連載記事:つい子どもを叱り過ぎてしまうママに伝えたいこと
Vol.3 ママを「支えてくれる人がいない」という大問題
現代のママはテンパって当たり前
夫は「ママの感性」を理解できない?の続きです
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「子育てをする上でもっとも大切なことは、ママの気持ちが安定していること」と言うのは、花まる学習会代表の高濱正伸さん。それができないのは、ママ自身の問題以前に、もっと大きな問題が背後にあるから。その構造を聞いて、「そうなのか」と、心がふっと楽になりました。
■イライラしているママはあなただけではない
―「子どもにキツい言い方をしちゃう自分を止められない」と、みんなが思っている?
高濱:そうです。こちら側から見ると、どのママも「あなたも、あなたも、あなたも、みんなイライラしています。だから、あなただけではない。大丈夫ですよ」と、言いたいです(笑)。
本当に危ないです。
ギリギリです。「キツい言い方をする自分を止められない」という状態のまんま、ママたちは生きている。「今、宿題を始めないと終わらないでしょ。そしたらアンタ泣くでしょ!」みたいな。日々こなさなければいけない段取りの中で、ママはギャーっとヒステリーになってしまう。
―それは私のことですね(笑)。たしかに段取り、毎日大変です。
高濱:毎日、学校の宿題をさせて、忘れ物させないようにして。
ママも子どもも、そういう段取りの中で暮らさないといけない。そりゃ、大変ですよ。
■ママを支えてくれる人がいない?
―どうすれば良いのでしょうね?
高濱:今までお話ししてきたことの根っこには、「ママの孤独」という問題があります。核家族で「夫が働き、妻が家庭を守ることがスタンダード」という今の社会構造の中では、孤独なママが数多く出てきてしまいます。ママ1人が子育てを担うというのは、並々ならぬストレスです。
この社会構造がわかって、「今の社会の構造的にママは孤独になりがちで、そうなると追い詰められてギャー、ギャー言ってしまう。そう思わないほうが奇跡なんだ」くらいに思えると、ママたちはふっと楽になれる。
―私自身、ダメな母親だなぁと落ち込むことも多くて
高濱:「古き良き母親像」みたいなものを、まだ、みんなどこかで背負っていますから。
たとえば30年前は、「幼稚園のママが飲み会を開いている」などと言ったら、コメンテーターが「母として、何をやっているのだ!」みたいなことを平気でテレビで言っていました。
そんな感じが、今でも皆さんの気持ちの上では残っている。その時代と比べて、社会の構造が変わったことをわかっていない。「いやいや、ママ、大変なんですよ。誰も支えがいないんですよ」ということを、世の中の人の大半がわかっていない。