストレス反応によって自律神経のバランスが崩れることで、非常に多様な症状を抱えます。このため、身体科疾患も含めていろいろな病気の症状を呈し、トラウマの問題が発見されるまでの間、たくさんの診断名をつけられる傾向にあります。こういった人を「診断名のデパート」と呼ぶことがあるそうで、私もまさにそういった状態でした。※診断名等は診断時・受診時のものです小学校時代から二次障害の症状に苦しむこうした背景により、私は小学校の頃にはすでに、さまざまな症状に苦しむようになっていました。学校で人の視線が気になる、誰かが何か話していると自分の悪口を言っているのではと気になる、人前での失敗を必要以上に恐れる。決まったやり方で教室に足を踏み入れ、何歩歩いたら、どこでどれくらいの角度とスピードでターンするかを事前に頭の中でシミュレーションする、など……。20代までの間は食欲不振や下痢の症状があるいっぽうで、チョコレートなどの甘いものを一気食いするなどしていて、身体はガリガリ、顔はニキビだらけ。ネットサーフィンやソーシャルゲーム、チャットに依存し、すっかり昼夜逆転。精神安定剤でデロデロの状態で昼過ぎにやっと起き、化粧や服装を完璧に整えようとして何時間もかかるので、家を出たら午後4時過ぎ。必要な事務手続きなどができず、生活に支障をきたしました。また、人と話すのが苦痛で、電話1本かけるのに脂汗をかき、震えながら小1時間葛藤するといったことも……生理にまつわる症状や片頭痛で月のほとんどの時期調子が悪かったこともあって、この時期は準ひきこもり状態となっていました。ずいぶん楽にはなったけれど……30代以降、実家を出て、家庭における最大のストレス・トラウマの源であった母と離れました。夫に支えてもらい、安心できる環境に身を置きながら、発達障害の診断・治療、トラウマ治療、その他の身体科の疾患の治療を受けるようになってからは、もろもろの症状は徐々に治まっていきました。しかし、トラウマの影響による気分の変動や、トラウマ記憶のフラッシュバックには引き続き苦労しています。もっと診断が早ければ……私が二次障害を発症するに至ったのは何より、時代的に、診断が遅かったためだと思っています。今の時代であれば就学前に発達障害の診断を受け、療育を受けたり、公立小学校の通常学級とは違った学校の選択肢を選んだりすることができたでしょう。そうすることで、いじめ・教師からの虐待といったトラウマを負わずに済んだかもしれません。早期の診断や療育を受けていれば、何がいけないのか分からないままの、人間関係上の失敗や挫折を漫然と繰り返すこともなく、何かつまずくたびに効果的な学習の機会にできたでしょう。暗中模索のまま過剰適応に追い立てられることもなく、疲労の蓄積や、大学受験を最終的なきっかけとしたバーンアウトも経験せずに済んだかもしれません。仕事の選択も特性に合ったものを考えられたでしょうし、20代のひきこもり時代による社会的な学習機会の損失も起こさず、もっとずっと早く、もっとずっと高いレベルで社会適応できていたでしょう。家庭内で私のストレス・トラウマの最大の原因となっていた母も、おそらくASD(自閉スペクトラム症)とその二次障害の強迫症の持ち主だったのですが、今の時代であれば彼女への治療や支援といったアプローチも可能だったかもしれません。彼女への早期の介入がなされていれば、私は家庭内で今ほどのトラウマを負わないで済んだでしょう。早期発見と早期の対応はとても大事発達障害があること自体はやはり、社会を生きていくにあたってディスアドバンテージではあると私は思っています。しかし、トラウマ治療が進み、定型発達の人たちのコミュニケーションや考え方の分析に目が向けられるようになって思うのですが、早期発見や(療育の質にもよりますが)早期療育はとても大事です。特性に合った環境調整や療育で、二次障害を防ぎ、教育の場や社会からのドロップアウトの期間をなくせば、社会適応に必要な発達課題をきっちり積み重ねていくことができます。トラウマ性疾患は治療可能な病気ではありますが、治療にとても長い時間と多額のお金がかかります。その間、健康であったら得られていた、人生の節目ごとの発達課題の学習機会を逸することにもなります。私は、いまの未就学児が療育で学ぶようなことを、自分で本を読んだり、周囲の人に教えてもらったりすることで補填しています。ずいぶん自分なりに発達できた、人生はこれからだと思っていますが、いま43歳の私、あまりにスタートが遅い感は否めず、また累積した経済的損失は計り知れず、悔しい思いをしています。いまの子どもたちは、早期発見という意味では幸い私よりも恵まれた環境にあるので、ぜひ早期に対応することで、元気な人生のスタートを切ってほしいと思います。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)残念ながら、今の時代でも本事例のようなことは起こっています。乳幼児健診やかかりつけ医に相談しても「様子を見ましょう」で特に療育もせずに成人された神経発達症の方々が私の外来にはたくさんいらっしゃいます。もっと早くここ(私の外来)に来れればよかったと皆さん口をそろえて言います。アメリカの心理学者バークレー先生は神経発達症のお子さんにおける早期介入の重要性を訴えています。以前来日したおり、私も運営に関わり全国の小児科専門の先生方に神経発達症の早期診断・治療の重要性を伝えました。その際に保護者の方々へ行った「いつからADHD(注意欠如多動症)などの治療開始を希望されますか」というアンケートには、ほとんどの親御さんが「就学前後」と答えていたのです。そのためには就学前に小児科を受診し診断されなければなりません。ですから、私が推奨している5歳児健診が重要になるのです。しかし、さまざまな要因により、すべての自治体では行えていないのが現状です。そのため、保育士や幼稚園教諭の皆さんに対する神経発達症の周知や教育が急務だと考えています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月14日太郎が学校に行きたくない理由ある日、ASD(自閉スペクトラム症)の太郎が学校に行きたくないような素振りを見せた。私と祖母にはその理由ははっきりと分かっていた。その日は学校のバレーボール大会なのだ。バレーボールの練習の段階から太郎は「バレーボールは難しい」「どこにボールを当てたらいい?」「どうやってボールをとばしたらいい?」など困っていた。毎日のように「今日もバレーボールした……」と浮かない顔で言っていた。Upload By まゆん幼い頃から運動全般が苦手だった太郎Upload By まゆん初めに不器用さを感じたのが離乳食の頃。嚥下や咀嚼が苦手で食事中にえづくことや嘔吐もみられた。これに関しては感覚過敏からくることも考えられるが、そのほかにもその運動自体に問題がある可能性について分かってきた。次に箸や鉛筆の扱いの不器用さが著しかった。この頃、保育園側から家でも箸や鉛筆の扱いの練習をするようアドバイスがあったが、私は練習の量の問題ではないと太郎の動きからなんとなく気づいていた。それから小学生になると、指先の小さな動きの不器用さは明らかになってきた。定規、ボタン、靴ひも、鉢巻、エプロンのひも結び、どれもほかの人の3倍以上は時間がかかるか、できずに途中で諦めていたり、周りに助けを求めてしてもらうことがあった(これは良いことだと思っている)。特に難題だったのが、先生と取り組んだ縄跳び。いまだに太郎の中では苦でしかないだろうと思っている。縄を回すこと、腕を回すこと、縄のタイミングに合わせてジャンプすること。複数の動きを同時にしないといけないのが縄跳びだと、この時私は勉強になった。太郎はその複数の動きを同時に起こす運動も苦手である。これは練習を重ねても平均的な跳びはできなかった。なんで跳べないのかと本人も思っているのかもしれない。明らかに縄跳びの時間になるとテンションが低かったと担任の先生から聞いていた。自転車は小学5年生まで練習をぼちぼちと行っていたが中学生になってからは練習することもしていない。直線でも急にブレーキを強くかけたりいきなりバランスをくずして転倒する。何回乗っても手にはマメを作るほど力が異常にかかる。なので危険性を感じるためサイクリング場での自転車の運転だけで収めている。中学生になりストレスが大きくなってUpload By まゆん中学1年生の頃は大縄跳び大会でうまく飛べずに固まってしまい、2年生の時は水泳の時間にほかのクラスの生徒から一人ビート版の練習をしているのを笑われたとトラウマになっている。学年が上がるにつれて、太郎の中でも強く運動の不得意さを感じストレスになっていると感じている。そんな中、中学1年生の終わりに療育センター相談をした。その時に担当の心理士の先生から伝えられたのが「DCD(発達性協調運動症)」についてだった。実際に、発達性協調運動症に関するチェックシートを記入してみると、ほぼ当てはまっていた。DCDの可能性が分かり納得はできたが、これからどうしていくかが私と太郎の課題になると感じた。おそらく学校の先生はDCDについて詳しく知らない。どういう関わりがベストなのかといったマニュアルがない場合、先生の考え一つで教育は変わるだろうと思った。一度担任の先生に相談した際は、「苦手な運動でも評価に繋がるため、頑張って参加してほしい」とのことであった。一方で私は参加を推すことで二次障害が出現しないかを危惧している。これから私が行おうと思っているのは、太郎がどの範囲まで運動が可能か、何ができて何ができないかを知ることだ。そして、学校の先生と情報共有し配慮を行ってもらうこと。それが、太郎のメンタル面の二次障害を引き起こさないために必要になると考えている。そして今回のバレーボール大会ではいよいよ学校を休むという判断を本人が出した。休んでどうだったかをあとで聞くと、後悔や後ろめたさはないとのことだった。逆に清々しく感じているようにも思えた。学校の先生に事情を説明すると、とても残念そうにこう言われた。「20分だけでいいから頑張ろうと伝えてたんですけどね、だめでしたか」と。その言葉を太郎に伝えると「お母さん、バレーボールをしている時の20分は俺にとってはすごく長くて、地獄のような時間なんよ」と。太郎の言うことはよく分かる。不思議な動きを見られて周りから笑われるくらいなら私も休んだほうがましだ、と思うに違いない。まさに今、先生の考えと私の考え、太郎の気持ち、DCD……いろいろと考え中である。執筆/まゆんUpload By まゆん(監修:鈴木先生より)DCD(発達性協調運動症)は、不器用で手足の協調運動が苦手なお子さんに当てはまります。人生最初にみられる手足の協調運動はハイハイですが、DCDのお子さんは、うまくできないため、いきなりつたい歩きをするケースもあります。縄跳びや球技に苦手さがあったり、走り方やダンスもぎこちなかったりするため、体育の授業や運動会が嫌いになるお子さんも多くいます。そういうお子さんには病院のリハビリテーション科で行っている作業療法士による感覚統合訓練をおすすめしているほか、病院へ通えない場合には公園やアスレチックで遊具の遊びをおすすめしています。また、私のクリニックでは小脳を鍛えることで症状改善にアプローチするため、音楽療法に感覚統合訓練を取り入れた療育なども行っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月13日幼稚園の参観日私には発達障害がある24歳の娘がいます。これは、娘が幼稚園の頃のエピソードです。娘が通っていた幼稚園では一年に一度の『発表会』とは別に、年に数回、親が保育の様子を見学する『参観日』がありました。ステージ上で決まった演目を披露する『発表会』とは違って、参観日では子どもたちの普段の様子を見ることができます。内容は園庭での運動遊びや、七夕やハロウィンなどの季節のイベントの準備の様子など、クラスによってさまざまでした。娘が年長のときその日の参観は主に室内での保育の様子の見学でした。子どもたちは輪になって椅子に座り、先生のピアノ演奏に合わせて歌っていました。それはよく耳にするポピュラーな歌で、みんな楽しそうに歌っていましでした。歌が終盤にさしかかった時、娘がおもむろに立ち上がりました。Upload By 荒木まち子入園前から療育にも通い、年少の時に比べ成長していた娘。それでもやはり娘は周りの子どもに比べると成長がゆっくりでしたし、障害特性でもある『こだわり』もあったので、私はドキっとしました。予想外の展開立ち上がった娘は、本来その歌にはない“3番の歌詞”を歌いだしました。先生は驚く様子もなく、娘の歌に合わせてピアノを弾き続けています。思い返せば入園前は、娘が集団でのお遊戯をするなんて夢のまた夢でした。親子で参加したリトミック体操には頑として参加しませんでしたし、お友達と一緒に行った音楽教室の体験レッスンでは、講師の意図するルールが理解できず、入会を断られたこともありました。でも療育センターや幼稚園に通ううちにお遊戯も好きになり、集団での活動もできるようになっていました。自然な受容娘は小さい頃から歌を聴くのは大好きで、車の中では常に子ども向け番組で歌われている曲を流していたほどでした。おかげで私もたくさんの歌を覚えました。入園後は幼稚園で覚えた歌や自分で創作したを歌を歌ったり、踊ったりして私に披露してくれました。Upload By 荒木まち子でもまさか、たくさんの人が集まる参観日にそれを目にするとは思ってもいませんでした。ひとしきり歌った後、娘は満足げに着席しました。娘の次に別のお子さんが立ち上がりました。先生は、さらに演奏を続けました。そのお子さんは緊張してしまったのか歌うことができずに着席しましたが、先生がピアノの演奏を終えると、参観していた保護者からは自然と拍手が起こりました。普段の参観日に保護者は、静かに子どもたちの様子を見守るのみだったので、その拍手にも驚きました。それまで私は、娘が集団行動の際に、周りの子どもと違うことをしたり、目立った行動をしたりすると「周りに迷惑をかけてしまう」「恥ずかしい」と思うことがほとんどでしたが、この時今までに感じたことのない気持ちになりました。帰り際には保護者の数人が私に「娘さん、良かったよ」「すごいね」と声をかけてくれました。娘が通っていたのは小さな幼稚園で、お互いの子どものことをよく知っていました。公にはしていませんでしたが、娘に発達障害があることはみんな気が付いていたと思います。そこには「○○ちゃんだけずるい」とか「ひいきだ」などと言うことはない、あたたかく寛容な雰囲気がありました。トラブルもあったけど娘の幼稚園生活がずっと順風満帆だったかと言えば決してそうではありません。言葉も遅く、周りのお友達と比べてできないことが多かったですし、お友達とのトラブルもありました。年中の時には園のお子さんに障害について傷つくような言葉を面と向かってかけられ、娘が行き渋った時期もありました。でもそんなトラブルがあっても娘は幼稚園が好きでした。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子それは幼稚園の先生たちが“子どもの良いところ”をしっかり見て“ありのままのその子”を認めてくれていたからなのだと思います。私自身初めてのことばかりで子育ては毎日手探り状態でした。そんな私のことも先生たちは見守ってくれていました。小さいお子さんの保護者さんに伝えたいこと最近はSNSなどで、保護者の方が障害のあるお子さんの様子の動画をアップすることが増えてきました。“障害のことをみんなに理解してもらいたい”という啓発の気運の高まりの影響も少なからずあると思います。ただ、具体的な解決策が示されず大変さばかりがクローズアップされていると、見ていて不安を感じる人もいるのではないかと私は思っています。マイノリティ(少数派)ゆえに相談先が少なく、焦り、不安になる保護者の気持ちは痛いほどよく分かります。(実際、私も障害に関する本を読んだり、インターネットで検索したりしました!)。でもインターネットの情報は玉石混交です。時として大げさな表現や稀にフェイクなどもあります。インターネットや本での情報がすべて自分の子どもに当てはまるわけでもありません。子どもの特性は一人ひとり違いますし、居住地や家族構成などの環境もそれぞれ異なります。お子さんの様子を生で見てもらい、保護者も含めて支えてくれる人を探してほしいと思います。保健師さん、医師、自治体(役所)相談員、地域の相談機関、保育・幼稚園の先生、民間の支援機関など、探せば支援してくれる人は必ずいるはずです。コロナ禍も終盤を迎えてきました。気候も暖かくなってきています。お子さんと一緒に一歩外に踏み出し、リアルな世界での素敵な出会いをぜひ探してみてください。どうしても消化しきれない親としてのつらい気持ちや愚痴は、私たち先輩保護者がいつでも受けとめるのでどうぞご安心を(^^)執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)娘さんが年長さんのときの素敵なエピソードをありがとうございます。成長を感じる場面でもあり、先生はじめ周りのあたたかい雰囲気やまなざしを感じる場面でもあったのですね。伴奏に合わせて自由に歌を歌う。子どもののびやかな感性が発揮される場面、それを制止することなくその豊かな発想や遊び心を活かしてくださった先生、素敵ですね。さて、最後にまち子さんが書かれていたように、良いこともそうでないこともいろいろあるのが子育てで、その中でも発達障害やそうした特性を強く持つお子さんの場合には苦労や難しさがより一層あるというのはその通りだと思います。周囲との軋轢、無理解などさまざまありつつも、日々とともに生活する中で理解が広がったり、理解ある周囲の方の眼差しに気が付いたり。それももちろんあることです。発達障害=そのお子さんの全て、ではないということが時として忘れられてしまうというか、全てが障害のせいでできるできないと語られてしまい、そのお子さん自体を見ることができなくなってしまうことも残念ながらあります。発達障害の知識や、「発達障害かも」と思ってお子さんを見てみることで見えてくるものももちろんあります。しかし、それが全てではない。そもそも“子ども”とは未熟で、発達途上にある存在である。そうしたことが時々忘れられてしまいます(ちなみに、だいたいそういうときは、保護者や周りの方が疲れているとき、困っているときです)。頑張りすぎていると、お子さんの日々の姿をどう理解していいか分からなくなるときもあるでしょう。まち子さんが書かれていたように、ぜひお近くの支援者や専門家を活用していただければと思います。そうした方と一緒に、お子さんを支えるネットワークができるといいなと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月12日教育委員会から「受け入れ先がない」といわれ、どうすればいいの…。就学トラブルやイヤイヤ期、3歳児健診トラブルなど2024年4月に公開した読者体験談共感や学びがたくさん!会員のみなさんからいただいたリアルなエピソードをもとにした発達ナビ 読者体験談。すべての体験談には専門家の先生からの監修コメントをいただいています。今回は、2024年4月に公開した読者体験談をまとめてご紹介いたします。4月に公開された体験談のテーマはコチラです。・就学トラブル・イヤイヤ期・発達凸凹のある子どもがやった困ったこと・3歳児健診発達障害のあるお子さんの育児で直面したトラブルや困りごと……。みなさんはどのようにむきあってきたのでしょうか?リアルな声と、専門家の先生方からのアドバイスをぜひご覧ください。就学、3歳児健診、イヤイヤ期…たくさんあったトラブル、どう解決した?読者体験談を一気にご紹介!【2024年4月】6歳でADHD(注意欠如多動症)、軽度知的障害(知的発達症)と診断を受けた息子さん。学校で癇癪を起こし給食をひっくり返すなどの行為が出ると強制帰宅するというルールができたのだそう。ですが医師に相談したら、「ひっくり返したら家に帰れる」という誤学習になってしまうといわれ……。学校、教育委員会と交渉し、5年生まで息子さんの居場所を探し続けた親御さんの記録です。重度の知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子さんは、「あるもの」が苦手。そこで、息子さんはその苦手なものを見ないように「ある工夫」をしているそうで……。無発語で言葉ではコミュニケーションをとりづらい息子さんの行動から、息子さんの気持ちを分析する親御さん、さすがの一言です。6歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さんの3歳児健診での出来事を振り返っていただきました。以前から息子さんに「何か特性のようなものがあるのでは」と思っていた親御さん。ですが、身内や周りに相談しても「何も気になる事はない」と言われるばかりで、もやもやしていたのだそう。そのため「3歳児健診で息子が発達障害かどうかはっきりさせたい!」と意気込んで行ったそうなのですが……。ASD(自閉スペクトラム症)の息子さんは、ママ友から「癇癪が少ない」と言われていたそうですが、「おもちゃ」に対してだけ癇癪がすごいのだそう。これもこだわりの一つなのでしょうか。そんな息子さんのイヤイヤ期は特に大変だったそうです。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と4歳で診断を受けた息子さん。多動があり、3歳児健診に行くことになった時はまっさきに(これは大変だ……)と不安になったのだそう。さらにオムツがとれていなかったため、尿検査もピンチ⁉それらを親御さんの工夫で乗り切ったエピソードです。あなたの経験が、誰かの助けになります!エピソード募集中!『発達ナビ 読者体験談』では、発達ナビユーザーのみなさんからの投稿をお待ちしております!現在の募集テーマはこちらです!・障害告知でのトラブル・パートナー(夫婦) との間でのトラブル・両親(義両親)、親族などの間でのトラブル・進学・受験関係でのトラブル・冠婚葬祭関連でのトラブル・お子さまの反抗期、思春期でのトラブル・お子さまの自傷でのトラブル・お子さまの学習関係でのトラブル・不登校、行き渋りでのトラブル・お子さまとゲームの関わりでのトラブル・子さまの不器用さでのトラブル・ママ友や、ほかの保護者の方とのトラブルでのトラブル・ご近所関係でのトラブルご投稿いただいたエピソードを基にして発達ナビの連載ライターさんたちのイラストを添え、専門家の先生に監修をいただき個別のコメントを掲載したものを発達ナビ上でお届けします。気づかされるようなエピソード、共感できるもの、誰にも相談できなかったものや、ママ友や親族とのトラブルまで、さまざまなエピソードをぜひお寄せください。ご応募は以下の応募フォームから!みなさまのご投稿をお待ちしております!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月11日未就学期の様子ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)のある息子のタク。今回はタクがまだ発達障害の診断を受ける前のお話です。タクは在胎週数30週で産まれた早産児でした。体重はわずか1,463g。とても心配しながら乳児期を育てました。正産期で産まれた子よりも、体重や発達は2、3ヶ月は遅れるものだと産院で教わりましたが、タクの成長具合に一喜一憂していました。物心つく頃には、周りの子と比べてこだわりの強さがあると感じました。食事の順番やおもちゃの遊び方には独特のルールがあるので、私が手伝うと癇癪を起こす。一度泣き始めると落ち着くまでに時間がかかるので、私は怖々しながら関わっていました。Upload By もっつんタクの行動で日に日にストレスと疲れをためていた私は、育児ノイローゼ寸前だったと思います。気分転換に、毎日のように何ヶ所も児童センターを巡りました。ベビーカーに乗せて歩いている間は静かにしてくれるので、毎日何時間も歩き回っていました。児童センターでは同じ年齢の子どもたちが集まって、さまざまな遊びをします。ところがタクはなかなか集団に入ることができません。先生の声がけにもなかなか反応せずに自分の世界に入っているようでした。この頃はブロックがお気に入りで、ずっと熱中して遊んでいました。結局、皆でやる遊びにはほとんど参加できずに過ごしたのを覚えています。児童センターは午後になると小学生が集まり始めて一気に騒がしくなるので、未就学児の親子は昼食後しばらくすると帰宅するのが暗黙のルールでした。しかしタクは、遊びに夢中になっていると私の声がなかなか届かなくて、帰宅させるのにも一苦労でした。遊びに過集中モードになると、中断することがとても難しくて大騒ぎ。落ち着いて連れ出せるかどうかで、その日の1日の機嫌が決まってしまっていました。他害してしまうタクに悩む日々Upload By もっつん未就学児の頃は、タクと2人で公園や買い物に行くことが多かったです。しかし公園でもトラブルは頻発しました。公園では色んな親子が遊んでいるけど、ほかの子が持ってきた砂場道具を勝手に使ったり、三輪車に乗ったり……とにかく一瞬たりとも目が離せないのです。砂場でおもちゃの取り合いになった時には、突然見知らぬ子に頭から砂をかけてしまったことがありました。目が離せないどころか、常に手が届く範囲で気を張っていなければいけませんでした。相手の親子に申し訳ないのはもちろんですが、防ぎきれない自分自身を責めて傷ついていきました。イヤイヤ期の子育ては大変だと聞いていたけど、うちの子は特別大変なんじゃないか?と思うようになった頃です。夕方になると周りの親子がどんどん帰宅する中、いつまでも「帰りたくない!!」と泣いて地面に転がるタク。私は精神的にもだんだんと疲れがたまっていきました。忘れられない幼稚園の面接。定員割れなのに入園保留……!Upload By もっつんタクの癇癪やこだわりに疲弊していた私は、3歳児健診で「うちの子って発達障害なんでしょうか?」と聞いてみました。結果は「考えすぎだよ」と言われてしまい……より一層子育てに対して自信が持てず悩む日々になってしまいました。その後3歳になってタクは幼稚園に入ることになります。幼稚園は面接があり、園長室で行われました。園長室に入ると、その密閉されて堅苦しい雰囲気に圧倒されてしまい、タクは緊張感からかハイテンションになってしまいました。私と先生が話している最中に立ち歩き、挙句の果てにはソファの上で飛び跳ねる始末……!先生の前できつく怒る訳にも行かず、私は頭が真っ白になってしまいました。結局その日は、入園保留になってしまいした。あの時の先生の驚いた顔と苦笑いは、何年経っても忘れられません。「ヤンチャなほうがいい!」ポジティブな言葉をかけられても前向きになれなかったUpload By もっつん幼稚園にはなんとか合格をいただき、通園できることになりました。しかしタクは入園後も落ち着きが無く過ごしていたようで、先生からは「タクくんは元気いっぱいで、マスコットキャラクターみたいだね」と言われてしまい……。毎日毎日元気すぎるタクに振り回され精神的に疲れがたまり、ついに私は実母に相談しました。「タクは周りの子に比べてヤンチャすぎる気がする、多動なんじゃないかな?」と言うと「ヤンチャなほうが良いんだよ!多動?この位は普通だよ〜」と笑いながら言われました。それは母なりのやさしさだったのだと思います。子育てや発達への不安に苛まれている私が、もっと楽になるようにポジティブに振る舞っていたのだと。でも私は、違和感に向き合い、できればその理由を知り、タクとの関わりを変えられたらと願っていたのです。だからこそ、悩みが深まっていくようでした。違和感に向き合うことが第一歩Upload By もっつん周りに「考えすぎだよ、普通だよ」と言われつつも、タクの発達に不安と疑問を持ちながら子育てをしてきました。離婚しましたが、当時の夫には「子どもに振り回されている、もっと子育てに余裕を持ったほうがいいよ」と言われていました。こんなにも子育てが大変で、タクをおとなしくさせることもできない……。私は自分の育児スキルが低いのだと思い、どんどん自分を責めて悩んでいきました。この頃を振り返ると、私は限られた人にしか相談できていなかったなあと思います。相談する人によっては「障害なんて気にしないほうがポジティブだよ」という考えの人もいるものです。けれど、わが子を育てているのは、ほかでもない自分自身。違和感を感じて、子育てに困難を感じているのなら無理にふたをしないほうがいいのだと思います。今は、SNSや地域の相談窓口も格段に増えています。「わが子の発達障害を疑うなんて、ネガティブだからやめたほうがいいのかな……」と思わずに、どんどん相談して悩みや不安は外に吐き出していく。それが、楽しい子育てへの第一歩だと思います。(執筆/もっつん)(監修:初川先生より)タクくんが診断を受ける前、もっつんさんが何らか違和感を感じつつも日々子育てに奮闘されとても悩まれていた頃のエピソードをありがとうございます。周囲の同年齢のお子さんと様子が違ったり、ひとときも目を離せないほどの緊張感で日頃タクくんを見ていたり。心配と疲弊とでとても大変だったことと思います。そして周囲が良かれと思ってポジティブな返しをしてくれたり、せっかく相談した健診で「考えすぎ」と言われてしまったり(考えすぎだとしても、そう考えてしまう保護者の追い詰められ感、不安心配、そうしたところを一緒に考えてくださいよ……と同じ“支援職”の端くれとしては思います。支援職に「考えすぎ」と言われるのは、本当に考えすぎなだけだったとしても、なかなかの破壊力とダメージを与える発言ですよね……)。子育てがうまくいっていないと感じられると、「自分が子育てが下手だからだ」と責めてしまうことはよくあります。そもそも子育てが初めから上手な方ばかりではなく、ましてや多かれ少なかれ発達的な特性の強さや偏りを持つお子さんだとしたらなおのこと難しい子育てを求められているのにそれを最初から上手にやるのは難しいことなのに、ご自身を責めてしまう場合が多いです。自分がうまく子育てできてないと感じる、どうにもうちの子、ほかの子たちとはちょっと違う気がするといったことがあれば、ぜひ相談していただければと思います。もっつんさんが書かれていたように、今はさまざまな窓口や機関があります。最初のところでうまく相談としてかみ合わなかったなどあっても、ほかのところの意見も聞いてみようといった心持ちでぜひお問合せいただければと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月10日年長で突然の保育園行き渋り。原因は「ゲーム」だった!しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。しのくんは1歳から保育園に通っていますが、年長になるまで保育園の行き渋りはしたことがありませんでした。Upload By keikoしのくんが年長になるまでは、朝起きてから保育園に行くまでの間、テレビで幼児番組を見るのが日課でした。しかし、だんだんインターネットの動画のほうが楽しくなってしまったようで、いつの間にか私のスマートフォンを勝手に操作して、テレビを見ずに動画を見るようになっていました。しのくんは、特にゲームの実況動画がお気に入りのようでした。そして、年長のクリスマスに、サンタさんにゲーム機をプレゼントされたことにより、ゲームで遊ぶことにもドはまりしたしのくん。この動画とゲームの存在によって、今までは行き渋りをしたことがなかったのに、クリスマス以降激しい行き渋りをするようになってしまったのです!Upload By keiko毎朝トイレに立てこもり、大泣きするように……Upload By keiko登園前にトイレに鍵をかけて立てこもり、泣きながら「ママと一緒にいたい」と言ったり、寝る前に明日は保育園があるのか確認してくるようになりました。どうやら、しのくんは「保育園を休んだら、家でゲームしたり動画見たりできる!」と覚えてしまったようで、この頃は保育園に連れていくのがとても大変でした。大泣きしたままのしのくんを先生に引き渡し、逃げるように仕事に行っていました……。Upload By keikoゲームデビューは早すぎた?でもメリットもあって……私は、こんなことならサンタさんにゲームを頼むんじゃなかったと思う一方で、ゲームには良い面もあると感じていました。例えば、しのくんは年長になっても、時間の概念が良く分かっていませんでした(同級生の中にはすでに曜日などもしっかり分かっているお子さんもいました)。しかし、ある育成シミュレーションゲームをやるようになってから、「1年は12ヶ月あるんだよね!」などと言うようになり、時間の流れがよく分かるようになったのです。数の概念もあやふやなところがありましたが、ゲームの中でアイテムを売買することで、お金のことも理解できるようになりました!また、おばあちゃん(私の実母)がゲーム好きなので、実家に行くとおばあちゃんと一緒に遊んで、ゲームの中で協力することなどもできるようになりました。ゲームで学べることもあるし、しのくん自身の息抜きにもなるので、厳しく制限したくはないな……という思いと、これから小学校に上がるというのに、夢中になりすぎて学校に行けなくなるのでは……という思いがせめぎ合い、さじ加減のが難しさに悩んでいました。Upload By keiko保育園への行き渋りのその後。そして小学校は?最終的に、しのくんが保育園のお迎えの時間やお迎えに来る人を指定してくるようになったので、その要望にできる限り応えるようにしたところ、頑張って保育園へ行ってくれるようになりました。しのくんは現在6歳で、今年の4月から小学生になりましたが、登校前には「何時に終わるから頑張ろう!」などと声かけを行い、今のところは行き渋ることなく小学校へ通っています。また何かのきっかけで、学校に行きたくなくなってしまうこともあるかもしれませんが、しのくんの思いに寄り添いながら、遊ぶ時間のルールを決めるなどしつつ、ゲームともうまく付き合っていければいいなと思います。執筆/keiko(監修:鈴木先生より)何事も始めるときにはルールづくりが重要です。特にスマートフォンを与えるときには時間や内容に関して家庭内でのルールをつくる必要があります。何時以降はやらない、年齢に合わない内容のものは避けるなどです。一度保育園に行かなければゲームができるという習慣が確立してしまうと途中から元に戻すのが困難になります。初めが肝心なのです。特に順番が重要で、宿題を終えたらゲームが30分できるというような決め事を壁に貼って見せておくことで意識するようになります。ルールが守られたら好きなところへ行けるなどトークン法を活用するといいでしょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年05月10日LITALICO発特性検査とはLITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などを知ることができます。※この検査は医学的診断を目的としたものではありません。この記事では、LITALICO発達特性検査について、その特徴や対象、検査で分かること、受検方法などを分かりやすく解説します。LITALICO発達特性検査の特徴LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性を、7の大分類と18の小分類に分けて測定します。本検査をご利用いただくことで、お子さまがどのような困りごとがあり、なぜ困っているのかを多面的に理解することができます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査では、家庭や園・学校などでの具体的な関わり方・サポートの仕方を提案します。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査の結果レポートは、受検後、Webブラウザ上ですぐに閲覧できるだけでなく、PDFデータで出力することができます。ダウンロードして印刷することで、園や学校、支援施設などとの相談や連携に活用いただけます。周囲との連携や相談によって、お子さまを取り巻く環境の調整にも役立てられます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査の対象は?LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者の方が、お子さまの特性や困りごとの背景を理解し、よりよい接し方や支援方法を見つけることを目的にしています。・検査の回答者発達が気になるお子さまの保護者検査はお手持ちのスマートフォンやパソコンから、オンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です。※保護者以外の支援者の方や教師の方が直接回答することは想定して開発されていないため、お控えください・お子さまの対象年齢3歳~18歳※ 就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合などは、19歳も受検することが可能です。※重度の知的障害や身体障害の診断があるお子さま、発語がないお子さまの場合、回答しづらい検査設問があること、検査結果で活用しづらい内容が含まれることをご了承ください。・お子さまの特性や困りごとの傾向を知りたい・お子さまの発達や日常生活、学校での様子などで気になることや困りごとあるが、なぜ困っているか分からない・具体的にどうやって関わったり環境を調整したりすればよいか分からない・お子さまの特性や、本人に合った支援方法を園や学校に共有し、相談したい・医療機関やほかの検査を受け診断されなかったが、本人や家族としては特性や困りごとがあると感じていて、具体的な解決法のヒントを得たい・進学や進級などで環境が変わり、新しい環境での困りの状態や関わり方を知りたいなどLITALICO発達特性検査で分かることLITALICO発達特性検査では、回答後すぐにオンラインで検査結果レポートが提示されます。検査結果レポートはマイページに保存され、いつでも見られるほか、PDFでダウンロードもできます。LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性や困りごとを7の大分類と18の小分類で把握できます。LITALICO発達特性検査の大分類・対人・社会性・学習・行動・情緒・感覚・運動・話し方※LITALICO発達特性検査では、言語発達に関する特性の困りごとは検査対象に含まれません。回答から該当する困りごとや特性の傾向・強さなどが、それぞれの分類ごとにグラフなどで提示されます。また、お子さまの特性と背景要因の解説のほか、実際にお子さまに接する際の例示や困りごとを軽減しやすくするサポートの方向性が、家庭と園・学校などの外部に分けて具体的に示されます。これらをまとめた検査結果レポートは、回答内容やお子さまの特性によっても異なりますが、PDFにした場合で40ページ以上の詳細な内容で示されます。LITALICO発達特性検査受検の流れLITALICO発達特性検査を受検するには発達ナビの無料会員アカウントが必要です。すでに発達ナビの会員である場合、受検するアカウントで発達ナビにログインした状態で発達特性検査のページにアクセスするか、発達特性検査ページから発達ナビにログインしてください。ご登録がまだお済みでない方は、以下から発達ナビの会員登録をしてください。LITALICO発達特性検査のページから、発達特性検査のチケットを購入します。チケットはオンラインで購入でき、検査価格は2,970円(税込・受検1回分の価格)です。お支払いはクレジットカードでできます。画面の指示に沿ってご購入ください。購入が完了すると、チケット購入が完了後、チケットを利用することで受検が開始できます。画面の指示に沿って、お子さまの情報、お子さまの様子についての150問程度の質問に回答してください。所要時間は回答者によって異なりますが、おおむね30分程度です。回答は途中で保存できるので、都合に合わせて中断することも可能です。回答後、結果はオンライン上で即時で分かります。検査結果レポートは保存され、いつでもマイページから見ることができます。また、マイページでは、複数回受けた場合の過去の結果や、別のきょうだいの検査をした場合の結果も同じアカウントで保存できます。検査結果レポートはPDFとしてダウンロードできます。プリントしてお子さまの「サポートブック」のような使い方や、園や学校、相談機関や医療機関の関係者との共有にご活用ください。共有方法については以下の記事でもご紹介しています。まとめUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALIOCO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者の方のための、検査です。オンラインで完結できる検査で結果もすぐに分かるので、自宅などで好きな時間に気軽に受けられることも特徴の一つです。また特性や困りごとの強さや傾向だけでなく、具体的な支援方法や対応方法の例についても詳しくレポートが提示されるため、診断の有無にかかわらず、お子さまに合った環境調整やサポート方法を試しやすいでしょう。お子さまの特性を理解し、お子さまに合った対応方法を見つけるために、LITALICO発達特性検査の受検をご検討ください。【受検方法】:保護者さまがオンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です。【検査時間】:約30分(検査結果は回答完了後、すぐに確認いただけます)【検査価格】:2,970円(税込)※受検1回分の価格【対象年齢】:本検査の対象年齢は3歳~18歳です。※ 就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合などは、19歳も受検することが可能です。
2024年05月09日不安感、劣等感、学業トラブル、友達トラブル、いじめ、起立性調節障害……「行き渋り」「不登校」体験談11選!GWの連休明けは新年度の環境の変化での疲労やストレスから「学校に行くのがつらい」と感じるお子さんもいます。行き渋りや不登校にはさまざまな原因や問題が考えられます。今回はそんな「行き渋り」「不登校」について発達ナビ読者から寄せられた体験談をまとめてご紹介します。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、DCD(発達性協調運動症)と診断を受けている相談者の息子さん。小学2年生の春から登校渋りが始まり、3学期にはほぼ不登校状態に。「無理はさせたくないけどこのままでいいのか不安」「受容と甘やかしのさじ加減が難しい」「二次障害を防ぎたい」など気になる疑問に臨床心理士・公認心理師の初川先生にお答えいただきました。小学1年生の時ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。小学5年生の終わりから昼夜逆転生活、家庭内暴力が始まり、中学校1年で不登校に。中学3年生になった今、息子さんの様子は……。9歳でASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けた現在12歳の息子さん。学業問題からの登校渋り、暴言・暴力などさまざまなトラブルのあった小学2年生から現在の様子や中学選びのポイントなどを教えていただきました。6歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受け、小学3年生からは不登校を選んでいるMIKKOさんの娘さん。環境への過剰適応が激しく、周りに合わせられない自分に劣等感を感じていた娘さんが一番苦手な行事は「運動会」で……。翠ママさんの息子さんは現在小学4年生。4歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。幼稚園の頃から登園渋りがあり、小学校入学後は友達トラブルなどからますます登校を嫌がるようになりました。翠ママさんが専門職の方々などと一緒に取り組んだ支援の様子などをご紹介します。9歳の時にADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーンと診断を受けたみゆねこさんの息子さん。小学4年生になった1学期、クラスメイトとのトラブルで加害者扱いされてしまい、息子さんは追い詰められていってしまいます。担任の先生に相談しても事態は改善せず、息子さんには次第に行き渋りが出るようになり……。現在21歳のるみちゃんさんの娘さんは12歳の頃にASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。相手の気持ちを考えたりすることが苦手、正義感が強いなどの特性から友達相手に必要以上の指摘をしてトラブルを度々起こすことも。そんな娘さんが小学6年生の頃にいじめからの不登校になったお話です。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、小学1年生でADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けた息子さん。通常学級入学後、1ヶ月で登校渋りが始まり、通級指導教室に通うも不登校に。特別支援学級へ移籍を勧めても、「このまま通常学級がいい」と言う息子さんでしたが、小学4年生のとき「もう限界なのでは?」という出来事が起こり……。ちゃいぬさんの息子さんは現在中学1年生で発達グレーゾーン。通常学級に入学し、その後、小学2年生で不登校になりました。母子登校や通級指導教室で登校できるようになった矢先、コロナ休校明けに再び不登校、起立性調節障害と診断されて……。知能検査でASD(自閉スペクトラム症)の可能性があると言われ、現在は不登校を選んでいるかいさんの娘さん。そんな娘さんを見て「母親が甘すぎるから行かないのではないか?何とかして学校へ行かせるように」と言うご主人。肉体的にも精神的にも追い詰められたかいさんは「別居を考えている」と告げ……。聴覚過敏と軽度の脳性麻痺のあるZeroさん。小学校中学校の9年間を通常学級で過ごしましたが、いじめがあり一時期不登校に。高校入学後も常にいじめのフラッシュバックと闘いながらの日々でしたが、「発達障害(心理)をもつ自分を理論的に知って受け入れたい」という願いのため大学で奮闘する様子に胸を打たれます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年05月09日出産は比較的楽……だったはずが、生まれてからの悩みが……コチ丸は、出産予定日より2週間ほど早く生まれました。出産の時は私もほかのお母さん方同様、陣痛との闘いでしたが、最後のほうはスルッと生まれてくれて、会陰切開も会陰縫合もなく、「綺麗な出産だねー」と看護師さんに言われたくらいの安産でした。私自身も「根性がないママのために早く生まれてきてやるか」とお腹の中でコチ丸が気を利かせてくれたのだと今でも信じて疑いません(笑)。ほかのママ友たちの出産の話を聞いていても、楽に生まれてきてくれたほうなのではないかなと思います。しかし、スムーズだった出産と比べて、育児のほうはそううまくはいかず、悩みの連続でした。コチ丸はもう少し小さかったら低出生体重児に入る、2520gで生まれてきました。初めての出産だった上にめちゃめちゃ小さかったので、3つ年上の甥っ子が生まれた時と比べてしまい、当時は本当に心配でした。Upload By あき吸う力が弱いのか母乳もあまり飲まなかったので、面倒くさがりの私は母乳を飲ませることは早々にあきらめミルクにしました。周りには母乳で育てることに結構こだわりを持っている人が多くいましたが、私は「初乳は飲んだし、あとは楽な方法で育てればいいや!」くらいの楽観的な考え方だったので、そこにはあまり抵抗はありませんでした。しかし、1ヶ月健診の時には体重がほとんど増えておらず、黄疸も出ていたので、どうしたものか……と途方にくれたのを覚えています。何より、それまで仕事をバリバリやってきた自分が、母親としては何もできない……ということに自分の無力さを痛感していました。当時はフリーランスでウェブデザイナーをしていたため、出産当日まで仕事をして、出産1週間で育児しながら仕事再開……という状況でした。当然ですが、仕事も思うようにはできず、疎かになってしまいました。あんなに母乳にこだわりのない楽観的な(笑)私も、当時は大分メンタルをやられました……。Upload By あき生まれてすぐから敏感な子ども。産後うつ状態に。さらにコチ丸はとても敏感で、昼間は抱っこして寝かしつけても布団に置くとすぐに泣き出したり、ちょっとした物音にも敏感で起きてしまったりしていました。毎晩寝る前には儀式のように1時間近くギャン泣きしていたので、私のメンタルはますます弱りました。これってほかの子もそうなのか?うちの子だけがこんなに敏感なのか?はたまた私がやっぱり根性がないのか?と思っても比べるものがないので分からず。私は若い頃にちょっと心を病んで通院・投薬をしていた経験からなんとなく、「あぁ、これはうつだな」という感覚はありましたが、病院にいく間もありません。出産からしばらく経った頃に、ギャン泣きするコチ丸の泣き声に耐えかねて、泣いているコチ丸を布団に置いたまま、部屋を出て近所を裸足でさ迷い歩いていたこともありました。相当病んでいましたね……(笑)。コチ丸パパもそんな私を見かねて、休みの日にマンションから近い自分の実家にコチ丸を預けるなどしてくれましたが、それはそれで義父母に「子育ても満足にできない嫁」と思われているようで素直に預けることはできませんでした。今思い返せば本っっ当にありがたい話なのですが……。当時はそこまでの心の余裕がなかったんだと思います。そんな中でもありがたかったのは実母の存在でした。出産の際に実家に里帰りしたものの、妹の家族も実家で暮らしており、なんとなく居心地が悪く感じた私は1週間で自分の家に戻りました。当時、私とコチ丸とコチ丸パパは、愛知県北部の実家から30キロ離れた名古屋のマンションに住んでいましたが、私が泣きつく度に実母は実家から車で駆けつけて、コチ丸の面倒を見てくれたのには救われました。未だに実母は当時のことを思い出すと「あの時は大変だった……」というので実母への負担も結構なものだったのかと思います。それでも当時、実母がコチ丸を見ていたのは1日のうちの数時間、かつ動き回る時期ではなかったので、まだ「コチ丸の本気」を知らなかったのです……。Upload By あき生後8週から保育園へ登園。良いバランスが保てるようになったのも束の間……。そんな現状を打破できたのは、生後8週から預かってくれる保育園を見つけたことでした。とにかくもっとしっかり働きたい!という気持ちと、フリーランスなので、お客さんをいつまでも待たせていられないという現状もあり、一刻も早く保育園に……と思っていたところ、家から車で10分くらいのところに保育園を見つけたのです。幸いなことに空きもあり、すぐに預けられることになりました。当時はまだ寝返りすらできないコチ丸をクーハンに入れて保育園に通っていました。預けられる時間は9時~14時くらいまででしたが、仕事にも集中でき、迎えのあとはギャン泣きのコチ丸とも向かい合える余裕ができたので良かったです。Upload By あき息子が高校から北海道に行ってしまった今、当時を振り返ってみると、「もう少し一緒の時間を過ごせたら良かったのかな」という思いも少なからずありますが、やはりあの時のメンタルで子どもと無理に一緒にいるよりは、あれで良かったのかなと納得しています。自分の心が健全でなければ子どものことも健全に見ることができないなと思うので、「離れる時間」というのも二人の関係性を保つのに大切なことだったと思います。都合の良い解釈なのかもしれないですが、親と子も相性は少なからずあるのではないかなと思っていて、親子であっても私とコチ丸はそこが相反するタイプだったために、離れたことによって心地いい距離感が生まれたのかな?と感じています。そんな良い感じの関係性で生活ができていたのも束の間(笑)。すぐに寝返りができるようになり、座れるようになり……立ち上がった頃には「コチ丸の本気」が始まりました(汗)。執筆/あき(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは感覚が敏感なので寝付かせるのが大変です。抱っこして揺らしていると泣き止むので親御さんはずっと立っていなければならなくなります。しかし、最近は電動で揺れる揺りかごなどもあり、こうした便利な育児用品を活用できれば、少しは親御さんの苦労も減るかもしれません。誰でもそうですが、ずっと一緒にいると細かいところも気になり過干渉になりがちです。親子とも離れたことでお互いに気にせずリフレッシュできたものと思います。親の子離れ、子の親離れも時には必要なのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月09日広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中1娘。夏休みに「あること」を伝えました広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、4月から中学2年生。これは、娘が中学1年生の時の、夏休みの話です。夏休みになる少し前、私は娘にあることを伝えました。Upload By SAKURA娘はスケジュールを管理するのが苦手で、特に口頭で聞いたことはすぐ忘れてしまいます。聞いたことをメモに取るようにしていますが、メモ自体忘れることもよくあります。今は私たちが助けてあげられますが、仕事をするようになるとそうはいかない。中学生のうちにたくさん経験して、失敗もして、自分にはどんなスケジュール管理が合っているか、見つけて欲しかったのです。しかし、娘はあまりピンときていない様子でした。そして、終業式の日……。娘は学校で配布された夏休みのスケジュール表を持って帰ってきました。娘の通う中学校では、夏休み中もいろいろな当番が生徒に振り分けられていて、部活以外に登校する日が何日かあり、細かく書き込まれた予定表は、私でも訳が分からなくなるほど細かいものでした。Upload By SAKURAこの膨大なスケジュールを、果たして娘一人で理解し、管理できるのか。Upload By SAKURAこちらの熱量とは真逆にあっさり「分かった」と答える娘……。不安に思いましたが、やらせなければ成長しないと思い、話した通りにスケジュール管理を任せることにしました。とは言え……結局は送り迎えをしなければならない私。Upload By SAKURA何も知らないと自分の仕事や予定が組めないので、把握は必要。しかし、学校から配られたスケジュール表は細かすぎて、よく分からなかったので、自分のために分かりやすくしようと、娘の部活と当番の予定を、家族の予定を管理しているカレンダーに書き込むことにしました。それを横目に見ていた娘。Upload By SAKURA私がカレンダーに書き込み、もう一度説明をすると、自分がやることをやっと理解したようでした。お弁当がいるかどうかは、その日によって違いましたし、部活の終わり時間も日によって変わることもあり、予定表がすべてではありませんでした。娘が知っている情報も、私に伝えて共有してもらわなければなりません。娘は自分の責任の重大さに気がついたようでした。娘が予定を見逃したり、私に言い忘れたりしないようにしてあげたいと思った私は……。Upload By SAKURA学校からもらった予定表を、娘が分かりやすいように、忘れにくいように、自分なりのやり方に変えることを勧めたのですが、娘は学校からもらったスケジュール表を、そのまま使うと言いました。そうして始まった、夏休み。夏休み開始!最初は予定を伝えてくれていた娘ですが……Upload By SAKURA最初の数日は、「明日は部活だよ。〇時から〇時まで」というように教えてくれていたのですが、だんだんと言わなくなり……Upload By SAKURAと言うように、私から探りを入れなければならなくなる始末。娘の中途半端な感じに、ついイライラしてしまいましたが……ついイライラしてしまう私に夫からのアドバイスUpload By SAKURAUpload By SAKURA私は結局、親として子どもを助けないと、冷たいんじゃないかと思ったのですが、たしかにそうだ……私は「やらせなければ成長しない」と言いながら、結局やらせてない!私は心を入れ替え、完全に口を出さない事にしました。翌日、本来なら当番がある日……Upload By SAKURA当番の変更があったこと、私は先生から聞いていたのですが、娘は「当番はない。休み」と断言していたので、それを信じ自宅にいさせました。すると、先生からメールが届きました。Upload By SAKURA先生にスケジュール管理に励んでいる事情を説明し、理解してもらえたので、その後、あーさんに今日が当番であったこと、先生からメールが来たこと、ほかの当番の子に迷惑をかけたであろうことを説明しました。Upload By SAKURAこの出来事以降、娘はこまめにスケジュール表を見て、私に予定を確認するようになりました。学校には迷惑をかけることになりましたが、失敗させること、切り替えさせることの練習だと話していたので、理解してもらえました。お弁当がいるということを伝え忘れた日は、自分でコンビニに行ってお昼ご飯を買ってもらうようにしました。娘の場合、元々の性格と反抗期もあって、失敗する前に「こうした方がいいよ」というアドバイスや助言は、全く響かず、言われた通りにしたくない!と思う傾向にあります。そのため、失敗は貴重な経験。たくさん失敗しても、フォローしてもらえる学生のうちに経験しておくことはきっと将来につながります。私も「良かれと思って……」「助けてあげないと冷たいのではないか……」「可哀想かも……」という感情が頻繁に湧いてきますが、頭で「娘の将来のため!」と繰り返し、見守るようにしています。執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)大人のADHDで受診する患者さんから学校時代に忘れ物がなかったと伺うことがありますが、実は親御さんが全部準備してくれて大丈夫だったということがよくあります。大学生になって初めて一人暮らしをするようになって、誰も準備してくれないため忘れ物が多いという現実に気づいて受診するケースもみられます。なんでも先回りして親御さんがやってあげることで、言葉で伝える場面が少なくなり、結果として言葉が出るのが遅れることもあります。保護者の過干渉は、子育てにおける問題の一つであると思います。小さい時から自分でできることはなるべく親が見守りながら自分でやらせることが重要なのです。失敗は成功の基なのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月08日サービス内容リニューアル後の教室の1日の様子をご紹介!この度、障害福祉サービスの制度・基準変更を受け、LITALICOジュニアではお子さんにとってより充実した指導内容をご提供できるよう、サービスの見直しを行いました。このコラムでは、サービス内容の改定により、通い方にどのような変化があるのか、LITALICOジュニアはどんなところなのか教室ルポ形式でお届けします。Upload By 発達ナビ編集部今回訪問したのは、他教室に先駆けて集団活動と個別支援を並行して提供してきたITALICOジュニア大日教室。経験豊富なスタッフがお子さん一人ひとりに合わせて丁寧に指導していました。教室は明るくカラフルで、さまざまなおもちゃが用意されており、お子さんが楽しく過ごせそうな環境が整っています。体験するAくんは、言葉の遅れがあり、1語文で「ぶーぶ(車)」「わんわん(犬)」などの発語はありますが、「ちょうだい」「かして」など要求が難しい状態です。言葉で要求することができないので、お友だちの使っているおもちゃを取ってしまうこともあります。ほかにも、他人に興味がなく集団活動に参加できるか不安もあるというお母さま。LITALICOジュニアに通ったらどんなふうに過ごすことになるのか、Aくんの1日体験の様子をご紹介します。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部午後、園や学校までお子さんをお迎えにいきます。このお迎えサービスは、日中に働いていらっしゃる保護者さまの負担の軽減のため、今回のサービス内容の改定により新しく加わったサービスです。Upload By 発達ナビ編集部お子さんが教室に集まり、はじまりの会が行われたあと、自由遊び(集団の場)の時間になります。自由遊びの時間には、並行して、個別指導(30分)が行われます。最大10名のお子さんがいる自由遊びの時間は、用意された2つの遊びの中からお子さんが好きな活動を選んで参加します。自由遊びの内容は、指導員がその日にいるお子さんの特性を加味して決められています。例えば、小さなお子さんがいる場合は、口に入れると危険な粘土などを避けたり、電車が好きなお子さんが多い場合は電車のおもちゃを用意するなどして、お子さんが楽しく安全に過ごせるように工夫がされています。他人への興味が薄く、最初は一人で遊んでいたAくんも、「一緒に遊ぼう!」と声をかけられて、お友達と一緒に遊ぶ様子も見られました。集団活動では、Aくんのように他者意識が薄かったお子さんが、お友達がしていることが視界の先に見えたり、お友達から声をかけられたりすることで、他人と関わる時間が増え、他者意識が芽生えてくることも多くあるそうです。個別指導は、手先の運動やSST(ソーシャルスキルトレーニング)などお子さんのニーズに合わせて30分間行われます。Aくんは「要求が難しい」といった課題があるので、個別指導では「ちょうだい」と言葉で要求する練習をしました。「個別指導と集団活動の両方を受けていただくことが、より一層お子さまの成長につながることを実感しています」という指導員に詳しくお話を聞いてみました。「例えば、発語の練習の段階のひとつである模倣は、個別指導のみだと限られた時間の中で練習することになりますが、加えて集団活動にも参加することで、模倣する機会や模倣する対象が多くなり、真似して言葉が出るようになり、発語がぐんと伸びたお子さまがたくさんいらっしゃいます」Upload By 発達ナビ編集部設定保育(集団の場)では、長時間の利用でも飽きることなく楽しく過ごせるように、工作のような机上課題だけではなく、パラバルーンや玉入れなど体を動かすような活動も準備されており、その日の決められた活動にみんなで参加します。Aくんも、学齢や困りごとが異なるお子さんたちと一緒にパラバルーンで楽しく遊ぶ様子が見られました。保護者さまがお迎えに来られたら、指導員から1日のお子さんの様子についての共有の時間(フィードバック)があります。お子さんについて気になることやご相談があれば、指導員に聞いてもらうこともできます。Upload By 発達ナビ編集部ほかにも今回のサービス改定の変更点として、1回のご利用あたりの指導時間が3時間に変更になることや、指導の様子をリアルタイムでご覧いただけるクラウド録画サービスの導入が挙げられます。お子さんが教室で過ごす時間が長くなったことで、今まで見られなかったお子さんの姿も見ることができるようになり、よりお子さんに寄り添って指導をすることができるようになりました。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移しますUpload By 発達ナビ編集部Aくんのお母さまも今日1日体験してみて、家では見られなかったAくんの姿や先生の声かけや関わり方をみて発見がたくさんあったといいます。Aくんのお母さまからのお話「マンツーマンでしっかり授業してもらえるのもうれしいし、集団で安全面に配慮された環境でほかのお子さまと過ごす経験ができるのもいいなと思いました!先生たちがとても丁寧に子どもに関わってくれていて、指導の様子もみれたので安心でした」LITALICOジュニアは、得意・不得意、好き・嫌いなどお子さんを分析し、最適な指導方法・学び方を見つけ、お子さんの成長をサポートをしています。※クリックするとLITALICOジュニアのお問い合わせページに遷移します※今回ご紹介したサービス内容や通い方は教室ごとに異なる場合があります。※このコラムは、LITALICOジュニアに掲載のコラムの一部を変更し、構成しています参照:お役立ちコラム|LITALICOジュニア
2024年05月08日ASD(自閉スペクトラム症)の息子の日常生活の中の不器用スバルは幼稚園での生活の中で、明らかに飛び抜けて不器用でした。ダンス、体操、ボール投げなどの全身運動。筆、はさみ、楽器などの道具を使う微細運動。そして日常生活の中でも服のボタンやファスナー、お弁当包みなど、あらゆることにサポートが必要でした。ちなみに両足ジャンプは年少の終わり頃までできませんでした。のちに「DCD(発達性協調運動症)」と診断されるのですが、この頃は「スーパー不器用BOY」として過ごしていました。年少の運動会スバルは幼稚園に入園するまで歌ったり踊ったりしませんでした。その頃のスバルは、幼児向けの教育番組が大好きでした。特にお兄さんお姉さんが楽しそうに踊る、テンポの良い明るい歌が好きで、毎日食い入るように観ていました。しかし真似して踊ったりリズムに乗ることはありませんでした。歌に関しては3歳まで喋らなかったのでそのせいもあるのかなと思いますが、番組に登場する同世代の子ども達が上手に踊る姿と比べて、「あれ?」と感じ始めた私。しかしテレビに出演するくらいだから特別ダンスが得意な選ばれし子どもたちなのだろうと思いました。スバルのダンスを初めて見たのは年少の運動会でした。振りつけは覚えているようでしたが、可動域が少ないというか、ぎこちないというか、踊れているか踊れていないかでいえば踊れていないというか……。Upload By 星あかり踊れていないスバルもめちゃくちゃ可愛いけど、それはそれとしてこれはただ事ではないと思いました。ただスバルの中ではみんなと同じように踊れていると思っているようでした。「スバル、ダンス上手だったでしょ?」と自慢げに楽しそうに運動会を終われたのはとても良かったです。年中の運動会年中の頃には周りと比べてダンスが得意ではないことに、本人が気づくようになりました。ダンスの難易度も上がり、物理的にできない動きが増えました。この頃のスバルは片足ジャンプや、複数の動作を同時にすることができず、「しゃがんでからジャンプ」みたいな流れるような動きもできませんでした。練習では少しでもできることが増えるようにと補助の先生がマンツーマンで指導してくれていました。どうしてもできない動きも最後まで諦めずに指導してくれました。それは親としてはとてもありがたいことなのですが、結局踊ることもできず、みんなと別で行われた個別指導により自分の不器用さを自覚したスバルはすっかり自信をなくしてしまいました。弾ける笑顔がトレードマークのスバルですが、年中の運動会の写真はしょんぼりしています。努力ではどうにもならないレベルで苦手なことを自覚し、それを人前で披露するのは本当に心に負担があったと思います。年長の運動会年長の運動会の数日前、スバルは独り言のように「運動会の日、お父さんが運動会があることを忘れて、スバルを連れて遠くに遠くにお出かけしちゃわないかな」と言いました。しかし休みたいかと聞かれるとスバルの答えは「NO」なのです。私たち夫婦は運動会の参加にこだわりがないので、休むことにも抵抗はないのですが、実はスバル自身がズル休みを引きずってしまうタイプで本人もそれを自覚しているのです。それにダンス以外の競技はそれなりに楽しみにしているようでした。いっそのこと熱でも出れば、心穏やかに休めるのに……なんてことを考えながら運動会当日。プログラムの最初の方でダンスが始まりました。年長の時の先生も個別指導をしてくれたのですが、今回は物理的に無理な動きは切り捨て、ギリギリ可能性のある動きだけを「まあまあできる」まで伸ばす方針でした。スバルとしても「できない動きはあるものの、できる事も増えた」と感じ、どん底まで自信をなくすことはありませんでした。前半は屈伸運動やステップなどの下半身の動きは切り捨て、直立のまま上半身の動きをゆるっとこなしていました。そんな感じで全体的に集団の中に紛れてなんとなくできている風にやり過ごし、フォーメーションチェンジのあと、スバルがついて行けない激しい動きのサビに入りました。「なんとなくリズムに乗る」なんて器用な事ができないスバルは、直立のまま時間が過ぎるのを待つのかなと思いました。しかしスバルは「あれ?スマホに着信が!」みたいな表情でポケットからスマホ(に見立てた手のひら)を取り出し、通話ボタンを押した後、スマホを耳に当てペコペコしながら「スミマセン、今運動会中なんですよ~。あとでまた掛け直しますね」と言って通話を切りスマホをポケットにしまいました。そしてちょうどサビが終わったタイミングでまたダンスにゆるっと合流しました。Upload By 星あかりもしかして『ぼく、ダンスができないんじゃなくて、仕事先から電話がかかってきちゃって仕方なくダンスを中断しているんですよ~』ってこと?曲の2番のサビでも仕事先から電話がかかってきちゃったので、仕方なくダンスを中断していました。仕事先からの電話だから仕方ない仕方ない。ダンスが終わり肩の荷が下りたスバルは楽しそうにほかの競技に参加してました。スバル的には楽しく運動会を終える事ができたようで、私も安心しました。小学生の現在小学2年生でケンケンができるようになり、全身運動でも微細運動でも、できる事がグンと増えました。しかし年齢が上がるにつれて求められることも難しくなるので、今でも「スーパー不器用BOY」のままです。運動会のダンスは未だに下半身の動きを切り捨て上半身の動きだけで集団に紛れています。日常の中でぶつかる「努力しても今すぐにはできない事」は便利な道具とアイディアと人の優しさで乗り切りっています。「ぼくはこれが難しいのでこうして良いですか?」と自らのアイディアを提案する姿を見るとあの年長の運動会を思い出します。おそらくあれがスバルが一番最初に自ら考えて実行した「スーパー不器用BOYが乗り切るためのアイディア」だったのだと思います。執筆/星あかり(監修:新美先生より)からだの動かし方の不器用さがある方の、運動会のダンスとの変化について詳しく聞かせてくれてありがとうございます。後半の、ダンスが苦手な場面で「仕事先から電話がかかってくる」という想定外の必殺技を繰り広げられた時は、思わず声をあげて笑ってしまいました。すごい対処スキル!!!!!こんなすてきなアイデアを思いつくなら、なんでも乗り越えていけそうです。DCD(発達性協調運動症)のお子さんにとっては、日常の体育や運動会の競技など、みんなで同じ事を揃ってやると、苦手さに直面することになります。いくら先生が「自分なりでいいよ」と言われても、本人的にはできない自分に直面して傷つくものです。星さんのように、「運動会休んでもいいよ!」というスタンスも全然ありだし、体育は別メニューでやるというのもありなのですが、自分だけがほかの子とは違う行動をとることも、なかなかハードルが高いものです。できれば、周りも完璧にし過ぎない(運動会で完成度を高くするために厳しく練習しすぎない。その場でできるスポーツお楽しみ会ぐらいのスタンスにする)、複数のメニューが誰でも選べるようにするみたいな、ユニバーサルな支援があったらいいのかもしれませんが、学校の方針もあります。「ぼくはこれが難しいのでこうして良いですか?」と自らのアイデアを提案できるというのは本当に素晴らしいです。きっとこれまでの関わりの中で、そんな風にしても大丈夫、苦手をアイデアでチェンジできるという経験を育んできてもらっているのかなと思いました。素敵なエピソードを聞かせていただきありがとうございました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月07日生後6ヶ月で現れたおじぎのような動作。医師に告げられた病名は……「てんかん」!?穏やかで優しい性格の17歳(高校2年生)の娘は、3歳で知的障害(知的発達症)と診断されています。右手に麻痺がありますが、幸いにも左手でひと通りのことはできています。娘は、生後1ヶ月で起こった脳出血(左脳)の後遺症で長く難治性てんかんを患っていました。入院や2度の手術を行ったわが家のてんかんとの長い闘いが少しでも皆さまの参考になれば幸いです。娘は生後1ヶ月の時、左脳に脳出血が起こり、開頭手術を行いました。術後に「言語をつかさどる部分、空間把握能力をつかさどる部分で出血を起こしたため、無発語、字が読めないなどの障害が出る可能性が高い」と言われました。私はこのことで頭がいっぱいになってしまい、その時てんかんの可能性を示唆されたのかもしれませんが、正直まったく覚えていません。初めて「あれ?」と思ったのは、6ヶ月に入る少し前です。ときおりカクンと軽いおじぎのように頭を下げるしぐさが出てきたのですが、意識消失やボーッとする様子もなかったので、てんかんというよりチックみたいなものかなと、夫とも軽く考えていました。その様子を録画し6ヶ月になってすぐに予定されていた術後の定期健診で見てもらったところ、「これは明らかに点頭てんかんだ」と診断されました。発見が早めだったので「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)で集中的に治療すれば、予後が軽くなる可能性が高い」と言われ即入院、治療を開始しました。Upload By ユーザー体験談入院期間は約1ヶ月でした。抱っこしていれば機嫌がいい子だったので、あまり「大変すぎる!」といった記憶はありません。入院した病院は完全看護のため、夜は保護者の付き添いはできませんでした。最初は心配でたまらなかったし、おっぱいが張って直接あげられない悔しさで泣きながら搾乳していましたが、夜は帰宅し自分のベッドで眠れたからこそ、体力的に乗り切れたのだと思います。退院後は抗てんかん薬で様子見を続けました。2歳で再発。2回目の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)治療へその後、2歳で点頭てんかんが再発しました。再び「カクン」と頭が垂れた時はショックでした。「難治性に移行して、もっと酷くなるのかな……」と、最初の時より頭が真っ白になりました。本人は訳も分からずニコニコしていたのが、また切なかったです。今度は3ヶ月入院をすることになり、これが大変でした。6ヶ月の時とは違い、暴れて泣いて点滴を抜こうとするので、大好きなビデオとDVDを院内のプレイルームでずーっと一緒に観ていました。娘が寝ている短い時間だけが自由時間で、食事をかき込みながらベッドサイドや待合室で1人泣いたことも。ここで難治性部分てんかんと診断され、抗てんかん薬を増量しました。転倒を伴う大きな発作が出始め、手術を決意!そして6歳あたりから、転倒を伴う大きな発作が出始めました。どうにか、なんとか治せないかと、私はてんかんについての講演会などに行っては専門医の先生方の話をいろいろと聞き、手術の検討をし始めました。Upload By ユーザー体験談手術当日、本人は手術についてあまり分かっておらず、「お着がえするよ~」と手術着に着替えてもらい、そのまま麻酔で眠って手術をするという流れでしたのでスムーズでした。ですが、術後「なるべく動いてはいけない、傷部分を触ってはいけない」を守ることにはかなり苦労しました。DVDや絵本などでなんとかしのぎましたが、どうしても触ってしまう時があり、やむを得ず拘束器具を付けたこともありました。この手術でてんかんは軽くはなったのですが、残念ながら完治には至りませんでした。てんかん薬を服用しながら再び様子見することになりました。24時間の脳波測定で有効な手術の可能性を告げられ……やがて担当医師が地方へ異動になってしまったため、再び別の病院へ転院することになりました。その病院で24時間の脳波測定をしたところ、有効な手術の可能性を告げられました。ただリスクとして、現在ある右麻痺が少し強くなるかもしれないとのことで……。不安はありましたが家族で話し合い、「何よりてんかんを消失させ、ゆくゆくは薬を止めることが最優先。麻痺はリハビリで少しずつ取り戻していこう」という結論に至り、11歳でまた手術を受けることになりました。娘は、7歳の時に受けた手術のことを覚えていて、「術後は痛い」という記憶があったようで、入院時から泣いたり「いやだ!」と大声を出したりすることがありました。ただ、先生や看護師さんの声かけのおかげで、手術当日は割とスムーズに手術室に入っていきました。大変だったのは術後で、右麻痺の様子を見るための連日のリハビリにねを上げ、「起きたくない!」「やりたくない!」と大騒ぎしていました。痛みを訴えたり傷口を触ったりすることは幸いなかったですが、約2ヶ月の入院は完全付き添いだったので、ストレスから親子で何度も泣いていました。Upload By ユーザー体験談ついにてんかんが寛解!もう二度と発作に悩まされないように手術後も数年は服薬を続けましたが、徐々に量を減らし5年後には服薬も必要なくなりました。本当に本当によかったです。娘は発作に対してあまり自覚がなかったようで、あまり変化を感じていないようなのですが、親としては、生活における制限がなくなる、発作におびえなくて済むという大きな解放感があります。出先でもし発作が起きたらという懸念がなくなり、遠出ができるようにもなりました。Upload By ユーザー体験談私たち家族にとって、娘のてんかんとは長く、大変な闘いでした。薬が増えた、減ったで一喜一憂した時もありますが、服薬が完全なくなった時に「あーやっと終わった……」と全身の力が抜けた感じがしました。娘は服薬がなくなったことで頭の中もすっきりしたようで、現在は会話ができるまでになり、一人通学など、できることも急激に増えました。とはいえ、完全に独り立ちすることは難しいので、上手に人に頼りながら、親なきあとも楽しく過ごしてほしいと思っています。そしてもう二度と発作に悩まされないよう、健やかに成長してくれることを願っています。イラスト/マミヤエピソード参考/みったん(監修:藤井先生より)生後1ヶ月の脳出血により、てんかんで繰り返し入院加療をされ、今は寛解されているとのことで良かったです。てんかんの治療には内服だけでなく、ACTH療法、ケトン食療法、外科手術もあります。てんかんの種類によって、治療の適応は違ってきますので、専門医に相談することをおすすめしています。脳出血後遺症や、脳の中に異常な部分があると頭部MRIなどで分かった場合には、その部分の切除術や、脳梁(左右の脳を連絡する神経繊維の束)離断することで、発作が軽減されることがあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年05月06日年長の4月から新たな場所で療育スタート!Upload By プクティわが家の長男は4歳(年中)の時に軽度の知的発達症(知的障害)と診断され、夏頃から療育を受けていました。診断後に転園した保育園には療育施設が併設されていましたが、そちらには空きがなかったので順番待ちをしつつ、もともと通っていた施設で療育を続けていました。新年度になったタイミングで、保育園併設の施設に空きが出たので、年長の4月から新たな療育がスタートしました。その療育施設では「生活クラス」という身の回りのことに関して集団で練習するクラスに入りました。療育は週に2回、朝10時からお昼ごはんをはさんで午後2時までです。療育がある日も、朝保育園に連れて行けばそのまま先生が療育のクラスへ連れていってくれるので、帰りも通常通り保育園に迎えに行くだけで良く、非常に助かりました。ただ、通い始めの最初の2ヶ月間だけは、親も一緒に通所しないといけないという決まりがありました。療育の時間を嫌がる長男。つい口を出したくなった時、先生が……Upload By プクティ親子通所が始まると、普段は私と2人きりで過ごす機会があまりないせいか、長男はとてもうれしそうでした。つい甘えたくなってしまうらしく、療育が始まると何度も私のところへ来ようとしました。その都度先生に止められては癇癪を起こす……ということを繰り返し、全く療育に集中できていないようでした。癇癪を起こす長男への対応に、先生が苦労している様子が伝わって、私は焦ってつい長男に声をかけてしまいました。Upload By プクティしかし、先生との信頼関係を築くためにも、私からは長男に声を掛けたり手を出したりせず見ていてほしいと言われ、私はただただ泣く長男を見ていることしかできず、心が痛みました。療育はなかなかハード……内容は?Upload By プクティ療育の内容は、朝の支度から始まり、朝の会、その後リズム体操などで身体を動かしたり、天気が良い日には散歩に出掛けて公園で遊んだり。帰ってきても分刻みのスケジュールで、私も一緒になって遊んだり先生方の準備を手伝ったりとなかなかハードでした。親子通所にて得たものUpload By プクティそんなハードな親子通所でしたが、嫌なことと葛藤しながらも先生と頑張る長男の姿や、野菜嫌いなのに給食を完食するなどの成長が見られたこと、先生方が子ども達に対して決して怒らず、できるまで何度でもあきらめず向き合う姿勢や、声の掛け方を学べたことなど、得たものは非常に多かったです!療育で学んだことを夫と共有することで、夫婦共に家庭での長男への向き合い方も変わってきて、療育に通う前より穏やかに過ごせるようになりました。2ヶ月間の親子通所は、長男にとってだけではなく、保護者である私にとっても、本当に貴重な体験でした。執筆/プクティ(監修:森先生より)「ついつい手を差し出したくなるのを、ぐっとこらえて見守る」というのは、口で言うのは簡単ですが、実はとっても難しいことですよね。お子さんを思うあまりに先回りして手伝ってあげたくなるのが親心ですが、そうしてしまうと結果的にお子さんの成長の機会を奪ってしまうことになりかねません。プクティさんのように、怒らず、あきらめずに辛抱強くお子さんに向き合えると大変素晴らしいですね。親がどんどん手伝ってしまうのではなく、お子さんが「自立した大人になる」ためのサポートをしていくことに徹することができると、お子さんもぐんぐん成長していきます。療育は適切な接し方も学べて、親としての成長も期待できるのです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年05月05日発達に不安のある1歳半頃のたーちゃんと、ノイローゼ気味だった私たーちゃんは1歳頃から、人見知りや場所見知りが激しかったりコミュニケーションに困難さを感じたりと、発達に不安がありました。その時の私は悩みや不安を気軽に相談できる人がおらず、助けてほしいと思っていても行動できずにいました。自宅保育で1日中たーちゃんと一緒だったので、ノイローゼ気味になっていたのかもしれません。そしてたーちゃんが1歳半頃、発達について悩んでいることを思い切って市役所の窓口に相談しました。市役所の職員さんと面談を重ねたあと、市で開催している親子教室へ週に1回通うことになりました。しかし、夫の帰りが遅く、近くに住む義母や義祖母には頼れない状況で、それだけの支援では足りないとモヤモヤとした気持ちを抱いていました。Upload By みかみかん診断書がないと児童発達支援を利用できないの?療育や児童発達支援の存在を知ったのは、発達障害についてインターネットで調べている時でした。私はすぐにでも通わせたいと思いましたが、どうしたらいいか分からずにいました。児童発達支援を利用するための受給者証は、診断書がないともらえないものだと勘違いしていたのです。Upload By みかみかん当時のたーちゃんは児童精神科や発達外来で診てもらったことはなく、もちろん診断書もありません。さらに調べていくうちに、児童精神科や発達外来は紹介状が必要だったり、初診の受付は停止していたり、そもそも2歳児は診てくれない病院もあったり……ということを初めて知りました。児童発達支援を利用するためには診断書が必要だと思い込んでいた私は、堂々巡りの状況に悩みながらも、引き続き週1回の親子教室に通っていました。しかし、2歳半頃にたーちゃんが通い始めたプレ幼稚園での様子を見て、「やはりほかのお子さんとは何かが違う」と感じ、ついに行動を起こしました。児童発達支援について、分からないことばかり。思い切って市役所で直接聞いてみることに。まず、市役所で児童発達支援について聞いてみることにしました。「発達に不安がある」という相談だけでは、数回の面談のあとに市の親子教室に繋がるだけだと分かっていたので、「児童発達支援の利用をしたい」と単刀直入に伝えました。Upload By みかみかんすると、必要な書類や手続きの流れや、市内にどんな事業所があるかなど、分かりやすく職員さんが教えてくれたのです。以前「発達に不安がある」と話をした職員の方が不親切だったわけではないのですが、来訪の目的がはっきりしているだけでここまで違うのかと驚いたのを覚えています。そして、私の住んでいる市では診断書がなくても児童発達支援に通うことができると分かり、ホッとしました。※児童発達支援の利用については自治体によって申請方法が異なります。そこからはとんとん拍子に事が運び……診断書の代わりに必要だったのは、医師が書いた意見書でした。職員さんから意見書のひな型を受け取りましたが、初めて見る書類なので、やはり発達外来を受診するべきなのだろうかと戸惑っていると、「かかりつけの病院で書いてもらえば大丈夫ですよ」と言われました。しかし、たーちゃんは病気をすることが少なかったので、かかりつけの小児科といえば、予防接種を何回かしてもらった近所の小さな診療所しか思い浮かびません。まずその診療所に意見書を書いてもらえるか問い合わせをしてから、たーちゃんを連れて診てもらいました。私がたーちゃんの発達や、療育に通わせたいことについて伝えたところ、すぐに意見書を書いて渡してくれました。先に市役所で意見書のひな型を受け取っていたので、とてもスムーズでした。Upload By みかみかんさらに幸運なことに、診療所の先生から「詳しく診てもらうならこの病院が良いと思います」と言われ、大きな病院にある発達外来への紹介状を書いてもらえたのです。発達外来でたーちゃんを診てもらいたいと思っていても、どうすれば受診できるのか理解できていなかった私でしたが、先生のおかげで活路を見出すことができました。児童発達支援事業所の見学、そして契約その後、受給者証の申請の手続きをしつつ、複数の児童発達支援事業所へ見学に行きました。預かってもらえる人がいないのでたーちゃんを一緒に連れて行きましたが、快く受け入れてくれる事業所ばかりでした。最初、場所見知りや人見知りのあるたーちゃんは警戒していましたが、理解のある支援員さんの誘導もあり、ほかのお子さんと楽しそうに活動をしていました。また、たーちゃんの様子を観察して、支援方法をアドバイスしてくれる事業所もありました。Upload By みかみかんその後、市の担当の方と複数回の面談を経て、念願の受給者証を手に入れることができました。「児童発達支援の利用をしたい」と市役所に駆け込んでから、約2ヶ月。ようやく1つの事業所と契約することができました。その事業所に決めた理由は、たーちゃんの好きな運動療育がメインで、自宅や幼稚園への送迎があり、母子分離で半日預かってくれるからでした。やっと児童発達支援事業所に通える!と思ったけれど……これで、来月から利用開始できる!プレ幼稚園や親子教室のない夏休みも、なんとか頑張れる!そう思っていました。ですが契約した時にはすでに、その事業所の夏休みのスケジュールは利用者さんの予定で埋まっていたのです。そのため、実際の利用は9月からということを知り、もっと早く行動していたら……と落ち込みました。それでも夏休み明けの9月から週に2回ほど通えるようになり、ゆっくりですが、たーちゃんの発達にも良い影響が表れ始めました。そして私も、たーちゃんと離れる時間ができて徐々に元気を取り戻していきました。この児童発達支援には、現在も幼稚園と併用して楽しく通っています。たくさん悩んだ、いままでの道のりを振り返って児童発達支援の利用を開始するまでに思ったことは、・自分で調べてみても分からないことは人に聞いてみる・児童発達支援について知りたければ、まず自治体に問い合わせしてみる・すぐには利用できないので、利用したいと思ったらなるべく早く行動した方が良いということでした。この記事が、児童発達支援を利用したいと思っている方を後押しするきっかけになれば幸いです。執筆/みかみかん(監修:室伏先生より)児童発達支援に通われるまでの道のりを詳しく共有してくださり、ありがとうございました。児童発達支援施設の通所に必要な書類や、自治体が管轄する療育を受けられるかどうか、自治体・民間の児童発達支援施設の空き状況は、自治体や地域により異なります。みかみかんさんのように、悩まれている親御さんも少なくないと思います。利用されたい方は多い一方で、発達を専門にする外来も児童発達支援も、空きが少なくて待つ期間が長かったり、書類準備や申請などの準備に時間がかかったり、という現状があります。発達に不安はあるけど個人差の範囲なのかもしれない、もう少し様子を見てみたほうがいいのかもしれない、と迷われている方もいらっしゃるかもしれませんが、お早めに自治体に相談して情報を集めてみることが、適切な時期に適切な支援へとつながる大切なステップになるかもしれません。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年05月04日入園でトラブル発生!?園への行き渋り、園での活動に参加できない…園生活の困りごとを紹介発達ナビのQ&Aコーナーは、子育てに関する疑問や知りたいことなどを気軽に質問し相談し合える場所です。幼稚園や保育園での困りごとやお悩みも多く寄せられていますので、ここで一部をご紹介します。4歳児の暴言暴力の相談です。1歳半〜3歳過ぎまで癇癪が酷く療育に通ってます。癇癪は一時落ち着き、入園後は集団行動も問題なく、お友達もできて楽しく通っていました。3学期になり、家では怒りやすく行き渋りが酷くなり癇癪も再発しています。上手にできていた切り替えもできなくなりました。息子はASD 軽度知的障害で、普段は週4幼稚園、週1で市の療育園と民間療育に通っています。この生活が始まって約一年、息子の成長も多く感じましたが、同時に癇癪や他害自害も増え、このまま年中に進級して良いのか、療育園のみに変える方がよいのではと悩むようになりました。2歳7ヶ月の娘がいます。新生児期よりなかなか寝付けずとても育てにくさを感じています。言葉や身体の発達は遅れの指摘はないですが、むしろ流暢、喋りすぎる、こだわり、癇癪や衝動、多動などがあります。抱っこはツイストして解除、手繋ぎは座り込みや地面と同化してしまうタイプです(中略)基本的に朝車から降りて10m先の園玄関まで手を繋げません。帰りが特に手強く本当に困っており、玄関でさようならしてから車に乗るまで平均30分かかります。最大1時間かかったこともあります。ようやく車に乗ったあとはチャイルドシートに乗せるのに5〜10分泣き叫びプロレスのような状態です。登園渋り、癇癪、他害、集団行動が苦手……どうすれば?園生活の悩みやギモンに専門家が回答!幼稚園や保育園に行きたがらない、思い通りにならないと癇癪を起こす、お友達を叩いたり物を壊したりする、先生のお話を聞けないなど、園生活ではさまざまな困りごとが起こりがちです。特に、入園したばかりのお子さんにとっては、初めての集団生活に戸惑いや不安があることでしょう。ここでは園生活での悩みやギモンについて、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にご回答いただきました。Q:年少の男の子です。小さい時からこだわりが強い傾向がありました。幼稚園に入りましたが、毎朝登園時には激しく泣き、園に行きたがりません。こんな時は休ませてもよいのでしょうか?多少無理をしてでも行ったほうがいいのか、判断に悩んでいます。A:登園時に泣いたり拒否したりされると親御さんもつらくなるかと思います。登園させても子どもと離れられないこともあるかもしれません。まず園の中の環境が苦手なのか、あるいは親御さんと離れることが苦手なのかなど、その原因に目を向けていく必要があるかと思います。登園時の工夫としては、お気に入りのグッズを持っていく、園に行ったらすぐに好きな活動ができるようにしておくなどが考えられます。登園して好きな活動ができるようになると、登園時の抵抗は弱くなると思いますが、親と離れられる程度の好きな活動が見つからない場合、まずは親同伴で過ごすことから始め、少しずつ一人遊びや先生との遊びができるようにして徐々に離れていくなど、スモールステップで進めていくとよいでしょう。Upload By 発達ナビ編集部Q:活動の切り替えが苦手な年少の娘がいます。園でも思い通りにならないと泣いて癇癪を起こすので、先生から連日のように電話があり、精神的に参ってしまいました。このような時、どう対応すればよいのでしょうか?A:癇癪の原因にはさまざまなものが考えられます。何かしたいことができなかったり、好きなことをやめさせたりする場合、あるいは嫌な刺激があったり体調が悪い場合などに癇癪が起こりやすくなります。このケースでは、思い通りにならないという場面を具体的にし、環境を調整することで、その原因を取り除いたり、癇癪以外で意思を伝える方法を教えていくことが大切です。園の先生だけで対応できない場合は、巡回相談など外部の専門家を活用していくのも一つの手段ではないかと思います。Upload By 発達ナビ編集部Q:年中の男の子です。ことばが遅く、 気持ちを伝えることができないせいか、お友達を叩いたり、噛んでしまったりすることがあります。やってはいけないことだと家でも言い聞かせてはいますが、なかなか改善しません。すぐに手が出てしまう子どもへの対応方法はあるでしょうか。A:まず、トラブルが起こらないような環境調整を工夫していく必要があります。例えば、スケジュールやルールを視覚的に示したり、遊具の与え方を工夫するなどです。また、やってはいけないことだけではなく、気持ちを伝えるための手段を教えていくことが大切です。ことばが表出できるお子さんにはことばで、ことばは難しいが動作の模倣ができそうなお子さんには身振りやサインで表現できるように教えていきましょう。Upload By 発達ナビ編集部Q:保育園に通っている年少の男の子です。教室から出て行ってしまう、先生の話を聞けない、一斉指示が通らないといった指摘を受けました。家では特に困りごとがなかったので驚きましたが、集団行動が苦手な理由はどんなことが考えられるでしょうか?どうしたら集団行動ができるようになるのでしょうか?A:集団行動が苦手な理由は複数考えられます。例えば、自分の興味関心や好きなもの、マイルールや順番などに対するこだわりが強いことなどがあげられます。また、不注意(注意がそれやすく集中しにくい)や、多動性や衝動性といった特性が関係している場合もあります。ほかにも、指示が理解できていない可能性もあるかもしれません。さまざまな苦手な理由について園の先生と話し合い、集団活動に子どもの好きな活動を入れる・役割を与えるなど、あてはまる原因を探りそれに沿った工夫をすることで、活動参加がしやすくなると思います。Upload By 発達ナビ編集部もしかして発達障害?ASDやADHDなど、発達障害のある子どもの特徴「園での様子を見ると、ほかの子どもとわが子は何かが違うような気がする……」「もしかして、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)など、発達障害があるのではないか?」と考えている保護者の方もいらっしゃるかもしれません。まずは一つひとつの行動の原因に目を向け、子どもの視点に立って、苦手な環境や対応を工夫してみましょう。また、不適切な行動だけに目を向けるのではなく、できていることを認めたり褒めていくことで、行動全体が変わってくることもあります。園の先生や巡回相談の先生と話し合いながら、工夫に取り組んでいきましょう。それでも多くの困難が生じている場合、発達障害などの相談が可能な機関に相談に行かれることをお勧めします。発達障害の特性を以下に示します。ASD(自閉スペクトラム症)は、「社会的なコミュニケーションの困難さ」「限定された行動や興味、反復行動」といった特性が幼少期からみられ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。ASD(自閉スペクトラム症)の症状の表れ方には個人差がありますが、幼児期には以下のような行動がみられることがあります。・お気に入りのおもちゃをひたすら並べる・くるくるまわるものをずっと見ている・水遊びが大好きで始めるとやめられない・おもちゃなどを使う順番を待てない・決まったおもちゃで遊びたがる・道順が違うとパニックになる・活動の切り替えが難しい・マイルールや勝ち負けにこだわるなど※上記は一例ですADHD(注意欠如多動症)は、「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性により、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。特性の表れ方には個人差がありますが、主に、多動・衝動性の傾向が強いタイプ、不注意の傾向が強いタイプ、多動・衝動性と不注意が混在しているタイプの3つに分けられます。ADHD(注意欠如多動症)の特性がはっきりしてくるのは早くても2歳頃からと言われていますが、幼児期には以下のような行動がみられることがあります。・物事に集中できず、忘れっぽい・落ち着きがなく、じっとしていられない・かんしゃくを起こすことが多い・ものを壊したり、乱暴な遊びを好むなど※上記は一例ですしかしながら、これらの行動は幼稚園や保育園に通う年頃の子どもにはよく見られるため、このような行動をとるからといって、必ずしも発達障害があると判断することはできません。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの診断は医師によってなされます。お子さんの発達に不安があったり悩んだりしている場合、まずは発達相談などが可能な専門機関に相談されるとよいでしょう。発達障害のある子どもの園生活にまつわるエピソード発達ナビライターの方々や、読者の皆さんから寄せられた園生活にまつわるエピソードをご紹介します。皆さんがどのように園生活の困りごとや悩みを乗り越えていったのか、参考になる部分もあるのではないでしょうか?ぜひご覧ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年05月03日めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
やっぱり家が好き〜おっとぅんとみったんと私〜
子育ては毎日がたからもの☆